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特許異議申立

2025-700439

シート

審判番号
2025-700439
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-203397
登録番号
7576857
請求日
2025年04月18日
審決日
2025年07月25日
公報発行日
2025年08月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】ユニチカ株式会社
  • 【異議申立人】新井 温
審判長/審判官
  • 審判長 植前 充司
  • 審判官 加藤 友也
  • 審判官 宮久保 博幸
分類
P1651.121-Y (C08J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7576857号発明「シート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7576857号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7576857号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、令和4年12月20日の出願であって、令和6年10月24日にその特許権の設定登録(請求項の数5)がされ、同年11月1日に特許掲載公報が発行され、その後、当該特許に対し、令和7年4月18日に特許異議申立人 新井 温(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし5)がされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下、順に「本件発明1」のようにいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、シートであって、 前記硬化樹脂層が(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物の硬化物により形成されており、 前記硬化樹脂層上に熱可塑性樹脂層が積層されている、シート。 【請求項2】 前記アルキレンオキサイド基の付加モル数が2~10である、請求項1に記載のシート。 【請求項3】 前記シートの全光線透過率が80%以上であり、ヘーズが20%以下である、請求項1又は2に記載のシート。 【請求項4】 50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験に供した際に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下になる、請求項1又は2に記載のシート。 【請求項5】 50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験に供した際に、加熱開始後20分間、発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えない、請求項1又は2に記載のシート。」 第3 特許異議申立書に記載した特許異議申立理由の概要 令和7年4月18日に申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。なお、判断の便宜上、当審において、主たる証拠ごとに特許異議申立の理由を整理した。 1 申立理由 (1)申立理由1(甲第1号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (2)申立理由2(甲第2号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法同条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 証拠方法 甲第1号証:特許第6470454号公報 甲第2号証:特開平5-123869号公報 甲第3号証:特開2015-30253号公報 甲第4号証:特開2017-210712号公報 証拠の表記は特許異議申立書の記載に従った。 以下、順に「甲1」等という。 第4 当審の判断 当審は、申立人が申し立てた特許異議申立理由によって、本件発明1~5についての特許を取り消すことはできないと判断する。理由は以下のとおり。 1 申立理由1(甲1を主たる証拠とする進歩性)について (1)甲1に記載された事項等 ア 甲1に記載された事項 甲1には次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。 「【請求項1】 臭素を5質量%~20質量%含有し、厚さが100μm~150μmである第1ポリカーボネートシート層と、 前記第1ポリカーボネートシート層に積層され、目付が30g/m2~80g/m2のガラス繊維織物に含浸された、臭素を10質量%~30質量%含有する硬化樹脂組成物を含む硬化樹脂組成物層と、 前記硬化樹脂組成物層に積層され、臭素を5質量%~20質量%含有し、厚さが100μm~150μmである第2ポリカーボネートシート層と、を備える積層体からなり、 厚さが300μm~400μmである、透明不燃シート。 【請求項2】 前記第1ポリカーボネートシート層および/または前記第2ポリカーボネートシート層は、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とする、請求項1に記載の透明不燃シート。 【請求項3】 前記硬化樹脂組成物は、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化物または臭素化ビニルエステル樹脂の硬化物を含む、請求項1または2に記載の透明不燃シート。」 「【0034】 また、硬化樹脂組成物は、上記の他、屈折率の調整やその他の性能を向上させるために、屈折率を調整するための樹脂、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤等を含むことができる。」 「【0080】 [透明不燃シートの製造] 〈実施例1〉 臭素含有量20質量%含有し、厚さが127μmであり、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とするポリカーボネートシートとして、FR-60(SABIC社製)を第1ポリカーボネートシートとした。第1ポリカーボネートシートの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した(硬化性樹脂組成物層形成工程)。なお、表1に示すように、光硬化性樹脂組成物には、ガラス繊維織物の屈折率にあわせるべく、水添BFA型エポキシ樹脂が配合された。そして、光重合開始剤として、スルホニウム塩系光酸発生剤が配合された。また、ポリカーボネート層との密着性を向上させるべく、モノエポキシアルコキシシランが配合された。 【0081】 次に、第1ポリカーボネートシートと同様のFR-60を第2ポリカーボネートシートとし、これを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、第1ポリカーボネートシート層または第2ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した(積層工程)。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。 【0082】 積層工程後、透明不燃シート中間体の第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが350μmの実施例1の透明不燃シートを製造した。 【0083】 【表1】 [図:0001425812000001.jpg] 」 「【0092】 〈実施例4〉 臭素含有量10質量%含有し、厚さが127μmであり、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とするポリカーボネートシートとして、PCF-10(株式会社シャインテクノ社製)を第1ポリカーボネートシートおよび第2ポリカーボネートシート層とした。第1ポリカーボネートシートの一方の面に、ウレタン系プライマーを塗付し、そこへさらに表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。なお、表1に示すように、実施例4では、モノエポキシアルコキシシランは配合しなかった。 【0093】 次に、第2ポリカーボネートシートの一方の面に、ウレタン系プライマーを塗付し、塗付した面を硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、第1ポリカーボネートシート層または第2ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。 【0094】 加圧後、透明不燃シート中間体の第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが350μmの実施例4の透明不燃シートを製造した。」 イ 甲1に記載された発明 上記アの記載事項を、特に請求項1、3に関して整理すると、甲1には次の発明が記載されていると認められる。 「臭素を5質量%~20質量%含有し、厚さが100μm~150μmである第1ポリカーボネートシート層と、 前記第1ポリカーボネートシート層に積層され、目付が30g/m2~80g/m2のガラス繊維織物に含浸された、臭素を10質量%~30質量%含有する硬化樹脂組成物を含む硬化樹脂組成物層と、 前記硬化樹脂組成物層に積層され、臭素を5質量%~20質量%含有し、厚さが100μm~150μmである第2ポリカーボネートシート層と、を備える積層体からなり、 厚さが300μm~400μmであり、 前記硬化樹脂組成物は、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化物または臭素化ビニルエステル樹脂の硬化物を含む、 透明不燃シート。」(以下、「甲1発明」という。) (2)対比・判断 ア 本件発明1について (ア)本件発明1と甲1発明との対比 両者を対比すると、甲1発明の「ガラス繊維織物」、「硬化樹脂組成物層」、「透明不燃シート」は、それぞれ本件発明1の「ガラス繊維織物」、「硬化樹脂層」、「シート」に相当する。そして、ポリカーボネートは熱可塑性樹脂であるから、甲1発明の「第1ポリカーボネートシート層」及び「第2ポリカーボネートシート層」は、本件発明1の「熱可塑性樹脂層」に相当する。 してみると、両者の一致点、相違点は以下の通りである。 (一致点) 「ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、シートであって、 前記硬化樹脂層上に熱可塑性樹脂層が積層されている、シート。」 (相違点) ・相違点1 硬化樹脂層について、本件発明1は「前記硬化樹脂層が(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物の硬化物により形成されており、」と特定するのに対し、甲1発明は「テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化物または臭素化ビニルエステル樹脂の硬化物を含む」ものである点。 (イ)相違点1についての判断 甲1及び他の全ての証拠をみても、甲1発明において硬化樹脂層を、(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物の硬化物により形成されるものとする動機づけとなる記載はない。 そして、本件発明1は、硬化樹脂層が(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物の硬化物により形成されていることにより、シートがベタツキを抑制し耐折性に優れたものとなるという顕著な効果を有するものである。 よって、本件発明1は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書15~16頁において、以下のとおり主張する。 「<相違点> 本件特許発明1の硬化樹脂層は、発明特定事項Bに示すように、(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物により形成されている。 これに対して引用発明1の硬化樹脂組成物層に含まれる硬化樹脂組成物は、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化物または臭素化ビニルエステル樹脂の硬化物が含まれる(【請求項3】、段落【0083】の【表1】、【0092】)。 この臭素化ビニルエステル樹脂のカテゴリーには、発明特定事項Bの「(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂」が含まれ、この点では本件特許発明1の硬化樹脂層と引用発明1の硬化樹脂組成物層とは一致する。 もっとも、甲第1号証には、「硬化樹脂組成物層に(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレートが含まれている」ことは明記されていない。 よって、本件特許発明1の硬化樹脂層と引用発明1の硬化樹脂組成物層とは、前記単官能(メタ)アクリレートの有無で相違する。」(以下、「主張1」という。) 「<容易想到の考察> 以下、引用発明1に引用発明2を適用することで本件特許発明1に想到しうるか否かを考察する。 まず、本件公報の段落【0036】には、「(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂を含有させる際の屈折率の調整剤として、(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレートを含有させる」と記載されている。 つぎに引用発明2は、段落【0013】に示すように、液状架橋剤としてメトキシトリエチレングリコール(ジ)アクリレートが用いられ、ここにはメトキシトリエチレングリコールアクリレートが含まれる。 このメトキシトリエチレングリコールアクリレートは、アルキレンオキサイド基の付加モル数が3の芳香環を有さない単官能アクリレートであり、これを引用発明1に適用できれば本件特許発明1に想到する。 この場合、引用発明2は、このような液状架橋剤(メトキシトリエチレングリコールアクリレート)の配合量により難燃性硬化樹脂組成物の屈曲率が調整されている(【請求項1】、段落【0007】-【0008】、【0013】)。 そして、甲第1号証の段落【0034】によれば「前記硬化樹脂組成物層には、屈折率の調整やその他の性能を向上させるために、屈折率を調整するための樹脂、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤等を含むことができる。」と明記されている。 そうすると引用発明1に引用発明2の液状架橋剤(メトキシトリエチレングリコールアクリレート)を適用し、硬化樹脂組成物層の屈曲率の調整に用いることは当業者にとって容易である。」(以下、「主張2」という。) 上記主張について検討する。 主張1に関して検討すると、申立人は、「この臭素化ビニルエステル樹脂のカテゴリーには、発明特定事項Bの「(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂」が含まれ、この点では本件特許発明1の硬化樹脂層と引用発明1の硬化樹脂組成物層とは一致する。」と主張するが、甲1発明の「臭素化ビニルエステル樹脂」には「臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂」以外の樹脂も含まれるから、本件発明1と甲1発明が「(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂」を含むとの点で一致するということはできない。よって、本件発明1と甲1発明との相違点は上記(ア)のとおりであり、申立人が主張するような相違点を認定することはできない。 主張2に関して検討すると、甲1の【0034】には、「前記硬化樹脂組成物層には、屈折率の調整やその他の性能を向上させるために、屈折率を調整するための樹脂、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤等を含むことができる。」との記載があり、甲1発明において屈折率を調整するための樹脂をさらに含有させる動機付けはあるといえる。しかしながら、甲2は、ハロゲン化アリールのアクリル誘導体もしくはハロゲン元素を含む不飽和ポリエステル樹脂、該誘導体もしくは不飽和ポリエステル樹脂を溶解し得る液状架橋剤、及び燐含有モノマーよりなる難燃性熱硬化性樹脂組成物を含むウエルディングカーテン材の発明(請求項1、2)を開示するものであって、【0013】には、難燃性熱硬化性樹脂組成物の屈折率を調整する成分の一つである液状架橋剤として「メトキシトリエチレングリコールアクリレート」(本件発明1の(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート)に相当する。)が記載されているものの、当該化合物は液状架橋剤の例示として多数列挙されたものの一つにすぎず、むしろ、甲2の実施例では液状架橋剤として他の化合物(テトラヒドロフルフリルアクリレート)が用いられていることからみて、甲2の【0013】に列挙された化合物の中から「メトキシトリエチレングリコールアクリレート」を選択して用いる動機付けとなるものとはいえない。 そうすると、甲1発明の硬化樹脂組成物において、臭素化ビニルエステル樹脂として「臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂」を選択した上で、さらに屈折率を調整する成分として甲2に列挙された液状架橋剤の一つであるメトキシトリエチレングリコールアクリレートを選択して使用することは、本件発明1を知った上でのいわゆる後知恵であり、当業者が容易に想到し得たものということはできない。 そして、本件発明1は、硬化樹脂層が(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物の硬化物により形成されていることにより、シートがベタツキを抑制し耐折性に優れたものとなるという効果を有するものであり、そのような効果は、甲1、甲2及びその他の証拠から当業者が予測することができないものである。 以上のとおり、申立人の主張はいずれも採用することができない。 (エ)本件発明1についてのまとめ 以上まとめると、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲1及び他のいずれの証拠の記載に基づいても当業者が容易に想到することができたものではない。よって、本件発明1は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~5について 本件発明2~5は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、本件発明1と同様の理由により、本件発明2~5は、いずれも甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)まとめ したがって、本件発明1~5は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえず、これらの発明についての特許は同法同条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当しない。 2 申立理由2(甲2を主たる証拠とする進歩性)について (1)甲2に記載された事項等 ア 甲2に記載された事項 甲2には次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。 「【請求項1】 光線透過性を有する無機繊維からなる織物又は不織布に難燃性熱硬化性樹脂組成物を含浸して硬化した繊維強化樹脂シートからなるウエルディングカーテン材であって、上記難燃性熱硬化性樹脂組成物の硬化後における屈折率Aと上記無機繊維の屈折率Bとの関係が、次式(1)を満足するものであり、かつ、繊維強化樹脂シートの平行光線透過率が全光線透過率の80%以上であることを特徴とするウエルディングカーテン材。 B+0.015≧A≧B-0.005 ・・・・・(1) 【請求項2】 難燃性熱硬化性樹脂組成物が、ハロゲン化アリ-ルのアクリル誘導体もしくはハロゲン元素を含む不飽和ポリエステル樹脂、該誘導体もしくは不飽和ポリエステル樹脂を溶解し得る液状架橋剤、及び燐含有モノマーよりなり、ハロゲン元素が15~50重量%、燐が1~10重量%含有されていることを特徴とする請求項1記載のウエルディングカーテン材。」 「【0006】この発明は、上記の点に鑑み、難燃性であることは勿論のこと、ノロやスパッタ等の高温の火花に触れても孔があくことがなく、かつ、透明性を有し、覗き窓を設けなくともカーテンの向こう側を見通すことができるウエルディングカーテン材を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明のウエルディングカーテン材は、光線透過性を有する無機繊維からなる織物又は不織布に難燃性熱硬化性樹脂組成物を含浸して硬化した繊維強化樹脂シートからなるウエルディングカーテン材であって、上記難燃性熱硬化性樹脂組成物の硬化後における屈折率Aと上記無機繊維の屈折率Bとの関係が、次式(1)を満足するものであり、かつ、繊維強化樹脂シートの平行光線透過率が全光線透過率の80%以上であることを特徴とするものである。 【0008】 B+0.015≧A≧B-0.005 ・・・・・(1) 上記難燃性熱硬化性樹脂組成物に関しては、ハロゲン化アリ-ルのアクリル誘導体もしくはハロゲン元素を含む不飽和ポリエステル樹脂、該誘導体もしくは不飽和ポリエステル樹脂を溶解し得る液状架橋剤、及び燐含有モノマーよりなり、ハロゲン元素が15~50重量%、燐が1~10重量%含有されているものであることが好ましい。そして、液状架橋剤に関しては、末端ビニル基を1~3個含むアクリル系エステルのモノマーもしくはマクロモノマーからなるものであることが好ましい。」 「【0010】この発明において、光線透過性を有する無機繊維の織物又は不織布としては、例えば、ガラス繊維のヤーンやロービングを平織り、綾織り、繻子織りなどした織物、ガラス繊維チョップドストランドマットなどのガラス繊維不織布などがあげられる。無機繊維としては上記ガラス繊維に限られない。1000℃で溶融しない程度の高温に耐え、透明性を有するものであればよく、例えば、アルミナ等から製せられた透明性を有するセラミック繊維を用いてもよい。 【0011】上記ハロゲン化アリールのアクリル誘導体としては、塩素、臭素及びヨウ素の一種以上を好ましくは20~50重量%含有するハロゲン化アリールのアクリル誘導体であって、例えば、テトラブロモビスフェノールA-ビスアクリレート、テトラブロモビスフェノールA-エチレンオキサイド付加ジメタクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、メタクリル酸トリクロロフェニルなど、または、ハロゲン化フェノール、ハロゲン化ビスフェノール、ハロゲン化アリ-ルカルボン酸エチレンオキサイド付加物等の(メタ)アクリル酸エステル類のモノマー及びこれらのマクロモノマーがあげられる。場合により、これらのモノマー、マクロモノマーは、グリシジルエーテルが一部に含むものであってもよい。 【0012】また、上記ハロゲン元素を含む不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、ヘッド酸ポリエステル、テトラクロロフタール酸、クロロマレイン酸無水物、テトラブロモフタール酸などを含有する不飽和ポリエステルがあげられる。 【0013】上記液状架橋剤としては、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコール(ジ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ネオベンチルグリコールジアクリレート、ベンタエリストールトリ(メタ)アクリレートなどの末端ビニル基を1~3個含むアクリル系エステルのモノマーもしくはマクロモノマーなどがあげられる。この架橋剤の使用量は、組成物中20~80重量%であるのが好ましい。20重量%未満では上記アクリル誘導体モノマーもしくは不飽和ポリエステルの溶解性が悪くなり、80重量%を超えると、上記した範囲の屈折率とすることが難しいからである。」 「【0022】 【実施例】以下、この発明のウエルディングカーテン材の実施例について説明する。 (実施例1)光線透過性を有する無機繊維の織物として、屈折率1.5555のガラスヤーン平織りクロス(幅500mm、厚さ100μm、目付け100g/m2)を用い、これを、テトラヒドロフルフリルアクリレート100重量部、ジフェニル-2-メタクロイルオキシエチルホスフェート100部、湿潤剤(BYK-2662、ビーワイケーケミー社製)1重量部及び脱泡剤(BYK-A-501、ビーワイケーケミー社製)1重量部からなる低粘度の予備含浸液に浸漬含浸させ、十分に水切りした。 【0023】この予備含浸液を含浸させた平織りガラスヤーンクロスに、テトラブロモビスフェノールA-ビスアクリレート(臭素含有率42重量%)100重量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート40重量部、ビスフェノールA-エポキシアクリレート(SP-2500、昭和高分子社製)20重量部、ジフェニル-2-メタクロイルオキシエチルホスフェート(燐含有率8.6重量%)20重量部、トリスジクロロプロピルホスフェート(難燃性可塑剤:燐含有率7.2重量%、塩素含有率48.6重量%)20重量部、光重合剤(ダロキュアー1173、メルク社製)2重量部からなる基本難燃性熱硬化性樹脂組成物を、クロス100gに対してほぼ280gの割合で塗布含浸させ、ローラーでよく予備含浸液と混ぜ合わせた。次いで、その両面に125μm厚さのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムを被覆し、これを0.5mm間隔のローラー間に通して脱泡するとともに平滑化した後、紫外線を照射して硬化した。この紫外線硬化条件は、80W/cm2強度の高圧水銀灯中を1m/分の速度で走行するものとした。 【0024】硬化後、PETフィルムを外して0.2mm厚さの透明な繊維強化樹脂シートを得た。なお、基本難燃性熱硬化性樹脂組成物と予備含浸液との全組成物を硬化させた硬化物の屈折率は、1.5557(JIS-K-7105準拠)であり、全組成物中ハロゲン元素含有量は25.4重量%(塩素4.8重量%、臭素20.6重量%)、燐含有量は1.55重量%であった。 【0025】このシートについて、JIS-K-7105に準拠して測定した、全光線透過率、平行光線透過率、平行光線透過率/全光線透過率及び像解明度(くし幅0.5mm)、並びにJIS-A-1323に準拠して行った難燃性試験(B種試験:鋼板厚さ4.4mm、C種試験:鋼板厚さ3.2mm)の結果は表1に示すとおりであった。 (実施例2)基本難燃性熱硬化性樹脂組成物に黄色染料ジスアジドイエロー0.2重量部を混合したこと以外は実施例1と同様にして黄色透明シートを得た。」 イ 甲2に記載された発明 上記アの記載事項を、特に請求項1、2に関して整理すると、甲2には次の発明が記載されていると認められる。 「光線透過性を有する無機繊維からなる織物又は不織布に難燃性熱硬化性樹脂組成物を含浸して硬化した繊維強化樹脂シートからなるウエルディングカーテン材であって、上記難燃性熱硬化性樹脂組成物の硬化後における屈折率Aと上記無機繊維の屈折率Bとの関係が、次式(1)を満足するものであり、かつ、繊維強化樹脂シートの平行光線透過率が全光線透過率の80%以上であり、 難燃性熱硬化性樹脂組成物が、ハロゲン化アリ-ルのアクリル誘導体もしくはハロゲン元素を含む不飽和ポリエステル樹脂、該誘導体もしくは不飽和ポリエステル樹脂を溶解し得る液状架橋剤、及び燐含有モノマーよりなり、ハロゲン元素が15~50重量%、燐が1~10重量%含有されていることを特徴とする、ウエルディングカーテン材。 B+0.015≧A≧B-0.005 ・・・・・(1)」(以下、「甲2発明」という。) (2) 対比・判断 ア 本件発明1について (ア)本件発明1と甲2発明との対比 両者を対比すると、本件発明1の「ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、シート」と、甲2発明の「光線透過性を有する無機繊維からなる織物又は不織布に難燃性熱硬化性樹脂組成物を含浸して硬化した繊維強化樹脂シートからなるウエルディングカーテン材」とは、「繊維織物と、前記繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、シート」であるとの限りにおいて一致する。 してみると、両者の一致点、相違点は以下の通りである。 (一致点) 「繊維織物と、前記繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、シート。」 (相違点) ・相違点2-1 繊維織物について、本件発明1は「ガラス繊維織物」と特定するのに対し、甲2発明は「光線透過性を有する無機繊維からなる織物」である点。 ・相違点2-2 硬化樹脂層について、本件発明1は「前記硬化樹脂層が(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物の硬化物により形成されており、」と特定するのに対し、甲2発明は「ハロゲン化アリ-ルのアクリル誘導体もしくはハロゲン元素を含む不飽和ポリエステル樹脂、該誘導体もしくは不飽和ポリエステル樹脂を溶解し得る液状架橋剤、及び燐含有モノマーよりなり、」と特定する点。 ・相違点2-3 本件発明1は「前記硬化樹脂層上に熱可塑性樹脂層が積層されている」と特定するのに対し、甲2発明はそのように特定しない点。 (イ)相違点についての判断 事案に鑑み、相違点2-2について検討する。 甲2発明は、織物に含浸される難燃性熱硬化性樹脂組成物について、「ハロゲン化アリ-ルのアクリル誘導体もしくはハロゲン元素を含む不飽和ポリエステル樹脂、該誘導体もしくは不飽和ポリエステル樹脂を溶解し得る液状架橋剤、及び燐含有モノマーよりなり、」と特定しており、さらに、甲2(【0011】、【0013】)には、「ハロゲン化アリ-ルのアクリル誘導体」の具体例として、「テトラブロモビスフェノールA-エチレンオキサイド付加ジメタクリレート」が記載され、「液状架橋剤」の具体例として「メトキシトリエチレングリコールアクリレート」が記載されている。当該「テトラブロモビスフェノールA-エチレンオキサイド付加ジメタクリレート」及び「メトキシトリエチレングリコールアクリレート」は、それぞれ本件発明1の「(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂」及び「(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート」に相当する化合物といえる。しかしながら、上記2つの化合物は、それぞれ例示として多数列挙される中の一つであって、いずれの化合物を用いることが好ましいかについては特に記載されておらず、甲2の実施例では「ハロゲン化アリ-ルのアクリル誘導体」及び「液状架橋剤」として、上記2つの化合物とは異なる「テトラブロモビスフェノールA-ビスアクリレート」及び「テトラヒドロフルフリルアクリレート」が用いられている。 そうすると、甲2及び他の証拠の記載をみても、甲2発明の「ハロゲン化アリ-ルのアクリル誘導体もしくはハロゲン元素を含む不飽和ポリエステル樹脂」及び「液状架橋剤」として、甲2で例示として多数列挙されているものの中から、「テトラブロモビスフェノールA-エチレンオキサイド付加ジメタクリレート」及び「メトキシトリエチレングリコールアクリレート」の組み合わせを選択して用いる動機付けがあるとはいえない。 そうすると、甲2発明において、相違点2-2に係る本件発明1の発明特定事項を満たすものとすることを、当業者が容易に想到することができたとはいえない。そして、本件発明1は、硬化樹脂層が(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物の硬化物により形成されていることにより、シートがベタツキを抑制し耐折性に優れたものとなるという顕著な効果を有するものであり、このような効果は、甲2及びその他の証拠から当業者が予測することができないものである。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書19~20頁において、以下のとおり主張する。 「本件特許発明1の硬化樹脂層は、発明特定事項Bに示すように、(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物により形成されている。 これに対して引用発明2の難燃性熱硬化性樹脂組成物には、ハロゲン化アリールのアクリル誘導体と、該誘導体を溶解しうる液状架橋剤との組み合わせが含まれる(【請求項2】)。 そして、前記ハロゲン化アリールのアクリル誘導体としては、段落【0011】に示すように、例えばテトラブロモビスフェノールAービスアクリレート、テトラブロモビスフェノールAーエチレンオキサイド付加ジメタクリレートが用いられている。これは発明特定事項Bの「(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂」に対応している。 前記液状架橋剤としては、【0013】に示すように、メトキシトリエチレングリコール(ジ)アクリレートが用いられている。ここに含まれるメトキシトリエチレングリコールアクリレートは、アルキレンオキサイド基の付加モル数が3の芳香環を有さない単官能アクリレートであり、発明特定事項Bの「(B)アルキレンオキサイド碁を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート」に対応している。 よって、このような引用発明2の構成は、発明特定事項Bの「(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物」と一致する。」(以下、「主張3」という。) 上記主張3について検討する。 申立人は、甲2に「ハロゲン化アリールのアクリル誘導体」及び「液状架橋剤」として「テトラブロモビスフェノールA-エチレンオキサイド付加ジメタクリレート」及び「メトキシトリエチレングリコールアクリレート」が記載されていることから、甲2発明は本件発明1の「前記硬化樹脂層が(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物の硬化物により形成されており、」との発明特定事項を満たす旨を主張している。しかしながら、上記(イ)に記載したように、甲2において、「テトラブロモビスフェノールA-エチレンオキサイド付加ジメタクリレート」及び「メトキシトリエチレングリコールアクリレート」は、それぞれ「ハロゲン化アリールのアクリル誘導体」及び「液状架橋剤」の例示として多数列挙された化合物の中の一つにすぎず、上記特定の2つの化合物の組み合わせを選択して用いることが開示されているとはいえない。よって、甲2発明が本件発明1の上記発明特定事項を満たすものということはできない。 また、甲2及び他の証拠の記載をみても、甲2発明の「ハロゲン化アリ-ルのアクリル誘導体もしくはハロゲン元素を含む不飽和ポリエステル樹脂」及び「液状架橋剤」として、甲2で例示として多数列挙されているものの中から、「テトラブロモビスフェノールA-エチレンオキサイド付加ジメタクリレート」及び「メトキシトリエチレングリコールアクリレート」の組み合わせを選択して用いる動機付けがあるともいえない。 そして、本件発明1は、硬化樹脂層が「(A)臭素化ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂及び(B)アルキレンオキサイド基を有し、かつ芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート、を含む樹脂組成物の硬化物により形成され」ていることにより、シートがベタツキを抑制し耐折性に優れたものとなるという顕著な効果を有するものであり、このような効果は、甲2及びその他の証拠から当業者が予測することができないものである。 そうすると、申立人が主張するように本件発明1と甲2発明との一致点を認定することはできず、この点を甲2発明から当業者が容易に想到し得たものということもできない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (エ)本件発明1についてのまとめ 以上まとめると、相違点2-2に係る本件発明1の発明特定事項は、甲2及び他のいずれの証拠の記載に基づいても当業者が容易に想到することができたものではない。よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~5について 本件発明2~5は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、本件発明1と同様の理由により、本件発明2~5は、いずれも甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)まとめ したがって、本件発明1~5は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえず、これらの発明についての特許は同法同条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当しない。 第5 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項1ないし5に係る特許は、特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことはできないものである。 また、他に、本件特許の請求項1ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700439

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