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特許異議申立

2024-701103

配管ユニット

審判番号
2024-701103
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-149626
登録番号
7483565
請求日
2024年11月14日
審決日
2025年08月08日
公報発行日
2025年11月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社LIXIL
  • 【権利者代理人】弁理士法人グランダム特許事務所
  • 【異議申立人】TOTO 株式会社
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人iX
審判長/審判官
  • 審判長 殿川 雅也
  • 審判官 立澤 正樹
  • 審判官 山本 一
分類
P1652.537-YAA(A47K) / P1652.121-YAA(A47K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7483565号発明「配管ユニット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7483565号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第7483565号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7483565号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和2年9月7日に出願され、令和6年5月7日にその特許権の設定登録がされ、同月15日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和6年11月14日に特許異議申立人 TOTO株式会社(以下「申立人」という。)により請求項1に対して特許異議の申立てがされたものである。 その後の経緯は、次のとおりである。 令和7年 1月31日付け:取消理由通知書 同年 4月 3日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 6月 5日 :意見書の提出(申立人) 第2 訂正請求について 1 訂正請求の趣旨 令和7年4月3日になされた訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、同日に提出された訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)の記載からみて、その請求の趣旨を「特許第7483565号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求める。」とするものである。 2 訂正の内容 [訂正事項1] 本件訂正の内容は以下のとおりである(訂正事項についての下線は、請求人が付した訂正事項である。)。 本件訂正前の請求項1に「前記固定部材は、前記前板を前記横フレーム部に対して位置調整可能に前記固定部材を固定する第1固定部を有している配管ユニット。」と記載されているのを、「前記固定部材は、第1固定部を有しており、前記第1固定部は、前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能に、前記固定部材を前記横フレーム部に固定する配管ユニット。」に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~請求項5も同様に訂正する。) 3 本件訂正の適否に関する当審の判断 (1)一群の請求項についての説明 本件訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正前の請求項1~5に対応する本件訂正後の請求項1~5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 よって、本件訂正は、一群の請求項である本件訂正前の請求項1~5についてなされたものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合する。 (2)訂正の目的について 本件訂正前の請求項1に係る発明は、「前記固定部材は、前記前板を前記横フレーム部に対して位置調整可能に前記固定部材を固定する第1固定部を有している」として、「第1固定部」が「固定部材を固定する」対象が明示的に特定されていない記載に対し、訂正後の請求項1は、「前記固定部材は、第1固定部を有しており、前記第1固定部は、前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能に、前記固定部材を前記横フレーム部に固定する」との記載によって、「第1固定部」が「固定部材」を「横フレーム部に固定する」ことを明瞭にするものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 前記(2)のとおり、訂正事項1は、「第1固定部」が「固定部材を固定する」対象を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 明細書等には、次の記載がある。なお、下線は、合議体が付した。以下、同様である。 「【0027】 図4及び図5に示すように、固定部材40は、第1固定部40A及び第2固定部40Bを有している。第1固定部40Aは、固定部材40を横フレーム部材21に固定するための固定部である。第1固定部40Aは、上前板31を横フレーム部材21に対して位置調整可能に固定部材40を固定する。本実施形態の場合、第1固定部40Aは後面部43に設けられている。具体的には、第1固定部40Aは、後面部43を前後方向に貫通するめねじ部43Aと、このめねじ部43Aに後方から螺合する止めねじ43Bとを有して構成されている。第1固定部40Aは、止めねじ43Bを締め込んで止めねじ43Bの先端を横フレーム部材21に圧接させることによって、横フレーム部材21に係止される。すなわち、第1固定部40Aは、横フレーム部材21の後ろ側から横フレーム部材21に係止して固定部材40を固定する。止めねじ43Bを緩めた状態では、固定部材40は横フレーム部材21の延伸方向にスライド自在である。したがって、第1固定部40Aは、上前板31を横フレーム部材21に対して左右方向に位置調整可能である。止めねじ43Bは手回し可能なつまみ付きねじを採用している。このため、第1固定部40Aを用いた上前板31の位置調整は極めて簡易に行うことができる。」 したがって、固定部材40が第1固定部40Aを有すること、第1固定部40Aは、固定部材40を横フレーム部材21に固定すること、及び、第1固定部40Aは、止めねじ43Bを緩めた状態では、上前板31を横フレーム部材21に対して位置調整可能となることが記載されているから、「第1固定部」のにおける「横フレーム部に対して」「前板を位置調整可能に」、「固定部材を前記横フレーム部に固定する」との機能を特定する訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 したがって、訂正事項1は特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 (5)請求項2~5に係る訂正について 訂正後の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~5についても、上記(1)~(4)の判断と同様である。 (6)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて 前記(2)のとおり、本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでも、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものでもないから、訂正を認める要件として、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 (7)訂正の適否についてのまとめ 以上のとおり、令和7年4月3日に特許権者が行った本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1~5について訂正を認める。 第3 本件訂正発明 上記第2から、本件訂正により訂正された請求項1~5に係る発明(以下それぞれ「本件訂正発明1」~「本件訂正発明5」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 壁面の前側に配管空間を形成する配管ユニットであって、 横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレームと、 前記フレームの前側に配置される前板と、 前記前板に固定されるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材と、 を備えており、 前記固定部材は、第1固定部を有しており、 前記第1固定部は、前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能に、前記固定部材を前記横フレーム部に固定する配管ユニット。 【請求項2】 前記第1固定部は、前記横フレーム部の後ろ側から前記横フレーム部に係止して前記固定部材を固定する請求項1に記載の配管ユニット。 【請求項3】 前記固定部材は、前記前板との位置を調整する第2 固定部を有している請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の配管ユニット。 【請求項4】 前記固定部材は、前記前板の後面に接触して固定される前面部と、前記前面部の上端から後方に延びて前記横フレーム部の上面に載置される上面部と、前記上面部から下方に延びる後面部と、を有しており、 前記フレームの上側に配置される天板を更に備えており、 前記天板は、前記上面部の上側に載置される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配管ユニット。 【請求項5】 前記天板を前記横フレーム部の上面に取り付ける取付部材を更に備えており、 前記取付部材の上下方向の寸法は、前記上面部の上下方向の寸法よりも大きい請求項4に記載の配管ユニット。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件特許について、当審において令和7年1月31日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 [取消理由] 本件特許は、特許請求の範囲の請求項1において「固定部材を固定する」対象が明示的に特定されていないから、意味するところが明確ではない。したがって、請求項1ないし5に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 当審の判断 (1)特許請求の範囲の記載 訂正後の請求項1の記載は、前記第3のとおりであり、取消理由を通知した記載に関して、 「前記固定部材は、第1固定部を有しており、 前記第1固定部は、前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能に、前記固定部材を前記横フレーム部に固定する」との記載に改められた。 また、請求項1には「前記前板に固定されるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材」との記載もある。 (2)明確性の判断 ア 取消理由における指摘について 訂正後の請求項1の記載によれば、「第1固定部」は、「固定部材を前記横フレーム部に固定する」ものであって、固定部材を固定する対象は、横フレーム部であることが明確であるから、取消理由で指摘した点は解消している。 イ 記載全体の明確性について 次に、訂正後の請求項1の記載が全体として明確であるか検討する。 まず、「固定」とは、「ひと所に定まって移動しないこと。また、動かないようにすること。」(「広辞苑 第五版」 株式会社岩波書店 平成10年11月11日発刊)との意味であるから、訂正後の請求項1の記載の「第1固定部」は、前板の「固定部材」を「横フレーム部」の所定の位置に定まって動かないようにすることが明確に理解でき、明細書等を参酌しても、「固定」をその他の意味に解する理由もない。 他方、「第1固定部」は、「横フレーム部」に対して「前板」を位置調整可能にするものであるところ、「前板」を「位置調整」にするとは、前記「固定」の意味からみて整合的に解釈すれば、その固定位置を調整可能として固定したものと理解できる。 したがって、訂正後の請求項1の記載は、特定される内容を理解でき、請求項1に係る発明の範囲が明確である。 (3)むすび したがって、訂正後の請求項1に係る特許は、令和7年1月31日付けで通知した取消理由によっては、取り消すことはできない。 3 申立人の意見書における主張 (1)主張の概要 ア 申立人は、令和7年6月5日提出の意見書の「(4-3)明確性及びサポート要件について」において、特許法第36条第2項に規定する要件、いわゆる明確性要件について、概略次のとおり主張する。 訂正後の請求項1については依然として不明確である。 すなわち、訂正後の請求項1には、第1固定部が、どのような構成で前板の位置を調整可能であるのか、第1固定部がどのような構成で固定部材を横フレーム部に固定することができるのか、について全く特定されていない。 そして、訂正後の請求項1では、固定部材が前板に固定されていることが特定されている。そうすると、前板が位置調整可能であるということは、固定部材が横フレーム部に固定されていない、と解されるところ、訂正後の請求項1では、「第1固定部」の構成が特定されていないことから、前板を動かすことができる「位置調整」と、前板を動かすことができない「固定」と、の関係性およびその構成が不明である。 イ また、申立人は、令和7年6月5日提出の意見書の「(4-3)明確性及びサポート要件について」において、次のとおり主張する。これは、本件訂正に付随して、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件、いわゆるサポート要件を満たしていない特許出願に対してされたものである、との新たな理由の主張と理解できる。 「訂正後の請求項1に係る発明は、第1固定部の機能が記載されているだけであり、第1固定部の構成について何ら特定されておらず、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものである。 本件明細書には、例えば段落【0027】に、第1固定部40Aが、めねじ部43Aと、止めねじ43Bと、を有して構成されていることが記載されているだけである。 そうすると、訂正後の請求項1に係る発明は、第1固定部が、めねじ部43Aおよび止めねじ43B以外の構成で、前板の位置調整や固定部材を横フレーム部に固定する範囲も含んでいる。」 (2)明確性違反についての主張に対する検討 訂正後の請求項1の記載より、「第1固定部」について、「横フレーム部に対して前板を位置調整可能」であり、「固定部材を前記横フレーム部に固定する」、という機能が理解できる。 そして、前板の「位置調整」とは、固定部材の「固定」との語からみて整合的に考慮すれば、その固定位置を調整可能として固定したものと理解でき、「位置調整」の「固定」との関係性が記載から不明とはいえない。 また、本件特許の明細書の説明及び出願時の技術常識を踏まえれば、当該機能を達成するための具体的手段は、一般的な固定手段と、その固定を緩めた状態で前板の位置が調整可能となる構造として、当業者に理解できるところ、具体的構成が特定されていなくとも、技術的に十分特定されるものである。 したがって、申立人の訂正後の請求項1の記載が依然として不明確であるとの主張は採用できない。 (3)サポート要件違反についての主張に対する検討 ア 発明の詳細な説明の記載 本件特許の明細書には、発明の詳細な説明に次のとおりの記載がある。 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 特許文献1の場合、フレームは上下複数の横骨を備えている。これら複数の横骨のうち、固定金具が引っ掛けられる横骨は、フレームの上下方向の中間部に位置している。このため、例えば、配管ユニットの施工時やメンテナンス時等において、フレーム前側から配管空間内にアクセスする場合に横骨が邪魔になってしまい、作業の障害になっていた。 【0005】 本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、作業性の向上を図ることができる配管ユニットを提供することを解決すべき課題としている。」 「【0038】 上記構成の配管ユニット10の作用及び効果について説明する。配管ユニット10は、壁面Wの前側に配管空間を形成するユニットである。配管ユニット10は、フレーム20、前板としての上前板31、及び固定部材40を備えている。フレーム20は、横方向に延びる横フレーム部材21を上端に有している。上前板31は、フレーム20の前側に配置される。固定部材40は、上前板31に固定されるとともに、横フレーム部材21の上に載置されて取り付けられる。このように、配管ユニット10は、前板としての上前板31がフレーム20の上端に設けられた横フレーム部材21に固定部材40を介して取り付けられる。このため、従来のような上下方向中間部の前板固定用のフレーム部材のない構成を採用できる。」 イ 本件特許の解決しようとする課題 本件特許の解決しようとする課題は、前記アの【発明が解決しようとする課題】欄からみて、固定金具が引っ掛けられる横骨は、フレームの上下方向の中間部に位置しているため、フレーム前側から配管空間内にアクセスする場合に横骨が邪魔になってしまい、作業の障害になることに鑑み、作業性の向上を図ることができる配管ユニットを提供することであると理解できる。 ウ サポート要件の判断 (ア)訂正後の請求項1の記載は前記第3に示すとおりであり、「横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレーム」と、「前記前板に固定されるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材」、「前記第1固定部は、前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能に、前記固定部材を前記横フレーム部に固定する」ことが特定されている。 (イ)そうすると、前板がフレームの上端に設けられた横フレーム部に固定部材を介して取り付けられ、上下方向中間部の前板固定用のフレーム部材のない構成を採用できることが理解でき、前記イの課題を解決できることは明らかである。 (ウ)したがって、本件訂正発明1が、第1固定部が、発明の詳細な説明に開示される具体的構成以外の構成で、前板の位置調整や固定部材を横フレーム部に固定する態様を含んでいるとしても、それによって、発明の課題を解決するための手段が反映されていないとはいえない。また、「位置調整可能」や「固定する」といった機能と「固定部材」及び「第1固定部」の構造との関係を理解することが困難であるともいえず、発明の詳細な説明に開示される具体的構成から拡張ないし一般化できないとする根拠も見いだせない。 よって、本件訂正発明1が、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものということはできない。 (エ)前記(ア)~(ウ)より、申立人の訂正後の請求項1の記載が、サポート要件を満足しないものであるとの主張は採用できない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立理由の概要 申立人は、証拠方法として次の甲第1、2号証(以下、それぞれ「甲1」、「甲2」という。)を提出し、以下の申立理由により、請求項1に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 [証拠方法] 甲第1号証:実願昭63-139582号(実開平2-62971号)のマイクロフィルム 甲第2号証:実願昭57-119682号(実開昭59-24478号)のマイクロフィルム [申立理由1] 訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 [申立理由2] 訂正前の請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、それらの請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 当審の判断 (1)各証拠の記載内容 ア 甲1 (ア)甲1に記載の事項 本願の出願前に発行された実願昭63-139582号(実開平2-62971号)のマイクロフィルムには、次の事項が記載されている。 「第1図は本考案に係わる配管ユニットの斜視図である。図中Fはタイル等を敷設したトイレルームの床、WL、WRは夫々左右の側壁を示し、側壁WL、WRのなすコーナ一部には配管ユニット1が設置される。 前記配管ユニット1は、室内配管系2を収納して取り付け支持する枠体3と、この枠体3の前面を覆って衛生器材、本実施例では小便器4を取り付ける前面板5と、枠体3の上面を覆うカウンター6とを備えてなる。 前記室内配管系2は、小便器4に連結され、汚水を排出する汚水管21やこの汚水管21に大気圧を供給して負圧の発生を防止する通気管22、それに小便器4に洗浄水を供給する給水管23を含む。 一方前記枠体3は、左右の縦フレーム31及び上下に複数段の横フレーム32等からなる矩形枠を前後に平行に配し、これらの矩形枠間をクロスフレーム33等で連結して構造枠としたものである。そしてこの枠体3内にはU字形ボルト等を介して前記室内配管系2が取り付け支持される。 第2図は第1実施例の取付構造の要部を示す分解斜視図、第3図は同側面図である。前記枠体3の上端前面に位置する横フレーム32の上面には矩形の孔部32aが形成され、この孔部32aには略逆L字形の係止部材35が挿入係止される。この係止部材35は、前部にボルト部材56が挿通遊合される遊合孔35aを有する水平部35bと、この水平部35bの後縁に垂設され、横フレーム32の孔部32aに上方から挿入される垂直部35cと、この垂直部35cの挿入を容易化する折曲部35dとからなる。前記枠体3の前面を覆う前面板5は、表面にタイル51・・・を貼着した下地板52と、この下地板52の裏面に設けた上框53、縦框54等の角パイプからなる補強枠58とからなる。 前記上框53にはボルト部材56挿通用の遊合孔53aが上下に貫通して形成され、この孔53aの下端、即ち上框53の下面には雌ネジ部であるナット部材57が孔を合わせて溶接され、このようにして係止部50が構成される。そしてこの係止部50は第3図に示す如く前記枠体3に係止される係止部材35の水平部35b下方に位置し、係止部材35の遊合孔35aに頭部56aを上にして挿通されるボルト部材56が上框53の遊合孔53aを通ってナット部材57に螺合される。 前記係止部50の遊合孔53aにはボルト部材56が挿通されてナット部材57に螺合される。このボルト部材56は前面板5の高さ調整時に回動するための六角形の頭部56aが上端に配置される。 以上の如く構成される取付構造は前面板5の裏面左右に夫々配設される。また上下方向には適宜設けることが出来る。そして前面板5の高さ調整は、ボルト部材56の頭部56aをスパナ、レンチ等で回動することにより、ボルト部材56の下端を従来の如く当接することなく行なうことが出来る。」(明細書第4頁第13行~第7頁第11行) 「 [図:0001429015000001.jpg] 」 (イ)甲1から把握できる事項 「前記配管ユニット1は、室内配管系2を収納して取り付け支持する枠体3と、この枠体3の前面を覆って衛生器材、本実施例では小便器4を取り付ける前面板5と、枠体3の上面を覆うカウンター6とを備えてなる。」との記載を踏まえれば、第1図より、側壁WLの前に室内配管系2を収納する枠体3が配置されることが見て取れる。 (ウ)甲1に記載の発明 上記(ア)より、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「トイレルームの側壁WL、WRのなすコーナ一部に設置される配管ユニット1であって、 配管ユニット1は、側壁WLの前に配置される、室内配管系2を収納して取り付け支持する枠体3と、この枠体3の前面を覆って小便器4を取り付ける前面板5と、を備え 枠体3の上端前面に位置する横フレーム32の上面には矩形の孔部32aが形成され、この孔部32aには略逆L字形の係止部材35が挿入係止され、 係止部材35は、ボルト部材56が挿通遊合される遊合孔35aを有する水平部35bと、横フレーム32の孔部32aに上方から挿入される垂直部35cと、折曲部35dとからなり、 枠体3の前面を覆う前面板5は、下地板52と、この下地板52の裏面に設けた上框53、縦框54等の補強枠58とからなり、 上框53の下面には雌ネジ部であるナット部材57が孔を合わせて溶接されて、係止部50が構成され、この係止部50は、係止部材35の遊合孔35aに頭部56aを上にして挿通されるボルト部材56が上框53の遊合孔53aを通ってナット部材57に螺合され、 ボルト部材56の頭部56aをスパナ、レンチ等で回動することにより、前面板5の高さ調整を行うことが出来る、 配管ユニット1。」 イ 甲2 (ア)甲2に記載の事項 本願の出願前に発行された実願昭57-119682号(実開昭59-24478号)のマイクロフィルムには、次の事項が記載されている。 「本考案は枠状のフレームに天板・側壁板を取付け、内部に収納した配管を遮蔽したケースに小便器等の衛生器材を取付けてなる設備ユニットに関し、特に側壁板にタイルパネルを使用し、その取付位置の調整に好適な取付構造を提供するものである。」(明細書第1頁第14行~19行) 「実施例を図面に従い説明する。・・・中略・・・設備ユニット1はアングル等を枠状に形成したフレーム2の前面にタイルパネル3を取付け、上面に天板4を載置した配管ケース5を設備場所壁面に沿って配置し、内部に給・排水用配管を収納する。・・・中略・・・配管ケース5前壁を形成するためには複数枚のタイルパネル3を配管ケース5のフレーム2に取付ける。」(明細書第3頁第15行~第4頁第7行) 「第2図の実施例ではタイルパネル3に係止部7、フレーム2には受け部8を設ける。係止部7は1ないし2個の棒状の突出片9、9´をタイルパネル3の枠10に垂設して成す。又、突出片9、9´を板体に垂設し、該板体を枠10に溶接等で固定して成してもよい。突出片9、9´は枠10と一体に設けるほか、ボルト等を螺合するなどして設けてもよい。他方、受け部8は受け具11をフレーム2に取付けてなる。受け具11は断面略々L字状であり、L字を形成する垂直方向の接合部12と水平方向の平坦部13からなり、接合部12をフレーム2に溶接等の手段により固着する。・・・中略・・・係止部7には捩子孔15を開穿する。・・・中略・・・捩子孔15には調整捩子17を進退可能な状態で螺合しておく。受け部8は係止部7の突出片9を挿入部14に挿入した時、捩子孔15の延長上にある部分を平坦に形成しておく。タイルパネル3をフレーム2に取付ける場合、まず上方よりタイルパネル3を下し係止部7の突出片9を受け部8の挿入部14に挿入してタイルパネル3をフレーム2に掛止める。次にあらかじめ螺合しておいた調節捩子15(合議体注:17の誤記であると認められる。)をドライバ一等により回転させ、上下に進退させてタイルパネル3を所望の位置に停止するものである。タイルパネル3は突出片9が挿入部14中に存在することによりフレーム2から脱落もしくは転倒することがない。タイルパネル3複数をフレーム2に掛止した後タイルパネル3間を連結し、必要に応じて各タイルパネル3に取付けた調節捩子15(合議体注:17の誤記であると認められる。)を進退させ、各タイルパネル3間での上下方向の位置ずれを調整する。」(明細書第4頁第10行~第6頁第6行) 「以上、本考案に係る設備ユニットのパネル取付構造によれば、係止部と受け部を互いに掛け止めるだけでフレームにタイルパネルを取付可能であり、しかも突出片を受け部に挿入したので転倒を防止できる。」(明細書第7頁第2~6行) 「 [図:0001429015000002.jpg] [図:0001429015000003.jpg] 」 (イ)甲2から把握できる事項 a 「設備ユニット1はアングル等を枠状に形成したフレーム2の前面にタイルパネル3を取付け、上面に天板4を載置した配管ケース5を設備場所壁面に沿って配置し、内部に給・排水用配管を収納する」との記載を踏まえれば、第1図より、壁面の前に内部に給・排水用配管を収納する設備ユニット1が配置されることが見て取れる。 b 第2図、第4図より、フレーム2の上側角部が見て取れ、「棒状の突出片9、9´をタイルパネル3の枠10に垂設」との記載の垂直方向との関係から、フレーム2には、上端位置に水平方向に延びるフレーム部があり、水平方向に延びるフレーム部の前面に受け部8の受け具11を取り付けていることが見て取れる。 (ウ)甲2に記載の発明 上記(ア)及び(イ)より、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「枠状のフレームに天板・側壁板を取付け、内部に収納した配管を遮蔽したケースに小便器等の衛生器材を取付けてなる設備ユニットであって、 設備ユニット1は枠状に形成したフレーム2の前面にタイルパネル3を取付けた配管ケース5を設備場所壁面に沿って壁面の前に配置し、内部に給・排水用配管を収納し、 タイルパネル3に係止部7、フレーム2には、上端位置に水平方向に延びるフレーム部があり、フレーム2には受け部8を設け、係止部7は1ないし2個の棒状の突出片9、9´をタイルパネル3の枠10に垂設し、受け部8は受け具11をフレーム2の水平方向に延びるフレーム部の前面に取付けてなり、 係止部7には捩子孔15を開穿し、捩子孔15には調整捩子17を進退可能な状態で螺合し、 まず上方よりタイルパネル3を下し係止部7の突出片9を受け部8の挿入部14に挿入してタイルパネル3をフレーム2に掛止め、次にあらかじめ螺合しておいた調節捩子17をドライバ一等により回転させ、上下に進退させてタイルパネル3を所望の位置に停止して、タイルパネル3をフレーム2に取付け、タイルパネル3複数をフレーム2に掛止した後タイルパネル3間を連結し、必要に応じて各タイルパネル3に取付けた調節捩子17を進退させ、各タイルパネル3間での上下方向の位置ずれを調整するものであって、 係止部と受け部を互いに掛け止めるだけでフレームにタイルパネルを取付可能である、設備ユニット1。」 (2)甲1発明を主引用発明とした場合 ア 対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明における「側壁WL」は、本件訂正発明1における「壁面」に相当し、以下同様に「配管ユニット1」は、「配管ユニット」に、「横フレーム32」は、「横フレーム部」に、「枠体3」は、「フレーム」に、「下地板52」は、「前板」に相当する。 (イ)甲1発明の「配管ユニット1」は、「室内配管系2を収納して」いるから、室内配管系2を収納するための空間があることは明らかである。 したがって、本件訂正発明1の「配管ユニット」と甲1発明の「配管ユニット1」とは、「壁面の前側に配管空間を形成する」ものである点で一致する。 (ウ)甲1発明の「横フレーム32」は、名称からみて横方向に延びることは明らかであり、「枠体3の上端前面に位置する」から、本件訂正発明1の「フレーム」と甲1発明の「枠体3」とは、「横方向に延びる横フレーム部を上端に有する」ものである点で一致する。 (エ)甲1発明の「前面板5」が、「枠体3の前面を覆って」おり、「前面板5」は「下地板52と、この下地板52の裏面に設けた上框53、縦框54等の補強枠58とからな」るから、「下地板52」が「枠体3の前面を覆って」いることは明らかである。したがって、本件訂正発明1の「前板」と甲1発明の「下地板52」とは、前記(ア)も踏まえると、「前記フレームの前側に配置される」ものである点で一致する。 (オ)甲1発明の「係止部材35」は、「遊合孔35aに頭部56aを上にして挿通されるボルト部材56が上框53の遊合孔53aを通ってナット部材57に螺合され」ており、「係止部材35」及び「上框53」は、「ボルト部材56」による螺合によって一体の部材といえる。 また、甲1発明の「係止部材35」は、「横フレーム32の上面」に形成された「孔部32a」に「挿入係止され」るものであるから、本件訂正発明1の「固定部材」と甲1発明の「係止部材35」とは、前記(ア)も踏まえると、「前記横フレーム部に取り付けられる」ものである点で一致する。 さらに、甲1発明の「前面板5」が、「下地板52」と、「この下地板52の裏面に設けた上框53」「等の補強枠58とからなる」のであるから、甲1発明の「上框53」は「下地板52」に取り付けられて「前面板5」となっている。 そうすると、甲1発明の「「係止部材35」及び「上框53」を備える一体の部材」は、前記(ア)も踏まえると、本件訂正発明1の「前記前板に固定されるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材」に相当する。 (カ)甲1発明の「配管ユニット1」は、「枠体3と、・・・前面板5と、を備え」るものであるから、本件訂正発明1の「配管ユニット」と甲1発明の「配管ユニット1」とは、前記(ア)~(オ)も踏まえると、「横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレームと、 前記フレームの前側に配置される前板と、 前記前板に取り付けられるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材と、を備えて」いるものである点で一致する。 (キ)本件訂正発明1の「第1固定部」と甲1発明の「ボルト部材56」は、上記(オ)より、「前記固定部材」が有している部材である点で一致する。 また、甲1発明の「ボルト部材56」は、その「頭部56aをスパナ、レンチ等で回動することにより、前面板5の高さ調整を行うことが出来る」ものであり、前面板5の高さ調整は、枠体3に対する高さを調整するものであることは明らかである。そうすると、甲1発明の「ボルト部材56」は、下地板52の高さを横フレーム32に対して調整するものと認められ、本件訂正発明1の「第1固定部」と甲1発明の「ボルト部材56」とは、前記(ア)も踏まえると、「前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能に」するための部材である点で共通する。 (ク)他方、「固定」とは、前記第4の2(2)イで示したように、「一定の位置に止まって動かないこと。また、動かないようにすること。」との意味であるところ、甲1発明の「横フレーム32」と「「係止部材35」及び「上框53」を備える一体の部材」の関係は、「横フレーム32の上面には矩形の孔部32aが形成され、この孔部32aには略逆L字形の係止部材35が挿入係止され」るにとどまり、上方へ係止部材35を引き上げることにより、係止が解除されるものであるから、「横フレーム32」に対して、「係止部材35」が動かなくなるように「固定」されるものではない。 したがって、本件訂正発明1の「第1固定部」と甲1発明の「ボルト部材56」は、前者が「前記固定部材」を「前記横フレーム部に固定する」のに対して、後者が「「係止部材35」及び「上框53」を備える一体の部材」を「横フレーム32」に固定するための部材でない点で相違する。 (ケ)以上より、本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「壁面の前側に配管空間を形成する配管ユニットであって、 横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレームと、 前記フレームの前側に配置される前板と、 前記前板に固定されるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材と、 を備えており、 前記固定部材は、前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能にするための部材を有している配管ユニット。」 [相違点] 横フレーム部に対して前板を位置調整可能にするための部材について、本件訂正発明1の「第1固定部」は「前記固定部材」を「前記横フレーム部に固定する」のに対して、甲1発明の「ボルト部材56」は「「係止部材35」及び「上框53」を備える一体の部材」を「横フレーム32」に固定するための部材でない点で相違する。 イ 判断 上記相違点について検討すると、甲1発明の「横フレーム32」と「係止部材35」は挿入係止されるのであって、これを「固定」に変更する根拠を見いだせない。そもそも、甲1発明の「ボルト部材56」は、「横フレーム32の孔部32aに上方から挿入される」「係止部材35」の「ボルト部材56が挿通遊合される」「遊合孔35aに頭部56aを上にして挿通される」のみであるから、「「係止部材35」及び「上框53」を備える一体の部材」を「横フレーム32」に取り付けるために働く部材でもない。 そうすると、甲1発明の「ボルト部材56」により、「「係止部材35」及び「上框53」を備える一体の部材」を「横フレーム32」に固定するようにすることは、当業者が容易になし得たものではない。 (3)甲2発明を主引用発明とした場合 ア 対比 本件訂正発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明における「壁面」は、本件訂正発明1における「壁面」に相当し、以下同様に「設備ユニット1」は、「配管ユニット」に、同様に「フレーム2」は、「フレーム」に、「タイルパネル3」は、「前板」に、それぞれ相当する。 (イ)甲2発明の「設備ユニット1」は、「内部に給・排水用配管を収納し」ているから、配管を収納するための空間があることは明らかである。 したがって、本件訂正発明1の「配管ユニット」と甲2発明の「設備ユニット1」とは、「壁面の前側に配管空間を形成する」ものである点で一致する。 (ウ)甲2発明の「水平方向に延びるフレーム部」は、本件訂正発明1の「横方向に延びる横フレーム部」に相当する。また、「水平方向に延びるフレーム部」は「フレーム2の上端位置」にあるから、本件訂正発明1の「フレーム」と甲2発明の「フレーム2」とは、「横方向に延びる横フレーム部を上端に有する」ものである点で一致する。 (エ)甲2発明の「タイルパネル3」が、「フレーム2の前面に」「取付けた」ものであるから、本件訂正発明1の「前板」と甲2発明の「タイルパネル3」とは、前記(ア)も踏まえると、「前記フレームの前側に配置される」ものである点で一致する。 (オ)甲2発明の「係止部7」は、「タイルパネル3」にあり、特に「タイルパネル3」に対して可動の機構はないから、本件訂正発明1の「前記前板に固定される」「固定部材」に相当する。 また、甲2発明の「係止部7」は、「上方よりタイルパネル3を下し係止部7の突出片9を受け部8の挿入部14に挿入してタイルパネル3をフレーム2に掛止め」るものであるから、本件訂正発明1の「固定部材」と甲2発明の「係止部7」とは、前記(ア)も踏まえると、「前記横フレーム部に取り付けられる」ものである点で一致する。 (カ)甲2発明の「設備ユニット1」は、「枠状に形成したフレーム2の前面にタイルパネル3を取り付けた」ものであるから、本件訂正発明1の「配管ユニット」と甲2発明の「設備ユニット1」とは、前記(ア)~(オ)も踏まえると、「横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレームと、 前記フレームの前側に配置される前板と、 前記前板に取り付けられるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材と、を備えて」いるものである点で一致する。 (キ)甲2発明の「調整捩子17」は、「係止部7」の「捩子孔15」に「進退可能な状態で螺合し」てあるから、本件訂正発明1の「第1固定部」と甲2発明の「調整捩子17」は、上記(オ)を踏まえると、「前記固定部材」が有している部材である点で一致する。 また、甲2発明の「調整捩子17」は、「ドライバ一等により回転させ、上下に進退させてタイルパネル3を所望の位置に停止して、タイルパネル3をフレーム2に取付け」ものであり、タイルパネル3の所望の位置とは、フレーム2に対する所望の上下位置であると認められ、本件訂正発明1の「第1固定部」と甲2発明の「調整捩子17」は、前記(ア)も踏まえると、「前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能に」するための部材である点で共通する。 (ク)他方、甲2発明の「フレーム2」の「水平方向に延びるフレーム部」と「係止部7」の関係は、「上方よりタイルパネル3を下し係止部7の突出片9を受け部8の挿入部14に挿入してタイルパネル3をフレーム2に掛止め」られるにとどまり、上方へ係止部7を引き上げることにより掛止めが解除されるものであるから、「水平方向に延びるフレーム部」に対して、「係止部7」が動かなくなるように「固定」されるものではない。 したがって、本件訂正発明1の「第1固定部」と甲2発明の「調整捩子17」は、前者が「前記固定部材」を「前記横フレーム部に固定する」のに対して、後者が「係止部7」を「フレーム2」の「水平方向に延びるフレーム部」に固定するための部材でない点で相違する。 (ケ)以上より、本件訂正発明1と甲2発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「壁面の前側に配管空間を形成する配管ユニットであって、 横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレームと、 前記フレームの前側に配置される前板と、 前記前板に固定されるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材と、 を備えており、 前記固定部材は、前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能にするための部材を有している配管ユニット。」 [相違点] 横フレーム部に対して前板を位置調整可能にするための部材について、本件訂正発明1の「第1固定部」は「前記固定部材」を「前記横フレーム部に固定する」のに対して、甲2発明の「調整捩子17」は「係止部7」を「フレーム2」の「水平方向に延びるフレーム部」に固定するための部材でない点で相違する。 イ 判断 上記相違点について検討すると、甲2発明の「係止部7」は「係止部7の突出片9を受け部8の挿入部14に挿入してタイルパネル3をフレーム2に掛止め」され、「タイルパネル3複数をフレーム2に掛止した後タイルパネル3間を連結し、必要に応じて各タイルパネル3に取付けた調節捩子17を進退させ、各タイルパネル3間での上下方向の位置ずれを調整する」ものであるとともに、「係止部と受け部を互いに掛け止めるだけでフレームにタイルパネルを取付可能」であることを目的としたものであるから、「調節捩子17」により、「係止部7」を「フレーム2」の「水平方向に延びるフレーム部」に「固定」することは、当該甲2発明の目的からみて着想しない。 そうすると、甲2発明の「調節捩子17」により、「係止部材7」を「フレーム2」の「水平方向に延びるフレーム部」に固定するようにすることは、当業者が容易になし得たものではない。 3 申立人の意見書における主張(1)参考資料1について 申立人は、令和7年6月5日提出の意見書の「4.意見の内容」において、概略、本件訂正発明1は、参考資料1(特開平8-82104号公報、以下「文献3」という。)に記載された発明により新規性を有さず、取り消されるべきものであると主張するから、この理由についても検討する。 ア 文献3に記載の事項 文献3(特開平8-82104号公報)は、本願の出願前に発行されたものであり、次の事項が記載されている。 「【0019】 【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。図4において、10はシステムトイレにおける配管ユニットであって、この配管ユニット10は、配管ケース12と、内部に収容される排水管14,給水管16その他配管18と、配管ケース12上面と前面とに配設される化粧板としての甲板20及び前板22とをユニット化して成るもので、壁面24に接する状態で床面26に設置されている。 【0020】この配管ユニット10の前面には、具体的には前板22の前面には衛生器具としての便器28が取り付けられるようになっている。 【0021】ここで配管ケース12は、前面上端,前面下端及び後面上端,後面下端のアングル状の横フレーム材30に、所定間隔毎に配置した矩形枠状の補強枠32を固設した形態のもので、全体として矩形箱状を成している。 【0022】上記前板22は、図1に示しているように下地ボード34の表面にタイルなど化粧材36を貼着した形態のもので、上端部に金属角パイプから成る補強フレーム38が裏面に突出する状態で取り付けられている。この補強フレーム38には、これを上下に貫通するボルト挿通孔40が形成されている。 【0023】一方、配管ケース12の上部前面、具体的には配管ケース12における前面上端のアングル状の横フレーム材30の前面には、支持金具(支持部材)42が固定されている。支持金具42はL字状を成しており、垂直に延びる板状の固定片部44と、固定片部44の上端より直角に折れ曲がる、即ち前方に水平方向に延びる支持片部46とを有している。」 「【0026】この係止金具52は、抜止片部54の下部が支持金具42と配管ケース12前面との間に形成された上記挿入隙間50内に挿入されて抜止めされ、また載置片部56の上面には上記前板22における補強フレーム38の下面が載置されている。 【0027】この係止金具52における載置片部56には、これを上下方向に貫通する貫通穴58が形成されるとともに、載置片部56の下面には貫通穴58の下側においてナット60が固設されている。ナット60は、その軸心が貫通穴58と一致する状態で設けられている。即ちこの例では、ナット60によって係止金具52の載置片部56における雌ねじ穴部が構成されている。 【0028】上記補強フレーム38のボルト挿通孔40には、高さ調節用のアジャストボルト62が挿通されている。このアジャストボルト62はナット60に螺合され、且つ下端が支持金具42における支持片部46上に当接している。 【0029】図2は本例における前板22の配管ケース12前面への取付手順を示している。図に示しているように係止金具52の載置片部56を補強フレーム38の下面に位置させた状態で、アジャストボルト62を補強フレーム38のボルト挿通孔40に挿通した上、係止金具52における載置片部56のナット60に螺合して下端のナット60より下方に突き出させ、そしてそのアジャストボルト62の下端を支持金具42の支持片部46上に当接させて、前板22を支持部材42、即ち配管ケース12により支持させる。 【0030】併せて係止金具52の抜止片部54を支持金具42と配管ケース12前面との間の挿入隙間50に挿入し、これにより前板22を配管ケース12に係止させる。この状態でアジャストボルト62を回転操作し、以て前板22の高さを調節する。」 「【0033】尚、前板22を配管ケース12に取り付ける手段として、図5に示しているように配管ケース12の上面前部に板状の吊持金具130を取り付け、そしてその吊持金具130の左右方向の長穴132に、大径の頭部134付きのアジャストボルト136を下向きに挿通し、そのアジャストボルト136の雄ねじ軸部を、補強フレーム38に固設したナット138に螺合することによって、前板22を取り付けるようにするといったことも考えられる。 【0034】この取付手段においては、前板22がアジャストボルト136を介して吊持金具130により吊持された状態となり、またアジャストボルト136を回転操作することで、前板22の高さ調節を行うことができる。」 「【図4】 [図:0001429015000004.jpg] 」 「【図5】 [図:0001429015000005.jpg] 」 イ 文献3から把握できる事項 (ア)「配管ユニット10は、・・・中略・・・配管ケース12上面と前面とに配設される化粧板としての甲板20及び前板22とをユニット化して成るもので、壁面24に接する状態で床面26に設置されている。」、「この配管ユニット10の前面には、具体的には前板22の前面には衛生器具としての便器28が取り付けられる」との記載を踏まえれば、【図4】より、壁面24の前に配管ユニット10が配置され、配管ケース12前面に前板22が配設されることが見て取れる。 (イ)前記アの【0033】及び【図5】に記載される構成は、文献3の実施例に記載される配管ユニット10の構成に関して、前板22を配管ケース12に取り付ける手段の別例であると理解できるところ、前板22を配管ケース12に取り付ける手段以外の構成は、実施例と共通の構成であると認められる。 ウ 文献3に記載の発明 上記アより、文献3には、以下の発明(以下「文献3発明1」という。)が記載されていると認められる。 「壁面24の前に接する状態で床面26に設置され、配管ケース12と、内部に収容される排水管14,給水管16その他配管18と、配管ケース12前面に配設される化粧板としての前板22とをユニット化して成る配管ユニット10であって、 配管ケース12は、前面上端,前面下端及び後面上端,後面下端のアングル状の横フレーム材30に、所定間隔毎に配置した矩形枠状の補強枠32を固設した形態のもので、 前板22は、上端部に金属角パイプから成る補強フレーム38が裏面に突出する状態で取り付けられており、 配管ケース12における前面上端のアングル状の横フレーム材30の前面には、支持金具42が固定されており、 前板22の配管ケース12前面への取付手順は、係止金具52の載置片部56を補強フレーム38の下面に位置させた状態で、アジャストボルト62を補強フレーム38のボルト挿通孔40に挿通した上、係止金具52における載置片部56のナット60に螺合して下端のナット60より下方に突き出させ、そしてそのアジャストボルト62の下端を支持金具42の支持片部46上に当接させて、前板22を支持部材42、即ち配管ケース12により支持させ、 併せて係止金具52の抜止片部54を支持金具42と配管ケース12前面との間の挿入隙間50に挿入し、これにより前板22を配管ケース12に係止させ、この状態でアジャストボルト62を回転操作し、以て前板22の高さを調節する、 配管ユニット10。」 また、上記イ(イ)と段落【0033】~【0034】及び図5より、以下の発明(以下「文献3発明2」という。)も記載されていると認められる。 「壁面24の前に接する状態で床面26に設置され、配管ケース12と、内部に収容される排水管14,給水管16その他配管18と、配管ケース12前面に配設される化粧板としての前板22とをユニット化して成る配管ユニット10であって、 配管ケース12は、前面上端,前面下端及び後面上端,後面下端のアングル状の横フレーム材30に、所定間隔毎に配置した矩形枠状の補強枠32を固設した形態のもので、 前板22は、上端部に金属角パイプから成る補強フレーム38が裏面に突出する状態で取り付けられており、 配管ケース12の上面前部に板状の吊持金具130を取り付け、そしてその吊持金具130の左右方向の長穴132に、大径の頭部134付きのアジャストボルト136を下向きに挿通し、そのアジャストボルト136の雄ねじ軸部を、補強フレーム38に固設したナット138に螺合することによって、前板22を取り付け、 前板22がアジャストボルト136を介して吊持金具130により吊持された状態となり、またアジャストボルト136を回転操作することで、前板22の高さ調節を行うことができる、 配管ユニット10。」 (2)対比・判断 ア 本件訂正発明1と文献3発明1との対比 (ア)文献3発明1における「壁面24」は、本件訂正発明1における「壁面」に相当し、以下同様に「配管ユニット10」は、「配管ユニット」に、同様に「配管ケース12」は、「フレーム」に、「前板22」は、「前板」に、それぞれ相当する。 (イ)文献3発明1の「配管ユニット10」は、「配管18」が「内部に収容される」ものであるから、配管を収納するための空間があることは明らかである。 したがって、本件訂正発明1の「配管ユニット」と文献3発明1の「配管ユニット10」とは、「壁面の前側に配管空間を形成する」ものである点で一致する。 (ウ)文献3発明1の「前面上端」の「横フレーム材30」は、横方向に延びる部材であることは明らかであるから、本件訂正発明1の「横方向に延びる横フレーム部」に相当する。したがって、本件訂正発明1の「フレーム」と文献3発明1の「配管ケース」とは、「横方向に延びる横フレーム部を上端に有する」ものである点で一致する。 (エ)文献3発明1の「前板22」が、「配管ケース12前面に配設される」ものであるから、本件訂正発明1の「前板」と文献3発明1の「前板22」とは、前記(ア)も踏まえると、「前記フレームの前側に配置される」ものである点で一致する。 (オ)文献3発明1の「補強フレーム38」は、「前板22」に「裏面に突出する状態で取り付けられて」おり、特に「前板22」に対して可動の機構はないから、本件訂正発明1の「前記前板に固定される」「固定部材」に相当する。 また、文献3発明1の「補強フレーム38」は、「横フレーム材30の前面」にある「支持金具42」に対して、「係止金具52の抜止片部54を支持金具42と配管ケース12前面との間の挿入隙間50に挿入し、これにより前板22を配管ケース12に係止させる」るものであるから、「前板22」の係止とともに、「前板22」に取り付けられた「補強フレーム38」も「配管ケース12に係止」されるものである。 したがって、本件訂正発明1の「固定部材」と文献3発明1の「補強フレーム38」とは、前記(ア)も踏まえると、「前記横フレーム部に取り付けられる」ものである点で一致する。 (カ)文献3発明1の「配管ユニット10」は、「配管ケース12」と、「前板22」とをユニット化して成るものであるから、本件訂正発明1の「配管ユニット」と文献3発明1の「配管ユニット10」とは、前記(ア)~(オ)も踏まえると、「横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレームと、 前記フレームの前側に配置される前板と、 前記前板に取り付けられるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材と、を備えて」いるものである点で一致する。 (キ)文献3発明1の「アジャストボルト62」は、「補強フレーム38」の「ボルト挿通孔40に挿通した」ものであるから、本件訂正発明1の「第1固定部」と文献3発明1の「アジャストボルト62」は、上記(オ)を踏まえると、「前記固定部材」が有している部材である点で一致する。 また、文献3発明1の「アジャストボルト62」は、「回転操作し、以て前板22の高さを調節する」ものであるから、本件訂正発明1の「第1固定部」と文献3発明1の「アジャストボルト62」は、前記(ア)も踏まえると、「前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能に」するための部材である点で共通する。 (ク)他方、文献3発明1の「配管ケース12」の「前面上端」の「横フレーム材30」と「補強フレーム38」の関係は、「係止金具52の載置片部56を補強フレーム38の下面に位置させた状態で、アジャストボルト62を補強フレーム38のボルト挿通孔40に挿通した上、係止金具52における載置片部56のナット60に螺合して下端のナット60より下方に突き出させ、そしてそのアジャストボルト62の下端を支持金具42の支持片部46上に当接させて、前板22を支持部材42、即ち配管ケース12により支持させ、 併せて係止金具52の抜止片部54を支持金具42と配管ケース12前面との間の挿入隙間50に挿入し、これにより前板22を配管ケース12に係止」されるにとどまり、上方へ前板22を引き上げることにより、係止が解除されるものであって、「前面上端」の「横フレーム材30」に対して、「補強フレーム38」が動かなくなるように「固定」されるものではない。 したがって、本件訂正発明1の「第1固定部」と文献3発明1の「アジャストボルト62」は、前者が「前記固定部材」を「前記横フレーム部に固定する」のに対して、後者が「補強フレーム38」を「配管ケース12」の「前面上端」の「横フレーム材30」に固定するための部材でない点で相違する。 (ケ)以上より、本件訂正発明1と文献3発明1とは、以下の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「壁面の前側に配管空間を形成する配管ユニットであって、 横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレームと、 前記フレームの前側に配置される前板と、 前記前板に固定されるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材と、 を備えており、 前記固定部材は、前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能にするための部材を有している配管ユニット。」 [相違点] 横フレーム部に対して前板を位置調整可能にするための部材について、本件訂正発明1の「第1固定部」は「前記固定部材」を「前記横フレーム部に固定する」のに対して、文献3発明1の「アジャストボルト62」は「補強フレーム38」を「配管ケース12」の「前面上端」の「横フレーム材30」に固定するための部材でない点で相違する。 イ 判断 上記相違点について検討すると、文献3発明1の「前板22」の「補強フレーム38」と「配管ケース12」の「前面上端」の「横フレーム材30」は、「係止金具52の抜止片部54を支持金具42と配管ケース12前面との間の挿入隙間50に挿入し、これにより前板22を配管ケース12に係止」するのであって、これを「固定」に変更する根拠が見いだせない。また、文献3発明1の「アジャストボルト62」は、その「下端を支持金具42の支持片部46上に当接させて、前板22を支持部材42、即ち配管ケース12により支持させ」るのみであるから、「補強フレーム38」を「前面上端」の「横フレーム材30」に取り付けるために働く部材でもない。 そうすると、文献3発明1の「アジャストボルト62」により、「補強フレーム38」を「前面上端」の「横フレーム材30」に固定するようにすることは、当業者が容易になし得たものではない。 ウ 本件訂正発明1と文献3発明2との対比 前記ア(ア)~(カ)と同様の対比に加え、 (ア)文献3発明2の「補強フレーム38」は、「配管ケース12の上面前部に板状の吊持金具130を取り付け、そしてその吊持金具130の左右方向の長穴132に、大径の頭部134付きのアジャストボルト136を下向きに挿通し、そのアジャストボルト136の雄ねじ軸部を、補強フレーム38に固設したナット138に螺合する」ものであるから、「配管ケース12に係止」されるものである。 したがって、本件訂正発明1の「固定部材」と文献3発明2の「補強フレーム38」とは、前記(ア)も踏まえると、「前記横フレーム部に取り付けられる」ものである点で一致する。 (イ)文献3発明2の「アジャストボルト136」は、その「雄ねじ軸部を、補強フレーム38に固設したナット138に螺合する」ものであるから、本件訂正発明1の「第1固定部」と文献3発明2の「アジャストボルト136」は、前記ア(オ)を踏まえると、「前記固定部材」が有している部材である点で一致する。 また、文献3発明2の「アジャストボルト136」は、「回転操作することで、前板22の高さ調節を行う」ものであるから、本件訂正発明1の「第1固定部」と文献3発明2の「アジャストボルト136」は、前記ア(ア)も踏まえると、「前記横フレーム部に対して前記前板を位置調整可能に」するための部材である点で共通する。 (ウ)他方、文献3発明2の「配管ケース12」の「前面上端」の「横フレーム材30」と「補強フレーム38」の関係は、「配管ケース12の上面前部に板状の吊持金具130を取り付け、そしてその吊持金具130の左右方向の長穴132に、大径の頭部134付きのアジャストボルト136を下向きに挿通し、そのアジャストボルト136の雄ねじ軸部を、補強フレーム38に固設したナット138に螺合することによって、前板22を取り付け」るものであり、長穴132に、大径の頭部134付きのアジャストボルト136を下向きに挿通している以上は、長穴132の延びる吊持金具130の左右方向に沿って「アジャストボルト136」、ひいては「アジャストボルト136」が螺合する「補強フレーム38」が移動可能となるから、「前面上端」の「横フレーム材30」に対して、「補強フレーム38」が動かなくなるように「固定」されるものではない。 したがって、本件訂正発明1の「第1固定部」と文献3発明2の「アジャストボルト136」は、前者が「前記固定部材」を「前記横フレーム部に固定する」のに対して、後者が「補強フレーム38」を「配管ケース12」の「前面上端」の「横フレーム材30」に固定するための部材でない点で相違する。 (エ)よって、本件訂正発明1と文献3発明2とは、前記アと同様の一致点を有し、以下の相違点で相違する。 [相違点] 横フレーム部に対して前板を位置調整可能にするための部材について、本件訂正発明1の「第1固定部」は「前記固定部材」を「前記横フレーム部に固定する」のに対して、文献3発明2の「アジャストボルト136」は「補強フレーム38」を「配管ケース12」の「前面上端」の「横フレーム材30」に固定するための部材でない点で相違する。 エ 判断 上記相違点について検討すると、文献3発明2の「前板22」の「補強フレーム38」と「配管ケース12」の「前面上端」の「横フレーム材30」は、長穴132の長径方向に沿って「アジャストボルト136」、ひいては「アジャストボルト136」が螺合する「補強フレーム38」が移動可能なものであって、これを「固定」に変更する根拠が見いだせない。 また、文献3発明2の「アジャストボルト136」は、ナット138に対して締め付けていくことで配管ケース12の上面前部の「吊持金具130」と「補強フレーム38」とが緊結されて固定され得る構造と理解できるが、文献3発明2は、「アジャストボルト136を回転操作することで、前板22の高さ調節を行う」ものであるから、「吊持金具130」と「補強フレーム38」とを緊結して高さ調節の余地がなくなるような状態は意図されていないと理解できる。 以上を踏まえると、文献3発明2の「アジャストボルト136」により、「補強フレーム38」を「前面上端」の「横フレーム材30」に固定するようにすることは、当業者が容易になし得たものではない。 第6 まとめ 以上、第2のとおり、本件訂正請求は認められるから、特許第7483565号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲〔1~5〕のとおり訂正することを認める。 そして、第4及び第5のとおり、本件の請求項1に係る特許は、令和7年1月31日付けで通知した取消理由、及び、特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことはできず、また、他に本件の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701103

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