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特許異議申立

2025-700389

開閉部材駆動装置および便蓋開閉ユニット

審判番号
2025-700389
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-118390
登録番号
7562779
請求日
2025年04月04日
審決日
2026年03月23日
公報発行日
2026年06月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ニデックインスツルメンツ株式会社
  • 【権利者代理人】河合 徹
  • 【権利者代理人】河口 伸子
  • 【権利者代理人】岩垂 裕司
  • 【異議申立人】関 豊美子
審判長/審判官
  • 審判長 澤田 真治
  • 審判官 西田 秀彦
  • 審判官 藏田 敦之
分類
P1651.121-YAA(A47K) / P1651.537-YAA(A47K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7562779号発明「開閉部材駆動装置および便蓋開閉ユニット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7562779号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第7562779号の請求項2~11に係る特許を維持する。 特許第7562779号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許異議申立に係る特許第7562779号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成31年 3月28日に出願した特願2019-64163号の一部を令和5年 7月20日に新たな特許出願としたものであって、令和6年 9月27日にその特許権の設定登録がされ、同年10月 7日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許に対し、令和7年4月4日に、特許異議申立人 関 豊美子 (以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、本件特許の請求項1~11に係る特許について、特許異議の申立てがされた。 本件特許異議の申立て以降の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和7年 7月17日付け 取消理由通知書 同年 9月18日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) また、当審から令和7年 9月29日付けで、申立人に対して意見書提出の期間を指定して、同年 9月18日の訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を行ったが、当該期間内に申立人から意見書の提出はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和7年 9月18日に提出された訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、特許第7562779号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~11について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記歯車輪列は、前記出力軸に同軸に固定された出力歯車を備え、前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸および前記出力歯車は、前記モータ本体と重なることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材駆動装置。」と記載されているのを、独立形式に改め、「モータ本体と、前記モータ本体から突出する回転軸と、を備えるモータと、前記モータに電力を供給する配線と、開閉部材が接続される出力軸と、前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記モータおよび前記伝達機構を収容するケースと、を有し、前記回転軸は、前記出力軸と直交する方向に延びており、前記出力軸の軸線に沿った軸線方向から見た場合に、前記回転軸は、前記ケースの長手方向に対して傾斜し、前記伝達機構は、歯車輪列を備え、前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸と前記モータ本体とが重なり、前記歯車輪列は、前記出力軸に同軸に固定された出力歯車を備え、前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸および前記出力歯車は、前記モータ本体と重なり、前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備えることを特徴とする開閉部材駆動装置。」に訂正する(請求項2の記載を引用する訂正後の請求項11も同様に訂正する。)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備えることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材駆動装置。」と記載されているのを、独立形式に改め、「モータ本体と、前記モータ本体から突出する回転軸と、を備えるモータと、前記モータに電力を供給する配線と、開閉部材が接続される出力軸と、前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記モータおよび前記伝達機構を収容するケースと、を有し、前記回転軸は、前記出力軸と直交する方向に延びており、前記出力軸の軸線に沿った軸線方向から見た場合に、前記回転軸は、前記ケースの長手方向に対して傾斜し、前記伝達機構は、歯車輪列を備え、前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸と前記モータ本体とが重なり、前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備えることを特徴とする開閉部材駆動装置。」に訂正する(請求項3の記載を引用する訂正後の請求項4~11も同様に訂正する。)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項11に「請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置を有し、前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする便蓋開閉ユニット。」と記載されているのを「請求項2から10のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置と、前記開閉部材駆動装置により開閉される開閉部材と、を有し、前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする便蓋開閉ユニット。」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、訂正の単位、及び独立特許要件について (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1を削除するというものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 前記アで説示したとおり、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無について 前記アで説示したとおり、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、 (ア)訂正前の請求項2が請求項1を引用していたところ、引用する請求項1の内容を書き下して請求項1を引用しないものとするとともに、 (イ)「前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備えること」を限定するものである。 訂正事項2のうち、前記(ア)の点は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものと認められる。 また、訂正事項2のうち、前記(イ)の点は、訂正前の請求項2にさらに特定を加えるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 前記アで説示したとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項2について、他の請求項の記載を引用しないものとしたうえで、特定を加えたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無について 訂正事項2のうち、前記ア(ア)の点は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載から導出されるものであり、前記ア(イ)の点は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項3の記載から導出されるものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1を引用していたところ、引用する請求項1の内容を書き下して請求項1を引用しないものとするものである。 この点は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものと認められる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 前記アで説示したとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項3について、他の請求項の記載を引用しないものとしたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無について 訂正事項3は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載から導出されるものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について (ア)訂正前の請求項11が請求項1~10を引用していたものを、訂正事項1によって請求項1が削除され、訂正事項2、3によって、請求項1を引用していた請求項2、3が請求項1の記載を引用しないものとなったことに伴い、請求項11が引用する請求項から請求項1を削除し、請求項2~10を引用するものとするとともに、 (イ)「便蓋開閉ユニット」が、「前記開閉部材駆動装置により開閉される開閉部材と、を有」していることを限定するものである。 訂正事項4のうち、前記(ア)の点は、請求項11が引用する請求項から請求項1を削除し、請求項2~10を引用するものとなすものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 訂正事項4のうち、前記(イ)の点は、訂正前の請求項11にさらに限定を加えるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 前記アで説示したとおり、訂正事項4は、引用する請求項の選択肢を一部削除するとともに、特定を加えたものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無について 訂正事項4のうち、前記ア(ア)の点は、請求項11において、引用する請求項の選択肢を一部削除するものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 また、訂正事項4のうち、前記ア(イ)の点は、願書に添付した明細書【0022】から導出されるものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (5)独立特許要件について 本件においては、訂正前の全ての請求項1~11について、特許異議の申立てがされているので、訂正事項1~4により、訂正後の請求項1~11について特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項1~11に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。 (6)訂正の単位について 本件訂正前の請求項1~11に関し、請求項11は、請求項1~10を引用しているものであるから、請求項1~11は、「一群の請求項」である。よって、本件訂正は、訂正事項1~4により、訂正前の一群の請求項1~11について訂正を行うものである。 一方、特許権者は、本件訂正請求書において、「訂正後の請求項2については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求め」ている(本件訂正請求書8頁34~末行)。 しかしながら、訂正後の請求項2は、請求項1との引用関係が解消しても、請求項3の記載を引用する請求項11を介して、請求項3と連関する関係にあり、依然として特許法第120条の5第4項(特許法施行規則45条の4)に規定する一群の請求項を構成するから、前記別の訂正単位とする求めは認められない。 (7)申立人の主張について 令和7年 9月29日付けで、申立人に、本件訂正請求書及びこれに添付された訂正した特許請求の範囲の副本等を送付して意見を求めたが、申立人から応答はなかった。 3 訂正の適否の結論 以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び4号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-11〕について、本件訂正を認める。 第3 本件発明 前記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし11に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1ないし11に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の、請求項1ないし11に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】 モータ本体と、前記モータ本体から突出する回転軸と、を備えるモータと、 前記モータに電力を供給する配線と、 開閉部材が接続される出力軸と、 前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、 前記モータおよび前記伝達機構を収容するケースと、を有し、 前記回転軸は、前記出力軸と直交する方向に延びており、 前記出力軸の軸線に沿った軸線方向から見た場合に、前記回転軸は、前記ケースの長手方向に対して傾斜し、 前記伝達機構は、歯車輪列を備え、 前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸と前記モータ本体とが重なり、 前記歯車輪列は、前記出力軸に同軸に固定された出力歯車を備え、 前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸および前記出力歯車は、前記モータ本体と重なり、 前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備えることを特徴とする開閉部材駆動装置。 【請求項3】 モータ本体と、前記モータ本体から突出する回転軸と、を備えるモータと、 前記モータに電力を供給する配線と、 開閉部材が接続される出力軸と、 前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、 前記モータおよび前記伝達機構を収容するケースと、を有し、 前記回転軸は、前記出力軸と直交する方向に延びており、 前記出力軸の軸線に沿った軸線方向から見た場合に、前記回転軸は、前記ケースの長手方向に対して傾斜し、 前記伝達機構は、歯車輪列を備え、 前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸と前記モータ本体とが重なり、 前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備えることを特徴とする開閉部材駆動装置。 【請求項4】 互いに直交する3方向を第1方向、第2方向、および第3方向とし、前記軸線方向を前記第1方向、前記ケースの前記長手方向に沿った方向を前記第2方向、前記ケースの短手方向に沿った方向を前記第3方向としたときに、 前記ケースは、前記モータ本体の前記第1方向の一方側に位置する底壁部と、前記底壁部の前記第3方向の両側の端縁から前記第1方向の他方側に立ちあがって前記第2方向に平行に延びる第1側壁部および第2側壁部と、を備え、 前記第1側壁部および前記第2側壁部は、前記ケースにおける前記第3方向の両端に位置し、 前記モータは、前記第2方向の一方側に前記回転軸が位置し、他方側に前記モータ本体が位置し、 前記モータ本体は、前記底壁部に載せられて、前記第2方向の一方側における前記第1側壁部の側の端が当該第1側壁部に接触し、前記第2方向の他方側における前記第1側壁部の側の端が当該第1側壁部から離間し、 前記回転軸は、前記第2方向の他方側から一方側に向かって前記第1側壁部に接近し、 前記引き回し部は、前記モータ本体と前記第1側壁部との間、または、前記モータ本体と前記第2側壁部との間に位置することを特徴とする請求項3に記載の開閉部材駆動装置。 【請求項5】 前記ケースは、前記底壁部から前記第1方向の他方側に立ち上がり前記第2方向および前記第3方向と交差する方向に延びる第1モータ固定壁を有し、 前記モータ本体は、前記回転軸が突出する出力側部分が前記第1モータ固定壁に当接することを特徴とする請求項4に記載の開閉部材駆動装置。 【請求項6】 前記ケースは、前記底壁部から前記第1方向の他方側に立ち上がり前記第1モータ固定壁と直交する方向に延びる第2モータ固定壁を有し、 前記モータ本体は、前記第1方向から見た場合に前記回転軸と平行な一対の側面を備え、 前記モータは、前記第2モータ固定壁の前記第2側壁部の側に配置されて、一対の前記側面のうちの一方の側面が前記第2モータ固定壁に接触し、 前記引き回し部は、前記第2モータ固定壁と前記第1側壁部との間に位置することを特徴とする請求項5に記載の開閉部材駆動装置。 【請求項7】 前記ケースは、前記底壁部から前記第1方向の他方側に立ち上がるとともに前記第2側壁部から前記第1側壁部の側に向かって延びるリブを備え、 前記モータ本体は、前記第2モータ固定壁と前記リブとの間に挟まれて固定されていることを特徴とする請求項6に記載の開閉部材駆動装置。 【請求項8】 前記伝達機構は、前記出力軸に同軸に固定された出力歯車を含む前記歯車輪列と、前記出力軸に接続された前記開閉部材が閉方向に回転する際に当該出力軸を前記軸線回りで前記閉方向とは反対の開方向に回転させる付勢力を蓄えるコイルバネと、を有し、 前記コイルバネは、前記出力軸と同軸であり、前記モータ本体の前記第1方向の他方側に配置され、 前記コイルバネは、一方端が前記軸線方向の一方側に延びて前記リブに設けられたバネ係止部に係止され、他方端が前記軸線方向の他方側に延びて前記出力歯車に設けられた係止部に挿入されていることを特徴とする請求項7に記載の開閉部材駆動装置。 【請求項9】 前記回転軸の先端を回転可能に支持する軸受部材を備え、 前記軸受部材は、前記第1側壁部に接触していることを特徴とする請求項4から8のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置。 【請求項10】 前記歯車輪列は、前記回転軸の外周側に固定されたウォームと、前記回転軸と前記第2側壁部との間に位置して前記ウォームと噛合する第1歯車と、を備えることを特徴とする請求項4から9のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置。 【請求項11】 請求項2から10のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置と、前記開閉部材駆動装置により開閉される開閉部材と、を有し、 前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする便蓋開閉ユニット。」 第4 証拠一覧、特許異議申立理由の概要、及び先の取消理由通知書に記載した取消理由の概要 1 証拠一覧 申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。 (以下、申立人の提出した甲第1号証を、甲1という。甲第2号証以下についても同様。) 甲1:特開2008-237331号公報 甲2:米国特許第6054785号明細書 甲3:特開2006-62508号公報 甲4:特開2003-202069号公報 甲5:特開2018-50712号公報 甲6:特開2018-119644号公報 2 特許異議申立理由の概要 申立人が申立書において主張する特許異議申立理由の概要は、次のとおりのものと認められる。 (1)甲1を主たる証拠とした進歩性欠如(以下「申立理由」ともいう。) 本件特許の請求項1~11に係る発明は、本件出願(原出願)前に公開された甲1に記載された発明と甲2に記載された発明とに基づいて、あるいは、甲1に記載された発明と甲2に記載された発明と周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 先の取消理由通知書に記載した取消理由の概要 先の取消理由通知書に記載した取消理由の概要は、次のとおりのものと認められる。 (1)明確性要件違反(以下「取消理由1」という。) 本件特許の請求項11に係る発明は、特許を受けようとする発明が明確でないから、これらの発明に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)甲2を主たる証拠とした進歩性欠如(以下「取消理由2」という。) 本件特許の請求項1、2に係る発明は、本件出願(原出願)前に公開された甲2に記載された発明および技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、また、本件特許の請求項11に係る発明は、原出願前に公開された甲2に記載された発明、技術常識、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 第5 当審の判断 1 甲号証について (1)甲1 ア 甲1の記載事項 本件出願(原出願)前に頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲1には、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。 (ア)「【0022】 図2(B)は、図1のB区間に対応する動作図であって、B区間は、前記ガタが詰まった後の区間である。このB区間では、第2のトルクにより、モータ回転軸5が回転させられる。 【0023】 図3は、本発明の一実施例に係る便器上の開閉体の電動開閉装置を内蔵する便器の側面図である。図4は、図3に示した便器に内蔵される電動開閉装置の側面拡大図である。 【0024】 図3を参照すると、便器1上には、開閉体として、便座3および便蓋4が配置されている。便座3および便蓋4の電動開閉は制御手段10によって制御される。便座3および便蓋4は、開閉体軸2aを回転軸として開閉される。 【0025】 図4を参照すると、本発明の一実施例に係る便器上の開閉体の電動開閉装置は、駆動源であるモータMと、モータMが出力するトルクを便器1上の開閉体2に伝達する伝達機構(多段減速歯車列)8と、モータM、特にモータ回転軸5の回転速度を検出する検出手段であるホールIC9と、ホールIC9による検出に基づいてモータMのトルクを制御する制御手段(マイクロコンピュータ)10と、を有している。」 (イ)「【符号の説明】 【0037】 1 便器 2 開閉体 2a 開閉体軸 3 便座 4 便蓋 5 モータ回転軸(モータ出力軸) 6 ウォームギヤ 7 ウォームホイール 8 伝達機構(多段減速歯車列) 9 ホールIC(検出手段) 10 制御手段(モータ制御手段、マイクロコンピュータ) 11 検出信号(ホールIC信号) 12 制御信号(PWM信号) 20 開閉体被付勢部 21 ストッパ A ガタを詰める区間 B 開閉体を動かす区間 R ロック期間 M モータ」 (ウ)図3 「 [図:0001436173000001.jpg] 」 (エ)図4 「 [図:0001436173000002.jpg] 」 イ 図面から見て取れることができる事項及び甲1の記載より認定される事項 (ア)便器に内蔵される電動開閉装置の側面拡大図である図4より、モータMと、伝達機構(多段減速歯車列)8と、ホールIC9とがケース内に収容されていること、また、ケースの内壁と、モータMとの間を配線が通過していること、ケースは、図中左右方向よりも上下方向の寸法が大きいこと、さらに、開閉体軸2aが紙面に対して垂直であることが見てとれることより、開閉体軸2aの軸線方向から見て、モータMから突出するモータ回転軸5がケースの長手方向である上下方向に対して傾いて配置されていること、モータ回転軸5の軸線方向と開閉体軸2aの軸線方向とが互いに直交していることも見て取れるから、図4には、次の事項が記載されているものと認められる。 「モータMと、伝達機構(多段減速歯車列)8と、ホールIC9とがケース内に収容され、ケースの内壁と、モータMとの間を配線が通過しており、開閉体軸2aの軸線方向から見て、モータMから突出するモータ回転軸5がケースの長手方向である上下方向に対して傾いて配置されており、モータ回転軸5の軸線方向と開閉体軸2aの軸線方向とは互いに直交していること。」(以下「甲1認定事項1」という。) (イ)同じく、便器に内蔵される電動開閉装置の側面拡大図である図4より、モータ回転軸5上にウォームギヤ6が設けられており、当該ウォームギヤ6と、ウォームホイール7とが、一部重なるように図示されていること、さらに、ウォームホイール7、開閉体軸2a及び、これらの間の2箇所に複数の同心円が一部が重なるように図示されていることが見て取れるところ、これらの同心円が噛み合った歯車を示していることは技術常識であり、さらに、開閉体軸2aは、駆動対象となっていることから、開閉体軸2aと同軸の同心円は、開閉体軸2aと一体に固定された歯車であること、また、これ(開閉体軸2aと一体に固定された歯車)と、ウォームギヤ6と、ウォームホイール7、前記複数の歯車が伝達機構(多段減速歯車列)8を構成することが認められる。 よって、図4には、次の事項が記載されているものと認められる。 「開閉体軸2aと一体に固定された歯車と、モータ回転軸5上に設けられたウォームギヤ6、ウォームホイール7を含む複数の歯車が、伝達機構(多段減速歯車列)8を構成すること。」(以下「甲1認定事項2」という。) ウ 甲1発明 上記ア、イより、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。なお、参考のため、主な根拠箇所を括弧内に示す。 「開閉体軸2aを回転軸として開閉される便座3および便蓋4の電動開閉を制御手段10によって制御される、便器に内蔵された電動開閉装置であって、(【0023】、【0024】) 駆動源であるモータMと、モータMが出力するトルクを便器1上の開閉体2に伝達する伝達機構(多段減速歯車列)8と、モータ回転軸5の回転速度を検出する検出手段であるホールIC9と、ホールIC9による検出に基づいてモータMのトルクを制御する制御手段(マイクロコンピュータ)10と、を有しており、(【0025】) モータMと、伝達機構(多段減速歯車列)8と、ホールIC9とがケース内に収容され、ケースの内壁と、モータMとの間を配線が通過しており、開閉体軸2aの軸線方向から見て、モータMから突出するモータ回転軸5がケースの長手方向である上下方向に対して傾いて配置され、モータ回転軸5の軸線方向と開閉体軸2aの軸線方向とは互いに直交し、(甲1認定事項1) 開閉体軸2aと一体に固定された歯車と、モータ回転軸5上に設けられたウォームギヤ6、ウォームホイール7を含む複数の歯車が、伝達機構(多段減速歯車列)8を構成する(甲1認定事項2) 電動開閉装置。」 (2)甲2 ア 甲2の記載事項 本件出願(原出願)前に頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲2には、次の記載がある。 (ア)「1. Field of the Invention This invention relates to machine elements and mechanisms generally, but more particularly to miniaturized motors.」(1欄3~6行) (当審訳:1. 発明の属する技術分野 本発明は、一般に機械要素および機構に関するものであるが、より詳細には小型化モータに関するものである。) (イ)「The present invention features unique improvements in the use of engineering plastics. The layout of components is compact, taking advantage of a right angle drive which, in this particular case, is a first-stage worm gear. This arrangement keeps a motor compact inside a gearbox which makes efficient use of space in a vending machine, and any other unit requiring an application of high torque in a small space.」(1欄60~67行) (当審訳:本発明は、エンジニアリングプラスチックの使用におけるユニークな改良を特徴としている。構成部品のレイアウトはコンパクトで、この例では、第1段のウォームギヤによる直角駆動の利点を生かしている。 この配置により、自動販売機や、狭いスペースで高トルクを必要とするその他の装置において、スペースを有効に利用できるギヤボックス内でモータをコンパクトに保つことができる。) (ウ)「 FIG. 1 is a cutaway top plan view of a compact miniature motor of the present invention inside gearbox. FIG. 2 is a side elevational view of the compact miniature motor inside the gearbox. FIG. 3 is a cross-sectional view taken along line 3-3 of FIG. 1. FIG. 4 is a schematic view of a PC board wired to the compact miniature motor.」(3欄8~15行) (当審訳:図1は、ギヤボックス内の本発明の小型ミニチュアモータの切断上平面図である。 図2は、ギヤボックス内の小型ミニチュアモータの側面立面図である。 図3は、図1の線3-3に沿う断面図である。 図4は、小型モータに配線されたPCボードの概略図である。) (エ)「 In FIG. 3, the first cover 16 is shown protecting the motor 10 and the permanent magnet 12 which may be inside the motor 10. The second cover 20 is also shown protecting the gearbox 14. A first-stage worm gear 32 is driven directly by the motor 10 at one end. The worm gear 32 drives at a right angle a molded double pinion transfer gear 34. At one end of the transfer gear 34, a first set of teeth 36 mesh with the worm gear 32. At another opposite end of the transfer gear 34, a second set of teeth 38 are formed in a side thereof and change rotation from a right angle to a plurality of gears which are aligned parallel to the first-stage worm gear 32. A pair of internal trunnions 40 and 42 make the transfer gear 34 stable by extending therein and engaging longitudinally the inside thereof from opposite ends. The one trunnion 40 is molded at one end to the first cover 16 while the other trunnion 42 is molded at its opposite end to the gearbox 14. The teeth 38 on the transfer gear 34 mesh with a first cluster gear 44 which has a first gear pin 46 for stabilizing the first cluster gear 44 between the gear box 14 and the second cover 20. In turn, the first cluster gear 44 drives a second cluster gear 48 which has a second gear pin 50 for likewise stabilizing the second cluster gear 48 between the gearbox 14 and the second cover 20. The second cluster gear 48 has a short shaft portion 52 with teeth 54 which engage on one side with the first cluster gear 44 and which engage on an opposite side with an output gear 56. This output gear 56 is fixed around and drives an output shaft 58 at a right angle. Thus, a gear train extending from the worm gear 32 to the transfer gear 34 to the first cluster gear 44 to the second cluster gear 48 to the output gear 56 is compact because it wraps tightly around the motor 10 in the shape of the capital letter J.」(3欄44行~4欄第8行) (当審訳:図3では、第1カバー16がモータ10と、モータ10の内部にある永久磁石12を保護している様子が示されている。また、ギヤボックス14を保護する第2カバー20も示されている。第1段のウォームギヤ32は、一端がモータ10によって直接駆動される。ウォームギヤ32は、成形されたダブルピニオン伝達ギヤ34を直角に駆動します。伝達ギヤ34の一端では、第1の歯36がウォームギヤ32と噛み合っています。伝達ギヤ34の反対側の端部には、その側面に第2の歯38が形成され、第1段ウォームギヤ32と平行に並ぶ複数のギヤに直角に回転を変えます。一対の内部トラニオン40、42は、伝達ギヤ34をその中に延在させ、対向する端部からその内側に長手方向に係合することにより、伝達ギヤ34を安定させる。一方のトラニオン40は一端が第1カバー16に成形され、他方のトラニオン42はその反対端がギヤボックス14に成形されている。伝達ギヤ34の歯38は、ギヤボックス14と第2カバー20との間で第1クラスタギヤ44を安定させるための第1ギヤピン46を有する第1クラスタギヤ44と噛み合っている。順番に、第1のクラスタギヤ44は、同様にギヤボックス14と第2のカバー20との間で第2のクラスタギヤ48を安定させるための第2のギヤピン50を有する第2のクラスタギヤ48を駆動する。第2クラスタギヤ48は、第1クラスタギヤ44と片側で噛み合い、反対側で出力歯車56と噛み合う歯54を有する短い軸部52を有する。この出力歯車56は、出力軸58の周りに固定され、出力軸58を直角に駆動する。ウォームギヤ32から順に伝達ギヤ34、第1クラスタギヤ44、第2クラスタギヤ48、出力歯車56と延びるギヤ列は、大文字のJの形状でモーター10の周囲を密に取り巻くため、コンパクトである。) (オ)「The output shaft 58 drives a product mover for canned beverages inside a vending machine or any other electromechanical unit requiring the application of high torque. In FIG. 4, AC voltage enters the PC board 22 at one end and is received by a header 60 mounted on the PC board 22 before exiting to energize the motor 10. After leaving the header 60, the AC voltage passes through the plurality of diodes 28, which in this case number four and which form a full-wave bridge to rectify the AC voltage. After leaving the plurality of diodes 28, the voltage is processed by the electrolytic capacitor 26 which is mounted to the PC board 22 and which filters for constant DC. The voltage then goes through the PTC resistor 30 which is also mounted to the PC board 22 and which functions as the motor fuse 30 to prevent overloads. The voltage passes again through the header 60 before reaching a switch 64 for reversing the current back through the header 60 and out to the motor 10. The reversing switch 64 is mounted outside the PC board 22 to the first cover 16, not shown in FIG. 4 but seen in FIG. 2.」(4欄12~30行) (当審訳:出力軸58は、自動販売機内の缶飲料用の製品移動装置や、高トルクの印加を必要とするその他の電気機械装置を駆動する。 図4において、交流電圧はPCボード22の一端から入り、PCボード22に取り付けられたヘッダー60によって受け取られた後、モータ10に通電するために抜ける。ヘッダー60を出た後、交流電圧は複数のダイオード28を通過し、このダイオード28はこの場合4個で、全波ブリッジを形成して交流電圧を整流する。複数のダイオード28を出た後、電圧はPCボード22に取り付けられた電解コンデンサ26によって処理され、一定の直流用にフィルタリングされる。電圧はその後、同じくPCボード22に取り付けられているPTC抵抗器30を通過し、過負荷を防止するモーターヒューズ30として機能します。電圧は再びヘッダー60を通り、ヘッダー60を通ってモータ10に電流を戻すためのスイッチ64に到達します。PCボード22の外側で反転スイッチ64が第1カバー16に取り付けられており、図4には示されていないが、図2に見られる。) (カ)「FIG.1 [図:0001436173000003.jpg] 」 (キ)「FIG.3 [図:0001436173000004.jpg] 」 イ 図面から見て取れることができる事項及び甲2の記載より認定される事項 FIG.1及びFIG.3は、それぞれ切断上平面図、及び図1の3-3線に沿う断面図を表すところ、FIG.3から、モータ10の長手方向と出力軸58の軸線方向とが直交していること、FIG.1から、出力軸58の軸線方向から見た場合、第1カバー16及び第2カバー20の長手方向に対してモータ10が傾斜していること、また、FIG.1及びFIG.3から、出力軸58の軸線方向から見た場合、出力軸58の投影部分がモータ10と重複すること、及び、第3欄第44行~第4欄第8行の「ウォームギヤ32は、一端がモータ10によって直接駆動される」との記載をあわせてみると、モータ10から突出し、ウォームギヤ32を直接駆動するための軸部がモータ10の長手方向に沿うこと、がみてとれるから、FIG.1及びFIG.3には、それぞれ以下の事項が記載されているものと認められる。 「モータ10の長手方向と出力軸58の軸線方向とが直角に交差していること」(以下「甲2認定事項1」という。) 「出力軸58の軸線方向からみて、第1カバー16及び第2カバー20の長手方向に対してモータ10が傾斜していること」(以下「甲2認定事項2」という。) 「出力軸58の軸線方向からみて、出力軸58がモータ10と重なること」(以下「甲2認定事項3」という。) 「モータ10から突出し、ウォームギヤ32を直接駆動するための軸部がモータ10の長手方向に沿うこと」(以下「甲2認定事項4」という。) ウ 甲2発明 上記ア、イより、甲2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲2発明」という。)。なお、参考のため、主な根拠箇所を括弧内に示す。 「第1カバー16がモータ10と、モータ10の内部にある永久磁石12を保護し、第2カバー20がギヤボックス14を保護し、第1段のウォームギヤ32は、一端がモータ10によって直接駆動され、伝達ギヤ34の一端は、ウォームギヤ32と噛み合い、伝達ギヤ34の反対側の端部は、第1クラスタギヤ44と噛み合い、順番に、第1のクラスタギヤ44は、第2のクラスタギヤ48を駆動し、第2クラスタギヤ48は、反対側で出力歯車56と噛み合い、この出力歯車56は、出力軸58の周りに固定され、出力軸58を直角に駆動し、ウォームギヤ32から順に伝達ギヤ34、第1クラスタギヤ44、第2クラスタギヤ48、出力歯車56と延びるギヤ列は、大文字のJの形状でモータ10の周囲を密に取り巻き、(3欄44行~4欄8行) モータ10の長手方向と出力軸58の軸線方向とが直角に交差しており、(甲2認定事項1) 出力軸58の軸線方向からみて、第1カバー16及び第2カバー20の長手方向に対してモータ10が傾斜しており、(甲2認定事項2) 出力軸58の軸線方向からみて、出力軸58がモータ10と重なり、(甲2認定事項3) モータ10から突出し、ウォームギヤ32を直接駆動するための軸部がモータ10の長手方向に沿い、(甲2認定事項4) 出力軸58は、高トルクの印加を必要とする電気機械装置を駆動し、(4欄12~30行) 直角駆動の利点を生かしたこの配置により、狭いスペースで高トルクを必要とするその他の装置において、モータをコンパクトに保つことができる、(1欄60~67行) 小型化モータ。(第1欄第3~6行)」 (3)甲3 ア 本件出願(原出願)前に頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲3には、次の記載がある。 (ア)「【0005】 このアクチュエータ装置1は、図25及び図26に示すように、モータ収容部2a及びギヤ収容部2bを覆うカバー(図示省略)を有したケース2と、このケース2のモータ収容部2aに収容されるモータ3と、ケース2のギヤ収容部2bに回転自在に収容され、モータ3の駆動軸4のウォーム4bによって複数の減速ギヤ5A,5B,5Cを介して回転駆動される出力ギヤ6と、この出力ギヤ6の中央に貫通されて固定され、該出力ギヤ6と共に回転する出力シャフト7と、この出力シャフト7に取り付けられ、ステアリングシャフトをロック及びアンロックする際に用いるセクタギヤ(いずれも図示省略)等を備えている。」 (イ)「【実施例1】 【0023】 図1は本発明の実施例1のステアリングロック装置の分解斜視図、図2は同装置の平面図、図3は同装置の底面図、図4は同装置を底面側から見た斜視図、図5は同装置の背面図、図6は同装置のケース内の平面図、図7は図2中X-X線に沿う断面図、図8は同装置に用いられるモータの側面図、図9は同モータの平面図、図10(a)は同モータに装着される筒状の弾性部材の背面図、図10(b)は同弾性部材の側面図、図10(c)は同弾性部材の平面図、図11(a)は同モータの端子接続部分を示す拡大断面図、図11(b)は同端子接続部分に端子を接続した状態を示す拡大断面図、図11(c)は同端子を接続した状態のモータの部分平面図、図12は図2中Y-Y線に沿う断面図、図13は図12中Z部分の拡大断面図、図14(a)は同装置に用いられる出力シャフトとストッ パ体とダンパ及びカバーのストッパの関係を示す説明図、図14(b)は図14(a)中P-P線に沿う断面図、図15(a)は同出力シャフトの先端部の断面図、図15(b)は同出力シャフトの先端部の側面図、図16(a)は同ストッパ体の平面図、図16(b)は図16(a)中Q-Q線に沿う断面図、図17(a)は同ダンパの平面図、図17(b)は同ダンパの断面図、図18(a)は同カバーの要部の底面図、図18(b)は図18(a)中R-R線に沿う断面図、図19(a)は同出力シャフトの下端部の側面図、図19(b)は同出力シャフトの下端部の底面図、図20~図24は出力シャフトの回転状態とリミットスイッチの操作状態の関係を順を追って説明する説明図である。 【0024】 図1~図6に示すように、ステアリングロック装置(アクチュエータ装置)10は、モータ収容部11a及び該モータ収容部11aに連通するギヤ収容部11bを有する合成樹脂製で箱形のケース11と、このケース11のモータ収容部11a及びギヤ収容部11bを覆うようにビス15で締結固定された合成樹脂製のカバー12を備えている。このケース11のモータ収容部11aにはモータ20が収容されており、そのアーマチュア軸(駆動軸)21の先端21aはギヤ収容部11bの軸受保持部11dに保持された軸受17に回転自在に支持されている。この軸受17の小径部17aにはゴム製のOリング(防振部材)18を嵌め込んである。これら軸受17とゴム製のOリング18によってモータ20のアーマチュア軸21の先端21aはギヤ収容部11bの軸受保持部11dにフローティング自在に支持されている。さらに、アーマチュア軸21の先端側にはウォーム21bを形成してあり、このウォーム21bはギヤ収容部11b内に入り込んでいる。尚、アーマチュア軸21に取り付けられた図示しないアーマチュアのアーマチュアコイルに電流が供給されると、該アーマチュアが正回転又は逆回転され、アーマチュアコイルに供給された電流が遮断されると、電磁制動回路が形成されてアーマチュアコイルに電磁制動電流が流れるようになっている。 【0025】 図1,図6に示すように、ケース11のモータ収容部11aの相対向する両側壁11e,11eの両側(各コーナ部の近傍)には、上下方向に平行に延びる一対の凸部11f,11fをそれぞれ一体突出形成してある。また、モータ収容部11a内の底壁11cには、図7に示すように、幅方向に平行に延びる一対の凸部11g,11gをそれぞれ一体突出形成してある。これらモータ収容部11aの各凸部11f,11g上にモータ20を該モータ20に装着された弾性部材22を介してフローティング自在に支持してある。尚、モータ20の前後の軸受部20a,20bにはゴム製のOリング20c,20dを嵌め込んであり、これら各Oリング20c,20dを介して軸受部20a,20bはケース11の軸受保持部16a,16bにそれぞれ保持され、モータ20はモータ収容部11aの前後にフローティング自在に支持されている。つまり、モータ20はモータ収容部11a内にあって、弾性部材22と各Oリング20c,20dによってケース11にフローティング自在に支持されている。 【0026】 図6~図10に示すように、弾性部材22は、例えば、熱可塑性エラストマ系樹脂材により筒状に形成されている。即ち、弾性部材22は上壁部(上部)22aと両側壁部(両側部)22b,22b及び底壁部(底部)22cとで筒状に形成してある。この弾性部材22の上壁部22a及び底壁部22cの外面には前後方向に平行に延びる一対の凸部22d,22dをそれぞれ一体突出形成してある。これら各一対の凸部22d,22dは、図7に示すように、モータ収容部11aの底壁11cの一対の凸部11g,11g及びカバー12の内面12aに一体突出形成された一対の凸部12g,12gに対してそれぞれ交叉するようになっている。これにより、モータ20は、モータ収容部11aの底壁11cの一対の凸部11g,11gとカバー12の内面12aの一対の凸部12g,12gとの間に、弾性部材22の上壁部22aの一対の凸部22d,22dと底壁部22cの一対の凸部22d,22dを介してフローティング自在に支持されている。 【0027】 また、弾性部材22の上壁部22aの後側には端子押さえ部22eを延設してある。この端子押さえ部22eは、図9,図11に示すように、モータ20の穴部20e内に配置された金属板状で略Z字形の端子接続用片23に接触するように差し込まれるL字状の端子24を押さえ付けるためのものである。この端子24の一端の略V字部には、ハーネス25の芯線25aが挾持されて半田付けされるようになっている(この半田付け部分を、図8中符号Hで示す)。また、図6~図10に示すように、弾性部材22の両側壁部22b,22bの上下部には、ハーネス25を保持する一対のハーネス挾持部22f,22fをそれぞれ一体突出形成してある。」 (ウ)図6「 [図:0001436173000005.jpg] 」 (エ)図7「 [図:0001436173000006.jpg] 」 (オ)図25、図26 「 [図:0001436173000007.jpg] 」 イ 甲3の認定事項 【0024】の記載から、ステアリングロック装置(アクチュエータ装置)10の箱形のケース11が有するモータ収容部11aにモータ20が収容されていることが明らかであるところ、ステアリングロック装置のケース内の平面図である図6より、図中下方よりハーネス25がモータ収容部11a内へ挿入されていること、モータ収容部11a内において、ハーネス25は、2本に分岐し、モータ収容部11aの相対向する両側壁11e、11eモータ20との間を通っていることが見て取れる。 よって、甲3の図6には、次の事項が記載されているものと認められる。 「ハーネス25が、モータ収容部11a内へ挿入されており、モータ収容部11a内において、2本に分岐し、モータ収容部11aの側壁11eとモータ20との間を通っていること」(以下「甲3認定事項」という。) ウ 甲3技術事項 上記ア、イより、甲3には、次の技術事項が記載されていると認められる(以下「甲3技術事項」という。)。なお、参考のため、主な根拠箇所を括弧内に示す。 「モータ収容部11a及び該モータ収容部11aに連通するギヤ収容部11bを有する箱形のケース11と、このケース11のモータ収容部11a及びギヤ収容部11bを覆うようにビス15で締結固定された合成樹脂製のカバー12を備え、前記モータ収容部11aにモータ20が収容されたステアリングロック装置(アクチュエータ装置)10において、(【0024】) ハーネス25が、前記モータ収容部11a内へ挿入されており、前記モータ収容部11a内において、ハーネス25は、2本に分岐し、モータ収容部11aの側壁11eとモータ20との間を通っており、(甲3認定事項)、 前記ハーネス25は、一対のハーネス挾持部22f,22fにより保持されて、モータ20の穴部20e内に配置された端子24の一端にて、ハーネス25の芯線25aが挾持されて半田付けていること。(【0027】)」 (4)甲4 ア 本件出願(原出願)前に頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲4には、次の記載がある。 (ア)「【0056】ケース本体14の内部後端側には駆動手段収容部としてのモータ収容部18が形成されており、モータ収容部18の内部には駆動手段としてのモータ20が収容されている。」 (イ)「【0077】一方、図3に示されるように、モータ収容部18と第1ギヤ収容部32との境界部分には、支持壁102がケース本体14の底部から立設されている。支持壁102には上方へ向けて開口した貫通部としての凹形状の切欠部104が形成されている。切欠部104は、モータ20をモータ収容部18に収容した状態でのモータシャフト22に対応して形成されており、その開口幅寸法はモータシャフト22の直径寸法よりも僅かに大きく、モータシャフト22が支持壁102の厚さ方向に沿って切欠部104を貫通する。 【0078】また、支持壁102には上方へ向けて開口した貫通部としての凹形状の切欠部106が形成されている。モータシャフト22を回転可能に軸支するためにモータケース21のウオーム30側の端部に形成された軸受部108に対応している。軸受部108の外周部にはゴム製若しくはゴム材程度の弾性を有する樹脂製の図示しないOリング(オーリング)等のリング状の緩衝手段が外周部に嵌められており、Oリングが切欠部106の内側に当接若しくは圧接することで軸受部108が支持壁102に支持される。」 (ウ)図3、図4 「 [図:0001436173000008.jpg] 」 (5)甲5 ア 本件出願(原出願)前に頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲5には、次の記載がある。 (ア)「【0021】 図3A~図5に示すように、軸部20は、モータ31から伝達されたトルクを蓋(例えば、トイレの便座及び便蓋や、ごみ箱及び洗濯機の蓋など)に伝達するための部材である。例えば、軸部20は、駆動源であるモータ31によって回転し、蓋を所定の方向に回動させる。軸部20は、出力軸21と、出力ギア22と、第1ばね部材23(第1の弾性体)とを有する。軸部20は、円柱状に形成され、軸方向の一端部に出力軸21が形成され、軸方向の他端部に出力ギア22が形成される。出力軸21は、先端部分を一部切り欠いた形状に形成される。また、蓋に設けられた出力軸21の先端部分を取り付ける機構により、出力軸21が蓋に取り付けられることにより、モータ31からのトルクが蓋に伝達され、蓋が回動する。出力ギア22は、軸部20の周方向に設けられ、第2ギア部60の第2小径ギア62と噛合する。これにより、第2ギア部60から軸部20へトルクが伝達される。 【0022】 ここで、軸部20は、軸方向に沿った内部空間を有し、第1ばね部材23が配置される。第1ばね部材23は、コイル状に形成され、軸部20の内部空間に配置される。例えば、第1ばね部材23は、いわゆるアシストばねであり、トーションばね(ねじりばね)が用いられる。なお、第1ばね部材23は、筐体10及び軸部20にそれぞれ係合することにより、軸部20を回転方向の1方向に付勢するが、この詳細については後述する。」 (イ)「【0029】 例えば、駆動装置100においては、第1ばね部材23が、蓋が開く方向に対応する出力軸21の回転に対して付勢する。さらに、第2ばね部材72が、蓋が開く方向に対応するアシストギア71の回転に対して付勢する。すなわち、出力ギア22の前段のギアである第2小径ギア62に噛合するアシストギア71は、蓋が開く方向の回転が出力ギア22と同じ方向となる。従って、第2ばね部材72は、アシストギア71において出力ギア22の蓋が開く方向の回転と同一方向への回転を付勢する。このように、第2ばね部材72がアシストギア71を付勢することにより、アシストギア71と噛合する第2小径ギア62の蓋を開く方向への回転が助勢され、さらに、出力ギア22の蓋が開く方向への回転が助勢されることとなる。」 (ウ)図4 「 [図:0001436173000009.jpg] 」 (6)甲6 ア 本件出願(原出願)前に頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲6には、次の記載がある。 (ア)「【0015】 電動回動装置20は、図2および図3に示すように、モータ32と、出力シャフト34と、減速機構40と、回動位置センサ50と、トルクリミッタ60と、モータ32を収容する第1ハウジング22と、出力シャフト34の一部および減速機構40の一部を収容する第2ハウジング24と、第1および第2ハウジング22,24の間に設けられたブラケット25と、を備える。 【0016】 出力シャフト34は、便座14の回動部に相対回転不能に嵌合され、回動を伴って便座14を開閉させる。また、出力シャフト34には、図2および図3に示すように、便座14を開方向に付勢するためのアシストスプリング36が設けられている。 【0017】 減速機構40は、図3に示すように、モータ32の回転軸(図示せず)と一体回転するよう同軸に連結された第1ウォーム41と、第1ウォーム41に噛合される第1ウォームホイール42と、第1ウォームホイール42と一体回転するよう同軸に連結された第2ウォーム43と、第2ウォーム43に噛合される第2ウォームホイール44と、第2ウォームホイール44と一体回転するよう同軸に連結された平歯の第1小径ギヤ45と、第1小径ギヤ45に噛合される平歯の第1大径ギヤ46と、第1大径ギヤ46と一体回転するよう同軸に連結された第2小径ギヤ47と、第2小径ギヤ47に噛合される平歯且つ大径の出力ギヤ48とを備える。出力ギヤ48には、外周面にスプラインを有する筒状の連結部48aが軸方向に延出され、連結部48aの外周面が出力シャフト34の端部に設けられた筒状の連結部34aの内周面とスプライン嵌合されている。これにより、モータ32からのトルクは、互いに噛合する第1ウォーム41および第1ウォームホイール42による減速と、互いに噛合する第2ウォーム43および第2ウォームホイール44による減速と、互いに噛合する第1小径ギヤ45および第1大径ギヤ46による減速と、互いに噛合する第2小径ギヤ47および出力ギヤ48による減速とを経て出力シャフト34に伝達されて、便座14を開閉することとなる。」 (イ)図2 「 [図:0001436173000010.jpg] 」 (ウ)図3 「 [図:0001436173000011.jpg] 」 2 先の取消理由通知書に記載した取消理由について (1)明確性要件について(取消理由1) ア 取消理由1の具体的内容について 先の取消理由通知書において述べた取消理由1は、本件訂正前の請求項11の「便蓋開閉ユニット」の記載について、「請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置を有し、前記開閉部材は、便蓋である」という発明特定事項と、「便蓋開閉ユニット。」との関係、すなわち、「便蓋開閉ユニット」の「ユニット」(構成単位)が、開閉部材駆動装置と、前記開閉部材駆動装置に取り付けた便蓋と、からなるものを意味するのか、それとも、「開閉部材駆動装置」の「開閉部材」を「便蓋」とした便蓋駆動装置そのものが複数のパーツからなるものを意味するのか、明確でない、というものである。 イ 明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 ウ 判断 本件訂正後の請求項11の「請求項2から10のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置と、前記開閉部材駆動装置により開閉される開閉部材と、を有し、前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする便蓋開閉ユニット。」の記載からは、「便蓋開閉ユニット」が、「開閉部材駆動装置と、前記開閉部材駆動装置により開閉される開閉部材と、を有」することが明らかであるから、「便蓋開閉ユニット」の「ユニット」(構成単位)が、いかなるものであるのか、特段不明確とはいえない。 したがって、本件発明11を特定する本件訂正後の請求項11の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとは認められない。 よって、本件発明11に係る特許は、先の取消理由通知書に記載した取消理由1で取り消されるべきものではない。 (2)甲2を主引例とした進歩性欠如について(取消理由2) 先の取消理由通知書において述べた取消理由2は、本件訂正前の請求項1、2、11に係る発明は、甲2発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、というものである。 ア 本件発明2について (ア)対比 本件発明2と甲2発明とを対比する。 a 甲2発明における「モータ10」は、「第1段のウォームギヤ32」の「一端」を「直接駆動」するものであるから、「ウォームギヤ32」を「直接駆動」するため、モータの本体部と、前記本体部から突出し回転する軸部と、を備えることが明らかであるから、本件発明2における「モータ本体と、前記モータから突出する回転軸と、を備えるモータ」に相当する。 b 甲2発明における「小型化モータ」の「出力軸58」は、「モータ10」の回転により「高トルクの印加を必要とする電気機械装置」を「駆動」させるものであるところ、「出力軸58」に「電気機械装置」が接続されることが明らかであるから、本件発明2における「開閉部材が接続される出力軸」と、甲2発明における「電気機械装置」が接続する「出力軸58」とは、「部材」が接続される「出力軸」という点で共通する。 c 甲2発明において、「モータ10によって」「ウォームギヤ32」を「直接駆動」し、「ウォームギヤ32と噛み合」う「伝達ギヤ34」が「第1クラスタギヤ44と噛み合い」、「順番に、第2のクラスタギヤ48」、「出力歯車56」を「駆動」し、「出力歯車56は、出力軸58の周りに固定され、出力軸58を」「駆動」することから、甲2発明における「モータ10によ」る「直接駆動する」トルクを「出力軸58」に伝えるまでの「ウォームギヤ32」から「出力歯車56」までが、本件発明2における「前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構」に相当する。 d 甲2発明において、「モータ10」を保護する「第1カバー16」、及び「ウォームギヤ32」から「出力歯車56」までの「ギヤボックス14を保護する」「第2カバー20」は、「モータ10」、及び「ウォームギヤ32」から「出力歯車56」まで、をカバー内に収容するものといえるから、本件発明2における「前記モータ及び前記伝達機構を収納するケース」に相当する。 e 甲2発明の「モータ10」には、モータ10から突出し、ウォームギヤ32を直接駆動するための軸部が、モータ10の長手方向に沿って設けられ、また、モータ10の長手方向と出力軸58の軸線方向とは、直角に交差することから、甲2発明における「モータ10」の軸部の長手方向は、出力軸58の軸線方向と直交するものといえる。そうすると、甲2発明において、「モータ10」の軸部の長手方向が、出力軸58の軸線方向と直交することは、本件発明2における「前記回転軸は、前記出力軸と直交する方向に延びて」いることに相当する。 f 甲2発明における「出力軸58の軸線方向からみて、第1カバー16及び第2カバー20の長手方向に対してモータ10が傾斜」することは、甲2発明の「モータ10」が、上記eにおいて示したように、モータの長手方向に沿う回転軸を備えることから、本件発明2における「前記出力軸の軸線に沿った軸線方向から見た場合に、前記回転軸は、前記ケースの長手方向に対して傾斜」することに相当する。 g 甲2発明において、「ウォームギヤ32」から「出力歯車56」までが「ギア列」を有することは、本件発明2における「伝達機構は、歯車輪列を備え」ることに相当する。 h 甲2発明において、「出力軸58の軸線方向からみて、出力軸58がモータ10と重な」ることは、本件発明2における「前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸と前記モータ本体とが重なる」ことに相当する。 i 甲2発明における「小型化モータ」は、本件発明2における「駆動装置」に相当する。 j 以上を総合すると、本件発明2と甲2発明とは、以下の一致点、相違点1、2を有する。 (一致点1) モータ本体と、前記モータ本体から突出する回転軸と、を備えるモータと、部材が接続される出力軸と、前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記モータおよび前記伝達機構を収容するケースと、を有し、前記回転軸は、前記出力軸と直交する方向に延びており、前記出力軸の軸線に沿った軸線方向から見た場合に、前記回転軸は、前記ケースの長手方向に対して傾斜し、前記伝達機構は、歯車輪列を備え、前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸と前記モータ本体とが重なる、開閉部材駆動装置。 (相違点1) 本件発明2は、「モータに電力を供給する配線」を備え、「前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」のに対して、甲2発明では、モータに電力を供給する配線を備えることが明記されておらず、当該配線が「前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」か否かも不明である点。 (相違点2) 「出力軸」に接続されるものが、本件発明2では、「開閉部材」であるのに対し、甲2発明では、「電気機械装置」である点。 (イ)判断 上記相違点1について検討する。 a 甲1発明は、「前記電動開閉装置を収納するケースの内壁と、モータMとの間を配線が通過している」ものであるものの、当該配線が、「モータに電力を供給する配線」であるか否かは不明である。 さらに、「引き回す」とは、一般に、「(4)取り囲む。とりまく。」(「広辞苑 第七版」より抜粋)ことを意味するところ、「前記電動開閉装置を収納するケースの内壁と、モータMとの間を」「通過している」に過ぎない「配線」は、(何かを)取り囲んだり、とりまいているものとは認められず、「前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」ものとは認められない。 よって、甲1発明は、相違点1に係る構成を開示するものではないから、甲2発明において、相違点1に係る本件発明2の構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。 b 甲3技術事項は、モータ収容部11a内へ挿入されたハーネス25が、挾持部22f,22fにより保持され、モータ20の穴部20e内に配置された端子24の一端にて、その芯線25aが挾持されて半田付けられていることを開示するものの、当該ハーネス25が、モータに電力を供給するものか否かは不明である。また、甲3技術事項において、「前記モータに電力を供給する配線」が「前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」か否かは不明である。 よって、甲3技術事項は、相違点1に係る構成を開示するものではないから、甲2発明において、相違点1に係る本件発明2の構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。 c 甲4~甲6のいずれにも、「モータに電力を供給する配線」を備え、「前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」ことに係る開示はなく、甲2発明において、相違点1に係る本件発明2の構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。 d 以上のとおりであるから、相違点2について判断するまでもなく、本件発明2は、甲2発明、甲1発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 イ 本件発明11について (ア)対比 本件発明11は、「請求項2から10のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置」を有するものであり、請求項4から10は、請求項3を引用するものであるから、本件発明11が請求項2を引用する場合には、本件発明2の発明特定事項を全て含み、本件発明11が請求項3から10のうちいずれか一項を引用する場合には、本件発明3の発明特定事項を全て含むものである。よって、本件発明11は、本件発明2及び3のいずれも含む、「前記モータに電力を供給する配線」を有し、さらに、「前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」発明特定事項を含む。 以上のことから、本件発明11と、甲2発明とを対比すると、両者は、少なくとも、前記ア(ア)jの相違点1の点で相違する。 (イ)判断 前記ア(イ)で検討したとおり、甲1発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項のいずれも、甲2発明において、相違点1に係る構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。 以上のとおりであるから、その余の構成について対比・判断するまでもなく、本件発明11は、甲2発明、甲1発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 3 先の取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由について 先の取消理由通知書に記載した取消理由2は、甲2を主たる証拠とした進歩性欠如であるから、甲1を主たる証拠とした進歩性欠如である申立理由は、先の取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由となる。 よって、以下、本件発明2~11について、先の取消理由通知書において採用しなかった、甲1を主たる証拠とした進歩性欠如に係る申立理由により取り消されるべきか否かについて、検討する。 (1)本件発明2について ア 対比 本件発明2と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明における「駆動源であるモータM」と、「モータMから突出するモータ回転軸5」とは、それぞれ、本件発明2における「モータ本体」と、「前記モータから突出する回転軸」に相当する。よって、甲1発明における「駆動源であるモータM」及び「モータMから突出するモータ回転軸5」は、本件発明2における「モータ本体と、前記モータ本体から突出する回転軸と、を備えるモータ」に相当する。 (イ)甲1発明において、「開閉体軸2a」は、「モータMが出力するトルクを」「伝達機構(多段減速歯車列)8」を介して「伝達」される部材であり、かつ、「開閉される便座3および便蓋4」の「回転軸」であるから、本件発明2における「開閉部材が接続される出力軸」に相当する。 また、甲1発明において、「開閉体軸2aと一体に固定された歯車」は、本件発明2における「前記出力軸に同軸に固定された出力歯車」に相当する。 (ウ)甲1発明において、「モータMが出力するトルクを便器1上の開閉体2に伝達する伝達機構(多段減速歯車列)8」は、本件発明2における「前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構」に相当する。 また、甲1発明における「伝達機構(多段減速歯車列)8」は、「多段減速歯車列」であるから、本件発明2における「伝達機構」と、「歯車輪列を備え」る点でも共通する。 (エ)甲1発明において、「モータMと、伝達機構(多段減速歯車列)8と」を「収容」する「ケース」は、本件発明2にける「前記モータおよび前記伝達機構を収容するケース」に相当する。 (オ)前記(ア)及び(イ)より、甲1発明における「モータ回転軸5」及び「開閉体軸2a」は、それぞれ、本件発明2における「回転軸」及び「出力軸」に相当するから、甲1発明において、「モータ回転軸5の軸線方向と開閉体軸2aの軸線方向とは互いに直交」することは、本件発明2における「前記回転軸は、前記出力軸と直交する方向に延びて」いることに相当する。 (カ)甲1発明において、「開閉体軸2aの軸線方向から見て、モータMから突出するモータ回転軸5がケースの長手方向である上下方向に対して傾いて配置され」ていることは、本件発明2における「前記出力軸の軸線に沿った軸線方向から見た場合に、前記回転軸は、前記ケースの長手方向に対して傾斜」することに相当する。 (キ)甲1発明における「開閉体軸2aと一体に固定された歯車」は、本件発明2における「前記出力軸に同軸に固定された出力歯車」に相当する。 また、甲1発明における「開閉体軸2aと一体に固定された歯車」は、「伝達機構(多段減速歯車列)8を構成する」から、甲1発明における「伝達機構(多段減速歯車列)8」は、本件発明2における(伝達機構が備える)「前記歯車輪列は、前記出力軸に同軸に固定された出力歯車を備え」る構成を有する。 (ク)以上を総合すると、本件発明2と甲1発明とは、以下の一致点、相違点1‘「」「」、3を有する。 (一致点2) 「モータ本体と、前記モータ本体から突出する回転軸と、を備えるモータと、 開閉部材が接続される出力軸と、 前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、 前記モータおよび前記伝達機構を収容するケースと、を有し、 前記回転軸は、前記出力軸と直交する方向に延びており、 前記出力軸の軸線に沿った軸線方向から見た場合に、前記回転軸は、前記ケースの長手方向に対して傾斜し、 前記伝達機構は、歯車輪列を備え、 前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸と前記モータ本体とが重なり、 前記歯車輪列は、前記出力軸に同軸に固定された出力歯車を備える 開閉部材駆動装置。」 (相違点1‘) 本件発明2は、「モータに電力を供給する配線」を備え、「前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」のに対して、甲1発明では、モータに電力を供給する配線を備えることが明記されておらず、当該配線が「前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」か否かも不明である点。 (相違点3) 本件発明2では、「前記軸線方向から見た場合に、前記出力軸および前記出力歯車は、前記モータ本体と重な」ることが特定されているのに対して、甲1発明では、そのように特定されない点。 イ 判断 上記相違点1’について検討する。 (ア)本件発明2と甲1発明と間の相違点1’は、前記「2(2)ア(ア)」に対比したとおり、本件発明2と甲2発明との間の相違点1に係る構成と同じであるから、甲2発明は、相違点1’に係る本件発明2の構成を開示するものではない。 したがって、甲2発明は、甲1発明において、相違点1’に係る本件発明2の構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。 (イ)甲3技術事項は、モータ収容部11a内へ挿入されたハーネス25が、挾持部22f,22fにより保持され、モータ20の穴部20e内に配置された端子24の一端にて、その芯線25aが挾持されて半田付けていることを開示するものの、当該ハーネス25が、モータに電力を供給するものか否かは不明であって、「前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」、「前記モータに電力を供給する配線」があるか否かも不明である。 よって、甲3技術事項は、相違点1’に係る構成を開示するものではないから、甲1発明において、相違点1’に係る本件発明2の構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。 (ウ)甲4~甲6のいずれにも、「モータに電力を供給する配線」を備え、「前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」ことに係る開示はなく、甲1発明において、相違点1’に係る本件発明2の構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。 (エ)以上のとおりであるから、相違点3について判断するまでもなく、本件発明2は、甲1発明、甲2発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 (2)本件発明3について ア 対比 本件発明3は、本件発明2が有する「前記モータに電力を供給する配線」を有し、「前記配線は、前記モータ本体と前記ケースの内壁面との間を経由する引き回し部を備える」構成を有しているから、本件発明3と、甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも、前記(1)ア(ク)の相違点1’の点で相違する。 イ 判断 前記(1)イで検討したとおり、甲2発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項のいずれも、甲1発明において、相違点1’に係る構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。 以上のとおりであるから、その余の構成について対比・判断するまでもなく、本件発明3は、甲1発明、甲2発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 (3)本件発明4~10について 本件発明4~10のいずれも、本件発明3の構成を有するものであるから、本件発明4~10と、甲1発明とを対比すると、前記(2)アと同様に、両者は、少なくとも、前記(1)ア(ク)の相違点1’の点で相違する。 前記(1)イで検討したとおり、甲2発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項のいずれも、甲1発明において、相違点1’に係る構成となすことを開示あるいは示唆するものではない。 以上のとおりであるから、その余の構成について対比・判断するまでもなく、本件発明4~10は、甲1発明、甲2発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 (4)本件発明11について 本件発明11は、本件発明2または本件発明3の構成を有するものであるから、本件発明11と、甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも、前記(1)ア(ク)の相違点1’の点で相違する。 前記(1)イにて述べたように、甲2発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項のいずれも、甲1発明において、相違点1’に係る構成となすことを開示あるいは示唆するものではなく、本件発明2、3は、甲1発明、甲2発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではないのであるから、相違点1’に係る本件発明2または本件発明3の構成を含む本件発明11も、同様の理由により、甲1発明、甲2発明、甲3技術事項、甲4~6に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。 第5 むすび 以上のとおり、請求項2~11に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。 また、他に請求項2~11に係る特許に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項1に係る特許は、上記第2のとおり、本件訂正により削除された。 これにより、請求項1に係る特許についての特許異議申立は、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により、却下されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700389

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