特許異議申立
2025-700688
鉄筋コンクリート造躯体の解体工法
- 審判番号
- 2025-700688
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-209087
- 登録番号
- 7620424
- 請求日
- 2025年07月04日
- 審決日
- 2026年04月06日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】五洋建設株式会社
- 【権利者代理人】田村 敬二郎
- 【権利者代理人】小林 研一
- 【異議申立人】森 貴子
- 審判長/審判官
- 審判長 澤田 真治
- 審判官 家田 政明
- 審判官 藏田 敦之
- 分類
- P1651.121-Y (E04G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7620424号発明「鉄筋コンクリート造躯体の解体工法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7620424号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許異議申立に係る特許第7620424号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、令和2年12月17日の特許出願であって、令和7年1月15日にその特許権の設定登録がされ、同月23日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、同年7月4日に、特許異議申立人 森 貴子(以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、本件特許の請求項1~5に係る特許について、特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1~5に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、それぞれ特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
鉄筋コンクリート造の躯体を解体する工法であって、
前記鉄筋コンクリート造の躯体を構成する部材は、設計基準強度が少なくとも60N/mm2の高強度コンクリートを用いたものであり、
前記部材に複数の装薬孔を形成する工程と、
前記装薬孔に動的破砕剤を装填する工程と、
前記動的破砕剤の点火により前記部材を解体重機による把持破砕が可能なように破砕し小片化する工程と、
前記破砕後の部材を前記解体重機によりさらに破砕しさらに小片化する工程と、を含む鉄筋コンクリート造躯体の解体工法。
【請求項2】
前記部材は、立ち上がりの基礎と梁である、請求項1に記載の鉄筋コンクリート造躯体の解体工法。
【請求項3】
前記梁における前記装薬孔を、前記梁の端部および中間部に形成する、請求項2に記載の鉄筋コンクリート造躯体の解体工法。
【請求項4】
前記基礎が前記梁の幅よりも大きい拡大部を有し、
前記基礎における前記装薬孔を、前記拡大部の上面から縦方向に形成する、請求項2または3に記載の鉄筋コンクリート造躯体の解体工法。
【請求項5】
前記梁の端部および中間部ならびに前記基礎における各装薬孔に装填された各動的破砕剤の点火具からの脚線を直列に連結し、遠隔操作にて各動的破砕剤をほぼ同時に点火し破砕する、請求項2乃至4のいずれかに記載の鉄筋コンクリート造躯体の解体工法。」
第3 証拠一覧及び特許異議申立理由の概要
1 証拠一覧
申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。
(以下、申立人の提出した甲第1号証を、甲1という。甲第2号証以下についても同様。)
(1)甲第1号証:100N/mm2級超高強度コンクリートを使用したRC構造物の解体実験報告、鈴木 信也(他4名)、戸田建設技術研究報告 第33号、平成19年11月1日発行
(2)甲第2号証:特開2013-87413号公報
(3)甲第3号証:特開2014-173235号公報
(4)甲第4号証:特開2015-129407号公報
(5)甲第5号証:余盛コンクリートを瞬間破砕する杭頭処理工法、杉下 紗惠子(他4名)、鹿島技術研究所年報 第63号、平成27年11月1日発行
(6)甲第6号証:特開2011-157807号公報
2 特許異議申立理由の概要
申立人が申立書において主張する特許異議申立理由(以下「申立理由」という。)の概要は、次のとおりのものと認められる。
本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件出願前に公開された甲1に記載された発明、甲2に記載された発明、甲6に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 甲号証について
(1)甲1
ア 甲1の記載事項
甲1には、次の記載がある(下線は、当審合議体が付した。以下、同様。)
(ア)「概要
近年、超高層RC住宅で、60N/mm2を超える超高強度コンクリートが採用されている。これら超高層RC構造物は太径の鉄筋が使用され配筋量も多く、切断及び破砕が困難であることが予想される。そこで、Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体の解体実験を行った。本報では、100N/mm2級超高強度コンクリートを使用したRC構造物の解体における施工能率、騒音、振動について報告する。」(14頁6~10行)
(イ)「1.はじめに
近年、超高層RC住宅で60N/mm2を超える超高強度コンクリートが採用されている。これら超高層RC構造物は太径鉄筋が使用され配筋量も多い特徴がある。そのため、解体工法も一般的な建築物とは異なり、切断および破砕が困難であることが懸念される。
そこで、Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体を解体し、解体工法の切断能率、破砕能率、騒音および振動の調査を行った。」(14-2頁左欄1~9行)
(ウ)「表-2 要因と水準
[図:0001435200000001.jpg]
」
(エ)「4.3 破砕能率
破砕能率計測結果を表-6に示す。スラブの場合はパクラーとジャイアントブレーカは同程度の施工能率である。梁の場合はパクラーの破砕能率はジャイアントブレーカの1/4程度であった。破砕能率が低下している要因のひとつにパクラーの最大開口幅が850mmであるのに対して、梁幅は600mmであるため、パクラーの根元で挟むことができないことが挙げられる。柱の場合は柱幅が1000mmであり、パクラーで挟むことができないので、角部から破砕することを試みたが破砕できないため、実験を中止した。破砕部材の幅がパクラーの最大開口幅よりも大きい場合は、破砕部材幅よりも大きい開口のパクラーを用意するか、コア等により爪が引っかかるようにする必要がある。ブレーカの破砕能率は2~2.45m3/hであることが確認できた。柱中心部にも主筋がある場合は破砕能率が18%程度低下することがわかった。」(14-5頁 左欄1~末行)
(オ)「5.まとめ
本実験により、現状技術を用いて切断ができることを確認した。破砕においては、パクラ―の最大開口幅よりも部材が大きいものに関しては、ジャイアントブレーカを用いれば破砕できることを確認できた。しかし、ジャイアントブレーカは騒音振動が大きいため、都心部の解体工事で用いると近隣に迷惑がかかるので、他の工法でも破砕できる方法を検討する必要がある。開口幅の大きいパクラ―を用いれば解体は可能になるが、重機本体も大きくなり重くなる傾向があるため、スラブの補強なども含めて検討する必要がある。
本調査結果を基に、今後超高層建築物の解体工法(解体・運搬・処理・安全対策・環境対策)やリニューアル工事への適用性を検討していく予定である。
最後に、本研究に御指導、御協力を頂きました西松戸田共同研究PJのメンバーの方に謝意を表します。」(14-6頁 右欄13~28行)
(カ)上記(ウ)の「表2 要因と水準」において、「切断機械」として、「自動ウォールソー小、自動ウォールソー大、手動ウォールソー、ワイヤーソー」が記載されており、「破砕機械」として、「ジャイアントブレーカー、パクラー」が記載されている。解体実験における「切断機械」及び「破砕機械」として、これらのものを使用したことが認められる。
イ 甲1発明
前記アより、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。なお、参考のため、主な根拠箇所を括弧内に示す。
「近年、超高層RC住宅で60N/mm2を超える超高強度コンクリートが採用されており、これら超高層RC構造物は太径鉄筋が使用され配筋量も多い特徴があるため、解体工法も一般的な建築物とは異なり、切断および破砕が困難であることが懸念されることから、Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体を解体して行った、解体工法の切断能率、破砕能率、騒音および振動の調査であって、(14-2頁左欄1~9行)
切断機械として、自動ウォールソー小、自動ウォールソー大、手動ウォールソー、ワイヤーソーを使用し、破砕機械として、ジャイアントブレーカー、パクラーを使用して、(表-2)、
スラブの場合はパクラーとジャイアントブレーカは同程度の施工能率であるが、梁の場合はパクラーの破砕能率はジャイアントブレーカの1/4程度であり、パクラーの破砕能率が低下している要因のひとつにパクラーの最大開口幅が850mmであるのに対して、梁幅は600mmであるため、パクラーの根元で挟むことができないことが挙げられ、柱の場合は柱幅が1000mmであり、パクラーで挟むことができず、破砕部材の幅がパクラーの最大開口幅よりも大きい場合は、破砕部材幅よりも大きい開口のパクラーを用意するか、コア等により爪が引っかかるようにする必要があるのに対して、ブレーカでは破砕を確認して、(14-5頁 左欄1~末行)
実験の結果、現状技術を用いて切断ができること、破砕においては、パクラ―の最大開口幅よりも部材が大きいものに関しては、ジャイアントブレーカを用いれば破砕できることを確認できたが、ジャイアントブレーカは騒音・振動が大きいため、都心部の解体工事で用いると近隣に迷惑がかかるので、他の工法でも破砕できる方法を検討する必要があり、開口幅の大きいパクラ―を用いれば解体は可能になるが、重機本体も大きくなり重くなる傾向があるため、スラブの補強なども含めて検討する必要がある解体方法。(14-6頁 右欄13~28行)」
(2)甲2
ア 甲2の記載事項
甲2には、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
柱状のコンクリート構造物を解体する解体方法であって、
前記コンクリート構造物を分断する所定の長軸方向の分断面内に、長軸方向の孔部を複数形成する工程と、
前記孔部に、線状に爆薬を配置する工程と、
前記爆薬の発破を行い、前記コンクリート構造物のコンクリートを前記分断面で分断しつつ、前記分断面の側端部で、前記コンクリート構造物の長軸方向の側面に溝状の破砕部を形成する工程と、
を具備することを特徴とする解体方法。
【請求項2】
前記長軸方向の分断面において、前記コンクリート構造物の外周部の鉄筋の内側近傍に形成される孔部に配置する爆薬の量を、それ以外の孔部に設けられる爆薬の量よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載の解体方法。
【請求項3】
前記コンクリート構造物を、複数の前記分断面で分断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の解体方法。
【請求項4】
複数の前記分断面を、交差するように設けることを特徴とする請求項3に記載の解体方法。
【請求項5】
隣り合う前記側端部の間隔を、圧砕装置で掴める大きさとし、前記分断面で分断された部材を前記圧砕装置で掴んで圧砕することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の解体方法。」
(イ)「【0024】
[第1の実施形態]
まず、本発明の解体方法の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、図1、図2に示すようなRC構造の柱状のコンクリート構造物1を解体する場合を例にとり説明する。」
(ウ)「【0039】
前述したように、分断面3の側端部6と分断面7の側端部8との間隔10(図1を参照)は、解体に用いる小型のニブラや圧砕機などの爪部材の開口幅より小さくなるように設定されている。従って、隣り合う破砕部33と破砕部35との間隔が、該開口幅より小さいものとなるので、これら破砕部33と破砕部35を小型のニブラや圧砕機などで掴んで部材4を容易に圧砕し除去できる。なお、部材4の側面31にひび割れ等が発生している場合には、小型ニブラ等で該ひび割れを掴んで脆弱化しているコンクリートを圧砕し除去することもできる。」
(エ)「【0045】
また、第1の実施形態では、隣り合う分断面3の側端部6と分断面7の側端部8との間隔10を、解体に用いる予定の小型のニブラや圧砕機などの小型の圧砕装置で掴める幅に設定する。これにより、発破により分断された各部材4を、隣り合う破砕部33と破砕部35とを掴んで小型の圧砕装置で圧砕することが可能となる。
【0046】
また、第1の実施形態では、微小量の線状爆薬19を用いるので、孔部5、孔部9を20mm程度と小径にできる。これにより、穿孔のための大がかりな機械が不要で、小型重機もしくは手持ちの穿孔器具によって穿孔作業が可能となり、騒音、振動、粉塵等も少なくなる。また、穿孔コストも少なくてすむ。さらに、穿孔の際に鉄筋と干渉する可能性も小さくなる。
【0047】
このように、第1の実施形態の解体方法を用いることにより、コンクリート構造物1の解体作業の作業性が向上する。これにより、コストを削減し、工期も短縮することができる。例えば、コアボーリングやワイヤーソー、ウォールソーを使用して切断する解体工法と比べた場合、作業員2名で断面1.0m×1.0mのRC梁の切断を行った実験結果に基づいて試算すると、所要時間、コストを共に約40%削減できるという知見が得られた。」
イ 甲2発明
前記アより、甲2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲2発明」という。)。なお、参考のため、主な根拠箇所を括弧内に示す。
「RC構造の柱状のコンクリート構造物を解体する解体方法であって、(【0024】)
前記コンクリート構造物を分断する所定の長軸方向の分断面内に、長軸方向の孔部を複数形成する工程と、
前記孔部に、線状に爆薬を配置する工程と、
前記爆薬の発破を行い、前記コンクリート構造物のコンクリートを前記分断面で分断しつつ、前記分断面の側端部で、前記コンクリート構造物の長軸方向の側面に溝状の破砕部を形成する工程と、
を具備する解体方法であって、(請求項1)
隣り合う前記側端部の間隔を、圧砕装置で掴める大きさとし、前記分断面で分断された部材を前記圧砕装置で掴んで圧砕するものであり、(請求項5)
ワイヤーソー、ウォールソーを使用して切断する解体工法と比べた場合、作業員2名で断面1.0m×1.0mのRC梁の切断を行った実験結果に基づいて試算すると、所要時間、コストを共に約40%削減できる解体方法。(【0047】)」
(3)甲3
甲3には、次の記載がある。
「【0031】
1スパンスラブ部4の解体は、動的破砕剤と、鉄筋を切断できるとともにコンクリートを破砕することができる解体用重機6を使用する。動的破砕剤ではスラブのコンクリート内に縦横に埋設されている鉄筋の切断はできないため、図4(a)に示すように、1スパンスラブ部4の周囲に動的破砕剤充填孔10,10......を千鳥状配置に形成し、その各孔10内に動的破砕剤を充填した後、これらに遠隔点火して同時破裂させ、図4(b)に示すように、1スパンスラブ部4の周囲を連続した状態で囲む配置に鉄筋が露出したコンクリート破砕部11を形成する。」
(4)甲4
甲4には、次の記載がある。
「【0045】
本実施形態の破砕工法によれば、竪管11の両側にくさび形の空洞11aを有する装薬ホルダ10を想定した破砕ライン20a上の複数の装着位置20に装着し、装薬ホルダ10の両側のフィン部(板部材)11,12から破砕力を発生させる動的破砕方式を、RC構造物の解体において最も数量が多く解体工事の律速段階となる可能性が大きい壁や床スラブなどの薄部材に対して適用することで、解体工事の施工を効率化することができ、確実な破砕を実現することができる。かかる破砕工法により、工期、費用の低減に大幅に寄与することができるとともに、重機による打撃などを伴わずに、より早くより確実にRC構造物の解体工事を実施することができる。」
(5)甲5
ア 甲5の記載事項
甲5には、次の記載がある。
(ア)「II.工法概要と作業手順
1.工法概要
本工法の概要をFig.1に示す。図に示すとおり,まず杭頭の構造体天端(存置部分)と余盛コンクリートの境界面を非火薬破砕剤で水平方向に切断して縁を切り,微小な時間差(0.03秒後)をおいて余盛コンクリートを少量の爆薬(導爆線)で人頭大のガラに破砕する工法である。なお,余盛部の破砕時に主筋が外周部に向かって曲がることを防ぐ目的で,アラミド製の繊維シートを余盛外周部に巻きつけて拘束をしておく。
本工法で使用する非火薬破砕剤と爆薬をPhoto 1に,それぞれの特徴をTable 1に示す。非火薬破砕剤は,組成に火薬類に属するものを含まない破砕剤である。破砕は,テルミット反応と呼ばれる酸化還元反応で生じる瞬間的な蒸気の膨張圧によって起きる。反応速度は爆薬の1/25程度であり,衝撃波を生じないため,杭構造体部に損傷を与えることなく水平切断できる。一方,爆薬は組成にペンスリットを含むため火薬類に該当する。化学反応による燃焼が高速で進み,衝撃波を生じるため,非火薬破砕剤と比較して高い破砕力を有する。構造体と縁が切れた後の余盛部を,この高い破砕力を利用して人頭大のガラ状に破砕する。」(201頁右欄4行~202頁左欄7行)
(イ)表3「
[図:0001435200000002.jpg]
」
(ウ)表4「
[図:0001435200000003.jpg]
」
イ 甲5発明
前記ア(ア)より、甲5には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲5発明」という。)。
「まず杭頭の構造体天端(存置部分)と余盛コンクリートの境界面を非火薬破砕剤で水平方向に切断して縁を切り,微小な時間差(0.03秒後)をおいて余盛コンクリートを少量の爆薬(導爆線)で人頭大のガラに破砕する工法であって、
前記非火薬破砕剤は,組成に火薬類に属するものを含まない破砕剤であり、破砕は,テルミット反応と呼ばれる酸化還元反応で生じる瞬間的な蒸気の膨張圧によって起き、反応速度は爆薬の1/25程度であり,衝撃波を生じないため,杭構造体部に損傷を与えることなく水平切断できる一方,爆薬は組成にペンスリットを含むため火薬類に該当し、化学反応による燃焼が高速で進み,衝撃波を生じるため,非火薬破砕剤と比較して高い破砕力を有するものであり、
構造体と縁が切れた後の余盛部を,火薬の高い破砕力を利用して人頭大のガラ状に破砕する工法。」
(6)甲6
甲6には、次の記載がある。
ア 「【0011】
しかしながら、大型ブレーカーやコンクリート圧砕機を用いた解体方法では、騒音や粉塵、振動が発生する。また、基礎梁、フーチング、耐圧版など大断面の部材を噛み切れないときは、大型ブレーカーで大割する必要があるが、大きな騒音と振動が発生し、近隣等に迷惑を生じる恐れもある。さらに、重機が動き回るためのスペースが必要になる。狭い工事や地下解体では大型重機が入れないことがあり、効率が極端に落ちる。」
イ 「【0087】
次に、本発明の第3の実施形態について、図9から図12を用いて説明する。第3の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図9に示すような鉄筋コンクリート構造の大断面の部材50を解体する場合を例にとり説明する。
【0088】
即ち、本実施形態の解体方法では、図9(a)に示す大断面の部材50の、部材を切断したい任意の分断部である垂直方向の分断部53、水平方向の分断部55において、爆薬を複数線状に装填して発破を行い、必要最小量の爆薬で部材内部のコンクリート部に亀裂を貫通させ、外周部の鉄筋の周囲のコンクリートを破砕し、部材を垂直方向、水平方向にそれぞれ分断する。本実施形態では、分断部53、分断部55で発破により部材50を分断させ、部材50の左上部の部材51を切り出し解体する。」
ウ 「【0091】
第3の実施形態の解体方法においても、図10(a)に分断部53の分断面を、図10(b)に分断部53の内部をそれぞれ示すように、ハンマードリル等を用いて部材50を分断部53で部材50の外面から穿孔し、部材50の外面から部材50の内部へ向かう孔部61、孔部63を分断部53に形成する。また、図11(a)に分断部55の分断面を、図11(b)に分断部55の内部をそれぞれ示すように、分断部55でも、部材50の外面から部材50の内部へ向かう孔部65、孔部67を形成する。孔部61、孔部63、孔部65、孔部67は、水平方向鉄筋57や帯筋59に干渉しないように設けられる。」
エ 「【0100】
さらに、コンクリート強度や、鉄筋・鉄骨量などの断面性状や穿孔位置に応じて、必要な発破エネルギー量を算出して適切な爆薬量を求め、図10、図11に示すように、線状爆薬69を孔部61、孔部63、孔部65、孔部67にセットする。線状爆薬69は、各孔部で部材50の外面から所定距離離れた、例えば200mm程度離れた位置より奥の位置にセットする。」
オ 「【0111】
次に、本発明の第4の実施形態について、図13から図20を用いて説明する。
第4の実施形態の解体方法は、コンクリート構造物として、図13に示すような鉄筋コンクリート構造の基礎梁80を解体する場合を例にとり説明する。」
カ 「【0114】
本実施形態の解体方法では、まず第2の実施形態と同様に分断部81aで爆薬を線状に装填して発破を行い基礎梁80を垂直方向に分断し、部材80aを除去する。この際、分断部81aは平面上梁軸方向に対して斜めに設定し分断面をテーパー面とし、発破後の部材80aの平面を台形とする。そして、発破後残った鉄筋を切断し、分断された部材80aを台形の底辺側に取り出して除去する。部材80aを除去した後の基礎梁80を図14(a)に示す。」
キ 「【0127】
なお、発破時に火薬量が多くなる場合は、段発雷管を使用して微小な時間差を設けて各部材を連続発破し、騒音、振動を平準化することも可能である。この際の発破順は、例えば、部材の垂直方向の断面の外周部の鉄筋より内側の分断部(82b等)を当該部材を垂直方向に分断する分断部(81b等)より先に発破しつつ、部材を垂直方向に分断する分断部を中央部の自由面から端に向かう方向へと順に(例えば81b、81dおよび81c、81eの順に)発破するとよい。この場合も、分断部82b~82eでコンクリートに亀裂が発生するとともに、分断部81b~81eの内部でもコンクリートに亀裂が発生する。そして、分断された部材内部のコンクリートが分断部81b~81eの発破により自由面の方向に押し出される。」
ク 図9「
[図:0001435200000004.jpg]
」
ケ 図10「
[図:0001435200000005.jpg]
」
コ 図13「
[図:0001435200000006.jpg]
」
2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と、甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明における「超高層RC構造物は太径鉄筋が使用され配筋量も多い特徴があるため、解体工法も一般的な建築物とは異なり、切断および破砕が困難であることが懸念されることから」、「解体工法の切断能率、破砕能率、騒音および振動の調査」を行うために使用した「Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体」は、本件発明1における「鉄筋コンクリート造の躯体」に相当する。
また、Fcは、コンクリートの設計基準強度を意味し、甲1発明の「Fc54~100N/mm2のコンクリート」は、本件発明1における「設計基準強度が少なくとも60N/mm2の高強度コンクリート」と、設計基準強度の数値範囲において重複している。よって、甲1発明の「Fc54~100N/mm2のコンクリート」は、「60N/mm2の高強度コンクリート」を含む。
さらに、甲1発明の「Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体を解体し」たことは、本件発明1における「鉄筋コンクリート造の躯体を解体する工法」及び「鉄筋コンクリート造躯体の解体工法」に相当する。
よって、甲1発明の「近年、超高層RC住宅で60N/mm2を超える超高強度コンクリートが採用されており、これら超高層RC構造物は太径鉄筋が使用され配筋量も多い特徴があるため、解体工法も一般的な建築物とは異なり、切断および破砕が困難であることが懸念されることから、Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体を解体し」たことは、本件発明1における「鉄筋コンクリート造の躯体を解体する工法であって、前記鉄筋コンクリート造の躯体を構成する部材は、設計基準強度が少なくとも60N/mm2の高強度コンクリートを用いたもの」に相当する。
イ 「切断および破砕が困難であることが懸念されることから、Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体を解体して行った、解体工法の切断能率、破砕能率、騒音および振動の調査であ」り、「切断機械として、自動ウォールソー小、自動ウォールソー大、手動ウォールソー、ワイヤーソーを使用し、破砕機械として、ジャイアントブレーカー、パクラーを使用し」た甲1発明は、実大構造体を切断した後に、ジャイアントブレーカー、パクラーを使用して破砕したことが当業者に明らかである。ここで、「実大構造体」を「切断」すること、及び、「破砕」することのいずれも、「実大構造体」を小片化する工程といえる。
よって、甲1発明において、「切断および破砕が困難であることが懸念されることから、Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体を解体して行った、解体工法の切断能率、破砕能率、騒音および振動の調査であ」り、「切断機械として、自動ウォールソー小、自動ウォールソー大、手動ウォールソー、ワイヤーソーを使用し、破砕機械として、ジャイアントブレーカー、パクラーを使用し」たことは、本件発明1における「前記動的破砕剤の点火により前記部材を解体重機による把持破砕が可能なように破砕し小片化する工程」及び「前記破砕後の部材を前記解体重機によりさらに破砕しさらに小片化する工程」と、「前記部材を」「小片化する工程」及び小片化した部材を「解体重機により」「破砕しさらに小片化する工程」である点で共通する。
ウ 以上を総合すると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「鉄筋コンクリート造の躯体を解体する工法であって、
前記鉄筋コンクリート造の躯体を構成する部材は、設計基準強度が少なくとも60N/mm2の高強度コンクリートを用いたものであり、
前記部材を小片化する工程と、
小片化した部材を解体重機によりさらに小片化する工程と、を含む鉄筋コンクリート造躯体の解体工法。」
(相違点)
本件発明1は、「前記部材に複数の装薬孔を形成する工程と、前記装薬孔に動的破砕剤を装填する工程と」を含み、前記部材を小片化する工程が、「前記動的破砕剤の点火により前記部材を解体重機による把持破砕が可能なように破砕し小片化する工程」と特定され、「小片化した部材を解体重機により破砕しさらに小片化する工程」が、「前記破砕後の部材を前記解体重機によりさらに破砕」する工程であると特定されるのに対して、甲1発明は、「前記部材に複数の装薬孔を形成する工程」も、「前記装薬孔に動的破砕剤を装填する工程」も含んでおらず、「前記部材を小片化する工程」及び「小片化した部材を解体重機により破砕しさらに小片化する工程」も、そのように特定されない点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
ア(ア)甲2発明における「RC構造の柱状のコンクリート構造物を解体する解体方法」は、本件発明1における「鉄筋コンクリート造の躯体を解体する工法」に相当する。
(イ)甲2発明における「爆薬」は、相違点に係る「動的破砕剤」と、「点火により前記部材を」「破砕し小片化する」手段である点で共通する。
(ウ)甲2発明における「孔部」及び「前記コンクリート構造物を分断する所定の長軸方向の分断面内に、長軸方向の孔部を複数形成する工程」は、相違点に係る「装薬孔」及び「前記部材に複数の装薬孔を形成する工程」に相当する。
(エ)甲2発明における「前記孔部に、線状に爆薬を配置する工程」は、相違点に係る「前記装薬孔に動的破砕剤を装填する工程」と、「前記装薬孔に」点火により前記部材を破砕し小片化する手段を「装填する工程」である点で共通する。
(オ)甲2発明における「前記爆薬の発破を行い、前記コンクリート構造物のコンクリートを前記分断面で分断しつつ、前記分断面の側端部で、前記コンクリート構造物の長軸方向の側面に溝状の破砕部を形成する工程」を具備し、「隣り合う前記側端部の間隔を、圧砕装置で掴める大きさとし、前記分断面で分断された部材を前記圧砕装置で掴んで圧砕する」ことは、点火により前記部材を破砕し小片化する手段の違い(動的破砕剤か爆薬かの違い)はあるものの、相違点に係る「前記部材を小片化する工程」を「点火により前記部材を解体重機による把持破砕が可能なように破砕し小片化する」ことを特定したもの、「小片化した部材を解体重機により破砕しさらに小片化する工程」を「前記破砕後の部材を前記解体重機によりさらに破砕」することを特定したものに相当する。
(カ)以上を総合すると、仮に、甲1発明に甲2発明の構成を採用したとしても、そのようなもの(甲1発明に甲2発明の構成を採用したもの)は、装薬孔に装填され、点火により鉄筋コンクリート造の躯体を構成する部材を破砕し小片化する手段が、「動的破砕剤」ではなく「爆薬」である点で、依然として本件発明1と相違するものである。
イ 前記「ア(カ)」を踏まえて、装薬孔に装填され、点火により鉄筋コンクリート造の躯体を構成する部材を破砕し小片化する手段を、「爆薬」より「動的破砕剤」となすことが、当業者であれば適宜なし得たことであるか否かについて、さらに、検討する。
(ア)甲3~甲5には、鉄筋コンクリート造の躯体の破砕ないし切断に動的破砕剤を用いることが開示されているものの、「前記鉄筋コンクリート造の躯体を構成する部材は、設計基準強度が少なくとも60N/mm2の高強度コンクリートを用いたものであ」る点については、何ら開示されていない。
(イ)爆薬が、動的破砕剤よりも早い燃焼速度を有し、動的破砕剤とは異なり、衝撃波を発生して、より高い破砕力を有することは、一例として、甲5に記載されるように技術常識である。
(ウ)甲1発明は、「近年、超高層RC住宅で60N/mm2を超える超高強度コンクリートが採用されており、これら超高層RC構造物は太径鉄筋が使用され配筋量も多い特徴があるため、解体工法も一般的な建築物とは異なり、切断および破砕が困難であることが懸念されることから、Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体を解体」するものであるから、「一般的な建築物」であるところの「鉄筋コンクリート造の躯体」において、動的破砕剤を使用して破砕ないし切断することが周知技術といえるとしても、甲1発明の「一般的な建築物とは異なり、切断および破砕が困難であることが懸念される」「超高層RC構造物」を模した「実大構造体」の解体に際して、「爆薬」に代えて、爆薬よりも破砕力が低い「動的破砕剤」を採用することが、当業者であれば適宜なし得たことであるとまでは認められない。
ウ 甲3~甲6のいずれも、「前記動的破砕剤の点火により前記部材を解体重機による把持破砕が可能なように破砕し小片化する工程」及び「前記破砕後の部材を前記解体重機によりさらに破砕する工程」に係る開示はないから、甲1発明において、相違点に係る本件発明1の構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。
エ 以上のことからして、甲1発明において、相違点に係る構成となすことは、当業者といえども容易になし得たこととはいえない。一方、本件発明は、相違点に係る構成を備えることによって、高強度コンクリートによる鉄筋コンクリート造の躯体を、解体重機単独では解体できない場合であっても、動的破砕剤により先行して破砕することで、効率的に解体でき、また、動的破砕剤は非火薬であるため、解体対象の構造物の設置場所に関わらず比較的容易に適用でき、市街地においても適用可能である、という効果を奏するものである。
オ 申立人の主張について
(ア)申立人は、申立書において、甲2には、甲1発明と本件発明1との間の相違点に係る構成(本件特許発明1の構成C~F)の「動的破砕剤」以外の構成は開示されており(申立書13頁7行~14頁9行)、甲1発明に甲2発明を適用する動機があると述べており(申立書15頁14行~16頁7行)、さらに、「動的破砕剤」等について、次の主張をしている。
a 甲3~甲5に開示されているように、鉄筋コンクリート造の躯体を「動的破砕剤」で破砕することは周知技術である(申立書14頁12~18行)。
b 本件特許明細書【0034】の「火薬を使用すれば高強度コンクリートの破砕は可能であるが、火薬の場合、市中での使用について大きな制約があり、所管省庁への届け出が必要となる。また、許認可が下りたとしても、有資格者が必要であり、保管・使用にあたっては、厳重な管理を要する。これに対し、本実施形態で用いる非火薬の動的破砕剤は、販売メーカの講習を受講した者であれば、取扱い可能であり、機器材の場内管理と騒音対策を適切に実施することにより、市中現場でも使用可能である。」の記載を根拠として、本件発明において、火薬ではなく「動的破砕剤」を用いているのは、所管省庁への届け出、有資格者の有無、及び保管・使用の際の管理の観点からであって、技術的観点からではなく、本件特許発明において、火薬ではなく「動的破砕剤」を用いていることは技術的意義があるとはいえない(申立書14頁19~15頁6行)。
c 甲5には、破砕する部位に応じて非火薬破砕剤と爆薬とを使い分けることが記載されており(第205頁のTable4参照)、甲5発明は、非火薬破砕剤と爆薬とは、破砕する部位に応じて適宜選択される関係であることを示している(申立書15頁7~10行)。
d 前記a~cより、鉄筋コンクリート造の躯体を破砕するに際し、爆薬に代えて動的破砕剤を用いることは、当業者にとって何ら困難なことではなく、当業者が容易に想到し得たことである(申立書15頁11~13行)。
e 以上から、甲1発明において、甲2に記載された構成を適用することは当業者が容易に想到し得たことであり、その際、鉄筋コンクリート造の躯体を「動的破砕剤」で破砕することは周知技術であるため、爆薬に代えて動的破砕剤を用いることは何ら困難性がないから、本件発明1は、甲1発明、甲2発明、及び周知技術(甲3~5)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである(申立書16頁8~15行)。
(イ)前記(ア)の主張について検討する。
a (一般的な建築物であるところの)「鉄筋コンクリート造の躯体」において、動的破砕剤を使用して破砕ないし切断することが周知技術といえるとしても、甲1発明は、「近年、超高層RC住宅で60N/mm2を超える超高強度コンクリートが採用されており、これら超高層RC構造物は太径鉄筋が使用され配筋量も多い特徴があるため、解体工法も一般的な建築物とは異なり、切断および破砕が困難であることが懸念されることから、Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体を解体」するものであるから、甲1発明の「一般的な建築物とは異なり、切断および破砕が困難であることが懸念される」「Fc54~100N/mm2のコンクリートを使用した実大構造体」の解体に際して、「爆薬」に代えて「動的破砕剤」を採用することが、当業者であれば適宜なし得たことであるとまでは認められないことは、前記イ(ウ)にて述べたとおりである。
b 本件特許明細書に、所管省庁への届け出、有資格者の有無、及び保管・使用の際の管理といった、技術的観点からではない、技術的意義があるとは言い難い長所が書かれているとしても、一例として、甲5に記載されるように、非火薬破砕剤と爆薬とは、互いに異なる性質・特徴を有しており、火薬か動的破砕剤かの選択により、技術的な違い・変更を生じ得るものであるから、「爆薬」に代えて「動的破砕剤」を採用することが当業者であれば適宜なし得たことであるとまでは認められない。
c 甲5発明における、破砕する部位に応じた非火薬破砕剤と爆薬との使い分けは、「まず杭頭の構造体天端(存置部分)と余盛コンクリートの境界面を非火薬破砕剤で水平方向に切断して縁を切り,微小な時間差(0.03秒後)をおいて余盛コンクリートを少量の爆薬(導爆線)で人頭大のガラに破砕する」ものであって、「前記非火薬破砕剤は,組成に火薬類に属するものを含まない破砕剤であり、破砕は,テルミット反応と呼ばれる酸化還元反応で生じる瞬間的な蒸気の膨張圧によって起き、反応速度は爆薬の1/25程度であり,衝撃波を生じないため,杭構造体部に損傷を与えることなく水平に切断できる一方,爆薬は組成にペンスリットを含むため火薬類に該当し、化学反応による燃焼が高速で進み,衝撃波を生じるため,非火薬破砕剤と比較して高い破砕力を有する」(甲5発明より抜粋)という非火薬破砕剤と爆薬の互いに異なる性質・特徴を踏まえて行っているものであるから、このような使い分けを理由として、火薬(爆薬)を非火薬破砕剤に置換することが、当業者であれば適宜なし得たことであるとまでは認められない。
d 上記a~cのとおりであるから、前記(ア)a~cを根拠とした、前記(ア)dの主張は認められない。
e 以上のとおりであるから、前記(ア)eの主張は認められない。
よって、本件発明1は、甲1発明、甲2発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本件発明2~5について
(1)対比
本件発明2~5のいずれも、本件発明1の全ての構成を有するものであるから、本件発明2~5と、甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも、前記2(1)ウの相違点で相違する。
(2)判断
前記2(2)エで述べたとおり、甲1発明において、相違点に係る構成となすことは、当業者といえども容易になし得たこととはいえないのであるから、その他の構成について、対比、判断するまでもなく、本件発明2~5のいずれも、甲1発明、甲2発明、甲3~6に記載された事項及び周知技術から、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
4 まとめ
以上のとおりであるので、前記「第3 2」に示した申立人が申立書において主張する特許異議申立理由は、理由がない。
第5 むすび
以上のとおり、本件発明は、申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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