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特許異議申立

2023-701330

活性エネルギー線硬化型コンクリート保護材料

審判番号
2023-701330
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-051104
登録番号
7293763
請求日
2023年12月19日
審決日
2024年03月26日
公報発行日
2024年04月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】DIC株式会社
  • 【権利者代理人】小川 眞治
  • 【権利者代理人】岩本 明洋
  • 【権利者代理人】大野 孝幸
  • 【異議申立人】久保 靖則
審判長/審判官
  • 審判長 宮澤 尚之
  • 審判官 小野 久子
  • 審判官 後藤 政博
分類
P1651.121-Y (E04G) / P1651.537-Y (E04G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7293763号発明「活性エネルギー線硬化型コンクリート保護材料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7293763号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7293763号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし2に係る特許についての出願は、平成31年3月19日に出願され、令和5年6月12日にその特許権の設定登録がされ、令和5年6月20日に特許掲載公報が発行された。 その後、その請求項1ないし2に係る特許に対して、令和5年12月19日に特許異議申立人久保靖則(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 第2 本件特許請求の範囲の記載(本件発明) 本件特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(以下、各請求項に係る発明を、項番号に合わせて「本件発明1」、「本件発明2」といい、まとめて「本件発明」という)。 「【請求項1】 (メタ)アクリレート樹脂(A)、(メタ)アクリル単量体(B)、光重合開始剤(C)、及びワックス(D)を含有する活性エネルギー線硬化型コンクリート保護材料であって、前記(メタ)アクリレート樹脂(A)が、ウレタン(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含むものであり、前記(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して、前記(メタ)アクリル単量体(B)が30~300質量部であり、前記光重合開始剤(C)が0.1~10質量部の範囲であり、前記ワックス(D)が0.1~5質量部の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型コンクリート保護材料。 【請求項2】 前記(メタ)アクリレート樹脂(A)の重量平均分子量が400~15,000の範囲である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型コンクリート保護材料。」 第3 特許異議の申立てについて 1 特許異議申立理由の概要 申立人が主張する特許異議申立理由は、概略、以下のとおりであり、申立人が提出した証拠方法は、次のものである。 甲第1号証:国際公開第2019/004125号 甲第2号証:特開2018-3357号公報 (1)申立理由1(進歩性欠如) 本件発明1ないし2は、甲第1号証、及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由2(サポート要件違反) 本件特許の請求項1に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記3(1)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 申立理由1(進歩性欠如)について (1)甲第1号証に記載の発明(甲1発明) 申立人の主張を参酌しつつ、甲第1号証の記載を実施例1に注目して整理すると、甲第1号証には、「(A)成分としてウレタンメタクリレート樹脂、(B)成分としてメチルメタクリレートを含有し、(A)成分と(B)成分との質量比が65/35であるラジカル重合性樹脂組成物を含有する構造物修復材。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる([請求項1]、[請求項2]、[請求項14]、[0066]、[0068]、[0072]、[0073]、[表1])。 (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも以下の点で相違している。 (相違点1) 本件発明1は、「コンクリート保護材料」であるのに対して、甲1発明は「構造物修復材」である点。 (相違点2) 本件発明1の活性エネルギー線硬化型コンクリート保護材料は、「光重合開始剤(C)」を含有し、「(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して」、「前記光重合開始剤(C)が0.1~10質量部の範囲であ」るのに対して、甲1発明のラジカル重合性樹脂組成物を含有する構造物修復材は、光重合開始剤を含有しない点。 (相違点3) 本件発明1の活性エネルギー線硬化型コンクリート保護材料は、「ワックス(D)を含有」し、「(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して」、「前記ワックス(D)が0.1~5質量部の範囲である」のに対して、甲1発明のラジカル重合性樹脂組成物を含有する構造物修復材は、ワックスを含有しない点。 イ 相違点の検討 事案に鑑み、まず相違点3について検討する。 甲第1号証の[0054]には、「本発明のラジカル重合性樹脂組成物は、表面乾燥性を向上する目的でワックスを含むものであってもよい。ワックスとしては、パラフィンワックス類、極性ワックス類などを単独あるいは併用して用いることができ、各種融点の公知の物を使用できる」ことが記載されている。 そうしてみると、甲1発明において、表面乾燥性を向上する目的でワックスを含むものであってもよいという上記示唆を考慮して、ワックスを含有することは、当業者が容易になし得ることであると、一応いえる。 次に、甲1発明において、(A)100質量部に対して、ワックスが「0.1~5質量部の範囲」とすることが、当業者にとって容易なことであるかどうかを検討する。 甲第1号証の[0054]には、「ワックスは、(A)ラジカル重合性樹脂と(B)ラジカル重合性不飽和単量体との合計100質量部に対して、0.05~4質量部含有することが好まし」いことが記載されている。 ここで、甲第1号証の[0023]の「本発明のラジカル重合性樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分の合計量に対する(A)成分の含有量は、好ましくは5~95質量%」であるとの記載から、(A)成分100質量部に対して、(B)成分約5.3~1900質量部であると計算できる。 そうすると、(A)成分100質量部と(B)成分約5.3~1900質量部との合計は、約105.3~2000質量部であるから、(A)成分100重量部に対するワックスの量は、約0.052(=0.05×約105.3/100)~80(=4×2000/100)質量部と計算できるところ、当該数値範囲(0.052~80)は、本件発明の数値範囲(0.1~5)と一部重なっている。 そこで、甲1発明において、ワックスの含有量を(A)100質量部に対して「0.1~5質量部の範囲」とすることによる効果について検討するに、本件特許明細書には、以下の事項が記載されている。 (ア)本件発明の課題は、作業性に優れ、厚膜形成時においても硬化性に優れ、ひび割れ追従性及び耐アルカリ性に優れる塗膜が得られるコンクリート保護材料を提供することであること(【0005】)。 (イ)前記ワックス(D)は、酸素による硬化阻害を防止するものであること(【0033】)。 (ウ)ワックスを本件発明の数値範囲内で含有する実施例1、3、5~9では、低粘度で優れた作業性を有し、硬化性、耐アルカリ性、下地接着性、及びひび割れ追従性に優れる塗膜が得られ、本件発明の課題を解決できること(【0041】~【0069】、表1、2)。 (エ)ワックスを含有しない比較例1は、塗膜表面硬化性が不十分であること(【0063】、【0070】、表3)。 (オ)ワックスを本件発明の数値範囲を超える量で含有する比較例2は、厚膜表面硬化性が不十分であること(【0064】、【0071】、表3)。 以上の記載事項を踏まえると、本件発明は、ワックスを特定の数値範囲で含有することにより、酸素による硬化阻害を防止し、厚膜形成時においても硬化性に優れる塗膜が得られるという当業者が予測し得ない格別な効果を奏するものといえる。 しかしながら、甲第1号証及び甲第2号証を子細にみても、ワックスを特定の数値範囲で含有することにより、酸素による硬化阻害を防止し、厚膜形成時においても硬化性を高めることができることを示唆するような記載もなく、このようなことが技術常識であるとの証拠もないため、甲1発明において、ワックスの量を、本件発明1に特定の数値範囲になるように調整することは、当業者が容易に想到し得ることといえない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、上記相違点3に対応する相違点として、「相違点2:ワックス(D)が前記(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して0.0025~3.8質量部の範囲である点」を挙げ、「本件特許発明ではワックス(D)が(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して0.1~5質量部の範囲であり、甲1発明とは下限と上限の値が相違する。しかしながら後程記載不備の理由で述べるように、本件明細書0035段落には「前記ワックス(D)の使用量は、常温乾燥性やリコート性の点から、前記(メタ)アクリレート樹脂(A)と前記アクリル単量体(B)との合計100質量部に対して、0.1~5質量部の範囲であるが、0.15~4質量部の範囲がより好ましく、0.2~2質量部の範囲が特に好ましい。」との記載がある。この記載からワックス(D)の使用量を計算すると、甲1発明に記載の範囲と一致する。したがって、相違点2は甲1発明に記載された内容と同じである。」旨主張する(特許異議申立書第8頁第8~19行)。 しかし、本件特許明細書の【0029】、【0035】の記載から、(A)100質量部に対するワックス(D)の量を計算すると、0.13~20質量部となり、申立人が主張する甲1発明の上記数値範囲(0.0025~3.8)とは一致しない。 よって、申立人の上記主張は当を得たものではなく、採用できない。 エ 小括 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証、及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2 本件発明2は、本件発明1の特定事項を全て含むものであるから、上記(2)での検討と同様に、甲第1号証、及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)申立理由1についてのまとめ 以上のとおりであるから、申立理由1には理由がない。 3 申立理由2(サポート要件違反)について (1)具体的な指摘事項 申立人は、以下の点を主張している。 ア 主張1 本件発明では光重合開始剤(C)及びワックス(D)の含有量につき、(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部」に対して範囲限定している一方、本件特許明細書【0032】、【0035】ではそれぞれ、「ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)及び(メタ)アクリル単量体(B)の合計100質量部」に対して範囲限定しているから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている(特許異議申立書第10頁第3~8行)。 イ 主張2 本件特許明細書【0032】では、「前記光重合開始剤(C)の使用量は、硬化性に優れ、ひび割れ追従性及び耐アルカリ性に優れる塗膜が得られる」との記載がある一方、実施例では耐アルカリ性に関して「評価なし」との実験結果のみであり、【0069】の「耐アルカリ性が確認された」との記載には根拠がない。すなわち、本件発明が解決すべき課題である耐アルカリ性という課題に対し、光重合開始剤(C)の添加量が関係しているとは、本件明細書から理解することはできない。よって、光重合開始剤(C)の数値限定は発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている(特許異議申立書第10頁第9~16行)。 (2)当審の判断 ア 主張1について (ア)本件発明の課題について 本件発明の課題は、本件特許明細書の【0005】の記載からして、「作業性に優れ、厚膜形成時においても硬化性に優れ、ひび割れ追従性及び耐アルカリ性に優れる塗膜が得られるコンクリート保護材料を提供すること」といえる。 (イ)サポート要件の充足性 a 光重合開始剤(C)について 発明の詳細な説明の実施例1、3、5~9の光重合開始剤(C)の使用量は、(メタ)アクリレート樹脂(A)40質量部に対して、1.5質量部であるから、(A)100質量部として換算すると、(C)3.75質量部である(【0041】~【0062】、表1、2)。 上記実施例では、低粘度で優れた作業性を有し、硬化性、耐アルカリ性、下地接着性、及びひび割れ追従性に優れる塗膜が得られることが確認されており、本件発明の課題を解決できると認識できる。 また、発明の詳細な説明の【0032】の「光重合開始剤(C)の使用量は、硬化性に優れ、ひび割れ追従性及び耐アルカリ性に優れる塗膜が得られることから、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び前記(メタ)アクリル単量体(B)の合計100質量部に対して、0.1~10質量部の範囲であるが、0.15~8質量部の範囲がより好ましく、0.2~5質量部の範囲が特に好ましい。」との記載から、光重合開始剤(C)の使用量が、塗膜の硬化性、ひび割れ追従性及び耐アルカリ性に影響することが認識できる。 さらに、発明の詳細な説明の【0024】の「前記(メタ)アクリレート樹脂(A)は、光照射や加熱等によってラジカル重合を進行させる(メタ)アクリロイル基を有するものである。前記(メタ)アクリレート(A)の(メタ)アクリロイル基当量としては、低粘度、硬化性、塗膜柔軟性のバランスをより向上できることから、200~8,000g/eqの範囲が好ましく、250~5,000g/eqの範囲がより好ましい」との記載、【0025】の「前記(メタ)アクリレート樹脂(A)の重量平均分子量は、低粘度、硬化性、塗膜柔軟性のバランスをより向上できることから、400~15,000の範囲が好ましい」との記載、【0027】の「前記(メタ)アクリレート(A)の平均官能基数は、低粘度、硬化性、塗膜柔軟性のバランスをより向上できることから、1.5~2.2の範囲が好ましく、1.8~2.0の範囲がより好ましい」との記載、【0028】の「前記(メタ)アクリル単量体(B)としては、・・・耐アルカリ性及び光硬化性により優れることから、アクリルアミド単量体が好ましい。」との記載、及び【0029】の「前記(メタ)アクリル単量体(B)の使用量は、低粘度で、硬化性に優れ、ひび割れ追従性及び耐アルカリ性に優れる塗膜が得られることから、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)100質量部に対して、30~300質量部の範囲であるが、50~250質量部の範囲が好ましく、100~200質量部の範囲がより好ましい。」との記載からして、(メタ)アクリレート樹脂(A)の(メタ)アクリロイル基当量、重量平均分子量、平均官能基数、及び(A)に対する(メタ)アクリル単量体(B)の使用量といった、(A)成分及び(B)成分に関連する複数の条件が、塗膜の粘度、硬化性、ひび割れ追従性、及び耐アルカリ性に影響することも認識できる。 すなわち、発明の詳細な説明の記載からみて、光重合開始剤(C)の使用量のみならず、(A)成分及び(B)成分に関連する複数の条件が、塗膜の粘度、硬化性、ひび割れ追従性、及び耐アルカリ性に影響することが認識できるから、これらの条件の制御により、本件発明1の「(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して」、「光重合開始剤(C)が0.1~10質量部の範囲」の全体にわたって、上記実施例と同様に、本件特許発明の課題を解決できると当業者が認識できるといえる。 そうしてみると、本件発明1の上記発明特定事項は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆及び技術常識を考慮して、当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲のものといえるから、本件発明1はサポート要件を満足する。 なお、申立人が主張するように、光重合開始剤(C)の使用量につき、発明の詳細な説明の【0032】では(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して範囲限定しており、この数値範囲を、(A)成分100質量部に対して計算すると、(C)成分0.13~40質量部となり、本件発明1の上記発明特定事項の数値範囲(0.1~10質量部)とは、一部重ならないものとなっている。 しかし、上記で検討したように、本件発明1の上記発明特定事項の数値範囲全体にわたって、本件特許発明の課題を解決できると当業者が認識できるのであるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えていない。 b ワックス(D)について 発明の詳細な説明の実施例のワックス(D)の使用量を、上記aと同様に、(A)100質量部に対して換算すると、実施例1、3、5~7では2.5質量部であり、実施例8では0.5質量部、実施例9では5質量部である(【0041】~【0062】、表1、2)。 上記実施例では、低粘度で優れた作業性を有し、硬化性、耐アルカリ性、下地接着性、及びひび割れ追従性に優れる塗膜が得られることが確認されており、本件発明の課題を解決できると認識できる。 また、発明の詳細な説明の【0033】の「ワックス(D)は、酸素による硬化阻害を防止するものであり」との記載、及び【0035】の「前記ワックス(D)の使用量は、常温乾燥性やリコート性の点から、前記(メタ)アクリレート樹脂(A)と前記アクリル単量体(B)との合計100質量部に対して、0.1~5質量部の範囲であるが、0.15~4質量部の範囲がより好ましく、0.2~2質量部の範囲が特に好ましい」との記載から、ワックスの使用量が塗膜の硬化性、常温乾燥性やリコート性に影響することが認識できる。 さらに、上記aで検討したように、発明の詳細な説明の記載からみて、ワックス(D)の使用量のみならず、(A)成分及び(B)成分に関連する上記複数の条件が、塗膜の粘度、硬化性、ひび割れ追従性、及び耐アルカリ性に影響することが認識できるから、これらの条件の制御により、本件発明1の「(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して」、「ワックス(D)が0.1~5質量部の範囲」の全体にわたって、上記実施例と同様に、本件特許発明の課題を解決できると当業者が認識できるといえる。 そうしてみると、本件発明1の上記発明特定事項は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆及び技術常識を考慮して、当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲のものといえるから、本件発明1はサポート要件を満足する。 なお、申立人が主張するように、ワックス(D)の使用量につき、発明の詳細な説明の【0035】では(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して範囲限定しており、この数値範囲を、(A)成分100質量部に対して計算すると、(D)成分0.13~20質量部となり、本件発明1の上記発明特定事項の数値範囲(0.1~5質量部)と、一部重ならないものとなっている。 しかし、上記で検討したように、本件発明1の上記発明特定事項の数値範囲全体にわたって、本件特許発明の課題を解決できると当業者が認識できるのであるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えていない。 (ウ)小括 よって、本件発明1の上記発明特定事項の数値範囲は、実施例の数値から拡張又は一般化できるものといえるから、申立人の上記主張1は採用できない。 イ 主張2について 申立人は、「実施例では耐アルカリ性に関して「評価なし」との実験結果のみであり」と主張しているものの、発明の詳細な説明において、「耐アルカリ性に関して「評価なし」との実験結果」が示されているのは、比較例1、2である(表3)。 そして、比較例の作用効果がサポート要件の判断に影響するものではないから、申立人の上記主張2は当を得たものではなく、採用できない。 (3)申立理由2についてのまとめ 以上のとおりであるから、申立理由2には理由がない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1ないし2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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