特許異議申立
2020-700885
遊技機
- 審判番号
- 2020-700885
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-145471
- 登録番号
- 6703379
- 請求日
- 2020年11月18日
- 審決日
- 2021年10月07日
- 公報発行日
- 2022年03月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】木村 満
- 【権利者代理人】桜田 圭
- 【権利者代理人】鈴木 洋雅
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人平木国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 長崎 洋一
- 審判官 澤田 真治
- 審判官 北川 創
- 分類
- P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6703379号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6703379号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第6703379号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6703379号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願(以下、「本件特許出願」という。)は、平成27年7月23日に出願した特願2015-145471号であって、令和2年5月12日にその特許権の設定登録がされ、同年6月3日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和2年11月18日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、当審判合議体(以下「当審」という。)は令和3年2月2日付けで特許権者及び特許異議申立人に対して審尋を行い、それに対して、特許権者はその指定期間内である同年4月2日に、特許異議申立人はその指定期間内である同年4月8日に、それぞれ回答書を提出し、当審において同年5月25付けで取消理由を通知した。特許権者である株式会社三共は、その指定期間内である同年7月26日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、これに対して、申立人は、同年9月16日に意見書を提出した。
第2 訂正請求について
1 請求の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第6703379号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態」と記載されているのを、
「遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態である大当り」に訂正する。(なお、下線は訂正箇所を示す。以下、(2)~(5)についても同様。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記有利状態中の特定期間」と記載されているのを、
「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更する、」と記載されているのを、
「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1の「ことを特徴とする遊技機。」の前に、
「 前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、
前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、」を加える。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0007】に
「【0007】
(A)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更する、ことを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0007】
(A)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態である大当りに制御可能な遊技機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、ことを特徴とする。」に訂正する。
3 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に「遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態」と記載されているのを、「遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態である大当り」に訂正することで、訂正前の請求項1の「有利状態」を限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120を条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、発明特定事項である「有利状態」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1について、本件特許明細書には、以下の記載がある(なお、下線は関連箇所を示す。)
(ア)「【0074】
第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるときには、画像表示装置5において飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示される。特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が「大当り」となり、遊技者によって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。即ち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定される。」
(イ)「【0342】
また、遊技者にとって有利な有利状態(例えば大当り遊技状態等)に制御可能であり、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記特別期間において前記有利状態に制御された回数を報知する第4報知(例えば連チャン回数を報知する連チャン回数報知等)を実行可能であり、前記第4報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図23における連チャン回数報知動作制御処理におけるステップS462にて賞球数報知演出の実行中である場合には、ステップS468にて賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御を行うこと等)。」
これらの記載によれば、本件特許明細書には、「遊技者にとって有利な有利状態」が「大当り」であることが記載されているといえる。
よって、訂正事項1は、新たな技術事項を導入するものではなく、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に「前記有利状態中の特定期間」と記載されているのを、「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間」に訂正することで、訂正前の請求項1の「前記有利状態中の特定期間」を明確にするとともに限定するものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、発明特定事項である「前記有利状態中の特定期間」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2について、本件特許明細書には、以下の記載がある。(下線を関連箇所に示す。)
(ア)「【0007】
(1)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行う遊技機(例えばパチンコ遊技機1、パチスロ機等)であって、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、獲得枚数報知演出、累積賞球数報知演出、累積獲得枚数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、右打ち報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)とを実行可能であり、前記第2報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)。」
(イ)「【0081】
また、パチンコ遊技機1において付与可能となる遊技価値は、賞球となる遊技球の払い出しや得点の付与に限定されず、例えば大当り遊技状態に制御することや、確変状態等の特別遊技状態に制御すること、大当り遊技状態にて実行可能なラウンドの上限回数が第2ラウンド数よりも多い第1ラウンド数となること、時短状態にて実行可能な可変表示の上限回数が第2回数よりも多い第1回数となること、確変状態における大当り確率が第2確率よりも高い第1確率となること、通常状態に制御されることなく大当り遊技状態に繰り返し制御される回数である連チャン回数が第2連チャン数よりも多い第1連チャン数となることの一部又は全部といった、遊技者によってより有利な遊技状況となることが含まれていてもよい。」
(ウ)「【0174】
ステップS501にて受信コマンドがある場合には(ステップS501;YES)、例えば受信コマンドのMODEデータを確認すること等により、その受信コマンドが大当り開始指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS502)。そして、大当り開始指定コマンドであるときには(ステップ502;YES)、連チャン回数カウント値を1加算するように更新してから(ステップS503)、ステップS501の処理に戻る。連チャン回数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた連チャン回数カウンタの格納値であり、連チャン回数を示すものであればよい。ここで、連チャンとは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが所定回実行されることをいう。また、連チャン回数とは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが連続して発生した回数をいう。
【0175】
ステップS502にて受信コマンドが大当り開始指定コマンドではない場合には(ステップS502;NO)、その受信コマンドは大入賞口入賞指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS504)。そして、大入賞口入賞指定コマンドであるときには(ステップS504;YES)、賞球数カウント値を15加算するように更新する(ステップS505)。賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた賞球数カウンタの格納値であり、賞球数を示すものであればよい。ここで、賞球数とは、現在の大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。
【0176】
ステップS505の処理を実行した後には、累積賞球数カウント値を15加算するように更新してから(ステップS506)、ステップS501の処理に戻る。累積賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた累積賞球数カウンタの格納値であり、累積賞球数を示すものであればよい。ここで、累積賞球数とは、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。」
(エ)「【0178】
このように、この実施の形態では、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。
【0179】
ステップS507にて受信コマンドが大当り終了指定コマンドではない場合には(ステップS507;NO)、その受信コマンドは遊技状態指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS509)。そして、遊技状態指定コマンドであるときには(ステップS509;YES)、受信した遊技状態指定コマンドに基づいて時短制御が終了するか否かを判定する(ステップS510)。そして、時短制御が終了するときには(ステップS510;YES)、累積賞球数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化する(ステップS511)。
【0180】
このように、この実施の形態では、連チャン中において、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」
(オ)「【0188】
本実施の形態では、エラー報知画像と、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことを報知する第3報知としての確変確定報知演出用の確変確定報知演出画像と、特定期間としての大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する第1報知としての賞球数報知演出用の賞球数報知演出画像と、連チャン回数を報知する第4報知としての連チャン回数報知用の連チャン回数報知画像や大当り中に再生されている楽曲名を報知する第5報知としての大当り中楽曲名報知用の大当り中楽曲名報知画像といったその他の演出用の画像とがそれぞれ異なるレイヤーに配置される。具体的には、図26(A)に示すように、エラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像には、各画像データにおいて、画像を重畳して描画する際に用いるZ値が設定されるようになっており、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122には、エラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像の画像データのZ値を設定するZ値設定テーブルが記憶されている。このZ値設定テーブルは、各画像データの項目に対応付けて、画像を描画するときに用いるZ値が登録されている。」
(カ)「【0191】
なお、Z値に「2」が設定されているのは、賞球数報知演出画像のみならず、特別期間としての連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数を報知する第2報知としての累積賞球数報知演出用の累積賞球数報知演出画像もZ値に「2」が設定されている。更に、エラー報知画像や確変確定報知演出画像や賞球数報知演出画像や累積賞球数報知演出画像や連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像のみならず、背景となる背景画像等にもZ値が設定されており、これら背景画像等には、連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像よりも大きなZ値が設定されている。」
(キ)「【0222】
ステップS216にて確変確定報知演出の実行中ではない場合には(ステップS216;NO)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS217)。このとき、エラー報知の実行中ではない場合には(ステップS217;NO)、最上位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS218)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS218の処理では、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知する賞球数報知演出、あるいは「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(C)に示すような賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、賞球数報知演出が実行される。」
(ク)「【0237】
ステップS397にて賞球数報知演出の実行中である場合には(ステップS397;YES)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。このように、この実施の形態では、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されない。これは、賞球数報知演出と累積賞球数報知演出とが互いに類似する演出であり、同時に実行されることにより、いずれの演出への注目度も低下させてしまう虞があるからである。そこで、この実施の形態では、累積賞球数報知演出よりも賞球数報知演出を優先的に実行するようにしている。」
(ケ)「【0239】
ステップS399にてエラー報知の実行中ではない場合には(ステップS399;NO)、最上位のレイヤーで累積賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS400)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS400の処理では、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出、あるいは「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による累積賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(D)に示すような累積賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、累積賞球数報知演出が実行される。」
(コ)「【0338】
以上説明したように、パチンコ遊技機1では、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)とを実行可能であり、前記第2報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)」
これらの記載によれば、本件特許明細書には、「前記有利状態中の特定期間」が「大当り中」、すなわち、大当りに制御されている期間であること、「特別期間」が、「連チャン中における大当り中」、すなわち、連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間であること、がそれぞれ記載されているといえる。
また、段落【0174】で「・・・大当り開始指定コマンドであるときには(ステップ502;YES)、連チャン回数カウント値を1加算するように更新してから(ステップS503)、ステップS501の処理に戻」っており、段落【0175】で「・・・賞球数とは、現在の大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。」と「賞球数」が「現在の」大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数のことであり、段落【0178】で「・・・15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」、段落【0180】で「・・・15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」と、「連チャン」中の「大当り中」に「カウント値が「0」に初期化される」ことで「大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる」ことが記載されていることから、本件特許明細書で、「大当り中」に対応した特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知は、「連チャン中における直近の大当り」のものであるといえる。
また、上記した「特別期間」に対応する、連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間の大当りは、「直近の大当り」と「直近以外の大当り」とから構成されることは、遊技機分野の技術常識から明らかである。
そうすると、「特別期間」は、「直近の大当り」と「直近以外の大当り」とから構成されることとなるから、訂正前の請求項1の「前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間」における「当該特定期間とは異なる非特定期間」は、「直近以外の大当り」の期間、すなわち、「連チャン中に制御された大当りの集合」(直近の大当りと直近以外の大当りを合わせた全ての大当り)の期間から「直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間」であるといえる。
そうすると、「前記有利状態中の特定期間」は、連チャン中における直近の大当り中のことであり、「非特定期間」は、連チャン中における大当り中から直近の大当り中を除いた期間であるといえる。
よって、訂正事項2は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更する、」と記載されているのを、「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、」に訂正したものであり、その記載より後に構成が続くことを明瞭にするために訂正するものであることから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アのとおり、訂正事項3は、カテゴリー、対象及び目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3に係る訂正は、その記載より後に構成が続くことを明瞭にするために訂正するものであることから、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項1の「ことを特徴とする遊技機。」の前に、「 前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、
前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、」を付加することで、訂正前の請求項1の「非特定期間」及び「特別期間」を明確にするとともに限定するものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、「非特定期間」及び「特別期間」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4について、本件特許明細書には、上記(1)ウの記載がある。
上記(1)ウのとおり、本件特許明細書には、「特定期間」が「大当り中」、すなわち、大当りに制御されている期間であること、「特別期間」が、「連チャン中における大当り中」、すなわち、連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間であること、段落【0175】、【0178】の記載、及び、遊技機分野の技術常識から、連チャン中における「特定期間」としての大当り中と異なる大当り中が「非特定期間」であり、「特定期間」は、直近の大当り中のことであり、「非特定期間」は、連チャン中における大当り中から直近の大当り中を除いた期間であるといえる。
よって、訂正事項4は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、上記訂正事項1~4に係る訂正により、訂正前の請求項1における特許請求の範囲の訂正を行った結果、本件特許明細書の段落【0007】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、当該訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5に係る訂正は、本件特許明細書の【0007】の記載を、請求項1の記載と整合を取るためのものであるから、訂正事項1~訂正事項4で説示したとおり、当該訂正事項5は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項5は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
4 独立特許要件
本件特許異議の申立てにおいては、請求項1が申立ての対象であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定の独立特許要件につき検討することを要しない。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、記号AないしFは、分説するため当審が付した。
【請求項1】
A 遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 報知演出を実行する報知演出実行手段
を備え、
C 前記報知演出実行手段は、
前記報知演出として、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、
D 前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、
E 前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、
C1 前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、
C2 前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、
F ことを特徴とする遊技機。
第4 特許異議の申立について
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、本件特許に対し、次の理由を申し立てている。
(1)証拠方法として甲第1証を提出し、本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であるから、本件特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)証拠方法として甲第1証及び甲第2号証を提出し、本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1及び2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
<証拠方法>
甲第1号証:特開2014-000303号公報
甲第2号証:特開2013-106805号公報
2 取消理由通知の概要
令和3年5月25日付けで当審が特許権者に通知した取消理由は、概略、次のとおりである。
(1)(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
本件訂正前の請求項1に係る発明(以下「本件訂正前発明1」という。)には「前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されているが、出願時の技術常識に照らしても、本件訂正前発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
したがって、本件訂正前発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
(2)(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
本件訂正前発明1には「前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されているが、「特定期間」、「非特定期間」及び「特別期間」が何と対応するのか明瞭でない。
したがって、本件訂正前発明1は明確ではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
3 令和3年7月26日付け意見書(特許権者提出)の概要
特許権者は、令和3年7月26日付け意見書において、本件訂正発明は、当審が指摘したサポート要件違反、明確性違反に該当しないため、取り消されるべきものではない旨を主張している。
4 令和3年9月16日付け意見書(申立人提出)の概要
申立人は、令和3年9月16日付け意見書において、次の主張をしている。
(1)本件訂正は、法120条の5第9項において準用する法第126条第5項の要件を満たさないものであるので、不適法なものである。
(2)本件訂正が行われなかった訂正前の本件特許発明は、異議申立の理由のとおり、依然として、法29条1項3号又は法29条2項の規定により特許を受けることができず、本件特許は法113条2号に該当することとなるので、法114条2項の規定に基づいて依然として取り消されるべきものである。
第5 取消理由についての当審の判断
1 サポート要件について
訂正前の請求項1には、「前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されていたため、例えば、(1)「特定期間」が「実行中の大当り遊技中の期間」、「非特定期間」が「大当り遊技と大当り遊技との間の、確変遊技又は時短遊技が実行されている期間」、「特別期間」が「連チャン中の全ての大当り遊技及び確変遊技や時短遊技が実行されている期間」(パチンコの場合)、(2)「特定期間」が「大当り遊技におけるラウンドが実行されている期間」、「非特定期間」が「大当り遊技におけるラウンドと次回ラウンドとの間の期間」、「特別期間」が「大当り遊技が実行されている期間」(パチンコの場合)、(3)「特定期間」が「押し順ナビあり遊技中」、「非特定期間」が「押し順ナビなし遊技中」、「特別期間」が「ART遊技期間」(スロットの場合)を包含する記載となっており、これら(1)、(2)の解釈では、「非特定期間」に「獲得した価値」が大当り中のものではなく、(3)の解釈では、「非特定期間」に獲得する価値が理論的にはゼロではないことから、適当に押した押し順が、偶然正解すれば獲得できる程度の価値を合計して報知することを含むものとなることから、遊技機の技術分野における出願時の技術常識に照らしても、訂正前の請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえなかった。
しかしながら、本件訂正(上記「第2 2」)により、本件訂正発明は、上記「第3」のとおりとなり、本件訂正発明では、「前記有利状態中の特定期間」が「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間」であり、「非特定期間」が「前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間」であり、「特別期間」が、「前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」であり、いずれも大当り中であることが特定された。そのため、本件訂正発明は、上記(1)~(3)のように解釈される余地はなくなった。
よって、本件訂正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものでない。
2 明確性について
訂正前の請求項1には、「前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されていたため、(1)「特定期間」は(連チャンが発生する契機となる)「大当り中」、「非特定期間」は(連チャンが発生する契機となった)「大当り中」とは異なる(次以降に発生する)「大当り中」、「特別期間」は「連チャン中」、(2)「特定期間」は「直近(最新)の「大当り中」」、「非特定期間」は「連チャン中にすでに発生した大当りの集合から、「特定期間」である直近(最新)の大当り(1つ)を除いた「大当り中」」、「特別期間」は「連チャン中」、(3)「特定期間」は、「大当り中の1ラウンド中」や「大当り中の(例えば、最初の)1分間」、「非特定期間」は、「大当り中の1ラウンド以外のラウンド中」や「大当り中の(例えば、最初の)1分間以外の期間」、「特別期間」は、「連チャン中における大当り中」、(4)「特定期間」が「実行中の大当り遊技中の期間」、「非特定期間」が「大当り遊技と大当り遊技との間の、確変遊技又は時短遊技が実行されている期間」、「特別期間」が「連チャン中の全ての大当り遊技及び確変遊技や時短遊技が実行されている期間」と解釈することができるものの、いずれであるのかが明瞭ではなかった。
しかしながら、本件訂正(上記「第2 2」)により、本件訂正発明は、上記「第3」のとおりとなり、本件訂正発明では、「前記有利状態中の特定期間」が「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間」であり、「非特定期間」が「前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間」であり、「特別期間」が、「前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」であり、上記(2)の解釈に沿ったものであることが明確となった。
よって、
は、明確であり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものでない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知において通知した理由とは別に、本件特許は、特許法第29条第1項第3号、または、特許法第29条第2項の規定により、取り消されるべきものである旨主張しているので、以下検討する。
1 甲第1号証に基づく新規性及び進歩性について
(1)甲第1号証について
本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証(特開2014-303号公報)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。以下同様。
ア 記載事項
(ア)「【0002】
遊技機として、所定の賭数を設定し、スタート操作が行なわれたことに基づいて、複数種類の識別情報の可変表示が行なわれるスロットマシンや、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行なわれるパチンコ遊技機などがある。」
(イ)「【0007】
(1) 遊技者にとって有利な有利状態(たとえば、スロットマシン1におけるAT、パチンコ遊技機700における大当り遊技状態)に制御可能な遊技機(たとえば、スロットマシン1、パチンコ遊技機700)であって、
所定の情報を報知する報知手段(たとえば、スロットマシン1における液晶表示器51、パチンコ遊技機700における画像表示装置500)と、
前記報知手段を制御する報知制御手段(たとえば、スロットマシン1におけるサブ制御部91のATゲーム数上乗せ演出処理と純増数到達演出処理、パチンコ遊技機700における演出制御用マイクロコンピュータのラウンド数報知処理と賞球払出数報知処理)とを備え、
前記報知制御手段は、
前記有利状態において獲得された遊技価値(たとえば、スロットマシン1におけるメダル、パチンコ遊技機700における遊技球)に関する獲得達成条件(たとえば、スロットマシン1におけるAT中のメダルの純増数の1000枚到達、パチンコ遊技機700における大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達)が成立したときに、当該獲得達成条件の成立を所定の態様で報知する制御(たとえば、スロットマシン1における図20(a)のように「1000枚GET!!」と数値で報知する制御、パチンコ遊技機700における「1000個到達!!」と数値で報知する制御)と、
前記有利状態において前記有利状態の期間(たとえば、スロットマシン1における上乗せATゲーム数、パチンコ遊技機700における大当り遊技の各ラウンド数)に関する期間関連条件(たとえば、スロットマシン1におけるATゲーム数の上乗せ決定、パチンコ遊技機700における大当り遊技の各ラウンドの終了)が成立したときに、当該期間関連条件の成立を前記獲得達成条件の成立における報知態様と同一または類似する態様(たとえば、数値画像を表示)で報知する制御(たとえば、スロットマシン1における図20(b)のように「50ゲームGET!!」と数値で報知する制御、パチンコ遊技機700における「1ラウンド終了!!」と数値で報知する制御)とが実行可能であり、
前記獲得達成条件の成立を報知する制御と、前記期間関連条件の成立を報知する制御とが併せて(たとえば、同一タイミング)実行されることを規制する規制手段(たとえば、スロットマシン1における図16のステップS150、図19のステップS240のようにATゲーム数上乗せ決定の報知タイミングをずらす処理、パチンコ遊技機700における図26のように賞球払出数の1000個到達の報知タイミングをずらす処理、変形例における図27(b)のようにATゲーム数の上乗せ決定を宝箱の画像で報知する演出態様を変更する処理)をさらに備える。」
(ウ)「【0372】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、前述した第1実施形態に係るスロットマシン1をパチンコ遊技機700に置き換えたものである。」
(エ)「【0418】
特別図柄ゲームにおける確定特別図柄として大当り図柄が停止表示されて特定表示結果としての「大当り」となった後、大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置750の大入賞口扉が、所定の上限時間(たとえば29秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(たとえば7個)の入賞球が発生するまでの期間で、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置750を遊技者にとって有利な第1状態(開状態)とするラウンドが実行される。
【0419】
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤200の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置750を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(たとえば「15」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。なお、ラウンドの実行回数が上限回数に達する前であっても、所定条件の成立(たとえば大入賞口に遊技球が入賞しなかったことなど)により、ラウンドの実行が終了するようにしてもよい。」
(オ)「【0428】
より具体的には、確変大当りが発生すると、大当り遊技状態の終了後に行なわれる特別図柄ゲームのカウントが開始され、当該カウントが100回に達したときに確変状態から通常状態に移行される。なお、以下では、大当り遊技状態の終了後に行なわれる特別図柄ゲームのカウント数を「変動回数カウント」と称する。
【0429】
また、変動回数カウントが100回に達するまでの間に確変大当りが発生した場合には確変状態に継続制御され、当該確変大当りに基づく大当り遊技状態の終了後から再び変動回数カウントのカウントが開始される。なお、以下では、確変大当りが連続発生して確変状態に連続制御されることを「連チャン」と称し、この確変状態の連続制御回数を「確変連チャン回数」と称する。確変連チャン回数が多いほど、長い期間に亘り確変状態に制御されるため、遊技者にとって有利であるといえる。
【0430】
変動回数カウントが100回に達した後には、確変状態から通常状態に移行されるため、確変連チャン回数のカウントはリセットされる。
【0431】
また、本実施の形態においては、確変連チャン回数は5回までに制限されている。すなわち、確変連チャン回数が5回目となる確変状態中に発生する大当りは100%通常大当りとなる。そして、確変連チャン回数が5回目となる確変状態中に通常大当りが発生した場合には、連続して制御された確変状態が終了し、通常状態に移行される。さらにこのとき、確変連チャン回数のカウントはリセットされる。
【0432】
[制御概要]
ここで、パチンコ遊技機700の制御概要を説明する。パチンコ遊技機700は、大当りにするか否かや確変大当りにするか通常大当りにするかなどを決定して遊技状態を制御するための遊技制御用マイクロコンピュータと、画像表示装置500を表示制御する演出制御用マイクロコンピュータとを備えている。」
(カ)「【0439】
また、大当り遊技状態において、遊技制御用マイクロコンピュータは、演出制御用マイクロコンピュータに対して、大入賞口が開放状態となっている期間であることを通知する大入賞口開放中通知コマンド、および大入賞口が開放状態から閉鎖状態に変化した期間であることを通知する大入賞口開放後通知コマンドを送信する。これらのコマンドを受けた演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技状態におけるラウンド数をカウントする。そして、演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技状態の各ラウンドが終了するごとに、画像表示装置500の画面上に、各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知するラウンド数報知処理を実行する。
【0440】
また、大当り遊技状態において、遊技制御用マイクロコンピュータは、演出制御用マイクロコンピュータに対して、大当り遊技中における賞球の払出数を通知する払出数通知コマンドを送信する。このコマンド受けた演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技中における賞球の払出数をカウントする。そして、演出制御用マイクロコンピュータは、カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行する。」
(キ)「【0446】
図26に示すように、15ラウンドの大当り遊技状態における各ラウンドが終了するタイミングにおいてラウンド数報知処理が行なわれ、各ラウンドが終了した旨が画像表示装置500において報知される。たとえば、1ラウンド目の大当り遊技状態が終了するタイミングでは、1ラウンド目の大当り遊技状態が終了した旨が画像表示装置500において報知され、2ラウンド目の大当り遊技状態が終了するタイミングでは、2ラウンド目の大当り遊技状態が終了した旨が画像表示装置500において報知される。
【0447】
また、賞球払出数「P」が1000個に到達するときのラウンドが終了するタイミングにおいて賞球払出数報知処理が行なわれ、大当り遊技状態における賞球が1000個に到達した旨が画像表示装置500において報知される。
【0448】
ここで、ラウンドの終了を報知するタイミングおよび賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングは、いずれもラウンドが終了するタイミングであり、同じタイミングである。さらに、いずれの報知においても、画像表示装置500の画面上に数値を用いて報知される。そのため、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが同じタイミングで行なわれた場合、同じ装置において同し態様で複数の報知が行なわれることになり、遊技者に対して混同を生じさせる虞がある。
【0449】
そこで、本実施の形態において、演出制御用マイクロコンピュータは、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行なう。」
イ 甲1発明
上記アの記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されていると認められる(aないしpは、本件訂正発明のAないしFに概ね対応させて当審が付与した。)。
「a 遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行なわれ(【0002】)大当り遊技状態に制御可能なパチンコ遊技機700(【0007】)であって、
b 大当りにするか否かや確変大当りにするか通常大当りにするかなどを決定して遊技状態を制御するための遊技制御用マイクロコンピュータと、画像表示装置500を表示制御する演出制御用マイクロコンピュータとを備え(【0432】)、確変大当りが連続発生して確変状態に連続制御される「連チャン」を有し(【0429】)、
c、c1、c2 大当り遊技状態において、遊技制御用マイクロコンピュータは、演出制御用マイクロコンピュータに対して、大入賞口が開放状態となっている期間であることを通知する大入賞口開放中通知コマンド、および大入賞口が開放状態から閉鎖状態に変化した期間であることを通知する大入賞口開放後通知コマンドを送信し、これらのコマンドを受けた演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技状態におけるラウンド数をカウントし、演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技状態の各ラウンドが終了するごとに、画像表示装置500の画面上に、各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知するラウンド数報知処理を実行し(【0439】)、
d 大当り遊技状態において、遊技制御用マイクロコンピュータは、演出制御用マイクロコンピュータに対して、大当り遊技中における賞球の払出数を通知する払出数通知コマンドを送信し、このコマンド受けた演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし、演出制御用マイクロコンピュータは、カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行し(【0440】)、
e 15ラウンドの大当り遊技状態における各ラウンドが終了するタイミングにおいてラウンド数報知処理が行なわれ、各ラウンドが終了した旨が画像表示装置500において報知され(【0446】)、賞球払出数「P」が1000個に到達するときのラウンドが終了するタイミングにおいて賞球払出数報知処理が行なわれ、大当り遊技状態における賞球が1000個に到達した旨が画像表示装置500において報知され(【0447】)、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行なう(【0449】)、
f パチンコ遊技機700(【0007】)。」
(2)甲第2号証について
本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証(特開2013-106805号公報)には、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審が付した。)
ア 記載事項
(ア)「【0039】
次に、図4を用いて、パチンコ機100の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。パチンコ機100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、主制御部300が送信するコマンドに応じて主に遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部600と、遊技球の発射制御を行う発射制御部630と、パチンコ機100に供給される電源を制御する電源制御部660と、によって構成している。」
(イ)「【0158】
ステップS1001の次のステップS1003では、1回の大当り遊技で獲得した賞球数を含む累積賞球獲得情報を装飾図柄表示装置208を制御する制御基板(不図示)に送信する。例えば、第1副制御部400は、後述する図16のステップS1405においてRAM408の所定の記憶領域に記憶される賞球獲得情報を累積していき、累積した賞球獲得数を含む累積賞球獲得情報を当該制御基板に送信して、大当り開始コマンド受信時の第1副制御部賞球獲得情報生成処理を終了する。これにより、累積賞球獲得数が装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの所定箇所に表示される。」
(ウ)「【0246】
次に、本実施の形態によるパチンコ機100の特図変動遊技について図20乃至図32を用いてより具体的に説明する。まず、図20乃至図25を用いて本実施の形態の実施例1によるパチンコ機100に特図変動遊技について説明する。図20乃至図25は、本実施例によるパチンコ機100での特図変動遊技を説明する図である。本実施例では、可変入賞口234への所定数の遊技球の入賞に基づく所定賞球獲得数を1ラウンド終了毎に報知し、所定賞球獲得数に有効期間内における遊技球の入賞に基づく賞球獲得数と、当該賞球獲得数と当該所定賞球獲得数とを合算した全賞球獲得数とを大当り遊技終了後に報知する例について説明する。図20(a)乃至図25はこの順に、本実施例によるパチンコ機100での特図変動遊技を時系列で示している。」
イ 甲第2号証に記載の技術
上記アより、甲第2号証には、次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。
「遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と(【0039】)、を備え、
1回の大当り遊技で獲得した賞球数を含む累積賞球獲得情報を装飾図柄表示装置208を制御する制御基板に送信し、第1副制御部400は、所定の記憶領域に記憶される賞球獲得情報を累積していき、累積した賞球獲得数を含む累積賞球獲得情報を当該制御基板に送信して、累積賞球獲得数が装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの所定箇所に表示され(【0158】)、
可変入賞口234への所定数の遊技球の入賞に基づく所定賞球獲得数を1ラウンド終了毎に報知し、所定賞球獲得数に有効期間内における遊技球の入賞に基づく賞球獲得数と、当該賞球獲得数と当該所定賞球獲得数とを合算した全賞球獲得数とを大当り遊技終了後に報知する(【0246】)、
パチンコ機100(【0039】)」
2 当審の判断
(1)対比
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。
ア 構成Aについて
甲1発明の構成aの「遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行なわれ」ること、「大当り遊技状態に制御可能」なこと、「パチンコ遊技機700」は、それぞれ本件訂正発明の構成Aの「遊技を行」うこと、「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」なこと、「遊技機」に相当する。
そうすると、甲1発明の構成aは本件訂正発明の構成Aに相当する構成を有するといえる。
イ 構成Bについて
甲1発明の構成bの「画像表示装置500を表示制御する」こと、「演出制御用マイクロコンピュータ」は、それぞれ本件訂正発明の構成Bの「報知演出を実行する」こと、「報知演出実行手段」に相当する。
そうすると、甲1発明の構成bは本件訂正発明の構成Bに相当する構成を有するといえる。
ウ 構成C、構成C1及び構成C2について
甲1発明の構成c、c1、c2では「大当り遊技状態において」「大当り遊技状態の各ラウンドが終了するごとに、画像表示装置500の画面上に、各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知するラウンド数報知処理を実行し」、「大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし」「カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行」している。
ここで、甲1発明の構成c、c1、c2の「大当り遊技中」が本件訂正発明の構成Cの「大当りに制御されている期間」に相当するものの、甲1発明では、「大当り遊技中」の全期間に払い出された賞球数を報知しておらず、「大当り遊技中」に払い出された賞球の払出数が1000個に到達したことを報知しているだけである。
そうすると、甲1発明の「1000個に到達」したときの「報知」と、本件訂正発明の「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知」とは、「大当りに制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知」するという点で共通している。
よって、甲1発明と本件訂正発明とは「前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、大当りに制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知する報知を実行可能であり、」「前記期間は、前記大当り制御されている期間である」点で共通する。
エ 構成Dについて
甲1発明の構成dでは「大当り遊技状態において」「大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし、演出制御用マイクロコンピュータは、カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行」することから、甲1発明と本件訂正発明とは、「前記報知として、前記期間において獲得した価値の大きさと、当該期間とは異なる期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知」する点で共通する。
オ 構成Eについて
甲1発明の構成eでは「15ラウンドの大当り遊技状態における各ラウンドが終了するタイミングにおいてラウンド数報知処理が行なわれ、各ラウンドが終了した旨が画像表示装置500において報知され、賞球払出数「P」が1000個に到達するときのラウンドが終了するタイミングにおいて賞球払出数報知処理が行なわれ、大当り遊技状態における賞球が1000個に到達した旨が画像表示装置500において報知され、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行な」っており、「ラウンド数報知」は、ある期間において獲得した価値の大きさを報知するものではないものの、「賞球払出数が1000個に到達した」「報知」と「各ラウンドが終了する」「ラウンド数報知」の「報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行な」うものであるから、甲1発明と本件訂正発明とは、「前記報知と別の報知の実行期間が重複するときに、一方の報知を実行する一方で、他方の報知の実行期間を一方の報知の実行期間と重複しない期間に変更」する点で共通する。
カ 構成Fについて
甲1発明の構成fの「パチンコ遊技機700」は、本件訂正発明の「遊技機」に相当する。
そうすると、甲1発明の構成fは本件訂正発明の構成Fに相当する。
したがって、本件訂正発明と甲1発明とは、
[一致点]
「A 遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 報知演出を実行する報知演出実行手段
を備え、
C’前記報知演出実行手段は、
前記報知演出として、大当りに制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知する報知を実行可能であり、
D’前記報知として、前記期間において獲得した価値の大きさと、当該期間とは異なる期間とを含む期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、
E’前記報知と別の報知の実行期間が重複するときに、一方の報知を実行する一方で、他方の報知の実行期間を一方の報知の実行期間と重複しない期間に変更し、
C1’、C2’ 前記期間は、前記大当り制御されている期間である、
F 遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1](構成C、C1及びC2)
「報知演出」を「実行可能」な「報知演出実行手段」に関して、
本件訂正発明では、「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であ」るのに対して、
甲1発明では、「大当り遊技状態において」「大当り遊技状態の各ラウンドが終了するごとに、画像表示装置500の画面上に、各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知するラウンド数報知処理を実行し」、「大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし」、「カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行し」ている点。
[相違点2](構成D)
「報知演出」を「実行可能」な「報知演出実行手段」に関して、
本件訂正発明では、「前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し」ているのに対して、
甲1発明では、「大当り遊技状態において」「大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし」「カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行し」ている点。
[相違点3](構成E)
「報知演出」を「実行可能」な「報知演出実行手段」に関して、
本件訂正発明では、「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し」ているのに対して、
甲1発明では、「15ラウンドの大当り遊技状態における各ラウンドが終了するタイミングにおいてラウンド数報知処理が行なわれ、各ラウンドが終了した旨が画像表示装置500において報知され、賞球払出数「P」が1000個に到達するときのラウンドが終了するタイミングにおいて賞球払出数報知処理が行なわれ、大当り遊技状態における賞球が1000個に到達した旨が画像表示装置500において報知され、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行な」っている点。
よって、本件訂正発明は甲1発明ではない。
そこで、以下、甲1発明に基づく進歩性について検討することとする。
(2)判断
ア 相違点1及び2について
相違点1及び2には密接に関連しているため併せて検討する。
甲1発明は、構成bで連チャンを有しているものの、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知する報知(本件訂正発明の「第1報知」)と、当該期間と、当該期間とは異なる連チャン中の大当りに制御されている期間とを含む期間において獲得した価値の大きさを報知する別の報知(本件訂正発明の「第2報知」)とを実行することについて記載も示唆もされていないし、その点が甲2技術に何らの記載も示唆もなく、また、公知であることを示す証拠も提出されていない。
よって、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明及び甲2技術に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできない。
イ 相違点3について
上記アで説示したとおり、甲1発明は、本件訂正発明の「第1報知」及び「第2報知」に関する点が記載も示唆もされておらず、また「第2報知」について公知であることを示す証拠も提出されていないため、上記相違点3に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできないが、念のため、甲2技術を甲1発明に適用可能かどうかについても検討することとする。
甲2技術は「可変入賞口234への所定数の遊技球の入賞に基づく所定賞球獲得数を1ラウンド終了毎に報知し、所定賞球獲得数に有効期間内における遊技球の入賞に基づく賞球獲得数と、当該賞球獲得数と当該所定賞球獲得数とを合算した全賞球獲得数とを大当り遊技終了後に報知する」ものである。
そうすると、各ラウンド毎にラウンド数を報知している甲1発明に甲2技術を適用できたとしても、甲1発明において、「各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知」するときに「所定賞球獲得数」を報知するものにとどまり、「賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるとき」にどのように処理するのかについては甲2技術に何らの記載も示唆もなく、また、「第1報知」及び「第2報知」について公知であることを示す証拠も提出されていない。
よって、本件訂正発明の「第1報知」及び「第2報知」に関する点に、甲1発明及び甲2技術に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできない。
また、「各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知」するときの「所定賞球獲得数」と「賞球払出数が1000個に到達したこと」の「報知」のタイミングが重なったときに、「賞球払出数が1000個に到達したこと」の「報知」のタイミングを「所定賞球獲得数」と重複しない期間に変更することが公知であることを示す証拠も提出されていない。
したがって、上記相違点3に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明及び甲2技術に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできない。
ウ してみると、上記相違点1~3に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に想到し得たということはできない。
エ 申立人の主張
(ア)申立人は、異議申立書において、特に相違点について、次の主張をしている。
「エ)甲1発明に基づく相違点1の検討
相違点1においては、報知する対象が、甲1発明が「各ラウンドが終了した旨」であるのに対して、本件特許発明が「獲得した価値の大きさ」と表現されており、一見異なるもののようにも窺える。
しかしながら、甲1発明において、各ラウンド毎に与えられる価値は、例えば、甲第1号証の段落【0418】に、「大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置750の・・・中略・・・」と記載されており、ここで、通常は29秒間のうちに7個の大入賞口への入賞球が発生して大入賞口が閉じられる蓋然性が極めて大きいことから(遊技に慣れていない初心者等が予測のできない打球を連発するような場合はさておき、通常、遊技者には、7個乃至10個(機種による)の入賞球が発生して大入賞口が閉じられることとなることが多いことは自明の事項である。)、遊技者には認識可能のものである。
これらをまとめてみれば、ラウンドが終了した旨の報知は、[7個(入賞球の数)×1つの入賞球当たりの賞球数]に相当する賞球が得られたことを実質的に表すことから、遊技者であれば、その価値(すなわち、1ラウンド当たりの賞球数。)を普通に認識できるし、通常その賞球数を念頭において遊技に望むことは当然の前提と言っても良い(・・・中略・・・)。
したがって、甲1発明において、「各ラウンドが終了した旨」の報知は、実質的に、「獲得した価値の大きさ」を報知することに等しく、相当関係にある。
よって、相違点は、表現が異なるだけで、実質的な相違点ではない。
そうすると、本件特許発明は、実質的に甲1発明である。」(異議申立書17頁1行~26行)
(イ)上記(ア)の申立人の主張に対しては、本件訂正発明と甲1発明とに相違点1~3があることは、上記「(1)対比」で説示したとおりであるとともに、「ラウンドが終了した旨」の報知と、「獲得した価値の大きさ」の報知とが、異なる報知であることは明らかであるため、それらが実質的に等しく、相当関係にあるという申立人の主張は妥当ではなく採用することができない。
(ウ)また、申立人は、異議申立書において、さらに、次の主張をしている。
「なお、仮に、相違点1を実質的な相違点とみる余地があったとしても、次に説明するとおり、さらに甲第2号証に記載された発明(以下、「甲2発明」と略記する。)を適用することにより、相違点1は、当業者が容易になし得たものである。
・・・中略・・・
カ)甲1発明及び甲2発明等に基づく相違点1の検討
甲2発明は、換言すれば、甲1発明のような遊技機(遊技台)において、1ラウンド毎に与えられた賞球数を報知する報知手段を有するものである。
また、そのように1ラウンド毎に与えられた賞球数を表示することは、甲2発明以外にも、例をあげるまでもなく古くから知られている報知手段であって、周知技術である。
そして、入賞球によりどの程度の数の賞球が獲得できたかを知ることが遊技者の通常の欲求であり、それが、単純入賞獲得数は勿論、ラウンド入賞獲得数、総入賞獲得数のいずれであっても変わらないことは当業者にとって自明であるから、一つの趣向として、甲1発明においてラウンド数が獲得賞球数の目安になることを契機として、より具体的な獲得賞球数を報知するための手段として甲2発明の報知手段又は周知技術を採用して相違点1の如き構成を実現することは、報知の際の表現の態様又は演出の有様が異なる程度であって、その技術分野の機能又は作用の共通性からみて、当業者であれば容易に想到し得るものであるといえる。
その上、甲1発明の解決しようとする課題が、「複数の報知対象を液晶表示器などの同じ手段を用いて報知する場合には、当該複数の報知対象の報知が重なることにより遊技者に対して混同を生じさせる虞があった。」(【0005】)にあることを想起してみれば、相違点1に関して、甲1発明の報知を好悪2発明に示す類似の報知手段又は周知技術に転換したとしても、同様の課題が存在し、そして甲1発明の構成eによりその課題が解決されることは当業者にとって明らかである。」(異議申立書17頁27行~19頁17行)
(エ)上記(ウ)の申立人の主張に対しては、本件訂正発明と甲1発明とに相違点1~3があることは、上記「(1)対比」で説示したとおりであるとともに、各ラウンド毎にラウンド数を報知している甲1発明に甲2技術を適用する動機付けはないし、仮に適用できたとしても、甲1発明において、「各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知」するときに「所定賞球獲得数」を報知するものにとどまり、「賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるとき」にどのように処理するのかについては甲2技術に何らの記載も示唆もないことは、上記「イ 相違点3について」で説示したとおりである。
よって、申立人の主張は妥当ではなく採用することができない。
(3)まとめ
以上のことから、本件訂正発明は、甲1発明ではなく、また、本件訂正発明は、甲1発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、本件訂正発明は、特許法第29条第1項第3号の規定及び特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
第7 特許異議申立人の意見
申立人は、意見書(4頁8行~25行)において「これらの記載によれば、「第2報知」は、「累積賞球数報知演出」は、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」や「10000個」に到達したことを報知する、いわゆる到達報知である。(本件特許明細書等には、第2報知は、累積賞球数が、所定数(5000個、10000個、20000個、30000個)に到達したことを報知するものであることしか記載されていない)。
しかしながら、本件訂正発明の構成E及びIでは、「第2報知」は、「連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」である「特別期間において獲得した価値の大きさを報知する」とのみ記載され、報知の契機となる賞球数や報知タイミングについては何ら特定されていない。このため、本件訂正発明の「第2報知」は、連チャン中の大当り中に賞球として払い出された累積賞球を計数し、その計数値を表示すること(例えばリアルタイムで表示することなど)なども含むものとなっている。
そうすると、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に関する訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないこととなる。」及び意見書(8頁7行~9頁11行)において、「以上に摘記した如く、本件特許明細書の発明の詳細な説明等には、賞球数を計数して計数値を逐一表示するのではなく、獲得した賞球数がある特定値に到達したことを報知するものが記載されている。・・・中略・・・そうすると、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件特許の明細書又は図面に記載した事項の範囲を超えて、幅広く他の報知の態様であっても含むこととなる。
したがって、特許請求の範囲の請求項1の記載に関する訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。」と主張している。
しかしながら、上記「第3」の構成Dで「前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」、構成Eで「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、」と記載されているから、それらを併せて考慮すると、申立人が主張するように「第2報知」を「リアルタイムで表示する」と、「第1報知」を実行するときには、常に「第2報知」の実行期間が重複することとなる上、「第2報知」は常に実行されていることから、「第2報知の実行期間」を「変更する」との記載との整合性がとれなくなるため、「第2報知」を「リアルタイムで表示する」態様が合理的でないことは明らかであって、上記申立人の主張は妥当ではないから採用することができない。
また、申立人は、意見書(9頁23行~10頁10行)において「そうすると、連チャン中の大当りと大当たりとの間の、確変状態や時短状態等の期間が、連チャン及び大当りの制御と関連して制御されることが普通であるにもかかわらず、構成要件Iに含まれてしまい、前記のとおり、「本件特許の明細書には、特別期間は、大当たり中に獲得した価値としての賞球数を報知することのみが」記載されていることからみれば、それ以外の賞球数を報知することを含み得ることとなる。
そうすると、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件特許の明細書又は図面に記載した事項の範囲を超えて、幅広く他の報知の態様であっても含むこととなる。
したがって、特許請求の範囲の請求項1の記載に関する訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。」と主張している。
しかしながら、本件訂正により、上記申立人が主張する「それ以外の賞球数を報知すること」を含まなくなったことは、上記「第5 2」で説示したとおりであるから、上記申立人の主張は妥当ではないから採用することができない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した理由及び証拠方法によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700885