特許異議申立
2025-701058
トイレ装置
- 審判番号
- 2025-701058
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-199358
- 登録番号
- 7673389
- 請求日
- 2025年11月10日
- 審決日
- 2026年02月10日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】TOTO株式会社
- 【異議申立人】満田 真希
- 審判長/審判官
- 審判長 澤田 真治
- 審判官 西田 秀彦
- 審判官 有家 秀郎
- 分類
- P1651.113-Y (A47K) / P1651.121-Y (A47K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7673389号発明「トイレ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7673389号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7673389号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、令和2年12月1日に出願され、令和7年4月28日にその特許権の設定登録がされ、同年5月9日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、令和7年11月10日に、特許異議申立人 満田 真希(以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、本件特許の請求項1ないし7に係る特許について、特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1ないし7の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1ないし7の記載は、下記のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」などという。)。なお、当審において、適宜に改行を整え、申立人による分説を参考に各構成に分説を付した。
【請求項1】
1A: 大便器の上に設置されるトイレ装置であって、
1B: ケーシングと、
1C: 前記ケーシングに対して回動することで開閉する第1開閉体と、
1D: 前記ケーシング内に設けられ、前記第1開閉体を電動開閉させるための第1モータと、
1E: 前記第1モータの動作を制御する制御部と、
1F: 前記第1モータと前記制御部とを電気的に接続する第1ハーネスと、
を備え、
1G: 前記第1開閉体は、便蓋及び便座の一方であり、
1H: 前記第1ハーネスは、前記第1モータに接続される第1コネクタと、前記制御部に接続される第2コネクタと、を有し、
1I: 前記第1ハーネスが前記第1モータと前記制御部とを電気的に接続した状態において、前記第1コネクタは、前記第2コネクタよりも下方に位置する
1J: ことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
2A: 前記第1コネクタは、前記第1モータの下部に接続される
2B: ことを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
3A: 前記第1コネクタは、前記第1モータに対して下方から接続される
3B: ことを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
4A: 前記第2コネクタは、前記制御部の上部に接続される
4B: ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項5】
5A: 前記第2コネクタは、前記制御部に対して上方から接続される
5B: ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項6】
6A: 前記ケーシングに対して回動することで開閉する第2開閉体と、
6B: 前記ケーシング内に設けられ、前記第2開閉体を電動開閉させるための第2モータと、
6C: 前記第2モータと前記制御部とを電気的に接続する第2ハーネスと、
をさらに備え、
6D: 前記第2開閉体は、前記便蓋及び前記便座の他方であり、
6E: 前記制御部は、前記第2モータの動作を制御し、
6F: 前記第2ハーネスは、前記第2モータに接続される第3コネクタと、前記制御部に接続される第4コネクタと、を有し、
6G: 前記第3コネクタは、前記第4コネクタよりも下方に位置する
6H: ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項7】
7A: 前記制御部の上下方向の中心は、前記第1モータの上下方向の中心よりも下方に位置する
7B: ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載のトイレ装置。
第3 証拠方法、及び特許異議申立理由の概要
1 証拠方法
申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。
(以下、申立人の提出した甲第1号証を、甲1という。甲第2号証以下についても同様。)
・甲1: 特開2010-196368号公報
(平成22年9月9日公開)
・甲2: 特開2014-73007号公報
(平成26年4月21日公開)
・甲3: 特開2003-293429号公報
(平成15年10月15日公開)
2 特許異議申立理由の概要
申立人が申立書において主張する申立理由の概要は、次のとおりである。
・甲1を主たる証拠とした新規性欠如及び進歩性欠如
本件特許の請求項1及び4~6に係る発明は、甲1に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当する。
また、本件特許の請求項1~7に係る発明は、甲1に記載された発明、及び甲2、甲3に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条1項または同条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 証拠について
(1) 甲1
ア 記載及び図示
甲1には、次の記載及び図示がある(下線は、当審において付した。以下、同様。)。
(ア)「【0029】
実施例の便器は、水洗式便器である便器本体10と、便器本体10の後部に取り付けられる下側ケーシング20と、下側ケーシング20側に設けられる複数の下側コネクタ40A~Eと、下側ケーシング20に取り付けられる上側ケーシング50と、上側ケーシング50側に設けられる複数の上側コネクタ70A~Eと、下側ケーシング20に取り付けられるコネクタ保持具80とを備えている。下側及び上側の両ケーシング20、50、下側及び上側の両コネクタ40A~E、70A~E及びコネクタ保持具80は、いずれも合成樹脂製である。
【0030】
上側ケーシング50は、図8に示すように、下側ケーシング20を覆蓋するカバー51を有し、カバー51の前端部には、便座11及び便蓋12が開閉可能に取り付けられている。便座11には、図示しない電気ヒータを有するヒータ部が内蔵されている。
・・・・・
【0032】
また、カバー51には、リモコンからの光信号を受光する受光部58が組み込まれ、さらに人体の存在を検知する人体検知部59、60が組み込まれている。この人体検知部59、60は、便蓋12が開状態のときに人体を検知する光学センサからなる下側センサ60と、便蓋12が閉状態のときに人体を検知する焦電センサからなる上側センサ59とによって構成されている。受光部58は、カバー51の天板52における片側の縁部に沿って配される縦長の形状をなし、上側センサ59は、受光部58の直前方に配されている。下側センサ60は、カバー51の前端部の幅方向略中央に配されている。また、カバー51の天板52の下面のうち、幅方向について上側センサ59と下側センサ60との間には、便蓋12及び便座11の開閉動作を行う動力部61が組み込まれている。
【0033】
そして、カバー51の天板52の下面には、上記したヒータ部、スイッチ部57、受光部58、人体検知部59、60及び動力部61の各部から延びる複数の電線62が配策されている。これら電線62からなる電線群63は、カバー51の天板52における片側の縁部で、かつ受光部58の前方において取りまとめられ、そこに形成された門型枠状の電線結束部64に後方から挿通されて結束されている。こうしてカバー51の前方に臨む各電線62の端末には、対応する上側コネクタ70A~Eが接続され、各上側コネクタ70A~Eが対応する下側コネクタ40A~Eと嵌合されることにより、両コネクタ40A~E、70A~Eを介して各部への通電が行われるようになっている。
【0034】
続いて、下側ケーシング20について説明すると、下側ケーシング20は、ベースプレート21と左右一対の化粧板22とを有している。化粧板22は、便器の後部両側面を覆いつつベースプレート21に外側から取り付けられている。
【0035】
ベースプレート21は、カバー51内に嵌合可能な板状をなし、図4に示すように、後側に位置して便器本体10の後部上面にボルト締めして固定される固定プレート23と、前側に位置して固定プレート23に対して昇降可能な可動プレート24とからなる。図3に示すように、可動プレート24の幅方向中央部には局部洗浄ノズル部25が後方へ向けて上り勾配に配されている。また、可動プレート24の後端には、局部洗浄ノズル部25の上端よりも上方で、かつ固定プレート23の上方を覆う位置に、電力回路が形成された電力回路基板26と、制御回路が形成された制御回路基板27とが幅方向両側に分かれて配されている。両回路基板26、27は、電線28及び電線28の端末に接続された中継基板コネクタ29を介して互いに接続されている。また、両回路基板26、27は、上方に開放された扁平箱状の基板収容部30内に収容されている。」
(イ)「【0040】
コネクタ保持具80の上板83には、下側コネクタ40A~Eが取り付けられる複数の取り付け孔88が開口して形成されている。各取り付け孔88は、前後方向(縦方向)に一列に配され、対応する下側コネクタ40A~Eの外形形状に適合するよう、互いに異なる孔形状を有している。なお、図示する場合には、下側コネクタが取り付けられずに空いた取り付け孔88が含まれている。
【0041】
ここで、各下側コネクタ40A~Eの両側面には、図6に示すように、撓み可能な一対の係止片45が突出して形成されている。このため、各取り付け孔88に下方から対応する下側コネクタ40A~Eが挿入され、各取り付け孔88の孔縁に両係止片45が弾性的に係止されることで、各下側コネクタ40A~Eがコネクタ保持具80に抜け止め保持される。各下側コネクタ40A~Eは、図4に示すように、電線46の端末に接続されており、電線46のもう一方の端末には、対応する基板コネクタ48が接続されている。基板コネクタ48は、制御回路基板27又は電力回路基板26の上面に実装されている。
【0042】
また、コネクタ保持具80の上板83は、下段部89、中段部90及び上段部91の順に高く配され、それぞれの上面には前向きに傾斜する斜面が形成されている。このうち、下段部89及び上段部91の両斜面は互いにほぼ同じ傾斜角をもった緩傾斜面とされ、中段部90の斜面は、下段部89及び上段部91よりも大きい傾斜角をもった急傾斜面とされている。ここで、下段部89の取り付け孔88には、上側センサ59及び下側センサ60のそれぞれに対応する下側コネクタ40A、Bが挿入され、中段部90の取り付け孔88には、動力部61に対応する下側コネクタ40Cが挿入され、上段部91の取り付け孔88には、ヒータ部及びスイッチ部57のそれぞれに対応する下側コネクタ40D、Eが挿入されている。このため、各下側コネクタ40A~Eの嵌合面は、各斜面の傾斜角に応じて斜め上前方を向くようになっている。」
(ウ)「【0054】
以上説明したように、この実施例によれば、複数の下側コネクタ40A~Eがコネクタ保持具80に保持されているため、複数個所に分散されるよりも、両コネクタ40A~E、70A~Eの嵌合作業を容易に行うことができる。この場合、コネクタ保持具80が下側ケーシング20の片側の縁部に沿って配されているから、作業者の手がより届きやすい。しかも、各下側コネクタ40A~Eから引き出された電線群47がコネクタ保持具80の下面に隠蔽され、さらに上側ケーシング50では同じ片側の縁部に各上側コネクタ70A~Eが配されることによって各上側コネクタ70A~Eから引き出される電線62の長さを短くできるため、作業中に電線群47、63がからまる等するのが回避され、両コネクタ40A~E、70A~Eの嵌合作業をいっそう容易に行うことができる。」
(エ)【図1】
「
[図:0001433133000001.jpg]
」
(オ)【図2】
「
[図:0001433133000002.jpg]
」
(カ)【図4】
「
[図:0001433133000003.jpg]
」
(キ)【図5】
「
[図:0001433133000004.jpg]
」
(ク)【図8】
「
[図:0001433133000005.jpg]
」
イ 図より看取される事項または認定事項
(ア) 看取事項1
段落【0041】の記載を踏まえると、上記【図4】より、コネクタ保持具80に保持された下側コネクタ40A~40Eの位置は、制御回路基板27又は電力回路基板26の上面に実装される基板コネクタ48の位置より下方となる様子が、看取される。
(イ) 認定事項1
段落【0033】に記載される「上側コネクタ70A~E」と「下側コネクタ40A~E」との対応関係を踏まえると、【図2】及び【図8】より、段落【0042】に記載される「動力部61に対応する下側コネクタ40C」には、上側コネクタ70Cが嵌合されると、認定される。
ウ 記載された発明
上記ア及びイより、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。なお、各構成に分説を付し、関連する段落番号等を括弧書きで付した。
<甲1発明>
「a: 便器本体10の後部に取り付けられる下側ケーシング20と、下側ケーシング20側に設けられる複数の下側コネクタ40A~Eと、下側ケーシング20に取り付けられる上側ケーシング50と、上側ケーシング50側に設けられる複数の上側コネクタ70A~Eと、下側ケーシング20に取り付けられるコネクタ保持具80とを備えており、(【0029】)
b: 上側ケーシング50は、下側ケーシング20を覆蓋するカバー51を有し、カバー51の前端部には、便座11及び便蓋12が開閉可能に取り付けられており、(【0030】)
c: カバー51の天板52の下面には、便蓋12及び便座11の開閉動作を行う動力部61が組み込まれており、(【0032】)
d: カバー51の天板52の下面には、動力部61等の各部から延びる複数の電線62が配策され、これら電線62からなる電線群63は、門型枠状の電線結束部64に後方から挿通されて結束され、カバー51の前方に臨む各電線62の端末には、対応する上側コネクタ70A~Eが接続され、各上側コネクタ70A~Eが対応する下側コネクタ40A~Eと嵌合されることにより、両コネクタ40A~E、70A~Eを介して各部への通電が行われるようになっており、(【0033】)
e: 下側ケーシング20には、局部洗浄ノズル部25の上端よりも上方で、かつ固定プレート23の上方を覆う位置に、電力回路が形成された電力回路基板26と、制御回路が形成された制御回路基板27とが、上方に開放された基板収容部30内に収容され、(【0034】、【0035】)
f: コネクタ保持具80の上板83には、下側コネクタ40A~Eが取り付けられる複数の取り付け孔88が開口して形成され、各下側コネクタ40A~Eがコネクタ保持具80に抜け止め保持され、各下側コネクタ40A~Eは、電線46の端末に接続されており、電線46のもう一方の端末には、対応する基板コネクタ48が接続され、基板コネクタ48は、制御回路基板27又は電力回路基板26の上面に実装され、(【0040】、【0041】)
g: 下側コネクタ40Cは、動力部61に対応し、各下側コネクタ40A~Eの嵌合面は、各斜面の傾斜角に応じて斜め上前方を向くようになっており、(【0042】)
h: 複数の下側コネクタ40A~Eがコネクタ保持具80に保持されているため、両コネクタ40A~E、70A~Eの嵌合作業を容易に行うことができ、(【0054】)
i: コネクタ保持具80に保持された下側コネクタ40A~40Eの位置は、制御回路基板27又は電力回路基板26の上面に実装される基板コネクタ48の位置より下方となり、(【図4】及び看取事項1)
k: 動力部61に対応する下側コネクタ40Cには、上側コネクタ70Cが嵌合される、(【図2】、【図8】及び認定事項1)
l: 下側ケーシング20、上側ケーシング50、下側コネクタ40A~E、上側コネクタ70A~E、コネクタ保持具80、便座11及び便蓋12、動力部61、制御回路基板27及び電力回路基板26。(【0029】、【0030】、【0032】、【0035】)」
(2)甲2
甲2には、次の記載及び図示がある。
ア 「【0024】
ケース10において第2側面部分10dと第4側面部分10fによって形成される角部分には、上方から切り欠かれた切り欠き部10iが設けられている。切り欠き部10iの下方にはコネクタ搭載部12が設けられている。コネクタ搭載部12にはギヤードモータ1と外部の制御装置を電気的に接続するケーブル(配線)を接続するためのコネクタ13が配置されており、ケーブルが接続される接続部13aがケース10から露出している。」
イ 【図1】
「
[図:0001433133000006.jpg]
」
ウ 【図8】
「
[図:0001433133000007.jpg]
」
(3)甲3
甲3には、次の記載及び図示がある。
ア 「【0025】そして、上ケース1bは中央傾斜前面12の中央上端に人体検知手段17、左側の端部中央上端の角に受光ユニット18、回転軸15を駆動する軸支面に沿ってモータおよびギア等からなる自動開閉手段19等の複数の第1トイレ機能部を内装し、かつ人体検知手段17の信号を取り込んで自動開閉手段19を制御する第1制御部20を両側傾斜面8の一方の内面に沿って傾斜させて設けている。」
イ 【図1】
「
[図:0001433133000008.jpg]
」
2 新規性・進歩性
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア) 構成1Aについて
甲1発明の構成aにおける「便器本体10」は、構成bより「便座11」を備えており、大便が可能ないわゆる洋式便器であることが明らかであることを踏まえると、本件発明1の構成1Aにおける「大便器」に、相当する。
甲1発明の構成lにおける「下側ケーシング20、上側ケーシング50、下側コネクタ40A~E、上側コネクタ70A~E、コネクタ保持具80、便座11及び便蓋12、動力部61、制御回路基板27及び電力回路基板26」は、構成a~c及びeより、「便器本体10」に「下側ケーシング20」とともに取り付けられる一群の部材であるから、本件発明1の構成1Aにおける「トイレ装置」に、相当する。
本件発明1の構成1Aにおいて、「トイレ装置」が「大便器の上に設置される」ことと、甲1発明において、構成a~c及びeより、「下側ケーシング20」が「便器本体10の後部に取り付けら」れ、「上側ケーシング50」が「下側ケーシング20に取り付けられ」たうえで、「下側コネクタ40A~E」、「上側コネクタ70A~E」、「コネクタ保持具80」、「便座11及び便蓋12」、「動力部61」、「制御回路基板27及び電力回路基板26」が「下側ケーシング20」または「上側ケーシング50」に設けられることとは、「トイレ装置」が「大便器に設置される」という点で、共通する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、「大便器に設置されるトイレ装置」という点で、共通する構成を有する。
(イ)構成Bについて
甲1発明において、構成aより有する「下側ケーシング20」及び「上側ケーシング50」は、本件発明1の構成1Bにおける「ケーシング」に、相当する。
したがって、甲1発明は、本件発明1の構成1Bに相当する構成を有する。
(ウ)構成1Cについて
甲1発明において、構成bより有する、「上側ケーシング50」の「下側ケーシング20を覆蓋するカバー51」の「前端部」に取り付けられた「開閉可能」な「便座11及び便蓋12」は、「上側ケーシング50」及び「下側ケーシング20」に対して回動して開閉することが明らかであるから、いずれも本件発明1の構成1Cにおける「前記ケーシングに対して回動することで開閉する第1開閉体」に、相当する。
したがって、甲1発明は、本件発明1の構成1Cに相当する構成を有する。
(エ)構成1Dについて
甲1発明において、構成cより有する「便蓋12及び便座11の開閉動作を行う動力部61」は、構成d及びeより「電力回路が形成された電力回路基板26と、制御回路が形成された制御回路基板27と」から「電線62」による「通電」が行われて動作するから、電動のモータであることが明らかであることを踏まえると、本件発明1の構成1Cにおける「前記第1開閉体を電動開閉させるための第1モータ」に、相当する。
甲1発明において、構成cより有する上記「便蓋12及び便座11の開閉動作を行う動力部61」が、構成b及びcより「下側ケーシング20を覆蓋するカバー51」の「天板52の下面」に「組み込まれ」ていることは、「動力部61」が「上側ケーシング50」及び「下側ケーシング20」を組み合わせた中に配置されることが明らかであるから、本件発明1の構成1Dにおいて、「第1モータ」が「前記ケーシング内に設けられ」ることに、相当する。
したがって、甲1発明は、本件発明1の構成1Dに相当する構成を有する。
(オ)構成1Eについて
甲1発明において、構成eより有する「電力回路基板26」及び「制御回路基板27」は、構成d及びeより「電線62」による「通電」で「動力部61」の動作を制御することが明らかであることを踏まえると、本件発明1の構成1Eにおける「前記第1モータの動作を制御する制御部」に、相当する。
したがって、甲1発明は、本件発明1の構成1Eに相当する構成を有する。
(カ)構成1Fについて
甲1発明において、構成f及びgより有する「各下側コネクタ40A~Eは、電線46の端末に接続されており、電線46のもう一方の端末には、対応する基板コネクタ48が接続され」ている「電線46」のうち、「動力部61に対応」する「下側コネクタ40C」を有する「電線46」は、「基板コネクタ48」と「下側コネクタ40C」とを端部に有して「制御回路基板27又は電力回路基板26」と「動力部61」との電気的な接続を「下側コネクタ40C」の部分まで担うから、「動力部61」までの電気的な接続の全体を担うか否かは措くとして、本件発明1の構成1Fにおける「前記第1モータと前記制御部とを電気的に接続する第1ハーネス」に、相当する。
したがって、甲1発明は、本件発明1の構成1Fに相当する構成を有する。
(キ)構成1Gについて
甲1発明において、構成bより、「開閉可能」な部材が「便座11及び便蓋12」であることは、本件発明1の構成1Gにおける、「前記第1開閉体は、便蓋及び便座の一方」であることに、相当する。
したがって、甲1発明は、本件発明1の構成1Gに相当する構成を有する。
(ク)構成1Hについて
甲1発明において、構成f及びgより、「動力部61に対応」する「下側コネクタ40C」が端末に接続されている「電線46」について、「もう一方の端末」に「接続」されて「制御回路基板27又は電力回路基板26の上面に実装」される「基板コネクタ48」は、本件発明1の構成1Hにおいて「前記第1ハーネス」が有する「前記制御部に接続される第2コネクタ」に、相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記第1ハーネスは、前記制御部に接続される第2コネクタを有」するという点で、共通する構成を有する。
(ケ)構成1Jについて
上記(ア)において、本件発明1の構成1Aにおける「トイレ装置」について対比したのと同じ理由で、甲1発明は、本件発明1の構成1Jにおける「トイレ装置」に相当する構成を有する。
したがって、甲1発明は、本件発明1の構成1Jに相当する構成を有する。「前記第1ハーネスは、前記制御部に接続される第2コネクタを有」するという点で、共通する構成を有する。
以上を整理すると、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
1A’: 大便器に設置されるトイレ装置であって、
1B: ケーシングと、
1C: 前記ケーシングに対して回動することで開閉する第1開閉体と、
1D: 前記ケーシング内に設けられ、前記第1開閉体を電動開閉させるための第1モータと、
1E: 前記第1モータの動作を制御する制御部と、
1F: 前記第1モータと前記制御部とを電気的に接続する第1ハーネスと、
を備え、
1G: 前記第1開閉体は、便蓋及び便座の一方であり、
1H’: 前記第1ハーネスは、前記制御部に接続される第2コネクタを有する、
1J: トイレ装置。
そして、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
「トイレ装置」の「設置」に関し、
本件発明1においては、「大便器の上に設置される」と特定されているのに対し、
甲1発明においては、そのように特定されていない点。
<相違点2>
「第1ハーネス」が有する「コネクタ」、及び、接続時の状態に関し、
本件発明1においては、「前記第1ハーネスは、前記第1モータに接続される第1コネクタと、前記制御部に接続される第2コネクタと、を有し、記第1ハーネスが前記第1モータと前記制御部とを電気的に接続した状態において、前記第1コネクタは、前記第2コネクタよりも下方に位置する」と特定されているのに対し、
甲1発明においては、「動力部61に対応」する「電線46」が「基板コネクタ48」の反対側に有する「下側コネクタ40C」は、「動力部61」に接続されるものではなく、接続時の「下側コネクタ40C」と「基板コネクタ48」との位置関係は、「動力部61」に接続されるコネクタと「基板コネクタ48」との位置関係とはならない点。
イ 判断
事案に鑑み、上記相違点2について、判断する。
(ア)実質的な相違点か否か
甲1発明において、「下側コネクタ40C」は、「下側ケーシング20」に設けられる「複数の下側コネクタ40A~40E」の一つであり、「上側ケーシング50」に設けられる「上側コネクタ70A~70E」との嵌合作業が容易となるよう、「コネクタ保持具80」に保持されるものである(構成a、構成f及び構成h)。
そして、甲1発明において、「下側コネクタ40C」が嵌合する「上側コネクタ70C」は、嵌合作業が容易となるよう「コネクタ保持具80」に保持された「複数の下側コネクタ40A~40E」の位置まで延ばした「電線62」の端末に設けられた「複数の上側コネクタ70A~E」の一つであるから(構成a、構成d及び構成h)、「上側コネクタ70C」を「動力部61」と同一視することはできない。
したがって、甲1発明において「上側コネクタ70C」と嵌合する「下側コネクタ40C」を、「動力部61」に嵌合するものと同一視して、本件発明1における「前記第1モータに接続される第1コネクタ」に相当するとはいえない。
また、甲1発明において、接続された「下側コネクタ40C」の位置は「動力部61」から離れた「上側コネクタ70C」の位置となるから、「下側コネクタ40C」の位置が「基板コネクタ48の位置より下方」となっても(構成i)、甲1発明における「下側コネクタ40C」と「基板コネクタ48」との位置関係が、本件発明1における「第1コネクタ」と「第2コネクタ」との位置関係に相当するとはいえない。
よって、上記相違点2は、形式上の相違点ということができず、実質的な相違点である。
(イ)容易想到か否か
甲1発明は、「複数の下側コネクタ40A~Eがコネクタ保持具80に保持されているため、両コネクタ40A~E、70A~Eの嵌合作業を容易に行うことができ」る(構成h)という意図の下に、「下側ケーシング20側に設けられる複数の下側コネクタ40A~E」を、「コネクタ保持具80」に保持したうえで、「上側ケーシング50」の「動力部61等」から「電線62」を延ばした先の「複数の上側コネクタ70A~E」と嵌合させる、という構成を採用したものである。
このような甲1発明において、「下側コネクタ40C」を、その位置を変更することなく、「上側コネクタ70C」ではなく「動力部61」に接続するものとすることについて、甲1中には何ら示唆されておらず、動機付けがあったともいえない。
また、単に電線の端部のコネクタの接続先を、相手側の電線の先端のコネクタではなく、モータ等の部材とすることが、一般論として周知技術であったとしても、上述したような意図の下で「下側コネクタ40C」の嵌合相手を「動力部61」から「電線62」を延ばした先の「上側コネクタ70C」としている甲1発明において、「下側コネクタ40C」の接続先を「動力部61」に変えることが、設計事項であったということはできず、想到容易であったともいえない。
甲2には、上記1(2)に摘記した事項が記載されており、モータと外部とを接続するコネクタの例が示されている。甲3には、上記1(3)に摘記した事項が記載されており、モータ等より下に制御部を配置する例が示されている。しかしながら、甲2及び甲3のいずれも、甲1発明を出発点として、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることについて、記載や示唆がされているものではない。
よって、甲1発明において、上記相違点2に係る本件発明1の構成に至ることは、甲2及び甲3に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易ではない。
(ウ)小括
上記(ア)のとおり、相違点2は実質的な相違点であるから、その余の相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明ではない。
また、上記(イ)のとおり、相違点2は想到容易でないから、その余の相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明において、たとえ甲2及び甲3に記載される事項を考慮しても、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
ウ 申立人の主張について
申立人は申立書において、甲1発明において、「動力部61」から延びる「電線62」等を、「動力部61」を構成する部品の一部であると解すれば、「下側コネクタ40C」は本件発明1の「前記第1モータに接続される第1コネクタ」に相当する旨を主張し、甲1発明は本件発明1における「第1コネクタ」に相当する構成、及び、本件発明1における「第1コネクタ」と「第2コネクタ」の位置関係に相当する構成を有すると主張している(特には申立書第15頁下から8行~第16頁第12行)。
しかしながら、相違点2について上記イ(ア)に示したとおり、甲1発明において、「動力部61」とは異なる位置で「下側コネクタ40C」との接続を行うために、「電線62」を延ばした先に設けた「上側コネクタ70C」を嵌合相手としていることから、「上側コネクタ70C」を「動力部61」と同一視することはできず、上記請求人の主張は採用することができない。
したがって、上記請求人の主張について考慮しても、本件発明1の新規性・進歩性について、上記イの判断を変更すべき事情はない。
エ 本件発明1のまとめ
よって、本件発明1は甲1発明ではない。
また、本件発明1は、甲1発明において、たとえ甲2及び甲3に記載される事項を考慮しても、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
(2)本件発明2~7について
ア 対比・判断
本件発明2~7は、本件発明1の構成を有し、さらに構成を付加したものである。
上記(1)のとおり、本件発明2~7が有する本件発明1の構成は、甲1発明と同一ではなく、たとえ甲2及び甲3に記載される事項を考慮しても当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、本件発明2~7において付加された構成について検討するまでもなく、本件発明2~7は、甲1発明と同一ではなく、たとえ甲2及び甲3に記載される事項を考慮しても当業者が容易に発明できたものではない。
第5 結び
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-701058