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特許異議申立

2025-700760

遊技機

審判番号
2025-700760
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-204185
登録番号
7648511
請求日
2025年07月24日
審決日
2026年03月26日
公報発行日
2026年07月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社三共
  • 【権利者代理人】創和国際特許事務所弁理士法人
  • 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 ▲吉▼川 康史
  • 審判官 蔵野 いづみ
  • 審判官 山崎 仁之
分類
P1651.851-YAA(A63F) / P1651.853-YAA(A63F) / P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7648511号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7648511号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第7648511号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7648511号(以下「本件特許」という。)に係る特許についての出願は、令和3年12月16日に出願され、令和7年3月10日にその特許権の設定登録がされ、同年同月18日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和7年 7月24日 特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会 社(以下「申立人」という。)による請求項 1に係る特許に対する特許異議の申立て 同年11月12日付け 取消理由通知書 令和8年 1月 7日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年 1月20日付け 手続補正指令書(方式) 同年 1月28日 手続補正書(方式)の提出(特許権者) 同年 3月10日 意見書の提出(申立人) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和8年1月28日提出の手続補正書により補正された同月7日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、「特許第7648511号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める。」というものであり、その内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」をまとめて「本件明細書等」という。)の【0470】に 「 また、主制御部161は、メダル数制御部171からの投入コマンドなどの双方向性を有するコマンドを第1シリアル通信回路SR1の受信端子Rx1を用いて受信するとともに、応答コマンドを第1シリアル通信回路SR1の送信端子Tx1を用いて送信する。これにより、主制御部161とメダル数制御部171との間の双方向性を有するコマンドの送受信を第1シリアル通信回路SR1だけで完結させることができ、セキュリティを高めることができる。」とあるのを、 「 また、メダル数制御部171は、主制御部161からの投入コマンドなどの双方向性を有するコマンドを第5シリアル通信回路SR5の受信端子Rx5を用いて受信するとともに、応答コマンドを第5シリアル通信回路SR5の送信端子Tx5を用いて送信する。これにより、主制御部161とメダル数制御部171との間の双方向性を有するコマンドの送受信を第5シリアル通信回路SR5だけで完結させることができ、セキュリティを高めることができる。」に訂正し、 本件明細書等の【0471】に 「 また、図41にて説明したように、主制御部161は、投入コマンドなどの不定期に送信される双方向性を有するコマンドを受信したときに、メダル数制御部171に受信した旨を示す応答コマンドを送信する。これにより、メダル数制御部171は、投入コマンドなどが主制御部161によって正常受信されたことを判定できる。」 とあるのを、 「 また、図41にて説明したように、メダル数制御部171は、投入コマンドなどの不定期に送信される双方向性を有するコマンドを受信したときに、主制御部161に受信した旨を示す応答コマンドを送信する。これにより、主制御部161は、投入コマンドなどがメダル数制御部171によって正常受信されたことを判定できる。」 に訂正する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「 前記価値制御手段は、 前記遊技制御手段に対し該価値制御手段の制御状態を特定可能な価値制御側情報コマンドを所定期間毎に送信する定期コマンド送信処理と、 前記遊技制御手段に対し該遊技制御手段からのコマンドを受信したときに該コマンドに応じて応答コマンドを送信する応答コマンド送信処理と、を実行し、 送信するためのデータを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドを送信する第1通信手段と、 送信するためのデータを格納可能である第2送信バッファに格納されたコマンドを送信する第2通信手段と、を有し、 定期コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第1通信手段を用いて前記遊技制御手段に送信され、 応答コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第2通信手段を用いて前記遊技制御手段に送信される、」とあるのを、 「 前記価値制御手段は、 前記遊技制御手段に対し該価値制御手段の制御状態を特定可能な複数バイトから構成される価値制御側情報コマンドを所定期間毎に送信する定期コマンド送信処理と、 前記遊技制御手段に対し該遊技制御手段からのコマンドを受信したときに該コマンドに応じて複数バイトから構成される応答コマンドを送信する応答コマンド送信処理と、を実行し、 送信するための複数バイトのデータを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第1シリアル通信回路と、 送信するための複数バイトのデータを格納可能である第2送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第2シリアル通信回路と、を有し、 定期コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第1シリアル通信回路を用いて前記遊技制御手段に送信され、 応答コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第2シリアル通信回路を用いて前記遊技制御手段に送信される、」に訂正する。 (3) 訂正事項3 本件明細書等の【0006】に 「(A) 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 遊技の進行を制御する遊技制御手段と、 遊技者所有の遊技用価値に係る制御を行う価値制御手段と、を備え、 前記遊技制御手段は、前記価値制御手段に対し遊技の進行に応じてコマンドを送信し、 前記価値制御手段は、 前記遊技制御手段に対し該価値制御手段の制御状態を特定可能な価値制御側情報コマンドを所定期間毎に送信する定期コマンド送信処理と、 前記遊技制御手段に対し該遊技制御手段からのコマンドを受信したときに該コマンドに応じて応答コマンドを送信する応答コマンド送信処理と、を実行し、 送信するためのデータを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドを送信する第1通信手段と、 送信するためのデータを格納可能である第2送信バッファに格納されたコマンドを送信する第2通信手段と、を有し、 定期コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第1通信手段を用いて前記遊技制御手段に送信され、 応答コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第2通信手段を用いて前記遊技制御手段に送信される。」とあるのを、 「(A) 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 遊技の進行を制御する遊技制御手段と、 遊技者所有の遊技用価値に係る制御を行う価値制御手段と、を備え、 前記遊技制御手段は、前記価値制御手段に対し、遊技の進行に応じてコマンドを送信し、 前記価値制御手段は、 前記遊技制御手段に対し該価値制御手段の制御状態を特定可能な複数バイトから構成される価値制御側情報コマンドを所定期間毎に送信する定期コマンド送信処理と、 前記遊技制御手段に対し該遊技制御手段からのコマンドを受信したときに該コマンドに応じて複数バイトから構成される応答コマンドを送信する応答コマンド送信処理と、を実行し、 送信するための複数バイトのデータを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第1シリアル通信回路と、 送信するための複数バイトのデータを格納可能である第2送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第2シリアル通信回路と、を有し、 定期コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第1シリアル通信回路を用いて前記遊技制御手段に送信され、 応答コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第2シリアル通信回路を用いて前記遊技制御手段に送信される。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、及び独立特許要件 (1) 訂正事項1 ア 訂正の目的 本件明細書等の【0009】、【0118】、【0130】~【0132】、【0147】、【0149】、【0182】、【0183】、【0191】、【0193】~【0196】、【0200】~【0204】には、「実施の形態1」の説明として、一貫して「主制御部161」が「投入コマンド」、「精算コマンド」などのコマンドを「メダル数制御部171」に対して送信し、「メダル数制御部171」が、「投入コマンド」、「精算コマンド」など、「主制御部161」から不定期に送信されるコマンドを受信したときに、「メダル数制御部171」が、受信した旨を示す「応答コマンド」を「主制御部161」に対して送信することが記載されている。 次に、本件明細書等には、「実施の形態2」の説明として以下の記載がある(下線は当審で付した。)。 「【0460】 実施の形態2. 以下では、演出制御部151、主制御部161、メダル数制御部171、CU制御部323との間における通信について、実施の形態2を用いて説明する。実施の形態1では、主制御部161は、主制御基板16に含まれ、メダル数制御部171は、メダル数制御基板17に含まれる構成について説明した。実施の形態2のS台2では、メダル数制御部171が主制御部161とともに、主制御基板16に含まれる構成について説明する。 【0461】 図79は、実施の形態2におけるカードユニットおよびスロットマシンの内部構成を示すブロック図である。図79に示されるように、主制御部161は、メダル数制御部171および主制御部161の両方を含む。すなわち、主制御部161とメダル数制御部171とは、同一の基板上に搭載されている。これにより、主制御部161とメダル数制御部171との間をコネクタ等によって接続する必要がなく、セキュリティを高めることができる。また、部品点数が少なくなることによって、不具合が発生する確率を低減させることができる。 ・・・ 【0464】 図80は、演出制御部151、主制御部161、メダル数制御部171、CU制御部323の通信を説明するための図である。図80に示されるように、実施の形態2における主制御基板16には、メダル数制御部171と主制御部161とが搭載されている。主制御部161は、第1シリアル通信回路SR1と、第2シリアル通信回路SR2と、第3シリアル通信回路SR3とを備える。第1シリアル通信回路SR1~第3シリアル通信回路SR3は、マイコンなどの制御用コンピュータとして実現される主制御部161に搭載されているシリアル通信回路である。メダル数制御部171は、第4シリアル通信回路SR4と、第5シリアル通信回路SR5と、第6シリアル通信回路SR6とを備える。第4シリアル通信回路SR4~第6シリアル通信回路SR6も、マイコンなどの制御用コンピュータとして実現されるメダル数制御部171に搭載されているシリアル通信回路である。 【0465】 主制御部161の第1シリアル通信回路SR1および第3シリアル通信回路SR3は、送信機能および受信機能を有する。図80に示されるように、第1シリアル通信回路SR1は、他の機器と接続するための端子として、送信端子Tx1と、受信端子Rx1とを有する。また、第1シリアル通信回路SR1は、送信用のバッファである送信バッファTb1と、受信用のバッファである受信バッファRb1とを有する。また、第3シリアル通信回路SR3も、送信端子Tx3と、受信端子Rx3と、送信バッファTb3と、受信バッファRb3とを有する。 ・・・ 【0467】 メダル数制御部171の第5シリアル通信回路SR5および第6シリアル通信回路SR6は、第1シリアル通信回路SR1、第3シリアル通信回路SR3と同様に、送信機能および受信機能を有する。すなわち、第5シリアル通信回路SR5は、送信端子Tx5、受信端子Rx5、送信バッファTb5、受信バッファRb5を有する。また、第6シリアル通信回路SR6は、送信端子Tx6、受信端子Rx6、送信バッファTb6、受信バッファRb6を有する。また、メダル数制御部171の第4シリアル通信回路SR4は、主制御部161の第2シリアル通信回路と同様に送信機能だけを有する。すなわち、第4シリアル通信回路SR4は、送信端子Tx4と、送信バッファTb4とを有する。 【0468】 図80に示されるように、主制御部161とメダル数制御部171とは、第1シリアル通信回路SR1と第5シリアル通信回路SR5とを用いて、信号の通信を行う。上述したように、メダル数制御部171と主制御部161との間では、投入コマンド、精算コマンドなどの双方向性を有するコマンドが送信される。すなわち、メダル数制御部171と主制御部161との間の通信は、双方向通信を含む。このように、送信機能と、受信機能とを有する第1シリアル通信回路SR1と、第5シリアル通信回路SR5とを用いることにより、双方向通信を実現する。 【0469】 また、メダル数制御部171とCU制御部323との通信は双方向通信であるため、メダル数制御部171では、接続端子板1000との通信のために、送信機能と受信機能の両方を有する第6シリアル通信回路SR6が用いられている。メダル数制御部171は、接続端子板1000を介してCU制御部323と接続されている。また、枠側情報コマンドは、双方向性を有さないメダル数制御基板17から主制御基板16への一方向で送信し続けるコマンドである。メダル数制御部171は、送信機能だけを有する第4シリアル通信回路SR4を用いて、枠側情報コマンドを、主制御部161の第3シリアル通信回路SR3に対して送信する。第3シリアル通信回路SR3は、試験信号を試験用基板300に送信する。このように、実施の形態2におけるS台2では、一方向通信については、送信機能だけを有するシリアル通信回路を用いて行い、双方向通信については、送信機能と受信機能との両方を有するシリアル通信回路を用いて行うことにより、一方向でのコマンド送信と、双方向でのコマンド送信とを分けてシリアル通信回路を使用することができ、好適なデータの通信をすることができる。」 「【図80】 [図:0001437390000001.jpg] 」 このように本件明細書等に記載の「実施の形態2」は、「実施の形態1」においては、「主制御部161」が「主制御基板16」に含まれ、「メダル数制御部171」が「メダル数制御基板17」に含まれる構成であるのに対し、「メダル数制御部171」が「主制御部161」とともに、「主制御基板16」に含まれる構成であり、それ以外の「主制御部161」と「メダル数制御部171」の間の通信に関する構成、すなわち「主制御部161」から「メダル数制御部171」に対して送信する投入コマンドや精算コマンド等のコマンド及びその送信条件、「メダル数制御部171」から「主制御部161」に対して送信する応答コマンド、枠側情報コマンド等のコマンド及びその送信条件についての構成を踏襲するものである。 そのうえで本件明細書等の「実施の形態2」には、「主制御部161」と「メダル数制御部171」との間で、送信機能と、受信機能とを有する「第1シリアル通信回路SR1」と、「第5シリアル通信回路SR5」とを用いることにより、双方向通信が行われること(【0468】、図80)、「メダル数制御基板17」から「主制御基板16」への一方向で送信し続ける「枠側情報コマンド」については、送信機能だけを有する「第4シリアル通信回路SR4」を用いること(【0469】)、これらの構成により「一方向通信については、送信機能だけを有するシリアル通信回路を用いて行い、双方向通信については、送信機能と受信機能との両方を有するシリアル通信回路を用いて行うことにより、一方向でのコマンド送信と、双方向でのコマンド送信とを分けてシリアル通信回路を使用することができ、好適なデータの通信をすることができる」こと(【0469】)が記載されている。 一方、「実施の形態2」の説明として、 「【0470】 また、主制御部161は、メダル数制御部171からの投入コマンドなどの双方向性を有するコマンドを第1シリアル通信回路SR1の受信端子Rx1を用いて受信するとともに、応答コマンドを第1シリアル通信回路SR1の送信端子Tx1を用いて送信する。これにより、主制御部161とメダル数制御部171との間の双方向性を有するコマンドの送受信を第1シリアル通信回路SR1だけで完結させることができ、セキュリティを高めることができる。 【0471】 また、図41にて説明したように、主制御部161は、投入コマンドなどの不定期に送信される双方向性を有するコマンドを受信したときに、メダル数制御部171に受信した旨を示す応答コマンドを送信する。これにより、メダル数制御部171は、投入コマンドなどが主制御部161によって正常受信されたことを判定できる。」 と記載されている。 このように【0470】、【0471】には、「投入コマンドなどの双方向性を有するコマンド」及び「投入コマンドなどの不定期に送信される双方向性を有するコマンド」について、「メダル数制御部171」が送信し、「主制御部161」が受信し、また、「応答コマンド」について、「主制御部161」から「メダル数制御部171」に送信することについて記載されているが、「実施の形態1」の構成、すなわち「主制御部161」が「投入コマンド」、「精算コマンド」などのコマンドを「メダル数制御部171」に対して送信し、「メダル数制御部171」が、「投入コマンド」、「精算コマンド」など、「主制御部161」から不定期に送信されるコマンドを受信したときに、「メダル数制御部171」が、受信した旨を示す「応答コマンド」を「主制御部161」に対して送信する構成と矛盾している。 このため、【0470】の「主制御部161は、メダル数制御部171からの投入コマンドなどの双方向性を有するコマンドを第1シリアル通信回路SR1の受信端子Rx1を用いて受信するとともに、応答コマンドを第1シリアル通信回路SR1の送信端子Tx1を用いて送信する。」において、「主制御部161」が「メダル数制御部171」からの「投入コマンドなどの双方向性を有するコマンド」を受信する構成は、実施の形態1の構成と整合しておらず、「メダル数制御部171」が「主制御部161」からの「投入コマンドなどの双方向性を有するコマンド」を受信する構成が本来の意味する内容であることは明らかである。 また、【0471】の「図41にて説明したように、主制御部161は、投入コマンドなどの不定期に送信される双方向性を有するコマンドを受信したときに、メダル数制御部171に受信した旨を示す応答コマンドを送信する。これにより、メダル数制御部171は、投入コマンドなどが主制御部161によって正常受信されたことを判定できる。」において、「主制御部161」が、「投入コマンドなどの不定期に送信される双方向性を有するコマンド」を受信したときに、「メダル数制御部171」に「応答コマンド」を送信する構成、及び「メダル数制御部171」が、「投入コマンド」などが「主制御部161」によって正常受信されたことを判定する構成は、実施の形態1の構成と整合しておらず、「メダル数制御部171」が「主制御部161」からの「投入コマンドなどの双方向性を有するコマンド」を受信し、「メダル数制御部171」が「投入コマンドなどの双方向性を有するコマンド」を受信したときに、「主制御部161」に「応答コマンド」を送信する構成、これにより「主制御部161」が、「投入コマンド」などが「メダル数制御部171」によって正常受信されたことを判定する構成が本来の意味する内容であることは明らかである。 さらに、【0467】、【0468】及び図80に記載されているように、「メダル数制御部171」が「投入コマンドなどの双方向性を有するコマンド」を受信するのは、「第1シリアル通信回路SR1」ではなく、「メダル数制御部171」が備える「第5シリアル通信回路SR5」であって、【0470】における「第1シリアル通信回路SR1」、「第1シリアル通信回路SR1の受信端子Rx1」、「第1シリアル通信回路SR1の送信端子Tx1」はいずれも本件明細書等の他の記載と整合していない記載であることは明らかであり、「メダル数制御部171」は、「主制御部161」からの「投入コマンドなどの双方向性を有するコマンド」を「第5シリアル通信回路SR5の受信端子Rx5」を用いて受信し、「応答コマンド」を「第5シリアル通信回路SR5の送信端子Tx5を用いて送信し、これにより、「主制御部161とメダル数制御部171との間の双方向性を有するコマンド」の送受信を「第5シリアル通信回路SR5」だけで完結させることができる構成が本来の意味する内容である。 以上のとおり、【0470】、【0471】の記載は、本件明細書等の他の記載との関係において整合しておらず、不合理を生じている記載であり、訂正事項1は、当該不合理を生じている記載を正すことを目的とするものである。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アの検討をふまえると、訂正事項1は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (2) 訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2に係る訂正は、請求項1に記載された「価値制御側情報コマンド」及び「応答コマンド」について、いずれも「複数バイトから構成される」ことを特定して限定し、同じく請求項1に記載された「送信するためのデータを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドを送信する第1通信手段」について、「データ」が「複数バイト」からなるものであること、「シリアル通信にて送信する」ことを特定して限定した上で、「第1通信手段」が「第1シリアル通信回路」であることを特定して限定し、同じく請求項1に「送信するためのデータを格納可能である第2送信バッファに格納されたコマンドを送信する第2通信手段」について、「データ」が「複数バイト」からなるものであること、「シリアル通信にて送信する」ことを特定して限定した上で、「第2通信手段」が「第2シリアル通信回路」であることを特定して限定することで、特許請求の範囲を減縮するものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項2は、本件明細書等の【0183】、【0184】、【0191】、【0468】及び【0469】に記載されるものであり、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アで説示したとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (3) 訂正事項3 訂正事項3は、訂正事項2の訂正による特許請求の範囲の訂正に伴い、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるために行う明細書についての訂正である。 そうすると、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また、上記(2)の検討をふまえると、訂正事項3は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (4) 独立特許要件について 本件訂正においては、訂正前の請求項1が特許異議の申立ての対象とされているので、上記(2)アのとおり請求項1について特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1に係る発明には、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3 小括 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項~第7項の規定に適合する。 したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 第3 訂正後の特許発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1に係る発明は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下「本件訂正発明」という。また、「A」等は、当審で付した。以下「A」等を付した事項を「特定事項A」等という。)。 「【請求項1】 A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 B 遊技の進行を制御する遊技制御手段と、 C 遊技者所有の遊技用価値に係る制御を行う価値制御手段と、を備え、 D 前記遊技制御手段は、前記価値制御手段に対し、遊技の進行に応じてコマンドを送信し、 E 前記価値制御手段は、 E1 前記遊技制御手段に対し該価値制御手段の制御状態を特定可能な複数バイトから構成される価値制御側情報コマンドを所定期間毎に送信する定期コマンド送信処理と、 E2 前記遊技制御手段に対し該遊技制御手段からのコマンドを受信したときに該コマンドに応じて複数バイトから構成される応答コマンドを送信する応答コマンド送信処理と、を実行し、 E3 送信するための複数バイトのデータを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第1シリアル通信回路と、 E4 送信するための複数バイトのデータを格納可能である第2送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第2シリアル通信回路と、を有し、 F 定期コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第1シリアル通信回路を用いて前記遊技制御手段に送信され、 G 応答コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第2シリアル通信回路を用いて前記遊技制御手段に送信される、 H 遊技機。」 第4 特許異議申立理由の概要、証拠方法及び取消理由通知において通知した取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、概ね以下の申立理由を主張するとともに、証拠方法として下記2に示す各甲号証を提出している。 (1) 申立理由1(新規性欠如) 請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。 (2) 申立理由2(進歩性欠如) 請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 証拠方法 (1) 申立書に添付して提出された証拠 甲第1号証:特開2019-187859号公報 (2) 令和8年3月10日提出の意見書(以下「申立人意見書」という。)に添付して提出された証拠 甲第2号証:特開2021-154098号公報 (以下、「甲第1号証」等を「甲1」等という。) 3 取消理由通知において通知した取消理由の概要 当審において令和7年11月12日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。 取消理由1(新規性)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 ・引用文献等 甲1 取消理由2(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ・引用文献等 甲1 なお、取消理由通知書に記載した上記取消理由は、申立人が申し立てた理由と同趣旨であり、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。 第5 証拠について 1 甲1 (1) 記載事項 甲1には、以下の記載がある(下線は当審で付した。)。 「【0019】 以下、本発明の各種実施形態に係る遊技機としてパチスロを例に挙げ、図面を参照しながら、その構成及び動作について説明する。また、本実施形態では、従来のようにメダルを用いて遊技を行う遊技機ではなく、遊技に用いられる遊技媒体の貸出数、貯留数(クレジット数)、投入数(ベット数)、払出数、精算数等が電磁的に管理(電子データで管理)される遊技機、所謂、メダルレス遊技機(CR遊技機)について説明する。」 「【0075】 パチスロ1は、主制御基板41と、副制御基板42とを有する。また、パチスロ1は、主制御基板41に接続された、払出制御基板43、ドア中継基板44、設定用鍵型スイッチ32(設定スイッチ)、リセットスイッチ33、リールユニット12及び電源装置30を有する。また、パチスロ1は、ドア中継基板44を介して、主制御基板41に接続された、ドア開閉監視スイッチ31、ストップスイッチ基板23(ストップスイッチ)、MAXBETスイッチ16S、1BETスイッチ17S、返却スイッチ20S、スタートスイッチ22S及び遊技動作表示基板26を有する。」 「【0101】 主制御基板41は、主制御用マイクロプロセッサ50と、クロックパルス発生回路51と、電源管理回路52と、バッファIC53と、役比モニター54(割合表示器)とを備える。なお、主制御用マイクロプロセッサ50及び役比モニター54の構成については後で詳述する。」 「【0106】 主制御用マイクロプロセッサ50は、メインCPU101と、メインROM102と、メインRAM103と、外部バスインターフェース104と、クロック回路105と、リセットコントローラ106と、演算回路107と、照合用ブロック108と、固有情報109と、乱数回路110(乱数発生回路)と、パラレル入力ポート111と、割込みコントローラ112と、タイマー回路113と、シリアル通信回路114と、パラレル出力ポート115と、信号バス116(ローカルバス)と、を有する。そして、主制御用マイクロプロセッサ50を構成する信号バス116以外の各部は信号バス116を介して互いに接続されている。 【0107】 メインCPU101は、クロック回路105で生成されたクロックパルスに基づいて、各種制御プログラムを実行して、遊技動作全般に係る制御を行う。ここで、メインCPU101の制御動作の一例としてリール停止制御について説明する。 ・・・ 【0117】 割込みコントローラ112は、パラレル入力ポート111を介して電源管理回路52から入力される電断検知信号、又は、タイマー回路113から1.1172msec周期で入力されるタイムアウト信号に基づいて、メインCPU101による割込処理の実行タイミングを制御する。電源管理回路52から電断検知信号が入力された場合、又は、タイマー回路113からタイムアウト信号が入力された場合には、割込みコントローラ112は、割込処理開始指令を示す割込要求信号をメインCPU101に出力する。メインCPU101は、タイマー回路113からのタイムアウト信号に応じて割込みコントローラ112から入力される割込要求信号に基づいて、ポート入力処理、リール制御処理、副制御基板42へのデータ送信処理、払出制御基板43へのデータ送信処理、7セグLED駆動処理、タイマー更新処理等の各種割込処理を行う(後述の図31参照)。 ・・・ 【0119】 シリアル通信回路114は、主制御基板41と、主制御基板41の外部に設けられた各種基板(例えば、副制御基板42、払出制御基板43)との間でデータ(各種制御指令(コマンド)、各種データ等)をシリアル通信する際の制御を行う通信回路である。なお、本実施形態では、シリアル通信回路114は、4つの通信回路SCU0~SCU3で構成され、通信回路SCU0のみが双方向シリアル通信回路で構成され、通信回路SCU1~SCU3は送信専用のシリアル通信回路で構成される。本実施形態では、主制御基板41(主制御用マイクロプロセッサ50)及び払出制御基板43(後述の払出制御用マイクロプロセッサ60)間では、後述するように、双方向のシリアル通信を行うので、主制御側では、通信回路SCU0が使用される。」 「【0138】 払出制御基板43は、払出制御用マイクロプロセッサ60(払出制御回路)と、クロックパルス発生回路61と、電源管理回路62と、バッファIC63とを備える。なお、払出制御用マイクロプロセッサ60の構成については後で詳述する。 ・・・ 【0140】 バッファIC63は、払出制御用マイクロプロセッサ60内の後述の外部バスインターフェース124に接続される。また、バッファIC63は、遊技球等接続端子板45内に設けられた、後述の接続機構部45a(後述の図52A参照)を介して遊技媒体貸出装置2に接続され、後述の外部端子回路45b(後述の図52A参照)を介してデータ表示器等の周辺機器300に接続される。また、バッファIC63は、主制御基板41のバッファIC53と接続され、バッファIC53に対して各種信号の入出力を行う。」 「【0142】 払出制御用マイクロプロセッサ60は、払出CPU121と、払出ROM122と、払出RAM123と、外部バスインターフェース124と、クロック回路125と、リセットコントローラ126と、演算回路127と、照合用ブロック128と、固有情報129と、パラレル入力ポート131と、割込みコントローラ132と、タイマー回路133と、シリアル通信回路134と、パラレル出力ポート135と、信号バス136(ローカルバス)と、を有する。そして、払出制御用マイクロプロセッサ60を構成する信号バス136以外の各部は信号バス136を介して互いに接続されている。 ・・・ 【0144】 払出CPU121は、クロック回路125で生成されたクロックパルスに基づいて、各種制御プログラムを実行して、主に、払出時及び精算時における遊技媒体の計数動作に係る制御を行う。 ・・・ 【0149】 割込みコントローラ132は、パラレル入力ポート131を介して電源管理回路62から入力される電断検知信号、又は、タイマー回路133から1msec周期で入力されるタイムアウト信号に基づいて、払出CPU121による割込処理の実行タイミングを制御する。電源管理回路62から電断検知信号が入力された場合、又は、タイマー回路133からタイムアウト信号が入力された場合には、割込みコントローラ132は、割込処理開始指令を示す割込要求信号を払出CPU121に出力する。払出CPU121は、タイマー回路133からのタイムアウト信号に応じて割込みコントローラ132から入力される割込要求信号に基づいて、ポート入力処理、遊技情報受信時処理、主制御基板41へのデータ送信処理、周辺機器へのデータ送信処理、周辺機器からのデータ受信処理、ポート出力処理等の各種割込処理を行う(後述の図43参照)。 ・・・ 【0151】 シリアル通信回路134は、払出制御基板43と、主制御基板41との間でデータ(各種制御信号、各種データ等)をシリアル通信する際の制御を行う通信回路である。なお、本実施形態では、シリアル通信回路134は、1つの通信回路SCUで構成され、通信回路SCUは双方向シリアル通信回路で構成される。」 「【0154】 本実施形態の遊技システム10における主制御基板41及び払出制御基板43間のデータ通信機構は、図11に示すように、主制御基板41のシリアル通信回路114(SCU0)の受信ポートRX0と払出制御基板43のシリアル通信回路134(SCU)の送信ポートTXとをシリアル通信用の信号線で接続し、主制御基板41のシリアル通信回路114(SCU0)の送信ポートTX0と払出制御基板43のシリアル通信回路134(SCU)の受信ポートRXとをシリアル通信用の信号線で接続することにより構成される(所謂、クロス接続により構成される)。そして、主制御基板41及び払出制御基板43間では、半二重のシリアル通信方式でデータ通信が行われる。なお、主制御基板41及び払出制御基板43間で行われる半二重のシリアル通信では、主制御基板41がマスター、払出制御基板43がスレーブの関係となる。 【0155】 また、本実施形態の遊技システム10では、上述したデータ通信機構(シリアル回線)とは別に、遊技媒体の投入可能数(貯留数)に対応する情報(以下、「遊技媒体状態」という)を払出制御基板43から主制御基板41に出力するデータ入出力機構(以下、「遊技媒体状態機能」という)を主制御基板41及び払出制御基板43間に設ける。なお、本実施形態では、遊技媒体数の全ての管理を払出制御基板43で行うので、払出制御基板43の払出RAM123内には、遊技媒体の貯留数(投入可能数、クレジット数)を計数するための遊技媒体カウンター(格納領域)が設けられている。そして、遊技媒体状態機能では、この遊技媒体カウンターの値に関する情報が遊技媒体状態として払出制御基板43から主制御基板41に出力される。 【0156】 遊技媒体状態機能は、GPIO(General Purpose Input/Output:汎用IO)でデータの入力又は出力が設定可能な2つのポートを使用して構成される。具体的には、遊技媒体状態機能は、図11に示すように、主制御基板41の第1入力ポートPI0と払出制御基板43の第1出力ポートPO0とを第1の信号線で接続し、主制御基板41の第2入力ポートPI1と払出制御基板43の第2出力ポートPO1とを第2の信号線で接続することにより構成される。なお、本実施形態では、GPIOは、主制御基板41のバッファIC53、及び、払出制御基板43のバッファIC63にそれぞれに設けられた入力ポート及び出力ポートにより構成されており、図11では簡略化されて図示されている。GPIOは、入力ポート又は出力ポートに設定できる汎用ポートを意味する。 ・・・ 【0160】 このように、本実施形態では、主制御基板41側において、払出制御基板43で管理される遊技媒体の投入可能数(遊技媒体カウンターの値)を遊技媒体状態機能により得られる遊技媒体状態(2ビット情報)に基づいて把握することができる。その結果、主制御基板41側では、この遊技媒体状態機能から得られる最小限の情報により、遊技媒体の投入可能数が投入数の最大規定数(本実施形態では「3」)以上である否かを把握することができる。」 「【0385】 一方、S83において、メインCPU101が、スタートレバー22が押下されたと判定したとき(S83がYES判定である場合)、メインCPU101は、払出制御基板43に送信する遊技開始要求コマンドの送信登録処理を行う(S84)。本実施形態では、遊技開始要求コマンドには、コマンド種別情報、及び、RT状態に関する情報(後続データ)がセットされる。なお、この処理でメインRAM103内の図示しない通信データ格納領域(払出制御送信用)に登録(保存)された遊技開始要求コマンドは、後述の図31で説明する定周期割込処理(1.1172msec周期)内の払出制御送信処理で主制御基板41から払出制御基板43に送信される。 ・・・ 【0391】 一方、S91において、メインCPU101が、第3停止されたリールに対応するストップボタンのオフエッジを検出したと判定したとき(S91がYES判定である場合)、メインCPU101は、入賞判定処理を行う(S92)。この処理では、メインCPU101は、成立役(入賞役)を特定し、成立役(入賞役)から遊技媒体の払出数等を決定する。 【0392】 次いで、メインCPU101は、遊技状態更新処理を行う(S93)。この処理では、メインCPU101は、当該ゲームで決定された内部当籤役及び成立役や、現在の遊技状態及びRT状態などから、次ゲーム以降の遊技状態及びRT状態の維持、又は、移行処理を行う。 【0393】 次いで、メインCPU101は、払出制御基板43に送信する遊技終了要求コマンドの送信登録処理を行う(S94)。本実施形態では、遊技終了要求コマンドには、コマンド種別情報、及び、遊技状態に関する情報(後続データ)がセットされる。なお、この処理でメインRAM103内の図示しない通信データ格納領域(払出制御送信用)に登録(保存)された遊技終了要求コマンドは、後述の図31で説明する定周期割込処理(1.1172msec周期)内の払出制御送信処理で主制御基板41から払出制御基板43に送信される。」 「【0520】 [払出CPUの制御による定周期割込処理(1msec)] 次に、図43を参照して、1msec周期で、払出CPU121が行う定周期割込処理について説明する。なお、図43は、払出CPU121により実行される定周期割込処理の手順を示すフローチャートである。1msec周期で繰り返し実行される定周期割込処理は、タイマー回路133(PTC)の初期化処理(図33中のS201参照)で設定されたタイマー回路133のタイムアウト信号の出力タイミングに基づいて発生する、割込みコントローラ132からの割込要求信号が払出CPU121に入力された際に実行される処理である。 ・・・ 【0522】 次いで、払出CPU121は、遊技情報受信時処理を行う(S312)。この処理では、払出CPU121は、主制御基板41から受信した遊技状態に関するコマンドに対する応答コマンド(Ack又はNackコマンド)の送信登録処理、遊技媒体貸出装置2に送信する遊技情報コマンドの送信登録処理を行う。なお、遊技情報受信時処理については、後述の図44を参照しながら後で説明する。 【0523】 次いで、払出CPU121は、主制御送信処理(主制御基板41への通信データ送信処理)を行う(S313)。この処理では、払出CPU121は、払出RAM123内の通信データ格納領域(主制御送信用)に格納された各種コマンドをシリアル通信回路134中の通信回路SCU(図10参照)を介して主制御基板41に送信する。 ・・・ 【0526】 次いで、払出CPU121は、ポート出力処理を行う(S316)。この処理では、PRDY信号(STB信号)及びEXS信号(データ信号)に対して割り当てられた出力ポート以外の出力ポートに対してポート出力処理が行われる。なお、遊技媒体状態機能で制御される第1及び第2制御状態信号(払出CPU121からメインCPU101にGPIO方式で出力される制御状態信号)の状態のオン/オフ制御は、このポート出力処理において、遊技媒体カウンターの値に基づいて行われる。そして、S316の処理後、払出CPU121は、定周期割込処理を終了する。」 「【0528】 まず、払出CPU121は、主制御基板41から遊技開始要求コマンドを受信したか否かを判定する(S321)。 【0529】 S321において、払出CPU121が、遊技開始要求コマンドを受信したと判定したとき(S321がYES判定である場合)、払出CPU121は、遊技媒体貸出装置2に送信する遊技情報(遊技開始)コマンドの送信登録処理を行う(S322)。次いで、払出CPU121は、主制御基板41に送信するAckコマンド(了解応答コマンド)の送信登録処理を行う(S323)。そして、S323の処理後、払出CPU121は、後述のS329の処理を行う。 【0530】 一方、S321において、払出CPU121が、遊技開始要求コマンドを受信していないと判定したとき(S321がNO判定である場合)、払出CPU121は、主制御基板41から遊技終了要求コマンドを受信したか否かを判定する(S324)。 【0531】 S324において、払出CPU121が、遊技終了要求コマンドを受信したと判定したとき(S324がYES判定である場合)、払出CPU121は、遊技媒体貸出装置2に送信する遊技情報(遊技終了)コマンドの送信登録処理を行う(S325)。次いで、払出CPU121は、主制御基板41に送信するAckコマンド(了解応答コマンド)の送信登録処理を行う(S326)。そして、S326の処理後、払出CPU121は、後述のS329の処理を行う。」 (2) 甲1に記載された発明 上記(1)より、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「主制御基板41と、主制御基板41に接続された、払出制御基板43を有し、メダルレス遊技機(CR遊技機)であるパチスロ1であって(【0019】、【0075】)、 主制御基板41は、各種制御プログラムを実行して、遊技動作全般に係る制御を行うメインCPU101と、割込みコントローラ112と、タイマー回路113と、シリアル通信回路114と、を有する主制御用マイクロプロセッサ50と、バッファIC53とを備え(【0101】、【0106】、【0107】)、 メインCPU101は、タイマー回路113からのタイムアウト信号に応じて割込みコントローラ112から入力される割込要求信号に基づいて、ポート入力処理、払出制御基板43へのデータ送信処理等の各種割込処理を行い(【0117】)、 シリアル通信回路114は、主制御基板41と、主制御基板41の外部に設けられた払出制御基板43等の各種基板との間で各種制御指令(コマンド)等のデータをシリアル通信する際の制御を行う通信回路であり、4つの通信回路SCU0~SCU3で構成され、主制御基板41及び払出制御基板43間では、双方向のシリアル通信を行うので、主制御側では、通信回路SCU0が使用され(【0119】)、 払出制御基板43は、各種制御プログラムを実行して、主に、払出時及び精算時における遊技媒体の計数動作に係る制御を行う払出CPU121と、割込みコントローラ132と、タイマー回路133と、シリアル通信回路134と、を有する払出制御用マイクロプロセッサ60と、主制御基板41のバッファIC53と接続され、バッファIC53に対して各種信号の入出力を行うバッファIC63とを備え(【0138】、【0140】、【0142】、【0144】)、 払出CPU121は、タイマー回路133から1msec周期で入力されるタイムアウト信号に応じて割込みコントローラ132から入力される割込要求信号に基づいて、主制御基板41へのデータ送信処理、ポート出力処理等の各種割込処理を行い(【0149】)、 シリアル通信回路134は、払出制御基板43と、主制御基板41との間でデータ(各種制御信号、各種データ等)をシリアル通信する際の制御を行う通信回路であり、双方向シリアル通信回路で構成される1つの通信回路SCUで構成され(【0151】)、 主制御基板41及び払出制御基板43間のデータ通信機構は、主制御基板41のシリアル通信回路114(SCU0)の受信ポートRX0と払出制御基板43のシリアル通信回路134(SCU)の送信ポートTXとをシリアル通信用の信号線で接続し、主制御基板41のシリアル通信回路114(SCU0)の送信ポートTX0と払出制御基板43のシリアル通信回路134(SCU)の受信ポートRXとをシリアル通信用の信号線で接続することにより構成され(【0154】)、 シリアル回線による該データ通信機構とは別に、遊技媒体の投入可能数(貯留数)に対応する情報である遊技媒体状態を払出制御基板43から主制御基板41に出力するデータ入出力機構である遊技媒体状態機能を主制御基板41及び払出制御基板43間に設け、遊技媒体状態機能では、遊技媒体の貯留数(投入可能数、クレジット数)を計数するために払出制御基板43の払出RAM123内に設けられている遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報が遊技媒体状態(2ビット情報)として払出制御基板43から主制御基板41に出力されるものであり(【0155】、【0160】)、 遊技媒体状態機能は、GPIO(General Purpose Input/Output:汎用IO)でデータの入力又は出力が設定可能な2つのポートを使用して構成され、具体的には、遊技媒体状態機能は、主制御基板41の第1入力ポートPI0と払出制御基板43の第1出力ポートPO0とを第1の信号線で接続し、主制御基板41の第2入力ポートPI1と払出制御基板43の第2出力ポートPO1とを第2の信号線で接続することにより構成され、GPIOは、主制御基板41のバッファIC53、及び、払出制御基板43のバッファIC63にそれぞれに設けられた入力ポート及び出力ポートにより構成されており(【0156】)、 メインCPU101は、スタートレバー22が押下されたと判定したとき、払出制御基板43に送信する遊技開始要求コマンドの送信登録処理を行い(【0385】)、 その後、メインCPU101が、第3停止されたリールに対応するストップボタンのオフエッジを検出し(【0391】)、遊技状態更新処理を行った後に(【0392】)、メインCPU101は、払出制御基板43に送信する遊技終了要求コマンドの送信登録処理を行い(【0393】)、 これら保存された各コマンドは、払出制御送信処理で主制御基板41から払出制御基板43に送信され(【0385】、【0393】)、 1msec周期で、払出CPU121が繰り返し実行する定周期割込処理において(【0520】)、 払出CPU121は、主制御基板41から遊技開始要求コマンド、遊技終了要求コマンド等の遊技状態に関するコマンドを受信したと判定すると、払出CPU121は、主制御基板41に送信するAckコマンド(了解応答コマンド)の送信登録処理を行い(【0522】、【0528】~【0531】)、次いで、払出CPU121は、払出RAM123内の通信データ格納領域(主制御送信用)に格納された各種コマンドをシリアル通信回路134中の通信回路SCUを介して主制御基板41に送信し(【0523】)、 その後、出力ポートに対してポート出力処理が行われ、遊技媒体状態機能で制御され、払出CPU121からメインCPU101にGPIO方式で出力される制御状態信号である第1及び第2制御状態信号の状態のオン/オフ制御は、このポート出力処理において、遊技媒体カウンターの値に基づいて行われる(【0526】)、 パチスロ1(【0019】)。」 2 甲2 甲2には、以下の事項が記載されている(以下、それぞれ数字Nを付して「甲2記載事項N」という。)。 (1) 甲2記載事項1 「複数バイトから構成されているメダル数制御送信信号のうち、「メダル有無信号」又は「処理可能信号」に値「1」が設定されたメダル数制御送信信号」は、メダル数制御CPU301による処理が実施可能か否かを示す信号であり、「投入処理応答信号」、「払出処理応答信号」、又は「第2処理完了信号」に値「1」が設定された「メダル数制御送信信号」は、主制御CPU101からの信号に応答する信号であること(【0277】~【0279】、【0289】~【0290】、【0611】、【0613】~【0615】、図51)。」 (2) 甲2記載事項2 「通信方式としてパラレル通信とシリアル通信とが置換可能であり、遊技の進行に関する制御を行う主制御CPU101が実装された主制御基板100と、遊技者が所持する疑似メダルの枚数の管理に関わる制御を行うメダル数制御CPU301が実装されたメダル数制御基板300との間で送信される各種の情報がシリアル通信により双方向で送信されること(【0065】、【0602】)。」 第6 当審の判断 1 対比 本件訂正発明と甲1発明とを対比する。 (1) 特定事項A、H 甲1発明の「メダルレス遊技機(CR遊技機)」が「遊技を行うことが可能」であることは明らかであるから、甲1発明の「パチスロ1」は、本件訂正発明の「遊技機」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明の特定事項A、Hを備える。 (2) 特定事項B 甲1発明の「遊技動作全般に係る制御を行うメインCPU101」「を備え」る「主制御基板41」は、本件訂正発明の「遊技の進行を制御する遊技制御手段」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明の特定事項Bを備える。 (3) 特定事項C 甲1発明の「遊技媒体」は、本件訂正発明の「遊技用価値」に相当するから、甲1発明の「払出時及び精算時における遊技媒体の計数動作に係る制御を行う払出CPU121」「を備え」る「払出制御基板43」は、本件訂正発明の「遊技者所有の遊技用価値に係る制御を行う価値制御手段」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明の特定事項Cを備える。 (4) 特定事項D 甲1発明の「スタートレバー22が押下されたと判定」されると「送信」される「遊技開始要求コマンド」及び「第3停止されたリールに対応するストップボタンのオフエッジを検出し」た後に「送信」される「遊技終了要求コマンド」は、いずれも本件訂正発明の「遊技の進行に応じ」た「コマンド」に相当する。 そうすると、甲1発明の「主制御基板41」が備える「メインCPU101」が、「払出制御基板43」に「遊技開始要求コマンド」及び「遊技終了要求コマンド」を「送信」することは、本件訂正発明の「前記遊技制御手段は、前記価値制御手段に対し、遊技の進行に応じてコマンドを送信」することに相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明の特定事項Dを備える。 (5) 特定事項E、E1 甲1発明の「遊技媒体の貯留数(投入可能数、クレジット数)を計数するために払出制御基板43の払出RAM123内に設けられている遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報」は、「払出制御基板43」が行う「遊技媒体の計数動作に係る制御」に関わる情報であるから、甲1発明の「遊技媒体の貯留数(投入可能数、クレジット数)を計数するために払出制御基板43の払出RAM123内に設けられている遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報」を「遊技媒体状態」「として払出制御基板43から主制御基板41に出力」する「遊技媒体状態機能」は、本件訂正発明の「前記遊技制御手段に対し該価値制御手段の制御状態を特定可能な価値制御側情報コマンド」を「送信する」処理に相当するといえる。 そして、甲1発明の、「遊技媒体状態機能で制御され」る「制御状態信号」の「状態のオン/オフ制御」が、「1msec周期で、払出CPU121が繰り返し実行する定周期割込処理」の「ポート出力処理」において「行われる」ことは、本件訂正発明の「価値制御側情報コマンドを所定期間毎に送信する」ことに相当する。 以上のことから、甲1発明の「払出CPU121」を備える「払出制御基板43」は、本件訂正発明の「定期コマンド送信処理」を実行する「前記価値制御手段」の機能を備えているといえる。 よって、本件訂正発明の特定事項E、E1と甲1発明は、「前記価値制御手段は、前記遊技制御手段に対し該価値制御手段の制御状態を特定可能な」「価値制御側情報コマンドを所定期間毎に送信する定期コマンド送信処理」「を実行」する点で共通する。 (6) 特定事項E、E2 甲1発明の「Ackコマンド(了解応答コマンド)」は、「主制御基板41から遊技開始要求コマンド、遊技終了要求コマンド等の遊技状態に関するコマンドを受信」すると、「払出CPU121」が「主制御基板41に送信」するコマンドであるから、本件訂正発明の「前記価値制御手段」が、「遊技制御手段からのコマンドを受信したときに該コマンドに応じて」「遊技制御手段に対し」「送信」する「応答コマンド」に相当し、甲1発明において、「Ackコマンド(了解応答コマンド)」を「送信」する処理は、本件訂正発明の「応答コマンド送信処理」に相当する。 してみると、甲1発明の「払出CPU121」を備える「払出制御基板43」は、本件訂正発明の「応答コマンド送信処理」「を実行」する「前記価値制御手段」の機能を備えているといえる。 よって、本件訂正発明の特定事項E、E2と甲1発明は、「前記価値制御手段は」、「前記遊技制御手段に対し該遊技制御手段からのコマンドを受信したときに該コマンドに応じて」「応答コマンドを送信する応答コマンド送信処理と、を実行」する点で共通する。 (7) 特定事項E、E3、F ア 特定事項F 上記(5)を踏まえると、甲1発明の「遊技媒体状態機能」において「出力」される「遊技媒体の貯留数(投入可能数、クレジット数)を計数するために払出制御基板43の払出RAM123内に設けられている遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報」は、本件訂正発明の「定期コマンド送信処理により送信されるコマンド」に相当する。 そうすると、本件訂正発明の「遊技制御手段」への「送信」に「用い」られる「第1シリアル通信回路」と、甲1発明の、上記「情報」を「払出制御基板43から主制御基板41に出力」する「遊技媒体状態機能」において「使用」される、「払出制御基板43のバッファIC63に」「設けられた」「出力ポート」は、いずれも「遊技制御手段」への「送信」に「用い」られる通信手段である点で共通する。 よって、本件訂正発明の特定事項Fと甲1発明は、「定期コマンド送信処理により送信されるコマンドは」、通信手段「を用いて前記遊技制御手段に送信される」点で共通する。 イ 特定事項E、E3 上記アより、甲1発明の「遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報(本件訂正発明の「定期コマンド送信処理により送信されるコマンド」に相当。)」は、「払出制御基板43のバッファIC63に」「設けられた」「出力ポート」を用いて、「主制御基板41に出力」されるものであり、「払出制御基板43」が、「出力」される「情報」をデータとして一時的に記憶することは技術常識であることを鑑みれば、「払出制御基板43」が、本件訂正発明の「送信するための」「データを格納可能である第1送信バッファ」に相当する構成を備えることは明らかである。 そうすると、本件訂正発明の特定事項E、E3の「前記価値制御手段は」、「送信するための複数バイトのデータを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第1シリアル通信回路」、「を有」することと、甲1発明の「払出制御基板43」が、その一時的に記憶された「情報」を「出力」する「出力ポート」を有することは、「前記価値制御手段は」、「送信するための」「データを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドを」「送信する」通信手段「を有」する点で共通する。 (8) 特定事項E、E4、G ア 特定事項G 上記(6)を踏まえると、甲1発明の「Ackコマンド(了解応答コマンド)」は、本件訂正発明の「応答コマンド送信処理により送信されるコマンド」に相当する。 そうすると、甲1発明の「Ackコマンド(了解応答コマンド)」を「主制御基板41に送信」するときに使用する「シリアル通信回路134中の通信回路SCU」は、本件訂正発明の「遊技制御手段」への「送信」に「用い」られる「第2シリアル通信回路」に相当する。 よって、甲1発明は、本件訂正発明の特定事項Gを備える。 イ 特定事項E、E4 甲1発明において、「払出CPU121は、払出RAM123内の通信データ格納領域(主制御送信用)に格納された」「Ackコマンド(了解応答コマンド)(本件訂正発明の「応答コマンド送信処理により送信されるコマンド」に相当。)」「をシリアル通信回路134中の通信回路SCU(本件訂正発明の「第2通信手段」に相当。)を介して主制御基板41に送信」するものであるから、甲1発明の「Ackコマンド(了解応答コマンド)」が「格納され」る「払出RAM123内の通信データ格納領域(主制御送信用)」は、本件訂正発明の「送信するための」「データを格納可能である第2送信バッファ」に相当する。 そして、甲1発明の「払出制御基板43」は、「払出RAM123内の通信データ格納領域(主制御送信用)に格納された」「Ackコマンド(了解応答コマンド)」を「主制御基板41に送信」する際に用いる「シリアル通信回路134中の通信回路SCU」を有するものであるところ、このことは、本件訂正発明の「前記価値制御手段は」、「送信するための」「データを格納可能である第2送信バッファに格納されたコマンドを送信する第2シリアル通信回路」「を有」することに相当する。 よって、本件訂正発明の特定事項E、E4と甲1発明は、「前記価値制御手段は」、「送信するための」「データを格納可能である第2送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第2シリアル通信回路と、を有」する点で共通する。 (9) 一致点・相違点 以上のことから、本件訂正発明と甲1発明は、 「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 B 遊技の進行を制御する遊技制御手段と、 C 遊技者所有の遊技用価値に係る制御を行う価値制御手段と、を備え、 D 前記遊技制御手段は、前記価値制御手段に対し、遊技の進行に応じてコマンドを送信し、 E 前記価値制御手段は、 E1’ 前記遊技制御手段に対し該価値制御手段の制御状態を特定可能な価値制御側情報コマンドを所定期間毎に送信する定期コマンド送信処理と、 E2’ 前記遊技制御手段に対し該遊技制御手段からのコマンドを受信したときに該コマンドに応じて応答コマンドを送信する応答コマンド送信処理と、を実行し、 E3’ 送信するためのデータを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドを送信する通信手段と、 E4’ 送信するためのデータを格納可能である第2送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第2シリアル通信回路と、を有し、 F’ 定期コマンド送信処理により送信されるコマンドは、通信手段を用いて前記遊技制御手段に送信され、 G 応答コマンド送信処理により送信されるコマンドは、前記第2シリアル通信回路を用いて前記遊技制御手段に送信される、 H 遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](特定事項E1) 「価値制御側情報コマンド」が、 本件訂正発明では、「複数バイトから構成される」のに対して、 甲1発明では、「2ビット」である点。 [相違点2](特定事項E2) 「応答コマンド」が、 本件訂正発明では、「複数バイトから構成される」のに対して、 甲1発明では、「応答コマンド」に相当する「Ackコマンド(了解応答コマンド)」の構成が不明である点。 [相違点3](特定事項E3) 「価値制御手段」は、 本件訂正発明では、「送信するための複数バイトのデータを格納可能である第1送信バッファに格納されたコマンドをシリアル通信にて送信する第1シリアル通信回路」を有するのに対し、 甲1発明では、一時的に記憶された「遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報」を「主制御基板41に出力」する「出力ポート」を有する点、すなわち、「情報」が複数バイトのデータであるか不明であり、「出力ポート」からの「出力」が、シリアル通信にて送信するものであるか不明である点。 [相違点4](特定事項E4) 「第2シリアル通信回路」にて送信する「コマンド」を「格納」する「第2送信バッファ」が、 本件訂正発明では、「複数バイトのデータを格納可能である」のに対し、 甲1発明では、このような構成を備えているか不明である点。 [相違点5](特定事項F) 「定期コマンド送信処理により送信されるコマンド」を「前記遊技制御手段に送信」する際に、 本件訂正発明では、「前記第1シリアル通信回路を用いて」いるのに対し、 甲1発明では、どのような通信方式の通信手段を用いているか不明である点。 2 判断 (1) 相違点について ア 相違点1について 本件訂正発明の「価値制御側情報コマンド」に相当する甲1発明の「遊技媒体状態(2ビット情報)」は、「遊技媒体の投入可能数(貯留数)に対応する情報であ」り、「遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報」であることから、その情報量は限られたものであるところ、情報処理の技術分野において、処理速度を向上させるために送受信されるデータ量を必要以上に大きなサイズとすることはないことから、甲1発明における「2ビット情報」の「遊技媒体状態」を、それよりもデータ量が大きくなる複数バイトで構成する必要性は認められない。 そうすると、甲1発明の「遊技媒体状態(2ビット情報)」を、複数バイトから構成されるようにして上記相違点1に係る本件訂正発明の構成とすることは、設計的事項とはいえず、またその動機付けも存在しないため、甲1発明から容易に想到し得たものともいえない。 また、甲2記載事項1には、「メダル数制御CPU301による処理が実施可能か否かを示す信号であ」る「「メダル有無信号」又は「処理可能信号」に値「1」が設定されたメダル数制御送信信号」が「複数バイトから構成されている」ことが示されているが、上記のとおり甲1発明の「遊技媒体状態(2ビット情報)」を、複数バイトから構成されるようにすることについて動機付けが存在しないのであるから、甲2記載事項1に「複数バイトから構成されている」「メダル数制御送信信号」が示されていることに倣ったとしても直ちに甲1発明から上記相違点1に係る本件訂正発明の構成とすることはできない。 イ 相違点3及び相違点5について 相違点3及び相違点5は、「第1シリアル通信回路」に関する事項で関連するのでまとめて検討する。 本件訂正発明は、「定期コマンド送信処理により送信されるコマンド」を「前記遊技制御手段に」「シリアル通信にて送信する」「第1シリアル通信回路」(特定事項E3、F)と、「応答コマンド送信処理により送信されるコマンド」を「前記遊技制御手段に」「シリアル通信にて送信する」「第2シリアル通信回路」(特定事項E4、G)と、を有することにより、いずれのコマンドについても送信が遅延することがないという効果を奏するものである。 一方、甲1発明は、「遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報」を「払出制御基板43のバッファIC63に」「設けられた」「出力ポート」を用いて「主制御基板41に出力」する通信手段(本件訂正発明の特定事項E3、Fに関連。)と、「Ackコマンド(了解応答コマンド)」を「主制御基板41に送信」する際に用いる「シリアル通信回路134中の通信回路SCU」(本件訂正発明の特定事項E4、Gに関連。)と、を有するものである。 そして、甲1発明においても、「遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報」と「Ackコマンド(了解応答コマンド)」を異なる通信方式の、異なる通信手段を用いて「主制御基板41に送信」することにより、「遊技媒体カウンター(格納領域)の値に関する情報」と「Ackコマンド(了解応答コマンド)」の送信タイミングが重複したとしても、いずれのコマンドも遅延なく送信できるという、本件訂正発明と同様の効果を奏するといえる。 してみると、甲1発明の、「出力ポート」を用いた通信手段と、「シリアル通信回路」「SCU」の、2種類の通信方式による2種類の通信手段のうちの、「出力ポート」を用いた通信手段を、シリアル通信による通信手段を採用し、さらに「シリアル通信回路」「SCU」とは異なる回路とする必要性はない。 よって、甲1発明の「出力ポート」を用いた通信手段に替えて、シリアル通信を採用し、さらに「シリアル通信回路」「SCU」とは異なる別個のシリアル通信回路とすることにより、上記相違点3及び相違点5に係る本件訂正発明の構成とすることは、設計的事項とはいえず、またその動機付けも存在しないため、甲1発明から容易に想到し得たものともいえない。 また、甲2記載事項2には、「通信方式としてパラレル通信とシリアル通信とが置換可能であり」、「主制御基板100と」、「メダル数制御基板300との間で送信される各種の情報がシリアル通信により双方向で送信されること」が示されているが、甲2記載事項2には、「主制御基板100と」、「メダル数制御基板300」との間のシリアル通信回路が複数あることは示されておらず、「パラレル通信とシリアル通信とが置換可能であ」ったとしても、甲1発明に甲2記載事項2を適用しても、甲1発明が「通信回路」「SCU」とは別のシリアル通信回路を有する構成には至らない。 ウ 相違点についてのまとめ 以上のとおりであるから、相違点2及び相違点4について検討するまでもなく、本件訂正発明は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2) 申立人の主張について ア 申立人は、申立人意見書において以下の主張をしている。 「しかしながら、一般に、送受信する信号やコマンド等のデータの形式は、採用する通信プロトコルに依拠することは技術常識であって、甲1発明の制御状態信号やAckコマンドをどのようなデータ構造として構成するか(複数バイトから構成されるようにするか)は、当該技術分野において当業者が適宜選択し得る設計的事項である。」(3頁下から1行~4頁4行) 「したがって、甲第2号証における「メダル有無信号」又は「処理可能信号」に値「1」が設定された「メダル数制御送信信号」は、本件訂正発明における「複数バイトから構成される価値制御側情報コマンド」に相当する。また、甲第2号証における「投入処理応答信号」、「払出処理応答信号」、又は「第2処理完了信号」に値「1」が設定された「メダル数制御送信信号」は、本件訂正発明における「複数バイトから構成される応答コマンド」に相当する。 このように、訂正事項2のうち本件訂正発明の構成E1、E2に相当する構成は、設計的事項もしくは甲第2号証に記載されている技術事項である。」(11頁12~21行) しかしながら、上記(1)アにて説示のとおり、甲1発明の「遊技媒体状態(2ビット情報)」を、複数バイトで構成する動機付けは存在しないから、上記主張は採用できない。 イ 申立人は、申立人意見書においてさらに以下の主張をしている。 「しかしながら、甲1発明において、データの出力ポートとして利用可能な汎用ポートに代えて、公知の構成であるシリアル通信回路を採用することは、当業者によって適宜なし得る設計的事項である。 詳述するに、本件訂正発明は、訂正前の本件発明における「通信回路」を、「シリアル通信回路」と限定したところ、「シリアル通信回路」を採用したことに起因した「いずれのコマンドについても送信が遅延することがない」という効果はない。 すなわち、すでに、訂正前の本件発明では、2系統の通信回路を有する構成に起因して、「いずれのコマンドについても送信が遅延することがない」という効果を奏する。 そして、特許権者が意見書において、「…甲1発明は、…一方の送信が遅延するような関係にはなく、…」と主張するとおり、甲1発明においても、その前提構成である2系統の通信回路を有する構成に起因して、「いずれのコマンドについても送信が遅延することがない」という効果を奏する。 よって、甲1発明において、シリアル通信回路を採用することによる特段の効果はなく、単に、複数ある通信方式のうちシリアル通信を採用したものにすぎない。」(12頁10~27行) 「段落0065及び0602には、遊技の進行に関する制御を行う主制御CPU101が実装された主制御基板100と、遊技者が所持する疑似メダルの枚数の管理に関わる制御を行うメダル数制御CPU301が実装されたメダル数制御基板300との間で送信される各種の情報がシリアル通信により双方向で送信されることが記載されている。 また、上記シリアル通信を構成するための通信回路を備えていることは自明の事項である。 加えて、段落0602には、通信方式としてパラレル通信とシリアル通信とが置換可能である旨の記載があり、当該記載は、両通信方式に特段の差異がないことを示唆するものである。 したがって、甲第2号証における「シリアル通信」及び当該シリアル通信を構成する回路は、本件訂正発明における「シリアル通信にて送信する第1シリアル通信回路」に相当する。 このように、訂正事項2のうち本件訂正発明の構成E3、E4に相当する構成は、設計的事項もしくは甲第2号証に記載されている技術事項である。」(14頁3~18行) しかしながら、上記(1)イにて説示のとおり、甲1発明の「出力ポート」を用いた通信手段を、シリアル通信による通信手段に替える動機付けは存在せず、また、甲2にパラレル通信とシリアル通信とが置換可能である旨の記載があったとしても、甲1発明に甲2の当該事項を適用した際に、既に甲1発明が備えている「シリアル通信回路」「SCU」とは別のシリアル通信回路を備えることまでは導き出せない。 よって、上記主張は採用できない。 (3) 小括 以上のとおりであるから、本件訂正発明は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項1に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由(申立書に記載した特許異議申立理由)によっては取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700760

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    共通の審決分類: 113・A63F、121・A63F、851・A63F、853・A63F
  • 2023-700654異議申立 / 2024-03-19 / 訂正認容スロットマシン
    共通の審決分類: 113・A63F、121・A63F、851・A63F、853・A63F
  • 2025-700794異議申立 / 2026-03-04 / 訂正認容遊技機
    共通の審決分類: 121・A63F、851・A63F、853・A63F

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