特許異議申立
2023-701207
補助操作パネル及び包装関連装置
- 審判番号
- 2023-701207
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-049044
- 登録番号
- 7276819
- 請求日
- 2023年11月15日
- 審決日
- 2024年02月28日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社川島製作所
- 【権利者代理人】金山 聡
- 【異議申立人】並木 晶子
- 審判長/審判官
- 審判長 金丸 治之
- 審判官 山崎 勝司
- 審判官 稲葉 大紀
- 分類
- P1651.121-Y (B65B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7276819号発明「補助操作パネル及び包装関連装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7276819号の請求項1~8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7276819号の請求項1~8に係る特許についての出願は、平成31年3月15日に出願され、令和5年5月10日にその特許権の設定登録がされ、令和5年5月18日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和5年11月15日に特許異議申立人並木晶子(以下「申立人」という。)により、本件特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
特許第7276819号の請求項1~8の特許に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」といい、その他の請求項に係る発明も同様に称する。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
包装関連装置本体と、該包装関連装置本体を制御する演算制御部を有する包装関連装置制御部を収納する制御ボックスと、枠体と、前記包装関連装置本体を操作するための主操作パネルを備えた包装関連装置に使用される補助操作パネルであって、
前記包装関連装置本体は、前記制御ボックスと前記枠体で形成する空間内に収納されて、特定の調整機器を含む調整機器を備え、
前記包装関連装置制御部は、前記包装関連装置が生産する製品毎に前記調整機器の設定値を、前記特定の調整機器の設定値が前記特定の調整機器以外の調整機器の設定値と識別して表示できるように記憶した設定値記憶手段を備え、
前記主操作パネルは、前記制御ボックスの上部又は前記包装関連装置本体の上方であって前記特定の調整機器から離れた位置に取り付けられて、前記設定値記憶手段に記憶された設定値を表示する第1の表示手段を備え、
前記補助操作パネルは、
前記制御ボックスの上部又は前記包装関連装置本体の上方の前記主操作パネルから離れた位置であって、前記特定の調整機器の近傍に取り付けられ、
前記設定値記憶手段に記憶された設定値のうち前記特定の調整機器の設定値を表示する第2の表示手段を備え、
前記補助操作パネルは、前記主操作パネルとは独立して操作できることを特徴とする補助操作パネル。
【請求項2】
前記包装関連装置は縦ピロー包装機であり、前記特定の調整機器の設定値は、巻取り包材の左右方向の位置決めを行う位置決め部材の位置、日付印字装置の左右方向の位置、日付印字送り方向位置調整ローラの位置のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の補助パネル。
【請求項3】
前記包装関連装置は横ピロー包装機であり、前記特定の調整機器の設定値は、テンションローラの角度と距離を含むことを特徴とする請求項1記載の補助パネル。
【請求項4】
前記補助操作パネルは、前記主操作パネルが故障したときに、前記包装関連装置本体が生産を継続するために前記包装関連装置本体を操作する機能を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載した補助パネル。
【請求項5】
包装関連装置本体と、該包装関連装置本体を制御する演算制御部を有する包装関連装置制御部を収納する制御ボックスと、枠体と、前記包装関連装置本体を操作するための主操作パネルと、該主操作パネルを補助する補助操作パネルを備えた包装関連装置であって、
前記包装関連装置本体は、前記制御ボックスと前記枠体で形成する空間内に収納されて、特定の調整機器を含む調整機器を備え、
前記包装関連装置制御部は、前記包装関連装置が生産する製品毎に前記調整機器の設定値を、前記特定の調整機器の設定値が前記特定の調整機器以外の調整機器の設定値と識別して表示できるように記憶した設定値記憶手段を備え、
前記主操作パネルは、前記制御ボックスの上部又は前記包装関連装置本体の上方であって前記特定の調整機器から離れた位置に取り付けられて、前記設定値記憶手段に記憶された設定値を表示する第1の表示手段を備え、
前記補助操作パネルは、
前記制御ボックスの上部又は前記包装関連装置本体の上方の前記主操作パネルから離れた位置であって、前記特定の調整機器の近傍に取り付けられ、
前記設定値記憶手段に記憶された設定値のうち前記特定の調整機器の設定値を表示する第2の表示手段を備え
前記補助操作パネルは、前記主操作パネルとは独立して操作できることを特徴とする包装関連装置。
【請求項6】
前記包装関連装置は縦ピロー包装機であり、前記特定の調整機器の設定値は、巻取り包材の左右方向の位置決めを行う位置決め部材の位置、日付印字装置の左右方向の位置、日付印字送り方向位置調整ローラの位置のいずれかを含むことを特徴とする請求項5記載の包装関連装置。
【請求項7】
前記包装関連装置は横ピロー包装機であり、前記特定の調整機器の設定値は、テンションローラの角度と距離を含むことを特徴とする請求項5記載の包装関連装置。
【請求項8】
前記補助操作パネルは、前記主操作パネルが故障したときに、前記包装関連装置本体が生産を継続するために前記包装関連装置本体を操作する機能を備えたことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載した包装関連装置。」
第3 申立理由の概要
(進歩性)申立人は、主たる証拠として特開2011-42394号公報(以下「甲1」という。)及び従たる証拠として国際公開第2013/154641号(以下「甲2」という。)、特許庁意匠課が2016年7月15日に受け入れた(公知日2016年10月5日、更新日2018年6月22日)(株)東京自働機械製作所発行の総合カタログの第5ページ所載の製品番号ARZD1の包装機の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC2800980000号)(以下「甲3」という。)、特開2009-279863号公報(以下「甲4」という。)、特開2013-107652号公報(以下「甲5」という。)及び特開平11-142410号公報(以下「甲6」という。)を提出し、請求項1~8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~8に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
第4 当審の判断
1 甲1に記載された事項・発明
甲1の【0015】、【0037】~【0041】、【0043】~【0045】、図6、図10に記載された事項を総合し、操作パネルに着目すると、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「製品供給部10、胴巻き・後ろ小口折り部20、前小口折り部30、下部フラップ折り部40、上部フラップ折り部50、積上げ排出部60の各部が設けられ、
胴巻き・後ろ小口折り部20と交叉するように、包装紙供給部70から包装紙が供給され、
製品1Aの長さ寸法Lに合わせて位置調整されるアジャスト部材として、供給部サイドガイド12、可動折りガイド27、固定折り上ガイド31、固定折り下ガイド32、右サイド糊ガン51、左サイド糊ガン52、積上げエレベータ53の昇降台54、積上げエレベータ53のサイドガイド55があり、これらの構成要素の間隔を製品1Aの長さ寸法Lに合わせて調整するために、製品長さ対応アジャストモータ110(製品長AJモータ)が組み込んである包装装置の操作パネル100であって、
包装装置は、制御部101を備え、
各アジャストモータとこれら操作パネル100および制御部101は、各アジャスト部材を一括して調整する主調整手段を構成し、
操作パネル100からは、各アジャスト部材の位置調整に必要な各種データがあらかじめ入力され、制御部101は、コンピュータで構成され、操作パネル100から入力されたデータに基づき、製品長さ対応アジャストモータ110、製品高さ対応アジャストモータ120、製品幅対応アジャストモータ130、紙位置設定アジャストモータ140、紙幅対応アジャストモータ150、紙長さ対応アジャストモータ160、紙ストッパ位置設定アジャストモータ170、右糊位置設定アジャストモータ180、左糊位置設定アジャストモータ190を駆動制御し、
駆動制御は、操作パネル100からユーザによる位置制御指令が入力されたとき実行され、
各アジャストモータ110他には、個別に操作可能な操作ボタン111、121、131、141、151、161、171、181、191(個別操作具)が各々設けてあり、これら各アジャストモータ110他と各操作ボタン111他は、主調整手段よりも微調整可能な副調整手段を構成し、各操作ボタン111他は、位置調整対象となるアジャスト部材の近傍位置に設けられ、アジャスト部材の動きを目視観察しながら位置調整ができ、
制御部101による自動制御では調整が画一的となり、主調整手段により各アジャスト部材の位置調整を実行した後、必要に応じてユーザが操作ボタン111他の操作をすることで、各アジャストモータ110他を個別に駆動して、当該モータに連結されたアジャスト部材を個別に微調整できるようになっていて、
各操作ボタン111他の近傍には各アジャスト部材の現在の調整位置や設定位置(原点からの位置)に関する数値データを表示する位置表示器112、122、132、142、152、162、172、182、192が各々併設してあり、ユーザはこれら表示を確認しながら各アジャスト部材を微調整することができる、操作パネル100。」
2 甲2に記載された事項
甲2には、次の事項が記載されている。
[図:0001407876000001.jpg]
[図:0001407876000002.jpg]
[図:0001407876000003.jpg]
[図:0001407876000004.jpg]
[図:0001407876000005.jpg]
「
[図:0001407876000006.jpg]
[図:0001407876000007.jpg]
」
3 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
(1) 甲1発明との対比・判断
ア 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明の「制御部101」、「操作パネル100」、「位置表示器112、122、132、142、152、162、172、182、192」は、それぞれ、本件発明1の「包装関連装置制御部」、「主操作パネル」、「第2の表示手段」に相当する。
また、甲1発明の「制御部101」が、演算制御を行う制御部を備えることは明らかなので、甲1発明の「制御部101」が本件発明1の「演算制御部」を備えるものである。
甲1発明の「製品供給部10、胴巻き・後ろ小口折り部20、前小口折り部30、下部フラップ折り部40、上部フラップ折り部50、積上げ排出部60の各部が設けられ、
胴巻き・後ろ小口折り部20と交叉するように、包装紙供給部70から包装紙が供給され、
製品1Aの長さ寸法Lに合わせて位置調整されるアジャスト部材として、供給部サイドガイド12、可動折りガイド27、固定折り上ガイド31、固定折り下ガイド32、右サイド糊ガン51、左サイド糊ガン52、積上げエレベータ53の昇降台54、積上げエレベータ53のサイドガイド55があり、これらの構成要素の間隔を製品1Aの長さ寸法Lに合わせて調整するために、製品長さ対応アジャストモータ110(製品長AJモータ)が組み込んである包装装置」は、包装に関連する装置本体をなすといえ、本件発明1の「包装関連装置本体」に相当する。
甲1発明の「包装装置」、「制御部101」、「操作パネル100」、「操作ボタン111、121、131、141、151、161、171、181、191(個別操作具)」、「位置表示器112、122、132、142、152、162、172、182、192」は、包装装置の全体をなすもので、本件発明1の「包装関連装置」に相当する。
さらに、甲1発明の「製品1Aの長さ寸法Lに合わせて位置調整されるアジャスト部材として、供給部サイドガイド12、可動折りガイド27、固定折り上ガイド31、固定折り下ガイド32、右サイド糊ガン51、左サイド糊ガン52、積上げエレベータ53の昇降台54、積上げエレベータ53のサイドガイド55」は、その機能からみて、本件発明1の「特定の調整機器」に相当する。そうすると、甲1発明の装置の態様と、本件発明1の「前記包装関連装置本体は、前記制御ボックスと前記枠体で形成する空間内に収納されて、特定の調整機器を含む調整機器を備え、」る態様とは、「前記包装関連装置本体は、特定の調整機器を含む調整機器を備え」る態様の限りで一致する。
甲1発明の「各アジャストモータ110他には、個別に操作可能な操作ボタン111、121、131、141、151、161、171、181、191(個別操作具)が各々設けてあり、これら各アジャストモータ110他と各操作ボタン111他は、主調整手段よりも微調整可能な副調整手段を構成し、各操作ボタン111他は、位置調整対象となるアジャスト部材の近傍位置に設けられ、アジャスト部材の動きを目視観察しながら位置調整ができ」、「各操作ボタン111他の近傍には各アジャスト部材の現在の調整位置や設定位置(原点からの位置)に関する数値データを表示する位置表示器112、122、132、142、152、162、172、182、192が各々併設してあり、ユーザはこれら表示を確認しながら各アジャスト部材を微調整することができる」ことと、本件発明1の「包装関連装置に使用される補助操作パネルであって」、「前記補助操作パネルは、前記制御ボックスの上部又は前記包装関連装置本体の上方の前記主操作パネルから離れた位置であって、前記特定の調整機器の近傍に取り付けられ、前記設定値記憶手段に記憶された設定値のうち前記特定の調整機器の設定値を表示する第2の表示手段を備え、前記補助操作パネルは、前記主操作パネルとは独立して操作できること」とは、「包装関連装置に使用される補助操作手段であって」、「前記補助操作手段は、前記特定の調整機器の近傍に取り付けられ、前記設定値記憶手段に記憶された設定値のうち前記特定の調整機器の設定値を表示する第2の表示手段を備え、前記補助操作手段は、前記主操作パネルとは独立して操作できる」限りで一致する。
甲1発明の「制御部101は、コンピュータで構成され、操作パネル100から入力されたデータに基づき、製品長さ対応アジャストモータ110、製品高さ対応アジャストモータ120、製品幅対応アジャストモータ130、紙位置設定アジャストモータ140、紙幅対応アジャストモータ150、紙長さ対応アジャストモータ160、紙ストッパ位置設定アジャストモータ170、右糊位置設定アジャストモータ180、左糊位置設定アジャストモータ190を駆動制御」することは、本件発明1の「演算制御部」が「該包装関連装置本体を制御する」ことに相当する。
また、甲1発明の「操作パネル100からは、各アジャスト部材の位置調整に必要な各種データがあらかじめ入力され」ているので、記憶手段を有することは明らかであり、甲1発明と、本件発明1の「前記包装関連装置制御部は、前記包装関連装置が生産する製品毎に前記調整機器の設定値を、前記特定の調整機器の設定値が前記特定の調整機器以外の調整機器の設定値と識別して表示できるように記憶した設定値記憶手段」とは、「前記包装関連装置制御部は、前記包装関連装置が生産する製品毎に、前記特定の調整機器の設定値を記憶した設定値記憶手段」との限りで一致する。
以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「包装関連装置本体と、該包装関連装置本体を制御する演算制御部を有する包装関連装置制御部と、前記包装関連装置本体を操作するための主操作パネルを備えた包装関連装置に使用される補助操作手段であって、
前記包装関連装置本体は、特定の調整機器を含む調整機器を備え、
前記包装関連装置制御部は、前記包装関連装置が生産する製品毎に前記特定の調整機器の設定値を記憶した設定値記憶手段を備え、
前記補助操作手段は、
前記特定の調整機器の近傍に取り付けられ、
前記設定値記憶手段に記憶された設定値のうち前記特定の調整機器の設定値を表示する第2の表示手段を備え、
前記補助操作手段は、前記主操作パネルとは独立して操作できる、補助操作手段。」
【相違点1】
主操作パネルについて、本件発明1は、「前記制御ボックスの上部又は前記包装関連装置本体の上方であって前記特定の調整機器から離れた位置に取り付けられて、前記設定値記憶手段に記憶された設定値を表示する第1の表示手段を備え」ているのに対して、甲1発明は、「操作パネル」の取り付け位置や「操作パネル」が表示すること及びその具体的な態様は不明である点。
【相違点2】
補助操作手段について、本件発明1は、「補助操作パネル」とされ、「前記制御ボックスの上部又は前記包装関連装置本体の上方の前記主操作パネルから離れた位置であ」るのに対して、甲1発明は、「個別に操作可能な操作ボタン111、121、131、141、151、161、171、181、191(個別操作具)」と「各操作ボタン111他の近傍には各アジャスト部材の現在の調整位置や設定位置(原点からの位置)に関する数値データを表示する位置表示器112、122、132、142、152、162、172、182、192が各々併設して」いるものであり、主操作パネルとの位置関係については明らかではない点。
【相違点3】
本件発明1は、「包装関連装置制御部を収納する制御ボックスと、枠体」とを備えていて、「前記包装関連装置本体は、前記制御ボックスと前記枠体で形成する空間内に収納されて」いるのに対して、甲1発明は、その点不明である点。
【相違点4】
「前記包装関連装置制御部は、前記特定の調整機器の設定値を記憶した設定値記憶手段」であることについて、本件発明1では、「前記包装関連装置制御部は、前記包装関連装置が生産する製品毎に前記調整機器の設定値を、前記特定の調整機器の設定値が前記特定の調整機器以外の調整機器の設定値と識別して表示できるように記憶した設定値記憶手段」であるのに対し、甲1発明では、「操作パネル100からは、各アジャスト部材の位置調整に必要な各種データがあらかじめ入力され」ているものではあるが、「前記特定の調整機器の設定値が前記特定の調整機器以外の調整機器の設定値と識別して表示できるように記憶」するものとして特定されていない点。
以下に上記相違点について検討するが、相違点1及び相違点2は相互に関連するのでまとめて検討する。
本件発明1は、「主操作パネル」を「前記制御ボックスの上部又は前記包装関連装置本体の上方であって前記特定の調整機器から離れた位置に取り付け」、「前記設定値記憶手段に記憶された設定値を表示する第1の表示手段を備え」る一方、「補助操作パネル」を「前記制御ボックスの上部又は前記包装関連装置本体の上方の前記主操作パネルから離れた位置であって」、「前記設定値記憶手段に記憶された設定値のうち前記特定の調整機器の設定値を表示する第2の表示手段を備え」ることにより、包装関連装置において、操作パネルから離れた位置にある特定の調整機器の近傍に設けた表示装置に特定の調整機器の設定値を表示して、特定の調整機器の設定・調整作業を行うに際し、操作パネルとは独立して表示装置が操作できるようにし、特定の調整機器の設定・調整作業の効率化を図ることができるものである(【0005】)。
これに対して、甲1発明は、「各アジャストモータ110他には、個別に操作可能な操作ボタン111、121、131、141、151、161、171、181、191(個別操作具)が各々設け」られ、「各操作ボタン111他の近傍には各アジャスト部材の現在の調整位置や設定位置(原点からの位置)に関する数値データを表示する位置表示器112、122、132、142、152、162、172、182、192が各々併設してあり、ユーザはこれら表示を確認しながら各アジャスト部材を微調整することができる」ものであるものの、甲1発明の「操作ボタン」及び「位置表示器」は、本件発明1の「補助操作パネル」のようにパネルの形態をなすものでもない。
また、「操作パネル」の取り付け位置が不明なため、「操作パネル」と、調整機器、「操作ボタン」及び「位置表示器」の位置関係は不明であり、さらに調整機器に「位置表示器112、122、132、142、152、162、172、182、192が各々併設」されていることからすると、「操作パネル」に設定値を表示することが自明とまではいえない。
申立人は、甲2のHMI画面38を主操作パネル、オペレータインターフェース35iを補助操作パネルとしているが、オペレータインターフェース35iは緊急停止336、サイクル開始/停止37、リセット38及び手動クリップ39を含むものであるから([0089])、主操作パネルといえるし、第2の緊急停止36及び診断情報を表示するためのHMI画面38を含むとしている電気ボックス35が、補助操作パネルといえるものであるから、この点で、甲1発明に甲2に記載された事項を適用して、相違点1及び相違点2に係る本件発明1の特定事項とすることはできない。
さらに、申立人は、甲1発明と甲3に記載された装置は同様の包装機としているが、同じものであるといえる根拠がない。
そして、「特定の調整機器を含む調整機器」のうち、「特定の調整機器」の近傍に取り付けられ、「前記設定値記憶手段に記憶された設定値のうち前記特定の調整機器の設定値を表示する第2の表示手段を備え」る点は、甲1~甲6のいずれにも記載されていないし、技術常識といえる証拠もない。
以上のとおりであるから、上記相違点1及び2に係る本件発明1の発明特定事項を甲1発明において採用することは、当業者が容易に想到し得たものでない。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~4及び本件発明5~8について
本件発明2~4は、本件発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記アで検討したのと同じ理由により、本件発明2~4は、甲1発明及び甲2~6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明5及び本件発明5を引用する本件発明6~8と甲1発明との対比においても、少なくとも、上記相違点1及び2で相違しているので、上記アで検討したことと同様に、本件発明5及び本件発明5を引用する本件発明6~8は、当業者が容易に発明することができたものではない。
第5 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701207