特許異議申立
2023-700586
トイレキャビネット
- 審判番号
- 2023-700586
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-004526
- 登録番号
- 7185207
- 請求日
- 2023年06月05日
- 審決日
- 2023年12月25日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社LIXIL
- 【権利者代理人】及川 周
- 【権利者代理人】川渕 健一
- 【権利者代理人】松本 将尚
- 【異議申立人】TOTO 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人iX
- 審判長/審判官
- 審判長 住田 秀弘
- 審判官 有家 秀郎
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P1651.851-YAA(A47K) / P1651.841-YAA(A47K) / P1651.537-YAA(A47K) / P1651.113-YAA(A47K) / P1651.121-YAA(A47K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第120条の5第2項、特許法第36条、特許法第120条の5第9項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7185207号発明「トイレキャビネット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7185207号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。
特許第7185207号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7185207号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成31年1月15日に出願され、令和4年11月29日にその特許権の設定登録がされ、同年12月7日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和5年6月5日に、特許異議申立人 TOTO株式会社(以下、「申立人」という。)より特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし5に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。
その後の経緯は、次のとおりである。
令和5年 8月18日付け:取消理由通知書
同年10月20日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年11月30日 :申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正請求の趣旨と訂正の内容
令和5年10月20日付け訂正請求書による訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許第7185207号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
<訂正事項1>
特許請求の範囲の請求項1に、
「トイレ空間における便器の後方または側方に設けられるトイレキャビネットにおいて、
前記便器の後方または側方に前記便器と対向して設けられる幕板と、
前記幕板の上部側に接続され前記便器と離反する側に延びる天板と、を有し、
前記天板は、前記便器側の端面が前記幕板の上部側の側面に接続されることを特徴とするトイレキャビネット。」
と記載されているのを、
「トイレ空間における便器の後方または側方に設けられるトイレキャビネットにおいて、
前記便器の後方または側方に前記便器と対向して設けられる幕板と、
前記幕板の上部側に接続され前記便器と離反する側に延びる天板と、を有し、
前記天板は、前記便器側の端面が前記幕板の上部側の側面に接続され、前記幕板の上端面は、前記天板の上面よりも上側に配置される、または前記天板の上面と同一水平面上に配置されることを特徴とするトイレキャビネット。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する訂正後の請求項2~5も、同様に訂正する。)。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、訂正の単位、及び独立特許要件について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明について、「天板」と「幕板」との関係に関し、「前記幕板の上端面は、前記天板の上面よりも上側に配置される、または前記天板の上面と同一水平面上に配置され」ることを、限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
(2)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
上記(1)で説示したとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明について限定を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)新規事項の有無について
願書に添付した明細書の段落【0023】には、「第1天板24の上面242は、第1幕板23の上端面234(上端部)よりもやや下側(例えば、1~7mm下側)に配置されている。」と記載されている。
また、願書に添付した明細書の段落【0104】には、「これに対し、図34に示す第1キャビネット2の第1カバー部21のように、第1幕板23の上端面234と第1天板24の上面242とが面一となるように第1幕板23と第1天板24とが接続されていてもよい。」と記載され、段落【0105】には、「図35でも、第1幕板23の上端面234と第1天板24の上面244とが同一水平面上に配置されている。」と記載されている。
上記段落【0023】、【0104】及び【0105】の記載より、「幕板の上端面」を、「天板の上面よりも上側に配置」すること、または、「天板の上面と同一水平面上に配置」することは、いずれも、願書に添付した明細書に記載された事項である。
そうすると、「天板」と「幕板」との関係に関し、「前記幕板の上端面は、前記天板の上面よりも上側に配置される、または前記天板の上面と同一水平面上に配置され」るものとする、訂正事項1に係る構成は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「願書に添付した明細書等」という。)に記載されたすべての事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(4)独立特許要件について
本件においては、訂正前の全ての請求項1ないし5について、特許異議の申立てがされているから、訂正事項1において、請求項1ないし5について、特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項1ないし5に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(5)訂正の単位について
本件訂正前の請求項1ないし5について、請求項2ないし5は、請求項1を直接又は間接的に引用しているから、訂正事項1により訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正事項1により、本件訂正前の請求項1ないし5に係る発明についてする本件訂正は、一群の請求項1ないし5に係る発明について、訂正をするものである。
(6)申立人の意見書における主張について
申立人は、令和5年11月30日付け意見書において、本件訂正の適否について、特に意見を述べていない。
3 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-5〕について、本件訂正を認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められたので、本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1ないし5に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、令和5年10月20日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の、請求項1ないし5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
トイレ空間における便器の後方または側方に設けられるトイレキャビネットにおいて、
前記便器の後方または側方に前記便器と対向して設けられる幕板と、
前記幕板の上部側に接続され前記便器と離反する側に延びる天板と、を有し、
前記天板は、前記便器側の端面が前記幕板の上部側の側面に接続され、前記幕板の上端面は、前記天板の上面よりも上側に配置される、または前記天板の上面と同一水平面上に配置されることを特徴とするトイレキャビネット。
【請求項2】
前記幕板の上端部は、前記天板よりも上方に突出している請求項1に記載のトイレキャビネット。
【請求項3】
前記幕板の上端部は、前記天板よりも1~7mm上方に突出している請求項2に記載のトイレキャビネット。
【請求項4】
前記天板は、前記便器側の端面全体が前記幕板の上部側の側面に接続される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトイレキャビネット。
【請求項5】
前記天板は、前記便器側の端面全体が前記幕板と面接触している請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトイレキャビネット。」
第4 証拠方法、特許異議申立理由の概要、及び先の取消理由通知に記載した取消理由の概要
1 証拠方法
申立人が提示する証拠は、以下のとおりである。なお、以下では甲第1号証、甲第2号証等を、それぞれ「甲1」、「甲2」等という。
甲1: 実公平6-29256号公報
甲2: 実願昭46-40843号(実開昭48-1737号)のマイクロフィルム
甲3: 特開2003-102578号公報
甲4: 特開平5-263452号公報
甲5: 特開2009-142342号公報
2 特許異議申立理由の概要
申立人が申立書において主張する申立理由の概要は、次のとおりである。
(1)甲1を主たる証拠とした新規性・進歩性の欠如
本件発明1、本件発明4、及び本件発明5は、本件出願より前に公開された、甲1に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当するから、これらの発明に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものである。
また、本件発明2及び本件発明3は、本件出願より前に公開された、甲1に記載された発明、甲4に記載された発明、及び甲5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1ないし5に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)甲2を主たる証拠とした進歩性の欠如
本件発明1、本件発明4、及び本件発明5は、本件出願より前に公開された、甲2に記載された発明、及び甲3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
本件発明2及び本件発明3は、本件出願より前に公開された、甲2に記載された発明、及び甲3ないし甲5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1ないし5に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)サポート要件違反
明細書の段落【0004】の記載より、本件発明は、キャビネットの便器側の面に幕板と天板との境界部が露出すると、幕板と天板との境界部で、キャビネットの便器側の面が清掃しづらくなり、すっきりとした見栄えとならない、という課題を解決しようとするものである。
しかしながら、本件発明1は、天板と幕板との上下方向における位置関係を特定しておらず、例えば天板の下端側端面が幕板に接続され、天板の上端側端面が幕板から上方に突出して、キャビネットの便器側の面に幕板と天板との境界部が露出するものを含むから、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明1に係る特許は、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
3 先の取消理由通知書に記載した取消理由の概要
本件訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が令和5年8月18日付けの取消理由通知書に記載した取消理由(以下、単に「取消理由通知に記載した取消理由」という。)の概要は、上記2(3)のサポート要件違反に係る特許異議申立理由のとおりである。
第5 当審の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由(上記第4の2(3)及び上記第4の3)について
(1)サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。
(2)判断基準に基づく判断
上記(1)の判断基準に基づいて、判断する。
ア 本件明細書の記載
本件明細書の段落【0002】及び【0004】ないし【0007】の記載は、次のとおりである。
「【背景技術】
【0002】
従来、トイレ空間における便器とこの便器の後方や側方の壁部との間に設けられるトイレキャビネットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなトイレキャビネットは、便器と壁部との空間を覆うカバー部を有し、便器の後方や側方に設けられた止水栓やコンセント、給排水管などを隠すことができる。カバー部は、例えば、壁部と間隔をあけて対向して設けられる幕板と、幕板の上部から壁部へ延びる天板と、を有している。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたカバー部では、天板が幕板の上端面の上部に載置されているため、幕板の上端面と天板の下面との境界部が便器側(使用者側)に露出した状態となる。このため、トイレキャビネットを清掃する際に、便器側の面を清掃しようとすると、幕板と天板との境界部が清掃しづらいという問題がある。例えば、トイレキャビネットの便器側の面をクロスなどで拭き掃除する場合、幕板と天板との境界部にクロスが引っかかり作業性が悪いという問題がある。
また、キャビネットの便器側の面に、幕板と天板との境界部が露出しないすっきりとした見栄えも望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、清掃性および意匠性を向上させることができるトイレキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るトイレキャビネットは、トイレ空間における便器の後方または側方に設けられるトイレキャビネットにおいて、前記便器の後方または側方に前記便器と対向して設けられる幕板と、前記幕板の上部側に接続され前記便器と離反する側に延びる天板と、を有し、前記天板は、前記便器側の端面が前記幕板の上部側の側面に接続されることを特徴とする。
【0007】
本発明では、天板は、便器側の端面が幕板の上部側の側面に接続されていることにより、トイレキャビネットの便器側の面に幕板と天板との境界部が露出することを抑えることができるとともに、天板の便器側の端面の露出を抑えることができる。このため、トイレキャビネットの便器側の面の清掃性をよくすることができるとともに、意匠性を向上させることができる。
幕板の上部側の側面とは、幕板の上端部を含む上端部近傍の領域の側面を示している。」
イ 解決しようとする課題
上記アに摘記した記載より、本件明細書において解決しようとする課題は、トイレキャビネットの便器側(使用者側)で、幕板と天板との境界部が露出した状態となると、すっきりとした見栄えとならず、拭き掃除の際に幕板と天板との境界部にクロスが引っかかり作業性が悪くなるところ、便器側の面の清掃性および意匠性を向上させたトイレキャビネットを提供することであると認められる。
ウ 課題を解決できると認識されるか否か
上記イの発明の課題は、トイレキャビネットの幕板と天板との境界部が、便器側(使用者側)に露出した状態とならない場合に、合理的に解決されると理解される。
そして、上記第2のとおり本件訂正は認められ、本件発明1を特定する訂正特許請求の範囲の請求項1の記載において、次の(ア)~(エ)の事項が特定されている。
(ア)「トイレ空間における便器の後方または側方に設けられるトイレキャビネット」が有する、
(イ)「前記便器の後方または側方に前記便器と対向して設けられる幕板」と「前記幕板の上部側に接続され前記便器と離反する側に延びる天板」とについて、
(ウ)「前記天板は、前記便器側の端面が前記幕板の上部側の側面に接続され」ること、及び、
(エ)「前記幕板の上端面は、前記天板の上面よりも上側に配置される、または前記天板の上面と同一水平面上に配置される」こと。
ここで、上記(ア)及び(イ)より、トイレキャビネットと便器の位置関係、及び幕板が天板の便器側に位置する関係が特定され、上記(ウ)及び(エ)より、幕板に接続される天板の便器側の端部の境界部が、天板の上面より上側または同一水平面上に配置される幕板の上端面によって隠されて、便器側に露出しないことが特定されているから、本件発明1は、上記アの発明の課題を解決できると、合理的に認識されるものである。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明の記載から、当業者が発明の課題を解決できると認識できるものであり、特許法36条6項1号に規定するサポート要件を充足する。
エ 申立人の意見書における主張
申立人は、令和5年11月30日付け意見書において、本件訂正がされた本件発明1に関して、サポート要件違反に係る特許異議申立理由3について、特段の主張をしていない。
(3)小括
よって、本件発明1に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由(上記第4の3)、及び、上記申立人が申立てる特許異議申立3(上記第4の2(3))によっては、取り消すことができない。
2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(上記第4の2(1)及び(2))について
(1)証拠の記載等
ア 甲1
(ア)記載及び図示
甲1には、次の記載及び図示がある(下線は、当審において付した。以下、同様。)。
a 第2頁左欄11行~29行
「符号10はトイレルームであり、その四隅に柱12、14、16、18が立設されている。これら柱の間には大引き20と土台22が設けられ、土台22は基礎24上に設置されている。大引き20と土砂22の側面には付け金具25aがビス止めされており、該取付け金具25aに係止されて防水パン25が設置され、トイレルーム10の床を構成している。
柱12、14の間には箱状のフレーム26が設置され、柱12、14にビス止めされている。このフレーム26は直方体の12個の稜の部分に相当する主アングル28と、主アングル28の間の部分に掛け渡された補助アングル(図示略)を備えており、その前面側が柱12、14よりも前方に突出され、前面側の縦の主アングル28と柱12、14との間には間隙W(第1図)が設けられている。なお、壁掛形洋風便器36が該フレーム26にボルトにより固定されている。このフレーム26内には空調装置、洗浄水タンク、排気ファン等が設置されている(いずれも図示略)。フレーム26の前面及び上面には化粧パネル26A、26Bが取り付けられている。」
b 第2頁右欄11行
「側壁パネル70には出入口ドア72が設けられている。」
c 【第1図】
「
[図:0001407842000001.jpg]
」
d 【第2図】
「
[図:0001407842000002.jpg]
」
e 【第6図】
「
[図:0001407842000003.jpg]
」
(イ)看取される事項
上記(ア)aの記載を踏まえると、上記【第1図】及び【第2図】より、フレーム26の上面に取り付けられる化粧パネル26Bは、フレーム26の前面に取り付けられる化粧パネル26Aの上端付近から、壁掛形洋風便器36と反対方向に延在する様子が、看取される。
上記(ア)aの記載を踏まえると、上記【第1図】及び【第2図】より、化粧パネル26Aの上端は、化粧パネル26Bの上面と、略同一水平面上に位置する様子が、看取される。
上記(ア)bの記載を踏まえると、上記【第6図】より、柱16、18の間に出入口ドア72が設けられ、出入口ドア72から見て柱12、14がトイレルーム10の奥側となっている様子が、看取される。
上記(ア)a及びbの記載を踏まえると、上記【第6図】より、壁掛形洋風便器36は、出入口ドア72から見て、柱12、14より手前に配置されている様子が、看取される。
(ウ)記載された発明
上記(ア)及び(イ)より、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると、認められる。
<甲1発明>
四隅に柱12、14、16、18が立設されたトイレルーム10内において、柱12、14の間に設置される箱状のフレーム26及び化粧パネル26A、26Bであって、
柱16、18の間に出入口ドア72が設けられ、出入口ドア72から見て柱12、14がトイレルーム10の奥側となっており、
フレーム26は直方体の12個の稜の部分に相当する主アングル28と、主アングル28の間の部分に掛け渡された補助アングルを備え、柱12、14にビス止めされ、その前面側が柱12、14よりも前方に突出され、
壁掛形洋風便器36が該フレーム26にボルトにより固定され、
壁掛形洋風便器36は、出入口ドア72から見て、柱12、14より手前に配置され、
フレーム26内には空調装置、洗浄水タンク、排気ファン等が設置され、
フレーム26の前面及び上面には化粧パネル26A、26Bが取り付けられ、
フレーム26の上面に取り付けられる化粧パネル26Bは、フレーム26の前面に取り付けられる化粧パネル26Aの上端付近から、壁掛形洋風便器36と反対方向に延在し、
化粧パネル26Aの上端は、化粧パネル26Bの上面と、略同一水平面上に位置する、
箱状のフレーム26及び化粧パネル26A、26B。
イ 甲2
(ア)記載及び図示
甲2には、次の記載及び図示がある。
a 明細書第2頁下から4行~第4頁15行
「次に、図示の実施例においてこの考案を更に詳しく説明する。
(A)は化粧室(トイレツトルーム)、(B)は洗浄管連結端部(B1)と排便管連結端部(B2)を背面部に有する水洗式の便器本体、(1)は洗浄用ロータンク(2)と給水管用連結管(3)、洗浄管用連結管(4)、排便官用連結管(5)、冷暖房用管用連結管(6)、給湯用管用連結管(7)等といつた化粧室(A)或いは建物内の配管に必要な各種連結管とを一体に構成した水洗式の洗浄用ロータンクユニツト本体、(8)は該ロータンクユニツト本体(1)或いは化粧室(A)の内壁に着脱自在に取付け且つ前記ロータンクユニツト本体(1)を化粧室(A)の内壁面(A1)及び床面(A2)と共に目隠ししてなる化粧板である。また、前記化粧板(8)は前記ロータンクユニツト本体(1)の上面及び前面を目隠しし且つ前記便器本体(B)の洗浄管連結端部(B1)及び排便管連結端部(B2)の取付け位置に相当する位置を切欠いてなる切欠溝(9)を設けた断面Γ型の基板(10)と、該基板(10)の切欠溝(9)に嵌め合わされる合せ板(11)とから構成されている。更に、前記化粧板(8)の合せ板(11)は前記便器本体(B)の洗浄管連結端部(B1)及び排便管連結端部(B2)が挿入される孔(11a)(11b)を有し、設置の際予め便器本体(B)に嵌め込まれ、且つ上端にビス(llc)等を突出せしめ、前記基板(10)の切欠溝(9)に設けた嵌合孔(10a)に嵌合支持される。更にまた(12)は前記化粧板(8)の合せ板(11)に配設された便器本体(B)への暖房用電源等に使用されるコンセント等は付属品である。尚、(13)は前記洗浄用ロータンク(2)の排水操作用レバー、(14)は前記化粧板(8)の上面に開口した開口部(8a)を施蓋する上蓋である。更にまた前記化粧板(8)の基板(10)は予め壁面(A1)に設置された取付金具(15)にその折返し周側縁部(10b)を嵌め込むことによつて取付位置決めされる。
上記構成を有するこの考案は特に化粧室(トイレツトルーム)の配管及び配線に必要な各種連結管及びコンセント等の付属品を洗浄用ロータンクと共に一体に構成し且つそれらを化粧板で着脱自在に目隠ししてなる構成を有しているため、・・・」
b 第1図
「
[図:0001407842000004.jpg]
」
c 第2図
「
[図:0001407842000005.jpg]
」
d 第3図
「
[図:0001407842000006.jpg]
」
(イ)看取される事項
上記(ア)aの記載において、図番「(A)」を付される「化粧室(トイレツトルーム)」は、上記第1図及び第2図を参照しても、「トイレツトルーム」が「化粧室」を言い換えたものと理解されるので、以下では、「トイレツトルーム(A)」と表記する。
上記(ア)aの記載を踏まえると、上記第1図及び第2図より、化粧板(8)は、トイレツトルーム(A)内に、洗浄管連結端部(B1)と排便管連結端部(B2)を背面部に有する便器本体(B)の洗浄管連結端部(B1)及び排便管連結端部(B2)側に、便器本体(B)から離間して設けられ、トイレツトルーム(A)の内壁面(A1)及び床面(A2)と共に、ロータンクユニツト本体(1)を目隠ししてなる様子が、看取される。
上記(ア)aの記載を踏まえると、上記第1図及び第2図より、断面Γ型の基板(10)は、便器本体(B)の洗浄管連結端部(B1)及び排便管連結端部(B2)側で、便器本体(B)に対向して略鉛直に延在する平面部と、便器本体(B)に対向して略鉛直に延在する平面部の上端から、便器本体(B)の反対側に延在する、略水平な平面部とを有する様子が、看取される。
上記(ア)aの記載を踏まえると、上記第1図乃至第3図より、断面Γ型の基板(10)は、略鉛直に延在する平面部の両側端、略水平な平面部の両側端及び奥側端に設けられ、略鉛直方向に延びる、折返し周側縁部(10b)を有する様子が、看取される。
(ウ)記載された発明
上記(ア)及び(イ)より、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると、認められる。
<甲2発明>
トイレツトルーム(A)内に、洗浄管連結端部(B1)と排便管連結端部(B2)を背面部に有する便器本体(B)の洗浄管連結端部(B1)及び排便管連結端部(B2)側に、便器本体(B)から離間して設けられ、トイレツトルーム(A)の内壁面(A1)及び床面(A2)と共に、ロータンクユニツト本体(1)を目隠ししてなる化粧板(8)であって、
化粧板(8)は、断面Γ型の基板(10)を有し、
断面Γ型の基板(10)は、
便器本体(B)の洗浄管連結端部(B1)及び排便管連結端部(B2)側で、便器本体(B)に対向して略鉛直に延在する平面部と、
便器本体(B)に対向して略鉛直に延在する平面部の上端から、便器本体(B)の反対側に延在する、略水平な平面部と、
略鉛直に延在する平面部の両側端、略水平な平面部の両側端及び奥側端に設けられ、略鉛直方向に延びる、折返し周側縁部(10b)とを有し、
断面Γ型の基板(10)は、予め壁面(A1)に設置された取付金具(15)にその折返し周側縁部(10b)を嵌め込むことによつて取付位置決めされる、
化粧板(8)。
ウ 甲3
甲3には、次の記載及び図示がある。
(ア)「【0006】次ぎに、本発明の幕板付き天板について、実施例の図に従って説明する。図1は本発明の実施例の断面を示したものであり、略L型の芯材の表面にメラミン樹脂化粧板(3)か゛接着被覆されている。該芯材は幕板芯材(2)と水平芯材(1)が組み付けられて加工されたもので、該幕板用芯材(2)は熱硬化性樹脂をクラフト紙等の基材に含浸した成形素材を重ね成形したものからなり、該水平芯材(1)は合板が使用されている。これらは裏面コーナーに補強材(5)とともに接着剤で接着固定されて略L型に加工されている。」
(イ)「【0010】幕板及び幕板芯材と水平芯材の接合は接着接合、ダボ接合、金具接合若しくはこれらの複合された接合方法が採用できる。また、幕板及び幕板芯材と水平芯材の組み付け形状は図1のように水平芯材の先端部分に幕板芯材が接合される形状のほか、幕板の端部が水平芯材の先端裏面に接合された形状或いは幕板若しくは幕板芯材と水平芯材の組み付け面を櫛条として接合する実形状等が採用できる。更に、実施例のように組み付け部の裏面に補強材を接合し取り付け強度を確保することもできる。」
(ウ)【図1】
「
[図:0001407842000007.jpg]
」
エ 甲4
甲4には、次の記載及び図示がある。
(ア)「【0010】本実施例では、便器本体10の後方部に直方体形状のフレーム30が設置され、前記陶器製前板18及び合成樹脂製天板22、側板24、26はこのフレーム30にビスにより着脱自在に取り付けられている。」
(イ)「【0014】前板18の背面の側縁部及び上縁部には、便器本体10の後方に向って突出する延出片50が設けられている。前記天板22及び側板24、26の前縁は該延出片50に重なり合っている。天板22及び側板24、26の後縁はトイレルームの壁面52に当接している。」
(ウ)「【0016】かかる施工方法によると、壁面52と前板18との間隔が現場毎に異なっていても、天板22及び側板24、26の重ね合わせ代を変更するだけで天板22及び側板24、26の設置施工を行なえる。即ち、現場で天板22や側板24、26を切断することが不要である。従って、施工をきわめて容易かつ迅速に行なえるようになる。
【0017】しかも、施工後の構造は、カバー16の後縁(天板22及び側板24、26の後縁)が壁面52にぴったりと当接したものとなっているから、カバー16の背後にゴミがたまることもない。もちろん、天板22及び側板24、26の前縁は延出片50に重なり合っているから、天板22及び側板24、26と前板18との間も封じられており、カバー16内にゴミ等が入り込むこともまったくない。」
(エ)【図1】
「
[図:0001407842000008.jpg]
」
(オ)【図4】
「
[図:0001407842000009.jpg]
」
オ 甲5
甲5には、次の記載及び図示がある。
(ア)「【0012】
図において、トイレ内には便器1が設置され、この便器1の後方の壁面Waにはロータンクを内部に収納したタンクキャビネット2が設けられており、タンクキャビネット2の上面にはカウンター3が設けられている。このカウンター3と直交する壁面Wbに沿ってカウンター4が設けられ、このカウンター4の下面にペーパーホルダー5が設けられて、カウンター4上には手摺り9が立設されている。
また、カウンター4の先端側には、手洗い器7を上面に備えた手洗いキャビネット6が設置されており、手洗い器7の上方の壁面には鏡8が設けられている。
【0013】
この手洗いキャビネット6の側方には、収納キャビネット10がカウンター4の下方に設置されており、収納キャビネット10は便器1の図示右側前方に配置されている。
この収納キャビネット10は、下面に設置されたケコミ6aの高さだけ床面から浮き上がった状態で壁面Wbに固定されており、収納キャビネット10の本体11に対し、その前面に設けられている扉12を、トイレ壁面Wbと略平行方向で、且つ便器1側へスライド移動させて開閉できるように構成されている。」
(イ)【図2】
「
[図:0001407842000010.jpg]
」
(2)甲1を主たる証拠とした新規性・進歩性の欠如に係る特許異議申立理由1(上記第4の2(1))についての対比・判断
ア 本件発明1について
(ア)甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
「トイレキャビネット」に関し、本件明細書の段落【0002】に、「従来、トイレ空間における便器とこの便器の後方や側方の壁部との間に設けられるトイレキャビネットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなトイレキャビネットは、便器と壁部との空間を覆うカバー部を有し、便器の後方や側方に設けられた止水栓やコンセント、給排水管などを隠すことができる。」と記載されていることを踏まえると、甲1発明において、「フレーム26内には空調装置、洗浄水タンク、排気ファン等が設置され、フレーム26の前面及び上面には化粧パネル26A、26Bが取り付けられ」ている、「トイレルーム10内において、柱12、14の間に設置される箱状のフレーム26及び化粧パネル26A、26B」は、「フレーム26」内の「洗浄水タンク」等を収納して隠すから、本件明細書の段落【0002】で説明される「トイレキャビネット」と同様の機能を有しており、本件発明1において、「トイレ空間」に「設けられるトイレキャビネット」に、相当する。
甲1発明において、「四隅に柱12、14、16、18が立設されたトイレルーム10」の、「柱16、18の間に出入口ドア72が設けられ、出入口ドア72から見て柱12、14がトイレルーム10の奥側となっており」、「フレーム26」が「柱12、14にビス止めされ」ており、「壁掛形洋風便器36が該フレーム26にボルトにより固定され、壁掛形洋風便器36は、出入口ドア72から見て、柱12、14より手前に配置され、」ている構成は、「柱12、14にビス止め」される「フレーム26」が、「フレーム26にボルトにより固定され」て「柱12、14より手前に配置され」る「壁掛形洋風便器36」の奥側に配置されていると言い得るから、本件発明1において、「トイレキャビネット」が「便器の後方または側方に設けられる」構成に、相当する。
甲1発明において、「フレーム26の前面に取り付けられる化粧パネル26A」は、「フレーム26内」に設置される「空調装置、洗浄水タンク、排気ファン等」の前方を覆う幕としての機能を奏することを踏まえると、本件発明1における「幕板」に、相当する。
甲1発明において、「フレーム26の前面に取り付けられる化粧パネル26Aの上端付近から、壁掛形洋風便器36と反対方向に延在」する「フレーム26の上面に取り付けられる化粧パネル26B」と、本件発明1において、「前記幕板の上部側に接続され前記便器と離反する側に延びる天板」とは、「前記幕板の上部側付近から前記便器と離反する側に延びる天板」という点で、共通する。
甲1発明において、「化粧パネル26Aの上端は、化粧パネル26Bの上面と、略同一水平面上に位置する」構成と、本件発明1において、「前記幕板の上端面は、前記天板の上面よりも上側に配置される、または前記天板の上面と同一水平面上に配置される」構成とは、「前記幕板の上端は、前記天板の上面と略同一水平面上に配置される」という点で、共通する。
以上を整理すると、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致する。
「トイレ空間における便器の後方または側方に設けられるトイレキャビネットにおいて、
幕板と、
前記便器と離反する側に延びる天板と、を有し、
前記天板は、前記便器側の端面が前記幕板の上部側の側面に接続され、前記幕板の上端面は、前記天板の上面よりも上側に配置される、または前記天板の上面と同一水平面上に配置される、
トイレキャビネット。」
そして、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
「幕板」に関し、
本件発明1においては、「前記便器の後方または側方に前記便器と対向して設けられる」と特定されているのに対し、
甲1発明においては、「壁掛形洋風便器36」が「ボルトにより固定され」る「フレーム26」の「前面」に「化粧パネル26A」が取り付けられる点。
<相違点2>
「天板」と「幕板」の関係に関し、
本件発明1においては、「天板」が「前記幕板の上部側に接続され」ており、「幕板の上端面」が「前記天板の上面よりも上側に配置される、または前記天板の上面と同一水平面上に配置され」たうえで、「前記天板」の「前記便器側の端面が前記幕板の上部側の側面に接続され」ることが特定されているのに対し、
甲1発明においては、「直方体の12個の稜の部分に相当する主アングル28と、主アングル28の間の部分に掛け渡された補助アングルを備え」る「フレーム26」の「前面及び上面」に「化粧パネル26A、26Bが取り付けられ」ており、「化粧パネル26B」の「壁掛形洋風便器36」側の端面が「化粧パネル26A」の上部側の側面に接続されているとは特定されておらず、「化粧パネル26A」の上端面と「化粧パネル26B」との配置関係も明らかではない点。
(イ)相違点についての判断
a 同一性について
(a)相違点1について
上記相違点1について、判断する。
甲1発明が有する、「化粧パネル26A」が、「壁掛形洋風便器36」が「ボルトにより固定され」ている「フレーム26」の「前面」に取り付けられる構成においては、「化粧パネル26A」は、「壁掛形洋風便器36」が「フレーム26」に固定される箇所において、前後方向で「壁掛形洋風便器36」と重複する配置となることが明らかであるから、本件発明1が有する「幕板」が「前記便器の後方または側方に前記便器と対向して設けられる」構成とは、部材の配置において相違している。
したがって、上記相違点1は、実質的な相違点である。
(b)相違点2について
上記相違点2について、判断する。
本件発明1は、「幕板」と「天板」との位置関係及び接続に関し、上記相違点2に係る構成を有し、当該相違点2に係る構成は、上記1(2)ウにおいてサポート要件について判断したとおり、解決しようとする課題の解決に関連する構成である。
これに対して、甲1発明において、「化粧パネル26A」は「フレーム26の前面」に取り付けられ、「化粧パネル26B」は「フレーム26の上面」に取り付けられているところ、甲1における図面の図示を考慮しても、「化粧パネル26A」と「化粧パネル26B」との接続関係、「化粧パネル26A」の上端面の、「化粧パネル26B」に対する詳細な位置関係、「化粧パネル26B」の「壁掛形洋風便器36」側の端面の、「化粧パネル26A」に対する詳細な位置関係は、明らかではない。また、甲1発明において、それぞれ「フレーム26」に取り付けられる「化粧パネル26A」と「化粧パネル26B」とについて、「化粧パネル26A」と「化粧パネル26B」相互の接続、及び詳細な相対位置として、上記相違点2に係る本件発明2の構成に相当する関係を有するということはできない。
したがって、上記相違点2は、実質的な相違点である。
(c)同一性の小括
上記(a)及び(b)のとおり、本件発明1と甲1発明とは、上記相違点1及び上記相違点2において相違するから、本件発明1と甲1発明とは同一ではない。
b 容易想到性について
(a)相違点1について
上記相違点1について、判断する。
甲1発明において、「壁掛形洋風便器36」を「フレーム26」に固定し、「化粧パネル26A」を「フレーム26の前面に取り付け」る構成を、変更する動機付けはなく、甲2ないし甲5の記載を参照しても、甲1発明における上記構成を変更することが示唆されるものではない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、甲2ないし甲5に記載される事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではない。
(b)相違点2について
上記相違点2について、判断する。
甲2には、上記(1)イ(ウ)に認定した甲2発明が記載されているが、甲2発明が有する「断面Γ型の基板(10)」は、上記相違点2に係る本件発明1の構成に相当する構成を開示するものではない。また、甲2発明が有する「断面Γ型の基板(10)」は、「折返し周側縁部(10b)を嵌め込む」ことによって「壁面(A1)」に取り付けられるものであるから、甲1発明における「フレーム26の上面に取り付けられる化粧パネル26B」及び「フレーム26の前面に取り付けられる化粧パネル26A」の構造として、適用する動機付けがあるものではない。
甲3には、上記(1)ウに摘記した事項が記載されているが、「L字型芯材」の接合態様が種々あり得ることを示すにとどまり、甲1発明における「フレーム26の上面に取り付けられる化粧パネル26B」及び「フレーム26の前面に取り付けられる化粧パネル26A」の構造として、上記相違点2に係る本件発明1の構成を採用することを示唆するとはいえない。
甲4には、上記(1)エに摘記した事項が記載されているが、「天板22」の端面が「前板50」の側面に接続されておらず、上記相違点2に係る本件発明1の構成に相当する構成を開示するものではない。
甲5には、上記(1)オに摘記した事項が記載されているが、「収納キャビネット10」の「天板11a」に対して「扉12」が横にスライドするものであるから、上記相違点2に係る本件発明1の構成に相当する構成を開示するものではない。また、甲1発明における「フレーム26の上面に取り付けられる化粧パネル26B」及び「フレーム26の前面に取り付けられる化粧パネル26A」の構造として、適用する動機付けがあるものではない。
したがって、甲1発明において、上記相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、甲2ないし甲5に記載される事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではない。
(c)容易想到性の小括
上記(a)及び(b)のとおり、本件発明1と甲1発明との上記相違点1及び上記相違点2は、甲2ないし甲5の記載を考慮しても想到容易ではないから、本件発明1は、甲1発明、及び甲2ないし甲5に記載される事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
(ウ)申立人の主張について
a 相違点1に係る構成について
申立人は、令和5年11月30日付意見書において、甲1における化粧パネル26Aはフレーム26の前面に取り付けられたものであり、便器36の後方に便器36と対向して設けられているから、本件発明の幕板に相当することが明らかであるとして、甲1発明は上記相違点1に係る本件発明1の構成を有している旨を主張している(同意見書第4頁第1~3行)。
しかしながら、甲1においては、「壁掛形洋風便器36が該フレーム26にボルトにより固定され」ており、当該「フレーム26の前面」に「化粧パネル26A」が取り付けられているから、甲1発明は上記(1)ウのとおり認定されるべきであり、本件発明1と甲1発明との相違点は、上記ア(ア)に示したとおりに認定されるべきである。
そして、相違点1に係る本件発明1の構成については、上記(イ)a(a)及び上記(イ)b(a)のとおり判断されるべきである。
b 相違点2に係る構成について
申立人は、申立書において、甲1の第1図及び第2図の拡大図として、以下の図を示している。
(a)申立人が示す甲1第1図の拡大図(申立書第10頁下方)
「
[図:0001407842000011.jpg]
」
(b)申立人が示す甲1第2図の拡大図(申立書第11頁上方)
「
[図:0001407842000012.jpg]
」
そして申立人は、甲1の第1図、第2図及び第6図から、化粧板26A及び化粧板26Bが、上記相違点2に係る本件発明1の構成を満たしていることが看取されるから、甲1発明は上記相違点2に係る本件発明1の構成を有している旨を主張している(申立書第12頁第1~4行、及び、令和5年11月30日付け意見書第4頁第7行~第9頁第5行)。
しかしながら、申立人が示す上記(a)及び(b)の第1図及び第2図の拡大図、及び第6図(上記(1)ア(ア)eに摘記)を参照しても、「化粧板26B」の端面に向かい合う「化粧板26A」の部分が、「化粧板26B」の側に向かって若干曲がった「化粧板26A」の上端面であるのか、それとも、「化粧板26A」の上端面は略水平であって、「化粧板26B」の端面に向かい合うのは「化粧板26A」の側面であるのか、明確に看取することはできない。また、上記(a)及び(b)の第1図及び第2図の拡大図、及び第6図(上記(1)ア(ア)eに摘記)を参照しても、「化粧板A」と「化粧板B」との間に間隙が設けられているか否かを、明確に看取することはできない。
したがって、上記申立人の主張を検討しても、甲1における「フレーム26の前面に取り付けられる化粧パネル26A」と「フレーム26の上面に取り付けられる化粧パネル26B」との関係が、上記相違点2に係る本件発明1の構成を満たしているということはできず、甲1発明は上記(1)ウのとおり認定されるべきであり、本件発明1と甲1発明1との相違点は、上記ア(ア)に示したとおりに認定されるべきである。
そして、相違点2に係る本件発明1の構成については、上記(イ)a(b)及び上記(イ)b(b)のとおり判断されるべきである。
イ 本件発明2ないし5について
本件発明2ないし5は、本件発明1の構成を全て有し、さらに構成を付加したものである。
そして、上記アに示したとおり、本件発明1は、甲1発明と同一ではなく、甲1発明及び甲2ないし甲5に記載される事項に基いて当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、本件発明1の構成を有する本件発明2ないし5は、甲1発明と同一ではなく、甲1発明及び甲2ないし甲5に記載される事項に基いて当業者が容易に発明できたものではない。
ウ 小括
よって、本件発明1ないし5に係る特許は、申立人が申立てる特許異議申立1(上記第4の2(1))によっては、取り消すことができない。
(3)甲2を主たる証拠とした進歩性欠如に係る特許異議申立理由2(上記第4の2(2))についての対比・判断
ア 本件発明1について
(ア)甲2発明との対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
「トイレキャビネット」に関し、本件明細書の段落【0002】に、「従来、トイレ空間における便器とこの便器の後方や側方の壁部との間に設けられるトイレキャビネットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなトイレキャビネットは、便器と壁部との空間を覆うカバー部を有し、便器の後方や側方に設けられた止水栓やコンセント、給排水管などを隠すことができる。」と記載されていることを踏まえると、甲2発明において、「トイレツトルーム(A)内」に設けられて「トイレツトルーム(A)の内壁面(A1)及び床面(A2)と共に、ロータンクユニツト本体(1)を目隠ししてなる化粧板(8)」は、本件明細書の段落【0002】で説明される「トイレキャビネット」と同様の機能を有しており、本件発明1において、「トイレ空間」に「設けられるトイレキャビネット」に、相当する。
甲2発明において、「化粧板(8)」が、「洗浄管連結端部(B1)と排便管連結端部(B2)を背面部に有する便器本体(B)の洗浄管連結端部(B1)及び排便管連結端部(B2)側に、便器本体(B)から離間して設けられ」る構成は、本件発明1において、「トイレキャビネット」が「便器の後方または側方に設けられる」構成に、相当する。
甲2発明において、「化粧板(8)」が有する「断面Γ型の基板(10)」が、「便器本体(B)の洗浄管連結端部(B1)及び排便管連結端部(B2)側で、便器本体(B)に対向して略鉛直に延在する平面部」を有する構成は、本件発明1において、「トイレキャビネット」が「前記便器の後方または側方に前記便器と対向して設けられる幕板」を有する構成に、相当する。
甲2発明において、「化粧板(8)」が有する「断面Γ型の基板(10)」が、「便器本体(B)に対向して略鉛直に延在する平面部の上端から、便器本体(B)の反対側に延在する、略水平な平面部」を有する構成と、本件発明1において、「トイレキャビネット」が「前記幕板の上部側に接続され前記便器と離反する側に延びる天板」を有する構成とは、「トイレキャビネット」が「前記幕板の上部側から前記便器と離反する側に延びる天板」を有する点で、共通する。
以上を整理すると、本件発明1と甲2発明とは、次の点で一致する。
「トイレ空間における便器の後方または側方に設けられるトイレキャビネットにおいて、
前記便器の後方または側方に前記便器と対向して設けられる幕板と、
前記幕板の上部側から前記便器と離反する側に延びる天板と、を有する、
トイレキャビネット。」
そして、本件発明1と甲2発明とは、以下の点で相違する。
<相違点A>
「天板」と「幕板」の関係に関し、
本件発明1においては、「天板」が「前記幕板の上部側に接続され」ており、「幕板の上端面」が「前記天板の上面よりも上側に配置される、または前記天板の上面と同一水平面上に配置され」たうえで、「前記天板」の「前記便器側の端面が前記幕板の上部側の側面に接続され」ることが特定されているのに対し、
甲2発明においては、そのように特定されておらず、「折返し周側縁部(10b)」を有する「断面Γ型の基板(10)」の一部として、「略鉛直に延在する平面部」及び「略水平な平面部」が存在する点。
(イ)相違点についての判断
上記相違点Aについて、判断する。
甲1には、上記(1)ア(ウ)に認定した甲1発明が記載されているが、上記相違点Aに係る本件発明1の構成は、甲1発明との相違点2に係る本件発明1の構成と同じであるから、甲1発明は、上記相違点Aに係る本件発明1の構成に相当する構成を有するものではない。
また、甲2発明において、「断面Γ型の基板(10)」は、「折返し周側縁部(10b)」を有するものであるところ、「折返し」が可能な「断面Γ型の基板(10)」について、その一部である「略鉛直に延在する平面部」及び「略水平な平面部」について、独立した部材の配置または接合に関する技術を適用する動機付けはないから、甲2発明において、甲1発明を適用する動機付けはない。
甲3ないし甲5には、上記(1)ウないしオに摘記した事項が記載されているが、いずれも上記相違点Aに係る本件発明1の構成を開示するものではないか、独立した部材の配置または接合に関するものであって、甲2発明における「断面Γ型の基板(10)」に適用する動機付けがない。
したがって、甲2発明において、上記相違点Aに係る本件発明1の構成とすることは、甲1及び甲3ないし甲5に記載される事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではない。
よって、本件発明1は、甲2発明、及び甲1、甲3ないし甲5に記載される事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、令和5年11月30日付意見書において、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由2(上記第4の2(2))について、特段の意見を述べていない。
イ 本件発明2ないし5について
本件発明2ないし5は、本件発明1の構成を全て有し、さらに構成を付加したものである。
そして、上記アに示したとおり、本件発明1は、甲2発明、及び甲1、甲3ないし甲5に記載される事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、本件発明1の構成を有する本件発明2ないし5は、甲2発明、及び甲1、甲3ないし甲5に記載される事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
ウ 小括
よって、本件発明1ないし5に係る特許は、申立人が申立てる特許異議申立2(上記第4の2(2))によっては、取り消すことができない。
第6 むすび
以上のとおり、本件訂正は全て認められるとともに、本件発明1ないし5に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件発明1ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700586