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特許異議申立

2022-700803

作業台

審判番号
2022-700803
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-097121
登録番号
7074310
請求日
2022年08月12日
審決日
2023年06月08日
公報発行日
2023年09月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ジー・オー・ピー株式会社
  • 【権利者代理人】南林 薫
  • 【異議申立人】持崎 卓也
審判長/審判官
  • 審判長 前川 慎喜
  • 審判官 土屋 真理子
  • 審判官 津熊 哲朗
分類
P1651.121-YAA(E04G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7074310号発明「作業台」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7074310号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第7074310号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7074310号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成29年5月16日に出願され、令和4年5月16日にその特許権の設定登録がされ、同年同月24日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。 令和4年 8月12日 特許異議申立人持崎 卓也(以下「申立人」 という。)による請求項1~5に係る発明の 特許に対する特許異議の申立て 令和5年 1月26日付け 取消理由通知 同年 3月30日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年 5月 8日 意見書の提出(申立人) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年3月30日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「前記主脚の踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色とを、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ」と記載されているのを、「前記主脚の踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部のうちの少なくとも上面、及び前記踏桟の上方に位置する側面の色とを、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4に「前記主脚が取り付けられる前記端部においては、少なくとも上面と、前記踏桟の上方に位置する側面とがそれぞれ着色されるようにし、前記上面では辺に沿って帯状に着色される」と記載されているのを、「前記主脚が取り付けられる前記端部においては、少なくとも前記上面と、前記踏桟の上方に位置する前記側面とがそれぞれ着色されるようにし、前記上面では辺に沿って帯状に着色される」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)。 (3)訂正事項3 明細書の段落【0006】に「本発明の作業台は、矩形状の天板と、前記天板の端部に取り付けられ、前記天板に昇降するのに使用される梯子状の主脚と、前記天板の四隅に立設された手掛かり棒によって支持され、前記天板の端部のうち前記主脚が取り付けられる前記端部に直交する端部に平行に配置された一対の桟部材とを備え、前記主脚の踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色とを、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ、前記主脚の前記踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色と、一対の前記桟部材の色とを暖色系の色とし、前記天板に立つ作業者が一対の前記桟部材の暖色系の色を視認可能なように構成されることを特徴とする。」と記載されているのを、「本発明の作業台は、矩形状の天板と、前記天板の端部に取り付けられ、前記天板に昇降するのに使用される梯子状の主脚と、前記天板の四隅に立設された手掛かり棒によって支持され、前記天板の端部のうち前記主脚が取り付けられる前記端部に直交する端部に平行に配置された一対の桟部材とを備え、前記主脚の踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部のうちの少なくとも上面、及び前記踏桟の上方に位置する側面の色とを、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ、前記主脚の前記踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色と、一対の前記桟部材の色とを暖色系の色とし、前記天板に立つ作業者が一対の前記桟部材の暖色系の色を視認可能なように構成されることを特徴とする。 」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正は、請求項1が「前記主脚の踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色とを、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ」るものであるところ、天板における前記端部の着色箇所を、さらに「前記端部のうちの少なくとも上面、及び前記踏桟の上方に位置する側面」と特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無 願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件明細書等」という。)の段落【0011】には、「ここで、図4、図5にドット模様で示すように、主脚2の踏桟2bと、天板3の端部のうち主脚2が取り付けられる短辺側の端部3aとが着色されている。・・・天板3の端部3aにおいては、少なくとも上面3bと、踏桟2bの上方に位置する側面3cとがそれぞれ着色されるようにし、・・・天板3及び主脚2における他の部位は、アルミニウム合金の地色となっている。」と記載されている。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって、請求項1において「上面」及び「側面」が特定されたことに伴い、請求項4の「上面」及び「側面」が、請求項1において記載された「上面」及び「側面」であることを明瞭にするためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。 3 一群の請求項について 本件訂正前の請求項2ないし5は、本件訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用しているところ、本件訂正前の請求項1及び同請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正事項1~3の訂正は、当該一群の請求項〔1-5〕に対し請求されたものである。 4 まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に合わせて「本件訂正発明1」などという。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 矩形状の天板と、 前記天板の端部に取り付けられ、前記天板に昇降するのに使用される梯子状の主脚と、 前記天板の四隅に立設された手掛かり棒によって支持され、前記天板の端部のうち前記主脚が取り付けられる前記端部に直交する端部に平行に配置された一対の桟部材とを備え、 前記主脚の踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部のうちの少なくとも上面、及び前記踏桟の上方に位置する側面の色とを、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ、 前記主脚の前記踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色と、一対の前記桟部材の色とを暖色系の色とし、 前記天板に立つ作業者が一対の前記桟部材の暖色系の色を視認可能なように構成されることを特徴とする作業台。 【請求項2】 前記主脚の前記踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色とを同色とすることを特徴とする請求項1に記載の作業台。 【請求項3】 前記主脚の前記踏桟と、前記主脚が取り付けられる前記端部とが着色されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業台。 【請求項4】 前記主脚が取り付けられる前記端部においては、少なくとも前記上面と、前記踏桟の上方に位置する前記側面とがそれぞれ着色されるようにし、前記上面では辺に沿って帯状に着色されることを特徴とする請求項3に記載の作業台。 【請求項5】 前記主脚が取り付けられる前記端部の色と、一対の前記桟部材の色とを同色とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の作業台。」 第4 取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし5に係る特許に対して、当審が令和5年1月26日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 訂正前の請求項1ないし5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証に記載された発明または甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、請求項1ないし5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 甲第1号証 :意匠登録第1324782号公報 甲第3号証 :意匠登録第1411117号公報 甲第4号証 :仮設機材マンスリーNO.338、2012年11月号、社団法人仮設工業会、2012年11月1日、第14、15、18頁 (以下、「甲第1号証」等を「甲1」等という場合がある。) 第5 当審の判断 1 証拠の記載 (1)甲1 ア 甲1の記載 甲1には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。以下同様。) (ア)「【意匠に係る物品の説明】1、本物品はアルミニウム製の作業台で参考図のように両階段枠:10の上部に伸縮式の手がかり棒:11を取り付け昇降がしやすくしている、又天板:12、踏さん:13端部には、アルミニウムの地色と異なる色付の表示(例として、色付の滑り止めモ-ル・テ-プ等):14を取り付け、目視による危険予知により転落防止ができる。さらに天板裏面から、中心より左側(図1.正面図)に、天板幅と同じ位の大きな取扱い・注意等の説明ポップ:15をぶらさげ、遠くからでも使用上の注意事項等が理解できるようにしている。折畳み式の安全重視の作業台である。2、本物品は、参考図のように、両階段枠:10の上部からの伸縮式手がかり棒:11の先端に伸縮式の手摺:16を連結し、作業者が天板からの転落防止ができ、又収納時は伸縮式の手摺:16を取り外し分解することもなく作業台を折畳みができる安全重視の作業台である。」 (イ)【平面図】 [図:0001401644000001.jpg] 当審注:上記【平面図】中のアルミニウムの地色と異なる色付の表示は、赤色とされている。 (ウ)【参考図】 [図:0001401644000002.jpg] 当審注:上記【参考図】中のアルミニウムの地色と異なる色付の表示14は、赤色とされている。 (エ)上記(ア)の記載を踏まえると、(イ)【平面図】及び(ウ)【参考 図】からは、天板12は矩形状であること、両階段枠10と踏さん13が梯子状であり、天板2の端部に取り付けられること、手がかり棒11が天板12の四隅に立設されたこと、一対の手摺16が天板の端部のうち両階段枠10と踏さん13が取り付けられる端部に直交する端部に平行に配置されたこと、天板12及び踏さん13端部の、アルミニウムの地色と異なる色付の表示14は、帯状に赤色に着色されており、両階段枠10と踏さん13が取り付けられる天板12の端部の上面では辺に沿って着色され、踏さん13の上方に位置する側面は着色されず、アルミニウムの地色のままであること、が看取される。 イ 甲1発明 上記アより、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 (甲1発明) 両階段枠10の上部に伸縮式の手がかり棒11を取り付け昇降がしやすくしているアルミニウム製の作業台であって、 天板12、踏さん13端部には、アルミニウムの地色と異なる色付の表示14を取り付け、目視による危険予知により転落防止ができ、手がかり棒11の先端に伸縮式の手摺16を連結し、 天板12は矩形状であり、 両階段枠10と踏さん13が梯子状であり、天板12の端部に取り付けられ、 手がかり棒11が天板12の四隅に立設され、一対の手摺16が天板12の端部のうち両階段枠10と踏さん13が取り付けられる端部に直交する端部に平行に配置され、 天板12及び踏さん13端部の、アルミニウムの地色と異なる色付の表示14は、帯状に赤色に着色されており、両階段枠10と踏さん13が取り付けられる天板12の端部の上面では辺に沿って着色され、踏さん13の上方に位置する側面は着色されず、アルミニウムの地色のままである、作業台。 (2)甲3 ア 甲3の記載 甲3には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【意匠に係る物品の説明】本願意匠に係る物品は、一対の梯子状の主脚間に天板を架け渡し、前記天板の4隅に主脚に沿って折り畳み可能に取り付けた棒状の手掛かり部材を立設可能とした可搬式作業台において、手摺支柱とこの手摺支柱同士で支承する手摺桟とからなる手摺部材のうち、手摺支柱は手掛かり部材に被せる鞘管とし、手摺桟は手摺支柱の上部に回動自在に一端が軸着され、また、天板の長さ方向の約2分の1の長さを有し、対向位置の立設状態の手掛かり部材に被さる手摺支柱から天板長手方向にそって水平に突出させて、相互に衝合する突出先端を着脱自在に連結させる、可搬式作業台のものである。手摺桟の突出先端の相互連結部は、一方の手摺桟に他方の手摺桟に向けて突出する棒状の連結部材を出没自在に設け、衝合する他方の手摺桟に前記連結部材が挿入する中空挿入部を形成した。前記連結部材の側面に突出連結状態のロック表示部と、没入非連結状態の解除表示部とを設け、これらロック表示部と解除表示部とは、それぞれ異なる着色部で形成するとともに、手摺桟にこのロック表示部と解除表示部とを顕示する表示窓を形成している。なお、手摺部材とはいえ、材質は合成樹脂をもってなり、落下危険位置を知らせるだけで、人体その他の支承強度を有するものでなくてよい。」 (イ)【正面図】 [図:0001401644000003.jpg] 当審注:上記【正面図】中の手摺桟の側面は、黄色とされている。 (ウ)【平面図】 [図:0001401644000004.jpg] 当審注:上記【平面図】中の手摺桟の上面は、黄色とされている。 (エ)【組み立て完了の状態を示す参考図】 [図:0001401644000005.jpg] (オ)上記(ア)の記載を踏まえると、上記(イ)【正面図】、(ウ)【平面図】及び(エ)【組み立て完了の状態を示す参考図】からは、天板の4隅に主脚に沿って取り付けた棒状の手掛かり部材に、手掛かり部材に被せる鞘管とした手摺支柱と天板長手方向にそって水平に突出させて、相互に衝合する突出先端を着脱自在に連結させる手摺桟とからなる手摺部材において、手摺桟の上面及び側面を黄色としたことが看取される。 イ 甲3発明 上記アより、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。 (甲3発明) 一対の梯子状の主脚間に天板を架け渡し、前記天板の4隅に主脚に沿って折り畳み可能に取り付けた棒状の手掛かり部材を立設可能とした可搬式作業台において、 手摺支柱とこの手摺支柱同士で支承する手摺桟とからなる手摺部材を、天板の4隅に主脚に沿って取り付けた棒状の手掛かり部材に、手掛かり部材に被せる鞘管とした手摺支柱と天板長手方向にそって水平に突出させて、相互に衝合する突出先端を着脱自在に連結させる手摺桟とからなるものとし、手摺桟の上面及び側面を黄色とした可搬式作業台。 (3)甲4 ア 甲4の記載 甲4には、以下の事項が記載されている。 (ア)「さる平成24年10月18日(木)、19日(金)の両日、第49回全国建設業労働災害防止大会が神戸で開催され、初日の18日に安全衛生保護具・機器・標識等の展示会に本会も出展しました。」(第14頁左欄第1~5行) (イ)「また、当会以外にも本会会員のアルインコ(株)、ジー・オー・ピー(株)、(株)三共、日綜産業(株)、日本ヒルティ(株)、サンコー(株)の6社が出展し、最近の仮設機材等について広く紹介しました。」(第14頁右欄第8~11行) (ウ) [図:0001401644000006.jpg] (第15頁上段) 当審注:上記写真中の手摺桟は、黄色とされている。 2 本件訂正発明1について (1)対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「矩形状であ」る「天板12」は、本件訂正発明1の「矩形状の天板」に相当する。 イ 甲1発明の「天板12の端部に取り付けられ」、手がかり棒11により「昇降がしやすく」されている、「梯子状」の「両階段枠10と踏さん13」は、「天板に昇降するのに使用される」ことは自明であるから、本件訂正発明1の「前記天板の端部に取り付けられ、前記天板に昇降するのに使用される梯子状の主脚」に相当する。 ウ 甲1発明の「天板12の四隅に立設され」る「手がかり棒11の先端」に連結」する、「天板12の端部のうち両階段枠10と踏さん13が取り付けられる端部に直交する端部に平行に配置され」る「一対」の「手摺16」は、本件訂正発明1の「前記天板の四隅に立設された手掛かり棒によって支持され、前記天板の端部のうち前記主脚が取り付けられる前記端部に直交する端部に平行に配置された一対の桟部材」に相当する。 エ 本件訂正発明1の「前記主脚の踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部のうちの少なくとも上面、及び前記踏桟の上方に位置する側面の色とを、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ」ていることと、甲1発明が「アルミニウム製の作業台」において「天板12、踏さん13端部には、アルミニウムの地色と異なる色付の表示14を取り付け」、「天板12の端部の上面では辺に沿って着色される」こととは、「前記主脚の踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部のうちの少なくとも上面の色とを、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ」ていることで共通する。 オ 本件訂正発明1の「前記主脚の前記踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色と、一対の前記桟部材の色とを暖色系の色」とすることと、甲1発明の「天板12及び踏さん13端部」の「色付の表示」は、「赤色」に着色されることは、「前記主脚の前記踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色と、を暖色系の色」とすることで共通する。 カ 甲1発明の「作業台」は、本件訂正発明1の「作業台」に相当する。 キ 上記アないしカより、本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 「矩形状の天板と、 前記天板の端部に取り付けられ、前記天板に昇降するのに使用される梯子状の主脚と、 前記天板の四隅に立設された手掛かり棒によって支持され、前記天板の端部のうち前記主脚が取り付けられる前記端部に直交する端部に平行に配置された一対の桟部材とを備え、 前記主脚の踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色とを、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ、 前記主脚の前記踏桟の色と、前記主脚が取り付けられる前記端部の色と、 作業台。」 (相違点1) 本件訂正発明1は、天板の端部の「前記踏桟の上方に位置する側面」を「前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせ」ているのに対し、甲1発明は、天板12の端部の、踏さん13の上方に位置する側面は着色されず、アルミニウムの地色のままである点。 (相違点2) 本件訂正発明1は、「一対の前記桟部材の色」が暖色系の色であり、前記天板に立つ作業者が一対の前記桟部材の暖色系の色を視認可能なように構成されるのに対し、甲1発明は、そのような事項が特定されていない点。 (2)判断 上記相違点1について検討する。 甲3発明は、手摺部材において、黄色とした上面に加え、側面も黄色としているものであり、部材の上面及び側面を暖色系の色としている点においては本件訂正発明1と共通している。しかし、甲3発明は手摺部材の全面を黄色としたものであって、天板の端部の、少なくとも上面及び踏桟の上方に位置する側面の色を、天板の他の部位の色と異ならせて着色することについては記載も示唆もされておらず、甲1発明において、甲3発明を組み合わせて天板12の端部の、踏さん13の上方に位置する側面を、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせることは、当業者といえども容易になし得たことではない。 甲4も、甲1発明において、天板12の端部の、踏さん13の上方に位置する側面を、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせることについて、記載ないし示唆するものではない。 加えて、取消理由において採用しなかった甲2(特開2005-232948号公報)について検討しても、甲2は、梯子状脚体及び天板上面の滑り止めに着色を行うことを記載するものであり、甲1発明において、天板12の端部の、踏さん13の上方に位置する側面を、前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせることについて、記載ないし示唆するものではない。 そうすると、申立人が提出した甲1ないし甲4のいずれにも、天板12の端部の、踏さん13の上方に位置する側面を前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせることについて、記載も示唆もない。 よって、甲1発明及び甲2ないし甲4に記載された事項に基づいて、相違点1に係る発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととではない。 (3)申立人の主張について ア 申立人の主張の概要 申立人は、令和5年5月8日提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)において、概略以下の主張をする。 (ア) a 甲1発明は、(1)天板の端部の上面と、(2)踏桟の上面に、符号14で示された赤色の色付き表示を設けることにより、目視による危険予知により転落防止を目的とした作業台である。 b 本件訂正発明1の「端部のうちの踏桟の上方に位置する側面」への着色(以下「○2」(当審注:○2は、まる数字の2を示す)ということがある。)と甲1発明の「踏桟の上面に、符号14で示された赤色の色付き表示を設けること」(以下「(2)」ということがある。)は完全には一致しないが、本件訂正発明1について、「作業者が主脚を昇降するときは前記○2の位置を視認可能であること」(以下「(B)」ということがある。)と、甲1発明について、「作業者が主脚を昇降するときは前記(2)の位置を視認可能とすること」(以下「(b)」ということがある。)のように、作業者が主脚を昇降するときの安全を確保するという観点において目的が共通している。 c 特許権者は、本件訂正発明1では、天板の端部の上面を暖色系の色とすることにより、天板に立つ作業者が、天板上の作業領域や主脚のある側を容易に視認、把握できるようになり、また、天板の端部の踏桟の上方に位置する側面を暖色系の色とすることにより、作業者が主脚を昇降するときに、天板の高さ位置を容易に視認、把握できるようになるのであり、このように天板の端部の上面を暖色系にすることと、天板の端部の踏桟の上方に位置する側面を暖色系の色とすることとは、その目的及び効果を異にするものであると主張しているが、特許権者の主張は、技術的思想の創作がどのように実質的に相違するのか明らかでない (イ)本件訂正発明1と甲1発明との唯―の些細な相違は、作業者が主脚を昇降するときに視認する色の位置に関して、甲1発明が「踏桟(最上段の踏桟が含まれる)の上面」であるのに対して、本件特許発明は「端部のうちの踏桟の上方に位置する側面」とされているから、その色が付された端部の側面を直視できるという点にある。 しかしながら、甲1発明の場合、主脚を構成する4本の踏桟の上面と、その上に位置する天板端部の上面に「色付の滑り止めモール・テープ等」の帯状の表示を取り付けるように構成されているのであるから、更に、視認できるようにした方が好ましいと考えられる位置があれば、踏桟の側面や、訂正事項のような天板端部の側面や、その他の場所を選択することにより、そこに帯状の表示を追加的に取り付ければ足りるのであり、そのようなことは、必要に応じて、当業者が任意に行い得ることである。 イ 主張の検討 (ア)本件訂正発明1は、天板12の端部の、踏さん13の上方に位置する側面を前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせたものであり、踏桟の上面において色を異ならせたものではないから、上記○2と(2)とでは、容易に視認、把握できる対象が異なる。すなわち、本件訂正発明1は天板の高さ位置を容易に視認、把握できるのに対し、甲1発明はそのようなものではなく、特許権者の「目的及び効果を異にするものである」との主張に不明な点はない。また、申立人が主張するように、(B)と(b)とで「作業者が主脚を昇降するときの安全を確保するという観点において目的が共通している」といえるとしても、そのことによって、上記(2)の判断が左右されるものではない。 (イ)申立人は、「更に、視認できるようにした方が好ましいと考えられる位置があれば、踏桟の側面や、訂正事項のような天板端部の側面や、その他の場所を選択することにより、そこに帯状の表示を追加的に取り付ければ足りるのであり、そのようなことは、必要に応じて、当業者が任意に行い得ることである」と主張するが、上記(2)において検討したように、申立人が提出した証拠には、天板の端部の前記踏桟の上方に位置する側面を前記天板及び前記主脚における他の部位の色と異ならせたものはなく、また、天板の端部の前記踏桟の上方に位置する側面が、更に、視認できるようにした方が好ましいと考えられる位置であることが当業者の技術常識であることを示す証拠もない。 (ウ)以上のとおりであるから、特許権者の主張を考慮しても、上記(2)の対比、判断の内容を変更すべき事情はない。 (4)小括 よって、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 本件訂正発明2ないし5 本件訂正発明2ないし5は、本件訂正発明1を引用するものであり、本件訂正発明1の構成をすべて含み、さらに限定された発明であるところ、上記2で検討したとおり、本件訂正発明1が、甲1発明及び甲2ないし4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件訂正発明2ないし5も甲1発明及び甲2ないし4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700803

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