審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2024-700917

プロピレン重合体の製造方法

審判番号
2024-700917
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-023720
登録番号
7453801
請求日
2024年09月24日
審決日
2025年11月25日
公報発行日
2026年03月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】住友化学株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人浅村特許事務所
  • 【異議申立人】栗 暢行
審判長/審判官
  • 審判長 細井 龍史
  • 審判官 ▲吉▼澤 英一
  • 審判官 浅野 裕之
分類
P1651.113-YAA(C08F) / P1651.121-YAA(C08F) / P1651.537-YAA(C08F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7453801号発明「プロピレン重合体の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7453801号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第7453801号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7453801号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和2年2月14日の出願であって、令和6年3月12日にその特許権の設定登録(請求項の数6)がされ、同年同月21日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許に対し、同年9月24日に特許異議申立人 栗 暢行(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~6)がされたものである。 特許異議の申立てにおける手続の経緯は、次のとおりである。 令和6年12月24日付け:取消理由通知書 令和7年 3月 6日 :意見書及び訂正請求書(特許権者) 同年 同月21日付け:通知書(申立人宛て) 同年 4月24日 :意見書(申立人) 同年 6月27日付け:取消理由通知書(決定の予告) 同年 8月19日 :意見書及び訂正請求書(特許権者) 同年 9月 2日 :上申書(申立人) 同年 同月 同日 :手続補正書(訂正請求書について) 同年 同月12日付け:通知書(申立人宛て) 同年10月17日 :意見書(申立人) なお、令和7年3月6日提出の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げたものとみなされる。 第2 訂正の適否について 1 訂正請求書の補正の適否について 令和7年9月2日提出の手続補正書による補正は、同年8月19日提出の訂正請求書の「7 請求の理由」において、訂正事項5についての、訂正請求書の記載と当該訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の記載との間の不一致を正すものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 したがって、当該手続補正書による訂正請求書の補正を認める(特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項)。 2 令和7年9月2日提出の手続補正書により補正された同年8月19日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容 本件訂正は、上記訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、「前記少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiが100μm以上であり」を、「前記少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiが838μm以上であり」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1において、「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下である」旨を特定する訂正を行う。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2における引用関係を解消し、請求項2を独立請求項にする訂正を行う。 (4)訂正事項4 上記訂正事項3によって訂正された特許請求の範囲の請求項2において、「前記少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiが100μm以上であり」を、「前記少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiが300μm以上であり」に訂正する。 (5)訂正事項5 上記訂正事項3によって訂正された特許請求の範囲の請求項2において、「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下である」旨を特定する訂正を行う。 (6)一群の請求項についての説明 上記訂正事項1~5に係る訂正前の請求項1~6について、請求項2~6はそれぞれ直接又は間接的に請求項1を引用しているものであって、上記訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (7)別の訂正単位とする求めについて 訂正後の請求項2及び5については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。 しかしながら、請求項6は、請求項1~5を直接又は間接的に引用しているから、訂正後の請求項1~6は一群の請求項となる。 そうすると、別の訂正単位とする求めがされた訂正後の請求項2及び5は、その他の一群の請求項に係る訂正とは別の訂正単位として扱うことができないものである。 したがって、別の訂正単位とする求めは認められない。 2 訂正の適否について (1)訂正事項1について 訂正事項1は、「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi」について、訂正前の請求項1に記載の「100μm以上」を「838μm以上」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の【0111】の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、特許請求の範囲が減縮されているから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載の「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)」について、さらに「運転性評価指標fが30以上1250以下である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2は、本件明細書の【0010】及び【0032】の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、特許請求の範囲が減縮されているから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、請求項2において、請求項1との引用関係を解消するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi」について、訂正前の請求項2に記載の「100μm以上」を「300μm以上」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4は、本件明細書の【0053】の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、特許請求の範囲が減縮されているから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の請求項2に記載の「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)」について、さらに「運転性評価指標fが30以上1250以下である」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項5は、本件明細書の【0010】及び【0032】の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、特許請求の範囲が減縮されているから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 訂正の適否についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1~5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 よって、上記訂正請求書による訂正を認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、上記訂正請求書による訂正は認められるので、本件の請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項によって特定される以下のとおりのものであると認められる。 「【請求項1】 オレフィン重合触媒の存在下、2以上の気相重合反応装置を含む重合システム、または、液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含み、液相重合反応装置と気相重合反応装置の合計数が3以上である重合システムを用いて、プロピレンを含む単量体を(共)重合し、プロピレン重合体を製造する方法であって、 少なくとも1の前記気相重合反応装置における、 当該気相重合反応装置内の平均滞留時間τG[時間]、 少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi[μm]、並びに 排出パウダーのポリマー中のエチレン由来の構成単位および炭素数4以上12以下のα-オレフィン由来の構成単位の合計量Co[質量分率(g/g)]から、 下式(A)により定義される運転性評価指標fが、30以上、1250以下であり、 前記少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiが838μm以上であり、 前記少なくとも1の気相重合反応装置が、連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)を含み、 最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下である、上記製造方法: 【数1】 [図:0001433060000001.jpg] (式中、a=-0.50、b=2.50、c=0.65である。)。 【請求項2】 オレフィン重合触媒の存在下、2以上の気相重合反応装置を含む重合システム、または、液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含み、液相重合反応装置と気相重合反応装置の合計数が3以上である重合システムを用いて、プロピレンを含む単量体を(共)重合し、プロピレン重合体を製造する方法であって、 少なくとも1の前記気相重合反応装置における、 当該気相重合反応装置内の平均滞留時間τG[時間]、 少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi[μm]、並びに 排出パウダーのポリマー中のエチレン由来の構成単位および炭素数4以上12以下のα-オレフィン由来の構成単位の合計量Co[質量分率(g/g)]から、 下式(A)により定義される運転性評価指標fが、30以上、1250以下であり、 前記少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiが300μm以上であり、 前記少なくとも1の気相重合反応装置が、連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)を含み、 最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下であり、 【数2】 [図:0001433060000002.jpg] (式中、a=-0.50、b=2.50、c=0.65である。)。 (1)オレフィン重合用触媒の存在下、前記最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)を含む1以上の気相重合反応装置を用いて、プロピレンを含む単量体を(共)重合し、プロピレン単独重合体(I-1)および/またはプロピレン共重合体(I-2)を製造する工程;並びに (2)上記工程(1)で得られたプロピレン単独重合体(I-1)および/またはプロピレン共重合体(I-2)の存在下、1以上の気相重合反応装置を用いて、エチレンおよび炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも一種のオレフィンと、プロピレンとを共重合し、プロピレン共重合体(II)を製造する工程、を有し、 プロピレン共重合体(I-2)が、プロピレンに由来する構成単位と、エチレンおよび炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも一種のオレフィンに由来する構成単位とを含有し、上記エチレンおよび上記炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも一種のオレフィンに由来する構成単位の含有量が0.01質量%以上15質量%未満である(但し、プロピレン共重合体(I-2)の全質量を100質量%とする)プロピレン共重合体であり、 プロピレン共重合体(II)が、エチレンおよび炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも一種のオレフィンに由来する構成単位と、プロピレンに由来する構成単位とを含有し、上記エチレンおよび上記炭素数4以上12以下のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも一種のオレフィンに由来する構成単位の含有量が15質量%以上80質量%以下である(但し、プロピレン共重合体(II)の全質量を100質量%とする)プロピレン共重合体であり、 製造されるプロピレン共重合体が、プロピレン単独重合体(I-1)および/またはプロピレン共重合体(I-2)と、プロピレン共重合体(II)とを含んでなり、プロピレン共重合体(II)の含有量が15質量%以上であるヘテロファジックプロピレン重合材料(但し、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量を100質量%とする。)である、プロピレン重合体を製造する方法。 【請求項3】 前記最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)における(共)重合反応に先立ち、液相重合装置においてプロピレンを含む単量体を(共)重合し、得られた(共)重合体の存在下で、前記最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)における(共)重合反応を行なう、請求項1又は2に記載の製造方法。 【請求項4】 前記少なくとも1の気相重合反応装置が、流動層反応装置、噴流層反応装置、または内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応装置を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項5】 前記ヘテロファジックプロピレン重合材料中における上記プロピレン共重合体(II)の含有量が20質量%以上である、請求項2に記載のヘテロファジックプロピレン重合材料の製造方法。 【請求項6】 前記プロピレン重合体が、自動車部品、食品/医療容器、家具/電気製品の部品、または土木/建築材料に用いられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。」 第4 特許異議申立書に記載された証拠方法、申立理由の概要及び取消理由の概要 1 申立人が提出した特許異議申立書に記載した証拠方法及び特許異議申立ての理由の概要 令和6年9月24日に申立人が提出した特許異議申立書(以下「申立書」という。)に記載した証拠方法及び特許異議申立ての理由の概要は次のとおりである。 (1)証拠方法 ・甲第1号証:特開2017-132870号公報 ・甲第2号証:特開2011-153287号公報 ・甲第3号証:特開2007-231257号公報 ・参考資料1:特開2008-115321号公報 ・参考資料2:特開2007-321136号公報 ・参考資料3:Galli, P. and Vecellio, G., Progress in Polymer Science, 2001, Vol.26, p.1287-1336 ・参考資料4:志賀昭信、「オレフィン重合触媒開発・触媒表面観察・計算化学シミュレーション」、表面科学、2011年、Vol.32、No.5、p.294-301 ・参考資料5:特開2007-326886号公報 以下、「甲第1号証」~「甲第3号証」を「甲1」~「甲3」といい、「参考資料1」~「参考資料5」を、「参1」~「参5」という。 (2)申立理由1(甲1を主引例とする新規性・進歩性) 本件特許の請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1、2及び4~6に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、2及び4~6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (3)申立理由2(甲2を主引例とする進歩性) 本件特許の請求項1、3、4及び6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3、4及び6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (4)申立理由3(甲3を主引例とする進歩性) 本件特許の請求項1~4及び6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~4及び6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 取消理由通知(決定の予告)の取消理由の概要 令和7年6月27日付けで通知した取消理由通知(決定の予告)の取消理由の概要はおおむね次のとおりである。 取消理由1(甲2を主引例とする進歩性) 本件特許の請求項1、3、4及び6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3、4及び6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 第5 当審の判断 以下に述べるように、当審において通知した取消理由通知(決定の予告)の取消理由及び申立書の申立理由によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。 1 取消理由1及び申立理由2(甲2を主引例とする進歩性)について 上記第4の2の取消理由1及び上記第4の1(3)の申立理由2は、いずれも甲2を主引例とする進歩性についてのものであるので、まとめて検討する。 (1)甲2に記載された発明 甲2には、【0084】~【0089】及び【0097】の【表1】の記載を基に、実施例1のプロピレン-エチレンランダム共重合体の製造方法に着目すると、以下の発明が記載されている。 「内径D:340mm、長さL:1,260mm、回転軸の径:90mm、内容積:110Lの撹拌機を備えた連続式横型気相重合器(長さ/直径=約3.7)である反応器内を窒素ガスで置換後、500μm以下の重合体粒子を除去したポリプロピレン粉末を25kg導入し、上流末端から160mmの位置に設置した配管より触媒(A)を、固体成分として0.17g/h、また、上流末端から150mmの位置に設置した配管よりトリエチルアルミニウムの15重量%n-ヘキサン溶液を15mmol/hrで連続的に供給し、重合器内の水素濃度、エチレン濃度のプロピレン濃度に対する比がそれぞれ0.04、0.03、示差温度計を上流末端からそれぞれ200、600、1,000mmに設置し領域を3区分で制御し、各温度をそれぞれ上流より64,67,70℃、反応器内の圧力が2.3MPa、を保つようにプロピレンを供給し、また、水素とエチレンモノマーは混合ガス供給配管を通じて原料補給配管より連続的に供給し、反応器内で生成したプロピレン-エチレンランダム共重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に重合体のパウダーを重合体抜き出し配管を通して反応器から連続的に抜き出し、抜き出したパウダーは、ガス回収機でガス類を分離し、パウダー部は回収機に抜き出し、プロピレン-エチレンランダム共重合体の単位時間当たりの生産量は13.3kg/hr、反応器内の平均滞留時間は1.9hrであり、エントレインメント量の測定を5回行ったところ、平均で0.031g/kgであり、回収機で回収されたパウダーは、平均粒径は1,540μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.10wt%、>4,750μmの塊状ポリマーは0.02wt%であり、プロピレン-エチレンランダム共重合体のエチレン含量が0.3重量%である、気相重合によるプロピレン-エチレンランダム共重合体の製造方法。 ここで、触媒(A)は、以下の製造方法で得られたものである。 撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入し、ここに、室温で、Mg(OEt)2を200g、TiCl4を1L添加し、温度を90℃に上げて、フタル酸ジ-n-ブチルを50ml導入し、その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行い、反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄し、次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整し、室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行い、反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄し、更に、精製したn-ヘプタンを用いて、トルエンをn-ヘプタンで置換し、固体成分のTi含量は2.7wt%、平均粒径は33μmの固体成分のスラリーを得、次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分のスラリーを、固体成分として100g導入し、精製したn-ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が25g/Lとなる様に調整し、ここに、ジメチルジビニルシランを30mlと(i-Pr)2Si(OMe)2を30ml及びEt3Alのn-ヘプタン希釈液をEt3Alとして80g添加し、40℃で2hr反応を行って、Ti含量は2.3wt%、(i-Pr)2Si(OMe)2が7.8wt%含まれ、平均粒径は33μmの固体触媒成分(A1)を得、反応生成物を精製したn-ヘプタンで充分に洗浄し、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記のスラリーに精製したn-ヘプタンを導入して、固体触媒成分(A1)の濃度が20g/Lとなる様に調整し、スラリーを10℃に冷却した後、Et3Alのn-ヘプタン希釈液をEt3Alとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給し、プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続し、次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn-ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って、Tiが1.9wt%、(i-Pr)2Si(OMe)2が7.2wt%含まれ、予備重合後の平均粒径は62μmであり、触媒(A)1gあたり2.5gのポリプロピレンを含む触媒(A)を得た。」(以下「甲2発明」という。) (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明の「触媒(A)」は、プロピレン-エチレンランダム共重合体を製造するための触媒であるから、本件発明1の「オレフィン重合触媒」に相当し、また、本件発明1の「オレフィン重合触媒の存在下」との特定事項を満たす。 (イ)甲2発明の「撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブ」は、n-ヘプタンの存在下でプロピレンを重合するために用いられているものであるから、本件発明1の「液相重合反応装置」に相当する。 (ウ)甲2発明の「内径D:340mm、長さL:1,260mm、回転軸の径:90mm、内容積:110Lの撹拌機を備えた連続式横型気相重合器(長さ/直径=約3.7)である反応器」は、本件発明1の「気相重合反応装置」に相当し、当該反応器の前に気相重合反応装置がないことは明らかであるから、本件発明1の「連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)」に相当する。 (エ)甲2発明の「触媒(A)」の「予備重合後の平均粒径」は、触媒(A)は「連続式横型気相重合器」である「反応器」に供給されているから、本件発明1の「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi[μm]」に相当する。 (オ)甲2発明の「プロピレン-エチレンランダム共重合体の製造方法」は、プロピレン及びエチレンを単量体として用いていることから、本件発明1の「プロピレンを含む単量体を(共)重合し、プロピレン重合体を製造する方法」に相当する。 (カ)甲2発明は、上記(イ)及び(ウ)から、本件発明1の「液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含」むとの特定事項を満たすことから、本件発明1の「2以上の気相重合反応装置を含む重合システム、または、液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含み、液相重合反応装置と気相重合反応装置の合計数が3以上である重合システム」と、「液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含」む「重合システム」である限りにおいて、一致する。 (キ)甲2発明は、上記(ウ)から、本件発明1の「前記少なくとも1の気相重合反応装置が、連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)を含む」との特定事項を満たす。 そうすると、両者は次の点で一致する。 「オレフィン重合触媒の存在下、液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含む重合システムを用いて、プロピレンを含む単量体を(共)重合し、プロピレン重合体を製造する方法であって、 前記少なくとも1の気相重合反応装置が、連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)を含む、上記製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 ・相違点2-1 重合システムに関して、本件発明1は「2以上の気相重合反応装置を含む重合システム、または、液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含み、液相重合反応装置と気相重合反応装置の合計数が3以上である重合システム」と特定されているのに対し、甲2発明はそのような特定がない点 ・相違点2-2 本件発明1は、「少なくとも1の前記気相重合反応装置における、当該気相重合反応装置内の平均滞留時間τG[時間]、少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi[μm]、並びに排出パウダーのポリマー中のエチレン由来の構成単位および炭素数4以上12以下のα-オレフィン由来の構成単位の合計量Co[質量分率(g/g)]から、下式(A)により定義される運転性評価指標f(当審注:fの式は省略する。以下同様。)が、30以上、1250以下であり、」「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下である」と特定されているのに対し、甲2発明はそのような特定がない点 ・相違点2-3 少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiに関して、本件発明1は「838μm以上」であるのに対し、甲2発明は「62μm」である点 イ 判断 事案に鑑み、相違点2-3について検討する。 甲2には、本件発明1の「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi」に相当する予備重合後の平均粒径に関して、「予備重合した後の触媒は、ポリマーの殻に覆われているが、本重合に用いられる触媒の平均粒径(ポリマーの殻を含めた大きさ)は、好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上であり、また、好ましくは300μm以下、更に好ましくは200μm以下である。」(【0052】)と記載されているにとどまり、予備重合後の平均粒径を、好ましい範囲の上限である「300μm」よりも大きい「838μm以上」を選択する動機付けとなる記載はない。 そうすると、甲2の記載を参酌しても、甲2発明において、「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiが838μm以上」とする動機付けはない。 また、参3は、「サイズが制御された球状ポリマー粒子を生成することができること、並びに、プラントの操作性及びポリマーの性能の両方を最大化することができること」(1305頁図22、申立書40~41頁を参照のこと)が記載されているにとどまり、気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径の範囲についての記載はなく、参4~5は、いずれもオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径(参4:図3、参5:【0092】、申立書41~47頁を参照のこと)が記載されているにとどまり、オレフィン重合触媒を含む粒子を気相重合反応装置に供給することについての記載はないから、甲2発明に、参3~5に記載された事項を適用する動機付けがあるともいえない。 したがって、相違点2-3に係る発明特定事項は、甲2発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。 そして、本件発明1は、実施例1~4及び比較例1~3(本件明細書の【0067】~【0128】)の結果から、「プロピレン重合体を、塊状物の発生を抑制しながら、高い生産性で製造することができる。」(本件明細書の【0007】)という効果を奏するものである。 ウ 本件発明1についてのまとめ 上記ア及びイのとおりであるから、相違点2-1及び2-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3、4及び6について 本件発明3、4及び6は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)で本件発明1について述べたのと同様の理由により、本件発明3、4及び6は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4)取消理由1及び申立理由2についてのまとめ 以上のとおりであるから、取消理由1及び申立理由2はその理由がない。 2 申立理由1(甲1を主引例とする新規性・進歩性)について (1)甲1に記載された発明 甲1には、【0039】~【0040】及び【0046】の【表1】の記載を基に、実施例1のブロック共重合体の製造方法に着目すると、以下の発明が記載されている。 「全長150cm、内容積100Lの横型重合器5に、ベットポリマー27kgを導入後、窒素ガスを流通させた後、プロピレン、エチレンおよび水素を所定のモル比および圧力となるように導入しながら昇温し、重合条件が整った時点で、メタロセン触媒(〔(r)-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル}]ジルコニウム〕を用いた予備重合触媒)を、0.15g/hで配管1から供給し、有機アルミニウム化合物として、トリイソブチルアルミニウム(7重量%調整品)を31mmol/h一定となるように配管1から供給し、触媒フィードゾーンを55.5℃、重合体パウダーの抜出し口ゾーンを56.5℃に、重合温度を傾斜させて設定し、重合圧力2.1MPaGの条件を維持し、配管3から液化プロピレンを、配管2から重合器の気相部ガス組成がエチレン/プロピレン=0.057、更に重合器の気相中の水素濃度を水素/プロピレン=0.000297モル比に維持するように、エチレンおよび水素ガスを連続的に供給して、プロピレン-エチレンランダム共重合体成分(A)の分子量(MFR)、エチレン含量([E])を調整し、ブローケース7から重合体パウダーの一部をサンプリングし、分析したところ、エチレン含量([E])が1.8重量%(wt%)、230℃、2.16kg荷重のMFRが33g/10分(g/10min)、平均粒径が1450μmであり、この時の第1重合工程での生産量は、5.5kg/hであり、 第1重合工程と同じ容量、形状の横型重合器11に、第1重合工程からのプロピレン-エチレンランダム共重合体成分(A)をブローケース7から長手方向の一方の末端近傍に位置する配管8を通して間欠的に供給し、プロピレンとエチレン、ブテンの共重合を行い、重合条件は、重合温度55℃、重合圧力1.9MPaG、であり、気相中のガス組成はエチレン/プロピレン=0.76、ブテン/プロピレン=0.243、水素/全モノマー=0.00013モル比となるように調整し、プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体成分(B)の重合量を調整するための重合活性抑制剤として、酸素を2.4mmol/hで配管12から供給し、流動改質剤として、動粘度100cStのシリコーンオイル[東レ・ダウ社製、「SH200」 100CS]のヘキサン希釈品(11.6wt%)を、横型重合器の上流側から約80%の位置に設置されている配管16と上流側から約45%の位置に設置されている配管17から、合計76.8g/hでフィードし、シリコーンオイルのフィード量が単位時間あたりの生産量の1100wtppmになるように調整し、この時、第2重合器の全パウダー保有量は18.0kgであり、重合体パウダー量(W)は3.6kg、また、単位時間当たりの生産量(R)は8.1kg/hであり、配管16からの流動改質剤フィード後の重合体パウダーの平均滞留時間は0.4hであり、 第2重合工程後、長手方向の他方の末端近傍に位置する抜出し配管21から抜き出されたブロック共重合体の成分(B)の割合は、32重量%で、成分(B)に含まれるエチレン([E])/ブテン([B])の含量は、それぞれ12重量%/30重量%であり、ブロック共重合体の230℃、2.16kg荷重のMFRは、22g/10分であり、重合体パウダーのかさ密度:0.44g/ml、圧縮度:10%、2800μm篩上重合体パウダーの残存割合:0.2重量%である、ブロック共重合体の製造方法。」(以下「甲1発明」という。) (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「メタロセン触媒(〔(r)-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル}]ジルコニウム〕を用いた予備重合触媒)」は、プロピレン、エチレン及びブテンを単量体として用いるブロック共重合体を製造するための触媒であるから、本件発明1の「オレフィン重合触媒」に相当し、また、本件発明1の「オレフィン重合触媒の存在下」との特定事項を満たす。 (イ)甲1発明の「全長150cm、内容積100Lの横型重合器5」及び「第1重合工程と同じ容量、形状の横型重合器11」は、本件発明1の「気相重合反応装置」に相当する。 (ウ)甲1発明の「全長150cm、内容積100Lの横型重合器5」は、当該反応器の前に気相重合反応装置がないことは明らかであり、さらに、各成分を連続的に供給しており連続式であることも明らかであるから、本件発明1の「連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)」に相当する。 (エ)甲1発明の「メタロセン触媒(〔(r)-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル}]ジルコニウム〕を用いた予備重合触媒)」は、気相重合反応装置に供給されており、通常は予備重合触媒が粒子であることも技術常識であるから、本件発明1の「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子」に相当する。 (オ)甲1発明の「ブロック共重合体の製造方法」は、プロピレン、エチレン及びブテンを単量体として用いていることから、本件発明1の「プロピレンを含む単量体を(共)重合し、プロピレン重合体を製造する方法」に相当する。 (カ)甲1発明は、上記(イ)及び(ウ)から、本件発明1の「2以上の気相重合反応装置を含む」との特定事項を満たすことから、本件発明1の「2以上の気相重合反応装置を含む重合システム、または、液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含み、液相重合反応装置と気相重合反応装置の合計数が3以上である重合システム」との特定事項を満たす。 (キ)甲1発明は、上記(ウ)から、本件発明1の「前記少なくとも1の気相重合反応装置が、連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)を含む」との特定事項を満たす。 そうすると、両者は次の点で一致する。 「オレフィン重合触媒の存在下、2以上の気相重合反応装置を含む重合システム、または、液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含み、液相重合反応装置と気相重合反応装置の合計数が3以上である重合システムを用いて、プロピレンを含む単量体を(共)重合し、プロピレン重合体を製造する方法であって、 前記少なくとも1の気相重合反応装置が、連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)を含む、上記製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 ・相違点1-1 本件発明1は、「少なくとも1の前記気相重合反応装置における、当該気相重合反応装置内の平均滞留時間τG[時間]、少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi[μm]、並びに排出パウダーのポリマー中のエチレン由来の構成単位および炭素数4以上12以下のα-オレフィン由来の構成単位の合計量Co[質量分率(g/g)]から、下式(A)により定義される運転性評価指標fが、30以上、1250以下であり、」「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下である」と特定されているのに対し、甲1発明はそのような特定がない点 ・相違点1-2 少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiに関して、本件発明1は「838μm以上」であるのに対し、甲2発明は不明である点 イ 判断 相違点1-1について検討する。 甲1発明は、最初の気相重合である第1重合工程において、「横型重合器5」内の平均滞留時間及び「メタロセン触媒(〔(r)-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル}]ジルコニウム〕を用いた予備重合触媒)」の平均粒径が不明であるから、「横型重合器5」の運転性評価指標fを算出することができず、「横型重合器5」の運転性評価指標fが「30以上1250以下」である蓋然性が高いとはいえない。 したがって、相違点1-1は実質的な相違点である。 また、甲1には、最初の気相重合反応装置である第1重合器について、「上記の第1重合器としては、特に形状、構造を問わないが、形状として、縦型重合器、横型重合器、チューブ型重合器などが挙げられ、例えば、スラリー重合、バルク重合で一般に用いられるものとして、攪拌機付き重合器、チューブ型重合器、気相重合に一般に用いられるものとして流動床重合器、攪拌羽根を有する横型重合器などが挙げられる。好ましくは内部に水平軸周りに回転する攪拌機を有する横型重合器である。なお、プロピレン重合体成分(A)を重合する第1重合工程を行うための第1重合器としては、重合器を2基以上含んでいても良く、例えば第1重合器として2基の重合器を用い、後述する第2重合器が3基目の重合器であっても良い。」(【0016】)と記載されているにとどまり、「運転性評価指標f」、「平均滞留時間」及び「気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径」については記載されていないことから、「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下」とする動機付けとなる記載はない。 そうすると、甲1の記載を参酌しても、甲1発明において、「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下」とする動機付けはない。 したがって、相違点1-1に係る発明特定事項は、甲1発明ではないし、甲1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものでもない。 そして、本件発明1は、上記1(2)イで検討したとおり、「プロピレン重合体を、塊状物の発生を抑制しながら、高い生産性で製造することができる。」(本件明細書の【0007】)という効果を奏するものである。 ウ 本件発明1についてのまとめ 上記ア及びイのとおりであるから、相違点1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)本件発明2について ア 対比・判断 本件発明2と甲1発明とを対比すると、上記(2)ア(ア)~(キ)と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は少なくとも上記(2)アの相違点1-1の点で相違し、当該相違点1-1は上記(2)イと同様に判断される。 イ 本件発明2についてのまとめ 上記アのとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4)本件発明4~6について 本件発明4~6は、請求項1又は2を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)及び(3)で本件発明1及び2について述べたのと同様の理由により、本件発明4及び5は、甲1に記載された発明ではないし、本件発明4~6は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (5)申立理由1についてのまとめ 以上のとおりであるから、申立理由1はその理由がない。 3 申立理由3(甲3を主引例とする進歩性)について (1)甲3に記載された発明 甲3には、【0116】~【0119】、【0123】、【0124】及び【0127】の【表2】の記載を基に、実施例3のポリプロピレン系ブロック共重合体の製造方法に着目すると、以下の発明が記載されている。 「重合器1内を置換後、500μm以下の重合体粒子を除去したポリプロピレン粉末(平均粒径1500μm)を25kg導入し、更に上記で得られた触媒(A)を固体成分として120g/h、またトリエチルアルミニウムの15重量%n-ヘキサン溶液を触媒成分(A)中のTi原子1モルに対し、モル比が90となるように連続的に供給し、また、重合器1内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が0.03となるように水素を、重合器1内の圧力が2.15MPa、温度が65℃を保つようにプロピレンモノマーをそれぞれ重合器1内に供給し、重合器1内で生成したプロピレン重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に重合体抜き出し配管を通して重合器1から連続的に抜き出し、第2重合工程の重合器10に供給し、重合器10内に、第1重合工程からの重合体、プロピレンガスを連続的に供給し、プロピレン重合を行い、反応条件は、攪拌速度20rpm、温度65℃、圧力2.0MPaで行い、また、プロピレン重合体の分子量を調節するための水素ガスを配管7より供給し、さらに、エチレンガスを連続的に供給し、第2重合工程で生成したプロピレン重合体組成物は、重合体の保有レベルが反応容積の60容量%となる様に重合体抜き出し配管を通して重合器10から連続的に抜き出し、抜き出したパウダーは、ガス回収機13でガス類を分離し、パウダー部は回収系に抜き出し、造粒系で造粒し、抜きだした重合体を続いて水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて30分間接触処理し、球形で、BDは450kg/m3、平均粒径は1300μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.02重量%であるポリプロピレン粒子が得られ、最終的に得られたポリプロピレン系ブロック共重合体のMFRは10.5g/10minであり、ポリプロピレン系ブロック共重合体中のプロピレンエチレンランダム共重合体成分の含量は16wt%であり、プロピレンエチレンランダム共重合体成分中のエチレン含量は50wt%であり、プロピレンエチレンランダム共重合体成分のMFRは0.05g/10分である、ポリプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。 ここで、2台の重合器1及び10は、内径D:2100mm、長さL:11000mm、内容積:40m3の攪拌機を備えた連続式横型気相重合器(長さ/直径=5.2)であり、プロピレン重合体組成物の生産レートは7.0T/hr、重合器1内の平均滞留時間は2.2hr、重合器10内の平均滞留時間は1.1hrであり、単位生産量当りに発生する微粉発生量(エントレインメント量)の測定を5回行ったところ、平均で0.010g/kgである。 また、触媒(A)は、以下の製造方法で得られたものである。 撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入し、ここに、室温で、Mg(OEt)2を200g、TiCl4を1L添加し、温度を90℃に上げて、フタル酸ジ-n-ブチルを50ml導入し、その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行い、反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄し、次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整し、室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行い、反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄し、更に、精製したn-ヘプタンを用いて、トルエンをn-ヘプタンで置換し、Ti含量は2.7wt%であり、平均粒径は33μmである固体成分(A1)のスラリーを得、次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分(A1)のスラリーを、固体成分(A1)として100g導入し、精製したn-ヘプタンを導入して、固体成分(A1)の濃度が25g/Lとなる様に調整し、ここに、(A4)ジメチルジビニルシランを30ml、(A2)(i-Pr)2Si(OMe)2を30ml、(A3)Et3Alのn-ヘプタン希釈液をEt3Alとして80g添加し、40℃で2hr反応を行って固体触媒成分(A’)を得、反応生成物を精製したn-ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥し、Tiが2.3wt%含まれ、(i-Pr)2Si(OMe)2が7.8wt%含まれ、平均粒径は33μmである固体触媒成分(A’)を得、上記のスラリーに精製したn-ヘプタンを導入して、触媒(A’)の濃度が20g/Lとなる様に調整し、スラリーを10℃に冷却した後、Et3Alのn-ヘプタン希釈液をEt3Alとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給し、プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続し、次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn-ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って、Tiが1.9wt%含まれ、(i-Pr)2Si(OMe)2が7.2wt%含まれ、予備重合後の平均粒径は62μmであり、触媒(A)1gあたり2.5gのポリプロピレンを含む触媒(A)を得た。」(以下「甲3発明」という。) (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 (ア)甲3発明の「触媒(A)」は、ポリプロピレン系ブロック共重合体を製造するための触媒であるから、本件発明1の「オレフィン重合触媒」に相当し、また、本件発明1の「オレフィン重合触媒の存在下」との特定事項を満たす。 (イ)甲3発明の「撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブ」は、n-ヘプタンの存在下でプロピレンを重合するために用いられているものであるから、本件発明1の「液相重合反応装置」に相当する。 (ウ)甲3発明の「内径D:2100mm、長さL:11000mm、内容積:40m3の攪拌機を備えた連続式横型気相重合器(長さ/直径=5.2)」である「2台の重合器1及び10」は、本件発明1の「気相重合反応装置」に相当し、甲3発明の「重合器1」は最初の気相重合反応装置であることは明らかであるから、本件発明1の「連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)」に相当する。 (エ)甲3発明の「触媒(A)」の「予備重合後の平均粒径」は、触媒(A)は「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)」である「重合器1」に供給されているから、本件発明1の「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi」に相当する。 (オ)甲3発明の「ポリプロピレン系ブロック共重合体の製造方法」は、プロピレン及びエチレンを単量体として用いていることから、本件発明1の「プロピレンを含む単量体を(共)重合し、プロピレン重合体を製造する方法」に相当する。 (カ)甲3発明は、上記(イ)及び(ウ)から、本件発明1の「液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含み、液相重合反応装置と気相重合反応装置の合計数が3以上である」との特定事項を満たし、また、本件発明1の「2以上の気相重合反応装置を含む重合システム、または、液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含み、液相重合反応装置と気相重合反応装置の合計数が3以上である重合システム」との特定事項も満たす。 (キ)甲3発明は、上記(ウ)から、本件発明1の「前記少なくとも1の気相重合反応装置が、連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)を含む」との特定事項を満たす。 そうすると、両者は次の点で一致する。 「オレフィン重合触媒の存在下、2以上の気相重合反応装置を含む重合システム、または、液相重合反応装置と気相重合反応装置とを含み、液相重合反応装置と気相重合反応装置の合計数が3以上である重合システムを用いて、プロピレンを含む単量体を(共)重合し、プロピレン重合体を製造する方法であって、 前記少なくとも1の気相重合反応装置が、連続式であり、最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)を含む、上記製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 ・相違点3-1 本件発明1は、「少なくとも1の前記気相重合反応装置における、当該気相重合反応装置内の平均滞留時間τG[時間]、少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi[μm]、並びに排出パウダーのポリマー中のエチレン由来の構成単位および炭素数4以上12以下のα-オレフィン由来の構成単位の合計量Co[質量分率(g/g)]から、下式(A)により定義される運転性評価指標fが、30以上、1250以下であり、」「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下である」と特定されているのに対し、甲3発明はそのような特定がない点 ・相違点3-2 少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiに関して、本件発明1は「838μm以上」であるのに対し、甲3発明は「62μm」である点 イ 判断 事案に鑑み、相違点3-2について検討する。 甲3には、本件発明1の「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpi」に相当する予備重合後の平均粒径に関して、「予備重合した後の触媒(A)は、ポリマーの殻に覆われているが、以下の重合に用いられる触媒の平均粒径(ポリマーの殻を含めた大きさ)は、好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上であり、また、好ましくは250μm以下、更に好ましくは200μm以下である。」(【0094】)と記載されているにとどまり、予備重合後の平均粒径を、好ましい範囲の上限である「250μm」よりも大きい「838μm以上」を選択する動機付けとなる記載はない。 そうすると、甲3の記載を参酌しても、甲3発明において、「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiが838μm以上」とする動機付けはない。 また、上記1(2)イで検討したとおり、甲3発明に、参3~5に記載された事項を適用する動機付けがあるともいえない。 したがって、相違点3-2に係る発明特定事項は、甲3発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。 そして、本件発明1は、上記1(2)イで検討したとおり、「プロピレン重合体を、塊状物の発生を抑制しながら、高い生産性で製造することができる。」(本件明細書の【0007】)という効果を奏するものである。 ウ 本件発明1についてのまとめ 上記ア及びイのとおりであるから、相違点3-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2について ア 対比 本件発明2と甲3発明とを対比すると、両者は少なくとも上記(2)アの相違点3-1の点及び以下の点で相違する。 ・相違点3-3 少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiに関して、本件発明2は「300μm以上」であるのに対し、甲3発明は「62μm」である点 イ 判断 事案に鑑み、相違点3-3について検討する。 甲3には、上記(2)イのとおり記載されているにとどまり、予備重合後の平均粒径を、好ましい範囲の上限である「250μm」よりも大きい「300μm以上」を選択する動機付けとなる記載はない。 そうすると、甲3の記載を参酌しても、甲3発明において、「少なくとも1の前記気相重合反応装置に供給されるオレフィン重合触媒を含む粒子の平均粒径Dpiが300μm以上」とする動機付けはない。 また、上記1(2)イで検討したとおり、甲3発明に、参3~5に記載された事項を適用する動機付けがあるともいえない。 したがって、相違点3-3に係る発明特定事項は、甲3発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。 そして、本件発明2は、上記(2)イで検討したとおり、「プロピレン重合体を、塊状物の発生を抑制しながら、高い生産性で製造することができる。」(本件明細書の【0007】)という効果を奏するものである。 ウ 申立人の主張について 申立人は、令和7年10月17日提出の意見書において、「本件特許の明細書には、「平均粒径Dpiが300μm以上」を外れた適切な比較例がなく、「平均粒径Dpiが300μm以上」であることによる予測し得ない効果は、何ら実証されていない。」(2頁11~14行)点、「甲3の実施例1~3において、当業者が数値範囲の最適化又は好適化を適宜なした場合、「平均粒径Dpi」がどの程度の値になるかを見積もると、参3~参5の記載から、「平均粒径Dpi」は、500~1150μm程度になると解する」(2頁16~20行)点、及び、「甲3及び本件の出願当時の公知情報の記載に基づいて、平均粒径Dpiを300μm以上とすることは、何ら制限されていない。」(4頁18~19行)点、を根拠として、本件発明2は、甲3に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである旨、主張しており、令和7年9月2日提出の上申書においても、同様の主張をしている。 しかし、上記イ及び(2)イで検討したとおり、甲3には、予備重合後の平均粒径を、好ましい範囲の上限である「250μm」よりも大きい「300μm以上」を選択する動機付けとなる記載はなく、本件明細書に「平均粒径Dpiが300μm以上」を外れた適切な比較例がないことが、上記イの判断に影響するものではない。 また、上記イで検討したとおり、甲3発明に、参3~参5に記載された事項を適用する動機付けがあるとはいえないし、甲3の記載から、「平均粒径Dpiを300μm以上とすることは、何ら制限されていない」としても、好ましい範囲の上限より大きく、甲3には示唆されていない「平均粒径Dpiを300μm以上」の範囲をあえて選択する動機付けがあるともいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 エ 本件発明2についてのまとめ 上記ア~ウのとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明3、4及び6について 本件発明3、4及び6は、請求項1又は2を直接又は間接的に引用して特定するものであり、上記(2)及び(3)で本件発明1及び2について述べたのと同様の理由により、本件発明3、4及び6は、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (5)申立理由3についてのまとめ 以上のとおりであるから、申立理由3はその理由がない。 4 令和7年10月17日提出の意見書及び令和7年9月2日提出の上申書における申立人の主張について 申立人は、令和7年10月17日提出の意見書において、本件発明2~6において、平均粒径Dpiを300μm以上838μm未満である場合は、発明の課題を解決することが、当業者といえども認識することができないから、本件発明2~6は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨、令和7年9月2日提出の上申書においても、同様の主張をしている。 しかし、本件特許の発明が解決しようとする課題(以下「発明の課題」という。)は、「プロピレン重合体を、塊状物の発生を抑制しつつ、高い生産性で安定的に連続製造できる方法を提供すること」(【0005】)であるところ、本件明細書の【0005】、【0010】及び【0047】~【0054】の記載から、「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下」であることにより、発明の課題を解決することが記載されており、同【0067】~【0128】の実施例1~4及び比較例1~3の結果から、「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下」であることにより、発明の課題を解決することを当業者は確認できる。 そうすると、「最初に気相重合が行なわれる気相重合反応装置(i)において、運転性評価指標fが30以上1250以下」との特定事項を備える本件発明2~6は、発明の詳細な説明に記載された発明であり、本件明細書の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、本件発明2~6について、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合する。 そして、申立人は上記主張において、平均粒径Dpiを300μm以上838μm未満である場合に、発明の課題を解決できないことについて、何ら具体的な技術的根拠を提出していないことから、当該主張により、本件発明2~6について、特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合しないとはいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 第6 結語 特許第7453801号の請求項1~6に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700917

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決505件(住友化学株式会社、栗 暢行)
  • 2020-700981異議申立 / 2022-02-16 / 請求成立(取消)長尺位相差フィルムの製造方法
    同じ当事者: 住友化学株式会社、栗 暢行
  • 2024-701215異議申立 / 2026-03-10 / 請求成立(取消)組成物、重合体、硬化物、成形体及びポリメタクリル酸メチルの製造方法
    同じ当事者: 住友化学株式会社
  • 2024-700692異議申立 / 2026-01-30 / 訂正認容炭素繊維含有ポリプロピレン組成物
    同じ当事者: 住友化学株式会社
  • 2025-700453異議申立 / 2026-01-06 / 訂正認容組成物、重合体、硬化物、成形体及びポリメタクリル酸メチルの製造方法
    同じ当事者: 住友化学株式会社
  • 2025-700454異議申立 / 2026-01-06 / 訂正認容組成物、硬化物、および成形体
    同じ当事者: 住友化学株式会社
同じ論点・分野の審決(審決分類)596件(113・C08F、121・C08F、537・C08F)
  • 2025-700567異議申立 / 2026-07-01 / 訂正認容ゴム変性スチレン系樹脂組成物、シート、照明用カバーおよび成形品
    共通の審決分類: 113・C08F、121・C08F、537・C08F
  • 2025-700874異議申立 / 2026-06-18 / 訂正認容アルカリ可溶性樹脂、感光性樹脂組成物、硬化物、及び画像表示装置
    共通の審決分類: 113・C08F、121・C08F、537・C08F
  • 2025-701040異議申立 / 2026-06-16 / 訂正認容組成物、硬化体及び有機EL表示装置
    共通の審決分類: 113・C08F、121・C08F、537・C08F
  • 2025-700797異議申立 / 2026-04-30 / 訂正認容硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物、及び、硬化物
    共通の審決分類: 113・C08F、121・C08F、537・C08F
  • 2024-701215異議申立 / 2026-03-10 / 請求成立(取消)組成物、重合体、硬化物、成形体及びポリメタクリル酸メチルの製造方法
    共通の審決分類: 113・C08F、121・C08F、537・C08F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存