特許異議申立
2024-700239
遊技機
- 審判番号
- 2024-700239
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-143556
- 登録番号
- 7362571
- 請求日
- 2024年03月13日
- 審決日
- 2024年10月23日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 蔵野 いづみ
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 分類
- P1651.851-YAA(A63F) / P1651.853-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F) / P1651.113-YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7362571号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7362571号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第7362571号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7362571号(以下「本件特許」という。)に係る特許についての出願は、令和2年8月27日に出願され、令和5年10月6日にその特許権の設定登録がされ、同月17日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 3月13日 特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会 社(以下「申立人」という。)による請求項 1に係る特許に対する特許異議の申立て
同年 6月18日付け 取消理由通知書
同年 7月30日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 9月11日 意見書の提出(申立人)
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和6年7月30日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、「特許第7362571号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める。」というものであり、その内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「第1特殊画像と、第2特殊画像と、文字画像とを表示可能な画像表示手段を備え、」
とあるのを、
「第1特殊画像と、第2特殊画像と、文字画像とを表示可能な画像表示装置を備え、」
に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「前記画像表示手段は、」とあるのを、
「前記画像表示装置は、」に訂正する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に
「前記文字画像を拡大表示する前に前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し、」とあるのを、
「前記文字画像を拡大表示する前に該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し、」に訂正する。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に
「前記文字画像を拡大表示するとき、前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示し、」とあるのを、
「前記文字画像を拡大表示するとき、該文字画像を拡大表示するタイミングにおいて前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示し、」に訂正する。
(5) 訂正事項5
願書に添付した明細書(以下、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面を「本件明細書等」という。)の【0011】に
「本発明による遊技機は、遊技を実行可能な遊技機であって、
第1特殊画像(例えば、付加クリスタル(第1破片画像))と、第2特殊画像(例えば、飛散クリスタル(第2破片画像))と、文字画像とを表示可能な画像表示手段を備え、
前記画像表示手段は、
前記文字画像を拡大表示する前に前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し、
前記文字画像を拡大表示した後、該文字画像を縮小して特定位置(例えば、画像表示装置5の表示領域の略中央)に表示し、
前記文字画像を拡大表示するとき(特定画像を拡大表示する拡大タイミングであってもよいし、該拡大タイミングに関連づいたタイミングであれば、該拡大タイミングの前後所定期間中のタイミングであってもよい)、前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表 示し(図8-4(11)(12)参照)、
前記文字画像は、該文字画像の種類によって、遊技者にとって有利な有利状態に制御される割合が異なる、
ことを特徴とする。
・・・」とあるのを、
「本発明による遊技機は、遊技を実行可能な遊技機であって、
第1特殊画像(例えば、付加クリスタル(第1破片画像))と、第2特殊画像(例えば、飛散クリスタル(第2破片画像))と、文字画像とを表示可能な画像表示装置を備え、
前記画像表示装置は、
前記文字画像を拡大表示する前に該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し、
前記文字画像を拡大表示した後、該文字画像を縮小して特定位置(例えば、画像表示装置5の表示領域の略中央)に表示し、
前記文字画像を拡大表示するとき、該文字画像を拡大表示するタイミング(特定画像を拡大表示する拡大タイミング)において前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示し(図8-4(11)(12)参照)、
前記文字画像は、該文字画像の種類によって、遊技者にとって有利な有利状態に制御される割合が異なる、
ことを特徴とする。
・・・」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正前の請求項1に記載された「画像表示手段」について、発明の詳細な説明における「画像表示装置5」を意味しているのか、「演出制御CPU120」を意味しているのか、または、それら以外のものを意味しているのか、不明瞭であった。
訂正事項1に係る訂正は、「第1特殊画像と、第2特殊画像と、文字画像とを表示可能な画像表示手段を備え、」という記載を、「第1特殊画像と、第2特殊画像と、文字画像とを表示可能な画像表示装置を備え、」にするものであって、訂正事項1により、訂正前の「画像表示手段」が「画像表示装置」であることを明瞭にするものといえ、本件明細書等の【0018】の「遊技盤2における遊技領域の中央付近には画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)や有機EL(Electro Luminescence)等から構成され、各種の演出画像を表示する。画像表示装置5は、プロジェクタ及びスクリーンから構成されていてもよい。画像表示装置5には、各種の演出画像が表示される。」との記載とも整合する。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項1に係る訂正は、上記アで検討した【0018】の記載に基づくものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおり、訂正前の「画像表示手段」との記載では、発明の詳細な説明における「画像表示装置5」を意味しているのか、「演出制御CPU120」を意味しているのか、または、それら以外のものを意味しているのか、不明瞭であったものを、「画像表示手段」が「画像表示装置」であることを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2に係る訂正は、「前記画像表示手段は、」という記載を、「前記画像表示装置は、」にするものであるから、上記(1)アと同様に、訂正前の「画像表示手段」が「画像表示装置」であることを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)イと同様に、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、上記(1)ウと同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(3) 訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正前の請求項1に記載された「前記文字画像を拡大表示する前に前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し」は、何を「第1特殊画像によって装飾する態様にて表示」するのか不明瞭であった。
訂正事項3に係る訂正は、「前記文字画像を拡大表示する前に前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し、」という記載を、「前記文字画像を拡大表示する前に該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し、」にするものであって、訂正事項3により、「該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示」することを明瞭にするものといえ、本件明細書等の【0210】の「以上に説明したように、本特徴部028IWには、以下に示す発明が含まれている。」との記載、【0212】の「(手段028-1)遊技を実行可能な遊技機であって、複数の文字により構成される文字情報(例えば、「一発逆転」、「勇猛果敢」)が付された特定画像(例えば、特定アイコン画像)を表示可能な画像表示手段(例えば、画像表示装置5)を備え、」との記載、及び【0251】の「(手段028-18)画像表示手段は、第1破片画像(例えば、付加クリスタル)が装飾された特定画像を表示し、特定画像を拡大表示した後、該特定画像を縮小して特定位置(例えば、画像表示装置5の表示領域の略中央)に表示し(図8-4(12)(13)参照)、特定画像を拡大表示するとき(特定画像を拡大表示する拡大タイミングであってもよいし、該拡大タイミングに関連づいたタイミングであれば、該拡大タイミングの前後所定期間中のタイミングであってもよい)、第2破片画像(例えば、飛散クリスタル)を飛散する態様にて表示する(図8-4(11)(12)参照)こととしてもよい。」との記載とも整合する。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項3に係る訂正は、上記アで検討した【0210】、【0212】及び【0251】の記載に基づくものであるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3に係る訂正は、上記アのとおり、訂正前の「前記文字画像を拡大表示する前に前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し」との記載では、何を「第1特殊画像によって装飾する態様にて表示」するのか不明瞭であったものを、「該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示」することを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(4) 訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4に係る訂正は、「前記文字画像を拡大表示するとき、前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示し、」との記載を、「前記文字画像を拡大表示するとき、該文字画像を拡大表示するタイミングにおいて前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示し、」にするものであって、訂正事項4により、「前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示」するタイミングが、「該文字画像を拡大表示するタイミング」であることを特定して限定するものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項
訂正事項4に係る訂正は、上記(3)アに記載した、本件明細書等の【0210】、【0212】及び【0251】の記載に基づくものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項4は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(5) 訂正事項5について
訂正事項5に係る訂正は、訂正事項1~4の訂正による特許請求の範囲の訂正に伴い、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるために行う明細書についての訂正である。
そうすると、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、上記(1)~(4)の検討をふまえると、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
よって、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
3 独立特許要件について
本件訂正においては、訂正前の請求項1が特許異議の申立ての対象とされているので、上記2(4)アのとおり請求項1について特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1に係る発明には、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
4 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 訂正後の特許発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1に係る発明は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下「本件発明」という。「A」等は、当審で付した。以下「A」等が付された事項を「特定事項A」等という。)。
「【請求項1】
A 遊技を実行可能な遊技機であって、
B 第1特殊画像と、第2特殊画像と、文字画像とを表示可能な画像表示装置を備え、
C 前記画像表示装置は、
前記文字画像を拡大表示する前に該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し、
前記文字画像を拡大表示した後、該文字画像を縮小して特定位置に表示し、
前記文字画像を拡大表示するとき、該文字画像を拡大表示するタイミングにおいて前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示し、
D 前記文字画像は、該文字画像の種類によって、遊技者にとって有利な有利状態に制御される割合が異なる、
E ことを特徴とする遊技機。」
第4 特許異議申立理由の概要、証拠方法及び取消理由通知において通知した取消理由の概要
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、概ね以下の申立理由を主張するとともに、証拠方法として下記2に示す各甲号証を提出している。
(1) 申立理由1(進歩性欠如)
本件発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証、及び周知技術(甲第2号証、甲第3号証)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2) 申立理由2(明確性違反)
本件発明に係る特許は、特許請求の範囲の記載が発明を特定できる程度に明確ではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
2 証拠方法
(1) 甲第1号証:特許第6214868号公報
(2) 甲第2号証:特許第5070495号公報
(3) 甲第3号証:特許第5863758号公報
(以下「甲第1号証」等を「甲1」等という。)
3 取消理由通知において通知した取消理由の概要
当審において、令和6年6月18日付け取消理由通知(以下、単に「取消理由通知」という。)により特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
取消理由1(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
取消理由2(新規性)請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
・引用文献等 甲1
取消理由3(進歩性)請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
・引用文献等 甲1
第5 証拠について
1 甲1
(1) 記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
「【0052】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また、図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば、遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照しつつ遊技機の全体構成について説明する。」
「【0085】
〔遊技盤ユニットのその他の構成:図3を参照〕
演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤ユニット8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また、演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤ユニット8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。」
「【0103】
また、パチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124(演出制御用コンピュータ)を備えている。この演出制御装置124(上位側演出制御装置)は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。なお、演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
・・・
【0111】
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46~53等やスピーカ54,55,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。」
「【0416】
〔演出画像の例〕
次に、パチンコ機1において実際に液晶表示器42に表示される演出画像について、いくつかの例を挙げて説明する。以上のように、パチンコ機1において大当りの内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(変動時間)を決定し、第1特別図柄や第2特別図柄による変動表示が行われる(図柄表示手段)。ただし、上記のように第1特別図柄や第2特別図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、上記のように演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
・・・
【0450】
〔大役中演出〕
図35~図38は、「10ラウンド通常図柄1,2,3」、「10ラウンド確変図柄1~7」、「16ラウンド確変1~5」のいずれかに該当した場合の大当り遊技中に実行される大役中演出の例を部分的に示す連続図である。
・・・
【0454】
〔打上げチャレンジ演出〕
図35中(C):仮の最終ラウンドが終了すると、この後は打上げチャレンジ演出が実行される。打上げチャレンジ演出は、高確率時間短縮状態の花火モードに移行するか、非時間短縮状態である忍耐モードに移行するかを決定するための演出である。図示の例では、中央に表示された女性キャラクターが「花火の打上げに成功すると」という台詞を発する演出が実行されている。
・・・
【0457】
図36中(F):次に、打上げ筒に接続された点火ボタンが大きく表示され、女性キャラクターがその点火ボタンを押下する演出が実行される。
【0458】
図37中(G):そうすると、花火玉に火が着火し、打上げ筒から勢いよく花火玉が発射される演出が実行される。
【0459】
図37中(H):打上げ筒から放出された花火玉は、下方に軌跡を残しながら、上空に向かって進んでいく。
【0460】
図37中(I):そして、全体の背景画像が小さく表示されることにより、街の風景が画面下部に出現し、花火玉が夜空に高く上昇していく演出が実行される。
・・・
【0462】
〔成功演出〕
図38中(K):「10ラウンド確変図柄4~7」、「16ラウンド確変図柄2,4,5」の大当りに該当している場合、成功演出が実行される。具体的には、演出切替ボタン45の押下を契機として、夜空に放出された花火が無事に燃焼して、花火の打上げに成功する演出が実行される。また、画面の下部には打上げの成功を祝福する「Congraturation」の文字情報が表示されている。
【0463】
〔大役終了時〕
図38中(L):大当り遊技が終了するタイミングにおいて、この後に移行する内部状態を教示する内容の大役終了演出が実行される。図示の例では、画面内に「花火モード突入!」という文字情報が表示されている。このような大役終了演出を実行することにより、大当り遊技終了後の特典として、高確率時間短縮状態である花火モードに移行することを遊技者に教示することができる。
【0464】
〔失敗演出〕
図38中(M):一方、「10ラウンド通常図柄1,2,3」、「10ラウンド確変図柄1~3」、「16ラウンド確変図柄1,3」の大当りに該当している場合、失敗演出が実行される。具体的には、遊技者が演出切替ボタン45の押下を実行しても、夜空に放出された花火が燃焼することはなく、花火の打上げに失敗する演出が実行される。また、画面の下部には打上げに失敗に対応させて「失敗・・・」の文字情報が表示されている。
【0465】
〔大役終了時〕
図38中(N):大当り遊技が終了するタイミングにおいて、この後に移行する内部状態を教示する内容の大役終了演出が実行される。図示の例では、画面内に「忍耐モード突入!」という文字情報が表示されている。このような大役終了演出を実行することにより、大当り遊技終了後の特典として、低確率又は高確率の非時間短縮状態である忍耐モードに移行することを遊技者に教示することができる。
【0466】
〔花火モードの演出例〕
図39は、花火モードの演出例を示す連続図である。この花火モードは、例えば非時間短縮状態にて「10ラウンド確変図柄4~7」、「16ラウンド確変図柄2,4,5」の大当りに該当した場合の大役遊技後に移行されるモードであり、「高確率状態」かつ「時間短縮状態」に該当する。以下、演出の流れについて順を追って説明する。
【0467】
図39中(A):例えば、大当り遊技終了後から1回目の変動表示が行われることで、「花火モード」の状態で演出図柄の変動表示が行われている。花火モードの背景画像は、遊技者に対して花火のモチーフを深く印象付けるために、「夜空に花火が打ち上げられる情景」とともに「女性キャラクターが花火を観賞している様子」が表現された背景画像となっている。また、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1が変動表示されている。
・・・
【0470】
〔忍耐モードの演出例〕
図40は、忍耐モードの演出例を示す連続図である。なお、忍耐モードは、例えば非時間短縮状態にて「10ラウンド通常図柄1,2,3」、「10ラウンド確変図柄1~3」、「16ラウンド確変図柄1,3」に該当した場合の大当り遊技後に移行されるモードである。「10ラウンド通常図柄1,2,3」に該当して忍耐モードに移行された場合は低確率非時間短縮状態となり、「10ラウンド確変図柄1~3」、「16ラウンド確変図柄1,3」に該当して忍耐モードに移行された場合は高確率非時間短縮状態(いわゆる潜伏確変状態)となる。以下、演出の流れについて順を追って説明する。
【0471】
図40中(A):例えば、大当り遊技終了後から1回目の変動表示が行われることで、「忍耐モード」の状態で演出図柄の変動表示が行われている。忍耐モードの背景画像は、忍耐や修行、特訓といった情景を深く印象付けるために、空手着を着用した女性キャラクターが表示されている。また、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1が変動表示されている。」
「【図35】
[図:0001418241000001.jpg]
」
「【図36】
[図:0001418241000002.jpg]
」
「【図37】
[図:0001418241000003.jpg]
」
「【図38】
[図:0001418241000004.jpg]
」
「【図39】
[図:0001418241000005.jpg]
」
「【図40】
[図:0001418241000006.jpg]
」
(2) 認定事項
ア 【0462】には、「図38中(K):・・・夜空に放出された花火が無事に燃焼して、花火の打上げに成功する演出が実行される。」と記載され、図38(K)から、打上げに成功した花火と、その周囲に複数の火花が散る様子が表示されていることが見て取れる。
以上のことから、甲1には、「夜空に放出された花火が無事に燃焼して、花火の打上げに成功する演出が実行され、打上げに成功した花火と、その周囲に複数の火花が散る様子が表示されること」が記載されていると認められる(以下「認定事項ア」という。)。
イ 【0464】には、「図38中(M):・・・夜空に放出された花火が燃焼することはなく、花火の打上げに失敗する演出が実行される。」と記載され、図38(M)から、複数の火花が散る様子が表示されていることが見て取れる。
以上のことから、甲1には、「夜空に放出された花火が燃焼することはなく、花火の打上げに失敗する演出が実行され、複数の火花が散る様子が表示されること」が記載されていると認められる(以下「認定事項イ」という。)。
ウ 【0466】には、「図39は、花火モードの演出例を示す連続図である。」と記載され、図39(A)から、画面内の右下に「花火モード」の文字が表示されていることが見て取れる。
以上のことから、甲1には、「花火モードの演出では、画面内の右下に「花火モード」の文字が表示されること」が記載されていると認められる(以下「認定事項ウ」という。)。
エ 【0470】には、「図40は、忍耐モードの演出例を示す連続図である。」と記載され、図40(A)から、画面内の左下に「忍耐モード」の文字が表示されていることが見て取れる。
以上のことから、甲1には、「忍耐モードの演出では、画面内の左下に「忍耐モード」の文字が表示されること」が記載されていると認められる(以下「認定事項エ」という。)。
オ 図38(L)の「「花火モード突入!」という文字情報」の「表示」(【0463】)における「花火モード」の文字は、図39(A)の「花火モードの演出(【0466】)」において表示される「花火モード」の文字よりも大きいことが見て取れる。
また、図38(N)の「「忍耐モード突入!」という文字情報」の「表示」(【0465】)における「忍耐モード」の文字は、図40(A)の「忍耐モードの演出(【0470】)」において表示される「忍耐モード」の文字よりも大きいことが見て取れる。
以上のことから、甲1には、「「花火モード突入!」という文字情報の表示における「花火モード」の文字は、花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字よりも大きく、「忍耐モード突入!」という文字情報の表示における「忍耐モード」の文字は、忍耐モードの演出において表示される「忍耐モード」の文字よりも大きいことが記載されていると認められる(以下「認定事項オ」という。)。
(3) 甲1に記載された発明
上記(1)及び(2)より、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「遊技者が遊技を行うパチンコ機1であって(【0052】)、
各種の演出画像が表示される液晶表示器42が設置され(【0085】)、
液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御を実行する演出制御CPU126を実装した回路基板が装備される演出制御装置124を備え(【0103】、【0111】)、
大当り遊技中に実行される大役中演出において(【0450】)、高確率時間短縮状態の花火モードに移行するか、非時間短縮状態である忍耐モードに移行するかを決定するための演出である打上げチャレンジ演出では(【0454】)、
女性キャラクターが点火ボタンを押下する演出が実行されると(【0457】)、
花火玉に火が着火し、打上げ筒から勢いよく花火玉が発射される演出が実行され(【0458】、図37(G))、
打上げ筒から放出された花火玉は、下方に軌跡を残しながら、上空に向かって進んでいき(【0459】、図37(H))、
そして、全体の背景画像が小さく表示されることにより、街の風景が画面下部に出現し、花火玉が夜空に高く上昇していく演出が実行され(【0460】)、図37(I))、
夜空に放出された花火が無事に燃焼して、花火の打上げに成功する演出が実行され、打上げに成功した花火と、その周囲に複数の火花が散る様子が表示されると(【0462】、認定事項ア、図38(K))、
画面内に「花火モード突入!」という文字情報が表示され、大当り遊技終了後の特典として、高確率時間短縮状態である花火モードに移行することを遊技者に教示し(【0463】、図38(L))、
夜空に放出された花火が燃焼することはなく、花火の打上げに失敗する演出が実行され、複数の火花が散る様子が表示されると(【0464】、認定事項イ、図38(M))、
画面内に「忍耐モード突入!」という文字情報が表示され、大当り遊技終了後の特典として、低確率又は高確率の非時間短縮状態である忍耐モードに移行することを遊技者に教示するものであり(【0465】、図38(N))、
花火モードの演出は、「花火モード」の状態で演出図柄の変動表示が行われ、画面内の右下に「花火モード」の文字が表示され、花火モードの背景画像は、遊技者に対して花火のモチーフを深く印象付けるために、「夜空に花火が打ち上げられる情景」とともに「女性キャラクターが花火を観賞している様子」が表現された背景画像となっており(【0466】、【0467】、認定事項ウ、図39(A))、
忍耐モードの演出は、「忍耐モード」の状態で演出図柄の変動表示が行われ、画面内の左下に「忍耐モード」の文字が表示され、忍耐モードの背景画像は、忍耐や修行、特訓といった情景を深く印象付けるために、空手着を着用した女性キャラクターが表示されており(【0470】、【0471】、認定事項エ、図40(A))、
「花火モード突入!」という文字情報の表示における「花火モード」の文字は、花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字よりも大きく、「忍耐モード突入!」という文字情報の表示における「忍耐モード」の文字は、忍耐モードの演出において表示される「忍耐モード」の文字よりも大きく(認定事項オ)、
演出画像は、液晶表示器42に表示される(【0416】)、
パチンコ機1(【0052】)。」
2 甲2
(1) 記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
「【0022】
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ機1は、外枠2、本体枠3、遊技盤4、前面枠5等を備えて構成されている。・・・」
「【0390】
次に、大噴火リーチ演出の具体的な演出内容について図57乃至図60を参照して説明する。図57は、大噴火リーチ演出を示すタイムチャートである。図58乃至図60は、大噴火リーチ演出の一例を示す説明図である。なお、図58乃至図60に示す演出画面は、確率変動状態での演出画面を例示するものであり、演出画面には、その旨を示す「確変中」の文字が記されている。
・・・
【0392】
先ず、大噴火リーチ演出(噴火ありパターン及び噴火なしパターン)では、図58(A)に示すように、左中右の装飾図柄50a~50cの変動表示が通常の変動態様で開始され(図57に示す「通常変動」)、その後、所定期間が経過すると、図58(B)に示すように、液晶表示装置50の表示画面全体に「大噴火チャンス」の文字131が表示されて大噴火リーチ演出が開始される旨を遊技者に認識させる(図57に示す「チャンス表示」)。なお、図58(B)に示す大噴火リーチ演出の開始画面(「大噴火チャンス」の文字131が表示された画面)では、通常時における図柄変動画面の背景に表示される火山130(図58(A)参照)が噴火活動を開始した態様で表示される。また、このとき、左中右の装飾図柄50a~50cは、それぞれ表示画面の右下部分に縮小された状態で変動表示が継続して行われる。」
「【0399】
次に、上記した大噴火リーチ演出の実行後(詳しくは、変動番号37の変動表示パターンに基づいた大噴火リーチ演出の終了後)に行われる再抽選演出の具体的な演出内容について図61を参照して説明する。なお、本実施形態のパチンコ機1では、再抽選演出として、大当り遊技状態が開始される以前に実行される再抽選演出A(結果停止後演出)と、大当り遊技状態中に実行される再抽選演出B(利益付与中演出)との2種類が設定されている。但し、再抽選演出Aによって非確変大当り図柄が確変大当り図柄に変更(昇確)された場合、再抽選演出Bは実行されない。即ち、再抽選演出Bは、大当り遊技状態の開始以前に実行される再抽選演出Aで確変大当り図柄に昇確されなかった場合、大当り遊技状態中に再度昇確するチャンスを遊技者に与えるための演出となっている。また、再抽選演出Bについては、液晶表示装置50に表示する演出内容が個々に異なる3種類が設定されている。
・・・
【0404】
そして、大当り遊技状態中における12ラウンド目が開始されると、図61(C)に示すように、液晶表示装置50の表示画面に「ゴンゴンチャンス!!」の文字57が表示される。なお、大当り遊技状態中の表示画面では、現在進行中のラウンド回数を示すラウンド表示部56a(図61(A)中には「12ROUND」の文字を例示)と、大当り遊技状態の発生を決定した大当り図柄の種類を示す図柄表示部56b(図61(A)中には「6」の図柄を例示)と、現在のラウンド中における大入賞口開閉装置60への入賞球数を示す入賞球数表示部56c(図61(A)中には「2COUNT」の文字を例示)とが表示される。
・・・
【0407】
その後、13ラウンド目の表示画面において、図61(F)に示すように、ゴン父キャラクタTCが釣りで様々なもの(同図中には魚やバナナ等を例示)を釣り上げる演出表示が行われ、14ラウンド目の表示画面では、図61(G)に示すように、釣竿が引っ張られてゴン父キャラクタTCが海に落ちそうになる演出表示が行われる。そして、最終ラウンドとなる15ラウンド目の表示画面において、図61(H)に示すように、ゴン父キャラクタTCが「確変」の文字が刻まれた石版KSを釣り上げようと必死に格闘する演出表示が行われ、最終的に「確変」の文字が刻まれた石版KSを釣り上げた演出表示が行われると昇確が確定する(利益付与中判定表示手段)。一方、図示しないが最終ラウンドとなる15ラウンド目の表示画面で、「確変」の文字が刻まれた石版KSを釣り上げることなく、ゴン父キャラクタTCが引っ張られて海に落ちてしまう演出表示が行われることで昇確しないことが確定する。」
「【図58】
[図:0001418241000007.jpg]
」
「【図61】
[図:0001418241000008.jpg]
」
(2) 甲2記載事項
上記(1)より、甲2には次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「遊技機としてのパチンコ機1であって(【0022】)、
水しぶき(小)を含む画像と、水しぶき(大)を含む画像と、「確変」の文字を含む画像と、を表示可能な液晶表示装置50を備え(図58、図61)、
「確変」の文字を拡大表示する前に水しぶき(小)を含む画像によって装飾する態様にて表示し(図61)、
表示画面の中央に「確変」の文字を拡大表示した後、該「確変」の文字を表示画面の右上に縮小して表示し(図61)、
「確変」の文字を拡大表示するタイミングにおいて、水しぶき(大)が大きく飛び散る画像を表示するパチンコ機1(【0022】、図61)。」
3 甲3
(1) 記載事項
甲3には、以下の事項が記載されている。
「【0468】
図30乃至図32に示す画像は、特定演出として、特に、遊技者にとって有利な特別遊技であって遊技媒体の払出を受けることが可能な遊技状態への移行を行う演出において表示される画像を示しており、図30(a)→・・・→図30(d)→図31(e)→・・・→図31(h)→図32(i)→・・・→図32(l)の順番に連続して表示されていくことを示している。
【0469】
図30(a)は、3次元画像によって構成される背面画像のみを表示した状態を示している。図30(b)は、図30(a)に示した背面画像から撮像位置を変更した変更後の撮像位置から撮像した背面画像に、その撮像位置に対応する描出位置から描出した表面画像を重畳した状態を示している。この図30(b)では、表面画像として、コロシアム内の地面が盛り上がった状態を示す画像を示している。
【0470】
また、図30(c)は、表面画像としてコロシアム内の地面が飛び散るとともに、文字「選」の一部が表示された状態を示している。
【0471】
この図30(c)に示すのと同様に、図30(d)、図31(e)、図31(f)、図31(g)、図31(h)、図32(i)、図32(j)、図32(k)についても、コロシアム画像の一部を示す背面画像に、文字および地面の表面画像を重畳した状態を示している。
【0472】
図32(l)は、図32(k)までの画像によって順次表示してきた文字全てを一括して表示させた状態を示しており、この図32(l)では、2次元画像によって構成される表面画像(文字)のみを表示した状態を示している。」
「【図30】
[図:0001418241000009.jpg]
」
「【図31】
[図:0001418241000010.jpg]
」
「【図32】
[図:0001418241000011.jpg]
」
(2) 甲3記載事項
上記(1)より、甲3には次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「「選抜BONUS」の文字画像を拡大表示した後、該文字画像を縮小して所定位置に表示し、
「選抜BONUS」の文字画像を拡大表示するとき、該文字画像を拡大表示するタイミングにおいてコロシアム内の地面が複数飛び散る態様にて表示する」こと(【0468】~【0472】、図30~図32)。
第6 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由1(明確性)について
取消理由通知において通知した明確性要件違反の取消理由は概略以下のとおりである。
(1) 請求項1には、「第1特殊画像と、第2特殊画像と、文字画像とを表示可能な画像表示手段」と記載されているが、この「画像表示手段」が、発明の詳細な説明における「画像表示装置5」を意味しているのか、「演出制御CPU120」を意味しているのか、または、それら以外のものを意味しているのか、請求項1のその他の記載を見ても特定できず、請求項1の記載が不明瞭になっている。
(2) 請求項1には、「前記文字画像を拡大表示する前に前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し」と記載されている。
この記載に関して、「第1特殊画像によって」何を「装飾する態様にて表示」するのか不明瞭である。
上記取消理由について検討する。
上記(1)については、上記第2において検討したとおり、訂正事項1及び訂正事項2により「画像表示手段」が「画像表示装置」であることが明確となり、上記(1)に係る取消理由は解消された。
上記(2)については、上記第2において検討したとおり、訂正事項3により、第1特殊画像によって「該文字画像」を装飾する態様にて表示することが明確となり、上記(2)に係る取消理由は解消された。
よって、本件発明は明確である。
2 取消理由2(新規性)、取消理由3(進歩性)について
(1) 対比
本件発明と甲1発明とを対比する。
ア 特定事項A、Eについて
甲1発明の「遊技者が遊技を行うパチンコ機1」は、本件発明の「遊技を実行可能な遊技機」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項A、Eを備える。
イ 特定事項Bについて
甲1発明の「各種の演出画像が表示される液晶表示器42」は、本件発明の「画像表示装置」に相当する。
そして、甲1発明の「軌跡」及び「火花」は、「液晶表示器42に表示される」「演出画像」であるから本件発明の「第1特殊画像」及び「第2特殊画像」、または、「第2特殊画像」及び「第1特殊画像」に相当する。
さらに、甲1発明において、「液晶表示器42に表示される」「「花火モード突入!」という文字情報」、「「忍耐モード突入!」という文字情報」、「花火モードの演出」で「表示され」る「「花火モード」の文字」、及び「演出モードの演出」で「表示され」る「「忍耐モード」の文字」は、いずれも本件発明の「文字画像」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Bを備える。
ウ 特定事項Cについて
(ア) 上記イより、甲1発明は、本件発明の「画像表示装置」を備える。
(イ) また、甲1発明において、「「花火モード突入!」という文字情報の表示における「花火モード」の文字は、花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字よりも大き」いことから、「花火モード突入!」という文字情報の表示における「花火モード」の文字は、花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字を拡大表示したものといえる。
そして、甲1発明においては、「打上げ筒から放出された花火玉は、下方に軌跡を残しながら、上空に向かって進んでいき」、その後、「画面内に「花火モード突入!」という文字情報が表示され」るものである。
ここで、上記イより、甲1発明の「軌跡」は、本件発明の「第1特殊画像」及び「第2特殊画像」のいずれかに相当するものである。
さらに、甲1発明の「軌跡」は、「演出画像」であるから、その「表示」は、何らかの対象を「装飾」する態様にて「液晶表示装置42に表示され」ているといえる。
そうすると、「花火モード突入!」という文字情報(花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字を拡大表示したもの)が表示される前に表示されるものである甲1発明の「軌跡」は、本件発明の「前記第1特殊画像」と、「前記文字画像を拡大表示する前に」「表示」される点で共通する。
以上のことから、本件発明の特定事項Cの「前記画像表示装置は、前記文字画像を拡大表示する前に該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示」することと甲1発明は、「前記画像表示装置は、前記文字画像を拡大表示する前に」「前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示」する点で共通する。
(ウ) 上記(イ)において説示したとおり、「花火モード突入!」という文字情報の表示における「花火モード」の文字は、花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字を拡大表示したものであるから、花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字は、「花火モード突入!」という文字情報の表示における「花火モード」の文字を縮小したものといえる。
そして、甲1発明は、「画面内に「花火モード突入!」という文字情報が表示され」、「花火モードに移行すること」が「教示」され、「花火モードの演出」では、「画面内の右下に「花火モード」の文字が表示され」るものであるところ、このことは、本件発明の「前記文字画像を拡大表示した後、該文字画像を縮小して特定位置に表示」することに相当する。
そして、甲1発明の「花火モード突入!」という文字情報の表示における「花火モード」の文字も、花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字も、「液晶表示器42に表示される」ものである。
以上のことから、甲1発明は、本件発明の特定事項Cの「前記画像表示装置は、」「前記文字画像を拡大表示した後、該文字画像を縮小して特定位置に表示」する構成を備える。
(エ) 上記(イ)の説示を踏まえると、甲1発明の「画面内に「花火モード突入!」という文字情報が表示され」るときは、本件発明の「前記文字画像を拡大表示するとき」に相当する。
そして、甲1発明は、「夜空に放出された花火が無事に燃焼して、花火の打上げに成功する演出が実行され、打上げに成功した花火と、その周囲に複数の火花が散る様子が表示されると、画面内に「花火モード突入!」という文字情報が表示され」るのであるから、甲1発明の「火花」は、本件発明の「第2特殊画像」と、「前記文字画像を拡大表示するとき」、「複数飛散する態様にて表示」される点で共通する。
そして、甲1発明の「火花」は、「液晶表示器42に表示される」ものである。
以上のことから、本件発明の特定事項Cの「前記画像表示装置は、」「前記文字画像を拡大表示するとき、該文字画像を拡大表示するタイミングにおいて前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示」することと甲1発明は、「前記画像表示装置は、」「前記文字画像を拡大表示するとき、」「前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示」する点で共通する。
エ 特定事項Dについて
甲1発明の「「花火モード突入!」という文字情報」の「表示」は、「大当り遊技終了後の特典として、高確率時間短縮状態である花火モードに移行することを遊技者に教示」するものであり、「「忍耐モード突入!」という文字情報」の「表示」は、「大当り遊技終了後の特典として、低確率又は高確率の非時間短縮状態である忍耐モードに移行することを遊技者に教示」するものである。
遊技機の技術分野において、「高確率時間短縮状態である」ときと「低確率又は高確率の非時間短縮状態」であるときでは、遊技者にとって有利な有利状態に制御される割合が異なることは技術常識といえるから、甲1発明は、本件発明の特定事項Dの「前記文字画像は、該文字画像の種類によって、遊技者にとって有利な有利状態に制御される割合が異なる」構成を備えるものである。
よって、甲1発明は、本件発明の特定事項Dを備える。
オ 一致点・相違点
上記ア~エから、本件発明と甲1発明は、
「A 遊技を実行可能な遊技機であって、
B 第1特殊画像と、第2特殊画像と、文字画像とを表示可能な画像表示装置を備え、
C’前記画像表示装置は、
前記文字画像を拡大表示する前に前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し、
前記文字画像を拡大表示した後、該文字画像を縮小して特定位置に表示し、
前記文字画像を拡大表示するとき、前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示し、
D 前記文字画像は、該文字画像の種類によって、遊技者にとって有利な有利状態に制御される割合が異なる、
E 遊技機」の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点](特定事項C)
「前記画像表示装置」において、「前記文字画像を拡大表示する前に」「前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示」する対象、及び「前記文字画像を拡大表示するとき、」「前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示」するタイミングに関して、
本件発明では、「該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示し」、「該文字画像を拡大表示するタイミングにおいて前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示」するのに対し、
甲1発明では、花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字を拡大表示した「花火モード突入!」という文字情報が表示される前に「軌跡」を表示し、「夜空に放出された花火が無事に燃焼して、花火の打上げに成功する演出が実行され、打上げに成功した花火と、その周囲に複数の火花が散る様子が表示されると、画面内に「花火モード突入!」という文字情報」を「表示」する点、すなわち、甲1発明において「軌跡」によって装飾する態様にて表示する対象が「文字画像」であるか否か、また、「花火モード」という文字が拡大表示するタイミングにおいて「火花が散る様子が表示される」か否か、いずれも不明である点。
(2) 当審の判断
まず、新規性について検討すると、上記相違点は、実質的な相違点であるので、本件発明は、甲1発明ではない。
次に、進歩性について検討する。
甲1発明の「軌跡」は、「花火玉に火が着火し、打上げ筒から勢いよく花火玉が発射される演出が実行され、打上げ筒から放出された花火玉は、下方に軌跡を残しながら、上空に向かって進んでい」くときに表示されるものであり、花火モードの演出において表示される「花火モード」の文字を拡大表示した「花火モード突入!」という文字情報が表示される前に表示されるものではあるが、「花火モード」の文字を拡大表示する前に「花火モード」の文字を装飾する態様にて表示するものではない。
このことは、甲1発明の「軌跡」が描かれている甲1の図37(H)を見ても明らかであり、また、甲1の図35~図38に示される一連の演出画像を見てもこの「軌跡」によって装飾されている文字画像は描かれていない。
したがって、甲1発明の「軌跡」は、本件発明の「前記文字画像を拡大表示する前に該文字画像を」「装飾する態様にて表示」される「前記第1特殊画像」には、相当しない。
また、文字画像を第1特殊画像によって装飾する態様にて表示すること、それ自体が周知の事項であったとしても、「拡大表示する前に」「前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示」された「該文字画像」を、その後、「拡大表示するとき、該文字画像を拡大表示するタイミングにおいて前記第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示」するという一連の演出の一部として、文字画像を第1特殊画像によって装飾する態様にて表示することまで周知の事項であるとはいえない。
よって、上記相違点のうち、甲1発明において、「花火モード」という文字が拡大表示するタイミングにおいて「火花が散る様子が表示される」か否か不明である点について検討するまでもなく、甲1発明に基づいて、上記相違点に係る本件発明の構成とすることが、当業者にとって容易であるとはいえない。
(3) 申立人の主張について
申立人は、令和6年9月11日提出の意見書(以下「申立人意見書」という。)の第6頁第4~11行において、以下のとおり主張する。
「そして、甲1発明は、「画面内に「花火モード突入!」の文字情報を拡大表示する前の演出画面として、図36(D)に示すように、「花火モード」を含む台詞を吹き出しで囲んだ画像が表示され」るのであるから、甲1発明の「花火モード」、「吹き出しの画像」は、それぞれ、本件訂正発明の「文字画像」、「第1特殊画像」に相当する。
そうすると、甲1発明には、文字画像(=花火モード)を拡大表示する前に該文字画像を第1特殊画像(=吹き出しの画像)によって装飾する態様にて表示することが記載されていると言える。」
しかしながら、上記「第6 2(1)エ」において検討したとおり、甲1発明においては、「花火モード」の文字情報に加えて、「忍耐モード」の文字情報も、本件発明の「文字画像」に相当するものである。
してみると、申立人の主張のように甲1発明が、「花火モード」を拡大表示する前に該「花火モード」を「吹き出しの画像」によって装飾する態様にて表示するものであったとしても、甲1発明は、「忍耐モード」を拡大表示する前の演出について何ら特定されておらず、また、甲1には、「忍耐モード」を拡大表示する前の演出について記載も示唆もされていない。
よって、甲1発明の「花火モード」及び「吹き出しの画像」が、本件発明の「文字画像」及び「第1特殊画像」に、それぞれ相当するとはいえず、これらの相当関係を備えることを前提とする申立人の上記主張は採用できない。
(4) まとめ
以上のとおり、本件発明は、甲1発明ではない。
また、本件発明は、甲1発明から当業者が容易に発明し得たものではない。
第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、申立書及び申立人意見書において、甲2記載事項及び甲3記載事項に基づいて、「文字画像を拡大表示するとき、該文字画像を拡大表示するタイミングにおいて第2特殊画像を複数飛散する態様にて表示すること」が周知技術であると認定し、本件発明は、甲1発明及び周知技術(甲2、甲3)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張する。
しかしながら、甲2記載事項及び甲3記載事項を見ても、本件発明の「前記文字画像を拡大表示する前に該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示拡大表示する前に該文字画像を前記第1特殊画像によって装飾する態様にて表示」することについて記載も示唆もなく、甲1発明と、甲2記載事項、甲3記載事項及び上記周知技術のいずれを組み合わせても、上記「第6 2(1)オ」に記載した相違点に係る本件発明の構成には至らない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
第8 むすび
以上のとおり、本件発明に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700239