特許異議申立
2025-700360
鉄筋コンクリート杭構造
- 審判番号
- 2025-700360
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-002577
- 登録番号
- 7576983
- 請求日
- 2025年03月28日
- 審決日
- 2025年08月28日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】青木あすなろ建設株式会社
- 【権利者代理人】小野 悠樹
- 【権利者】株式会社淺沼組
- 【権利者】株式会社熊谷組
- 【権利者】株式会社鴻池組
- 【権利者】五洋建設株式会社
- 【権利者】株式会社錢高組
- 【権利者】▲高▼松建設株式会社
- 【権利者】東亜建設工業株式会社
- 【異議申立人】吉田 敦子
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 油原 博
- 審判官 有家 秀郎
- 分類
- P1651.121-Y (E02D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7576983号発明「鉄筋コンクリート杭構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7576983号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7576983号(以下、「本件特許」という。)に係る特許出願は、令和3年1月12日に出願され、令和6年10月24日にその特許権の設定登録がされ、同年11月1日に特許掲載公報が発行されたものである。
本件特許に対し、令和7年3月28日に、特許異議申立人 吉田 敦子(以下、「申立人」という。)により、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし6に係る発明の特許に対して特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明6」といい、合わせて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】
複数の縦主筋と環状の横フープ筋を組み合わせて筒状に形成した鉄筋籠が、コンクリート柱に内設された鉄筋コンクリート杭において、
前記縦主筋として、長さ方向の一部が他の部分より高強度に形成された高強度領域を備えた部分高強度鉄筋を含み、
前記部分高強度鉄筋は、長さ方向上端部側に前記高強度領域が設けられ、前記高強度領域の長さ方向下端部側に中強度領域が設けられ、前記中強度領域の長さ方向下端部側に低強度領域が設けられていることを特徴とする鉄筋コンクリート杭構造。
【請求項2】
前記部分高強度鉄筋の上端部に定着部が形成され、該定着部が鉄筋コンクリート杭の上端部に設けられたフーチング内に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート杭構造。
【請求項3】
前記部分高強度鉄筋における高強度領域の降伏強度が、490~1275N/mm2の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄筋コンクリート杭構造。
【請求項4】
前記部分高強度鉄筋の高強度領域と該高強度領域の強度より低い強度領域との変位点が、前記鉄筋コンクリート杭の上端部側から少なくとも鉄筋コンクリート杭の直径の5倍以内の長さの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の鉄筋コンクリート杭構造。
【請求項5】
前記縦主筋が、前記部分高強度鉄筋と普通強度鉄筋の組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の鉄筋コンクリート杭構造。
【請求項6】
前記鉄筋コンクリート杭の上端部に設けられたフーチング内の前記部分高強度鉄筋が、他の部材の鉄筋と接続されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の鉄筋コンクリート杭構造。
第3 証拠方法、及び特許異議申立理由の概要
1 証拠方法
申立人が申立書に添付して提出した証拠は、次のとおりである(以下、申立人の提出した甲第1号証等を、「甲1」等という場合がある。)。
・甲1: 特開2018-193751号公報
・甲2: 特開2015-224533号公報
・甲3: 特開2017-155467号公報
・甲4: 特開2018-84047号公報
・甲5: 特開2005-282268号公報
・甲6: 特開2002-302959号公報
2 特許異議申立理由の概要
申立人が申立書において主張する特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
・申立理由: 甲1を主引用例とする進歩性欠如
本件特許の請求項1に係る発明は、その出願日よりも前に頒布された甲1に記載された発明、及び甲2~甲4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許の請求項2~5に係る発明は、その出願日よりも前に頒布された甲1に記載された発明、及び甲2~甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許の請求項6に係る発明は、その出願日よりも前に頒布された甲1に記載された発明、及び甲2~甲6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 証拠について
事案に鑑み、本件発明1についての証拠である甲1~甲4についてみる。
(1)甲1
ア 記載事項
甲1には、以下の記載及び図示がある(下線は、当審において付した。以下、同様。)。
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、杭に必要な杭主筋量やフープ筋量を確保しつつ、コンクリートの充填に必要な鉄筋間隔を広く確保できるコンクリート杭を提供することを課題とする。」
(イ)「【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、杭径がほぼ一様なコンクリート杭において、杭の全長に亘って杭主筋を同一形式で配筋して曲げ剛性を一定にするのではなく、杭上部の少なくとも一部をその他の部分よりも曲げ剛性の高い高剛性部とする。このとき、高剛性部のフープ筋は、複数の鉄筋を重ねて巻き立てられた重ね巻き部とする場合と、高強度および/または太径の鉄筋を用いる場合と、がある。
具体的には、コンクリート杭において、高剛性部である杭上部の杭主筋に束筋を設けるとともに、杭上部のフープ筋として、複数の鉄筋を重ねて巻き立てられた重ね巻き部を設けた第1実施形態(図1~図3)と、杭上部のフープ筋のみを高強度鉄筋とする第2施形態(図5)と、杭の全長に亘ってフープ筋を同一形式で配筋する第3形態(図6、図7)と、杭上部の全ての杭主筋を束筋とするのではなく、杭主筋の1つおきまたは2つおきに束筋を配置する変形例(図8)がある。」
(ウ)「【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート杭1を備えた建物の基礎構造10の縦断面図である。図2(a)は、図1に示すコンクリート杭1のA-A断面図であり、図2(b)は、図1に示すコンクリート杭1のB-B断面図である。図3(a)は、コンクリート杭1の杭上部30の拡大縦断面図であり、図3(b)は、コンクリート杭1の杭中間部31または杭下部32の拡大縦断面図である。
【0017】
基礎構造10は、地盤に打ち込まれた鉄筋コンクリート造のコンクリート杭1と、このコンクリート杭1の上端に支持されたフーチング11と、フーチング11同士を連結する基礎梁12と、フーチング11の上に設けられた柱13と、を備える。
【0018】
コンクリート杭1は、図1に示すように略円柱形状であり、鉛直方向に延びる複数本の杭主筋20と、これら杭主筋20を囲んで巻き立てられたフープ筋21と、を備える。
以下、コンクリート杭1の上部を杭上部30、中間部を杭中間部31、下部を杭下部32とする。
【0019】
コンクリート杭1では、杭上部30は、高剛性部40であり、高剛性部40以外の部分である杭中間部31および杭下部32よりも剛性が高くなっている。
杭中間部31および杭下部32の杭主筋20は、図2(b)に示すように上下方向に延びる一本の鉄筋である。
杭上部30の杭主筋20は、図2(a)に示すように上下方向に延びる2本の鉄筋を束ねた束筋23で構成されている。束筋23を構成する2本の鉄筋同士は、互いに当接した状態でフープ筋21の内周縁に沿って配置されている。この束筋23は、2本の鉄筋同士を当接させ、この状態で、これら鉄筋同士を所定間隔おきに溶接することで形成される。鉄筋同士の溶接については、鉄筋がD16である場合、溶接幅を8~11mm程度確保し、鉄筋がD19である場合、溶接幅を9~12mm程度確保する。また、束筋23とフープ筋21とは、溶接接合するのではなく、直径0.8mm以上の鉄線で結束して仮固定する。
【0020】
ここで、杭上部30の杭主筋20(束筋23)には、杭中間部31および杭下部32の杭主筋20と降伏強度および鉄筋径が同一の鉄筋が使用されている。これにより、杭上部30の杭主筋20(束筋23)は、杭中間部31および杭下部32の杭主筋20よりも、高剛性となり、配筋時に使用する鉄筋を間違えるリスクを低減できるとともに、配筋作業の効率を高めることができる。
また、杭上部30の杭主筋20(束筋23)同士の間隔は、杭中間部31および杭下部32の杭主筋20同士の間隔と、略同一となっている。」
(ウ)「【0021】
杭中間部31および杭下部32のフープ筋21は、一本の円環状の鉄筋である。これに対し、杭上部30のフープ筋21は、2本の円環状の鉄筋を重ねて巻き立てられた重ね巻き部24で構成されている。
なお、これに限らず、杭中間部および杭下部のフープ筋を、一本の螺旋状の鉄筋とし、杭上部のフープ筋を、複数本の螺旋状の鉄筋を重ね巻き立てた重ね巻き部としてもよい(図は省略)。
【0022】
また、杭上部30のフープ筋21(重ね巻き部24)には、杭中間部31および杭下部32のフープ筋21と降伏強度および鉄筋径が同一の鉄筋が使用されている。これにより、杭上部30のフープ筋21(重ね巻き部24)は、杭中間部31および杭下部32のフープ筋21よりも、高強度であり、配筋時に使用する鉄筋を間違えるリスクを低減できるとともに、配筋作業の効率を高めることができる。
また、杭上部30のフープ筋21(重ね巻き部24)同士の間隔は、杭中間部31および杭下部32のフープ筋21同士の間隔と、略同一となっている。」
(エ)「【0029】
コンクリート杭1は、予め工場で製造しておき、現場に運搬して打ち込む既製杭と、現場で築造する場所打ち杭と、がある。
コンクリート杭1を既製杭とした場合、次の手順で製造する。すなわち、工場にて、杭主筋20とフープ筋21とで鉄筋かごを組立てておき、この鉄筋かごを水平方向に延びる鋼製の円筒形状の型枠内に配置した後、型枠内にコンクリートを打設することで、コンクリート杭1を製造する。
・・・・。」
(オ)「【0031】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)杭上部30を高剛性部40とし、この杭上部30の杭主筋20を、上下方向に延びる2本の鉄筋を束ねた束筋23としたので、コンクリート杭1に必要な杭主筋量やフープ筋量を確保しつつ、コンクリートの充填に必要な鉄筋間隔を広く確保できる。
また、杭上部30を杭中間部31および杭下部32より高剛性としたので、杭頭部に生じる水平変位量や曲げモーメント量を低減できる。よって、コンクリート杭1を細径化したり、建物の基礎を支持するのに必要なコンクリート杭1の本数を削減したりできる。また、2本の鉄筋をフープ筋21の内周縁に沿って配置して束筋23としたので、2本の鉄筋をコンクリート杭の半径方向に配置した場合に比べて、同一鉄筋量でありながら高剛性を実現できる。
また、杭上部30の杭主筋20の鉄筋量を杭中間部31や杭下部32に比べて増大させたので、杭上部30の曲げ耐力およびせん断耐力を、杭中間部31や杭下部32よりも大きくできる。
また、杭上部30では、2本の鉄筋を当接させた束筋(杭主筋)をフープ筋21の内周縁に沿って配置し、束筋23をフープ筋21に結束した。よって、束筋23を構成する鉄筋がそれぞれフープ筋21に接して配筋されることになり、束筋23の位置決めを確実に行うことができる。
【0032】
(2)大きな水平力が作用する杭上部30のみに、鉄筋を複数本重ねた重ね巻き部24をフープ筋21として用いることで、フープ筋21同士の間に所定の空き寸法を確保しながら、せん断補強筋を高密度に配筋できる、よって、杭上部30のせん断耐力を、杭中間部31や杭下部32よりも大きくできる。」
(カ)「【0033】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート杭1Aの縦断面図である。
本実施形態では、杭上部30のフープ筋21が一本の円環状の高強度鉄筋である点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、高剛性部40である杭上部30のフープ筋21は、2本の円環状の鉄筋を重ねて巻き立てた構造ではなく、一本の円環状の鉄筋となっている。ただし、この杭上部30のフープ筋21に用いられる鉄筋は、杭中間部31および杭下部32のフープ筋21の鉄筋よりも強度が高い、高強度鉄筋である。
また、杭上部30のフープ筋21同士の間隔は、杭中間部31および杭下部32のフープ筋21同士の間隔と、略同一となっている。」
(キ)「【0037】
〔第3実施形態〕
図6は、本発明の第3実施形態に係るコンクリート杭1Bの縦断面図である。図7は、コンクリート杭1Bの杭上部30の拡大縦断面図である。
本実施形態では、高剛性部40である杭上部30、杭中間部31、および杭下部32のフープ筋21が、一本の螺旋状の鉄筋である点が、第1実施形態と異なる。
この杭上部30、杭中間部31、および杭下部32のフープ筋21に用いられる鉄筋は、降伏強度および鉄筋径が全て同一である。」
(ク)【図1】
「
[図:0001427992000001.jpg]
」
イ 図から看取される事項
段落【0005】、【0018】及び【0019】の記載を踏まえると、【図1】より、略円柱状のコンクリート杭1は、鉛直方向に延びる複数本の杭主筋20と、これら杭主筋20を囲んで巻き立てられたフープ筋21とからなる、鉄筋かごを内部に備えるようにコンクリートを充填したものであることが、看取される。
ウ 記載された発明
上記ア及びイより、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている(なお、各構成の認定の根拠とした段落番号を、括弧書きで付した。)。
<甲1発明>
地盤に打ち込まれた鉄筋コンクリート造のコンクリート杭1と、このコンクリート杭1の上端に支持されたフーチング11と、フーチング11同士を連結する基礎梁12と、を備える基礎構造10に用いられる、コンクリート杭1であって、(【0017】)
コンクリート杭1は、略円柱形状であり、鉛直方向に延びる複数本の杭主筋20と、これら杭主筋20を囲んで巻き立てられたフープ筋21とからなる、鉄筋かごを内部に備え、コンクリートを充填したものであり、(【0005】、【0018】、【0029】、【図1】)
杭上部30の杭主筋20は、上下方向に延びる2本の鉄筋を束ねた束筋23で構成されていることにより、杭上部30の杭主筋20(束筋23)は、杭中間部31および杭下部32の杭主筋20よりも、高剛性となっており、(【0019】、【0020】)
杭上部30を杭中間部31および杭下部32より高剛性としたので、杭頭部に生じる水平変位量や曲げモーメント量を低減できる、(【0031】)
鉄筋コンクリート造のコンクリート杭1。(【0017】)
(2)甲2
ア 記載事項
甲2には、次の記載及び図示がある。
(ア)「【背景技術】
【0002】
柱や梁等の鉄筋コンクリート構造物では、端部に位置する柱梁接合部と中央部とで強度が異なる鉄筋材を用いた鉄筋コンクリート構造物がある。
この鉄筋コンクリート構造物の従来例として、普通強度部分と、この普通強度部分より高い強度の高強度部分とを備え、地震時の応力が長期荷重時に比べて大きくなる部分に高強度部分が配筋されているものがある(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の従来例では、1本の主筋に高強度部分と普通強度部分とが隣合って形成されている。高強度部分を形成するにあたり、1本の普通鉄筋のうち任意の部分が熱処理されている。
通常、熱処理は、1本の主筋が加熱装置に相対的に送られながら行われる。特許文献1
の主筋を熱処理するには、加熱装置に1本の普通鉄筋を所定長さ送り、その後、高強度部分に相当する部分を加熱することが考えられる。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来例では、普通鉄筋を送りながら加熱をすることが考えられるため、普通強度部分と高強度部分との間に、強度が普通強度部分から高強度部分に連続的に移行する強度移行部分が生じてしまう。
しかしながら、特許文献1では、実際に生じる強度移行部分が主筋に存在することを前提として、強度設計がされていない。」
(ウ)「【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面の図1から図5に基づいて説明する。第1実施形態では、耐震構造を有する建物の例が示されており、外力作用時として地震時を例示するものである。
図1には本実施形態の全体構成が示され、図2には主筋が示されている。
図1において、建物は、躯体である複数の梁2と、梁2と接合する他の躯体である複数の柱3とを備えた複数階建ての鉄筋コンクリート構造物であり、鉄筋構造1にコンクリート体100が打設されている。
梁2と柱3との接合形態としては、十字形接合S1やト形接合S2の接合部に適用されるが、本実施形態では、他の接合に適用されるものでもよい。以下では、十字形接合S1を例にとって詳細に説明する。
・・・・
【0015】
図2に示される通り、主筋21は、その中央部分に高強度部分211があり、その両端部にそれぞれ普通強度部分212がある。高強度部分211と普通強度部分212との間には強度移行部分210が設けられている。
高強度部分211、普通強度部分212及び強度移行部分210は、1本の鉄筋材から一体に形成されている。
【0016】
普通強度部分212は、降伏点又は0.2%耐力がJISG3112で規定されている。
高強度部分211は、普通強度部分212より高強度である。強度移行部分210は、強度が普通強度部分212より高く高強度部分211より低い。
例えば、高強度部分211の降伏点又は0.2%耐力は、490MPa(N/mm2)以上1000MPa(N/mm2)以下である。普通強度部分212の降伏点又は0.2%耐力は、295MPa(N/mm2)以上390MPa(N/mm2)以下である。
本実施形態では、図3に示される通り、強度移行部分210の地震時モーメント勾配より強度勾配を大きくして高強度部分211の強度を設定する。」
(エ)【図2】
「
[図:0001427992000002.jpg]
」
(オ)【図3】
「
[図:0001427992000003.jpg]
」
イ 記載された技術事項
上記アより、甲2には次の技術事項(以下、「甲2技術事項1」及び「甲2技術事項2」という。)が記載されている。
<甲2技術事項1>
鉄筋コンクリート構造物において、1本の普通鉄筋のうち任意の部分を熱処理して高強度部分とし、高強度部分と普通強度部分とが形成された主筋を用いること。
<甲2技術事項2>
普通鉄筋を送りながら加熱をすると、普通強度部分と高強度部分との間に、強度が普通強度部分から高強度部分に連続的に移行する強度移行部分が生じるところ、
鉄筋コンクリート構造物の鉄筋構造1の主筋21として、
高強度部分211と普通強度部分212との間には強度移行部分210が設けられ、高強度部分211、普通強度部分212及び強度移行部分210は、1本の鉄筋材から一体に形成され、
高強度部分211は、普通強度部分212より高強度であり、強度移行部分210は、強度が普通強度部分212より高く高強度部分211より低い、
主筋21を用いること。
(3)甲3
ア 記載事項
甲3には、次の記載及び図示がある。
(ア)「【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここで、各実施形態の説明において、同一構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
[第1実施形態]
第1実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図1には第1実施形態にかかるコンクリート造の全体構成が示されている。
図1において、建物は、複数の梁部2と、梁部2の両端部をそれぞれ接合する複数の柱部3と、梁部2と柱部3とを接合する柱梁接合部200とを備えた複数階建てである。建物は、鉄筋構造1にコンクリート100が打設された鉄筋コンクリート造である。
柱梁接合部200の形態としては、ト形接合S1、L形接合S2、基礎接合S3、十字形接合(図示せず)がある。ト形接合S1及びL形接合S2は建物外部と接する部分であり、このうちL形接合S2は建物最上階の部分に相当する。
第1実施形態の鉄筋構造1は、L形接合S2の柱梁接合部200に適用される。
【0019】
図2にはコンクリート造に適用される鉄筋構造1の具体的な構成が示されている。
図2において、鉄筋構造1は、水平方向に延びた梁用の第一主筋21と、第一主筋21に端部が接続される継手金物4と、継手金物4に端部が接続された第二主筋22と、第一主筋21の下方において第一主筋21と平行に配置された梁用鉄筋材20と、を備えている。
第一主筋21及び梁用鉄筋材20の軸方向と交差する平面内において、梁部2のせん断力に対して補強する複数のせん断補強筋2Aが配置されている。せん断補強筋2Aは、第一主筋21及び梁用鉄筋材20を囲んで等間隔に配筋されている。
第一主筋21は、梁部2において、複数本が図2の紙面貫通方向に配置されている。
【0020】
第一主筋21は、降伏点又は0.2%耐力が、JISG3112で規定する普通鉄筋(以下、単に普通鉄筋という)の降伏点又は0.2%耐力よりも大きい高強度部分211と、当該普通鉄筋と同じ降伏点又は0.2%耐力の普通強度部分212とを備える。
高強度部分211の強度B、つまり、降伏点又は0.2%耐力は、600MPa(N/mm2)以上1200MPa(N/mm2)以下である。普通強度部分212の強度C、つまり、降伏点又は0.2%耐力は、295MPa(N/mm2)以上490MPa(N/mm2)以下である。また、第一主筋21は、丸鋼でも、異形棒鋼でもよいが、継手金物4と接続するために、少なくとも、端部は雄ねじ部を有する。第一主筋21の鉄筋径はD25以上D41以下である。
第1実施形態では、高強度部分211が柱梁接合部200に近接する端部側に配置され、普通強度部分212が梁部2の中央側に配置されている。普通強度部分212と高強度部分211との境界部分は降伏ヒンジ位置Hにある。降伏ヒンジ位置Hは柱梁接合部200の梁部2の付け根から梁部2の中央に向けて所定寸法離れている。
【0021】
梁用の第二主筋22は、1本の高強度鉄筋を圧延処理等で折り曲げて形成されたもので、継手金物4と先端が接続された一辺部221と、一辺部221に対して直交する方向に延びる他辺部222とを備えたL型鉄筋である。
第二主筋22の一辺部221と他辺部222とは、少なくとも先端に雄ねじ部が形成されている。
L型鉄筋は、JISで規定する公知の鉄筋であり、強度A、つまり、降伏点又は0.2%耐力が490MPa(N/mm2)以上1200MPa(N/mm2)以下である。L型鉄筋は、例えば、JISの規格がSD490、SD590、SD685等が例示される。
第二主筋22は、一辺部221の先端を除いて柱梁接合部200に配置されている。
第二主筋22の他辺部222の先端には定着金物5が接続されている。定着金物5は、他辺部222の先端に螺合されるナット部材等が例示される。
【0022】
継手金物4は、第一主筋21の高強度部分211と第二主筋22の一辺部221とを連結するナット部材である。継手金物4は柱梁接合部200の梁部2の付け根より離れて配置されている。
継手金物4の強度は、第一主筋21の高強度部分211及び第二主筋22の強度より大きい。
ここで、第二主筋22の強度A、第一主筋21の高強度部分211の強度B、第一主筋21の普通強度部分212の強度Cは、C<B<Aが好ましい。つまり、継手金物4が梁部2の付け根より離れて配置されている場合、応力(曲げモーメント)は付け根ほど大きいので、最も好ましいのは、付け根に向かって応力が順番に大きくなるC<B<Aである。
なお、本実施形態では、C<A=Bとしてもよく、C<A<Bとしてもよいが、A<BよりもA=Bのほうが有利である。」
(イ)【図2】
「
[図:0001427992000004.jpg]
」
イ 記載された技術事項
上記アより、甲3には次の技術事項(以下、「甲3技術事項」という。)が記載されている。
<甲3技術事項>
鉄筋構造1のL形接合S2の柱梁接合部200において、
1本の高強度鉄筋を圧延処理等で折り曲げて形成されたL型鉄筋である第二主筋22に、継手金物4で端部が接続される梁用の第一主筋21として、
降伏点が普通鉄筋の降伏点よりも大きい高強度部分211と、普通鉄筋と同じ降伏点の普通強度部分212とを備え、高強度部分211が端部側に配置された第一主筋21を用いること。
(4)甲4
ア 記載事項
甲4には、次の記載及び図示がある。
(ア)「【0040】
〔第3実施形態〕
図7は、本発明の第3実施形態に係るコンクリート杭1Bを備えた基礎構造10の縦断面図である。
本実施形態では、杭上部30のフープ筋21aには、一本の螺旋状の高強度鉄筋を配筋し、杭中間部31および杭下部32のフープ筋21bには、杭上部よりも低強度の一本の螺旋状の鉄筋を配筋している。
本実施形態では、杭上部30のフープ筋21a同士の間隔と、杭中間部31および杭下部32のフープ筋21b同士の間隔は、略同一となっている。
・・・・
【0042】
なお、杭上部のフープ筋に、鉄筋径D19の鉄筋を使用し、杭中間部および杭下部のフープ筋に鉄筋径D16の螺旋状の鉄筋を使用して、杭上部のフープ筋を太径としてもよい。この場合も、杭上部のフープ筋のせん断強度を杭中間部および杭下部のせん断強度より高めることができる。
【0043】
本実施形態によれば、上述の(1)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(5)杭上部30のフープ筋21に高強度の鉄筋を使用したので、フープ筋21同士の間隔を杭中間部および杭下部のフープ筋21同士の間隔よりも狭めることなく、杭上部30のせん断強度を、杭中間部31および杭下部32のせん断強度よりも容易に高くできる。」
(イ)【図7】「
[図:0001427992000005.jpg]
」
イ 記載された技術事項
上記アより、甲4には次の技術事項(以下、「甲4技術事項」という。)が記載されている。
<甲4技術事項>
コンクリート杭1Bにおいて、
杭上部30のフープ筋21aには、一本の螺旋状の高強度鉄筋を配筋し、杭中間部31および杭下部32のフープ筋21bには、杭上部よりも低強度の一本の螺旋状の鉄筋を配筋して、
杭上部30のせん断強度を、杭中間部31および杭下部32のせん断強度よりも高くすること。
2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における、「鉛直方向に延びる複数本の杭主筋20」及び「これら杭主筋20を囲んで巻き立てられたフープ筋21」は、本件発明1における、「複数の縦主筋」及び「環状の横フープ筋」に、それぞれ相当する。
甲1発明において、「鉛直方向に延びる複数本の杭主筋20と、これら杭主筋20を囲んで巻き立てられたフープ筋21とからなる、鉄筋かご」は、「略円柱形状」の「コンクリート杭1」の「内部に備え」られるから、筒状となることが明らかであることを踏まえると、本件発明1において、「複数の縦主筋と環状の横フープ筋を組み合わせて筒状に形成した鉄筋籠」に、相当する。
甲1発明において、「鉄筋かご」が「略円柱形状」の「コンクリート杭1」の「内部に備え」られる構成は、本件発明1において、「鉄筋籠」が「コンクリート柱に内設」される構成に、相当する。
甲1発明において、「鉄筋コンクリート造」であり「鉄筋かご」を内部に備えた「コンクリート杭1」は、本件発明1における「鉄筋コンクリート杭」に、相当する。
本件発明1において、「前記縦主筋として、長さ方向の一部が他の部分より高強度に形成された高強度領域を備えた部分高強度鉄筋を含」む構成と、甲1発明において、「杭上部30の杭主筋20は、上下方向に延びる2本の鉄筋を束ねた束筋23で構成されていることにより、杭上部30の杭主筋20(束筋23)は、杭中間部31および杭下部32の杭主筋20よりも、高剛性となって」いる構成とは、「縦主筋に関し、長さ方向の一部が他の部分より高強度となって」いる点で、共通する。
以上を整理すると、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
複数の縦主筋と環状の横フープ筋を組み合わせて筒状に形成した鉄筋籠が、コンクリート柱に内設された鉄筋コンクリート杭において、
縦主筋に関し、長さ方向の一部が他の部分より高強度となっている、
鉄筋コンクリート杭。
そして、本件発明1と甲1発明とは、次の点で相違する。
<相違点>
「縦主筋」に関し、
本件発明1においては、「前記縦主筋として、長さ方向の一部が他の部分より高強度に形成された高強度領域を備えた部分高強度鉄筋を含み、
前記部分高強度鉄筋は、長さ方向上端部側に前記高強度領域が設けられ、前記高強度領域の長さ方向下端部側に中強度領域が設けられ、前記中強度領域の長さ方向下端部側に低強度領域が設けられている」と特定されているのに対し、
甲1発明においては、「杭上部30の杭主筋20は、上下方向に延びる2本の鉄筋を束ねた束筋23で構成されていることにより、杭上部30の杭主筋20(束筋23)は、杭中間部31および杭下部32の杭主筋20よりも、高剛性となって」いる点。
(2)判断
上記相違点について、判断する。
ア 甲2及び甲3に記載される事項を考慮して
甲2技術事項1、及び甲3技術事項に示されるとおり、鉄筋コンクリート構造物の主筋として、1本の主筋に高強度部分と普通強度部分とが形成された主筋を用いることは、公知技術である。
しかしながら、甲1発明において、杭上部30について2本の鉄筋を束ねた束筋23とすることにより、杭中間部31および杭下部32よりも高剛性とした杭主筋20について、上記公知技術の「1本の主筋に高強度部分と普通強度部分とが形成された主筋」に変更し、そのうえでさらに、「長さ方向上端部側に前記高強度領域が設けられ、前記高強度領域の長さ方向下端部側に中強度領域が設けられ、前記中強度領域の長さ方向下端部側に低強度領域が設けられている」ものとすることについて、動機付けがあり、かつ想到容易であったということはできない。
この点に関し、甲2には甲2技術事項2も記載されており、甲2記載事項2は、「普通鉄筋を送りながら加熱をすると、普通強度部分と高強度部分との間に、強度が普通強度部分から高強度部分に連続的に移行する強度移行部分が生じる」ことを前提として、「高強度部分211と普通強度部分212との間には強度移行部分210が設けられ」、「強度移行部分210は、強度が普通強度部分212より高く高強度部分211より低い」構成を有している。
強度の移行に関し、本件明細書においては、段落【0021】に「熱処理を施すことにより、熱処理領域は高強度領域2aとされ、非熱処理領域は普通強度領域2bとなる。また、高強度領域2aと普通強度領域2bの境界は、図2に示すように、徐々に強度が変化する強度移行領域2cとしてもよい。このような強度移行領域2cを形成する方法としては、高強度領域2aの熱処理から普通強度領域2bにかけて徐々に弱い熱処理を施すことにより形成することができる。」と記載されている。
ここで、本件発明1における「中強度領域」は、上記段落【0021】に記載される「強度移行領域」とは異なる用語を用いて特定されていること、及び、甲2記載事項2のように「普通強度部分と高強度部分との間」に必然的に生じる「強度移行部分」であれば、本件発明1のようにあえて「高強度領域」及び「低強度領域」と並べて「中強度領域」を設けたと特定する必要がないことを踏まえると、甲2記載事項2における「強度移行部分210」について、強度が移行する部分の全体としてみれば「強度が普通強度部分212より高く高強度部分211より低い」といえるとしても、本件発明1における「中強度領域」に相当するとはいえない。
そして、甲1発明において、「杭主筋20」の強度について、「杭上部30の杭主筋20(束筋23)」を「杭中間部31および杭下部32の杭主筋20よりも、高剛性」とすることを超えて、さらに強度の異なる領域を増やすことが記載または示唆されているわけではないから、甲2記載事項1及び甲3記載事項のような1本の主筋に高強度部分と普通強度部分とが形成された主筋を用い、またその結果として甲2記載事項2のように高強度部分と普通強度部分との間に強度移行部分が生じることまでは想到容易であったとしても、上記相違点に係る本件発明1の構成のように、「前記縦主筋として、長さ方向の一部が他の部分より高強度に形成された高強度領域を備えた部分高強度鉄筋を含」むものとし、かつ、「前記部分高強度鉄筋は、長さ方向上端部側に前記高強度領域が設けられ、前記高強度領域の長さ方向下端部側に中強度領域が設けられ、前記中強度領域の長さ方向下端部側に低強度領域が設けられている」構成とすることが、示唆されていたとはいえない。
したがって、甲1発明において、甲2に記載される事項、及び甲3に記載される事項を考慮しても、上記相違点に係る本件発明1の構成に至ることは、当業者にとって想到容易とはいえない。
イ 甲4に記載される事項を考慮して
甲4には、甲4技術事項が記載されており、甲4技術事項は、「コンクリート杭1B」の「杭上部30のせん断強度を、杭中間部31および杭下部32のせん断強度よりも高くする」うえで、「杭上部30のフープ筋21aには、一本の螺旋状の高強度鉄筋を配筋し、杭中間部31および杭下部32のフープ筋21bには、杭上部よりも低強度の一本の螺旋状の鉄筋を配筋」する構成を有する。
しかしながら、甲4技術事項は、「一本の螺旋状の高強度鉄筋」である「杭上部30のフープ筋21a」と、「杭上部よりも低強度の一本の螺旋状の鉄筋」である「杭中間部31および杭下部32のフープ筋21b」との、両者を用いることを示すものであって、一本のフープ筋の中に長さ方向の一部が他の部分より高強度に形成された高強度領域を備えた「部分高強度鉄筋」を用いることを開示するものではなく、また、「部分高強度鉄筋」として「高強度領域」、「中強度領域」及び「低強度領域」を備えたものを用いることを開示するものではない。
したがって、甲1発明において、甲4に記載される事項を考慮しても、上記相違点に係る本件発明1の構成に至ることは、当業者にとって想到容易とはいえない。
ウ 甲5及び甲6に記載される事項を考慮して
摘記を省略したが、本件発明2に関する証拠として申立人が提出した甲5には、「フーチング」内の「定着部」に関する記載がある。
また、同様に摘記を省略したが、本件発明6に関する証拠として申立人が提出した甲6には、コンクリート杭内の鉛直方向の鉄筋と、床スラブ内の水平方向の鉄筋とに関する記載がある。
しかしながら、甲5及び甲6は、上記相違点に係る本件発明1の構成を開示あるいは示唆するものではない。
したがって、甲1発明において、甲5及び甲6に記載される事項を考慮しても、上記相違点に係る本件発明1の構成に至ることは、当業者にとって想到容易とはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は申立書において、甲4における「フープ筋21a」と「フープ筋21b」とはつながった一本の螺旋状の部分高強度鉄筋であるから、甲2~甲4のいずれもが、「部分高強度鉄筋」を用いることを開示する旨を主張している(申立書第32頁第10行~第26行参照)。
しかしながら、上記1(4)アに示した甲4の記載からは、上記(2)イに説示したとおり、「一本の螺旋状の高強度鉄筋」である「杭上部30のフープ筋21a」と、「杭上部よりも低強度の一本の螺旋状の鉄筋」である「杭中間部31および杭下部32のフープ筋21b」との、両者を用いることが示されているから、甲4が「部分高強度鉄筋」を開示する旨をいう申立人の主張は、妥当なものとはいえない。
また、申立人は申立書において、甲2技術事項2における「強度移行部分210」は、本件発明1における「中強度領域」に相当し、甲1発明において1本の普通鉄筋を部分焼き入れして高強度領域と普通強度部分(低強度領域)とを有するものとすれば、その間に強度移行部分である中強度領域が生じるから、甲1発明において上記相違点に係る本件発明1の構成に至ることは、甲2~甲4に記載される事項に基づいて容易である旨を主張している(申立書第32頁第27行~第33頁第22行参照)。
しかしながら、上記(2)アに説示したとおり、甲2記載事項2のように「普通強度部分と高強度部分との間」に必然的に「強度移行部分」が生じることをもって、上記相違点に係る本件発明1における「前記縦主筋として、長さ方向の一部が他の部分より高強度に形成された高強度領域を備えた部分高強度鉄筋を含」むものとし、かつ、「前記部分高強度鉄筋は、長さ方向上端部側に前記高強度領域が設けられ、前記高強度領域の長さ方向下端部側に中強度領域が設けられ、前記中強度領域の長さ方向下端部側に低強度領域が設けられている」構成に相当する構成に至るとはいえないから、当該申立人の主張についても、妥当なものとして採用することはできない。
したがって、上記申立人の主張について考慮しても、本件発明1の進歩性について、上記(1)及び(2)の対比・判断を変更すべき事情は見いだせない。
(4)小括
上記(2)及び(3)より、甲1発明において、上記相違点に係る本件発明1の構成に至ることは、申立人が提出する甲2~甲6に記載される事項について考慮しても、当業者にとって想到容易とはいえない。
したがって、本件発明1は、甲1発明、及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
よって、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものとはいえず、同法113条2号に該当して取り消されるべきものではない。
3 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の構成を有し、さらに構成を付加した発明である。
そして、上記2に対比・判断したとおり、本件発明1は、甲1発明、及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえないから、本件発明2~6において付加された構成について検討するまでもなく、本件発明2~6は、甲1発明、及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
よって、本件発明2~6に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものとはいえず、同法113条2号に該当して取り消されるべきものではない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許発明1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-700360