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特許異議申立

2024-701031

ショベル、ショベル支援システム

審判番号
2024-701031
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-554050
登録番号
7472034
請求日
2024年10月18日
審決日
2026年06月08日
公報発行日
2026年09月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】住友建機株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人ITOH
  • 【異議申立人】佐藤 公美
  • 【異議申立人】野村 恭子
審判長/審判官
  • 審判長 有家 秀郎
  • 審判官 立澤 正樹
  • 審判官 西田 秀彦
分類
P1651.121-YAA(E02F) / P1651.537-YAA(E02F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第4号、特許法第29条、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7472034号発明「ショベル、ショベル支援システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7472034号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕、〔9-12〕について訂正することを認める。 特許第7472034号の請求項1~4、6~12に係る特許を維持する。 特許第7472034号の請求項5に係る異議申立を却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7472034号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、令和元年10月31日(優先権主張 平成30年10月31日)を国際出願日とする日本語特許出願であり、令和6年4月12日にその特許権の設定登録がされ、同月22日に特許掲載公報が発行され、その後、同年10月18日に特許異議申立人佐藤公美(以下、「申立人A」という。)により、また、同月22日に特許異議申立人野村恭子(以下、「申立人B」という。)により、その請求項1~12に係る特許に対し、特許異議の申立てがされた。 その後の経緯は、次のとおりである。 令和7年 2月 7日付け:取消理由通知書 同年 4月14日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同月22日付け:手続補正指令書(方式) 同年 5月26日 :手続補正書(方式)の提出 同年 8月22日 :申立人Aによる意見書(以下、「意見書A」 という。)の提出 令和8年 1月 5日付け:訂正拒絶理由通知書 同年 2月 9日 :特許権者による意見書の提出 なお、令和7年5月26日提出の手続補正書(方式)により補正された同年4月14日提出の訂正請求書について、申立人Bに対して、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人Bからは応答がなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正請求の趣旨と訂正の内容 令和7年5月26日提出の手続補正書(方式)により補正された同年4月14日に提出された訂正請求書(以下、「訂正請求書」という。)による訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許第7472034号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。) (1)請求項1~8に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1について、 「ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、を備え、 前記学習済みモデルは、取得された作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され、 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 自ショベルを含む複数のショベルは、同一の前記学習済みモデルを有すると共に、前記学習済みモデルを用いて、前記判定を行い、 前記複数のショベルのそれぞれが有する前記学習済みモデルは、前記追加学習済みモデルに更新される、 ショベル。」との記載を、 「ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 記憶部と、 前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備え、 前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され、 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 自ショベルを含む複数のショベルは、同一の前記学習済みモデルを有すると共に、前記学習済みモデルを用いて、前記判定を行い、 前記複数のショベルのそれぞれが有する前記学習済みモデルは、前記追加学習済みモデルに更新される、 ショベル。」に訂正する。 (請求項1の記載を引用する訂正後の請求項3、4、6~8についても同様に訂正する。) イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2について、 「ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、を備え、 前記学習済みモデルは、取得された作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され、 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 前記学習済みモデルは、複数のショベルで取得される周囲の作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される、 ショベル。」との記載を、 「ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 記憶部と、 前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備え、 前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され、 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 前記学習済みモデルは、複数のショベルで取得される周囲の作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される、 ショベル。」に訂正する。 (請求項2の記載を引用する請求項訂正後の3、4、6~8についても同様に訂正する。) ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6について、 「記録部を更に備え、 前記判定部は、自ショベルの周囲の物体の検出に関する前記判定を行い、 前記記録部は、前記判定部が自ショベルの周囲の物体を検出したと判定したときに、前記環境情報取得部により取得される環境情報を記録し、 前記学習済みモデルは、前記記録部により記録された環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される、 請求項1又は2に記載のショベル。」との記載を、 「前記判定部は、自ショベルの周囲の物体の検出に関する前記判定を行い、 前記記録部は、前記判定部が自ショベルの周囲の物体を検出したと判定したときに、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される、 請求項1又は2に記載のショベル。」に訂正する。 オ 一群の請求項についての説明 訂正前の請求項1~8について、請求項3~8は、直接に引用する請求項1の記載を訂正する訂正事項1によって連動して訂正されるとともに、直接に引用する請求項2の記載を訂正する訂正事項2によって連動して訂正されるから、請求項1、3~8、及び、請求項2~8は、それぞれ「一群の請求項」である。そして、2つの「一群の請求項」は、請求項3~8を共通して有しているから、組み合わされて、一つの「一群の請求項1~8」となる。 したがって、本件訂正のうち訂正事項1~4に係る訂正は、一群の請求項1~8についてするものである。 (2)請求項9~12に係る訂正 ア 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9について、 「第1のショベルと、第2のショベルと、前記第1のショベル及び前記第2のショベルと通信可能な外部装置と、を含むショベル支援システムであって、 前記第1のショベルに設けられ、前記第1のショベルの周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部と、 前記第1のショベルに設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記第1のショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 前記第2のショベルに設けられ、前記第2のショベルの周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部と、 前記第2のショベルに設けられ、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を記録する記録部と、 前記第2のショベルに設けられ、前記記録部により記録される環境情報を前記外部装置に送信する環境情報送信部と、 前記外部装置に設けられ、前記第2のショベルから受信される、前記第2のショベルで取得された環境情報に基づき、教師情報を生成する教師情報生成部と、 前記外部装置に設けられ、前記教師情報生成部により生成された教師情報に基づき、前記第1のショベルで前記判定に用いられている前記学習済みモデルと同一の学習済みモデルに追加学習を行わせ、追加学習済みモデルを生成する学習部と、 前記外部装置に設けられ、前記学習部により追加学習が行われた前記追加学習済みモデルを前記第1のショベルに送信するモデル送信部と、を備え、 前記学習済みモデルは、前記第1のショベルにおいて、前記外部装置から受信される前記追加学習済みモデルに更新され、 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行う、 ショベル支援システム。」の記載を 「第1のショベルと、第2のショベルと、前記第1のショベル及び前記第2のショベルと通信可能な外部装置と、を含むショベル支援システムであって、 前記第1のショベルに設けられ、前記第1のショベルの周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部と、 前記第1のショベルに設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記第1のショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 前記第2のショベルに設けられ、前記第2のショベルの周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部と、 前記第2のショベルに設けられる記憶部と、 前記第2のショベルに設けられ、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部と、 前記第2のショベルに設けられ、前記記録部により前記記憶部に記録される環境情報を前記外部装置に送信する環境情報送信部と、 前記外部装置に設けられ、前記第2のショベルから受信される、前記第2のショベルで取得され前記記憶部に記録された環境情報に基づき、教師情報を生成する教師情報生成部と、 前記外部装置に設けられ、前記教師情報生成部により生成された教師情報に基づき、前記第1のショベルで前記判定に用いられている前記学習済みモデルと同一の学習済みモデルに追加学習を行わせ、追加学習済みモデルを生成する学習部と、 前記外部装置に設けられ、前記学習部により追加学習が行われた前記追加学習済みモデルを前記第1のショベルに送信するモデル送信部と、を備え、 前記記録部は、前記第2のショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 前記学習済みモデルは、前記第1のショベルにおいて、前記外部装置から受信される前記追加学習済みモデルに更新され、 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行う、 ショベル支援システム。」に訂正する。 (請求項9の記載を引用する訂正後の請求項10~12についても同様に訂正する。) イ 一群の請求項についての説明 訂正前の請求項9~12について、請求項10~12は、直接に引用する請求項9の記載を訂正する訂正事項5によって連動して訂正されるから、請求項9~12は、「一群の請求項」である。 したがって、本件訂正のうち訂正事項5に係る訂正は、一群の請求項9~12についてするものである。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、訂正の単位、及び独立特許要件について (1)本件明細書等 特許第7472034号の明細書を、以下、「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて、「本件明細書等」という。 本件明細書等には、以下の記載及び図示がある。 ア「【0029】 <ショベルの構成> ショベル100は、油圧システムに関する構成として、上述の如く、走行油圧モータ2M(2ML,2MR)、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。また、ショベル100は、油圧システムに関する構成として、エンジン11と、操作装置26とを含む。また、ショベル100は、制御システムに関する構成として、コントローラ30と、記録装置32と、判定装置34と、表示装置40と、撮像装置70と、向き検出装置85と、通信機器90と、ブーム角度センサS1と、アーム角度センサS2と、バケット角度センサS3と、機体傾斜センサS4と、旋回状態センサS5とを含む。 ・・・ 【0038】 記録装置32は、撮像装置70の撮像画像を所定のタイミングで記録する。記録装置32は、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。例えば、記録装置32は、コントローラ30と同様のコンピュータを中心に構成されてよい。記録装置32は、例えば、補助記憶装置等にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、記録制御部322を含む。また、記録装置32は、例えば、補助記憶装置等の内部メモリに規定される記憶領域としての記憶部324を含む。」 イ「【0042】 撮像装置70(環境情報取得部の一例)は、ショベル100の周囲の様子を撮像し、撮像画像(環境情報の一例)を出力する。撮像装置70は、前方カメラ70Fと、後方カメラ70Bと、左方カメラ70Lと、右方カメラ70Rとを含む。撮像装置70(前方カメラ70F、後方カメラ70B、左方カメラ70L、及び右方カメラ70Rのそれぞれ)による撮像画像は、判定装置34に取り込まれる。 ・・・ 【0061】 記録制御部322(記録部の一例)は、所定のタイミング(以下、「記録タイミング」)で、撮像装置70(前方カメラ70F、後方カメラ70B、左方カメラ70L、及び右方カメラ70R)の撮像画像を記憶部324に記録する。これにより、記憶部324の容量が限られるところ、必要なタイミングを予め規定して、撮像装置70の撮像画像を記憶部324に記録することができる。また、後述の如く、記憶部324の撮像画像が管理装置200に送信される際の送信容量を抑制し、通信コストを抑制することができる。具体的には、記録制御部322は、例えば、記録タイミングになると、過去の分を含め、RAM等に規定されるリングバッファ内の撮像画像の中の当該記録タイミングに対応する撮像画像を取得し、記憶部324に記録する。 【0062】 記録タイミングは、例えば、予め規定される周期的なタイミングであってよい。また、記録タイミングは、撮像装置70の撮像画像に基づく判定装置34(判定部344)によるショベル100の周囲の物体に関する判定の際に誤判定が生じ易いショベル100の状態が生じたときであってよい。具体的には、記録タイミングは、ショベル100の走行時や旋回時であってよい。また、記録タイミングは、判定部344がショベル100の周囲の監視領域で物体を検出したと判定したときであってもよい。また、記録タイミングは、コントローラONで開始してもよく、ゲートロックレバー解除で開始してもよく、操作レバーONで開始してもよい。以下、後述する図7、図8のショベル支援システムSYS(ショベル100)場合についても同様である。 【0063】 尚、図3では、判定部344の判定結果が記録装置32(記録制御部322)に入力されるが、記録タイミングが判定部344の判定結果に依らず規定されている場合、判定部344の判定結果は、記録装置32に入力されなくてもよい。後述する図8の場合についても同様である。 【0064】 記憶部324には、ショベル100の起動後の初期処理の完了後からショベル100の停止までの間において、記録制御部322による制御下で、上述の如く、撮像画像IM1が記録される。記憶部324に記録された一又は複数の撮像画像IM1は、所定のタイミング(以下、「画像送信タイミング」)で、通信機器90(環境情報送信部の一例)を通じて、管理装置200に送信される。」 ウ「【0108】 教師データ生成部2102(教師情報生成部の一例)は、複数のショベル100から受信された複数の撮像画像IM1に基づき、学習部2103が学習モデルを機械学習させるための教師データ(教師情報の一例)を生成する。教師データは、任意の撮像画像IM1と、当該撮像画像IM1を学習モデルの入力としたときの学習モデルが出力すべき正解との組み合わせを表す。また、学習モデルは、機械学習の対象であり、当然の如く、学習済みモデルLMと同様の構成、例えば、上述のニューラルネットワーク401を中心として構成される。」 エ【図3】 「 [図:0001439177000001.jpg] 」 (2)請求項1~8に係る訂正について ア 訂正事項1 (ア)訂正の目的の適否について 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に係る発明の「ショベル」において、「記憶部」及び「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部」を新たに備え、前記「記憶部」と前記「記録部」について、「前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録」することを特定し、「教師情報」を「生成」するもととなる「作業現場の環境情報」について、訂正前の「取得された」との記載から、訂正後の「前記記録部により前記記憶部に記録された、」との記載に、具体的に限定し特定したものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1に係る訂正は、上記(ア)において検討したとおり、訂正前の請求項1に係る発明について限定を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (ウ)新規事項の有無について a 本件特許明細書の段落【0029】及び【0038】から、ショベルが、「記憶部」及び「記録部」を備えていることは明らかであり、段落【0042】及び【0061】から、「記録部」が、「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する」ものであることは明らかである。 b 本件特許明細書の段落【0061】において、「記録タイミング」とは、「撮像装置70の撮像画像を記憶部324に記録する」タイミングであることが示され、また、段落【0062】おいて、「記録タイミング」として「撮像装置70の撮像画像に基づく判定装置34(判定部344)によるショベル100の周囲の物体に関する判定の際に誤判定が生じ易いショベル100の状態が生じたとき」が示されるとともに、その具体例として、「記録タイミングは、ショベル100の走行時や旋回時」が示されている。 これらの記載から、上記具体例における記録タイミングとは、単に走行時又は旋回時に環境情報を記録しているということではなく、ショベル100の全状態のうち、誤判定が生じ易いショベル100の状態が生じたとき(誤判定が生じにくいショベル100の状態とは区別された状態が生じたとき)、すなわち、誤判定が生じやすいときである、走行時又は旋回時となったときに、撮像装置70の撮像画像を記憶部324に記録することを意味しているものと理解できる。 さらに、本件特許明細書の段落【0062】には、「記録タイミングは、判定部344がショベル100の周囲の監視領域で物体を検出したと判定したときであってもよい。」とも記載されていることから、「記録タイミング」が、「判定」に基づいてよいことも示されている。 上記記載をふまえると、「走行時」である「記録タイミング」について、誤判定が生じにくいショベル100の状態とは区別された状態である走行の状態であると判定されるとき、すなわち、走行動作が行われたことを表す条件が成立したときであることが導出される。また、同様に「旋回時」である「記録タイミング」について、旋回動作が行われたことを表す条件が成立したときであることが導出される。 したがって、本件特許明細書に記載された全ての事項を総合することにより、「前記記録部」が「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録」するタイミングについて、「自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立」するときであることが導出される。 c 本件特許明細書の段落【0064】には、「記憶部324」に「一又は複数の撮像画像IM1」が記録されるとともに、「通信機器90(環境情報送信部の一例)を通じて、管理装置200に送信される」ことが示されている。なお、「撮像画像IM1」が、「作業現場の環境情報」に該当することは明らかである。 また、段落【0108】には、「複数のショベル100から受信された複数の撮像画像IM1に基づき」、「教師データ(教師情報の一例)を生成する」ことが記載されている。 そうすると、本件特許明細書には、教師情報を生成する際に、生成の元となる「作業現場の環境情報」が、「前記記録部により前記記憶部に記録された」ものであることが示されている。 d 小括 以上のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される技術的事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではない。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項に範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (エ)訂正事項1についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものであり、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 イ 訂正事項2について 訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正と同様に、請求項2について訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものであり、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 ウ 訂正事項3について 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項5を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。 よって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものであり、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 エ 訂正事項4について (ア)訂正の目的 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項6の「前記環境情報取得部により取得される環境情報」について、記録される部位を特定していないものから、訂正後の請求項6において「前記記憶部」に限定し特定するものである。 また、訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項6の冒頭部分、すなわち、「記録部を更に備え、」との記載を削除していることを含むが、当該削除は、訂正事項1に係る訂正により、訂正後の請求項6が引用する請求項1において、「記録部」を備えることが追加されたことと、整合を図るものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第3号に規定する特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項4に係る訂正は、上記(ア)において検討したとおり、訂正前の請求項1に係る発明について限定を行うとともに、訂正後の請求項6が引用する請求項1の記載との整合を図るものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (ウ)新規事項の有無について 本件特許明細書の段落【0042】及び【0061】から、「環境情報」が「前記記憶部」に記録されることは、明らかである。 よって、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等に記載された全ての事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではない。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項に範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (3)請求項9~12に係る訂正について ア 訂正事項5 (ア)訂正の目的 訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項9に係る発明の「ショベル支援システム」において、「前記第2のショベルに設けられる記憶部」を新たに備え、 訂正前の請求項9において、「前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報」について、記録される部位を特定していないものから、訂正後の請求項9において「前記記憶部」に限定し特定するものであり、 訂正前の請求項9において、「教師情報を生成する」際に基づく「環境情報」について、記録される部位を特定していないものから、訂正後の請求項9において「前記記憶部に記憶された」ものに限定し特定するものであり、 訂正前の請求項9において、「前記記憶部」が「記録」するタイミングについて特定していないものから、「前記記録部は、前記第2のショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し」と限定し、特定するものである。 したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。 (イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項5に係る訂正は、上記(ア)において検討したとおり、訂正前の請求項9に係る発明について限定を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (ウ)新規事項の有無について a 本件特許明細書の段落【0029】及び【0038】から、ショベルが、「記憶部」を備えていることは明らかであり、本件特許明細書の段落【0042】及び【0061】から、「環境情報」が「前記記憶部」に記録されることは、明らかである。 b 本件特許明細書の段落【0064】には、「記憶部324」に「一又は複数の撮像画像IM1」が記録されるとともに、「通信機器90(環境情報送信部の一例)を通じて、管理装置200に送信される」ことが示されている。 また、段落【0108】には、「複数のショベル100から受信された複数の撮像画像IM1に基づき」、「教師データ(教師情報の一例)を生成する」ことが記載されている。 そうすると、教師情報を生成する際に基づく「環境情報」が、「前記記録部により前記記憶部に記録された」ものであることが示されている。 c 上記(2)ア(ウ)bと同様に、本件特許明細書に記載された全ての事項を総合することにより、「前記記録部」が「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録」するタイミングについて、「自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立」するときであることが導出される。 d 請求項9に係る限定事項が、第2ショベルに係る事項であるところ、本件特許明細書の段落【0158】、【0163】には、「教師データの元になる周囲の撮像画像を取得するショベル100(第2のショベルの一例)」等と記載されていることから、ショベルのうち、「第2ショベル」について、上記限定することが記載されているといえる。 e 小括 以上のとおりであるから、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される技術的事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではない。 したがって、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項に範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (4)申立人Aの主張について ア 申立人Aの主張 申立人Aは、令和7年8月22日付意見書において、以下の点を主張している。 「前記記録部は、自ショベル(本件請求項9では前記第2のショベル)の旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部(本件請求項9では前記第2の環境情報取得部)により取得される環境情報を前記記憶部に記録」するという事項は、本件明細書等には記載も示唆もされていない。 すなわち、本件明細書では、記録タイミングが走行時または旋回時であってよいことが記載されているに過ぎないのに対し、本件訂正後の請求項1,2,9では、実際に走行動作または旋回動作が行われているときではなく、「自ショベル(または第2のショベル)の旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件」が成立すると環境情報を記憶部に記録することが特定されているのであり、しかも、「旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件」とは如何なる条件を意味するのかは本件明細書の記載を参酌しても全く不明であるから、本件訂正は本件明細書に記載した事項の範囲を明らかに逸脱するものである。さらに、本件訂正に係る「旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを示す条件が成立すると一環境情報を記憶部に記録する」という要件は、段落【0062】の「記録タイミングは、ショベル100の走行時や旋回時であってよい。」という記載に対応した態様以外の態様を明らかに包含するものであり、しかも、そのような態様が如何なる態様であるのかは出願時の技術常識に照らしても不明であるから、本件明細書の記載の範囲から明らかに逸脱している。(2頁5行~4頁11行)。 イ 主張についての判断 上記(2)ア(ウ)、イ、(3)ア(ウ)で示したとおり、本件特許明細書の段落【0061】、【0062】の記載をふまえると、「走行時」である「記録タイミング」について、走行動作が行われたことを表す条件が成立したときであることが導出され、また、同様に「旋回時」である「記録タイミング」について、旋回動作が行われたことを表す条件が成立したときであることが導出される。 よって、訂正事項1、2及び5に係る訂正は、本件明細書等に記載された全ての事項に対して、新たな技術的事項を追加するものではないから、「前記記録部は、自ショベル(本件請求項9では前記第2のショベル)の旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部(本件請求項9では前記第2の環境情報取得部)により取得される環境情報を前記記憶部に記録」するという事項は、本件明細書等には記載も示唆もされていないとはいえない。 以上のとおりであるから、申立人Aの主張を採用することはできない。 (5)訂正の適否についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-8〕、〔9-12〕について、本件訂正を認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められたので、本件特許の請求項1~12に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」等という。また、これらを総称して「本件発明」という。)は、令和7年5月26日提出の手続補正書(方式)により補正された令和7年4月14日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~12の記載は、次のとおりである。 なお、各構成の分説は、当審において付した。 「【請求項1】 1A ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 1B 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 1C 記憶部と、 1D 前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備え、 1E 前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 1F 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され、 1G 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 1H 自ショベルを含む複数のショベルは、同一の前記学習済みモデルを有すると共に、前記学習済みモデルを用いて、前記判定を行い、 1I 前記複数のショベルのそれぞれが有する前記学習済みモデルは、前記追加学習済みモデルに更新される、 1J ショベル。 【請求項2】 2A ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 2B 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 2C 記憶部と、 2D 前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備え、 2E 前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 2F 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され、 2G 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 2H 前記学習済みモデルは、複数のショベルで取得される周囲の作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される、 2I ショベル。 【請求項3】 3A 前記学習済みモデルは、自ショベル及び自ショベルとは異なる他ショベルのうちの少なくとも一方で取得される作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた、 前記追加学習済みモデルに更新される、 請求項1又は2に記載のショベル。 【請求項4】 4A 前記学習済みモデルは、人工的に生成される作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される、 請求項1又は2に記載のショベル。 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 6A 前記判定部は、自ショベルの周囲の物体の検出に関する前記判定を行い、 6B 前記記録部は、前記判定部が自ショベルの周囲の物体を検出したと判定したときに、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 6C 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される、 請求項1又は2に記載のショベル。 【請求項7】 7A アクチュエータと、 7B 前記判定に基づき、前記アクチュエータを制御する制御部と、を更に備える、 請求項1又は2に記載のショベル。 【請求項8】 8A 操作装置と、 8B 前記操作装置に対する操作に基づき、駆動されるアクチュエータと、を備え、 8C 前記判定に基づき、前記物体が自ショベルの周囲の所定範囲内に存在すると判定されると、前記操作装置が操作されても前記アクチュエータは駆動されない、 請求項1又は2に記載のショベル。 【請求項9】 9A 第1のショベルと、第2のショベルと、前記第1のショベル及び前記第2のショベルと通信可能な外部装置と、を含むショベル支援システムであって、 9B 前記第1のショベルに設けられ、前記第1のショベルの周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部と、 9C 前記第1のショベルに設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記第1のショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 9D 前記第2のショベルに設けられ、前記第2のショベルの周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部と、 9E 前記第2のショベルに設けられる記憶部と、 9F 前記第2のショベルに設けられ、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部と、 9G 前記第2のショベルに設けられ、前記記録部により前記記憶部に記録される環境情報を前記外部装置に送信する環境情報送信部と、 9H 前記外部装置に設けられ、前記第2のショベルから受信される、前記第2のショベルで取得され前記記憶部に記録された環境情報に基づき、教師情報を生成する教師情報生成部と、 9I 前記外部装置に設けられ、前記教師情報生成部により生成された教師情報に基づき、前記第1のショベルで前記判定に用いられている前記学習済みモデルと同一の学習済みモデルに追加学習を行わせ、追加学習済みモデルを生成する学習部と、 9J 前記外部装置に設けられ、前記学習部により追加学習が行われた前記追加学習済みモデルを前記第1のショベルに送信するモデル送信部と、を備え、 9K 前記記録部は、前記第2のショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 9L 前記学習済みモデルは、前記第1のショベルにおいて、前記外部装置から受信される前記追加学習済みモデルに更新され、 9M 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行う、 9N ショベル支援システム。 【請求項10】 10A 前記第1のショベルと前記第2のショベルは、同一のショベルであり、 10B 前記第1の環境情報取得部と前記第2の環境情報取得部は、同一の環境情報取得部である、 請求項9に記載のショベル支援システム。 【請求項11】 11A 複数の前記第1のショベルと、複数の前記第1のショベルのそれぞれと通信可能な前記外部装置と、を含む、 請求項9に記載のショベル支援システム。 【請求項12】 12A 複数の前記第2のショベルと、複数の前記第2のショベルのそれぞれと通信可能な前記外部装置と、を含む、 請求項9に記載のショベル支援システム。」 第4 証拠方法、特許異議申立理由の概要、及び取消理由通知書に記載した取消理由の概要 1 証拠方法 (1)申立人Aが提出した証拠 ア 申立人Aが異議申立書とともに提出した証拠 甲第1号証:特開2015-135552号公報 甲第2号証:国際公開第2018/084161号 甲第3号証:特開2018-142756号公報 甲第4号証:国際公開第2018/020954号 以下では、申立人Aが提出した甲第1号証~甲第4号証のそれぞれを、甲1A~甲4Aということがある。 イ 申立人Aが令和7年8月22日付け意見書とともに提出した参考資料 参考資料1:特開2003-105807号公報 参考資料2:特開2016-176289号公報 参考資料3:特開2007-23486号公報 参考資料4:特開2017-127292号公報 (2)申立人Bが提出した証拠 申立人Bが提出した証拠は、以下のとおりである。 甲第1号証:特開2017-102606号公報 甲第2号証:特開2003-316746号公報 甲第3号証:特開2015-135552号公報(上記1の甲1Aと同じ) 以下では、申立人Bが提出した甲第1号証~甲第3号証のそれぞれを、甲1B~甲3Bということがある。 2 特許異議申立理由の概要 申立人A及び申立人Bが各特許異議申立書(それぞれ、「申立書A」及び「申立書B」という。)において主張する申立理由の概要は、次のとおりである。なお、本件特許異議申立て時点の請求項1~12に係る発明を、以下「本件訂正前発明1」等という。 (1)申立人Aが主張する申立理由の概要 ア サポート要件違反(以下、「申立理由1A」という。) 本件訂正前発明1~8は、発明の詳細な説明に記載された発明ではないため、特許請求の範囲の請求項1~8の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない。 したがって、本件特許の請求項1~8に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 なお、申立書Aの1頁の3.(1)の「申立ての理由の要約」には「特許法第36条第6項第1号(請求項1-12)(同法113条第4号)」と記載されているものの、サポート要件違反については、申立書Aの12頁15行~15頁末行において、本件訂正前発明1~8についてのみ主張している。よって、サポート要件違反は、実質的に、本件訂正前発明1~8について主張したものと、当審では整理した。 イ 明確性要件違反(以下、「申立理由2A」という。) 本件訂正前発明1~8は、明確でないから、特許請求の範囲の請求項1~8の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさない。 したがって、本件特許の請求項1~8に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 なお、申立書Aの1頁の3.(1)の「申立ての理由の要約」には「特許法第36条第6項第2号(請求項1-12)(同法113条第4号)」と記載されているものの、明確性要件違反については、申立書Aの16頁1~末行において、本件訂正前発明1~8についてのみ主張している。よって、明確性要件違反は、実質的に本件訂正前発明1~8について主張したものと、当審では整理した。 ウ 甲1Aを主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「申立理由3A」という。) 本件訂正前発明1~12は、本件優先日より前に日本国内で頒布された刊行物である、甲1Aに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前発明1~12は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本件訂正前発明1~12に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 エ 甲2Aを主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「申立理由4A」という。) 本件訂正前発明1~12は、本件優先日より前に日本国内で頒布された刊行物である、甲2Aに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前発明1~12は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本件訂正前発明1~12に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)申立人Bが主張する申立理由の概要 ア サポート要件違反(以下、「申立理由1B」という。) 本件訂正前発明1~8、10について、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されておらず、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない。 したがって、本件特許の請求項1~8、10に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 なお、申立書Bの2頁の3.(1)の「申立ての理由の要約」には「特許法第36条第6項第1号(請求項1~12)(特許法第113条第4号)」と記載されているものの、サポート要件違反については、申立書Bの31頁2行~38頁23行において、本件訂正前発明1~8、10についてのみ主張している。よって、サポート要件違反は、実質的に本件訂正前発明1~8、10について主張したものと、当審では整理した。 イ 明確性要件違反(以下、「申立理由2B」という。) 本件訂正前発明1~8、10について、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確ではなく、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。 したがって、本件特許の請求項1~8、10に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 なお、申立書Bの2頁の3.(1)の「申立ての理由の要約」には「特許法第36条第6項第2号(請求項1~12)(特許法第113条第4号)」と記載されているものの、明確性要件違反については、申立書Bの38頁24行~39頁15行において、本件訂正前発明1~8、10についてのみ主張している。よって、明確性要件違反は、実質的に本件訂正前発明1~8、10について主張したものと、当審では整理した。 ウ 甲1Bを主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「申立理由3B」という。) 本件訂正前発明1~12は、甲1B及び甲2B、甲1B及び甲3B、又は甲1B~甲3Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本件特許の請求項1~12に係る特許は、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 取消理由通知書に記載した取消理油の概要 (1)甲1Aを主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「取消理由1」という。) 本件訂正前発明1~8は、甲1A発明、甲2A発明及び周知技術(甲2A、甲3A、甲4A、甲1B)に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、本件訂正前発明9~12は、甲1A発明、甲3A技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)甲2Aを主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「取消理由2」という。) 本件訂正前発明1~12は、甲2A発明、甲1A発明及び甲3A技術事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3)甲1Bを主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「取消理由3」という。) 本件訂正前発明1~12は、甲1B発明、甲1A発明及び甲3A技術事項、甲4A、甲1B)に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 第5 証拠等について 1 各甲号証の記載 (1)甲1A ア 甲第1号証の記載 甲1Aには、以下の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。 (ア)「【0001】 本発明は、車載装置における処理についての学習システム等に関する。」 (イ)「【0005】 しかしながら、出荷された車載装置において、本来の機能を稼働させながら機械学習を行うとなると、車載装置のハードウェア性能を大幅に向上させる必要があり、コストの増加等の問題が生じてしまう。 【0006】 本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、車載装置のハードウェア性能を向上させること無く、出荷後に車載装置の機能を向上させるための学習処理を行うことができる学習システム等を提供することを目的とする。」 (ウ)「【0016】 以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。 【0017】 [構成の説明] 学習システム1は、1又は複数の車載装置10と、無線通信回線網20を介して各車載装置10と通信を行う学習サーバ2とを有している(図1参照)。 【0018】 車載装置10は、自車両周辺の歩行者や道路に描かれた白線等を認識する画像認識機能を有しており、カメラ11,記憶部12,車内LAN通信部13,制御部14,表示部15,操作部16,無線通信部17等を有する(図2参照)。 【0019】 カメラ11は、CCDカメラや赤外線カメラ等として構成されており、自車両周辺を撮影する部位であり、撮影画像に基づき画像認識処理が行われる。なお、カメラ11に替えてレーダ等のセンサを備え、レーダ等を用いて歩行者等の認識処理を行うと共に、該認識処理について、後述する機械学習を行う構成としても良い。 【0020】 また、記憶部12は、記憶保持動作が不要なフラッシュメモリ等として構成されており、画像認識等に必要な各種情報(例えば、後述する機械学習により更新される、画像認識機能におけるパラメータやアルゴリズム等)が記憶されている。 【0021】 また、車内LAN通信部13は、車内LAN(図示無し)を介して他の装置と通信を行う。 また、制御部14は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、ROMに記憶されたプログラムや、RAMにロードされたプログラム等に従い車載装置10を統括制御する。 【0022】 また、制御部14は、学習システム1において行われる、車載装置10の画像認識機能に関する機械学習における識別機能を有している(詳細は後述する)。 また、表示部15は、液晶ディスプレイ等として構成され、各種情報を表示する。 【0023】 また、操作部16は、キースイッチやタッチスイッチ等として構成され、各種操作を受け付ける。 また、無線通信部17は、図示しないアンテナ等により無線通信回線網20にアクセスし、学習サーバ2と通信を行う。 【0024】 なお、車載装置10は、無線通信部17を備えず、車内LANを介して通信可能な無線通信装置により無線通信回線網20にアクセスし、学習サーバ2と通信を行う構成としても良い。 【0025】 一方、学習サーバ2は、メイン学習サーバ30と、車載装置10が搭載された車両の走行地域(詳細は後述する)に対応して設けられた複数のサブ学習サーバ40等により構成されており、これらのサーバは、LANにより接続され、互いに通信可能となっている(図3参照)。 【0026】 メイン学習サーバ30は、例えばPC等として構成されており、通信部31,記憶部32,制御部33,表示部34,操作部35等を備える(図4参照)。 通信部31は、LANを介して無線通信回線網20にアクセスすると共に、他のサブ学習サーバ40と通信を行う部位であり、記憶部32は、HDD等といった記憶保持動作が不要なデバイスから構成されている。 【0027】 また、制御部33は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のコンピュータを中心に構成され、RAMにロードされたプログラム等に従い動作する。 【0028】 また、制御部33は、学習システム1において行われる、車載装置10の画像認識機能に関する機械学習における学習機能を有している(詳細は後述する)。 また、表示部34は、液晶ディスプレイ等として構成され、各種情報を表示する部位であり、操作部35は、キーボードやマウス等として構成され、各種操作を受け付ける部位である。 【0029】 なお、サブ学習サーバ40等は、メイン学習サーバ30と同様の構成を有しているため、説明を省略する。 [動作の説明] 次に、学習システム1の動作について説明する。学習システム1では、車載装置10及び学習サーバ2にて、車載装置10の画像認識機能についての機械学習を行うよう構成されている。車載装置10は該機械学習における識別機能を担当し、学習サーバ2は学習機能を担当する。 【0030】 すなわち、車載装置10は、画像認識処理を行うと、該画像認識処理に用いられたカメラ11による撮影画像データを学習データとし、学習サーバ2に送信する。 一方、学習サーバ2は、各車載装置10から受信した学習データに基づき、画像認識処理の認識精度を向上させるための学習処理を行い、画像認識処理におけるパラメータを更新するための更新データを生成し、各車載装置10に送信する。 【0031】 なお、該パラメータは、例えば、車載装置10での画像認識処理にて用いられるサポートベクタマシンやニューラルネットワークの重み付けのパラメータであっても良い。 そして、車載装置10は、学習サーバ2から受信した更新データにより、画像認識処理におけるパラメータを更新する。 【0032】 以下では、車載装置10及び学習サーバ2での処理について詳しく説明する。 (1)学習データ送信処理について まず、車載装置10から学習サーバ2に対し、学習データ(画像認識処理に用いられたカメラ11による撮影画像データ)を送信する学習データ送信処理について、図5に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、車載装置10での画像認識処理の実行時に開始される。 【0033】 S100では、制御部14は、予め定められた走行地域の中から自車両が現在走行している走行地域を特定すると共に、該走行地域を示す環境データを生成し、S105に処理を移行する。 【0034】 具体的には、制御部14は、例えば、車内LANを介して図示しないナビゲーション装置と通信を行って自車両の現在地を取得し、該現在地に基づき走行地域を特定しても良い。また、自車両による走行が予定される地域を示す情報を予め記憶部12に記憶させておき、該情報が示す地域を走行地域としても良い。 【0035】 S105では、制御部14は、自車両周辺の歩行者や道路に描かれた白線等を認識する画像認識処理を実行すると共に、画像認識処理の結果に基づき、各種処理を実行する。 ここで、画像認識処理では、各走行地域に対応するパラメータが設けられており、制御部14は、S100で特定した走行地域に対応するパラメータを記憶部12から読み出し、該パラメータとを用いて画像認識処理を実行する。 【0036】 続くS110では、制御部14は、画像認識処理に用いられたカメラ11による撮影画像データを学習データとすると共に、該学習データと環境データとを無線通信部17を介して学習サーバ2に送信し、本処理を終了する。 【0037】 (2)機械学習処理について 次に、学習サーバ2にて車載装置10から学習データを収集し、学習処理を行う機械学習処理について、図6に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、学習サーバ2にて繰り返し実行される。 【0038】 S200では、学習サーバ2を構成するメイン学習サーバ30の制御部33は、車載装置10から学習データと環境データを受信し、これらを対応付けた状態で記憶部32に保存する。そして、保存した学習データ等の数が一定の水準に達すると、S205に処理を移行する。 【0039】 S205では、メイン学習サーバ30の制御部33は、S200にて収集された全ての学習データに基づき学習処理を行い、S210に処理を移行する。 なお、該学習処理においては、一例として教師なし学習を行うことが考えられ、オートエンコーダ等の手法を用いても良い。また、このほかにも、学習データに対してデータマイニング等を行うことも考えられる。 【0040】 S210では、メイン学習サーバ30の制御部33は、S200にて収集された全ての学習データを、各学習データに対応する環境データに基づき走行地域毎に分類し、同一の走行地域で生成された学習データのグループを生成する。 【0041】 そして、各グループに属する学習データを、該グループに係る走行地域に対応するサブ学習サーバ40に送信すると共に、全てのサブ学習サーバ40に対し、メイン学習サーバ30での学習結果を送信し、S215に処理を移行する。 【0042】 S215では、各サブ学習サーバ40の制御部は、メイン学習サーバ30での学習結果を初期値として受信した学習データに基づき学習処理(リファイン)を行い、自装置に対応する走行地域での画像認識処理におけるパラメータを生成し、S220に処理を移行する。 ・・・ 【0049】 続くS220では、各サブ学習サーバ40の制御部は、メイン学習サーバ30に対しパラメータを送信する。そして、メイン学習サーバ30の制御部33は、各走行地域に対応するパラメータを更新データとすると共に、各車載装置10に対して更新データを送信し、本処理を終了する。 【0050】 (3)更新データ受信処理について 次に、車載装置10にて学習サーバ2から更新データを受信し、画像認識処理におけるパラメータを更新する更新データ受信処理について、図7に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、車載装置10にて周期的なタイミングで実行される。 【0051】 S300では、車載装置10の制御部14は、学習サーバ2から更新データを受信する。そして、更新データを受信した場合には(S300:Yes)、S305に処理を移行すると共に、更新データを受信できなかった場合には(S300:No)、本処理を終了する。 【0052】 S305では、制御部14は、受信した更新データを記憶部12に保存することで、画像認識処理のパラメータを更新し、本処理を終了する。以後、制御部14は、新たに保存された更新データを構成するパラメータを用いて画像認識処理を行う。 【0053】 [効果] 本実施形態の学習システム1によれば、車載装置10では学習処理が行われず、学習サーバ2にて各車載装置10から提供された学習データに基づき学習処理が行われる。そして、学習サーバ2での学習処理により生成された更新データが各車載装置10に提供され、各車載装置10における処理の内容が更新される。 【0054】 このため、車載装置10は、自装置で学習処理を行うことなく画像認識機能の向上を図ることができる。 したがって、車載装置10のハードウェア性能を向上させること無く、出荷後に車載装置10の画像認識機能を向上させることができる。」 (エ)「【0060】 このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。 (2)また、本実施形態では、機械学習処理のS205,S215にて教師なし学習を行うことを例示したが、これに限らず、教師あり学習を行っても良い。 【0061】 なお、教師あり学習を行う場合、各学習データに対応する教師データ(例えば、画像認識処理により認識される白線の位置や、歩行者の有無等を示すラベル)を作成する必要がある。このような作業は、メイン学習サーバ30等を操作するオペレータにより行われる。」 (オ)図1 「 [図:0001439177000002.jpg] 」 上記図1から、学習システム1は、複数の車載装置10と学習サーバ2とが、無線通信回線網20を介して、通信可能である点が看取できる。 (カ)上記(オ)と、上記(ウ)の段落【0025】のとおり「車両」は、「車載装置10」を「搭載」していることから、複数の車載装置10が搭載される車両は、学習サーバ2と、無線通信回線網20を介して通信可能であると認められる。 また、上記(オ)と、上記(ウ)の段落【0017】とから、学習システム1は、複数の車載装置10と、学習サーバ2により、構成されていると認められる。 (キ)図2 「 [図:0001439177000003.jpg] 」 (ク)図6 「 [図:0001439177000004.jpg] 」 (ケ)図7 「 [図:0001439177000005.jpg] 」 イ 甲1A発明 上記アより、甲1Aには、次の発明(以下「甲1A発明」という。)が記載されていると認められる (甲1A発明) 「学習サーバ2と、無線通信回線網20を介して通信可能である、複数の車載装置10が搭載される車両であって、(【0025】、上記(カ)) 複数の車載装置10と、学習サーバ2により、学習システム1を、構成し、(上記(カ)) 車載装置10は、自車両周辺の歩行者や道路に描かれた白線等を認識する画像認識機能を有しており、カメラ11,記憶部12,車内LAN通信部13,制御部14,表示部15,操作部16,無線通信部17等を有し(【0018】)、 カメラ11は、CCDカメラや赤外線カメラ等として構成されており、自車両周辺を撮影する部位であり、撮影画像に基づき画像認識処理が行われ(【0019】)、 記憶部12は、記憶保持動作が不要なフラッシュメモリ等として構成されており、画像認識等に必要な各種情報(例えば、後述する機械学習により更新される、画像認識機能におけるパラメータやアルゴリズム等)が記憶されていて(【0020】)、 制御部14は、学習システム1において行われる、車載装置10の画像認識機能に関する機械学習における識別機能を有しており(【0022】)、 操作部16は、キースイッチやタッチスイッチ等として構成され、各種操作を受け付け、無線通信部17は、アンテナ等により無線通信回線網20にアクセスし、学習サーバ2と通信を行い(【0023】)、 学習サーバ2は、メイン学習サーバ30と、車載装置10が搭載された車両の走行地域に対応して設けられた複数のサブ学習サーバ40等により構成されており、これらのサーバは、LANにより接続され、互いに通信可能となっており(【0025】)、 メイン学習サーバ30は、例えばPC等として構成されており、通信部31,記憶部32,制御部33,表示部34,操作部35等を備え、通信部31は、LANを介して無線通信回線網20にアクセスすると共に、他のサブ学習サーバ40と通信を行う部位であり、記憶部32は、HDD等といった記憶保持動作が不要なデバイスから構成されており(【0026】)、 制御部33は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のコンピュータを中心に構成され、RAMにロードされたプログラム等に従い動作するものであり(【0027】)、 制御部33は、学習システム1において行われる、車載装置10の画像認識機能に関する機械学習における学習機能を有し(【0028】)、 表示部34は、液晶ディスプレイ等として構成され、各種情報を表示する部位であり、操作部35は、キーボードやマウス等として構成され、各種操作を受け付ける部位であり(【0028】)、 学習システム1では、車載装置10及び学習サーバ2にて、車載装置10の画像認識機能についての機械学習を行うよう構成され、車載装置10は該機械学習における識別機能を担当し、学習サーバ2は学習機能を担当し(【0029】)、 車載装置10は、画像認識処理を行うと、該画像認識処理に用いられたカメラ11による撮影画像データを学習データとし、学習サーバ2に送信し、一方、学習サーバ2は、各車載装置10から受信した学習データに基づき、画像認識処理の認識精度を向上させるための学習処理を行い、画像認識処理におけるパラメータを更新するための更新データを生成し、各車載装置10に送信し、該パラメータは、例えば、車載装置10での画像認識処理にて用いられるサポートベクタマシンやニューラルネットワークの重み付けのパラメータであり、そして、車載装置10は、学習サーバ2から受信した更新データにより、画像認識処理におけるパラメータを更新するものであり(【0030】、【0031】)、 車載装置10から学習サーバ2に対し、学習データ(画像認識処理に用いられたカメラ11による撮影画像データ)を送信する学習データ送信処理については、車載装置10での画像認識処理の実行時に開始され、制御部14は、予め定められた走行地域の中から自車両が現在走行している走行地域を特定すると共に、該走行地域を示す環境データを生成し、自車両周辺の歩行者や道路に描かれた白線等を認識する画像認識処理を実行すると共に、画像認識処理の結果に基づき、各種処理を実行し、画像認識処理では、各走行地域に対応するパラメータが設けられており、走行地域に対応するパラメータを記憶部12から読み出し、該パラメータを用いて画像認識処理を実行し、画像認識処理に用いられたカメラ11による撮影画像データを学習データとすると共に、該学習データと環境データとを無線通信部17を介して学習サーバ2に送信し(【0032】、【0033】、【0035】、【0036】)、 学習サーバ2にて車載装置10から学習データを収集し、学習処理を行う機械学習処理については、学習サーバ2にて繰り返し実行されるものであって、学習サーバ2を構成するメイン学習サーバ30の制御部33は、車載装置10から学習データと環境データを受信し、これらを対応付けた状態で記憶部32に保存し、保存した学習データ等の数が一定の水準に達すると、メイン学習サーバ30の制御部33は、収集された全ての学習データに基づき学習処理を行い、メイン学習サーバ30の制御部33は、収集された全ての学習データを、各学習データに対応する環境データに基づき走行地域毎に分類し、同一の走行地域で生成された学習データのグループを生成し、各グループに属する学習データを、該グループに係る走行地域に対応するサブ学習サーバ40に送信すると共に、全てのサブ学習サーバ40に対し、メイン学習サーバ30での学習結果を送信し、各サブ学習サーバ40の制御部は、メイン学習サーバ30での学習結果を初期値として受信した学習データに基づき学習処理(リファイン)を行い、自装置に対応する走行地域での画像認識処理におけるパラメータを生成し、各サブ学習サーバ40の制御部は、メイン学習サーバ30に対しパラメータを送信し、そして、メイン学習サーバ30の制御部33は、各走行地域に対応するパラメータを更新データとすると共に、各車載装置10に対して更新データを送信するものであって(【0037】~【0042】、【0049】)、 機械学習処理においては、教師あり学習を行うものであり(【0060】)、 車載装置10にて学習サーバ2から更新データを受信し、画像認識処理におけるパラメータを更新する更新データ受信処理については、車載装置10にて周期的なタイミングで実行されるものであり、車載装置10の制御部14は、学習サーバ2から更新データを受信した場合には、制御部14は、受信した更新データを記憶部12に保存することで、画像認識処理のパラメータを更新し、以後、新たに保存された更新データを構成するパラメータを用いて画像認識処理を行うと共に、更新データを受信できなかった場合には本処理を終了するものであって(【0050】~【0052】)、 学習システム1によれば、車載装置10では学習処理が行われず、学習サーバ2にて各車載装置10から提供された学習データに基づき学習処理が行われ、学習サーバ2での学習処理により生成された更新データが各車載装置10に提供され、各車載装置10における処理の内容が更新される(【0053】)、 車両。」 (2)甲2A ア 甲2Aの記載 甲2Aには以下の記載がある。 (ア)「[0001] 本発明は、作業機械用安全管理システム等に関する。 ・・・ [0004] しかしながら、特許文献1では、蓄積された侵入情報に基づき事後的に作業現場の作業者や現場監督等に安全性の向上を促すことができるが、作業現場で現在生じている状況に対して、直ぐに安全性の向上を促すことができない。 [0005] そこで、上記課題に鑑み、比較的即効性のある態様で、作業機械が使用される作業現場の安全性の向上を図ることが可能な作業機械用安全管理システム等を提供することを目的とする。」 (イ)「[0010] [作業機械の概要] まず、図1を参照して、本実施形態に係る安全管理システム100(図2参照)に含まれる作業機械について説明をする。 [0011] 図1は、本実施形態に係る安全管理システム100に含まれる作業機械の一例を示す図であり、具体的には、ショベルの側面図である。 [0012] 尚、本実施形態に係る安全管理システム100に含まれる作業機械は、当然の如く、ショベル以外の作業機械、例えば、ホイールローダ、アスファルトフィニッシャ等であってもよい。 ・・・ [0018] また、本実施形態に係るショベルは、安全管理システム100に関連する構成として、コントローラ30と、撮像装置40と、動作・姿勢状態センサ42と、表示装置50と、音声出力装置60と、外部報知装置70と、通信機器80を備える。 [0019] コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う制御装置である。コントローラ30は、キャビン10内に搭載される。 [0020] 撮像装置40は、上部旋回体3の上部に取り付けられ、ショベルの周辺を撮像する。撮像装置40は、後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rを含む。 ・・・ [0032] 表示装置50は、キャビン10内の操縦席の周辺に設けられ、コントローラ30(後述する表示制御部304)による制御の下、オペレータに通知する各種画像情報を表示する。 ・・・ [0034] 外部報知装置70は、ショベルの周辺の作業者や作業現場の監督者等に向けて報知を行う。外部報知装置70は、例えば、ショベルの周辺の作業者等に向けて点灯或いは点滅等する光源(灯火器)を含んでよい。また、外部報知装置70は、ショベルの周辺の作業者等に向けて画像情報(文字情報や描画情報等)を提示する外部向けの表示装置を含んでもよい。また、外部報知装置70は、ショベルの周辺の作業者等に向けて音声情報を出力する、スピーカやブザー等の外部向けの音声出力装置を含んでもよい。 [0035] 通信機器80は、所定の無線通信規格に基づき、所定の通信ネットワーク150(図2参照。例えば、基地局を末端とする携帯電話ネットワークやインターネット網等)を通じて、遠隔の外部機器(例えば、後述する管理サーバ200)と通信する通信デバイスである。」 (ウ)「[0036] [安全管理システムの構成] 次に、図2A~図2Cを参照して、安全管理システム100の構成について説明する。 [0037] まず、図2Aは、本実施形態に係る安全管理システム100の構成の一例を示すブロック図である。 [0038] 安全管理システム100は、ショベルと、通信ネットワーク150を通じて、ショベルと通信可能に接続される管理サーバ200と、通信ネットワーク150を通じて、管理サーバ200と通信可能な管理端末300を含む。 [0039] ショベルは、本実施形態に係る安全管理システム100に関連する構成として、コントローラ30と、撮像装置40と、動作・姿勢状態センサ42と、表示装置50等を含む。 [0040] コントローラ30は、安全管理システム100における主たる制御処理を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いはその組み合わせにより実現されてよく、例えば、CPU,RAM,ROM,I/O等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、ROM等に格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、物体検知部301と、情報取得部302と、情報生成部303と、表示制御部304と、情報送信部305を含む。また、コントローラ30は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の内部メモリに規定される記憶領域としての記憶部310を含む。 [0041] 撮像装置40は、上述の如く、後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rを含む。後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rは、上部旋回体3の上部において、光軸が斜め下方に向くように取り付けられ、ショベル近傍の地面からショベルの遠方までを含む上下方向の撮像範囲(画角)を有する。後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rは、ショベルの運転中、所定周期(例えば、1/30秒)毎に、撮像画像をコントローラ30に出力し、撮像画像は、コントローラ30に取り込まれる。 [0042] 動作・姿勢状態センサ42は、上述の如く、ブーム角度センサ42Aと、アーム角度センサ42Bと、バケット角度センサ42Cと、IMU42D,42Eと、旋回角度センサ42Fと、加速度センサ42Gを含む。動作・姿勢状態センサ42に含まれるそれぞれのセンサは、検出結果(検出信号)をコントローラ30に出力し、検出結果は、コントローラ30に取り込まれる。 [0043] 表示装置50は、撮像装置40の撮像画像(スルー画像)や、コントローラ30により撮像装置40の撮像画像に基づき生成される周辺画像(例えば、ショベルの真上から見た俯瞰画像等の視点変換画像)等を表示する。また、表示装置50は、コントローラ30は、表示制御部304による制御の下、ショベルの所定領域への人の侵入度合を表す情報(以下、「侵入度合情報」と称する)を表示する。侵入度合情報の詳細については、後述する。 [0044] 音声出力装置60は、コントローラ30(物体検知部301)による制御の下、警報音を出力する。 [0045] 外部報知装置70は、コントローラ30(物体検知部301)による制御の下、ショベルの周辺に向けて、光源の点灯、光源の点滅、情報画像、音声等を用いて、警報を出力する。 [0046] 通信機器80は、コントローラ30の制御の下、ショベルの遠隔に設けられる管理サーバ200と通信ネットワーク150を介して通信可能に接続し、管理サーバ200との間で各種情報の送信を行う。 [0047] 物体検知部301(検知部の一例)は、撮像装置40の撮像画像に基づき、ショベルの周辺の所定領域内、例えば、ショベルから所定距離D1(例えば、5メートル)以内の所定の監視対象を検知する。即ち、物体検知部301は、ショベルの周辺の所定領域内(ショベルから所定距離D1以内)への監視対象の侵入を検知する。監視対象は、ショベルの周辺に存在或いは侵入しうる障害物である。例えば、監視対象には、ショベルの周辺の作業者等の人、ショベルの周辺で作業を行う他の作業機械や車両、ショベルの周辺に仮置きされる工材等が含まれうる。本実施形態では、以下、監視対象が作業者等の人である前提で説明を進める。 [0048] 例えば、物体検知部301は、既知の各種画像処理手法や機械学習ベースの識別器等を任意に適用することにより、撮像画像内の人を認識すると共に、認識した人の実在位置(ショベルから認識した人までの距離D等)を特定することができる。 [0049] 尚、物体検知部301は、撮像装置40の撮像画像に基づきショベルの周辺の人を検知するが、撮像装置40の撮像画像に代えて、或いは、加えて、他のセンサ、例えば、ミリ波レーダ、LIDAR(LIght Detection And Ranging)、ステレオカメラ等の検出結果(距離画像等)に基づきショベルの周辺の人を検知してもよい。この場合、これらの他のセンサがショベルに設けられる。 ・・・ [0053] また、物体検知部301は、ショベルから所定距離D3(≦D1)以内で人を検知した場合、ショベルの各種動作要素(例えば、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及び、バケット6等)の動作を制限してよい。以下、ショベルの各種動作要素の動作を制限することを、単に、「ショベルの動作制限」と称する。このとき、当該所定距離D3は、所定距離D1或いは所定距離D2と同じであってもよいし、所定距離D1,D2とは異なっていてもよい。また、物体検知部301は、ショベルから検知された人までの距離に応じて、制限度合いを変化させてもよい。例えば、物体検知部301は、ショベルから検知された人までの距離が、所定距離D3以下且つ所定距離D4(<D3)より長い場合、各種動作要素の操作状態に対する動作速度を緩やかにしてよい。そして、物体検知部301は、ショベルから検知された人までの距離が所定距離D4以下である場合、各種動作要素の操作状態に関わらず、各種動作要素を停止させてよい。このとき、所定距離D4は、所定距離D2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。 [0054] 尚、物体検知部301は、例えば、各種動作要素を操作する油圧式の操作装置と各種動作要素を駆動する油圧アクチュエータとの間のパイロットラインに設けられる減圧弁或いは切換弁を作動させることにより、当該パイロットラインを減圧或いは遮断し、各種動作要素の動作を制限することができる。また、物体検知部301は、例えば、油圧式の操作装置に元圧を供給するパイロットラインに設けられる減圧弁或いは切換弁を作動させ、パイロットラインを減圧或いは遮断することによっても、各種動作要素の動作を制限することができる。 ・・・ [0062] 情報取得部302は、制御装置ショベルの各種状態(動作状態、制御状態等)に関連する情報を、ショベルに搭載される各種センサ(例えば、撮像装置40、動作・姿勢状態センサ42等)、各種アクチュエータ(例えば、油圧制御を行う電磁弁等)、各種制御装置(例えば、コントローラ30等)から取得する。 [0063] 例えば、情報取得部302は、物体検知部301によりショベルの周辺の所定領域への人の侵入が検知された場合、今回の所定領域への人の侵入と紐づける態様で、所定領域への人の侵入時における各種情報(後述する侵入関連情報)を侵入履歴情報3101として記憶部310に記憶させる。以下、図4を参照して、侵入履歴情報3101について説明する。 [0064] 図4は、侵入履歴情報3101の一例を示す図である。侵入履歴情報3101は、人検知部による検知結果の履歴の一例であると共に、後述の如く、音声出力装置60による警報の出力結果(警戒状態に係る警報と警告状態に係る警報の別)の履歴の一例である。侵入履歴情報3101は、物体検知部301によりショベルの周辺の所定領域への人の侵入が検知される度に、情報生成部303により履歴的に更新される。 [0065] 図4に示すように、侵入履歴情報3101は、テーブル形式のデータとして記憶部310に記憶されている。侵入履歴情報3101には、所定領域への人の侵入時における各種情報として、検知された日時(日付、曜日、時刻)に関する情報、検知場所に関する情報、警報レベルに関する情報、検知された人の事後動作に関する情報、検知時の操作状態に関する情報、検知時の作業モードに関する情報、検知時の画像情報(検知時画像情報)が含まれる。所定領域への人の侵入時における各種情報は、換言すれば、所定領域の人の侵入に関連する(影響する)情報(以下、「侵入関連情報」と称する)である。侵入関連情報は、情報取得部302により取得される。 [0066] 検知場所は、所定領域内の予め区分される複数の領域の何れで人の侵入が検知されたかを表し、本例では、ショベルの左方エリア、右方エリア、後方エリアの3つのエリアの何れで人の侵入が検知されたかを表す。 ・・・ [0081] また、例えば、侵入履歴情報3101は、侵入関連情報の一例として、物体検知部301によりショベルから所定距離D3以内への人の侵入が検知され、ショベルの動作が制限されたときのオペレータによるショベルの操作状態を表す情報 (動作制限時操作情報) を含みうる。動作制限時操作情報は、上述の検知時操作情報と同様、 例えば、 当該下部走行体1が操作される走行状態、上部旋回体3が操作される旋回状態、作業機(ブーム4、アーム5、バケット6) が操作される作業状態の少なくとも1つか、操作されない状態かを表す。 [0082] 情報生成部303は、物体検知部301により所定領域への人の侵入が検知されるたびに、情報取得部302により更新される侵入履歴情報3101に基づき、侵入度合情報3102を生成する。具体的には、情報生成部303は、侵入履歴情報3101を統計的に処理することにより、侵入度合情報3102を生成する。そして、情報生成部303は、生成した侵入度合情報3102を記憶部310に記憶させる。侵入度合情報3102の詳細は、後述する。 ・・・ [0085] 情報送信部305は、予め規定された通知条件が成立すると、通信機器80を制御し、情報生成部303により生成された侵入度合情報3102を管理サーバ200に送信する。情報送信部305による処理の詳細は、後述する。 [0086] 管理サーバ200(管理装置の一例)は、ショベルから送信される各種情報に基づき、ショベルの各種管理を行う。管理サーバ200は、ショベル(通信機器80)と通信ネットワーク150を介して通信可能に接続し、ショベルから送信される各種情報を受信する。例えば、管理サーバ200は、ショベルを含む作業現場の安全状況に関する情報(例えば、後述する侵入度合情報)をショベルから受信し、該情報を、作業現場の監督者や作業者が使用するコンピュータ端末、作業現場の監督者の携帯端末、作業現場の他の作業機械等に送信する。これにより、作業現場の監督者、作業者、他の作業機械のオペレータ等に作業現場の安全状況を把握させて、安全行動を促すことができる。 [0087] 管理サーバ200は、通信機器210と、処理装置220とを含む。 [0088] 通信機器210は、通信ネットワーク150を通じて、ショベル及び管理端末300のそれぞれと双方向で通信を行うための任意の通信デバイスである。 [0089] 処理装置220は、管理サーバ200における各種制御処理を行う。処理装置220は、その機能が、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、これらの組み合わせにより実現されてよく、例えば、CPUと、RAMと、ROMと、補助記憶装置と、所定の通信インターフェース等を含む一又は複数のサーバコンピュータを中心に構成される。処理装置220は、ROMや補助記憶装置に格納される一以上のプログラムを実行することにより実現される機能部として、データ取得部2201と、データ配信部2202を含む。また、処理装置220は、サーバコンピュータの補助記憶装置内の記憶領域として実現される記憶部2200を含み、記憶部2200に各種データを保存する(記憶させる)処理は、ROMや補助記憶装置に格納される所定のプログラムにより実現される。 [0090] データ取得部2201は、通信機器210を通じて、ショベルから管理サーバ200に向けて送信される侵入度合情報を取得する。データ取得部2201は、取得した侵入度合情報を記憶部2200に記憶させる(侵入度合情報2200A)。 [0091] データ配信部2202は、携帯端末からのリクエストに応じて、或いは、予め規定されたプッシュ通知の要件に応じて、通信機器210を制御し、管理端末300に侵入度合情報2200Aを配信する。 [0092] 尚、データ配信部2202は、管理端末300の他、管理サーバ200と通信可能に接続される他の作業機械(侵入度合情報の送信元であるショベル以外の、同じ作業現場の他の作業機械)、例えば、ショベルの他、ブルドーザ等に配信されてもよい。」 (エ)「[0119] [侵入度合情報の詳細] 次に、図5~図11を参照して、情報生成部303,2203,3203(以下、便宜的に「情報生成部303等」と称する)により生成される侵入度合情報(侵入度合情報3102,2200A,3200A)について説明をする。 [0120] まず、図5は、情報生成部303等により生成される侵入度合情報の第1例を表す図である。 [0121] 図5に示すように、本例に係る侵入度合情報は、直近の所定時間(本例では、11:00-12:00の1時間)内における所定領域への人の侵入の検知回数、検知された人の人数(検知人数)、及び追加情報である、所定領域への人の侵入が検知された各回の画像情報(撮像装置40の撮像画像)を表すテーブル形式の情報である。」 (オ)「[0206] 以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。 [0207] 例えば、上述した実施形態では、表示制御部304が表示装置50に侵入度合情報3102を表示させると共に、情報送信部305が管理サーバ200に侵入度合情報3102を送信されるが、何れか一方が行われる態様であってもよい。 [0208] また、上述した実施形態及びその変形例では、一の作業機械(ショベル)において、一の作業機械に関する侵入度合情報(侵入度合情報3102、侵入度合情報2200A、侵入度合情報3200A)が生成されるが、当該態様には限定されない。例えば、作業現場で作業する複数の作業機械(例えば、ショベル、ブルドーザ等)のそれぞれに記憶される侵入履歴情報3101が集約された複数の作業機械に関する侵入度合情報、つまり、作業現場全体での侵入度合情報が生成されてよい。そして、生成された侵入度合情報が対象となるそれぞれの作業機械のオペレータから視認可能な表示装置に表示されてよいし、複数の作業機械のそれぞれと通信可能な管理サーバに送信されてもよい。このとき、それぞれの作業機械で記憶される侵入履歴情報は、相互に通信可能に接続される複数の作業機械のうちの特定の作業機械に集められ、当該作業機械において、複数の作業機械に関する侵入度合情報が作成されてよい。また、それぞれの作業機械で記憶される侵入履歴情報は、相互に通信可能に接続される複数の作業機械の相互間で共有化され、それぞれの作業機械において、複数の作業機械に関する侵入度合情報が作成されてもよい。また、例えば、管理サーバ200は、作業現場で作業する複数の作業機械から侵入履歴情報を取得し、管理サーバ200或いは管理端末300は、管理サーバ200に集約された複数の作業機械に関する侵入履歴情報に基づき、作業現場全体での侵入度合情報を生成してもよい。これにより、作業現場の管理者、監督者、それぞれの作業機械のオペレータ等は、管理端末300やショベルの表示装置50等を通じて、作業現場全体での侵入度合情報を把握することができる。そのため、作業現場の安全性に対する対応を更に促進させることができる。」 (カ)図2A 「 [図:0001439177000006.jpg] 」 イ 甲2A発明 上記アより、甲2Aには、次の発明(以下「甲2A発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲2A発明) 「安全管理システム100に含まれるショベルであって([0011])、 安全管理システム100は、ショベルと、通信ネットワーク150を通じて、ショベルと通信可能に接続される管理サーバ200と、通信ネットワーク150を通じて、管理サーバ200と通信可能な管理端末300を含んでおり([0038])、 ショベルは、安全管理システム100に関連する構成として、コントローラ30と、撮像装置40と、動作・姿勢状態センサ42と、表示装置50と、音声出力装置60と、外部報知装置70と、通信機器80を備えており([0018])、 コントローラ30は、ROM等に格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、物体検知部301と、情報取得部302と、情報生成部303と、表示制御部304と、情報送信部305を含み、また、コントローラ30は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の内部メモリに規定される記憶領域としての記憶部310を含み、([0040]) 物体検知部301は、ショベルの周辺の所定領域内(ショベルから所定距離D1以内)への監視対象の侵入を検知するものであり、監視対象は、ショベルの周辺に存在或いは侵入しうる障害物であって、例えば、監視対象には、ショベルの周辺の作業者等の人、ショベルの周辺で作業を行う他の作業機械や車両、ショベルの周辺に仮置きされる工材等が含まれ、既知の各種画像処理手法や機械学習ベースの識別器等を任意に適用することにより、撮像画像内の人を認識すると共に、認識した人の実在位置(ショベルから認識した人までの距離D等)を特定することができ、([0047]、[0048]) また、物体検知部301は、ショベルから所定距離D3(≦D1)以内で人を検知した場合、ショベルの各種動作要素(例えば、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及び、バケット6等)の動作を制限してよく、ショベルから検知された人までの距離が所定距離D4以下である場合、各種動作要素の操作状態に関わらず、各種動作要素を停止させてよく、各種動作要素を操作する油圧式の操作装置と各種動作要素を駆動する油圧アクチュエータとの間のパイロットラインに設けられる減圧弁或いは切換弁を作動させることにより、当該パイロットラインを減圧或いは遮断し、各種動作要素の動作を制限することができ、([0053][0054])、 情報取得部302は、物体検知部301によりショベルの周辺の所定領域への人の侵入が検知された場合、今回の所定領域への人の侵入と紐づける態様で、所定領域への人の侵入時における各種情報を侵入履歴情報3101として記憶部310に記憶させ、侵入履歴情報3101は、物体検知部301によりショベルの周辺の所定領域への人の侵入が検知される度に、情報生成部303により履歴的に更新され、テーブル形式のデータとして記憶部310に記憶され、侵入履歴情報3101には、検知時の画像情報(検知時画像情報)が含まれ([0063]~[0065])、 情報生成部303は、物体検知部301により所定領域への人の侵入が検知されるたびに、情報取得部302により更新される侵入履歴情報3101に基づき、侵入度合情報3102を生成し、生成した侵入度合情報3102を記憶部310に記憶させるものであり、侵入度合情報3102は、直近の所定時間内における所定領域への人の侵入の検知回数、検知された人の人数(検知人数)、及び追加情報である、所定領域への人の侵入が検知された各回の画像情報(撮像装置40の撮像画像)を表すテーブル形式の情報であり([0082]、[0121])、 情報送信部305は、予め規定された通知条件が成立すると、通信機器80を制御し、情報生成部303により生成された侵入度合情報3102を管理サーバ200に送信し、([0085]) 撮像装置40は、上部旋回体3の上部に取り付けられ、ショベルの周辺を撮像し、後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rを含み、後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rは、ショベルの運転中、所定周期(例えば、1/30秒)毎に、撮像画像をコントローラ30に出力し、撮像画像は、コントローラ30に取り込まれ、([0020]、[0041]) 表示装置50は、キャビン10内の操縦席の周辺に設けられ、コントローラ30による制御の下、オペレータに通知する各種画像情報を表示し、([0032]) 表示装置50は、撮像装置40の撮像画像(スルー画像)や、コントローラ30により撮像装置40の撮像画像に基づき生成される周辺画像等を表示し、表示制御部304による制御の下、ショベルの所定領域への人の侵入度合を表す情報を表示し、([0043]) 管理サーバ200は、ショベル(通信機器80)と通信ネットワーク150を介して通信可能に接続し、ショベルを含む作業現場の安全状況に関する侵入度合情報をショベルから受信し、該情報を、作業現場の他の作業機械等に送信し、これにより、他の作業機械のオペレータ等に作業現場の安全状況を把握させて、安全行動を促すことができ、([0086]) 外部報知装置70は、ショベルの周辺の作業者や作業現場の監督者等に向けて報知を行い、([0034]) 通信機器80は、所定の無線通信規格に基づき、所定の通信ネットワーク150を通じて、遠隔の外部機器(例えば、管理サーバ200)と通信する通信デバイスであり、([0035]) 管理サーバ200は、通信機器210と、処理装置220とを含み、通信機器210は、通信ネットワーク150を通じて、ショベルと双方向で通信を行うための任意の通信デバイスであり、処理装置220は、管理サーバ200における各種制御処理を行い、([0087]~[0089]) 一の作業機械(ショベル)において、一の作業機械に関する侵入度合情報が生成されるが、作業現場で作業する複数の作業機械(例えば、ショベル、ブルドーザ等)のそれぞれに記憶される侵入履歴情報3101が集約された複数の作業機械に関する侵入度合情報、つまり、作業現場全体での侵入度合情報が生成されてよく、そして、生成された侵入度合情報が対象となるそれぞれの作業機械のオペレータから視認可能な表示装置に表示されてよいし、複数の作業機械のそれぞれと通信可能な管理サーバに送信されてもよい、([0208]) ショベル。」 (3)甲3A ア 甲3Aの記載 甲3Aには以下の記載がある。 (ア)「【0014】 図1を参照して、複数の実施形態の1つに係る検出システム10について説明する。 【0015】 検出システム10は、カメラ20と検出装置30とを備える。カメラ20と検出装置30とは、例えばネットワーク15を介して情報を送受信可能である。ネットワーク15は、例えば無線、有線、またはCAN(Controller Area Network)等を含んでよい。 【0016】 検出システム10は、図2に示すように、移動体50内に搭載することができる。検出装置30は、移動体50内の警報装置40および/またはECU(Electronic Control Unit)45等と、ネットワーク15を介して情報の送受信を可能としうる。 【0017】 警報装置40は、運転者60に対して警報を発する装置である。警報装置40は、警告音を発するスピーカー、運転者60の座席を振動させる振動発生装置を含みうる。警報装置40は、移動体50内のディスプレイ装置を兼用することができる。ECU45は、移動体50の制御用のコンピュータである。移動体が車両の場合、ECUは、移動体50のブレーキ制御用のECU、エンジン制御用のECU、および、ステアリング制御用のECUを含んでよい。 【0018】 本開示における「移動体」は、例えば車両、船舶、および航空機等を含んでよい。車両は、例えば自動車、産業車両、鉄道車両、生活車両、および滑走路を走行する固定翼機等を含んでよい。自動車は、例えば乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含んでよい。産業車両は、例えば農業および建設向けの産業車両等を含んでよい。産業車両は、例えばフォークリフトおよびゴルフカート等を含んでよい。農業向けの産業車両は、例えばトラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、および芝刈り機等を含んでよい。建設向けの産業車両は、例えばブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラ等を含んでよい。車両は、人力で走行するものを含んでよい。車両の分類は、上述した例に限られない。例えば、自動車は、道路を走行可能な産業車両を含んでよい。複数の分類に同じ車両が含まれてよい。船舶は、例えばマリンジェット、ボート、およびタンカー等を含んでよい。航空機は、例えば固定翼機および回転翼機等を含んでよい。 【0019】 カメラ20は移動体50に固定される。カメラ20は移動体50に対して着脱可能に固定されうる。カメラ20は、移動体50の外部領域を撮像可能である。カメラ20の位置は、移動体50の内部および外部において任意である。例えば、一実施形態において、カメラ20は、図2に示すように移動体50の後方に位置し、移動体50の後方の外部領域を撮像できる。他の実施形態において、カメラ20に代えて、移動体50の内側にカメラ20aが設けられてもよい。例えば、一実施形態において、カメラ20は、図2に示すように移動体50のリアウィンドウに面し、移動体50の後方の外部領域を撮像できる。検出装置30の位置は、移動体50内において任意である。警報装置40は、警報を発する。運転者60は、警報装置40の発する警報を知覚しうる。例えば、警報装置40がディスプレイ装置の場合、警報装置40は、運転者60によって視認可能に置かれる。例えば図2に示すように、警報装置40は、移動体50のダッシュボードの中に位置する。」 (イ)「【0026】 検出装置30について詳細に説明する。検出装置30は、コントローラ31と、メモリ32と、入力部33と、出力部34とを備える。 【0027】 入力部33は、カメラ20からの撮像画像を受信する入力インタフェースである。出力部34は、警報装置40およびECU45へ信号を出力する出力インタフェースである。入力部33および出力部34は、カメラ20の通信部24と同様な通信インタフェースを備える1つの通信部であってよい。 【0028】 コントローラ31は、1つ以上のプロセッサを含む。コントローラ31は、1つまたは複数のプロセッサが協働するSoC、およびSiPのいずれかであってよい。コントローラ31は、第1処理および第2処理を含む処理を実行できる。第1処理において、コントローラ31は、カメラ20からの撮像画像について、移動体50の外部に露出する透光部材に付着した付着物を認識する。第2処理において、コントローラ31は、認識対象物に係る形状または特徴に基づき撮像画像の部分を検出画像として検出する。コントローラ31は、第1処理の結果および前記第2処理の結果に基づいて信号を生成する。なお、本願において、「認識対象物」は、検出装置30、検出システム10、または、後述するカメラ装置11が、撮像画像の中から認識する対象となっている物体である。図面において、認識対象物は、単に「対象物」と記載する場合がある。 ・・・ 【0031】 認識対象物は、検出対象とする被写体物である。認識対象物には、歩行者、自動車、自転車、および、電柱のうち1つ以上を含みうる。検出画像は、撮像画像中から検出された認識対象物と判定されうる認識対象物の候補の画像である。撮像画像中で、認識対象物が、移動体50の進行方向にある場合、コントローラ31は、この認識対象物を障害物であると認識しうる。 ・・・ 【0034】 メモリ32は、一次メモリおよび二次メモリを含んでよい。メモリ32は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、および光メモリ等を用いて構成されてよい。半導体メモリは、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含んでよい。磁気メモリは、例えばハードディスクおよび磁気テープ等を含んでよい。メモリ32は、コントローラ31の動作に必要な種々の情報およびプログラムを記憶する。例えば、メモリ32は、カメラ20より出力された撮像画像、第1処理および第2処理の結果を一時的に保存してよい。メモリ32は、第1処理および第2処理に使用されるデータを格納してよい。例えば、メモリ32は、後述するテンプレートマッチングに使用される歩行者、自動車、自転車等の認識対象物のテンプレート、機械学習により得られるアルゴリズム、認識対象物の検出用プログラム等を予め保存してよい。」 (ウ)「【0037】 複数の実施形態の1つにおいて、コントローラ31は、座標変換部35、検出部36、認識部37、判定部38、信号生成部39(以下、各部ともよぶ)を含む。各部の各々は、ハードウエアモジュールであってよく、ソフトウエアモジュールであってよい。各部が行える動作を、コントローラ31は実行できる。コントローラ31は、座標変換部35、検出部36、認識部37、判定部38、信号生成部39を含む形態に限られず、座標変換部35、検出部36、認識部37、判定部38、信号生成部39の1つ又は複数が省略されてよい。複数の実施形態のうちの1つにおいて、コントローラ31は、各部の全ての動作を実行してよい。各部が行う動作は、コントローラ31が行う動作として言い換えてよい。コントローラ31が各部のいずれかを使役して行う処理は、コントローラ31が自ら実行してよい。以下に、各部の動作を説明する。」 (エ)「【0042】 認識部37は、座標変換部35から出力された第2画像75に対して、第2処理を実行する。認識部37は、第2処理において、撮像画像に対し認識対象物の候補の画像である検出画像を検出する。認識部37は、特定の認識対象物に対する検出画像の認識対象物らしさを決定するアルゴリズムを有することができる。認識対象物らしさは、検出画像が歩行者、自動車、自転車等の特定の認識対象物である確からしさを確率で示したものとすることができる。認識部37が行う認識対象物の候補の検出と、当該認識対象物の候補の認識対象物らしさの出力を、認識対象物の認識とよぶ。 【0043】 認識対象物の認識の方法は、公知の種々の方法を含むものとする。例えば、認識対象物の認識の方法は、物体の形状認識による方法、テンプレートマッチングによる方法、画像から特徴量を算出しマッチングに利用する方法を含む。 【0044】 物体の形状認識では、撮像画像から背景差分または動き検出等の方法により物体を抽出し、この物体の形状が目的とする物体の形状と一致するか否かを判断するものである。 【0045】 テンプレートマッチングは、認識対象物のテンプレートを用意し撮像画像上でスライドさせ、撮像画像全体の中にテンプレートの画像との類似度が高い部分画像が存在するか探索するものである。類似度の計算は、SSD(Sum of Squared Difference)またはSAD(Sum of Absolute Difference)、NCC(Normalized Cross-Correlation)、ZNCC(Zero-means Normalized Cross-Correlation)等の指標を用いることができる。 【0046】 特徴量を用いる方法は、画像からパターンを認識するのに有用な特徴を数値化した特徴量を抽出し、認識対象物の候補の検出に使用する。この方法では、Haar-like特徴量、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)特徴量、SURF(Speed Up Robust Features)特徴量、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量、JOINT Haar-like特徴量、Joint HOG特徴量、Shapelet特徴量、および、CoHOG(Co-occurrence Histograms of Oriented Gradients)特徴量等を含む多くの種類の特徴量から選択した特徴量を使用しうる。この方法では、認識対象物の特徴量のパターンと撮像画像とのマッチングにより、撮像画像中の認識対象物の候補である検出画像の検出が行われる。この認識方法では、予め多数の学習用の画像から特徴量を算出し、その結果をコンピュータに学習させる。学習した結果に基づいて、識別器が認識対象物を認識する。使用される識別器には、SVM(Support Vector Machine)、AdaBoost、Real AdaBoost等が含まれる。特徴量の設定値は、ディープラーニングによって人工知能が算出した値としうる。 【0047】 何れの方法も、認識対象物らしさを数値化する。認識対象物らしさが閾値以上であれば認識対象物であると判断し、閾値以下であれば認識対象物ではないと判断することが可能になる。認識対象物らしさは、認識対象物である可能性を確率で表すことができる。 【0048】 判定部38は、検出部36が第1処理により検出した第1領域と、認識部37が第2処理により検出した検出画像の認識対象物らしさに基づいて、検出画像が認識対象物であるか否かを判定する。判定部38は、第1領域と、第1領域以外の領域である第2領域とでは、認識対象物であることを判定するために異なる処理を実行してよい。」 (オ)「【0073】 互いに異なるアルゴリズムを用いるとは、認識アルゴリズムで用いる一部の要素を異ならせることを含む。例えば、認識部37は、テンプレートマッチングに用いるテンプレートを変更してよい。または、認識部37は、特徴量を用いた認識における、機械学習で得られた学習結果を変更すること等を行いうる。また、認識部37は、画像認識処理に用いる何れかのパラメータを変更することができる。」 イ 甲3A技術事項 上記アより、甲3Aには、次の技術事項(以下「甲3A技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲3A技術事項) 「移動体はショベルカーであって、(【0018】) 移動体50内に、検出システム10を搭載し、(【0016】) 検出システム10は、カメラ20と検出装置30とを備えており、(【0015】) カメラ20は、移動体50の外部領域を撮像可能であって、(【0019】) 検出装置30は、コントローラ31と、メモリ32と、入力部33と、出力部34とを備えており、(【0026】) メモリ32は、カメラ20より出力された撮像画像を一時的に保存し、テンプレートマッチングに使用される歩行者、自動車、自転車等の認識対象物のテンプレート、機械学習により得られるアルゴリズム、認識対象物の検出用プログラム等を予め保存し、(【0034】) コントローラ31は、認識部37、判定部38を含み、(【0037】) 認識部37は、認識対象物の認識を、予め多数の学習用の画像から特徴量を算出し、その結果をコンピュータに学習させ、学習した結果に基づいて、識別器が認識対象物を認識する、という認識方法で行うものであって、認識部37は、特徴量を用いた認識における、機械学習で得られた学習結果を変更すること等を行いうるものであり、また、画像認識処理に用いる何れかのパラメータを変更することができ、(【0042】、【0046】、【0073】) 判定部38は、検出画像が認識対象物であるか否かを判定するものであること。(【0048】)」 (4)甲4A ア 甲4Aの記載 甲4Aには以下の記載がある。 (ア)「[0001] 本発明は、機械学習用データベース作成システムに関する。 [0002] 一般に鉱山においては、土砂の採掘作業および運搬作業として油圧ショベルやダンプトラックなどの鉱山用作業機械が用いられている。鉱山に用いられる鉱山用作業機械としては、安全性や低コスト化の観点から無人化が求められる。ダンプトラックにおいては、単位時間当たりの土砂の運搬量が採掘の進捗度に直結するため、効率の良い運用が求められる。したがって、土砂を効率良く採掘現場の外に大量に運搬するためには、連続運転可能な自律走行式のダンプトラックを用いた鉱山システムが必要とされている。 [0003] ところが、ダンプトラックを走行させる鉱山の走行路はオフロードであって悪路が多いため、ダンプトラックを自律走行させて無人運転させる際、土壁や他車両等の障害物との衝突が懸念される。仮に、走行路上に障害物が生じ、自律走行式の無人のダンプトラックが障害物と接触して停止した場合には、鉱山の運行を長時間に亘って停止させてしまう。よって、自律走行式のダンプトラックの信頼性を高めるためには、前方車両や走行路上の障害物を早期に検知して、前方車両の追従走行や障害物の回避走行を行わせることが可能な信頼性の高い障害物検知システムが必要となる。 ・・・ [0005] また、高性能な障害物検出システム及び物体認識システムを開発するにあたって、近年では機械学習が用いられることがある。機械学習では、各センサのデータを大量に集めることにより、傾向を分析し、パラメータ決定を行う。旧来は閾値を設計データや検証実験によるデータに基づき人手で設計することが多かったが、この手法は設計者の経験に基づいており、信頼性が低く、また設計工数も大きくなる。こういった問題を解決するために、現在では機械学習を用いてパラメータ設計を行うことが大半である。 [0006] 一例として乗用車の衝突防止システム向けのカメラによる自動車などの検出システムを挙げる。まず、対象の車両に取り付けたカメラで様々な場所や、日時において他車両を撮影し、撮影した画像データを集める。続いて、この撮影した画像データのどの箇所がシステムで検出すべき車両であるかを示す、教師データを作成する。この教師データは一般的に画像データ一枚ごとに人手で作成することが多い。この画像データと作成した教師データを用いて、機械学習させることにより、自動車の画像上の特徴を学習することができ、またこの学習した結果に基づきパラメータ設定することにより、画像中の人を計算機で自動的に認識することのできる物体認識システムを開発することができる。こういった機械学習システムとして近年よく用いられているのはSupport Vector MachineやBoosting、ニューラルネットワークなどの手法である。 ・・・ [0009] また、こういったシステムを鉱山で実施する場合、一般道と環境が大きく異なるため、鉱山環境で撮影した画像データを用い機械学習するのが望ましい。・・・」 (イ)「[0023] 本実施例ではまず、3次元形状データ入力部11において計測対象3の地形の3次元形状情報を取得し、続いて車両情報、センサ情報を3次元シミュレータ部12に入れることにより、環境の仮想空間を生成する。続いてその仮想空間の情報と、事前に得られた車両情報とセンサ情報に基づいて、教師データ出力部13において仮想画像データ、教師データ群を機械学習システムに教師用データのデータベースとして与える。これにより、機械学習システムが仮想画像データと教師データをもとに学習し、覚えさせた計測対象の物体を認識することが可能な物体認識システムを構築することができる。」 イ 甲4A技術事項 上記アより、甲4Aには、次の技術事項(以下「甲4A技術事項」という。)が記載されていると認められる。 (甲4A技術事項) 「一般に鉱山においては、土砂の採掘作業および運搬作業として油圧ショベルやダンプトラックなどの鉱山用作業機械が用いられていて、([0002]) ダンプトラックを自律走行させて無人運転させる際、自律走行式のダンプトラックの信頼性を高めるために、信頼性の高い障害物検出システムが必要であって、高性能な障害物検出システム及び物体認識システムを開発するにあたっては、機械学習を用いてパラメータ設計を行うことが大半であって、([0003]、[0005]) 学習した結果に基づきパラメータ設定することにより、画像中の人を計算機で自動的に認識することのできる物体認識システム開発することができ、機械学習システムとしてよく用いられているのが、ニューラルネットワークなどの手法であり、([0006]) 仮想画像データ、教師データ群を機械学習システムに教師用データのデータベースとして与えることにより、機械学習システムが仮想画像データと教師データをもとに学習し、覚えさせた計測対象の物体を認識することが可能な物体認識システムを構築することができること。[0023]」 (5)甲1B ア 甲1Bの記載 甲1Bには、以下の記載がある。 (ア)「【0009】 図1は、本発明の実施例に係る周辺監視システム100が搭載される建設機械としてのショベルの側面図である。ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられる。ブーム4、アーム5、及びバケット6は掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。また、上部旋回体3の上部には撮像装置40が取り付けられる。具体的には、上部旋回体3の後端上部、左端上部、右端上部に後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rが取り付けられる。また、キャビン10内にはコントローラ30及び出力装置50が設置される。 【0010】 図2は、周辺監視システム100の構成例を示す機能ブロック図である。周辺監視システム100は、主に、コントローラ30、撮像装置40、及び出力装置50を含む。 【0011】 コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う制御装置である。本実施例では、コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUに実行させて各種機能を実現する。 【0012】 また、コントローラ30は、各種装置の出力に基づいてショベルの周辺に人が存在するかを判定し、その判定結果に応じて各種装置を制御する。具体的には、コントローラ30は、撮像装置40及び入力装置41の出力を受け、抽出部31、識別部32、追跡部33、及び制御部35のそれぞれに対応するソフトウェアプログラムを実行する。そして、その実行結果に応じて機械制御装置51に制御指令を出力してショベルの駆動制御を実行し、或いは、出力装置50から各種情報を出力させる。なお、コントローラ30は、画像処理専用の制御装置であってもよい。 【0013】 撮像装置40は、ショベルの周囲の画像を撮像する装置であり、撮像した画像をコントローラ30に対して出力する。本実施例では、撮像装置40は、CCD等の撮像素子を採用するワイドカメラであり、上部旋回体3の上部において光軸が斜め下方を向くように取り付けられる。 【0014】 入力装置41は操作者の入力を受ける装置である。本実施例では、入力装置41は、操作装置(操作レバー、操作ペダル等)、ゲートロックレバー、操作装置の先端に設置されたボタン、車載ディスプレイに付属のボタン、タッチパネル等を含む。 【0015】 出力装置50は、各種情報を出力する装置であり、例えば、各種画像情報を表示する車載ディスプレイ、各種音声情報を音声出力する車載スピーカ、警報ブザー、警報ランプ等を含む。本実施例では、出力装置50は、コントローラ30からの制御指令に応じて各種情報を出力する。 【0016】 機械制御装置51は、ショベルの動きを制御する装置であり、例えば、油圧システムにおける作動油の流れを制御する制御弁、ゲートロック弁、エンジン制御装置等を含む。 【0017】 抽出部31は、撮像装置40が撮像した撮像画像から識別処理対象画像を抽出する機能要素である。具体的には、抽出部31は、局所的な輝度勾配又はエッジに基づく簡易な特徴、Hough変換等による幾何学的特徴、輝度に基づいて分割された領域の面積又はアスペクト比に関する特徴等を抽出する比較的演算量の少ない画像処理(以下、「前段画像認識処理」とする。)によって識別処理対象画像を抽出する。識別処理対象画像は、後続の画像処理の対象となる画像部分(撮像画像の一部)であり、人候補画像を含む。人候補画像は、人画像である可能性が高いとされる画像部分(撮像画像の一部)である。 【0018】 識別部32は、抽出部31が抽出した識別処理対象画像に含まれる人候補画像が人画像であるかを識別する機能要素である。具体的には、識別部32は、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量に代表される画像特徴量記述と機械学習により生成した識別器とを用いた画像認識処理等の比較的演算量の多い画像処理(以下、「後段画像認識処理」とする。)によって人候補画像が人画像であるかを識別する。識別部32が人候補画像を人画像として識別する割合は、抽出部31による識別処理対象画像の抽出が高精度であるほど高くなる。なお、識別部32は、夜間、悪天候時等の撮像に適さない環境下で所望の品質の撮像画像を得られない場合等においては、人候補画像の全てが人画像であると識別し、抽出部31が抽出した識別処理対象画像における人候補画像の全てを人であると識別してもよい。人の検知漏れを防止するためである。」 (イ)「【0062】 次に図12を参照し、識別部32の詳細について説明する。図12は識別部32の構成例を示す機能ブロック図である。 【0063】 識別部32は、主に、輝度フィルタ部32a、画像特徴量算出部32b、汎用識別部32c、特殊識別部32d、パタンフィルタ部32e、及び調整部32fを含む。 ・・・ 【0082】 汎用識別部32cは、多数の教師画像を用いた機械学習によって生成される汎用識別器である。本実施例では、汎用識別部32cは、例えば、識別結果が真陽性(True Positive)であった教師画像の数の全教師画像数に対する比率である真陽性率が95%、且つ、識別結果が真陰性(True Negative)であった教師画像の数の全教師画像数に対する比率である真陰性率が95%となるように設定される。「真陽性」は、人画像が正しく人画像として識別されたことを意味し、「真陰性」は、非人画像が正しく非人画像と識別されたことを意味する。 【0083】 特殊識別部32dは、前段の識別器の識別結果が偽陽性(False Positive)であった多数の教師画像を用いた機械学習によって生成される識別器である。「偽陽性」は、非人画像が誤って人画像として識別されたことを意味する。「偽陰性(False Negative)」は、人画像が誤って非人画像として識別されたことを意味する。本実施例では、特殊識別部32dは、汎用識別器の識別結果が偽陽性であった教師画像を用いた機械学習によって生成される第1特殊識別器~第4特殊識別器を含む。汎用識別器の識別結果が偽陽性であった教師画像は、例えばk-means法等によって所定数(例えば特殊識別器の数と同じ数であり本実施例では4)のクラスタにクラスタリング(分類)される。そして、各クラスタに含まれる教師画像を用いた機械学習によって対応する特殊識別器が生成される。 【0084】 汎用識別部32cと特殊識別部32dとでカスケード型識別器が構成される。具体的には、第4特殊識別器による識別は、第3特殊識別器による識別で人画像であると識別された識別処理対象画像のみに対して行われる。同様に、第3特殊識別器による識別は、第2特殊識別器による識別で人画像であると識別された識別処理対象画像のみに対して行われ、第2特殊識別器による識別は、第1特殊識別器による識別で人画像であると識別された識別処理対象画像のみに対して行われる。また、第1特殊識別器による識別は、汎用識別部32cによる識別で人画像であると識別された識別処理対象画像のみに対して行われる。但し、特殊識別部32dは、1つ、2つ、若しくは3つの特殊識別器で構成されてもよく、5つ以上の特殊識別器で構成されてもよい。 ・・・ 【0106】 調整部32fは、識別部32の特性を調整する機能要素である。本実施例では、調整部32fは、入力装置41を介して入力された操作者の指令に応じて汎用識別部32c及び特殊識別部32dの少なくとも一方に関する調整パラメータを変更する。調整パラメータは識別部32の特性を調整するためのパラメータであり、識別部32を構成する複数の識別器のそれぞれの特性に関する情報を含む。本実施例では、調整パラメータは誤報の発生傾向を調整するためのパラメータであり、例えば識別境界値である。 ・・・ 【0112】 また、調整部32fは、使用環境毎に異なる学習サンプルを用いて識別器を生成し直すといった煩雑な作業を必要とすることなく、簡易且つ迅速に識別部32による誤報の発生傾向を調整できる。その結果、使用環境毎に異なる誤報の発生傾向に柔軟に対応できる。 ・・・ 【0115】 また、調整部32fは、調整パラメータセットの切り換えによっても識別部32による誤報の発生傾向を変えることができないと判断した場合にその旨を操作者に通知してもよい。新たな教師画像に基づく機械学習の必要性を操作者に伝えるためである。 【0116】 以上の構成により、様々な使用環境で使用されるショベルに搭載される周辺監視システム100は、使用環境に適した調整パラメータセットを用いることで人識別能力の特性を調整できる。その結果、周辺監視システム100は、特定の使用環境で発生する特定の誤報を抑制できる。 ・・・ 【0132】 追跡部33は、識別部32が所定時間毎に出力する識別結果を追跡して最終的な人検知結果を出力する機能要素である。本実施例では、追跡部33は、連続する所定回数分の同一人に関する識別結果が所定条件を満たす場合に、対応する人候補画像が人画像であると判定する。すなわち、対応する三次元位置(実在位置)に人が存在すると判定する。同一人であるか否かはその実在位置に基づいて判定される。具体的には、追跡部33は、識別部32による1回目の識別処理において人画像であると識別された画像に写る人の実在位置(参照点PrI)に基づいて所定時間内にその人が到達可能な範囲を導き出す。到達可能な範囲は、ショベルの最大旋回速度、ショベルの最大走行速度、人の最大移動速度等に基づいて設定される。そして、2回目の識別処理において人画像であると識別された画像に写る人の実在位置(参照点PrII)がその範囲内であれば同一人であると判定する。3回目以降の識別処理についても同様である。そして、追跡部33は、例えば、連続する6回の識別結果のうちの4回で同一人の人画像であると識別された場合に、対応する三次元位置に人が存在すると判定する。また、1回目の識別処理において人画像であると識別された場合であっても、その後の連続する3回の識別処理において同一人の人画像が識別されなかった場合には、対応する三次元位置には人が存在しないと判定する。 【0133】 このように、抽出部31、識別部32、及び追跡部33の組み合わせは、撮像装置40の撮像画像に基づいてショベルの周辺に人が存在するか否かを検知する人検知部34を構成する。 ・・・ 【0138】 また、制御部35は、人検知部34を構成する追跡部33の最終的な人検知結果に応じて各種装置を制御する。例えば、追跡部33の最終的な人検知結果に応じて機械制御装置51に制御指令を出力してショベルの状態を第1状態と第2状態との間で切り換える。第1状態は、ショベルの動きの制限が解除されている状態、警報の出力が停止されている状態等を含む。第2状態はショベルの動きを制限し或いは停止させている状態、警報を出力させている状態等を含む。本実施例では、制御部35は、追跡部33の最終的な人検知結果に基づいてショベルの周辺の所定範囲内に人が存在すると判定した場合、機械制御装置51に制御指令を出力してショベルの状態を第1状態から第2状態に切り換える。例えば、ショベルの動きを停止させる。この場合、操作者による操作は無効にされる。具体的には、ゲートロック弁に制御指令を出力して操作装置を油圧システムから切り離すことで無操作状態を強制的に創出してショベルの動きを停止させる。或いは、エンジン制御装置に制御指令を出力してエンジンを停止させてもよい。或いは、油圧アクチュエータに流入する作動油の流量を制御する制御弁に制御指令を出力して制御弁の開口面積、開口面積変化速度等を変化させることで油圧アクチュエータの動きを制限してもよい。この場合、最大旋回速度、最大走行速度等が低減される。」 (ウ)図2 「 [図:0001439177000007.jpg] 」 (エ)図12 「 [図:0001439177000008.jpg] 」 イ 甲1B発明 上記アより、甲1Bには、次の発明(以下「甲1B発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲1B発明) 「周辺監視システム100が搭載されるショベルにおいて(【0009】)、 周辺監視システム100は、主に、コントローラ30、撮像装置40、及び出力装置50を含み(【0010】)、 コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUに実行させて各種機能を実現し(【0011】)、 コントローラ30は、撮像装置40及び入力装置41の出力を受け、抽出部31、識別部32、追跡部33、及び制御部35のそれぞれに対応するソフトウェアプログラムを実行し、その実行結果に応じて機械制御装置51に制御指令を出力してショベルの駆動制御を実行し、或いは、出力装置50から各種情報を出力させ(【0012】)、 撮像装置40は、ショベルの周囲の画像を撮像する装置であり、撮像した画像をコントローラ30に対して出力し(【0013】)、 入力装置41は、操作装置(操作レバー、操作ペダル等)、ゲートロックレバー、操作装置の先端に設置されたボタン、車載ディスプレイに付属のボタン、タッチパネル等を含み、(【0014】) 機械制御装置51は、ショベルの動きを制御する装置であり、例えば、油圧システムにおける作動油の流れを制御する制御弁、ゲートロック弁、エンジン制御装置等を含み(【0016】)、 抽出部31は、撮像装置40が撮像した撮像画像から識別処理対象画像を抽出する機能要素であり、識別処理対象画像は、後続の画像処理の対象となる画像部分(撮像画像の一部)であり、人候補画像を含み、(【0017】)、 識別部32は、抽出部31が抽出した識別処理対象画像に含まれる人候補画像が人画像であるかを識別する機能要素であり、具体的には、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量に代表される画像特徴量記述と機械学習により生成した識別器とを用いた画像認識処理等の比較的演算量の多い画像処理によって人候補画像が人画像であるかを識別し(【0018】)、 識別部32は、主に、輝度フィルタ部32a、画像特徴量算出部32b、汎用識別部32c、特殊識別部32d、パタンフィルタ部32e、及び調整部32fを含み(【0063】)、 汎用識別部32cは、多数の教師画像を用いた機械学習によって生成される汎用識別器であり(【0082】)、 特殊識別部32dは、前段の識別器の識別結果が偽陽性(False Positive)であった多数の教師画像を用いた機械学習によって生成される識別器であり(【0083】)、 調整部32fは、識別部32の特性を調整する機能要素であり、入力装置41を介して入力された操作者の指令に応じて汎用識別部32c及び特殊識別部32dの少なくとも一方に関する調整パラメータを変更するものであって、調整パラメータは識別部32の特性を調整するためのパラメータであり(【0106】)、 調整部32fは、使用環境毎に異なる学習サンプルを用いて識別器を生成し直すといった煩雑な作業を必要とすることなく、簡易且つ迅速に識別部32による誤報の発生傾向を調整でき(【0112】)、 また、調整部32fは、調整パラメータセットの切り換えによっても識別部32による誤報の発生傾向を変えることができないと判断した場合にその旨を操作者に通知するものであり、新たな教師画像に基づく機械学習の必要性を操作者に伝えるためのものであり、(【0115】) 追跡部33は、識別部32が所定時間毎に出力する識別結果を追跡して最終的な人検知結果を出力する機能要素であり、(【0132】) 抽出部31、識別部32、及び追跡部33の組み合わせは、撮像装置40の撮像画像に基づいてショベルの周辺に人が存在するか否かを検知する人検知部34を構成し、(【0133】) 制御部35は、追跡部33の最終的な人検知結果に基づいてショベルの周辺の所定範囲内に人が存在すると判定した場合、ショベルの動きを停止させるものであって、具体的には、ゲートロック弁に制御指令を出力して操作装置を油圧システムから切り離すことで無操作状態を強制的に創出してショベルの動きを停止させ、或いは、エンジン制御装置に制御指令を出力してエンジンを停止させ、或いは、油圧アクチュエータに流入する作動油の流量を制御する制御弁に制御指令を出力して、油圧アクチュエータの動きを制限する、(【0135】) ショベル。」 (6)甲2B ア 甲2Bの記載 甲2Bには、以下の記載がある。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、複数の場所にそれぞれ設置され、あらかじめ登録されている人物の固有の生体特徴情報を利用して本人確認を行なう複数の生体照合端末装置(クライアント)と、この複数の生体照合端末装置とそれぞれネットワークを介して接続された生体照合管理装置(サーバ)とから構成され、複数地点での照合が可能な人物認識システムに関する。 ・・・ 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ネットワークで接続されて複数地点での照合が可能な人物認識システムにおいて、生体照合端末装置の設置環境によっては、登録された生体特徴情報とは異なる傾向のある生体特徴情報が入力される可能性があり、そのような状態においては正しく照合を行なえない可能性がある。 【0004】たとえば、人物の顔の特徴情報を利用する人物認識システムにおいては、生体照合端末装置の設置場所における照明環境の違いなどによって、入力される生体特徴情報が変わってしまうことから、場所によって正しく認識できたり認識できなかったりという状態になることがある。 【0005】そこで、本発明は、生体照合端末装置の設置環境によらず、常に安定した認識性能での本人確認を行なうことが可能となる人物認識システムを提供することを目的とする。」 (イ)「【0008】まず、第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る人物認識システムの構成を概略的に示すものである。この人物認識システムは、複数の場所にそれぞれ設置され、あらかじめ登録されている人物の固有の顔特徴情報を利用して本人確認を行なう複数の生体照合端末装置としての顔照合端末装置10、この複数の顔照合端末装置10とそれぞれ通信回線としてのネットワーク回線20を介して接続された生体照合管理装置としての顔特徴情報管理サーバ30とから構成されている。 【0009】顔照合端末装置10は、認識対象となる人物Mの顔画像を撮像して入力する生体特徴取得手段としてのカメラ100、カメラ100から入力された顔画像から人物固有の入力特徴情報(顔特徴情報)を取得する生体特徴取得手段としての顔特徴取得部101、あらかじめ登録されている人物の登録特徴情報(顔特徴情報)を記憶(保存)しておく登録情報記憶手段としての登録情報記憶部102、顔特徴取得部101から得られた入力特徴情報と登録情報記憶部102内の登録特徴情報とを照合することにより、あらかじめ登録されている人物であるか否かを判定する照合手段としての照合部103、照合部103の判定結果に応じて所定の出力を行なう出力手段としての出力部104、および、顔特徴情報管理サーバ30との通信(送受信)を行なう送信および受信手段としての通信部105から構成され、人物Mの顔を認識して登録者であるかどうかを判定し、登録者であればなんらかの操作を許可するといった制御を行なうようになっている。 【0010】顔特徴情報管理サーバ30は、各顔照合端末装置10から送信される各種情報を受信したり、各顔照合端末装置10へ各種情報を配信(送信)したりする配信(送信)および受信手段としての通信部106、各顔照合端末装置10と同等の登録特徴情報を記憶する登録情報記憶手段としての登録情報記憶部107、および、顔照合端末装置10から得られる各種情報と登録情報記憶部107内の登録特徴情報から、新たな登録特徴情報を計算(生成)する生体特徴情報管理手段としての管理部108から構成され、各顔照合端末装置10から送られてきた各種情報を管理し、各顔照合端末装置10に適した特徴情報などを配信するようになっている。」 (ウ)「【0017】顔照合端末装置10の通信部105は、カメラ100から入力された顔画像、および、照合部103の判定結果と顔特徴取得部101で取得された入力特徴情報の外にも、図示しない入力手段により入力されたID番号やパスワード、当該顔照合端末装置10のID番号といった各種情報を顔特徴情報管理サーバ30に送信することが可能である。なお、通信手段としては、イーサーネットやシリアルケーブル接続など、一般的に利用されている機器を利用することで実現される。また、通信内容は、必要に応じて暗号化処理をすることも可能とする。 ・・・ 【0020】顔特徴情報管理サーバ30の管理部108は、通信部106によって受信された入力特徴情報を受取り、必要に応じて登録済の登録特徴情報の一部または全てを再計算することによって書換え、書換えた結果を通信部106を用いて各顔照合端末装置10へ配信させることも行なう。この際、書換えた結果をどの顔照合端末装置10に反映させるかどうかは、図2に示すような配信テーブルの設定情報を基に判断する。 ・・・ 【0022】この場合、同じ配信グループに所属する顔照合端末装置同士では登録特徴情報を共有化するように設定されていることになり、顔照合端末装置Aからの入力特徴情報によって登録されていた登録特徴情報が書換えられた場合、その書換えられた登録特徴情報を配信するのは同じ配信グループに属する顔照合端末装置A,B,Cだけに送られることになる。違う配信グループである顔照合端末装置D,E,Fには配信されない。これは、設置場所の照明環境が類似しており、登録特徴情報を共有可能であると判定された配信グループのみに配信を行なうことを目的としたものである。 ・・・ 【0034】顔照合端末装置10では、顔特徴情報管理サーバ30から配信された新たな登録特徴情報を通信部105により受信し、照合部103において、登録情報記憶部102内の対応する登録特徴情報を、この受信した新たな登録特徴情報に更新し、以降その人物の照合を可能な状態とする。」 (エ)図3 「 [図:0001439177000009.jpg] 」 (7)甲3B 甲3Bは甲1Aと同じ文献であるので、記載された事項及び記載された発明について、上記(1)に示したのと同様である。 (8)周知技術及び技術常識 ア 周知技術 上記甲2A発明には、ショベルにおいて、上部旋回体3の上部に取り付けられ、ショベルの周辺を撮像する撮像装置40が備えられ、既知の各種画像処理手法や機械学習ベースの識別器等を任意に適用することにより、撮像画像内の人を認識すると共に、認識した人の実在位置(ショベルから認識した人までの距離D等)を特定することが示されており、上記甲3A技術事項には、カメラ20と検出装置30とを備えた検出システム10を搭載したショベルカーにおいて、機械学習の結果に基づいて、認識対象物を認識できることが示されており、上記甲4A技術事項には、鉱山用作業機械であるダンプトラックを自律走行させて無人運転させる際、自律走行式のダンプトラックの信頼性を高めるために、機械学習を用いてパラメータ設計を行って、高性能な障害物検出システム及び物体認識システムとすること、及び、機械学習システムとしてよく用いられているのが、ニューラルネットワークであることが示されており、甲1B発明には、ショベルにおいて、コントローラ30は、各種装置の出力に基づいてショベルの周辺に人が存在するかを判定するものであって、具体的には、コントローラ30の識別部32が、HOG(Histograms of Oriented radients)特徴量に代表される画像特徴量記述と機械学習により生成した識別器とを用いて、人候補画像が人画像であるかを識別することが示されている。 以上のことをふまえると、ショベル、ダンプトラック等の作業機械の分野において、機械学習を用いて開発された、画像等を利用する物体認識システムは、周知技術である。 イ 技術常識 ショベルが大型特殊車両であることは、技術常識である。 2 参考資料について (1)参考資料1 参考資料1には、以下の事項が記載されている。 「【0002】 【従来の技術】従来から、油圧ショベルや移動式クレーン等の作業車両の作業領域への侵入物(人間、他の車両等の障害物)を監視して、作業車両の起動や停止を制御する制御装置(いわゆる作業領域監視装置)が提案されている。例えば、特開平5-65725号公報には、油圧ショベルなど上部旋回式建設機械、作業車両などの旋回用安全装置が開示されている。同公報によると、上部旋回体を有する建設機械に受発信可能な超音波センサなどの感知センサを配置し、この感知センサによる感知エリアを平面視で複数個の範囲に分割し、その分割した範囲のうち上部旋回体及びその作業アタッチメントのそれぞれ外周部に近接した範囲を旋回停止エリアに、またその旋回停止エリアの外側周辺に隣接され、上部旋回体及びその作業アタッチメントから若干離れた位置の範囲を旋回低速エリアに設定している。そして、上部旋回体の旋回作動時に人又は障害物が旋回停止エリアに入ったときに上部旋回体の旋回作動を停止し、また上部旋回体の旋回停止時に人又は障害物が旋回停止エリアに入ったときにはその後の旋回起動を停止し、また人又は障害物が旋回低速エリアに入ったときには旋回最高速度を所定の低速に制限するようにしている。」 (2)参考資料2 参考資料2には、以下の事項が記載されている。 「【0014】 次に、図2を参照して制御装置30の詳細について説明する。なお、図2は制御装置30の構成例を示す機能ブロック図である。本実施例では、制御装置30は、姿勢検出装置40、人検出装置41等の出力を受けて各種演算を実行し、制御弁43、表示装置44、音声出力装置45等に対して各種情報を出力する。例えば、制御装置30は、姿勢検出装置40及び人検出装置41の出力に基づいてショベルの周辺の人(例えばショベル周辺で作業する作業者)とアタッチメント上の所定位置(例えばアーム5の先端位置)との距離(以下、「対象距離」とする。)を算出する。そして、対象距離が所定の制限開始距離以下となった場合にショベルの動きを制限する。例えば、アーム5の動きを制限してもよい。バケット6の水平方向への比較的大きな移動をもたらすアーム5の動きを制限することは、ブーム4等の他の作業体の動きを制限することに比べ、アタッチメントと作業者との接触を防止する上で効果が高いためである。また、制御装置30はブーム4の動きを制限してもよく、旋回機構2の動きを制限してもよい。制限方法は、パイロット圧を制御する方法、油圧ポンプの吐出量を制限する方法等、任意の方法が採用されてもよい。 【0015】 制御装置30は、操作装置26としてのアーム操作装置(アーム操作レバー)の操作量に対応するパイロット圧を低減させることでアーム5の動きのみを鈍化させ或いは停止させる。但し、旋回機構2、ブーム4、バケット6等の動きを同時に鈍化させ或いは停止させてもよい。また、制御装置30は、油圧ポンプの吐出量を調整する機構を動作させてアーム5の動きを制限してもよい。具体的には、アームシリンダ8に作動油を供給する油圧ポンプの吐出量を低減させることでアーム5の動きを制限してもよい。なお、この場合には旋回機構2、ブーム4、バケット6等の動きも同時に制限される。また、対象距離が制限開始距離以下となった場合にその旨を示す情報を表示装置44に表示させてもよく、音声出力装置45から音声出力させてもよい。」 (3)参考資料3 参考資料3には、以下の事項が記載されている。 「【0007】 7は上部旋回体3に設けられるミリ波レーダ(本発明の「障害物検出手段」に相当する)の送受信装置であって、該送受信装置7は、例えば周波数76GHz(ギガヘルツ)のミリ波を送信し、障害物があった場合に、その反射波を高い感度で受信できるようになっている。送受信装置7としては、上部旋回体3の後方検出用のものが左右に二つ7LB、7RB、上部旋回体3の左側方検出用のもの7L、上部旋回体3の右側方検出用のもの7Rに別けられてそれぞれが設けられており、これら送受信装置7によって上部旋回体3の周囲にある障害物検出ができるようになっている。・・・ 【0008】 本実施の形態では、機体本体1の後進走行、上部旋回体3の左右旋回作動についてそれぞれ接触回避制御が実行されるが、その場合に、左右走行モータおよび旋回モータにそれぞれ圧油供給をするための切換え制御弁のパイロット油路に電磁減圧弁が設けられ、該電磁減圧弁の全開から全閉までの開度量調整制御によって接触回避制御が実行される。・・・」 (4)参考資料4 参考資料4には、以下の事項が記載されている。 ア「【0009】 前記の農業用作業車両においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この農業用作業車両は、他の農業用作業車両と通信可能な通信部を備える。前記制御部は、前記圃場情報、前記過去の走行情報及び過去の作業情報のうち少なくとも何れかについて、前記通信部を介して前記他の農業用作業車両から取得すること、及び、前記通信部を介して前記他の農業用作業車両に提供すること、の少なくとも一方が可能である。」 イ「【0065】 次に、トラクタ1が備える制御部4が、他のトラクタ1aが備える制御部4に記憶されたデータを無線通信により取得し、動作予測モデル81を学習させるデータとして利用する例について、図12を用いて説明する。図12は、制御部4が無線通信によって他のトラクタ1aが備える制御部4で学習されたデータを取得する場合の、トラクタ1の制御系の主要な構成を示すブロック図である。」 ウ「【0071】 また、本実施形態のトラクタ1は、他のトラクタ1aと通信可能な無線通信部40を備える。制御部4は、圃場情報、過去の走行情報及び過去の作業情報のうち少なくとも何れかについて、無線通信部40を介して他のトラクタ1aから取得することも、無線通信部40を介して他のトラクタ1aに提供することもできる。」 第6 取消理由通知に記載した取消理由についての当審の判断 1 甲1Aを主引用例とした進歩性欠如(取消理由1、申立理由3A)について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1A発明とを対比する。 (ア)構成1A及び構成1Jについて 甲1A発明の「車両」と、本件発明1の「ショベル」とは、「ショベル」が大型特殊車両であることを踏まえると、車両である点で共通する。 本件明細書の段落【0002】には、「ショベルの周囲の状況を表す環境情報(例えば、ショベルの周囲の撮像画像・・・等)」と記載されており、本件発明1でいう「環境情報」には「撮像画像」が含まれることが示されている。 そうすると、甲1A発明は、「カメラ11」が「自車両周辺を撮影する」ものであるところ、「カメラ11」によって、自車両周辺の撮像画像、すなわち、自車両周囲の環境情報が取得されることは明らかである。 よって、甲1A発明の「カメラ11」は、本件発明1の「環境情報取得部」に相当する。 また、甲1A発明の「カメラ11」により撮影される「自車両周辺」の環境情報と、本件発明1の「ショベルの周囲の作業現場の環境情報」とは、「車両周囲の環境情報」である点で共通する。 よって、甲1A発明の「自車両周辺を撮影する」「カメラ11」と、本件発明1の「ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部」とは、「車両の周囲の環境情報を取得する環境情報取得部」である点で共通する。 (イ)構成1Bについて 本件明細書の段落【0039】の、「ショベル100の周囲の物体に関する判定(例えば、物体の検出判定や物体の分類判定等)を行う」との記載を参酌すれば、本件発明1の「物体に関する判定」は、「物体」の「検出判定」、「分類判定」など、様々な判定を含むものと理解できる。 甲1A発明の「制御部14」は、「車載装置10の画像認識機能に関する機械学習における識別機能」を用いて、「自車両周辺の歩行者」等を識別しているから、「カメラ11」により「撮像」された「画像」に基づき、物体に関する判定をしているといえる。 そうすると、上記理解をふまえれば、甲1A発明は、本件発明1と同様に、「機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき」、「物体に関する判定」を行う判定部を有していることは明らかである。 よって、甲1A発明において、「車載装置10の画像認識機能に関する機械学習における識別機能」を用いて、「カメラ11」により「撮像」された「画像」に基づき、「識別」している「制御部14」と、本件発明1の「機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部」とは、「機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、車両の周囲の物体に関する判定を行う判定部」である点で共通する。 (ウ)構成1Cについて 甲1A発明の「記憶部12」は、本件発明1の「記憶部」に相当する。 (エ)構成1Dについて 甲1A発明の「記憶部12」は、情報が記憶される部位であることは明らかであり、また、「車載装置10の制御部14は、学習サーバ2から更新データを受信した場合には、制御部14は、受信した更新データを記憶部12に保存する」から、入手した情報を保存のために記録する機能を有していることは明らかである。よって、甲1A発明において、「カメラ11」を有する「車両」に設けられる「車載装置10」が有する「記憶部12」は、情報を記録する機能を有しているといえる。 そうすると、甲1Aにおいて、「カメラ11」を有する「車両」に設けられる「車載装置10」が有する「記憶部12」を備えていることと、本件発明1において、「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部」を備えることとは、「情報を前記記憶部に記録する記録部」を備える点で共通する。 (オ)構成1Fについて 甲1A発明は、「車載装置10は、画像認識処理を行うと、該画像認識処理に用いられたカメラ11による撮影画像データを学習データとし、学習サーバ2に送信し、一方、学習サーバ2は、各車載装置10から受信した学習データに基づき、画像認識処理の認識精度を向上させるための学習処理を行」うものであって、「機械学習処理においては、教師あり学習を行うものであ」ることから、「画像認識処理の認識精度を向上させるための学習処理」がなされたものは、「カメラ11」により取得された「撮像画像データ」(取得された環境情報)から生成される教師情報に基づき追加学習が行われたといえる。 そうすると、甲1A発明において、「カメラ11」により取得された「撮像画像データ」を用いて、「画像認識処理の認識精度を向上させるための学習処理」であって、「教師あり学習を行」い、「画像認識処理におけるパラメータを更新するための更新データを生成」することと、本件発明1の「前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され」ることとは、「前記学習済みモデルは、取得された環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され」る点で共通する。 (カ)構成1Gについて 甲1A発明は、「画像認識処理の認識精度を向上させるため」に、さらに「学習処理を行」うから、「制御部14」は、「画像認識処理におけるパラメータを更新」すれば、更新されたパラメータによって、識別等を行うことは明らかである。 そうすると、甲1A発明は、本件発明1の「前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い」に相当する構成を有していることは明らかである。 (キ)構成1H及び構成1Iについて 構成1Hにおける「自ショベル」について、本件明細書の段落【0155】には、「撮像装置70は、自己が搭載されるショベル100(以下、「自ショベル」)の周囲の撮像画像を取得する。また、判定部344は、機械学習が行われた学習済みモデルLMを用いて、撮像装置70により取得される撮像画像IM1に基づき、自ショベルの周囲の物体に関する判定を行う。」と記載されている。当該記載からは、「自ショベル」は、「撮像装置70」及び「判定部344」、すなわち、「環境情報取得部」及び「判定部」を備える「ショベル」という程度の意味と解される。また、構成1Hにおける「自ショベルを含む複数のショベルは、同一の前記学習済みモデルを有する」については、複数のショベルは、同一の前記学習済みモデルを有していること、すなわち、複数のショベルが、同じ学習済みモデルを有しているものと解される。 上記理解をふまえて、以下検討する。 甲1A発明は、「学習サーバ2での学習処理により生成された更新データが各車載装置10に提供され、各車載装置10における処理の内容が更新される」から、複数の車両は、「画像認識処理におけるパラメータ」について、同じ「更新データ」を有しており、当該「更新データ」に基づいて、「画像認識処理」を行っていることは明らかであり、また、「各車両」において、当然ながら、「画像認識処理におけるパラメータ」について「更新データ」に更新されているといえる。 そうすると、甲1A発明と、本件発明1とは、「自車両を含む複数の車両は、同一の前記学習済みモデルを有すると共に、前記学習済みモデルを用いて、前記判定を行い、前記複数の車両のそれぞれが有する前記学習済みモデルは、前記追加学習済みモデルに更新される」との点で共通するといえる。 そうすると、本件発明1と甲1A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。(なお、本件発明1等と、甲1A発明との相違点には「a」を付して、「相違点1a」等とする。) (一致点) 「1A’ 車両の周囲の環境情報を取得する環境情報取得部と、 1B’ 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、車両の周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 1C 記憶部と、 1D’ 情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備え、 1F’ 前記学習済みモデルは、取得された環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され、 1G 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 1H’ 自車両を含む複数の車両は、同一の前記学習済みモデルを有すると共に、前記学習済みモデルを用いて、前記判定を行い、 1I’ 前記複数の車両のそれぞれが有する前記学習済みモデルは、前記追加学習済みモデルに更新される 、 1J’ 車両。」 (相違点1a) 本件発明1では、「車両」が「ショベル」であって、「環境情報」が、「ショベルの周囲の作業現場の環境情報」または「作業現場の環境情報」であるのに対して、甲1A発明では、「車両」及び「環境情報」にそのような特定がされていない点。 (相違点2a) 本件発明1では、「記録部」が、「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する」ものであって、「自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録」し、「前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報」から「追加学習」のための「教師情報」が生成されるのに対して、甲1発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 事案に鑑みて、上記相違点2aから検討する。 上記第5の1(3)イのとおり、甲3A技術事項は、ショベルカーを含む車両の周囲の物体に関する判定を行う技術において、「カメラ20より出力された撮像画像を一時的に保存」する「メモリ32」を有している。 しかしながら、甲3A技術事項は、相違点2aに係る本件発明1の構成のように、「自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録」し、「前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報」から「追加学習」のための「教師情報」を生成するものではない。 また、前記技術事項は、申立人Aが提出した、甲2A~甲4A、参考資料1~4、申立人Bが提出した甲1B~甲3Bにも記載も示唆もされていない。 したがって、甲1A発明において、申立人A及び申立人Bが提出した全ての甲号証等に記載される事項を考慮しても、相違点2aに係る本件発明1の構成に想到できない。 ウ 申立人Aの意見書Aにおける主張について 申立人Aは意見書Aにおいて、上記相違点2aに関し、ショベルの旋回動作時又は走行動作時に環境情報を記録するといったことは当業者が適宜なし得る設計事項に過ぎないこと、甲2Aの記載から、当業者が容易に想到し得る事項に過ぎないことや、参考資料1~3(周知例)に示される本件優先日前において既に周知の点を考慮しても、走行動作又は旋回動作が行われているときの環境情報を重視してこれを記憶部に記録する対象に設定するといったことは当業者が容易になし得るものであること、及び、参考資料4の記載からみても、同じく作業機械であるショベルにおいて、走行時についての情報を機械学習のためのデータとして記憶部に記憶させるといったことは、当業者が容易になし得たものというべきものである旨主張する。(意見書Aの5頁2行~10頁4行) しかしながら、上記イにおいて述べたとおり、相違点2aに係る本件発明1の構成のように、「自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録」し、「前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報」から「追加学習」のための「教師情報」を生成する構成は、甲2A及び、参考資料1~4には、記載も示唆もされていない。 よって、甲1A発明に、甲3A技術事項とともに、甲2A、参考資料1~4を考慮しても、上記構成は得られないから、申立人Aの主張を考慮しても、相違点2aについての判断を変更すべきではない。 エ 小括 よって、本件発明1は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1A発明及び甲2A~甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2について ア 対比 本件発明2と甲1A発明とを対比する。 (ア)本件発明2の構成のうち、本件発明1の構成1A~構成1G、構成1 Jと共通する構成2A~構成2G、構成2Iについては、上記(1)アと同様である。 (イ)構成2Hについて 甲1A発明の「車載装置10」は、「該画像認識処理に用いられたカメラ11による撮影画像データを学習データ」とするところ、「学習サーバ2」は、「学習データ」を「各車載装置10から受信」する際、「学習システム1」を構成する「複数の車載装置10」から受信することは明らかである。 また、上記(1)ア(オ)で検討したとおり、甲1A発明において、「画像認識処理の認識精度を向上させるための学習処理」がなされたものは、「学習サーバ2」において「カメラ11」により取得された「撮像画像データ」(取得された環境情報)から生成される教師情報に基づき追加学習が行われたといえる。 さらに、上記(1)ア(キ)で検討したとおり、甲1A発明は、複数の車両は、「画像認識処理におけるパラメータ」について、「学習サーバ2」から受信する同じ「更新データ」を有しており、当該「更新データ」に基づいて、「画像認識処理」を行っていることは明らかである。 よって、甲1A発明と、本件発明2とは、「前記学習済みモデルは、複数の車両で取得される周囲の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される」点で共通する。 (ウ)以上を整理すると、本件発明2と甲1A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「2A 車両の周囲の環境情報を取得する環境情報取得部と、 2B’ 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、車両の周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 2C 記憶部と、 2D’ 情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備え、 2F’ 前記学習済みモデルは、取得された環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され、 2G 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 2H’ 前記学習済みモデルは、複数の車両で取得される周囲の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される 、 2I’ 車両。」 (相違点3a) 本件発明2では、「車両」が「ショベル」であって、「環境情報」が、「ショベルの周囲の作業現場の環境情報」または「作業現場の環境情報」であるのに対して、甲1A発明では、「車両」及び「環境情報」にそのような特定がされていない点。 (相違点4a) 本件発明2では、「記録部」が、「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する」ものであって、「自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録」し、「前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報」から「追加学習」のための「教師情報」が生成されるのに対して、甲1発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 事案に鑑みて、上記相違点4aから検討する。 相違点4aは、相違点2aと同様であり、上記(1)イで検討したことと同様に、相違点4aに係る本件発明2の構成は、申立人Aが提出した、甲2A~甲4A、参考資料1~4、申立人Bが提出した甲1B~甲3Bにも記載も示唆もされていない。 したがって、甲1A発明において、申立人A及び申立人Bが提出した全ての甲号証等に記載される事項を考慮しても、相違点4aに係る本件発明2の構成に想到できない。 ウ 小括 よって、本件発明2は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1A発明及び甲2A~甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3、4、6~8について 本件発明3、4、6~8は、本件発明1又は本件発明2を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)又は(2)検討した理由と同じ理由により、甲1A発明及び甲2A~甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明9について ア 対比 本件発明9と甲1A発明とを対比する。 (ア)構成9A及び構成9Nについて 請求項9に記載の「第1のショベル」及び「第2のショベル」の意味について検討すると、明細書の段落【0158】には、「教師データの元になる周囲の撮像画像を取得するショベル100(第2のショベルの一例)と、学習済みモデルLMを用いて、撮像画像に基づき、周囲の物体に関する判定を行うショベル100(第1のショベルの一例)とは、別であってもよい。」との記載があるところ、当該段落【0158】に先立つ段落【0012】~【0157】及び【図3】等には、1台の「ショベル100」が「撮像装置10」及び「判定装置34」を有する様子が示されていることから、「第1のショベル」及び「第2のショベル」が、機能に着目して「第1」及び「第2」という表現を用いていても、同一のショベル又は別のショベルを指すことをいずれも許容するものと理解できる。 なお、請求項9を引用して記載する請求項10には、「前記第1のショベルと前記第2のショベルは、同一のショベルであ」ることが記載されている。このような記載からも、請求項9に記載される発明において、「第1のショベル」と「第2のショベル」が同一及び別であるいずれの発明も含んでいると理解できる。 上記理解に基づいて、以下検討する。 甲1A発明の「複数」の「車両」の2台以上、又はそれぞれのうち、「カメラ11」を有し「画像処理」を行う車両、及び少なくとも「カメラ11」を有する車両と、本件発明9の「第1のショベル」及び「第2のショベル」とは、「第1の車両」及び「第2の車両」である点で共通する。 甲1A発明の「複数」の「車両」と「無線通信回線網20を介して通信可能」である「学習サーバ2」と、本件発明9の「前記第1のショベル及び前記第2のショベルと通信可能な外部装置」とは、「第1」及び「第2」の「車両」と「通信可能な外部装置」である点で共通する。 甲1A発明は、「学習サーバ2」から「車載装置10」に対して、「画像認識処理の認識精度を向上」させることができる「更新データを送信する」ものである。 そうすると、甲1A発明の「学習システム1」が「車両」と、「学習サーバ2」と、を含む構成と、本件発明9の「ショベル支援システム」とは、「車両支援システム」である点で共通する。 (イ)構成9Bについて 甲1A発明の「車載装置10」が有する「カメラ11」は、「自車両周辺を撮影する部位であ」って「画像」を「撮影」するものである。 そうすると、甲1A発明の前記「カメラ11」と、本件発明9の「前記第1のショベルに設けられ、前記第1のショベルの周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部」とは、「第1の車両に設けられ、前記車両の周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部」の点で共通する。 (ウ)構成9Cについて 甲1A発明の「制御部14」は、「車載装置10の画像認識機能に関する機械学習における識別機能」を用いて、「カメラ11」により「撮像」された「画像」に基づき、「識別」しているといえる。 そうすると、甲1A発明の「制御部14」は、本件発明9と同様に、「機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき」、「周囲の物体に関する判定を行う判定部」に相当する構成を有していることは明らかである。 よって、甲1A発明において、「車載装置10の画像認識機能に関する機械学習における識別機能」を用いて、「カメラ11」により「撮像」された「画像」に基づき、「識別」している「制御部14」と、本件発明9の「前記第1のショベルに設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記第1のショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部」とは、「前記第1の車両に設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記車両の周囲の物体に関する判定を行う判定部」である点で共通する。 (エ)構成9Dについて 上記(イ)をふまえると、甲1A発明の少なくとも「カメラ11」を有する車両が備える「カメラ11」と、本件発明9の「前記第2のショベルに設けられ、前記第2のショベルの周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部」とは、「第2の車両に設けられ、前記車両の周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部」の点で共通する。 (オ)構成9Eについて 甲1A発明の「車両」に搭載される「車載装置10」が有する「記憶部12」と、本件発明9の「前記第2のショベルに設けられる記憶部」とは、「第2の車両に設けられる記憶部」の点で共通する。 (カ)構成9Fについて 甲1A発明の「記憶部12」は、情報が記憶される部位であることは明らかであり、また、情報を記憶させるためには、入手した情報を記録する機能を有していることが通常である。よって、甲1A発明の少なくとも「カメラ11」を有する「車両」に設けられる「車載装置10」が有する「記憶部12」は、情報を記録する装置ないし機能を有しているといえる。 そうすると、甲1A発明の、少なくとも「カメラ11」を有する「車両」に設けられ、「車載装置10」が有する上記「記憶部12」と、本件発明9の、「第2のショベルに設けられ」、「第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部」とは、「第2の車両に設けられ」る「情報を前記記憶部に記録する記録部」である点で共通する。 (キ)構成9Gについて 甲1A発明は、少なくとも「カメラ11」を有する「車両」に搭載される「車載装置10」が有する、「カメラ11による撮影画像データを学習データとすると共に」、「車載装置10」が有する、「該学習データと環境データとを無線通信部17を介して学習サーバ2に送信し」ている。 甲1A発明の「無線通信部17」は、環境情報である撮像画像データを「学習サーバ2」に送信しているから、本件発明9の「環境情報通信部」に相当する。 そうすると、甲1A発明の少なくとも「カメラ11」を有する「車両」に搭載される「車載装置10」が有する上記「無線通信部17」と、本件発明9の「前記第2のショベルに設けられ、前記記録部により前記記憶部に記録される環境情報を前記外部装置に送信する環境情報送信部」とは、「前記第2の車両に設けられ、環境情報を前記外部装置に送信する環境情報送信部」である点で共通する。 (ク)構成9Hについて 甲1A発明は、「車載装置10は、画像認識処理を行うと、該画像認識処理に用いられたカメラ11による撮影画像データを学習データとし、学習サーバ2に送信し、 一方、学習サーバ2は、各車載装置10から受信した学習データに基づき、画像認識処理の認識精度を向上させるための学習処理を行」うものであって、「機械学習処理においては、教師あり学習を行うものであ」る。 したがって、甲1A発明は、少なくとも「カメラ11」を有する「車両」で取得された「撮像画像データ」に基づいて、教師情報を生成する部位が、「学習サーバ2」に設けられていることは明らかである。 そうすると、甲1A発明において、「学習サーバ2」に設けられていて、車両から取得された「撮像画像データ」を用いて、教師情報を生成する部位と、本件発明9の「前記外部装置に設けられ、前記第2のショベルから受信される、前記第2のショベルで取得され前記記憶部に記録された環境情報に基づき、教師情報を生成する教師情報生成部」とは、「前記外部装置に設けられ、前記第2の車両から受信される、前記第2の車両で取得された環境情報に基づき、教師情報を生成する教師情報生成部」である点で共通する。 (ケ)構成9Iについて 上記(キ)で説明したとおり、「学習サーバ2」が、教師情報を生成する部位を有することは明らかであり、また、甲1A発明は、「学習サーバ2」が、「各車載装置10から受信した学習データに基づき、画像認識処理の認識精度を向上させるための学習処理を行い、画像認識処理におけるパラメータを更新するための更新データを生成」することから、「学習サーバ2」が有する「画像認識処理」における、既存の「パラメータ」を更新するための「更新データ」を生成しているといえる。 甲1A発明の、前記「学習処理」は、車両の「画像認識処理」で用いられる既存の「パラメータ」を、追加的に学習させて、「更新データ」を生成し、車両の「画像認識処理の認識精度を向上させる」ためのものであるから、本件発明9のショベルで「前記判定に用いられている前記学習済みモデルと同一の学習済みのモデル」に行わせる「追加学習」に相当する。 以上のことをふまえると、甲1A発明と本件発明9とは、「前記外部装置に設けられ、前記教師情報生成部により生成された教師情報に基づき」、「前記第1の車両」で「前記判定に用いられている前記学習済みモデルと同一の学習済みモデルに追加学習を行わせ、追加学習済みモデルを生成する学習部」を有する点で共通する。 (コ)構成9Jについて 甲1A発明は、「学習サーバ2」と「車両」とは、「無線通信回線網20を介して通信可能であ」って、「学習サーバ2」を構成する「メイン学習サーバ30」は、「通信部31」を備えており、「メイン学習サーバ30の制御部33」は、「各車載装置10に対して更新データを送信するもの」である。 また、甲1A発明の「更新データ」は、画像認識処理を行う「車両」の「各車載装置10」に対して「送信」されるところ、「学習サーバ2」において構成される、上記「通信部31」により、送信されることは明らかである。 そうすると、甲1A発明の「学習サーバ2」において構成され、「更新データ」を「送信」する「通信部31」と、本件発明9の「前記外部装置に設けられ、前記学習部により追加学習が行われた前記追加学習済みモデルを前記第1のショベルに送信するモデル送信部」とは、「前記外部装置に設けられ、前記学習部により追加学習が行われた前記追加学習済みモデルを前記第1の車両に送信するモデル送信部」である点で共通する。 (サ)構成9Lについて 甲1A発明の「車載装置10」が有していて、「画像認識」をするために用いられる「更新データ」により更新される前の「データ」は、本件発明9の「学習済みモデル」に相当する。 また、甲1A発明は、「学習システム1によれば、車載装置10では学習処理が行われず、学習サーバ2にて各車載装置10から提供された学習データに基づき学習処理が行われ、学習サーバ2での学習処理により生成された更新データが各車載装置10に提供され、各車載装置10における処理の内容が更新される」ものである。 そうすると、甲1A発明の画像認識処理を行う「車両」の「車載装置10」が有していて、「画像認識」をするために用いられる「更新データ」により更新される前の「データ」が、「車両」において、「学習サーバ2での学習処理により生成された更新データが各車載装置10に提供され、各車載装置10における処理の内容が更新される」ことと、本件発明9の「前記学習済みモデルは、前記第1のショベルにおいて、前記外部装置から受信される前記追加学習済みモデルに更新され」ることとは、「前記学習済みモデルは、前記第1の車両において、前記外部装置から受信される前記追加学習済みモデルに更新され」る点で共通する。 (シ)構成9Mについて 上記(ウ)で説明したとおり、甲1A発明の上記「制御部14」は、本件発明9と同様に、「機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき」、「周囲の物体に関する判定を行う判定部」を有していることは明らかである。また、甲1A発明は、「更新データ」によりデータが更新された場合に、「更新データ」を用いて、「制御部14」は、「車載装置10の画像認識機能に関する機械学習における識別機能」を用いて、「カメラ11」により「撮像」された「画像」に基づき、「識別」することは明らかである。 そうすると、甲1A発明は、本件発明9の「前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行う」との構成に相当する構成を有しているといえる。 そうすると、本件発明9と甲1A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「9A’ 第1の車両と、第2の車両と、前記第1の車両及び前記第2の車両と通信可能な外部装置と、を含む車両支援システムであって、 9B’ 前記第1の車両に設けられ、前記第1の車両の周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部と、 9C’ 前記第1の車両に設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記第1の車両の周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 9D’ 前記第2の車両に設けられ、前記第2の車両の周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部と、 9E’前記第2の車両に設けられる記憶部と、 9F’ 前記第2の車両に設けられ、情報を前記記憶部に記録する記録部と、 9G’ 前記第2の車両に設けられ、環境情報を前記外部装置に送信する環境情報送信部と、 9H’ 前記外部装置に設けられ、前記第2の車両から受信される、前記第2の車両で取得された環境情報に基づき、教師情報を生成する教師情報生成部と、 9I’ 前記外部装置に設けられ、前記教師情報生成部により生成された教師情報に基づき、前記第1の車両で前記判定に用いられている前記学習済みモデルと同一の学習済みモデルに追加学習を行わせ、追加学習済みモデルを生成する学習部と、 9J’ 前記外部装置に設けられ、前記学習部により追加学習が行われた前記追加学習済みモデルを前記第1の車両に送信するモデル送信部と、を備え、 9L’ 前記学習済みモデルは、前記第1の車両において、前記外部装置から受信される前記追加学習済みモデルに更新され、 9M 前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行う、 9N’ 車両支援システム。」 (相違点5a) 本件発明9では、「第1の車両」及び「第2の車両」が、それぞれ「第1のショベル」及び「第2のショベル」であり、ショベルに搭載された装置及び外部装置とともに「ショベル支援システム」をなすのに対し、甲1A発明においては、そのような特定がされていない点。 (相違点6a) 本件発明9では、第2の車両(ショベル)の「記録部」が、第2の車両(ショベル)の第2の「環境情報取得部により取得される環境情報」を記憶部に記録するものであって、当該記憶部への記録について、第2の車両(ショベル)の「旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録」したうえで、「前記記録部により前記記憶部に記録」された「環境情報」が外部装置に送信されて「追加学習」のための「教師情報」が生成される(構成9F、構成9G、構成9H、構成9K関係)のに対して、甲1A発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 事案に鑑みて、上記相違点6aから検討する。 相違点6aは、本件発明1と甲1A発明との相違点2aと同様の内容を含み、さらに「記録」した「環境情報」が「教師情報」の生成に用いられるうえで「外部装置」に送信されることが加わった相違点である。 そして、相違点2aについて上記(1)イで検討したのと同じ理由で、相違点2aと同様の内容を含む相違点6aに係る構成は、申立人Aが提出した、甲2A~甲4A、参考資料1~4、申立人Bが提出した甲1B~甲3Bにも記載も示唆もされていない。 したがって、甲1A発明において、申立人A及び申立人Bが提出した全ての甲号証等に記載される事項を考慮用しても、相違点6aに係る本件発明9の構成に想到できない。 ウ 小括 よって、本件発明9は、他の相違点を検討するまでもなく、甲1A発明及び甲2A~甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明10~12について 本件発明10~12は、本件発明9を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(4)で検討した理由と同じ理由により、甲1A発明及び甲2A~甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 甲2Aを主引用例とした進歩性欠如(取消理由2、申立理由4A) (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲2A発明とを対比する。 (ア)構成1A及び構成1Jについて 甲2A発明の「ショベル」及び「撮像装置40」は、本件発明1の「ショベル」及び「環境情報取得部」に、それぞれ相当する。 甲2A発明の「撮像装置40」は、「ショベルの周辺を撮像」できるから、「撮像装置40」により撮像された「撮像画像」は、作業現場の情報といえる。 そうすると、甲2A発明の「撮像装置40」により撮像された「撮像画像」は、本件発明1の「ショベルの周囲の作業現場の環境情報」に相当する。 よって、甲2A発明の上記「撮像画像」を取得する「撮像装置40」は、本件発明1の「ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部」に相当する。 (イ)構成1Bについて 甲2A発明の「コントローラ30」に含まれる「物体検知部301」は、「ショベルの周辺の所定領域内(ショベルから所定距離D1以内)への監視対象の侵入を検知」するものであって、「既知の各種画像処理手法や機械学習ベースの識別器等を任意に適用することにより、撮像画像内の人を認識する」ものであることから、機械学習が行われた学習済みモデルが用いられていること、また、「撮像装置40」により撮像された「撮像画像」に基づいて、「人」を認識していることは明らかである。 よって、甲2A発明の「既知の各種画像処理手法や機械学習ベースの識別器等を任意に適用することにより、撮像画像内の人を認識」する、上記「物体検知部301」は、本件発明1の「機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部」に相当する。 (ウ)構成1Cについて 甲2A発明の「記憶部310」は、本件発明1の「記憶部」に相当する。 (エ)構成1Dについて 甲2A発明の「記憶部310」は、「所定領域への人の侵入時における各種情報を侵入履歴情報3101として」「記憶」させるから、当該情報を記憶させるために記録する機能を有していることは明らかである。よって、甲2A発明の「記憶部310」は、情報を記録する機能を有しているといえる。 また、甲2A発明の「侵入履歴情報3101」に含まれる「検知時の画像情報(検知時画像情報)」は、「物体検知部301によりショベルの周辺の所定領域への人の侵入が検知された」ときの「画像情報」であるから、ショベルの周辺環境に関する情報であることが明らかであって、本件発明1の「環境情報」に相当する。 そうすると、甲2A発明において、「コントローラ30」に含まれる「記憶部310」を有していて、当該「記憶部310」に記憶させる「侵入履歴情報3101」に「検知時の画像情報(検知時画像情報)が含まれて」いることは、本件発明1において、「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部」を備えていることに相当する。 そうすると、本件発明1と甲2A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。(なお、本件発明1等と、甲2A発明との相違点には「b」を付して、「相違点1b」等とする。) (一致点) 「1A ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 1B 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 1C 記憶部と、 1D 前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備える、 1J ショベル。」 (相違点1b) 本件発明1は、「前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され」るのに対して、 甲2A発明では、そのような特定がされていない点。 (相違点2b) 本件発明1は、「前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 自ショベルを含む複数のショベルは、同一の前記学習済みモデルを有すると共に、前記学習済みモデルを用いて、前記判定を行い、 前記複数のショベルのそれぞれが有する前記学習済みモデルは、前記追加学習済みモデルに更新される 」のに対して、 甲2A発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 上記相違点1bに係る構成は、本件発明1と甲1A発明との相違点2aに係る構成を含む。 そして、相違点1bに係る構成が含む相違点2aに係る構成は、甲1A発明が有する構成ではなく、上記1(1)イに示したとおり、申立人A及び申立人Bが提出したいずれの甲号証等に記載あるいは示唆されるものでもない。 また、相違点1bに係る構成に関する、申立人Aの意見書Aにおける主張について検討しても、上記1(1)ウに示したのと同じ理由で、採用することができない。 したがって、甲2A発明に、申立人A及び申立人Bが提出した全ての甲号証等に記載の技術事項を適用しても、相違点1bに係る本件発明1の構成に想到できない。 ウ 小括 よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2A発明及び甲1A、甲3A、甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2 ア 対比 本件発明2と甲2A発明とを対比する。 本件発明1と共通する本件発明2の構成(構成2A~2G、2I)については、上記(1)アの(ア)~(エ)と同様である。 そうすると、本件発明2と甲2A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「2A ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 2B 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 2C 記憶部と、 2D 前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備える、 2I ショベル。」 (相違点3b) 本件発明2は、「前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され」るのに対して、 甲2A発明では、そのような特定がされていない点。 (相違点4b) 本件発明2は、 「前記記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 前記学習済みモデルは、複数のショベルで取得される周囲の作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される」ものであるのに対して、 甲2A発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 上記相違点3bに係る構成は、本件発明1と甲1A発明との相違点2aに係る構成を含む。 そして、相違点3bに係る構成が含む相違点2aに係る構成は、上記1(1)イに示したとおり、申立人A及び申立人Bが提出したいずれの甲号証等に記載あるいは示唆されるものでもない。 また、相違点3bに係る構成に関する、申立人Aの意見書における主張について検討しても、上記1(1)ウに示したのと同じ理由で、採用することができない。 したがって、甲2A発明に、申立人A及び申立人Bが提出した全ての甲号証等に記載の技術事項を適用しても、相違点3bに係る本件発明2の構成に想到できない。 ウ 小括 よって、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明2は、甲2A発明及び甲1A、甲3A、甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3、4、6~8 本件発明3、4、6~8は、本件発明1又は本件発明2を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)又は(2)検討した理由と同じ理由により、甲2A発明及び甲1A、甲3A、甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明9 ア 対比 本件発明9と甲2A発明とを対比する。 (ア)構成9A及び構成9Nについて 上記1(4)ア(ア)で説明したとおり、「第1のショベル」及び「第2のショベル」が、同一のショベルを指すことを許容するものと理解できる。 上記理解に基づいて、以下検討する。 甲2A発明の「ショベル」は、本件発明9の「第1のショベル」及び「第2のショベル」に相当する。 甲2A発明の「ショベルと通信可能に接続される管理サーバ200」は、本件発明9の「前記第1のショベル及び前記第2のショベルと通信可能な外部装置」に相当する。 甲2A発明の「安全管理システム100」は、本件発明9の「ショベル支援システム」に相当する。 (イ)構成9Bについて 甲2A発明の「ショベル」に備えられ、「ショベルの周辺を撮像」する「撮像装置40」は、本件発明9の「前記第1のショベルに設けられ、前記第1のショベルの周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部」に相当する。 (ウ)構成9Cについて 甲2A発明の「ショベル」に備えられ、「撮像装置40」により「撮像」された「撮像画像」において、「既知の各種画像処理手法や機械学習ベースの識別器等を任意に適用することにより、撮像画像内」の「ショベルの周辺の作業者等の人」を「認識」する「物体検知部301」は、本件発明9の「前記第1のショベルに設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記第1のショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部」に相当する。 (エ)構成9Dについて 甲2A発明の「ショベル」に備えられ、「ショベルの周辺を撮像」する「撮像装置40」は、本件発明9の「前記第2のショベルに設けられ、前記第2のショベルの周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部」に相当する。 (オ)構成9Eについて 甲2A発明の「ショベル」が備える「コントローラ30」に含まれる「記憶部310」は、本件発明9の「前記第2のショベルに設けられる記憶部」に相当する。 (カ)構成9Fについて 甲2A発明の「記憶部310」は、「所定領域への人の侵入時における各種情報を侵入履歴情報3101として」「記憶」させるから、当該情報を記憶させるために記録する機能を有していることは明らかである。よって、甲2A発明の「記憶部310」は、情報を記録する機能を有しているといえる。 また、甲2A発明の「侵入履歴情報3101」に含まれる「検知時の画像情報(検知時画像情報)」は、「物体検知部301によりショベルの周辺の所定領域への人の侵入が検知された」ときの「画像情報」であるから、ショベルの周辺環境に関する情報であることが明らかであって、本件発明9の「環境情報」に相当する。 そうすると、甲2A発明において、「ショベル」が、「コントローラ30」に含まれる「記憶部310」を有していて、当該「記憶部310」に記憶させる「侵入履歴情報3101」に「検知時の画像情報(検知時画像情報)が含まれて」いることは、本件発明9において、「前記第2のショベルに設けられ、第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部」を備えていることに相当する。 (キ)構成9G 甲2A発明の「侵入度合情報3102」は、「画像情報(撮像装置40の撮像画像)」を含み、「記憶部310に記憶」されている。 そうすると、上記(カ)を参酌すれば、甲2A発明の「記憶部310」に記憶されている「侵入度合情報3102」が含む「画像情報(撮像装置40の撮像画像)」は、本件発明9の「前記記録部により前記記憶部に記録される環境情報」に相当する。 上記のことをふまえると、甲2A発明において、「ショベル」が備えていて、「画像情報(撮像装置40の撮像画像)」が含まれる「侵入度合情報3102」を「通信ネットワーク150を介して通信可能に接続」される「管理サーバ200」に送信する「通信機器80」は、本件発明9の「前記第2のショベルに設けられ、前記記録部により前記記憶部に記録される環境情報を前記外部装置に送信する環境情報送信部」に相当する。 以上のことから、本件発明9と甲2A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「9A 第1のショベルと、第2のショベルと、前記第1のショベル及び前記第2のショベルと通信可能な外部装置と、を含むショベル支援システムであって、 9B 前記第1のショベルに設けられ、前記第1のショベルの周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部と、 9C 前記第1のショベルに設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記第1のショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 9D 前記第2のショベルに設けられ、前記第2のショベルの周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部と、 9E 前記第2のショベルに設けられる記憶部と、 9F 前記第2のショベルに設けられ、第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部と、 9G 前記第2のショベルに設けられ、前記記録部により前記記憶部に記録される環境情報を前記外部装置に送信する環境情報送信部と、を備える 9N ショベル支援システム。」 (相違点5b) 本件発明9は、 「前記外部装置に設けられ、前記第2のショベルから受信される、前記第2のショベルで取得され前記記憶部に記録された環境情報に基づき、教師情報を生成する教師情報生成部と、」(構成9H) 「前記外部装置に設けられ、前記教師情報生成部により生成された教師情報に基づき、前記第1のショベルで前記判定に用いられている前記学習済みモデルと同一の学習済みモデルに追加学習を行わせ、追加学習済みモデルを生成する学習部と、」(構成9I) 「前記外部装置に設けられ、前記学習部により追加学習が行われた前記追加学習済みモデルを前記第1のショベルに送信する情報送信部と、」(構成9J) を備え、 「前記記録部は、前記第2のショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、」(構成9K) 「前記学習済みモデルは、前記第1のショベルにおいて、前記外部装置から受信される前記追加学習済みモデルに更新され、」(構成9L) 「前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行う」のに対して、(構成9M) 甲2A発明は、そのような特定がされていない点。 イ 判断 上記相違点5bに係る構成は、本件発明1と甲1A発明との相違点2aに係る構成と同様の構成を含む。 そして、相違点5bに係る構成が含む相違点2aに係る構成は、上記1(1)イに示したとおり、申立人A及び申立人Bが提出したいずれの甲号証等に記載あるいは示唆されるものでもない。 また、相違点5bに係る構成に関する、申立人Aの意見書Aにおける主張について検討しても、上記1(1)ウに示したのと同じ理由で、採用することができない。 したがって、甲2A発明に、申立人A及び申立人Bが提出した全ての甲号証等に記載の技術事項を適用しても、相違点5bに係る本件発明9の構成に想到できない。 ウ 小括 よって、本件発明9は、甲2A発明及び甲1A、甲3A、甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明10~12について 本件発明10~12は、本件発明9を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(4)で検討した理由と同じ理由により、甲2A発明及び甲1A、甲3A、甲4A、甲1B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 甲1Bを主引用例とした進歩性欠如(取消理由3、申立理由3B) (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲1B発明とを対比する。 (ア)構成1A及び構成1Jについて 甲1B発明の「ショベル」及び「撮像装置40」は、本件発明1の「ショベル」及び「環境情報取得部」に、それぞれ相当する。 甲1B発明の「撮像装置40」は、「ショベルの周囲の画像を撮像する装置であ」るから、「撮像装置40」により撮像された「画像」は、作業現場の情報といえる。 そうすると、甲1B発明の「撮像装置40」により撮像された「画像」は、本件発明1の「ショベルの周囲の作業現場の環境情報」に相当する。 よって、甲1B発明の上記「画像」を取得する「撮像装置40」は、本件発明1の「ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部」に相当する。 (イ)構成1Bについて 甲1B発明の「コントローラ30」において、「抽出部31」は「撮像装置40が撮像した撮像画像から識別処理対象画像を抽出」し、「識別処理対象画像」は、「人候補画像」が含まれているところ、「識別部32」は、「HOG(Histograms of Oriented radients)特徴量に代表される画像特徴量記述と機械学習により生成した識別器とを用いた画像認識処理等の比較的演算量の多い画像処理によって、人候補画像が人画像であるかを識別」するものである。 よって、甲1B発明の上記「識別部32」は、本件発明1の「機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部」に相当する。 (ウ)構成1Cについて 甲1B発明において、「ショベル」に設けられている「コントローラ30」の「内部メモリ」は、本件発明1の「記憶部」に相当する。 (エ)構成1Dについて 甲1B発明の「ショベル」に設けられている「コントローラ30」の「内部メモリ」は、情報が記憶される部位であることは明らかであり、また、情報を記憶させるためには、入手した情報を記録する機能を有していることが通常である。よって、甲1B発明の前記「内部メモリ」は、情報を記録する機能を有しているといえる。 そうすると、甲1B発明の、「ショベル」に設けられている「コントローラ30」の「内部メモリ」と、本件発明1において、「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部」とは、「情報を前記記憶部に記録する記録部」である点で共通する。 そうすると、本件発明1と甲1B発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。(なお、本件発明1等と、甲1B発明との相違点には「c」を付して、「相違点1c」等とする。) (一致点) 「1A ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 1B 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 1C 記憶部と、 1D’情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備える、 1J ショベル。」 (相違点1c) 本件発明1は、 「記録部」により「前記記憶部に記録する」ものが「前記環境情報取得部により取得される環境情報」であって、 「前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され」るのに対して、甲1B発明では、そのような特定がされていない点。 (相違点2c) 本件発明1は、 「前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 自ショベルを含む複数のショベルは、同一の前記学習済みモデルを有すると共に、前記学習済みモデルを用いて、前記判定を行い、 前記複数のショベルのそれぞれが有する前記学習済みモデルは、前記追加学習済みモデルに更新される」のに対して、 甲1B発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 上記相違点1cに係る構成は、本件発明1と甲1A発明との相違点2aに係る構成を含む。 そして、相違点1cに係る構成が含む相違点2aに係る構成は、上記1(1)イに示したとおり、申立人A及び申立人Bが提出したいずれの甲号証等に記載あるいは示唆されるものでもない。 また、相違点1cに係る構成に関する、申立人Aの意見書Aにおける主張について検討しても、上記1(1)ウに示したのと同じ理由で、採用することができない。 したがって、甲1B発明に、申立人A及び申立人Bが提出した全ての甲号証等に記載の技術事項を適用しても、相違点1cに係る本件発明1の構成に想到できない。 ウ 小括 よって、本件発明1は、その余の相違点について判断するまでもなく、甲1B発明及び甲1A~甲4A、甲2B、甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2 ア 対比 本件発明2と甲1B発明とを対比する。 本件発明1と共通する本件発明2の構成(構成2A~構成2G、構成2I)については、上記(1)アの(ア)~(エ)と同様である。 そうすると、本件発明2と甲1B発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「2A ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境情報取得部と、 2B 機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 2C 記憶部と、 2D’情報を前記記憶部に記録する記録部と、を備える、 2I ショベル。」 (相違点3c) 本件発明2は、 「記録部」により「前記記憶部に記録する」ものが「前記環境情報取得部により取得される環境情報」であって、 「前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、 前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され」るのに対して、甲1B発明では、そのような特定がされていない点。 (相違点4c) 本件発明2は、 「前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行い、 前記学習済みモデルは、複数のショベルで取得される周囲の作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される」ものであるのに対して、甲1B発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 上記相違点3cに係る構成は、本件発明1と甲1A発明との相違点2aに係る構成を含む。 そして、相違点3cに係る構成が含む相違点2aに係る構成は、上記1(1)イに示したとおり、申立人A及び申立人Bが提出したいずれの甲号証等に記載あるいは示唆されるものでもない。 また、相違点3cに係る構成に関する、申立人Aの意見書Aにおける主張について検討しても、上記1(1)ウに示したのと同じ理由で、採用することができない。 したがって、甲1B発明に、申立人A及び申立人Bが提出した全ての甲号証等に記載の技術事項を適用しても、相違点3cに係る本件発明2の構成に想到できない。 ウ 小括 よって、本件発明2は、その余の相違点について判断するまでもなく、甲1B発明及び甲1A~甲4A、甲2B、甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3、4、6~8 本件発明3、4、6~8は、本件発明1又は本件発明2を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)又は(2)検討した理由と同じ理由により、甲1B発明及び甲1A~甲4A、甲2B、甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明9 ア 対比 本件発明9と甲1B発明とを対比する。 (ア)構成9A及び構成9Nについて 上記1(4)ア(ア)で説明したとおり、「第1のショベル」及び「第2のショベル」が、同一のショベルを指すことを許容するものと理解できる。 上記理解に基づいて、以下検討する。 甲1B発明の「ショベル」は、本件発明9の「第1のショベル」及び「第2のショベル」に相当する。 甲1B発明の「周辺監視システム100」は、本件発明9の「ショベル支援システム」に相当する。 (イ)構成9Bについて 甲1B発明の「ショベル」に備えられ、「ショベルの周囲の画像を撮像する装置であ」る「撮像装置40」は、本件発明9の「前記第1のショベルに設けられ、前記第1のショベルの周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部」に相当する。 (ウ)構成9Cについて 甲1B発明の「ショベル」に備えられ、「撮像装置40の撮像画像に基づいてショベルの周辺に人が存在するか否かを検知する人検知部34」であって、「人検知部34」は、「抽出部31、識別部32、及び追跡部33の組み合わせ」で構成され、「識別部32」が「HOG特徴量に代表される画像特徴量記述と機械学習により生成した識別器とを用いた画像認識処理等の比較的演算量の多い画像処理によって人候補画像が人画像であるかを識別」するものは、本件発明9の「前記第1のショベルに設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記第1のショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部」に相当する。 (エ)構成9Dについて 甲1B発明の「ショベル」に備えられ、「ショベルの周囲の画像を撮像する装置であ」る「撮像装置40」は、本件発明9の「前記第2のショベルに設けられ、前記第2のショベルの周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部」に相当する。 (オ)構成9Eについて 甲1B発明において、「ショベル」に設けられている「コントローラ30」の「内部メモリ」は、本件発明9の「前記第2のショベルに設けられる記憶部」に相当する。 (カ)構成9Fについて 甲1B発明の「ショベル」に設けられている「コントローラ30」の「内部メモリ」は、情報が記憶される部位であることは明らかであり、また、情報を記憶させるためには、入手した情報を記録する機能を有していることが通常である。よって、甲1B発明の前記「内部メモリ」は、情報を記録する機能を有しているといえる。 そうすると、甲1B発明の、「ショベル」に設けられている「コントローラ30」の「内部メモリ」と、本件発明9において、「前記第2のショベルに設けられ、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部」とは、「前記第2のショベルに設けられ」る、「情報を記憶部に記録する記録部」である点で共通する。 そうすると、本件発明9と甲1A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「9A’ 第1のショベルと、第2のショベルと、を含むショベル支援システムであって、 9B 前記第1のショベルに設けられ、前記第1のショベルの周囲の環境情報を取得する第1の環境情報取得部と、 9C 前記第1のショベルに設けられ、機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記第1のショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部と、 9D 前記第2のショベルに設けられ、前記第2のショベルの周囲の環境情報を取得する第2の環境情報取得部と、 9E 前記第2のショベルに設けられる記憶部と、 9F’ 前記第2のショベルに設けられ、情報を記憶部に記録する記録部と、を備える、 9N ショベル支援システム。」 (相違点5c) 本件発明9は、 「前記第1のショベル及び前記第2のショベルと通信可能な外部装置」を含み、(構成9A)、 「記録部」は、「前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録」していて、(構成9E) 「前記第2のショベルに設けられ、前記記録部により前記記憶部に記録される環境情報を前記外部装置に送信する環境情報送信部」と、(構成9F’) 「前記外部装置に設けられ、前記第2のショベルから受信される、前記第2のショベルで取得され前記記憶部に記録された環境情報に基づき、教師情報を生成する教師情報生成部と、」(構成9G) 「前記外部装置に設けられ、前記教師情報生成部により生成された教師情報に基づき、前記第1のショベルで前記判定に用いられている前記学習済みモデルと同一の学習済みモデルに追加学習を行わせ、追加学習済みモデルを生成する学習部と、」(構成9H) 「前記外部装置に設けられ、前記学習部により追加学習が行われた前記追加学習済みモデルを前記第1のショベルに送信するモデル送信部と、」(構成9I) を備え、 「前記記録部は、前記第2のショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記第2の環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、」(構成9N) 「前記学習済みモデルは、前記第1のショベルにおいて、前記外部装置から受信される前記追加学習済みモデルに更新され、」(構成9J) 「前記判定部は、前記学習済みモデルが更新された場合、更新された前記学習済みモデルを用いて、前記第1の環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、前記判定を行う」のに対して、(構成9K) 甲1B発明は、そのような特定がされていない点。 イ 判断 上記相違点5cに係る構成は、本件発明1と甲1A発明との相違点2aに係る構成と同様の構成を含む。 そして、相違点3cに係る構成が含む相違点2aに係る構成は、上記1(1)イに示したとおり、申立人A及び申立人Bが提出したいずれの甲号証等に記載あるいは示唆されるものでもない。 また、相違点5cに係る構成に関する、申立人Aの意見書Aにおける主張について検討しても、上記1(1)ウに示したのと同じ理由で、採用することができない。 したがって、甲1B発明に、申立人A及び申立人Bが提出した全ての甲号証等に記載の技術事項を適用しても、相違点5cに係る本件発明9の構成に想到できない。 ウ 小括 よって、本件発明9は、甲1B発明及び甲1A~甲4A、甲2B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明10~12について 本件発明10~12は、本件発明9を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(4)で検討した理由と同じ理由により、甲1B発明及び及び甲1A~甲4A、甲2B~甲3B、参考資料1~4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1~4,6~12は、甲1A発明、甲2A発明、甲3A技術事項、甲4A技術事項及び周知技術、並びに、参考資料1~4、その他の甲号証、に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、甲2A発明、甲1A発明及び甲3A技術事項、並びに、参考資料1~4、その他の甲号証、に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、さらに、甲1B発明、甲1A発明及び甲3A技術事項、並びに、参考資料1~4、その他の甲号証、に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 よって、本件発明1~4,6~12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して、特許されたものではないから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものではない。 第7 取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断 1 サポート要件違反(申立理由1A、申立理由1B)について (1)申立人A及び申立人Bが主張する具体的理由 申立人Aは、請求項1~8に係る特許について、サポート要件違反の申立理由1Aを申立てている。 申立人Bは、請求項1~8及び10に係る特許について、サポート要件違反の申立理由1Bを申立てている。 サポート要件違反についての主張の内容は、以下のとおりである。 ア 申立人Aは、本件明細書の段落【0005】「しかしながら、ショベルは、多様な環境下で使用されうるところ、特許文献1等では、あらかじめ規定された判定基準で判定が行われるため、環境条件によっては、適切な判定精度を確保できない可能性がある。」等を示し、本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば、課題を解決するためには、ショベル100だけでなく、取得された撮像画像IM1に基づく教師データの生成、当該教師データに基づく追加学習済みモデルの生成、及び当該追加学習済みモデルの送信を行う管理装置200が必須要素である。しかしながら、本件請求項1~8には、前記管理装置200またはこれらに相当する要素は何ら特定されておらず、発明の構成要素として特定されているのは、単一のショベルのみであり、このようなショベル単体で課題を解決され得ない旨主張する。(申立書A12頁15行~15頁末行) イ 申立人Bは、本件訂正前発明1について、発明の対象が「ショベル」でありながら、その構成要件において「自ショベルを含む複数のショベル」の構成を述べており、発明の対象物に関して矛盾する記載が含まれていること、「取得された作業現場の環境情報」がどのようにして取得されたものであるのか特定されておらず、不明であること、「自ショベルを含む複数のショベルは、同一の前記学習済みモデルを有すると共に、前記学習済みモデルを用いて、前記判定」における「前記判定」は、本件特許の明細書又は図面に何ら記載されていないこと、「教師情報」は、通常とは異なる生成手法を用いているものと推察されるが、それを裏付ける実施例や構成の示唆については、明細書又は図面に一切記載されていないことを主張し、本件訂正前発明2について、「教師情報」は、前記のものと同様に、明細書又は図面に一切記載されていないことを主張し、本件訂正前発明3について、「前記追加学習済みモデル」は、それを実現するような実施例は、発明の詳細な説明又は図面には一切記載されていないことを主張し、本件訂正前発明4について、「人工的に生成される作業現場の環境情報から生成される前記教師情報」が、請求項1及び請求項2で特定される「取得された作業現場の環境情報から生成される教師情報」又は「複数のショベルで取得される周囲の作業現場の環境情報から生成される前記教師情報」との対応関係が不明であり、本件訂正前発明10について、「同一のショベル」が何を意味するのか不明であり、これらの本件訂正前発明について、本件特許に係る発明の詳細な説明又は図面に記載されたものではなく、それらの記載から当業者が一般化又は普遍化することによって導出し、または想定されるものではない旨主張する。(申立書B31頁2行~38頁23行) ウ 申立人Aは、意見書Aにおいて、本件訂正について新規事項の追加である旨を上記第2の2(4)アのように主張するのと同じ理由で、本件訂正後の請求項1,2及び9さらにはこれらを引用する請求項3,4,6~8,10~12に係る発明は、サポート要件違反である旨を主張する(意見書A4頁12行~5頁1行)。 (2)サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又は示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断する。 (3)判断基準に基づく判断 上記判断基準に照らして、本件訂正で削除された請求項5を除く、申立理由1A及び申立理由1Bの対象請求項である、請求項1~4、6~8及び10について、以下、検討する。 ア 発明の詳細な説明の記載 本件明細書の発明の詳細な説明に次の記載がある。 (ア)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、ショベルは、多様な環境下で使用されうるところ、特許文献1等では、予め規定された判定基準で判定が行われるため、環境条件によっては、適切な判定精度を確保できない可能性がある。 【0006】 そこで、上記課題に鑑み、ショベルの周囲の環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う場合の多様な環境条件下での判定精度を向上させることが可能な技術を提供する。」 (イ)「【0062】 記録タイミングは、例えば、予め規定される周期的なタイミングであってよい。また、記録タイミングは、撮像装置70の撮像画像に基づく判定装置34(判定部344)によるショベル100の周囲の物体に関する判定の際に誤判定が生じ易いショベル100の状態が生じたときであってよい。具体的には、記録タイミングは、ショベル100の走行時や旋回時であってよい。また、記録タイミングは、判定部344がショベル100の周囲の監視領域で物体を検出したと判定したときであってもよい。また、記録タイミングは、コントローラONで開始してもよく、ゲートロックレバー解除で開始してもよく、操作レバーONで開始してもよい。以下、後述する図7、図8のショベル支援システムSYS(ショベル100)場合についても同様である。 ・・・ 【0099】 上述の如く、判定部344は、学習済みモデルLM(ニューラルネットワーク401)に後方カメラ70Bの撮像画像の画像データを入力することにより、学習済みモデルLMから出力される、撮像画像の中の物体の占有領域及びその占有領域の物体の種類を取得することができる。よって、本例では、学習済みモデルLMから出力される、"人"に分類される物体(作業員PS)の占有領域を取り囲む態様のボックスアイコン501、及び、検出(分類)された物体が人であることを表す文字情報アイコン502を撮像画像に重畳して表示させる。また、学習済みモデルLMから出力される"トラック"に分類される物体(トラックTK)の占有領域を取り囲む態様のボックスアイコン503及び、検出(分類)された物体がトラックであることを表す文字情報アイコン504を撮像画像に重畳して表示させる。これにより、オペレータ等は、検出された物体を容易に認識することができると共に、検出された物体の種類を容易に認識することができる。 ・・・ 【0100】 尚、撮像装置70の撮像画像は、表示装置40の表示領域全体に表示されてもよい。また、表示装置40には、上述した撮像装置70の撮像画像に基づく変換画像(例えば、上述の合成視点変換画像)が表示されてもよく、この場合、変換画像上の物体の占有領域に相当する部分にボックスアイコンや文字情報アイコンが重畳して表示されてよい。また、ショベル100が遠隔操作される場合、図5と同様の内容は、管理装置200の表示装置(例えば、表示装置230)に表示されてよい。 【0101】 記憶部346には、学習済みモデルLMが保存されている。記憶部346の学習済みモデルLMは、通信機器90により管理装置200から更新版の学習済みモデル、つまり、後述の如く、追加学習がなされた学習済みモデル(以下、「追加学習済みモデル」)が受信された場合、受信された追加学習済みモデルに更新される。これにより、判定部344は、管理装置200で追加学習がなされた追加学習済みモデルを利用することができるため、学習済みモデルの更新に応じて、ショベル100の周囲の物体に関する判定精度を向上させることができる。 (ウ)「【0157】 これにより、ショベル100の学習済みモデルLMは、自ショベルや他ショベルによって多様な環境下で取得される撮像装置70の撮像画像から生成される教師データで追加学習が行われた追加学習済みモデルで更新される。よって、ショベル100は、ショベル100の周囲の環境情報(撮像装置70の撮像画像)に基づき、ショベル100の周囲の物体に関する判定を行う場合の多様な環境条件下での判定精度を向上させることができる。」 (エ)「【0165】 これにより、教師データに利用するのに適切な品質の撮像画像(例えば、追加学習に適用すべき、誤判定が生じ易い動作条件での撮像画像や具体的に誤判定が発生している可能性があるときの撮像画像等)を選択的に記録することができる。よって、学習済みモデルLMの過学習等を抑制し、ショベル100の周囲の物体に関する判定精度を更に向上させることができる。」 イ 本件発明の課題及び課題を解決する手段について 上記アの段落【0005】の記載をふまえると、、本件発明の課題は、ショベルは、多様な環境下で使用されうるが、予め規定された判定基準で判定が行われることから、環境条件によっては、適切な判定精度を確保できない可能性があることであると認められる。 そして、上記本件発明の課題を解決する手段については、段落【0006】、【0101】、【0157】、【0165】をふまえると、ショベルの周囲の物体に関する判定を判定部344において、学習済みモデルの更新ができることであるとともに、誤判定が生じ易い動作条件での撮像画像が、教師データとして用いられることであると認められる。 ウ 判断 本件発明1は、「機械学習が行われた学習済みモデルを用いて、前記環境情報取得部により取得される環境情報に基づき、ショベルの周囲の物体に関する判定を行う判定部」、「記憶部」、「前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録する記録部」とを備えており、「前記記録部は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立すると、前記環境情報取得部により取得される環境情報を前記記憶部に記録し、前記学習済みモデルは、前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され」るとの構成を有している。 したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明であるとともに、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。 訂正後の請求項2についても、請求項1について上述したのと同様の記載があることから、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。 なお、訂正後の請求項9についても、請求項1について上述したのと同様の記載があることから、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。 したがって、訂正後の請求項1、2を引用する請求項3、4、6~8、及び訂正後の請求項9を引用する請求項10についても、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。 よって、申立人Aがサポート要件違反の申立理由1Aの対象とする本件発明1~4、6~8、及び、申立人Bがサポート要件違反の申立理由1Bの対象とする本件発明1~4、6~8及び10は、特許法36条6項1号に規定する要件に違反するとはいえない。 なお、申立人Aが意見書Aで請求項9~12について追加したサポート要件違反に関する主張は、申立理由1Aの要旨を変更するものであって採用できないが、申立人Bが申立理由1Bの対象とする請求項10について上述したのと同様の理由でも、採用できない。 2 明確性要件違反(申立理由2A、申立理由2B)について (1)申立人A及び申立人Bが主張する具体的理由 申立人Aは、請求項1~8に係る特許について、明確性要件違反の申立理由2Aを申立てている。 申立人Bは、請求項1~8及び10に係る特許について、明確性要件違反の申立理由2Bを申立てている。 明確性要件違反についての主張の内容は、以下のとおりである。 ア 申立人Aは、本件訂正前発明1及び2について、「取得された作業現場の作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われた、追加学習済みモデルに更新され」ることが構成要件として特定されているが、管理装置200またはこれに相当する構成要素は、本件訂正前発明1及び2、さらにはこれらを引用する本件訂正前発明3~8の何れにも特定されていないから、本件請求項1~8の記載では、発明の構成を明確に特定することができない旨を主張している。また、本件訂正前発明1~8において特定されているのは、単一のショベルのみであって、「複数のショベル」は発明の構成要素として特定されていないから、本件訂正前発明1~8の外延を明確に特定することはできない旨を主張している。(申立書A16頁1~末行) イ 申立人Bは、サポート要件違反において述べた理由と同じ理由により、本件訂正前発明1~8、10の記載は不明確である旨を主張しているところ(申立書B38頁24行~39頁15行)、明確性要件違反については、以下のような主張をしている。 (ア)本件訂正前発明1において、対象物が「ショベル」でありながら、「自ショベルを含む複数のショベル」の構成を述べており、発明の対象物に関して矛盾する記載がふくまれている。(申立書B31頁25~31行) (イ)本件訂正前発明3の「前記追加学習済みモデル」が「自ショベル及び自ショベルとは異なる他ショベルのうちの少なくとも一方で取得される作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた」という記載は、本件訂正前発明2の「少なくとも複数のショベルにおける環境情報取得部で取得される作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習される」という記載と論理的に矛盾がある。(申立書B36頁23~26行) (ウ)本件訂正前発明4の「人工的に生成される作業現場の環境情報から生成される前記教師情報」は、請求項1及び2で特定される、「取得された作業現場の環境情報から生成される教師情報」又は「複数のショベルで取得される周囲の作業現場の環境情報から生成される前記教師情報」との対応関係が不明である。(申立書B37頁12~16行) (エ)本件訂正前発明10の「同一のショベル」が何を意味するのか不明であり、請求項9の記載とどのように対応するのかも不明である。(申立書B38頁13~17行) ウ 申立人Aは、意見書Aにおいて、本件訂正後の請求項1,2,9に係る発明、及びこれを引用する請求項3、4、6~8、10~12に係る発明は、(1)旋回動作が行われたことを表す条件が成立した場合及び走行動作が行われたことを表す条件が成立した場合の何れにおいても環境情報を記録する態様に限定する趣旨であるのか、あるいは、(2)旋回動作は考慮することなく「走行動作が行われたことを表す条件が成立した場合」に環境情報を記録する態様や走行動作は考慮することなく「旋回動作が行われたことを表す条件が成立した場合」に環境情報を記録する態様も広く包含する趣旨であるのか、を判別することができず、かかる不明確性は、本件発明の技術的範囲の解釈を著しく困難にし、第三者に不測の不利益を与え得る重大なものである旨を主張している(意見書A5頁2行~6頁5行)。 (2)明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (3)判断基準に基づく判断 上記判断基準に照らして、本件訂正で削除された請求項5を除く、申立理由2A及び申立理由2Bの対象請求項である、請求項1~4、6~8及び10について、検討する。 ア 上記(1)アの申立人Aの主張について 本件発明1及び2は、「学習済みモデル」は、「前記記録部により前記記憶部に記録された、作業現場の環境情報から生成される教師情報に基づき追加学習が行われ」て、「追加学習済みモデルに更新され」ることが理解できる。したがって、「ショベル」の「判定部」で用いられる「学習済みモデル」についての記載は明確であり、「ショベル」が「管理装置」を備えることが特定されていないからといって、ショベルの構成が不明確となるものとはいえない。 また、本件発明1及び2において、「複数のショベル」に関する特定について検討する。 本件発明1では「自ショベルを含む複数のショベルは、同一の前記学習済みモデルを有すると共に、前記学習済みモデルを用いて、前記判定を行い、」と特定されているところ、この特定により、「ショベル」の「判定部」で用いられる「学習済みモデル」は、「自ショベル」すなわち、「教師情報」を生成する元となる「環境情報」を取得した「ショベル」(構成要件1E参照)や、そうではないショベルを含めた複数のショベルにおいて、「同一」のものが用いられていることが示されていると理解できる。 また、本件発明2では、「前記学習済みモデルは、複数のショベルで取得される周囲の作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた前記追加学習済みモデルに更新される」と特定されているところ、この特定により、「ショベル」の「判定部」で用いられる「学習済みモデル」は、「追加学習済みモデルに更新」するにあたって、「教師情報」を生成するもととなる「作業現場の環境情報」が、「複数のショベルで取得される」ことが示されていると理解できる。 よって、本件発明1及び2の「ショベル」の「判定部」で用いられる「学習済みモデル」についての記載は明確であり、「複数のショベル」が特定されていないからといって、ショベルの構成が不明確となるものとはいえない。本件発明1及び2を引用して記載する発明についても同様である。 イ 上記(1)ウの申立人Aの主張について 上記第2の2(2)ア(ウ)bにおいて言及したとおり、本件特許明細書の段落【0061】、【0062】の記載から、「記録タイミング」が、走行時又は旋回時となったときに、撮像装置70の撮像画像を記憶部324に記録することを意味しているものと理解でき、このようなことをふまえれば、本件発明1、2は、自ショベルの旋回動作が行われたこと又は走行動作が行われたことを表す条件が成立した場合において、環境情報取得部により取得される環境情報を記憶部に記録するものと理解でき、この点について不明確とはいえない。 なお、申立人Aが意見書Aで請求項9~12について追加した明確性要件違反に関する主張は、申立理由2Aの要旨を変更するものであって採用できないが、請求項1及び請求項2について上述したのと同様の理由でも、採用できない。 ウ 上記(1)イの申立人Bの主張について (ア)本件発明1において、「ショベル」が「判定」に用いる「学習済みモデル」について、「自ショベルを含む複数のモデル」で同一であることが特定されたからといって、そのような「学習済みモデル」を用いる「ショベル」について、特段不明確となるとはいえない。 したがって、申立人Bが上記(1) イ(ア)で主張する点について、本件発明1が第三者に不測の不利益を生じさせる程に不明確であるとはいえない。 (イ)本件発明3は、本件発明1または本件発明2を引用するところ、「自ショベル及び自ショベルとは異なる他ショベルのうちの少なくとも一方で取得される作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた」という本件発明3の構成について、本件発明2を引用する場合に、必ず「自ショベル」のみで取得される作業現場の環境情報で追加学習することが特定されているものではないから、本件発明2における「複数のショベルで取得される周囲の作業現場の環境情報から生成される前記教師情報に基づき前記追加学習が行われた」という構成と矛盾するとはいえない。 したがって、申立人Bが上記(1)イ(イ)で主張する点について、本件発明3が第三者に不測の不利益を生じさせる程に不明確であるとはいえない。 (ウ)本件発明4は、本件発明1または本件発明2を引用するところ、本件発明4における「追加学習」は、本件発明1または本件発明2で特定される「ショベルの周囲の作業現場の環境情報を取得する環境清報取得部」により取得された「作業現場の環境情報から生成される教師情報」に基づく「追加学習」、及び、本件発明4で特定される「人工的に生成される作業現場の環境情報から生成される前記教師情報」に基づく「追加学習」の、両方が行われると、合理的に理解される。 したがって、本件発明4における特定と、本件発明1または本件発明2における特定との対応関係は、整合的に理解されるから、申立人Bが上記(1) イ(ウ)で主張する点について、本件発明4が第三者に不測の不利益を生じさせる程に不明確であるとはいえない。 (エ)本件発明9は、「ショベル支援システム」について、「第1のショベル」、「第2のショベル」及び「外部装置」を含むこと、並びにこれら「ショベル」と「外部装置」の機能的な関係を特定しており、本件発明10は、本件発明9における「第1のショベル」と「第2のショベル」とが「同一のショベル」であることを特定しているところ、これら本件発明9及び本件発明10で特定される構成について、特段の矛盾や不整合があるとはいえない。 したがって、申立人Bが上記(1) イ(エ)で主張する点について、本件発明9及び本件発明10が第三者に不測の不利益を生じさせる程に不明確であるとはいえない。 エ まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1~4、6~8及び10について、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはえない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、請求項1~4、6~12に係る発明の特許は、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。 さらに他に請求項1~4、6~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件訂正により、請求項5は削除された。これにより、請求項5に係る特許についての特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701031

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