特許異議申立
2025-701079
電池、電池モジュールおよび電池の製造方法
- 審判番号
- 2025-701079
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-074254
- 登録番号
- 7679578
- 請求日
- 2025年11月18日
- 審決日
- 2026年01月29日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】トヨタ自動車株式会社
- 【権利者代理人】山下 昭彦
- 【権利者代理人】岸本 達人
- 【異議申立人】ジュネスプロパティーズ 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 信一
- 審判官 涌井 智則
- 審判官 久々宇 篤志
- 分類
- P1651.121-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7679578号発明「電池、電池モジュールおよび電池の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7679578号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7679578号の請求項1ないし13に係る特許についての出願は、令和4年4月28日に出願され、令和7年5月12日にその特許権が設定登録され、令和7年5月20日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和7年11月18日に特許異議申立人ジュネスプロパティーズ株式会社(以下、「申立人」という。)により、請求項1ないし13に係る特許に対する特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
特許第7679578号の請求項1ないし13の特許に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明13」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
電極体と、
前記電極体の側面部に配置された側面部材と、
前記電極体を覆うラミネートフィルムと、
を備える電池であって、
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の外縁は、前記電極体の外縁より内側に位置し、
前記ラミネートフィルムは、前記側面部材の前記外縁を構成する面、および、前記電極体の前記外縁を構成する面を覆うように配置され、
前記側面部材上に、前記ラミネートフィルムの内面同士が融着した融着部が配置され、
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の形状は、四角形であり、
前記融着部は、前記側面部材の外縁を構成する4つの角部に配置されている、電池。
【請求項2】
前記電池を厚さ方向から平面視した場合に、前記融着部は、前記側面部材側の前記ラミネートフィルムの端部位置αから、前記側面部材および前記電極体の境界に相当する前記ラミネートフィルムの位置βまで、連続的に配置されている、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記電池の厚さ方向において、前記融着部の最も高い位置P1が、前記電極体に配置された前記ラミネートフィルムの最も高い位置P2より低い、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記電池の厚さ方向において、前記融着部の最も高い位置P1が、前記電極体の最も高い位置P3より低い、請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記側面部材が、集電端子である、請求項1に記載の電池。
【請求項6】
前記電池は、一対の前記側面部材を備え、
前記一対の前記側面部材は、前記電極体に対して、対向するように配置されている、請求項1に記載の電池。
【請求項7】
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記電極体における前記外縁の長さL1に対する、前記側面部材における前記外縁の長さL2の割合(L2/L1)が、0.7以上、1未満である、請求項1に記載の電池。
【請求項8】
前記電極体は、正極集電体、正極活物質層、電解質層、負極活物質層および負極集電体を、厚さ方向において、この順に有する、請求項1に記載の電池。
【請求項9】
厚さ方向に積層された複数の電池を有する電池モジュールであって、
前記電池は、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の電池である、電池モジュール。
【請求項10】
前記電池モジュールは、複数の電池を厚さ方向に拘束する拘束治具を有する、請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記厚さ方向において隣り合う、一対の前記側面部材において、一方の前記側面部材上に配置された前記ラミネートフィルムの主面部と、他方の前記側面部材上に配置された前記ラミネートフィルムの主面部とが接触していない、請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の電池の製造方法であって、
前記電極体および前記側面部材を有する構造体を準備する準備工程と、
前記構造体における前記電極体の前記外縁を構成する面を、前記ラミネートフィルムで覆う第1被覆工程と、
前記構造体における前記側面部材の前記外縁を構成する面を、前記ラミネートフィルムで覆う第2被覆工程と、
を有し、
前記第2被覆工程において、前記側面部材の前記外縁を構成する面と面接触可能な治具を用いて、前記融着部を形成する、電池の製造方法。
【請求項13】
電池の製造方法であって、
前記電池は、
電極体と、
前記電極体の側面部に配置された側面部材と、
前記電極体を覆うラミネートフィルムと、
を備え、
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の外縁は、前記電極体の外縁より内側に位置し、
前記ラミネートフィルムは、前記側面部材の前記外縁を構成する面、および、前記電極体の前記外縁を構成する面を覆うように配置され、
前記側面部材上に、前記ラミネートフィルムの内面同士が融着した融着部が配置され ており、
前記製造方法は、
前記電極体および前記側面部材を有する構造体を準備する準備工程と、
前記構造体における前記電極体の前記外縁を構成する面を、前記ラミネートフィルムで覆う第1被覆工程と、
前記構造体における前記側面部材の前記外縁を構成する面を、前記ラミネートフィルムで覆う第2被覆工程と、
を有し、
前記第2被覆工程において、前記側面部材の前記外縁を構成する面と面接触可能な治具を用いて、前記融着部を形成し、
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の形状は、四角形であり、
前記四角形は、第1辺と、前記第1辺に隣接する第2辺と、前記第2辺に隣接し、前記第1辺と対向する第3辺と、前記第3辺に隣接し、前記第2辺と対向する第4辺とを有し、
前記第2被覆工程は、
前記側面部材における前記第1辺側および前記第3辺側から、それぞれ、第1治具および第3治具を押し込み、前記第1辺および前記第3辺に、それぞれ、前記ラミネートフィルムを密着させる第1密着処理と、
前記第1密着処理の後に、前記側面部材における前記第2辺側および前記第4辺側から、それぞれ、第2治具および第4治具を押し込み、前記第2辺および前記第4辺に、それぞれ、前記ラミネートフィルムを密着させる第2密着処理と、
を有し、
前記第1治具および前記第3治具の少なくとも一方は、弾性部材を有し、第2密着処理において、前記第2治具および前記第4治具を押し込むことにより、前記弾性部材を圧縮変形させ、前記融着部を形成する、電池の製造方法。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人の特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
本件請求項1ないし13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1ないし4号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。このため、本件請求項1ないし13に係る特許は特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきである。
[証拠]
甲第1号証:国際公開第2019/142702号
甲第2号証:特開2018-181622号公報
甲第3号証:特開2019-153504号公報
甲第4号証:特開2020-107389号公報
第4 甲第1号証の記載等
1 記載事項
甲第1号証には、「電池」に関して、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。
「[0012](実施形態)
図1は、実施形態に係る電池10の上面図である。図2は、図1に示した電池10の右側面図である。図3は、図1に示した電池10の左側面図である。図4は、図1に示した電池10の正面図である。図5は、図1に示した電池10の背面図である。図6(a)は、図1から図5に示した電池10に用いられている積層体100の上面図である。図6(b)は、図6(a)に示した積層体100の右側面図である。
[0013] 図1から図5を用いて、電池10の概要を説明する。電池10は、積層体100及び外装材200を備えている。積層体100は、第1電極110、第2電極120及びセパレータ130を含んでいる。外装材200は、積層体100を包んでいる。図1から図3に示すように、積層体100は、第1側面104aを有している。外装材200は、第1封止部210を有している。第1封止部210は、積層体100の第1側面104aの外側にある。図4に示すように、第1封止部210は、第1部分212、第2部分214及び第3部分216を含んでいる。第2部分214は、第1部分212と重なっている。第3部分216は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれている。
・・・中略・・・
[0015] 図4に示す例では、第1封止部210は、第4部分218を含んでいる。第4部分218は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれている。したがって、第1封止部210の第3部分216と同様にして、の第1封止部210の第4部分218の外側への突出を抑えることができる。
・・・中略・・・
[0017] 上述した構成によれば、第1封止部210及び第2封止部220のそれぞれの高強度を実現することができる。具体的には、上述した構成においては、第1封止部210の第3部分216及び第4部分218は、第1封止部210の第1部分212と第2部分214の間に折り込まれており、第2封止部220の第3部分226及び第4部分228は、第2封止部220の第1部分222と第2部分224の間に折り込まれている。したがって、第1部分212、第2部分214及び第3部分216の重なり部並びに第1部分212、第2部分214及び第4部分218の重なり部は、幾重にも重なった外装材を有しており、これによって第1封止部210の高強度が実現される。同様にして、第1部分222、第2部分224及び第3部分226の重なり部並びに第1部分222、第2部分224及び第4部分228の重なり部は、幾重にも重なった外装材を有しており、これによって第2封止部220の高強度が実現される。」
「[0020] 積層体100は、実質的に直方体の形状を有している。積層体100は、第1面102a、第2面102b、第1側面104a、第2側面104b、第3側面104c及び第4側面104dを有している。第2面102bは、第1面102aの反対側にある。第1側面104aは、第1面102aと第2面102bの間にある。第2側面104bは、第1側面104aの反対側にある。第3側面104cは、第1側面104aと第2側面104bの間にある。第4側面104dは、第3側面104cの反対側にある。積層体100は、第1面102aと第2面102bの間に厚さTを有しており、第1側面104aと第2側面104bの間に長さLを有しており、第3側面104cと第4側面104dの間に幅Wを有している。
・・・中略・・・
[0022] 積層体100の第1側面104aからは、第1リード112が突出している。第1リード112は、積層体100の第1電極110に電気的に接続している。」
「[0025] 図1に示すように、外装材200は、第1封止部210、第2封止部220及び第3封止部230を有している。第1封止部210は、積層体100の第1側面104aの外側にある。第2封止部220は、積層体100の第2側面104bの外側にある。第3封止部230は、積層体100の第4側面104dの外側にある。第1封止部210、第2封止部220及び第3封止部230においては、外装材200のうちの一部分同士が例えば溶着によって互いに貼り合わされている。このようにして、外装材200は、積層体100を封止している。
[0026] 図1から図3に示すように、第1リード112のうちの積層体100に近い部分は、第1封止部210によって封止されており、第1リード112のうちの積層体100から離れた部分は、第1封止部210から露出している。したがって、積層体100の第1電極110は、第1リード112を介して、外装材200の外部の部材と電気的に接続することができる。」
「[0034] 図7は、図1から図5に示した電池10の製造方法の一例を説明するための図である。この例において、電池10は、以下のようにして製造される。
[0035] まず、図7(a)に示すように、外装材200を準備する。外装材200は、筒状の形状を有している。次いで、外装材200に積層体100を挿入する。
[0036] 次いで、図7(b)に示すように、第3部分216及び第4部分218が第1部分212と第2部分214の間に入り込むように第1封止部210を形成する。第1封止部210のうちの重なり部を例えば溶着によって互いに接合させることで、図4に示したように、第3部分216及び第4部分218を第1部分212と第2部分214の間に折り込ませることができる。図7(a)及び図7(b)に示した例と同様にして、第2封止部220を形成することができる。」
「[図1]
[図:0001432105000001.jpg]
[図2]
[図:0001432105000002.jpg]
」
「[図4]
[図:0001432105000003.jpg]
」
「[図6]
[図:0001432105000004.jpg]
」
「[図7]
[図:0001432105000005.jpg]
」
2 記載された技術事項
上記記載事項より、甲第1号証には次の技術事項が記載されているといえる。
(1)[0013]の記載によれば、「電池10は、積層体100及び外装材200を備え」、「積層体100は、第1電極110、第2電極120及びセパレータ130を含」み、「外装材200は、積層体100を包んでいる」。
(2)[0020]の記載によれば、「積層体100は、実質的に直方体の形状を有し」ている。
また、[0022]の記載によれば、「積層体100の第1側面104aからは、第1リード112が突出し」ている。
そして、図1、図4および図6の記載からみて、第1リード112は積層体100より小さい実質的に直方体の形状を有し、電池10を第1リード112側(図1、図6におけるX軸方向)から側面視した場合に、第1リード112の外縁は、積層体100の外縁より内側に位置するように第1リード112は配置されていることが見てとれる。
さらに、[0022]の記載によれば、「第1リード112は、積層体100の第1電極110に電気的に接続」されている。
(3)[0025]の記載によれば、「外装材200は、第1封止部210」「を有し」、「第1封止部210は、積層体100の第1側面104aの外側にあ」り、「第1封止部210」「においては、外装材200のうちの一部分同士が」「溶着によって互いに貼り合わされて」、「外装材200は、積層体100を封止して」いる。
また、[0026]の記載によれば、「第1リード112のうちの積層体100に近い部分は、第1封止部210によって封止されて」いる。
(4)[0013]の記載によれば、「第1封止部210は、第1部分212、第2部分214及び第3部分216を含んで」おり、「第2部分214は、第1部分212と重なって」おり「第3部分216は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれている」。
また、[0015]の記載によれば、「第1封止部210は、第4部分218を含んで」おり、「第4部分218は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれている」。
そして、[0017]の記載によれば、「第1部分212、第2部分214及び第3部分216の重なり部並びに第1部分212、第2部分214及び第4部分218の重なり部は、幾重にも重なった外装材を有しており、これによって第1封止部210の高強度が実現される」。
(5)[0036]の記載によれば、「第1封止部210のうちの重なり部を」「溶着によって互いに接合させることで、」「第3部分216及び第4部分218を第1部分212と第2部分214の間に折り込ませる」。
(6)[0034]の記載によれば、甲第1号証には「電池10の製造方法」も記載されている。
(7)[0035]の記載によれば、「筒状の形状を有している」「外装材200を準備」し、「次いで、外装材200に積層体100を挿入する」。
(8)[0036]の記載によれば、「次いで、」「第3部分216及び第4部分218が第1部分212と第2部分214の間に入り込むように第1封止部210を形成」し、「第1封止部210のうちの重なり部を」「溶着によって互いに接合させることで、」「第3部分216及び第4部分218を第1部分212と第2部分214の間に折り込ませる」。
3 記載された発明
上記「2(1)」ないし「2(5)」の技術事項を総合勘案すると、甲第1号証には、電池として次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「電池10は、積層体100及び外装材200を備え、
積層体100は、第1電極110、第2電極120及びセパレータ130を含み、
外装材200は、積層体100を包んでおり、
積層体100は、実質的に直方体の形状を有し、積層体100の第1側面104aからは、第1リード112が突出し、第1リード112は積層体100より小さい実質的に直方体の形状を有し、電池10を第1リード112側から側面視した場合に、第1リード112の外縁は、積層体100の外縁より内側に位置するように第1リード112は配置され、
第1リード112は、積層体100の第1電極110に電気的に接続され、
外装材200は、第1封止部210を有し、第1封止部210は、積層体100の第1側面104aの外側にあり、第1封止部210においては、外装材200のうちの一部分同士が溶着によって互いに貼り合わされて、外装材200は、積層体100を封止し、第1リード112のうちの積層体100に近い部分は、第1封止部210によって封止されており、
第1封止部210は、第1部分212、第2部分214及び第3部分216を含んでおり、第2部分214は、第1部分212と重なっており、第3部分216は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれ、また、第1封止部210は、第4部分218を含んでおり、第4部分218は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれており、
第1部分212、第2部分214及び第3部分216の重なり部並びに第1部分212、第2部分214及び第4部分218の重なり部は、幾重にも重なった外装材を有しており、これによって第1封止部210の高強度が実現され、
第1封止部210のうちの重なり部を溶着によって互いに接合させることで、第3部分216及び第4部分218を第1部分212と第2部分214の間に折り込ませる、
電池。」
また、上記「2(1)」ないし「2(8)」の技術事項を総合勘案すると、甲第1号証には、電池の製造方法として次の発明(以下、「甲1発明B」という。)が記載されていると認められる。
「電池10は、積層体100及び外装材200を備え、
積層体100は、第1電極110、第2電極120及びセパレータ130を含み、
外装材200は、積層体100を包んでおり、
積層体100は、実質的に直方体の形状を有し、積層体100の第1側面104aからは、第1リード112が突出し、第1リード112は積層体100より小さい実質的に直方体の形状を有し、電池10を第1リード112側から側面視した場合に、第1リード112の外縁は、積層体100の外縁より内側に位置するように第1リード112は配置され、
第1リード112は、積層体100の第1電極110に電気的に接続され、
外装材200は、第1封止部210を有し、第1封止部210は、積層体100の第1側面104aの外側にあり、第1封止部210においては、外装材200のうちの一部分同士が溶着によって互いに貼り合わされて、外装材200は、積層体100を封止し、第1リード112のうちの積層体100に近い部分は、第1封止部210によって封止されており、
第1封止部210は、第1部分212、第2部分214及び第3部分216を含んでおり、第2部分214は、第1部分212と重なっており、第3部分216は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれ、また、第1封止部210は、第4部分218を含んでおり、第4部分218は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれており、
第1部分212、第2部分214及び第3部分216の重なり部並びに第1部分212、第2部分214及び第4部分218の重なり部は、幾重にも重なった外装材を有しており、これによって第1封止部210の高強度が実現され、
第1封止部210のうちの重なり部を溶着によって互いに接合させることで、第3部分216及び第4部分218を第1部分212と第2部分214の間に折り込ませる、電池10を製造するための電池の製造方法であり、
筒状の形状を有している外装材200を準備し、
次いで、外装材200に積層体100を挿入し、
次いで、第3部分216及び第4部分218が第1部分212と第2部分214の間に入り込むように第1封止部210を形成し、第1封止部210のうちの重なり部を溶着によって互いに接合させることで、第3部分216及び第4部分218を第1部分212と第2部分214の間に折り込ませる、
電池の製造方法。」
第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「積層体100」は、「第1電極110、第2電極120及びセパレータ130を含」むものであるから、本件発明1の「電極体」に相当する。
イ 甲1発明の「第1リード112」は、「積層体100の第1側面104aから」「突出」したものであるから、本件発明1の「前記電極体の側面部に配置された側面部材」に相当する。
ウ 甲1発明の「外装材200」は、「積層体100を包んで」いるから、当該「外装材200」と本件発明1の「前記電極体を覆うラミネートフィルム」とは、「前記電極体を覆う外装」である点で一致するといえる。
ただし、外装が、本件発明1では「ラミネートフィルム」であるのに対して、甲1発明ではその旨特定されていない点で相違する。
エ 甲1発明の「電池10」は、本件発明1の「電池」に相当する。
オ 甲1発明が「電池10を第1リード112側から側面視した場合に、第1リード112の外縁は、積層体100の外縁より内側に位置するように第1リード112は配置され」ていることは、本件発明1の「前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の外縁は、前記電極体の外縁より内側に位置」することに相当する。
カ 甲1発明は「外装材200は、第1封止部210を有し、第1封止部210は、積層体100の第1側面104aの外側にあり、」「外装材200は、積層体100を封止し、第1リード112のうちの積層体100に近い部分は、第1封止部210によって封止」されているから、甲1発明の外装材200は積層体100を封止すると共に第1リード112の一部を封止しており、このことは、本件発明1の「前記ラミネートフィルムは、前記側面部材の前記外縁を構成する面、および、前記電極体の前記外縁を構成する面を覆うように配置され」ることと「前記外装は、前記側面部材の前記外縁を構成する面、および、前記電極体の前記外縁を構成する面を覆うように配置され」る点で一致する。
ただし、外装が、本件発明1では「ラミネートフィルム」であるのに対して、甲1発明ではその旨特定されていない点で相違する。
キ 甲1発明は「外装材200は、第1封止部210を有し、~(中略)~第1リード112のうちの積層体100に近い部分は、第1封止部210によって封止されており、」「第1封止部210は、~(中略)~第3部分216を含んでおり、」「第3部分216は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれ、また、第1封止部210は、第4部分218を含んでおり、第4部分218は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれ」、「第1封止部210のうちの重なり部を溶着によって互いに接合させることで、第3部分216及び第4部分218を第1部分212と第2部分214の間に折り込ませる」ものである。
このため、甲1発明の第1リード112のうち積層体100に近い部分を封止する外装材200の第1封止部210は、第1リード112上に配置されているといえる。また、甲1発明の第1封止部210に含まれる第3部分216及び第4部分218は、外装材200の内面同士が溶着された部分といえる。
してみると、甲1発明は、第1リード112上に外装材200の内面同士が溶着された部分である第3部分216及び第4部分218が配置された構成を有するといえる。
そしてこのことは、甲1発明の第3部分216及び第4部分218は本件発明1の「融着部」に対応し、甲1発明の上記構成は本件発明1の「前記側面部材上に、前記ラミネートフィルムの内面同士が融着した融着部が配置され」ることと「前記側面部材上に、前記外装の内面同士が融着した融着部が配置され」る点で一致する。
ただし、外装が、本件発明1では「ラミネートフィルム」であるのに対して、甲1発明ではその旨特定されていない点で相違する。
ク 甲1発明は「電池10は、積層体100」「を備え、」「積層体100の第1側面104aからは、第1リード112が突出し、第1リード112は積層体100より小さい実質的に直方体の形状を有し」たものであるから、電池10を第1リード112側から側面視した場合、第1リード112の形状は四角形であり、このことは、本件発明1の「前記電池を前記側面部材側から側面視した場合、前記側面部材の形状は、四角形であ」ることに相当する。
ケ 融着部が、本件発明1は「側面部材の外縁を構成する4つの角部に配置されている」のに対し、甲1発明では「第1部分212と第2部分214の間」に配置されている点で相違する。
コ 上記アないしケより、本件発明1と甲1発明とは、
「電極体と、
前記電極体の側面部に配置された側面部材と、
前記電極体を覆う外装と、
を備える電池であって、
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の外縁は、前記電極体の外縁より内側に位置し、
前記外装は、前記側面部材の前記外縁を構成する面、および、前記電極体の前記外縁を構成する面を覆うように配置され、
前記側面部材上に、前記外装の内面同士が融着した融着部が配置され、
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合、前記側面部材の形状は、四角形である、電池。」
である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点1〉
外装が、本件発明1では「ラミネートフィルム」であるのに対して、甲1発明ではその旨特定されていない点。
〈相違点2〉
融着部が、本件発明1は「側面部材の外縁を構成する4つの角部に配置されている」のに対し、甲1発明では「第1部分212と第2部分214の間」に配置されている点。
(2)判断
ア 相違点2について
事案に鑑み、相違点2について検討する。
甲第2号証には、積層型二次電池に関して正極端子150を電極体400と同程度の厚さとすることが見てとれる(図1ないし図7)。また、甲第3号証の【0013】の記載及び図1によれば、単位全固体電池が、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層をこの順で有する、全固体電池積層体と、全固体電池積層体を封入している電池ケースとを備える全固体電池が記載され、甲第4号証の【0024】ないし【0032】、【0039】、【0043】の記載及び図1ないし3によれば、単位電池を有する電池積層体と電池積層体を定圧拘束する定圧拘束機構を有する全固体電池が記載されている。しかしながら、甲第2号証ないし甲第4号証のいずれにも、融着部を側面部材の外縁を構成する4つの角部に配置することは記載も示唆もされていない。
したがって、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし4号証に記載された技術に基づいて本件発明1の相違点2に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たとはいえない。
ここで、相違点2に関連して申立人は特許異議申立書において、「(x)甲第2号証の図1等は、正極端子150が電極体400と同程度の厚さを有することが把握できる。当業者であれば、例えば、より多くの電力を出力する等の目的のため、甲第2号証の記載に基づいて、甲第1号証の第1リード112の厚さを大きくすることに容易に想到することができる。第1リード112の外縁が積層体100の外縁よりも内側の範囲において第1リード112の厚さを厚くした場合、第3部分216および第4部分218は、第1リード112の角部に配置される。」(第29頁第16ないし22行)と主張している。
しかしながら、第1リード112の外縁が積層体100の外縁よりも内側の範囲において第1リード112の厚さを厚くした場合、第3部分216および第4部分218は、その突出量が小さくなるとは考えられるものの、直ちに角部に配置されるとまではいえない。このため、申立人の主張は採用できない。
なお、甲1号証には、[0039]~[0045]、図8~図10に、変形例1および変形例2として上記甲1発明とは異なる融着部の配置が記載されているものの、本件発明1の「融着部を側面部材の外縁を構成する4つの角部に配置する」ことは記載も示唆もされていない。
イ まとめ
よって、本件の請求項1に係る発明は甲第1号証及び甲第2ないし4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとは認められず、本件の請求項1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
2 本件発明2ないし12について
本件の請求項2ないし12は、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項であり、本件発明2ないし12は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件の請求項2ないし12に係る発明は、甲第1号証及び甲第2ないし4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとは認められない。
したがって、本件の請求項2ないし12に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
3 本件発明13について
(1)対比
本件発明13と甲1発明Bとを対比する。
ア 甲1発明Bの「電池10」は本件発明13の「電池」に相当し、甲1発明Bの「電池10を製造するための電池の製造方法」は本件発明13の「電池の製造方法」に相当する。
イ 甲1発明Bの「積層体100」は、「第1電極110、第2電極120及びセパレータ130を含」むものであるから、本件発明13の「電極体」に相当する。
ウ 甲1発明Bの「第1リード112」は、「積層体100の第1側面104aから」「突出」したものであるから、本件発明13の「前記電極体の側面部に配置された側面部材」に相当する。
エ 甲1発明Bの「外装材200」は、「積層体100を包んで」いるから、当該「外装材200」と本件発明13の「前記電極体を覆うラミネートフィルム」とは、「前記電極体を覆う外装」である点で一致するといえる。
ただし、外装が、本件発明13では「ラミネートフィルム」であるのに対して、甲1発明Bではその旨特定されていない点で相違する。
オ 甲1発明Bが「電池10を第1リード112側から側面視した場合に、第1リード112の外縁は、積層体100の外縁より内側に位置するように第1リード112は配置され」ていることは、本件発明13の「前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の外縁は、前記電極体の外縁より内側に位置」することに相当する。
カ 甲1発明Bは「外装材200は、第1封止部210を有し、第1封止部210は、積層体100の第1側面104aの外側にあり、」「外装材200は、積層体100を封止し、第1リード112のうちの積層体100に近い部分は、第1封止部210によって封止」されているから、甲1発明Bの外装材200は積層体100を封止すると共に第1リード112の一部を封止しており、このことは、本件発明13の「前記ラミネートフィルムは、前記側面部材の前記外縁を構成する面、および、前記電極体の前記外縁を構成する面を覆うように配置され」ることと「前記外装は、前記側面部材の前記外縁を構成する面、および、前記電極体の前記外縁を構成する面を覆うように配置され」る点で一致する。
ただし、外装が、本件発明13では「ラミネートフィルム」であるのに対して、甲1発明Bではその旨特定されていない点で相違する。
キ 甲1発明Bは「外装材200は、第1封止部210を有し、~(中略)~第1リード112のうちの積層体100に近い部分は、第1封止部210によって封止されており、」「第1封止部210は、~(中略)~第3部分216を含んでおり、」「第3部分216は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれ、また、第1封止部210は、第4部分218を含んでおり、第4部分218は、第1部分212と第2部分214の間に折り込まれ」、「第1封止部210のうちの重なり部を溶着によって互いに接合させることで、第3部分216及び第4部分218を第1部分212と第2部分214の間に折り込ませる」ものである。
このため、甲1発明Bの第1リード112のうち積層体100に近い部分を封止する外装材200の第1封止部210は、第1リード112上に配置されているといえる。また、甲1発明Bの第1封止部210に含まれる第3部分216及び第4部分218は、外装材200の内面同士が溶着された部分といえる。
してみると、甲1発明Bは、第1リード112上に外装材200の内面同士が溶着された部分である第3部分216及び第4部分218が配置された構成を有するといえる。
そしてこのことは、甲1発明Bの第3部分216及び第4部分218は本件発明13の「融着部」に対応し、甲1発明Bの上記構成は本件発明13の「前記側面部材上に、前記ラミネートフィルムの内面同士が融着した融着部が配置され」ることと「前記側面部材上に、前記外装の内面同士が融着した融着部が配置され」る点で一致する。
ただし、外装が、本件発明13では「ラミネートフィルム」であるのに対して、甲1発明Bではその旨特定されていない点で相違する。
ク 甲1発明Bは「積層体100は、実質的に直方体の形状を有し、積層体100の第1側面104aからは、第1リード112が突出」したものであり、「筒状の形状を有している外装材200を準備し、次いで、外装材200に積層体100を挿入」するものであるから、甲1発明Bが第1側面104aから第1リード112が突出した積層体100を準備する工程を有することは明らかであり、当該工程は本件発明13の「前記電極体および前記側面部材を有する構造体を準備する準備工程」に相当する。
ケ 甲1発明Bは「外装材200に積層体100を挿入」するものであり、「外装材200は、第1封止部210を有し、第1封止部210は、積層体100の第1側面104aの外側にあり、第1封止部210においては、外装材200のうちの一部分同士が溶着によって互いに貼り合わされて、外装材200は、積層体100を封止し、第1リード112のうちの積層体100に近い部分は、第1封止部210によって封止されて」いるから、甲1発明Bは外装材200に積層体100を挿入することにより積層体100及び第1リード112のうちの積層体100に近い部分を封止する工程を有していることは明らかであり、当該工程は本件発明13の「前記構造体における前記電極体の前記外縁を構成する面を、前記ラミネートフィルムで覆う第1被覆工程」及び「前記構造体における前記側面部材の前記外縁を構成する面を、前記ラミネートフィルムで覆う第2被覆工程」と、「前記構造体における前記電極体の前記外縁を構成する面を、前記外装で覆う第1被覆工程」及び「前記構造体における前記側面部材の前記外縁を構成する面を、前記外装で覆う第2被覆工程」である点で一致する。
ただし、外装が、本件発明13では「ラミネートフィルム」であるのに対して、甲1発明Bではその旨特定されていない点で相違する。
コ 本件発明13は「前記第2被覆工程において、前記側面部材の前記外縁を構成する面と面接触可能な治具を用いて、前記融着部を形成」するものであるのに対し、甲1発明Bは融着部を形成するために側面部材の外縁を構成する面と面接触可能な治具を用いると特定されていない点で相違する。
サ 甲1発明Bは「電池10は、積層体100」「を備え、」「積層体100の第1側面104aからは、第1リード112が突出し、第1リード112は積層体100より小さい実質的に直方体の形状を有し」たものであるから、電池10を第1リード112側から側面視した場合、第1リード112の形状は四角形であり、このことは、本件発明13の「前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の形状は、四角形であり、前記四角形は、第1辺と、前記第1辺に隣接する第2辺と、前記第2辺に隣接し、前記第1辺と対向する第3辺と、前記第3辺に隣接し、前記第2辺と対向する第4辺とを有し」ていることに相当する。
シ 本件発明13は「前記第2被覆工程は、前記側面部材における前記第1辺側および前記第3辺側から、それぞれ、第1治具および第3治具を押し込み、前記第1辺および前記第3辺に、それぞれ、前記ラミネートフィルムを密着させる第1密着処理と、前記第1密着処理の後に、前記側面部材における前記第2辺側および前記第4辺側から、それぞれ、第2治具および第4治具を押し込み、前記第2辺および前記第4辺に、それぞれ、前記ラミネートフィルムを密着させる第2密着処理と、を有し、前記第1治具および前記第3治具の少なくとも一方は、弾性部材を有し、第2密着処理において、前記第2治具および前記第4治具を押し込むことにより、前記弾性部材を圧縮変形させ、前記融着部を形成する」ものであるのに対し、甲1発明Bは融着部を形成するために側面部材の外縁を構成する面と面接触可能な治具を用いると特定されていない点で相違する。
ス 上記アないしシより、本件発明13と甲1発明Bとは、
「電池の製造方法であって、
前記電池は、
電極体と、
前記電極体の側面部に配置された側面部材と、
前記電極体を覆う外装と、
を備え、
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の外縁は、前記電極体の外縁より内側に位置し、
前記外装は、前記側面部材の前記外縁を構成する面、および、前記電極体の前記外縁を構成する面を覆うように配置され、
前記側面部材上に、前記外装の内面同士が融着した融着部が配置されており、
前記製造方法は、
前記電極体および前記側面部材を有する構造体を準備する準備工程と、
前記構造体における前記電極体の前記外縁を構成する面を、前記外装で覆う第1被覆工程と、
前記構造体における前記側面部材の前記外縁を構成する面を、前記外装で覆う第2被覆工程と、
を有し、
前記電池を前記側面部材側から側面視した場合に、前記側面部材の形状は、四角形であり、
前記四角形は、第1辺と、前記第1辺に隣接する第2辺と、前記第2辺に隣接し、前記第1辺と対向する第3辺と、前記第3辺に隣接し、前記第2辺と対向する第4辺とを有する、電池の製造方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点3〉
外装が、本件発明13では「ラミネートフィルム」であるのに対して、甲1発明Bではその旨特定されていない点。
〈相違点4〉
本件発明13は「前記第2被覆工程において、前記側面部材の前記外縁を構成する面と面接触可能な治具を用いて、前記融着部を形成」するとともに、「前記第2被覆工程は、前記側面部材における前記第1辺側および前記第3辺側から、それぞれ、第1治具および第3治具を押し込み、前記第1辺および前記第3辺に、それぞれ、前記ラミネートフィルムを密着させる第1密着処理と、前記第1密着処理の後に、前記側面部材における前記第2辺側および前記第4辺側から、それぞれ、第2治具および第4治具を押し込み、前記第2辺および前記第4辺に、それぞれ、前記ラミネートフィルムを密着させる第2密着処理と、を有し、前記第1治具および前記第3治具の少なくとも一方は、弾性部材を有し、第2密着処理において、前記第2治具および前記第4治具を押し込むことにより、前記弾性部材を圧縮変形させ、前記融着部を形成する」ものであるのに対し、甲1発明Bは融着部を形成するために側面部材の外縁を構成する面と面接触可能な治具を用いると特定されていない点。
(2)判断
ア 相違点4について
事案に鑑み、相違点4について検討する。
甲第2号証には、積層型二次電池に関して正極端子150を電極体400と同程度の厚さとすることが見てとれる(図1ないし図7)。また、甲第3号証の【0013】の記載及び図1によれば、単位全固体電池が、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層をこの順で有する、全固体電池積層体と、全固体電池積層体を封入している電池ケースとを備える全固体電池が記載され、甲第4号証の【0024】ないし【0032】、【0039】、【0043】の記載及び図1ないし3によれば、単位電池を有する電池積層体と電池積層体を定圧拘束する定圧拘束機構を有する全固体電池が記載されている。しかしながら、甲第2号証ないし甲第4号証のいずれにも、治具を用いて融着部を形成することや治具を用いて融着部を形成する手順は記載も示唆もされていない。
したがって、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし4号証に記載された技術に基づいて本件発明13の相違点4に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たとはいえない。
ここで、相違点4に関連して申立人は特許異議申立書において、「外装材200と第1リード112とを融着する工程において、例えば、ヒートシールバー等の面接触可能な治具を用いることは、例示するまでもなく、当業者が通常実施している事項である。」(第36頁第6ないし8行)、「当業者が第1リード112の形状に応じて技術の具体的適用に伴う設計的事項の採用に過ぎず、当業者が容易になし得たことである、」(第37頁第5ないし7行)と主張している。
しかしながら、外装材を融着するにあたり治具を用いること自体は例示するまでもなく周知技術であるとしても、外装材の内面同士が溶着した融着部を形成するために第1ないし第4の治具を用いることやその治具を用いて前記融着部を形成する手順までもが周知技術であるとはいえない。このため、申立人の主張は採用できない。
イ まとめ
よって、本件の請求項13に係る発明は甲第1号証及び甲第2ないし4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとは認められず、本件の請求項13に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1ないし13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1ないし13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-701079