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特許異議申立

2026-700262

遊技機

審判番号
2026-700262
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-182980
登録番号
7746130
請求日
2026年03月27日
審決日
2026年06月04日
公報発行日
2026年07月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社三共
  • 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 渋谷 知子
  • 審判官 植田 高盛
  • 審判官 太田 恒明
分類
P1651.537-Y (A63F) / P1651.121-Y (A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7746130号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7746130号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7746130号(以下「本件特許」という。)は、令和3年11月10日に特許出願され(特願2021-182980号)、令和7年9月19日にその特許権の設定登録がされ、令和7年9月30日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許の請求項1に係る特許に対して、令和8年3月27日に特許異議申立人 日本電動式遊技機特許株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。なお、符号A等は分説のため当審で付与した。以下、分説された本件特許発明の発明特定事項を、符号に基づき「発明特定事項A」等という。 「 【請求項1】 A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技者にとって有利度が異なる複数の設定値を設定可能な設定手段と、 C 可変表示に対応する対応表示を表示可能な対応表示手段と、 D 前記対応表示の表示態様を、第1態様から、該第1態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な変化演出実行手段と、 E 前記変化演出実行手段によって前記変化演出が実行されて前記対応表示が前記第2態様で表示されているときに、変化前の前記第1態様に対応した履歴示唆演出を実行可能な履歴示唆演出実行手段と、を備え、 F 前記変化演出実行手段は、前記変化演出として第1変化演出と該第1変化演出とは異なる第2変化演出とを実行可能であり、 G 前記履歴示唆演出実行手段は、 リーチ演出が実行されるまでの期間において前記履歴示唆演出を実行可能であり、 前記変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能であり、 前記対応表示の表示態様が第2態様で表示されているときに前記履歴示唆演出を終了することが可能であり、 H 前記設定手段により設定された設定値に対応して演出を実行可能である、 I ことを特徴とする遊技機。」 第3 証拠方法、及び特許異議申立理由の概要 1 証拠方法 申立人により、特許異議申立書とともに提出された証拠は、次のとおりである。 甲第1号証:特開2019-205892号公報 甲第2号証:特開2021-141958号公報 甲第3号証:特開2021-129944号公報 (以下、申立人の提出した甲第1号証等を、甲1等という。) 2 特許異議申立理由の概要 申立人による特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。 理由1 特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号) 本件特許発明は明確でないから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 理由2 特許法第29条第2項(同法第113条第2号) 本件特許発明は、甲1発明に周知技術(甲2及び甲3)を適用することで当業者が容易に発明できたものである。 よって、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 特許異議申立理由の理由1について (1)申立人の具体的主張 申立人は、特許異議申立書の第7頁第21行~第9頁第1行で、以下のように主張する(ここでの下線は申立人が付与したものである。)。 「本件特許の審査経過における拒絶理由通知では、本件特許発明における構成Eに相当する発明特定事項に関して、理由3(明確性)(1)では、「…履歴とは何の履歴なのか不明である…」とした。 当該指摘に対し、特許権者は、主に構成Eに相当する発明特定事項を「…変化演出実行手段によって…変化演出が実行されて…対応表示が…第2態様で表示されているときに、変化前の…第1態様に対応した履歴示唆演出を実行可能な履歴示唆演出実行手段と、を備え、」と補正した上で、意見書において、補正後の請求項1に係る発明は明確となった旨、主張している。 しかしながら、明確性の判断にあたり、近年の判例での審査経過の取り扱いとして、例えば、「特許法36条6項2号は、…特許請求の範囲が不明確となる場合には、特許の付与された発明の技術的範囲が不明確となって第三者に不測の不利益を及ぼすことがあり得ることから、これを防止するために要求されるものであり、あくまで明細書の記載要件である以上、その適否は、当該記載から客観的に判断されるべきであって、出願経過や審判における対応を斟酌することは、かえって、特許が付与された権利範囲を不明確にするものといわざるを得ない。特許権の行使場面において、その技術的範囲を判断する際に、出願経過等の事情を斟酌することはともかくとして、本件発明の明確性要件の判断をする際に、これらを考慮することは相当ではなく、原告の上記主張は採用できない。」(知財高裁 平成27年(行ケ)第10105号)と判示されている。 よって、上記特許権者の主張の適否を問わず、本件特許発明の構成Eは、依然として、履歴とは何の履歴なのか不明である点で不明りょうである。 詳述するに、遊技機の演出における「履歴」とは、技術常識を勘案するに、いわゆる「ログ」、「記録」を指すものであるところ、上記構成Eにおける「履歴」とは、いずれの事項に関する、どのような観点における、どの程度の期間における情報であるのかが、本件特許の明細書(以下、本件特許明細書)及び図面を参酌したとしても特定することができず、その外延を特定し得るものではない。 また仮に「履歴」とは「変化前の(すなわち、過去の)第1態様に関する事項」を指すとしても、構成Eにおいて「変化前の…第1態様に対応した」と特定されている以上、当該「履歴」なる文言により、さらにどのような事項を特定しようとしているのかが不明りょうである。 よって、本件特許発明は明確でない。」 (2)明確性要件に違反するか否かの判断 ア 判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載のみならず、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から、判断されるべきものである。 イ 判断基準に基づく判断 本件特許発明の発明特定事項Dには、「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、該第1態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な変化演出実行手段」と記載されている。 発明特定事項Dの記載から、「第1態様」及び「第2態様」は、「前記対応表示の表示態様」であること、「変化演出」は、「第1態様から」「第2態様に変化させる」ものであること、及び「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」されると、「前記対応表示の表示態様」が「第1態様」から「第2態様」に「変化」することが、理解できる。そうすると、「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」される前は、「前記対応表示の表示態様」が「第1態様」であること、及び「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」された後は、「前記対応表示の表示態様」が「第2態様」であることが、理解できる。 また、本件特許発明の発明特定事項Eには、「前記変化演出実行手段によって前記変化演出が実行されて前記対応表示が前記第2態様で表示されているときに、変化前の前記第1態様に対応した履歴示唆演出を実行可能な履歴示唆演出実行手段」と記載されている。この記載から、「変化前の前記第1態様に対応した履歴示唆演出」が「実行」されるのは、「前記変化演出実行手段によって前記変化演出が実行され」たことで「前記対応表示が前記第2態様で表示されている」ときであること、「履歴示唆演出」は、変化前の「第1態様」に対応した履歴を示唆する演出であること、及び「履歴」は、変化前の「第1態様」に対応した履歴であることが、理解できる。 ここで、「履歴」とは「今に至るまでの経緯。その記録。」といった意味である(広辞苑参照。)。 以上のことから、本件特許発明の「履歴示唆演出」は、「前記変化演出実行手段によって前記変化演出が実行され」たことで「前記対応表示が前記第2態様で表示されている」ときに、「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」される前における「前記対応表示の表示態様」(「第1態様」)を示唆する演出であり、本件特許発明の「履歴」は、「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」される前における「前記対応表示の表示態様」(「第1態様」)であると、理解できる。 したがって、本件特許発明の「履歴」は、上記のとおりに理解できるから明確であり、第三者に不測の不利益を生じさせる程に不明確なものではない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、「履歴」とは、いずれの事項に関する、どのような観点における、どの程度の期間における情報であるのかが、本件特許明細書及び図面を参酌したとしても特定することができず、その外延を特定し得るものではないと主張する。 しかしながら、上記イで述べたように、本件特許発明の「履歴」は「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」される前における「前記対応表示の表示態様」(「第1態様」)であると理解できるから、申立人の当該主張を採用することはできない。 また、申立人は、仮に「履歴」とは「変化前の(すなわち、過去の)第1態様に関する事項」を指すとしても、構成Eにおいて「変化前の…第1態様に対応した」と特定されている以上、当該「履歴」なる文言により、さらにどのような事項を特定しようとしているのかが不明りょうであるとも主張する。 しかしながら、「前記変化演出実行手段によって前記変化演出が実行されて前記対応表示が前記第2態様で表示されているとき」の「履歴」には、「変化前の前記第1態様に対応した」もののほか、「変化前の前記第1態様」以前のもの等が含まれるところ、「変化前の前記第1態様に対応した」ものであることを特定しようとしているのであるから、申立人の当該主張を採用することはできない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明の「履歴」は、申立人が申立てる点で明確性要件に違反するものではない。 また、本件特許発明におけるその余の構成についても、第三者に不測の不利益を生じさせる程に、発明が不明確となる点はない。 したがって、本件特許発明は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしている。 2 特許異議申立理由の理由2について (1)証拠について ア 甲1について (ア)記載事項 甲1には、次の事項が記載されている(これ以降の下線は当審で付与した。)。 a 「【0060】 次に、図5(a)~(d)を用いて、パチンコ機100´の特図1表示装置212´、特図2表示装置214´、装飾図柄表示装置208´、普図表示装置210´が停止表示する特図および普図の種類について説明する。図5(a)は特図1の停止図柄態様の一例を示したものであり、図5(b)は特図2の停止図柄態様の一例を示したものである。特図1始動口230´に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され、特図2始動口232´に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として特図2変動遊技が開始される。特図1変動遊技が開始されると、特図1表示装置212´は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図1の変動表示」を行う。また、特図2変動遊技が開始されると、特図2表示装置214´は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図2の変動表示」を行う。これらの「特図1の変動表示」および「特図2の変動表示」が本実施形態にいう図柄の変動表示の一例に相当する。 【0061】 そして、特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1表示装置212´は特図1の停止図柄態様を停止表示し、特図2の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図2表示装置214´は特図2の停止図柄態様を停止表示する。したがって、「特図1の変動表示」を開始してから特図1の停止図柄態様を停止表示するまで、あるいは「特図2の変動表示」を開始してから特図2の停止図柄態様を停止表示するまでが本実施形態にいう図柄変動停止表示の一例に相当し、以下、この「特図1または2の変動表示」を開始してから特図1または2の停止図柄態様を停止表示するまでの一連の表示を図柄変動停止表示と称する。図柄変動停止表示は複数回、連続して行われることがある。 【0062】 図5(a)には、特図1の図柄変動停止表示における停止図柄態様として「特図A」~「特図E」の5種類の特図が示されている。図5(a)においては、図中の白抜きの部分が消灯するセグメントの場所を示し、黒塗りの部分が点灯するセグメントの場所を示している。「特図A」は15ラウンド(15R)特別大当り図柄であり、「特図B」は15R大当り図柄である。本実施形態のパチンコ機100では、特図変動遊技における大当りか否かの決定はハードウェア乱数の抽選によって行い、特別大当りか否かの決定はソフトウェア乱数の抽選によって行う。大当りと特別大当りの違いは、次回の特図変動遊技で、大当りに当選する確率が高い(特別大当り)か低い(大当り)かの違いである。以下、この大当りに当選する確率が高い状態のことを特図高確率状態(以下、「特図確変」または単に「確変」という場合がある)と称し、その確率が低い状態のことを特図低確率状態と称する。また、15R特別大当り遊技終了後および15R大当り遊技終了後にはいずれも時短状態(電サポ状態)に移行する。時短については詳しくは後述するが、時短状態のことを普図高確率状態(以下、「普図確変」という場合がある)と称し、時短状態でない状態のことを普図低確率状態と称する。15R特別大当り図柄である「特図A」は、特図高確率普図高確率状態であり、15R大当り図柄である「特図B」は、特図低確率普図高確率状態である。これらの「特図A」および「特図B」は、遊技者に対する有利度が相対的に大きくなる図柄である。 …… 【0064】 「特図D」は小当り図柄であり、特図低確率普図低確率状態である。また、「特図E」ははずれ図柄であり、遊技者に対する有利度が相対的に小さくなる図柄である。」 b 「【0231】 図23は、変動アイコン表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。…… 【0232】 ステップS1303´では、変動アイコン抽選処理を行う。変動アイコン抽選処理では、例えば、後述する変動アイコン表示態様抽選用テーブル(図30)を参照して、開始された特図変動遊技に対応する保留アイコンの変動開始直前(保留消化直前)の表示グループ(保留アイコンの変動開始直前の表示態様が白、青、赤のいずれかであれば「球系」、箱または千両箱であれば「箱系」)、開始された特図変動遊技に対応する変動タイマ、および変動アイコン表示態様抽選用乱数値に基づき、開始された特図変動遊技についての変動アイコンの表示態様を抽選で決定する。本例の変動アイコンの表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「金」、「煙」、「酒」、「刀」、「家紋」がある。……」 c 「【0258】 本例の保留アイコンの表示態様は、球系の保留アイコン表示グループでは信頼度(大当り信頼度)の高い方から「赤」、「青」、「白」となっており、箱系の保留アイコン表示グループでは信頼度の高い方から「千両箱」、「箱」となっている。図23~図26に示す保留アイコン表示態様抽選テーブルでは、当り時に選択されるタイマグループ3、5、7の方が、はずれ時に選択されるタイマグループ1、2、4、6よりも信頼度の高い表示態様が選択され易く、また、信頼度の高い表示態様に変化し易くなっている。 …… 【0260】 図30は、変動アイコン表示制御処理の変動アイコン抽選処理(ステップS1303´)で用いられる変動アイコン表示態様抽選用テーブルの一例を示している。図30に示す変動アイコン表示態様抽選用テーブルでは、開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様(保留アイコン表示グループ)と、当該特図変動遊技の変動タイマと、変動アイコン表示態様抽選用乱数値とに基づいて、当該変動アイコンの表示態様が決定される。変動アイコン表示態様抽選用乱数値は、RAM508´に設けられた乱数カウンタから取得される。本例の変動アイコン表示態様抽選用乱数値のとり得る範囲は0~99(数値範囲の幅は100)である。 …… 【0262】 また例えば、開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様が箱(保留アイコン表示グループが箱系)であり、当該特図変動遊技の変動タイマがタイマ14である場合、当該変動アイコンの表示態様は、2%の確率(乱数範囲0~1)で「煙」(例えば、空箱であることを示唆するために箱の中から煙が出てくる態様)が選択され、33%の確率(乱数範囲2~34)で「酒」(例えば、箱の中から酒が出てくる態様)が選択され、30%の確率(乱数範囲35~64)で「刀」(例えば、箱の中から刀が出てくる態様)が選択され、35%の確率(乱数範囲65~99)で「家紋」(例えば、箱の中から家紋が出てくる態様)が選択される。…… 【0263】 球系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は、信頼度の高い方から「金」、「赤」、「青」、「白」となっている。箱系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は、信頼度の高い方から「家紋」、「刀」、「酒」、「煙」となっている。……」 d 「【0850】 <変動アイコンと保留アイコンの表示例1> 【0851】 次に、他の実施形態に係るパチンコ機の変動アイコンと保留アイコンの表示例について説明する。図145は、変動アイコンと保留アイコンの表示例1を示した図である。 【0852】 他の実施形態に係るパチンコ機は、装飾図柄表示装置208に、装飾図柄を表示するための図柄表示領域のほかに、変動アイコンを表示するための特図変動中表示領域208s0と、保留アイコン1を表示するための第1特図保留表示領域208s1と、保留アイコン2を表示するための第2特図保留表示領域208s2と、保留アイコン3を表示するための第3特図保留表示領域208s3と、保留アイコン4を表示するための第4特図保留表示領域208s4を配置している。 …… 【0861】 続いて、同図(i)~(l)に示すように、主制御部300は、第1特図表示装置212において、同図(b)の入賞時における保留2に対応する特図1の変動表示を行い、第1副制御部400は、図柄表示領域において装飾図柄の変動表示を行い、特図1変動遊技の保留数が1から0に減少したため、第1特図保留表示領域208s1に表示していた「千両箱」の保留アイコン1を特図変動中表示領域208s0の方向に移動させる表示を行い、所定のタイミングで、当該「千両箱」を変動アイコン抽選で選択した「家紋」に変化させて、当該「家紋」を特図変動中表示領域208s0に表示する。」 e 「【図30】 [図:0001437439000001.jpg] 」 f 「【図145】 [図:0001437439000002.jpg] 」 (イ)認定事項 a 認定事項1 甲1における【0861】、【図145】(j)~(l)の記載から、以下の事項が示されているといえる。 「すべての装飾図柄が変動表示を行っている間に、千両箱が表示されている特図変動中表示領域208s0の上方から特図変動中表示領域208s0の位置まで家紋が下降することで、特図変動中表示領域208s0の表示を千両箱から家紋に変化させること。」(以下「認定事項1」という。) (ウ)甲1発明 以上のことから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。なお、引用箇所の段落番号等を併記し、また、本件発明特定事項A等に概ね対応させたa等を含む符号を付した。 「a パチンコ機であって(【0060】)、 特図1始動口230´に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され、特図1変動遊技が開始されると、特図1の変動表示を行い(【0060】)、 特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1表示装置212´は特図1の停止図柄態様を停止表示し、以下、この特図1を開始してから特図1の停止図柄態様を停止表示するまでの一連の表示を図柄変動停止表示と称し(【0061】)、 特図1の図柄変動停止表示における停止図柄態様として特図A~特図Eの5種類の特図があり、特図Aは15ラウンド(15R)特別大当り図柄であり、特図Bは15R大当り図柄であり、15R特別大当り図柄である特図Aは、特図高確率普図高確率状態であり、15R大当り図柄である特図Bは、特図低確率普図高確率状態であり、これらの特図Aおよび特図Bは、遊技者に対する有利度が相対的に大きくなる図柄であり(【0062】)、 特図Eははずれ図柄であり、遊技者に対する有利度が相対的に小さくなる図柄であり(【0064】)、 dア,f,g 変動アイコン抽選処理では、変動アイコン表示態様抽選用テーブルを参照して、開始された特図変動遊技に対応する保留アイコンの変動開始直前(保留消化直前)の表示グループ(保留アイコンの変動開始直前の表示態様が白、青、赤のいずれかであれば「球系」、箱または千両箱であれば「箱系」)、開始された特図変動遊技に対応する変動タイマ、および変動アイコン表示態様抽選用乱数値に基づき、開始された特図変動遊技についての変動アイコンの表示態様を抽選で決定し、変動アイコンの表示態様には、白、青、赤、金、煙、酒、刀、家紋があり(【0232】)、 保留アイコンの表示態様は、球系の保留アイコン表示グループでは信頼度(大当り信頼度)の高い方から赤、青、白となっており、箱系の保留アイコン表示グループでは信頼度の高い方から千両箱、箱となっており(【0258】)、 変動アイコン表示制御処理の変動アイコン抽選処理において、開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様(保留アイコン表示グループ)と、当該特図変動遊技の変動タイマと、変動アイコン表示態様抽選用乱数値とに基づいて、当該変動アイコンの表示態様が決定され(【0260】)、 例えば、開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様が箱(保留アイコン表示グループが箱系)であり、当該特図変動遊技の変動タイマがタイマ14である場合、当該変動アイコンの表示態様は、2%の確率(乱数範囲0~1)で煙(例えば、空箱であることを示唆するために箱の中から煙が出てくる態様)が選択され、33%の確率(乱数範囲2~34)で酒(例えば、箱の中から酒が出てくる態様)が選択され、30%の確率(乱数範囲35~64)で刀(例えば、箱の中から刀が出てくる態様)が選択され、35%の確率(乱数範囲65~99)で家紋(例えば、箱の中から家紋が出てくる態様)が選択され(【0262】)、 球系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は、信頼度の高い方から金、赤、青、白となっており、箱系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は、信頼度の高い方から家紋、刀、酒、煙となっており(【0263】)、 c 装飾図柄表示装置208に、装飾図柄を表示するための図柄表示領域のほかに、変動アイコンを表示するための特図変動中表示領域208s0と、保留アイコン1を表示するための第1特図保留表示領域208s1と、保留アイコン2を表示するための第2特図保留表示領域208s2と、保留アイコン3を表示するための第3特図保留表示領域208s3と、保留アイコン4を表示するための第4特図保留表示領域208s4を配置しており(【0852】)、 dイ,eア 第1副制御部400は、図柄表示領域において装飾図柄の変動表示を行い、特図1変動遊技の保留数が1から0に減少したため、第1特図保留表示領域208s1に表示していた千両箱の保留アイコン1を特図変動中表示領域208s0の方向に移動させる表示を行い、所定のタイミングで、当該千両箱を変動アイコン抽選で選択した家紋に変化させて、当該家紋を特図変動中表示領域208s0に表示し(【0861】)、 dウ,eイ すべての装飾図柄が変動表示を行っている間に、千両箱が表示されている特図変動中表示領域208s0の上方から特図変動中表示領域208s0の位置まで家紋が下降することで、特図変動中表示領域208s0の表示を千両箱から家紋に変化させる(認定事項1)、 i パチンコ機(【0060】)。」 イ 甲2について (ア)記載事項 甲2には、次の事項が記載されている。 a 「【0121】 主制御装置80の設定情報記憶手段211は、遊技特性を規定した複数の設定情報601~606を記憶する。設定情報601~606は、抽選手段216による抽選に当選する確率(通常遊技状態における大当り確率)を示す設定値をそれぞれ遊技特性として規定する。設定情報601~606は、設定1から設定6までの6段階の各設定値を規定する。設定情報601~606に規定されている各設定値は次の通りである。 設定情報601の設定値:設定1の大当り確率「1/330」 設定情報602の設定値:設定2の大当り確率「1/320」 設定情報603の設定値:設定3の大当り確率「1/310」 設定情報604の設定値:設定4の大当り確率「1/300」 設定情報605の設定値:設定5の大当り確率「1/290」 設定情報606の設定値:設定6の大当り確率「1/270」 …… 【0124】 主制御装置80の確率設定手段214は、抽選手段216による抽選に当選する確率が異なる複数の設定値のうちのいずれか1つの設定値を、パチンコ機50の管理者の操作に基づいて設定する。本実施形態では、確率設定手段214は、設定情報記憶手段211に記憶されている設定情報601~606のうち、設定受付手段212によって受け付けられた設定番号に応じた設定情報の設定値(大当たり確率)を、抽選手段216に対して設定する。」 b 「【0127】 主制御装置80の設定示唆手段230は、複数の設定値のうち確率設定手段214によって設定されている設定値を示唆する設定示唆演出を、通常遊技状態において実行する。設定示唆手段230は、有利遊技状態が終了してから通常遊技状態において継続する特定期間SPにおいて、通常遊技状態のうち特定期間とは異なる通常期間NPと比較して高い頻度で設定示唆演出を実行する。 …… 【0133】 図17(a)は、演出図柄表示装置6において設定示唆演出S1を実行する画面510aの一例を示す。設定示唆演出S1の示唆内容は、奇数設定の可能性、すなわち、設定1、設定3、設定5のいずれかの設定値であることを示唆する内容である。設定示唆演出S1の演出内容は、3つの演出図柄501a,501b,501cの変動表示中に1人の人物を示す演出画像515aを表示する内容である。設定示唆演出S1の出現率は、奇数設定である設定1、設定3、設定5でそれぞれ70%であり、偶数設定である設定2、設定4、設定6でそれぞれ10%である。」 c 「【図17】 [図:0001437439000003.jpg] 」 ウ 甲3について (ア)記載事項 甲3には、次の事項が記載されている。 a 「【0175】 本例では、遊技者にとって有利度が異なる(本例では、大当り確率が異なる)複数の設定値のうちいずれかの設定値に設定可能に構成されており、パチンコ遊技機1への電源投入時に設定確認処理や設定変更処理を実行し、現在の設定値を確認したり設定値を変更したりすることが可能である。また、図8-4に示すように、本例では、設定値「1」~「6」の6段階に設定変更可能に構成する場合が示されている。……」 b 「【0397】 救済時設定示唆演出とは、画像表示装置5において、救済時短突入演出を実行するときに実行される設定値の示唆演出である。」 c 「【0429】 (演出例) 次に、救済時短である時短状態Cに移行するときの救済時短突入演出および救済時設定示唆演出の演出態様の具体例について説明する。図8-36~図8-37は、時短状態に移行するまでの演出態様の具体例を説明するための説明図である。なお、図8-36~図8-37において、(A)(B)(C)・・・(G)の順に演出画面が遷移する。 …… 【0433】 そして、図8-36(D)に示すように、操作示唆画像120IW106が表示されたときにプッシュボタン31Bが操作されるか、または、操作示唆画像120IW106の表示から所定時間が経過すると、「V STOCK×1」という文字表示120IW107が表示され、救済時短が開始することが報知される。また、右打ちを指示する右打ち指示表示120IW108が小図柄120IW101の隣に表示される。さらに、救済時設定示唆演出の実行が決定されている場合には、救済時設定示唆演出が実行され、画面右下には、設定値を示唆する設定値示唆表示120IW200が表示される。これにより、設定値が設定「4」~「6」のいずれかであることが示唆される。」 d 「【図8-36】 [図:0001437439000004.jpg] 」 (2)対比 ア 本件発明特定事項Aについて 甲1発明の「パチンコ機」、「図柄変動停止表示」は、それぞれ、本件特許発明の「遊技機」、「可変表示」に相当する。 また、甲1発明では、「特図1の図柄変動停止表示における停止図柄態様として特図A~特図Eの5種類の特図があ」るところ、「特図Aおよび特図Bは、遊技者に対する有利度が相対的に大きくなる図柄であり、特図Eははずれ図柄であり、遊技者に対する有利度が相対的に小さくなる図柄であ」るから、甲1発明の「パチンコ機」は、本件特許発明の「遊技機」と同様に、「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」であるといえる。 よって、甲1発明は、本件発明特定事項Aに相当する構成を有する。 イ 本件発明特定事項Cについて 甲1発明の「変動アイコン」、「保留アイコン1」、「保留アイコン2」、「保留アイコン3」及び「保留アイコン4」は、本件特許発明の「可変表示に対応する対応表示」に相当する。 また、甲1発明の「変動アイコンを表示するための特図変動中表示領域208s0と、保留アイコン1を表示するための第1特図保留表示領域208s1と、保留アイコン2を表示するための第2特図保留表示領域208s2と、保留アイコン3を表示するための第3特図保留表示領域208s3と、保留アイコン4を表示するための第4特図保留表示領域208s4を配置して」いる「装飾図柄表示装置208」は、本件特許発明の「可変表示に対応する対応表示を表示可能な対応表示手段」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明特定事項Cに相当する構成を有する。 ウ 本件発明特定事項Dについて 甲1発明の「保留アイコンの表示態様」における「千両箱」、「変動アイコンの表示態様」における「家紋」は、いずれも、本件特許発明の「前記対応表示の表示態様」に相当する。また、甲1発明の「千両箱」は、本件特許発明の「前記対応表示の表示態様」における「第1態様」に相当し、甲1発明の「家紋」は、本件特許発明の「前記対応表示の表示態様」における「第2態様」に相当する。 また、甲1発明では、「第1副制御部400は、図柄表示領域において装飾図柄の変動表示を行い、特図1変動遊技の保留数が1から0に減少したため、第1特図保留表示領域208s1に表示していた千両箱の保留アイコン1を特図変動中表示領域208s0の方向に移動させる表示を行い、所定のタイミングで、当該千両箱を変動アイコン抽選で選択した家紋に変化させて、当該家紋を特図変動中表示領域208s0に表示」するから、甲1発明「第1副制御部400」は、本件特許発明の「変化演出実行手段」と同様に、「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、」「第2態様に変化させる変化演出を」「実行可能」であるといえる。ここで、甲1発明では、「すべての装飾図柄が変動表示を行っている間に特図変動中表示領域208s0に表示された千両箱を家紋に変化させる」ところ、「すべての装飾図柄が変動表示を行っている間」は「リーチ演出」が実行されていないことが明らかであるから「リーチ演出」が実行される前の状態が含まれることを踏まえると、甲1発明は本件特許発明と同様に、「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、」「第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な変化演出実行手段」を備えるといえる。 よって、甲1発明は本件特許発明と、「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、」「第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な変化演出実行手段」を備える点で共通する。 エ 本件発明特定事項E、Gについて 上記1(2)イで述べたように、本件特許発明の「履歴示唆演出」は、「前記変化演出実行手段によって前記変化演出が実行され」たことで「前記対応表示が前記第2態様で表示されている」ときに、「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」される前における「前記対応表示の表示態様」(「第1態様」)を示唆する演出であると理解できる。 これに対し、甲1発明では、「千両箱が表示されている特図変動中表示領域208s0の上方から特図変動中表示領域208s0の位置まで家紋が下降することで、特図変動中表示領域208s0の表示を千両箱から家紋に変化させる」から、甲1発明は、「特図変動中表示領域208s0の表示を千両箱から家紋に変化させる」前に、「千両箱が表示されている特図変動中表示領域208s0の上方から特図変動中表示領域208s0の位置まで家紋が下降することで」、「千両箱」が「家紋」に変化することを予告する演出(すなわち、将来の変化を知らせる演出)を行うものであり、「前記対応表示が前記第2態様で表示されている」ときに、「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」される前における「前記対応表示の表示態様」(「第1態様」)を示唆する演出(すなわち、過去の変化を知らせる演出)を行うものであるとはいえない。 よって、甲1発明は、本件発明特定事項E「前記変化演出実行手段によって前記変化演出が実行されて前記対応表示が前記第2態様で表示されているときに、変化前の前記第1態様に対応した履歴示唆演出を実行可能な履歴示唆演出実行手段」に相当する構成を有するとはいえず、また、本件発明特定事項Eと共通する構成を有するともいえない。 さらに、甲1発明は、「履歴示唆演出実行手段」に関する本件特許発明特定事項G「前記履歴示唆演出実行手段は、リーチ演出が実行されるまでの期間において前記履歴示唆演出を実行可能であり、前記変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能であり、前記対応表示の表示態様が第2態様で表示されているときに前記履歴示唆演出を終了することが可能であ」ることに相当する構成を有するとはいえず、また、本件発明特定事項Gと共通する構成を有するともいえない。 オ 本件発明特定事項Iについて 甲1発明の「パチンコ機」は、本件特許発明の「遊技機」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明特定事項Iに相当する構成を有する。 カ 一致点・相違点 以上のことから、本件特許発明と甲1発明とは、 「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 C 可変表示に対応する対応表示を表示可能な対応表示手段と、 D’前記対応表示の表示態様を、第1態様から、第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な変化演出実行手段と、を備える、 I 遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1(本件発明特定事項B、H)> 本件特許発明では、「遊技者にとって有利度が異なる複数の設定値を設定可能な設定手段」を備え、かつ、「前記設定手段により設定された設定値に対応して演出を実行可能である」のに対し、 甲1発明は、そのように構成されていない点。 <相違点2(本件発明特定事項D)> 本件特許発明と甲1発明は、「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、」「第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な変化演出実行手段」を備える点で共通するものの、 本件特許発明では、「第2態様」が「第1態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い」のに対し、 甲1発明では、「家紋」が「千両箱」よりも「前記有利状態に制御される期待度が高い」か否かが明らかでない点。 <相違点3(本件発明特定事項E、G)> 本件特許発明は、「前記変化演出実行手段によって前記変化演出が実行されて前記対応表示が前記第2態様で表示されているときに、変化前の前記第1態様に対応した履歴示唆演出を実行可能な履歴示唆演出実行手段」を備え、かつ、「前記履歴示唆演出実行手段は、リーチ演出が実行されるまでの期間において前記履歴示唆演出を実行可能であり、前記変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能であり、前記対応表示の表示態様が第2態様で表示されているときに前記履歴示唆演出を終了することが可能であ」るのに対し、 甲1発明は、そのように構成されていない点。 <相違点4(本件発明特定事項F)> 本件特許発明と甲1発明とは、変化演出を実行可能な変化演出実行手段を備える点で共通するものの、 本件特許発明では、「前記変化演出実行手段は、前記変化演出として第1変化演出と該第1変化演出とは異なる第2変化演出とを実行可能であ」るのに対し、 甲1発明では、そのように構成されているか否かが明らかでない点。 (3)判断 ア 相違点3について 事案に鑑み、相違点3について検討する。 (ア)相違点3についての当審の判断 上記(2)エで述べたように、甲1発明は、相違点3に係る本件特許発明の構成を有しない。 そして、申立人は、相違点3に係る本件特許発明の構成を開示ないし示唆する証拠を提出しておらず、当審も、相違点3に係る本件特許発明の構成を開示ないし示唆する刊行物等を発見しない。 また、本件特許発明は、相違点3に係る本件特許発明の構成を有することにより、本件特許明細書の【0314】に記載された「対応表示となるアクティブ表示の表示態様が変化した場合に、変化前の表示態様を認識可能になり、遊技興趣を向上させることができる」等の効果を奏すると認められる。 したがって、相違点3に係る本件特許発明の構成をなすことは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 (イ)申立人の主張について 申立人は、本件特許明細書には、「履歴」の定義がなされておらず、「履歴示唆演出」なる文言と「示唆演出」なる文言とで特段の差異は見受けられないから、本件特許発明における「履歴」なる文言は任意の事項として解釈し、本件特許発明における「履歴示唆演出」を、「任意の示唆演出」と解釈したうえで、本件特許発明と甲1発明とを対比している(申立書第9頁参照)。 しかしながら、上記1(2)イで述べたように、本件特許発明の「履歴示唆演出」は、「前記変化演出実行手段によって前記変化演出が実行され」たことで「前記対応表示が前記第2態様で表示されている」ときに、「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」される前における「前記対応表示の表示態様」(「第1態様」)を示唆する演出であると理解できるから、申立人の主張は採用できない。 また、申立人は、申立書の第24頁~第26頁において、甲1発明の「第1副制御部400」が、「千両箱」並びに「家紋」の表示にかかる演出を行う構成であるから、本件特許発明の「履歴示唆演出実行手段」に相当することは明らかであると主張する。 しかしながら、上記(2)エで述べたように、甲1発明は、「特図変動中表示領域208s0の表示を千両箱から家紋に変化させる」前に、「千両箱が表示されている特図変動中表示領域208s0の上方から特図変動中表示領域208s0の位置まで家紋が下降することで」、「千両箱」が「家紋」に変化することを予告する演出(すなわち、将来の変化を知らせる演出)であり、「前記対応表示が前記第2態様で表示されている」ときに、「変化演出実行手段」によって「変化演出」が「実行」される前における「前記対応表示の表示態様」(「第1態様」)を示唆する演出(すなわち、過去の変化を知らせる演出)に相当するとはいえない。よって、申立人の主張は採用できない。 イ 小括 以上のとおり、相違点3に係る本件特許発明の構成をなすことは、当業者が容易になし得たことであるとはいえないから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては取り消すことができない。 また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700262

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