特許異議申立
2024-700022
クレーン計画支援システム
- 審判番号
- 2024-700022
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-136521
- 登録番号
- 7312637
- 請求日
- 2024年01月12日
- 審決日
- 2024年03月05日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】大成建設株式会社
- 【権利者代理人】園田・小林弁理士法人
- 【異議申立人】出川 栄一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 樫本 剛
- 審判官 高橋 宣博
- 分類
- P1651.121-Y (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7312637号発明「クレーン計画支援システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7312637号の請求項1~3に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7312637号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和元年7月25日に出願され、令和5年7月12日にその特許権の設定登録がされ、同年7月21日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和6年1月12日に特許異議申立人出川栄一郎により全請求項に対して特許異議の申立てがされた。
2 本件発明
本件特許の請求項1~3に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明3」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
なお、記号(A)~(E)は、分説するために合議体において付されたものであり、以下「構成A」~「構成E」という。
〔本件発明1〕【請求項1】
(A) BIM(Building Information Modeling:ビルディング インフォメーション モデリング)を使用して施工する建物モデルに対して、揚重範囲とクレーン位置を決定して、クレーンを選定するクレーン計画支援システムであって、
(B) 建設現場を表す建設現場モデル、前記建物モデル、およびクレーン本体と吊上げブームとを有するクレーンモデルを3次元仮想空間に表示するモデル表示手段と、
(C) 複数のクレーンのクレーン性能が記録されたデータベースと、
(D1) 前記建物モデルに対して、前記揚重範囲、及び前記クレーン位置を指定し、(D2)前記建物モデル、および前記建設現場モデルに重ねて、前記揚重範囲を、前記モデル表示手段に表示し、(D3)前記揚重範囲内の、前記建物モデルを構成する部材のうち、前記クレーン位置から最も離れた位置にある部材を指定して、前記揚重範囲内の、前記建物モデルを構成する部材の重量、およびクレーンの作業半径を算出し、(D4)各算出値と前記データベース内のクレーン性能の各々とを比較して、前記揚重範囲内の前記部材を揚重可能なクレーンを自動抽出する(D)クレーンの自動抽出手段と、
(E) 自動抽出されたクレーンの中から、最終的に使用されるクレーンの選定に関する入力を受け付けるクレーンの選定入力手段と、を備えている
(A) ことを特徴とするクレーン計画支援システム。
〔本件発明2〕【請求項2】
前記クレーン性能は、クレーンの定格荷重と作業半径を含み、
前記クレーンの自動抽出手段は、前記部材の属性情報から、前記揚重範囲内の前記部材の重量、及び重心位置を算出し、前記揚重範囲内の前記部材を揚重可能な前記定格荷重、及び前記作業半径を備えるクレーンを自動抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン計画支援システム。
〔本件発明3〕【請求項3】
前記モデル表示手段は、
前記揚重範囲内の前記部材が選択されると、当該部材の重量と、クレーンの前記作業半径を表示し、
前記クレーンの自動抽出手段により自動抽出されたクレーンの中から任意のクレーンが選択されると、当該クレーンの前記クレーン性能を表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のクレーン計画支援システム。
3 特許異議申立理由
特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
本件発明1は、甲第1号証~甲第5号証から容易に発明をすることができたものである。
本件発明2及び3は、甲第1号証~甲第6号証から容易に発明をすることができたものである。
よって、本件発明1~本件発明3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
甲第1号証:特開平9-227075号公報
甲第2号証:特開2020-194426号公報
甲第3号証:特開2004-239050号公報
甲第4号証:「オートデスク BIM活用事例集2018」、
オートデスク株式会社、2018年
甲第5号証:「施工BIMのすすめ」、一般社団法人日本建設業連合会
建築生産委員会 IT推進部会 BIM専門部会
BIM展開検討WG、2017年11月
甲第6号証:特開2001-222570号公報
4 甲号証について
(1)甲第1号証について
ア 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、次の記載がある。なお、以降の下線は当審において付されたものである。
「【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明方法の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明方法による揚重機選定のシステム構成を示すブロック図である。図1において、40は図2及び図3に示す揚重機選定のための演算処理機能を備えるCPUであり、このCPU40には、揚重機選定のための演算処理プログラム等データを格納するROM41、揚重機設置地盤からの建物の高さデータ・建物を構成する各揚重対象部材の重量と該揚重対象部材の建物への揚重位置データ・揚重機の機種別定格荷重表データ等データを記憶する記憶装置42、キーボード、マウス等からなる入力装置43、及び入力データ等を表示する表示装置44がそれぞれ接続されている。
【0008】図4および図5において、31は施工される中高層の建物、32は建物31を構成する揚重対象部材であって、この揚重対象部材32の揚重位置は建築施工計画時に設計図面等から予め決定されている。33は揚重対象部材32を予め決定された揚重位置に揚重するための揚重機であり、この揚重機33には、例えば自走式タワークレーンが使用される。また、35は建物31に平行して形成された揚重機走行路であり、36は建物31と平行する揚重機33の走行中心線である。37は揚重機33のジブであって、その作業半径(水平方向の旋回半径)の最大作業半径をRmax、最小作業半径をRminで表し、かつ走行中心線36と揚重対象部材31との最短距離をLmin、最長距離(図5参照)をLmaxで表している。
【0009】次に、上記のように構成された本実施の形態における揚重機選定の処理動作について図2及び図3を参照して説明する。図2は、揚重機選定の基本処理の流れを示すフローチャートであり、まず、ステップ1では、入力装置43を操作することにより、揚重機33の機種を最小のものに仮設定する。この機種データはCPU40を通して記憶装置42に格納される。次のステップ2では、入力装置43を操作することにより、建物31と平行して形成される走行経路35上を走行する揚重機33の走行中心線36を設定する。この走行中心線データはCPU40を通して記憶装置42に格納される。また、この走行経路は建築施工計画が決定すれば必然的に決まるものである。次のステップ3では、設定された揚重機33のタワーの高さ(揚重機のポスト高さ)を設定し、次のステップ4において、ジブ長を最小のものに設定する。これらの設定データはCPU40を通して記憶装置42に格納される。以上のステップ1~ステップ4で、揚重機の機種(第1段階では最小機種)、走行中心線36、タワーの高さ、およびジブ長が設定されるので、次のステップ5では、これらの設定値と、記憶装置42に記憶された揚重機の機種別定格荷重表データを参照して設定揚重機の最大作業半径Rmaxと最小作業半径Rminとを取得する。図4に示すように、この最大作業半径Rmaxで描かれる円Mmaxと、最小作業半径Rminで描かれる円Mminとで囲まれた部分が揚重機の作業(揚重)可能範囲であり、図6の定格荷重表では太線で囲まれた部分がこれに該当する。
【0010】次のステップ6では、揚重対象部材別の揚重の可否を確認し、ステップ7でOK判断すれば終了し、その揚重機を選定すればよく、NGであればステップ8に移る。ステップ8では、ステップ1で設定した機種より大きい機種のものがあるか否かを確認し、ステップ9でNOと判断すれば終了し、YESと判断すればステップ10に移る。ステップ10では、揚重機の機種を1クラス大型のものにクラスアップし、ステップ11において必要であれば走行中心線36を設定しなおしてからステップ3に戻り、以下同様の動作をステップ7でOKになるまで繰り返す。」
「【0015】上記実施の形態では、自走式タワークレーンの揚重機を使用した例を示しているが、定置式のものにも適用可能である。その場合は、揚重対象部材32の最短距離Lminおよび最長距離Lmaxは、揚重機の旋回中心点からの距離となり、また、図3におけるステップ27のルートは不要である。以上のように、本実施の形態による揚重機の選定方法によれば、建築施工計画時に、揚重対象部材32および揚重機33のデータを設定しておき、このデータから揚重機33の作業可能範囲を判定し、この作業可能範囲にある全種類の揚重対象部材32について揚重可否を判定し、全種類の揚重対象部材を揚重できる必要最小限の能力のある揚重機を選定するので、揚重対象部材の揚重のケースを限定せず全種類の揚重対象部材について揚重可否を判定でき、したがって、揚重不能の揚重機を選定したり、必要以上に大型の揚重機を選定したりすることが避けられる。」
イ 甲1発明
上記アから、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
なお、各構成の末尾の括弧内に対応する記載箇所を示した。
〔甲1発明〕
揚重機選定のシステムであって、(【0007】)
揚重機選定のための演算処理機能を備えるCPU40、並びに、このCPUに接続された、揚重機選定のための演算処理プログラム等データを格納するROM41、揚重機設置地盤からの建物の高さデータ・建物を構成する各揚重対象部材の重量と該揚重対象部材の建物への揚重位置データ・揚重機の機種別定格荷重表データ等データを記憶する記憶装置42、キーボード、マウス等からなる入力装置43、及び入力データ等を表示する表示装置44を備え、(【0007】)
揚重機選定の処理動作は、(【0009】)
まず、ステップ1では、入力装置43を操作することにより、揚重機33の機種を最小のものに仮設定し、この機種データはCPU40を通して記憶装置42に格納され、(【0009】)
揚重機33には、例えば自走式タワークレーンが使用され、(【0008】)
次のステップ2では、入力装置43を操作することにより、建物31と平行して形成される走行経路35上を走行する揚重機33の走行中心線36を設定し、この走行中心線データはCPU40を通して記憶装置42に格納され、(【0009】)
次のステップ3では、設定された揚重機33のタワーの高さ(揚重機のポスト高さ)を設定し、次のステップ4において、ジブ長を最小のものに設定し、これらの設定データはCPU40を通して記憶装置42に格納され、(【0009】)
以上のステップ1~ステップ4で、揚重機の機種(第1段階では最小機種)、走行中心線36、タワーの高さ、およびジブ長が設定されるので、次のステップ5では、これらの設定値と、記憶装置42に記憶された揚重機の機種別定格荷重表データを参照して設定揚重機の最大作業半径Rmaxと最小作業半径Rminとを取得し、(【0009】)
次のステップ6では、揚重対象部材別の揚重の可否を確認し、ステップ7でOK判断すれば終了し、その揚重機を選定すればよく、NGであればステップ8に移り、(【0010】)
ステップ8では、ステップ1で設定した機種より大きい機種のものがあるか否かを確認し、ステップ9でNOと判断すれば終了し、YESと判断すればステップ10に移り、(【0010】)
ステップ10では、揚重機の機種を1クラス大型のものにクラスアップし、ステップ11において必要であれば走行中心線36を設定しなおしてからステップ3に戻り、以下同様の動作をステップ7でOKになるまで繰り返す(【0010】)
というものであり、
上記は自走式タワークレーンの揚重機を使用した例であるが、定置式のものにも適用可能である(【0015】)
揚重機選定のシステム。
(2)甲第2号証について
ア 甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、次の記載がある。
「【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態の施工計画支援システム1は、BIM(Building Information Modeling)のソフトウェアを基盤にして構成される揚重機の機種及び配置位置の選定を支援するためのシステムである。揚重機には、ラフテレーンクレーンやオールテレーンクレーンなどの移動式クレーン、タワークレーンなどの定置式クレーンなどがある。」
「【0039】
以下、前記実施の形態で説明した施工計画支援システム1による実施例1の処理について、図3-図8を参照しながら説明する。図3は、実施例1の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0040】
実施例1は、揚重機としてラフテレーンクレーンを使用し、機種選定の次のステップで揚重機の配置を行う場合の処理の説明である。図3において、「2D判定」として囲まれたステップの処理は、主に2次元データ(平面データ)を使って行われ、「3D判定」として囲まれたステップの処理は、主に3次元データを使って行われる。
【0041】
実施例1は、主に鉄筋コンクリートによって建物を構築する場合を想定している。鉄筋コンクリートによって建物を構築する場合は、鉄骨で建物を構築する場合と比べて、吊荷の最大吊荷重を抑えることができる。
【0042】
ステップS11では、検討対象とする吊荷の吊荷重を入力する。この吊荷の特定においては、例えば選定しようとするラフテレーンクレーンの使用を予定する期間において、最も吊荷重が大きくなる吊荷の吊荷重を入力する。入力部2を介して入力された吊荷重は、吊荷重入力部51の処理によって、コンピュータのメモリに一時的に記憶される。
【0043】
ステップS12では、ラフテレーンクレーンの機種の選定を行う。図4は、機種選定時のディスプレイ3の表示例を示している。ディスプレイ3の上縁にはメニュー画面33やコマンド画面が表示され、中央には作業画面31が表示され、側縁には選択画面32が表示される。
【0044】
ラフテレーンクレーンの機種は、機種選定部52によって選択画面32に表示された機種の中から選択される。この選択画面32には、揚重機データベース41に記録されたラフテレーンクレーンが表示される。選択画面32に表示された機種の中から、吊上げ荷重や型式名で機種を特定すると、その機種の中で選択できるブームの長さやアウトリガの張出量のリストが表示される。
【0045】
そこで、ブームの長さとともに、アウトリガの張出量を「最大」、「中間」、「最小」の3段階の中から選択する(ステップS121)。すなわち現場によっては、充分にアウトリガを張り出せない場合もあり、「最大」だけでなく段階的に張出量が選定できれば、機種の適用範囲を広げることができるためである。
【0046】
また、ステップS122では、ジブの有無を選択する。このようにして選択されたラフテレーンクレーン6は、作業画面31上に表示される。この作業画面31に例示したラフテレーンクレーン6は、ブーム61の先にジブ62を備え、アウトリガ63が張り出された状態で配置される(ステップS13)。
【0047】
ラフテレーンクレーン6の配置位置は、配置位置特定部53の処理によってコンピュータのメモリに一時的に記憶される。そして、選択された機種のラフテレーンクレーン6による配置位置で、自動判定部54によって吊荷重性能の自動判定が行われる(ステップS14)。
【0048】
図5は、表示処理部55によって作業画面31上に2次元で表示される判定結果Jを例示している。この判定結果Jの最外円となる最大作業半径J41は、ラフテレーンクレーン6の定格総荷重に対する吊荷の割合で100%となる位置に表示される。そして、この最大作業半径J41の外側が、範囲外J4の判定結果となる領域である。
【0049】
一方、定格総荷重に対する吊荷の割合で95%以上100%未満の円環状の領域は、レッド判定J3という判定結果となる。要するに、最大作業半径J41に近い領域は、安全面から余裕のある運用が望まれるため、使用条件や機種の変更を促すような判定結果が与えられる。
【0050】
これに対して、最小円となるグリーン判定J1の領域は、定格総荷重に対する吊荷の割合が90%未満となる。要するに、ステップS11で入力した吊荷重であれば、充分に余裕をもって吊り上げられるので、大型の機種から中・小型の機種に変更するなどの変更ができるような判定結果が与えられる。
【0051】
そして、グリーン判定J1とレッド判定J3との間の円環状のイエロー判定J2の領域が、定格総荷重に対する吊荷の割合が90%以上95%未満となる。イエロー判定J2の判定結果であれば、吊荷に対してほぼ適切な機種が選定されているとして、次の処理に速やかに移行できようになる。なお、ここで示した定格総荷重に対する吊荷の割合の閾値は例示であり、任意の基準や値に設定することができる。
【0052】
図6は、判定結果Jの表示例を吊荷となる資材B2とともに示した図である。施工が行われる現場領域Bには、建物の形状に従って建物領域B1が形成される。これらの表示は、現場データベース42に記録されたデータによって、作業画面31上に生成される。
【0053】
この表示例をみると明らかなように、建物領域B1のラフテレーンクレーン6から最も遠い位置にある資材B2は、レッド判定J3が与えられる。一方、図7に示すように、明らかに範囲外J4にブーム61を伸ばした場合は、作業画面31上に大きな「×印」などの警告表示WAが表示される。要するに、明らかに吊り上げ不能の範囲が判定対象となった時点で、作業画面31に警告表示WAがされるようにすることで、無駄な検討が省けるようになる。」
「【0062】
2D判定で選定された機種に対しては、干渉演算部56によって、3次元データを使ってブームの干渉が起きるか否かの確認が行われる(3D判定)。図8は、3次元で干渉確認を行う際の作業画面31の表示例を示している。この図を見ると、ラフテレーンクレーン6のブーム61と建物領域B1とが、干渉箇所IFで干渉することが一目でわかる。」
イ 甲2技術
上記アから、甲第2号証には、次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されている。
〔甲2技術〕
BIM(Building Information Modeling)のソフトウェアを基盤にして構成される揚重機の機種及び配置位置の選定を支援するための施工計画支援システム1であって、(【0021】)
施工計画支援システム1による処理は、(【0039】)
検討対象とする吊荷の吊荷重を入力し、(【0041】)
ラフテレーンクレーンの機種の選定を行い、(【0042】)
選択された機種のラフテレーンクレーン6による配置位置で、吊荷重性能の自動判定が行われ、(【0047】)
定格総荷重に対する吊荷の割合で95%以上100%未満の円環状の領域は、レッド判定J3という判定結果となり、要するに、最大作業半径J41に近い領域は、安全面から余裕のある運用が望まれるため、使用条件や機種の変更を促すような判定結果が与えられる(【0049】)
というものであり、
判定結果Jの表示例を吊荷となる資材B2とともに示した図6において、施工が行われる現場領域Bには、建物の形状に従って建物領域B1が形成され、(【0052】)
この表示例をみると明らかなように、建物領域B1のラフテレーンクレーン6から最も遠い位置にある資材B2は、レッド判定J3が与えられ、(【0053】)
3次元データを使ってラフテレーンクレーン6のブーム61と建物領域B1との干渉が起きるか否かの確認が行われる(【0062】)
施工計画支援システム1。
(3)甲第3号証について
ア 甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、次の記載がある。
「【0010】
そこで本発明の目的は、構造物躯体の建方に適用可能なクレーン計画案を効率的に作成できる建方用クレーン計画方法及びプログラムを提供することにある。
「【発明の効果】
【0018】
本発明の建方用クレーン計画方法及びプログラムは、躯体モデルの施工順序付き建方区図に応じて建方区毎にクレーン作業を可能とするクレーンの位置・姿勢・揚重性能・搬送経路等を自動的に検出することができるので、次の顕著な効果を奏する。」
「【0034】
(2)クレーン計画システムを構成するプログラム群
次に図4~9を参照して、本発明によるクレーン計画システムの好ましい流れ図の一例を説明する。図4の流れ図は、図3の建方計画案24の生成処理(ステップS303)の詳細を示す。図4のステップS401では、躯体モデルD(図23参照)及び関連モデルF(図25参照)を記憶装置2から取り出す。ステップS402では、建方区生成手段40により、躯体モデルDを例えば躯体の階層数又は総部材数等に基づき複数の並列建方区At(1≦t≦u、uは並列建方区数)に分割し、更に適当な建方工法に基づき各並列建方区Atを複数の施工順序付き直列建方区Eiに区分けして建方区図W(図24参照)を生成する。ステップS402で作成した建方区図Wに基づき、ステップS403のクレーン計画検討において、各建方区Eiの部材M毎にクレーン作業可能性を判定する。ステップS404において、ステップS403でのクレーン計画の検討結果によって建方区図Wの修正が必要か否かを検討し、必要な場合はステップS402へ戻り、適切な建方計画案ができるまで建方区図Wの修正とクレーン計画検討とを繰り返す。建方区図Wの修正が一部分であれば、クレーン計画検討もその修正部分のみの再検討で済む場合もあり得る。」
「【0038】
ステップS403のクレーン計画検討処理は、図5に示すように、建方地点(部材をその建方位置へ設置する段階)でのクレーン作業可能性の検討処理S501と、揚重途中(部材を荷揚げ位置から建方位置へ搬送する段階)でのクレーン作業可能性の検討処理S502とを含む。建方地点でのクレーン作業可能性の検討処理S501はクレーン計画検討の際に必ず行うが、揚重途中のクレーン作業可能性の検討処理S502は必要に応じて行えばよい。また、建方地点の検討処理S501と揚重途中の検討処理S502とを組み合わせて行っても、別個に行ってもよい。建方地点でのクレーン作業可能性の検討処理S501では、クレーン性能G、クレーン姿勢Q及びクレーン位置Sが指定されている場合は、その指定に基づき部材M毎に判定結果を示す。またクレーン性能G、クレーン姿勢Q又はクレーン位置Sの何れか又は全てが指定されていなければ、それらの自動選定案と確認用の判定結果を出力する。揚重途中のクレーン作業可能性の検討処理S502では、部材毎に荷揚げ地点から建方地点への搬送経路が指定されていれば、部材毎に判定結果を示す(図11参照)。また、搬送経路が指定されていなければ、その搬送経路の自動探索結果を出力する(図12~19参照)。」
「【0050】
(4-b-1)建方地点でのクレーン作業可能性の検討処理の概要
図7は、クレーン性能G、姿勢Q、位置Sの自動的検出を可能とした建方地点でのクレーン作業可能性検討処理の流れ図を示す。この場合は、クレーンデータベースTに、クレーン形式毎に性能Gが異なる複数のクレーン(クレーン機種)Cと、各クレーンCの所定順序の姿勢と、各クレーンCのクレーン水平距離毎の定格総荷重表とを記憶する。以下、この流れ図を参照して本発明によるクレーン計画方法を説明する。先ず図7のステップS701において建方区図Wから対象建方区Eiの部分を取り出し、ステップS702において対象建方区Ei毎に指定されたクレーン形式、クレーン性能G、クレーン姿勢Q及びクレーン位置Sを取り出す。但し、クレーン形式の指定は必須であるが、クレーン性能G、クレーン姿勢Q及びクレーン位置Sは指定されていなくともよい。」
「【0057】
(4-b-2)建方地点でのクレーン作業可能性の検討処理の詳細
図8は、ステップS705における対象建方区Ei毎のクレーン作業可能性判定処理の詳細な流れ図を示す。また図22は、その流れ図を5階建て躯体の対象建方区E13のクレーン作業可能性検討に適用した事例である。先ずステップS801~S802において、クレーン位置算出手段63により、対象建方区Ei(図22ではE13)のクレーン作業を行う初期クレーン位置S1を算出する。ステップS801では、実効可動域計算手段71により、建方区図W上に記入したクレーン可動域(動線を含む)Vから対象建方区Eiの先行建方区Ei(j<i)と関連モデルFの障害物の平面への投影領域との重畳部分を除外することにより、実効可動域(実効動線を含む)Nを求める。ステップS802では、クレーン位置算出手段63により、実効可動域Nの内側で、検討対象の建方区Eiの平面投影の図心との距離が最短距離となる位置として初期クレーン位置S1を算出する。なお、対象建方区Eiのクレーン位置Sが指定されていれば、その位置を初期クレーン位置S1として用いる。」
イ 甲3技術
上記アから、甲第3号証には、次の技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されている。
〔甲3技術〕
構造物躯体の建方に適用可能なクレーン計画案を効率的に作成できる建方用クレーン計画方法及びプログラムにおいて、クレーン位置Sの指定に基づき、各建方区Eiの部材M毎にクレーン作業可能性を判定する技術。
(4)甲第4号証について
ア 甲第4号証の記載事項
甲第4号証には、次の記載がある。
「名古屋市東区に本拠を置く矢作建設工業は、2014年に本格的なBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用に着手し、Autodesk RevitやAutodesk NavisworksなどのBIMソリューションを活用しながら現場密着型の施工BIMを展開している。クレーン作業や足場、山留めなど、施工計画のBIM活用の現場を直撃した。」(3頁上段)
「クレーン作業をBIMモデル上でシミュレーションし、クレーンがアームを上げ下げしたり、旋回したりするときに干渉する足場の部分を割り出しました。」(3頁下段左欄18行~同段右欄1行)
「
[図:0001409197000001.jpg]
BIMによる鉄骨の建て方検討。
クレーンと鉄骨の干渉を避けつつ、鉄骨の重量にあったクレーンの選定が行える。」(5頁上段左側の図)
イ 図面に示された技術事項
上記5頁上段左側の図には、クレーン本体とブームを備えるクレーンのモデルが建物モデルと共に三次元仮想空間に表示された表示画面が示されている。
ウ 甲4技術
上記ア、イから、甲第4号証には、次の技術(以下、「甲4技術」という。)が記載されているといえる。
〔甲4技術〕
建設施工計画においてBIMを活用すること、及び、建物モデルやクレーンモデルを三次元仮想空間に表示する技術。
(5)甲第5号証について
ア 甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、次の記載がある。
「(2)用語の解説
■BIM(Building Information Modeling):
コンピュータ上に作製した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築することをいう。
■BIMモデル:
コンピュータ上に作製した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルをいう。
■施工BIMモデル:
施工段階で作製するBIMモデル。
■BIMツール:
BIMモデルを使いこなすためのソフトウェア。BIMモデルを作製するものだけでなく閲覧用、重ね合わせ用、干渉チェック用などの目的に応じた様々なソフトウェアがある。」(8頁)
「(4)施工手順の検討、確認/施工計画への活用
作業の進捗が誰にでもわかりやすい
施工計画の検討や説明の際に、仮囲いや各所足場の仮設物、揚重機などを配置したBIMモデルを活用することで、施工時のイメージが掴みやすくなります。
複雑な施工手順をアニメーション化して、作業員と手順の確認をしたり、立体の仮設計画図を様々な視点から確認することで、狭い空間での揚重や取付作業の安全性を検討することもできます。
また、施工に詳しくない関係者に対し、従来の方法に比べわかりやすく工事計画の説明をすることができます。使用するモデルの詳細度は高くなくても良いことが多く、比較的取り組みやすい活用法です。
[図:0001409197000002.jpg]
」(16頁)
イ 図面に示された技術事項
上記16頁下段の図には、クレーン本体とクレーンビームを含むクレーン、施工対象である建物、及び建設現場の各モデルが三次元仮想空間に表示された施工計画ステップ図が示されている。
ウ 甲5技術
上記ア、イから、甲第5号証には、次の技術(以下、「甲5技術」という。)が記載されているといえる。
〔甲5技術〕
建設施工計画においてBIMを活用すること、及び建物モデルやクレーンモデルを三次元仮想空間に表示する技術。
(6)甲第6号証について
ア 甲第6号証の記載事項
甲第6号証には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物等の鉄骨構造における柱、梁の組立やプレキャスト鉄筋コンクリート(PC)構造における壁・床部材の組み立てなどのような、現場における部材組み立て作業等の支援システムに関する。」
「【0040】この様にして、設定した重機の作業半径等を表示することができる。これは、測定値表示1170において、「作業半径表示」ボタンをクリックして、プラン表示部で対象部材をクリックすると、図15のプラン表示部に示すように重機の作業半径が描画されると共に、測定値表示1170に、対象部材までの水平距離、対象部材の重量、対象部材までの距離に対する定格荷重等を計算して表示させることができる。この測定値表示1170において、部材のフックを掛ける位置を調べるために必要な、部材の重心計算も行うことができる。これは、測定値表示1170の「重心表示」ボタンをクリックして、計算対象の部材をプラン表示部1110で選択すると、計算結果により求めた重心位置を示した部材の形状が表示されるとともに、その寸法も表示される。このように、対象部材の重心位置も表示することができるので、部材を吊り下げるときの中心(吊り芯)を把握することが容易にできる。」
イ 甲6技術
上記アから、甲第6号証には、次の技術(以下、「甲6技術」という。)が記載されている。
〔甲6技術〕
現場における部材組み立て作業等の支援システムにおいて、重機の作業半径が描画されると共に、対象部材の重量等を計算して表示させることができ、部材のフックを掛ける位置を調べるために必要な、部材の重心計算も行うことができ、計算結果により求めた重心位置を示した部材の形状が表示され、部材を吊り下げるときの中心(吊り芯)を把握することが容易にできる技術。
5 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)構成Aについて
甲1発明の「揚重機」は、例えばタワークレーンであるから、本件発明1の「クレーン」に相当する。
甲1発明の「揚重機(クレーン)選定のシステム」は、使用するクレーンを計画することを支援するものといえるから、本件発明1の「クレーンを選定するクレーン計画支援システム」に相当する。
甲1発明のシステムは、入力装置43を操作することにより、建物31と平行して形成される走行経路35上を走行する揚重機33(クレーン)の走行中心線36を設定するから、(走行時の)クレーン位置を決定するものといえる。
以上から、本件発明1と甲1発明は、「クレーン位置を決定して、クレーンを選定するクレーン計画支援システム」である点で共通する。
しかしながら、前記クレーン計画支援システムにおける決定が、本件発明1では、BIM(Building Information Modeling:ビルディング インフォメーション モデリング)を使用して施工する建物モデルに対して決定することであり、かつ、決定対象に揚重範囲も含むのに対し、甲1発明ではそのような構成を備えていない点で、両者は相違する。
(イ)構成Bについて
甲1発明は、建設現場を表す建設現場モデル、前記建物モデル、およびクレーン本体と吊上げブームとを有するクレーンモデルを3次元仮想空間に表示するモデル表示手段(構成B)を備えていない点で、本件発明1と相違する。
(ウ)構成Cについて
甲1発明の「記憶装置42」は、揚重機(クレーン)の機種別定格荷重表データ等のデータを記憶するものであるから、本件発明1の「複数のクレーンのクレーン性能が記録されたデータベース」に相当するものである。
よって、本件発明1と甲1発明は、複数のクレーンのクレーン性能が記録されたデータベース(構成C)を備えている点で一致する。
(エ)構成D、構成D1~構成D4について
甲1発明のシステムは、入力装置43を操作することにより、建物31と平行して形成される走行経路35上を走行する揚重機33(クレーン)の走行中心線36を設定するものであるから、クレーン位置を指定する手段を備えているといえる。
甲1発明のシステムは、記憶装置42に記憶された揚重機の機種別定格荷重表データを参照して設定揚重機の最大作業半径Rmaxと最小作業半径Rminとを取得し、揚重対象部材別の揚重の可否を確認するものであるから、本件発明1と甲1発明は、前記データベース内のクレーン性能と比較して、部材を揚重可能なクレーンを自動抽出する手段を備えているといえる点で、共通する。
以上から、本件発明1と甲1発明は、前記クレーン位置を指定し、前記データベース内のクレーン性能と比較して、部材を揚重可能なクレーンを自動抽出するクレーンの自動抽出手段とを備えている点で共通する。
しかしながら、前記自動抽出手段が、本件発明1では
(a)前記指定を前記建物モデルに対して行うものであり、
(b)前記指定の対象に前記揚重範囲を含むものであり、
(c)前記建物モデル、および前記建設現場モデルに重ねて、前記揚重範囲を、前記モデル表示手段に表示するものであり、
(d)前記揚重範囲内の、前記建物モデルを構成する部材のうち、前記クレーン位置から最も離れた位置にある部材を指定して、前記揚重範囲内の、前記建物モデルを構成する部材の重量、およびクレーンの作業半径を算出するものであり、
(e)各算出値(前記揚重範囲内の、前記建物モデルを構成する部材の重量、およびクレーンの作業半径)を、前記データベース内のクレーン性能の各々と比較するものであり、
(f)前記揚重可能な部材を前記揚重範囲内のものとしているのに対し、
甲1発明では上記(a)~(f)の各構成を備えていない点で、両者は相違する。
(オ)構成Eについて
甲1発明は、自動抽出されたクレーンの中から、最終的に使用されるクレーンの選定に関する入力を受け付けるクレーンの選定入力手段(構成E)を備えていない点で、本件発明1と相違する、
(カ)一致点、相違点について
以上(ア)~(オ)から、本件発明1と甲1発明との間の一致点及び相違点は次のとおりである。
〔一致点〕
(A’) クレーン位置を決定して、クレーンを選定するクレーン計画支援システムであって、
(C) 複数のクレーンのクレーン性能が記録されたデータベースと、
(D1’) 前記クレーン位置を指定し、(D4’)前記データベース内のクレーン性能と比較して、部材を揚重可能なクレーンを自動抽出する(D)クレーンの自動抽出手段と、を備えている
(A) クレーン計画支援システム。
〔相違点1〕
前記決定が、本件発明1では、BIM(Building Information Modeling:ビルディング インフォメーション モデリング)を使用して施工する建物モデルに対して決定することであり、かつ、決定対象に揚重範囲も含むのに対し、甲1発明ではそのような構成を備えていない点。
〔相違点2〕
本件発明1は、建設現場を表す建設現場モデル、前記建物モデル、およびクレーン本体と吊上げブームとを有するクレーンモデルを3次元仮想空間に表示するモデル表示手段(構成B)を備えているのに対し、甲1発明は構成Bを備えていない点。
〔相違点3〕
前記自動抽出手段が、本件発明1では
(a)前記指定を前記建物モデルに対して行うものであり、
(b)前記指定の対象に前記揚重範囲を含むものであり、
(c)前記建物モデル、および前記建設現場モデルに重ねて、前記揚重範囲を、前記モデル表示手段に表示するものであり、
(d)前記揚重範囲内の、前記建物モデルを構成する部材のうち、前記クレーン位置から最も離れた位置にある部材を指定して、前記揚重範囲内の、前記建物モデルを構成する部材の重量、およびクレーンの作業半径を算出するものであり、
(e)各算出値(前記揚重範囲内の、前記建物モデルを構成する部材の重量、およびクレーンの作業半径)を、前記データベース内のクレーン性能の各々と比較するものであり、
(f)前記揚重可能な部材を前記揚重範囲内のものとしているのに対し、
甲1発明では上記(a)~(f)の各構成を備えていない点。
〔相違点4〕
甲1発明は、自動抽出されたクレーンの中から、最終的に使用されるクレーンの選定に関する入力を受け付けるクレーンの選定入力手段(構成E)を備えていない点。
(イ)判断
上記相違点のうち、最初に、相違点3における構成(d)に係る相違点について検討する。
揚重範囲内の、建物モデルを構成する部材のうち、クレーン位置から最も離れた位置にある部材を「指定」する構成を設けることは、甲第1号証~甲第6号証の何れにも記載も示唆もされていないから、甲1発明においてそのような構成を設けることは、当業者が容易に想到しうるものとはいえない。
なお、特許異議申立人は、「本件特許発明1の構成Dは、「前記揚重範囲内の、前記建物モデルを構成する部材のうち、前記クレーン位置から最も離れた位置にある部材を指定」する構成を含むのに対して、甲1発明はそのような構成を備えていない点。」を相違点6とし(特許異議申立書18頁15~18行)、当該相違点6について、「同じ重量の揚重対象物であってもクレーンから離れるほど、クレーンにとって負荷が大きくなることは技術常識である。甲第2号証にも、最大作業半径J41に近い領域は、安全面から余裕のある運用が望まれるため、建物領域B1のラフテレーンクレーン6から最も遠い位置にある資材B2にレッド判定J3が与えられることが記載されており、これらの記載から、揚重範囲内でクレーンから最も離れた資材がクレーンにとって負荷が大きいことが示唆されている。従って、揚重範囲内の揚重対象物がクレーンで揚重可能かどうかを判定するにあたり、クレーンに対する負荷が最も大きい資材に着目すべく、クレーンの位置から最も離れた位置にある部材を指定する構成、すなわち相違点6に係る構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。」と主張している(特許異議申立書20頁13~22行)。
しかしながら、「同じ重量の揚重対象物であってもクレーンから離れるほど、クレーンにとって負荷が大きくなること」が技術常識であるとしても、部材を「指定」することが甲1発明及び上記技術常識の何れにも存在しない以上、揚重範囲内の、建物モデルを構成する部材のうち、クレーン位置から最も離れた位置にある部材を「指定」する構成を設けることが動機付けられることはない。
よって、「相違点6に係る構成とすることは、当業者が容易になし得ること」とはいえず、請求人の上記主張は採用することができない。
以上から、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者であっても甲1発明及び甲2技術~甲5技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)本件発明2及び本件発明3について
本件発明2及び本件発明3も、上記相違点3における構成(d)と同等の構成を備えるものであるから、上記(1)と同じ理由により、当業者であっても容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件発明1~本件発明3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~本件発明3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700022