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特許異議申立

2026-700491

静電チャック

審判番号
2026-700491
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-053874
登録番号
7780131
請求日
2026年06月03日
審決日
2026年07月31日
公報発行日
2026年08月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】TOTO株式会社
  • 【異議申立人】金 海松
審判長/審判官
  • 審判長 松永 稔
  • 審判官 原田 貴志
  • 審判官 河本 充雄
分類
P1651.121-Y (H10P) / P1651.537-Y (H10P)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7780131号発明「静電チャック」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7780131号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7780131号の請求項1~5に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和4年3月29日に出願され、令和7年11月26日にその特許権の設定登録がされ、同年12月4日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和8年6月3日に特許異議申立人 金海松(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。(申立人により提出された特許異議申立書を以下「申立書」という。) 第2 本件発明 本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、 前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレートと、 前記セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部と、 を備え、 前記ヒータ部は、第1給電部と、前記第1給電部に隣り合う第2給電部と、前記第1給電部と前記第2給電部とを結ぶ1本の電極であり電流が流れることにより発熱するヒータラインと、を有し、 前記ヒータラインは、第1方向に沿って延び、前記第1方向に対して垂直な第2方向において並ぶ複数の延在部を有し、 前記複数の延在部は、前記第2方向の一方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に隣り合う第1延在部と、前記第2方向の他方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に隣り合う第2延在部と、を有し、 前記第1延在部は、前記第2方向において前記第1給電部と重なる第1部分と、前記第2方向において前記第2給電部と重なる第2部分と、前記第1方向において前記第1部分と前記第2部分との間に位置し前記第2方向において前記第1給電部及び前記第2給電部と重ならない第3部分と、を有し、 前記第2延在部は、前記第2方向において前記第1給電部と重なる第4部分と、前記第2方向において前記第2給電部と重なる第5部分と、前記第1方向において前記第4部分と前記第5部分との間に位置し前記第2方向において前記第1給電部及び前記第2給電部と重ならない第6部分と、を有し、 前記第1給電部と前記第2給電部との間の前記第1方向における最小距離を第1距離とし、 前記複数の延在部どうしの間の前記第2方向における最小距離を第2距離とし、 前記第1方向に沿い前記第2方向の前記一方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に接する第1仮想接線と、前記第1延在部と、の間の前記第2方向における距離を第3距離とし、 前記第1方向に沿い前記第2方向の前記他方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に接する第2仮想接線と、前記第2延在部と、の間の前記第2方向における距離を第4距離としたときに、 前記第3距離及び前記第4距離は、それぞれ、前記第1距離以下であり、 前記第3距離及び前記第4距離は、それぞれ、前記第2距離以下である、静電チャック。 【請求項2】 前記ヒータ部は、複数のゾーンを有し、 前記複数のゾーンは、前記第1給電部、前記第2給電部、及び前記ヒータラインを含む第1ゾーンを有し、 前記第1ゾーンは、前記第1主面に対して垂直なZ方向に沿って見たときに、前記第1ゾーンの中央に位置する中央領域と、前記中央領域の外側に位置する外周領域と、を有し、 前記第1給電部及び前記第2給電部は、前記中央領域に設けられる、請求項1記載の静電チャック。 【請求項3】 前記ヒータ部は、複数のゾーンを有し、 前記複数のゾーンは、前記第1給電部、前記第2給電部、及び前記ヒータラインを含む第1ゾーンを有し、 前記第1ゾーンは、前記ヒータ部の外周縁を含んでおり、 前記第1ゾーンは、前記第1ゾーンを径方向において2等分する径方向の中心線よりも径方向の内側に位置する内周部と、前記径方向の中心線よりも径方向の外側に位置し前記外周縁を含む外周部と、を有し、 前記第1給電部及び前記第2給電部は、前記内周部に設けられる、請求項1記載の静電チャック。 【請求項4】 前記第1方向は、周方向である、請求項1~3のいずれか1つに記載の静電チャック。 【請求項5】 前記第1方向は、径方向である、請求項1~3のいずれか1つに記載の静電チャック。」 第3 特許異議の申立理由 申立人は、甲第1号証~甲第3号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲3」という。)を証拠方法とし、以下の申立理由1~3により、本件特許を取り消すべきものである旨申し立てた。 1 申立理由1(進歩性欠如) 本件発明1~4は、甲1に記載された発明及び甲2、甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1~4に係る特許は、同法第113条第2号により取り消されるべきものである。 2 申立理由2(サポート要件違反) 本件発明1~5は、特許法第36条第6項第1号を満たしていないから、本件の請求項1~5に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。 3 申立理由3(明確性要件違反) 本件発明1~5は、特許法第36条第6項第2号を満たしていないから、本件の請求項1~5に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。 4 証拠 甲1: 特開2011-176275号公報 甲2: 特開2016-129183号公報 甲3: 特開2009-218242号公報 第4 申立理由の検討 1 申立理由1(進歩性欠如)について (1) 甲1発明 ア 甲1の記載 甲1には次の記載がある。(下線は、引用箇所を示すために、合議体が付加した。) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、静電チャック装置に関し、さらに詳しくは、半導体ウエハ等の板状試料を静電気力により吸着固定する際に好適に用いられ、半導体製造プロセスにおける物理気相成長法(PVD)や化学気相成長法(CVD)による成膜処理、プラズマエッチング等のエッチング処理、露光処理等の各種工程においても、板状試料を載置する載置面における面内温度の均一性を高めることが可能であり、さらには、加熱部材の耐電圧性を高めることが可能な静電チャック装置に関するものである。」 「【発明を実施するための形態】 ・・・中略・・・ 【0029】 図1は、本発明の一実施形態の静電チャック装置を示す断面図であり、この静電チャック装置1は、円板状の静電チャック部2と、この静電チャック部2を所望の温度に調整する厚みのある円板状の温度調整用ベース部3と、静電チャック部2の下面(他の主面)に接着された所定のパターンを有する接着材4と、接着材4の下面に接着された該接着材4と同形状のパターンのヒータエレメント5と、温度調整用ベース部3の上面に接着材6を介して接着された絶縁部材7と、静電チャック部2の下面のヒータエレメント5と温度調整用ベース部3上の絶縁部材7とを対向させた状態でこれらを接着一体化する有機系接着剤層8とにより主として構成されている。 【0030】 静電チャック部2は、上面が半導体ウエハ等の板状試料Wを載置する載置面とされた載置板11と、この載置板11と一体化され該載置板11を支持する支持板12と、これら載置板11と支持板12との間に設けられた静電吸着用内部電極13及び静電吸着用内部電極13の周囲を絶縁する絶縁材層14と、支持板12を貫通するようにして設けられ静電吸着用内部電極13に直流電圧を印加する給電用端子15とにより構成されている。 【0031】 これら載置板11および支持板12は、重ね合わせた面の形状を同じくする円板状のもので、酸化アルミニウム-炭化ケイ素(Al2O3-SiC)複合焼結体、酸化アルミニウム(Al2O3)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体、酸化イットリウム(Y2O3)焼結体等の機械的な強度を有し、かつ腐食性ガス及びそのプラズマに対する耐久性を有する絶縁性のセラミックス焼結体からなるものである。 ・・・中略・・・ 【0041】 ヒータエレメント5は、支持板12の下面に接着材4を介して配設されたもので、例えば、図2に示すように、相互に独立した2つのヒータ、すなわち中心部に形成された内ヒータ5aと、この内ヒータ5aの周縁部外方に環状に形成された外ヒータ5bとにより構成され、これら内ヒータ5a及び外ヒータ5b各々の両端部の給電用端子との接続位置21それぞれには、図1に示す給電用端子22が接続され、この給電用端子22は、絶縁性を有する碍子23により温度調整用ベース部3に対して絶縁されている。 【0042】 これら内ヒータ5a及び外ヒータ5bは、それぞれが、幅の狭い帯状の金属材料を蛇行させたパターンを軸を中心として、この軸の回りに繰り返し配置し、かつ隣接するパターン同士を接続することで、1つの連続した帯状のヒーターパターンとされている。 このヒータエレメント5では、これら内ヒータ5a及び外ヒータ5bをそれぞれ独立に制御することにより、載置板11の載置面に静電吸着により固定されている板状試料Wの面内温度分布を精度良く制御するようになっている。」 「【図1】 [図:0001438326000001.jpg] 【図2】 [図:0001438326000002.jpg] 」 イ 甲1発明 (ア) 上記アの段落0029、段落0030、段落0031、段落0041、段落0042によると、甲1には次の静電チャック装置1が記載されているといえる。(括弧内は引用元の段落番号を示す。) 「円板状の静電チャック部2と、この静電チャック部2を所望の温度に調整する厚みのある円板状の温度調整用ベース部3と、静電チャック部2の下面に接着された所定のパターンを有する接着材4と、接着材4の下面に接着された該接着材4と同形状のパターンのヒータエレメント5と、温度調整用ベース部3の上面に接着材6を介して接着された絶縁部材7と、静電チャック部2の下面のヒータエレメント5と温度調整用ベース部3上の絶縁部材7とを対向させた状態でこれらを接着一体化する有機系接着剤層8とにより構成されている静電チャック装置1であって(段落0029)、 静電チャック部2は、上面が半導体ウエハ等の板状試料Wを載置する載置面とされた載置板11と、この載置板11と一体化され該載置板11を支持する支持板12とにより構成され(段落0030)、 載置板11および支持板12は、絶縁性のセラミックス焼結体からなるものであり(段落0031)、 ヒータエレメント5は、中心部に形成された内ヒータ5aと、この内ヒータ5aの周縁部外方に環状に形成された外ヒータ5bとにより構成され、これら内ヒータ5a及び外ヒータ5b各々の両端部の給電用端子との接続位置21それぞれには給電用端子22が接続され(段落0041)、 内ヒータ5aは、1つの連続した帯状のヒーターパターンとされる(段落0042)、 静電チャック装置1。」 (イ) 上記アの【図1】から、温度調整用ベース部3が、有機系接着剤層8を介して、静電チャック部2を支持することが見て取れる。 (ウ) 上記アの段落0041に記載された、内ヒータ5aの両端部の給電用端子との接続位置21について、同【図2】から、当該接続位置21は隣り合っており、内ヒータ5aが周方向に沿って延び、周方向に対して垂直な径方向において並ぶ複数の延在部(申立書の33頁における甲1の【図2】を拡大した下記[参考図2]における5e)を有することが見て取れる。 (エ) さらに、同【図2】から、内ヒータ5aの複数の延在部(下記[参考図2]における5e)には、周方向の内周側において内ヒータ5aの両端部の給電用端子の接続位置21に隣り合う第1延在部(下記[参考図2]における5e1)が含まれ、第一延在部は、径方向の両端部の給電用端子と重なる部分(下記[参考図2]における5e11、5e12)と、周方向において当該部分の間に位置し、径方向において両端部の給電用端子と重ならない部分(下記[参考図2]における5e13)を備えることが見て取れる。 [図:0001438326000003.jpg] (オ) 上記(ア)~(エ)を踏まえると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「円板状の静電チャック部2と、この静電チャック部2を所望の温度に調整する厚みのある円板状の温度調整用ベース部3と、静電チャック部2の下面に接着された所定のパターンを有する接着材4と、接着材4の下面に接着された該接着材4と同形状のパターンのヒータエレメント5と、温度調整用ベース部3の上面に接着材6を介して接着された絶縁部材7と、静電チャック部2の下面のヒータエレメント5と温度調整用ベース部3上の絶縁部材7とを対向させた状態でこれらを接着一体化する有機系接着剤層8とにより構成されている静電チャック装置1であって、 静電チャック部2は、上面が半導体ウエハ等の板状試料Wを載置する載置面とされた載置板11と、この載置板11と一体化され該載置板11を支持する支持板12とにより構成され、載置板11および支持板12は、絶縁性のセラミックス焼結体からなるものであり、 ヒータエレメント5は、中心部に形成された内ヒータ5aと、この内ヒータ5aの周縁部外方に環状に形成された外ヒータ5bとにより構成され、これら内ヒータ5a及び外ヒータ5b各々の両端部の給電用端子との接続位置21それぞれには給電用端子22が接続され、 内ヒータ5aは、1つの連続した帯状のヒーターパターンとされ(上記(ア))、 温度調整用ベース部3は、静電チャック部2を支持し(上記(イ))、 内ヒータ5aの両端部の給電用端子との接続位置21は隣り合っており、内ヒータ5aが周方向に沿って延び、周方向に対して垂直な径方向において並ぶ複数の延在部を有し(上記(ウ))、 内ヒータ5aの複数の延在部は、周方向の内周側において内ヒータ5aの両端部の給電用端子との接続位置21に隣り合う第1延在部を有し、第1延在部は、径方向の両端部の給電用端子と重なる部分と、周方向において当該部分の間に位置し径方向において両端部の給電用端子と重ならない部分を備える(上記(エ))、 静電チャック装置1。」 (2) 甲2 甲2には、以下の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、静電チャック装置に関するものである。」 「【発明を実施するための形態】 ・・・中略・・・ 【0102】 (貫通孔3b近傍) 図10は、図1に示す貫通孔(第2の貫通孔)3bの近傍に配置されたヒータの模式図である。図に示すように、貫通孔3bを囲むように配置されたヒータ50Eは、第1部材51Eと、第1部材51Eの端部に接続された第2部材52Eと、第2部材52Eの端部に接続された第3部材53Eと、を有している。第3部材53Eの第2部材52Eとは反対側の端部には、給電用端子17が接続されている。第3部材53Eは、給電用端子17の周囲を取り囲む円弧状の帯状の導電薄板である。 【0103】 第1部材51Eと、第2部材52Eと、第3部材53Eとは、多くの位置において同じ幅となるように形成されている。 【0104】 ヒータは、帯状の導電薄板に通電した時の抵抗発熱を利用して加熱するものである。対して、導電薄板と接続する給電用端子17は、抵抗発熱を生じさせず導電薄板に導通させることが求められるため、給電用端子17の位置では、発熱量が小さくなる。そのため、従来の静電チャック装置においては、給電用端子17と平面的に重なる位置において、板状試料は目標温度よりも低くなり易く、周囲と温度差を生じやすくなっていた。」 「【図10】 [図:0001438326000004.jpg] 」 (3) 甲3 甲3には、以下の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、真空容器内部の処理室内に配置された試料台上に半導体ウエハ等の基板状の試料を保持してこの処理室内に形成したプラズマを用いて試料を処理するプラズマ処理装置の製造方法に係り、特に、前記試料台の上面に誘電体材料による膜の内部にヒータを備えてこのヒータの動作により試料の温度を調節しつつ処理を行うプラズマ処理装置の製造方法に関する。」 「【発明を実施するための最良の形態】 ・・・中略・・・ 【0033】 本発明のさらなる利点を図4にて示す。401は溶射膜ヒータ、402は溶射膜ヒータに通電するための給電端部である。図4の例において、抵抗値,温度分布はA,B,C,Dの4領域に分割し管理されている。ここで、給電端部402を含むAおよびBのブロックの平均温度は、発熱しない給電端部402を含むことにより発熱密度が低くなり、領域内の平均温度がCおよびDブロックと比較して低くなる。」 「【図4】 [図:0001438326000005.jpg] 」 (4) 対比 ア 本件発明1と甲1発明を対比する。 (ア) 甲1発明の「載置板11」は「上面が半導体ウエハ等の板状試料Wを載置する載置面とされ」ており、半導体ウエハ等の板状試料Wが静電チャック装置1の処理対象物にあたるから、甲1発明の「半導体ウエハ等の板状試料W」は、本件発明1の「処理対象物」に相当し、甲1発明の「半導体ウエハ等の板状試料Wを載置する載置面」は、本件発明1の「処理対象物を載置する第1主面」に相当する。 また、甲1発明において、「静電チャック部2」が「載置板11と一体化され該載置板11を支持する支持板12とにより構成され」ていることを踏まえれば、甲1発明の「静電チャック部2の下面」は、「載置板11」の「載置面」と反対側にあるから、本件発明1の「前記第1主面とは反対側の第2主面」に相当する。 そして、甲1発明において、「静電チャック部2」は、「載置板11と、この載置板11と一体化され該載置板11を支持する支持板12とにより構成され」、「載置板11および支持板12は、絶縁性のセラミックス焼結体からな」るから、セラミック誘電体からなる基板であるといえる。 そうすると、甲1発明の「静電チャック部2」は、本件発明1の「セラミック誘電体基板」に相当する。 (イ) 甲1発明の「温度調整用ベース部3」は、「静電チャック部2を支持」するものであるから、本件発明1の「前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレート」に相当する。 (ウ) 甲1発明において、「ヒータエレメント5」は、「静電チャック部2」に接着されるものであるから、「静電チャック部2」を加熱するものといえる。 そうすると、甲1発明の「ヒータエレメント5」は、本件発明1の「前記セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部」に相当する。 (エ) 甲1発明の「ヒータエレメント5」は、「内ヒータ5a」と「外ヒータ5bとにより構成され」、「内ヒータ5a」の「両端部の給電用端子」は、その「接続位置21それぞれには給電用端子22が接続され」ており、「両端部の給電用端子との接続位置21は隣り合って」いるから、一端部の「給電用端子」と、それに隣り合う他端部の「給電用端子」を有するといえる。 そうすると、甲1発明の「内ヒータ5a」の一端部の「給電用端子」と、他端部の「給電用端子」は、本件発明1の「第1給電部」、「前記第1給電部に隣り合う第2給電部」にそれぞれ相当する。 そして、甲1発明の「内ヒータ5a」は、「1つの連続した帯状のヒーターパターンとされ」ているから、一端部の「給電用端子」と他端部の「給電用端子」とを結ぶ1本の電極といえ、また、ヒータに電流が流れることにより発熱することは技術常識である。 そうすると、甲1発明の「内側ヒータ5a」は、本件発明1の「前記第1給電部と前記第2給電部とを結ぶ1本の電極であり電流が流れることにより発熱するヒータライン」に相当する。 以上によれば、本件発明1の「前記ヒータ部」と甲1発明の「ヒータエレメント5」とは、「前記ヒータ部は、第1給電部と、前記第1給電部に隣り合う第2給電部と、前記第1給電部と前記第2給電部とを結ぶ1本の電極であり電流が流れることにより発熱するヒータラインと、を有」する点で共通する。 (オ) 甲1発明は、「内ヒータ5aが周方向に沿って延び、周方向に対して垂直な径方向において並ぶ複数の延在部を有」するのに対し、本件発明1は、「前記第2方向の一方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に隣り合う第1延在部を有」するから、甲1発明の「周方向」、「周方向に対して垂直な径方向」は、本件発明1の「第1方向」、「第1方向に対して垂直な第2方向」にそれぞれ相当し、本件発明1の「前記ヒータライン」と甲1発明の「内ヒータ5a」とは、「前記ヒータラインは、第1方向に沿って延び、前記第1方向に対して垂直な第2方向において並ぶ複数の延在部を有」する点で共通する。 (カ) 甲1発明の「内ヒータ5aの複数の延在部」は、「周方向の内周側において内ヒータ5aの両端部の給電用端子との接続位置21に隣り合う第1延在部を有」するのに対し、本件発明1は、「前記複数の延在部は、前記第2方向の一方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に隣り合う第1延在部」を有するから、甲1発明の「内周側」は、本件発明1の「一方側」に相当し、本件発明1と甲1発明とは、「前記第2方向の一方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に隣り合う第1延在部を有」する点で共通する。 さらに、甲1発明の「第1延在部」は、「径方向の両端部の給電用端子と重なる部分と、周方向において当該部分の間に位置し径方向において両端部の給電用端子と重ならない部分を備える」から、本件発明1と甲1発明とは、「第1延在部」が「前記第2方向において前記第1給電部と重なる第1部分と、前記第2方向において前記第2給電部と重なる第2部分と、前記第1方向において前記第1部分と前記第2部分との間に位置し前記第2方向において前記第1給電部及び前記第2給電部と重ならない第3部分と、を有」する点で共通する。 (キ) 本件発明1の「静電チャック」と甲1発明の「静電チャック装置1」とは、いずれも「静電チャック」ある点で共通する。 イ 一致点・相違点 以上を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは次の点で一致し、相違する。 (ア) 一致点 「処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、 前記セラミック誘電体基板を支持するベースプレートと、 前記セラミック誘電体基板を加熱するヒータ部と、 を備え、 前記ヒータ部は、第1給電部と、前記第1給電部に隣り合う第2給電部と、前記第1給電部と前記第2給電部とを結ぶ1本の電極であり電流が流れることにより発熱するヒータラインと、を有し、 前記ヒータラインは、第1方向に沿って延び、前記第1方向に対して垂直な第2方向において並ぶ複数の延在部を有し、 前記複数の延在部は、前記第2方向の一方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に隣り合う第1延在部を有し、 前記第1延在部は、前記第2方向において前記第1給電部と重なる第1部分と、前記第2方向において前記第2給電部と重なる第2部分と、前記第1方向において前記第1部分と前記第2部分との間に位置し前記第2方向において前記第1給電部及び前記第2給電部と重ならない第3部分と、を有する、静電チャック。」 (イ)相違点 [相違点1] ヒータラインが有する複数の延在部に関して、本件発明1が「前記第2方向の他方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に隣り合う第2延在部」(以下、「構成1」という。)を備えているのに対し、甲1発明はそのような特定がされていない点。 [相違点2] 本件発明1が「前記第2延在部は、前記第2方向において前記第1給電部と重なる第4部分と、前記第2方向において前記第2給電部と重なる第5部分と、前記第1方向において前記第4部分と前記第5部分との間に位置し前記第2方向において前記第1給電部及び前記第2給電部と重ならない第6部分と、を有し」(以下、「構成2」という。)ているのに対し、甲1発明はそのような特定がされていない点。 [相違点3] 本件発明1が「前記第1給電部と前記第2給電部との間の前記第1方向における最小距離を第1距離とし、前記複数の延在部どうしの間の前記第2方向における最小距離を第2距離とし、前記第1方向に沿い前記第2方向の前記一方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に接する第1仮想接線と、前記第1延在部と、の間の前記第2方向における距離を第3距離とし、前記第1方向に沿い前記第2方向の前記他方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に接する第2仮想接線と、前記第2延在部と、の間の前記第2方向における距離を第4距離としたときに、前記第3距離及び前記第4距離は、それぞれ、前記第1距離以下であり、前記第3距離及び前記第4距離は、それぞれ、前記第2距離以下である」(以下、「構成3」という。)のに対し、甲1発明はそのような特定がされていない点。 (5) 相違点の判断 相違点1について検討する。 甲1~甲3のいずれにも、相違点1に係る構成1は、記載も示唆もない。 また、甲1発明は、内ヒータ5aの周縁部外方に環状に形成された外ヒータ5bを有することから、甲1発明において、内ヒータ5aの延在部を、内ヒータ5aの接続位置21の外周側においても設ける動機づけはない。 そうすると、本件発明1において、相違点1に係る構成1とすることは、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 そして、第2延在部に関する相違点1に係る構成1を有するように設計することが、当業者が容易に想到し得ないものである以上、第2延在部の具体的な構成である相違点2に係る構成2及び相違点3に係る構成3についても、当業者が容易に想到し得ないものである。 よって、本件発明1は、甲1発明及び甲2、甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 (6) 申立人の主張について 申立人は、相違点1の構成1について、申立書32頁17行~21行において、「このような、静電チャックにおける給電部に対するヒータの位置関係は、例えば、静電チャックが使用される環境や静電チャックが適用される装置の構成に応じて適宜変更される。すなわち、静電チャックにおける給電部に対するヒータの位置関係の違いは、静電チャックにおけるごく一般的な設計変更の差異に過ぎない」と主張し、同頁22行~33頁2行において、静電チャックの設計段階において、給電部がヒータの内側に位置するように設計されるとき、第2方向の他方側において第1給電部及び第2給電部に隣り合う第2延在部に相当する構成を有するように設計することは当業者が容易に想到できる旨主張する。 しかしながら、申立人の上記主張を裏付ける内容は、いずれの証拠にも記載がない。 また、上記(3)のとおり、甲1~甲3のいずれにも、相違点1に係る構成1は、記載も示唆もなく、甲1発明において、相違点1の構成1とする動機づけもない。 また、本件発明1の構成をすべて含む本件発明2~4についても同様である。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 (6) 申立理由1のまとめ 以上のとおり、申立理由1(進歩性欠如)は理由がない。 2 申立理由2(サポート要件違反)について (1) 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2) 本件発明が解決しようとする課題 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の発明の詳細な説明(以下「発明の詳細な説明」という。)の段落0009の記載によれば、本件発明が解決しようとする課題は、「温度制御が複雑になることを抑制しつつ、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる静電チャックを提供する」こと(以下、「本件課題」という。)である。 (3) 発明の詳細な説明の記載 発明の詳細な説明には、以下の記載がある。(下線は、合議体が付加した。) 「【0011】 第1給電部及び第2給電部は、発熱しないためクールスポットとなり、処理対象物の面内の温度分布の均一性を低下させる要因となりうる。ヒータ部の面内の温度分布の均一性を向上させるために、例えば、第1給電部及び第2給電部を互いに離れた位置に配置することが考えられる。しかし、第1給電部及び第2給電部を互いに離れた位置に配置すると、クールスポットが分散することで、温度制御が複雑になるおそれがある。一方で、第1給電部及び第2給電部を互いに近接した位置に配置すると、クールスポットにおける温度がより低くなり、ヒータ部の面内の温度分布の均一性が低下するおそれがある。これに対し、この静電チャックによれば、第1給電部及び第2給電部を互いに近接した位置に配置するとともに、ヒータラインのうち第1給電部及び第2給電部に隣り合う部分(第1延在部及び第2延在部)を第1給電部及び第2給電部の近くに配置している。これにより、クールスポットが分散することを抑制するとともに、クールスポットの近くに発熱部であるヒータライン(第1延在部及び第2延在部)を配置することで、クールスポットにおける温度の大幅な低下を抑制できる。したがって、温度制御が複雑になることを抑制しつつ、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。」 「【発明を実施するための形態】 【0022】 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。 ・・・中略・・・ 【0024】 図1、図2(a)、及び図2(b)に表したように、実施形態に係る静電チャック10は、セラミック誘電体基板100と、ヒータ部200と、べースプレート300と、を備える。 【0025】 セラミック誘電体基板100は、例えば多結晶セラミック焼結体による平板状の基材であり、半導体ウェーハ等の処理対象物Wを載置する第1主面101と、第1主面101とは反対側の第2主面102と、を有する。 【0026】 本願明細書では、第1主面101に対して垂直な方向をZ方向とする。Z方向は、換言すれば、第1主面101と第2主面102とを結ぶ方向である。Z方向は、換言すれば、ベースプレート300からセラミック誘電体基板100に向かう方向である。また、Z方向と直交する方向の1つをX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向とする。本願明細書において、「面内」とは、例えばX-Y平面内である。また、本願明細書において、「平面視」とは、Z方向に沿って見た状態を示す。 ・・・中略・・・ 【0032】 ベースプレート300は、セラミック誘電体基板100の第2主面102側に設けられ、セラミック誘電体基板100を支持する。ベースプレート300には、連通路301が設けられている。つまり、連通路301は、ベースプレート300の内部に設けられている。ベースプレート300の材料としては、例えばアルミニウムやアルミニウム合金、チタン、チタン合金が挙げられる。 ・・・中略・・・ 【0036】 ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100を加熱する。ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100を加熱することで、セラミック誘電体基板100を介して処理対象物Wを加熱する。この例では、ヒータ部200は、第1主面101と、第2主面102と、の間に設けられている。すなわち、ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100の中に挿入されるように形成されている。言い換えれば、ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100に内蔵されている。 ・・・中略・・・ 【0063】 第1ヒータエレメント231は、第1領域701及び第2領域702を有する。第1領域701及び第2領域702は、それぞれ、第1サブ給電部231aと、第2サブ給電部231bと、サブヒータライン231cと、を有する。サブヒータライン231cは、第1サブ給電部231aと第2サブ給電部231bとに電気的に接続されている。第1サブ給電部231aは、サブヒータライン231cの一端に設けられており、第2サブ給電部231bは、サブヒータライン231cの他端に設けられている。サブヒータライン231cは、電流が流れることにより発熱する。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bは、サブヒータライン231cに給電する。第1ヒータエレメント231は、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bにおいてバイパス層250と電気的に接続されている。 ・・・中略・・・ 【0066】 第2ヒータエレメント232は、メインゾーン601、メインゾーン602、及びメインゾーン603を有する。メインゾーン601~603は、それぞれ、第1メイン給電部232aと、第2メイン給電部232bと、メインヒータライン232cと、を有する。メインヒータライン232cは、第1メイン給電部232aと第2メイン給電部232bとに電気的に接続されている。第1メイン給電部232aは、メインヒータライン232cの一端に設けられており、第2メイン給電部232bは、メインヒータライン232cの他端に設けられている。メインヒータライン232cは、電流が流れることにより発熱する。第1メイン給電部232a及び第2メイン給電部232bは、メインヒータライン232cに給電する。第2ヒータエレメント232は、第1メイン給電部232a及び第2メイン給電部232bにおいてバイパス層250と電気的に接続されている。 ・・・中略・・・ 【0090】 図5は、第1実施形態に係る第2ヒータエレメントのメインゾーンを模式的に表す平面図である。 図5は、図3に記載の第2ヒータエレメント232をZ方向に垂直な平面に投影した図である。 図5に表したように、第2ヒータエレメント232は、径方向Drに分割された複数のメインゾーン600を有する。第2ヒータエレメント232では、例えば、各メインゾーン600において、独立した温度制御が行われる。 本願明細書において、「径方向Dr」とは、ヒータエレメントの中心から半径に沿って外周に向かう方向である。「周方向Dc」とは、ヒータエレメントの外周に沿う方向である。 ・・・中略・・・ 【0112】 図8は、第1実施形態に係るヒータ部の第1ゾーンを模式的に表す平面図である。 図8では、ヒータ部200の第1ゾーン810を拡大して表している。第1ゾーン810は、ヒータ部200に含まれる複数のゾーンのうちの1つである。第1ゾーン810は、例えば、第1ヒータエレメント231のサブゾーン700のうちの1つであってもよいし、第2ヒータエレメント232のメインゾーン600のうちの1つであってもよい。 【0113】 図8に表したように、第1ゾーン810は、第1給電部831と、第2給電部832と、ヒータライン833と、を有する。第1ゾーン810がサブゾーン700のうちの1つの場合、第1給電部831、第2給電部832、及びヒータライン833は、それぞれ、第1サブ給電部231a、第2サブ給電部231b、及びサブヒータライン231cである。第1ゾーン810がメインゾーン600のうちの1つの場合、第1給電部831、第2給電部832、及びヒータライン833は、それぞれ、第1メイン給電部232a、第2メイン給電部232b、及びメインヒータライン232cである。 【0114】 第2給電部832は、第1給電部831に隣り合う位置に設けられている。つまり、第1給電部831と第2給電部832との間には、ヒータライン833が設けられていない。言い換えれば、ヒータライン833は、第1給電部831と第2給電部832との間を避けるように設けられている。 【0115】 ヒータライン833は、複数の延在部834と、折り返し部835と、を有する。ヒータライン833は、複数の延在部834が折り返し部835によって接続された構造を有する。これにより、ヒータライン833は、第1給電部831と第2給電部832とを結ぶ1本の電極として機能する。 【0116】 延在部834は、第1方向に沿って延びる。延在部834は、第2方向において並んでいる。第2方向は、第1方向に対して垂直な方向である。この例では、第1方向は、周方向Dcであり、第2方向は、径方向Drである。つまり、延在部834は、周方向Dcに沿って延びており、径方向Drにおいて並んでいる。 【0117】 複数の延在部834は、第1延在部841と、第2延在部842と、を有する。第1延在部841は、第2方向(径方向Dr)の一方側(外側)において、第1給電部831及び第2給電部832に隣り合っている。つまり、第1延在部841と第1給電部831との間及び第1延在部841と第2給電部832との間には、他の延在部834が設けられていない。第2延在部842は、第2方向(径方向Dr)の他方側(内側)において第1給電部831及び第2給電部832に隣り合っている。つまり、第2延在部842と第1給電部831との間及び第2延在部842と第2給電部832との間には、他の延在部834が設けられていない。 【0118】 第1延在部841は、第1部分841aと、第2部分841bと、第3部分841cと、を有する。第1部分841aは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831と重なる。第2部分841bは、第2方向(径方向Dr)において、第2給電部832と重なる。第3部分841cは、第1方向(周方向Dc)において、第1部分841aと第2部分841bとの間に位置する。第3部分841cは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831及び第2給電部832と重ならない。つまり、第3部分841cは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831と第2給電部832との間の隙間と重なる。 【0119】 第2延在部842は、第4部分842aと、第5部分842bと、第6部分842cと、を有する。第4部分842aは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831と重なる。第5部分842bは、第2方向(径方向Dr)において、第2給電部832と重なる。第6部分842cは、第1方向(周方向Dc)において、第4部分842aと第5部分842bとの間に位置する。第6部分842cは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831及び第2給電部832と重ならない。つまり、第6部分842cは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831と第2給電部832との間の隙間と重なる。 ・・・中略・・・ 【0123】 第1給電部831と第2給電部832との間の第1方向(周方向Dc)における最小距離を第1距離L1とする。また、複数の延在部834どうしの間の第2方向(径方向Dr)における最小距離を第2距離L2とする。第2距離L2は、例えば、第1距離L1と同じである。第1距離L1は、第2距離L2よりも短くすることで、クールスポットになりうる第1給電部831と第2給電部832を十分近づけることができ好ましい。なお、複数の延在部834どうしの間の第2方向の距離は、一定でなくてもよい。この場合、複数の延在部834どうしの間の第2方向の距離のうち最小の距離を第2距離L2とする。第1距離L1は、例えば、0.1mm以上2.0mm以下である。第2距離L2は、例えば、0.2mm以上2.0mm以下である。 【0124】 また、第1仮想接線VT1と第1延在部841との間の第2方向(径方向Dr)における距離を第3距離L3とする。第1仮想接線VT1は、第1方向(周方向Dc)に沿い、第2方向(径方向Dr)の一方側(外側)において第1給電部831及び第2給電部832に接する接線である。第3距離L3は、例えば、第1仮想接線VT1と第1延在部841の第3部分841cとの間の第2方向(径方向Dr)における距離である。第3距離L3は、第1距離L1以下である。第3距離L3は、例えば、第1距離L1よりも短い。第3距離L3は、例えば、第1距離L1の半分よりも長い。第3距離L3は、第2距離L2以下である。第3距離L3は、例えば、第2距離L2よりも短い。第3距離L3は、例えば、0.05mm以上0.6mm以下、好ましくは0.1mm以上0.3mm以下である。 【0125】 また、第2仮想接線VT2と第2延在部842との間の第2方向(径方向Dr)における距離を第4距離L4とする。第2仮想接線VT2は、第1方向(周方向Dc)に沿い、第2方向(径方向Dr)の他方側(内側)において第1給電部831及び第2給電部832に接する接線である。第4距離L4は、例えば、第2仮想接線VT2と第2延在部842の第6部分842cとの間の第2方向(径方向Dr)における距離である。第4距離L4は、第1距離L1以下である。第4距離L4は、例えば、第1距離L1よりも短い。第4距離L4は、例えば、第1距離L1の半分よりも長い。第4距離L4は、第2距離L2以下である。第4距離L4は、例えば、第2距離L2よりも短い。第4距離L4は、例えば、第2距離L2の半分よりも長い。第4距離L4は、例えば、0.04mm以上0.6mm以下である。第4距離L4は、例えば、第3距離L3と同じであることが好ましい。第4距離L4は、第3距離L3よりも長くてもよいし、第3距離L3よりも短くてもよい。 【0126】 第1給電部831及び第2給電部832は、発熱しないため、ヒータ部200の面内において相対的に温度が低いクールスポットとなり、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を低下させる要因となりうる。ヒータ部200の面内の温度分布の均一性を向上させるために、例えば、第1給電部831及び第2給電部832を互いに離れた位置に配置することが考えられる。しかし、第1給電部831及び第2給電部832を互いに離れた位置に配置すると、クールスポットが分散することで、温度制御が複雑になるおそれがある。一方で、第1給電部831及び第2給電部832を互いに近接した位置に配置すると、クールスポットにおける温度がより低くなり、ヒータ部200の面内の温度分布の均一性が低下するおそれがある。 【0127】 これに対し、実施形態に係る静電チャック10では、第1給電部831及び第2給電部832を互いに近接した位置に配置するとともに、ヒータライン833のうち第1給電部831及び第2給電部832に隣り合う部分(第1延在部841及び第2延在部842)を第1給電部831及び第2給電部832の近くに配置している。より具体的には、第3距離L3及び第4距離L4を、それぞれ、第1距離L1以下、かつ、第2距離L2以下にしている。これにより、クールスポットが分散することを抑制するとともに、クールスポットの近くに発熱部であるヒータライン833(第1延在部841及び第2延在部842)を配置することで、クールスポットにおける温度の大幅な低下を抑制できる。したがって、温度制御が複雑になることを抑制しつつ、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。 ・・・中略・・・ 【0131】 図10は、第3実施形態に係るヒータ部の第1ゾーンを模式的に表す平面図である。 図10に表したように、この例では、第1方向は、径方向Drであり、第2方向は、周方向Dcである。つまり、延在部834は、径方向Drに沿って延びており、周方向Dcにおいて並んでいる。 ・・・中略・・・ 【0147】 図17は、実施形態に係るヒータ部の第1ゾーンを模式的に表す平面図である。 図17に表したように、第1ゾーン810は、中央領域811と、外周領域812と、を有する。中央領域811は、平面視において、第1ゾーン810の中央に位置する。外周領域812は、平面視において、中央領域811の外側に位置する。例えば、第1ゾーン810を加熱した際、中央領域811の温度は、外周領域812の温度よりも高くなる。 ・・・中略・・・ 【0153】 この例では、第1給電部831及び第2給電部832は、中央領域811に設けられている。また、この例では、ヒータライン833は、中央領域811及び外周領域812の両方に設けられている。第1給電部831及び第2給電部832の少なくともいずれかは、外周領域812に設けられていてもよい。 ・・・中略・・・ 【0157】 図18は、実施形態の変形例に係るヒータ部の第1ゾーンを模式的に表す平面図である。 図18に表したように、この例では、第1ゾーン810は、ヒータ部200の外周縁810eを含んでいる。つまり、この例では、第1ゾーン810は、ヒータ部200の最外周部に位置している。第1ゾーン810がサブゾーン700のうちの1つの場合、外周縁810eは、第1ヒータエレメント231の外周縁231eである。第1ゾーン810がメインゾーン600のうちの1つの場合、外周縁810eは、第2ヒータエレメント232の外周縁232eである。 【0158】 第1ゾーン810は、内周部851と、外周部852と、を有する。内周部851は、径方向Drの中心線RL1よりも径方向Drの内側に位置する部分である。外周部852は、径方向Drの中心線RL1よりも径方向Drの外側に位置する部分である。外周部852は、ヒータ部200の外周縁810eを含む。径方向Drの中心線RL1は、第1ゾーン810の内周端821と外周端822との間の径方向Drの中心を通る。つまり、径方向Drの中心線RL1は、第1ゾーン810を径方向Drにおいて2等分する。 【0159】 この例では、第1給電部831及び第2給電部832は、内周部851に設けられている。また、この例では、ヒータライン833は、内周部851及び外周部852の両方に設けられている。第1給電部831及び第2給電部832の少なくともいずれかは、外周部852に設けられていてもよい。」 「【図1】 [図:0001438326000006.jpg] 【図2】 [図:0001438326000007.jpg] 」 「【図8】 [図:0001438326000008.jpg] 」 「【図10】 [図:0001438326000009.jpg] 」 「【図17】 [図:0001438326000010.jpg] 【図18】 [図:0001438326000011.jpg] 」 (4) 発明の詳細な説明に記載された発明について ア 上記(3)の段落0024には、「静電チャック10は、セラミック誘電体基板100と、ヒータ部200と、べースプレート300と、を備える」と記載され、同段落0025には、「セラミック誘電体基板100は、例えば多結晶セラミック焼結体による平板状の基材であり、半導体ウェーハ等の処理対象物Wを載置する第1主面101と、第1主面101とは反対側の第2主面102と、を有する」と記載され、同段落0032には、「ベースプレート300は、セラミック誘電体基板100の第2主面102側に設けられ、セラミック誘電体基板100を支持する」と記載され、同段落0036には、「ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100を加熱する」と記載されているから、静電チャック10は、処理対象物Wを載置する第1主面101と、第1主面101とは反対側の第2主面102と、を有するセラミック誘電体基板100と、セラミック誘電体基板100を支持するべースプレート300と、セラミック誘電体基板100を加熱するヒータ部200と、を備えるといえる。 イ 上記(3)の段落0112には、「第1ゾーン810は、ヒータ部200に含まれる複数のゾーンのうちの1つである」と記載され、同段落0113には、「第1ゾーン810は、第1給電部831と、第2給電部832と、ヒータライン833と、を有する」と記載され、同段落0114には、「第2給電部832は、第1給電部831に隣り合う位置に設けられている」と記載され、同段落0115には、「ヒータライン833は、第1給電部831と第2給電部832とを結ぶ1本の電極として機能する」と記載されているから、ヒータ部200は、第1給電部831と、第1給電部831に隣り合う第2給電部832と、第1給電部831と第2給電部832とを結ぶ1本の電極であるヒータライン833と、を有するといえる。 また、同段落0063には、「サブヒータライン231cは、電流が流れることにより発熱する」と記載され、同段落0066には、「メインヒータライン232cは、電流が流れることにより発熱する」と記載され、同段落0113には、「第1ゾーン810がサブゾーン700のうちの1つの場合、第1給電部831、第2給電部832、及びヒータライン833は、それぞれ、第1サブ給電部231a、第2サブ給電部231b、及びサブヒータライン231cである。第1ゾーン810がメインゾーン600のうちの1つの場合、第1給電部831、第2給電部832、及びヒータライン833は、それぞれ、第1メイン給電部232a、第2メイン給電部232b、及びメインヒータライン232cである。」と記載されているから、ヒータライン833が、サブヒータライン231c又はメインヒータライン232cのいずれであっても、電流が流れることにより発熱するものといえる。 以上によれば、ヒータ部200は、第1給電部831と、第1給電部831に隣り合う第2給電部832と、第1給電部831と第2給電部832とを結ぶ1本の電極であり電流が流れることにより発熱するヒータライン833と、を有するものである。 ウ 上記(3)の段落0115には、「ヒータライン833は、複数の延在部834と、折り返し部835と、を有する」と記載され、同段落0116には、「延在部834は、第1方向に沿って延びる。延在部834は、第2方向において並んでいる。第2方向は、第1方向に対して垂直な方向である」と記載されているから、ヒータライン833は、第1方向に沿って延び、第1方向に対して垂直な第2方向において並ぶ複数の延在部834を有するといえる。 エ 上記(3)の段落0117には、「複数の延在部834は、第1延在部841と、第2延在部842と、を有する。第1延在部841は、第2方向(径方向Dr)の一方側(外側)において、第1給電部831及び第2給電部832に隣り合っている」、「第2延在部842は、第2方向(径方向Dr)の他方側(内側)において第1給電部831及び第2給電部832に隣り合っている」と記載されているから、複数の延在部834は、第2方向の一方側において第1給電部831及び第2給電部832に隣り合う第1延在部841と、第2方向の他方側において第1給電部831及び第2給電部832に隣り合う第2延在部842と、を有するといえる。 オ 上記(3)の段落0118には、「第1延在部841は、第1部分841aと、第2部分841bと、第3部分841cと、を有する。第1部分841aは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831と重なる。第2部分841bは、第2方向(径方向Dr)において、第2給電部832と重なる。第3部分841cは、第1方向(周方向Dc)において、第1部分841aと第2部分841bとの間に位置する。第3部分841cは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831及び第2給電部832と重ならない」と記載されているから、第1延在部841は、第2方向において第1給電部831と重なる第1部分841aと、第2方向において第2給電部832と重なる第2部分841bと、第1方向において第1部分841aと第2部分841bとの間に位置し第2方向において第1給電部831及び第2給電部832と重ならない第3部分841cと、を有するといえる。 カ 上記(3)の段落0119には、「第2延在部842は、第4部分842aと、第5部分842bと、第6部分842cと、を有する。第4部分842aは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831と重なる。第5部分842bは、第2方向(径方向Dr)において、第2給電部832と重なる。第6部分842cは、第1方向(周方向Dc)において、第4部分842aと第5部分842bとの間に位置する。第6部分842cは、第2方向(径方向Dr)において、第1給電部831及び第2給電部832と重ならない」と記載されているから、第2延在部842は、第2方向において第1給電部831と重なる第4部分842aと、第2方向において第2給電部832と重なる第5部分842bと、第1方向において第4部分842aと第5部分842bとの間に位置し第2方向において第1給電部831及び第2給電部832と重ならない第6部分842cと、を有するといえる。 キ 上記(3)の段落0123には、「第1給電部831と第2給電部832との間の第1方向(周方向Dc)における最小距離を第1距離L1とする。また、複数の延在部834どうしの間の第2方向(径方向Dr)における最小距離を第2距離L2とする」と記載され、同段落0124には、「第1仮想接線VT1と第1延在部841との間の第2方向(径方向Dr)における距離を第3距離L3とする。第1仮想接線VT1は、第1方向(周方向Dc)に沿い、第2方向(径方向Dr)の一方側(外側)において第1給電部831及び第2給電部832に接する接線である」、「第3距離L3は、第1距離L1以下である」、「第3距離L3は、第2距離L2以下である」と記載され、同段落0125には、「第2仮想接線VT2と第2延在部842との間の第2方向(径方向Dr)における距離を第4距離L4とする。第2仮想接線VT2は、第1方向(周方向Dc)に沿い、第2方向(径方向Dr)の他方側(内側)において第1給電部831及び第2給電部832に接する接線である」、「第4距離L4は、第1距離L1以下である」、「第4距離L4は、第2距離L2以下である」と記載されているから、第1給電部831と第2給電部832との間の第1方向における最小距離を第1距離L1とし、複数の延在部834どうしの間の第2方向における最小距離を第2距離L2とし、第1方向に沿い第2方向の一方側において第1給電部831及び第2給電部832に接する第1仮想接線VT1と、第1延在部841と、の間の第2方向における距離を第3距離L3とし、第1方向に沿い第2方向の他方側において第1給電部831及び第2給電部832に接する接線である第2仮想接線VT2と、第2延在部842と、の間の第2方向における距離を第4距離L4としたときに、第3距離及び第4距離L4は、それぞれ、第1距離L1以下であり、第3距離及び第4距離L4は、それぞれ、第2距離L2以下であるといえる。 ク 上記(3)の段落0127には、「実施形態に係る静電チャック10では、第1給電部831及び第2給電部832を互いに近接した位置に配置するとともに、ヒータライン833のうち第1給電部831及び第2給電部832に隣り合う部分(第1延在部841及び第2延在部842)を第1給電部831及び第2給電部832の近くに配置している。より具体的には、第3距離L3及び第4距離L4を、それぞれ、第1距離L1以下、かつ、第2距離L2以下にしている。これにより、クールスポットが分散することを抑制するとともに、クールスポットの近くに発熱部であるヒータライン833(第1延在部841及び第2延在部842)を配置することで、クールスポットにおける温度の大幅な低下を抑制できる。したがって、温度制御が複雑になることを抑制しつつ、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。」と記載されている。 この記載によれば、実施形態に係る静電チャック10は、第1給電部831及び第2給電部832を互いに近接した位置に配置するとともに、ヒータライン833のうち第1給電部831及び第2給電部832に隣り合う部分(第1延在部841及び第2延在部842)を第1給電部831及び第2給電部832の近くに配置すること、より具体的には、第3距離L3及び第4距離L4を、それぞれ、第1距離L1以下、かつ、第2距離L2以下にすることにより、クールスポットが分散することを抑制するとともに、クールスポットの近くに発熱部であるヒータライン833(第1延在部841及び第2延在部842)を配置することで、クールスポットにおける温度の大幅な低下を抑制できるから、温度制御が複雑になることを抑制しつつ、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができるといえる。 ケ 上記ア~キによれば、発明の詳細な説明には、以下の発明(以下、「発明の詳細な説明に記載された発明」という。)が記載されているといえる。 「処理対象物Wを載置する第1主面101と、第1主面101とは反対側の第2主面102と、を有するセラミック誘電体基板100と、 セラミック誘電体基板100を支持するベースプレート300と、 セラミック誘電体基板100を加熱するヒータ部200と、を備え、 ヒータ部200は、第1給電部831と、第1給電部831に隣り合う第2給電部832と、第1給電部831と第2給電部832とを結ぶ1本の電極であり電流が流れることにより発熱するヒータライン833と、を有し、 ヒータライン833は、第1方向に沿って延び、第1方向に対して垂直な第2方向において並ぶ複数の延在部834を有し、 複数の延在部834は、第2方向の一方側において第1給電部831及び第2給電部832に隣り合う第1延在部841と、第2方向の他方側において第1給電部831及び第2給電部832に隣り合う第2延在部842と、を有し、 第1延在部841は、第2方向において第1給電部831と重なる第1部分841aと、第2方向において第2給電部832と重なる第2部分841bと、第1方向において第1部分841aと第2部分841bとの間に位置し第2方向において第1給電部831及び第2給電部832と重ならない第3部分841cと、を有し、 第2延在部842は、第2方向において第1給電部831と重なる第4部分842aと、第2方向において第2給電部832と重なる第5部分842bと、第1方向において第4部分842aと第5部分842bとの間に位置し第2方向において第1給電部831及び第2給電部832と重ならない第6部分842cと、を有し、 第1給電部831と第2給電部832との間の第1方向における最小距離を第1距離L1とし、 複数の延在部834どうしの間の第2方向における最小距離を第2距離L2とし、 第1方向に沿い第2方向の一方側において第1給電部831及び第2給電部832に接する第1仮想接線VT1と、第1延在部841と、の間の第2方向における距離を第3距離L3とし、 第1方向に沿い第2方向の他方側において第1給電部831及び第2給電部832に接する接線である第2仮想接線VT2と、第2延在部842と、の間の第2方向における距離を第4距離L4としたときに、 第3距離及び第4距離L4は、それぞれ、第1距離L1以下であり、 第3距離及び第4距離L4は、それぞれ、第2距離L2以下である、静電チャック。」 コ そして、上記クによれば、実施形態に係る静電チャック10は、温度制御が複雑になることを抑制しつつ、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができるものであるところ、発明の詳細な説明に記載された発明は、実施形態に係る静電チャック10と同様の構成を有するから、温度制御が複雑になることを抑制しつつ、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができるといえる。 そうすると、発明の詳細な説明に記載された発明は、「温度制御が複雑になることを抑制しつつ、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる静電チャックを提供する」という本件課題を解決できるものである。 (5) 本件発明1について 本件発明1は、上記第2に示したとおりのものであるところ、本件発明1と発明の詳細な説明に記載された発明とは同じ構成を有するから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明である。 また、上記(4)コで検討したとおり、発明の詳細な説明に記載された発明は、本件課題を解決できるものであるから、本件発明1も同様に本件課題を解決できるものである。 したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が上記本件課題を解決できると認識できる範囲のものである。 (6) 本件発明2~5について 上記(3)の段落0026、段落0112、段落0113、段落0147、段落0153、【図17】の記載によれば、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載された発明であるといえ、段落0090、同段落0112、段落0113、段落0157~段落0159、【図18】の記載によれば、本件発明3は、発明の詳細な説明に記載された発明であるといえ、同段落0116の記載によれば、本件発明4は、発明の詳細な説明に記載された発明であるといえ、同段落0131の記載によれば、本件発明5は、発明の詳細な説明に記載された発明であるといえる。 また、本件発明2~5は、いずれも本件発明1の構成を有するものであるから、本件発明1と同様に、発明の詳細な説明の記載により当業者が上記本件課題を解決できると認識できる範囲のものである。 (7) 申立人の主張 申立人は、申立書45頁19~24行において、本件発明1には「第1給電部及び第2給電部を互いに近接した位置に配置する」(本件明細書段落0011)ことに対応する記載は含まれない旨主張し、申立書45頁15~18行、45頁末行~46頁13行において、第1距離の大きさによっては、発明の課題を解決することができない旨主張する。 しかしながら、本件発明1は「前記第1給電部に隣り合う第2給電部」を発明特定事項としており、本件発明1は、第1給電部と第2給電部とは互いに近接した位置に配置されたものであって、クールスポットが分散したものは含まれないから、上記のとおり上記発明の課題を解決できると認識し得るから、申立人の主張は採用できない。 (8) 申立理由2のまとめ 以上のとおり、申立理由2(サポート要件違反)は理由がない。 3 申立理由3(明確性要件違反)について (1) 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の本件特許の出願日前における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断すべきものである。 (2) 請求項1~5の記載について ア 請求項1には、「第1方向に沿って延び、前記第1方向に対して垂直な第2方向において並ぶ複数の延在部を有し」及び「前記複数の延在部は、・・・中略・・・第1延在部と、・・・中略・・・第2延在部と、を有し」と記載されており、さらに、「前記第1方向に沿い前記第2方向の前記一方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に接する第1仮想接線と、前記第1延在部と、の間の前記第2方向における距離を第3距離とし」及び「前記第1方向に沿い前記第2方向の前記他方側において前記第1給電部及び前記第2給電部に接する第2仮想接線と、前記第2延在部と、の間の前記第2方向における距離を第4距離とした」と記載されている。 そうすると、請求項1において、第1の延在部、第2の延在部、第1仮想接線及び第2仮想接線は、いずれも第1方向に沿ったものであり、第3距離は、第1方向に沿う第1仮想接線と、第1方向に沿う第1延在部との間の、第1方向に対して垂直な第2方向における距離であるから、その値は一意に定まるものであり、また、第4距離は、第1方向に沿う第2仮想接線と、第1方向に沿う第2延在部との間の、第1方向に対して垂直な第2方向における距離であるから、その値も一意に定まるものである。 イ なお、本件明細書の段落0124、段落0125には、上記アの請求項1の記載と同様の記載があり、また、本件特許の願書に添付した図面(以下「本件図面」という。)の図8には、周方向Dcを第1方向とした場合に、第1仮想接線VT1及び第2仮想接線VT2が、それぞれ、第1方向に沿って延びるヒータラインの第1延在部841及び第2延在部842と同様に、第1方向に沿ったものが示されているから、本件明細書及び本件図面の記載からも、請求項1に記載された第3距離及び第4距離は一意に定まるものである。 ウ 以上によれば、請求項1に記載された第3距離及び第4距離は明確である。 そして、請求項1は、他に不明確な記載はない。 また、請求項2~5にも不明確な記載はない。 したがって、請求項1~5の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (3)申立人の主張 ア 申立人は、申立書47頁1行~3行において、本件発明1に記載の「第3距離」と「第4距離」の大きさのそれぞれが、本件明細書の発明の詳細な説明を参酌しても不明であるから、本件発明1~5は、明確性要件を満たしていない旨主張し、より具体的には、申立書47頁18行~48頁1行、48頁16行~末行において、第1仮想接線及び第2仮想接線について、「接線」は一般的に「直線」であり、例えば、本件図面の図8によると、曲線状に形成されているものではなく、また、同図8に示されている第1仮想接線及び第2仮想接線の形状について、例えば、曲率半径の大きさがどの程度であるか、本件明細書及び図面には記載も示唆もないため、第1仮想接線及び第2仮想接線により規定される「第3距離」及び「第4距離」についても明確でないと主張する。 イ しかしながら、上記(1)ウのとおり、第1方向に沿って形成された第1仮想接線及び第2仮想接線と、同じく第1方向に沿って延びる第1延在部及び第2延在部との間の第2方向における距離である「第3距離」及び「第4距離」についても一意に定まるものであるから、申立人の主張は採用できない。 (4)申立理由3のまとめ 以上のとおり、申立理由3(明確性要件違反)は理由がない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700491

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