特許異議申立
2024-700666
ショベル
- 審判番号
- 2024-700666
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-509212
- 登録番号
- 7416685
- 請求日
- 2024年07月17日
- 審決日
- 2026年06月23日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】住友建機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人ITOH
- 【権利者代理人】伊東 忠重
- 【異議申立人】野村 恭子
- 審判長/審判官
- 審判長 古屋野 浩志
- 審判官 山本 一
- 審判官 門 良成
- 分類
- P1651.121-YAA(E02F) / P1651.537-YAA(E02F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条、特許法第36条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7416685号発明「ショベル」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7416685号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。
特許第7416685号の請求項1~11に係る特許を維持する。
特許第7416685号の請求項12、13に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7416685号(以下「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、平成31年3月27日の出願であって、令和6年1月9日にその特許権の設定登録がされ、同月17日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和6年7月17日に、特許異議申立人 野村 恭子(以下「申立人」という。)による請求項1~13に係る特許に対する特許異議の申立てがされた。
本件特許異議の申立ての経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年 7月17日 :申立人による特許異議の申立て
同年10月25日付け:取消理由通知書
令和7年 1月 6日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 3月28日付け:訂正拒絶理由通知書
同年 5月 2日 :特許権者による意見書及び手続補正書の提出
同年 7月 8日付け:通知書(訂正請求があった旨の通知)
同年 8月12日 :申立人による意見書の提出
同年11月 7日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和8年 1月 9日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 2月17日付け:通知書(訂正請求があった旨の通知)
同年 3月23日 :申立人による意見書の提出
なお、令和7年1月6日にされた訂正の請求は、令和8年1月9日に新たな訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。
第2 本件訂正請求による訂正の適否
1 訂正請求の趣旨
令和8年1月9日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~13について訂正することを求めるというものである。
本件訂正請求で請求された訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
2 訂正の内容
(1)訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、
「下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載される運転室と、
前記上部旋回体に搭載される複数の撮像装置と、
前記運転室に設けられる表示装置と、
前記運転室に設けられる操作部と、を有したショベルであって、
前記表示装置は、前記複数の撮像装置の少なくとも1つが撮像した複数の撮像画像と、メニュー詳細項目を選択する画面と、メニュー画面とを表示する画像表示部を備え、
前記メニュー画面は、前記メニュー詳細項目を選択する画面において選択された前記メニュー詳細項目に関連付けされており、
前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面によって隠れない態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して前記メニュー画面を表示する、
ショベル。」
と記載されているのを、
「下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載される運転室と、
前記上部旋回体に搭載される複数の撮像装置と、
前記運転室に設けられる表示装置と、
前記運転室に設けられる操作部と、を有したショベルであって、
前記表示装置は、前記複数の撮像装置の少なくとも1つが撮像した複数の撮像画像と、メニュー詳細項目を選択する画面と、メニュー画面とを表示する画像表示部を備え、
前記メニュー画面は、前記メニュー詳細項目を選択する画面において選択された前記メニュー詳細項目に関連付けされており、
前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する、
ショベル。」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項3、5~11も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2に、
「前記画像表示部は、前記切り換え操作が行われる前後で前記少なくとも1つの撮像画像の大きさを変更することなく表示する、
請求項1に記載のショベル。」
と記載されているのを、独立形式に改め、
「下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載される運転室と、
前記上部旋回体に搭載される複数の撮像装置と、
前記運転室に設けられる表示装置と、
前記運転室に設けられる操作部と、を有したショベルであって、
前記表示装置は、前記複数の撮像装置の少なくとも1つが撮像した複数の撮像画像と、メニュー詳細項目を選択する画面と、メニュー画面とを表示する画像表示部を備え、
前記メニュー画面は、前記メニュー詳細項目を選択する画面において選択された前記メニュー詳細項目に関連付けされており、
前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して前記メニュー画面を表示し、
前記画像表示部は、前記切り換え操作が行われる前後で前記少なくとも1つの撮像画像の大きさを変更することなく前記少なくとも1つの撮像画像を表示し、且つ、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示する、
ショベル。」に訂正する。
(3)訂正事項3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項4に、
「前記画像表示部は、前記ショベルの操作が可能な状態であるときに前記切り換え操作が行われると、前記少なくとも1つの撮像画像を表示した状態で前記メニュー画面を表示する、
請求項1に記載のショベル。」
と記載されているのを、独立形式に改め、
「下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載される運転室と、
前記上部旋回体に搭載される複数の撮像装置と、
前記運転室に設けられる表示装置と、
前記運転室に設けられる操作部と、を有したショベルであって、
前記表示装置は、前記複数の撮像装置の少なくとも1つが撮像した複数の撮像画像と、メニュー詳細項目を選択する画面と、メニュー画面とを表示する画像表示部を備え、
前記メニュー画面は、前記メニュー詳細項目を選択する画面において選択された前記メニュー詳細項目に関連付けされており、
前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して前記メニュー画面を表示し、
前記画像表示部は、前記ショベルの操作が可能な状態であるときに前記切り換え操作が行われると、前記少なくとも1つの撮像画像を表示した状態で、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示し、
前記ショベルの操作が可能な状態は、ゲートロック弁が開かれることで操作者が操作レバーを用いて油圧アクチュエータを操作できる状態である、
ショベル。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項12を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
3 本件訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
(ア)「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、前記メニュー画面によって隠れない」との事項を、「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れない」へと変更する訂正事項(以下「訂正事項1-1」という。)について検討する。
訂正事項1-1は、訂正前の前記事項が「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、メニュー画面以外の画面によって隠れる」との事項を含むものであったと解されるところ、本訂正事項により「メニュー画面」ではない「他の画像」、すなわち前記「メニュー画面以外の画像」によって隠れることを排除し、その結果、前記「撮像画像」を「隠」す「画像」の範囲が限定されることになるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)「隠れない態様」との事項を、「隠れないで表示されたままとなる態様」とする訂正事項(以下「訂正事項1-2」という。)について検討する。
訂正事項1-2は、訂正前の「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が」「隠れない態様」について、当該少なくとも1つの撮像画像が「隠れない」態様に関して、「表示されたままとなる態様」と、その全部分が表示されたままとなることを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(ウ)「前記メニュー画面を表示する」との事項を「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」とする訂正事項(以下「訂正事項1-3」という。)について検討する。
訂正事項1-3は、訂正前の「メニュー画面を表示する」領域について、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域」であることを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1-1、1-2、及び1-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件特許明細書等には以下の記載がある(下線は合議体が付した。以下同様。)。
(ア)「【0032】
本実施形態では、画像表示部41は、撮像装置80が撮像した俯瞰画像FV及び後方画像CBTを表示している状態で操作部42のメニュースイッチが操作されると、メニュー画面を表示する。例えば、画像表示部41は、操作部42のメニュースイッチが操作される前後で俯瞰画像FVの大きさを変更することなく、後方画像CBTの大きさを縮小すると共に、メニュー詳細項目を選択する画面を表示する。そして、メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で操作部42の所定のスイッチが操作されると、画像表示部41は、後方画像CBTを、ショベル100の状態を示す状態画面、ショベル100の各種設定を示す設定画面等のメニュー画面に切り換える。このとき、画像表示部41は、俯瞰画像FVの大きさを変更することなく維持した状態で表示する。」
「【0062】
以上に説明したように、画像表示領域41nに俯瞰画像FV及び後方画像CBTが表示されている状態で、タブ41p1が選択されると、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを表示した状態でタブ41p2~41p7に第1メニュー詳細項目が表示される。このため、操作者は、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを確認しながら、第1メニュー詳細項目を確認できる。
【0063】
また、画像表示領域41nには、タブ41p1が選択される前後で大きさが変更されることなく俯瞰画像FVが表示される。操作者がショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化しない。
【0064】
次に、図5を参照して、表示装置40の画像表示部41及び操作部42の別の構成例について説明する。図5は、表示装置40の画像表示部41及び操作部42の構成例を示す図である。図5の画像表示部41に表示される画面は、例えば、図4の画像表示部41に表示されるメニュー詳細項目アイコンが現されたタブ41p1が選択されたときに表示される。
【0065】
図5の例では、メニュー表示領域41pに、ショベル100の状態を示す状態画面、ショベル100の各種設定を示す設定画面等を呼び出すための複数のタブ41p0~41p7が上段と下段の2段に表示されている。但し、タブ41p0~41p7の配置は、図5に示される2段の配置に限定されるものではなく、別の配置であってもよい。
【0066】
タブ41p0には、現在選択されているメニュー詳細項目を示すアイコンである第1メニュー詳細項目アイコンが表示されている。
【0067】
タブ41p1には、第2メニュー詳細項目を表示するための第2メニュー詳細項目アイコンが表示されている。操作者によりタブ41p1が選択されると、タブ41p2~41p7に表示されている第1メニュー詳細項目に関連付けされたアイコンが第2メニュー詳細項目に関連付けされたアイコンに切り換わる。
【0068】
タブ41p2には、各種の燃費情報を表示するための燃費情報アイコンが表示されている。操作者によりタブ41p2が選択されると、後方画像CBTが燃費情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりして燃費情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVが燃費情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりして燃費情報を示す画面が表示されてもよい。
【0069】
タブ41p3には、機械情報を表示するための機械情報アイコンが表示されている。操作者によりタブ41p3が選択されると、後方画像CBTが機械情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりして機械情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVが機械情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりして機械情報を示す画面が表示されてもよい。」
「【0074】
なお、図5の例において、燃費情報を示す画面、機械情報を示す画面、メンテ
ナンス情報を示す画面、日時の設定を行う画面、アタッチメント情報を示す画面、及びエンジン制御情報を示す画面は、メニュー画面の一例である。
【0075】
以上に説明したように、画像表示領域41nに俯瞰画像FV及び後方画像CBTが表示されている状態でタブ41p2~41p7が選択されると、後方画像CBTが、選択されたタブ41p2~41p7に対応する情報を示すメニュー画面に切り換わる。このとき、俯瞰画像FVの表示は変更されない。このように、俯瞰画像FVを表示した状態でメニュー画面が表示されるので、メニュー画面を表示している状態においても周囲視界を確保できる。そのため、メニュー画面を表示した状態でのショベル100の操作が可能となる。
【0076】
次に、図6Aを参照して、表示装置40の画像表示部41及び操作部42の別の構成例について説明する。図6Aは、表示装置40の画像表示部41及び操作部42の構成例を示す図である。図6Aの画像表示部41に表示される画面は、例えば、図5の画像表示部41に表示される機械情報アイコンが現されたタブ41p3が選択されたときに表示される。
【0077】
図6Aの例では、画像表示部41は、俯瞰画像FV、機械情報を示す画面41q、及び複数のタブ41p0~41p7を表示する。」
「【図5】
[図:0001439172000001.jpg]
」
「【図6A】
[図:0001439172000002.jpg]
」
(イ)補正事項1-1における、「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像」を、撮像画像である「俯瞰画像」に対応づけると、前記(ア)【0075】において、後方画像が切り換わること、及び、俯瞰画像が変更されない、ことが記載されているのに加えて、図5と図6とを比較すると、サイズ・倍率・向き・位置等の諸観点からみて、いずれの図面においても、同一の画像が同一の態様で表示されていることが看て取れるから、切り換えの前後において「少なくとも1つの撮像画像が」「表示されたまま」との事項が記載されていると認められ、同じく図5と図6とを比較すると、後方画像の切り換わりの後においても、図6にはメニュー画面を含む他の画像がなんら重畳されていないことが示されているから、「隠れない」との態様も記載されていると認められる。
これらを総合すると、訂正事項1-1の「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、」「メニュー画面を含む他の画像によって隠れない」との事項、及び訂正事項1-2の「隠れないで表示されたままとなる態様」との事項のいずれについても、本件特許明細書及び図面に記載されているといえる。
(ウ)前記(ア)【0066】における「タブ41p0には、現在選択されているメニュー詳細項目を示すアイコンである第1メニュー詳細項目アイコンが表示され」る、及び、前記(ア)【0067】における「タブ41p1には、第2メニュー詳細項目を表示するための第2メニュー詳細項目アイコンが表示されている」ときに、操作者によるタブ41p1の選択により、「第2メニュー詳細項目に関連付けされたアイコンに切り換わ」り表示されるとの記載からみて、上記「第1メニュー詳細項目アイコン」及び「第2メニュー詳細項目アイコン」は、それらを選択することにより、いずれの「メニュー詳細項目」を表示するのかを「選択する」ものであるといえるから、前記「第1メニュー詳細項目アイコン」及び「第2メニュー詳細項目アイコン」は、訂正事項1-3の「メニュー詳細項目を選択する画面」に対応すると認められる。
また、タブ41p1に「第2メニュー詳細項目アイコンが表示されている」ときに、「操作者によりタブ41p1が選択されると、タブ41p2~41p7に表示されている第1メニュー詳細項目に関連付けされたアイコンが第2メニュー詳細項目に関連付けされたアイコンに切り換わる」(【0067】)ところ、前記(ア)【0075】には、「画像表示領域41nに俯瞰画像FV及び後方画像CBTが表示されている状態でタブ41p2~41p7が選択される」と記載されているから、前記「第2メニュー詳細項目アイコンが表示されている」ときであって、「タブ41p2~41p7が選択され」得る状態において、「画像表示領域41nに俯瞰画像FV及び後方画像CBTが表示されている」と解することができる。
そうすると、当該「画像表示領域41n」における「俯瞰画像FV及び後方画像CBT」は、訂正事項1-3の、「メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに」「複数の撮像画像が表示されていた領域」に表示される画像であると認められる。
さらに、前記(ア)【0075】には、「タブ41p2~41p7が選択されると、後方画像CBTが、選択されたタブ41p2~41p7に対応する情報を示すメニュー画面に切り換わる」と記載されており、当該「メニュー画面」は、「画像表示領域41n」の「俯瞰画像FV及び後方画像CBT」のうちの、「後方画像CBT」に切り換わり表示されるものであるから、「複数の撮像画像が表示されていた領域に」「表示する」ものであることは明らかである。
したがって、訂正事項1-3の「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」とする訂正事項は、本件特許明細書及び図面に記載されている事項である。
(エ)したがって、訂正事項1-1、1-2、及び1-3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
請求項1は、本件特許異議の申立てがされている請求項であるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
(ア)訂正事項2のうち、独立形式に改める訂正事項(以下「訂正事項2-1」という。)について検討する。
訂正事項2-1は、訂正前の請求項2が請求項1を引用していたところ、引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)訂正事項2のうち、「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、前記メニュー画面によって隠れない」との事項を、「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れない」へと変更する訂正事項(以下「訂正事項2-2」という。)について検討する。
訂正事項2-2は、訂正前の前記事項が、「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、メニュー画面以外の画面によって隠れる」との事項を含むものであったと解されるところ、本訂正事項により「メニュー画面」ではない「他の画像」、すなわち前記「メニュー画面以外の画像」によって隠れることを排除し、その結果、前記「撮像画像」を「隠」す「画像」の範囲が限定されることになるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(ウ)訂正事項2のうち、「隠れない態様」との事項を、「隠れないで表示されたままとなる態様」とする訂正事項(以下「訂正事項2-3」という。)について検討する。
訂正事項2-3は、訂正前の「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が」「隠れない態様」について、当該画像が「隠れない」ことに関して、「表示されたままとなる態様」と、その全部分が表示されたままとなることを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(エ)訂正事項2のうち、「前記画像表示部は、前記切り換え操作が行われる前後で前記少なくとも1つの撮像画像の大きさを変更することなく表示する」を「前記画像表示部は、前記切り換え操作が行われる前後で前記少なくとも1つの撮像画像の大きさを変更することなく前記少なくとも1つの撮像画像を表示し、且つ、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示する」とする訂正事項(以下「訂正事項2-4」という。)について検討する。
訂正事項2-4は、訂正前の「メニュー画面」が「メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域」に表示されることを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2-1、2-2、2-3、及び2-4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項2-1について
訂正事項2-1は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であるから、明細書等に記載された範囲内のものといえる。
(イ)訂正事項2-2及び2-3について
前記(1)ウをふまえると、訂正事項2-2、2-3は、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。
(ウ)訂正事項2-4について
a 前記(1)ウ(ア)【0066】における「タブ41p0には、現在選択されているメニュー詳細項目を示すアイコンである第1メニュー詳細項目アイコンが表示され」る、及び、前記(1)ウ(ア)【0067】における「タブ41p1には、第2メニュー詳細項目を表示するための第2メニュー詳細項目アイコンが表示されている」ときに、操作者によるタブ41p1の選択により、「第2メニュー詳細項目に関連付けされたアイコンに切り換わ」り表示されるとの記載からみて、上記「第1メニュー詳細項目アイコン」及び「第2メニュー詳細項目アイコン」は、それらを選択することにより、いずれの「メニュー詳細項目」を表示するのかを「選択する」ものであるといえるから、前記「第1メニュー詳細項目アイコン」及び「第2メニュー詳細項目アイコン」は、訂正事項2-4の「メニュー詳細項目を選択する画面」に対応すると認められる。
b また、タブ41p1に「第2メニュー詳細項目アイコンが表示されている」ときに、「操作者によりタブ41p1が選択されると、タブ41p2~41p7に表示されている第1メニュー詳細項目に関連付けされたアイコンが第2メニュー詳細項目に関連付けされたアイコンに切り換わる」(【0067】)ところ、前記(1)ウ(ア)【0075】には、「画像表示領域41nに俯瞰画像FV及び後方画像CBTが表示されている状態でタブ41p2~41p7が選択される」と記載されているから、前記「第2メニュー詳細項目アイコンが表示されている」ときであって、「タブ41p2~41p7が選択され」得る状態において、「画像表示領域41nに俯瞰画像FV及び後方画像CBTが表示されている」と解することができる。
そうすると、当該「画像表示領域41n」における「俯瞰画像FV及び後方画像CBT」は、訂正事項2-4の、「メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に」表示される画像であると認められる。
c さらに、前記(1)ウ(ア)【0075】には、「タブ41p2~41p7が選択されると、後方画像CBTが、選択されたタブ41p2~41p7に対応する情報を示すメニュー画面に切り換わる」と記載されており、当該「メニュー画面」は、「画像表示領域41n」の「俯瞰画像FV及び後方画像CBT」のうちの、「後方画像CBT」に切り換わり表示されるものであるから、「ニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に」「表示する」ものであることは明らかである。
d 前記(1)ウ(イ)、前記a~cをふまえると、訂正事項2-4の「前記画像表示部は、前記切り換え操作が行われる前後で前記少なくとも1つの撮像画像の大きさを変更することなく前記少なくとも1つの撮像画像を表示し、且つ、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示する」とする訂正事項は、本件特許明細書及び図面に記載されている事項である。
e したがって、訂正事項2-4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
請求項2は、本件特許異議の申立てがされている請求項であるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的
(ア)訂正事項3のうち、独立形式に改める訂正事項(以下「訂正事項3-1」という。)について検討する。
訂正事項3-1は、訂正前の請求項3が請求項1を引用していたところ、引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(イ)訂正事項3のうち、「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、前記メニュー画面によって隠れない」との事項を、「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れない」へと変更する訂正事項(以下「訂正事項3-2」という。)について検討する。
訂正事項3-2は、訂正前の前記事項が、「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が、メニュー画面以外の画面によって隠れる」との事項を含むものであったと解されるところ、本訂正事項により「メニュー画面」ではない「他の画像」、すなわち前記「メニュー画面以外の画像」によって隠れることを排除し、その結果、前記「撮像画像」を「隠」す「画像」の範囲が限定されることになるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(ウ)訂正事項3のうち、「隠れない態様」との事項を、「隠れないで表示されたままとなる態様」とする訂正事項(以下「訂正事項3-3」という。)について検討する。
訂正事項3-3は、訂正前の「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が」「隠れない態様」について、当該画像が「隠れない」ことに関して、「表示されたままとなる態様」と、その全部分が表示されたままとなることを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(エ)訂正事項3のうち、「前記画像表示部は、前記ショベルの操作が可能な状態であるときに前記切り換え操作が行われると、前記少なくとも1つの撮像画像を表示した状態で前記メニュー画面を表示する」との事項を「前記画像表示部は、前記ショベルの操作が可能な状態であるときに前記切り換え操作が行われると、前記少なくとも1つの撮像画像を表示した状態で前記メニュー画面を表示し、
前記ショベルの操作が可能な状態は、ゲートロック弁が開かれることで操作者が操作レバーを用いて油圧アクチュエータを操作できる状態である、」とする訂正事項(以下「訂正事項3-4」という。)について検討する。
訂正事項3-4は、訂正前の「ショベルの操作が可能な状態」について、「ゲートロック弁が開かれることで操作者が操作レバーを用いて油圧アクチュエータを操作できる状態である」ことを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3-1、3-2、3-3、及び3-4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項3-1について
訂正事項3-1は、特許法120条の5第2項ただし書4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であるから、本件特許明細書等に記載された範囲内のものといえる。
(イ)訂正事項3-2及び3-3について
前記(1)ウをふまえると、訂正事項3-2、3-3は、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。
(ウ)訂正事項3-4について
本件特許明細書等には以下の記載がある。
a 「【0025】
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26に接続されている。操作装置26は、例えば、左操作レバー、右操作レバー、及び走行操作装置を含む。走行操作装置は、例えば、走行レバー及び走行ペダルを含む。本実施形態では、操作装置26のそれぞれは、油圧式操作装置であり、パイロットラインを介してコントロールバルブ17内にある対応するスプール弁のパイロットポートに接続されている。但し、操作装置26は、電気式操作装置であってもよい。
【0026】
操作圧センサ29は、操作装置26の操作内容を圧力の形で検出する。操作圧センサ29は、検出値をコントローラ30に対して出力する。但し、操作装置26の操作内容は、電気的に検出されてもよい。
【0027】
切換弁35は、操作装置26の有効状態と無効状態とを切り換えできるように構成されている。操作装置26の有効状態は、操作者が操作装置26を用いて油圧アクチュエータを操作できる状態である。操作装置26の無効状態は、操作者が操作装置26を用いて油圧アクチュエータを操作できない状態である。本実施形態では、切換弁35は、コントローラ30からの指令に応じて動作するように構成されているゲートロック弁である。具体的には、切換弁35は、パイロットポンプ15と操作装置26とを繋ぐパイロットラインに配置され、コントローラ30からの指令に応じてパイロットラインの遮断・連通を切り換えできるように構成されている。操作装置26は、例えば、ゲートロックレバーD4が引き上げられて切換弁35(ゲートロック弁)が開かれたときに有効状態となり、ゲートロックレバーD4が押し下げられて切換弁35(ゲートロック弁)が閉じられたときに無効状態となる。」
「【0033】
また、画像表示部41は、ショベル100の操作が可能な状態及び操作が不能な状態のいずれであっても、操作部42のメニュースイッチが操作されるとメニュー画面を表示するように構成されていてよい。また、画像表示部41は、ショベル100の操作が不能の状態であるときに限り、操作部42のメニュースイッチが操作されるとメニュー画面を表示するように構成されていてもよい。また、例えば、切換スイッチ等の切換手段によって、これらが切換可能に構成されていてもよい。ショベル100の操作が可能な状態とは、例えば、ゲートロックレバーD4が引き上げられて切換弁35が開かれることで操作装置26が有効である状態である。ショベル100の操作が不能な状態とは、例えば、ゲートロックレバーD4が押し下げられて切換弁35が閉じられることで操作装置26が無効である状態である。」
b 前記a【0025】の「操作装置26は、例えば、左操作レバー、右操作レバー、及び走行操作装置を含む。」との記載、前記a【0027】の「操作装置26の有効状態は、操作者が操作装置26を用いて油圧アクチュエータを操作できる状態である。」との記載、及び前記a【0033】の「ショベル100の操作が可能な状態とは、例えば、ゲートロックレバーD4が引き上げられて切換弁35が開かれることで操作装置26が有効である状態である。」との記載から、ショベル100の操作が可能な状態とは、ゲートロックレバーD4が引き上げられて切換弁35が開かれることで操作装置26が有効である状態であり、操作者が操作レバーを用いて油圧アクチュエータを操作できる状態であることが記載されているといえる。
c したがって、訂正事項3-4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
請求項3は、本件特許異議の申立てがされている請求項であるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(4)訂正事項4及び5
ア 訂正の目的
訂正事項4及び5は、訂正前の特許請求の範囲の請求項12及び13を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項4及び5は、訂正前の特許請求の範囲の請求項12及び13を削除するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4及び5は、訂正前の特許請求の範囲の請求項12及び13を削除するものであって、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
訂正事項4及び5は、訂正前の請求項12及び13を削除する訂正であるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
(5)一群の請求項について
訂正前の請求項1~13について、請求項2~13はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~13に対応する訂正後の請求項1~13は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
4 訂正の適否のまとめ
本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するものである。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件訂正請求により訂正された請求項1~13に係る発明(以下「本件訂正発明1」~「本件訂正発明13」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載される運転室と、
前記上部旋回体に搭載される複数の撮像装置と、
前記運転室に設けられる表示装置と、
前記運転室に設けられる操作部と、を有したショベルであって、
前記表示装置は、前記複数の撮像装置の少なくとも1つが撮像した複数の撮像画像と、メニュー詳細項目を選択する画面と、メニュー画面とを表示する画像表示部を備え、
前記メニュー画面は、前記メニュー詳細項目を選択する画面において選択された前記メニュー詳細項目に関連付けされており、
前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する、
ショベル。
【請求項2】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載される運転室と、
前記上部旋回体に搭載される複数の撮像装置と、
前記運転室に設けられる表示装置と、
前記運転室に設けられる操作部と、を有したショベルであって、
前記表示装置は、前記複数の撮像装置の少なくとも1つが撮像した複数の撮像画像と、メニュー詳細項目を選択する画面と、メニュー画面とを表示する画像表示部を備え、
前記メニュー画面は、前記メニュー詳細項目を選択する画面において選択された前記メニュー詳細項目に関連付けされており、
前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して前記メニュー画面を表示し、
前記画像表示部は、前記切り換え操作が行われる前後で前記少なくとも1つの撮像画像の大きさを変更することなく前記少なくとも1つの撮像画像を表示し、且つ、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示する、
ショベル。
【請求項3】
前記複数の撮像画像は、俯瞰画像と後方画像とを含み、
前記画像表示部は、前記切り換え操作が行われる前後で前記俯瞰画像又は前記後方画像の大きさを変更して表示する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載される運転室と、
前記上部旋回体に搭載される複数の撮像装置と、
前記運転室に設けられる表示装置と、
前記運転室に設けられる操作部と、を有したショベルであって、
前記表示装置は、前記複数の撮像装置の少なくとも1つが撮像した複数の撮像画像と、メニュー詳細項目を選択する画面と、メニュー画面とを表示する画像表示部を備え、
前記メニュー画面は、前記メニュー詳細項目を選択する画面において選択された前記メニュー詳細項目に関連付けされており、
前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して前記メニュー画面を表示し、
前記画像表示部は、前記ショベルの操作が可能な状態であるときに前記切り換え操作が行われると、前記少なくとも1つの撮像画像を表示した状態で、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示し、
前記ショベルの操作が可能な状態は、ゲートロック弁が開かれることで操作者が操作レバーを用いて油圧アクチュエータを操作できる状態である、
ショベル。
【請求項5】
前記画像表示部は、前記少なくとも1つの撮像画像及び前記メニュー画面を表示した状態で、前記ショベルの稼動状態情報を表示する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項6】
前記メニュー画面は、前記ショベルの状態を示す状態画面を含む、
請求項1に記載のショベル。
【請求項7】
前記メニュー画面は、前記ショベルの各種設定を示す操作性設定画面を含む、
請求項1に記載のショベル。
【請求項8】
前記操作部は、前記表示装置に設けられる、
請求項1に記載のショベル。
【請求項9】
前記操作部は、前記運転室に設けられる、操作レバー、シート左側コンソール、シート右側コンソールの内、少なくとも1つに設けられる、
請求項1に記載のショベル。
【請求項10】
前記メニュー画面が表示されている状態において、前記ショベルの周囲に物体を検出した場合、警報を発する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項11】
前記警報は、音、光、画面における強調表示を含む、
請求項10に記載のショベル。
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
(削除)」
第4 令和7年11月7日付けの取消理由通知(決定の予告)の概要
令和7年11月7日付けの取消理由の概要は、次のとおりである。
取消理由2(明確性)本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は取り消すべきものである。
取消理由3(進歩性)本件特許の請求項1、3~11に係る発明は、甲2に記載された発明、及び甲1、甲5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反してなされたから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
引用文献
甲第1号証:国際公開第2017/022042号(以下「甲1」という。)
甲第2号証:特開2016-101825号公報(以下「甲2」という。)
甲第5号証:国際公開第2012/053105号(以下「甲5」という。)
甲第7号証:特開平9-71388号公報(以下「甲7」という。)
甲第8号証:特開2014-181508号公報(以下「甲8」という。)
第5 取消理由についての当審の判断
1 明確性について
(1)請求項1について
令和7年11月7日付けの取消理由通知(決定の予告)で指摘した「前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで少なくとも部分的に表示されたままとなる態様」との記載は、本件訂正により「前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様」との記載に改められた。
一般的に「~たまま」との用語は、事態・事柄に変化が加わらずにある状態のことを意味するから、当該記載が「トリミング画像や縮小画像等に変更した状態ではあるが、隠れないで表示されたまま」であることを意味するのではなく、「撮像画像」の全部分が表示されたままとなる状態を維持することを意味することが明確になったから、請求項1の記載が明確でないとする取消理由は解消した。
(2)請求項2、4について
本件訂正発明2、4は、本件訂正発明1の「前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様」と同一の構成を有するから、本件訂正発明1と同様に明確であり、請求項2、4の記載が明確でないとする取消理由は解消した。
(3)請求項3について
本件訂正発明3が引用する本件訂正発明1は、「前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して、前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」構成を有するところ、請求項3の「前記複数の撮像画像は、俯瞰画像と後方画像とを含み、
前記画像表示部は、前記切り換え操作が行われる前後で前記俯瞰画像又は前記後方画像の大きさを変更して表示する、」との記載は、「前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたまま」である「撮像画像」以外の「撮像画像」であって、「俯瞰画像」と「後方画像」の一方の「大きさを変更して表示する」ことを意味することが明確になったから、請求項3の記載が明確でないとする取消理由は解消した。
(4)請求項3、5~11について
本件訂正発明1を引用する本件訂正発明3、5~11についても前記(1)と同様に、請求項3、5~11の記載が明確でないとする取消理由は解消した。
(5)まとめ
以上のとおり、令和7年11月7日付けの取消理由通知(決定の予告)に記載した明確性についての取消理由は解消した。
2 進歩性について
(1)引用文献等について
ア 甲2、甲2発明
(ア)記載事項
本願の優先日前の平成28年6月2日に発行された甲2には、次の事項が記載されている。
「【0011】
以下、本発明の設定装置を建設用の作業車両(油圧ショベル)に適用したものを例に挙げて図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、クローラ式の下部走行体を備えた作業車両に設定装置が実装されたものを示し、設定装置として、表示手段1と、入力手段2とを運転室(キャブ)3内に備えている。また、図2は、設定装置に係る電気回路構成を示す図である。
【0013】
表示手段1は、運転席4に搭乗したオペレータ(作業者)が視認可能なように、運転室3の前方側に設けられる。この場合、表示手段1は、運転室3のピラー5に設置される液晶表示パネルを適用している。また、表示手段1は、制御手段6からの制御信号に基づいて表示することができ、例えば、各機構の状態や異常時の警告、メンテナンス情報やカメラ(撮影手段)7からの撮影画像など車両情報や、時刻や作業時間などを表示できる。
【0014】
入力手段2は、表示手段1よりも運転席4の近傍に設けられ、この場合、着座したオペレータが手元で操作し易いように運転席4の脇に備えられる。」
「【0020】
制御手段6は、車両情報に基づいて通常の表示画面を表示手段1に表示させる(ステップS1)。この場合、図4に示すように、表示手段1には、時刻情報1a、各種計測値情報1b、視覚補助として車外の撮影画像1dが出力される。なお、この表示内容や組み合わせについては、本発明の設定装置を用いて、作業者の好みや必要に応じて選択できる。
【0021】
この状態で制御手段6は、入力手段2からの信号と上述した所定しきい値とを比較し、入力手段2の指が近づいたか否かを判定処理(ステップS2)する。この判定結果において、入力手段2が指に近づいた場合には、設定操作についてガイド情報を表示する画面に表示手段1の出力を切り替える。
【0022】
例えば、図5に示すように、通常表示の画面を縮小したりレイアウトを変更するなどして、ガイド情報を割り込み表示させることができる(ステップS3)。この場合、表示手段1は、「VOL調整」のように設定項目(メニュー)1dを表示できる。また、オペレータは、表示手段1の画面が切り替わることによって、入力手段2を視認しなくても手探りで指先が入力手段2に近づいたことを確認でき、同時に入力手段2に触れた場合の設定項目1dを事前に確認できる。」
「【0024】
制御手段6は、作業者の手が入力手段2に近づくなどして、上述の画面の切り替わり後、所定時間(例えば、5秒)入力手段2に対してタッチ操作が無いか否かを判定する(ステップS4)。制御手段6は、所定時間以上操作が無い場合には、操作意志がないものとみなして表示手段1による出力が通常表示へ戻るように画面切り替えする。
【0025】
また、制御手段6は、該所定時間内に入力手段2がタップ操作されたことを検出した場合に、複数の設定項目のうち何れの設定項目を変更するのか、変更対象を選択する処理を行う(ステップS5)。この場合、表示手段1は、図6に示すように、設定項目1dの上下に、それぞれ操作方向を示す上下の矢印1eを表示する。作業者は、これらガイド情報の表示によって、入力手段2をタップ操作した場合にVOL調整を選択でき、上下にスワイプ操作した場合に他の設定項目が選択できることを予想でき、このガイド情報に従って、変更したい設定項目を選択できる。
【0026】
上記処理によって、対象の設定項目が選択された場合、制御手段6は、設定できる変量や選択肢について操作方向を示す矢印とともに表示手段1に表示させる設定変更処理を行う(ステップS6)。例えば、表示手段1は、図7に示すように、VOL調整における「大小」の方向を示す表示1f及び左右の矢印1gを表示する。この場合、作業者は、左右のスワイプ操作によって、音量等の変量を選択し調整できる。」
「【図1】
[図:0001439172000003.jpg]
」
「【図4】
[図:0001439172000004.jpg]
」
「【図5】
[図:0001439172000005.jpg]
」
「【図6】
[図:0001439172000006.jpg]
」
「【図7】
[図:0001439172000007.jpg]
」
(イ)認定事項
a 前記(ア)【0013】の「表示手段1は、制御手段6からの制御信号に基づいて表示することができ、例えば、各機構の状態や異常時の警告、メンテナンス情報やカメラ(撮影手段)7からの撮影画像など車両情報や、時刻や作業時間などを表示できる」との記載、及び前記(ア)【0020】の「表示手段1には、時刻情報1a、各種計測値情報1b、視覚補助として車外の撮影画像1dが出力される。」(当審注:上記「撮影画像1d」は「撮影画像1c」の誤記であると認める。)との記載から、車外の撮影画像1cは、カメラ7からの撮影画像であると認められ、また、表示手段1に表示される「各種計測値情報1b」は、「各機構の状態」を示すためのものであるといえる(以下「認定事項a」という。)。
b 前記(ア)【0022】の「通常表示の画面を縮小したりレイアウトを変更するなどして、ガイド情報を割り込み表示させることができる(ステップS3)。この場合、表示手段1は、「VOL調整」のように設定項目(メニュー)1dを表示できる。」との記載、前記(ア)【図4】、及び前記(ア)【図5】から、表示手段1の通常表示の画面を縮小したりレイアウトを変更するなどして、設定項目1dを含む矩形の領域を、車外の撮影画像1cの大きさを維持したまま、車外の撮影画像1cが表示されていた領域に、車外の撮影画像1cの下方に並べて表示させると認められる(以下「認定事項b」という。)。
c 前記(ア)」【0020】の「図4に示すように、表示手段1には、時刻情報1a、各種計測値情報1b、視覚補助として車外の撮影画像1dが出力される。」との記載、前記(ア)【0022】の「通常表示の画面を縮小したりレイアウトを変更するなどして、ガイド情報を割り込み表示させることができる(ステップS3)。この場合、表示手段1は、「VOL調整」のように設定項目(メニュー)1dを表示できる。」との記載、及び前記(ア)【図4】から、「通常表示」では、時刻情報1a、各種計測値情報1b、車外の撮影画像1cが表示されると認められる(以下「認定事項c」という。)。
d 前記(ア)【0024】の「制御手段6は、作業者の手が入力手段2に近づくなどして、上述の画面の切り替わり後、所定時間(例えば、5秒)入力手段2に対してタッチ操作が無いか否かを判定する(ステップS4)。」との記載、前記(ア)【0025】の「制御手段6は、該所定時間内に入力手段2がタップ操作されたことを検出した場合に、複数の設定項目のうち何れの設定項目を変更するのか、変更対象を選択する処理を行う(ステップS5)。この場合、表示手段1は、図6に示すように、設定項目1dの上下に、それぞれ操作方向を示す上下の矢印1eを表示する。作業者は、これらガイド情報の表示によって、入力手段2をタップ操作した場合にVOL調整を選択でき、上下にスワイプ操作した場合に他の設定項目が選択できることを予想でき、このガイド情報に従って、変更したい設定項目を選択できる。」との記載、前記(ア)【0026】の「上記処理によって、対象の設定項目が選択された場合、制御手段6は、設定できる変量や選択肢について操作方向を示す矢印とともに表示手段1に表示させる設定変更処理を行う(ステップS6)。」との記載、及び前記(ア)【図4】~【図7】から、手が入力手段2に近づくと画面が切り替わり、さらにタッチ操作により設定項目1dの上下に、上下の矢印1eが表示され、設定項目1dを上下にスワイプ操作した後のタップ操作により設定項目1dを選択することで、変量を設定する画面に遷移すると認められる(以下「認定事項d」という。)。
e 前記(ア)【0026】の記載、及び前記(ア)【図5】~【図7】から、複数の設定項目のうち対象の設定項目1dとしてVOL調整が選択された場合、表示手段1には、設定項目1dと上下の矢印1eの代わりに、設定項目1dと上下の矢印1eと同箇所に、VOL調整における変量や選択肢が、操作方向を示す矢印とともに表示されると認められる(以下「認定事項e」という。)。
f 前記(ア)【図1】から、入力手段2が運転席4の右側脇に備えられることが看取できる(以下「認定事項f」という。)。
(ウ)甲2発明
前記(ア)、(イ)で示した事項からみて、甲2には下記の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「下部走行体を備えた油圧ショベルであって、
表示手段1と、入力手段2とを運転室3内に備えており(【0011】、【0012】)、
入力手段2が運転席4の右側脇に備えられており(認定事項f)、
表示手段1には、各機構の状態を示す各種計測値情報1b、視覚補助としてカメラ7からの撮像画像である車外の撮影画像1cが通常表示され(【0020】、認定事項a、c)、
手が入力手段2に近づくと表示手段1の通常表示の画面を縮小したりレイアウトを変更して、設定項目1dを含む矩形の領域を、車外の撮影画像1cの大きさを維持したまま、車外の撮影画像1cが表示されていた領域に、車外の撮影画像1cの下方に並べて表示させた画面に切り替わり、さらにタッチ操作により設定項目1dの上下に、上下の矢印1eが表示され、設定項目1dを上下にスワイプ操作した後のタップ操作により設定項目1dを選択することで、変量を設定する画面に遷移し(【0021】、【0022】、認定事項b、d)、
複数の設定項目のうち対象の設定項目1dとしてVOL調整が選択された場合、表示手段1には、設定項目1dと上下の矢印1eの代わりに、設定項目1dと上下の矢印1eと同箇所に、VOL調整における変量や選択肢が、操作方向を示す矢印とともに表示される(認定事項e)、
油圧ショベル。」
イ 甲1、甲1発明
(ア)記載事項
本願の優先日前の2017年2月9日に発行された甲1には、次の事項が記載されている。
「[0021] [油圧ショベルの全体構成]
まず、図1は、本発明の実施の形態である作業機械の周辺監視装置が搭載される油圧ショベルの全体構成を示す斜視図である。この油圧ショベル1は、作業機械の一例として示した油圧ショベルである。油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回自在に設置された上部旋回体3と、上部旋回体3の前部中央に屈曲起伏自在に動作する作業機4とを備える。
[0022] 作業機4は、ブーム4a、アーム4b、バケット4c、ブームシリンダ4d,アームシリンダ4e、及びバケットシリンダ4fを有する。
[0023] 上部旋回体3の前部左側部分には、運転室6が設置される。上部旋回体3の後部には、パワーコンテナ7が搭載される。パワーコンテナ7内には、エンジン、油圧ポンプ、ラジエータ、オイルクーラなどが収容されている。上部旋回体3の後端部には、カウンタウェイト8が装着される。
[0024] [運転室]
図2は、運転室6の内部配置を示す図である。図2に示すように、操作レバー11,12は、例えば運転室6内のオペレータシート10の左右に配置される。操作レバー11は上部旋回体3の旋回動作とアーム4bの動作に対応しており、操作レバー12はブーム4aの動作とバケット4cの動作に対応している。尚、操作レバー11,12の操作とどの作業機が動作するかの組み合わせは、本実施形態のものには限られない。
[0025] 走行レバー13および走行レバー14は、操作に応じて下部走行体2の左側および右側の履帯の前進後進を行うことができる。
[0026] また、運転室6の右前には、モニタ15が配置される。モニタ15は、表示部16と操作部17とを有する。表示部16は、液晶ディスプレイなどの表示装置であり、エンジンや油圧ポンプなどの状態を含む各種情報、例えば、エンジン水温、油温、燃料の残量等の機械情報、機器の異常などを示す警告情報、メニュー画面やメンテナンス画面などを表示することができる。
[0027] また、モニタ15には、後述するカメラで撮影された画像(単カメラ画像)や、複数のカメラ画像を上方視点に変換した上で合成することにより生成される画像(俯瞰画像)を表示することができる。
・・・
[0029] [カメラの構成]
カメラC1~C4は、上部旋回体3に取り付けられる。図3に示すように、カメラC1は、上部旋回体3の後方に取り付けられて上部旋回体3の後方を撮像する。また、カメラC2は、上部旋回体3の右側方に取り付けられて上部旋回体3の右後方を撮像する。また、カメラC3は、上部旋回体3の右側方に取り付けられて上部旋回体3の右前方を撮像する。また、カメラC4は、上部旋回体3の左側方に取り付けられて上部旋回体3の左側方を撮像する。なお、例えば、各カメラC1~C4は、左右方向および高さ方向において所定角度の視野範囲を有する。カメラとしてCCD(Charge-Coupled Device)カメラを用いることができる。また、各カメラC1~C4は、ワイドダイナミックレンジ(Wide Dynamic Range)機能を有してもよい。」
「[0046] [モニタの標準画面]
図7は、モニタ15の表示部16に標準画面の一例が表示された状態を示す図である。標準画面は、キースイッチオン後、一定時間経過した状態で表示される初期画面であり、作業機械の各種情報、例えば、エンジン水温、油温、燃料の残量等の機械情報、機器の異常などを示す警告情報、メニュー画面やメンテナンス画面、俯瞰画像、単カメラ画像などが表示される。
[0047] 図7に示すように、表示部16の左には、俯瞰画像61が表示され、右には、単カメラ画像62が表示される。図7の単カメラ画像62は、上部旋回体3の後方に設けられたカメラC1による後方を撮像した画像である。俯瞰画像61及び単カメラ画像62には、旋回中心からの距離や方向の目安を示す目安線Dが表示されている。単カメラ画像62の右上には、時間変化画像63が表示される。」
(イ)甲1発明
前記(ア)で示した事項からみて、甲1には下記の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数のカメラが上部旋回体に取り付けられ([0029])、
運転室6に表示部16と操作部17とを有するモニタ15が配置され([0026])、
モニタ15には、カメラで撮影された画像(単カメラ画像)、及び複数のカメラ画像を上方視点に変換した上で合成することにより生成される画像(俯瞰画像)を表示する([0027]、[0046] 、[0047])、
油圧ショベル。」
ウ 甲5、甲5技術事項
(ア)記載事項
本願の優先日前の2012年4月26日に発行された甲5には、次の事項が記載されている。
「[0012] 図2は本発明の実施の形態に係る作業機械の周辺監視装置の全体構成図である。なお、先の図と同じ部分には同じ符号を付して説明は省略する(後の図も同様とする)。この図に示す周辺監視装置は、カメラ13a,13b,13cと、障害物検出部400と、位置算出部500と、危険範囲算出部700と、判定部800と、危険度設定部2000と、画像作成部600と、表示装置1300と、各部が行う処理を実行するCPU等の処理装置(図示せず)と、各部で行われる処理内容や処理結果が記憶されるメモリ等の記憶装置(図示せず)を備えている。
[0013] 障害物検出部400は、カメラ13a,13b,13cで撮影した画像を利用して油圧ショベル周辺の障害物の存在を検出する部分であり、位置算出部500は、障害物検出部400で検出された障害物の油圧ショベルに対する相対位置を算出する部分である。」
「[0021] 監視画像作成部620は、俯瞰画像作成部610で作成された俯瞰画像を俯瞰視点決定部2100で決定した俯瞰視点から仮想カメラで撮影することで監視画像を作成する部分である。監視画像作成部620は、作成した監視画像上に適宜必要な画像を合成して表示する処理も行う。例えば、監視画像は、油圧ショベルに対する障害物の位置関係がオペレータに容易に把握されるように、俯瞰画像の中心に油圧ショベルを模した図形(模擬作業機械図)を表示することが好ましい。模擬作業機械図を表示する方法としては、俯瞰画像の中央に油圧ショベルのイラストや3次元モデルを表示するものがある。なお、その際、オペレータによる状況把握をさらに容易にするために、当該模擬作業機械図に実際の油圧ショベルの姿勢や動作を反映させることが好ましい。
[0022] さらに、オペレータの視認性を向上させるために、最も接触危険度が高い障害物が人である場合には、当該障害物の上に警告表示を重畳的に描画することが好ましい。警告表示としては、例えば、図形(星形の図形等)や文字(「危険」等)があり、これらに対して監視画像中において目立つ彩色を施すことが好ましい。また、俯瞰画像に変換すると画像が適宜拡大縮小されて障害物の種別が判別し難くなる傾向が強い。そのため、最も接触危険度が高い障害物が人である場合には、オペレータの視認性を向上させるために、当該障害物の上に人を示す画像を重畳的に描画しても良い。その際、人を示す画像としては、例えば、人のイラストや写真等がある。なお、これらに対しても、監視画像中において目立つ彩色を施すことが好ましい。」
(イ)甲5技術事項
前記(ア)で示した事項からみて、甲5には下記の事項(以下「甲5技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「ショベル周辺の障害物の存在を検出する障害物検出部400を備える油圧ショベルであって、
油圧ショベルに対する障害物の位置関係がオペレータに容易に把握されるように、監視画像上に適宜必要な画像を合成して表示し、障害物の上に、目立つ彩色を施した警告表示を重畳的に描画する油圧ショベル。」
エ 甲9、甲9技術事項
(ア)記載事項
本願の優先日前の2016年1月28日に発行された、令和8年3月23日に申立人が意見書とともに新たに提出した甲第9号証(国際公開第2016/013686号、以下「甲9」という。)には、次の事項が記載されている。
「[0046][モニタの標準画面]
図6は、モニタ15の表示部16に標準画面83の一例が表示された状態を示す図である。標準画面83は、キースイッチオン後、一定時間経過した状態で表示される初期画面である。一般的な標準画面には、作業機械の各種情報、例えば、エンジン水温、油温、燃料の残量等の機械情報、機器の異常などを示す警告情報、メニュー画面やメンテナンス画面などを表示する。
[0047] 図6の標準画面83の一例では、上記作業機機械の各種情報に加えて、特殊情報として表示部16の中央左には、俯瞰画像61が表示され、中央右には、単カメラ画像62が表示される。図6の単カメラ画像62は、上部旋回体3の後方に設けられたカメラC1による後方を撮像した画像である。俯瞰画像61及び単カメラ画像62には、旋回中心からの距離や方向の目安を示す目安線Dが表示されている。
[0048] 単カメラ画像62の右上には、単カメラ画像位置アイコン70が表示される。単カメラ画像位置アイコン70は、表示部16に表示されている単カメラ画像62がどの位置を撮影するカメラの画像であるかを示している。図6では、単カメラ画像62がカメラC1によって撮像された画像であることを示している。なお、図6では俯瞰画像61が左側に、単カメラ画像62が右側に表示されているが、両者の表示位置が反対であってもよい。
[0049] 表示部16の下部には、左から、エンジンの冷却水の水温を示すエンジン水温ゲージG1、油圧回路内の作動油の油温を示す作動油温ゲージG2、および燃料の残量のレベルを示す燃料レベルゲージG3が表示される。また、作動油温ゲージG2は非表示であってもよい。
[0050] なお、ファンクションスイッチF1~F6は、各スイッチの直上で表示部16が表示するアイコンに対応した信号を入力するためのスイッチである。図6では、ファンクションスイッチF3の上部には、単カメラ画像62を全画面表示に切り替えるアイコンI1が表示されている。また、ファンクションスイッチF4の上部には、単カメラ画像62のカメラを切り替える(例えばカメラC1の画像からカメラC2の画像への切り替え)アイコンI2が表示されている。ファンクションスイッチF6の上部には、メニュー画面へ切り替えるアイコンI3が表示されている。メニュー画面とは、作業機械の各種設定や状況を確認する際に用いる画面である。」
「[0052] [標準画面と調整処理画面との間の画面遷移]
図7は、標準画面83と調整処理画面90との間の画面遷移を説明する図である。初期画面として、図6に図示された標準画面83が表示される。この標準画面83から周辺監視制御部40のキャリブレーションを行うための調整処理画面90に遷移する場合、標準画面83においてファンクションスイッチF6を押下し上述したメニュー画面に遷移する。
[0053] メニュー画面には複数の各種設定項目が並んでいるが、その中から「サービス選択」メニューを選択・決定することにより図示しないサービス選択画面84に遷移する。同様にサービス選択画面84においても複数の項目が並んでいるが、その中から図示しない「調整選択」メニューを選択・決定し、調整選択画面85に遷移する。さらに調整選択画面85においてもその中から「メイン設定選択」メニューを選択・決定し、メイン設定選択画面91に遷移する。
[0054] その結果、俯瞰画像の調整処理を行うための調整処理画面90としての周辺監視調整画面01(91)が表示される。調整処理画面90は、階層構造となっており、ある項目を「決定」する毎に、1つ下の階層に遷移し、「1階層戻る」ボタンを押下すると、1つ上の階層に遷移する。
[0055] 図7に図示された標準画面83、サービス選択画面84、調整選択画面85は、モニタ制御部43における標準画面生成部46が生成する画面である。また、周辺監視調整画面01(91)やカメラ設定メニュー画面102といった調整処理画面90は、モニタ制御部43における調整処理画面生成指示部47からの指示に基づいて周辺監視制御部40における調整処理画面生成部55が生成する画面である。
[0056] そのため、例えば、標準画面83からサービス選択画面84へ遷移する場合には、モニタ15が有する操作部17において「サービス選択」の項目が「選択・決定」されることにより、その信号がモニタ制御部43に出力され、モニタ制御部43における標準画面生成部46がサービス選択画面84を生成し、表示部16に出力して表示される、という信号の入出力が行われている。
[0057] 一方、周辺監視調整画面01(91)から周辺監視調整画面02(92)へ遷移する場合には、モニタ15が有する操作部17において「1つ下の項目を選択」スイッチが押下されることにより、その信号がモニタ制御部43を介して周辺監視制御部40に出力され、周辺監視制御部における調整処理画面生成部55が周辺監視調整画面02(92)を生成し、映像信号S1として表示部16に出力して表示される、という信号の入出力が行われている。
[0058] 図8は、周辺監視調整画面01(91)を示しており、この画面の左側に俯瞰画像61が表示され、右側に選択項目が表示される。この状態では、最も上の色が付いている項目である「01 メイン設定」が選択されていることになる。図8における画面上中部の領域は周辺監視制御部40において生成される調整処理画面領域であり、画面下部のアイコンが並んでいる領域はモニタ制御部43におけるアイコン生成部48が生成するアイコン領域である。」
「[0062] 図8の周辺監視調整画面01(91)の状態からファンクションスイッチF3(1つ下の項目を選択)を押下することによって、1つ下部の項目である「02 カメラ設定」が選択された状態である周辺監視調整画面02(92)に遷移する。(図示していない)。
[0063] ここで、「02 カメラ設定」が選択された状態(周辺監視調整画面02(92))で、ファンクションスイッチF6(決定)を押下すると、図9に示すカメラ設定メニュー画面102に遷移する。」
「[図6]
[図:0001439172000008.jpg]
」
「[図7]
[図:0001439172000009.jpg]
」
「[図8]
[図:0001439172000010.jpg]
」
「[図9]
[図:0001439172000011.jpg]
」
(イ)甲9技術事項
前記(ア)で示した事項からみて、甲9には、下記の事項(以下「甲9技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「標準画面83が表示される表示部16を有するモニタ15であって([0046])、
標準画面83では、特殊情報として表示部16の中央左に、俯瞰画像61が表示され、中央右に、単カメラ画像62が表示され、単カメラ画像62は、上部旋回体3の後方に設けられたカメラC1による後方を撮像した画像であり([0047])、
標準画面83から周辺監視制御部40のキャリブレーションを行うための調整処理画面90に遷移する場合、標準画面83においてファンクションスイッチF6を押下しメニュー画面に遷移し([0052])、
メニュー画面には複数の各種設定項目が並んでいるが、その中から「サービス選択」メニューを選択・決定することによりサービス選択画面84に遷移し、サービス選択画面84においても複数の項目が並んでいるが、その中から「調整選択」メニューを選択・決定し、調整選択画面85に遷移し、さらに調整選択画面85においてもその中から「メイン設定選択」メニューを選択・決定し、メイン設定選択画面91に遷移し([0053])、
その結果、俯瞰画像の調整処理を行うための調整処理画面90としての周辺監視調整画面01(91)が表示され([0054])、
周辺監視調整画面01(91)の画面の左側に俯瞰画像61が表示され、右側に選択項目が表示される([0058])、
モニタ15。」
オ 周知技術
甲7(【0002】、【0023】)、及び甲8(【0025】~【0029】)等に記載されているように、「操作レバーを用いて油圧アクチュエータを操作可能とするために、ゲートロック弁を開く構成」は、当業者には周知の技術(以下「周知技術」という。)である。
(2)本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と甲2発明を対比すると、両者は少なくとも次の相違点1において相違する。
<相違点1>
本件訂正発明1は、表示される撮像画像が複数あり、少なくとも1つの撮像画像がメニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままであり、メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに複数の撮像画像が表示されていた領域にメニュー画面を表示するのに対し、甲2発明の「車外の撮影画像1c」は1つのみであり、「設定項目1d」と「上下の矢印1e」を表示したときに「車外の撮影画像1c」が表示されていた領域に、「VOL調整における変量や選択肢」と「走査方向を示す矢印」が表示された「矩形の領域」を表示しているわけではない点。
イ 判断
(ア)甲1発明、甲5技術事項について
甲1発明は、モニタに単カメラ画像、及び俯瞰画像を表示するものであり、甲5技術事項は、画像に警告を重畳表示するものの、画像に対する意味づけを行うためのものであるという点で本件訂正発明1とは趣旨が異なるから、相違点1に係る本件訂正発明1の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」構成は、甲1、甲5のいずれにも記載も示唆もされていない。
(イ)甲9技術事項について
a 甲9技術事項の「複数の各種設定項目」が、本件訂正発明1の「メニュー詳細項目」に相当するとした場合、「複数の各種設定項目」を表示する「メニュー画面」に「俯瞰画像61」、「単カメラ画像62」が表示されるものであるか明らかでない。
そうすると、甲9技術事項は、本件訂正発明1の「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域」を充足しない。
また、甲9技術事項の「サービス選択画面84」の「複数の項目」が、本件訂正発明1の「メニュー詳細項目」に相当するとした場合、及び甲9技術事項の「調整選択画面85」の「メニュー」が、本件訂正発明1の「メニュー詳細項目」に相当するとした場合にも同様に、甲9技術事項は、本件訂正発明1の「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域」を充足しない。
b 甲9技術事項の「選択項目」が、本件訂正発明1の「メニュー詳細項目」に相当するとした場合、「選択項目」が表示されるときには「画面の左側に俯瞰画像61が表示され」るだけであって、複数の画像が表示されるわけではない。
そうすると、甲9技術事項は、本件訂正発明1の「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」構成を充足しない。
c したがって、相違点1に係る本件訂正発明1の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」構成は、甲9には記載も示唆もされていない。
ウ まとめ
以上のとおり、相違点1に係る本件訂正発明1の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」構成は、甲1、甲5、甲7~8及び前記新たに提出された甲9のいずれにも記載も示唆もされていないし、同構成が公知の技術、周知慣用技術、又は技術常識であることを示す他の証拠を発見することもできない。
さらに、甲2発明において、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とする動機付けを見いだすこともできない。
そうすると、甲2発明において、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではなく、本件訂正発明1は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものということはできないから、前記取消理由(進歩性)により、本件特許請求の範囲の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
エ 申立人の主張について
(ア)令和8年3月23日に提出された意見書において、申立人は以下のとおり主張する。
「そもそも、メニュー画面をどの様にレイアウトするかは当業者が必要に応じてなし得るものであるところ、甲2発明において、前記周知技術を採用して、前記訂正発明1の構成を実現することは当業者が容易になし得るものである。」
(イ)前記(ア)の主張について検討する。
メニュー画面をどの様にレイアウトするかは当業者が必要に応じてなし得るものであったとしても、甲2発明において、同じ領域であった「設定項目1d」と「上下の矢印1e」を表示する領域と、「VOL調整における変量や選択肢」と「走査方向を示す矢印」を表示する領域をわざわざ異ならせることは、操作の効率を上げるというUI技術の技術常識を考慮すれば、操作の効率を下げるためその必要性がなく、当業者がなし得るものであるとまではいえないし、甲2発明において、「設定項目1dを上下にスワイプする操作」及びその後の「タップ操作」と、「VOL調整における変量や選択肢」と「走査方向を示す矢印」による操作は、前者に基づいて後者が実行されるものとなっており、これらの一連の操作が表示画面における同一の領域において実行されることに特徴があると認められるから、当該領域を別個のものとする動機付けは認められない。
したがって、申立人の前記(ア)の主張は採用できない。
(3)本件訂正発明3、5~11について
前記(2)に示したとおりであるから、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明3、5~11についても本件訂正発明1と同様に、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものということはできないから、前記取消理由(進歩性)により、本件特許請求の範囲の請求項3、5~11に係る特許を取り消すことはできない。
(4)本件訂正発明4について
ア 対比
本件訂正発明4と甲2発明を対比すると、両者は少なくとも次の相違点2において相違する。
<相違点2>
本件訂正発明4は、表示される撮像画像が複数あり、少なくとも1つの撮像画像がメニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままであり、メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域にメニュー画面を表示するのに対し、甲2発明の「車外の撮影画像1c」は1つのみであり、「設定項目1d」と「上下の矢印1e」を表示した領域と同じ領域に「VOL調整における変量や選択肢」と「走査方向を示す矢印」が表示された「矩形の領域」を表示している点。
イ 判断
(ア)甲1発明、甲5技術事項について
相違点2に係る本件訂正発明4の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成は、甲1、甲5のいずれにも記載も示唆もされていない。
(イ)甲9技術事項について
a 甲9技術事項の「複数の各種設定項目」が、本件訂正発明1の「メニュー詳細項目」に相当するとした場合、「複数の各種設定項目」を表示する「メニュー画面」において、どの領域に「複数の各種設定項目」を表示するのか不明であるから、甲9技術事項は、本件訂正発明4の「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成を充足しない。
また、甲9技術事項の「サービス選択画面84」の「複数の項目」が、本件訂正発明1の「メニュー詳細項目」に相当するとした場合、及び甲9技術事項の「調整選択画面85」の「メニュー」が、本件訂正発明4の「メニュー詳細項目」に相当するとした場合にも同様に、甲9技術事項は、本件訂正発明4の「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成を充足しない。
b 甲9技術事項の「選択項目」が、本件訂正発明4の「メニュー詳細項目」に相当するとした場合、「選択項目」が表示されるときには「画面の左側に俯瞰画像61が表示され」るだけであって、この「選択項目」が表示されている領域以外の領域に、「選択項目」を選択することによって表示される他の画面を表示するわけではない。
そうすると、甲9技術事項は、本件訂正発明4の「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成を充足しない。
c したがって、相違点2に係る本件訂正発明4の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成は、甲9には記載も示唆もされていない。
ウ まとめ
以上のとおり、相違点2に係る本件訂正発明4の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成は、甲1、甲5、甲7~8及び前記新たに提出された甲9のいずれにも記載も示唆もされていないし、同構成が公知の技術、周知慣用技術、又は技術常識であることを示す他の証拠を発見することもできない。
さらに、甲2発明において、相違点2に係る本件訂正発明4の構成とする動機付けを見いだすこともできない。
そうすると、甲2発明において、相違点2に係る本件訂正発明4の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではなく、本件訂正発明4は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものということはできないから、前記取消理由(進歩性)により、本件特許請求の範囲の請求項4に係る特許を取り消すことはできない。
エ 申立人の主張について
(ア)令和8年3月23日に提出された意見書において、申立人は以下のとおり主張する。
「そもそも、メニュー画面をどの様にレイアウトするかは当業者が必要に応じてなし得るものであるところ、甲2発明において、前記周知技術を採用して、前記訂正発明4の構成を実現することは当業者が容易になし得るものである。」
(イ)前記(ア)の主張について検討する。
メニュー画面をどの様にレイアウトするかは当業者が必要に応じてなし得るものであったとしても、甲2発明において、同じ領域であった「設定項目1d」と「上下の矢印1e」を表示する領域と、「VOL調整における変量や選択肢」と「走査方向を示す矢印」を表示する領域をわざわざ異ならせることは、操作の効率を上げるというUI技術の技術常識を考慮すれば、操作の効率を下げるためその必要性がなく、当業者がなし得るものであるとまではいえないし、甲2発明において、「設定項目1dを上下にスワイプする操作」及びその後の「タップ操作」と、「VOL調整における変量や選択肢」と「走査方向を示す矢印」による操作は、前者に基づいて後者が実行されるものとなっており、これらの一連の操作が表示画面における同一の領域において実行されることに特徴があると認められるから、当該領域を別個のものとする動機付けは認められない。
したがって、申立人の前記(ア)の主張は採用できない。
(5)前記(1)~(4)のとおり、本件訂正発明1~11は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものということはできないから、前記取消理由(進歩性)により、本件特許請求の範囲の請求項1~11に係る特許を取り消すことはできない。
第6 令和7年11月7日付けの取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった異議申立ての理由の概要
1 申立理由1(サポート要件)
本件特許の請求項1~11に係る発明は、特許請求の範囲の記載が不備のため、本件請求項1~11に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立理由2(明確性要件)
本件特許の請求項1~11に係る発明は、特許請求の範囲の記載が不備のため、本件請求項1~11に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
3 申立理由3(甲第1号証を主引用例とする進歩性)
本件特許の請求項1~11に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、及び甲第4~6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~11に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
第7 令和7年11月7日付けの取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった異議申立ての理由について
1 申立理由1(サポート要件)について
(1)申立人の主張
ア 特許異議申立書の主張
申立人は、特許異議申立書において概ね次の主張(以下「主張ア」という。)をしている(特許異議申立書1.(1)イ.)。
「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面によって隠れない態様」となる表示については、当該切り換え操作の前にどのような状態の表示であるかは特定されていない。
したがって、例えば以下に示すような態様も含めてあらゆる態様が含まれることとなる。
(ア)切り替え操作前において表示装置に表示されている何らかの表示形態を、切り替え操作後に、複数の撮像画像のうち少なくとも1つの撮像画像、および、この複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像がメニュー画面によって隠れない態様となるようにメニュー画面を表示すること(例えば、切り替え操作前には、撮像画像およびメニュー画面以外が表示されており、切り替え操作によって、撮像画像とメニュー画面とが初めて表示、かつ、撮像画像がメニュー画面で隠れない態様で表示される態様。)
(イ)切り替え操作後に、切り替え操作前において表示装置に表示されている(表示可能な)複数の撮像画像(のうちの少なくとも1つの撮像画像)とは別の位置で単にメニュー画面を表示させること(例えば、単に表示装置上の空いている領域にメニュー画面を表示させる態様、切り替え操作後に撮像画像には何らかの(メニュー画面以外の)表示を重ねて表示すると共に、メニュー画面を別位置に表示するような態様等。)。
しかしながら、前記例示した態様(ア)や(イ)は、本件特許の発明の詳細な説明には何ら記載されていないし、同発明の詳細な説明の記載から当業者が一般化または普遍化することによって想定されるものでもない。」
イ 令和8年3月23日に提出された意見書の主張
申立人は、令和8年3月23日に提出された意見書において概ね次の主張をしている(意見書(2-1-1))。
(ア)「明細書の発明の詳細な説明を参酌すると、「撮像画像」のうち「俯瞰画像」を完全に維持してそのまま残す構成からなる実施例は記載されているものの、その他の「撮像画像」をそのまま残す構成からなる実施例は見当たらない。
・・・俯瞰画像FVがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わった場合に後方画像CBTがどのような表示態様になるかは明示されていない。
そして、請求項に記載されている事項は、少なくとも1つの「撮像画像」が「俯瞰画像」ではない構成、及びそのような「撮像画像」が「俯瞰画像」であってもそれをトリミング画像や縮小画像等に変更した状態のように完全には維持していない構成をも含むこととなる。」(以下「主張イ」という。)
(イ)「さらに、明細書の発明の詳細な説明の記載をみると、「俯瞰画像」をそのまま残すことにより、本件訂正発明の解決すべき技術的課題が解決されることとなっている。
しかしながら、少なくとも1つの「撮像画像」が「俯瞰画像」ではない構成、及び少なくとも1つの「撮像画像」が「俯瞰画像」であってもそれをトリミング画像(例えば、ショベルの周囲の状況を把握するために必要な部分、より具体的には、俯瞰画像のうち、ショベルの周囲で人などの所定物体が存在する部分がトリミングされてしまった画像等)、」一部の拡大画像( 例えば、ショベルの周囲の状況を把握するために必要な部分が写っていない一部画像等)や縮小画像等(例えば、ショベルの周囲の状況を容易に視認し難い大きさにまで縮小した画像等) に変更した状態である場合には、本件訂正発明が、「メニュー画面を表示する表示装置では、メニュー画面の表示中にショベルが操作されると、俯瞰画像等のショベルの周囲の状況を把握する画像に切り換わるため、操作者はメニュー画面を確認しながらショベルを操作できなかった」(【0004】)ので、「操作者がメニュー画面を確認しながらショベルを操作できるショベルを提供することを目的とする」(【0005】)という目的(技術的課題)を達成(解決)できないものである。」(以下「主張ウ」という。)
(2)当合議体の判断
ア 主張アについて
本件訂正発明1は、「前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」構成を有するものであり、本件訂正発明2、4は、「前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して前記メニュー画面を表示」する構成、及び「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成を有するものであって、本件訂正発明1~11は、前記(ア)、(イ)の態様を含まないものであるので、主張アは採用することができない。
イ 主張イについて
(ア)本件特許明細書等には以下の記載がある。
「【0045】
また、画像表示領域41nは、上方に位置する第1画像表示領域41n1と下方に位置する第2画像表示領域41n2を有する。図4の例では、俯瞰画像FVを第1画像表示領域41n1に配置し、且つ、後方画像CBTを第2画像表示領域41n2に配置している。但し、画像表示領域41nは、俯瞰画像FVを第2画像表示領域41n2に配置し、且つ、後方画像CBTを第1画像表示領域41n1に配置してもよい。また、図4の例では、俯瞰画像FVと後方画像CBTとは上下に隣接して配置されているが、間隔を空けて配置されていてもよい。また、図4の例では、画像表示領域41nが縦長の領域であるが、画像表示領域41nは横長の領域であってもよい。画像表示領域41nが横長の領域である場合、画像表示領域41nは、左側に第1画像表示領域41n1として俯瞰画像FVを配置し、右側に第2画像表示領域41n2として後方画像CBTを配置してもよい。この場合、左右に間隔を空けて配置してもよいし、俯瞰画像FVと後方画像CBTの位置を入れ換えてもよい。
【0046】
メニュー表示領域41pは、タブ41p1~41p7を有する。図4の例では、画像表示部41の最下部に、タブ41p1~41p7が左右に互いに間隔を空けて配置されている。タブ41p1~41p7には、各種情報を表示するためのアイコンが表示される。
【0047】
タブ41p1には、メニュー詳細項目を表示するためのメニュー詳細項目アイコンが表示されている。操作者によりタブ41p1が選択されると、タブ41p2~41p7に表示されているアイコンがメニュー詳細項目に関連付けされたアイコンに切り換わる。
【0048】
タブ41p4には、デジタル水準器に関する情報を表示するためのアイコンが表示されている。操作者によりタブ41p4が選択されると、後方画像CBTがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。」
(イ)前記第2の3(1)ウ(イ)に示したとおり、「俯瞰画像FV」は「メニュー画面」、及び「メニュー画面」以外の他の画像によって隠れずに変更されず、表示されたままであることが記載されているといえるところ、前記(ア)【0048】の記載によると、「後方画像CBT」に代えて「俯瞰画像FV」がデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わる場合には、「後方画像CBT」の処理について明記はないので、何ら処理を行っていないと解されるし、「俯瞰画像FV」の処理をふまえると「後方画像CBT」が「メニュー画面」、及び「メニュー画面」以外の他の画像によって隠れずに変更されず、表示されたままであることは自明である。
よって、主張イは採用することができない。
ウ 主張ウについて
(ア)本件特許明細書等には以下の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メニュー画面を表示する表示装置では、メニュー画面の表示中にショベルが操作されると、俯瞰画像等のショベルの周囲の状況を把握する画像に切り換わるため、操作者はメニュー画面を確認しながらショベルを操作できなかった。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、操作者がメニュー画面を確認しながらショベルを操作できるショベルを提供することを目的とする。」
(イ)前記(ア)によると、本件訂正発明の課題は、「操作者がメニュー画面を確認しながらショベルを操作できるショベルを提供すること」であると認められる。
(ウ)そして、本件訂正発明1は、「前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」構成を有するものであり、本件訂正発明2、4は、「前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して前記メニュー画面を表示」する構成、及び「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成を有するものであって、本件訂正発明1~11は、「複数の撮像画像」のうち必ず1つは表示されたままとなるから、本件訂正発明の課題を解決するための手段が反映されているといえる。
よって、主張ウは採用することができない。
(3)申立理由1(サポート要件)についてのまとめ
以上のとおり、申立理由1は採用すべき理由がない。
2 申立理由2(明確性要件)について
(1)申立人の主張
ア 特許異議申立書の主張
申立人は、特許異議申立書において概ね次の主張(以下「主張エ」という。)をしている(特許異議申立書2.(1)、(2))。
構成要件1-1)に関して、「どのようにして操作者がメニュー画面を確認しながらショベルを操作できるかが不明である。」
イ 令和8年3月23日に提出された意見書の主張
申立人は、令和8年3月23日に提出された意見書において概ね次の主張をしている。
(ア)請求項1について(意見書(2-1-1))
「そして、文理解釈によれば、かかる構成のうち、「隠れないで表示されたままとなる態様」には、以下の(ア)及び(イ)の態様を含み得る。
(ア)「撮像画像」が、メニュー画面への切り換え操作が行われる前の状態を、完全に維持して、隠れないで表示されたままとなること。
(イ)「撮像画像」が、メニュー画面への切り換え操作が行われる前の状態からトリミング画像や縮小画像等に変更した状態ではあるが、隠れないで表示されたままとなること。
しかしながら、請求項1の記載では、(ア)及び(イ)のいずれの構成を意味するのか明らかではない。」(以下「主張オ」という。)
(イ)請求項2、4について(意見書(2-1-2)、(2-1-3))
「そして、文理解釈によれば、かかる構成のうち、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示する」態様には、以下の(ア)及び(イ)の態様を含み得る。
(ア)「メニュー画面」が、メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域から完全に外れた範囲で表示されること。
(イ)「メニュー画面」が、メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域に加えて、さらに別の領域にも表示されること。
しかしながら、請求項2、4の記載では、(ア)及び(イ)のいずれの構成を意味するのか明らかではない。」(以下「主張カ」という。)
(ウ)請求項2について(意見書(2-1-2))
「しかし、「撮像画像の大きさを変更するなく」とは、撮像画像の外郭寸法を変更しないことまでは特定し得るが、画像に含まれる像がトリミング(又は拡大)されて撮像の一部しか表さないものや、縮小されたもの(この場合、縮小されて外縁部が白地(黒地)となるものや、撮像画像
に写る周囲の撮像範囲が拡大されることによるものなど多様なものが含まれ得る。)であるのかは特定されていないので、この点において、不明確であり、また、発明の詳細な記載にも裏付けられていない。」(以下「主張キ」という。)
(2)当合議体の判断
ア 主張エについて
構成要件1-1)は、本件訂正により「前記画像表示部は、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示された状態で前記操作部を用いた前記メニュー画面への切り換え操作が行われると、前記複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像が前記メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる態様、且つ、前記ショベルの稼働状態に関する情報が表示された状態を維持して、前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する、」と訂正されているところ、当該記載に関して、前記第5の1(1)に示したとおり不明確な点はないし、本件訂正発明1~11は、「メニュー画面への切り換え操作が行われる」構成を有するものであるから、操作者は「メニュー画面」を確認しながらショベルを操作することができるといえる。
よって、主張エは採用することができない。
イ 主張オについて
前記第5の1(1)で示したとおり、一般的に「~たまま」との用語は、事態・事柄に変化が加わらずにある状態のことを意味するから、当該記載が「トリミング画像や縮小画像等に変更した状態ではあるが、隠れないで表示されたまま」であることを意味するのではなく、「撮像画像」の全部分が表示されたままとなる状態を維持することを意味することが明確である。
よって、主張オは採用することができない。
ウ 主張カについて
一般的に「異なる」との用語は、比較対象が一致しないことを意味するから、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域」とは、「メュー詳細項目を選択する画面が表示される領域」から完全に外れた範囲を意味することは明らかである。
よって、主張カは採用することができない。
エ 主張キについて
本件訂正発明2において、「複数の撮像画像のうちの少なくとも1つの撮像画像」は、「メニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままとなる」ことが特定されており、前記イに示したとおりであるから、「撮像画像の大きさを変更することなく」とは、画像を拡大、縮小したものを含まないことは明らかである。
よって、主張キは採用することができない。
(3)申立理由2(明確性要件)についてのまとめ
以上のとおり、申立理由2は採用すべき理由がない。
3 申立理由3(甲第1号証を主引用例とする進歩性)について
(1)引用文献等について
ア 甲1
前記第5の2(1)イ(イ)に示したとおり、甲1発明は次のとおりである。
「複数のカメラが上部旋回体に取り付けられ、
運転室6に表示部16と操作部17とを有するモニタ15が配置され、
モニタ15には、カメラで撮影された画像(単カメラ画像)、及び複数のカメラ画像を上方視点に変換した上で合成することにより生成される画像(俯瞰画像)を表示する、
油圧ショベル。」
イ 甲2
前記第5の2(1)ア(ウ)に示したとおり、甲2発明は次のとおりである。
「下部走行体を備えた油圧ショベルであって、
表示手段1と、入力手段2とを運転室3内に備えており、
入力手段2が運転席4の右側脇に備えられており、
表示手段1には、各機構の状態を示す各種計測値情報1b、視覚補助としてカメラ7からの撮像画像である車外の撮影画像1cが通常表示され、
手が入力手段2に近づくと表示手段1の通常表示の画面を縮小したりレイアウトを変更して、設定項目1dを含む矩形の領域を、車外の撮影画像1cの大きさを維持したまま、車外の撮影画像1cが表示されていた領域に、車外の撮影画像1cの下方に並べて表示させた画面に切り替わり、さらにタッチ操作により設定項目1dの上下に、上下の矢印1eが表示され、設定項目1dを上下にスワイプ操作した後のタップ操作により設定項目1dを選択することで、変量を設定する画面に遷移し、
複数の設定項目のうち対象の設定項目1dとしてVOL調整が選択された場合、表示手段1には、設定項目1dと上下の矢印1eの代わりに、設定項目1dと上下の矢印1eと同箇所に、VOL調整における変量や選択肢が、操作方向を示す矢印とともに表示される、
油圧ショベル。」
ウ 甲3
(ア)記載事項
本願の優先日前の平成14年9月25日に発行された甲3には、次の事項が記載されている。
「【0048】<画面表示例>情報表示装置47の表示部472(図2)への表示について図4~図7により説明する。
【0049】図4~図7において、表示部472の表示画面には複数の情報カテゴリの情報を同時に表示する。その際、複数の情報カテゴリのうちの一つのカテゴリの情報を詳細に、その他のカテゴリの情報は簡略化して表示する。どの情報カテゴリを詳細に表示するかはオペレータによる操作部470(図2)のキー操作で逐次切り換え可能である。
【0050】表示画面は主表示領域1000と副表示領域2000からなる。主表示領域1000は詳細表示のための領域であり、副表示領域2000は簡略化表示のための領域である。
【0051】図4において、主表示領域1000は一つの主画面1002からなり、副表示領域2000は情報カテゴリ数と同数の副画面2005,2006,2003,2004からなる。各副画面は各情報カテゴリと対応している。
【0052】
同様に、図5において、主表示領域1000は一つの主画面1001からなり、副表示領域2000は情報カテゴリ数と同数の副画面2001~2004からなり、図6において、主表示領域1000は一つの主画面1003からなり、副表示領域2000は情報カテゴリ数と同数の副画面2001,2006,2007,2004からなり、図7において、主表示領域1000は一つの主画面1004からなり、副表示領域2000は情報カテゴリ数と同数の副画面2001,2006,2003,2008からなる。各副画面は各情報カテゴリと対応している。」
「【0057】オペレータが主表示領域1000に表示される情報カテゴリを切り換える際は、現在選択されている情報カテゴリに対応する副画面2002に代わって、所望の情報カテゴリに対応する副画面2001を新たに選択することにより、主表示領域1000に詳細表示する情報カテゴリを切り換えることができる。その選択は、操作ガイドのイラスト80を目安に上向きの矢印キー470a(図2)を操作することで行える(後述)。その際、新たに選択された情報カテゴリの副画面2001に簡略表示されていた情報は主画面1002に移り詳細表示される。代わって副画面2005には選択された情報カテゴリの名称及びオペレータヘの操作ガイドのイラスト80を表示する。また、それまで選択されていた情報カテゴリの主画面1001の詳細情報は画面切り換え後は副画面2006の簡略化表示に移る。」
「【0060】《カテゴリA》図4において、表示画面の主画面1002は計器パネルに相当する画面であり、エンジン回転数1200、冷却水温1201、作動油温1202、燃料レベル1203を数値、円型メータ、棒型メータで表示する。副画面2005は選択されている情報カテゴリの名称とオペレータヘの操作ガイドのイラスト80を表示する。副画面2006,2003,2004はそれぞれ車体姿勢情報、稼動情報、後方監視カメラ画像に対応し各情報カテゴリの情報を簡略化したものを表示する。副画面2006はバケット姿勢及び先端位置を数値及びイラストで表示する。副画面2003は異常発生時に異常項目を表示する。副画面2004は後方監視カメラ画像を縮小表示する。」
「【0063】《カテゴリD》図7において、表示画面の主画面1004は後方監視カメラの画像を表示する画面である。副画面2008は選択されている情報カテゴリの名称とオペレータヘの操作ガイドのイラスト81を表示する。副画面2001,2006,2003はそれぞれ計器情報、稼動情報、稼動情報に対応し各情報カテゴリの情報を簡略化したものを表示する。」
(イ)甲3技術事項
前記(ア)で示した事項からみて、甲3には下記の事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「情報表示装置47の表示部472であって(【0048】)、
表示部472の表示画面には複数の情報カテゴリの情報を同時に表示し、複数の情報カテゴリのうちの一つのカテゴリの情報を詳細に、その他のカテゴリの情報は簡略化して表示し、どの情報カテゴリを詳細に表示するかはオペレータによる操作部470のキー操作で逐次切り換え可能であり(【0049】、【0057】)、
表示画面は主表示領域1000と副表示領域2000からなり(【0050】)、
主表示領域1000は一つの主画面1004からなり、副表示領域2000は情報カテゴリ数と同数の副画面2001,2006,2003,2008からなり(【0052】)、
副画面2004は後方監視カメラ画像を縮小表示し(【0060】)、
表示画面の主画面1004は後方監視カメラの画像を表示する画面である(【0063】)、
情報表示装置47の表示部472。」
エ 甲4
(ア)記載事項
本願の優先日前の2017年11月9日に発行された甲4には、次の事項が記載されている。
「[0055] [較正画面と標準画面とメインメニュー画面との画面遷移]
図5は、本実施形態に係る較正画面Aと標準画面Bとメインメニュー画面Cとの画面遷移の一例を示す図である。表示部21は、油圧ショベル1の較正時において較正画面Aを表示する。表示部21は、油圧ショベル1の作業時において標準画面Bを表示する。表示部21は、メインメニュー画面Cを表示する。」
「[0066] 標準画面Bが表示されている状態において、操作装置10が中立状態のときに操作部22が操作されることにより、表示部21は、標準画面Bからメインメニュー画面Cに遷移する。」
(イ)甲4技術事項
前記(ア)で示した事項からみて、甲4には下記の事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「油圧ショベル1の作業時において標準画面Bを表示する表示部21であって([0055])、
標準画面Bが表示されている状態において、操作装置10が中立状態のときに操作部22が操作されることにより、標準画面Bからメインメニュー画面Cに遷移する([0066])、
表示部21。」
オ 甲5
前記第5の2(1)ウ(イ)に示したとおり、甲5技術事項は次のとおりである。
「ショベル周辺の障害物の存在を検出する障害物検出部400を備える油圧ショベルであって、
油圧ショベルに対する障害物の位置関係がオペレータに容易に把握されるように、監視画像上に適宜必要な画像を合成して表示し、障害物の上に、目立つ彩色を施した警告表示を重畳的に描画する油圧ショベル。」
カ 甲6
(ア)記載事項
本願の優先日前の平成27年11月24日に発行された甲6には、次の事項が記載されている。
「【0055】
次に、画像表示装置40の画像表示部41に表示される表示画面の構成について説明する。図6は、画像表示部41に表示される表示画面41Vを例示する図である。
【0056】
表示画面41Vは、図6に示すように、日時表示領域41a、走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、燃費表示領域41d、エンジン制御状態表示領域41e、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、回転数モード表示領域41i、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41k、メニュー/カメラ画像表示領域41mを含む。図6に例示されている表示画面41Vは、メニュー/カメラ画像表示領域41mにメニュー画面が表示されている。」
「【0081】
なお、運転者が作業中にメニュー画面を見て各種情報の確認を行うと、操作を誤る可能性があるため、メニュー画面は、ショベル100の作業停止中にメニュースイッチ42aが押下された場合に表示されるように設定されることが好ましい。また、ショベル100の作業中には、運転者が周囲を確認できるように、メニュー/カメラ画像表示領域41mには撮像装置80によって撮影された画像データが表示されることが好ましい。例えば、メニュー/カメラ画像表示領域41mにメニュー画面が表示されている状態で作業が開始された場合には、表示が自動的にカメラ画像に切り替えられる。」
(イ)甲6技術事項
前記(ア)で示した事項からみて、甲6には下記の事項(以下「甲6技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「画像表示装置40の画像表示部41であって(【0055】)、
画像表示部41に表示される表示画面Vは、メニュー/カメラ画像表示領域41mを含み(【0056】)、
メニュー/カメラ画像表示領域41mにメニュー画面が表示されている状態で作業が開始された場合には、表示が自動的にカメラ画像に切り替えられる(【0081】)、
画像表示装置40の画像表示部41。」
キ 周知技術
前記第5の2(1)オに示したとおり、「操作レバーを用いて油圧アクチュエータを操作可能とするために、ゲートロック弁を開く構成」は、周知技術である(甲7(【0002】、【0023】)、甲8(【0025】~【0029】)等)。
ク 甲9
前記第5の2(1)エ(イ)に示したとおり、甲9技術事項は次のとおりである。
「標準画面83が表示される表示部16を有するモニタ15であって、
標準画面83では、特殊情報として表示部16の中央左に、俯瞰画像61が表示され、中央右に、単カメラ画像62が表示され、単カメラ画像62は、上部旋回体3の後方に設けられたカメラC1による後方を撮像した画像であり、
標準画面83から周辺監視制御部40のキャリブレーションを行うための調整処理画面90に遷移する場合、標準画面83においてファンクションスイッチF6を押下しメニュー画面に遷移し、
メニュー画面には複数の各種設定項目が並んでいるが、その中から「サービス選択」メニューを選択・決定することによりサービス選択画面84に遷移し、サービス選択画面84においても複数の項目が並んでいるが、その中から「調整選択」メニューを選択・決定し、調整選択画面85に遷移し、さらに調整選択画面85においてもその中から「メイン設定選択」メニューを選択・決定し、メイン設定選択画面91に遷移し、
その結果、俯瞰画像の調整処理を行うための調整処理画面90としての周辺監視調整画面01(91)が表示され、
周辺監視調整画面01(91)の画面の左側に俯瞰画像61が表示され、右側に選択項目が表示される、
モニタ15。」
(2)本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と甲1発明を対比すると、両者は少なくとも次の相違点3において相違する。
<相違点3>
本件訂正発明1は、表示される撮像画像が複数あり、少なくとも1つの撮像画像がメニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままであり、メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに複数の撮像画像が表示されていた領域にメニュー画面を表示するのに対し、甲1発明はそのような構成ではない点。
イ 判断
相違点3に係る本件訂正発明1の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」構成は、甲1~甲9のいずれにも記載も示唆もされていない。
ウ まとめ
以上のとおり、相違点3に係る本件訂正発明1の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示されていたときに前記複数の撮像画像が表示されていた領域に前記メニュー画面を表示する」構成は、甲1~9のいずれにも記載も示唆もされていないし、同構成が公知の技術、周知慣用技術、又は技術常識であることを示す他の証拠を発見することもできない。
さらに、甲1発明において、相違点3に係る本件訂正発明1の構成とする動機付けを見いだすこともできない。
そうすると、甲1発明において、相違点3に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではなく、本件訂正発明1は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものということはできないから、本件特許請求の範囲の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
エ 申立人の主張について
(ア)特許異議申立書の主張
申立人は、特許異議申立書において概ね次の主張をしている(特許異議申立書3.(1)イ.)。
「本件特許発明1は、甲1発明及び甲2発明(技術)に基づいて、当業者が容易になし得たものである。」
(イ)当合議体の判断
前記ア~ウに示したとおりであるから、前記(ア)の主張は採用することができない。
(3)本件訂正発明3、5~11について
前記(2)に示したとおりであるから、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明3、5~11についても本件訂正発明1と同様に、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものということはできないから、本件特許請求の範囲の請求項3、5~11に係る特許を取り消すことはできない。
(4)本件訂正発明2について
ア 対比
本件訂正発明2と甲1発明を対比すると、両者は少なくとも次の相違点4において相違する。
<相違点4>
本件訂正発明2は、表示される撮像画像が複数あり、少なくとも1つの撮像画像がメニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままであり、メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域にメニュー画面を表示するのに対し、甲1発明はそのような構成ではない点。
イ 判断
相違点4に係る本件訂正発明2の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成は、甲1~甲9のいずれにも記載も示唆もされていない。
ウ まとめ
以上のとおり、相違点4に係る本件訂正発明2の構成、特に、「「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成は、甲1~9のいずれにも記載も示唆もされていないし、同構成が公知の技術、周知慣用技術、又は技術常識であることを示す他の証拠を発見することもできない。
さらに、甲1発明において、相違点4に係る本件訂正発明2の構成とする動機付けを見いだすこともできない。
そうすると、甲1発明において、相違点4に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではなく、本件訂正発明2は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものということはできないから、本件特許請求の範囲の請求項2に係る特許を取り消すことはできない。
エ 申立人の主張について
(ア)特許異議申立書の主張
申立人は、特許異議申立書において概ね次の主張をしている(特許異議申立書3.(2)ウ.)。
「本件特許発明2は、甲1発明及び甲2発明(技術)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。」
(イ)当合議体の判断
前記ア~ウに示したとおりであるから、前記(ア)の主張は採用することができない。
(5)本件訂正発明4について
ア 対比
本件訂正発明4と甲1発明を対比すると、両者は少なくとも次の相違点5において相違する。
<相違点5>
本件訂正発明2は、表示される撮像画像が複数あり、少なくとも1つの撮像画像がメニュー画面を含む他の画像によって隠れないで表示されたままであり、メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域にメニュー画面を表示するのに対し、甲1発明はそのような構成ではない点。
イ 判断
相違点5に係る本件訂正発明4の構成、特に、「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成は、甲1~甲9のいずれにも記載も示唆もされていない。
ウ まとめ
以上のとおり、相違点5に係る本件訂正発明4の構成、特に、「「前記メニュー詳細項目を選択する画面が表示される領域とは異なる領域に前記メニュー画面を表示」する構成は、甲1~9のいずれにも記載も示唆もされていないし、同構成が公知の技術、周知慣用技術、又は技術常識であることを示す他の証拠を発見することもできない。
さらに、甲1発明において、相違点5に係る本件訂正発明4の構成とする動機付けを見いだすこともできない。
そうすると、甲1発明において、相違点5に係る本件訂正発明4の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではなく、本件訂正発明4は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものということはできないから、本件特許請求の範囲の請求項4に係る特許を取り消すことはできない。
エ 申立人の主張について
(ア)特許異議申立書の主張
申立人は、特許異議申立書において概ね次の主張をしている(特許異議申立書3.(4)エ.)。
「本件特許発明4は、甲1発明1、甲2発明(技術)及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」
(イ)当合議体の判断
前記ア~ウに示したとおりであるから、前記(ア)の主張は採用することができない。
第8 むすび
以上のとおり、本件訂正請求は認められるから、特許第7416685号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。
そして、請求項1~11に係る発明の特許は、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできないし、他に請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項12、13は、本件訂正により削除されたことにより、申立てに係る特許が存在しないものとなったため、請求項12、13に係る特許についての特許異議の申立てについては、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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