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特許異議申立

2025-700743

コネクタ

審判番号
2025-700743
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-015254
登録番号
7620272
請求日
2025年07月18日
審決日
2025年09月30日
公報発行日
2025年10月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社ジェイ・エム・エス
  • 【権利者代理人】弁理士法人池内アンドパートナーズ
  • 【権利者】学校法人 久留米大学
  • 【権利者代理人】弁理士法人池内アンドパートナーズ
  • 【権利者】MDI株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人池内アンドパートナーズ
  • 【異議申立人】出川 栄一郎
審判長/審判官
  • 審判長 栗山 卓也
  • 審判官 土田 嘉一
  • 審判官 立花 啓
分類
P1651.537-Y (A61M) / P1651.121-Y (A61M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7620272号発明「コネクタ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7620272号の請求項1~9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7620272号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願(特願2021-15254号)は、令和3年2月2日の出願であって、令和7年1月15日にその特許権の設定登録がされ、同年同月23日に特許掲載公報が発行された。 その後、同年7月18日に特許異議申立人 出川 栄一郎(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれを「本件発明1」~「本件発明9」といい、まとめて「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 柔軟な中空の導光性チューブの基端に設けられたコネクタであって、 前記コネクタは、中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備え、 前記導光性チューブは、前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されており、 前記筒部材が、筒本体と、前記筒本体に挿入された中空の導光管とを備え、 前記導光管が導光性材料で構成されており、 前記筒部材は、前記筒部材の先端に入射した光を、前記筒部材を通過して前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されていることを特徴とするコネクタ。 【請求項2】 前記導光管は、前記導光性チューブの前記基端面に対向する光出射端面を備える請求項1に記載のコネクタ。 【請求項3】 柔軟な中空の導光性チューブの基端に設けられたコネクタであって、 前記コネクタは、中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備え、 前記導光性チューブは、前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されており、 前記筒部材の全体が導光性材料で構成されており、 前記筒部材は、前記筒部材の先端に入射した光を、前記筒部材を通過して前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されていることを特徴とするコネクタ。 【請求項4】 前記筒部材は、前記導光性チューブの前記基端面に対向する光出射端面を備える請求項3に記載のコネクタ。 【請求項5】 前記導光性チューブに、前記基端面に向かって縮径又は拡径するテーパ形状が設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載のコネクタ。 【請求項6】 前記筒部材を貫通する流路を規定する内周面に、前記導光性チューブの前記基端面に向かって縮径又は拡径するテーパ面が設けられている請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクタ。 【請求項7】 前記筒部材を貫通する流路の前記筒部材の先端での開口径は、前記導光性チューブの内径と異なる請求項1~6のいずれか一項に記載のコネクタ。 【請求項8】 前記コネクタは、前記筒部材を取り囲む外筒と、前記外筒の前記筒部材に対向する内周面に設けられた雌ネジとを更に備える請求項1~7のいずれか一項に記載のコネクタ。 【請求項9】 柔軟な中空の導光性チューブの基端にコネクタが設けられた医療用チューブであって、前記コネクタが請求項1~8のいずれか一項に記載のコネクタである医療用チューブ。」 第3 特許異議申立理由の概要 令和7年7月18日に申立人が提出した特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 1 申立理由1(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が次の申立理由1-1~申立理由1-4の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (1)申立理由1-1 本件発明の解決しようとする課題は「チューブに設けられたコネクタにおいて、従来のコネクタとの互換性を確保しながら、チューブの径に関して選択の自由度を向上させること」であり、「チューブの径に関して選択の自由度を向上させる」という課題を解決するための手段は、導光管、導光性チューブ又は流路に「テーパ形状」が設けられることである。 しかし、請求項1~4及び7~9には、当該手段が反映されていないから、本件発明1~4及び7~9は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 (2)申立理由1-2 本件発明の解決しようとする課題は「チューブに設けられたコネクタにおいて、従来のコネクタとの互換性を確保しながら、チューブの径に関して選択の自由度を向上させること」であり、「従来のコネクタとの互換性を確保」するという課題を解決するための手段は、導光管又は流路の先端開口径を「既存オスコネクタの流路の先端開口径と同じ」にすることである。 しかし、請求項1~9には、当該手段が反映されていないから、本件発明1~9は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 (3)申立理由1-3 請求項3又は4を引用する請求項5に係る発明の事項、すなわち、「前記筒部材の全体が導光性材料で構成されており」(請求項3)、かつ、「前記導光性チューブに、前記基端面に向かって縮径又は拡径するテーパ形状が設けられている」(請求項5)という事項は、本件明細書に記載も示唆もされていないから、本件発明5は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 (4)申立理由1-4 請求項1又は2を引用する請求項6に係る発明の事項、すなわち、「前記筒部材が、筒本体と、前記筒本体に挿入された中空の導光管とを備え」(請求項1)、かつ、「前記筒部材を貫通する流路を規定する内周面に、前記導光性チューブの前記基端面に向かって縮径又は拡径するテーパ面が設けられている」(請求項6)という事項は、本件明細書に記載も示唆もされていないから、本件発明6は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 2 申立理由2(進歩性) 本件発明1~4、6、8及び9は、次の申立理由2-1及び2-2のとおり、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 甲第1号証:特開2013-198644号公報 甲第2号証:国際公開第2018/221441号 甲第3号証:国際公開第2018/003923号 甲第4号証:米国特許第4567882号明細書 甲第5号証:特開2009-273652号公報 なお、甲第1号証~甲第5号証を、以下それぞれ「甲1」~「甲5」という。 (1)申立理由2-1(主引例は甲1) 本件発明1~4、8及び9は、甲1に記載された発明、並びに甲2及び甲3に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件発明6は、甲1及び甲3に記載された発明、並びに甲2及び甲3に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)申立理由2-2(主引例は甲4) 本件発明1、2及び9は、甲4、甲1及び甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件発明3及び4は、甲4及び甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件発明6は、甲4、甲1、甲5及び甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件発明8は、甲4、甲1及び甲5に記載された発明、並びに甲2及び甲3に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 本件明細書の記載事項 本件明細書には、以下の記載がある。なお、下線は当審において付し、「・・・」は記載の省略を示す(以下同様)。 「【背景技術】 ・・・ 【0003】 特許文献1には、予め光ファイバーを挿入したチューブを患者に挿入し、光ファイバーの先端から放射される光を体外から観察することにより、チューブ先端位置を確認する方法が記載されている。この方法では、チューブを患者に挿入した後、チューブを介して栄養剤を胃に送り込むより前に、光ファイバーをチューブから引き抜く必要がある。・・・このため、特許文献1の方法は、最初にチューブを患者に挿入するときにのみ使用可能であり、その後の、チューブ先端位置の定期的な確認には使用することができないという課題を有している。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 経管栄養では栄養剤が貯留された容器から胃までの流路を形成するために、チューブの基端にはコネクタを設ける必要がある。コネクタは、従来の経管栄養で使用されているコネクタと互換性を有することが望まれる。光をチューブに入射させるためにチューブの基端面がコネクタの先端と略同一面になるように構成した場合、当該チューブの内径を、従来のコネクタの流路の開口径に一致させる必要がある。これは、チューブの内径に関して選択の自由度を狭める。 【0007】 本発明の第1の目的は、チューブを患者に挿入した後、チューブの先端の位置をいつでも安全に確認することを可能にすることにある。本発明の第2の目的は、チューブに設けられたコネクタにおいて、従来のコネクタとの互換性を確保しながら、チューブの径に関して選択の自由度を向上させることにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明のコネクタは、柔軟な中空の導光性チューブの基端に設けられる。前記コネクタは、中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備える。前記導光性チューブは、前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されている。前記筒部材は、前記筒部材の先端に入射した光を、前記筒部材を通過して前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されている。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、光を筒部材の先端に入射させると、光は筒部材及びチューブを通過し、チューブの先端を発光させることができる。従って、チューブを患者に挿入した後、チューブの先端の位置をいつでも安全に確認することができる。」 「【0023】 (実施形態1) ・・・ 【0024】 ・・・コネクタ1は、その先端(図2A及び図2Bにおいてコネクタ1の上端)側にコネクタ部10を備え、その基端側に基管20を備える。コネクタ部10は、中空筒形状を有する筒部材(オス部材)11と、筒部材11を取り囲む外筒17とを備える。コネクタ部10(または筒部材11)と基管20とは同軸に配置されている。貫通孔が、筒部材11から基管20までコネクタ1の軸に沿ってコネクタ1を貫通している。 【0025】 筒部材11は、中空円筒形状の筒本体12と、筒本体12に挿入された導光管15とを備える。・・・ 【0026】 導光管15は、中空円筒形状を有する。・・・ 【0029】 基管20は、中空筒形状を有し、筒部材11(または導光管15)と連通している。基管20の内周面は、本実施形態では、その内径が軸方向において一定である円筒面である。・・・ 【0030】 柔軟な中空のチューブ30が、基管20に挿入されている。チューブ30の外径は、基管20の内径と略同じである。但し、チューブ30の基端面31の近傍部分(以下、「基端部」という)には、テーパ面25に沿うように、基端面31(または筒部材11)に向かって縮径するテーパ形状32が設けられている。・・・チューブ30は、基管20から、筒部材11とは反対側に向かって導出されている。 ・・・ 【0032】 導光管15は、光が、光入射端面15aから入射し、導光管15を通過して、光出射端面15bから出射することができるように、導光性を有する材料(導光性材料)で構成される。・・・ 【0046】 以上のように、本実施形態1では、コネクタ1の筒部材11が、導光性を有する導光管15を備える。このため、光源78の光を導光管15の光入射端面15aに入射させると、光は、導光管15を通過し、光出射端面15bから出射し、チューブ30の基端面31に入射させることができる。光は、更に、チューブ30を通過して、チューブ30の先端35から出射する。・・・ 【0053】 チューブ30の基端部にテーパ形状を設けるのではなく、導光管15にテーパ形状を設けてもよい。この場合も、流路19の先端開口径を既存オスコネクタの流路の先端開口径と同じにしながら、導光管15の光出射端面15bをチューブ30の基端面31に軸方向に対向させることができる。従って、既存オスコネクタとの互換性を確保しながら、チューブ30の径の選択の自由度を向上させることができる。テーパ形状は、導光管15の全長にわたって設けられていてもよいし、導光管15の全長のうちの一部のみに設けられていてもよい。テーパ形状は、導光管15の内周面及び外周面のうちの一方のみに設けられたテーパ面として設けられていてもよい。」 「【0055】 (実施形態2) ・・・コネクタ2は、実施形態1のコネクタ1の筒部材11に代えて、筒部材211を有する。コネクタ2は、筒部材211と、筒部材211以外の部分(コネクタ本体)との2部品で構成される。筒部材211は、その基端部がフランジ16の中央に設けられた凹部16aに嵌入されることにより、コネクタ本体に一体化されている。貫通孔が、筒部材211から基管20までコネクタ2の軸に沿ってコネクタ2を貫通している。 【0056】 筒部材211は、全体として中空筒形状を有している。筒部材211の内腔は、コネクタ2の流路19を構成する。・・・ 【0059】 光が、光入射端面215a(好ましくは更に先端テーパ面14)から入射し、筒部材211を通過して、光出射端面215bから出射することができるように、筒部材211の全体が導光性を有する材料(導光性材料)で構成される。実施形態1の導光管15に使用しうる導光性材料を、筒部材211の導光性材料として使用しうる。・・・ 【0067】 チューブ30の基端面31は、筒部材211の光出射端面215bに軸方向に対向することが好ましい。光出射端面215bの径(内径及び外径)に対するチューブ30の径(内径及び外径)の大小関係に応じて、筒部材211の流路19を規定する内周面に設けられるテーパ面216は適宜変更されうる。テーパ面216が、光出射端面215bに向かって拡径していてもよい。テーパ面216は、筒部材211の全長にわたって延びている必要はなく、筒部材211の全長の一部のみに設けられていてもよい。あるいは、テーパ216を設けずに、流路19を規定する内周面が、軸方向において径が一定である円筒面であってもよい。 【0068】 流路19の内周面にテーパ面216を設けるのではなく、チューブ30に、実施形態1で説明した、端面31に向かって縮径又は拡径するテーパ形状32を設けてもよい。この場合も、流路19の先端開口径を既存オスコネクタの流路の先端開口径と同じにしながら、筒部材211の光出射端面215bをチューブ30の基端面31に軸方向に対向させることができる。従って、既存オスコネクタとの互換性を確保しながら、チューブ30の径の選択の自由度を向上させることができる。」 第5 甲各号証の記載事項及び引用発明 1 甲1について (1)甲1の記載 甲1には、以下の記載がある。 「【発明を実施するための形態】 【0042】 本発明の第1の実施形態に係る管先端位置確認装置について、図1~図3を参酌しつつ、説明する。同実施形態に係る管先端位置確認装置1は、図1に示すように、液状物を体内に供給し又は体外に導出する管2の先端部3の位置を確認するために設けられている。・・・管先端位置確認装置1は、管2から取り外し可能に構成されている。以下、管2が栄養物を体内に供給する供給管2であるものとして説明する。 【0043】 管先端位置確認装置1は、図1に示すように、体内に挿入される供給管2の先端部3まで導光する導光部4と、導光部4の先端5側に設けられて体内で光を照射可能な照射部6と、導光部4に光を供給するために発光する発光部7と、発光部7の発光を制御する制御部8と、該発光部7及び制御部8を収納する筺体9とを備える。 【0044】 導光部4は、可とう性を有する長尺状の棒材であり、供給管2の先端部3から他方の基端部10までの長さ以上の長さを有する。」 「【0048】 筺体9は、図1又は図3(b)に示すように、導光部4の基端(図3(b)参照)11を接続可能な接続部15と、内部に発光部7及び制御部8を収納する空間を有する筺体本体16とを備える。 【0049】 接続部15は、発光部7から発光される光を導光部4の基端11で受光する光コネクタとして機能する。接続部15は、導光部4の基端11側のみを接続可能に構成されていてもよいが、本実施形態では、供給管2の基端10側も接続されるように構成されている。接続部15は、具体的には、供給管2を嵌め込み可能な穴であり、穴の形状が略円柱状をしている。」 「【0078】 上記実施形態に係る管先端位置確認装置1,17は、導光部4が供給管2に対して取り外し可能である例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図6(a)に示すように、導光部27は、管28の内壁部29に設けられていてもよい。管28は、内壁部29より内側に液状物を供給可能な供給路30を備える。このようにすれば、管28には、導光する導光部27と液状物を供給する供給路30とが常時設けられているため、管28の先端部の位置を確認し終えたあとに、導光部27を抜き取ることが不要となる。更には、管28の先端部の位置を確認し終えたあとすぐに液状物を体内に供給することができるようにもなる。」 【図1】「 [図:0001428038000001.jpg] 」 【図6】(a)「 [図:0001428038000002.jpg] 」 (2)甲1発明 上記(1)を総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「管28の基端側が接続されるように構成された、管28を嵌め込み可能な穴であり、 発光部7から発光される光を管28の内壁部29に設けられた導光部27の基端で受光する光コネクタとして機能する接続部15であって、 管28は、内壁部29より内側に液状物を供給可能な供給路30を備える、 接続部15。」 2 甲2について 甲2には、以下の記載がある。 「背景技術 [0002] 医療の分野において、柔軟なチューブ等を用いて、液状物を流すための流路(回路と呼ばれることもある)が形成される。異なる部材を接続するために、オスコネクタとメスコネクタとからなる接続具が用いられる。」 「[0035] メスコネクタ1は、メス部材10と嵌合するオス部材を備えたオスコネクタに接続される。オスコネクタの一例を図2A~図2Dに示す。図2Aはオスコネクタ100の斜視図、図2Bはオスコネクタ100の断面図、図2Cはオスコネクタ100の側面図、図2Dはオスコネクタ100の正面図である。オスコネクタ100は、一端に棒状のオス部材(嵌合筒)110を備え、他端に接続筒120を備える。 ・・・ [0037] 接続筒120も、全体として中空の略円筒形状を有する。接続筒120は、オス部材110と同軸に配置され、流路114と連通している。接続筒120に、柔軟なチューブ(図示せず)が挿入される。チューブは接続筒120の内周面に、接着剤を介して固定される。」 [図2]「 [図:0001428038000003.jpg] 」 3 甲3について 甲3には、以下の記載がある。 「背景技術 [0002] ・・・患者に液状物を投与する際には、液状物を貯留した容器と、患者に留置されたカテーテル(経鼻カテーテル、PEGカテーテルなど)とが柔軟なチューブ等を介して接続される。異なる部材を接続するために、オスコネクタとメスコネクタとからなる接続具が用いられる。」 「[0027] 図1Aは本発明の実施形態1に係るキャップ30付きコネクタ(オスコネクタ)1の上方から見た斜視図である。図1Bはキャップ30付きコネクタ1の断面斜視図である。図1Bにおいて、一点鎖線1aは、コネクタ1の中心軸である。コネクタ1は、一方の側に、延長チューブや注入器が接続されるコネクタ本体部10を備え、他方の側に、患者に挿入される経鼻カテーテル9の上流端が接続される基端部20を備える。・・・ [0028] 図1Bに示されているように、コネクタ本体部10は、中心軸1aと同軸のオス部材11及び外筒15を有する。・・・ [0029] 基端部20は、オス部材11と同軸に設けられた筒状の接続管21を備える。貫通孔22が、中心軸1aに沿って接続管21を貫通している。貫通孔22は、オス部材11の流路12と連通している。貫通孔22内に、経鼻カテーテル9が挿入され固定されている。」 [図1B]「 [図:0001428038000004.jpg] 」 4 甲4について (1)甲4の記載 甲4には、以下の記載がある。なお、和訳は当審で作成した。 2欄55~59行 「Referring to the drawings, FIGS. 1-4 depict an endotracheal tube 10 having a distal tip portion 11 and a suitable connector 12 at its proximal end. The connector is adapted for connection by conventional means to a source 13 of an oxygen-air mixture.」 (和訳)図面を参照すると、図1~図4は、遠位先端部11と、その近位端の適切なコネクタ12とを有する気管内チューブ10を示す。コネクタは、従来の手段によって酸素・空気混合ガス源13に接続されるように構成されている。 3欄15~19行 「A fiberoptic light conductor 15, which may take the form of a single fiber or a bundle of such fibers of light-transmitting glass or plastic, extends longitudinally through the wall 14 of the tube as shown most clearly in FIGS. 1 and 2.」 (和訳)光ファイバー光導体15は、光透過性ガラス又はプラスチックの単繊維又はそのような繊維の束の形をとることができ、図1及び図2に最も明瞭に示されるように、チューブの壁14を通って長手方向に延びる。 3欄38~40行 「The conductor 15 emerges from connector 12 and extends to a source of high-intensity non-coherent light in the visible range between 4000 to 7700 angstroms. Light source 18 is diagramatically depicted in FIG. 1.」 (和訳)導体15はコネクタ12から出て、4000~7700オングストロームの可視光線範囲にある高強度非コヒーレント光源まで延びる。光源18は図1に模式的に示されている。 3欄56行~4欄5行 「In use, the endotracheal tube is extended through a patient's mouth and into the trachea to provide an airway for lung ventilation. The extent of insertion may be readily ascertained by energizing the light source 18 while conductor 15 is connected thereto. High-intensity light in the visible spectrum is transmitted through the wall of the endotracheal tube by the fiberoptic light conductor 15. Emitter 17, which in the embodiment of FIGS. 1-4 projects beyond a major portion of the distal end surface of the tube, redirects at least a substantial portion of the light laterally with the result that point illumination occurs at the endotracheal tube's distal end. Some of the light projected laterally and passing at generally right angles through the body wall of the patient may be externally received or observed by the naked eye, thereby permitting a qualified medical attendant to determine, and if necessary adjust, the anatomical position of the tip of the tube.」 (和訳)使用時、気管内チューブは患者の口を通って気管内に挿入され、肺の換気のための気道を提供する。挿入の程度は、導体15が光源18に接続された状態で光源18を点灯することによって容易に確認される。可視スペクトルの高強度光は、光ファイバー光導体15によって気管内チューブの壁を通って伝送される。発光体17は、図1~4の実施形態では、チュープの遠位端面の大部分を超えて突出し、光の少なくとも相当部分を横方向に再方向付けし、その結果、気管内チューブの遠位端に点照明が生じる。横方向に投影され、患者の体壁をほぼ直角に通過する光の一部は、外部で受信又は肉眼で観察され、これにより資格のある医療従事者がチューブの先端の解剖学的位置を決定し、必要に応じて調整することを可能にする。 図1~4「 [図:0001428038000005.jpg] 」 図1を参照すると、コネクタ12の、酸素・空気混合ガス源13に接続される近位側の部分(図1上方)と、遠位側の部分(図1下方)は、円筒形であり、同軸である。 また、光ファイバー光導体15は、近位側がコネクタ12から出て高強度非コヒーレント光源18まで延び、遠位側が気管内チューブ10の壁14を通って長手方向に延びる。 (2)甲4発明 上記(1)を総合すると、甲4には次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。 「気管内チューブ10の近位端が有するコネクタ12であって、 酸素・空気混合ガス源13に接続される近位側の円筒形の部分と、酸素・空気混合ガス源13に接続される近位側の円筒形の部分と同軸である遠位側の円筒形の部分とを備え、 光ファイバー光導体15は、近位側がコネクタ12から出て高強度非コヒーレント光源18まで延び、遠位側が気管内チューブ10の壁14を通って長手方向に延び、 可視スペクトルの高強度光は、光ファイバー光導体15によって気管内チューブ10の壁14を通って伝送されるコネクタ12。」 5 甲5について (1)甲5の記載 甲5には、以下の記載がある。 「【0019】 ケーブル5は、内視鏡3と制御部4とを接続し、光および電気信号を伝送するようになっている。したがって、ケーブル5には、光を導光する導光部材である光ファイバ6と、電気信号を伝送する配線9とが備えられている。さらに具体的には、ケーブル5は、その長さ方向の途中位置において着脱可能に接続するための一対のコネクタ13を備えている。 一対のコネクタ13には、図4に示されるように、相互に接続されたときに対向することとなる接続面に、それぞれ対応する位置に配置された光ファイバ6の端面および配線9に接続された接触子9aとが露出している。 【0020】 本実施形態に係るコネクタカバー2は、コネクタ13間に挟まれる挟持部2aと、制御部4側のコネクタ13およびケーブル5を手術室内において被覆するカバー部2bとを備えている。挟持部2aには、図2に示されるように、ケーブル5内の光ファイバ6により導光されてきた照明光を透過させる光学窓14と、ケーブル5内の配線9により伝送されてきた電気信号を受け渡す電気接点15とが備えられている。 【0021】 一対のコネクタ13の接続面間に挟持部2aを挟んでコネクタ13どうしを組み付けることにより、コネクタ13の接続面に露出している光ファイバ6の端面が、挟持部2aの光学窓14の位置に一致し、接触子9aが挟持部2aの電気接点15の位置に一致して接触状態に保持されるようになっている。 【0022】 これにより、一対のコネクタ13を接続することによって、制御部4側の光ファイバ6により導光されてきた照明光が、制御部4側のコネクタ13の接続面に露出する光ファイバ6の端面から射出され、光学窓14を介して内視鏡3側のコネクタ13の接続面に露出する光ファイバ6の端面に入射されるようになっている。」 【図1】「 [図:0001428038000006.jpg] 」 【図4】「 [図:0001428038000007.jpg] 」 (2)甲5記載事項 上記(1)を総合すると、甲5には、次の事項が記載されている(以下「甲5記載事項」という。)。 「光ファイバ6が備えられるケーブル5をその長さ方向の途中位置において着脱可能に接続するための一対のコネクタ13間に挟まれる挟持部2aを備え、 挟持部2aには、ケーブル5内の光ファイバ6により導光されてきた照明光を透過させる光学窓14が備えられ、 一対のコネクタ13の接続面間に挟持部2aを挟んでコネクタ13どうしを組み付けることにより、コネクタ13の接続面に露出している光ファイバ6の端面が、挟持部2aの光学窓14の位置に一致し、 一対のコネクタ13を接続することによって、制御部4側の光ファイバ6により導光されてきた照明光が、制御部4側のコネクタ13の接続面に露出する光ファイバ6の端面から射出され、光学窓14を介して内視鏡3側のコネクタ13の接続面に露出する光ファイバ6の端面に入射されるコネクタカバー2。」 第6 当審の判断 1 申立理由1(サポート要件)について (1)申立理由1-1及び申立理由1-2 (ア)当審の判断 本件明細書の段落【0007】には、本件発明が解決しようとする課題として、「チューブを患者に挿入した後、チューブの先端の位置をいつでも安全に確認することを可能にすること」が記載されている。 また、本件明細書には、当該課題を解決するための手段として、コネクタが筒部材と基管とを備え、導光性チューブが基管から筒部材とは反対側に向かって導出され、筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されていることが記載されている(段落【0008】、【0023】~【0047】、【0055】~【0059】等)。 そして、請求項1及び3には、「前記コネクタは、中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備え、前記導光性チューブは、前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されており」、「前記筒部材は、前記筒部材の先端に入射した光を、前記筒部材を通過して前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されている」ことが記載されている。 そうすると、請求項1及び3には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されているから、本件発明1及び3は、発明の詳細な説明に記載したものである。 また、本件発明1又は3を直接又は間接的に引用する本件発明2、4~9も、同様の理由により、発明の詳細な説明に記載したものである。 (イ)申立人の主張について 特許異議申立書において申立人は、本件発明が解決しようとする課題は、「経管栄養では栄養剤が貯留された容器から胃までの流路を形成するために、チューブの基端にはコネクタを設ける必要がある。コネクタは、従来の経管栄養で使用されているコネクタと互換性を有することが望まれる。光をチューブに入射させるためにチューブの基端面がコネクタの先端と略同一面になるように構成した場合、当該チューブの内径を、従来のコネクタの流路の開口径に一致させる必要がある。これは、チューブの内径に関して選択の自由度を狭める。」(段落【0006】)、「チューブに設けられたコネクタにおいて、従来のコネクタとの互換性を確保しながら、チューブの径に関して選択の自由度を向上させる。」(段落【0007】)ことであり、各請求項に、「チューブの径に関して選択の自由度を向上させる」という課題を解決するための手段(導光管、導光性チューブ又は流路に「テーパ形状」が設けられること)、及び「従来のコネクタとの互換性を確保」するという課題を解決するための手段(導光管又は流路の先端開口径を「既存オスコネクタの流路の先端開口径と同じ」にすること)が反映されていない旨主張している(特許異議申立書10~14ページ)。 しかし、本件明細書の段落【0007】には、発明が解決しようとする課題に関して、第1の目的として、「チューブを患者に挿入した後、チューブの先端の位置をいつでも安全に確認することを可能にすること」、第2の目的として、申立人が本件発明が解決しようとする課題であると主張する「チューブに設けられたコネクタにおいて、従来のコネクタとの互換性を確保しながら、チューブの径に関して選択の自由度を向上させること」が記載されている。 ここで、本件明細書における、背景技術に関する「特許文献1の方法は、最初にチューブを患者に挿入するときにのみ使用可能であり、その後の、チューブ先端位置の定期的な確認には使用することができないという課題を有している」(段落【0006】)との記載、及び、発明の効果に関する「チューブを患者に挿入した後、チューブの先端の位置をいつでも安全に確認することができる」(段落【0009】)との記載等を参酌すると、本件発明が解決しようとする課題は、上記第1の目的である「チューブを患者に挿入した後、チューブの先端の位置をいつでも安全に確認することを可能にすること」である。 そして、上記(ア)のとおり、請求項1及び3には、当該課題を解決するための手段が反映されている。 したがって、当該主張は採用することができない。 (2)申立理由1-3 請求項5には、「前記導光性チューブに、前記基端面に向かって縮径又は拡径するテーパ形状が設けられている」ことが記載されている。 また、請求項5が引用する請求項3には、「前記筒部材の全体が導光性材料で構成されて」いることが記載されている。 ここで、本件明細書の段落【0055】~【0059】等には、実施形態2として、筒部材211の全体が導光性を有する材料(導光性材料)で構成されることが記載され、同じく段落【0068】には、実施形態2において、チューブ30に、端面31に向かって縮径又は拡径するテーパ形状32を設けてもよいことが記載されている。 そうすると、本件明細書には、「前記筒部材の全体が導光性材料で構成されており」(請求項3)、かつ、「前記導光性チューブに、前記基端面に向かって縮径又は拡径するテーパ形状が設けられている」(請求項5)という事項が記載されている。 したがって、本件発明5は、発明の詳細な説明に記載したものである。 (3)申立理由1-4 請求項6には、「前記筒部材を貫通する流路を規定する内周面に、前記導光性チューブの前記基端面に向かって縮径又は拡径するテーパ面が設けられている」ことが記載されている。 また、請求項6が引用する請求項1には、「前記筒部材が、筒本体と、前記筒本体に挿入された中空の導光管とを備え」ていることが記載されている。 ここで、本件明細書の段落【0024】~【0030】等には、実施形態1として、筒部材11が、筒本体12と、筒本体12に挿入された中空の導光管15を備えることが記載され、同じく段落【0053】には、実施形態1において、導光管15にテーパ形状を設けてもよく、テーパ形状は、導光管15の内周面に設けられたテーパ面として設けられていてもよいことが記載されている。 そうすると、本件明細書には、「前記筒部材が、筒本体と、前記筒本体に挿入された中空の導光管とを備え」(請求項1)、かつ、「前記筒部材を貫通する流路を規定する内周面に、前記導光性チューブの前記基端面に向かって縮径又は拡径するテーパ面が設けられている」(請求項6)という事項が記載されている。 したがって、本件発明6は、発明の詳細な説明に記載したものである。 2 申立理由2(進歩性)について (1)申立理由2-1(主引例は甲1) ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「導光部27」が「内壁部29に設けられ」、「内壁部29より内側に液状物を供給可能な供給路30を備える」「管28」は、その機能及び構成からみて、本件発明1の「柔軟な中空の導光性チューブ」に相当する。 甲1発明の「管28の基端側が接続されるように構成された、」「接続部15」と、本件発明1の「柔軟な中空の導光性チューブの基端に設けられたコネクタ」とは、柔軟な中空の導光性チューブの基端を接続するコネクタ、の限りで一致する。 甲1発明の接続部15が「管28の基端側が接続されるように構成された」ことと、本件発明1の「前記導光性チューブは、前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されて」いることとは、前記導光性チューブは、先端側に向かって導出されていること、の限りで一致する。 甲1発明の「発光部7から発光される光を管28の内壁部に設けられた導光部27の基端で受光する光コネクタとして機能する」ことと、本件発明1の「前記筒部材は、前記筒部材の先端に入射した光を、前記筒部材を通過して前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されていること」とは、入射した光を、前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されていること、の限りで一致する。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「柔軟な中空の導光性チューブの基端を接続するコネクタであって、 前記導光性チューブは、先端側に向かって導出されており、 入射した光を、前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているコネクタ。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 本件発明1は、導光性チューブの「基端に設けられた」コネクタであって、「中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備え」、導光性チューブが「前記基管から前記筒部材とは反対側」に向かって導出されており、「前記筒部材が、筒本体と、前記筒本体に挿入された中空の導光管とを備え、前記導光管が導光性材料で構成されており、前記筒部材は、前記筒部材の先端に入射した光を、前記筒部材を通過して」前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているのに対して、甲1発明は、接続部15が管28を嵌め込み可能な穴である点。 (イ)判断 上記相違点1について検討する。 筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているコネクタは、甲2~甲5のいずれにも記載されておらず、周知技術でもない。 また、甲1発明の接続部15は、管28を嵌め込み可能な穴であって、筒部材を備えていないから、甲1発明において、筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているものとする動機もない。 したがって、甲1発明において、上記相違点1に係る本件発明1の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 (ウ)申立人の主張について 特許異議申立書において申立人は、上記相違点1に関連して、甲1発明の液状物を体内に供給するための導光性チューブの端部に、甲2及び甲3に記載されたコネクタを適用した場合、コネクタには液状物のみならず光を通過させる機能が必要となるのは自明であるから、そのような機能をコネクタに持たせるべく、筒部材に中空の導光管を設けて、筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるようにすることは、当業者が容易になし得たことである旨主張している(特許異議申立書26ページ)。 しかし、甲2及び甲3に記載されるように、中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備え、チューブが前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されているコネクタが周知技術であるとしても、当該周知技術に係るコネクタは、光が通過するように構成されているものではない。 また、甲1発明の接続部15は、管28を嵌め込み可能な穴であって、筒部材を備えていないから、甲1発明において、甲2及び甲3に記載された周知技術のコネクタを適用して、さらに、光がコネクタを通過するための具体的な構造として、筒部材が、筒本体に挿入された中空の導光管を備え、導光管が導光性材料で構成されているものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 したがって、当該主張は採用することができない。 (エ)小括 よって、本件発明1は、甲1発明、甲2~甲5の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明3について (ア)対比 本件発明3と甲1発明とを対比すると、上記ア(ア)と同様であるから、両者は、 「柔軟な中空の導光性チューブの基端を接続するコネクタであって、 前記導光性チューブは、先端側に向かって導出されており、 入射した光を、前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているコネクタ。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点2] 本件発明3は、導光性チューブの「基端に設けられた」コネクタであって、「中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備え」、導光性チューブが「前記基管から前記筒部材とは反対側」に向かって導出されており、「前記筒部材の全体が導光性材料で構成されており、前記筒部材は、前記筒部材の先端に入射した光を、前記筒部材を通過して」前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているのに対して、甲1発明は、接続部15が管28を嵌め込み可能な穴である点。 (イ)判断 上記相違点2について検討する。 筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているコネクタは、甲2~甲5のいずれにも記載されておらず、周知技術でもない。 また、甲1発明の接続部15は、管28を嵌め込み可能な穴であって、筒部材を備えていないから、甲1発明において、筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているものとする動機もない。 したがって、甲1発明において、上記相違点2に係る本件発明3の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 (ウ)申立人の主張について 特許異議申立書において申立人は、上記相違点2に関連して、甲1発明の供給管28(導光性チューブ)の端部に設けるコネクタとして、甲2及び甲3に記載された周知のコネクタを用いることは当業者が容易になし得たことであり、その際、コネクタには液状物のみならず光を通過させる機能が必要となるのは自明であるから、そのような機能をコネクタに持たせるべく、筒部材の全体が導光性材料で構成されるようにすることは当業者が容易になし得たことである旨主張している(特許異議申立書27ページ)。 しかし、中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備え、チューブが前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されているコネクタが、甲2及び甲3に記載されるように周知技術であるとしても、当該周知技術に係るコネクタは、光が通過するように構成されているものではない。 また、甲1発明の接続部15は、管28を嵌め込み可能な穴であって、筒部材を備えていないから、甲1発明において、甲2及び甲3に記載された周知技術のコネクタを適用して、さらに、光がコネクタを通過するための具体的な構造として、筒部材の全体が導光性材料で構成されているものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 したがって、当該主張は採用することができない。 (エ)小括 よって、本件発明3は、甲1発明、甲2~甲5の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明2、4、6、8及び9について 本件発明2、4、6、8及び9は、本件発明1又は本件発明3の発明特定事項を全て備え、更に限定を付したものであるから、上記ア又はイと同様の理由により、甲1発明、甲2~甲5の記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)申立理由2-2(主引例は甲4) ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲4発明とを対比する。 甲4発明の「気管内チューブ10」と、本件発明1の「柔軟な中空の導光性チューブ」とは、柔軟な中空のチューブ、の限りで一致する。そうすると、甲4発明の「気管内チューブ10の近位端が有するコネクタ12」と、本件発明1の「柔軟な中空の導光性チューブの基端に設けられたコネクタ」とは、柔軟な中空のチューブの基端に設けられたコネクタ、の限りで一致する。 甲4発明の「酸素・空気混合ガス源13に接続される近位側の円筒形の部分」及び「酸素・空気混合ガス源13に接続される近位側の円筒形の部分と同軸である遠位側の円筒形の部分」は、その機能及び構成からみて、本件発明1の「中空筒形状の筒部材」及び「前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管」に、それぞれ相当する。 甲4発明の「気管内チューブ10の近位端が」「コネクタ12」を「有する」ことと、本件発明1の「前記導光性チューブは、前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されて」いることとは、前記チューブは、前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されていること、の限りで一致する。 そうすると、本件発明1と甲4発明とは、 「柔軟な中空のチューブの基端に設けられたコネクタであって、 前記コネクタは、中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備え、 前記チューブは、前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されているコネクタ。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点3] 本件発明1は、柔軟な中空のチューブが「導光性」であるのに対して、甲4発明は、気管内チューブ10が、壁14を通って長手方向に延びる光ファイバー光導体15によって可視スペクトルの高強度光が伝送される点。 [相違点4] 本件発明1は、「前記筒部材が、筒本体と、前記筒本体に挿入された中空の導光管とを備え、前記導光管が導光性材料で構成されており、前記筒部材は、前記筒部材の先端に入射した光を、前記筒部材を通過して前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されている」のに対して、甲4発明は、光ファイバー光導体15の近位側がコネクタ12から出て高強度非コヒーレント光源18まで延び、遠位側が気管内チューブ10の壁14を通って長手方向に延び、可視スペクトルの高強度光は、光ファイバー光導体15によって気管内チューブ10の壁14を通って伝送される点。 (イ)判断 事案に鑑み、まず上記相違点4について検討する。 筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているコネクタは、甲1~甲3及び甲5のいずれにも記載されておらず、周知技術でもない。 また、甲4発明は、光ファイバー光導体15が光を伝送するものであって、コネクタ12自体を光が通過するものではないから、甲4発明において、筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているものとする動機もない。 したがって、甲4発明において、上記相違点4に係る本件発明1の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 (ウ)申立人の主張について 特許異議申立書において申立人は、上記相違点4に関連して、甲4発明の「気管内チューブ10」に甲1に記載された「柔軟な中空の導光性チューブ」を適用することは当業者が容易になし得たことであり、甲5には、内視鏡システムにおける光ファイバどうしを接続するコネクタにおいて、コネクタ端面より光を導入すること、接続する光ファイバ間に、導光部材(光学窓14)を介在させることが記載されているから、甲4発明に甲1に記載された「柔軟な中空の導光性チューブ」を適用した構成において、コネクタ内に甲5のように導光部材を設ける構成とし、その際、液状物もコネクタを通過できるようにすべく、導光部材を中空管とすることは当業者が容易になし得たことである旨主張している(特許異議申立書30~31ページ)。 しかし、甲4発明は、光ファイバー光導体15が光を伝送するものであるから、甲4発明において、コネクタ12自体を光が通過するものとする動機はない。 また、甲5記載事項の光学窓14は、コネクタカバー2の挟持部2aに備えられ、ケーブル5を接続する一対のコネクタ13間において光ファイバ6により導光されてきた照明光を透過させるものであって、流体が連通するチューブに設けられたコネクタにおいて光を通過させるものではない。 そうすると、甲4発明において、甲1に記載された管28及び甲5記載事項の光学窓14を適用して、さらに、コネクタ12自体を光が通過するための具体的な構造として、筒部材が、筒本体に挿入された中空の導光管を備え、導光管が導光性材料で構成されているものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 したがって、当該主張は採用することができない。 (エ)小括 よって、上記相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明、甲1~甲3及び甲5の記載事項、並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明3について (ア)対比 本件発明3と甲4発明とを対比すると、上記ア(ア)と同様であるから、両者は、 「柔軟な中空のチューブの基端に設けられたコネクタであって、 前記コネクタは、中空筒形状の筒部材と、前記筒部材と同軸に配置された中空筒形状の基管とを備え、 前記チューブは、前記基管から前記筒部材とは反対側に向かって導出されているコネクタ。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点5] 本件発明3は、柔軟な中空のチューブが「導光性」であるのに対して、甲4発明は、光ファイバー光導体15が壁14を通って長手方向に延びる気管内チューブ10である点。 [相違点6] 本件発明は、「前記筒部材の全体が導光性材料で構成されており、前記筒部材は、前記筒部材の先端に入射した光を、前記筒部材を通過して前記導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されている」のに対して、甲4発明は、光ファイバー光導体15の近位側がコネクタ12から出て高強度非コヒーレント光源18まで延び、遠位側が気管内チューブ10の壁14を通って長手方向に延び、可視スペクトルの高強度光は、光ファイバー光導体15によって気管内チューブ10の壁14を通って伝送される点。 (イ)判断 事案に鑑み、まず上記相違点6について検討する。 筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているコネクタは、甲1~甲3及び甲5のいずれにも記載されておらず、周知技術でもない。 また、甲4発明は、光ファイバー光導体15が光を伝送するものであって、コネクタ12自体を光が通過するものではないから、甲4発明において、筒部材の先端に入射した光を、筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているものとする動機もない。 したがって、甲4発明において、上記相違点6に係る本件発明3の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 (ウ)申立人の主張について 特許異議申立書において申立人は、上記相違点6に関連して、甲4発明の「気管内チューブ10」を甲1に記載された「柔軟な中空の導光性チューブ」とすることは当業者が容易になし得たことであり、その際、コネクタには光を通過させる機能が必要となるのは自明であるから、そのような機能をコネクタに持たせるべく、筒部材(甲4発明の部材12のフランジよりも上方の部分)の全体が導光性材料で構成されるようにすることは当業者が容易になし得たことである旨主張している(特許異議申立書31ページ)。 しかし、甲4発明は、光ファイバー光導体15が光を伝送するものであるから、甲4発明において、コネクタ12自体を光が通過するものとする動機はない。 そうすると、甲4発明において、甲1に記載された管28を適用して、さらに、コネクタ12自体を光が通過するための具体的な構造として、筒部材の全体が導光性材料で構成されており、筒部材の先端に入射した光を筒部材を通過して導光性チューブの基端面に導くことができるように構成されているものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 したがって、当該主張は採用することができない。 (エ)小括 よって、上記相違点5について検討するまでもなく、本件発明3は、甲4発明、甲1~甲3及び甲5の記載事項、並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明2、4、6、8及び9について 本件発明2、4、6、8及び9は、本件発明1又は本件発明3の発明特定事項を全て備え、更に限定を付したものであるから、上記ア又はイと同様の理由により、甲4発明、甲1~甲3及び甲5の記載事項、並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明の請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明の請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700743

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