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特許異議申立

2025-700324

作業機

審判番号
2025-700324
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-011439
登録番号
7599972
請求日
2025年03月19日
審決日
2025年12月18日
公報発行日
2026年01月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社クボタ
  • 【権利者代理人】安田岡本弁理士法人
  • 【異議申立人】IPセイル 合同会社
審判長/審判官
  • 審判長 有家 秀郎
  • 審判官 家田 政明
  • 審判官 西田 秀彦
分類
P1652.121-Y (E02F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7599972号発明「作業機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7599972号の請求項1及び2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7599972号の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、令和3年1月27日に出願され、令和6年12月6日にその特許権の設定登録がされ、同月16日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和7年3月19日に、特許異議申立人IPセイル 合同会社(以下、「申立人」という。)より特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1及び2に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1及び2に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の、請求項1及び2に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 機体と、 前記機体を走行可能に支持する走行装置と、 前記走行装置を駆動する油圧モータによって構成された走行モータと、 前記走行モータとは異なる他の油圧アクチュエータと、 前記他の油圧アクチュエータを操作する操作部材と、 前記他の油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を変化させるアクチュエータ制御バルブと、 前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御する制御装置と、 を備え、 前記アクチュエータ制御バルブは、前記制御装置から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット式比例電磁弁であり、 前記制御装置は、 前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に、前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための制御信号を前記アクチュエータ制御バルブに出力することで前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御し、 前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ且つ前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための制御信号を前記アクチュエータ制御バルブに出力し、且つ前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する作業機。 【請求項2】 機体と、 前記機体を走行可能に支持する走行装置と、 前記走行装置を駆動する油圧モータによって構成された走行モータと、 前記走行モータとは異なる他の油圧アクチュエータと、 前記他の油圧アクチュエータを操作する操作部材と、 前記他の油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を変化させるアクチュエータ制御バルブと、 前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御する制御装置と、 を備え、 前記アクチュエータ制御バルブは、前記制御装置が供給する電流値に応じて制御され、 前記制御装置は、 前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に、前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための電流値を前記アクチュエータ制御バルブに供給することで前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御し、 前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ且つ前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための電流値を前記アクチュエータ制御バルブに供給し、且つ前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する作業機。」 第3 証拠方法及び特許異議申立理由の概要 1 証拠方法 申立人が提示する証拠は、以下のとおりである。なお、以下では甲第1号証等を、「甲1」等という。 甲1:特開2012-197835号公報 甲2:特開2014-20395号公報 甲3:特開2019-173803号公報 2 特許異議申立理由の概要 申立人が申立書において主張する申立理由の概要は、次のとおりである。 (1)本件発明1は、本件出願より前に公開された、甲1に記載された発明、及び、甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、この発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件発明1に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)本件発明2は、本件出願より前に公開された、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、この発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件発明2に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 証拠の記載事項 (1)甲1 ア 甲1に記載された事項 甲1には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付した。以下、同様。)。 (ア)「【0001】 本発明は、油圧アクチュエータにより作業装置を作動させて作業を行う作業機械に関する。」 (イ)「【0015】 このパワーショベル1は、平面視略H字状の走行台車2(車体)の左右に走行機構3,3が設けられて構成される走行装置4と、走行台車2の後部に上下に揺動自在に設けられたブレード5と、走行台車2の上部に旋回可能に設けられた旋回台6と、旋回台6の前部に設けられたショベル機構7と、旋回台6の上部に立設された運転者搭乗用のオペレータキャビン8(車体)とから構成されている。 【0016】 走行装置4を構成する左右一対の走行機構3,3は、走行台車2の左右前部に設けられた駆動用スプロケットホイール9と、走行台車2の左右後部に設けられたアイドラホイール10との間に履帯11が巻き掛けられて構成される。駆動用スプロケットホイール9は、油圧で作動する走行油圧モータ54(図2参照)により回転駆動される。ブレード5は、油圧駆動式のブレードシリンダ(不図示)の作動により揺動され、旋回台6は、油圧で作動動する旋回油圧モータ(不図示)により旋回動される。なお、走行油圧モータ54は、左右一対の駆動用スプロケットホイール9のそれぞれに対応させて設けられている。 【0017】 ショベル機構7は、旋回台6の前部に起伏動自在に枢結されたブーム12と、ブーム12の先端部にブーム12の起伏面内で上下に揺動自在に枢結されたアーム13と、アーム13の先端に上下で揺動自在に枢結されたバケット14と、油圧駆動式のブームシリンダ15、アームシリンダ16、及びバケットシリンダ17とから構成されている。ブーム12はブームシリンダ15により起伏動され、アーム13はアームシリンダ16により揺動され、バケット14はバケットシリンダ17により揺動される。以降の説明では、走行油圧モータ54を「走行用油圧アクチュエータ」と呼び、一方、走行油圧モータ54以外の油圧アクチュエータ(シリンダ15~17やブレード5のブレードシリンダ等)を纏めて「作業用油圧アクチュエータ」と呼ぶことにする。 【0018】 オペレータキャビン8は、上下前後左右が囲まれた矩形箱状に形成されており、内部に運転者が前方に向いて着座するためのオペレータシート18が設けられている。オペレータシート18の左右には、ショベル機構7等の作動動操作を行うための一対の右作業用操作レバー19と左作業用操作レバー20とが設けられており、また、オペレータシート18の前方には、走行装置4の作動操作を行うための一対の右走行用操作レバー21と左走行用操作レバー22とが設けられている。右走行用操作レバー21は、走行装置4における右側の走行油圧モータ54を操作するための操作レバーで、左走行用操作レバー22は、走行装置4における左側の走行油圧モータ54を操作するための操作レバーである。 【0019】 このように構成されるパワーショベル1においては、オペレータがオペレータシート18に着座して、右作業用操作レバー19および左作業用操作レバー20を前後左右に傾動操作したり、右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22を前後に傾動操作することにより、パワーショベル1を前後に走行させたり、また、ショベル機構7等の作動を制御して、掘削等の作業をさせたりすることができる。」 (ウ)「【実施例1】 【0021】 まず、図2を参照しながら、ショベル機構7等の駆動に対して走行装置4の駆動を優先させて行わせる構成例としての油圧回路30について説明する。なお、図2には、走行用油圧アクチュエータおよび作業用油圧アクチュエータの操作に関連する部分を中心に抜粋した油圧回路30を示している。 【0022】 油圧回路30は、パイロットポンプ31、走行用パイロットバルブユニット32、減圧バルブ33、右作業用パイロットバルブユニット34、左作業用パイロットバルブユニット35、メインポンプ39、ブーム用コントロールバルブ51、走行モータ用コントロールバルブ52、およびアーム用コントロールバルブ53等を備えて構成される 【0023】 パイロットポンプ31は、例えばエンジン(不図示)により回転駆動されることで、作動油タンク37に貯留された作動油を吸い上げ、所定圧の圧油としてパイロット油路40に吐出する。パイロット油路40内の油圧は、パイロット圧調圧バルブ40aにより所定のパイロット油圧に調圧される。 【0024】 走行用パイロットバルブユニット32は、右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22の根本部分に設けられており、右走行用操作レバー21に対する前後への傾動操作に応じてパイロット圧を生成する一対のパイロットバルブ(不図示)と、左走行用操作レバー22に対する前後への傾動操作に応じてパイロット圧を生成する一対のパイロットバルブ(不図示)とを備えて構成される。この走行用パイロットバルブユニット32は、パイロット油路40から分岐した第1パイロット油路41を介してパイロット油路40と繋がれており、上記パイロット油圧が供給される。 【0025】 右作業用パイロットバルブユニット34は、右作業用操作レバー19の根本部分に設けられており、右作業用操作レバー19に対する前後左右への傾動操作に応じたパイロット圧を生成する複数(4つ)のパイロットバルブ(不図示)を備えて構成される。 この右作業用パイロットバルブユニット34は、パイロット油路40から分岐した第2パイロット油路42a、および減圧バルブ33を介して第2パイロット油路42aに繋がれた第3パイロット油路42bを介してパイロット油路40と繋がれており、上記パイロット油圧が供給される。 【0026】 左作業用パイロットバルブユニット35は、左作業用操作レバー20の根本部分に設けられており、左作業用操作レバー20に対する前後左右への傾動操作に応じたパイロット圧を生成する複数(4つ)のパイロットバルブ(不図示)を備えて構成される。この左作業用パイロットバルブユニット35は、パイロット油路40から分岐した第2パイロット油路42a、および減圧バルブ33を介して第2パイロット油路42aに繋がれた第3パイロット油路42bを介してパイロット油路40と繋がれており、上記パイロット油圧が供給される。 【0027】 減圧バルブ33は、第2パイロット油路42aと第3パイロット油路42bとの接続部分に設けられており、第2パイロット油路42a内のパイロット圧を有した圧油を減圧することなくそのまま右作業用パイロットバルブユニット34および左作業用パイロットバルブユニット35に出力する通常位置と、後述する減圧信号が入力されることで、第2パイロット油路42a内のパイロット圧を有した圧油を減圧して右作業用パイロットバルブユニット34および左作業用パイロットバルブユニット35に出力する減圧位置とに切換可能な構成となっている。なお、減圧バルブ33は、減圧信号が非入力の状態では通常位置に位置している。」 (エ)「【0036】 以上ここまでは、油圧回路30の構成について説明した。このように構成されるパワーショベル1において、例えば右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22を操作して前進走行させながら、同時に右作業用操作レバー19も操作してブーム12を揺動させる操作が行われることがある。このような操作が行われた場合、従来のパワーショベルにおいては、例えば前進走行させるパイロット圧が走行モータ用コントロールバルブに入力されても、操作量に対応する速度よりも低い速度でしか前進走行させることができないとう現象が発生していた。」 (オ)「【0037】 そこで、本発明を適用したパワーショベル1においては、操作性を低下させることなく、ショベル機構7等の駆動よりも優先度の高い走行装置4の駆動を優先させて行わせる構成を特徴構成として備えている。 【0038】 この特徴構成について、右作業用操作レバー19のみが操作されている状態において、さらに右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が操作される場合を例示して、以下に説明する。 【0039】 まず、右作業用操作レバー19のみが単独で操作されている状態(右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が操作されていない状態)では、走行用パイロットバルブユニット32において第1パイロット油路41からの圧油を基にしてパイロット圧は生成されていない。このとき、絞り43aにより、パイロット油路40、第1パイロット油路41および第2パイロット油路42aが所定のパイロット油圧に維持されたままで、第4パイロット油路43では減圧信号が生成されることなく、第4パイロット油路43の作動油はドレインされる。減圧バルブ33は、減圧信号の入力がないために通常位置に位置し、第2パイロット油路42aの圧油が、減圧バルブ33で減圧されることなく第3パイロット油路42bを介して、右作業用パイロットバルブユニット34および左作業用パイロットバルブユニット35に出力される。 【0040】 右作業用パイロットバルブユニット34において、右作業用操作レバー19の傾動操作に応じたパイロット圧が生成され、このパイロット圧が例えばブーム用コントロールバルブ51に出力される。そうすることで、ブーム用コントロールバルブ51によって制御された供給方向および供給量で、メインポンプ39からメイン油路49に吐出された圧油がブームシリンダ15に供給され、ブームシリンダ15が伸縮作動される。 【0041】 上述の操作状態において、さらに右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が追加的に操作されると、走行用パイロットバルブユニット32において、第1パイロット油路41からのパイロット油圧を基にして、右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22への操作に応じたパイロット圧が生成される。そのパイロット圧が走行モータ用コントロールバルブ52に出力されることで、走行モータ用コントロールバルブ52の減圧信号生成部52aにおいて、第4パイロット油路43が塞がれて、第4パイロット油路43および第5パイロット油路44に減圧信号が生成される。この減圧信号が、第5パイロット油路44を介して減圧バルブ33に入力されることで、減圧バルブ33は通常位置から減圧位置に切り換わり、第2パイロット油路42aからのパイロット油圧が減圧バルブ33で減圧されて、第3パイロット油路42bを介して右作業用パイロットバルブユニット34および左作業用パイロットバルブユニット35に出力される。 【0042】 そうすることにより、右作業用操作レバー19に対する操作量に見合ったパイロット圧よりも低いパイロット圧が生成される。そのため、ブーム用コントロールバルブ51においては、そのパイロット圧に基づいてバルブスプールが移動制御されて、右作業用操作レバー19への操作量に対応する供給量よりも少ない量の圧油が、ブーム用コントロールバルブ51からブームシリンダ15に供給される。 【0043】 一方で、走行用パイロットバルブユニット32においては、第1パイロット油路41からのパイロット油圧を基にして、右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22への操作に応じたパイロット圧が生成される。ここで、走行モータ用コントロールバルブ52においては、減圧バルブ33により第3パイロット油路42bを減圧させることでブーム用コントロールバルブ51に供給されなかった分の圧油もが供給されるので、バルブスプールの移動位置に応じた供給量の圧油を走行油圧モータ54に供給することができる。そのため、右作業用操作レバー19に加えて、右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が操作された場合であっても、自動で走行速度を確保することが可能になる。 【0044】 なお、上述した場合とは反対に、右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22のみが単独で操作されている状態において、さらに右作業用操作レバー19が追加的に操作された場合、右作業用操作レバー19に対する操作が開始される時点において、既に減圧信号が減圧バルブ33に入力されている。そのため、この状態において、右作業用操作レバー19が追加的に操作されても、走行速度を低下させることなく確保できる。」 (カ)図2 「 [図:0001431146000001.jpg] 」 イ 甲1に記載された発明 上記アから甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明) 「平面視略H字状の走行台車2(車体)の左右に走行機構3,3が設けられて構成される走行装置4と、走行台車2の後部に上下に揺動自在に設けられたブレード5と、走行台車2の上部に旋回可能に設けられた旋回台6と、旋回台6の前部に設けられたショベル機構7と、旋回台6の上部に立設された運転者搭乗用のオペレータキャビン8(車体)とから構成されているパワーショベル1において(【0015】)、 走行装置4を構成する左右一対の走行機構3,3は、走行台車2の左右前部に設けられた駆動用スプロケットホイール9と、走行台車2の左右後部に設けられたアイドラホイール10との間に履帯11が巻き掛けられて構成され、駆動用スプロケットホイール9は、油圧で作動する走行油圧モータ54により回転駆動され(【0016】)、 ショベル機構7は、旋回台6の前部に起伏動自在に枢結されたブーム12と、ブーム12の先端部にブーム12の起伏面内で上下に揺動自在に枢結されたアーム13と、アーム13の先端に上下で揺動自在に枢結されたバケット14と、油圧駆動式のブームシリンダ15、アームシリンダ16、及びバケットシリンダ17とから構成され、ブーム12はブームシリンダ15により起伏動され、アーム13はアームシリンダ16により揺動され、バケット14はバケットシリンダ17により揺動され、走行油圧モータ54を「走行用油圧アクチュエータ」と呼び、一方、走行油圧モータ54以外の油圧アクチュエータを纏めて「作業用油圧アクチュエータ」と呼び(【0017】)、 オペレータシート18の左右には、ショベル機構7等の作動動操作を行うための一対の右作業用操作レバー19と左作業用操作レバー20とが設けられており、また、オペレータシート18の前方には、走行装置4の作動操作を行うための一対の右走行用操作レバー21と左走行用操作レバー22とが設けられていて(【0018】)、 右作業用操作レバー19および左作業用操作レバー20を前後左右に傾動操作したり、右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22を前後に傾動操作することにより、パワーショベル1を前後に走行させたり、また、ショベル機構7等の作動を制御して、掘削等の作業をさせたりすることができ(【0019】)、 ショベル機構7等の駆動に対して走行装置4の駆動を優先させて行わせる構成である油圧回路30を有し(【0021】)、 油圧回路30は、パイロットポンプ31、走行用パイロットバルブユニット32、減圧バルブ33、右作業用パイロットバルブユニット34、左作業用パイロットバルブユニット35、メインポンプ39、ブーム用コントロールバルブ51、走行モータ用コントロールバルブ52、およびアーム用コントロールバルブ53等を備えて構成され(【0022】)、 右作業用パイロットバルブユニット34は、右作業用操作レバー19の根本部分に設けられており、右作業用操作レバー19に対する前後左右への傾動操作に応じたパイロット圧を生成する複数(4つ)のパイロットバルブを備えて構成され、この右作業用パイロットバルブユニット34は、パイロット油路40から分岐した第2パイロット油路42a、および減圧バルブ33を介して第2パイロット油路42aに繋がれた第3パイロット油路42bを介してパイロット油路40と繋がれており、上記パイロット油圧が供給され(【0025】)、 減圧バルブ33は、第2パイロット油路42aと第3パイロット油路42bとの接続部分に設けられており、第2パイロット油路42a内のパイロット圧を有した圧油を減圧することなくそのまま右作業用パイロットバルブユニット34および左作業用パイロットバルブユニット35に出力する通常位置と、後述する減圧信号が入力されることで、第2パイロット油路42a内のパイロット圧を有した圧油を減圧して右作業用パイロットバルブユニット34および左作業用パイロットバルブユニット35に出力する減圧位置とに切換可能な構成となっていて(【0027】)、 パワーショベル1において、例えば右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22を操作して前進走行させながら、同時に右作業用操作レバー19も操作してブーム12を揺動させる操作が行われることがあり(【0036】)、 右作業用操作レバー19のみが単独で操作されている状態(右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が操作されていない状態)では、走行用パイロットバルブユニット32において第1パイロット油路41からの圧油を基にしてパイロット圧は生成されておらず、このとき、絞り43aにより、パイロット油路40、第1パイロット油路41および第2パイロット油路42aが所定のパイロット油圧に維持されたままで、第4パイロット油路43では減圧信号が生成されることなく、第4パイロット油路43の作動油はドレインされ、減圧バルブ33は、減圧信号の入力がないために通常位置に位置し、第2パイロット油路42aの圧油が、減圧バルブ33で減圧されることなく第3パイロット油路42bを介して、右作業用パイロットバルブユニット34および左作業用パイロットバルブユニット35に出力され(【0039】)、 右作業用パイロットバルブユニット34において、右作業用操作レバー19の傾動操作に応じたパイロット圧が生成され、このパイロット圧が例えばブーム用コントロールバルブ51に出力され、ブーム用コントロールバルブ51によって制御された供給方向および供給量で、メインポンプ39からメイン油路49に吐出された圧油がブームシリンダ15に供給され、ブームシリンダ15が伸縮作動され(【0040】)、 さらに右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が追加的に操作されると、走行用パイロットバルブユニット32において、第1パイロット油路41からのパイロット油圧を基にして、右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22への操作に応じたパイロット圧が生成され、そのパイロット圧が走行モータ用コントロールバルブ52に出力されることで、走行モータ用コントロールバルブ52の減圧信号生成部52aにおいて、第4パイロット油路43が塞がれて、第4パイロット油路43および第5パイロット油路44に減圧信号が生成され、この減圧信号が、第5パイロット油路44を介して減圧バルブ33に入力されることで、減圧バルブ33は通常位置から減圧位置に切り換わり、第2パイロット油路42aからのパイロット油圧が減圧バルブ33で減圧されて、第3パイロット油路42bを介して右作業用パイロットバルブユニット34および左作業用パイロットバルブユニット35に出力され(【0041】)、 右作業用操作レバー19に対する操作量に見合ったパイロット圧よりも低いパイロット圧が生成されるため、ブーム用コントロールバルブ51においては、そのパイロット圧に基づいてバルブスプールが移動制御されて、右作業用操作レバー19への操作量に対応する供給量よりも少ない量の圧油が、ブーム用コントロールバルブ51からブームシリンダ15に供給され(【0042】)、 右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22のみが単独で操作されている状態において、さらに右作業用操作レバー19が追加的に操作された場合、右作業用操作レバー19に対する操作が開始される時点において、既に減圧信号が減圧バルブ33に入力されているため、この状態において、右作業用操作レバー19が追加的に操作されても、走行速度を低下させることなく確保できる(【0044】)、 パワーショベル1。」 (2)甲2 ア 甲2に記載された事項 甲2には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 本発明は、油圧供給源からの作動油を制御バルブで制御して作動装置に供給し、作動油の油圧力により作動装置を作動させるように構成された油圧作動装置に関し、さらに詳細には、複数の作動装置を有して構成される油圧作動装置に関する。 ・・・ 【0008】 本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のアクチュエータによる複数の作動装置の同時作動に対して、他の作動装置の作動速度は遅くなっても、所定の作動装置は操作レバー操作に対応して作動させることが可能な油圧作動装置を提供することを目的とする。」 (イ)「【0015】 【図1】本発明に係る油圧作動装置を搭載して構成されるパワーショベルを示す斜視図である。 【図2】上記パワーショベルの制御系統を示すブロック図である。 【図3】上記パワーショベルの油圧回路図である。 【図4】本発明に係る油圧作動装置による制御結果の一例を示す表である。」 (ウ)「【0023】 以上ここまで、パワーショベル1の構成について説明した。次に、このパワーショベル1において、各操作レバー19~22の操作に応じて、上述した作動を行わせるために、ブームシリンダ15等の油圧アクチュエータを作動させる油圧制御装置の構成について、図2および図3を参照しながら説明する。なお、各操作レバー19~22が上述のように前後もしくは左右に操作されると、その操作方向および操作量に対応する操作信号が出力される構成となっている。 【0024】 ショベル油圧制御ユニット29は、図2に示すように、各操作レバー19~22からの操作信号が入力される制御装置23と、制御装置23により作動制御されて油圧アクチュエータへの作動油の供給制御を行う油圧制御装置24と、エンジンEにより回転駆動されるメイン油圧ポンプ30およびパイロット油圧ポンプ90と、ブームシリンダ15等の油圧アクチュエータへの作動油供給を行う制御バルブ群28とを備える。メイン油圧ポンプ30およびパイロット油圧ポンプ90は、作動油タンク99内の作動油を油圧制御装置24に供給する。油圧制御装置24は、パイロット油圧ポンプ90からの供給油からパイロット圧Ppを作り出して、このパイロット圧Ppを用いて制御バルブ群28の作動制御を行う。 【0025】 制御バルブ群28としては、右走行モータ9Rへの作動油供給制御を行う右走行制御バルブ40、左走行モータ9Lへの作動油供給制御を行う左走行制御バルブ50、ブームシリンダ15への作動油供給制御を行うブーム制御バルブ60、アームシリンダ16への作動油供給制御を行うアーム制御バルブ70、バケットシリンダ17への作動油供給制御を行うバケット制御バルブ80、旋回モータ25への作動油供給制御を行う旋回制御バルブ87、ブレードシリンダ26への作動油供給制御を行うブレード制御バルブ88、および付加アクチュエータ27への作動油供給制御を行う付加アクチュエータ制御バルブ89を有する。付加アクチュエータ27とは、作業に応じてパワーショベル1に追加して搭載される油圧アクチュエータである。 【0026】 図3に、左右走行モータ9L,9R、ブームシリンダ15、アームシリンダ16およびバケットシリンダ17の作動制御を行う構成を例にして、油圧制御装置24の油圧回路構成を示している。このため、図3に示す油圧制御装置24においては、左右走行モータ9L,9Rへの作動油供給制御を行う右および左走行制御バルブ40,50と、ブームシリンダ15への作動油供給制御を行うブーム制御バルブ60と、アームシリンダ16への作動油供給制御を行うアーム制御バルブ70と、バケットシリンダ17への作動油供給制御を行うバケット制御バルブ80を示している。さらに、油圧制御装置24は、メイン油圧ポンプ30の吐出口に繋がるメイン油路31と、メイン油路31の途中に設けられた開度調整バルブ34と、パイロット油圧ポンプ90の吐出口に繋がるパイロット油路91および後述するパイロット制御バルブ群100とを備える。 ・・・ 【0028】 パイロット油圧ポンプ90は固定容量型の油圧ポンプであり、エンジンEにより回転駆動されて、作動油タンク99に貯留された作動油を吸い上げてパイロット油路91に吐出する。パイロット油路91は、パイロット油路ポンプ90の吐出口に繋がる第1パイロット油路92と、この第1パイロット油路92から分岐した第2パイロット油路93と、第3パイロット油路94と、第4パイロット油路95とから構成される。第1パイロット油路92にはパイロット圧調整バルブ96が設けられており、パイロット油路91に供給される油圧をパイロット油圧Ppに調圧する。 ・・・ 【0030】 右走行制御バルブ40は、接続油路32を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油を右走行モータ9Rに供給する制御が行われる。右走行制御バルブ40の左右端部にパイロットポート41a,41bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成する右走行用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。右走行用パイロットバルブは、右走行操作レバー21の操作信号を受けて作動され、その操作方向および操作量に対応するパイロット圧をパイロットポート41a,41bに作用させる。これにより、メイン油路31から接続油路32を介して供給されるメイン油圧ポンプ30からの作動油が、右走行制御バルブ40により供給制御され、右走行操作レバー21の操作に応じた供給方向および供給量で右走行モータ9Rに供給される。この結果、右走行モータ9Rは、右走行操作レバー21の操作方向および操作量に対応した回転方向および回転速度で回転駆動される。 【0031】 右走行制御バルブ40はさらに、パイロット制御部42を備える。パイロット制御部42は、右走行制御バルブ40による右走行モータ9Rへの作動油供給制御作動に応じて、第2パイロット油路93を開放させる開放位置43と、第2パイロット油路93を閉止させる左右の閉止位置44a,44bとに切り換えられる構成となっている。具体的には、右走行操作レバー21が中立位置(非操作位置)で右走行制御バルブ40も中立位置となって右走行モータ9Rへの作動油供給を行わせないときに、パイロット制御部42は開放位置43に位置して第2パイロット油路93をタンク側に開放する。右走行操作レバー21が中立位置から前後いずれかに操作され右走行制御バルブ40により右走行モータ9Rへの作動油供給を行わせてこれを回転駆動するときには、パイロット制御部42は左右いずれかの閉止位置44a,44bに位置して第2パイロット油路93を閉止する。 【0032】 左走行制御バルブ50も右走行制御バルブ40と同様な構成であり、接続油路33を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油を左走行モータ9Lに供給する制御が行われる。左走行制御バルブ50の左右端部に設けられたパイロットポート51a,51bに、パイロット制御バルブ群100を構成する左走行用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。このパイロット圧は、左走行操作レバー22の操作方向および操作量に対応し、左走行制御バルブ50は、メイン油圧ポンプ30からの作動油を、左走行操作レバー22の操作に応じた供給方向および供給量で左走行モータ9Lに供給させる。この結果、左走行モータ9Lは、左走行レバー22の操作方向および操作量に対応した回転方向および回転速度で回転駆動される。 【0033】 左走行制御バルブ50もパイロット制御部52を備える。なお、パイロット制御部42および52は、第2パイロット油路93に直列配置されている。パイロット制御部52は、左走行制御バルブ50の作動に応じて、第2パイロット油路93を開放させる開放位置53と、第2パイロット油路93を閉止させる左右の閉止位置54a,54bとに切り換えられる。これにより、左走行操作レバー22が中立位置(非操作位置)で左走行モータ9Lを駆動させないときに、パイロット制御部52は開放位置53に位置して第2パイロット油路93をタンク側に開放する。左走行操作レバー22が中立位置から前後いずれかに操作され左走行モータ9Lを回転駆動するときには、パイロット制御部52は左右いずれかの閉止位置54a,54bに位置して第2パイロット油路93を閉止する。 【0034】 ブーム制御バルブ60は、接続油路37を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油をブームシリンダ15に供給する制御が行われる。ブーム制御バルブ60の左右端部にもパイロットポート61a,61bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成するブーム用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。ブーム用パイロットバルブは、右作業操作レバー19の前後傾動操作信号を受けて作動され、その操作方向および操作量に対応するパイロット圧をパイロットポート61a,61bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、ブーム制御バルブ60により供給制御され、右作業操作レバー19の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量でブームシリンダ15に供給される。この結果、ブームシリンダ15は、右作業操作レバー19の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動される。 【0035】 ブーム制御バルブ60もパイロット制御部62を備える。パイロット制御部62は、ブーム制御バルブ60の作動に応じて、第3パイロット油路94を開放させる開放位置63と、第3パイロット油路94を閉止させる左右の閉止位置64a,64bとに切り換えられる。これにより、右作業操作レバー19が前後方向に中立位置(非操作位置)でブームシリンダ15を作動させないときに、パイロット制御部62は開放位置63に位置して第3パイロット油路94をタンク側に開放する。右作業操作レバー19が中立位置から前後いずれかに揺動操作されブームシリンダ15を伸縮作動させるときには、パイロット制御部62は左右いずれかの閉止位置64a,64bに位置して第3パイロット油路94を閉止する。 【0036】 アーム制御バルブ70は、接続油路38を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油をアームシリンダ16に供給する制御が行われる。アーム制御バルブ70の左右端部にもパイロットポート71a,71bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成するアーム用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。アーム用パイロットバルブは、左作業操作レバー20の前後傾動操作信号を受けて作動され、その操作方向および操作量に対応するパイロット圧をパイロットポート71a,71bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、アーム制御バルブ70により供給制御され、左作業操作レバー20の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量でアームシリンダ16に供給される。この結果、アームシリンダ16は、左作業操作レバー20の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動される。 【0037】 アーム制御バルブ70もパイロット制御部72を備える。なお、パイロット制御部62および72は、第3パイロット油路94に直列配置されている。パイロット制御部72は、アーム制御バルブ70の作動に応じて、第3パイロット油路94を開放させる開放位置73と、第3パイロット油路94を閉止させる左右の閉止位置74a,74bとに切り換えられる。これにより、左作業操作レバー20が前後方向に中立位置(非操作位置)でアームシリンダ16を作動させないときに、パイロット制御部72は開放位置73に位置して第3パイロット油路94をタンク側に開放する。左作業操作レバー20が中立位置から前後いずれかに揺動操作されアームシリンダ16を伸縮作動させるときには、パイロット制御部72は左右いずれかの閉止位置74a,74bに位置して第3パイロット油路94を閉止する。 【0038】 バケット制御バルブ80は、接続油路39を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油をバケットシリンダ17に供給する制御が行われる。バケット制御バルブ80の左右端部にもパイロットポート81a,81bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成するバケット用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用する。バケット用パイロットバルブは、右作業操作レバー19の左右傾動操作信号を受けて作動され、その操作方向および操作量に対応するパイロット圧をパイロットポート81a,81bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、バケット制御バルブ80により供給制御され、右作業操作レバー19の左右傾動操作に応じた供給方向および供給量でバケットシリンダ17に供給される。この結果、バケットシリンダ17は、右作業操作レバー19の左右傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動される。 【0039】 バケット制御バルブ80もパイロット制御部82を備える。なお、パイロット制御部62、72および82は、第3パイロット油路94に直列配置されている。パイロット制御部82は、バケット制御バルブ80の作動に応じて、第3パイロット油路94を開放させる開放位置83と、第3パイロット油路94を閉止させる左右の閉止位置84a,84bとに切り換えられる。これにより、右作業操作レバー19が左右方向に中立位置(非操作位置)でバケットシリンダ17を作動させないときに、パイロット制御部82は開放位置83に位置して第3パイロット油路94をタンク側に開放する。右作業操作レバー19が中立位置から左右いずれかに揺動操作されバケットシリンダ17を伸縮作動させるときには、パイロット制御部82は左右いずれかの閉止位置84a,84bに位置して第3パイロット油路94を閉止する。」 (エ)「【0040】 図3には図示しないが、ブーム制御バルブ60、アーム制御バルブ70およびバケット制御バルブ80と同様に構成される旋回制御バルブ87、ブレード制御バルブ88および付加アクチュエータ制御バルブ89が、図3におけるメイン油路31の右側(下流側)に繋がって設けられている。これら旋回制御バルブ87、ブレード制御バルブ88および付加アクチュエータ制御バルブ89もそれぞれパイロット制御部を第3パイロット油路94内に直列に設けられている。これにより、操作レバーの操作等による旋回作動、ブレード作動、付加アクチュエータ作動が行われるときに、第3パイロット油路94を閉止する構成となっている。 【0041】 開度調整バルブ34は、メイン油路31における接続油路33の分岐部と接続油路37の分岐部との間に配設されている。開度調整バルブ34は、第4パイロット油路95に供給されるパイロット圧に応じて作動され、メイン油路31を開放させる開口面積を設定する開放位置35と、この開放位置35で設定される開口面積よりも小さな開口面積を設定する絞り位置36とに切り換えられる。このため、開度調整バルブ34には第4パイロット油路95を介してパイロット油路91内の作動油圧が入力されるパイロットポート34aが設けられている。 【0042】 上述のように、第2パイロット油路93および第3パイロット油路94は、左右の走行制御バルブ40,50、ブーム制御バルブ60、アーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80、旋回制御バルブ87、ブレード制御バルブ88および付加アクチュエータ制御バルブ89に設けられたパイロット制御部により開閉制御される。この開閉制御により第2パイロット油路93および第3パイロット油路94の少なくともいずれか一方が開放されてタンクに連通する状態のときには、パイロットポート34aから開度調整バルブ34に作用する第4パイロット油路95のパイロット圧は低圧となる。この結果、パイロットポート34aの反対側に設けられた圧縮ばね34bによる押圧力を受けて開度調整バルブ34は開放位置35に保持される。一方、第2パイロット油路93および第3パイロット油路94がともに閉止された状態のときには、第4パイロット油路95内の油圧はパイロット圧調整バルブ96により調圧された所定パイロット圧となり、この所定パイロット圧がパイロットポート34aに作用し、圧縮ばね34bによる押圧力に抗して開度調整バルブ34は絞り位置36に移動される。 【0043】 以上、パワーショベル1の油圧制御装置の構成について説明したが、次に、操作レバーの操作に対する油圧制御装置による作動制御について説明する。パワーショベル1は、オペレータキャビン8に搭乗したオペレータが、左右の作業操作レバー19,20、左右の走行操作レバー21,22等を操作してその作動が制御される。そこでまず、いずれか一つのレバー操作のみが行われる、単動作動制御の場合について説明する。 【0044】 まず、右作業操作レバー19を前後に傾動操作することにより、ブーム12を上下起伏揺動させる場合の制御について説明する。前述のように、右作業操作レバー19を前後に傾動操作すると、その傾動操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23はブーム用パイロットバルブの作動を制御し、レバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧をブーム制御バルブ60のパイロットポート61a,61bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、ブーム制御バルブ60により供給制御され、右作業操作レバー19の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量でブームシリンダ15に供給される。この結果、ブームシリンダ15は、右作業操作レバー19の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動され、ブーム12が右作業操作レバー19の前後傾動操作に対応して作動する。 【0045】 このようにブーム制御バルブ60が作動されると、パイロット制御部62はいずれかの閉止位置64a,64bに位置し、第3パイロット油路94が閉止される。ところが、他の操作は行われていない状態であるため、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52は開放位置43,53に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60に供給される。 【0046】 左作業操作レバー20を前後に傾動操作してアーム13を上下に屈伸揺動させる場合および右作業操作レバー19を左右に傾動操作してバケット14を上下に掘削揺動させる場合の制御は、上述した右作業操作レバー19の前後に傾動操作によりブーム12を上下起伏揺動させる場合の制御と同様である。すなわち、各レバー操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23はパイロット制御バルブ群100を構成する各パイロットバルブの作動を制御し、レバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧をアーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80に作用させ、これらの作動制御を行う。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、各操作レバー操作に応じた供給方向および供給量でアームシリンダ16,バケットシリンダ17に供給され、アーム13およびバケット14の作動が制御される。 【0047】 なお、このようにアーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80のいずれかが単独作動された場合においても、パイロット制御部72もしくは82により第3パイロット油路94が閉止される。ところが、この場合も他の操作は行われていない状態であるため、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52は開放位置43,53に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくアーム制御バルブ70またはバケット制御バルブ80に供給される。 【0048】 次に、左右いずれかの走行操作レバー21,22が操作された場合の作動制御を説明する。例えば、右走行操作レバー21を前後に傾動操作すると、その傾動操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23は右走行用パイロットバルブの作動を制御し、レバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧を右走行制御バルブ40のパイロットポート41a,41bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、右走行制御バルブ40により供給制御され、右走行操作レバー21の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量で右走行モータ9Rに供給される。この結果、右走行モータ9Rは、右走行操作レバー21の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で回転駆動され、右走行機構3が走行駆動される。 【0049】 このように右走行制御バルブ40が作動されると、パイロット制御部42はいずれかの閉止位置44a,44bに位置し、第2パイロット油路93が閉止される。ところが、他の操作は行われていない状態であるため、第3パイロット油路94上に位置するブーム制御バルブ60等、全ての制御バルブのパイロット制御部62等は開放位置63等に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60側にも供給される状態となっている。 【0050】 左走行操作レバー22を前後に傾動操作する場合も上記と同様に作動制御される。すなわち、左走行操作レバー22の傾動操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23によりレバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧を左走行制御バルブ50のパイロットポート51a,51bに作用させる。これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、左走行制御バルブ50により供給制御され、左走行操作レバー22の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量で左走行モータ9Lに供給される。この結果、左走行モータ9Lは、左走行操作レバー22の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で回転駆動され、左走行機構3が走行駆動される。 【0051】 このように左走行制御バルブ50が作動されると、パイロット制御部52はいずれかの閉止位置54a,54bに位置し、第2パイロット油路93が閉止される。ところが、他の操作は行われていない状態であるため、第3パイロット油路94上に位置するブーム制御バルブ60等、全ての制御バルブのパイロット制御部62等は開放位置63等に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60側にも供給される状態となっている。」 (オ)「【0053】 次に、複数の操作レバーを同時操作する場合について説明する。まず、ブーム12の上下倒伏揺動制御操作(右作業操作レバー19の前後傾動操作)、アーム13の上下屈伸揺動制御操作(左作業操作レバー20の前後傾動操作)、バケット14の上下掘削揺動制御操作(右作業操作レバー19の左右傾動操作)を複数同時に操作する場合を考える。この場合には、複数操作された操作信号が制御装置23に送られ、これら複数の操作信号に対応して対応する制御バルブが駆動制御され、対応する油圧アクチュエータが同時作動される。このため、複数の油圧アクチュエータに作動油が同時供給され、単動作動の場合に較べて多くの作動油量が必要となる。この場合において、メイン油圧ポンプ30からの供給油量が、複数のレバー操作による複動作動に必要とされる油量より多いときには何ら支障ないが、少ないときには、レバー操作量に比例して油量配分がなされ、アクチュエータ作動が遅くなる。このように、ブーム12、アーム13、バケット14の作動や、旋回台6の旋回作動を複数同時に行わせる場合、各操作レバーの操作量によってはメイン油圧ポンプ30からの供給油量が要求量より少ない場合が生じる。この場合には、各操作レバーの操作量に比例した油量配分に応じて各作動速度を遅くする制御が行われる。 【0054】 このようにブーム制御バルブ60、アーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80等が複数同時作動された場合には、パイロット制御部62、72、82により第3パイロット油路94が閉止される。ところが、この場合に左右の走行操作レバー21,22の操作が行われていなければ、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52は開放位置43,53に位置し、タンク側に開放されている。このため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60等に供給される。 【0055】 次に、左右の走行操作レバー21,22の操作と、ブーム12の上下倒伏揺動制御操作(右作業操作レバー19の前後傾動操作)、アーム13の上下屈伸揺動制御操作(左作業操作レバー20の前後傾動操作)、バケット14の上下掘削揺動制御操作(右作業操作レバー19の左右傾動操作)のいずれかもしくは複数とを同時に操作する場合を考える。この場合にも、各レバー操作に応じた操作信号が制御装置23に送られ、これら複数の操作信号に対応して対応する制御バルブが駆動制御され、対応する油圧アクチュエータが同時作動される。 【0056】 但し、この場合には、左右の走行操作レバー21,22の操作が行われているため、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52の少なくともいずれかは閉止位置44a,44b,54a,54bに位置し、第2パイロット油路93が閉止される。さらに、ブーム制御バルブ60、アーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80等のいずれかも同時作動されているので、パイロット制御部62、72、82のいずれかにより第3パイロット油路94も閉止される。すなわち、第2および第3パイロット油路93,94がともに閉止され、この結果、第4パイロット油路95内の油圧はパイロット調整バルブ96により調整される所定のパイロット圧となる。この所定パイロット圧は開度調整バルブ34のパイロットポート34aに作用し、開度調整バルブ34は絞り位置36に位置する。 【0057】 このような開度調整バルブ34の作動により、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油は、メイン油路31における開度調整バルブ34より上流側で分岐する接続油路32および33には支障なく供給されるが、開度調整バルブ34より下流側には絞り位置36に設けられた絞りにより制限されて供給されることとなる。 【0058】 この結果、左右の走行操作レバー21,22の操作に対応して左右油圧モータ9R,9Lの回転駆動制御は行われるが、ブーム12の上下倒伏揺動制御操作(右作業操作レバー19の前後傾動操作)、アーム13の上下屈伸揺動制御操作(左作業操作レバー20の前後傾動操作)、バケット14の上下掘削揺動制御操作(右作業操作レバー19の左右傾動操作)に対しては、開度調整バルブ34により絞られて供給される作動油量に対応した速度での作動が行われる。 【0059】 このため、走行装置4を走行させるレバー操作と、ブーム12やアーム13等を作動させるレバー操作とが同時に行われるときに、ブーム12やアーム13等の作動速度がレバー操作に対応する作動速度よりも遅くなることは許容しても、走行装置4をレバー操作に対応する走行速度で走行させたいという要求を満たすことができる。なお、これとは反対に、走行装置4の走行速度がレバー操作に対応する走行速度よりも遅くなることは許容しても、ブーム12やアーム13等をレバー操作に対応する作動速度で作動させたいという要求を満たす場合には、ブーム12やアーム13等に対応する制御バルブ60,70等を開度調整バルブ34の上流側でメイン油路31に接続し、左右の走行制御バルブ40,50を開度調整バルブ34の下流側でメイン油路31に接続すれば良い。 【0060】 以下においては、開度調整バルブ34を開放位置35から絞り位置36に切り換えて作動油を供給する効果を、図4を参照しながら、2つの油圧アクチュエータ(第1および第2アクチュエータ)を同時に作動させる場合を想定して説明する。なお、図4においては、開度調整バルブ34よりも上流側でメイン油路31に接続された油圧アクチュエータを第1アクチュエータとし、開度調整バルブ34よりも下流側でメイン油路31に接続された油圧アクチュエータを第2アクチュエータとしている。また、レバー操作量(10)のときに供給量(10)の作動油が供給されると、レバー操作量に対応した速度で油圧アクチュエータが作動されるものとする。また、メイン油圧ポンプから、吐出量(15)の作動油が吐出される場合を想定する。 【0061】 図4に示すように、第1および第2アクチュエータをそれぞれレバー操作量(10)で同時に作動させる場合に、第1および第2アクチュエータのそれぞれに供給量(10)の作動油を供給できれば、レバー操作量に対応した速度で作動させることができる。このためには、メイン油圧ポンプから供給量(20)の作動油を吐出させる必要があるが、この例では供給量(15)の作動油しか吐出されていないので、供給量(5)だけ作動油が不足する。このような場合、開度調整バルブ34を備えない従来の油圧制御装置では、レバー操作量に応じて作動油が分配されて、第1および第2アクチュエータのそれぞれに供給量(7.5)の作動油が供給されていた。このため、第1および第2アクチュエータのどちらも、レバー操作量に対応した速度よりも遅い速度でしか作動させることができなかった。 【0062】 これに対して、本発明に係るパワーショベル1は、開度調整バルブ34を備えて油圧制御装置24が構成されるので、レバー操作量(10)に対応した供給量(10)の作動油を第1アクチュエータに優先的に供給することができ、レバー操作量(10)に対応した速度で第1アクチュエータを作動させることができる。一方、第1アクチュエータに供給量(10)の作動油が供給され、その残りの供給量(5)の作動油が第2アクチュエータに供給されるので、第2アクチュエータは、レバー操作量に対応した速度よりも遅い速度で作動される。この油圧制御装置24による作動制御は、第1および第2アクチュエータを同時に作動させる場合であって、例えば第1アクチュエータについては単独で作動させる場合と同様の作動速度を確保したいが、第2アクチュエータについては単独で作動させる場合よりも作動速度が遅くても構わないような場合に、特に有効である。 【0063】 上述の実施形態では、第4パイロット油路95のパイロット圧を開度調整バルブ34のパイロットポート34aに作用させて、開放位置35から絞り位置36に切り換える構成を例示して説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えばレバー操作を電気的に検出する構成を採用し、右走行モータ9Rおよび左走行モータ9Lの少なくとも一方と、残りの油圧アクチュエータの少なくともいずれかとを同時に作動させるレバー操作が電気的に検出された場合に、開度調整バルブ34を電気的に制御して開放位置35から絞り位置36に切り換えるように構成しても良い。 【0064】 また、上記のレバー操作を電気的に検出する構成を基にして、以下のような制御を行うことも可能である。すなわち、各操作レバーにおけるレバー操作量を合計した合計値(要求作動油量)が、メイン油圧ポンプ30における単位時間当たりの吐出量を下回る場合には、開度調整バルブ34を電気的に制御して開放位置35に維持し、一方、上記合計値が、メイン油圧ポンプ30の吐出量を上回る場合には、開度調整バルブ34を電気的に制御して絞り位置36に切り換えるように構成しても良い。 【0065】 さらに、上述の実施形態では、開放位置35と絞り位置36とに切り換え可能な開度調整バルブ34を例示したが、例えば開口面積を異ならせた複数段(2段、3段以上、または無段階)の絞り位置を備えた構成としても良い。この複数段の絞り位置を備えた開度調整バルブを用いる場合、上記合計値がメイン油圧ポンプ30の吐出量を上回るときに、その上回る程度に応じて段階的に開口面積が小さくなるように、絞り位置を切り換える制御を行うことが好ましい。 【0066】 上述の実施形態では、複数の油圧アクチュエータを同時に作動させるレバー操作が行われるときに、走行装置4の走行速度を確保できる構成を例示して説明したが、この構成は本発明の一例であって、本発明はこの構成に限定されるものではない。複数の油圧アクチュエータを同時に作動させるレバー操作が行われるときに、例えば付加アクチュエータ27の作動速度を確保できるように構成するためには、図3に示す油圧制御装置24において、右走行制御バルブ40および左走行制御バルブ50を開度調整バルブ34の下流側においてメイン油路31に接続し、付加アクチュエータ制御バルブ89を開度調整バルブ34の上流側においてメイン油路31に接続することで構成できる。 【0067】 上述の実施形態では、可変容量型のメイン油圧ポンプ30を用いた構成例を説明したが、可変容量型の油圧ポンプの代わりに固定容量型の油圧ポンプを用いても良い。 【0068】 本発明は、上述した実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜改良可能である。例えば、上述の実施形態においては、エンジンEを駆動源として搭載するパワーショベル1に本発明を適用した例について説明したが、エンジンEに代えて電動モータを駆動源として搭載するパワーショベルにも本発明を適用可能である。 【0069】 上述の実施形態では、本発明をクローラ型のパワーショベル1に適用した例について説明したが、本発明はクローラ型のパワーショベルに限定して適用されるものではなく、例えばホイール型のパワーショベルやショベルローダ等の他の油圧駆動式機械にも適用可能である。」 (カ)図3 「 [図:0001431146000002.jpg] 」 イ 甲2技術事項 上記アから甲2には、次の技術事項(以下、「甲2技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲2技術事項) 「作動油の油圧力により作動装置を作動させるように構成された油圧作動装置において(【0001】)、 ショベル油圧制御ユニット29を有し、 ショベル油圧制御ユニット29は、各操作レバー19~22からの操作信号が入力される制御装置23と、制御装置23により作動制御されて油圧アクチュエータへの作動油の供給制御を行う油圧制御装置24と、エンジンEにより回転駆動されるメイン油圧ポンプ30およびパイロット油圧ポンプ90と、ブームシリンダ15等の油圧アクチュエータへの作動油供給を行う制御バルブ群28とを備え、メイン油圧ポンプ30およびパイロット油圧ポンプ90は、作動油タンク99内の作動油を油圧制御装置24に供給し、油圧制御装置24は、パイロット油圧ポンプ90からの供給油からパイロット圧Ppを作り出して、このパイロット圧Ppを用いて制御バルブ群28の作動制御を行い(【0024】)、 油圧制御装置24においては、左右走行モータ9L,9Rへの作動油供給制御を行う右および左走行制御バルブ40,50と、ブームシリンダ15への作動油供給制御を行うブーム制御バルブ60と、アームシリンダ16への作動油供給制御を行うアーム制御バルブ70と、バケットシリンダ17への作動油供給制御を行うバケット制御バルブ80を備え、さらに、メイン油圧ポンプ30の吐出口に繋がるメイン油路31と、メイン油路31の途中に設けられた開度調整バルブ34と、パイロット油圧ポンプ90の吐出口に繋がるパイロット油路91およびパイロット制御バルブ群100とを備え(【0026】)、 パイロット油路91は、パイロット油路ポンプ90の吐出口に繋がる第1パイロット油路92と、この第1パイロット油路92から分岐した第2パイロット油路93と、第3パイロット油路94と、第4パイロット油路95とから構成され(【0028】)、 右走行制御バルブ40は、接続油路32を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油を右走行モータ9Rに供給する制御が行われ、右走行制御バルブ40の左右端部にパイロットポート41a,41bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成する右走行用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用し(【0030】)、 右走行制御バルブ40はさらに、パイロット制御部42を備え、パイロット制御部42は、右走行制御バルブ40による右走行モータ9Rへの作動油供給制御作動に応じて、第2パイロット油路93を開放させる開放位置43と、第2パイロット油路93を閉止させる左右の閉止位置44a,44bとに切り換えられる構成となっており、具体的には、右走行操作レバー21が中立位置(非操作位置)で右走行制御バルブ40も中立位置となって右走行モータ9Rへの作動油供給を行わせないときに、パイロット制御部42は開放位置43に位置して第2パイロット油路93をタンク側に開放し、右走行操作レバー21が中立位置から前後いずれかに操作され右走行制御バルブ40により右走行モータ9Rへの作動油供給を行わせてこれを回転駆動するときには、パイロット制御部42は左右いずれかの閉止位置44a,44bに位置して第2パイロット油路93を閉止し(【0031】)、 左走行制御バルブ50も右走行制御バルブ40と同様な構成であり、接続油路33を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油を左走行モータ9Lに供給する制御が行われ、左走行制御バルブ50の左右端部に設けられたパイロットポート51a,51bに、パイロット制御バルブ群100を構成する左走行用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用し(【0032】)、 左走行制御バルブ50もパイロット制御部52を備え(【0033】)、 パイロット制御部42および52は、第2パイロット油路93に直列配置されていて、左走行操作レバー22が中立位置(非操作位置)で左走行モータ9Lを駆動させないときに、パイロット制御部52は開放位置53に位置して第2パイロット油路93をタンク側に開放し、左走行操作レバー22が中立位置から前後いずれかに操作され左走行モータ9Lを回転駆動するときには、パイロット制御部52は左右いずれかの閉止位置54a,54bに位置して第2パイロット油路93を閉止し(【0033】)、 ブーム制御バルブ60は、接続油路37を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油をブームシリンダ15に供給する制御が行われ、ブーム制御バルブ60の左右端部にもパイロットポート61a,61bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成するブーム用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用し、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、ブーム制御バルブ60により供給制御され、右作業操作レバー19の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量でブームシリンダ15に供給され、この結果、ブームシリンダ15は、右作業操作レバー19の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動され(【0034】)、 ブーム制御バルブ60が備えるパイロット制御部62は、ブーム制御バルブ60の作動に応じて、第3パイロット油路94を開放させる開放位置63と、第3パイロット油路94を閉止させる左右の閉止位置64a,64bとに切り換えられ、これにより、右作業操作レバー19が前後方向に中立位置(非操作位置)でブームシリンダ15を作動させないときに、パイロット制御部62は開放位置63に位置して第3パイロット油路94をタンク側に開放し、右作業操作レバー19が中立位置から前後いずれかに揺動操作されブームシリンダ15を伸縮作動させるときには、パイロット制御部62は左右いずれかの閉止位置64a,64bに位置して第3パイロット油路94を閉止し(【0035】)、 アーム制御バルブ70は、接続油路38を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油をアームシリンダ16に供給する制御が行われ、アーム制御バルブ70の左右端部にもパイロットポート71a,71bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成するアーム用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用し(【0036】)、 アーム制御バルブ70もパイロット制御部72を備え、左作業操作レバー20が前後方向に中立位置(非操作位置)でアームシリンダ16を作動させないときに、パイロット制御部72は開放位置73に位置して第3パイロット油路94をタンク側に開放し、左作業操作レバー20が中立位置から前後いずれかに揺動操作されアームシリンダ16を伸縮作動させるときには、パイロット制御部72は左右いずれかの閉止位置74a,74bに位置して第3パイロット油路94を閉止し(【0037】)、 バケット制御バルブ80は、接続油路39を介してメイン油路31に接続されており、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油をバケットシリンダ17に供給する制御が行われ、バケット制御バルブ80の左右端部にもパイロットポート81a,81bが設けられており、ここに、パイロット制御バルブ群100を構成するバケット用パイロットバルブから供給されるパイロット圧が作用し(【0038】)、 バケット制御バルブ80もパイロット制御部82を備え、右作業操作レバー19が左右方向に中立位置(非操作位置)でバケットシリンダ17を作動させないときに、パイロット制御部82は開放位置83に位置して第3パイロット油路94をタンク側に開放し、右作業操作レバー19が中立位置から左右いずれかに揺動操作されバケットシリンダ17を伸縮作動させるときには、パイロット制御部82は左右いずれかの閉止位置84a,84bに位置して第3パイロット油路94を閉止し(【0039】)、 開度調整バルブ34は、メイン油路31における接続油路33の分岐部と接続油路37の分岐部との間に配設されていて、第4パイロット油路95に供給されるパイロット圧に応じて作動され、メイン油路31を開放させる開口面積を設定する開放位置35と、この開放位置35で設定される開口面積よりも小さな開口面積を設定する絞り位置36とに切り換えられ(【0041】)、 第2パイロット油路93および第3パイロット油路94は、パイロット制御部により開閉制御されるものであり、この開閉制御により第2パイロット油路93および第3パイロット油路94の少なくともいずれか一方が開放されてタンクに連通する状態のときには、パイロットポート34aから開度調整バルブ34に作用する第4パイロット油路95のパイロット圧は低圧となり、この結果、パイロットポート34aの反対側に設けられた圧縮ばね34bによる押圧力を受けて開度調整バルブ34は開放位置35に保持され、一方、第2パイロット油路93および第3パイロット油路94がともに閉止された状態のときには、第4パイロット油路95内の油圧はパイロット圧調整バルブ96により調圧された所定パイロット圧となり、この所定パイロット圧がパイロットポート34aに作用し、圧縮ばね34bによる押圧力に抗して開度調整バルブ34は絞り位置36に移動され(【0042】)、 右作業操作レバー19を前後に傾動操作すると、その傾動操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23はブーム用パイロットバルブの作動を制御し、レバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧をブーム制御バルブ60のパイロットポート61a,61bに作用させ、これにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、ブーム制御バルブ60により供給制御され、右作業操作レバー19の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量でブームシリンダ15に供給され、この結果、ブームシリンダ15は、右作業操作レバー19の前後傾動操作方向および操作量に対応した方向および速度で伸縮作動され、ブーム12が右作業操作レバー19の前後傾動操作に対応して作動するものであり(【0044】)、 このようにブーム制御バルブ60が作動されると、パイロット制御部62はいずれかの閉止位置64a,64bに位置し、第3パイロット油路94が閉止されるが、他の操作は行われていない状態であるため、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52は開放位置43,53に位置し、タンク側に開放され、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60に供給されていて(【0045】)、 このようにアーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80のいずれかが単独作動された場合において、パイロット制御部72もしくは82により第3パイロット油路94が閉止されるところ、この場合も他の操作は行われていない状態であると、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52は開放位置43,53に位置し、タンク側に開放されているため、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくアーム制御バルブ70またはバケット制御バルブ80に供給され(【0047】)、 次に、右走行操作レバー21を前後に傾動操作すると、その傾動操作信号が制御装置23に送られ、制御装置23は右走行用パイロットバルブの作動を制御し、レバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧を右走行制御バルブ40のパイロットポート41a,41bに作用させることにより、メイン油圧ポンプ30からの作動油が、右走行制御バルブ40により供給制御され、右走行操作レバー21の前後傾動操作に応じた供給方向および供給量で右走行モータ9Rに供給され、右走行制御バルブ40が作動されると、パイロット制御部42はいずれかの閉止位置44a,44bに位置し、第2パイロット油路93が閉止されるが、他の操作は行われていない状態であるため、第3パイロット油路94上に位置するブーム制御バルブ60等、全ての制御バルブのパイロット制御部62等は開放位置63等に位置し、タンク側に開放されていて、第4パイロット油路95内のパイロット圧は低く、開度調整バルブ34は開放位置35に位置し、メイン油圧ポンプ30からの吐出油は、メイン油路31を介して支障なくブーム制御バルブ60側にも供給される状態となっていて(【0048】、【0049】)、 次に、左右の走行操作レバー21,22の操作と、ブーム12の上下倒伏揺動制御操作(右作業操作レバー19の前後傾動操作)、アーム13の上下屈伸揺動制御操作(左作業操作レバー20の前後傾動操作)、バケット14の上下掘削揺動制御操作(右作業操作レバー19の左右傾動操作)のいずれかもしくは複数とを同時に操作する場合には、左右の走行操作レバー21,22の操作が行われているため、第2パイロット油路93上に位置する左右の走行制御バルブ40,50のパイロット制御部42,52の少なくともいずれかは閉止位置44a,44b,54a,54bに位置し、第2パイロット油路93が閉止され、さらに、ブーム制御バルブ60、アーム制御バルブ70、バケット制御バルブ80等のいずれかも同時作動されているので、パイロット制御部62、72、82のいずれかにより第3パイロット油路94も閉止され、すなわち、第2および第3パイロット油路93,94がともに閉止され、この結果、第4パイロット油路95内の油圧はパイロット調整バルブ96により調整される所定のパイロット圧となるものであり、この所定パイロット圧は開度調整バルブ34のパイロットポート34aに作用し、開度調整バルブ34は絞り位置36に位置し(【0055】、【0056】)、 このような開度調整バルブ34の作動により、メイン油圧ポンプ30から供給される作動油は、メイン油路31における開度調整バルブ34より上流側で分岐する接続油路32および33には支障なく供給されるが、開度調整バルブ34より下流側には絞り位置36に設けられた絞りにより制限されて供給されることとなり、左右の走行操作レバー21,22の操作に対応して左右油圧モータ9R,9Lの回転駆動制御は行われるが、ブーム12の上下倒伏揺動制御操作(右作業操作レバー19の前後傾動操作)、アーム13の上下屈伸揺動制御操作(左作業操作レバー20の前後傾動操作)、バケット14の上下掘削揺動制御操作(右作業操作レバー19の左右傾動操作)に対しては、開度調整バルブ34により絞られて供給される作動油量に対応した速度での作動が行われ(【0057】、【0058】)、 走行装置4を走行させるレバー操作と、ブーム12やアーム13等を作動させるレバー操作とが同時に行われるときに、ブーム12やアーム13等の作動速度がレバー操作に対応する作動速度よりも遅くなることは許容しても、走行装置4をレバー操作に対応する走行速度で走行させたいという要求を満たすことができ(【0059】)、 レバー操作を電気的に検出する構成を採用し、右走行モータ9Rおよび左走行モータ9Lの少なくとも一方と、残りの油圧アクチュエータの少なくともいずれかとを同時に作動させるレバー操作が電気的に検出された場合に、開度調整バルブ34を電気的に制御して開放位置35から絞り位置36に切り換えるように構成しても良い(【0063】)、 こと。」 (3)甲3 ア 甲3に記載された事項 甲3には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 本発明は、作業車両の油圧回路に関する。 ・・・ 【0014】 <第1実施形態> 図1は、第1実施形態に係る油圧回路100を示している。油圧回路100は、第1アクチュエータ11と、第2アクチュエータ12と、油圧ポンプ13と、パイロットポンプ14と、第1方向切換弁15と、第2方向切換弁16と、第1操作装置17と、第2操作装置18と、を備えている。 【0015】 第1アクチュエータ11は、油圧ポンプ13から供給された圧油により駆動される油圧モータである。第2アクチュエータ12は、油圧ポンプ13から供給された圧油により駆動される油圧シリンダである。ただし、第1アクチュエータ11は油圧シリンダでもよく、また、第2アクチュエータ12は油圧モータでもよい。 【0016】 油圧ポンプ13は、不図示のエンジンによって駆動され、圧油を吐出する。油圧ポンプ13から吐出された圧油は、油路13a、油路13bを介して第1方向切換弁15及び第2方向切換弁16へと供給される。なお、図1では、油圧ポンプ13から第1アクチュエータ11及び第2アクチュエータ12に供給される圧油の油路を実線で示している。 【0017】 第1方向切換弁15は、第1アクチュエータ11に供給される圧油の向きを切り換え流量を調節することが可能なパイロット式の方向切換弁である。第2方向切換弁16は、第2アクチュエータ12に供給される圧油の向きを切り換え流量を調節することが可能なパイロット式の方向切換弁である。 【0018】 パイロットポンプ14は、第1方向切換弁15及び第2方向切換弁16へ入力される指令としてのパイロット圧油を吐出する。なお、図1では、パイロットポンプ14から第1方向切換弁15及び第2方向切換弁16に供給されるパイロット圧油の油路を破線で示している。パイロットポンプ14は、第1方向切換弁15及び第2方向切換弁16に付与されるパイロット圧を発生させる。パイロットポンプ14は、不図示のエンジンによって駆動され、圧油を吐出することにより、油路14a内にパイロット圧を発生させる。油路14aは、油路14b,14c,14d,14eに分岐されている。」 (イ)「【0029】 第1操作装置17は、第1方向切換弁15に供給されるパイロット圧油の向きと圧力を切り換えるための第1リモコン弁170を有する。第1リモコン弁170は、油路14dに接続される。また、第1リモコン弁170は、油路17a及び油路17bを介して第1方向切換弁15のパイロットポート15a及びパイロットポート15bにそれぞれ接続される。第1リモコン弁170は、油路14dを介してパイロットポンプ14から供給される圧油を、パイロット用の圧油として第1方向切換弁15に供給する。第1操作装置17を操作することにより、第1方向切換弁15を切り換え、第1アクチュエータ11に供給される圧油の向きを切り換え流量を調節することができる。 【0030】 第2操作装置18は、第2方向切換弁16に供給されるパイロット圧油の向きと圧力を切り換えるための第2リモコン弁180を有する。第2リモコン弁180は、油路14eに接続される。また、第2リモコン弁180は、油路18a及び油路18bを介して第2方向切換弁16のパイロットポート16a及びパイロットポート16bにそれぞれ接続される。第2リモコン弁180は、油路14eを介してパイロットポンプ14から供給される圧油を、パイロット用の圧油として第2方向切換弁16に供給する。第2操作装置18を操作することにより、第2方向切換弁16を切り換え、第2アクチュエータ12に供給される圧油の向きを切り換え流量を調節することができる。 【0031】 第2リモコン弁180とパイロットポンプ14との間の油路14eには、電磁式減圧弁19(圧力制御装置の一例)が設けられている。電磁式減圧弁19は、パイロットポンプ14から吐出されて第2リモコン弁180に供給されるパイロット圧油の1次圧力を制御することができる。電磁式減圧弁19は、入力される電流の大きさに応じて圧力を制御することができる。 【0032】 油圧回路100は、電磁式減圧弁19に制御指令を発信するECU10(制御指令発信装置の一例)を備えている。ECU10は、第1操作装置17及び第2操作装置18の操作に応じて制御指令を発信する。ECU10は、第1圧力スイッチ141からの検出信号を受信することで第1操作装置17が操作されていると判定し、第2圧力スイッチ142からの検出信号を受信することで第2操作装置18が操作されていると判定することができる。 【0033】 次に、ECU10による電磁式減圧弁19の制御について、図2を用いて説明する。図2は、第2リモコン弁180に供給されるパイロット圧油の1次圧力を制御する様子を示している。 【0034】 ECU10は、第1操作装置17が操作されると(図2の時間A)、電磁式減圧弁19に対してパイロット圧油の1次圧力を基準圧から第1指令圧に減圧し、第1操作装置17が操作されている間(図2の時間A~B)は、電磁式減圧弁19に対してパイロット圧油の1次圧力を第1指令圧に保持する第1指令を発信する。なお、基準圧とは、パイロットポンプ14から吐出される圧油の圧力である。 【0035】 次いで、ECU10は、第1操作装置17が操作された状態から第2操作装置18が操作されると(図2の時間B)、電磁式減圧弁19に対してパイロット圧油の1次圧力を第1指令圧から第2指令圧に漸増させる第2指令を発信する。第2指令圧は、第1指令圧よりも高く、基準圧よりも低い。基準圧、第1指令圧、第2指令圧の比率は適宜設定される。また、第1指令圧から第2指令圧に漸増させる時間(図2の時間B~C)も適宜設定される。 【0036】 その後、第1操作装置17及び第2操作装置18が操作されている間(図2の時間C~D)は、電磁式減圧弁19に対してパイロット圧油の1次圧力を第2指令圧に保持する指令を発信する。これにより、第1アクチュエータ11のみを駆動する単独動作から、第1アクチュエータ11と第2アクチュエータ12を同時に駆動する複合動作に移行する際、第2リモコン弁180を介して第2方向切換弁16に付与されるパイロット圧を第1指令圧から第2指令圧に漸増させるため、油圧ポンプ13からの圧油が第2アクチュエータ12に急激に供給されることがなく、第1アクチュエータ11に供給される圧油の油量の急激な低下によるショックを防止することができる。」 (ウ)図1 「 [図:0001431146000003.jpg] 」 イ 甲3技術事項 上記アより、甲3には、次の技術事項(以下、「甲3技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲3技術事項) 「作業車両の油圧回路において(【0001】)、 第1アクチュエータ11と、第2アクチュエータ12と、油圧ポンプ13と、パイロットポンプ14と、第1方向切換弁15と、第2方向切換弁16と、第1操作装置17と、第2操作装置18と、を備え(【0014】)、 パイロットポンプ14は、第1方向切換弁15及び第2方向切換弁16へ入力される指令としてのパイロット圧油を吐出し、第1方向切換弁15及び第2方向切換弁16に付与されるパイロット圧を発生させ、エンジンによって駆動され、圧油を吐出することにより、油路14a内にパイロット圧を発生させ、油路14b,14c,14d,14eに分岐されていて(【0018】)、 第1操作装置17は、第1方向切換弁15に供給されるパイロット圧油の向きと圧力を切り換えるための第1リモコン弁170を有し、第1リモコン弁170は、油路14dに接続され、また、第1リモコン弁170は、油路17a及び油路17bを介して第1方向切換弁15のパイロットポート15a及びパイロットポート15bにそれぞれ接続され、第1リモコン弁170は、油路14dを介してパイロットポンプ14から供給される圧油を、パイロット用の圧油として第1方向切換弁15に供給し、第1操作装置17を操作することにより、第1方向切換弁15を切り換え、第1アクチュエータ11に供給される圧油の向きを切り換え流量を調節することができるものであって(【0029】)、 第2操作装置18は、第2方向切換弁16に供給されるパイロット圧油の向きと圧力を切り換えるための第2リモコン弁180を有し、第2リモコン弁180は、油路14eに接続され、また、第2リモコン弁180は、油路18a及び油路18bを介して第2方向切換弁16のパイロットポート16a及びパイロットポート16bにそれぞれ接続され、油路14eを介してパイロットポンプ14から供給される圧油を、パイロット用の圧油として第2方向切換弁16に供給し、第2操作装置18を操作することにより、第2方向切換弁16を切り換え、第2アクチュエータ12に供給される圧油の向きを切り換え流量を調節することができ(【0030】)、 第2リモコン弁180とパイロットポンプ14との間の油路14eには、電磁式減圧弁19が設けられていて、電磁式減圧弁19は、パイロットポンプ14から吐出されて第2リモコン弁180に供給されるパイロット圧油の1次圧力を制御することができ(【0031】)、 油圧回路100は、電磁式減圧弁19に制御指令を発信するECU10を備えていて、ECU10は、第1圧力スイッチ141からの検出信号を受信することで第1操作装置17が操作されていると判定し、第2圧力スイッチ142からの検出信号を受信することで第2操作装置18が操作されていると判定することができ(【0032】)、 ECU10は、第1操作装置17が操作されると、電磁式減圧弁19に対してパイロット圧油の1次圧力を基準圧から第1指令圧に減圧し、第1操作装置17が操作されている間は、電磁式減圧弁19に対してパイロット圧油の1次圧力を第1指令圧に保持する第1指令を発信し(【0034】)、 ECU10は、第1操作装置17が操作された状態から第2操作装置18が操作されると、電磁式減圧弁19に対してパイロット圧油の1次圧力を第1指令圧から第2指令圧に漸増させる第2指令を発信し、第2指令圧は、第1指令圧よりも高く、基準圧よりも低くなっていて(【0035】)、 第1操作装置17及び第2操作装置18が操作されている間は、電磁式減圧弁19に対してパイロット圧油の1次圧力を第2指令圧に保持する指令を発信するものであり(【0036】)、 これにより、第1アクチュエータ11のみを駆動する単独動作から、第1アクチュエータ11と第2アクチュエータ12を同時に駆動する複合動作に移行する際、第2リモコン弁180を介して第2方向切換弁16に付与されるパイロット圧を第1指令圧から第2指令圧に漸増させるため、油圧ポンプ13からの圧油が第2アクチュエータ12に急激に供給されることがなく、第1アクチュエータ11に供給される圧油の油量の急激な低下によるショックを防止することができる(【0036】)、 こと。」 2 進歩性(特許法29条2項)について (1)本件発明1について ア 対比 (ア)甲1発明の「旋回台6」は、本件発明1の「機体」に相当する。 甲1発明の「走行装置4」は、「旋回台6」を走行可能に支持していることは明かであるから、本件発明1の「前記機体を走行可能に支持する走行装置」に相当する。 甲1発明の「走行油圧モータ54」は、油圧モータを有していて、「走行装置4」を駆動していることは明らかであるから、本件発明1の「前記走行装置を駆動する油圧モータによって構成された走行モータ」に相当する。 甲1発明の「油圧駆動式のブームシリンダ15」、「アームシリンダ16」及び「バケットシリンダ17」は、「走行油圧モータ54」とは異なるアクチュエータであるから、本件発明1の「前記走行モータとは異なる他の油圧アクチュエータ」に相当する。 甲1発明は、「右作業用パイロットバルブユニット34において、右作業用操作レバー19の傾動操作に応じ」て「生成され」る「パイロット圧」が、「ブーム用コントロールバルブ51に出力され」、「ブーム用コントロールバルブ51によって制御された供給方向および供給量で、メインポンプ39からメイン油路49に吐出された圧油がブームシリンダ15に供給され、ブームシリンダ15が伸縮作動され」るものである。 そうすると、甲1発明の「右作業用操作レバー19」は、「走行モータ」とは異なる「ブームシリンダ15」を操作しているといえるから、本件発明1の「前記他の油圧アクチュエータを操作する操作部材」に相当する。 また、甲1発明の「圧油がブームシリンダ15に供給」する「圧油」の「供給量」を「制御」する「ブーム用コントロールバルブ51」は、本件発明1の「前記他の油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を変化させるアクチュエータ制御バルブ」に相当する。 さらに、甲1発明は、「右作業用パイロットバルブユニット34において、右作業用操作レバー19に対する前後左右への傾動操作に応じたパイロット圧を生成」し、「パイロット圧に基づいてバルブスプールが移動制御」する機構を有しているから、右作業用操作レバー19の傾動操作に応じて、バルブの移動が制御されているといえる。そうすると、甲1発明の「右作業用パイロットバルブユニット34において、右作業用操作レバー19に対する前後左右への傾動操作に応じたパイロット圧を生成」し、「パイロット圧に基づいてバルブスプールが移動制御」することと、本件発明1の「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御する制御装置」を備えていることとは、「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御する制御」する点で共通する。 (イ)甲1発明の「パイロット圧」は、「右作業用パイロットバルブユニット34において、右作業用操作レバー19の傾動操作に応じ」て「生成され」ていて、「右作業用操作レバー19」によって制御されているといえるから、本件発明1の「パイロット制御圧」に相当する。 また、甲1発明の「ブーム用コントロールバルブ51」が「パイロット圧」を用いて操作されるものであることをふまえると、甲1発明の「ブーム用コントロールバルブ51」と、本件発明1の「パイロット式比例電磁弁」とは、「パイロット式」の「弁」である点で共通する。 上記の点をふまえると、甲1発明の「ブーム用コントロールバルブ51」が、「右作業用操作レバー19の傾動操作に応じ」て「生成され」る「パイロット圧」によって、パイロット操作されるバルブであることと、本件発明1の「前記アクチュエータ制御バルブは、前記制御装置から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット式比例電磁弁であ」ることとは、「前記アクチュエータ制御バルブ」は、「パイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット式」の「弁」である点で共通する。 (ウ)甲1発明の「右作業用操作レバー19のみが単独で操作されている状態(右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が操作されていない状態)」は、本件発明1の「前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合」に相当する。 また、甲1発明において、「ブーム用コントロールバルブ51」から「ブームシリンダ15」への「圧油」の「供給量」を「制御」することは、本件発明1の「前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御」することに相当する。 そうすると、甲1発明において、「右作業用操作レバー19のみが単独で操作されている状態(右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が操作されていない状態)」で、「右作業用パイロットバルブユニット34において、右作業用操作レバー19の傾動操作に応じたパイロット圧が生成され、このパイロット圧が例えばブーム用コントロールバルブ51に出力され、ブーム用コントロールバルブ51によって制御された供給方向および供給量で、メインポンプ39からメイン油路49に吐出された圧油がブームシリンダ15に供給され」ることと、本件発明1の「前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に、前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための制御信号を前記アクチュエータ制御バルブに出力することで前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御」することとは、「前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合」に、「前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御」する点で共通する。 (エ)甲1発明の「さらに右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が追加的に操作される」とは、「右作業用操作レバー19」が「操作されている状態」に、「右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22」の操作が加わる場合であると解される。 そうすると、甲1発明において、「さらに右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が追加的に操作される」ことは、本件発明1の「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合」に相当する。 また、甲1発明は、「右作業用パイロットバルブユニット34は、右作業用操作レバー19の根本部分に設けられており、右作業用操作レバー19に対する前後左右への傾動操作に応じたパイロット圧を生成する複数(4つ)のパイロットバルブを備えて構成され」ているから、「減圧バルブ33」が「通常位置」の場合、及び「減圧位置」の場合のいずれについても、「右作業用操作レバー19に対する前後左右への傾動操作に応じたパイロット圧」が「ブーム用コントロールバルブ51に出力され、ブーム用コントロールバルブ51によって制御された供給方向および供給量で、メインポンプ39からメイン油路49に吐出された圧油がブームシリンダ15に供給され、ブームシリンダ15が伸縮作動され」ているところ、「さらに右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が追加的に操作される」と、「減圧バルブ33は通常位置から減圧位置に切り換わり」、「右作業用操作レバー19に対する操作量に見合ったパイロット圧よりも低いパイロット圧が生成され」て、「右作業用操作レバー19への操作量に対応する供給量よりも少ない量の圧油が、ブーム用コントロールバルブ51からブームシリンダ15に供給さ」れることとなる。 そうすると、甲1発明において、「さらに右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が追加的に操作され」て、「右作業用操作レバー19に対する操作量に見合ったパイロット圧よりも低いパイロット圧が生成され」て、「右作業用操作レバー19への操作量に対応する供給量よりも少ない量の圧油が、ブーム用コントロールバルブ51からブームシリンダ15に供給さ」れることと、本件発明1において、「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ且つ前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための電流値を前記アクチュエータ制御バルブに供給し、且つ前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する」こととは、「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ」る点で共通する。 (オ)甲1発明の「パワーショベル」は、本件発明1の「作業機」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「機体と、 前記機体を走行可能に支持する走行装置と、 前記走行装置を駆動する油圧モータによって構成された走行モータと、 前記走行モータとは異なる他の油圧アクチュエータと、 前記他の油圧アクチュエータを操作する操作部材と、 前記他の油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を変化させるアクチュエータ制御バルブと、 を備え、 前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御し、 前記アクチュエータ制御バルブは、パイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット式の弁であり、 前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御し、 前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させる、 作業機。」 <相違点1> 本件発明1は、「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御」する「制御装置」を備えており、 「アクチュエータ制御バルブ」について、「前記制御装置から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット式比例電磁弁」と特定され、 「前記制御装置」は、 「前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に、前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための制御信号を前記アクチュエータ制御バルブに出力」し、 「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ且つ前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための制御信号を前記アクチュエータ制御バルブに出力し、且つ前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する」と特定されているのに対して、 甲1発明は、本件発明1のように「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御」する「制御装置」を有しておらず、 「アクチュエータ制御バルブ」は、「パイロット制御圧によってパイロット操作」されるものの、本件発明1のように「制御装置から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット式比例電磁弁」ではなく、 「右作業用操作レバー19のみが単独で操作されている状態(右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が操作されていない状態)」において、本件発明1のように「制御装置」が「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための制御信号を前記アクチュエータ制御バルブに出力」するものではなく、 また、「右作業用操作レバー19」が「操作され」るだけでなく、「右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が追加的に操作される」と、「右作業用操作レバー19に対する操作量に見合ったパイロット圧よりも低いパイロット圧が生成され」て、「右作業用操作レバー19への操作量に対応する供給量よりも少ない量の圧油が、ブーム用コントロールバルブ51からブームシリンダ15に供給され」るものの、本件発明1のように「制御装置」が「前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ且つ前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための電流値を前記アクチュエータ制御バルブに供給し、且つ前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する」ものではない点。 イ 判断 上記相違点1について検討する。 (ア)甲2技術事項について a 甲2技術事項は、「右作業操作レバー19を前後に傾動操作すると」、「制御装置23はブーム用パイロットバルブの作動を制御し、レバー操作方向および操作量に対応するパイロット圧をブーム制御バルブ60のパイロットポート61a,61bに作用させ」るものであるから、「制御装置」から「ブーム用パイロットバルブ」に対して、「ブーム用パイロットバルブ」を制御するための「制御信号」が送信されていることは明らかである。 そうすると、甲2技術事項の「制御装置23」が制御する「ブーム用パイロットバルブ」を作動して得られる「パイロット圧」により作用される「ブーム制御バルブ60」と、本件発明1の「前記制御装置から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット式比例電磁弁」とは、「前記制御装置から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット式」の「弁」である点で共通する。 b 甲2技術事項の「右作業操作レバー19を前後に傾動操作する」ことは、「右作業操作レバー19」を操作するだけであって、「左右の走行操作レバー21,22」を同時に操作する趣旨ではないから、本件発明1の「前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合」であることに相当する。 また、甲2技術事項は、「制御装置23」は、「メイン油圧ポンプ30からの作動油が、ブーム制御バルブ60により供給制御」させるにあたり、「右作業操作レバー19の前後傾動操作に応じた」「供給量でブームシリンダ15に供給さ」れるから、「右作業操作レバー19」の「傾動操作」の量に応じて、「ブーム制御バルブ60」の動作を比例制御するための制御信号が、「ブーム制御バルブ60」側に対して、出力されているものといえる。そうすると、甲2技術事項は、本件発明1の「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための制御信号を前記アクチュエータ制御バルブに出力」するとの構成を有している。 c 甲2技術事項において、「左右の走行操作レバー21,22」の操作と、「ブーム12の上下倒伏揺動制御操作」、「アーム13の上下屈伸揺動制御操作」、「バケット14の上下掘削揺動制御操作」の「いずれかもしくは複数とを同時に操作する場合」は、本件発明1において、「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合」に相当する。 また、甲2技術事項は、上記場合に、「ブーム12の上下倒伏揺動制御操作」、「アーム13の上下屈伸揺動制御操作」、「バケット14の上下掘削揺動制御操作」に対しては、「開度調整バルブ34により絞られて供給される作動油量に対応した速度での作動が行わ」れることから、「ブーム12」、「アーム13」及び「バケット14」の各制御バルブに供給される作動油の流量は、同じ操作量で、各制御バルブをそれぞれ単独で操作した場合に各制御バルブに供給される作動油の流量よりも、低下することは明らかである。 そうすると、甲2技術事項は、本件発明1とは、「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ」ている点で共通しているといえる。 d しかしながら、甲2技術事項は、上記の場合に、「開度調整バルブ34」を絞ることにより、「ブーム12」、「アーム13」及び「バケット14」の各制御バルブに供給される作動油の流量を、同じ操作量で、各制御バルブをそれぞれ単独で操作した場合に各制御バルブに供給される作動油の流量よりも低下させているものであって、当該「開度調整バルブ34」により、一律に低下させているものと理解できるので、上記相違点1に係る本件発明1のように、「制御装置」が「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ」る「作動油の流量」について、「前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する」構成に相当する構成を有していない。 (イ)甲3技術事項について 甲3技術事項は、上記1(3)イのとおりであって、上記相違点1に係る本件発明1の構成のうち、「制御装置」が「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ」る「作動油の流量」について、「前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する」構成に相当する構成を有していない。 (ウ)上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、甲1発明に、甲2技術事項及び甲3技術事項を適用しても、相違点1に係る本件発明1の構成とすることはできない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、甲1に記載された発明において、「右作業用パイロットバルブユニット34及び左作業用パイロットバルブユニット35の各々に対応する減圧バルブ33を設けることで、他の油圧アクチュエータ(ブームシリンダ15、アームシリンダ16)ごとに、前記低下させる作動油の流量が設定されることになる。ここで、複数の「他の油圧アクチュエータ」を同時に作動させる場合、これら複数の「他の油圧アクチュエータ」で要求され作動油の流量がメインポンプからの供給油量を超えないように、(「他の油圧アクチュエータ」の)各作動速度を個別に遅くすることは、当業者であれば当然に考慮する周知技術である(必要であれば甲2記載事項2を参照)。してみれば、当業者であれば、当該周知技術に基づいて、甲1発明において、右作業用パイロットバルブユニット34及び左作業用パイロットバルブユニット35の各々に対応する減圧バルブ33を設けることにより、低下させる作動油の流量を他の油圧アクチュエータごとに設定するという上記相違点2に係る本件特許発明1の構成にすることに何ら困難性はなく、当業者にとっていとも容易と言わざるを得ない」旨を、主張している。(申立書31頁7-21行) しかしながら、甲1には、「右作業用パイロットバルブユニット34及び左作業用パイロットバルブユニット35の各々に対応する減圧バルブ33を設けること」は、記載も示唆もされていない。 また、甲2の段落【0053】は、「・・・メイン油圧ポンプ30からの供給油量が、複数のレバー操作による複動作動に必要とされる油量より多いときには何ら支障ないが、少ないときには、レバー操作量に比例して油量配分がなされ、アクチュエータ作動が遅くなる。・・・」と記載されており、当該記載は、「メイン油圧ポンプ30」から供給される油量が、複数のレバー操作による複動作動に必要とされる油量より少ないときは、レバー操作量に比例して油量配分されることを示しているのであって、上記のようなときに、制御装置が、「低下させる作動油の流量」を「他の油圧アクチュエータ」(ブーム、アーム及びバケットの各制御バルブ)ごとに設定することを示すものではない。 したがって、申立人の主張を採用することはできない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明、甲2技術事項及び甲3技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2について ア 対比 本件発明2の構成は、本件発明1の構成の一部について、以下のとおり変更するものである。 (ア)「前記アクチュエータ制御バルブ」について、本件発明1の「前記制御装置から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット式比例電磁弁」と特定するものから、「前記制御装置が供給する電流値に応じて制御され」ると特定するものに、変更する。 (イ)「制御装置」について、本件発明1の「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための制御信号を前記アクチュエータ制御バルブに出力」すると特定するものから、「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための電流値を前記アクチュエータ制御バルブに供給」する、と特定するものに変更する。 上記(ア)及び(イ)に留意して、本件発明2と甲1発明とを対比する。 本件発明2が、本件発明1と共通する構成については、上記(1)ア(ア)~(オ)と同様である。 なお、甲1発明の「ブーム用コントロールバルブ51」は、「右作業用操作レバー19」によって制御されているといえるから、甲1発明の「ブーム用コントロールバルブ51」と本件発明2の「アクチュエータ制御バルブ」とは、「制御」されるという点で共通していることは明らかである。 そうすると、本件発明2と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点A> 「機体と、 前記機体を走行可能に支持する走行装置と、 前記走行装置を駆動する油圧モータによって構成された走行モータと、 前記走行モータとは異なる他の油圧アクチュエータと、 前記他の油圧アクチュエータを操作する操作部材と、 前記他の油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を変化させるアクチュエータ制御バルブと、 を備え、 前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御し、 前記アクチュエータ制御バルブは、制御され、 前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御し、 前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させる、 作業機。」 <相違点1A> 本件発明2は、「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御」する「制御装置」を備えており、 「アクチュエータ制御バルブ」について、「前記制御装置が供給する電流値に応じて制御され、」と特定され、 「前記制御装置」は、 「前記走行モータを駆動せずに前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に、前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための電流値を前記アクチュエータ制御バルブに供給」し、 「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ且つ前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための電流値を前記アクチュエータ制御バルブに供給し、且つ前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する」と特定されているのに対して、 甲1発明は、本件発明2のように「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を制御」する「制御装置」を有しておらず、 「アクチュエータ制御バルブ」は、「パイロット制御圧によってパイロット操作」されるものの、本件発明2のように「制御装置が供給する電流値に応じて制御」されるものではなく、 「右作業用操作レバー19のみが単独で操作されている状態(右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が操作されていない状態)」において、本件発明2のように「制御装置」が「前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための電流値を前記アクチュエータ制御バルブに供給」するものではなく、 また、「右作業用操作レバー19」が「操作され」るだけでなく、「右走行用操作レバー21および左走行用操作レバー22が追加的に操作される」と、「右作業用操作レバー19に対する操作量に見合ったパイロット圧よりも低いパイロット圧が生成され」て、「右作業用操作レバー19への操作量に対応する供給量よりも少ない量の圧油が、ブーム用コントロールバルブ51からブームシリンダ15に供給され」るものの、本件発明2のように「制御装置」が「前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ且つ前記操作部材の操作量に応じて前記アクチュエータ制御バルブの動作を比例制御するための電流値を前記アクチュエータ制御バルブに供給し、且つ前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する」ものではない点。 イ 判断 上記相違点1Aについて検討する。 相違点1Aに係る本件発明2に係る構成は、主として、相違点1に係る本件発明1の「制御信号」が、「電流値」に変更され、また同様に「出力」が、「供給」に変更されたものであるが、上記(1)イ(ア)~(ウ)に示したとおり、甲2技術事項は、上記相違点1Aに係る本件発明2の構成のうち、少なくとも、「制御装置」が「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ」る「作動油の流量」について、「前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する」構成に相当する構成を有していない。 また、甲3技術事項についても、上記(1)イ(イ)で説明したとおり、上記相違点1Aに係る本件発明2の構成のうち、「制御装置」が「前記走行装置を駆動しているときに前記他の油圧アクチュエータを操作した場合に、前記アクチュエータ制御バルブから前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を、同じ操作量で前記他の油圧アクチュエータを単独で操作した場合に前記他の油圧アクチュエータに供給される作動油の流量よりも低下させ」る「作動油の流量」について、「前記低下させる作動油の流量を前記他の油圧アクチュエータごとに設定する」構成に相当する構成を有していない。 したがって、甲1発明に、甲2技術事項及び甲3技術事項を適用しても、相違点1Aに係る本件発明2の構成とすることはできない。 ウ 申立人の主張について 本件特許明細書の段落【0028】、【0065】、【0081】等の記載から明らかなように、制御装置がアクチュエータ制御バルブの制御に用いる「制御信号」の例として「電流値」が示されていること、また、比例電磁弁の制御のための「制御信号」として「電圧値」を用いることは、本件特許の出願のはるか以前からの技術常識(必要であれば、「JIS B 8654:2002 比例電磁式シリーズ形流量調整弁試験方法」、甲3記載事項等を参照のこと)であること、本件発明2は、本件発明1から、制御装置によるアクチュエータ制御バルブの制御手段が、電流値に変わっただけであることを、主張する。(申立書32頁13行-33頁17行) しかしながら、 上記イで説明したとおり、甲2や甲3において、相違点1Aに係る本件発明2の構成が記載も示唆もされていないから、甲1発明に、甲2技術事項、甲3技術事項を適用し、相違点1Aに係る本件発明2の構成とすることは、 当業者にとって容易であるということはできない。 したがって、申立人の主張を採用することはできない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件発明2は、甲1発明、甲2技術事項及び甲3技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび したがって、特許異議申立の理由及び証拠によっては、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700324

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