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特許異議申立

2022-701252

偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置

審判番号
2022-701252
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-155557
登録番号
7085942
請求日
2022年12月16日
審決日
2024年05月22日
公報発行日
2024年08月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】グローリー株式会社
  • 【権利者代理人】中辻 史郎
  • 【権利者代理人】諏訪 淳一
  • 【異議申立人】栗 暢行
審判長/審判官
  • 審判長 殿川 雅也
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 門 良成
分類
P1651.113-YAA(B41M) / P1651.121-YAA(B41M) / P1651.536-YAA(B41M) / P1651.537-YAA(B41M) / P1651.851-YAA(B41M) / P1651.853-YAA(B41M) / P1651.857-YAA(B41M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第131条の2、特許法第131条の2第1項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7085942号発明「偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7085942号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-29〕について訂正することを認める。 特許第7085942号の請求項1乃至7、11乃至12、15乃至29に係る特許を維持する。 特許第7085942号の請求項8乃至10、13、14に係る申立ては却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7085942号の請求項1乃至23に係る特許についての出願は、平成30年8月22日に出願され、令和4年6月9日にその特許権の設定登録がされ、同年同月17日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和4年12月16日に特許異議申立人 栗 暢行(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1乃至23に対して特許異議の申立てがされ、令和5年3月31日付けで取消理由が通知され、同年5月29日に特許権者より意見書の提出及び訂正請求書による訂正の請求がされ、同年6月15日に特許権者より手続補正書が2通提出され、同年8月29日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知を特許異議申立人に対して行ったところ、同年9月28日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年11月14日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、令和6年1月18日に特許権者より意見書の提出及び訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、同年2月7日に特許権者より手続補正書が提出され、同年2月21日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知(以下「通知書」という。)を特許異議申立人に対して行ったところ、特許異議申立人から応答はなかった。 なお、令和5年5月29日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取下げられたものとみなす。 第2 本件訂正請求による訂正の適否について 1 令和6年2月7日に提出された手続補正書による訂正請求書の補正の適否について (1)要旨変更の有無について 特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第131条の2第1項は、訂正請求書の補正は、その要旨を変更するものであってはならないものと規定しているが、同項第1号により、請求の理由についてされるときはこの限りでないと規定されているから、訂正請求書の「請求の趣旨」の補正について、要旨の変更が認められていないといえる。 そして、「請求の趣旨」の要旨を変更する補正とは、「請求の趣旨」の記載を変更することによって、補正前後で請求の基礎である「訂正を申し立てている事項」の同一性や範囲を変更することである。 ここで、「請求の趣旨」は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲を引用することにより、請求の内容を記載しているから、訂正特許請求の範囲の記載は、訂正請求における「請求の趣旨」と一体不可分のものであり、そうすると、訂正特許請求の範囲を補正することも、「請求の趣旨の補正」として扱われることとなる。 また、特許法第131条の2の趣旨は、審理対象の拡張変更による審理遅延を防止することにあると解されるところ、訂正事項の同一性に変更があっても、例えば、ある請求項の訂正事項を当該請求項の削除という訂正事項に変更する補正及びそれに整合させるための訂正明細書等についての訂正事項の補正、並びに請求項の削除という訂正事項を追加する補正及びそれに整合させるための訂正明細書等についての訂正事項の補正は、審理遅延を生じさせるものではないから、訂正請求書の請求の趣旨の要旨を変更するものとは取り扱わない。 この点を踏まえて、令和6年2月7日に提出された手続補正書による補正について検討する。 (2)令和6年2月7日に提出された手続補正書による補正の内容 特許権者は、令和6年2月7日に提出された手続補正書において、訂正請求書を以下のとおり補正することを求める。(注:下線部分は訂正箇所を示す。以下、同様。) ア 補正事項1 「6.請求の趣旨」を「特許第70859424号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~29について訂正することを求める。」から「特許第7085942号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~29について訂正することを求める。」へと補正する。(以下「補正事項1」という。) イ 補正事項2 「7.請求の理由 (2)訂正事項 ア 訂正事項1」の記載を「特許請求の範囲の請求項1に「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された第1層と、前記第1層より上側に設けられ、前記第1層を透過する前記非可視光を透過可能かつ前記第1層と異なるデザインを目視可能に形成された第2層とを備える」と記載されていたのを、 「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層と、前記第1層より上側に設けられた、可視光と前記第1層を透過する非可視光とが透過可能な透明材料から成る層であり、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層とを備え、前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~7及び15~22も同様に訂正する)。」から「特許請求の範囲の請求項1に「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された第1層と、前記第1層より上側に設けられ、前記第1層を透過する前記非可視光を透過可能かつ前記第1層と異なるデザインを目視可能に形成された第2層とを備える」と記載されていたのを、 「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層と、前記第1層より上側に設けられた、可視光と前記第1層を透過する前記非可視光とが透過可能な透明材料から成る層であり、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層とを備え、前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~7及び15~22も同様に訂正する)。」へと補正する。(以下「補正事項2」という。) (3)補正の適否 ア 補正事項1について 令和6年1月18日に提出された訂正請求書の「6.請求の趣旨」の「特許第70859424号」との記載が、「特許第7085942号」の誤記であることは明らかであって、補正事項1により、審理対象は何ら変わることにはならない。 してみると、補正事項1は、上記(1)に照らせば、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第131条の2第1項に規定される要旨の変更には該当しない。 イ 補正事項2について 令和6年1月18日に提出された訂正請求書の「前記第1層を透過する非可視光」との記載は、本件特許登録時の「前記第1層を透過する前記非可視光」から「前記」との記載が欠落したものであって、補正事項2により、「前記」との記載を追加することにより、本件特許登録時の特許請求の範囲の記載に戻すものであって、審理対象は何ら変わることにはならない。 してみると、補正事項2は、上記(1)に照らせば、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第131条の2第1項に規定される要旨の変更には該当しない。 (4)したがって、上記手続補正書による補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第131条の2第1項の規定に適合するので、当該補正を認める。 2 訂正請求の趣旨 本件訂正請求は、その請求の趣旨を「特許第7085942号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~29について訂正することを求める。」とするものである。 また、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(特許掲載公報に記載されたものであって、本件訂正請求による訂正前のもの)について言及する際には、以下において、それぞれ、「本件特許明細書」、「本件特許請求の範囲」、「本件特許図面」といい、これらをまとめて「本件特許明細書等」という。 3 本件訂正請求の内容 令和6年2月7日に提出された手続補正書により補正された同年1月18日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された第1層と、前記第1層より上側に設けられ、前記第1層を透過する前記非可視光を透過可能かつ前記第1層と異なるデザインを目視可能に形成された第2層とを備えることを特徴とする偽造防止構造体」と記載されていたのを、「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層と、前記第1層より上側に設けられた、可視光と前記第1層を透過する前記非可視光とが透過可能な透明材料から成る層であり、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層とを備え、前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能であることを特徴とする偽造防止構造体」に訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項2乃至7及び15乃至22も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5に「前記第1層は、非可視光の透過率が異なる複数種類のインクによって形成される」と記載されていたのを、「前記第1層の前記複数の領域は、それぞれ他の領域と非可視光の透過率が異なるインクによって形成された領域である」に訂正する。 請求項5の記載を引用する請求項6、7及び15乃至22も同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (6)訂正事項6 ア 訂正事項6-1 特許請求の範囲の請求項11に「前記ホログラムは前記可視光及び前記非可視光を透過しない金属層を含み、前記金属層に、前記非可視光を透過する加工が施されていることを特徴とする請求項10に記載の偽造防止構造体。」とあるうち、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1を引用するものについての独立形式に改め、「紙葉類の偽造を防止するための偽造防止構造体であって、所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層と、前記第1層より上側に設けられ、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された、可視光及び前記非可視光を透過しない金属層を含むホログラムである第2層とを備え、前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記金属層に、前記非可視光を透過する加工が施されていることにより、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能であることを特徴とする偽造防止構造体。」に訂正する。 請求項11の記載を引用する請求項12、18乃至23も同様に訂正する。 イ 訂正事項6-2 特許請求の範囲の請求項11において、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、「前記第1層は、前記非可視光を透過する領域と、前記非可視光を透過しない領域とを含むことを特徴とする請求項11に記載の偽造防止構造体。」と記載して、新たに請求項24とする。 ウ 訂正事項6-3 特許請求の範囲の請求項11において、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1又は2を引用する請求項3を引用するものについて、「前記第1層は、第1波長の非可視光を透過する領域と、前記第1波長の非可視光は透過せず前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域とを含むことを特徴とする請求項11又は24に記載の偽造防止構造体。」と記載して、新たに請求項25とする。 エ 訂正事項6-4 特許請求の範囲の請求項11において、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1又は2を引用する請求項4を引用するものについて、「前記第1層は、第1波長の非可視光及び前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域と、前記第1波長の非可視光は透過せず前記第2波長の非可視光を透過する領域とを含むことを特徴とする請求項11又は24に記載の偽造防止構造体。」と記載して、新たに請求項26とする。 オ 訂正事項6-5 特許請求の範囲の請求項11において、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~4のいずれか1項を引用する請求項5を引用するものについて、「前記第1層の複数の領域は、それぞれ他の領域と非可視光の透過率が異なるインクによって形成された領域であることを特徴とする請求項11、24~26のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。」と記載して、新たに請求項27とする。 カ 訂正事項6-6 特許請求の範囲の請求項11において、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~5のいずれか1項を引用する請求項6を引用するものについて、「前記第2層の上方から可視光を照射して得られる可視光反射画像は、前記第2層のデザインを含み、前記非可視光を照射して得られる非可視光透過画像は、前記第1層のデザインを含むことを特徴とする請求項11、24~27のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。」と記載して、新たに請求項28とする。 キ 訂正事項6-7 特許請求の範囲の請求項11において、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~6のいずれか1項を引用する請求項7を引用するものについて、「前記第1層に形成されたデザインは、文字、数字、記号、模様の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項11、24~28のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。」と記載して、新たに請求項29とする。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項13を削除する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項14を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項15に「可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層をさらに備える」と記載されていたのを、「前記第1層と前記第2層との間、又は、前記第1層より下側に、可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層をさらに備える」に訂正する. 請求項15の記載を引用する請求項18、19、21及び23も同様に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項18に「請求項1~17のいずれか1項に記載の偽造防止構造体」と記載されていたのを、「請求項1~7、11、12、15~17のいずれか1項に記載の偽造防止構造体」に訂正する。 請求項18の記載を引用する請求項19、21及び23も同様に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項19に「請求項1~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を備えることを特徴とする紙葉類」と記載されていたのを、「請求項1~7、11、12、15~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を備え、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能であることを特徴とする紙葉類」に訂正する。 請求項19の記載を引用する請求項20も同様に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項21に「請求項1~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を有する紙葉類に非可視光を照射する光源」と記載されていたのを、「請求項1~7、11、12、15~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を有し、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能な紙葉類に非可視光を照射する光源」に訂正する。 請求項21の記載を引用する請求項22も同様に訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項23に「請求項1~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を有する紙葉類に非可視光を照射する工程」と記載されていたのを、「請求項1~7、11、12、15~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を有し、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能な紙葉類に非可視光を照射する工程」に訂正する。 (14)訂正事項14 願書に添付した明細書の段落【0075】にある「図5(d)に示す構成は、ホログラムの再生層を第1層、ホログラムの金属層を第2層として、ホログラムとは別にフィルタ層を設けた構成を示している。」との記載を、「図5(d)に示す構成は、ホログラムの再生層を第2層、ホログラムの金属層を第1層として、ホログラムとは別にフィルタ層を設けた構成を示している。」との記載に訂正する。 4 一群の請求項について 訂正前の請求項1乃至23について、請求項2乃至23は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1により記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1乃至23に対応する訂正後の請求項1乃至29は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 5 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び新規事項の有無について (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1の「第1層」について、「可視光を透過しない」と限定し、また、「第2層」について、「可視光と前記第1層を透過する前記非可視光とが透過可能な透明材料から成る層であり、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された」と限定し、さらに、「偽造防止構造体」について、「前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 請求項1を引用する請求項2乃至7、及び15乃至22についても、「第1層」について、「可視光を透過しない」と限定し、また、「第2層」について、「可視光と前記第1層を透過する前記非可視光とが透過可能な透明材料から成る層であり、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された」と限定し、さらに、「偽造防止構造体」について、「前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項1は、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(上記のとおり、以下「本件特許明細書等」という。)には、段落【0032】に「まず、本実施形態に係る偽造防止構造体の概要を説明する。偽造防止構造体は、所定波長の非可視光を照射した際に所定デザインを含む透過画像が得られる非可視光デザイン層(第1層)と、可視光下において、非可視光デザイン層の透過画像とは異なる所定デザインを目視確認可能な可視光デザイン層(第2層)とを含む。」、段落【0033】に「偽造防止構造体に可視光を照射した際には、可視光デザイン層のデザインを含む可視光反射画像が得られる。偽造防止構造体に非可視光を照射した際には、非可視光デザイン層のデザインを含む非可視光透過画像が得られる。可視光反射画像と非可視光透過画像とは異なる画像となる。偽造防止構造体に可視光を照射した際、フィルタ層によって可視光の透過が妨げられる。このため、可視光透過画像は非可視光透過画像と異なる画像となる。すなわち可視光下では非可視光透過画像の画像内容を確認できない。」、段落【0034】に「紙幣の表面に偽造防止構造体を貼り付けた際、可視光デザイン層が非可視光デザイン層よりも上側となる。非可視光デザイン層は、紙幣表面と可視光デザイン層との間に挟まれた状態となる。このため、可視光下において紙幣の表面を見たときに、可視光デザイン層のデザインを目視確認できるが、非可視光デザイン層のデザインを目視確認することはできない。すなわち、可視光デザイン層は、紙幣表面を見る者から非可視光デザイン層のデザインを隠す層として機能する。」、段落【0043】に「図1(b)、(d)に示すように、第1層10は、赤外光の透過率が異なる2種類の領域を含んでいる。1つは、赤外光を透過しない赤外光不透過領域10aである。もう1つは、赤外光を透過する赤外光透過領域10bである。図1では、赤外光不透過領域10aを黒く塗り潰して示し、赤外光透過領域10bを斜線で示している。赤外光不透過領域10a及び赤外光透過領域10bは可視光を透過しない。すなわち、第1層10が、可視光を透過しないフィルタ層として機能する。」と、段落【0044】に「第2層20が透明材料から成る場合でも、図1(d)に示す模様を可視光下で目視確認することは困難である。加えて、図1(c)に示すように、異なる模様を有する第2層20が第1層10を覆い隠しており、第1層10の模様を目視確認できないようになっている。」と、段落【0067】に「例えば、図1に示す偽造防止構造体1の第2層20を、図1(c)に示した模様が上面に印刷された不透明フィルムとした例である。第2層20を不透明フィルムとした場合も、図3に示す3種類の画像が得られる。この構成では、第2層20がフィルタ層として機能するため、第1層10を形成する2種類のインクは可視光を透過するものであってもよい。」と、記載されているから、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (2) 訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項5の「第1層」について、「第1層の前記複数の領域は、それぞれ他の領域と非可視光の透過率が異なるインクによって形成された領域である」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項2は、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2本件特許明細書等には、段落【0043】に「図1(b)、(d)に示すように、第1層10は、赤外光の透過率が異なる2種類の領域を含んでいる。1つは、赤外光を透過しない赤外光不透過領域10aである。もう1つは、赤外光を透過する赤外光透過領域10bである。図1では、赤外光不透過領域10aを黒く塗り潰して示し、赤外光透過領域10bを斜線で示している。赤外光不透過領域10a及び赤外光透過領域10bは可視光を透過しない。すなわち、第1層10が、可視光を透過しないフィルタ層として機能する。第1層10は、全域で可視光を透過せず、かつ、一部の領域で赤外光を透過する層である。図1(d)に示すように、第1層10には、赤外光不透過領域10aと、赤外光透過領域10bとを利用して所定模様のデザインが施されている。このように、赤外光の透過率が異なる複数の領域によって模様を形成することにより、赤外光を照射して得られる透過画像上に、各領域を区別可能なコントラスト差が生ずる。このコントラスト差によって第1層10の模様を確認することができる。」と、段落【0044】に「例えば、赤外光不透過領域10aは、可視光及び赤外光を透過しない赤外反射インク又は赤外吸収インクで形成される。赤外光透過領域10bは、可視光を透過せずかつ赤外光を透過する赤外透過インクで形成される。図1では、赤外光不透過領域10aと赤外光透過領域10bとを区別できるように図示しているが、実際には、例えば、両方の領域が黒いインクで形成されている。このため、たとえ第2層20が透明材料から成る場合でも、図1(d)に示す模様を可視光下で目視確認することは困難である。加えて、図1(c)に示すように、異なる模様を有する第2層20が第1層10を覆い隠しており、第1層10の模様を目視確認できないようになっている。」と、段落【0045】に「図1(b)では、赤外光の透過率が異なる2種類のインクが重ならないように、赤外光不透過領域10aと赤外光透過領域10bとを塗り分ける例を示したが、インクの塗り方がこれに限定されるものではない。図2は、2種類のインクの塗り方の例を示す図である。図2(a)に示すように、赤外光反射インク又は赤外光吸収インクによって赤外光不透過領域10aを形成し、その上に赤外光透過インクを塗り重ねて赤外光透過領域10bを形成する態様であってもよい。図2(b)に示すように、赤外光透過インクによって赤外光透過領域10bを形成し、その上に赤外光反射インク又は赤外光吸収インクによって赤外光不透過領域10aを形成する態様であってもよい。」と、記載されているから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、請求項8を削除するというものである。 そうすると、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項3は、請求項8を削除するというものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項3は、請求項8を削除するというものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、請求項9を削除するというものである。 そうすると、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項4は、請求項9を削除するというものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項4は、請求項9を削除するというものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的について 訂正事項5は、請求項10を削除するというものである。 そうすると、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項5は、請求項10を削除するというものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項5は、請求項10を削除するというものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (6)訂正事項6について (6-1)訂正事項6-1について ア 訂正の目的について 訂正事項6-1は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1を引用するものについての独立形式に改めるものである。 そうすると、訂正事項6-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 請求項11の記載を引用する請求項12、18乃至23についても同様に、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項6-1は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1を引用するものについての独立形式に改めるものあって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項6-1は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項6-1は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1を引用するものについての独立形式に改めるものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (6ー2)訂正事項6-2について ア 訂正の目的について 訂正事項6-2は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、新たに請求項24とするものである。 そうすると、訂正事項6-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとする」ことを目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項6-2は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、新たに請求項24とするものあって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項6-1は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項6-2は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、新たに請求項24とするものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (6-3)訂正事項6-3について ア 訂正の目的について 訂正事項6-3は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1又は2を引用する請求項3を引用するものについて、新たに請求項25とするものである。 そうすると、訂正事項6-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとする」ことを目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項6-3は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1又は2を引用する請求項3を引用するものについて、新たに請求項25とするものあって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項6-3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項6-3は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1又は2を引用する請求項3を引用するものについて、新たに請求項25とするものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (6-4)訂正事項6-4について ア 訂正の目的について 訂正事項6-4は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1又は2を引用する請求項4を引用するものについて、新たに請求項26とするものである。 そうすると、訂正事項6-4は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとする」ことを目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項6-4は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1又は2を引用する請求項4を引用するものについて、新たに請求項26とするものあって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項6-4は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項6-4は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1又は2を引用する請求項4を引用するものについて、新たに請求項26とするものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (6-5)訂正事項6-5について ア 訂正の目的について 訂正事項6-5は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~4のいずれか1項を引用する請求項5を引用するものについて、新たに請求項27とするものである。 そうすると、訂正事項6-5は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとする」ことを目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項6-5は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~4のいずれか1項を引用する請求項5を引用するものについて、新たに請求項27とするものあって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項6-5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項6-5は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~4のいずれか1項を引用する請求項5を引用するものについて、新たに請求項27とするものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (6-6)訂正事項6-6について ア 訂正の目的について 訂正事項6-6は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~5のいずれか1項を引用する請求項6を引用するものについて、新たに請求項28とするものである。 そうすると、訂正事項6-6は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとする」ことを目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項6-6は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~5のいずれか1項を引用する請求項6を引用するものについて、新たに請求項28とするものあって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項6-6は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(ア)のとおり、訂正事項6-6は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~5のいずれか1項を引用する請求項6を引用するものについて、新たに請求項28とするものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (6-7)訂正事項6-7について ア 訂正の目的について 訂正事項6-7は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~6のいずれか1項を引用する請求項7を引用するものについて、新たに請求項29とするものである。 そうすると、訂正事項6-7は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとする」ことを目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項6-7は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~6のいずれか1項を引用する請求項7を引用するものについて、新たに請求項29とするものあって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項6-7は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項6-7は、請求項11が引用する請求項10がさらに引用する、請求項1~7のいずれか1項を引用する請求項8のうち、請求項1~6のいずれか1項を引用する請求項7を引用するものについて、新たに請求項29とするものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (7)訂正事項7について ア 訂正の目的について 訂正事項7は、請求項13を削除するというものである。 そうすると、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項7は、請求項13を削除するというものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項7は、請求項13を削除するというものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (8)訂正事項8について ア 訂正の目的について 訂正事項8は、請求項14を削除するというものである。 そうすると、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項8は、請求項14を削除するというものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項8は、請求項14を削除するというものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (9)訂正事項9について ア 訂正の目的について 訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項15の「フィルタ層」について、「前記第1層と前記第2層との間、又は、前記第1層より下側に、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 請求項15の記載を引用する請求項18、19、21及び23についても、「フィルタ層」について、「前記第1層と前記第2層との間、又は、前記第1層より下側に、」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項9は、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項9について、本件特許明細書等には、段落【0035】に「フィルタ層は、紙幣の表面側から可視光デザイン層のデザインを目視確認することができ、かつ、紙幣の裏面側から非可視光デザイン層のデザインを確認できないように設けられる。例えば、可視光デザイン層と非可視光デザイン層との間、又は、非可視光デザイン層より下側にフィルタ層が設けられる。」と、段落【0075】に「図5(d)に示す構成は、ホログラムの再生層を第1層、ホログラムの金属層を第2層として、ホログラムとは別にフィルタ層を設けた構成を示している。例えば、図7に示すホログラムの金属層223によって、図1(d)に示す赤外光模様を形成して、金属層223より下側に、可視光を透過せず赤外光を透過するフィルタ層を設けることにより、本構成を実現することができる。」と、段落【0079】に「図8に示すように、ホログラム300の下側、すなわち金属層310の下側に、フィルタ層400が設けられている。フィルタ層400は、例えば、可視光を透過せずかつ赤外光を透過する赤外透過インクで形成される。」と、段落【0080】に「このように、第1層及び第2層がホログラム300である場合も、第1層として機能する金属層310の一部に微細孔加工を施して赤外光模様を形成すると共に、ホログラム300の下側にフィルタ層400を設けることで、図3に示す3種類の画像を得ることができる。具体的には、図8に示すように、再生層320及び金属層310から成るホログラム300により、図3と同様の可視光反射画像21が得られる。また、金属層310により図3と同様の赤外光透過画像11が得られ、フィルタ層400により図3と同様の可視光透過画像22が得られる。可視光下で、偽造防止構造体1を表側から見る際には可視光反射画像21と同じ内容が目視確認され、裏側から見る際には可視光透過画像22と同じ内容が目し確認されることになる。」と、記載されているから、当該訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (10)訂正事項10について ア 訂正の目的について 訂正事項10は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、請求項18が引用する請求項を削除するものである。 そうすると、請求項18に係る訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 同様に、請求項18の記載を引用する訂正後の請求項19、21、及び23も、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項が削除されることとなる。 そうすると、請求項19、21、及び23に係る訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項10は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項10は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (11)訂正事項11について ア 訂正の目的について 訂正事項11は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、請求項19が引用する請求項を削除するものである。 また、訂正事項11は、特許請求の範囲の請求項19の「紙葉類」について、「前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能である」と限定するものである。 そうすると、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 請求項19の記載を引用する請求項20についても、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項が削除され、「紙葉類」について、「前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能である」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項11は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項11は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項11は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであり、また、訂正事項11について、本件特許明細書等には、段落【0031】に「以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置について説明する。偽造防止構造体を利用して偽造を防止する紙葉類は、所定波長の非可視光(可視光以外の電磁波)を照射した際に偽造防止構造体の透過画像を得ることができれば、その種類や構造は特に限定されない。例えば、紙幣、小切手、商品券、入場券、保証書、証明書に偽造防止構造体を貼り付けて、偽造を防止することができる。本実施形態では、紙幣を例に、偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置について説明する。」と、段落【0046】に「図3は、偽造防止構造体1に光を照射して得られる画像の種類を示す図である。図3(a)は、紙幣2の表面側から可視光を照射して得られる可視光反射画像21及び可視光透過画像22を示している。図3(b)は、紙幣2の表面側から赤外光を照射して得られる赤外光透過画像11を示している。」と、段落【0048】に「赤外光は第2層20を透過する。第2層20を透過した赤外光は、図3(b)に矢印で示すように、赤外光不透過領域10aを透過できず、赤外光透過領域10bは透過できる。このため、図3(b)に示すように、赤外光透過画像11は、図1(d)に示した第1層10の模様を含む画像となる。赤外光透過画像11は、可視光反射画像21と異なる画像となり、可視光透過画像22とも異なる画像となる。図3(b)では、紙幣2の表面側から赤外光を照射して裏面側で赤外光透過画像11を得る例を示しているが、紙幣2の裏面側から赤外光を照射して表面側で赤外光透過画像11を得る場合も同じ画像となる。」と、記載されているから、当該訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (12)訂正事項12について ア 訂正の目的について 訂正事項12は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、請求項21が引用する請求項を削除するものである。 また、訂正事項12は、特許請求の範囲の請求項21の「紙葉類」について、「前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能な」と限定するものである。 そうすると、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 同様に、請求項21の記載を引用する訂正後の請求項22も、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項が削除され、「紙葉類」について、「前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能な」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項12は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項12は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項12は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであり、また、訂正事項12について、本件特許明細書等には、段落【0031】に「以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置について説明する。偽造防止構造体を利用して偽造を防止する紙葉類は、所定波長の非可視光(可視光以外の電磁波)を照射した際に偽造防止構造体の透過画像を得ることができれば、その種類や構造は特に限定されない。例えば、紙幣、小切手、商品券、入場券、保証書、証明書に偽造防止構造体を貼り付けて、偽造を防止することができる。本実施形態では、紙幣を例に、偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置について説明する。」と、段落【0046】に「図3は、偽造防止構造体1に光を照射して得られる画像の種類を示す図である。図3(a)は、紙幣2の表面側から可視光を照射して得られる可視光反射画像21及び可視光透過画像22を示している。図3(b)は、紙幣2の表面側から赤外光を照射して得られる赤外光透過画像11を示している。」と、段落【0048】に「赤外光は第2層20を透過する。第2層20を透過した赤外光は、図3(b)に矢印で示すように、赤外光不透過領域10aを透過できず、赤外光透過領域10bは透過できる。このため、図3(b)に示すように、赤外光透過画像11は、図1(d)に示した第1層10の模様を含む画像となる。赤外光透過画像11は、可視光反射画像21と異なる画像となり、可視光透過画像22とも異なる画像となる。図3(b)では、紙幣2の表面側から赤外光を照射して裏面側で赤外光透過画像11を得る例を示しているが、紙幣2の裏面側から赤外光を照射して表面側で赤外光透過画像11を得る場合も同じ画像となる。」と、記載されているから、当該訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (13)訂正事項13について ア 訂正の目的について 訂正事項13は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、請求項23が引用する請求項を削除するものである。 また、訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項23の「紙葉類」について、「前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能な」と限定するものである。 そうすると、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項13は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項13は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アのとおり、訂正事項13は、訂正前の請求項8乃至10、13、及び14の削除に伴って、引用する請求項を削除するものであり、また、訂正事項13について、本件特許明細書等には、段落【0031】に「以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置について説明する。偽造防止構造体を利用して偽造を防止する紙葉類は、所定波長の非可視光(可視光以外の電磁波)を照射した際に偽造防止構造体の透過画像を得ることができれば、その種類や構造は特に限定されない。例えば、紙幣、小切手、商品券、入場券、保証書、証明書に偽造防止構造体を貼り付けて、偽造を防止することができる。本実施形態では、紙幣を例に、偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置について説明する。」と、段落【0046】に「図3は、偽造防止構造体1に光を照射して得られる画像の種類を示す図である。図3(a)は、紙幣2の表面側から可視光を照射して得られる可視光反射画像21及び可視光透過画像22を示している。図3(b)は、紙幣2の表面側から赤外光を照射して得られる赤外光透過画像11を示している。」と、段落【0048】に「赤外光は第2層20を透過する。第2層20を透過した赤外光は、図3(b)に矢印で示すように、赤外光不透過領域10aを透過できず、赤外光透過領域10bは透過できる。このため、図3(b)に示すように、赤外光透過画像11は、図1(d)に示した第1層10の模様を含む画像となる。赤外光透過画像11は、可視光反射画像21と異なる画像となり、可視光透過画像22とも異なる画像となる。図3(b)では、紙幣2の表面側から赤外光を照射して裏面側で赤外光透過画像11を得る例を示しているが、紙幣2の裏面側から赤外光を照射して表面側で赤外光透過画像11を得る場合も同じ画像となる。」と、記載されているから、当該訂正事項13は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (14)訂正事項14について ア 訂正の目的について 訂正事項14は、明細書の段落【0075】にある「ホログラムの再生層」について、「第1層」であったものを、「第2層」と訂正し、「ホログラムの金属層」について、「第2層」であったものを、「第1層」と訂正し、技術的に不整合であったものを訂正するものである。 そうすると、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記アのとおり、訂正事項14は、技術的に不整合であったものを訂正するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項14は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項14について、本件特許明細書等には、段落【0075】に「図5(d)に示す構成は、ホログラムの再生層を第1層、ホログラムの金属層を第2層として、ホログラムとは別にフィルタ層を設けた構成を示している。」と、段落【0077】に「再生層320は、可視光及び赤外光を透過する。再生層320には図1(c)に示した可視光模様が記録されている。すなわち、再生層320は、図1(c)に示した可視光模様が可視光下で目視確認可能に形成された第2層として機能する。」と、記載されているから、当該訂正事項14は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 6 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて 本件特許についての特許異議の申立て事件では、訂正前の請求項1乃至23について特許異議の申立ての対象とされているから、本件訂正における訂正前の請求項1乃至23に係る訂正事項1乃至13に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 7 まとめ 以上のとおり、令和6年2月7日に提出された手続補正書により補正された同年1月18日に特許権者が行った本件訂正は、訂正事項1乃至14に関して、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1乃至29について訂正を認める。 第3 訂正後の本件訂正特許発明 上記第2で検討したとおり、訂正前の請求項1乃至23に係る訂正を認めることができるから、請求項1乃至29に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1乃至29に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」乃至「本件訂正特許発明29」といい、総称して「本件訂正特許発明」という。) 「【請求項1】 紙葉類の偽造を防止するための偽造防止構造体であって、 所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層と、 前記第1層より上側に設けられた、可視光と前記第1層を透過する前記非可視光とが透過可能な透明材料から成る層であり、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層と を備え、 前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である ことを特徴とする偽造防止構造体。 【請求項2】 前記第1層は、前記非可視光を透過する領域と、前記非可視光を透過しない領域とを含むことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止構造体。 【請求項3】 前記第1層は、第1波長の非可視光を透過する領域と、前記第1波長の非可視光は透過せず前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の偽造防止構造体。 【請求項4】 前記第1層は、第1波長の非可視光及び前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域と、前記第1波長の非可視光は透過せず前記第2波長の非可視光を透過する領域とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の偽造防止構造体。 【請求項5】 前記第1層の前記複数の領域は、それぞれ他の領域と非可視光の透過率が異なるインクによって形成された領域であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。 【請求項6】 前記第2層の上方から可視光を照射して得られる可視光反射画像は、前記第2層のデザインを含み、 前記非可視光を照射して得られる非可視光透過画像は、前記第1層のデザインを含む ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。 【請求項7】 前記第1層に形成されたデザインは、文字、数字、記号、模様の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。 【請求項8】(削除) 【請求項9】(削除) 【請求項10】(削除) 【請求項11】 紙葉類の偽造を防止するための偽造防止構造体であって、 所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層と、 前記第1層より上側に設けられ、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された、可視光及び前記非可視光を透過しない金属層を含むホログラムである第2層と を備え、 前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記金属層に、前記非可視光を透過する加工が施されていることにより、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である ことを特徴とする偽造防止構造体。 【請求項12】 前記金属層は、前記非可視光を透過する加工が施された領域と、前記加工が施されていない領域とを含むことを特徴とする請求項11に記載の偽造防止構造体。 【請求項13】(削除) 【請求項14】(削除) 【請求項15】 前記第1層と前記第2層との間、又は、前記第1層より下側に、可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層 をさらに備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。 【請求項16】 前記第1層は、ホログラムを形成する金属層であり、 前記第2層は、前記ホログラムを形成する再生層であり、 前記金属層に前記非可視光を透過する加工を施した領域と、前記加工を施していない領域とによって、前記第1層の所定のデザインが形成される ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。 【請求項17】 前記可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層 をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の偽造防止構造体。 【請求項18】 前記非可視光は赤外光であることを特徴とする請求項1~7、11、12、15~17のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。 【請求項19】 請求項1~7、11、12、15~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を備え、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能であることを特徴とする紙葉類。 【請求項20】 前記偽造防止構造体を備える紙幣であることを特徴とする請求項19に記載の紙葉類。 【請求項21】 請求項1~7、11、12、15~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を有し、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能な紙葉類に非可視光を照射する光源と、 前記紙葉類を透過した非可視光のデータを取得する透過用センサと、 前記透過用センサが取得した非可視光透過データと予め準備された基準データとを比較することにより前記紙葉類の真偽を判別する判別部と を備える ことを特徴とする真偽識別装置。 【請求項22】 請求項21に記載の真偽識別装置 を備え、 前記真偽識別装置による識別結果に基づいて紙葉類を処理することを特徴とする紙葉類処理装置。 【請求項23】 紙葉類の真偽を機械識別する真偽識別方法であって、 請求項1~7、11、12、15~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を有し、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能な紙葉類に非可視光を照射する工程と、 前記紙葉類を透過した非可視光のデータを取得する工程と、 取得した非可視光透過データと予め準備された基準データとを比較することにより前記紙葉類の真偽を識別する工程と を含むことを特徴とする真偽識別方法。 【請求項24】 前記第1層は、前記非可視光を透過する領域と、前記非可視光を透過しない領域とを含むことを特徴とする請求項11に記載の偽造防止構造体。 【請求項25】 前記第1層は、第1波長の非可視光を透過する領域と、前記第1波長の非可視光は透過せず前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域とを含むことを特徴とする請求項11又は24に記載の偽造防止構造体。 【請求項26】 前記第1層は、第1波長の非可視光及び前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域と、前記第1波長の非可視光は透過せず前記第2波長の非可視光を透過する領域とを含むことを特徴とする請求項11又は24に記載の偽造防止構造体。 【請求項27】 前記第1層の前記複数の領域は、それぞれ他の領域と非可視光の透過率が異なるインクによって形成された領域であることを特徴とする請求項11、24~26のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。 【請求項28】 前記第2層の上方から可視光を照射して得られる可視光反射画像は、前記第2層のデザインを含み、 前記非可視光を照射して得られる非可視光透過画像は、前記第1層のデザインを含む ことを特徴とする請求項11、24~27のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。 【請求項29】 前記第1層に形成されたデザインは、文字、数字、記号、模様の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項11、24~28のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。」 第4 令和5年11月14日付けの取消理由通知(決定の予告)の概要 1 取消理由1(サポート要件) 令和5年5月29日に提出された訂正請求書による訂正請求により訂正された本件特許請求の範囲の請求項1乃至7、11、12、15乃至29に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第4号に該当するから、取り消されるべきものである。 2 取消理由2(明確性要件) 令和5年5月29日に提出された訂正請求書による訂正請求により訂正された本件特許請求の範囲の請求項1乃至7、11、12、15乃至29に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法第113条第4号に該当するから、取り消されるべきものである。 記 1 取消理由1(サポート要件) (1)発明の詳細な説明の記載 訂正特許明細書の発明の詳細な説明には、以下のとおり記載されている。 ア 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、従来の偽造防止構造体の中には装置による機械識別に適さないものがあった。例えば、人間がホログラムを目視確認する際にはホログラムを傾けてデザインの変化を容易に確認できるが、これを装置内で実現するには複雑な機構が必要となる。 【0005】 本発明は、上記従来技術による課題に鑑みてなされたものであって、機械識別に適した構造を有する偽造防止構造体、該偽造防止構造体を設けた紙葉類、該紙葉類の真偽を識別する真偽識別装置及び真偽識別方法、該真偽識別装置を備える紙葉類処理装置を提供することを目的とする。」 イ 「【0031】 以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置について説明する。偽造防止構造体を利用して偽造を防止する紙葉類は、所定波長の非可視光(可視光以外の電磁波)を照射した際に偽造防止構造体の透過画像を得ることができれば、その種類や構造は特に限定されない。例えば、紙幣、小切手、商品券、入場券、保証書、証明書に偽造防止構造体を貼り付けて、偽造を防止することができる。本実施形態では、紙幣を例に、偽造防止構造体、紙葉類、真偽識別装置、真偽識別方法及び紙葉類処理装置について説明する。 【0032】 まず、本実施形態に係る偽造防止構造体の概要を説明する。偽造防止構造体は、所定波長の非可視光を照射した際に所定デザインを含む透過画像が得られる非可視光デザイン層(第1層)と、可視光下において、非可視光デザイン層の透過画像とは異なる所定デザインを目視確認可能な可視光デザイン層(第2層)とを含む。また、偽造防止構造体は、偽造防止構造体の表面と裏面との間で可視光の透過を妨げると共に、非可視光デザイン層を透過する非可視光の透過を許容するフィルタ層を含んでいる。フィルタ層については、可視光デザイン層及び非可視光層から独立して設けられる態様であってもよいし、可視光デザイン層と非可視光デザイン層の少なくともいずれか一方がフィルタ層を兼ねる構成であってもよい。 【0033】 偽造防止構造体に可視光を照射した際には、可視光デザイン層のデザインを含む可視光反射画像が得られる。偽造防止構造体に非可視光を照射した際には、非可視光デザイン層のデザインを含む非可視光透過画像が得られる。可視光反射画像と非可視光透過画像とは異なる画像となる。偽造防止構造体に可視光を照射した際、フィルタ層によって可視光の透過が妨げられる。このため、可視光透過画像は非可視光透過画像と異なる画像となる。すなわち可視光下では非可視光透過画像の画像内容を確認できない。」 ウ 「【0090】 本実施形態では、説明を簡単にするため、光が各層を透過する又は透過しないと記載したが、これは光の透過率を100%又は0%に限定するものではない。光を透過する領域とは、光を透過しないとした領域に比べて光の透過率が高い領域を言うもので、光を透過しないとした領域の透過率が0%でなくてもよいし、光を透過するとした領域の透過率が100%でなくてもよい。例えば、光の透過率が異なる2種類の領域のうち、透過率が高い領域を光を透過する領域とし、透過率が低い領域を光を透過しない領域とするものである。具体的には、図3及び図6~9に示したように複数種類の画像を得ることができれば、透過率の値は特に限定されない。図1~3の例では、赤外光不透過領域10aと赤外光透過領域10bとで赤外光の透過率が異なり、図3に示した赤外光透過画像11で図1(d)に示した模様を確認することができれば、赤外光不透過領域10aの透過率が0%でなくてもよいし、赤外光透過領域10bの透過率が100%でなくてもよい。言い換えれば、赤外光透過画像11上で赤外光不透過領域10aと赤外光透過領域10bとがコントラスト差を示す程度に、これら2種類の領域の赤外光透過率が異なっていればよい。図6~9の赤外光不透過領域と赤外光透過領域についても同様である。」 (2)本件特許発明が解決しようとする課題 上記(1)より、本件特許発明が解決しようとする課題は、“機械識別に適した構造を有する偽造防止構造体”を提供することであると認める。 (3)請求項1について ア 特許請求の範囲の請求項1において、「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、第1層」との特定事項により、非可視光により第1層のデザインを非可視光により識別可能とするとともに、「可視光を透過しない第1層」との特定事項により、第1層のデザインを可視光により識別不可能とすることで上記(2)の課題を解決しようとしている。 イ しかし、「透過しない」とは、一般には、透過率が0%と解するところ、上記(1)イの記載からすると、本件特許明細書においては、必ずしも0%か100%に限定されるものではないと定義付けられている。 ウ そうすると、「第2層」の「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」において、可視光が100%透過しないものではないとすると、前記「複数の領域」において、可視光の透過率も異なり得ることとなり、結果として、可視光で、前記「複数の領域」が識別できることとなってしまう。 エ してみると、特許請求の範囲の請求項1に係る発明の「偽造防止構造体」は可視光でも識別可能なものとなってしまい、偽造防止の機能が損なわれたものとなり、上記課題を解決できない、すなわち、課題解決手段が反映されているものとは認められないものとなる。 オ したがって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、課題解決手段が反映されているとはいえないから、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。 カ 請求項1を引用する請求項2乃至29も同様の理由がある。 (4)請求項15について ア 特許請求の範囲の請求項15には、「可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層」と記載されているところ、当該「フィルタ層」が設けられる位置が特定されていない。 イ そうすると、第2層の上から第2層を覆うように設けたフィルタ層も包含される。 ウ しかし、可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層を、第2層の上から第2層を覆うように設けると、第2層に形成したデザインを目視することができない。 エ そうすると、目視可能なようにデザインを設けたにもかかわらず、当該デザインが目視できない偽造防止構造体は、発明の詳細な説明に記載されていない。 オ 請求項15を引用する請求項18乃至23も同様の理由がある。 (5)請求項19について ア 特許請求の範囲の請求項19の「前記非可視光の透過画像を取得可能であって」が、「偽造防止構造体」を修飾するのか、「紙葉類」を修飾するのかが定かでない。 イ 上記(1)イのとおり、本件訂正特許明細書の発明の詳細な説明には、非可視光の透過画像を取得可能な偽造防止構造体は記載されているものの、非可視光の透過画像を取得可能な紙葉類は記載も示唆もされていない。 ウ そうすると、非可視光の透過画像を取得可能な紙葉類を包含する訂正特許発明19は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 エ 請求項19を引用する請求項20も同様の理由がある。 (6)したがって、請求項1乃至29は発明の詳細な説明に記載したものではない。 2 取消理由2(明確性要件) (1)請求項1について ア 特許請求の範囲の請求項1には、「可視光と前記第1層を透過する前記非可視光とを透過可能な材料に、前記第1層と異なるデザインが目視可能に印刷された第2層」と記載されている。 イ 前記アの記載は、文理解釈からすると、「材料」に「デザイン」が「印刷された」「第2層」と解される。 ウ ここで、「材料」とは、「加工して製品にする、もとの物。原料。」との意味であるから、請求項1における材料とは、加工されて第2層となるもとの原料のことを指す。 エ そうすると、当該材料にデザインを印刷することは、技術的に理解できない。 オ よって、特許請求の範囲の請求項1の記載は、技術的に理解できない記載であるから、不明確といわざるを得ない。 カ 請求項1を引用する請求項2乃至29も同様の理由がある。 (2)請求項5について ア 特許請求の範囲の請求項1には「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層」と記載されているところ、当該請求項1を引用する請求項5には、「第1層は、非可視光の透過率が異なる複数種類のインクによって形成される」と記載されている。 イ 請求項1の「複数の領域」も請求項5の「複数種類のインク」も非可視光の透過率が異なるものである点で共通するものの、「領域」と「インク」との関係は何ら特定されていない。 ウ また、請求項1の「複数の領域」の「複数」と、請求項5の「複数種類のインク」の「複数」とが、同数の複数なのか否かも不明である。 エ 上記のとおり、請求項5は請求項1を引用するものであるところ、非可視光の透過率が異なるとの観点で軌を一にするのだから、「複数の領域」と「複数種類のインク」との関係が不明な請求項5の記載は不明確といわざるを得ない。 オ 請求項5を引用する請求項6、7及び15~23も同様の理由がある。 (3)請求項15について ア 特許請求の範囲の請求項15には、「可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層」と記載されているところ、当該「フィルタ層」が設けられる位置が特定されていない。 イ そうすると、第2層の上から第2層を覆うように設けたフィルタ層も包含される。 ウ しかし、可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層を、第2層の上から第2層を覆うように設けると、第2層に形成したデザインを目視することができない。 エ そうすると、目視可能なようにデザインを設けたにもかかわらず、当該デザインが目視できない偽造防止構造体とは、技術的に矛盾したものであるから、不明確といわざるを得ない。 オ 請求項15を引用する請求項18乃至23も同様の理由がある。 (4)請求項19について ア 特許請求の範囲の請求項19には「前記非可視光の透過画像を取得可能であって」と記載されているが、請求項19が引用する請求項1には、「透過画像」との記載はないものの「非可視光の」と記載されているから、請求項1の第1層により形成されるものと想定できる。 イ しかし、請求項1には、「所定のデザイン」との記載もあり、「画像」と「デザイン」とで、何らかの関係があると推認できるが、定かでない。 ウ そうすると、請求項19が請求項1を引用するものであることからすると、「透過画像」と「デザイン」との関係を含め、明確でない。 エ 請求項19を引用する請求項20も同様の理由がある。 (5)したがって、請求項1乃至29に係る発明は、明確でない。 第5 取消理由についての当審の判断 1 取消理由1(サポート要件)について (1)請求項1について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項1は、「前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である」と、訂正された。 イ すなわち、本件訂正特許発明1の「偽造防止構造体」は、可視光下で見たときに第1層のデザインを目視できず、非可視光を照射したときに第1層のデザインの透過画像を取得可能となった。 ウ そうすると、特許請求の範囲の請求項1に係る発明の「偽造防止構造体」は、可視光下では、目視できない第1層のデザインが、非可視光下では取得可能となることにより、偽造防止の機能が働き、本件特許発明の上記課題を解決できるものと認識できることとなった。 エ すなわち、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、課題解決手段が反映されているといえる。 オ 請求項1を引用する請求項2乃至29に係る発明も同様の理由で、課題解決手段が反映されているといえる。 (2)請求項15について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項15は、「前記第1層と前記第2層との間、又は、前記第1層より下側に、可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層」と、訂正された。 イ すなわち、本件訂正特許発明15の「偽造防止構造体」の「可視光を透過せずかつ非可視光を透過するフィルタ層」は、第1層と第2層との間、又は、第1層より下側に設けられることが特定され、第2層の上から第2層を覆うように設けたフィルタ層が排除された。 ウ そして、発明の詳細な説明には、第1層と第2層との間、又は、第1層より下側に設けられた「可視光を透過せずかつ非可視光を透過するフィルタ層」が記載されているから、請求項15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されているといえる。 エ 請求項15を引用する請求項18乃至23も同様の理由で、発明の詳細な説明に記載されているといえる。 (3)請求項19について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項19は、「前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能である」と、訂正された。 イ すなわち、本件訂正特許発明19の「偽造防止構造体」が「前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能である」ことが特定されることとなった。 ウ そして、発明の詳細な説明には、非可視光を照射したときに第1層のデザインの透過画像を取得可能である「偽造防止構造体」が記載されているから、請求項19に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されているといえる。 エ 請求項19を引用する請求項20も同様の理由で、発明の詳細な説明に記載されているといえる。 (4)小括 したがって、取消理由1によって、本件訂正特許発明1乃至29を取り消すことができない。 2 取消理由2(明確性要件) (1)請求項1について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項1は、「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層」及び「前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層」と訂正された。 イ すなわち、本件訂正特許発明1の「デザイン」は、「第1層」及び「第2層」に形成されていることが特定された。 ウ そうすると、令和5年5月29日に提出された訂正請求書による訂正請求により訂正された本件特許請求の範囲の請求項1の「可視光と前記第1層を透過する前記非可視光とを透過可能な材料に、前記第1層と異なるデザインが目視可能に印刷された第2層」との記載により、「材料」に「デザイン」が「印刷された」という技術的に理解できない記載が、本件訂正により、解消された。 エ よって、特許請求の範囲の請求項1の記載は、明確であるといえる。 オ 請求項1を引用する請求項2乃至29も同様の理由で、明確であるといえる。 (2)請求項5について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項5は、「前記第1層の前記複数の領域は、それぞれ他の領域と非可視光の透過率が異なるインクによって形成された領域であること」と訂正された。 イ すなわち、「第1層の複数の領域」は、それぞれ他の領域と「非可視光の透過率が異なるインク」によって形成された「領域」あることが特定されたことにより、「複数の領域」と「インク」との関係が特定されるとともに、「インク」の種類の数を特定しないことにより、「複数の領域」と「インク」との数の対応関係は不問となった。 ウ よって、「複数の領域」と「インク」との関係は、明確といえるから、特許請求の範囲の請求項5の記載は、明確であるといえる。 エ 請求項5を引用する請求項6、7及び15~23も同様の理由で、明確であるといえる。 (3)請求項15について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項15は、「前記第1層と前記第2層との間、又は、前記第1層より下側に、可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層」と訂正された。 イ すなわち、本件訂正特許発明15の「偽造防止構造体」の「可視光を透過せずかつ非可視光を透過するフィルタ層」は、第1層と第2層との間、又は、第1層より下側に設けられることが特定され、第2層の上から第2層を覆うように設けたフィルタ層が排除された。 ウ そうすると、デザインが目視できない偽造防止構造体という技術的に矛盾したものは排除されたのであるから、特許請求の範囲の請求項15の記載は、明確であるといえる。 エ 請求項15を引用する請求項18乃至23も同様の理由で、明確であるといえる。 (4)請求項19について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項1は、「第1層のデザインの透過画像」と訂正された。 イ すなわち、請求項19が引用する請求項1においても、請求項19と同様に、「透過画像」が第1層に形成されている点で、矛盾がない。 ウ してみると、特許請求の範囲の請求項1及び19は、いずれも、「透過画像」が第1層のデザインである点で一致するから、特許請求の範囲の請求項1及び19は、明確であるといえる。 エ 請求項19を引用する請求項20も同様の理由で、明確であるといえる。 (5)小括 したがって、取消理由2によって、本件訂正特許発明1乃至29を取り消すことができない。 3 取消理由についてのまとめ 上記1のとおり、本件訂正特許発明1乃至29は、いずれも、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものといえることから,本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至29の記載は,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないとはいえないから、上記取消理由1により、本件特許請求の範囲の請求項1乃至29に係る特許を取り消すことはできない。 上記2のとおり、本件訂正特許発明1乃至29は、いずれも、明確であるといえることから,本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1乃至29の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさないとはいえないから、上記取消理由2により、本件特許請求の範囲の請求項1乃至29に係る特許を取り消すことはできない。 第6 令和5年11月14日付けの取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由の概要 1 申立理由1(新規性) 請求項1乃至7、13乃至15、18乃至20に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証乃至甲第4号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1乃至7、13乃至15、18乃至20に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 2 申立理由2(進歩性) 請求項1乃至23に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証乃至甲第7号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1乃至23に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 下記のとおり、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された発明のそれぞれを主引用発明とした理由を、それぞれ、「申立理由2-1」乃至「申立理由2-4」という。 3 申立理由3(サポート要件) 本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 4 申立理由4(明確性) 本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 5 申立理由5(実施可能要件) 本件特許は、明細書の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 記 2 申立理由2(進歩性) (1)申立理由2-1 ・請求項 1乃至15、18乃至23 (2)申立理由2-2 ・請求項 1、2、6、7、15乃至23 (3)申立理由2-3 ・請求項 1乃至7、13乃至15、18乃至23 (4)申立理由2-4 ・請求項 1乃至7、13乃至15、18乃至23 3 申立理由3(サポート要件) (1)請求項9、15及び18乃至23について(以下「申立理由3-1」という。) 請求項9は、請求項1を引用する請求項8を引用して記載する。そして、請求項9には、「前記第2層は、前記可視光を透過する材料に所定デザインを印刷された層である」という構成要件が記載されている。 この「所定デザイン」という用語は、間接的に引用する請求項1に記載された、第1層によって形成される「所定デザイン」に用いられているため、請求項9に係る発明は、第1層によって形成される「所定デザイン」が、第2層の上にも印刷された偽造防止構造体と解される。しかし、そのような偽造防止構造体は、発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決することができない。 したがって、請求項9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。 請求項9を直接的又は間接的に引用する請求項15及び18乃至23に係る発明も、同様に発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。 (2)請求項1乃至20について(以下「申立理由3-2」という。) 本件の発明の詳細な説明の記載に基づけば、本件発明の課題は、「機械識別に適した構造を有する偽造防止構造体、該偽造防止構造体を備えた紙葉類、該紙葉類の真偽を識別する真偽識別装置及び真偽識別方法、該真偽識別装置を備える紙葉類処理装置を提供すること」である。 そして、請求項1に係る発明の偽造防止構造体は真偽識別方法を特定していないため、偽造防止構造体で反射された非可視光のデータに基づいて真偽を識別する方法及び装置にも利用されるものである。 しかしながら、請求項1に記載された第1層の「複数の領域」は基本的には非可視光を透過するものであり、第2層も非可視光を透過するものであるため、偽造防止構造体で反射された非可視光のデータに基づく真偽の識別に用いることができない。 したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。 請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2乃至20に係る発明も同様に発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。 4 申立理由4(明確性) (1)「デザイン」の不明確性について(以下「申立理由4-1」という。) 本件の発明の詳細な説明には「本実施形態で言うデザインは、文字、数字、記号、模様の少なくともいずれか一つを含んで構成されるもので内容は特に限定されない。」(段落番号0038)と記載されている。しかし、「内容は特に限定されない。」と記載していることからみて、「デザイン」には「文字、数字、記号、模様の少なくともいずれか一つを含んで構成されるもの」であれば何ら限定されない。 ところで「デザイン」という用語は、「下絵。素描。図案。」(広辞苑第六版)や「形状」(意匠法2条)などの多様な意味を持ち、使用する者や場面によって「デザイン」の意味するところが変わり得る。そのため、本件発明における「デザイン」の範囲を明確に特定することができない。 請求項7には「前記第1層に形成されたデザインは、文字、数字、記号、模様の少なくともいずれか1つを含む」ことが記載されているものの、内容が限定されないことは上記で述べたとおりであり、かつ第2層に形成されたデザインについては依然として何ら特定されていないから、請求項7に係る発明及び請求項7を直接的又は間接的に引用して記載する他の請求項に係る発明も同様に不明確である。 したがって、請求項1に係る発明は明確でない。 請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~23に係る発明も、同様に明確でない。 (2)「所定デザイン」の不明確性について(以下「申立理由4-2」という。) 請求項9は、請求項1を引用する請求項8を引用して記載する。そして、請求項9には、「前記第2層は、前記可視光を透過する材料に所定デザインを印刷された層である」という構成要件が記載されている。 この「所定デザイン」という用語は、間接的に引用する請求項1に記載された、第1層によって形成される「所定デザイン」に用いられているため、請求項9に係る発明は、第1層によって形成される「所定デザイン」が、第2層の上にも印刷された偽造防止構造体と解される。しかし、当該記載は、請求項9に係る発明の第2層が「第1層と異なるデザインを目視可能に形成」することに矛盾する。 したがって、請求項9に係る発明は明確でない。 請求項9を直接的又は間接的に引用する請求項15及び18乃至23に係る発明も、同様に明確でない。 (3)非可視光の透過性に関する不明確性について(以下「申立理由4-3」という。) 本件明細書の段落番号0090には「透過する」「透過しない」について次のように記載されている。 「【0090】 本実施形態では、説明を簡単にするため、光が各層を透過する又は透過しないと記載したが、これは光の透過率を100%又は0%に限定するものではない。光を透過する領域とは、光を透過しないとした領域に比べて光の透過率が高い領域を言うもので、光を透過しないとした領域の透過率が0%でなくてもよいし、光を透過するとした領域の透過率が100%でなくてもよい。例えば、光の透過率が異なる2種類の領域のうち、透過率が高い領域を光を透過する領域とし、透過率が低い領域を光を透過しない領域とするものである。具体的には、図3及び図6~9に示したように複数種類の画像を得ることができれば、透過率の値は特に限定されない。図1~3の例では、赤外光不透過領域10aと赤外光透過領域10bとで赤外光の透過率が異なり、図3に示した赤外光透過画像11で図1(d)に示した模様を確認することができれば、赤外光不透過領域10aの透過率が0%でなくてもよいし、赤外光透過領域10bの透過率が100%でなくてもよい。言い換えれば、赤外光透過画像11上で赤外光不透過領域10aと赤外光透過領域10bとがコントラスト差を示す程度に、これら2種類の領域の赤外光透過率が異なっていればよい。図6~9の赤外光不透過領域と赤外光透過領域についても同様である。」 上記記載を参酌すると、非可視光の透過性に関する次の点において、請求項に係る発明は不明確である。 (3-1)請求項1について(以下「申立理由4-3-1」という。) 請求項1には「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された第1層」と記載されている。 しかしながら、「所定波長」がいかなる波長であるのかは明確ではなく、「所定波長を有する非可視光の透過率」が0%の領域も含まれるのかも不明である。仮に透過率0%の領域も含むとなると、「所定波長を有する非可視光」を透過する領域が一つしかない場合があり、「所定のデザイン」が把握できない場合がある。 (3-2)請求項2について(以下「申立理由4-3-2」という。) 請求項2には「前記非可視光を透過する領域」及び「前記非可視光を透過しない領域」と記載されているが、引用して記載する請求項1における「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」に該当するのか、あるいは別の領域として記載されているのか、不明確である。 (3-3)請求項3について(以下「申立理由4-3-3」という。) 請求項3には「第1波長の非可視光を透過する領域」及び「前記第1波長の非可視光は透過せず前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域」と記載されているが、引用して記載する請求項1における「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」に該当するのか、あるいは別の領域として記載されているのか、不明確である。 また、「前記第1層」として記載する「第1波長の非可視光を透過する領域」及び「前記第1波長の非可視光は透過せず前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域」は、引用して記載する請求項2における「前記非可視光を透過する領域」及び「前記非可視光を透過しない領域」のいずれに該当するのか、あるいは別の領域として記載されているのか、不明確である。本件明細書の段落番号0090の記載を参酌しても、透過する」及び「透過しない」による領域の区別を、異なる波長の非可視光の透過率の大小関係で決めてよいともいえないため、「前記第1波長の非可視光は透過せず前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域」は、請求項2における「前記非可視光を透過しない領域」及び「前記非可視光を透過する領域」のいずれにも該当する可能性がある。 このように請求項3に係る発明は多義的であり、発明を特定することができないため、不明確といわざるをえない。 (3-4)請求項4について(以下「申立理由4-3-4」という。) 「前記第1層」として記載する「第1波長の非可視光及び前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域」及び「前記第1波長の非可視光は透過せず前記第2波長の非可視光を透過する領域」は、引用して記載する請求項1における「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」に該当するのか、あるいは別の領域として記載されているのか、不明確である。 「前記第1層」として記載する「第1波長の非可視光及び前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域」及び「前記第1波長の非可視光は透過せず前記第2波長の非可視光を透過する領域」は、引用して記載する請求項2における「前記非可視光を透過する領域」及び「前記非可視光を透過しない領域」のいずれに該当するのか、あるいは別の領域として記載されているのか、不明確である。 (3-5)請求項8について(以下「申立理由4-3-5」という。) 請求項8には「前記第1層は、可視光を透過しない」と記載されている。しかし、透過率がどの程度であるか不明であるし、基準となる透過率より低いという記載もない。引用して記載する請求項1の記載をみても、可視光の透過性については何ら記載されていない。 結局のところ、「透過しない」としても「透過率0%でなくともよい」し、「透過する」としても「透過率が100%でなくともよい」のであるから、請求項8に記載された「前記第1層は、可視光を透過しない」という発明特定事項の技術的意味を当業者が理解することはできず、出願時の技術常識を考慮すると発明特定事項が不足していることは明らかである。 よって、請求項8の記載から発明を明確に把握することができない。 (3-6)請求項11について(以下「申立理由4-3-6」という。) 請求項11には「前記ホログラムは前記可視光及び前記非可視光を透過しない金属層を含み、前記金属層に、前記非可視光を透過する加工が施されている」と記載されている。 しかしながら、同じ「金属層」に対して、「非可視光を透過しない」及び「非可視光を透過する」という矛盾した記載があり、不明確である。 また、「透過しない」としても「透過率0%でなくともよい」し、「透過する」としても「透過率が100%でなくともよい」のであるから、請求項11に記載された「透過する」及び「透過しない」という発明特定事項の技術的意味を当業者が理解することはできないし、出願時の技術常識を考慮すると発明特定事項が不足していることは明らかである。 なお、「前記可視光及び前記非可視光を透過しない金属層」は、可視光および非可視光の透過率が0%でない金属層を含むが、それがどのような金属であるのか、あるいはどのような加工を施せば実現できるのかについて発明の詳細な説明に記載されておらず、実施可能要件違反も疑われる。 (3-7)請求項12について(以下「申立理由4-3-7」という。) 請求項12には「前記金属層は、前記非可視光を透過する加工が施された領域と、前記加工が施されていない領域とを含む」と記載されているが、「透過しない」としても「透過率0%でなくともよい」し、「透過する」としても「透過率が100%でなくともよい」のであるから、請求項12に記載された「透過する」という発明特定事項の技術的意味を当業者が理解することはできず、出願時の技術常識を考慮すると発明特定事項が不足していることが明らかである。 さらに、「前記非可視光を透過する加工が施された領域」を含む金属層は、非可視光の透過率が0%でない金属層を含むが、それがどのようなものであるのかも不明であり、実施可能要件違反も疑われる。 (3-8)請求項13について(以下「申立理由4-3-8」という。) 請求項13には「前記第2層は、可視光を透過しない」と記載されているが、透過率がどの程度であるか不明であるし、基準となる透過率より低いというものでもない。たとえば、引用して記載する請求項1には、可視光の透過性について何ら記載されていない。結局のところ、「透過しない」としても「透過率0%でなくともよい」し、「透過する」としても「透過率が100%でなくともよい」のであるから、請求項13に記載された「前記第2層は、可視光を透過しない」という発明特定事項の技術的意味を当業者が理解することができず、出願時の技術常識を考慮すると発明特定事項が不足していることは明らかである。 よって、請求項13の記載から発明を明確に把握することができない。 (3-9)請求項14について(以下「申立理由4-3-9」という。) 請求項14には「前記可視光を透過しない材料」と記載されているが、請求項14の記載から発明を明確に把握することができない。 (3-10)請求項15について(以下「申立理由4-3-10」という。) 請求項15には「可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層をさらに備える」と記載されているが、「可視光」と「非可視光」という異なる波長で透過率を比較してよいものでもないし、可視光及び非可視光には様々な波長がある。 そうすると、「フィルタ層」の透過性を評価するうえで、具体的にどのような波長を基準とするのかを特定することができず、請求項15に係る発明は不明確である。 (3-11)請求項16について(以下「申立理由4-3-11」という。) 「前記金属層に前記非可視光と透過する加工を施した領域と、前記加工を施していない領域とによって、前記第1層の所定のデザインが形成される」と記載されており、請求項16に係る発明は不明確である。 (3-12)請求項17について(以下「申立理由4-3-12」という。) 「前記可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層をさらに備える」と記載されており、請求項17に係る発明は不明確である。 5 申立理由5(実施可能要件) 本件の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 「【0070】 図6に示すように、第2層220のホログラムは、記録された像を再生する再生層221と、再生層221に進入した可視光を反射するための金属層222とを含む。再生層221は、可視光及び赤外光を透過する。金属層222は可視光及び赤外光を透過しない金属材料で形成されているが、金属層222に、上下方向に貫通した微細孔を多数形成することで赤外光を透過するようになっている。図6に示すように、第2層220がホログラムである場合も、第2層220の全域に、赤外光を透過する微細孔加工を施すことで、図3に示す3種類の画像を得ることができる。」 上記記載に基づけば、ホログラムを構成する金属層は、可視光及び赤外光を透過しないが、上下方向に貫通した微細孔を多数形成することによって赤外光を透過させるものであり、ホログラムを構成する金属層に対して上下方向に貫通した微細孔を多数形成しても、可視光は透過しないと解し得る可能性がある。 これに対して、本件の発明の詳細な説明(【0075】、【0079】及び【0080】)には、ホログラムを構成する金属層の下側に、可視光を透過せず赤外光を透過するフィルタ層を設けることが記載されている。当該記載は、上下方向に貫通した微細孔を多数形成する金属層が可視光を透過することを前提にしたものと解される。 そうすると、本件の発明の詳細な説明には、ホログラムを構成する金属層であって、上下方向に貫通した微細孔を多数形成した金属層は、可視光を透過しないという記載と、可視光を透過するという記載とが混在しており、いずれの記載が正しいのかを判別できない。そして、上下方向に貫通した微細孔を多数形成した金属層における可視光の透過性は、当業者にとって自明であるという根拠も見当たらない。 したがって、本件の発明の詳細な説明は、第1層又は第2層にホログラムを利用した請求項10乃至12及び16乃至23に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 第7 令和5年11月14日付けの取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断 1 各甲号証 (1)甲第1号証 本件特許の出願日前の昭和58年8月11日に頒布された特開昭58-134782号公報(甲第1号証)には、以下の記載がある。 (ア)「2) 近赤外線の反射能を有する基材に、近赤外線の透過率又は反射率の異なる少くとも2種類以上の同色調のインキ層を並設又は積層し、次に近赤外線を透過するオーバーコート層で被覆して隠蔽し、さらに該オーバーコート層の表面に近赤外線を透過する印刷層を形成してなることを特徴とする照合用印刷物。 3. 発明の詳細な説明 本発明は照合用印刷物に関するものである。 従来、紙幣、有価証券、馬券等は偽造防止のために特定の記号や図形の透形を入れた印刷物が用いられているが、その加工方法としてエンボス技術等が行われている。しかし、このような透形は誰でも簡単に透かして見ることにより紙幣や有価証券等の真偽を判別することの出来る利点があるが、反対に容易に偽造され易く、さらに特定の目的のためには不利になる欠点がある。」(1ページ左欄9行~右欄6行) (イ)「本発明はこれ等の従来技術の問題点を克服するために鋭意研究の結果完成に至ったものであり、特定の顔料を配合したインキと同色調の従来のインキを選定して印刷をすることにより、該特定のインキにより印刷された隠し柄をいかなるフイルターを使用しても、或いは光を照射しても肉眼では識別が不可能であり、700~1,000nmの波長域の近赤外線に比較的強い感度を有するカメラで撮影しCRTにラフし出すか、或いは赤外線ビユアー等で見ることによつてのみ識別することが出来、自動照合が可能な悪用される事のない安全性の高い、如何なる色調でも使用できる実用性の高い照合用印刷物を提供しようとするものである。」(2ページ左上欄12行~右上欄4行) (ウ)「第1図において、Aは700~1,000nmの近赤外線を透過又は反射するインキ層、Bは700~1,000の近赤外線を透過及び反射しないインキ層でAのインキ層と同色調であり、該2種類の同色調のインキ層を基材2の上に密着して並設したものである。基材2は被印刷物として用いられるものであれば如何なるものも用いることが出来るが、具体的には紙、プラスチツクシート、プラスチツクフイルム、布、合成紙、セラミツク板等が望ましい。又基材2は700~1,000nmの近赤外線を反射する材質のものであればそのまま用いることが出来るが、透過する材質のものは上面又は下面のいずれかに反射層1又は1’を形成する必要がある。Aのインキ層とBのインキ層は近赤外線の透過率又は反射率において差があれば良く、両者は相対的に選定されるものであり、したがつてBのインキ層は全く700~1,000nmの近赤外線を透過及び反射しないものだけに限定されるものではない。 第1図の照合用印刷物は同色調であるために肉眼では単一色彩に視感されるが、700~1,000nmの近赤外線を照射すると、インキ層Aとインキ層Bの透過率又は反射率に差があるために、インキ層A,Bにおいて反射した近赤外線を700~1,000nmで感度を有するカメラ又は赤外線ビユアーで撮影するか又は見ると、Aのインキ層は明るく、Bのインキ層は暗くなり強い濃度差となって隠し柄が鮮明に認識できる。 インキ層Aを形成するインキに配合される顔料は700~1,000nmの近赤外線の透過率又は反射率の高いものであれば如何なるものでも良く、… インキ層Bを形成するインキに配合される顔料は700~1,000nmの近赤外線の透過率及び反射率の低いものであれば如何なるものでも良く、…」(2頁左下欄16行~3頁右上欄6行) (エ)「第5図は第1図と同様の照合用印刷物のインキ層Aとインキ層Bを並設した後、700~1,000nmの近赤外線を透過するオーバーコート層3で被覆して隠蔽したものであり、近赤外線を照射すると上記のカメラ又は赤外線ビユアーにより容易に隠し柄を認識することが出来る。 オーバーコート層3はインキ層A,Bの上に700~1,000nmの近赤外線を透過する無色又は有色のインキ又はフイルムをオーバーコートするか又は貼合することにより形成し、色調は黒、青、緑、黄、赤、白等の如何なるものも用いることが出来るが、特に白色のものを使用した場合は、その上へ任意の柄を印刷することが出来るので有利であるが、反面下地の隠し柄の隠蔽が他の色彩を用いた場合に比較して多少難かしいが、インキ層Aとインキ層Bを出来るだけ等しい色調とし、すきまなく印刷することによりこのような問題を解決することが出来る。 又、白色のものを使用した場合はインキ層Aとインキ層Bを出来るだけ淡い色にすることにより、より白色度の高い状態にすることが出来る。 第6図は第1図のインキ層A,Bにオーバーコート層3を形成し、該オーバーコート層3の表面に700~1,000nmの近赤外線を透過するインキを印刷して印刷層4を形成した照合用印刷物である。印刷層4のインキは700~1,000nmの近赤外線を透過するものであれば如何なるものでも良い。 特に色調としてブラツクを用いるときにはカーボンを使用しない近赤外線を透過するインキを配合して調整したインキで白色のオーバーコート層の上に印刷するのが好ましい。」(3頁左下欄11行~4ページ左上欄2行) (オ)「この様にして得られた本発明の照合用印刷物は特定の700~1,000nmの近赤外線のみにより隠し柄を識別することが出来る極めて隠匿性の高いものであり、又単一或いは多色の有色印刷物に文字、図形等の隠し柄を隠蔽しているので、通常の印刷物にも十分に適用することが出来る利用範囲の広いものである。」(4ページ右上欄10~16行) (カ)「6) 白色インキでオーバーコートする事により隠し柄に関係なく、その上に絵柄或いは文字を印刷することが出来、又オーバーコート層を使用すれば印刷時における隠し柄の見当はかならずしも正確に合わなくてもよい。」(4ページ左下欄15~末行) (キ)「実施例1 オフセツト用黄色インキに、同じく顔料としてカーボンを含有した墨インキを13%添加したインキB1を調整し、又顔料としてカーボンを使用しないで、オフセツト用の紅、黄、藍の各インキだけで、上記のインキに色調をそろえたインキA1を調整し、RIテスターにより色調が互いに揃うように展色した。…アート紙に展色したサンプルの分光反射曲線を第8図に示した。波長が800nmにおける反射率の差は75%以上である。更にこの展色物を赤外線ビュアーで見たところ目視ではまつたく色差を感じないが墨インキ入りのB1は高濃度で、一方A1は無展色の用紙部分とほとんど等しく白く見え、それらは大きな濃度差となって識別できた。」(4ページ右下欄3~末行) (ク)「 [図:0001413286000001.jpg] 」 (ケ)「 [図:0001413286000002.jpg] 」 (コ)「 [図:0001413286000003.jpg] 」 (サ)第8図より、波長が850nmのインキ層Aの反射率が100%であり、インキ層Bの反射率が25%であることが看取できる。 (シ)上記(ウ)、(エ)、(サ)より、基材もしくは基材上の反射層は波長が850nmの近赤外線を反射し、基材白色のオーバーコート層は、波長が850nmの近赤外線を透過し、印刷層4は波長が850nmの近赤外線を透過するインキにより印刷されたものといえる。 上記記載事項(ア)乃至(コ)、及び認定事項(サ)、(シ)より、甲第1号証には、 「紙幣等の偽造防止のための照合用印刷物であって、 波長が850nmの近赤外線を反射する基材もしくは反射層が形成された基材上に、 波長が850nmの近赤外線に対して、インキ層Aの反射率が100%であり、かつ、インキ層Bの反射率が25%である、色調をそろえ目視ではまったく色差を感じない、文字、図形等の隠し柄を備える、並設されたインキ層A、Bと、 インキ層A,Bの上に形成した波長が850nmの近赤外線を透過する白色のオーバーコート層と、該オーバーコート層の表面に波長が850nmの近赤外線を透過するインキにより隠し柄に関係なく絵柄或いは文字を印刷した印刷層と、 を備える照合用印刷物。」 なる発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 (2)甲第2号証 本件特許の出願日前の平成30年5月17日に頒布された特開2018-77335号公報(甲第2号証)には、以下の記載がある。 (ア)「【0002】 周知のように、有価証券、各種証明書、ブランド品、個人認証媒体等は、その偽造が困難であることが必要である。そこで、これら物品には、例えば、ホログラム転写箔を使用してその表面にホログラムを付与することによりその偽造を防いでいる(特許文献1参照)。ホログラムは光学レベルの微細構造を利用して回折光で特有の画像を表示するもので、この微細構造を解析したり、複製することが困難であり、このため、このホログラムの有無により、前記各種物品の真偽を判定し得るのである。」 (イ)「【0005】 本発明は、ホログラムの特性、すなわち、肉眼で認識できると共に偽造が困難であるという特性を生かしつつ、これに加えて、肉眼で認識できず、特有の判定用具を使用することによって初めて認識できる画像を有する転写箔と、これを使用した偽造防止物品とを提供することを目的とする。」 (ウ)「【0009】 本発明の転写箔は、例えば有価証券等の物品にホログラム層と共に赤外線吸収層を転写して使用する。こうして得られた物品の上には、自然光や室内照明光の下でも肉眼で認識できるホログラム画像が形成されており、それ自体偽造が困難である。 【0010】 また、これに加えて、この物品上には、可視光を透過して赤外線を吸収する赤外線吸収層がパターン状に設けられている。この赤外線吸収層のパターンを自然光の下で肉眼で認識することは不可能である。一方、例えば赤外線カメラを判定用具として使用すると、この赤外線吸収層のパターンを検出できる。」 (エ)「【0016】 また、剥離層2としては、容易に転写箔基材1から剥がれる材料であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂のいずれであっても良いが、柔軟性、箔切れ性を考慮し、熱可塑性樹脂が好ましい。その例として、熱可塑性ポリアクリル酸エステル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を、単独あるいは複合して用いることができる。また、箔切れ性や耐摩耗性を考慮し、石油系ワックス、植物系ワックス等の各種ワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸の金属塩、シリコンオイル等の滑剤や、テフロン(登録商標)パウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーおよび、シリカ微粒子等の無機フィラーを添加することもできる。なお、剥離層2は転写箔基材1自体が剥離性を有している場合、あるいは転写箔基材1自体に離型処理を施してある場合は設ける必要はない。 【0017】 次に、ホログラム形成層3は光反射層4と共にホログラム層を構成するものである。すなわち、ホログラム形成層3の表面には光学レベルの微細な凹凸が形成されており、この凹凸で位相型回折格子を構成している。そして、光反射層4はこの凹凸に沿って設けられており、このため、その表面にもホログラム形成層3表面の凹凸と同様の凹凸が設けられており、この光反射層4表面の凹凸も位相型回折格子を構成している。そして、ホログラム形成層2と光反射層3との境界面に入射した光は光反射層3で反射されて反射回折光を構成し、ホログラム特有の画像を表示するのである。」 (オ)「【0024】 なお、この光反射層4はホログラム形成層3の表面全面に設けることもできるが、その一部にパターン状に設けることも可能である。図1(a)及び(b)に示す転写箔10は、光反射層3を星パターン形状に部分的に設けたものである。」 (カ)「【0028】 次に、赤外線吸収層6は可視光を透過して赤外線を吸収するもので、パターン状に設ける必要がある。この例では、図1(a)に示すように、十字状のパターンに設けられており、その一部は光反射層4に重ねられている。なお、この赤外線吸収層6は可視光を透過するため、自然光や室内照明光の下で肉眼で観察しても、その十字状パターンを認識することはできない。一方、赤外線カメラで撮影すると、十字状パターンが黒く撮影される。」 (キ)「【0032】 この転写箔10は次のように使用することができる。すなわち、任意の物品に対して、接着層7がこの物品に向き合うように重ね、押圧又は熱圧して接着させた後、転写箔基材1を剥離除去することにより、ホログラム層と赤外線吸収層6とを同時に転写することができる。図3はこうして得られた偽造防止物品20の断面説明図で、この図から分かるように、物品本体21上に、接着層7、赤外線吸収層6、マスク層5、光反射層4、ホログラム形成層3、剥離層2がこの順に積層されて構成されている。なお、光反射層4は星パターン形状を有しており、赤外線吸収層6は十字形状を有していて、この両者はその一部で互いに重ね合わされている。なお、光反射層4とホログラム形成層3とは、この両者でホログラム層を構成していることは前述のとおりである。 【0033】 そして、この偽造防止物品20を自然光又は室内照明光のもとで肉眼で観察したときには、図4に示すように、赤外線吸収層6は認識できず、光反射層4のホログラム画像を観察することができる。一方、赤外線カメラで撮影したときには、図5に示すように、赤外線吸収層6は黒く撮影され、光反射層4のホログラム画像は明るく撮影される。なお、赤外線吸収層6と光反射層4とが重なった部位では、光反射層4の厚みが薄いことから、光反射層5の星型ホログラム画像と赤外線吸収層6の十字形状の画像とは重なって撮影される。」 (ク)「 [図:0001413286000004.jpg] 」 (ケ)「 [図:0001413286000005.jpg] 」 (コ)「 [図:0001413286000006.jpg] 」 (3)甲第3号証 本件特許の出願日前の平成22年8月12日に頒布された特開2010-173217号公報(甲第3号証)には、以下の記載がある。 (ア)「【請求項5】 前記情報部のそれぞれの周辺部分には、それぞれの情報部を構成する赤外線吸収性インキと色相が同じで、かつ赤外線波長領域の所定の波長の光は吸収しない背景用インキを用いて毛抜き合わせにより背景情報部が目視不可能な状態で設けられていて、さらに情報部と背景情報部を少なくとも覆うように、可視光波長領域の波長の光を吸収し、前記赤外線波長領域の所定の波長の光を透過する隠蔽層が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の機械読み取り可能な情報印刷物。」 (イ)「【請求項12】 前記情報部の上には、部分的にまたは全部に重なるように、赤外線波長領域の波長の光を透過する絵柄印刷層が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の機械読み取り可能な情報印刷物。」 (ウ)「【0002】 従来から株券、債券、小切手、商品券、宝くじ、定期券等の有価証券類には、機械読み取り可能な情報として、バーコードやOCR文字等のコードマークが付されていることが多い。通常、このような機械読み取り可能なコードマークは、カーボンブラックやロイコ染料等を含有し、近赤外線波長領域の波長の光を吸収する黒色インキ等を用いて形成されている。」 (エ)「【0019】 本発明の機械読み取り可能な情報印刷物は、以上のような構成のものであるので、目視では識別不可能な状態で隠蔽されている情報部が、所定の波長特性を有する赤外線の照射下で機械読み取り可能となる。しかも、隠蔽されている情報部が赤外線透過性基材層の表裏に設けられ、機械読み取りに際しては表裏の情報パターンを重ね合わせて一つの有意画像として認識できるようにしてあるので、第三者がこの内容を模造するには基材層の表裏に精度よく位置合わせをして情報部が形成できる高度な印刷技術を必要とし、偽造することは非常に困難である。 また、基材層の表裏に設けられているそれぞれの情報部の機械読み取りに係る画像情報の濃度がそれぞれ異なるようにできるので、前記有意画像を形状と色濃度の違いで認識できるようにもなる。従って、形状と色濃度の二重の情報から真贋判定が可能となり、偽造や改ざんまたはその他の不正をより有効に防止し得る。」 (オ)「【0023】 図2にも示すように、この機械読み取り可能な情報印刷物1は、赤外線透過性基材層2の表裏面に、赤外線波長領域に所定の吸収特性を持つ赤外線吸収性インキにより情報部31、32が設けられている。そして各情報部31、32の周辺部分には、それぞれの情報部31、32を構成する赤外線吸収性インキと色相が同じで、かつ赤外線波長領域の波長の光は吸収しない背景用インキを用いて毛抜き合わせで背景情報部41、42がそれぞれ設けられ、さらに情報部31、32と背景情報部41、42を少なくとも覆うように赤外線波長領域の波長の光を透過する絵柄印刷層51、52がプロセスインキで設けられている。」 (カ)「【0026】 すなわち、図3(a)には、情報部31に係る形成パターンが、図3(b)には情報部32に係る形成パターンが示してある。照射する赤外線は、情報部31、32のそれぞれを構成する赤外線吸収性インキのそれぞれに共通する高い吸収性の波長部分を波長成分として持っているので、それを情報印刷物1に照射して機械読み取りすると、プロセスインキからなる絵柄印刷層51の部分は透過し、情報部31に到達して吸収される。一方、赤外線透過性基材層2を透過した赤外線は、裏面に設けられた情報部32のところまで到達するとそこでも吸収される。 その結果、図3(c)のような情報パターンが機械読み取りされることになる。このとき、周辺部分に毛抜き合わせで設けられている背景情報部41、42はこの照射赤外線を吸収しないため、読み取り機械では情報部31と情報部32のみを同一の情報部分であるかの如くに読み取ることになり、情報部31に係る形成パターンと情報部32に係る形成パターンとが組み合わされて一つの有意情報を示す情報パターンとして機械認識されるようになる。 このとき、赤外線吸収性基材層2の表裏に設けられている情報部の形成パターンをより複雑なパターンにすると、第三者が同じような組み合わせになる情報部を再現させるためには、高度な位置合わせ技術を必要とすることとなり、第三者が不正に模造することをより困難にすることができる。」 (キ)「【0028】 上述のような構成になる本発明の機械読み取り可能な情報印刷物は、有価証券類やカード等の媒体に内在させておき、不正使用や模倣の判定に用いることができる。すなわち、有価証券類やカード等の被判定品に本発明の情報印刷物を内在させておき、その部分に赤外線を赤外線照射装置から照射することにより、基材層の表裏面に設けられている各情報部から得られる情報の重ね合わせになる情報パターンを識別して検証することができる。 … 【0030】 図5にも示すように、機械読み取り可能な情報印刷物101は、赤外線透過性基材層102の表裏面に、赤外線の吸収特性が異なり、かつ赤外線の吸収が最大となる波長域がそれぞれ異なっている3種類の赤外線吸収性インキのそれぞれにより情報部131、132、141、142、151、152が設けられている。そして各情報部131、132、141、142、151、152の周辺部分には、それぞれの情報部を構成する赤外線吸収性インキと色相が同じで、かつ赤外線波長領域の波長の光は吸収しない背景用インキを用いて毛抜き合わせで背景情報部161、162、171、172、181、182がそれぞれ設けられ、さらに情報部と背景情報部を少なくとも覆うように赤外線波長領域の波長の光を透過する絵柄印刷層191、192がプロセスインキで設けられている。 【0031】 赤外線透過性基材層102は、赤外線を効率よく透過する性質を持つ基材層であり、前記した情報部を構成する各赤外線吸収性インキの赤外線の透過性と較べてかなり高いものが好適に用いられる。 … 【0033】 より具体的には、反射率と波長の関係が図6に示すような光学特性を示す3種類の赤外吸収性インキのそれぞれが使用される。すなわち、情報部131、132はグラフ11で示されるような吸収特性を示す赤外線吸収性インキにより、情報部141、142はグラフ12で示されるような吸収特性を有する赤外吸収性インキにより、そして情報部151、152はグラフ13で示されるような吸収特性を示す赤外吸収性インキにより形成されている。」 (ク)「【0038】 情報印刷物101の読み取りに当たって照射する赤外線Aは、第1の情報と第2の情報を構成するそれぞれの情報部の赤外線吸収性インキのそれぞれに共通する高い吸収性の波長部分を波長成分として持っているため、このような波長成分を持つ赤外線Aを情報印刷物101に照射すると、プロセスインキからなる絵柄印刷層191の部分は透過し、第1の情報の情報部131と第2の情報の情報部141のそれぞれに到達し、そこで吸収されることになる。一方、赤外線Aは赤外線透過性基材層102を透過して、裏面に設けられている第1の情報の情報部132と第2の情報の情報部142に到達してそこでも吸収される。このとき、周辺部分に毛抜き合わせで設けられている背景情報部161、162、および171、172はこの照射赤外線Aを吸収しないため、読み取り機械ではそれぞれの情報部のみを同一の情報部分であるかの如くに読み取ることになり、図7(c)に示すような、表裏に設けられた第1の情報の情報部131、132に係る形成パターンと第2の情報の情報部141、142に係る形成パターンとの組み合わせになる情報パターンが有意画像として機械認識されるようになる。 … 【0040】 このような情報部が設けられている情報印刷物に対して、前記赤外線Aと異なる波長成分を持つ赤外線B、すなわち、第1の情報の情報部と第3の情報の情報部のそれぞれを構成する赤外線吸収性インキのそれぞれに共通する高い吸収性の波長部分を波長成分として持っている赤外線Bを情報印刷物101に照射すると、プロセスインキからなる絵柄印刷層191の部分は透過し、第1の情報に係る情報部131と第3の情報に係る情報部151のそれぞれに到達し、そこで吸収されることになる。一方、赤外線Bは赤外線透過性基材層102を透過して、裏面に設けられた第1の情報の情報部132と第3の情報の情報部152のそれぞれにも到達してそこでも吸収される。このとき、周辺部分に毛抜き合わせで設けられている背景情報部161、162、および181、182はこの照射赤外線Bを吸収しないため、読み取り機械ではそれぞれの情報部のみを同一の情報部分であるかの如くに読み取ることになり、図8(c)に示すような、表裏に設けられた第1の情報の情報部131、132に係る形成パターンと第3の情報の情報部151、152に係る形成パターンとの組み合わせになる情報パターンが有意画像として機械認識されるようになる。 【0041】 従って、このような構成になる情報印刷物101は、第1の情報の情報部と第2の情報の情報部を構成する赤外線吸収インキの共通する吸収波長域を波長成分に持つ赤外線Aを照射した場合と、第1の情報の情報部と第3の情報の情報部を構成する赤外線吸収インキの共通する吸収波長域を波長成分に持つ赤外線Bを照射した場合では異なった情報パターンが認識される。 このとき、赤外線吸収性基材層の表裏に設けられている情報部を重ね合わせてできる画像(有意画像)をより複雑なパターンとすることにより、第三者が同じような組み合わせになる情報部を再現させるためには、高度な位置合わせ技術が必要となるようにし、第三者が模造することをより困難にすることができる。」 (ケ)「【0051】 以上のような方法で作製した機械読み取り可能な情報印刷物は、プロセスインキからなる絵柄印刷層のみが視認でき、赤外線吸収性インキからなる各コードマークは視認することができなかった。しかし、波長が850nmの赤外線を検知できるようにした赤外線カメラやセンサーでは、絵柄印刷層を検知することなく、赤外線吸収性インキにより印刷したコードマークAとコードマークBの両方を検知することができ、この両方のマークを重ね合わせたパターンから情報を得て検証することができた。 また、基材の表面から赤外線カメラのセンサーで検知した場合、基材で一部吸収されて光量が減衰するため、基材の裏面に設けられたコードBの方が濃度が低くなる(すなわち、図9に示すように反射率が高くなる。)。したがって、850nmの赤外線の反射率が例えば10%未満のときは黒色、10%以上のときは白色と判定するように受光側のしきい値を設定した場合、コードAのみが検知され、一つの印刷物で異なる複数の情報パターンを認識することができた。」 (コ)「 [図:0001413286000007.jpg] 」 (サ)「 [図:0001413286000008.jpg] 」 (シ)「 [図:0001413286000009.jpg] 」 (ス)「 [図:0001413286000010.jpg] 」 (セ)「 [図:0001413286000011.jpg] 」 (ソ)「 [図:0001413286000012.jpg] 」 (タ)「 [図:0001413286000013.jpg] 」 (4)甲第4号証 本件特許の出願日前の平成27年3月30日に頒布された特開2015-60270号公報(甲第4号証)には、以下の記載がある。 (ア)「【0002】 現在、チケットや金券など、様々な印刷媒体が用いられており、その印刷媒体の種別を判別するニーズも様々に存在する。例えば、チケットや金券などの金銭的価値が高い媒体は偽造されるリスクが高いため、判別対象の媒体が正規媒体であるか偽造媒体であるかを、媒体に付されるフォログラムなどによって判別している。 … 【0004】 このように媒体にフォログラムを印刷しておくと、偽造防止の面で一定の効果が得られるが、フォログラムを用いる場合、一般的には、人間が目で見て真贋判定を行うため、作業効率が悪く、判定精度にバラつきがあるという問題がある。また、このような問題は、真贋判定に限らず、媒体の判別を人間の感覚で行おうとする様々なケースで生じ得る。 【0005】 本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、印刷媒体の判定がより自動的に且つより正確に行われやすい判定システム、判定装置、及び印刷媒体を提供することを目的とする。」 (イ)「【0034】 (印刷媒体) まず、印刷媒体100について説明する。 図2(A)、図2(B)に示すように、印刷媒体100は、所定の厚さのシート状或いは板状の基材層104に識別マーク110が印刷された構成となっている。そして、この識別マーク110内の一部が、判定装置3によって反射状態が検出されるべき特定領域ARとして構成されている。なお、図2に示す基材層104はあくまで一例であり、基材層104の平面形状や厚さ、材質、表面色などは様々に選択できる。また、図2に示す第1インク層114、第2インク層116、第3インク層112は、あくまで概念的に示すものであり、層の厚さや形状は様々に選択できる。例えば、紙、樹脂シート、金属シートなどとして構成された基材層104の厚さよりも大幅に厚さが小さくなるように第1インク層114、第2インク層116、第3インク層112を形成してもよい。 【0035】 ここで、識別マークを構成するインク等について説明する。本構成では、識別マーク110を形成するために、異なる三種類のインク(第1のインク、第2のインク、第3のインク)が用いられており、これら三種類のインクは、顔料の構成及び配合比率の少なくともいずれかが互いに異なっている。第1のインクによる第1インク層114は、特定領域ARにおいて基材層104上の第1層101を構成しており、この第1層101によって表示される図形は円形図形となっている。第2のインクによる第2インク層116は、第1インクによる層114を覆う層、又は第3インクによる層112を覆う層、若しくは、これらの層114、112を覆わずに基材層104上に配置される層として構成されている。この第2のインクによる第2インク層116において、第1層101上を覆う領域は、特定領域ARにおいて第1層114上に重なる第2層102として機能する。 【0036】 そして、これら第1のインク、第2のインク、第3のインクは、各波長の光を照射したときの透過率の特性(各波長の光を当てたときの波長と透過率との関係)がいずれも異なっており、これに関係して、各波長の光を照射したときの反射率の特性(各波長の光を当てたときの波長と反射率との関係)がいずれも異なっている。各インクの反射率の特性は例えば図3のようになっている。 【0037】 例えば、第1のインクは、各波長の光を当てたときの波長と反射率との関係が図3の二点鎖線X1のようになっており、第2のインクは、各波長の光を当てたときの波長と反射率との関係が図3の実線X2のようになっており、第3のインクは、各波長の光を当てたときの波長と反射率との関係が図3の実線X3のようになっている。第1のインク、第2のインク、第3のインクをX1、X2、X3のような特性にするには、顔料の選定や顔料の配合比率の調整によって行えばよい。なお、図3での曲線X1、X2、X3は、インク層の厚さを同一の所定厚さとした場合において同一の所定基材を用いた場合のインク層からの反射率の一例である。また、曲線X4は、X1の特性の第1インクの層とX2の特性の第2インクの層を重ねた積層領域において、各波長の光を当てたときの波長と反射率との関係が示すグラフである。この曲線X4は、曲線X1、X2、X3の場合と同一の所定基材を用いた場合のインク層からの反射率の一例である。」 (ウ)「【0041】 そして、図2に示す特定領域ARは、第1のインクによるインク層(第1層101)と第2のインクによるインク層(第2層102)とが基材層104上に重ねられた構成となっている。第1のインクと第2のインクとが重ねられた層の特性は、図3のX4のようになっている。この特定領域AR1の積層領域では、例えば波長が800nm以下の可視光が照射されたときの反射率が30%以下と小さく、波長が810nm程度の光が照射されたときの反射率が33%程度となっている。また、波長が850nm以上1000nm以下の赤外光が照射されたときの反射率が30%未満と小さくなっており、この波長領域では、波長930nm程度のときに反射率が22%程度と最少となっている。このように、第1のインクと第2のインクとが重ねられた層は、波長が850nm以上1000nm以下の赤外光が照射されたときの反射率よりも、それより小さい810nm程度の波長の可視光が照射されたときの反射率のほうが大きく、更に、波長が810nm程度の可視光が照射されたときの反射率よりも、それより小さい波長が800nm以下の可視光が照射されたときの反射率のほうが小さくなっており、より複雑な反射率特性となっている。」 (エ)「【0044】 このように識別マーク110内の特定領域ARでの反射率は、照射される波長により透過率が変化する第1インクの層(第1層101)の反射率及び透過率と、照射される波長により透過率が変化する第2インクの層(第2層102)での反射率及び透過率と、基材層104での反射率とが影響する。そして、各波長における特定領域ARでの反射率は、各波長での第1層101、第2層102の特性(特に各波長に応じた透過率特性或いは各波長に応じた吸収率特性)を反映した値になる。従って、特定領域ARに対し「特定波長」の光が照射された場合には、この特定領域ARでは、予め定められた反射率(特定波長での第1層101、第2層102の透過率特性を反映した反射率)で反射光が生じることになる。なお、「特定波長」は、後述する判定装置3での判定の際に、照明光として用いられる波長である。 【0045】 図2の例では、印刷媒体100の基材層104上に、上述の第1インクによる第1インク層114(第1層101)が円形図形として印刷されており、この円形図形が表示された領域が特定領域ARとなっている。そして、基材層104の上面の方向において円形図形として形成された第1インク層114を囲む構成で、上述の第3インクによる第3インク層112が印刷されている。この第3インク層112は、特定領域ARが存在する範囲を示す円環状の位置マークとして表示されている。図2(A)の例では、第3インク層112による位置マークは、例えば、第1インク層114の周囲を囲むように周方向全体にわたって切れ目なく連続した環状図形となっている。但し、位置マークの図形はこの例に限られるものではなく、特定領域ARの範囲を示す図形であればよい。例えば、第1インク層114の周囲を囲むように周方向全体にわたって断続的に続く環状図形であってもよい。また、形状も、円環状に限られず、四角枠状、三角枠状等の多角形枠状であってもよい。 … 【0047】 (判定装置) 次に、判定装置3のハードウェア構成について、図1等を参照して説明する。 図1に示すように、判定装置3は、主に、カメラ部10と、照明部20と、認識部30とによって構成されており、照明部20により印刷媒体100(判定対象ラベル)に照明光を照射しつつ、カメラ部10によってその印刷媒体100を撮像しうる構成となっている。そして、カメラ部10によって生成された撮像画像の電気信号は、認識部30によって処理され、所定の判定処理が行われるようになっている。なお、これらの部品は、例えば図略のプリント配線板に実装あるいは図略のハウジング内に内装されている。判定装置3は、携帯型の端末として構成されていてもよく、据置型の装置として構成されていてもよい。或いは、携帯方式と据置方式を併用できる構成であってもよい。 【0048】 カメラ部10は、主に、レンズ11、受光センサ12(光学的センサ)、増幅器13、センサ駆動回路14を備えている。レンズ11は、外部から読取口(図示略)を介して入射する入射光を集光して受光センサ12の受光面aに像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。受光センサ12は、印刷媒体100に照射されて反射した反射光を受光可能に構成されるもので、例えば、C-MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。受光センサ12は、レンズ11を介して入射する入射光をこの受光面で受光可能となるように、例えば図略のプリント配線板に実装されている。この受光センサ12では、各受光素子(各画素)での受光量を示す電気信号がそれぞれ出力されるようになっている。増幅器13は、受光センサ12で生成された受光信号を増幅する機能を有する。また、センサ駆動回路14は、受光センサ12を公知の駆動方式で駆動し、受光センサ12を構成する各画素からの信号を順次出力させる回路である。 【0049】 照明部20は、照明光を発光可能な照明光源として機能するものである。図1の例では、4種類の光源(LED21a,21b,21c,21d)によって照明部20が構成されており、各光源からは異なる波長の照明光が個別に照射可能な構成となっている。なお、図1の例では、4種類の光源を例示しているが、光源の種類(照射可能な波長の数)は4以上であってもよく、4以下であってもよい。また、各種類の光源は、単一のLEDで構成されていてもよく、同種の複数のLEDによって構成されていてもよい。」 (オ)「【0057】 (判定処理) ここで、判定装置3による判定の一例として、図2に示す印刷媒体100の真贋判定を例に挙げて説明する。まず、照明部20によって1種類の特定波長の照明光を照射し、真贋判定を行う例を述べる。 【0058】 判定装置3は、ユーザによるスイッチ39の所定操作に応じて、照明部20から「特定波長」の照明光を照射する。例えばLED21aが「特定波長」の照明光を照射する光源である場合、このLED21aを点灯させて照明光を照射する。そして、照明部20から印刷媒体100に対して特定波長の照明光が照射された場合において、印刷媒体100が受光センサ12による撮像範囲に位置する場合、特定波長の照明光が印刷媒体100に照射されて生じる反射光を受光センサ12によって受光する。つまり、特定波長の照明光が照射された状態の印刷媒体100を受光センサ12によって撮像する。 【0059】 そして、照明光が印刷媒体100に照射されて生じる当該印刷媒体100からの光を受光センサ12が受光した受光結果に基づき、特定領域ARでの反射率又は特定領域ARからの光の光量の少なくともいずれかを検出値として検出する。具体的には、特定波長の照明光が照射された状態の印刷媒体100を受光センサ12によって撮像して得られた撮像画像において、第3インク層112による位置マークを検出し、この位置マーク内の特定領域ARの位置を検出する。例えば、位置マークが図2のように円環状であり、この位置マーク内の少なくとも中心位置に特定領域ARが存在する場合、位置マーク内の中心位置を特定領域ARの位置として当該位置での反射率又は当該位置からの反射光の光量を検出すればよい。なお、判定装置3による位置マークの検出は、例えば、判定装置3が位置マークの形状を予め把握しておき、撮像画像から位置マークの形状を抽出するようにしてもよい。或いは、位置マークでの反射率又は位置マークからの光の光量が所定の高値又は低値になる場合、位置マークでの反射率付近の範囲又は位置マークからの光の光量付近の範囲を抽出することで、位置マークを検出してもよい。」 (カ)「【0062】 そして、このように検出された「検出値」に基づいて印刷媒体100の種別を判定する。具体的には、特定領域ARの検出値が所定範囲内であるか否かに基づいて印刷媒体100の真贋を判定する。例えば、図3の例では、特定領域ARでの反射率が波長930nm付近で大きく落ち込み、その上下の波長範囲では、波長930nm付近よりも反射率が大きくなっている。このようなケースでは、例えば波長930nmを「特定波長」とし、この特定波長の照明光を印刷媒体100に照射したときの特定領域ARでの「検出値」が一定値未満の場合に「真」(特定領域ARに第1層101及び第2層102が積層された正規の媒体)と判定し、一定値以上の場合には「贋」(上記正規の媒体ではない媒体)と判定するように判定を行えばよい。この構成では、このような判定を行う制御回路34が「判定部」の一例に相当する。」 (キ)「【0073】 図5に示すように、本構成では、印刷媒体100に情報コード120が形成され、情報コード120の少なくとも一部が特定領域ARとして構成されている。この特定領域ARの積層構造は、第1実施形態と同一であり、基材層104上に第1インク層114(図2)が配され第1インク層114上に第2インク層116(図2)が配されている。なお、第2インク層116が配置された領域のうち、第1インク層114が配置されていない領域は、基材層104上に第2インク層116が配置された構成となっている。また、基材層104において第2インク層116が配置された領域外は、例えば基材層104のみの領域となっている。図5の例では、明色セルCwと暗色セルCbとがマトリックス状に配置された情報コード120が印刷されており、暗色セルCbの領域が「特定領域」として構成され、明色セルCwの領域及びコード領域の周囲のマージン領域は、基材層104上に第2インク層が配置された構成となっている。 【0074】 このような情報コード120に基づいて印刷媒体100を判定する場合、判定装置129では、まず、照明部20から印刷媒体100に対して特定波長の照明光を照射した状態で、印刷媒体100を受光センサ12によって撮像する。そして、印刷媒体100の撮像画像から情報コード120の画像を抽出し、この情報コード120を公知のデコード方法で解読する。なお、本構成では、制御回路34が解読部の一例に相当する。そして、得られた情報コード120の撮像画像から、暗色セルCbの領域を特定し、この暗色セルCbの領域の「検出値」を第1実施形態と同様の検出方法で検出し、これに基づいて印刷媒体100の真贋を第1実施形態と同様の判定方法で判定する。 【0075】 このような構成によれば、情報コードのデータ記録機能を生かしつつ情報コードを形成する層を印刷媒体100の判定に利用することができる。また、例えば、上層側の第2インク層を、可視光領域で透過率が低く、赤外領域で透過率が高いインクとし、可視光環境下で情報コード120が視認できないように構成した場合、可視光環境下で人の目には情報コード120を見えなくすることができ、偽造等の不正を効果的に抑制することができる。」 (ク)「【0083】 [第4実施形態] 次に、第4実施形態について、図7等を参照して説明する。なお、第4実施形態は、識別マークの構成及び特定領域ARの検出方法のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。また、第3インク層112(図2)による位置マーク142が設けられている点が第2実施形態と異なり、それ以外は第2実施形態と同一である。特に、情報コード144の部分の構成は、第2実施形態の情報コード120の部分の構成と同一である。 【0084】 この例では、この第3インク層112(図2)により、特定領域ARが存在する範囲を示す矩形枠の位置マーク142として表示されている。この位置マークは、例えば、情報コード144及びその周囲のマージン領域を囲むように切れ目なく連続した環状枠となっている。但し、位置マークの図形はこの例に限られるものではなく、情報コード144の範囲を示す図形であればよい。例えば、情報コード144の周囲を囲むように断続的に続く環状枠であってもよい。また、形状も、四角枠状に限られず、三角枠状等の多角形枠状であってもよく、環状枠であってもよい。」 (ケ)「【0136】 いずれの実施形態においても、第1インク層114からなる第1層101を所定形状で構成し、これを覆う第2インク層116からなる第2層102を、第1層101に少なくとも部分的に重なるように配置すればよい。例えば、第1層101の全体を覆うように第1層101よりも大きいサイズで第2層102を覆うように構成できる。この場合、可視光環境下(通常環境下)では、第2インク層116が光を透過しない又は光透過性が低い状態となって第1インク層114を隠すことで第2インク層116を介しての第1インク層114の視認が不能又は視認困難となる。このようにすることで、通常環境下での第1インク層114の肉眼での認識を困難にすることができ、セキュリティ性を一層高めることができる。 … 【0138】 上記実施形態では、特定領域ARでの反射率又は特定領域ARからの光量を検出値として検出し、この検出値に基づいて印刷媒体100の真贋を判定する例を示したが、真贋判定は他の要素を考慮して行ってもよい。例えば、図2のように、印刷媒体100において特定領域ARが所定形状(例えば円形)で構成されている場合、判定装置3は、上記実施形態で行ったような判定(「検出値」が条件を満たすか否かの判定)に加え、特定領域ARの形状が予め定められた形状に合致するか否かの判定を加えてもよい。この場合、制御回路34を形状認識部とし、受光センサ12で生成された撮像画像の中から特定領域ARの領域を抽出し、特定領域ARの形状を認識するように機能させればよい。そして判定部に相当する制御回路34は、形状認識部によって認識された形状と、検出部によって検出された検出値とに基づいて印刷媒体100の真贋を判定すればよい。 このように、特定領域ARでの反射率又は特定領域ARからの光の光量だけでなく、特定領域ARの形状をも加味して判定を行えば、より多くの要素を考慮したより正確性の高い判定が可能となる。 また、いずれの実施形態の例でも、特定領域ARの形状は上述した例以外の形状であってもよく、例えば、図19(A)~(C)のような構成であってもよい。これらの例でも、上記実施形態で行ったような判定(「検出値」が条件を満たすか否かの判定)に加え、特定領域ARの形状が予め定められた形状に合致するか否かの判定を加えることができる。そして、「検出値」が決められた範囲を満たし、且つ撮像画像から検出される特定領域ARの形状が予め定められた形状に合致する場合に、印刷媒体を「真」と判定する方法を用いることができる。」 (コ)「 [図:0001413286000014.jpg] 」 (サ)「 [図:0001413286000015.jpg] 」 (シ)「 [図:0001413286000016.jpg] 」 (ス)「 [図:0001413286000017.jpg] 」 (セ)「 [図:0001413286000018.jpg] 」 (ソ)「 [図:0001413286000019.jpg] 」 (5)甲第5号証 本件特許の出願日前の平成19年8月23日に頒布された特開2007-213360号公報(甲第5号証)には、以下の記載がある。 (ア)「【0002】 銀行券、有価証券、旅券、切手、商品券、株券等の貴重印刷物は、その性質上、偽造、変造され難く、さらに、その貴重印刷物が本物か否か判断できる技術要素が要求され、さらに、容易に真偽判別できる機器が求められている。」 (イ)「【0012】 本発明は、このような従来の問題を解決することを目的としたもので、赤外線吸収インキで印刷される領域を含む第1の領域と、赤外線吸収インキで印刷される領域を含む第2の領域を有する印刷物を所定の折り曲げ位置で折り曲げて、第1の領域及び前記第2の領域が重なった領域を形成し、重なった領域の赤外線の特徴データ又は赤外線吸収パターンを検出して、あらかじめ記憶された基準データ又は基準パターンと比較して、印刷物の種別判別及び/又は真偽判別を行うことが可能な印刷物の判別方法及びその判別機器を提案することを目的とする。」 (ウ)「【0060】 図8に示すように判別機器11bは、折り曲げた印刷物を収納する収納部12、折り曲げた印刷物に赤外線を照射する光照射部13、赤外線透過光を受光する受光部14、受光した出力信号を増幅させる増幅器15及び出力信号をデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換回路16から成る検出部17、基準パターンが記憶されるコンピュータ等の記憶部18、基準パターンと赤外吸収パターンを比較する演算部19、印刷物の真偽等を検査者に報知する報知部20、判別機器11bに電源を入れる電源部21を設ける。 【0061】 光照射部13は赤外光源であり、白熱球、発光ダイオード、ハロゲンランプ、太陽光、HIDランプ等の光を照射するものから適宜選択すれば良い。受光部14は、CCDエリアセンサカメラ等が挙げられる。 … 【0063】 折り曲げられた印刷物は、判別機器の収納部12の所定の位置に挿入し、対向した一対の光照射部13と受光部14から成る少なくとも一つの所定の位置に配置される検出部17によって重なった領域に赤外線光を照射し、重なった領域の赤外線透過光を受光部で受光し、受光された出力信号は、増幅器15で増幅され、アナログ/デジタル変換回路16でデジタル信号に変換され、図9(a)に示すような赤外線吸収パターンを検出する。記憶部18にあらかじめ記憶された図9(b)に示すような基準パターン(基準となる赤外吸収パターン)を読み出し、読み出された基準パターンと、検出された赤外吸収パターンを演算部19でパターンマッチングによって比較し、比較結果に基づいて報知部20によって印刷物の真偽を報知する。報知部は、液晶等の小型表示画面、バイブレーション、音声等によって真偽を報知する。」 (エ)「 [図:0001413286000020.jpg] 」 (6)甲第6号証 本件特許の出願日前の平成20年1月31日に頒布された特開2008-21180号公報(甲第6号証)には、以下の記載がある。 (ア)「【0069】 具体的に、紙幣識別手段は、以下の構成が考えられる。 すなわち、紙幣識別手段は、上述した紙幣搬送機構8により搬送される紙幣に光を照射するとともに、照射されて前記紙幣を透過した透過光及び前記紙幣から反射した反射光を受光する紙幣読取手段を構成し、前記紙幣表面の印刷領域内に定められた特定領域を検知する光センサによって検知した受光データに重み付けを施す重み付け手段と、紙幣の真贋を判定する真贋判定部と、を備え、前記真贋判定部は、前記特定領域を含む真券紙幣表面の全印刷領域における基準受光データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶した前記基準受光データと、前記光センサにより取得した判定対象となる紙幣表面の全印刷領域における受光データとを比較する第1の比較手段と、前記判定対象となる紙幣及び前記真券紙幣の前記各特定領域における重み付けられた受光データ同士を比較する第2の比較手段とを有する。」 (イ)「【0124】 例えば、紙幣が偽札であると判定された場合、或いは、付着物が接続されていると判定された場合、挿入された紙幣を返却することなく収容した状態にとどめ、上位装置200に対して警報信号を出力するようにしても良い。或いは、上記したような場合、最初の2回は、単に紙幣を返却するに留め、同一の状態が3回続けて発生した場合、上位装置200に対して警報信号を出力するようにしても良い。これにより、真券であるものの、余計な付着物が付着していたり接続されていたため、真券と判定されなかったような場合があっても、利用者が付着物を除去することで真券であると判定できることがあり、無用なメンテナンスを行う手間を省き、利用者に対しても不快感を与えることが防止される。」 (ウ)「【0155】 引き続き、ステップS53の紙幣判定処理において、紙幣判定NG処理があるか否かが判定される(ステップS54)。すなわち、紙幣挿入口から挿入された紙幣が、紙幣識別手段にて紙幣判定を行うまで(真券と識別されるまで)には、前記シャッタ機構50は閉塞された状態にある。そして、紙幣判定NG処理があると、その段階で駆動モータ10の逆転駆動処理が実行され、紙幣を紙幣挿入口側に向けて差し戻す(ステップS55)。この際、シャッタ機構50の閉塞処理が既に実行されているため、ソレノイド54の駆動をOFF(通電を解除)して回動片52を紙幣搬送路5から引き込ませ、紙幣が排出方向に搬送できるようにする(ステップS56)。 … 【0157】 なお、紙幣判定NG処理では、単に紙幣を紙幣挿入口6から差し戻す以外にも、上述したように、紙幣を差し戻すことなく、上位装置に対して警告信号を送信するように処理しても良い。また、上述したように、紙幣判定NG処理における状態をカウンタにセットしておき、紙幣が偽物であること、及び付着物が接続されていることが連続してカウントされた場合、警告信号を送信するようにしても良い。」 (エ)「 [図:0001413286000021.jpg] 」 (オ)「 [図:0001413286000022.jpg] 」 (7)甲第7号証 本件特許の出願日前の平成14年9月27日に頒布された特開2002-279477号公報(甲第7号証)には、以下の記載がある。 (ア)「【請求項4】前記検出器による真偽判別の結果、判別条件が不一致であったときに前記搬送手段を停止制御することとした請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の紙幣計数機。」 (イ)「【0018】図3は真偽判別のための検出器の配置等を示すものである。図3(a)は真偽判別ブロック70の配置を示す図であり、図2において1点鎖線で囲った部分を拡大し、模式化したものである。また、図3(b)は、図3(a)を上方向から見た図であり、各検出器の相対的な位置関係を示した図である。同図中71は磁気インク検出器としての磁気検出器、72は紫外線照射光源と受光素子とからなる反射型の蛍光検出器、73はスレッドの有無を検出するためのスレッド検出器、74は赤外線照射光源と受光素子とからなる透過型の赤外検出器をそれぞれ示している。又100は各々の検出器を通過中の紙幣を模式的に表したものである。 … 【0020】図5は本発明に係る紙幣計数機の構成を示すブロック図である。同図において判別ブロックは全部で4種類の検出器から構成される。磁気検出器71として例えば周知の磁気ヘッドが利用できる。蛍光検出器72は紫外線光源と受光素子とで構成される。スレッド検出器73として例えばヨーロッパ公開特許EP413534A1に開示されるものを利用できる。赤外検出器74は赤外線光源と受光素子とで構成される。スタッカセンサ80は集積部20の紙幣有無検知を行うものであり、紙幣の抜き取りを検知することで判別条件クリアさせ、別の紙幣の真偽判別に備えることにも利用できる。操作/表示部30は偽造の疑いを発見したときにこの旨(例えば、偽造を意味するCounterfeitの略語CF)を表示する。判別モード選択手段32は、どの真偽判別手段を有効にするかを選択するためのものである。判別条件記憶手段110は最初に繰出された紙幣についての各検出器毎の出力有無状況を記憶させるためのものである。具体的には、磁気インク検出有り、スレッド検出無し等が記憶される。条件合致比較手段120は2枚目以降の紙幣について、判別条件記憶手段110に記憶された内容との比較を行い、合致しないときは偽造の疑い有りとして制御部に通知し、通知を受けた制御部はその旨を操作/表示部30の表示部31に表示するとともに、搬送手段60を停止させる。」 (ウ)「【0026】赤外インク検出において、検出出力が有るとは、赤外線照射光源から照射された赤外線が紙幣に印刷された赤外吸収インクによって赤外線が吸収される結果、受光素子が赤外線を検知しない場合を指す。」 (エ)「 [図:0001413286000023.jpg] 」 2 申立理由1(新規性)について (1)本件訂正により、請求項13及び14は削除された。 (2)これにより、申立理由1について、請求項13及び14に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 (3)また、申立理由1は、本件特許登録時の請求項1乃至7、13乃至15、18乃至20に対して申立てられたところ、上記のとおり、本件訂正特許発明1の「第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層」との特定事項は、本件特許登録時の請求項9の「前記第2層は、前記可視光を透過する材料に所定デザインが印刷された層」と実質的に同じ構成である。 (4)そして、本件特許登録時の請求項9に対する証拠は提出されておらず、また、設計的事項といえる理由もない。 (5)そうすると、本件訂正特許発明1及び本件訂正特許発明1を直接的又は間接的に引用する本件訂正特許発明2乃至7、15、18乃至20と、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された発明との間には、相違点が存在する。 (6)したがって、本件訂正特許発明1乃至7、15、18乃至20が、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された発明であるとすることはできない。 (7)したがって、申立理由1によって、本件訂正特許発明1乃至7、15、18乃至20を取り消すことができない。 3 申立理由2(進歩性)について (1)申立ての対象が存在しなくなった請求項について (ア)本件訂正により、請求項8乃至10、13及び14は削除された。 (イ)これにより、申立理由2-1について、請求項8乃至10、13及び14に係る申立て、申立理由2-3について、請求項13及び14に係る申立て、申立理由2-4について、請求項13及び14に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 (ウ)また、申立理由2-2は、本件特許登録時の請求項1、2、6、7、15乃至23に対して申立てられたところ、上記のとおり、本件訂正特許発明1の「第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層」との特定事項は、本件特許登録時の請求項9の「前記第2層は、前記可視光を透過する材料に所定デザインが印刷された層」と実質的に同じ構成である。 そして、本件特許登録時の請求項9に対する証拠は提出されておらず、また、設計的事項といえる理由もない。 そうすると、本件訂正特許発明1及び本件訂正特許発明1を直接的又は間接的に引用する本件訂正特許発明2、6、7、15乃至23は、甲第2号証に記載された発明から、当業者が容易に発明できたとはいえない。 (エ)また、申立理由2-3は、本件特許登録時の請求項1乃至7、13乃至15、18乃至23に対して申立てられたところ、上記のとおり、本件訂正特許発明1の「第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層」との特定事項は、本件特許登録時の請求項9の「前記第2層は、前記可視光を透過する材料に所定デザインが印刷された層」と実質的に同じ構成である。 そして、本件特許登録時の請求項9に対する証拠は提出されておらず、また、設計的事項といえる理由もない。 そうすると、本件訂正特許発明1及び本件訂正特許発明1を直接的又は間接的に引用する本件訂正特許発明2乃至7、15、18乃至23は、甲第3号証に記載された発明から、当業者が容易に発明できたとはいえない。 (オ)また、申立理由2-4は、本件特許登録時の請求項1乃至7、13乃至15、18乃至23に対して申立てられたところ、上記のとおり、本件訂正特許発明1の「第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層」との特定事項は、本件特許登録時の請求項9の「前記第2層は、前記可視光を透過する材料に所定デザインが印刷された層」と実質的に同じ構成である。 そして、本件特許登録時の請求項9に対する証拠は提出されておらず、また、設計的事項といえる理由もない。 そうすると、本件訂正特許発明1及び本件訂正特許発明1を直接的又は間接的に引用する本件訂正特許発明2乃至7、15、18乃至23は、甲第4号証に記載された発明から、当業者が容易に発明できたとはいえない。 (カ)以上の通りであるから、申立理由2のうち、当審で検討すべきは、請求項1乃至7、11、12、15乃至23に対する甲第1号証を主引用発明とした進歩性(申立理由2-1)についてのみである。 (2)請求項1について ア 対比 本件訂正特許発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「紙幣等」、「波長が850nmの近赤外線」、「並設されたインキ層A、B」は、それぞれ、前者の「紙葉類」、「所定波長を有する非可視光」、「複数の領域」に相当する。 (イ)後者の「照合用印刷物」は、紙幣等の偽造防止のためのものであるから、前者の「偽造防止構造体」と後者の「照合用印刷物」とは、「紙葉類の偽造を防止するための」ものとの概念で一致する。 (ウ)後者の「並設されたインキ層A、B」は、波長が850nmの近赤外線に対して、インキ層Aの反射率が100%、かつ、インキ層Bの反射率が25%であり、文字、図形等の隠し柄を備えるから、前者の「第1層」と後者の「並設されたインキ層A、B」とは、「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成され」たものとの概念で一致する。 (エ)後者の「オーバーコート層」は、インキ層A,Bの上に形成し、波長が850nmの近赤外線を透過するものであるから、前者の「第2層」と後者の「オーバーコート層」とは、「第1層より上側に設けられ」「第1層を透過する非可視光が透過可能な」ものとの概念で一致する。 (オ)後者の「印刷層」は、表面に波長が850nmの近赤外線を透過するインキにより隠し柄に関係なく絵柄或いは文字を印刷したものであって、照合用印刷物の最上層に形成されたものであるから、前者の「ホログラム」と後者の「印刷層」とは、「第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された」ものとの概念で一致する。 (カ)後者の「オーバーコート層」は白色であるから、前者の「偽造防止構造体」と後者の「照合用印刷物」とは、「可視光下で見たときに第1層のデザインを目視でき」ないものとの概念で一致する。 そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 [一致点] 「紙葉類の偽造を防止するための偽造防止構造体であって、 所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、第1層と、 前記第1層より上側に設けられた、前記第1層を透過する前記非可視光を透過可能な層であり、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層と を備え、 前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できない、 偽造防止構造体。」 [相違点1] 本件訂正特許発明1の「第1層」が、可視光を透過しないものであるのに対し、甲1発明の「並設されたインキ層A、B」は、可視光を透過するのか否か不明な点。 [相違点2] 本件訂正特許発明1の「第2層」が、可視光を透過可能な透明材料から成る層であるのに対し、甲1発明の「白色のオーバーコート層」は、波長が850nmの近赤外線を透過する白色である点。 [相違点3] 本件訂正特許発明1の「第2層」が、非可視光を照射したときに第1層のデザインの透過画像を取得可能であるのに対し、甲1発明の「照合用印刷物」は、基材が、波長が850nmの近赤外線を反射する基材もしくは反射層が形成された基材であるから、波長が850nmの近赤外線を照射したときに文字、図形等の隠し柄の透過画像を取得不可能である点。 イ 判断 (ア)[相違点1]について 甲1発明の「白色のオーバーコート層」は、白色であるから、可視光は、インキ層A、Bまで到達し得ない。 そうすると、「並設されたインキ層A、B」を、可視光を透過することは、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。 (イ)[相違点2]について 甲1発明の「白色のオーバーコート層」は、白色であるから、可視光を透過可能にする阻害要因がある。 (ウ)[相違点3]について 甲1発明の「照合用印刷物」は、波長が850nmの近赤外線を照射したときに文字、図形等の隠し柄の透過画像を取得不可能であるから、波長が850nmの近赤外線を透過する層構成とする阻害要因がある。 ウ 小括 以上、検討したとおり、本件訂正特許発明1は、甲1発明から、当業者が容易に想到し得たものではない。 (3)請求項11について ア 対比 本件訂正特許発明11と甲1発明とを対比する。 (ア)後者の「紙幣等」、「波長が850nmの近赤外線」、「並設されたインキ層A、B」は、それぞれ、前者の「紙葉類」、「所定波長を有する非可視光」、「複数の領域」に相当する。 (イ)後者の「照合用印刷物」は、紙幣等の偽造防止のためのものであるから、前者の「偽造防止構造体」と後者の「照合用印刷物」とは、「紙葉類の偽造を防止するための」ものとの概念で一致する。 (ウ)後者の「並設されたインキ層A、B」は、波長が850nmの近赤外線に対して、インキ層Aの反射率が100%、かつ、インキ層Bの反射率が25%であり、文字、図形等の隠し柄を備えるから、前者の「第1層」と後者の「並設されたインキ層A、B」とは、「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成され」たものとの概念で一致する。 (エ)後者の「オーバーコート層」は、インキ層A,Bの上に形成し、波長が850nmの近赤外線を透過するものであるから、前者の「第2層」と後者の「オーバーコート層」とは、「第1層より上側に設けられ」「第1層を透過する非可視光が透過可能な」ものとの概念で一致する。 (オ)後者の「印刷層」は、表面に波長が850nmの近赤外線を透過するインキにより隠し柄に関係なく絵柄或いは文字を印刷したものであって、照合用印刷物の最上層に形成されたものであるから、前者の「ホログラム」と後者の「印刷層」とは、「第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された」ものとの概念で一致する。 (カ)後者の「オーバーコート層」は白色であるから、前者の「偽造防止構造体」と後者の「照合用印刷物」とは、「可視光下で見たときに第1層のデザインを目視でき」ないものとの概念で一致する。 そうすると、本件特許発明11と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 [一致点] 「紙葉類の偽造を防止するための偽造防止構造体であって、 所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された第1層と、 前記第1層より上側に設けられ、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された第2層と を備え、 前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できない、 偽造防止構造体。」 [相違点4] 本件訂正特許発明11の「第1層」が、可視光を透過しないものであるのに対し、甲1発明の「並設されたインキ層A、B」は、可視光を透過するのか否か不明な点。 [相違点5] 本件訂正特許発明11の「第2層」が、可視光及び前記非可視光を透過しない金属層を含むホログラムであるのに対し、甲1発明の「オーバーコート層」は、波長が850nmの近赤外線を透過する白色である点。 [相違点6] 本件訂正特許発明11の「偽造防止構造体」が、金属層に、前記非可視光を透過する加工が施されていることにより、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能であるのに対し、甲1発明の「照合用印刷物」は、基材が、波長が850nmの近赤外線を反射する基材もしくは反射層が形成された基材であるから、波長が850nmの近赤外線を照射したときに文字、図形等の隠し柄の透過画像を取得不可能である点。 イ 判断 (ア)[相違点4]について 甲1発明の「白色のオーバーコート層」は、白色であるから、可視光は、インキ層A、Bまで到達し得ない。 そうすると、「並設されたインキ層A、B」を、可視光を透過することは、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。 (イ)[相違点5]について 甲1発明の「白色のオーバーコート層」は、白色であるから、可視光を透過可能にする阻害要因がある。 (ウ)[相違点6]について 甲1発明の「照合用印刷物」は、波長が850nmの近赤外線を照射したときに文字、図形等の隠し柄の透過画像を取得不可能であるから、波長が850nmの近赤外線を透過する層構成とする阻害要因がある。 ウ 小括 以上、検討したとおり、本件訂正特許発明11は、甲1発明から、当業者が容易に想到し得たものではない。 (4)請求項2乃至7、12、15乃至23について 本件訂正特許発明2乃至7、15乃至23は、本件訂正特許発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであり、本件訂正特許発明12、18乃至23は、本件訂正特許発明11の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件訂正特許発明2乃至7、12、15乃至23が、甲1発明から、当業者が容易に想到し得たものではない。 (5)小括 したがって、申立理由2によって、本件訂正特許発明1乃至7、11、12、15乃至23を取り消すことができない。 4 申立理由3(サポート要件)について (1)申立理由3-1について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項9は、削除された。 イ これにより、申立理由3-1について、請求項9、15及び18乃至23に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 (2)申立理由3-2について ア 本件訂正特許発明1乃至7、11乃至12、15乃至20は、「偽造防止構造体」もしくは「偽造防止構造体を備える紙葉類」に係る発明であるところ、本件訂正特許明細書の段落【0037】に記載されているとおり、非可視光を照射して得られる非可視光透過画像を利用することにより、紙幣の真偽を機械識別することができる。 イ 本件訂正特許発明1乃至7、11乃至12、15乃至20は、真偽を識別する装置及び方法が特定されていないところ、前記アのとおり、非可視光を照射して得られる非可視光透過画像を利用する真偽を識別する装置もしくは方法に適用すれば、紙幣の真偽を識別することができるのであるから、本件訂正特許発明が解決しようとする課題は解決できるといえる。 5 申立理由4(明確性) (1)申立理由4-1について ア 特許請求の範囲の用語の意味は、通常の意味として解するものであることからすれば、本件訂正特許発明における「デザイン」の意味は、辞書的な意味であるところの「下絵。素描。図案。」(広辞苑第六版)と解される。 イ また、本件訂正特許発明7及び29で特定される「文字、数字、記号、模様」が、上記アの辞書的な意味を超えるものではないことは明らかである。 ウ してみると、本件訂正特許発明における「デザイン」との用語は何ら不明確なところはない。 (2)申立理由4-2について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項9は、削除された。 イ これにより、申立理由4-2について、請求項9、15及び18乃至23に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 (3)申立理由4-3について 本件明細書の段落【0090】には「透過する」「透過しない」について次のように記載されている。 「【0090】 本実施形態では、説明を簡単にするため、光が各層を透過する又は透過しないと記載したが、これは光の透過率を100%又は0%に限定するものではない。光を透過する領域とは、光を透過しないとした領域に比べて光の透過率が高い領域を言うもので、光を透過しないとした領域の透過率が0%でなくてもよいし、光を透過するとした領域の透過率が100%でなくてもよい。例えば、光の透過率が異なる2種類の領域のうち、透過率が高い領域を光を透過する領域とし、透過率が低い領域を光を透過しない領域とするものである。具体的には、図3及び図6~9に示したように複数種類の画像を得ることができれば、透過率の値は特に限定されない。図1~3の例では、赤外光不透過領域10aと赤外光透過領域10bとで赤外光の透過率が異なり、図3に示した赤外光透過画像11で図1(d)に示した模様を確認することができれば、赤外光不透過領域10aの透過率が0%でなくてもよいし、赤外光透過領域10bの透過率が100%でなくてもよい。言い換えれば、赤外光透過画像11上で赤外光不透過領域10aと赤外光透過領域10bとがコントラスト差を示す程度に、これら2種類の領域の赤外光透過率が異なっていればよい。図6~9の赤外光不透過領域と赤外光透過領域についても同様である。」 (3-1)申立理由4-3-1について ア 本件訂正特許発明1において、所定波長とは、非可視光の波長範囲の光と解される。 イ そして、当該所定波長の非可視光に対して、第1層の複数の領域は、それぞれ透過率が異なるのであるから、透過率の異なる複数の領域のそれぞれを透過した非可視光の強度が異なることは明らかである。 ウ してみると、偽造防止構造体の非可視光の照射側とは反対側において、非可視光を照射したときに第1層のデザインの透過画像が取得可能であることは明らかである。 エ そうすると、請求項1の記載は何ら不明確なところはない。 (3-2)申立理由4-3-2について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項1は、「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層」との特定に加え、「前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である」と特定された。 イ そうすると、非可視光を照射したときに第1層のデザインの透過画像が取得可能であるのだから、請求項2で特定される「前記非可視光を透過する領域」及び「前記非可視光を透過しない領域」とは、請求項1における「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」のそれぞれの領域に対応することは明らかである。 ウ そうすると、請求項2の記載は何ら不明確なところはない。 (3-3)申立理由4-3-3について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項1は、「前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である」と特定されたことにより、「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」によりデザインの透過画像が取得できるものと理解できる。 イ そうすると、請求項3の「第1波長の非可視光を透過する領域」と、「前記第1波長の非可視光は透過せず前記第1波長と異なる第2波長の非可視光を透過する領域」とは、請求項1の「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」のそれぞれに対応付けることができる。 ウ 同様に、請求項2の「非可視光を透過する領域」と、「非可視光は透過しない領域」とは、請求項1の「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」のそれぞれに対応付けることができる。 エ よって、請求項3の記載に何ら不明確なところはない。 (3-4)申立理由4-3-4について ア 本件訂正請求により、請求項4が引用する請求項1は、「第1層」につき「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない」と特定されたとともに、「偽造防止構造体」につき「前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である」と特定された。 イ そうすると、請求項4で特定される「第1波長」が請求項1で特定される「所定波長」とした場合、請求項1の「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」のそれぞれの「領域」(それぞれ「領域ア」、「領域イ」とする。)を、「領域ア」を「第1波長」の非可視光の透過率が“大きい領域”に、「領域イ」を「第1波長」の非可視光の透過率が“小さい領域”に対応付けることができるとともに、「領域ア」を「第2波長」の非可視光の透過率が“小さい領域”に、「領域イ」を「第2波長」の非可視光の透過率が“大きい領域”に対応付けることができるから、何ら不明確なところはない。 ウ また、請求項4で特定される「第2波長」が請求項1で特定される「所定波長」とした場合、請求項1の「所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域」のそれぞれの「領域」(それぞれ「領域ア」、「領域イ」とする。)を、「領域ア」を「第2波長」の非可視光の透過率が“大きい領域”に、「領域イ」を「第2波長」の非可視光の透過率が“小さい領域”に対応付けることができるとともに、「領域ア」を「第1波長」の非可視光の透過率が“小さい領域”に、「領域イ」を「第1波長」の非可視光の透過率が“大きい領域”に対応付けることができるから、何ら不明確なところはない。 エ よって、請求項4の記載に何ら不明確なところはない。 (3-5)申立理由4-3-5について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項8は、削除された。 イ これにより、申立理由4-3-5について、請求項8に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 (3-6)申立理由4-3-6について ア 請求項11の「金属層」は、「非可視光を透過しない」ものであるところ、「非可視光を透過する加工が施されている」と特定されている。 イ そうすると、「非可視光を透過する加工が施されて」「いる」「金属層」部分は、非可視光を“透過する”ことが理解できるし、「非可視光を透過する加工が施されて」いない「金属層」部分は、非可視光を“透過しない”ことが理解できる。 ウ また、請求項11の「偽造防止構造体」の「第1層」は、非可視光の透過の如何を、「金属層」の加工の有無により特定していることからすれば、「透過しない」とは“透過率0%”との意味で、「透過する」とは“透過率が100%”との意味と解され、本件訂正特許明細書の段落【0072】の「図7は、第2層220がホログラムである偽造防止構造体1の他の構造を説明するための模式図である。図7に示すように、第2層220のホログラムに含まれる金属層223は、内周領域223aと外周領域223bの2つの領域に分かれている。内周領域223aには図6に示した金属層222と同様に多数の微細孔加工が施され、赤外光を透過するようになっている。一方、外周領域223bには微細孔加工が施されておらず、赤外光を透過しない。すなわち、内周領域223aは赤外光透過領域として機能し、外周領域223bは赤外光不透過領域として機能する。これにより、金属層223、すなわち第2層220が、赤外光透過画像に表れる赤外光模様の一部を形成することになる。」との記載からも裏付けられる。 エ さらに、「非可視光」の実施例である赤外線は電磁波の一種であるから、金属層を透過しないことは、技術常識から理解できるし、「非可視光」の実施例である赤外線を透過しない金属も想定できる。 オ よって、請求項11の記載に何ら不明確なところはない。 (3-7)申立理由4-3-7について ア 請求項12が請求項11を引用するところ、上記(3-6)のとおり、「偽造防止構造体」の「第1層」は、非可視光の透過の如何を、「金属層」の加工の有無により特定していることからすれば、「透過しない」とは“透過率0%”との意味で、「透過する」とは“透過率が100%”との意味と解される。 イ さらに、「非可視光」の実施例である赤外線は電磁波の一種であるから、金属層を透過しないことは、技術常識から理解できるし、「非可視光」の実施例である赤外線を透過しない金属も想定できる。 ウ よって、請求項12の記載に何ら不明確なところはない。 (3-8)申立理由4-3-8について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項13は、削除された。 イ これにより、申立理由4-3-8について、請求項13に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 (3-9)申立理由4-3-9について ア 本件訂正請求により、特許請求の範囲の請求項14は、削除された。 イ これにより、申立理由4-3-8について、請求項14に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 (3-10)申立理由4-3-10について ア 請求項15は、可視光の波長範囲内の特定の波長の光を“透過せず”、非可視光の波長範囲の特定の波長の光を“透過する”ことを特定しており、可視光の波長範囲と非可視光の波長範囲とは異なるものであることから、フィルタ層を透過しない可視光の波長と透過する非可視光の波長とは明確に区別することができる。 イ よって、請求項15の記載に何ら不明確なところはない。 (3-11)申立理由4-3-11について 上記(3-6)と同様の理由により、請求項16の記載に何ら不明確なところはない。 (3-12)申立理由4-3-12について 上記(3-10)と同様の理由により、請求項17の記載に何ら不明確なところはない。 (4)小括 したがって、申立理由4によって、本件訂正特許発明1乃至29を取り消すことができない。 6 申立理由5(実施可能要件) (1)本件訂正により、特許請求の範囲の請求項は、 「【請求項11】 紙葉類の偽造を防止するための偽造防止構造体であって、 所定波長を有する非可視光の透過率が異なる複数の領域によって所定のデザインが形成された、可視光を透過しない第1層と、 前記第1層より上側に設けられ、前記第1層のデザインと異なるデザインが目視可能に形成された、可視光及び前記非可視光を透過しない金属層を含むホログラムである第2層と を備え、 前記偽造防止構造体を可視光下で見たときに前記第1層のデザインを目視できず、かつ、前記金属層に、前記非可視光を透過する加工が施されていることにより、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの透過画像を取得可能である ことを特徴とする偽造防止構造体。」 「【請求項12】 前記金属層は、前記非可視光を透過する加工が施された領域と、前記加工が施されていない領域とを含むことを特徴とする請求項11に記載の偽造防止構造体。」 「【請求項16】 前記第1層は、ホログラムを形成する金属層であり、 前記第2層は、前記ホログラムを形成する再生層であり、 前記金属層に前記非可視光を透過する加工を施した領域と、前記加工を施していない領域とによって、前記第1層の所定のデザインが形成される ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。」 「【請求項17】 前記可視光を透過せずかつ前記非可視光を透過するフィルタ層 をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の偽造防止構造体。 【請求項18】 前記非可視光は赤外光であることを特徴とする請求項1~7、11、12、15~17のいずれか1項に記載の偽造防止構造体。 【請求項19】 請求項1~7、11、12、15~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を備え、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能であることを特徴とする紙葉類。 【請求項20】 前記偽造防止構造体を備える紙幣であることを特徴とする請求項19に記載の紙葉類。 【請求項21】 請求項1~7、11、12、15~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を有し、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能な紙葉類に非可視光を照射する光源と、 前記紙葉類を透過した非可視光のデータを取得する透過用センサと、 前記透過用センサが取得した非可視光透過データと予め準備された基準データとを比較することにより前記紙葉類の真偽を判別する判別部と を備える ことを特徴とする真偽識別装置。 【請求項22】 請求項21に記載の真偽識別装置 を備え、 前記真偽識別装置による識別結果に基づいて紙葉類を処理することを特徴とする紙葉類処理装置。 【請求項23】 紙葉類の真偽を機械識別する真偽識別方法であって、 請求項1~7、11、12、15~18のいずれか1項に記載の偽造防止構造体を有し、前記偽造防止構造体に前記非可視光を照射したときに前記第1層のデザインの前記透過画像を取得可能な紙葉類に非可視光を照射する工程と、 前記紙葉類を透過した非可視光のデータを取得する工程と、 取得した非可視光透過データと予め準備された基準データとを比較することにより前記紙葉類の真偽を識別する工程と を含むことを特徴とする真偽識別方法。」 と訂正された。 (2)本件訂正特許発明11に関連して、本件訂正明細書には、以下の通り記載されている。 「【0070】 図6に示すように、第2層220のホログラムは、記録された像を再生する再生層221と、再生層221に進入した可視光を反射するための金属層222とを含む。再生層221は、可視光及び赤外光を透過する。金属層222は可視光及び赤外光を透過しない金属材料で形成されているが、金属層222に、上下方向に貫通した微細孔を多数形成することで赤外光を透過するようになっている。図6に示すように、第2層220がホログラムである場合も、第2層220の全域に、赤外光を透過する微細孔加工を施すことで、図3に示す3種類の画像を得ることができる。 … 【0072】 図7は、第2層220がホログラムである偽造防止構造体1の他の構造を説明するための模式図である。図7に示すように、第2層220のホログラムに含まれる金属層223は、内周領域223aと外周領域223bの2つの領域に分かれている。内周領域223aには図6に示した金属層222と同様に多数の微細孔加工が施され、赤外光を透過するようになっている。一方、外周領域223bには微細孔加工が施されておらず、赤外光を透過しない。すなわち、内周領域223aは赤外光透過領域として機能し、外周領域223bは赤外光不透過領域として機能する。これにより、金属層223、すなわち第2層220が、赤外光透過画像に表れる赤外光模様の一部を形成することになる。」 「【0078】 金属層310は、赤外光を透過しない赤外光不透過領域310aと、赤外光を透過する赤外光透過領域310bとを含む。図7に示したホログラムと同様に、微細孔加工が施されていない領域が赤外光不透過領域310aで、赤外光を透過するように微細孔加工が施された領域が赤外光透過領域310bである。図8に示すように、金属層310には、赤外光不透過領域310aと赤外光透過領域310bとによって、図1(d)に示す赤外光模様が形成されている。すなわち、ホログラム300の金属層310は、赤外光模様を形成する第1層として機能する。 … 【0080】 このように、第1層及び第2層がホログラム300である場合も、第1層として機能する金属層310の一部に微細孔加工を施して赤外光模様を形成すると共に、ホログラム300の下側にフィルタ層400を設けることで、図3に示す3種類の画像を得ることができる。具体的には、図8に示すように、再生層320及び金属層310から成るホログラム300により、図3と同様の可視光反射画像21が得られる。また、金属層310により図3と同様の赤外光透過画像11が得られ、フィルタ層400により図3と同様の可視光透過画像22が得られる。可視光下で、偽造防止構造体1を表側から見る際には可視光反射画像21と同じ内容が目視確認され、裏側から見る際には可視光透過画像22と同じ内容が目し確認されることになる。」 (3)してみると、本件訂正特許発明11の「非可視光を透過する加工が施され」ている「金属層」及び本件訂正特許発明16の「非可視光を透過する加工を施した領域と、前記加工を施していない領域とによって、前記第1層の所定のデザインが形成される」「金属層」は、可視光も透過することが理解できる。 (4)そうすると、本件訂正特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、本件訂正特許発明11及び16並びに、本件訂正特許発明11を引用する本件訂正特許発明12、本件訂正特許発明16を引用する本件訂正特許発明17乃至23を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。 (5)小括 したがって、申立理由5によって、本件訂正特許発明10乃至12、16乃至23を取り消すことができない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1乃至7、11乃至12、15乃至29に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1乃至7、11乃至12、15乃至29に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項8乃至10、13、14は、本件訂正請求により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議申立てについて、請求項8乃至10、13、14に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701252

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