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特許異議申立

2024-700890

トイレキャビネットおよびトイレキャビネットの設置方法

審判番号
2024-700890
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-148775
登録番号
7451107
請求日
2024年09月17日
審決日
2026年01月07日
公報発行日
2026年04月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社LIXIL
  • 【権利者代理人】及川 周
  • 【権利者代理人】川渕 健一
  • 【権利者代理人】松本 将尚
  • 【異議申立人】TOTO 株式会社
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人iX
審判長/審判官
  • 審判長 渋谷 知子
  • 審判官 蔵野 いづみ
  • 審判官 藤田 年彦
分類
P1652.113-YAA(A47K) / P1652.121-YAA(A47K) / P1652.537-YAA(A47K) / P1652.851-YAA(A47K) / P1652.857-YAA(A47K) / P1652.856-YAA(A47K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7451107号発明「トイレキャビネットおよびトイレキャビネットの設置方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7451107号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1、2、3、4、5、6について訂正することを認める。 特許第7451107号の請求項1、2、3、5、6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7451107号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和元年8月14日の出願であって、令和6年3月8日にその特許権の設定登録がされ、同月18日に特許掲載公報が発行された。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年 9月17日 :特許異議申立人であるTOTO株式会社(以 下「申立人」という。)による請求項1~3 、5、6に係る特許に対する特許異議の申立 て 令和7年 1月30日付け:取消理由通知書(以下「第1次取消理由」と いう。) 同年 4月 3日 :特許権者による意見書及び訂正請求書(以下 、この訂正請求書による訂正を「第1次訂正 」という。)の提出 同年 5月20日 :申立人による意見書の提出 同年 7月30日付け:取消理由通知書(決定の予告)(以下「第2 次取消理由」という。) 同年10月 1日 :特許権者による意見書及び訂正請求書(以下 、この訂正請求書による訂正を「本件訂正」 という。)の提出 なお、本件訂正に係る請求によって、第1次訂正に係る請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされた。 また、当合議体は、申立人に対して、本件訂正に係る請求について、特許法第120条の5第5項の規定に基づき相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からは応答がなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正の内容は、次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を、 「トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、を有するトイレキャビネットであって、 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口しているトイレキャビネット。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を、訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、を有するトイレキャビネットであって、 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 前記幕板には、開口部が形成され、 前記幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部は、前記裏面に沿って固定される固定板部と、前記固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、前記突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、前記鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、前記第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し、 前記幕板は、前記幕板取付部に着脱可能に構成され、前記幕板を前記幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、前記幕板を前記幕板取付部から外すには上方に引き上げるトイレキャビネット。」 に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を、訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、を有するトイレキャビネットであって、 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 前記幕板には、開口部が形成され、 前記開口部は、前記便器と前後方向に重なるように配置され、 前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成され、 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口しているトイレキャビネット。」 に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を、訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、を有するトイレキャビネットであって、 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 前記第1壁部と前記幕板との間の上部側に設けられ、前記第1壁部と前記幕板との間の空間とその上方とを連通および遮断可能な開閉部材を有し、 前記開閉部材は、上下方向に移動することで前記第1壁部と前記幕板との間の空間とその上方とを連通または遮断するように構成されているトイレキャビネット。」 に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を、訂正前の請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、を有するトイレキャビネットであって、 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 前記幕板は、下端部が前記トイレ空間の床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられ、 前記幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部には前記便器と接続される排水部材が設置されるトイレキャビネット。」 に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6を、 「トイレ空間における便器の後方の第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に幕板取付部を固定し、 前記幕板取付部に前記第1壁部および前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように幕板を固定すると共に、前記第1壁部と前記幕板との間に、前記第2壁部に向けて開口し、前記第2壁部側から前記第1壁部と前記幕板との間の空間にアクセス可能にする開口部を形成し、 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口しているトイレキャビネットの設置方法。」 に訂正する。 (7)一群の請求項及び訂正の単位について 本件訂正は、請求項1~6を訂正するものであるところ、訂正前の請求項2~5が訂正前の請求項1を引用するものであり、訂正前の請求項6は独立形式請求項であることから、一群の請求項ごとに、訂正後の請求項〔1~5〕、6についてするものである。 そして、請求項2~5に係る訂正が認められる場合、訂正後の請求項2~5については、それぞれ一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とする求めがなされている。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1の発明特定事項である「前記第1壁部と前記幕板との間の空間」に関して、「前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」ことを付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項1の「前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」との事項は、本件特許の登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下(本件明細書等」という。)の段落【0037】の「第1幕板23は」「右側の縁部23gが第1固定フレーム部22の右側の突出板部35よりも右側に位置している」、【0097】の「第1壁部14と第1幕板23との間の空間が、右側第2壁部16に向けて開口している」及び図1の記載に基づいて導き出される技術的事項である。 [図:0001434122000001.jpg] したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1に係る訂正は、発明特定事項を付加して限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件の存否 訂正事項1に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項1に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2に係る訂正は、請求項1を引用する請求項2を独立請求項とし、さらに、訂正前の請求項1の発明特定事項である「幕板」に関して、「前記幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部は、前記裏面に沿って固定される固定板部と、前記固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、前記突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、前記鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、前記第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し、前記幕板は、前記幕板取付部に着脱可能に構成され、前記幕板を前記幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、前記幕板を前記幕板取付部から外すには上方に引き上げる」ことを付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項2の「前記幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部は、前記裏面に沿って固定される固定板部と、前記固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、前記突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、前記鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、前記第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し、前記幕板は、前記幕板取付部に着脱可能に構成され、前記幕板を前記幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、前記幕板を前記幕板取付部から外すには上方に引き上げる」との事項は、本件明細書等の段落【0038】の「左側第1幕板231および右側第1幕板232は、それぞれ第1固定フレーム部22に着脱可能に構成されている」、【0041】の「第1被係止部251には、鋼板を加工した第2金具71が使用されている。第2金具71は、左側第1幕板231の裏面231bに沿って固定される固定板部711と、固定板部711の下縁部から後に突出する突出板部712と、突出板部712の後縁部から下側に延びる鉛直板部713と、鉛直板部713から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部714と、第1傾斜板部714の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部715と、を有している」、【0043】の「第1被係止部251の第2金具71」、【0049】の「左側第1幕板231を第1固定フレーム部22に取り付けるには」「下方スライドさせる」、【0050】の「左側第1幕板231を第1固定フレーム部22から外すには、左側第1幕板231を上方に引き上げる」、【0057】の「右側第1幕板232を第1固定フレーム部22に取り付けるには」「下方スライドさせる」、【0058】の「右側第1幕板232を第1固定フレーム部22から外すには、右側第1幕板232を上方に引き上げる」との記載に基づいて導き出される技術的事項である。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2に係る訂正は、発明特定事項を付加して限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件の存否 訂正事項2に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項2に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3に係る訂正は、請求項1を引用している請求項2を引用する請求項3を独立請求項とし、さらに、訂正前の請求項1の発明特定事項である「前記第1壁部と前記幕板との間の空間」に関して、「前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」ことを付加して限定するもので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項3の「前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」との事項は、本件明細書等の段落【0037】の「第1幕板23は」「右側の縁部23gが第1固定フレーム部22の右側の突出板部35よりも右側に位置している」、【0097】の「第1壁部14と第1幕板23との間の空間が、右側第2壁部16に向けて開口している」及び図1の記載に基づいて導き出される技術的事項である。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3に係る訂正は、請求項1を引用している請求項2を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改め、さらに、発明特定事項を付加して限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件の存否 訂正事項3に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項3に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項4が請求項1から請求項3の何れか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項2、及び3を引用しないものとして、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するとともに、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項4が請求項1から請求項3の何れか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項2、及び3を引用しないものとして、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するとともに、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項4が請求項1から請求項3の何れか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項2、及び3を引用しないものとして、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するとともに、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件の存否 訂正前の請求項4について特許異議申立てがされておらず、訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1~3の何れか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項2及び3を引用しないものとして、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するための訂正を含み、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正を含むものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件が課されることとなる。 そこで、訂正後の請求項4について、独立特許要件を検討する。 訂正後の請求項4の特定事項である「前記第1壁部と前記幕板との間の上部側に設けられ、前記第1壁部と前記幕板との間の空間とその上方とを連通および遮断可能な開閉部材を有し、前記開閉部材は、上下方向に移動することで前記第1壁部と前記幕板との間の空間とその上方とを連通または遮断するように構成されている」ことについては、申立人の提出した甲第1号証~甲第6号証のいずれにも記載されておらず、これらに基づいて新規性・進歩性が欠如するとはいえない。 また、他に訂正後の請求項4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、訂正後の請求項4は独立特許要件を満たすものと認める。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的 訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項5が請求項1から請求項4の何れか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項2~4を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改め、さらに、訂正前の請求項1の発明特定事項である「幕板」に関して、「前記幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部には前記便器と接続される排水部材が設置される」ことを付加して限定するもので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無 訂正事項5の「前記幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部には前記便器と接続される排水部材が設置される」との事項は、本件明細書等の段落【0039】の「左側第1幕板231には、下部側の左右方向の中間部に、下側に開口する切り欠き部233(開口部)が形成されている」、「切り欠き部233には便器12と接続される」「排水管が設置される」との記載、及び「排水部材」に関して便器からの汚水を排水するための部材は排水管以外の他の部材も有するとの技術常識に基づいて導き出される技術的事項である。 したがって、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項5が請求項1から請求項4の何れか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項2~4を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改め、さらに、発明特定事項を付加して限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件の存否 訂正事項5に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項5に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的 訂正事項6に係る訂正は、本件訂正前の請求項6の発明特定事項である「前記第1壁部と前記幕板との間の空間」に関して、「前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」こと付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項6の「前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」との事項は、本件明細書等の段落【0037】の「第1幕板23は」「右側の縁部23gが第1固定フレーム部22の右側の突出板部35よりも右側に位置している」、【0097】の「第1壁部14と第1幕板23との間の空間が、右側第2壁部16に向けて開口している」及び図1の記載に基づいて導き出される技術的事項である。 したがって、訂正事項6に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項6に係る訂正は、発明特定事項を付加して限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 独立特許要件の存否 訂正事項6に係る訂正は、特許異議の申立てがされている請求項6に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (7)一群の請求項及び訂正の単位について 本件訂正は、前記1(7)のとおり、一群の請求項ごとに、訂正後の請求項〔1~5〕、6について請求されたものであり、請求項2~5に係る訂正が認められる場合、訂正後の請求項2~5については、それぞれ一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とする求めがなされているところ、前記(2)~(5)のとおり、請求項2~5にかかる訂正は認められるので、当該別の訂正単位とする求めを認める。 3 小括 上記2のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正後の請求項1、2、3、5、6に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」などといい、これらを総称して「本件発明」という。なお、請求項4は、異議の申立てがされていない。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、3、5、6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その各請求項の記載は、次のとおりである(A等は分説のために付した。)。 「【請求項1】 A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、 C を有するトイレキャビネットであって、 D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している トイレキャビネット。 【請求項2】 A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、 C を有するトイレキャビネットであって、 D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 G 前記幕板には、開口部が形成され、 N1 前記幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部は、前記裏面に沿って固定される固定板部と、前記固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、前記突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、前記鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、前記第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し、 N 前記幕板は、前記幕板取付部に着脱可能に構成され、 N2 前記幕板を前記幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、前記幕板を前記幕板取付部から外すには上方に引き上げる トイレキャビネット。 【請求項3】 A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、 C を有するトイレキャビネットであって、 D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 G 前記幕板には、開口部が形成され、 H 前記開口部は、前記便器と前後方向に重なるように配置され、 I 前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成され、 O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している トイレキャビネット。」 「【請求項5】 A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、 C を有するトイレキャビネットであって、 D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 J 前記幕板は、下端部が前記トイレ空間の床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられ、 N3 前記幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部には前記便器と接続される排水部材が設置される トイレキャビネット。 【請求項6】 AB トイレ空間における便器の後方の第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に幕板取付部を固定し、 E 前記幕板取付部に前記第1壁部および前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように幕板を固定すると共に、 F 前記第1壁部と前記幕板との間に、前記第2壁部に向けて開口し、前記第2壁部側から前記第1壁部と前記幕板との間の空間にアクセス可能にする開口部を形成し、 O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している C トイレキャビネットの設置方法。」 第4 取消理由及び申立理由の概要 1 第2次取消理由の概要 第1次訂正後の請求項1、2、5、6に係る発明について、甲1に記載された発明及び周知技術、甲2に記載された発明及び周知技術、又は、甲3に記載された発明及び周知技術に基づく進歩性欠如(証拠は、「第」及び「号証」を略して表記した。以下同様。)。 2 第1次取消理由の概要(第2次取消理由以外) 本件特許の登録時の請求項3に係る発明について、甲1に記載された発明及び周知技術、甲2に記載された発明及び周知技術、又は、甲3に記載された発明及び周知技術に基づく進歩性欠如。 3 申立理由の概要(第2次取消理由及び第1次取消理由以外) (1)本件特許の登録時の請求項1及び2に係る発明について、甲1又は甲2に記載された発明に基づく新規性欠如。 (2)本件特許の登録時の請求項3に係る発明について、「前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成され」との記載に関する明確性違反。 4 申立人が提出した証拠 甲1:特開2018-155034号公報 甲2:特開平5-263452号公報 甲3:特開2001-204652号公報 甲4:特開2017-155443号公報 甲5:特開2015-190256号公報 甲6:実願昭62-6272号(実開昭63-116583号)のマイクロフィルム 第5 当合議体の判断 1 各甲号証について (1)甲1について ア 甲1の記載事項 甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 「【0019】 図1は、実施形態に係るトイレ装置が設置されたトイレルームを例示する斜視図である。 図1に示すように、実施形態に係るトイレ装置1は、便器2とキャビネット18とを有する。また、この例ではトイレ装置1は、衛生洗浄装置3をさらに有する。トイレ装置1は、例えば、使用者の排尿情報を測定する生体情報測定装置である。 【0020】 便器2は、例えば床置き式の洋風大便器(洋式腰掛便器)である。便器2は、使用者の排泄物を受けるボウル22を有する。」 [図:0001434122000002.jpg] 「【0022】 キャビネット18は、例えば便器2の後方などに、便器2と並べて設けられる。・・・ 【0023】 また、図1に示すように、トイレルームTRの・・・」 「【0029】 また、図2に示すように、キャビネット18は、天板71、側板72(右側板72a及び左側板72b)、前板73を有する。天板71は、キャビネット18の上面を覆う。天板71は、キャビネット18のフレーム80(図3参照)に対して着脱可能である。右側板72aはキャビネット18の右側面を、左側板72bはキャビネット18の左側面を覆う。前板73は、キャビネット18の前面を覆う。」 [図:0001434122000003.jpg] 「【0030】 図3は、実施形態に係るトイレ装置のキャビネット内の一部を例示する斜視図である。図3は、天板71、側板72及び前板73が取り外された状態を示す。キャビネット18は、天板71、側板72及び前板73などが固定されるフレーム80を有する。」 [図:0001434122000004.jpg] 「【0033】 桟部87には、基板部50が収納されるケース部50cが設けられている。 基板部50は、キャビネット18内の前方に設けられている。また、例えば、図2に示すように、キャビネット18の前板73にはカバー板73cが設けられる。カバー板73cは、前板73の一部に設けられた開口を覆い、キャビネット18に対して着脱可能である。カバー板73cを取り外すことにより、前方から基板部50にアプローチすることができる。このように、基板部50をキャビネット18内の前方に設けることにより、メンテナンス性を向上させることができる。ただし、実施形態において、基板部50は、キャビネット18内の後方に設けられてもよい。」 イ 甲1の認定事項 (認定事項ア) 甲1の図1から、キャビネット18は、着座使用者からみて、便器2と便器2の後方の後壁面との間に設けられていることが看取できる。 (認定事項イ) 甲1の図1には、着座使用者からみて、便器2の後方の後壁面と、便器2の右側方の右側壁面と、の境界線は、キャビネット18の右側の前端側に位置して描かれていることから、着座使用者からみて、キャビネット18の右側が、便器2の右側方の右側壁面と間隔をあけるように設置されていることが看取できる。 (認定事項ウ) 甲1の図2から、着座使用者からみて、キャビネット18の右側板72aは下端後方側が開口していることが看取でき、甲1の図1も参照すれば、便器2の後方の後壁面とキャビネット18の前板73との間の空間は、着座使用者からみて、キャビネット18の右側板72aの下端後方側において、便器2の右側方の右側壁面に向けて開口し、キャビネット18の右側部と便器2の右側方の右側壁面との間の空間からアクセス可能であるものと理解できる。 (認定事項エ) 甲1の図2から、前板73及びカバー板73cは、下端部がトイレルームTRの床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられていることが看取できる。 ウ 甲1発明 前記ア及びイによれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(a等は分説のため付した。認定に用いた段落番号等を括弧内に示した。以下同様。)。 <甲1発明> 「a トイレルームTRに設置されるトイレ装置1が床置き式の便器2とともに有するキャビネット18であり(【0019】、【0020】、【0023】)、 b キャビネット18は、便器2の後方に、便器2と並べて設けられ(【0022】)、 c キャビネット18は、天板71、側板72(右側板72a及び左側板72b)、前板73を有し、右側板72aはキャビネット18の右側面を、左側板72bはキャビネット18の左側面を覆い、前板73は、キャビネット18の前面を覆い(【0029】)、 d キャビネット18は、天板71、側板72及び前板73などが固定されるフレーム80を有し(【0030】)、 e キャビネット18の前板73にはカバー板73cが設けられ、カバー板73cは、前板73の一部に設けられた開口を覆い、キャビネット18に対して着脱可能であり(【0033】)、 f キャビネット18は、着座使用者からみて、便器2と便器2の後方の後壁面との間に設けられ(認定事項ア)、 g 着座使用者からみて、キャビネット18の右側が、便器2の右側方の右側壁面と間隔をあけるように設置され(認定事項イ)、 h 便器2の後方の後壁面とキャビネット18の前板73との間の空間は、着座使用者からみて、キャビネット18の右側板72aの下端後方側において、便器2の右側方の右側壁面に向けて開口し、キャビネット18の右側部と便器2の右側方の右側壁面との間の空間からアクセス可能であり(認定事項ウ)、 i 前板73及びカバー板73cは、下端部がトイレルームTRの床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる(認定事項エ) キャビネット18。」 (2)甲2について ア 甲2の記載事項 甲2には、次の事項が記載されている。 「【0008】この洋風便器設備は、便鉢12を有する陶器製の便器本体10と、該便器本体10の後方部に設置されたロータンク14と、該ロータンク14を覆うカバー16とを有する。前記カバー16は、前面部が陶器製の前板18よりなり、該前面部よりも後方の部分が合成樹脂製カバー20である。 【0009】本実施例では、前記合成樹脂製カバー20が複数個に分割された天板22、側板24、26よりなり、天板22及び側板24、26をそれぞれ別体としてある。28は点検蓋である。」 [図:0001434122000005.jpg] [図:0001434122000006.jpg] 「【0010】本実施例では、便器本体10の後方部に直方体形状のフレーム30が設置され、前記陶器製前板18及び合成樹脂製天板22、側板24、26はこのフレーム30にビスにより着脱自在に取り付けられている。」 [図:0001434122000007.jpg] 「【0012】また、このフレーム30内に排水管36が床面から突設され、便器本体10の排水口がこの排水管36に接続されている。」 「【0014】前板18の背面の側縁部及び上縁部には、便器本体10の後方に向って突出する延出片50が設けられている。前記天板22及び側板24、26の前縁は該延出片50に重なり合っている。天板22及び側板24、26の後縁はトイレルームの壁面52に当接している。」 [図:0001434122000008.jpg] イ 甲2の認定事項 (認定事項ア) 甲2の第3図から、陶器製前板18と、天板22及び側板24、26からなる合成樹脂製カバー20は、着座使用者からみて、便器本体10の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置されていることが看取できる。 (認定事項イ) 甲2の第1図から、点検蓋28は、着座使用者からみて、合成樹脂製カバー20の左側の側板26に、側板26の上下左右の縁部から間隔をあけて設けられていることが看取できる。 (認定事項ウ) 甲2の第1図から、前板18は、下端部がトイレルームの床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられていることが看取できる。 ウ 甲2発明 前記ア及びイによれば、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲2発明> 「a 便器本体10の後方部に設置されたロータンク14を覆うカバー16であり(【0008】)、 b カバー16は、前面部が陶器製の前板18よりなり、該前面部よりも後方の部分が合成樹脂製カバー20であり(【0008】)、 c 合成樹脂製カバー20が複数個に分割された天板22、側板24、26よりなり(【0009】)、 d 便器本体10の後方部に直方体形状のフレーム30が設置され、陶器製前板18及び合成樹脂製天板22、側板24、26はこのフレーム30にビスにより着脱自在に取り付けられており(【0010】)、 e フレーム30内に排水管36が床面から突設され、便器本体10の排水口がこの排水管36に接続され(【0012】)、 f 前板18の背面の側縁部及び上縁部には、便器本体10の後方に向って突出する延出片50が設けられ、天板22及び側板24、26の前縁は該延出片50に重なり合い、天板22及び側板24、26の後縁はトイレルームの壁面52に当接しており(【0014】)、 g 陶器製前板18と、天板22及び側板24、26よりなる合成樹脂製カバー20は、着座使用者からみて、便器本体10の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置され(認定事項ア)、 h 点検蓋28は、着座使用者からみて、合成樹脂製カバー20の左側の側板26に、側板26の上下左右の縁部から間隔をあけて設けられ(【0009】、認定事項イ)、 i 前板18は、下端部がトイレルームの床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる(認定事項ウ) カバー16。」 (3)甲3について ア 甲3の記載事項 甲3には、次の事項が記載されている。 「【0022】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図によって、以下に説明する。図1は本発明における一実施の形態を示すシステムトイレ11の斜視図である。このシステムトイレ11は、トイレルーム内に間口寸法よりも小さい幅でかつロータンク(図示せず)を隠蔽するキャビネット2に、洋式便器1を取付けて構成されている。このキャビネット2は、床から立ち上がる前面板3、側面板4および天板6とからなり、かつ、キャビネット2の幅は、前記洋式便器1の幅と略同幅としている。さらに、前記ロータンク上部の空間に、キャビネット2と略同幅の追加取付部材を取付けている。なお、このキャビネット2の側面板4に設けた洗浄レバー35を回転することにより、ロータンクから洋式便器1のボウル内に洗浄水を流して汚物を排水管(図示せず)へ搬送する。図1においては、追加取付部材が、手洗い器5である場合を示している。つまり、キャビネット2の前面板3は側面板4よりも短くなっており、その開口つまり、ロータンクの上部空間に手洗い器5が備えられている。このように、手洗い器5、ロータンクが隠蔽されたキャビネット2ならびに洋式便器1がいずれも同程度の幅として、意匠上まとまりのある形としている。なお、図示しないが、側面板4に、手すり10、ブラシ収納部32やタオル掛け33を設けてさらに使用勝手を向上させても良い。」 [図:0001434122000009.jpg] 「【0029】図5は本発明における別の一実施の形態を示すシステムトイレ11の斜視図である。このシステムトイレ11は、図1と同様にロータンク上部の空間に、追加取付部材として手洗い器5を設けた場合を示す。この手洗い器5は、キャビネット2と同程度の幅を有し、天板6を設けずに上方が開放させ、意匠上まとまりのある形としている。さらに、手洗い器5は、前面と上方のみを開放させ、側面部を設けることで、手洗い時に飛散する水を受けるようにし周辺を濡らさないようにしている。また、手ふき行為を行ないやすくするため、キャビネット2の側面板4にタオル掛け33を設けている。さらに、側面板4には開閉自在な開閉蓋を備えており、この開閉蓋のキャビネット2の内側に、洋式便器1のボウル面を掃除するためのブラシを収納するブラシ収納部32を設けている。なお、図示しないが、側面板4に、手すり10を設けてさらに使用勝手を向上させても良い。このように、手洗い器5、ロータンクが隠蔽されたキャビネット2ならびに洋式便器1がいずれも同程度の幅となるため、意匠上まとまりのある形となっている。」 [図:0001434122000010.jpg] イ 甲3の認定事項 (認定事項ア) 甲3の図5から、キャビネット2は、着座使用者からみて、洋式便器1と洋式便器1の後方の後壁面との間に設けられていることが看取できる。 (認定事項イ) 甲3の図5から、キャビネット2は、着座使用者からみて、左側のブラシ収納部32の開閉蓋を備える側面板4が、洋式便器1の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置されていることが理解できる。 (認定事項ウ) 甲3の図5から、開閉蓋が、側面板4に、側面板4の上下左右の縁部から間隔をあけて設けられていることが看取できる。 ウ 甲3発明 前記ア及びイによれば、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲3発明> 「a トイレルーム内において間口寸法よりも小さい幅でかつロータンクを隠蔽するキャビネット2であって、洋式便器1を取付けるキャビネット2であり(【0022】)、 b キャビネット2は、床から立ち上がる前面板3、側面板4とからなり、かつ、キャビネット2の幅は、洋式便器1の幅と略同幅としてあり(【0022】)、ロータンク上部の空間にキャビネット2と同程度の幅を有する手洗い器5を設け、(【0029】)、 c キャビネット2の側面板4に設けた洗浄レバー35を回転することにより、ロータンクから洋式便器1のボウル内に洗浄水を流して汚物を排水管へ搬送するものであり(【0022】)、 d 側面板4には開閉自在な開閉蓋を備えており、この開閉蓋のキャビネット2の内側に、洋式便器1のボウル面を掃除するためのブラシを収納するブラシ収納部32を設けており(【0029】)、 e キャビネット2は、着座使用者からみて、洋式便器1と洋式便器1の後方の後壁面との間に設けられ(認定事項ア)、 f キャビネット2は、着座使用者からみて、左側のブラシ収納部32の開閉蓋を備える側面板4が、洋式便器1の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置され(認定事項イ)、 g 開閉蓋が、側面板4に、側面板4の上下左右の縁部から間隔をあけて設けられている(認定事項ウ) キャビネット2。」 (4)甲4について 甲4には、次の事項が記載されている。 「【0026】 図1から図6に示すように、本実施形態に係るライニングユニット1は、トイレ室内の床面2上であって左側壁面3と右側壁面4との間において、後壁面5の前側に、床面2および各壁面3,4,5とともに箱状の中空構造をなすように設けられる。ライニングユニット1は、床面2の上方において床面2に対して平行状(水平状に)に設けられた上面部6と、後壁面5の前方において後壁面5に対して平行状に(鉛直状に)設けられた前面部7とを有する。上面部6および前面部7は、ライニングユニット1の前上部の角部において互いに直角状をなすとともに、左側壁面3と右側壁面4との間に挟まれた態様(架設された態様)で設けられている。」 [図:0001434122000011.jpg] 「【0033】 以上のような構成を備えた本実施形態のライニングユニット1は、上面部6を構成する部材として、天板15を備える。また、ライニングユニット1は、前面部7を構成する部材として、前板21と、前板21の右側に設けられた端前板22と、前板21の下側に設けられた下部前板23とを備える。」 [図:0001434122000012.jpg] 「【0040】 板支持体30は、垂直部33の本体板部33aが後壁面5に固定されることにより、後壁に固定状態で支持される。つまり、板支持体30は、垂直部33を後壁面5に沿わせて本体板部33aの後面を後壁面5に接触させた状態で固定される。板支持体30は、ボルト等の締結具34により固定される。・・・」 「【0056】 端前板22は、その長手方向(上下方向)の寸法を、前面部7の全体の寸法と一致させる。つまり、端前板22は、上下方向について前面部7の全体を占める。ここで、前面部7の下端は、床面2に対して所定の隙間E1(図5参照)が生じる位置に位置する。したがって、前面部7の下端面の一部をなす端前板22の下側面22bは、床面2に対して隙間E1を隔てて床面2に対向する。」 [図:0001434122000013.jpg] 「【0127】 また、上述した実施形態においては、前板21および端前板22は、天板15に設けられた取付部40により天板15に吊下げ支持されているが、例えば、板支持体30に前板21および端前板22を支持するための取付部を設けてもよい。」 (5)甲5について 甲5には、次の事項が記載されている。 「【0027】 また、第12の発明は、第1~11のいずれか1つの発明において、前記支持部材を内部に収納するキャビネットをさらに備え、前記キャビネットは、前記床面から離間した状態で装着されることを特徴とする壁掛便器である。」 「【0043】 壁掛便器10は、トイレ室内1に固定した支持部材20を、配管や給水タンクとともに覆うようにして内部に収納し、これらの部材の環境に対する保護とともに、美的印象をあげるために、キャビネット100を更に備える。キャビネット100は、壁面に固定することによって、支持部材20の壁面に対する固定位置の荷重負担を軽減することができる。」 [図:0001434122000014.jpg] (6)甲6について 甲6には、次の事項が記載されている。 「図中(A)は収納庫であり、この収納庫(A)はトイレ室(B)内における便器(C)と壁面(B1)との間に設置可能な奥行と幅と適宜高さに形成している。 収納庫(A)は庫本体(1)の正面の下収納庫(A)は庫本体(1)に正面(2)の下部の中央部分(3)と上部の一方のコーナー部分(4)を除いて収納部(5)を形成しており、そして、下部中央部分(3)には送水管(6)の取出し口部(7)を設ける・・・」(4頁8~17行) [図:0001434122000015.jpg] [図:0001434122000016.jpg] 「収納部(5)は下部中央部分(3)の左右の夫々に片開き状の扉(17)で開閉可能な下部収納部(18)(18)と、引違い戸(19)により開閉可能で且つ棚板(20a)で上下二段状にしている上部収納部(20)を形成しており、たとえば、上部収納部(20)には上段に飾り物その他を、下段にタオルその他を、正面左側の下部収納部(18)にはトイレットペーパーその他を、送水系収納部(12)と上下連通状の正面右側の下部収納部(18)には掃除具その他を夫々出し入れ可能にしている。」(5頁6~15行) [図:0001434122000017.jpg] (認定事項) 第1図及び第3図から、収納庫(A)の庫本体(1)の正面(2)の下部中央部分(3)及びその左右の夫々に形成される片開き状の扉(17)の下端と床部との間に、間隔が形成されていることが看取できる。 2 第2次及び第1次取消理由(甲1、甲2又は甲3に記載された発明に基づく進歩性欠如)について 2-1 甲1を主たる引用例とした場合 (1)本件発明1について ア 対比 (ア)「A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板」について 甲1発明の「トイレルームTR」、「便器2」、「後壁面」及び「前板73」は、それぞれ、本件発明1の「トイレ空間」、「便器」、「第1壁部」及び「幕板」に、それぞれ相当する。 したがって、甲1発明の「前板73」は、「トイレルームTRに設置される」(a参照)「便器2の後方に、便器2と並べて設けられ」(b参照)、「便器2と便器2の後方の後壁面との間に設けられ」る「キャビネット18」(f参照)「の前面を覆」(c参照)うものであるから、甲1発明の「前板73」は、トイレルームTRに設置される便器2と便器2の後方の後壁面との間に設けられるものといえ、本件発明1の「A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板」に相当する。 (イ)「B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部」について 甲1発明の「フレーム80」は、「前板73」「が固定される」(d参照)ものであり、「前板73」が「便器2と便器2の後方の後壁面との間に設けられ」る「キャビネット18」(f参照)「の前面を覆」(c参照)うものであるから、甲1発明の「フレーム80」は、便器2と便器2の後方の後壁面との間に設けられ、便器2側に前板73が固定されるものといえる。 したがって、本件発明1の「B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部」と、甲1発明の「フレーム80」とは、「B’前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部」の点で共通する。 しかしながら、トイレキャビネットの幕板取付部(フレーム80)について、本件発明1は「前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され」るのに対し、甲1発明は「フレーム80」が後壁面およびトイレルームTRの床部の少なくとも一方に支持されるものかどうか不明である点で相違する。 (ウ)構成Cの「トイレキャビネット」について 甲1発明の「キャビネット18」は、「トイレルームTRに設置されるトイレ装置1が床置き式の便器2とともに有する」(a参照)ものであるから、本件発明1の構成Cの「トイレキャビネット」に相当する。 (エ)「D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され」ることについて 甲1発明の「g 着座使用者からみて、キャビネット18の右側が、便器2の右側方の右側壁面と間隔をあけるように設置され」ることは、本件発明1の「D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され」ることに相当する。 (オ)「E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ」ることについて 甲1発明の「g 着座使用者からみて、キャビネット18の右側が、便器2の右側方の右側壁面と間隔をあけるように設置され」ることは、「キャビネット18の前面を覆」う「前板73」(c参照)が、着座使用者からみて、便器2の右側方の右側壁面と間隔をあけるように、「フレーム80」に「固定され」(d参照)るものといえるから、甲1発明のこれらの構成は、本件発明1の「E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ」ることに相当する。 (カ)「F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であ」ることについて 甲1発明の「h 便器2の後方の後壁面とキャビネット18の前板73との間の空間は、着座使用者からみて、キャビネット18の右側板72aの下端後方側において、便器2の右側方の右側壁面に向けて開口し、キャビネット18の右側部と便器2の右側方の右側壁面との間の空間からアクセス可能である」ことは、本件発明1の「F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であ」ることに相当する。 (キ)「O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」ことについて 甲1発明において、「h 便器2の後方の後壁面とキャビネット18の前板73との間の空間は、着座使用者からみて、キャビネット18の右側板72aの下端後方側において、便器2の右側方の右側壁面に向けて開口し」ているものであり、「側板72」は「フレーム80」に「固定される」(d参照)のであるから、便器2の後方の後壁面とキャビネット18の前板73との間の空間は、フレーム80より右側壁面に開口しているものといえる。 したがって、本件発明1の「O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」ことと、甲1発明のこれらの構成とは、「O’前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」点で共通する。 しかしながら、第1壁部(後壁面)と幕板(前板73)との間の空間について、本件発明1は「前記第1壁部から前記幕板まで開口し」ているのに対し、甲1発明は、「キャビネット18の右側板72aの下端後方側において」「開口」(h参照)するものであり、後壁面から前板73まで開口するものではない点で相違する。 (ク)一致点及び相違点 そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 [一致点] 「A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 B’前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、 C を有するトイレキャビネットであって、 D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 O’前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している トイレキャビネット。」 [相違点1](構成B) トイレキャビネットの幕板取付部(フレーム80)について、本件発明1は「前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され」るのに対し、甲1発明は後壁面およびトイレルームTRの床部の少なくとも一方に支持されるかどうか不明である点。 [相違点2](構成O) 第1壁部(後壁面)と幕板(前板73)との間の空間について、本件発明1は「前記第1壁部から前記幕板まで開口し」ているのに対し、甲1発明は、「キャビネット18の右側板72aの下端後方側において」「開口」するものであり、後壁面から前板73まで開口するものではない点。 イ 判断 (ア)相違点2(構成O)について 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 トイレキャビネットにおいて、トイレ空間における便器の後方の第1壁部と幕板との間の空間が、第1壁部から幕板まで開口していることは、甲2~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、これらに基づいて、甲1発明において、キャビネット18の右側板72aの下端後方側の開口を、後壁面から前板73まで開口するものとして、相違点2に係る本件発明1の構成とする動機付けを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)について検討するまでものなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (2)本件発明2について ア 対比 (ア)「G 前記幕板には、開口部が形成されている」ことについて 甲1発明の「前板73の一部に」「開口」が「設けられ」(e参照)ていることは、本件発明2の「G 前記幕板には、開口部が形成されている」ことに相当する。 (イ)一致点及び相違点 そうすると、前記(1)アの対比を踏まえれば、本件発明2と甲1発明とは、相違点1(構成B)に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点3](構成N) 幕板(前板73)について、本件発明2は「N 前記幕板は、前記幕板取付部に着脱可能に構成され」ているのに対し、甲1発明は「前板73」が「フレーム80」に着脱可能に構成されているかどうか不明である点。 [相違点4](構成N1、N2) 幕板(前板73)について、本件発明2は「N1 前記幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部は、前記裏面に沿って固定される固定板部と、前記固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、前記突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、前記鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、前記第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し」、「N2 前記幕板を前記幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、前記幕板を前記幕板取付部から外すには上方に引き上げる」のに対し、甲1発明は「前板73」がそのようなものかどうか不明である点。 イ 判断 (ア)相違点4(構成N1、N2)について 事案に鑑み、まず、相違点4について検討する。 トイレキャビネットの幕板において、幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部が、裏面に沿って固定される固定板部と、固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し、幕板を幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、幕板を幕板取付部から外すには上方に引き上げることは、甲2~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、甲1発明において、相違点4に係る本件発明2の構成とする動機づけを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)及び相違点3(構成N)について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (3)本件発明3について ア 対比 (ア)「H 前記開口部は、前記便器と前後方向に重なるように配置され」ることについて 甲1発明において、「開口」は「前板73の一部に設けられ」(e参照)るものであり、「前板73」が「前面を覆」う「キャビネット18」(c参照)は、「便器2の後方に、便器2と並べて設けられ」(b参照)るものであるから、開口は便器2と前後方向に重なるように配置されるものといえる。したがって、甲1発明のこれらの構成は、本件発明3の「H 前記開口部は、前記便器と前後方向に重なるように配置され」ることに相当する。 (イ)一致点及び相違点 そうすると、前記(1)ア及び(2)アの対比を踏まえれば、本件発明3と甲1発明とは、相違点1(構成B)及び相違点2(構成O)に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点5](構成I) 本件発明3は「前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成されている」のに対し、甲1発明の前板73の一部に設けられる開口の縁部と便器2との間には、隙間が形成されているかどうか不明な点。 イ 判断 (ア)相違点2(構成O)について 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 前記(1)イ(ア)に示したのと同様に、相違点2(構成O)にかかる本件発明3の構成は、甲2~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、これらに基づいて、甲1発明において、相違点2に係る本件発明3の構成とする動機付けを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)及び相違点5(構成I)について検討するまでもなく、本件発明3は、甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (4)本件発明5について ア 対比 (ア)「J 前記幕板は、下端部が前記トイレ空間の床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる」ことについて 甲1発明の「i 前板73及びカバー板73cは、下端部がトイレルームTRの床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる」ことは、本件発明5の「J 前記幕板は、下端部が前記トイレ空間の床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる」ことに相当する。 (イ)一致点及び相違点 そうすると、前記(1)アの対比を踏まえれば、本件発明5と甲1発明とは、相違点1(構成B)に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点6](構成N3) 幕板(前板73)について、本件発明5は「N3 前記幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部には前記便器と接続される排水部材が設置される」のに対し、甲1発明は「前板73」は下側に開口する切り欠き部が形成されるものではなく、切り欠き部に排水部材が設置されるものではない点。 仮に、甲1発明の構成iが認定できない場合、具体的には、前板73が、カバー板73cの後方部分だけでなく、その下方の左右側部が床面まで延びている部分も含む場合(図2参照)、次の点でも相違する。 [相違点7](構成J) 幕板(前板73)について、本件発明5は「下端部が前記トイレ空間の床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる」のに対し、甲1発明は、下端部がトイレルームTRの床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられるものではない点。 イ 判断 (ア)相違点6について 事案に鑑み、まず、相違点6について検討する。 トイレキャビネットの幕板について、幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、切り欠き部には便器と接続される排水部材が設置されることは、甲2~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、これらに基づいて、甲1発明において、キャビネット18の前板73について、前板73に下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部を形成し、切り欠き部に便器2と接続される排水部材を設置するものとして、相違点6に係る本件発明5の構成とする動機付けを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)及び相違点7(構成J)について検討するまでもなく、本件発明5は、甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (5)本件発明6について 本件発明6は、物の発明である本件発明1の「トイレキャビネット」から構成Dを除き、その他の構成の内容を維持しながら「トイレキャビネットの設置方法」として方法の発明として特定したものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 2-2 甲2を主たる引用例とした場合 (1)本件発明1について ア 対比 (ア)「A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板」について 甲2発明の「トイレルーム」、「便器本体10」、「壁面52」及び「前板18」は、それぞれ、本件発明1の「トイレ空間」、「便器」、「第1壁部」及び「幕板」に、それぞれ相当する。 したがって、甲2発明の「前板18」は、「a 便器本体10の後方部に設置されたロータンク14を覆うカバー16」の「前面部」(b参照)であり、「前面部よりも後方の」「合成樹脂製カバー20」(b参照)「が複数個に分割された天板22、側板24、26」(c参照)「の後端はトイレルームの壁面52に当接して」(f参照)いるから、甲2発明の「前板18」は、トイレルームにおける便器本体10と便器本体10の後方の壁面52との間に設けられるものといえ、本件発明1の「A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板」に相当する。 (イ)「B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部」について 甲2発明の「フレーム30」は、「前板18」が「取り付けられ」(d参照)るものであり、「前板18」が「便器本体10の後方部に設置されたロータンク14を覆うカバー16」(a参照)の「前面部」(b参照)であり、「前面部よりも後方の」(b参照)「合成樹脂製カバー20が複数個に分割された天板22、側板24、26」(c参照)「の後端はトイレルームの壁面52に当接して」(f参照)いるから、甲2発明の「フレーム30」は、便器本体10と便器本体10の後方の壁面52との間に設けられ、便器本体10側に前板18が取り付けられるものといえる。 したがって、本件発明1の「B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部」と、甲2発明の「フレーム80」とは、「B’前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部」の点で共通する。 しかしながら、幕板取付部(フレーム30)について、本件発明1は「前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され」るのに対し、甲2発明は「フレーム30」が壁面52におよびトイレルームの床面の少なくとも一方に支持されるものかどうか不明である点で相違する。 (ウ)構成Cの「トイレキャビネット」について 甲2発明の「カバー16」は、「a 便器本体10の後方部に設置されたロータンク14を覆う」ものであり、「前面部が」「前板18よりなり、該前面部よりも後方の部分が」(b参照)「天板22、側板24、26よりな」(c参照)るものであるから、甲2発明の「カバー16」は、ロータンク14を前板18、天板22、側板24、26によって収納するキャビネットということができ、「トイレルーム」(f参照)内のものであるから、本件発明1の構成Cの「トイレキャビネット」に相当する。 (エ)「D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され」ることについて 甲2発明の「g 陶器製前板18と、天板22及び側板24、26よりなる合成樹脂製カバー20は、着座使用者からみて、便器本体10の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置され」ることは、「前面部が陶器製の前板18よりなり、該前面部よりも後方の部分が合成樹脂製カバー20であ」る「カバー16」(b参照)が、着座使用者からみて、便器本体10の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置されるものといえる。したがって、甲2発明のこれらの構成は、本件発明1の「D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され」ることに相当する。 (オ)「E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ」ることについて 甲2発明の「g 陶器製前板18と、天板22及び側板24、26よりなる合成樹脂製カバー20は、着座使用者からみて、便器本体10の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置され」ることは、陶器製前板18が、着座使用者からみて、便器本体10の左側方の左側壁面と間隔をあけるように、「フレーム30に」「取り付けられて」(d参照)いるといえる。したがって、甲2発明のこれらの構成は、本件発明1の「E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ」ることに相当する。 (カ)「F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能である」ことについて 甲2発明の「h 点検蓋28は、着座使用者からみて、合成樹脂製カバー20の左側の側板26に」「設けられ」ることは、「前板18の背面の側縁部」の「便器本体10の後方に向かって突出する延出片50」に「前縁」が「重なり合」い、「後縁」が「トイレルームの壁面52に当接」(f参照)する「左側の側板26」の内部の空間、すなわち、トイレルームの壁面52と前板18との間の空間が、点検蓋28を開けることにより、着座使用者からみて、便器本体10の左側方の左側壁面に向けて開口することとなる。そして、前記(エ)の検討も踏まえれば、カバー16の左側部と便器本体10の左側方の左側壁面との間の空間からアクセス可能であるものと理解できる。 したがって、甲2発明のこれらの構成は、本件発明1の「F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能である」ことに相当する。 (キ)「O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」ことについて 前記(カ)で検討したように、甲2発明において、トイレルームの壁面52と前板18との間の空間は、点検蓋28を開けることにより、着座使用者からみて、便器本体10の左側方の左側壁面に向けて開口するものであり、「点検蓋28」が「設けられ」る「側板26」(h参照)は、「フレーム30に」「取り付けられて」いるから、トイレルームの壁面52と前板18との間の空間は、フレーム30より左側壁面に開口しているものといえる。 したがって、本件発明1の「O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」ことと、甲2発明のこれらの構成とは、「O’前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」点で共通する。 しかしながら、第1壁部(壁面52)と幕板(前板18)との間の空間について、本件発明1は「前記第1壁部から前記幕板まで開口し」ているのに対し、甲2発明は、「点検蓋28」が「左側の側板26に、側板26の上下左右の縁部から間隔をあけて設けられ」(h参照)るものであり、後壁面から前板73まで開口するものではない点で相違する。 (ク)一致点及び相違点 そうすると、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 [一致点] 「A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板と、 B’前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部と、 C を有するトイレキャビネットであって、 D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ、 F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能であり、 O’前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している トイレキャビネット。」 [相違点1](構成B) 幕板取付部(フレーム30)について、本件発明1は「前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され」るのに対し、甲2発明は「フレーム30」が壁面52およびトイレルームの床面の少なくとも一方に支持されるものかどうか不明である点。 [相違点2](構成O) 第1壁部(壁面52)と幕板(前板18)との間の空間について、本件発明1は「前記第1壁部から前記幕板まで開口し」ているのに対し、甲2発明は、「点検蓋28」が「左側の側板26に、側板26の上下左右の縁部から間隔をあけて設けられ」るものであり、後壁面から前板73まで開口するものではない点。 イ 判断 (ア)相違点2(構成O)について 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 トイレキャビネットにおいて、トイレ空間における便器の後方の第1壁部と幕板との間の空間が、第1壁部から幕板まで開口していることは、甲1及び甲3~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、これらに基づいて、甲2発明において、「左側の側板26に、側板26の上下左右の縁部から間隔をあけて設けられ」る「点検蓋28」を、壁面52から前板18まで開口するものとして、相違点2に係る本件発明1の構成とする動機付けを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲1及び甲3~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (2)本件発明2について ア 対比 (ア)「N 前記幕板は、前記幕板取付部に着脱可能に構成されている」ことについて 甲2発明において、「e フレーム30内に排水管36が床面から突設され、便器本体10の排水口がこの排水管36に接続され」ていることから、「便器本体10の後方部に」「設置され」る「直方体形状のフレーム30」に「取り付けられ」る「前板18」(d参照)に、排水管36又はこれに接続される便器本体10の排水口を挿通するための開口部が形成されていることは明らかである。したがって、甲2発明のこれらの構成は、本件発明2の「G 前記幕板には、開口部が形成されている」ことに相当する。 また、甲2発明の「陶器製前板18」「はこのフレーム30にビスにより着脱自在に取り付けられて」いることは、本件発明2の「N 前記幕板は、前記幕板取付部に着脱可能に構成されている」ことに相当する。 (イ)一致点及び相違点 そうすると、前記(1)アの検討を踏まえれば、本件発明2と甲2発明とは、相違点1(構成B)に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点3](構成N1、N2) 幕板(前板18)について、本件発明2は「N1 前記幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部は、前記裏面に沿って固定される固定板部と、前記固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、前記突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、前記鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、前記第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し」、「N2 前記幕板を前記幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、前記幕板を前記幕板取付部から外すには上方に引き上げる」のに対し、甲2発明は「前板18」がそのようなものかどうか不明である点。 イ 判断 (ア)相違点3(構成N1、N2)について 事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。 トイレキャビネットの幕板において、幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部が、裏面に沿って固定される固定板部と、固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し、幕板を幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、幕板を幕板取付部から外すには上方に引き上げることは、甲1及び甲3~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、甲2発明において、相違点3に係る本件発明2の構成とする動機づけを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)について検討するまでもなく、本件発明2は、甲2発明並びに甲1及び甲3~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (3)本件発明3について ア 対比 (ア)「H 前記開口部は、前記便器と前後方向に重なるように配置され」ることについて 前記(2)アの検討を踏まえれば、甲2発明において、「便器本体10の後方部に」「設置され」る「直方体形状のフレーム30」に「取り付けられ」る「前板18」(d参照)に、排水管36又はこれに接続される便器本体10の排水口を挿通するための開口部が形成されるのであるから、開口部は便器本体10と前後方向に重なるように配置されることは明らかである。したがって、甲2発明のこれらの構成は、本件発明3の「H 前記開口部は、前記便器と前後方向に重なるように配置され」ることに相当する。 (イ)一致点及び相違点 そうすると、前記(1)ア及び(2)アの対比を踏まえれば、本件発明3と甲2発明とは、相違点1(構成B)及び相違点2(構成O)に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点4](構成I) 本件発明3は「前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成されている」のに対し、甲2発明の前板18の開口部の縁部と便器本体10との間には、隙間が形成されているかどうか不明な点。 イ 判断 (ア)相違点2(構成O)について 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 前記(1)イ(ア)に示したのと同様に、相違点2(構成O)にかかる本件発明3の構成は、甲1及び甲3~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、これらに基づいて、甲2発明において、相違点2に係る本件発明3の構成とする動機付けを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)及び相違点4(構成I)について検討するまでもなく、本件発明3は、甲2発明並び甲1及び甲3~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (4)本件発明5について ア 対比 (ア)「J 前記幕板は、下端部が前記トイレ空間の床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる」ことについて 甲2発明の「i 前板18は、下端部がトイレルームの床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる」ことは、本件発明5の「J 前記幕板は、下端部が前記トイレ空間の床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる」ことに相当する。 (イ)一致点及び相違点 そうすると、前記(1)アの対比を踏まえれば、本件発明5と甲2発明とは、相違点1(構成B)に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点5](構成N3) 幕板(前板18)について、本件発明5は「N3 前記幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部には前記便器と接続される排水部材が設置される」のに対し、甲2発明は「前板18」は下側に開口する切り欠き部が形成されるものではなく、切り欠き部に排水部材が設置されるものではない点。 イ 判断 (ア)相違点5について 事案に鑑み、まず、相違点5について検討する。 トイレキャビネットの幕板について、幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、切り欠き部には便器と接続される排水部材が設置されることは、甲1及び甲3~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、これらに基づいて、甲2発明において、前板18について、前板18に下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部を形成し、切り欠き部に便器本体10と接続される排水部材を設置するものとして、相違点5に係る本件発明5の構成とする動機付けを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)について検討するまでもなく、本件発明5は、甲2発明並びに甲1及び甲3~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (5)本件発明6について 本件発明6は、物の発明である本件発明1の「トイレキャビネット」から構成Dを除き、その他の構成の内容を維持しながら「トイレキャビネットの設置方法」として方法の発明として特定したものであるから、本件発明1と同様に、甲2発明並びに甲1及び甲3~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 2-3 甲3を主たる引用例とした場合 (1)本件発明1について ア 対比 (ア)「A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板」について 甲3発明の「トイレルーム」、「洋式便器1」、「後壁面」及び「前面板3」は、それぞれ、本件発明1の「トイレ空間」、「便器」、「第1壁部」及び「幕板」に、それぞれ相当する。 そして、甲3発明の「前面板3」は、「キャビネット2」の「前面板3」(b参照)であり、「e キャビネット2は、着座使用者からみて、洋式便器1と洋式便器1の後方の後壁面との間に設けられ」るから、甲3発明の「前面板3」は、「トイレルーム内」(a参照)における洋式便器1と洋式便器1の後方の後壁面との間に設けられるものといえ、本件発明1の「A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板」に相当する。 (イ)「B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部」について 本件発明1は「B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部」を有するのに対し、甲3発明は前面板3が取り付けられる前面板取付部を有するかどうか不明である点で相違する。 (ウ)構成Cの「トイレキャビネット」について 甲3発明の「キャビネット2」は、「a トイレルーム内において間口寸法よりも小さい幅でかつロータンクを隠蔽する」もの「であって、洋式便器1を取付ける」ものであるから、甲3発明の「キャビネット2」は、本件発明1の構成Cの「トイレキャビネット」に相当する。 (エ)「D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され」ることについて 甲3発明の「f キャビネット2は、着座使用者からみて、左側の」「側面板4が、洋式便器1の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置され」ることは、本件発明1の「D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され」ることに相当する。 (オ)「E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ」ることについて 甲3発明の「f キャビネット2は、着座使用者からみて、左側の」「側面板4が、洋式便器1の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置され」ることは、着座使用者からみて、「キャビネット2」の「前面板3」(b参照)も、洋式便器1の左側方の左側壁面と間隔をあけるようにされているといえる。したがって、本件発明1の「E 前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるように前記幕板取付部に取り付けられ」ることと、甲3発明のこれらの構成とは、「E’前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるようにされ」ている点で共通する。 しかしながら、本件発明1では、「E 前記幕板は」「前記幕板取付部に取り付けられ」るのに対し、甲3発明では、前面板3が前面板取付部に取り付けられるものかどうか不明である点で相違する。 (カ)「F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能である」ことについて 甲3発明の「f キャビネット2は、着座使用者からみて、左側のブラシ収納部32の開閉蓋を備える側面板4が、洋式便器1の左側方の左側壁面と間隔をあけるように設置され」ることは、「キャビネット2の内側」の「洋式便器1のボウル面を掃除するためのブラシを収納するブラシ収納部32」(d参照)、すなわち、トイレルームの後壁面(e参照)とキャビネット2の前面板3との間の空間が、開閉蓋を開けることにより、着座使用者からみて、洋式便器1の左側方の左側壁面に向けて開口することとなり、キャビネット2の左側と洋式便器1の左側方の左側壁面との間の空間からアクセス可能であるものと理解できる。したがって、甲3発明のこれらの構成は、本件発明1の「F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能である」ことに相当する。 (キ)「O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」ことについて 前記(カ)で検討したように、甲3発明において、トイレルームの後壁面とキャビネット2の前面板3との間の空間が、開閉蓋を開けることにより、着座使用者からみて、洋式便器1の左側方の左側壁面に向けて開口することとなるところ、トイレルームの後壁面とキャビネット2の前面板3との間の空間は、「g 開閉蓋が、側面板4に、側面板4の上下左右の縁部から間隔をあけて設けられている」のであるから、トイレルームの後壁面とキャビネット2の前面板3との間の空間は、トイレルームの後壁面からキャビネット2の前面板3まで開口するものではない。 また、甲3発明は、前面板3が取り付けられる前面板取付部を有するかどうか不明であるから、トイレルームの後壁面とキャビネット2の前面板3との間の空間が、前面板取付部より左側壁面側に開口しているかどうか不明である。 したがって、本件発明1は「O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」のに対し、甲3発明は、トイレルームの後壁面とキャビネット2の前面板3との間の空間は、トイレルームの後壁面からキャビネット2の前面板3まで開口するものではなく、前面板取付部より左側壁面側に開口しているかどうか不明である点で相違する。 (ク)一致点及び相違点 そうすると、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 [一致点] 「A トイレ空間における便器と前記便器の後方の第1壁部との間に設けられる幕板 C を有するトイレキャビネットであって、 D 前記トイレキャビネットは、少なくとも一方の側部が、前記便器の側方の第2壁部と間隔をあけるように設置され、 E’前記幕板は、前記第2壁部と間隔をあけるようにされ、 F 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第2壁部に向けて開口し、前記側部と前記第2壁部との間の空間からアクセス可能である トイレキャビネット。」 [相違点1](構成B) 本件発明1は、「B 前記便器と前記第1壁部との間の空間に設けられ、前記第1壁部および前記トイレ空間の床部の少なくとも一方に支持され、前記便器側に前記幕板が取り付けられる幕板取付部」を有するのに対し、甲3発明は、前面板3が取り付けられる前面板取付部を有するかどうか不明である点。 [相違点2](構成E) 本件発明1では、「E 前記幕板は」「前記幕板取付部に取り付けられ」るのに対し、甲3発明では、前面板3が前面板取付部に取り付けられるものかどうか不明である点。 [相違点3](構成O) 本件発明1は「O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口し、前記幕板取付部より前記第2壁部側に開口している」のに対し、甲3発明は、トイレルームの後壁面とキャビネット2の前面板3との間の空間は、トイレルームの後壁面からキャビネット2の前面板3まで開口するものではなく、前面板取付部より左側壁面側に開口しているかどうか不明である点。 イ 判断 (ア)相違点3(構成O)について 事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。 トイレキャビネットにおいて、トイレ空間における便器の後方の第1壁部と幕板との間の空間が、第1壁部から幕板まで開口していることは、甲1、甲2及び甲4~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、これらに基づいて、甲3発明において、「側面板4に、側面板4の上下左右の縁部から間隔をあけて設けられている」「開閉蓋」(g参照)を、トイレルームの後壁面からキャビネット2の前面板3まで開口するものとして、相違点3に係る本件発明1の「O 前記第1壁部と前記幕板との間の空間は、前記第1壁部から前記幕板まで開口」するものとする動機付けを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)及び相違点2のその他の構成について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲1、甲2及び甲4~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (2)本件発明2について ア 対比 (ア)「G 前記幕板には、開口部が形成されている」ことについて 甲3発明は、「c キャビネット2の側面板4に設けた洗浄レバー35を回転することにより、ロータンクから洋式便器1のボウル内に洗浄水を流して汚物を排水管へ搬送するものであり」、「洋式便器1の後方」の「キャビネット2」(e参照)の「床から立ち上がる前面板3」(b参照)には、ロータンクから洋式便器1のボウル内に洗浄水を流すためと、ボウル内から汚物を排水管へ搬送するための開口部が形成されていることは明らかである。したがって、甲3発明のこれらの構成は、本件発明2の「G 前記幕板には、開口部が形成されている」ことに相当する。 (イ)一致点及び相違点 そうすると、前記(1)アの検討を踏まえれば、本件発明2と甲3発明とは、相違点1(構成B)及び相違点2(構成E)に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点4](構成N) 幕板(前面板3)について、本件発明2は「前記幕板取付部に着脱可能に構成されている」のに対し、甲3発明は「前面板3」が着脱可能に構成されているかどうか不明である点。 [相違点5](構成N1、N2) 幕板(前面板3)について、本件発明2は「N1 前記幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部は、前記裏面に沿って固定される固定板部と、前記固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、前記突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、前記鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、前記第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し」、「N2 前記幕板を前記幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、前記幕板を前記幕板取付部から外すには上方に引き上げる」のに対し、甲3発明は「前面板3」がそのようなものかどうか不明である点。 イ 判断 (ア)相違点5(構成N1、N2)について 事案に鑑み、まず、相違点5について検討する。 トイレキャビネットの幕板において、幕板の裏面に取り付けられている第1被係止部が、裏面に沿って固定される固定板部と、固定板部の下縁部から後に突出する突出板部と、突出板部の後縁部から下側に延びる鉛直板部と、鉛直板部から下側に向かって漸次前側に延びる第1傾斜板部と、第1傾斜板部の下縁部からさらに下側に向かって漸次後側に延びる第2傾斜板部と、を有し、幕板を幕板取付部に取り付けるには下方スライドさせ、幕板を幕板取付部から外すには上方に引き上げることは、甲1、甲2及び甲4~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、甲2発明において、相違点5に係る本件発明2の構成とする動機づけを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)、相違点2(構成E)及び相違点4(構成N)について検討するまでものなく、本件発明2は、甲3発明並びに甲1、甲2及び甲4~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (3)本件発明3について ア 対比 (ア)「H 前記開口部は、前記便器と前後方向に重なるように配置され」ることについて 前記(2)アの対比を踏まえれば、甲3発明において、「洋式便器1の後方」の「キャビネット2」(e参照)の「床から立ち上がる前面板3」(b参照)には、ロータンクから洋式便器1のボウル内に洗浄水を流すためと、ボウル内から汚物を排水管へ搬送するための開口部が形成されるのであるから、開口部は洋式便器本体1と前後方向に重なるように配置されることは明らかである。したがって、甲3発明のこれらの構成は、本件発明3の「H 前記開口部は、前記便器と前後方向に重なるように配置され」ることに相当する。 (イ)一致点及び相違点 そうすると、前記(1)ア及び(2)アの対比を踏まえれば、本件発明3と甲3発明とは、相違点1(構成B)、相違点2(構成E)及び相違点3(構成O)に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点6](構成I) 本件発明3は「I 前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成されている」のに対し、甲3発明の前面板3の開口部の縁部と便器本体10の間には、隙間が形成されているかどうか不明な点。 イ 判断 (ア)相違点3(構成O)について 事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。 前記(1)イ(ア)に示したのと同様に、相違点3(構成O)にかかる本件発明3の構成は、甲1、甲2及び甲4~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、これらに基づいて、甲3発明において、相違点3に係る本件発明3の構成とする動機付けを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)、相違点2(構成E)及び相違点6(構成I)について検討するまでもなく、本件発明3は、甲3発明並び甲1、甲2及び甲4~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (4)本件発明5について ア 対比 前記(1)アの対比を踏まえれば、本件発明5と甲3発明とは、相違点1(構成B)及び相違点2(構成E)に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点7](構成J) 幕板(前面板3)について、本件発明5は「下端部が前記トイレ空間の床面の上方に間隔をあけて位置するように設けられる」のに対し、甲3発明は、下端部がトイレルーム内の床の上方に間隔をあけて位置するように設けられるものではない点。 [相違点8](構成N3) 幕板(前面板3)について、本件発明5は「N3 前記幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部には前記便器と接続される排水部材が設置される」のに対し、甲3発明は「前面板3」は下側に開口する切り欠き部が形成されるものではなく、切り欠き部に排水部材が設置されるものではない点。 イ 判断 (ア)相違点8について 事案に鑑み、まず、相違点8について検討する。 トイレキャビネットの幕板について、幕板には下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部が形成され、切り欠き部には便器と接続される排水部材が設置されることは、甲1、甲2及び甲4~甲6のいずれにも記載も示唆もされておらず、これらに基づいて、甲3発明において、前面板3について、前面板3に下部側の左右方向の中間部に下側に開口する切り欠き部を形成し、切り欠き部に洋式便器1と接続される排水部材を設置するものとして、相違点8に係る本件発明5の構成とする動機付けを見出すことはできない。 (イ)まとめ したがって、相違点1(構成B)、相違点2(構成E)及び相違点7(構成J)について検討するまでもなく、本件発明5は、甲3発明並びに甲1、甲2及び甲4~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (5)本件発明6について 本件発明6は、物の発明である本件発明1の「トイレキャビネット」から構成Dを除き、その他の構成の内容を維持しながら「トイレキャビネットの設置方法」として方法の発明として特定したものであるから、本件発明1と同様に、甲3発明並びに甲1、甲2及び甲4~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 2-4 小括 以上によれば、本件発明1、2、3、5及び6は、甲1~甲3のいずれを主たる引用例としても、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 3 申立理由(第2次取消理由及び第1次取消理由以外)について (1)本件特許の登録時の請求項1及び2に係る発明について、甲1に記載された発明に基づく新規性欠如。 ア 本件発明1は、甲1発明と、相違点1(構成B)及び相違点2(構成O)で相違するから(前記2-1(1)ア(ク)参照)、甲1に記載された発明でない。 イ 本件発明2は、甲1発明と、相違点1(構成B)、相違点3(構成N)及び相違点4(構成N1、N2)で相違するから(前記2-1(2)ア(イ)参照)、甲1に記載された発明でない。 (2)本件特許の登録時の請求項1及び2に係る発明について、甲2に記載された発明に基づく新規性欠如。 ア 本件発明1は、甲2発明と、相違点1(構成B)及び相違点2(構成O)で相違するから(前記2-2(1)ア(ク)参照)、甲1に記載された発明でない。 イ 本件発明2は、甲2発明と、相違点1(構成B)、相違点3(構成N1、N2)で相違するから(前記2-2(2)ア(イ)参照)、甲1に記載された発明でない。 (3)本件特許の登録時の請求項3に係る発明について、「前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成されている」との記載に関する明確性違反について ア 申立人の主張 申立人は、 (ア)令和5年6月16日提出の意見書において当該記載の補正の根拠とされる本件明細書の段落【0039】には、「左側第1幕板231には、下部側の左右方向の中間部に、下側に開口する切り欠き部233(開口部)が形成されている。左側第1幕板231が便器12の後方に設置されると、切り欠き部233には便器12と接続される給水管、排水管が設置される。」と記載されているだけであり、開口部の縁部と便器との間の「隙間」については、まったく記載がなく、 (イ)本件の図1、3を参酌しても、図3には、切り欠き部233の符号が付されておらず、図3から開口部を特定することもできず、 (ウ)開口部の縁部と便器の間の「隙間」は、例えば、便器12と幕板23とが前後方向に離間していることにより、切り欠き部233(開口部)と、便器12と、の前後方向に形成される「隙間」と解釈することもできるし、切り欠き部233(開口部)が便器12よりも大きく形成されており、便器12が幕板23に接触して取り付けられた場合に、便器12からはみ出た部分の左右方向の「隙間」である(すなわち、「隙間」は、開口部の一部である)と解釈することもできるし、 (エ)本件明細書には、開口部の縁部と便器との間に隙間が形成されていることによる作用効果や機能についても全く記載がないので、「隙間」についての示唆も判断することができず、 (オ)したがって、「隙間」がどの部分に形成されているのか不明である 旨主張する。 イ 合議体の判断 まず、「前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成されている」との記載は、単に、開口部の縁部と便器との間に隙間が形成されていることを特定しているだけであり、記載自体には何ら不明確な点はない。 そして、前記(ア)及び(イ)について、請求項3における当該記載が明細書及び図面に記載されているかどうかは、サポート要件違反となるかどうかに関わるものであり、請求項の記載の明確性に関わるものではなく、申立人の主張は採用できない。 また、前記(ウ)について、請求項3の記載自体に何ら不明確な点はないから、開口部の縁部と便器の間の「隙間」について、便器12と幕板23とが前後方向に離間していることにより、切り欠き部233(開口部)と、便器12と、の前後方向に形成される「隙間」であるか、切り欠き部233(開口部)が便器12よりも大きく形成されており、便器12が幕板23に接触して取り付けられた場合に、便器12からはみ出た部分の左右方向の「隙間」であるかのいずれかに限定して解する理由はなく(なお、請求項3は両者を含むものと解される。)、申立人の主張は採用できない。 さらに、前記(エ)について、請求項3の記載自体に何ら不明確な点はないから、作用効果や機能が明細書に記載されているかどうかは、明確性違反を左右するものではなく、申立人の主張は採用できない。 そしてまた、前記(オ)について、「前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成されている」との記載から、「隙間」が開口部の縁部と便器との間に形成されていることは明らかであるから、申立人の主張は採用できない。 以上のとおり、申立人が主張する請求項3に係る発明についての「前記開口部の縁部と前記便器との間には、隙間が形成されている」との記載に関する明確性違反の理由を認めることはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、第2次取消理由、第1次取消理由及び申立理由によっては、本件発明1、2、3、5、6についての特許を取り消すことができない。そして、他に本件発明1、2、3、5、6についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700890

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