特許異議申立
2022-701169
トイレキャビネット
- 審判番号
- 2022-701169
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-119936
- 登録番号
- 7076618
- 請求日
- 2022年11月25日
- 審決日
- 2023年12月08日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社LIXIL
- 【権利者代理人】及川 周
- 【権利者代理人】川渕 健一
- 【権利者代理人】松本 将尚
- 【異議申立人】TOTO 株式会社
- 【異議申立人代理人】日向寺 雅彦
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 有家 秀郎
- 審判官 佐藤 史彬
- 分類
- P1651.851-YAA(A47K) / P1651.852-YAA(A47K) / P1651.853-YAA(A47K) / P1651.841-YAA(A47K) / P1651.113-YAA(A47K) / P1651.121-YAA(A47K) / P1651.16 -YAA(A47K) / P1651.536-YAA(A47K) / P1651.537-YAA(A47K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第36条、特許法第29条、特許法第29条の2、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7076618号発明「トイレキャビネット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7076618号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。
特許第7076618号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7076618号は、令和元年8月14日に出願された特願2019-148777号の一部を、令和3年7月20日に新たな特許出願としたものであり、令和4年5月19日にその特許権の設定登録がされ、同年同月27日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許について、令和4年11月25日に、特許異議申立人 TOTO株式会社(以下、「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし8に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。
その後の経緯は、次のとおりである。
令和5年 1月30日付け:取消理由通知書
同年 3月31日: 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 6月15日: 申立人による意見書の提出
同年 同月30日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 9月 1日: 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年10月17日: 申立人による意見書の提出
なお、令和5年3月31日にされた訂正の請求は、同年9月1日に新たな訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。
第2 訂正の適否
1 訂正請求の趣旨と訂正の内容
令和5年9月1日付け訂正請求書による訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許第7076618号の特許請求の範囲及び明細書を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネットと、
前記キャビネットに備えられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた板部と、
前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面を照らす光源と、有し、
前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されている、
トイレキャビネット。」
と記載されているのを、
「トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネットと、
前記キャビネットに備えられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた板部と、
前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面との各々を直接照らす光源と、を有し、
前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されており、前記延出板部を照らし、
前記延出板部は、反射板である、
トイレキャビネット。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する訂正後の請求項5ないし8も、同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、「トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネット」と記載されているのを、「トイレ空間内に設けられ、便座用人感センサを備える便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネット」に訂正する(請求項2の記載を引用する訂正後の請求項3ないし8も、同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2に、「前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面を照らす光源」と記載されているのを、「前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面との各々を直接照らす光源」に訂正する(請求項2の記載を引用する訂正後の請求項3ないし8も、同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項2に、「前記便座用人感センサは、感知結果に基づいて前記便器の便座の駆動を制御する、トイレキャビネット」と記載されているのを、「前記便座用人感センサは、感知結果に基づいて前記便器の便座の駆動を制御し、前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されており、前記延出板部を照らし、前記延出板部は、反射板である、トイレキャビネット」に訂正する(請求項2の記載を引用する訂正後の請求項3ないし8も、同様に訂正する。)。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項2に、「便座用人感センサと、」と記載されているのを、削除する(請求項2の記載を引用する訂正後の請求項3ないし8も、同様に訂正する。)。
(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0006】に、
「上記目的を達成するため、本開示に係るトイレキャビネットは、トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネットと、前記キャビネットに備えられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた板部と、前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面を照らす光源と、有し、前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されている、トイレキャビネットである。」
と記載されているのを、
「上記目的を達成するため、本開示に係るトイレキャビネットは、トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネットと、前記キャビネットに備えられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた板部と、前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面との各々を直接照らす光源と、を有し、前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されており、前記延出板部を照らし、前記延出板部は、反射板である、トイレキャビネットである。」
に訂正する。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、訂正の単位、及び独立特許要件について
(1)訂正の目的について
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明について、「光源」に関し、「前記床面を照らす」ものであったのを、「前記床面と前記壁面との各々を直接照らす」とともに、「前記延出板部を照らし、前記延出板部は、反射板である」ものへと、限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
イ 訂正事項2及び5について
訂正事項2及び5は、訂正前の請求項2に係る発明について、「便座用人感センサ」が「トイレキャビネット」に備えられており、願書に添付された明細書及び図面の記載と整合していなかったのを、「便座用人感センサ」は「便器」に備えられるものとし、願書に添付された明細書及び図面の記載と整合させた訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書第2号及び第3号に規定する、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認める。
ウ 訂正事項3及び4について
訂正事項3及び4は、訂正前の請求項2に係る発明について、「光源」に関し、「前記床面を照らす」ものであったのを、「前記床面と前記壁面との各々を直接照らす」とともに、「前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されており、前記延出板部を照らし、前記延出板部は、反射板である」ものへと、限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
エ 訂正事項6について
訂正事項6は、訂正事項1により訂正された特許請求の範囲の請求項1の記載に、明細書の記載を整合させるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認める。
(2)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項1について
上記(1)アで説示したとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明について限定を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2及び5について
上記(1)イで説示したとおり、訂正事項2及び5は、訂正前の請求項2に係る発明について、発明の詳細な説明及び図面の記載と整合しない明らかな誤記を、発明の詳細な説明及び図面の記載と整合させるものであって、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項3及び4について
上記(1)ウで説示したとおり、訂正事項3及び4は、訂正前の請求項2に係る発明について限定を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 訂正事項6について
上記(1)エで説示したとおり、訂正事項6は、明細書の記載を特許請求の範囲の記載に整合させる、明瞭でない記載の釈明を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)新規事項の有無について
ア 訂正事項1について
願書に添付した明細書の段落【0060】には、「反射板47は、第2幕板43と壁との間の隙間を埋めるように第2幕板43の裏面432において下方に取り付けられている。」と記載され、段落【0062】には、「光源Eは、固定部材48を介して反射板47に取り付けられている。光源Eは、床面Gを間接的に照射する。光源Eは、発光面E1が第2壁面15を照射するように取り付けられている。光源Eは、発光面E1が第2壁面15を照射するだけでなく、床面Gや反射板47等を含む他の方向を照射するように取り付けられていてもよい。」と記載されているから、「光源E」の光が照射される方向として「第2壁面15」及び「床面G」の両方とすること、「第2幕板43と壁との間の隙間を埋めるように」取り付けられた部材が「反射板47」であること、及び、「光源E」の光が「反射板47」にも照射されるようにすることは、願書に添付した明細書に記載された事項である。
そうすると、「光源」に関し、「前記床面と前記壁面との各々を直接照らす」とともに、「前記延出板部を照らし、前記延出板部は、反射板である」ものとする、訂正事項1により付加する構成は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「願書に添付した明細書等」という。)に記載されたすべての事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
イ 訂正事項2及び5について
願書に添付した明細書の段落【0075】には、「便器12に設けられた便蓋12Aや弁座の開閉のための人感センサW(図1参照)」と記載され、願書に添付した図面の【図1】には、「便座の開閉のための人感センサW」が「便器12」に設けられる様子が示されている。そのため、訂正事項2及び4により訂正された、「便座用人感センサ」が「便器」に備えられる構成は、願書に添付した明細書等に記載されたすべての事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項2及び5に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 訂正事項3及び4について
願書に添付した明細書の段落【0060】には、「反射板47は、第2幕板43と壁との間の隙間を埋めるように第2幕板43の裏面432において下方に取り付けられている。・・・反射板47の下面の反射面47Aは、・・・」と記載され、段落【0061】には、「反射面47A側には、照明用の光源Eが取り付けられている。」と記載され、段落【0062】には、「光源Eは、固定部材48を介して反射板47に取り付けられている。光源Eは、床面Gを間接的に照射する。光源Eは、発光面E1が第2壁面15を照射するように取り付けられている。光源Eは、発光面E1が第2壁面15を照射するだけでなく、床面Gや反射板47等を含む他の方向を照射するように取り付けられていてもよい。」と記載されている。当該段落【0060】-【0062】の記載から、「光源E」の光が照射される方向として「第2壁面15」及び「床面G」の両方とすること、「光源E」を配置する箇所を「第2幕板43と壁との間の隙間を埋めるように」取り付けられた「反射板47」の「下面の反射面47A」の下とすること、及び、「光源E」の光が「反射板47」にも照射されるようにすることは、願書に添付した明細書に記載された事項である。
そうすると、「光源」に関し、「前記床面と前記壁面との各々を直接照らす」とともに、「前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されており、前記延出板部を照らし、前記延出板部は、反射板である」ものとする、訂正事項3及び4により付加する構成は、願書に添付した明細書等に記載されたすべての事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項3及び4に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
エ 訂正事項6について
訂正事項6は、明細書の段落【0006】の記載を、訂正事項1により構成を付加した、特許請求の範囲における請求項1の記載に整合させるものであるところ、訂正事項1により付加する構成については、上記アに指摘したとおり、願書に添付した明細書等に記載されたすべての事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(4)独立特許要件について
本件においては、訂正前の全ての請求項1ないし8について、特許異議の申立てがされているので、訂正事項1ないし5において、請求項1ないし8について、特許請求の範囲の減縮及び/又は誤記の訂正が行われていても、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項1ないし8に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(5)訂正の単位について
本件訂正前の請求項1及び請求項5ないし8について、請求項5ないし8は、請求項1を直接又は間接的に引用しているから、訂正事項1により訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
本件訂正前の請求項2ないし8について、請求項3ないし8は、請求項2を直接又は間接的に引用しているから、訂正事項2ないし5により訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
そして、本件訂正前の請求項1及び請求項5ないし8と、本件訂正前の請求項2ないし8とは、共通する請求項5ないし8を介して、一体として連関しているから、本件訂正前の請求項1ないし8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
したがって、訂正事項1ないし6により、本件訂正前の請求項1ないし8に係る発明についてする本件訂正は、一群の請求項1ないし8に係る発明について、訂正をするものである。
(6)申立人の意見における主張について
申立人は、令和5年10月17日付け意見書において、本件訂正の適否について、特に意見を述べていない。
3 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正事項1ないし6は、特許法120条の5第2項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-8〕について、本件訂正を認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は全て認められたので、本件特許の請求項1ないし8に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1ないし8に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、令和5年9月1日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の、請求項1ないし8に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネットと、
前記キャビネットに備えられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた板部と、
前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面との各々を直接照らす光源と、を有し、
前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されており、前記延出板部を照らし、
前記延出板部は、反射板である、
トイレキャビネット。
【請求項2】
トイレ空間内に設けられ、便座用人感センサを備える便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネットと、
前記キャビネットに備えられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた板部と、
前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面との各々を直接照らす光源と、
前記トイレ空間内に入場する人を感知する光源用人感センサと、
を備え、
前記光源用人感センサは、感知結果に基づいて前記光源の点灯を制御し、
前記便座用人感センサは、感知結果に基づいて前記便器の便座の駆動を制御し、
前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されており、前記延出板部を照らし、
前記延出板部は、反射板である、
トイレキャビネット。
【請求項3】
前記光源用人感センサは、受光方向が前記便器の正面方向に向かうように形成されている、
請求項2に記載のトイレキャビネット。
【請求項4】
前記光源用人感センサは、前記便座用人感センサよりも早く前記トイレ空間内に入場する人を感知し、
前記光源が点灯した後に、前記便器の便蓋が開く、
請求項2または3に記載のトイレキャビネット。
【請求項5】
前記光源は、前記壁面に向かって照射する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトイレキャビネット。
【請求項6】
前記壁面と前記光源との間の少なくとも一部に遮蔽物がなく、
前記床面と前記光源との間の少なくとも一部に遮蔽物がない、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトイレキャビネット。
【請求項7】
前記光源は、前記壁面を照射する間接照明として備えられている、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトイレキャビネット。
【請求項8】
前記光源は、前記便器の側方から見て前記便器と重なる位置に配置されている、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトイレキャビネット。」
第4 証拠方法、特許異議申立理由の要旨、及び先の取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の要旨
1 証拠方法
申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。なお、以下では甲第1号証、甲第2号証等を、それぞれ「甲1」、「甲2」等という。
甲1: 特開2021-27916号公報
(令和3年2月25日公開;
特願2019-148050号の公開公報)
甲2: 特開2017-169901号公報
(平成29年9月28日公開)
甲3: 特開2018-82976号公報
(平成30年5月31日公開)
甲4: 特開2001-112655号公報
(平成13年4月24日公開)
甲5: 特開2018-204332号公報
(平成30年12月27日公開)
甲6: 特開2019-60152号公報
(平成31年4月18日公開)
甲7: 特開2018-79056号公報
(平成30年5月24日公開)
甲8: 特開2017-137732号公報
(平成29年8月10日公開)
甲9: 特開2002-302983号公報
(平成14年10月18日公開)
甲10:特開2010-62110号公報
(平成22年3月18日公開)
2 特許異議申立理由の要旨
申立人が申立書において主張する申立理由の要旨は、次のとおりである。
(1)拡大先願
本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、本件特許の出願の日前に出願がされ、本件特許の出願後に甲1により出願公開がされた他の特許出願である、特願2019-148050号の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条の2の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)新規性欠如
本件特許の請求項1、5及び7に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲2に記載された発明であって、特許法29条1項3号の規定に該当するから、これらの発明に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)進歩性欠如
本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲2に記載された発明、及び甲3ないし甲10に記載される発明又は周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
(4)実施可能要件違反
本件特許の請求項4に係る発明に関し、発明の詳細な説明の記載は、その実施をすることができる程度に明確かつ十分な記載がされていないから、この発明に係る特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
(5)サポート要件違反
本件特許の請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでないから、この発明に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
(6)明確性要件違反
本件特許の請求項1、2及び4に係る発明は、発明が明確でないから、これらの発明に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
3 先の取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の要旨
本件訂正前(当審注;令和5年3月31日にされた訂正の請求後)の請求項1ないし8に係る特許に対して、当審が令和5年6月30日付けの取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由(以下、単に「取消理由通知に記載した取消理由」という。)の要旨は、次のとおりである。
(1)甲1を主たる証拠とした拡大先願
本件訂正前(当審注;令和5年3月31日にされた訂正の請求後)の請求項1ないし8に係る発明は、本件特許の出願の日前に出願がされ、本件特許の出願後に甲1により出願公開がされた他の特許出願である、特願2019-148050号の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条の2の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)甲2を主たる証拠とした進歩性の欠如
本件訂正前(当審注;令和5年3月31日にされた訂正の請求後)の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲2に記載された発明、及び甲3に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。
本件訂正前(当審注;令和5年3月31日にされた訂正の請求後)の請求項2ないし8に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲2に記載された発明、及び甲3、甲8、甲9に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件訂正前(当審注;令和5年3月31日にされた訂正の請求後)の請求項1ないし8に係る発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
第5 当審の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由において引用した証拠の記載
(1)甲1
甲1は、本件特許の原出願日より前に出願された、特願2019-148050号(以下、「先願」という。)の、公開特許公報である。
先願の出願人及び発明者は、本件特許に係る出願の出願人及び発明者と、同一ではない。
甲1には、次の記載及び図示がある(下線は、当審において付した。以下、同様。)。
ア 明細書
(ア)「【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るトイレ用キャビネットが設置されたトイレ内を示す斜視図である。
・・・(中略)・・・
【図3】本発明の一実施形態に係るトイレ用キャビネットが設置されたトイレ内を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るトイレ用キャビネットの底面図である。
・・・(中略)・・・
【図7】図3におけるA-A断面図である。
・・・(後略)・・・」
(イ)「【0020】
トイレ4は、水平状の床面5aをなす床5と、床5上においてトイレ空間を形成する側壁6および後壁7を有する。側壁6および後壁7は、それぞれ鉛直状の壁面6a,7aをなす。床5上に、トイレ装置3が設置されている。トイレ4においては、後壁7に対向する側(図2において左側)の壁(前壁)に、トイレ4の出入口が設けられている。」
(ウ)「【0023】
キャビネット2について、図1から図14を用いて説明する。キャビネット2は、トイレ4内において側壁6の壁面6aに沿って設置されている。すなわち、本実施形態では、キャビネット2は、トイレ4内において、トイレ装置3の右方(図2において上方)に位置する側壁6に対して設けられている。」
(エ)「【0028】
キャビネット2は、全体として一体的な横長の箱状に構成され、側壁6に支持されることで全体的に床面5aに対して浮いた状態で設けられたフローティングタイプのキャビネットである。
【0029】
キャビネット2は、左側から右側にかけて、第1のキャビネット部である手洗器下キャビネット部21と、第2のキャビネット部である紙巻器用キャビネット部22と、第3のキャビネット部であるサイドキャビネット部23と、第4のキャビネット部である端部キャビネット部24とを有する。」
(オ)「【0047】
紙巻器用キャビネット部22の下側には、照明部40が設けられている(図3参照)。照明部40は、箱状のキャビネット部41内に、照明装置42を設置している。
【0048】
キャビネット部41は、左右の側面部41a,41aと、水平状の底面部41bと、前面部41cとを有し、これらの面部と、紙巻器用キャビネット部22の底面部39とにより、照明装置42の収納空間として扁平な箱状の空間を形成している。キャビネット部41は、前面部41cを、紙巻器用キャビネット部22の前側の開口端面に対して奥側(後側)に位置させている。また、キャビネット部41は、左右方向について、紙巻器用キャビネット部22の左右方向の寸法の略全体にわたる範囲で設けられている。
【0049】
照明装置42は、例えばLED等の光源と、光源の動作を制御する制御基板等の制御部とを含む制御基板付きLEDユニットとして構成されている。照明部40は、照明装置42により、キャビネット2の下側の空間を照らし、トイレ4内において間接照明となる。」
(カ)「【0076】
また、本実施形態に係るキャビネット2において、紙巻器用キャビネット部22の底面部39の下面39eには、底面部39に固定されるとともに側壁6の壁面6aに固定される補強部材としてのアングル部材70が設けられている。」
イ 図面の図示
(ア)【図1】
「
[図:0001407808000001.jpg]
」
(イ)【図3】
「
[図:0001407808000002.jpg]
」
(ウ)【図4】
「
[図:0001407808000003.jpg]
」
(エ)【図7】
「
[図:0001407808000004.jpg]
」
ウ 図より看取される事項
上記アの記載を踏まえると、上記イの図面より、次の事項が看取される。
(ア)【図3】、【図4】及び【図7】より、紙巻器用キャビネット部22の底面部39に固定されるアングル部材70は、左右方向において照明部40の箱状のキャビネット部41内の全幅、前後方向において照明部40の箱状のキャビネット部41の底面部41bに覆われない全範囲に渡って設けられることが、看取される。
(イ)【図7】より、箱状のキャビネット部41を構成する前面部41cは、トイレ装置3、トイレ4の側壁6及び床面5cから離間していることが、看取される。
(ウ)【図7】より、紙巻用キャビネット部22の底面部39のうち箱状のキャビネット部41を構成する部分は、前面部41cから側壁6との間を埋めるように延在していることが、看取される。
(エ)【図7】より、照明装置42は、側壁6と前面部41cとの間の、前面部41cの下端よりも上方で、紙巻用キャビネット部22の底面部39のうち箱状のキャビネット部41を構成する部分の下部に設置されていることが、看取される。
(オ)【図7】より、照明装置42と側壁6との間の一部及び照明装置42と床面5cとの間の一部には遮蔽物がないことが、看取される。
エ 先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明
上記アないしウより、先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。
「トイレ4内において、トイレ装置3の右方に位置する側壁6に対して設けられるキャビネット2であって、
トイレ4は、水平状の床面5aをなす床5と、床5上においてトイレ空間を形成する側壁6および後壁7を有し、
キャビネット2は、全体的に床面5aに対して浮いた状態で設けられ、紙巻器用キャビネット部22を有し、
紙巻器用キャビネット部22の下側には、照明部40が設けられ、照明部40の箱状のキャビネット部41内に、照明装置42が設置され、
箱状のキャビネット部41を構成する前面部41cは、トイレ装置3、トイレ4の側壁6及び床面5cから離間しており、紙巻用キャビネット部22の底面部39のうち箱状のキャビネット部41を構成する部分は、前面部41cから側壁6との間を埋めるように延在しており、
照明装置42は、側壁6と前面部41cとの間の、前面部41cの下端よりも上方で、紙巻用キャビネット部22の底面部39のうち箱状のキャビネット部41を構成する部分の下部に設置され、
照明部40は、照明装置42により、キャビネット2の下側の空間を照らし、トイレ4内において間接照明となり、照明装置42と側壁6との間の一部及び照明装置42と床面5cとの間の一部には遮蔽物がなく、
紙巻器用キャビネット部22の底面部39の下面39eには、底面部39に固定されるとともに側壁6の壁面6aに固定される補強部材としてのアングル部材70が、左右方向において照明部40の箱状のキャビネット部41内の全幅、前後方向において照明部40の箱状のキャビネット部41の底面部41bに覆われない全範囲に渡って設けられている、
キャビネット2。」
(2)甲2
甲2には、次の記載及び図示がある。
ア 明細書
(ア)「【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、第1実施形態に係るトイレシステム1の斜視図である。
本実施形態に係るトイレシステム1は、トイレ装置10と、鏡20と、キャビネット30と、リモコン50と、を備える。図1に表したように、トイレシステム1は、さらに、手洗い器40を備えていてもよい。トイレ装置10、鏡20、キャビネット30、手洗い器40、およびリモコン50は、トイレ室TRの内部に設けられている。」
(イ)「【0020】
図2(a)は、第1実施形態に係るトイレシステム1が有するトイレ装置10の平面図であり、図2(b)は、当該トイレ装置10の斜視図である。
図2(a)および図2(b)に表したように、トイレ装置10は、便器11と、便座12と、便蓋13と、本体部14と、照明16と、を有する。」
(ウ)「【0028】
キャビネット30は、内部に空間を有し、この内部空間に備品を収納可能に構成されている。キャビネット30は、鏡20の下方において、トイレ室TRの側壁SW1に取り付けられている。また、キャビネット30は、トイレ室TRの床面FSと離間しており、キャビネット30と床面FSとの間には空間が形成されている。キャビネット30は、例えば取手が無いプッシュ式であり、使用者は、前面の扉を押すことで引き出しを開けることができる。
【0029】
図3に表したように、キャビネット30は、制御部31と、カバー32と、照明33と、を有する。制御部31は、制御部15から送られた信号を受信し、当該信号に基づいて照明33を点灯または消灯させる。カバー32は、一端がキャビネット30の底面に固定されている。また、カバー32は、他端が側壁SW1に向けて延び、当該他端が床面FSと平行であり且つキャビネット30の底面と離間するように屈曲している。照明33は、カバー32の他端の上に載置されている。このため、照明33は、トイレ室TRの内部からは見えない位置に設けられている。照明33は、側壁SW1に向けて光L3を照射する。光L3の一部は、側壁SW1によって反射され、キャビネット30下方の床面FSを照らす。」
イ 図面の図示
(ア)【図1】
「
[図:0001407808000005.jpg]
」
(イ)【図3】
「
[図:0001407808000006.jpg]
」
ウ 図より看取される事項
上記アの記載を踏まえると、上記イの図面より、次の事項が看取される。
(ア)【図1】及び【図3】より、カバー32は、上下方向に延在する板状の部分を有し、カバー32の上下方向に延在する板状の部分は、トイレ装置10、トイレ室TRの側壁SW1及び床面FSから離間していることが、看取される。
(イ)【図3】より、カバー32が固定されるキャビネット30の底面は、カバー32の上下方向に延在する板状の部分と側壁SW1との間に延在する部分を有することが、看取される。
(ウ)【図3】より、照明33は、側壁SW1と、カバー32の上下方向に延在する板状の部分との間の、当該板状の部分の下端よりも上方に、かつ、カバー32が固定されるキャビネット30の底面のうち、カバー32の上下方向に延在する板状の部分と側壁SW1との間に延在する部分の下に配置されていることが、看取される。
(エ)【図3】より、照明33と側壁SW1との間に遮蔽物はなく、側壁SW1に向けて延びるカバー32の他端と側壁SW1との間は離間していることが、看取される。
エ 甲2に記載された発明
上記アないしウより、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
「トイレ室TRの内部に、トイレ装置10と共に設けられる、キャビネット30であって(【0017】)、
キャビネット30は、トイレ室TRの側壁SW1に取り付けられ、トイレ室TRの床面FSと離間しており(【0028】)、
キャビネット30は、カバー32と、照明33とを有し、カバー32は、一端がキャビネット30の底面に固定され、他端が側壁SW1に向けて延び、当該他端が床面FSと平行であり且つキャビネット30の底面と離間するように屈曲しており、照明33は、カバー32の他端の上に載置され、このため、照明33は、トイレ室TRの内部からは見えない位置に設けられており(【0029】)、
カバー32は、上下方向に延在する板状の部分を有し、カバー32の上下方向に延在する板状の部分は、トイレ装置10、トイレ室TRの側壁SW1及び床面FSから離間しており、カバー32が固定されるキャビネット30の底面は、カバー32の上下方向に延在する板状の部分と側壁SW1との間に延在する部分を有し(【図1】、【図3】)、
照明33は、側壁SW1と、カバー32の上下方向に延在する板状の部分との間の、当該板状の部分の下端よりも上方に、かつ、カバー32が固定されるキャビネット30の底面のうち、カバー32の上下方向に延在する板状の部分と側壁SW1との間に延在する部分の下に配置されており(【図3】)、
照明33は、側壁SW1に向けて光L3を照射し、光L3の一部は、側壁SW1によって反射され、キャビネット30下方の床面FSを照らし(【0029】)、
照明33と側壁SW1との間に遮蔽物はなく、側壁SW1に向けて延びるカバー32の他端と側壁SW1との間は離間している(【図3】)、
キャビネット30。」
(3)甲3
甲3には、次の記載及び図示がある。
ア 明細書
(ア)「【0024】
[第1の実施形態]
以下、図1~4を用いて、本発明の第1の実施形態に係る間接照明付き収納装置10について説明する。
図1~3に示すように、間接照明付き収納装置10は、住宅等の建築物の壁面12に取り付けて用いられるものであり、天板14、底板16、天板14及び底板16の幅方向両側に設けられた一対の側板18と、壁面12側に設けられた裏板20とを備えた前面側(壁面12とは反対側)が開口した箱状の棚本体21を備えている。
本実施形態の棚本体21においては、側板18、及び裏板20の上端が天板14の上面よりも上方に突出しており、側板18、及び裏板20の下端が底板16の下面よりも下方に突出している。」
(イ)「【0035】
底板16の下面には、壁面12側に、天板14の上部照明装置44と同一仕様の下部照明装置54が設けられている。下部照明装置54は、壁面12、及び床面55に向けて光を照射(一例として矢印方向)し、これにより部屋内を間接的に照明することができる。
【0036】
底板16の下面には、天板14と同様に、扉側に下部遮光部材56が設けられている。下部遮光部材56は、天板14に取り付けた上部遮光部材48と同一仕様のものが用いられており、天板14の上部遮光部材48と同様の方法で底板16に取り付けられている。
【0037】
なお、図示は省略するが、下部遮光部材56の高さ寸法は、下部照明装置54の高さ寸法よりも大きく設定されている。また、下部遮光部材56の底板16の下面からの高さ寸法は、下部照明装置54の高さ寸法よりも大きく設定されている。なお、底板16の下面から鉛直方向に計測する横開き扉34~42の下端の高さ位置、及び側板18の下端の高さ位置は、それぞれ下部遮光部材56の下端の高さ位置と一致している。」
(ウ)「【0048】
[第4の実施形態]
以下、図7を用いて、本発明の第4の実施形態に係る間接照明付き収納装置10について説明する。なお、第1の実施形態と同一仕様には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
本実施形態の間接照明付き収納装置62は、前述した実施形態の間接照明付き収納装置10に比較して上下方向の寸法が短いものであり、下部照明装置54のみが設けられているものである。」
イ 図面の図示
「
[図:0001407808000007.jpg]
」
(4)甲8
甲8には、次の記載及び図示がある。
ア 明細書
「【0040】
キャビネット30は、内部に空間を有し、この内部空間に備品を収納可能に構成されている。キャビネット30は、鏡20の下方において、トイレ室TRの側壁SW1に取り付けられている。また、図1に表したように、キャビネット30は、トイレ室TRの床面FSと離間しており、キャビネット30と床面FSとの間には空間が形成されている。キャビネット30は、例えば取手が無いプッシュ式であり、使用者は、前面の扉を押すことで引き出しを開けることができる。キャビネット30の下部には、照明装置30Lが設けられている。
【0041】
図2に表したように、照明装置30Lは、制御部31、照明32及び通信部73を有する。照明32は、例えばキャビネット30の下部に固定されており、床面FSと離間している。通信部73は、例えば、電波受信モジュールである。制御部31は,通信部71及び通信部73を介して、制御部15から信号を受信し、当該信号に基づいて照明32を点灯または消灯させる。照明32は、点灯時において、例えば側壁SW1に向けて光を照射する。光の一部は、側壁SW1によって反射され、キャビネット30の下方の床面FSを照らす。」
イ 図面の図示
【図1】
「
[図:0001407808000008.jpg]
」
(5)甲9
甲9には、次の記載がある。
「【0016】続いて、本実施の形態に係るトイレ設備10の使用方法について詳細に説明する。先ず、図3、図4に示すように、使用者60がトイレ室11のドア42を開けると、機能パネル15の手洗システム部17側のコーナー部中央よりやや下側の位置に取付けられている人体検知手段16の第2の検知手段30a内に設けられた赤外線照射部32aの照射面33aより照射された赤外線が使用者60で反射して赤外線受光部34aの受光面35aに到達し、その検知信号が集合操作部44に伝送される。集合操作部44では、赤外線受光部34aで検知された赤外線強度の変化から、使用者60がトイレ室11内に入室したことを検知して、トイレ室11の、例えば天井に設けられた図示しない室内灯を点灯させ、換気装置14bを作動させる。なお、トイレ室11内は、予め集合操作部44の入力盤で設定された室温となるように冷房装置14a又は暖房装置14cが作動しており、常に設定された温度となるように制御されている。」
2 取消理由通知に記載した取消理由1(拡大先願;上記第4の2(1)及び同3(1))について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と、先願発明とを対比する。
先願発明において、「トイレ4内において、トイレ装置3の右方に位置する側壁6に対して設けられるキャビネット2」は、本件発明1において、「トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネット」に相当する。
先願発明において、「キャビネット2」が有する「紙巻器用キャビネット部22」の「下側」に設けられた「照明部40の箱状のキャビネット部41」を構成する「前面部41c」は、箱状のキャビネット部の前面部であれば板状であることが明らかであることを踏まえると、本件発明1において、「前記キャビネットに備えられ」た「板部」に相当する。
先願発明において、「前面部41c」が「トイレ装置3、トイレ4の側壁6及び床面5cから離間して」いる構成は、本件発明1において、「板部」が「前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた」構成に相当する。
先願発明において、「照明部40の箱状のキャビネット部41内」に設置された「照明装置42」が、「側壁6と前面部41cとの間の、前面部41cの下端よりも上方」に「設置」され、「キャビネット2の下側の空間を照らし、トイレ4内において間接照明」となり、「照明装置42と側壁6との間の一部及び照明装置42と床面5cとの間の一部には遮蔽物がない」構成と、本件発明1において、「前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面との各々を直接照らす光源」を有する構成とは、「前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面とを照らす光源」を有する点で、一致する。
先願発明において、「紙巻用キャビネット部22の底面部39のうち箱状のキャビネット部41を構成する部分は、前面部41cから側壁6との間を埋めるように延在して」おり、「照明装置42」が、「紙巻用キャビネット部22の底面部39のうち箱状のキャビネット部41を構成する部分の下部に設置」されている構成は、本件発明1において、「前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されて」いる構成に、相当する。
以上を整理すると、本件発明1と先願発明とは、
「トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネットと、
前記キャビネットに備えられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた板部と、
前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面とを照らす光源と、を有し、
前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されている、
トイレキャビネット。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点A>
「光源」が照らす対象に関し、
本件発明1においては、「光源」が、「前記床面と前記壁面との各々を直接照らす」こと、及び、「前記延出板部を照らす」ことが、特定されているのに対し、
先願発明においては、「照明装置42」が、「床面5c」及び「側壁6」の各々を直接照らし、「紙巻用キャビネット部22の底面部39のうち箱状のキャビネット部41を構成する部分」を照らすとは、特定されていない点。
<相違点B>
「延出板部」に関し、
本件発明1においては、「前記延出板部は、反射板である」と特定されているのに対し、
先願発明においては、そのように特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑み、上記相違点Bについて判断する。
先願発明において、「紙巻器用キャビネット部22の底面部39」は、「下面39eには、底面部39に固定されるとともに側壁6の壁面6aに固定される補強部材としてのアングル部材70が、左右方向において照明部40の箱状のキャビネット部41内の全幅、前後方向において照明部40の箱状のキャビネット部41の底面部41bに覆われない全範囲に渡って設けられている」から、底面視において「照明部40の箱状のキャビネット部41」内の「下面39e」が露出するものではない。
そして、底面視において「照明部40の箱状のキャビネット部41」内の「下面39e」が、「アングル部材70」に覆われて露出しない「紙巻器用キャビネット部22の底面部39」について、「反射板」とすることは、甲1に記載されていない構成の変更であって、「反射板」とすることによる反射機能の追加または増大という効果を伴うから、上記相違点Bは実質的な相違点である。
したがって、本件発明1と先願発明とは、上記相違点Bにおいて相違しており、その余の相違点Aについて判断するまでもなく、同一ではない。
ウ 申立人の意見書における主張について
申立人は、令和5年10月17日付けの意見書において、上記相違点Bに関し、甲1の照明装置42から照射される光は、箱状のキャビネット部41内を照らし、延出板部に相当する底面部39の一部に反射することが明らかであるから、甲1に記載されている旨を主張している。
しかしながら、甲1において、照明装置42から照射される光が箱状のキャビネット部41内を照らすことをもって、箱状のキャビネット部41の一部を構成する「紙巻器用キャビネット部22の底面部39」が「反射板」であるということはできない。
そして、甲1において、「紙巻器用キャビネット部22の底面部39」は、底面視において「照明部40の箱状のキャビネット部41」内の「下面39e」が、「アングル部材70」に覆われて露出していないから、上記申立人の主張を考慮しても、上記相違点Bに関し、上記イの判断を変更すべき事情はない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、実質的に、本件発明1の構成に、「便器」が「便座用人感センサを備える」構成、「前記トイレ空間内に入場する人を検知する光源用人感センサ」を備える構成、及び、「前記光源用人感センサは、感知結果に基づいて前記光源の点灯を制御し、前記便座用人感センサは、感知結果に基づいて前記便器の便座の駆動を制御」する構成を、追加したものである。
上記(1)アにおける本件発明1と先願発明との対比を踏まえて、本件発明2と先願発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記(1)アに示した相違点A及び相違点Bで、相違する。
そして、上記(1)イに示したのと同じ理由で、相違点Bは、実質的な相違点である。
したがって、本件発明2と先願発明とは、上記相違点Bにおいて相違しており、その余の構成について判断するまでもなく、同一ではない。
(3)本件発明3ないし8について
本件発明3及び4は、本件発明2の構成をすべて有し、さらに構成を付加したものである。
本件発明5ないし8は、本件発明1または本件発明2の構成をすべて有し、さらに構成を付加したものである。
そして、上記(1)及び(2)で示したとおり、本件発明1及び本件発明2は、いずれも、少なくとも上記相違点Bで、先願発明と同一ではないから、本件発明3ないし8は、先願発明と同一ではない。
(4)取消理由1の小括
以上のとおりであるから、本件発明1ないし8は、取消理由通知に記載した拡大先願の取消理由1によって、取り消されるべきものではない。
3 取消理由通知に記載した取消理由2(進歩性欠如;上記第4の2(3)及び同3(2))について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と、甲2発明とを対比する。
甲2発明において、「トイレ室TRの内部に、トイレ装置10と共に設けられる、キャビネット30」であり、「トイレ室TRの側壁SW1に取り付けられ」る「キャビネット30」は、本件発明1において、「トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネット」に相当する。
甲2発明において、「キャビネット30」が有する「カバー32の上下方向に延在する板状の部分」であり、「トイレ装置10、トイレ室TRの側壁SW1及び床面FSから離間して」いる「カバー32の上下方向に延在する板状の部分」は、本件発明1において、「前記キャビネットに備えられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた板部」に相当する。
甲2発明において、「トイレ室TRの内部からは見えない位置に設けられて」いる「照明33」であって、「側壁SW1と、カバー32の上下方向に延在する板状の部分との間の、当該板状の部分の下端よりも上方に・・・配置」され、「側壁SW1に向けて光L3を照射し、光L3の一部は、側壁SW1によって反射され、キャビネット30下方の床面FSを照ら」す「照明33」は、本件発明1において、「前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面との各々を直接照らす光源」と、「前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面とを照らす光源」という点で、一致する。
甲2発明において、「照明33」が「カバー32が固定されるキャビネット30の底面のうち、カバー32の上下方向に延在する板状の部分と側壁SW1との間に延在する部分の下に配置されて」いる構成と、本件発明1において、「前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されている」構成とは、「前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の延出板部の下部に配置されている」点で、共通する。
以上を整理すると、本件発明1と甲2発明とは、
「トイレ空間内に設けられた便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネットと、
前記キャビネットに備えられ、前記便器と離間すると共に前記トイレ空間の壁面及び床面から離間して設けられた板部と、
前記壁面と前記板部との間の前記板部の下端よりも上方に設けられ、前記板部の裏面側から前記床面と前記壁面とを照らす光源と、を有し、
前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の延出板部の下部に配置されている、
トイレキャビネット。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
「延出板部」に関し、
本件発明1においては、「前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた」ものであり、「前記延出板部は、反射板である」と特定されているのに対し、
甲2発明においては、「カバー32が固定されるキャビネット30の底面のうち、カバー32の上下方向に延在する板状の部分と側壁SW1との間に延在する部分」について、「側壁SW1」まで「隙間を埋めるように」取り付けられているか不明であるとともに、「反射板である」とは特定されていない点。
<相違点2>
「光源」が照らす対象に関し、
本件発明1においては、「光源」が、「前記床面と前記壁面との各々を直接照らす」こと、及び、「前記延出板部を照らす」ことが、特定されているのに対し、
甲2発明においては、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点1について判断する。
甲2発明において、「照明33は、側壁SW1に向けて光L3を照射し、光L3の一部は、側壁SW1によって反射され、キャビネット30下方の床面FSを照ら」すから、「照明33」は、直接光を照射する主たる対象を「側壁SW1」とし、「側壁SW1によって反射され」た光により、間接的に「キャビネット30下方の床面FSを照ら」すものである。
そのような甲2発明において、「照明33」から照射する「光L3」の一部が、「カバー32が固定されるキャビネット30の底面のうち、カバー32の上下方向に延在する板状の部分と側壁SW1との間に延在する部分」に当たるとしても、主たる光の照射対象ではない「キャビネット30の底面」について、「反射板」とし、「側壁SW1」まで「隙間を埋める」ものとすることについて、動機付けがあったとは言えない。
甲3及び甲8には、上記1(3)及び上記1(4)に摘記した事項が記載されているが、これらの記載は間接照明に関する一般的な記述にとどまり、甲2発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることを開示あるいは示唆するものではない。
甲9には、上記1(5)に摘記した事項が記載されているが、甲9の記載は、人体検知センサによる検知に基づいてトイレの室内灯を点灯させることに関するものであり、甲2発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることを開示あるいは示唆するものではない。
なお、取消理由において引用しなかった甲4ないし甲7の記載も、甲2発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることを開示あるいは示唆するものではない。
したがって、甲2発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、甲3ないし甲9の記載を考慮しても、当業者が容易に想到できたものではない。
よって、その余の相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、及び甲3ないし甲9に記載される事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
ウ 申立人の意見書における主張について
申立人は、令和5年10月17日付けの意見書において、上記相違点1に関し、甲3において、下部照明装置54の光が上部に位置する底板16を照らすことが明らかであるから、甲2発明において相違点1に係る構成とすることは想到容易である旨を主張している。
しかしながら、甲3の段落【0035】の記載は、「下部照明装置54は、壁面12、及び床面55に向けて光を照射(一例として矢印方向)し、これにより部屋内を間接的に照明することができる。」というものであり、その余の甲3の記載及び図示を考慮しても、「底板16」を反射板とすることを示すものではない。そして、上記イに判断したとおり、甲3の記載は、甲2発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることを開示あるいは示唆するものではない。
したがって、上記申立人の主張を考慮しても、上記相違点1に関し、上記イの判断を変更すべき事情はない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、実質的に、本件発明1の構成に、「便器」が「便座用人感センサを備える」構成、「前記トイレ空間内に入場する人を検知する光源用人感センサ」を備える構成、及び、「前記光源用人感センサは、感知結果に基づいて前記光源の点灯を制御し、前記便座用人感センサは、感知結果に基づいて前記便器の便座の駆動を制御」する構成を、追加したものである。
上記(1)アにおける本件発明1と甲2発明との対比を踏まえて、本件発明2と甲2発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記(1)アに示した相違点1及び相違点2で、相違する。
そして、上記(1)イに示したのと同じ理由で、相違点1は、甲3ないし甲9の記載を考慮しても、想到容易でない。
したがって、その余の構成について判断するまでもなく、本件発明2は、甲2発明、及び甲3ないし甲9に記載される事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
(3)本件発明3ないし8について
本件発明3及び4は、本件発明2の構成をすべて有し、さらに構成を付加したものである。
本件発明5ないし8は、本件発明1または本件発明2の構成をすべて有し、さらに構成を付加したものである。
そして、上記(1)及び(2)で示したとおり、本件発明1及び本件発明2は、いずれも、少なくとも上記相違点1に係る構成について、甲3ないし甲9の記載を考慮しても、想到容易でない。
したがって、その余の構成について判断するまでもなく、本件発明3ないし8は、甲2発明、及び甲3ないし甲9に記載される事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
(4)取消理由2の小括
以上のとおりであるから、本件発明1ないし8は、取消理由通知に記載した進歩性欠如の取消理由2によって、取り消されるべきものではない。
4 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)新規性欠如(上記第4の2(2))について
ア 特許異議申立理由の具体的内容
取消理由において採用しなかった特許異議申立理由のうち、新規性欠如の特許異議申立理由は、本件訂正前の請求項1、5及び7に係る発明は、甲2に記載された発明であって、特許法29条1項3号の規定に該当する、というものである(申立書第18頁第4行~第6行)。
イ 判断
上記第2のとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1、5及び7に係る発明は、上記第3に認定した、本件発明1、本件発明5及び本件発明7である。
甲2には、上記1(2)エに認定した、甲2発明が記載されている。
本件発明1、本件発明5及び本件発明7と、甲2発明とは、少なくとも、上記3(1)アに認定した相違点1において相違する。
したがって、本件発明1、本件発明5及び本件発明7は、甲2発明と同一ではない。
よって、本件発明1、本件発明5及び本件発明7に係る特許は、新規性欠如の特許異議申立理由により、取り消されるべきものではない。
(2)実施可能要件違反(上記第4の2(4))について
ア 特許異議申立理由の具体的内容
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由のうち、実施可能要件違反の特許異議申立理由は、明細書には「便器12用の人感センサW」のセンサの種類、受光方向、および受信強度(範囲)などの具体的構成について一切記載がされていないから、本件訂正前の請求項4に係る発明の「光源用人感センサは、前記便座用人感センサよりも早く前記トイレ空間内に入場する人を感知し、」という構成に関し、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない、というものである(申立書第57頁下から5行-第58頁第17行)。
イ 判断
本件訂正により、本件発明4が引用する本件発明2において、「便座用人感センサ」は「便器」に備えられ、「光源用人感センサ」は「便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネット」に備えられることが、明瞭とされた。
そして、本件明細書の段落【0072】-【0075】には、光源用の「人感センサV」のセンサ窓Q及び受光方向について具体的な説明がされ、段落【0076】には、「光源E用の人感センサVは、便器12用の人感センサWよりも早く人体を検知する。」と記載されている。
これらの明細書の記載と、センサの検知範囲の設定に関する技術常識とを考慮すれば、光源用の「人感センサV」の検知範囲と、便器に設けられた便器12用の「人感センサW」の検知方向及び検知範囲とを適宜に設定すれば、人感センサVが人感センサWよりも早く人体を検知するようにできることは、明らかであるから、本件発明4における「光源用人感センサは、前記便座用人感センサよりも早く前記トイレ空間内に入場する人を感知し、」という構成を実施するうえで、当業者に過度の試行錯誤を要するものではない。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件発明4について、申立人が申立てる点で、特許法36条4項1号の規定に違反するものではない。
よって、本件発明4に係る特許は、申立人が申立てる実施可能要件違反の特許異議申立理由により、取り消されるべきものではない。
(3)サポート要件違反(上記第4の2(5))について
ア 特許異議申立理由の具体的内容
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由のうち、サポート要件違反の特許異議申立理由は、本件明細書の段落【0075】及び【図1】において、「便蓋12Aや便座の開閉のための人感センサ(W)」は「便器12」に設けられているから、本件訂正前の請求項2において「便座用人感センサ」が「トイレキャビネット」に設けられる構成は、発明の詳細な説明に記載されていない、というものである(申立書第58頁第18行-第59頁第8行)。
イ 判断
本件訂正により、本件発明2において、「便座用人感センサ」は「便器」に備えられ、「光源用人感センサ」は「便器の側方の少なくとも片側に設けられたキャビネット」に備えられることが、明瞭とされた。
したがって、本件発明2は、申立人が申立てる点で、特許法36条6項1号の規定に違反するものではない。
よって、本件発明2に係る特許は、申立人が申立てるサポート要件違反の特許異議申立理由により、取り消されるべきものではない。
(4)明確性要件違反(上記第4の2(6))について
ア 特許異議申立理由の具体的内容
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由のうち、明確性能要件違反の特許異議申立理由は、以下のものである。
(ア)本件訂正前の請求項1に係る発明において、「前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されている、」という構成に関し、「延出板部」が「板部」のどのような位置にどのように取り付けられているのか、不明確である(申立書第59頁第9行-第21行)。
(イ)本件訂正前の請求項2に係る発明において、「便座用人感センサ」は、どのような状態の人を検知するのか、不明確である(申立書第59頁第22行-第60頁第5行)。
(ウ)本件訂正前の請求項4に係る発明において、「前記光源用人感センサは、前記便座用人感センサよりも早く前記トイレ空間内に入場する人を感知し、前記光源が点灯した後に、前記便器の便蓋が開く、」と記載されているが、「便蓋」が開くという作動が何を契機としてなされているのか、不明確である(申立書第60頁第6行-第13行)。
イ 判断
(ア)本件訂正後の請求項1において、「前記光源は、前記板部から延出され前記壁面との間の隙間を埋めるように取り付けられた延出板部の下部に配置されて」いることを特定する記載に、実質的な変更はない。
上記記載において、「延出板部」が、「板部」を基準として「延出」されており、「板部」と「壁面」との「間の隙間を埋めるように」取り付けられている、という構成が特定されていることは、明らかであり、明細書の記載を参酌しても第三者に不測の不利益を生じさせる程に、不明確な点はない。
(イ)本件訂正後の請求項2において、「便座用人感センサ」は、「トイレ空間内」の「便器」に備えられること、及び、「感知結果に基づいて前記便器の便座の駆動を制御」することが、特定されている。
そうすると、「便座用人感センサ」が、「便器」に設けられて、「トイレ空間内」の人を検知すること、及び、「感知結果に基づいて前記便座の駆動を制御」することは、明確に特定されており、本件発明2の「便座用人感センサ」の配置、検出対象及び機能は、明確である。
そして、「便座用人感センサ」について、どのような状態の人を検知するかを、さらに請求項において記載しなければ、第三者に不測の不利益を生じさせる程に、本件発明2が不明確となるような事情はない。
(ウ)本件発明4は、本件発明2が有する構成を全て有しており、本件訂正後の請求項2及び4の記載より、「便座用人感センサ」は「トイレ空間内」の「便器」に備えられること、「便座用人感センサは、感知結果に基づいて前記便器の便座の駆動を制御」すること、「前記光源用人感センサは、前記便座用人感センサよりも早く前記トイレ空間内に入場する人を感知」すること、及び、「前記光源が点灯した後に、前記便器の便蓋が開く」ことが、明確に特定されている。
そして、「光源が点灯した後」に「便器の便蓋が開く」ことに関して、「便蓋が開く」動作が何を契機としてなされるかを、さらに請求項において記載しなければ、第三者に不測の不利益を生じさせる程に、本件発明4が不明確となるような事情はない。
(エ)小括
上記(ア)ないし(ウ)より、本件発明1、本件発明2、及び本件発明4に係る特許は、申立人が申立てる明確性要件違反の特許異議申立理由により、取り消されるべきものではない。
第6 むすび
以上のとおり、本件訂正は全て認められるとともに、本件発明1ないし8に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件発明1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-701169