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特許異議申立

2024-700241

田植機

審判番号
2024-700241
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-050081
登録番号
7352679
請求日
2024年03月13日
審決日
2025年12月25日
公報発行日
2026年05月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社クボタ
  • 【権利者代理人】弁理士法人R&C
  • 【異議申立人】伊藤 学
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 蔵野 いづみ
  • 審判官 ▲吉▼川 康史
分類
P1651.121-ZAA(A01B) / P1651.851-ZAA(A01B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7352679号発明「田植機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7352679号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第7352679号の請求項1に係る特許を取り消す。

理由

理 由 1 手続の経緯 特許第7352679号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成26年6月26日に出願された特願2014-131497の一部を平成30年9月20日に出願した特願2018-176047の一部を、さらに令和4年3月25日に出願した特願2022-50081であって、令和5年9月20日にその特許権の設定登録がされ、同月28日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年 3月13日 : 特許異議申立人伊藤学(以下「申立人」という。)による請求項1に係る特許に対する特許異議の申立て 令和6年 6月27日付け: 取消理由通知 令和6年 8月29日 : 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 令和6年11月 5日 : 意見書の提出(申立人) 令和7年 2月 6日付け: 取消理由通知(決定の予告) 令和7年 4月14日 : 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 令和7年 7月22日 : 意見書の提出(申立人) 令和7年 7月31日 : 令和7年7月22日に申立人が提出した意見書に対する補正指令 令和7年 8月26日 : 令和7年7月22日に提出した意見書に対する手続補正書及び上申書の提出(申立人) なお、令和7年4月14日に訂正請求がされたため、特許法第120条の5第7項の規定により、先にした令和6年8月29日にされた訂正請求は取り下げられたものとみなす。 2 訂正の適否 (1)訂正の内容 本件訂正請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める、というものである。 請求人が求めている訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「測位衛星からの電波信号を、受信ユニットが有するアンテナで受信し、走行車体の位置情報を取得する測位システムを備え、 予備苗載台を支持する予備苗載台フレームを備え、 前記予備苗載台フレームとは別の支持フレームが備えられ、 前記支持フレームに、上下方向に延びる縦フレーム部と、側面視で前記縦フレーム部から後方に延びる後方延出部とが設けられて、 側面視で、前記縦フレーム部の下端部がステアリングホイールの前端部よりも前方に位置し、前記縦フレーム部の上端部が前記縦フレーム部の前記下端部よりも後方に位置し、前記後方延出部が前記縦フレーム部の前記上端部から後方に延出し、 前記予備苗載台フレームの上端が、ステアリングホイールの上端よりも高い位置に位置し、前記アンテナが、前記予備苗載台フレームの上端よりも高い位置に配置されるように、前記後方延出部に支持されている田植機。」 と記載されているのを、 「測位衛星からの電波信号を、受信ユニットが有するアンテナで受信し、走行車体の位置情報を取得する測位システムを備え、 ジャイロセンサ、及び、前記測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路が、前記受信ユニットの内部に設けられ、 予備苗載台を支持する予備苗載台フレームを備え、 前記予備苗載台フレームとは別の支持フレームが備えられ、 前記支持フレームに、上下方向に延びる縦フレーム部と、側面視で前記縦フレーム部から後方に延びる後方延出部とが設けられて、 前記後方延出部に設けられ前記受信ユニットを支持する支持プレートが連結され、 側面視で、前記縦フレーム部の下端部がステアリングホイールの前端部よりも前方に位置し、前記縦フレーム部の上端部が前記縦フレーム部の前記下端部よりも後方に位置し、前記後方延出部が前記縦フレーム部の前記上端部から後方に延出し、 前記予備苗載台フレームの上端が、ステアリングホイールの上端よりも高い位置に位置し、前記アンテナが、前記予備苗載台フレームの上端よりも高い位置に配置されるように、前記後方延出部に前記受信ユニットが前記支持プレートを介して支持されている田植機。」 に訂正する。 (2)訂正の目的の適否 訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1における「受信ユニット」について、「ジャイロセンサ、及び、前記測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路が、前記受信ユニットの内部に設けられ」ているものに特定して限定するとともに、「受信ユニット」の支持態様について、「前記後方延出部に設けられ前記受信ユニットを支持する支持プレートが連結され」、「前記受信ユニットが前記支持プレートを介して」後方延出部に支持されていることを特定して限定するものである。 してみれば、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3)新規事項の有無 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)には、次の事項が記載されるから、訂正事項1は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。 「【0044】 〔測位・自動操舵走行システム〕 図3、図4に示すように、支持フレーム部の連結フレーム32(受信ユニット支持部の一例)の左右方向での中央位置には、前述したブラケット42の上面に対して樹脂やアルミニウム等の非磁性材料で構成される支持プレート43が連結固定されている。この支持プレート43の上面に対して非磁性材料として可撓性を有する合成ゴム製の支持部材44を備え、これに乗せ付ける状態で受信ユニット45が支持されている。 【0045】 図6に示すように、受信ユニット45は、複数の測位衛星からの電波信号を受信するアンテナ45Aと、地磁気から方位を検知する磁気コンパス45B(方位センサの一例)と、走行車体Aの姿勢変化を慣性により捉えるジャイロセンサ45Cとが内蔵されている。この構成では、受信ユニット45が走行車体Aの前部位置に配置されるため、走行車体Aが走行方向を変更した場合には、走行車体Aの後端側と比較して横方向への変位量が大きく、位置情報の変化を高感度で検知できる。 ・・・ 【0047】 コンソールDには、測位衛星からの電波信号を受信することにより位置情報を取得する受信回路46と、制御ユニット47とを備えている。受信回路は、GNSS(Global Navigation Satellite Systems )により、3つ以上の測位衛星からの電波信号に基づき地球上における緯度、経度、高度とを取得する。この受信ユニット45とコンソールDとを備えて測位システムが構成されている。 ・・・ 【0049】 この実施形態では、コンソールDの内部に受信回路46を備えているが、この受信回路46を受信ユニット45の内部に備えても良い。・・・。」 したがって、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (4)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記(2)に判断を示したとおり、訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を減縮する事項であって、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (5)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 3 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。また、符号A等は分説のため当審合議体が付し、それぞれの符号により分説された事項を、以下では「特定事項A」等という。)。 本件発明 「A 測位衛星からの電波信号を、受信ユニットが有するアンテナで受信し、走行車体の位置情報を取得する測位システムを備え、 A1 ジャイロセンサ、及び、前記測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路が、前記受信ユニットの内部に設けられ、 B 予備苗載台を支持する予備苗載台フレームを備え、 前記予備苗載台フレームとは別の支持フレームが備えられ、 前記支持フレームに、上下方向に延びる縦フレーム部と、側面視で前記縦フレーム部から後方に延びる後方延出部とが設けられて、 B1 前記後方延出部に設けられ前記受信ユニットを支持する支持プレートが連結され、 B2 側面視で、前記縦フレーム部の下端部がステアリングホイールの前端部よりも前方に位置し、前記縦フレーム部の上端部が前記縦フレーム部の前記下端部よりも後方に位置し、前記後方延出部が前記縦フレーム部の前記上端部から後方に延出し、 C 前記予備苗載台フレームの上端が、ステアリングホイールの上端よりも高い位置に位置し、 D 前記アンテナが、前記予備苗載台フレームの上端よりも高い位置に配置されるように、 E 前記後方延出部に前記受信ユニットが前記支持プレートを介して支持されている田植機。」 4 取消理由(決定の予告)の概要 訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審合議体が令和7年2月6日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (進歩性)訂正前の請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術、甲第3号証に記載された技術、甲第6号証に記載された技術及び周知技術に基づいて、又は、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術、甲第4号証に記載された技術、甲第6号証に記載された技術及び周知技術に基づいて、もしくは、甲第2号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術、甲第3号証に記載された技術及び周知技術に基づいて、又は、甲第2号証に記載された発明、甲第6号証に記載された技術、甲第4号証に記載された技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 <引用文献等一覧> 甲第2号証:特開平7-39213号公報 甲第1号証:特開2005-176741号公報 甲第5号証:特開2012-157334号公報 甲第6号証:特開2007-209271号公報 甲第3号証:特開2001-22460号公報 甲第4号証:特開2013-9614号公報 なお、甲第1号証~甲第6号証は、申立人が、特許異議申立書とともに提出した証拠であり、以下それぞれ、「甲1」~「甲6」という。 5 甲第1号証~甲第6号証及び参考資料6に記載された事項 (1)甲2(特開平7-39213号公報) 図中、符号「2」は「駆動前輪」を表し、同「3」は「駆動後輪」を、同「7」は「操縦ハンドル」を、同「10」は「操縦席」を、同「32」は「ステー」を、同「33」は「日除け支持フレーム」を、同「36」は「U字状フレーム」を、同「38」は「支持柱」を表すことに加え、【0008】の「・・・即ち、車体4の前側端の左右両側から横方向に延びるステー32,32を突出させて、その両端側から後方上方へ向けて日除け支持フレーム33,33を突出ならしめ、この両者を互いに横フレーム34で連結する。そして、この日除けフレーム33の左右側に日除け具35を保持する平面視U字状フレーム36を設け、前記横フレーム34及びU字状フレーム36に当該日除け具35を取り付けている。」という記載を踏まえると、側面図である図1には、側面視で、日除け支持フレーム33の下端と同じ位置であるステー32の端部は、操縦ハンドル7の前端となる位置よりもさらに前側に位置し、日除け支持フレーム33の上端から後方に向けてU字状フレーム36が設けられていること(以下「認定事項1」という。)、 及び、側面視で、日除け具35及び日除け具35を保持するU字状フレーム36は、その後端となる位置が駆動後輪3の車軸よりも前方に位置し、操縦席10の上端となる位置よりも高い位置であって、支持柱38の上端となる位置よりも高い位置にあること(以下「認定事項2」という。)が記載されていると認められる。 このことを踏まえ、以下に併記した段落を参照すると、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 甲2発明 「左右一対の操舵用の駆動前輪2,2と、左右一対の駆動後輪3,3とを備えた車体4の上部に乗車フロアー5を張設し、前側左右中央部に操縦枠6を立設させて操縦ハンドル7を設け、その後方側に原動機8を前記車体4に搭載させて、これを覆うようフロアー5を上方へ膨らませ、そのカバー膨出部9の上に操縦席10を設けた構成としている乗用型の田植機1であって(【0005】)、 予備苗載置台37は、フロントミッションケース11の左右両側に基部を固着した正面視がL字状の支持柱38に上下3段に取り付けられ(【0010】)、 操縦者用の日除け装置31は、車体4の前側端の左右両側から横方向に延びるステー32,32を突出させて、その両端側から後方上方へ向けて日除け支持フレーム33,33を突出ならしめ、この両者を互いに横フレーム34で連結して、この日除けフレーム33の左右側に日除け具35を保持する平面視U字状フレーム36を設け、前記横フレーム34及びU字状フレーム36に当該日除け具35を取り付け(【0008】)、 側面視で、日除け支持フレーム33の下端と同じ位置であるステー32の端部は、操縦ハンドル7の前端となる位置よりもさらに前側に位置し、日除け支持フレーム33,33の上端から後方に向けてU字状フレーム36が設けられていて(認定事項1)、 側面視で、日除け具35及び日除け具35を保持するU字状フレーム36は、その後端となる位置が駆動後輪3の車軸よりも前方に位置し、操縦席10の上端となる位置よりも高い位置であって、支持柱38の上端となる位置よりも高い位置にある(認定事項2) 乗用型の田植機1(【0005】)。」 (2)甲1(特開2005-176741号公報) 図中、符号「8」は「後車輪」を表し、同「12」は「運転ハンドル」を、同「14」は「運転席」を、同「22」は「走行機体」を、同「45」は「キャビン」を、同「46」は「前フレーム」を、同「48」は「ルーフ」を、同「103」は「移動局ユニット」を、同「108」は「GPSアンテナ」を表すことから、乗用管理機の左側面図である図1には、前フレーム46の上端となる位置から後方にルーフ48が設けられていること(以下「認定事項3」という。)、 及び、GPSアンテナ108は、側面視で、走行機体22の後車輪8の車軸よりも前方に位置し、運転席14の上端となる位置よりも高い位置であって、ルーフ48の上部に配置されていること(以下「認定事項4」という。)が記載されていると認められる。 このことを踏まえ、以下に併記した段落を参照すると、甲1には次の技術(以下「甲1技術」という。)が記載されていると認められる。 甲1技術 「走行機体22の機体前端より後方へ向けて、左右一対の機体フレーム6L・6Rが水平方向に延設され、該機体フレーム6L・6Rの前部下方には前車輪7・7が支承され、後部下方に後車輪8・8が支承されている農業用作業車である乗用管理機101(【0012】、【0013】)であって、 走行機体22の前部において、機体フレーム6L・6R上にはエンジン9を被覆するボンネット10が配設され、該ボンネット10後方のカバー上には操作パネル11が設けられ、該操作パネル11の上方には運転ハンドル12が設けられ、操作パネル11および運転ハンドル12等で乗用管理機101の操縦部を構成し、機体フレーム6L・6R後部上には薬液タンク24が配設されており、該薬液タンク24の前部中央には運転席14が形成されて、該薬液タンク24によって側部と後部を取り囲まれるように載置され(【0014】)、 操作パネル11や運転ハンドル12等からなる乗用管理機101の操縦部、および運転席14を覆うキャビン45が設けられ、キャビン45はボンネット10の後端部左右に立設された一対の前フレーム46・46、薬液タンク24の上面に立設された左右一対の後フレーム47・47、前フレーム46・46および後フレーム47・47に支持されてキャビン45の上面を形成するルーフ48等で構成され(【0015】)、前フレーム46の上端となる位置から後方にルーフ48が設けられ(認定事項3)、 GPSユニット102は、主に、乗用管理機101本体に搭載される移動局ユニット103と、水田などの圃場の近くに設置される基準局側ユニット104からなり、該基準局ユニット104は地面に固定された基準局の役割を果たし、移動局側ユニット103は位置を求めようとする移動局として機能し(【0019】)、 移動局ユニット103は、GPSアンテナ108の他、GPS受信部109、処理部110、操作部111、表示部112、無線部113等で構成され、GPSアンテナ108で受信されたGPS衛星125・125・・・からの電波信号は、ケーブルでGPS受信部109を経て処理部110に送信され(【0020】)、処理部110は、GPSユニット102により得られた位置情報や、内界センサ122や株倣いセンサ123からの信号に基づいて、当該圃場における自律走行経路を生成するとともに自律走行手段124に指令を出して乗用管理機101に自律走行をさせたり、ナビゲーション走行経路71を生成して表示部112に表示するものであって(【0021】)、 移動局ユニット103をキャビン45のルーフ48に設け(【0022】)、 GPSアンテナ108は、側面視で、走行機体22の後車輪8の車軸よりも前方に位置し、運転席14の上端となる位置よりも高い位置であって、キャビン45の上面を形成するルーフ48の上部に配置された(認定事項4) 農業用作業車である乗用管理機101(【0012】)。」 (3)甲5(特開2012-157334号公報) 甲5には次の技術(以下「甲5技術」という。)が記載されていると認められる。 甲5技術 「苗の植付けを連続的に行う田植機に関し(【0001】)、 走行部が進行すべき方位と走行部が進行している方位との差分を求め、該差分が0となるように、操舵量を補正するため(【0017】)、 検出手段として地磁気センサ又はGPSを備え(【0018】)、走行部が進行している方位を地磁気センサによって検出し、操舵量の補正を実現するか、または走行部の位置をGPS(Global Positioning System)によって測位し、測位した位置に基づいて、走行部が進行している方位を求め、操舵量の補正を実現する(【0019】)技術。」 (4)甲6(特開2007-209271号公報) 図中、符号「1」は「移植機」を表し、同「9a」は「デファレンシャルGPS装置」を表すことから、移植機の斜視図である図1には、移植機1におけるもっとも高い位置にデファレンシャルGPS装置9aを設けること(以下「認定事項5」という。)が記載されていると認められる。 このことを踏まえ、以下に併記した段落を参照すると、甲6には次の技術(以下「甲6技術」という。)が記載されていると認められる。 甲6技術 「左右の操舵前輪2、2と左右の後輪3、3とによって4輪駆動可能に機体を支持し、操舵ハンドル4、オペレータシート5、エンジン、機体後部のロングマット苗適用の植付部7のほか、各種機器を制御するコントローラ8およびGPSシステム衛星信号を受けるGPSアンテナを備えて圃場の寸歩並びに機体の位置を認識できるデファレンシャルGPS装置9a、ジャイロによる傾斜センサを内設した姿勢計測装置9b等を備えて無人走行可能に構成された移植機(【0008】)において、移植機1におけるもっとも高い位置にデファレンシャルGPS装置9aを設ける(認定事項5)技術。」 (5)甲3(特開2001-22460号公報) 図中、符号「23」は「ステアリングハンドル」を表し、同「B」は「予備苗のせ台」を表し、同「12」は「キャノピ」を表すことから、図1及び図3には、予備苗のせ台Bを支持するフレームの上端が、ステアリングハンドル23の上端よりも高い位置に位置するとともに、キャノピ12が、予備苗のせ台Bを支持するフレームの上端よりも高い位置に配置されること(以下「認定事項6」という。)が記載されていると認められる。 このことを踏まえ、以下に併記した段落を参照すると、甲3には次の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。 甲3技術 「田植機(【0035】)の自走機体1の機体フレームの前部に、ボンネット18で覆われた原動部8を搭載し(【0036】、【0038】)、搭乗運転部9の上部を覆うキャノピ12が配置され(【0036】)、前記キャノピ12は、ボンネット18の外側に位置する状態で立設した左右のキャノピ支柱50の上端に取り付けられ(【0048】)、予備苗のせ台Bを支持するフレームの上端が、ステアリングハンドル23の上端よりも高い位置に位置するとともに、キャノピ12が、予備苗のせ台Bを支持するフレームの上端よりも高い位置に配置される(認定事項6)技術。」 (6)甲4(特開2013-9614号公報) 図中、符号「25」は「支柱状フレーム」を表し、同「7」は「ステアリングホイール」を表すことから、図1には、支柱状フレーム25の上端が、ステアリングホイール7の上端よりも高い位置に位置すること(以下「認定事項7」という。)が記載されていると認められる。 このことを踏まえ、以下に併記した段落及び図面を参照すると、甲4には次の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。 甲4技術 「乗用型田植機(【0024】)の運転座席3の前方位置には、左右の前車輪1を操向操作(操舵)するステアリングホイール7が配置され(【0025】)、ボンネット4の外側で搭乗フロア22の両外側位置に縦向き姿勢となる支柱状フレーム25が備えられ、この支柱状フレーム25に4つの予備苗載台Caを備えて予備苗載置ユニットCが構成され(【0031】)、予備苗載置ユニットCの支柱状フレーム25の上端が、ステアリングホイール7の上端よりも高い位置に位置する(認定事項7)技術。」 (7)参考資料6(米国特許第9002566号明細書) ア 令和7年8月26日に提出された手続補正書により補正された令和7年7月22日に提出した意見書に添付された参考資料6には次の事項が記載されている 「For example, agricultural equipment comprising a tractor and an implement can be equipped with a vector position and heading sensor subsystem including a GNSS receiver and antennas and an inertial (gyroscopic) subsystem with X, Y and Z axis sensors for sensing equipment attitude changes through six degrees of freedom. The GNSS and INS/gyroscopic input subsystems can be housed in a common enclosure for mounting on the tractor roof. 」(第3欄11-18行) (日本語訳) 例えば、トラクタおよび器具を備える農作業機は、GNSS受信機およびアンテナを含むベクトル位置および機首方位センササブシステムと、6自由度を通して機器姿勢変化を感知するためのX、Y、およびZ軸センサを伴う慣性(ジャイロスコープ)サブシステムとを装備することができる。GNSSおよびINS/ジャイロスコープ入力サブシステムは、トラクタの屋根に取り付けるために共通の筐体内に収容することができる。 「A position/heading (vector) sensor 28 can be mounted externally on the tractor 6, e.g. on its roof, and includes a pair of antennas 30 connected to a GNSS receiver 32.」(第4欄64-66行) (日本語訳) 位置/機首方位(ベクトル)センサ28は、トラクタ6の外部、例えばその屋根に取り付けることができ、GNSS受信機32に接続された一対のアンテナ30を含む。 「The sensor 28 also includes a direction sensor 34 and inertial sensors 36, 38 and 40 for detecting and measuring inertial movement with respect to the X, Y and Z axes corresponding to yaw, roll and pitch movements in six degrees of freedom. 」(第5欄9-13行) (日本語訳) センサ28はまた、方向センサ34と、6自由度のヨー、ロールおよびピッチ運動に対応するX、YおよびZ軸に関する慣性運動を検出および測定するための慣性センサ36、38および40とを含む。 「 [図:0001435152000001.jpg] 」 イ 上記アより、参考資料6には次の技術(以下「参考技術」という。)が記載されていると認められる。 「農作業機において、GNSS受信機、アンテナ及び慣性運動を検出および測定するための慣性センサを、トラクタの屋根に取り付けるために共通の筐体内に収容する技術。」 6 対比・判断 (1)対比 分説に従い、甲2発明と本件発明を対比する。 ア 特定事項B、B2について (ア)甲2発明の「予備苗載置台37」、「取り付けられ」ること、「支持柱38」はそれぞれ、本件発明の「予備苗載台」、「支持する」こと、「予備苗載台フレーム」に相当する。 (イ)甲2発明の「車体4の前側端の左右両側から横方向に延びるステー32,32を突出させて、その両端側から後方上方へ向けて」「突出ならしめ」た「日除け支持フレーム33,33」、「この日除け支持フレーム33の左右側に」「日除け支持フレーム33の上端から後方に向けて」設けられた「日除け具35を保持する平面視U字状フレーム36」はそれぞれ、本件発明の「上下方向に延びる縦フレーム部」、「側面視で前記縦フレーム部から後方に延びる後方延出部」及び「前記後方延出部が前記縦フレーム部の前記上端部から後方に延出し」ていることに相当し、甲2発明の「日除け支持フレーム33,33」及び「U字状フレーム36」は、「支持柱38」とは別の部材であるから、本件発明の「支持フレーム」に相当する。 (ウ)上記(イ)より、甲2発明の「日除け支持フレーム33,33」、「U字状フレーム36」がそれぞれ本件発明の「縦フレーム部」、「後方延出部」に相当することに加え、甲2発明の「操縦ハンドル7」は、本件発明の「ステアリングホイール」に相当する。 i ここで、甲2発明の「日除け支持フレーム33,33」は、「車体4の前側端の左右両側から横方向に延びるステー32,32を突出させて、その両端側から後方上方へ向けて」「突出ならしめ」るから、当該「ステー32,32」の「両端側」にあたる位置である「日除け支持フレーム33,33」の下端となる位置、すなわち、「側面視で、日除け支持フレーム33の下端」が、「操縦ハンドル7の前端となる位置よりもさらに前側に位置し」ていることは、本件発明の「側面視で、前記縦フレーム部の下端部がステアリングホイールの前端部よりも前方に位置し」ていることに相当する。 ii 上記iを踏まえると、甲2発明において、「日除け支持フレーム33,33」(本件発明の「縦フレーム部」に相当。)を「後方上方へ向けて」「突出ならしめ」ることは、本件発明の「側面視で、」「前記縦フレーム部の上端部が前記縦フレーム部の前記下端部よりも後方に位置し」ていることに相当する。 (エ)上記(ア)~(ウ)の検討より、甲2発明は、本件発明の特定事項B、B2に相当する構成を備えている。 イ 特定事項D、Eについて 甲2発明の「日除け具35」は「平面視U字状フレーム36」(本件発明の「後方延出部」に相当。)に「保持」される一方、本件発明の「アンテナ」を有する「受信ユニット」は、「前記アンテナが、前記予備苗載台フレームの上端よりも高い位置に配置されるように、前記後方延出部に前記受信ユニットが前記支持プレートを介して支持されている」(特定事項D、E)から、本件発明の「アンテナ」を有する「受信ユニット」と、甲2発明の「日除け具35」は、後方延出部に支持されているという点で共通する。 また、甲2発明の「乗用型の田植機1」は、本件発明の「田植機」に相当する。 そして、甲2発明の「支持柱38の上端となる位置よりも高い位置にある」ことは、本件発明の特定事項Eの「前記予備苗載台フレームの上端よりも高い位置に配置される」ことに対応する。 そうすると、甲2発明と本件発明の特定事項D、Eは、後方延出部に支持されているものが、「前記予備苗載台フレームの上端よりも高い位置に配置されるように、」後方延出部に支持されている「田植機」である点で共通する。 ウ 一致点及び相違点 上記ア、イより、甲2発明と本件発明とは、 [一致点] 「B 予備苗載台を支持する予備苗載台フレームを備え、 前記予備苗載台フレームとは別の支持フレームが備えられ、 前記支持フレームに、上下方向に延びる縦フレーム部と、側面視で前記縦フレーム部から後方に延びる後方延出部とが設けられて、 B2 側面視で、前記縦フレーム部の下端部がステアリングホイールの前端部よりも前方に位置し、前記縦フレーム部の上端部が前記縦フレーム部の前記下端部よりも後方に位置し、前記後方延出部が前記縦フレーム部の前記上端部から後方に延出し、 C 前記予備苗載台フレームの上端が、ステアリングホイールの上端よりも高い位置に位置し、 D’ 後方延出部に支持されているものが、前記予備苗載台フレームの上端よりも高い位置に配置される E’ 田植機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] (ア)相違点1(特定事項A) 本件発明は、「測位衛星からの電波信号を、受信ユニットが有するアンテナで受信し、走行車体の位置情報を取得する測位システムを備え」るのに対し、甲2発明は、そのような構成を備えていない点。 (イ)相違点2(特定事項C) 本件発明は、「前記予備苗載台フレームの上端が、ステアリングホイールの上端よりも高い位置に位置し、」という構成を備えるのに対し、甲2発明は、「支持柱38」と「操縦ハンドル7」の位置関係がそのような構成でない点。 (ウ)相違点3(特定事項B1、D、E) 後方延出部に支持されているものについて、本件発明は「アンテナ」(特定事項D)を有する「受信ユニット」であって、その支持態様が、「前記後方延出部に設けられ前記受信ユニットを支持する支持プレートが連結され」(特定事項B1)、「前記後方延出部に前記受信ユニットが前記支持プレートを介して支持されている」(特定事項E)構成であるのに対し、甲2発明は、そのような構成を備えていない点。 (エ)相違点4(特定事項A1) 本件発明は、「ジャイロセンサ、及び、前記測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路が、前記受信ユニットの内部に設けられ」る構成を備えるのに対し、甲2発明は、そのような構成を備えていない点。 (2)判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点1、3、4について (ア)相違点1、3、4は、アンテナを用いて走行車体の位置情報を取得する測位システムに関わる点で関連するのでまとめて検討する。 甲5技術、甲6技術、参考技術は、上記5(3)、(4)、(7)に示したとおりである。 甲5技術と甲6技術はいずれも田植機の分野に属し、甲5技術、甲6技術より、測位衛星から送信される電波を田植機が受信して田植機の位置情報を取得する衛星測位システムを用いる技術は従来周知の技術(以下「周知技術」という。)であるといえる。 甲2発明は、「乗用型の田植機1」であるところ、測位衛星から送信される電波を田植機が受信して田植機の位置情報を取得する衛星測位システムを用いるという上記周知技術を参酌すれば、甲2発明の「乗用型の田植機1」に衛星測位システムを採用することは当業者にとって周知の課題であると認識し得ることといえる。 (イ)そのうえで、上記周知の課題に対応するため、甲2発明の「乗用型の田植機1」に衛星測位システムを採用するに際し、具体的にどのように採用するかを以下、検討する。 i 判断1 甲1技術は、上記5(2)に示したとおりである。 (i)甲1技術の「GPS衛星125・125・・・からの電波信号」、「移動局ユニット103」、「構成され」ること、「GPSアンテナ108」、「受信された」ことはそれぞれ、本件発明の「測位衛星からの電波信号」、「受信ユニット」、「有する」こと、「アンテナ」、「受信」することに相当する。 また、甲1技術の「GPS受信部109」は、本件発明の「測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路」に相当する。 そして、甲1技術の「地面に固定された基準局の役割を果た」す「基準局ユニット104」と「位置を求めようとする移動局として機能」する「移動局側ユニット103」からなる「GPSユニット102により」「位置情報」を得ることは、本件発明の「走行車体の位置情報を取得する測位システム」に相当する。 してみれば、甲1技術は、本件発明の特定事項Aに相当する構成、及び、本件発明A1の「測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路」に相当する構成を備えている。 (ii)上記5(4)に示した甲6技術の「GPSアンテナを備えて圃場の寸歩並びに機体の位置を認識できるデファレンシャルGPS装置9a」は、本件発明の「前記測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路」に相当する構成を備えていることは明らかであり、また、甲6技術の「姿勢計測装置9b」に「内設」された「ジャイロによる傾斜センサ」は、本件発明の「ジャイロセンサ」に相当する。 (iii)また、甲1技術の「左右一対の」「前フレーム46・46」、当該「前フレーム46・46」及び「後フレーム47・47に支持されてキャビン45の上面を形成するルーフ48」、「上部に配置された」ことはそれぞれ、本件発明の「縦フレーム部」、「後方延出部」、「支持されている」ことに相当する。 加えて、甲1技術の「農業用作業車である乗用管理機101」と本件発明の「田植機」とは、農業に用いられる作業機である点で共通し、甲1技術と本件発明の特定事項D、Eとは、「アンテナ」が、「前記後方延出部に支持されている」農業に用いられる作業機である点で共通している。 (iv)甲2発明の「日除け具35を保持する」「U字状フレーム36」と甲1技術の「ルーフ48」は、いずれも、本件発明の「後方延出部」に対応するものである。 そして、甲2発明と甲1技術とは、農業に用いられる作業機という点で技術分野が共通し、かつ、上記(ア)で検討したとおり、上記周知技術を参酌すれば、甲2発明の「乗用型の田植機1」に衛星測位システムを採用することは当業者にとって周知の課題であると認識し得ることから、 a 甲2発明に、甲1技術の「地面に固定された基準局の役割を果た」す「基準局ユニット104」と「位置を求めようとする移動局として機能」する「移動局側ユニット103」からなる「GPSユニット102により」「位置情報」を得る構成を採用するとともに、 b 具体的な構成として、甲2発明の「U字状フレーム36」に「保持」された「日除け具35」の上部に、甲1技術の「移動局ユニット103」及び「GPSアンテナ108」を配置する構成とする際に、 c 上記(i)より、甲1技術は本件発明の「測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路」に相当する構成を備え、上記(ii)より、甲6技術は本件発明の「前記測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路」及び「ジャイロセンサ」に相当する構成を備えるところ、部品点数の削減及び取付容易とするために一定の機能をもった部品をモジュール化することは、種々の分野で広く採用される設計手法(設計技術)であって、農作業機分野においても周知の設計手法であるので(参考技術を参照)、甲1技術及び甲6技術を適用した際に、「受信ユニット」と「ジャイロセンサ」の位置関係に特段の制限があるものではないこと、及び、甲2発明の「U字状フレーム36」に「保持」された「日除け具35」の上部に、甲1技術の「移動局ユニット103」を配置する際の支持態様として、甲2発明の「日除け具35」の上部に直付けするか、あるいは、板状の支持部材を介して取り付けるかは、種々の具体的な取付手法のひとつとして適宜選択し得る設計事項であることを考慮すると、上記設計手法及び設計事項に基づき、これら「GPSアンテナ108」、「GPS受信部109」、「ジャイロによる傾斜センサ」を含めた部品をモジュール化して、甲1技術の「移動局ユニット103」にまとめて配置する構成とすること、及び、甲2発明の「日除け具35」の上部に、甲1技術の「移動局ユニット103」を配置する際の支持態様として支持プレートを介して支持する態様とすることにより、上記相違点1、3、4に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 ii 判断2 (i)甲6技術の「GPSシステム衛星信号」、「デファレンシャルGPS装置9a」、「備えて」いること、「GPSアンテナ」、「受ける」こと、「圃場の寸歩並びに機体の位置を認識できるデファレンシャルGPS装置9a、ジャイロによる傾斜センサを内設した姿勢計測装置9b等を備えて」いること、「移植機1」はそれぞれ、本件発明の「測位衛星からの電波信号」、「受信ユニット」、「有する」こと、「アンテナ」、「受信」すること、「走行車体の位置情報を取得する測位システム」、「田植機」に相当する。 また、上記i(ii)で検討したとおり、甲6技術の「GPSアンテナを備えて圃場の寸歩並びに機体の位置を認識できるデファレンシャルGPS装置9a」は、本件発明の「前記測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路」に相当する構成を備えていることは明らかであり、また、甲6技術の「姿勢計測装置9b」に「内設」された「ジャイロによる傾斜センサ」は、本件発明の「ジャイロセンサ」に相当する。 (ii)甲2発明と甲6技術とは、田植機という同じ技術分野に属し、かつ、上記(ア)で検討したとおり、上記周知技術を参酌すれば、甲2発明の「乗用型の田植機1」に衛星測位システムを採用することは当業者にとって周知の課題であると認識し得ることから、甲2発明に、甲6技術の「圃場の寸歩並びに機体の位置を認識できるデファレンシャルGPS装置9a、ジャイロによる傾斜センサを内設した姿勢計測装置9b等を備え」る構成を採用するとともに、具体的な構成として、甲2発明の「U字状フレーム36」に「保持」された「日除け具35」がもっとも高い位置であるところ、その上部に、甲6技術の「移植機1におけるもっとも高い位置にデファレンシャルGPS装置9aを設ける」とともに、部品点数の削減及び取付容易とするために一定の機能をもった部品をモジュール化することは、種々の分野で広く採用される設計手法(設計技術)であって、農作業機分野においても周知の設計手法であるので(参考技術を参照)、「受信ユニット」と「ジャイロセンサ」の位置関係に特段の制限があるものではないこと、及び、甲2発明の「U字状フレーム36」に「保持」された「日除け具35」の上部に、甲1技術の「移動局ユニット103」を配置する際の支持態様として、甲2発明の「日除け具35」の上部に直付けするか、あるいは、板状の支持部材を介して取り付けるかは種々の取付手法のひとつとして適宜選択し得る設計事項であることを考慮すると、上記設計手法及び設計事項に基づき、「デファレンシャルGPS装置9a」に「ジャイロによる傾斜センサ」を含めた部品をモジュール化して、まとめて配置する構成とする構成とすること、及び、甲2発明の「日除け具35」の上部に、甲6技術の「デファレンシャルGPS装置9a」を配置する際の支持態様として支持プレートを介して支持する態様とすることにより、上記相違点1、3、4に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2について 甲3技術、甲4技術は、上記5(5)、(6)に示したとおりである。 甲3技術及び甲4技術のいずれも、本件発明の「予備苗載台フレームの上端が、ステアリングホイールの上端よりも高い位置に位置し」ていることに相当する構成であって、甲2発明と、甲3技術、甲4技術はともに、田植機をいう同じ技術分野に属するから、甲2発明の「支持柱38」と「操縦ハンドル7」の位置関係として、甲3技術又は甲4技術を採用することにより、上記相違点2に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ 特許権者の主張について (ア)特許権者は、令和7年4月14日に提出した意見書(「5.意見の内容 (5)本件特許発明が進歩性を備える点について」欄)において、甲2発明が、少なくとも、「ジャイロセンサ、及び、前記測位衛星からの電波信号を受信することにより前記位置情報を取得する受信回路が、前記受信ユニットの内部に設けられ、」という構成(相違点A)、及び、「前記後方延出部に設けられ前記受信ユニットを支持する支持プレートが連結され、・・・前記予備苗載台フレームの上端が、ステアリングホイールの上端よりも高い位置に位置し、前記アンテナが、前記予備苗載台フレームの上端よりも高い位置に配置されるように、前記後方延出部に前記受信ユニットが前記支持プレートを介して支持されている」という構成(相違点B)を備えていないことを挙げ、以下の格別の作用効果を奏する旨主張している。 i 作用効果1 「アンテナが高い位置に配置されることになり、電波信号の受信が安定して行われるようになる。また、受信回路が受信ユニットの内部に設けられているので、アンテナの近傍に受信ユニットが設けられることとなり、アンテナが受信した電波信号に基づいて、適切に位置情報を取得することができる。」 ii 作用効果2 「また、受信ユニットが後方延出部に連結された支持プレートを介して後方延出部に支持されていることから、支持プレートにより、後方延出部における受信ユニットが支持される個所の剛性を高めることができる。この結果、走行時の受信ユニットの振動を抑制することができる。」 iii 作用効果3 「さらに、仮に走行時に受信ユニットが振動した場合であっても、測位衛星からの電波信号を受信するアンテナを有する受信ユニットの内部にジャイロセンサ及び受信回路が設けられることにより、ジャイロセンサもアンテナと同様に振動することによるので、アンテナの受信結果とジャイロセンサの検出結果とに基づいて、正確に自機位置や機体の向き等を検出することができる。」 (イ)上記主張について検討する。 i 特許権者が相違点であると主張する相違点A、Bは、上記(1)ウ(ア)、(ウ)、(エ)に示した相違点1、3、4であって、それら相違点1、3、4があっても、甲2発明を出発点として、上記相違点1、3、4に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである旨の判断は、上記(2)アに示したとおりである。 ii そして、上記作用効果1について、農作業機においてアンテナを高い位置に配置する点は、甲1技術及び甲6技術に開示があり、上記作用効果1、3について、アンテナと受信回路及びジャイロセンサが受信ユニットの内部に設けられている点は、部品点数の削減及び取付容易とするために一定の機能をもった部品をモジュール化することは、種々の分野で広く採用される設計手法(設計技術)であるとともに、農作業機分野においても周知の設計手法であり(参考技術を参照)、本件発明において、これらの技術や設計方法等と比較して格別の作用効果を奏するとはいえない。 iii 上記作用効果2について、受信ユニットを支持プレートを介して支持する支持態様に関し、特許明細書等には、「図3、図4に示すように、支持フレーム部の連結フレーム32(受信ユニット支持部の一例)の左右方向での中央位置には、前述したブラケット42の上面に対して樹脂やアルミニウム等の非磁性材料で構成される支持プレート43が連結固定されている。この支持プレート43の上面に対して非磁性材料として可撓性を有する合成ゴム製の支持部材44を備え、これに乗せ付ける状態で受信ユニット45が支持されている。」(【0044】)と記載されている。 しかし、本件発明では、「支持プレート」の材料・特性等について具体的に特定されるものではないし、「受信ユニット」自体がある程度の剛性を有していることが通常であることを考慮すると、特許明細書等には、特許権者が主張する上記の「支持プレートにより、後方延出部における受信ユニットが支持される個所の剛性を高めることができる。この結果、走行時の受信ユニットの振動を抑制することができる。」という作用効果を奏するために特に適した具体的な実施例が開示されているともいえない。そして、甲1技術の「移動局ユニット103」又は甲6技術の「デファレンシャルGPS装置9a」を配置する際の支持態様として、甲2発明の「日除け具35」の上部に直付けするか、あるいは、板状の支持部材を介して取り付けるかは種々の取付手法のひとつとして適宜選択し得る設計事項であることは上記(2)ア(イ)i(iv)c、同ii(ii)のとおりであって、取付手法として、「支持プレート」を介する支持態様とするか否かにより、その作用効果に顕著な差が生じると認める根拠は見出せない。 iv したがって、特許権者の主張を採用することはできない。 エ まとめ 以上の検討より、本件発明は、甲2発明、甲1技術、甲3技術、甲6技術及び周知技術に基づいて、甲2発明、甲1技術、甲4技術、甲6技術及び周知技術に基づいて、甲2発明、甲6技術、甲3技術及び周知技術に基づいて、又は、甲2発明、甲6技術、甲4技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 むすび 上記6(2)エより、本件発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700241

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