特許異議申立
2025-700488
圧力測定用チャンバ
- 審判番号
- 2025-700488
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-063161
- 登録番号
- 7578114
- 請求日
- 2025年05月01日
- 審決日
- 2026年06月23日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ニプロ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人前田特許事務所
- 【異議申立人】渡辺 貴康
- 審判長/審判官
- 審判長 安井 寿儀
- 審判官 土田 嘉一
- 審判官 北川 大地
- 分類
- P1651.121-YAA(A61M) / P1651.536-YAA(A61M) / P1651.537-YAA(A61M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7578114号発明「圧力測定用チャンバ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7578114号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。
特許第7578114号の請求項1~3に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7578114号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成29年10月5日を出願日とする特願2017-195093号の一部を、令和4年4月5日に新たな特許出願としたものであって、令和6年10月28日にその特許権の設定登録がされ、同年11月6日に特許掲載公報が発行された。
そして、請求項1~3に係る特許に対し、令和7年5月1日に特許異議申立人 渡辺 貴康(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされ、その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和 7年 6月26日付け:取消理由通知書
同年 8月29日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年10月 8日付け:訂正請求があった旨の通知
(特許法第120条の5第5項)
同年11月13日 :申立人による意見書の提出
令和 8年 3月 3日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 4月30日 :特許権者による意見書の提出
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和7年8月29日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、「特許第7578114号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
特許請求の範囲の請求項1に
「第1の枠体と第2の枠体とが組み合わされて内部に空洞を有する樹脂材料により形成されたハウジングと、前記空洞を前記第1の枠体側の血液側チャンバ及び前記第2の枠体側の空気側チャンバに区切る軟質の樹脂材料により形成された可撓性膜とを備え、
前記第1の枠体は、前記血液側チャンバに血液が流入する入ロポート及び血液が流出する出ロポートを有し、
前記第2の枠体は、内面に開口した圧力検出ポートを有し、
少なくとも前記圧力検出ポートの開口領域の領域外から開口領域に亘って、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との間に、通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材が配置され、
前記可撓性膜が前記第2の枠体側に最大限変位した状態において前記中間部材は、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との当接を防止し、
前記開口領域は、前記圧力検出ポートの中心を中心とし、前記圧力検出ポートの前記第2の枠体の内面における開口直径の3倍の直径を有する円状領域である、血液回路の圧力測定用チャンバ。」
と記載されているのを、
「第1の枠体と第2の枠体とが組み合わされて内部に空洞を有する樹脂材料により形成されたハウジングと、前記空洞を前記第1の枠体側の血液側チャンバ及び前記第2の枠体側の空気側チャンバに区切る軟質の樹脂材料により形成され、血圧に応じて変位し、前記血液側チャンバ内の圧力が上昇すると前記空気側チャンバ側に膨れる可撓性膜とを備え、
前記第1の枠体は、前記血液側チャンバに血液が流入する入ロポート及び血液が流出する出ロポートを有し、
前記第2の枠体は、内面に開口した圧力検出ポートを有し、
少なくとも前記圧力検出ポートの開口領域の領域外から開口領域に亘って、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との間に、通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材が配置され、
前記可撓性膜が前記第2の枠体側に最大限変位した状態において前記中間部材は、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との当接を防止し、
前記開口領域は、前記圧力検出ポートの中心を中心とし、前記圧力検出ポートの前記第2の枠体の内面における開口直径の3倍の直径を有する円状領域である、血液回路の血圧を測定する圧力測定用チャンバ。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する。)。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正の目的について
本件訂正は、訂正前の請求項1に係る発明における「可撓性膜」を、「血圧に応じて変位し、前記血液チャンバ内の圧力が上昇すると前記空気側チャンバ側に膨れる」と具体的に限定するものであり、また、訂正前の請求項1に係る発明における「圧力測定用チャンバ」を「血圧を測定する」ものに限定するものである。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件訂正は、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の「血液側チャンバ105内の圧力が上昇すると、可撓性膜102は、空気側チャンバ106側に膨れる。」(段落【0022】)、及び「本実施形態の圧力測定用チャンバは、人工透析用又は人工心肺用等の血液の体外循環回路に接続して、血圧測定することができる。」(段落【0052】)の記載に基づくものである。
したがって、本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(4)申立人の主張について
令和7年11月13日提出の意見書(以下「意見書」という。)において申立人は、
本件訂正は、発明に不可欠で本質的な要素を新たに追加したものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であり(意見書6~8ページ)、
特許権者が訂正の根拠であると主張する本件明細書の段落【0022】の記載は、「通気路形成リブ」を備える実施形態に関するものであって、請求項1の「通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材」を備える実施形態に関するものではないから、本件訂正は本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正でない(同8~9ページ)旨主張する。
しかし、本件訂正は、上記(1)のとおりであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、本件明細書の段落【0043】には、請求項1の「通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材」(本件明細書の「通気路形成部材162」)を備える実施形態に関して、「通気路形成部材162が通気性を有しているため、可撓性膜102が空気側チャンバ106側に膨れて、通気路形成部材162に接した場合にも、ハウジング101と可撓性膜102との間に通気路を確保することができる。」と記載されているところ、当該記載における「可撓性膜102が空気側チャンバ106側に膨れ」ることが、段落【0022】の「血液側チャンバ105内の圧力が上昇すると、可撓性膜102は、空気側チャンバ106側に膨れる」ことに対応することは明らかであるから、上記(2)のとおり、本件訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。
3 独立特許要件について
請求項1~3について特許異議の申立てがされているので、訂正後の請求項1~3に係る訂正に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
4 小括
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明3」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
第1の枠体と第2の枠体とが組み合わされて内部に空洞を有する樹脂材料により形成されたハウジングと、前記空洞を前記第1の枠体側の血液側チャンバ及び前記第2の枠体側の空気側チャンバに区切る軟質の樹脂材料により形成され、血圧に応じて変位し、前記血液側チャンバ内の圧力が上昇すると前記空気側チャンバ側に膨れる可撓性膜とを備え、
前記第1の枠体は、前記血液側チャンバに血液が流入する入口ポート及び血液が流出する出口ポートを有し、
前記第2の枠体は、内面に開口した圧力検出ポートを有し、
少なくとも前記圧力検出ポートの開口領域の領域外から開口領域に亘って、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との間に、通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材が配置され、
前記可撓性膜が前記第2の枠体側に最大限変位した状態において前記中間部材は、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との当接を防止し、
前記開口領域は、前記圧力検出ポートの中心を中心とし、前記圧力検出ポートの前記第2の枠体の内面における開口直径の3倍の直径を有する円状領域である、血液回路の血圧を測定する圧力測定用チャンバ。
【請求項2】
前記中間部材は、前記圧力検出ポートと対向して配置されている、請求項1に記載の血液回路の圧力測定用チャンバ。
【請求項3】
前記中間部材は、多孔性の樹脂材料により形成されている、請求項1又は2に記載の血液回路の圧力測定用チャンバ。」
第4 取消理由(決定の予告)の概要
令和8年3月3日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。
本件発明1は、甲第1号証に記載された発明、甲第4号証に記載された技術事項及び甲第3~5号証に記載された周知技術に基いて、本件発明2及び3は、甲第1号証に記載された発明、甲第4号証に記載された技術事項、甲第2号証に記載された技術事項及び甲第3~5号証に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証 特開2016-77406号公報
甲第2号証 特表2010-538687号公報
甲第3号証 国際公開第2016/048445号
甲第4号証 特表2009-533154号公報
甲第5号証 特開2008-259553号公報
第5 甲各号証の記載事項及び引用発明
申立人が提出した甲第1~6号証(以下「甲1」~「甲6」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。なお、「・・・」は省略を示し、下線は当審で付与した。
1 甲1(特開2016-77406号公報)
ア「【0023】
図2を参照して、圧力測定部100は、図1における脱血圧測定部位2、PD(Pre-dialyzer)圧測定部位5、および静脈圧測定部位11のいずれかに設けられる。圧力測定部100は、ハウジング101と、ハウジング101に接続される血液ライン210,220とを備える。
【0024】
ハウジング101は、下部ハウジング110と、下部ハウジング110に嵌合する上部ハウジング130とを備える。下部ハウジング110には、血液が導入される入口ポート111と、血液が排出される出口ポート112とが設けられている。入口ポート111には血液ライン210が、出口ポート112には血液ライン220が各々挿入されている。
【0025】
上部ハウジング130には圧力測定ポート140が設けられており、圧力測定ポート140には圧力モニターライン240が接続されている。」
イ「【0029】
下部ハウジング110の取付面119には、可撓性膜120が当接している。可撓性膜120は、ハウジングにより構成されるチャンバ102を2つの空間に分割する。チャンバ102は血液が通過する血液室150と、圧力測定用の空気が存在する空気室160とに分割される。」
ウ「【0035】
圧力測定ポート140は、空気室160に連通しているが、血液室150には連通していない。血液室150内の血液の流れに応じて可撓性膜120が変位して空気室160の体積が変化すると、この体積変化はトランスデューサーに伝達されるため、トランスデューサーにより血圧を測定することが可能である。」
エ「【0043】
圧力測定部100を有する血液回路は、圧力測定装置と接続される圧力測定部100を有する血液回路であって、血液回路は、チャンバ102を規定するハウジング101と、チャンバ102に設けられる可撓性膜120とを備え、ハウジング101は、チャンバ102に連通する入口ポート111および出口ポート112を有し、入口ポート111、チャンバ102および出口ポート112の順に血液が流れ、チャンバ102の血液の圧力に応じて可撓性膜120が変位し、・・・」
オ「【0065】
(実施の形態7)
図42から45を参照して、実施の形態7に従った圧力測定部100では、上部ハウジング130にリブ145が設けられることで、空間146が確保される。リブ145は圧力測定ポート140近傍に設けられる。これにより可撓性膜120が上部ハウジング130に張り付くことを防止できる。」
カ「【図44】
[図:0001439194000001.jpg]
」
キ「【図45】
[図:0001439194000002.jpg]
」
上記ア~キを総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「下部ハウジング110と、下部ハウジング110に嵌合する上部ハウジング130とを備えるハウジング101であって、ハウジング101により構成されるチャンバ102を有し、チャンバ102を、血液が通過する血液室150と、圧力測定用の空気が存在する空気室160との2つの空間に分割する可撓性膜120を有し、血液室150内の血液の流れ及びチャンバ102の血液の圧力に応じて可撓性膜120が変位して空気室160の体積が変化するものであり、
下部ハウジング110には、血液が導入される入口ポート111と、血液が排出される出口ポート112とが設けられており、
上部ハウジング130には圧力測定ポート140が設けられており、
上部ハウジング130にリブ145が設けられることで、空間146が確保され、これにより可撓性膜120が上部ハウジング130に張り付くことを防止できる、
血液回路の圧力測定部100。」
2 甲2(特表2010-538687号公報)
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、結合面を有する処理装置と、前記処理装置の結合面に結合可能な可撓性フィルムによって覆われた流体案内通路を有する硬質部品からなるカセットとを備えた医療流体を処理するための器具に関する。さらに、本発明は、可撓性フィルムによって覆われた流体案内通路を有する硬質部品からなり、処理装置の結合面に結合可能な医療用カセットに関する。さらに、本発明は、可撓性フィルムによって覆われた流体案内通路を有する硬質部品からなるカセットを、医療流体を処理するための処理装置の結合面に結合するための方法、ならびに、そのような医療カセットについて漏れがないことをチェックするための方法に関する。」
イ「【0051】
空気透過性の多孔質材料の層は、前記可撓性フィルム上の全領域にわたって配置されることが好ましい。このようにすれば、可撓性フィルムと処理装置の結合面との間の全面積にわたって空気を吸い出すことができる安価かつ単純な構成を実現することができる。」
ウ「【0084】
図1は、従来技術において例えば血液透析または腹膜透析のために使用される医療流体を処理するための器具を示している。・・・
【0085】
処理装置1は、例えばセンサ11が配置される結合面10を有している。カセット2は、可撓性フィルム25によって覆われた流体案内通路21を有する硬質部品20を備え、流体案内通路は、側方に配置されたシール用ウェブ22が可撓性フィルム25に押し付けられることによって、カセットの内部に流体を漏らさない状態で隔てられている。これに関連して、センサ11は、流体案内通路21に対向して配置されている。したがって、流体案内通路21は、測定室(圧力センサの場合には、圧力測定室)を形成している。
【0086】
さらに、可撓シリコーンマット15は、センサ11のセンサ面を環境の影響から保護するために、フィルム25と処理装置1の結合面10との間において装置側に配置されている。これにより、装置表面は、気密にシールされ、したがって理想的かつ衛生的に清掃可能となる。しかしながら、これに代えて、フィルム25が処理装置1の結合面10に直接接触するように、シリコーンマット15を省略することも可能である。
【0087】
しかしながら、正しい測定値が得られるようにセンサをフィルムディスポーザブル2へと結合させるとともに、フィルム25をセンサ11のセンサ面へと接続することは、困難である。具体的に、カセットの挿入時に使い捨てフィルム25とセンサ面との間の伝達経路に封入された空気は、測定結果に歪曲を生じさせる。これは、圧力センサに当てはまるが、例えばレベルの検出にも当てはまり、可撓性フィルム25を硬質部品20の流体案内通路21へと押し込むことによってカセット内の流体の流れを制御する弁などのアクチュエータにも同様に当てはまる。
【0088】
ここで、本発明の第1の実施の形態が、図2に示されている。これに関連して、フィルム25とマット15との間の領域の構造が結合面に沿った領域の空気の吸引を可能にしている。これにより、フィルム25をマット15に添えることによる自動的な封止に起因して、空気のアイランドが封入されたままになって測定結果を歪めることがないように、フィルム25とマット15との間の空間の確実な排気が保証される。
【0089】
図2に示した実施の形態においては、空気透過性の材料(具体的には、多孔質材料)の層30(この場合には、不織布層)がフィルム25とマット15との間に挿入されることによって、前記領域の吸引が実現される。そのような不織布層は、その構造に起因して多孔性であるため、フィルム25、不織布30、およびマット15からなる全体としての複合体は、例えばシール用ウェブ22によって強く押されても、この層の表面を空気が流れることができる。」
エ「【図2】
[図:0001439194000003.jpg]
」
3 甲3(国際公開第2016/048445号)
ア「[0048] FIGS. 2A-2C are side cross-sectional views of a POD assembly according to one or more embodiments of the present invention, and arranged to measure blood pressure in a venous circuit, that is, arranged to measure positive blood pressures. FIG. 2A shows a venous POD assembly 120 constructed of a cap 114, a diaphragm 116, and a base 118, assembled together.」
(訳(当審で作成した。以下同様。):[0048]図2A~2Cは、静脈回路内の血圧を測定するように構成された、即ち正の血圧を測定するように構成された、本発明の1つ以上の実施形態によるPODアセンブリの断面側面図である。図2Aは、共に組み付けられたキャップ114、ダイアフラム116、及びベース118により構成された静脈PODアセンブリ120を示す。)
イ「[0050] FIG. 2 A shows diaphragm 116 in an initial, start position, at zero mmHg, and configured to measure venous pressure. As pressure increases in the blood circuit, resulting from the flow of blood through the flow-through chamber of POD assembly 120, diaphragm 116 moves toward cap 114 in the direction shown by arrow P in FIG. 2B. The movement of diaphragm 116 toward cap 114 compresses air in the pressure-sensing side of POD assembly 120, which thereby increases the pressure of gas in the fluid communication from the pressure- sensing side, through sensor port 141, and to a venous pressure transducer in a hemodialysis machine. FIG. 2C shows diaphragm 116 pushing against and flush with the inner surface of cap 114 at a maximum accurately measurable venous pressure.」
(訳:[0050]図2Aは、静脈圧を測定するように構成され、0mmHgで初期開始位置にあるダイアフラム116を示す。PODアセンブリ120の貫流チャンバを通る血液の流れに起因して血液回路内で圧力が上昇すると、ダイアフラム116は、図2Bの矢印Pにより示す方向で、キャップ114に向かって移動する。ダイアフラム116がキャップ114に向かって動くことにより、PODアセンブリ120の感圧側の空気が圧縮され、これにより、感圧側からセンサポート141を介して血液透析機内の静脈圧トランスデューサまで流体連通している気体の圧力が増加する。図2Cは、正確に測定可能な最大静脈圧において、キャップ114の内面を押し付けて同一平面となっているダイアフラム116を示す。)
ウ「[0052]・・・In FIG. 3 both arterial POD assembly 12 and venous POD assembly 120 are shown in a vertical orientation as opposed to a horizontal orientation, which can help prevent the accumulation and trapping of air bubbles within the POD assemblies.」
(訳:[0052]・・・図3において、動脈PODアセンブリ12及び静脈PODアセンブリ120は、共に水平方向ではなく垂直方向に図示されており、このことは、PODアセンブリ内に気泡が蓄積及び捕捉されるのを防止するのに役立つ。)
エ「[0054]・・・Diaphragm 16 can comprise a thermoplastic elastomer. Diaphragm 16 can be adhered, frictionally fit to, over-molded, or otherwise contacted onto or with cap 14. Cap 14 can be injection molded, for example, out of acrylonitrile butadiene styrene (ABS), another thermoplastic material such as polycarbonate, or the like. Base 18 can also be injection molded, for example, out of ABS, polycarbonate, or any other suitable thermoplastic material.」
(訳:[0054]・・・ダイアフラム16は、熱可塑性エラストマーで構成され得る。ダイアフラム16は、キャップ14に接着され、摩擦嵌合され、オーバーモールドされ、又はその他の方法で接触させ得る。キャップ14は、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネートなどの他の熱可塑性材料、又はこれに類する材料から射出成形することができる。ベース18もまた、例えば、ABS、ポリカーボネート、又はその他の適切な熱可塑性材料から射出成形することができる。)
オ「[0060] During a dialysis treatment, diaphragm 16 is displaced by pressure changes in the extracorporeal circuit. Displacement of the diaphragm increases or decreases the volume of air between the diaphragm and the pressure transducer in the hemodialysis machine. Changes in air volume produce changes in pressure against, or acting on, the pressure transducer. The POD assembly enables pressure monitoring of the extracorporeal circuit, without the need to have any air be in contact with blood in the circuit. The POD assembly can be specialized to output arterial circuit pressure, or venous circuit pressure, by setting the initial position of diaphragm 16 during manufacture of POD assembly 12. The diaphragm also prevents blood contamination of the pressure monitoring circuit in the dialysis machine, and prevents microbial contamination of the blood circuit. The flow-through side 24 and the pressure sensing side 36 are designed with internal volumes that facilitate accurate output of arterial pressures from 0 to -300 mmHg, and venous pressures from 0 to 500 mmHg, at elevations up to 8000 feet above sea level. Atmospheric pressure and chamber volumes can be directly related to a desired range of operation for accurate pressure output.」
(訳:[0060]透析治療中、ダイアフラム16は体外回路内の圧力変化によって変位する。ダイアフラムの変位により、ダイアフラムと血液透析機内の圧力トランスデューサとの間の空気量が増加又は減少する。空気量の変化は、圧力トランスデューサに対する、又は圧力トランスデューサに作用する圧力変化を生じさせる。PODアセンブリは、回路内の血液と空気が接触することなく、体外循環回路の圧力モニタリングを可能にする。PODアセンブリ12の製造時にダイアフラム16の初期位置を設定することで、動脈回路圧力または静脈回路圧力を出力するようにPODアセンブリを特化できる。また、ダイアフラムは透析機内の圧力モニタリング回路への血液汚染を防止し、血液回路への微生物汚染を防ぐ。流路側24と圧力感知側36は、海抜8000フィートまでの高度において、動脈圧0~-300mmHg、静脈圧0~500mmHgを正確に出力できるよう内部容積が設計されている。大気圧とチャンバ容積は、正確な圧力出力のための所定動作範囲に直接関連付けられる。)
カ「[0076]・・・In FIG. 15, two alternative starting positions of the diaphragm are shown. POD assembly 512 comprises a cap 514, a base 518, and a telescoping diaphragm 516 pinched and held between cap 514 and base 518. Diaphragm 516 separates the interior of POD assembly 512 into a flow-through chamber 524 below the diaphragm and a pressure sensing chamber 525 above the diaphragm. Flow-through chamber 524 is in fluid communication with an inlet and an outlet, and the outlet shown includes a flow path extension 552. Diaphragm 516 includes a plurality of circular hinges, including hinges 530 and 532, which define respective circles at which one or more segments of diaphragm 516 can pivot. For example, diaphragm 516 can be divided into a base segment 520, intermediate segments 522, 534, and 536, and a top segment or dome 538. Segments 520 and 522 can pivot with respect to one another along hinge 530. Segments 522 and 534 can pivot with respect to one another along hinge 532. The entirety of diaphragm 516 can also be inverted, as shown by the bottom diaphragm position illustrated in FIG. 15.」
(訳:[0076]・・・図15には、ダイアフラムの2種類の代替開始位置が図示されている。PODアセンブリ512は、キャップ514と、ベース518と、キャップ514及びベース518間に挟持された入れ子式ダイアフラム516とを備える。ダイアフラム516は、PODアセンブリ512の内部を、ダイアフラム下方の貫流チャンバ524と、ダイアフラム上方の感圧チャンバ525とに分離する。貫流チャンバ524は、入口及び出口と流体連通しており、図示した出口は、流路延長部552を含む。ダイアフラム516は、ダイアフラム516の1つ又は複数のセグメントがピボット可能なそれぞれの円を規定する、ヒンジ530及び532を含む複数の円形のヒンジを含む。例えば、ダイアフラム516は、基部セグメント520と、中間セグメント522、534、及び536と、頂部セグメント又はドーム538とに分割することができる。セグメント520及び522は、ヒンジ530に沿って互いに対してピボットすることができる。セグメント522及び534は、ヒンジ532に沿って互いに対してピボットできる。図15に例示した底部のダイアフラム位置に示すように、ダイアフラム516の全体を反転させることもできる。)
キ 図2A~C「
[図:0001439194000004.jpg]
」
ク 図3「
[図:0001439194000005.jpg]
」
ケ 図15「
[図:0001439194000006.jpg]
」
コ 段落[0054]及び[0076]の記載から、ダイアフラム516は、熱可塑性エラストマーで構成され、キャップ514は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネートなどの他の熱可塑性材料、又はこれに類する材料から射出成形され、ベース518は、ABS、ポリカーボネート、又はその他の適切な熱可塑性材料から射出成形される。
サ 段落[0050]及び[0076]の記載、図2A及び15の図示内容から、PODアセンブリ512のキャップ514は、センサポートを備える。
シ 段落[0048]、[0050]及び[0076]の記載、図15の図示内容から、PODアセンブリ512で正の血圧を測定する場合、PODアセンブリ512の貫流チャンバ524を通る血液の流れに起因して血液回路内で圧力が上昇すると、ダイアフラム516は、底部のダイアフラム位置(図15の二点鎖線)から、キャップ514に向かって移動する。
上記ア~シを総合すると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
「キャップ514と、ベース518と、キャップ514及びベース518間に挟持された入れ子式ダイアフラム516とを備え、
キャップ514は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネートなどの他の熱可塑性材料、又はこれに類する材料から射出成形され、ベース518は、ABS、ポリカーボネート、又はその他の適切な熱可塑性材料から射出成形され、
ダイアフラム516は、熱可塑性エラストマーで構成され、PODアセンブリ512の内部を、ダイアフラム下方の貫流チャンバ524と、ダイアフラム上方の感圧チャンバ525とに分離し、
貫流チャンバ524は、入口及び出口と流体連通しており、
キャップ514は、センサポートを備え、
ダイアフラム516は、ダイアフラム516の1つ又は複数のセグメントがピボット可能なそれぞれの円を規定する、ヒンジ530及び532を含む複数の円形のヒンジを含み、
PODアセンブリ512の貫流チャンバ524を通る血液の流れに起因して血液回路内で圧力が上昇すると、ダイアフラム516は、底部のダイアフラム位置から、キャップ514に向かって移動する、
体外循環回路の圧力モニタリングを可能にするPODアセンブリ512。」
4 甲4(特表2009-533154号公報)
ア「【0020】
各種代替的実施形態においては、第1および第2のポンプポッドが互いに強固に取り付けられてもよく、容器手段が第1および第2のポンプポッドを一工程で受容する手段を含んでもよい。ベースユニットが、第1のポンプポッドの作動ポートに供給される制御流体の圧力と第2のポンプポッドの作動ポートに供給される制御流体の圧力をそれぞれ測定する第1および第2の圧力トランスデューサ、および作動システムを制御するために第1および第2の圧力トランスデューサから圧力情報を受信し作動システムを制御する制御器を更に含んでもよい。制御器が、一方のポンプポッドの圧送チャンバが実質的に一杯のときに他方のポンプポッドの圧送チャンバが実質的に空になるように、作動システムにポンプポッドを互いに位相をずらして作動させるようになされてもよい。」
イ「【0111】
1. 例示的な往復容積式ポンプ
本発明の実施形態は、一般に、生体液(例えば、血液または腹水)、治療液(例えば、薬剤溶液)、または界面活性剤液などの流体を圧送するために使用されるある種の往復容積式ポンプ(以下、「ポッド」、「ポンプポッド」または「ポッドポンプ」と呼ぶことがある)に関する。」
ウ「【0120】
往復容積式ポンプ25の内部では、可撓膜33(「ポンプダイヤフラム」とも呼ぶ)が圧送チャンバ壁31と作動チャンバ壁32が接する部分に(すなわち、ポッド壁30のところに)搭載されている。ポンプダイヤフラム33は、内部空洞を可変容積圧送チャンバ(圧送チャンバ壁31の堅固な内部表面と膜33の上表面によって規定される)と、相補的な可変容積作動チャンバ(作動チャンバ壁32の堅固な内部表面と膜33の下面によって規定される)とに効果的に分割する。上部分31は、流体入口34および流体出口37を含み、これらはどちらも圧送チャンバと流体連通している。下部分32は、作動チャンバと流体連通している気体圧インターフェース38を含む。以下でより詳細に論じるように、膜33は、気体圧インターフェース38に負および正の気体圧を交互に加えることによって、空洞内部で前後に動かすことができる。図3に示す実施形態において膜33が前後に往復しても、圧送チャンバと作動チャンバの容積の合計は一定のままである。
【0121】
通常の流体圧送動作中、負の気体圧を気体圧インターフェース38に加えることは、圧送チャンバを拡張させて入口34を通じて流体を圧送チャンバへ吸引するように、膜33を作動チャンバ壁32側に引く傾向である。一方、正の気体圧を気体圧インターフェース38に加えることは、圧送チャンバを縮小させて圧送チャンバ内の流体を出口37を通じて吐出するように、膜33を圧送チャンバ壁31側に押す傾向にある。こうした圧送動作中は、圧送チャンバ壁31および作動チャンバ壁32の内部表面が、膜33が前後に往復するときの膜33の動きを制限する。・・・
【0122】
従って、図3に示す実施形態においては、膜33の動きは、圧送チャンバ壁31と作動チャンバ壁32によって制限される。気体圧ポート38を通じて供給される正または負の加圧が十分強い限り、膜33は作動チャンバ壁32によって制限される位置から圧送チャンバ壁31によって制限される位置まで動く。膜が作動チャンバ壁32に押しつけられるときは、膜と圧送チャンバ壁31が圧送チャンバの最大容積を規定する。膜が圧送チャンバ壁31に押しつけられるとき、圧送チャンバの容積は最小である。」
エ「【0162】
図32Aおよび32Bを参照すると、図30Aおよび30Bに示すポッドポンプに類似の、ポッドポンプ3000の代替的実施形態が示されている。ただし、本実施形態においては、作動チャンバ3108に追加構成部品3202が含まれている。ある実施形態において、ポンプチャンバ3110にも追加構成部品3202が含まれていてもよく、他の実施形態においては、ポンプチャンバにのみ追加構成部品3202が含まれていてもよい。追加構成部品3202は、ダイヤフラム3006の運動を制限する、ダイヤフラムの3006の移動を鈍らせる、作動チャンバ3108に流入するもしくは作動チャンバ3108から流出する空気または気体をろ過する、またはポッドポンプ3000内の音もしくは振動を弱める働きをしてもよい。例えば、ポッドポンプ3000が流体管理システムに使用されるある実施形態においては、両チャンバ内の温度を同じにする時間を短縮するため、追加構成部品3202が両チャンバに存在してもよい。これらの実施形態の一部では、各追加構成部品3202は、網状プラスチック、織物タイプの材料、銅綿、発泡材料または他の材料を含んでもよく、空気または他の気体を平衡させるために表面積を大きくさせてもよい。」
オ「【図32B】
[図:0001439194000007.jpg]
」
5 甲5(特開2008-259553号公報)
ア「【0024】
図1は本実施形態に係る圧力センサの模式図である。圧力センサ1は、空気出入口50を持つ空気室30、液体流入口40と液体流出口41を有する液体室10、空気室30と液体室10に挟まれて空気室30と液体室10を区画し、空気室30内と液体室10内の圧力差に応じて変形する可撓性隔膜20とから構成される、体外循環回路100の途中に配置されたケーシング200を有する。更に圧力センサ1は、空気出入口50に被装着面300に開口している連通部51を介して接続され、液体室10内の圧力を、可撓性隔膜20を介して空気室側で測定する空気室内圧力測定手段60と、ケーシング200が装着される被装着面300と、ケーシング200と被装着面300の密着を判断する装着検知手段210とから構成される。」
イ「【0041】
(材質)空気室30、液体室10の材質は、硬質・軟質は特に問わないが、液温や気温、液体室10および空気室30を変形させるような外的な力などの環境要因により、液体室10および空気室30の形状に変化が生じてしまうと、正しく体外循環回路100内の圧力を測定することが難しくなる。そのため、液体室10および空気室30の材質は硬質であることが好ましく、さらには患者の体液に直接または間接的に触れるため、生体適合性を有している材質が好ましい。例えば、塩化ビニル、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン等を挙げることができ、いずれにおいても好適に用いることができる。」
ウ「【0042】
圧力によって少なくとも一部が変形する可撓性隔膜20の変形する部分(変形部)の材質は、硬質であると、圧力による変動量が小さくなり、体外循環回路100内の圧力を正確に測定することが難しくなることから、圧力に対して柔軟に変形する軟質な材質であることが望ましい。さらには患者の体液に直接または間接的に触れるため、生体適合性を有している材質が好ましい。例えば、ポリ塩化ビニル、シリコン系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーコンパウンド等を例示することができ、何れにおいても好適に用いることができる。」
6 甲6(特開平8-94474号公報)
ア「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイヤフラムの変位によって各種プロセス流体の圧力等を測定する圧力測定装置に関し、特にプロセス側からダイヤフラムに過大圧力が加わった際の不具合を解消してなる圧力測定装置に関するものである。」
イ「【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の差圧・圧力発信器では、過大圧力によってシールダイヤフラム5(6も同様)が変位してその受圧部aが受圧側面7に着底すると、シールダイヤフラム5の受圧部aの外周部、つまり変形時に支点となる部分5aが受圧側面7に当たって擦られ塑性変形するため、ヒステリシスが発生し、出力値がシフト(この出力シフトを通称オーバーロードヒステリシスを呼ぶ)してしまうという問題があった。したがって、正確な測定ができなくなる。また、長時間にわたって過大圧力が作用した場合には、シールダイヤフラム5の受圧部a全体が受圧側面7に完全に押し付けられて密着するため、過大圧力から解放されてもシールダイヤフラム5が受圧側面7から直ぐには離れず、出力が零に戻るのが遅いという問題を生じ、これをスティックと呼んでいる。このようなスティック現象は、受圧側面7の波形形状に馴染み易く、しかもそれ自身の弾性力も小さい柔らかい材料(例:モネル、タンタル等)で形成されたシールダイヤフラムにおいて顕著なものであった。」
ウ「【0015】図2は本発明の他の実施例を示す要部断面図である。この実施例は受圧側面7の代わりにシールダイヤフラム5の受圧側面7と対向する面に高硬度多孔質セラミック膜33を形成したものである。このような構成においても過大圧力によりシールダイヤフラム5が受圧側面7に着底したとき、セラミック膜33の作用により上記実施例と同様に、シールダイヤフラム5の密着力を弱めるので、長時間にわたってオーバーロードしてもスティックの発生を防止することができる。」
エ「【図2】
[図:0001439194000008.jpg]
」
第6 取消理由(決定の予告)についての当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「下部ハウジング110」、「上部ハウジング130」、「ハウジング101」及び「チャンバ102」は、その機能及び構造からみて、本件発明1の「第1の枠体」、「第2の枠体」、「ハウジング」及び「空洞」にそれぞれ相当する。
また、甲1発明の「下部ハウジング110」は「上部ハウジング130」と「嵌合する」ものであり、「チャンバ102」は「下部ハウジング110」及び「上部ハウジング130」とを備える「ハウジング101」により構成されることから、甲1発明の「下部ハウジング110と、下部ハウジング110に嵌合する上部ハウジング130とを備えるハウジング101」は、本件発明1の「第1の枠体と第2の枠体とが組み合わされて内部に空洞を有する」「ハウジング」に相当する。
イ 甲1発明の「可撓性膜120」は、ハウジング101により構成される「チャンバ102」を「血液室150」及び「空気室160」の「2つの空間に分割する」ものであり、その機能及び構造からみて、本件発明1の「可撓性膜」に相当し、同様に、「血液が通過する血液室150」及び「圧力測定用の空気が存在する空気室160」は、その機能からみて「第1の枠体側の血液側チャンバ」及び「第2の枠体側の空気側チャンバ」にそれぞれ相当する。
ウ 甲1発明の「血液室150内の血液の流れ及びチャンバ102の血液の圧力に応じて可撓性膜120が変位して空気室160の体積が変化する」ことは、その動作からみて、本件発明1の「血圧に応じて変位し、前記血液側チャンバ内の圧力が上昇すると前記空気側チャンバ側に膨れる」ことに相当する。
エ 甲1発明の「血液が導入される入口ポート111」、「血液が排出される出口ポート112」及び「上部ハウジング130」に設けられた「圧力測定ポート140」は、その機能からみて本件発明1の「前記血液側チャンバに血液が流入する入口ポート」、「血液が流出する出口ポート」及び「第2の枠体」の「内面に開口した圧力検出ポート」にそれぞれ相当する。
オ 甲1発明の「リブ145」によって「可撓性膜120が上部ハウジング130に張り付くことを防止できる」ことから、甲1発明の「リブ145」と、本件発明1の「前記可撓性膜が前記第2の枠体側に最大限変位した状態において前記中間部材は、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との当接を防止」する「中間部材」とは、可撓性膜が第2の枠体側に最大限変位した状態において前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との当接を防止する部材の限りで一致する。
カ 甲1発明の「血液回路の圧力測定部100」は、甲1の段落【0035】の記載から、接続されたトランスデューサーにより血圧を測定するものであるから、本件発明1の「血液回路の血圧を測定する圧力測定用チャンバ」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「第1の枠体と第2の枠体とが組み合わされて内部に空洞を有するハウジングと、前記空洞を前記第1の枠体側の血液側チャンバ及び前記第2の枠体側の空気側チャンバに区切り、血圧に応じて変位し、前記血液側チャンバ内の圧力が上昇すると前記空気側チャンバ側に膨れる可撓性膜とを備え、
前記第1の枠体は、前記血液側チャンバに血液が流入する入口ポート及び血液が流出する出口ポートを有し、
前記第2の枠体は、内面に開口した圧力検出ポートを有し、
前記可撓性膜が前記第2の枠体側に最大限変位した状態において、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との当接を防止する部材を有する、
血液回路の血圧を測定する圧力測定用チャンバ。」
<相違点1>
本件発明1は、ハウジングが「樹脂材料により形成され」ているのに対し、甲1発明は、ハウジング101の材料が特定されていない点。
<相違点2>
本件発明1は、可撓性膜が「軟質の樹脂材料により形成され」ているのに対し、甲1発明は、可撓性膜120の材料が特定されていない点。
<相違点3>
可撓性膜が第2の枠体側に最大限変位した状態において前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との当接を防止する部材について、本件発明1は、「少なくとも前記圧力検出ポートの開口領域の領域外から開口領域に亘って、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との間に、通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材」であって、「前記開口領域は、前記圧力検出ポートの中心を中心とし、前記圧力検出ポートの前記第2の枠体の内面における開口直径の3倍の直径を有する円状領域である」のに対して、甲1発明は、上部ハウジング130に設けられるリブ145であり、圧力測定ポート140の開口領域が具体的に特定されていない点。
(2)判断
事案に鑑み、まず上記相違点3から検討する。
甲4の段落【0162】には、血液を圧送するポッドポンプ3000において、ダイヤフラム3006の運動を制限する追加構成部品3202が設けられること、及び追加構成部品3202が多孔性の樹脂材料である網状プラスチック材料からなること(以下まとめて「甲4記載事項」という。)が記載されている。
ここで、甲4記載事項のポッドポンプ3000は、血液を圧送するために使用される往復容積式ポンプであるから(甲4の段落【0111】)、血液回路の血圧を測定するものではない。また、甲4の段落【0020】には、圧力トランスデューサが記載されているものの、当該圧力トランスデューサは、ポッドポンプの作動ポートに供給される制御流体の圧力を測定するものであって、血液回路の血圧を測定するものではない。
さらに、甲4記載事項のポッドポンプ3000は、負及び正の気体圧を交互に加えることによってダイヤフラム3006を空洞内部で前後に動かし、作動チャンバ3108及びポンプチャンバ3110の壁の内部表面が、ダイヤフラム3006が前後に往復するときの動きを制限するものであるから(同じく段落【0120】~【0122】)、甲4記載事項のダイヤフラム3006の運動を制限する追加構成部品3202は、ダイヤフラム3006が空洞内部で前後に動かされる際に、その運動の範囲を制限するものである。
一方、甲1発明のリブ145は、圧力測定ポート140近傍において可撓性膜120が上部ハウジング130に張り付くことを防止するために空間146を確保する(甲1の段落【0065】)ものであるから、甲1発明のリブ145と、甲4記載事項の追加構成部品3202とは、その機能が異なる。
また、甲4記載事項の追加構成部品3202は、「ダイヤフラムの3006の移動を鈍らせる、作動チャンバ3108に流入するもしくは作動チャンバ3108から流出する空気または気体をろ過する、またはポッドポンプ3000内の音もしくは振動を弱める働きをしてもよい」(段落【0162】)との記載を踏まえても、甲1発明のリブ145とは機能が異なる。
そうすると、甲1発明において、甲4記載事項の追加構成部品3202を適用する動機はない。
そして、本件発明1は、上記相違点3に係る事項により、「可撓性膜が空気側ハウジングの壁面と接触して密着すると、可撓性膜と壁面との間に空気が閉じ込められ、圧力検出ポートと通気していない孤立した空気胞が形成されてしまう。孤立した空気胞が形成されると、圧力測定範囲が小さくなってしまう。」(本件明細書の段落【0005】)という課題に対して、「通気路形成部材162が通気性を有しているため、可撓性膜102が空気側チャンバ106側に膨れて、通気路形成部材162に接した場合にも、ハウジング101と可撓性膜102との間に通気路を確保することができ」(同段落【0043】)、「孤立した空気胞の発生を抑えることが可能とな」(同段落【0014】)り、「圧力検出ポートと通気していない空気胞を生じにくくすることができる」(同段落【0016】)という効果を奏するものである。
したがって、上記相違点3に係る本件発明1の事項は、甲1発明及び甲4記載事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
また、甲2には、結合面10を有する処理装置1と、前記処理装置1の結合面10に結合可能なカセット2を備え、血液透析又は腹膜透析のために使用される医療流体を処理するための器具において、空気透過性の多孔質材料の層30が医療用カセット2のフィルム25と処理装置1のマット15との間に挿入されること(以下「甲2記載事項」という。)が記載されているものの、甲2記載事項の空気透過性の多孔質材料の層30は、カセット2の挿入時にフィルム25とマット15の間に封入された空気の吸引を可能にするためのものであって、圧力に応じて変位する可撓性膜を備えた圧力測定用チャンバにおいて、枠体と可撓性膜との間に孤立した空気胞を生じにくくするものではない。
また、甲6には、シールダイヤフラム5の変位によって各種プロセス流体の圧力等を測定する圧力測定装置において、シールダイヤフラム5の受圧側面7と対向する面に高硬度多孔質セラミック膜33を形成すること(以下「甲6記載事項」という。)が記載されているものの、甲6記載事項の高硬度多孔質セラミック膜33は、長時間にわたって過大圧力が作用した場合に、過大圧力から解放されてもシールダイヤフラム5が受圧側面7から直ぐには離れず、出力が零に戻るのが遅くなるスティックという問題の発生を防止するためのものであって、シールダイヤフラム5と受圧側面7との間に孤立した空気胞を生じにくくするものではない。
そうすると、圧力測定用チャンバにおいて、枠体と可撓性膜との間に通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材を配置して、孤立した空気胞を生じにくくすることは、いずれの文献にも記載されておらず、周知技術でもない。
したがって、上記相違点3に係る本件発明1の事項は、甲1発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
(3)申立人の主張について
意見書において申立人は、甲2~甲6のほか下記の甲第7~9号証(以下「甲7」~「甲9」という。)にも記載されているように本件発明1の課題は周知であり(意見書11~19ページ)、課題解決手段は技術的意義が欠如し(同20~22ページ)、作用効果の発現は不確実で顕著な効果とはいえず(同22ページ)、相違点は周知手段を適用したにすぎず(同22~23ページ)、本件発明1~3は甲1発明と差異を生じない(同23~24ページ)から、本件発明1~3は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。
甲第7号証 特表2017-504389号公報
甲第8号証 特開2008-51663号公報
甲第9号証 特開2003-235961号公報
しかし、甲7~甲9には、圧力測定用チャンバにおいて、枠体と可撓性膜との間に通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材を配置して、孤立した空気胞を生じにくくすることは記載されていないから、上記(2)のとおり、上記相違点3に係る本件発明1の事項は、甲1発明、甲4記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。
以上のとおりであるから、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲4記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定を付したものであるから、上記1と同様の理由により、甲1発明、甲4記載事項、甲2記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 取消理由(決定の予告)に採用しなかった異議申立理由
1 取消理由(決定の予告)に採用しなかった異議申立理由
(1)申立理由1(甲3を主引用例とする進歩性の欠如)
本件発明1~3は、甲3に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(異議申立書57~64ページ)。
(2)申立理由2(明細書及び特許請求の範囲の記載要件違反)
本件明細書の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載には、下記の点で不備があるから、本件発明1~3に係る本件特許は、特許法第36条第4項第1号、同条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(同64~73ページ)。
(申立理由2-1)請求項1の「少なくとも前記圧力検出ポートの開口領域の領域外から開口領域に亘って、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との間に、通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材が配置され」、「前記開口領域は、前記圧力検出ポートの中心を中心とし、前記圧力検出ポートの前記第2の枠体の内面における開口直径の3倍の直径を有する円状領域である」という記載は、開口領域の形状や「開口直径の3倍の直径」という数値限定の技術的意義が欠如し又は不明であるし、請求項1のどの発明特定事項が「可撓性膜と壁面との間に空気が閉じ込められ、圧力検出ポートと通気していない孤立した空気胞が形成」されるのを防止するという効果を奏するのか不明である(同64~72ページ)。
(申立理由2-2)請求項3の「前記中間部材は、多孔性の樹脂材料により形成されている」という記載は、請求項1に記載されているから意味のない限定であるし、仮に、本件発明1の範囲を「通気性を有しない多孔性の樹脂材料」にまで拡大するのであれば、発明の外延を不明確にするものである(同72~73ページ)。
2 当審の判断
(1)申立理由1(甲3を主引用例とする進歩性の欠如)について
本件発明1と甲3発明とを対比する。
ア 甲3発明の「ベース518」及び「キャップ514」は、その機能及び構造からみて、本件発明1の「第1の枠体」及び「第2の枠体」にそれぞれ相当する。
そして、甲3発明の「ベース518」及び「キャップ514」からなる構造は、ハウジングといえるから、甲3発明の「キャップ514と、ベース518と」「を備え、」「キャップ514は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネートなどの他の熱可塑性材料、又はこれに類する材料から射出成形され、ベース518は、ABS、ポリカーボネート、又はその他の適切な熱可塑性材料から射出成形され」ることは、本件発明1の「第1の枠体と第2の枠体とが組み合わされて内部に空洞を有する樹脂材料により形成されたハウジング」「を備え」ることに相当する。
イ 甲3発明の「キャップ514及びベース518間に挟持された入れ子式ダイアフラム516とを備え、」「ダイアフラム516は、熱可塑性エラストマーで構成され、PODアセンブリ512の内部を、ダイアフラム下方の貫流チャンバ524と、ダイアフラム上方の感圧チャンバ525とに分離し、」「PODアセンブリ512の貫流チャンバ524を通る血液の流れに起因して血液回路内で圧力が上昇すると、ダイアフラム516は、底部のダイアフラム位置から、キャップ514に向かって移動する」ことは、本件発明1の「前記空洞を前記第1の枠体側の血液側チャンバ及び前記第2の枠体側の空気側チャンバに区切る軟質の樹脂材料により形成され、血圧に応じて変位し、前記血液側チャンバ内の圧力が上昇すると前記空気側チャンバ側に膨れる可撓性膜とを備え」ることに相当する。
ウ 甲3発明の「貫流チャンバ524は、入口及び出口と流体連通して」いることは、本件発明1の「前記第1の枠体は、前記血液側チャンバに血液が流入する入口ポート及び血液が流出する出口ポートを有」することに相当する。
エ 甲3発明の「キャップ514は、センサポートを備え」ることは、本件発明1の「前記第2の枠体は、内面に開口した圧力検出ポートを有」することに相当する。
オ 甲3発明の「体外循環回路の圧力モニタリングを可能にするPODアセンブリ512」は、本件発明1の「血液回路の血圧を測定する圧力測定用チャンバ」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲3発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「第1の枠体と第2の枠体とが組み合わされて内部に空洞を有する樹脂材料により形成されたハウジングと、前記空洞を前記第1の枠体側の血液側チャンバ及び前記第2の枠体側の空気側チャンバに区切る軟質の樹脂材料により形成され、血圧に応じて変位し、前記血液側チャンバ内の圧力が上昇すると前記空気側チャンバ側に膨れる可撓性膜とを備え、
前記第1の枠体は、前記血液側チャンバに血液が流入する入口ポート及び血液が流出する出口ポートを有し、
前記第2の枠体は、内面に開口した圧力検出ポートを有する、
血液回路の血圧を測定する圧力測定用チャンバ。」
<相違点4>
本件発明1は、「少なくとも前記圧力検出ポートの開口領域の領域外から開口領域に亘って、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との間に、通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材が配置され、前記可撓性膜が前記第2の枠体側に最大限変位した状態において前記中間部材は、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との当接を防止し、前記開口領域は、前記圧力検出ポートの中心を中心とし、前記圧力検出ポートの前記第2の枠体の内面における開口直径の3倍の直径を有する円状領域である」のに対して、甲3発明はそのような特定がない点。
上記相違点4について検討する。
甲3発明の「ダイアフラム516の1つ又は複数のセグメントがピボット可能なそれぞれの円を規定する、ヒンジ530及び532を含む複数の円形のヒンジ」は、キャップ514とダイアフラム516の間に配置された部材ではないから、本件発明1の「中間部材」には相当しない。
また、甲3の段落[0052]には、PODアセンブリを垂直方向に配置してPODアセンブリ内に気泡が蓄積及び捕捉されるのを防止することが記載されているものの、技術常識を踏まえると、当該記載は、血液が流れる貫流チャンバ内に気泡が蓄積されるのを防止することと解されるから、ダイアフラム516とキャップ514の間(感圧側)に孤立した空気胞を生じにくくすることを示唆するものではない。
また、上記相違点4に係る本件発明1の事項は、甲2及び甲4に記載されていない。
したがって、甲3発明において、上記相違点4に係る本件発明1の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではないから、本件発明1~3は、甲3発明、甲2に記載された事項及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、申立理由1は理由がない。
(2)申立理由2(明細書及び特許請求の範囲の記載要件違反)について
申立理由2-1について、請求項1の「少なくとも前記圧力検出ポートの開口領域の領域外から開口領域に亘って、前記第2の枠体の内面と前記可撓性膜との間に、通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材が配置され」、「前記開口領域は、前記圧力検出ポートの中心を中心とし、前記圧力検出ポートの前記第2の枠体の内面における開口直径の3倍の直径を有する円状領域である」という記載から、中間部材が、第2の枠体の内面と可撓性膜との間において、少なくとも圧力検出ポートの開口領域の領域外から開口領域に亘って配置され、当該開口領域は、圧力検出ポートの中心を中心として、第2の枠体の内面における圧力検出ポートの開口直径の3倍の直径を有する円状領域である構造が明確に把握できる。
また、当該構造は、本件明細書の段落【0032】、【0043】及び【図9】に記載されており、当該構造により、「可撓性膜と壁面との間に空気が閉じ込められ、圧力検出ポートと通気していない孤立した空気胞が形成」されるのを防止するという効果を奏することが理解できる。
申立理由2-2について、請求項1の「通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成された中間部材」という事項と、請求項3の「前記中間部材は、多孔性の樹脂材料により形成されている」という事項の間に矛盾はなく、本件発明1~3の「中間部材」は、「通気性を有する多孔性の樹脂材料により形成され」ることが明確である。
したがって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、本件発明1~3について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されている。
また、本件発明1~3に係る特許請求の範囲の記載は、明確であり、発明の詳細な説明に記載したものである。
よって、申立理由2は理由がない。
第8 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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