特許異議申立
2025-700762
商品販売データ処理システム及び商品販売データ処理方法
- 審判番号
- 2025-700762
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2024-072609
- 登録番号
- 7621018
- 請求日
- 2025年07月24日
- 審決日
- 2026年05月19日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社寺岡精工
- 【権利者代理人】松沼 泰史
- 【権利者代理人】平野 昌邦
- 【異議申立人】IPセイル 合同会社
- 審判長/審判官
- 審判長 岩間 直純
- 審判官 富澤 哲生
- 審判官 萩島 豪
- 分類
- P1651.121-YAA(G07G) / P1651.561-YAA(G07G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7621018号発明「商品販売データ処理システム及び商品販売データ処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7621018号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、5、6について訂正することを認める。
特許第7621018号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
特許第7621018号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和2年7月31日の出願である特願2020-130126号の一部を、令和6年4月26日に新たな特許出願としたものであって、令和7年1月16日にその特許権の設定登録がされ、同月24日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、特許異議申立人 IPセイル合同会社(以下「申立人」という。)は、令和7年7月24日に特許異議の申立てを行った。
本件特許異議の申立てがされた以降の手続の経緯は、次のとおりである。
令和7年 7月24日 申立人による特許異議の申立て
令和7年 9月26日付け 取消理由通知書
令和7年12月 1日 意見書及び訂正請求書(特許権者)
令和7年12月12日付け 訂正請求があった旨の通知
令和8年 1月15日 意見書(申立人)
令和8年 3月 2日付け 訂正拒絶理由通知書
令和8年 4月 3日 意見書(特許権者)
第2 本件訂正について
1 訂正の内容
令和7年12月1日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであって、その内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載されている「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」を、「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」に訂正する(請求項1を引用する請求項2~4も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に記載されている「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」を、「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に記載されている「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」を、「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」に訂正する。
2 一群の請求項について
訂正前の請求項1~4について、請求項2~4は請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、一群の請求項〔1~4〕について請求されたものである。
3 訂正の適否についての当審の判断
(1)新規事項の有無
ア 訂正事項1に係る「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」との発明特定事項に関し、訂正が、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであるかについて、以下に検討する。訂正事項2、3に係る訂正についても同様に検討する。
イ 本件明細書等には、次の記載がある(下線は当審による。)。
(ア)「【0095】
[入店画面操作に応じたクーポン関連情報提示]
図10(A)の入店画面においては、クーポンリストボタンBT11が配置されている。クーポンリストボタンBT11は、客がクーポンリスト画面の表示を指示する場合に操作されるボタンである。
店舗に入場した客は、客端末装置50にてショッピングアプリケーションを起動させる。客端末装置50は、ショッピングアプリケーションの起動に応じて入店画面を表示する。客は、入店画面の取引開始指示ボタンBT10を操作して取引を開始させる前の段階で、店舗にて利用できるクーポンを確認しておきたいような場合に、クーポンリストボタンBT11を操作し、クーポン一覧画面を表示させる。
【0096】
図12(A)は、客端末装置50にて表示されるクーポン一覧画面の一例を示している。同図のクーポン一覧画面においては、クーポンのリストが提示される。クーポン一覧画面においては、クーポン管理サーバ80が提供するクーポンのうちで、客が入場した店舗にて利用可能なクーポンのリストが提示される。なお、例えばクーポン一覧画面は、例えば商品の分類を指定する操作に応じて、指定された分類に該当する商品に対応するクーポンのリストを提示するようにされてよい。また、検索文字列を入力する操作に応じて、検索文字列に該当する商品に対応するクーポンのリストを提示するようにされてもよい。」
(イ)「【図12】
[図:0001439211000001.jpg]
(ウ)「【0108】
[商品登録段階におけるクーポン関連情報提示]
本実施形態において、客端末装置50は、客の操作に応じて商品登録に応じた処理を実行している段階(商品登録段階)において、以下に説明するようにクーポン関連情報を提示することができる。
客は、商品登録段階において、客端末装置50にて商品登録画面が表示されている状態のもとで、登録対象の商品に付されたバーコードを客端末装置50により撮像させることでコードの読み取りが行われ、客端末装置50が商品コードを取得することに応じて商品登録が行われる。以降において、客が商品登録のために客端末装置50に商品のバーコードを読み取らせることを商品登録操作という。
【0109】
そのうえで、本実施形態においては、客が商品登録操作を行ったときに、当該商品登録操作により登録対象とされた商品と所定の関係を有するクーポン(商品関連クーポン)がある場合、客端末装置50にて、商品関連クーポンを提示する商品関連クーポン画面を表示する、商品関連クーポン画面は、クーポン一覧画面やクーポン詳細画面とともに、クーポン関連画面1つである。
【0110】
本実施形態において、1の登録対象の商品(登録対象商品)に対応する商品関連クーポンは、店舗にて提供するクーポンのうち、以下の関連条件1~3のいずれかを満たすクーポンである。
【0111】
関連条件1:登録対象商品を適用対象とし、かつ、利用宣言されているクーポン。
【0112】
関連条件2:登録対象商品を適用対象とするクーポンの利用宣言がされていない場合において、登録対象商品の「類似商品」として定められた商品を適用対象とするクーポンであって、利用宣言されているクーポン。「類似商品」は、対象の商品に対して、例えば商品の分類(種類)が類似するものとして関連付けされた商品である。
なお、関連条件2のもとで、登録対象商品を適用対象とするクーポンが利用宣言されているか否かは問わないものとしてもよい。
【0113】
関連条件2に該当するクーポンの一具体例としては、以下のようになる。例えば登録対象商品がメーカAのオレンジジュースである場合に、メーカBのオレンジジュースが当該メーカAのオレンジジュースの類似商品として定められていた。そのうえで、メーカBのオレンジジュースを適用対象とするクーポンが客により利用宣言されていた。このような場合に、メーカBのオレンジジュースを適用対象とするクーポンが関連条件2に該当するクーポンとなる。
あるいは、登録対象商品と同じ商品種別であってサイズや内容量が異なる商品も類似商品に定められてよい。
【0114】
商品関連クーポン画面において、このような関連条件2に該当するクーポンに関連する情報(クーポン関連情報)が提示されることで、客は、同じオレンジジュースとして、メーカAのものはクーポンの利用宣言をしていない(適用対象のクーポンが無い場合も含む)が、メーカBのものはクーポンの利用宣言をしていることを把握できる。そして、客は、例えば商品登録操作を行って登録対象としたメーカAのオレンジジュースの登録を取り消し、メーカBのオレンジジュースを登録することで、クーポンを利用して買い物を行うことができる。
【0115】
関連条件3:登録対象商品に関連付けされた「関連付商品」として定められた商品を適用対象とするクーポンのうち、利用宣言されているクーポン。「関連付商品」は、類似商品には該当しないが、登録対象商品と所定の関連性を有することにより、登録対象商品に対して関連付けされた商品である。関連条件3の場合、登録対象商品を適用対象とするクーポンが利用宣言されているか否かは問わない。
【0116】
関連条件3に該当するクーポンの一具体例としては、例えば登録対象商品がカレールウである場合に、当該カレールウの関連付商品の1つとして、一般にカレーの具の1つとして利用されるジャガイモが定められており、当該ジャガイモを適用対象とするクーポンが提供されていた。このような場合に、ジャガイモを適用対象とするクーポンが、関連条件3に該当するクーポンとなる。
商品関連クーポン画面において、このような関連条件3に該当するクーポンに関連する情報(クーポン関連情報)が提示されることで、客は、登録対象商品であるカレールウに関連する商品として、ジャガイモがクーポンの適用対象とされていることを把握することができる。また、客は、カレールウとともにジャガイモも購入することを忘れてしまっていたような場合には、そのことを思い出すことができる。そして、客は、ジャガイモを購入するにあたり、適用対象のクーポンについて利用宣言されていない場合には、利用宣言をしてからジャガイモの商品登録を行うことができる。
【0117】
図13(A)は、商品関連クーポン画面の一例を示している。同図の商品関連クーポン画面は、商品登録画面上に重畳して配置されたレイヤ画像として表示される例を示している。商品関連クーポン画面としてのレイヤ画像においては、関連クーポン提示エリアAR30と、閉じるボタンBT34とが配置されている。」
(エ)「【0123】
また、図13(A)の商品関連クーポン画面の関連クーポン提示エリアAR30においては、クーポンリストボタンBT33が配置されている。客によりクーポンリストボタンBT33が操作されることに応じて、客端末装置50は、クーポン一覧画面の表示に遷移させる。この場合に表示されるクーポン一覧画面は、図12(A)の態様と同様であってよい。
クーポン一覧画面は、所定操作が行われることに応じて消去され、図13(A)の商品関連クーポン画面に表示が戻される。」
(オ)「【図13】
[図:0001439211000002.jpg]
」
ウ 上記イの本件明細書等の記載について、次のことがいえる。
(ア)上記イ(ウ)によれば、本件明細書等には、客が商品登録のために客端末装置50に商品のバーコードを読み取らせる商品登録操作を行ったときに、当該商品登録操作により登録対象とされた商品と所定の関係を有するクーポン(商品関連クーポン)がある場合、客端末装置50にて、商品関連クーポンを提示する、一例として図13(A)に示されるような商品関連クーポン画面を表示することが記載されており、さらに、商品関連クーポンが、店舗にて提供するクーポンのうち、関連条件1~3のいずれかを満たすクーポンであり、ここで、関連条件1は、登録対象商品を適用対象とし、かつ、利用宣言されているクーポンであり、関連条件2は、登録対象商品を適用対象とするクーポンの利用宣言がされていない場合において、登録対象商品の「類似商品」として定められた商品を適用対象とするクーポンであって、利用宣言されているクーポンであり、関連条件3は、登録対象商品に関連付けされた「関連付商品」として定められた商品を適用対象とするクーポンのうち、利用宣言されているクーポンであることが記載されているといえる。
(イ)また、上記イ(エ)によれば、本件明細書等にはさらに、客により商品関連クーポン画面に配置されたクーポンリストボタンBT33が操作されることに応じて、客端末装置50が、図12(A)の態様と同様のクーポン一覧画面の表示に遷移させることが記載されているといえる。ここで、図12(A)は、上記イ(ア)によれば、客が、取引を開始させる前の段階で、店舗にて利用できるクーポンを確認しておきたいような場合に表示されるクーポン一覧画面の一例として示されているものである。
(ウ)つまり、本件明細書等の上記イの部分には、客が客端末装置で商品登録操作を行ったときに、当該商品登録操作を行った商品との間で所定の関係を有するクーポン(具体的には、関連条件1~3のいずれかを満たす商品関連クーポン)を提示する商品関連クーポン画面を表示し、さらに、客が当該商品関連クーポン画面に対する操作(具体的には、表示されるクーポンリストボタンの操作)を行うと、店舗にて利用できるクーポンの一覧を表示するとの事項が記載されている。これより、本件明細書等(特に、【0123】及び図12(A))には、訂正事項1に係る発明特定事項である「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能」であることが記載されていると解される。
なお、当該解釈は、本件明細書等に記載された事項の認定において、客が客端末装置で商品登録操作を行ったときに、「当該商品登録操作を行った商品との間で所定の関係を有するクーポン」を「提示する商品関連クーポン画面を表示する」との事項を除外して解釈するものともいえるが、本件明細書等に記載した事項を認定するにあたり、当該事項を除外しても他の技術事項(特に「商品登録操作」)との関係において矛盾なく把握できることから、当該事項は必須のものとは解されず、本件明細書等の記載事項を把握するにあたり、適宜除外して把握可能な事項と解される。
エ なお、特許権者による令和8年4月3日提出の意見書において、特許権者は、訂正事項1に係る発明特定事項である「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」について、本件明細書の段落【0109】、【0123】の記載に基づいて新規事項の追加には該当しない旨主張しているところ、上記ウ(ウ)の判断は、前記特許権者の主張と整合的である。
オ よって、訂正事項1に係る発明特定事項である「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」は、本件明細書等に記載された事項の範囲内のものと認められるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。
カ 訂正事項2、3に係る訂正は、当該各訂正事項に係る発明特定事項が訂正事項1と共通であるから、訂正事項1に係る訂正と同様に、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。
(2)訂正の目的の適否、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1~3は、訂正前の請求項1、5、6にそれぞれ記載されている「利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」について、「クーポンリスト表示手段」が「利用可能なクーポンリスト」を「表示可能」となる条件が、「前記商品登録手段による登録操作を行ったとき」であることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1~3は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
4 独立特許要件について
本件特許異議の申立ては、請求項1~6を対象とするものであるから、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
5 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、5、6について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
購入対象の商品を登録する商品登録手段と、
前記商品登録手段による商品登録が行われる店舗を特定する特定手段と、
前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段と、
前記クーポンリスト表示手段により表示されたクーポンリストにて提示されるクーポンについて利用の宣言を行うことが可能なクーポン利用宣言手段と、
を備える客端末装置。
【請求項2】
前記クーポン利用宣言手段により宣言されたクーポンの利用を解除するクーポン利用解除手段をさらに備える
請求項1に記載の客端末装置。
【請求項3】
前記クーポンリストの画面において、当該クーポンリストにて提示されるクーポンが適用対象とする商品に関する詳細情報を表示させる操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が前記操作を受け付けたことに応じて、前記操作により指定されたクーポンが適用対象とする商品に関する詳細情報を表示する詳細情報表示手段とをさらに備える
請求項1または2に記載の客端末装置。
【請求項4】
表示された前記詳細情報が対応する商品の店舗内の場所を案内する売場案内手段をさらに備える
請求項3に記載の客端末装置。
【請求項5】
客端末装置と精算装置を備える商品販売データ処理システムであって、
前記客端末装置は、
購入対象の商品を登録する商品登録手段と、
前記商品登録手段による商品登録が行われる店舗を特定する特定手段と、
前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段と、
前記クーポンリスト表示手段により表示されたクーポンリストにて提示されるクーポンについて利用の宣言を行うことが可能なクーポン利用宣言手段とを備え、
前記精算装置は、
前記商品登録手段により登録された商品のリストを表示する登録商品リスト表示手段と、
前記商品登録手段により登録された商品の精算処理を実行する精算手段とを備え、
前記登録商品リスト表示手段は、前記登録された商品のリストにおいて、クーポンが適用されている商品に応じた値引きが行われていることが示されるようにする
商品販売データ処理システム。
【請求項6】
客端末装置としてのコンピュータを、
購入対象の商品を登録する商品登録手段、
前記商品登録手段による商品登録が行われる店舗を特定する特定手段、
前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段、
前記クーポンリスト表示手段により表示されたクーポンリストにて提示されるクーポンについて利用の宣言を行うことが可能なクーポン利用宣言手段、
として機能させるためのプログラム。」
第4 取消理由通知書に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和7年9月26日付けの取消理由通知書において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証、甲第2号証、甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証、引用文献6、引用文献7及び引用文献8(審決注:甲第1号証を除き、種々の周知技術を示すとされたものであり、個々の周知技術に対応して選択的に引用されている。)に記載された発明に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証:特開2020-67917号公報
甲第2号証:特開2012-180065号公報
甲第6号証:「お客様の更なる利便性向上を目指して 8月28日(金曜)、「かざすクーポン」 ・かざしてクレジット「iD」の全国導入を完了」[online],2009年8月20日,インターネット<URL:https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/page/090820_00.html>
甲第8号証:特開2014-71536号公報
甲第9号証:特開2016-151995号公報
引用文献6:特開2008-77328号公報
引用文献7:特許第4590954号公報
引用文献8:特許第6420193号公報
2 甲第1号証の記載事項、甲1発明
(1)甲第1号証には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0024】
図1は、ショッピングシステムを説明するためのネットワークの概念図である。図1に示すショッピングシステムは、管理装置(例えば、ストアコントローラ)10、クラウドサーバ20、精算装置30、精算装置40、及び、携帯端末50(例えば、スマートフォン等)を含む。
【0025】
管理装置10、精算装置30、精算装置40は、店舗内に設置されるものであり、LAN19(有線でも無線でもよい)を介して通信可能に接続されている。管理装置10は、クラウドサーバ20と通信可能である。なお、図1において、2台の精算装置30を図示したが、1店舗内の精算装置30の数は、1台であってもよいし3台以上であってもよい。また、図1において、2台の精算装置40を図示したが、1店舗内の精算装置40の数は、1台であってもよいし3台以上であってもよい。精算装置30の台数と精算装置40の台数は一致していなくてもよい。また、管理装置10は、基本的には1店舗に1台であるが、2台以上であってもよい。
【0026】
携帯端末50は、顧客(当該店舗の会員である買物客等)によって操作されるものである。携帯端末50は、一般的な、通信機能や撮像機能(カメラ)に加えて、商品に付されるバーコードをスキャンして商品コードを読み取る、つまり商品に付されるバーコードを認識する認識機能を備える。なお、携帯端末50が備える認識機能は、商品コードを読み取ることができるものであればよく、読み取った商品コードが何れの商品の商品コードであるかを認識できるものでなくてもよい。つまり、携帯端末50は、撮像機能によって撮像されている撮像画像(スルー画像として取得している画像)内にオブジェクトとしてバーコードが存在する場合に、当該バーコードから商品コードを読み取ることができるようになっていればよい。」
「【0094】
図8は、図5の機能構成における、処理の流れの概略を説明するシーケンス図である。具体的には、図8は、ある店舗に、ある顧客が来店し、当該店舗に陳列されている商品を登録し、登録した商品の精算が完了する迄における、当該顧客の携帯端末50、当該店舗に設置された精算装置40、データセンタ等の外部に設置されたクラウドサーバ20の夫々の処理の一例を示したものである。図8の左側が、携帯端末50の処理、中央が精算装置40の処理、右側がクラウドサーバ20の処理である。図9は、携帯端末50の表示部における表示例である。図10は、精算装置の表示部における表示例である。
【0095】
以下、図5、図7、図9、図10等を参照しつつ、図8に示した動作の流れを説明する。
ステップS1:携帯端末50は、店舗を特定する情報(店舗特定情報)を取得する。例えば、店舗の入口付近に当該店舗を特定するための2次元コードを表示(2次元コードを表示画面に出力、2次元コードを印刷した媒体を貼付等)しておき、来店した顧客が、携帯端末50で2次元コードをスキャンする(読み取る)ことにより、携帯端末50は店舗特定情報を取得してもよい。なお、来店した顧客がアプリを起動させると、初期画面として2次元コードのスキャンを該顧客に指示する画面を表示するようにしてもよいし、来店した顧客が携帯端末50で2次元コードをスキャンすると、アプリが起動し、初期画面としてクラウドサーバ20に接続中である旨を該顧客に報知する画面を表示するようにしてもよい。
【0096】
また例えば、店舗は所在地で特定されるため、来店した顧客が、店舗において携帯端末50で位置情報(GPS情報)を取得してもよい(すなわち、店舗特定情報として当該店舗の位置情報を取得してもよい)。なお、来店した顧客がアプリを起動させると、位置情報を取得し、初期画面としてクラウドサーバ20に接続中である旨を該顧客に報知する画面を表示するようにしてもよい。位置情報から複数店舗が検出され1つに特定できない場合には、選択画面を表示し顧客に選択させるようにしてもよい。もしくは強制的に2次元コードを取得させるモードに切り替えてもよい。
【0097】
店舗特定情報を取得した携帯端末50は、取引開始要求として、取得した店舗特定情報を顧客識別情報とともにクラウドサーバ20に送信する(図5及び図8の送受信データ「D1」参照)。顧客識別情報については、上述したように、顧客登録の際(携帯端末50にアプリをダウンロード又はインストールする際)に、携帯端末50を用いて登録フォームの氏名欄に入力された情報がクラウドサーバ20の顧客情報に記憶されるが、クラウドサーバ20に加え、携帯端末50の記憶部にも記憶しておいてもよい。なお、店舗が特定された場合には(後述する商品登録初期画面を取得したときには)、当該店舗の店舗名や実施中のサービス(その日に配布されているチラシ情報)、利用可能なクーポン情報を画面(商品登録初期画面又は商品登録初期画面とは別の画面)に表示してもよい。なお、サービスやクーポンの情報は、例えば画面情報としてクラウドサーバ20から取得してもよい。」
「【0099】
ステップS2:携帯端末50から取引開始要求として顧客識別情報及び店舗特定情報を受信したクラウドサーバ20は、当該取引のバスケットを生成する。具体的には、図7(C)に示すようなバスケット情報を生成する。なお、バスケット情報の生成時には、バスケット識別情報、取引開始日時、顧客識別情報は生成されるが、実際の取引(商品登録)の開始前であるため、他の情報(取引終了日時等)は生成されない。」
「【0102】
ステップS3:当該取引のバスケットを生成したクラウドサーバ20は、商品登録初期画面情報(初期画面である商品登録画面の画面情報)を生成し、携帯端末50に送信する。具体的には、クラウドサーバ20は、例えば、携帯端末50において図9(A)に示すような商品登録初期画面が表示されるような商品登録初期画面情報を生成し、生成した商品登録初期画面情報をバスケット識別情報とともに携帯端末50に送信する(図5及び図8の送受信データ「D2」参照)。
【0103】
ステップS4:クラウドサーバ20からバスケット識別情報及び商品登録初期画面情報を受信した携帯端末50は、バスケット識別情報を記憶するとともに、登録画面を表示部に表示する。具体的には、携帯端末50は、例えば図9(A)に示すような商品登録初期画面を表示する。
【0104】
ステップS5:顧客の操作により携帯端末50は、商品に付されたバーコードをスキャンし、商品コードを読み取る。なお、図8では、バーコードのスキャンは成功したものとする。なお、図5では説明の便宜上簡略化したが、ステップS5~ステップS9は、商品に付されたバーコードをスキャンする毎に繰り返し実行される。
【0105】
バーコードを取得した携帯端末50は、バスケット識別情報とともに、スキャンによって得られた商品コードをクラウドサーバ20に送信する(図5及び図8の送受信データ「D3」参照)。
【0106】
ステップS6:携帯端末50からバスケット識別情報及び商品コードを受信したクラウドサーバ20は、バスケット識別情報から当該取引のバスケットを特定する。
【0107】
ステップS7:クラウドサーバ20は、特定したバスケット内の商品データを更新する。具体的には、クラウドサーバ20は、N品目として商品コードを受信した場合には、特定したバスケットのバスケット情報において、当該商品コードを登録商品情報(登録商品N)の商品コードとして記憶し、当該商品コードに対応する品名及び価格を商品情報から取得し、登録商品情報(登録商品N)の商品及び価格して記憶する。また、クラウドサーバ20は、特定したバスケットのバスケット情報において、登録商品情報(計)を更新する。
【0108】
ステップS8:バスケット内の商品データを更新したクラウドサーバ20は、商品登録更新画面情報(登録した商品が追加された更新画面である商品登録画面の画面情報)を生成し、携帯端末50に送信する。具体的には、クラウドサーバ20は、例えば、携帯端末50において図9(B)に示すような商品登録更新画面が表示されるような商品登録更新画面情報を生成し、生成した商品登録更新画面情報をバスケット識別情報とともに携帯端末50に送信する(図5及び図8の送受信データ「D4」参照)。」
「【0110】
ステップS9:クラウドサーバ20からバスケット識別情報及び商品登録更新画面情報を受信した携帯端末50は、登録画面に商品を追加する。具体的には、携帯端末50は、例えば図9(B)に示すような商品登録更新画面を表示する。なお、上述したように、図9(B)に示した商品登録画面(商品登録更新画面)は、3品目の商品として「〇〇食パン」が登録された後に携帯端末50に表示されるものである。
【0111】
ステップS10:携帯端末50は、顧客の操作として会計指示を受け付ける。例えば、図9(B)に示した「お会計へ進む」ボタンのタッチを受け付ける。
【0112】
ステップS11:会計指示を受け付けた携帯端末50は、2次元コードを生成する。つまり、携帯端末50は、当該携帯端末50による買上商品について精算処理を実行するために必要となる情報(例えば、バスケット識別情報)を2次元コード化する。2次元コードを生成した携帯端末50は、生成した2次元コードを表示部に表示する。例えば、図9(C)に示したような2次元コードを表示したコード表示画面を表示部に表示する。
【0113】
ステップS12:精算装置40は、携帯端末50の表示部に表示されている2次元コードをスキャンする(読み取る)。例えば、精算装置40は、店員によって客側スキャナ部406による認識範囲内に向けられた携帯端末50の表示部に表示されている2次元コードをスキャンする。
【0114】
ステップS13:携帯端末50の表示部に表示されている2次元コードを読み取った精算装置40は、クラウドサーバ20に小計金額の算出を要求する。例えば、精算装置40は、小計金額の算出を要求する算出要求(小計算出要求情報)を2次元コードから取得したバスケット識別情報とともにクラウドサーバ20に送信する(図5及び図8の送受信データ「D5」参照)。」
「【0117】
ステップS16:小計金額を算出したクラウドサーバ20は、バスケット情報を更新(小計金額(算出後小計金額)を記憶)するとともに、算出した小計金額を示す小計情報をバスケット識別情報とともに精算装置40に送信する(図5及び図8の送受信データ「D6」参照)。」
「【0121】
ステップS18:客側表示部405に小計金額を表示した精算装置40は、支払い(精算)を実行する。具体的には、精算装置40は、決済種別の選択を受け付ける。現金の場合には、預り金の投入を受け付けて、釣り銭金額を算出し、釣り銭がある場合には、釣り銭を放出するとともに、レシートを発行する。また、精算装置40は、精算が完了した場合には、精算完了情報をバスケット情報とともにクラウドサーバ20に送信し、クラウドサーバ20は当該バスケットの取引終了日時(精算日時)を記憶する。」
「【0154】
上述した図8において、携帯端末50の表示部に表示されている2次元コードを読み取った精算装置40は、クラウドサーバ20に小計金額の算出を要求し、当該要求に対する応答として、クラウドサーバ20は精算装置40に小計情報を送信したが、より詳細な情報を送信し、精算装置40は、登録確認画面を表示してもよい。図16は、保留商品がない場合の登録確認画面の一例を示す図である。
【0155】
図16に示す登録確認画面900には、登録した商品の一覧900aが表示されており、上方位置に「お会計」キー900bが表示されている。なお、一覧900aの表示は、矢印900cを操作することでスクロールすることができる。
【0156】
また、登録確認画面900の下方位置には、商品の価格帯別の登録数量を示す価格帯登録数900dが表示されている。図16に示す例では、¥1,000以上、¥500~999円、¥300~499円、¥300円以下の価格帯について、それぞれの商品個数が表示されている。価格帯別の登録数量が表示されることで、店員は、会員が購入した商品の概略を把握することができる。また、高額商品が購入されているときは、パトライト(登録商標)やその他装置(監視装置)、サービス管理責任者等に通知しても良く、高額商品の梱包などを店員によりお手伝いすることができる。」
「【0174】
次に、クーポン等の品券の登録について説明する。本実施形態に係る携帯端末50は、紙媒体によるクーポン券のクーポン情報を登録することができる。例えば、クーポン券に印刷されているバーコードを読み取ることによって、記録されている割引情報を取得して、商品の登録に反映することができる。なお、記録されているクーポン情報がユニークなクーポン情報であれば、該クーポン情報の読み取りによって当該クーポン情報を無効にすればよい。また、クーポン券の回収が必要であれば、買い物中に店員を呼び出して入力してもらうか、有人の精算装置にて決済を行うようにしてもよい。
【0175】
なお、携帯端末50は、読み取ったクーポン情報を自動的に最大の値引条件になるように計算し、商品の価格に反映して登録情報を出力してもよい。また、携帯端末50は、商品の登録情報にクーポン情報をあわせてQRコード(登録商標)等のコード情報として出力し、POS端末等において値引き処理等を行っても良い。この際には、登録情報及びクーポン情報は、識別情報として管理装置10から登録情報及びクーポン情報を取得するようにしてもよい。」
「【図1】
[図:0001439211000003.jpg]
」
「【図9】
[図:0001439211000004.jpg]
」
「【図16】
[図:0001439211000005.jpg]
」
(2)上記(1)の記載から、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。
「店舗を特定する情報(店舗特定情報)を取得し、
店舗が特定された場合には、利用可能なクーポン情報を画面に表示し、
顧客の操作により、商品に付されたバーコードをスキャンし、商品コードを読み取り、スキャンによって得られた商品コードをクラウドサーバ20に送信し、
紙媒体によるクーポン券のクーポン情報を登録することができ、クーポン券に印刷されているバーコードを読み取ることによって、記録されている割引情報を取得して、商品の登録に反映する、
携帯端末50。」
(3)また、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明2」という。)も記載されていると認められる。
「管理装置(例えば、ストアコントローラ)10、クラウドサーバ20、精算装置40、及び携帯端末50(例えば、スマートフォン等)を含むショッピングシステムであって、
携帯端末50は、店舗を特定する情報(店舗特定情報)を取得し、
店舗が特定された場合には、利用可能なクーポン情報を画面に表示し、
顧客の操作により携帯端末50は、商品に付されたバーコードをスキャンし、商品コードを読み取り、スキャンによって得られた商品コードをクラウドサーバ20に送信し、
携帯端末50は、顧客の操作として会計指示を受け付け、会計指示を受け付けた携帯端末50は、2次元コードを生成し、
精算装置40は、携帯端末50の表示部に表示されている2次元コードをスキャンし(読み取り)、
精算装置40は、支払い(精算)を実行し、
携帯端末50の表示部に表示されている2次元コードを読み取った精算装置40は、登録確認画面を表示し、登録確認画面900には、登録した商品の一覧900aが表示され、
携帯端末50は、紙媒体によるクーポン券のクーポン情報を登録することができ、クーポン券に印刷されているバーコードを読み取ることによって、記録されている割引情報を取得して、商品の登録に反映する、
ショッピングシステム。」
3 引用文献7の記載事項
取消理由通知書にて引用された引用文献7には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0079】
表示画面データ生成部323は,例えば,受注した商品ごとに選び出したクーポンデータの一覧を利用者端末101の画面上に表示する表示画面データを生成する。利用者端末101の画面上にはWebページ等,生成された表示画面データが表示される。なお,表示画面データ生成部323は,かかる例に限定されず,例えば,クーポン選出部321による選出処理の前に選出対象から除外するためのクーポンデータ選出対象外一覧等の表示画面データを生成しても良い。」
「【0093】
さらに,スーパー等の販売店で商品を買い物かごに入れて,レジで精算するのと同じく,Web上のオンラインショッピングでも,1又は2以上の商品を選択し,仮想的な買い物かごに投入することで,仮注文を行い,全ての商品の選択が終了すると,利用者端末101の画面上に仮注文を行った商品の一覧が,買い物かごの内容一覧として表示される。利用者は買い物かごに入っている商品を確認し,「次へ進む」ボタンが入力部106によって選択されると,ECサーバ102はその買い物かごに入っている1又は2以上の商品を一括して受注処理し,決済処理することができる。
【0094】
図7は,利用者端末101において,図6に示す注文確認画面の「次へ進む」ボタンを,例えば入力部106のマウスでクリックした場合の画面イメージである。図示のように,アプリケーションサーバ102cは,受注した商品について,利用者が保有するクーポンデータを商品クーポン明細DB421から自動的に選び出す。選び出されたクーポンデータは,利用者端末101の画面に表示される。なお,チェックボックスに“レ”が表示されている場合は,商品にそのクーポンを利用することを示しており,利用しない場合は,利用者はマウス等の入力部106で“レ”を非表示にし利用を解除する必要がある。クーポンデータの選出処理については,後述する。
【0095】
図8は,図7で示した画面イメージの変形例である。図7に示す画面イメージは,ECサーバ102側でクーポンデータを選び出した後に,利用者端末101が表示する画面イメージであるが,図8に示す画面イメージは,ECサーバ102側でクーポンデータを選び出す前に,利用者端末101が表示する画面イメージである。図示のように,利用者が保有するクーポンデータの一覧が画面に表示され,利用者は,画面に表示されたクーポンデータの中から利用するものを候補として1又は2以上選び,チェックボックスに“レ”をマウス等の入力部106で表示させる。図8に示す画面イメージは,利用するクーポンデータを選択するための画面である。」
「【0099】
図11に示す画面イメージは,例えば,図10に示す注文確認画面で「次へ進む」ボタンがマウス等でクリックされると,画面表示される利用者が保有するクーポンデータのリストである。図示のように,デフォルトの画面では “レ”が全てのチェックボックスに表示されている。つまり,全てのクーポンデータがクーポン選出処理の対象となっている。利用者は,クーポン選出処理の対象外とするクーポンデータがある場合,そのクーポンデータを選び,例えば「割引率クーポン005」などクーポン名の左側に表示されたチェックボックスの“レ”をマウス等の入力部106で表示を解除し,非表示にする。」
「【0140】
図15に示すように,“商品A”~“商品D”の商品をECサーバ102が受注し,その注文主の利用者が,図17に示すように,クーポンデータを保有していた場合,クーポン抽出部321は,まず“商品A”について適用可能なクーポンデータを抽出する(S1417)。なお,抽出されるクーポンデータは,商品A割引クーポン1,商品A割引クーポン2,カテゴリ1割引クーポン,割引クーポンa,および割引クーポンbである。」
「【0144】
上記選び出されたクーポンデータが複数存在するため,次に,クーポン選出部321は,商品のカテゴリに適応するクーポンデータを優先的に選び出す(S1423)。選び出されたクーポンデータは,カテゴリ1割引クーポンのみになるため,ここでもう一つのクーポンデータの選出処理も終了する。以上で,“商品A”に係るクーポンデータの選出処理は終了する。」
「【0149】
かかるクーポンデータの選出処理によって,ECサーバ102側で商品に利用可能なクーポンデータを自動的に選び出すため,商品に適用する適切なクーポンデータであるか否かを利用者が判断し,選択する処理を省き,利用者によるクーポンデータを利用する利便性を向上させることができる。さらに,利用対象外とするクーポンデータについては予め指定することができるため,クーポンデータを選び出す選出処理を迅速・効率化させ,クーポンデータを利用する利便性をより一層向上させることができる。」
以上の記載から、引用文献7には、「端末装置を用いて商品を選択し、端末装置の表示手段に、選択した商品に対応して利用可能なクーポンリストを表示し、表示されたクーポンリストにて提示されるクーポンについて利用の宣言を行うことを可能とすること」が記載されていると認められる。
4 当審の判断
(1)本件特許発明1、6について
ア 本件特許発明1と甲1発明1とを対比する。
(ア)甲1発明1の「携帯端末50」は、「顧客の操作により、商品に付されたバーコードをスキャンし、商品コードを読み取り、スキャンによって得られた商品コードをクラウドサーバ20に送信」するから、購入対象の「商品」を登録する手段を備えるといえるものであり、当該手段は、本件特許発明1の「購入対象の商品を登録する商品登録手段」に相当する。
(イ)甲1発明1の「携帯端末50」は、「店舗を特定する情報(店舗特定情報)を取得」するから、「店舗を特定する」手段を備えるといえるものである。ここで、当該「店舗」において、上記アの手段により「商品」の登録が行われることは当然であり、上記「店舗を特定する」手段は、本件特許発明1の「前記商品登録手段による商品登録が行われる店舗を特定する特定手段」に相当する。
(ウ)甲1発明1の「携帯端末50」は、「店舗が特定された場合には、利用可能なクーポン情報を画面に表示」するから、その情報を表示可能な表示手段を備えるといえるものであり、当該手段と、本件特許発明1の「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」とは、「利用可能なクーポンに関する情報を表示可能な表示手段」である点で共通する。
(エ)甲1発明1の「携帯端末50」は、「紙媒体によるクーポン券のクーポン情報を登録することができ、クーポン券に印刷されているバーコードを読み取ることによって、記録されている割引情報を取得して、商品の登録に反映する」から、クーポン券に印刷されているバーコードの読み取りによってクーポン情報を登録することが可能な手段を備えるといえるものである。
ここでさらに、クーポン情報の登録が、「割引情報」に基づく割引を受けるための、クーポンについての利用の宣言として行われることは明らかである。
よって、甲1発明1の上記手段と、本件特許発明1の「前記クーポンリスト表示手段により表示されたクーポンリストにて提示されるクーポンについて利用の宣言を行うことが可能なクーポン利用宣言手段」とは、「クーポンについて利用の宣言を行うことが可能なクーポン利用宣言手段」である点で共通する。
(オ)甲1発明1の「携帯端末50」は、「顧客の操作」が行われるから、本件特許発明1の「客端末装置」に相当する。
イ 上記アから、本件特許発明1と甲1発明1とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「購入対象の商品を登録する商品登録手段と、
前記商品登録手段による商品登録が行われる店舗を特定する特定手段と、
利用可能なクーポンに関する情報を表示可能な表示手段と、
クーポンについて利用の宣言を行うことが可能なクーポン利用宣言手段と、
を備える客端末装置。」
ウ また、本件特許発明1と甲1発明1とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
「表示手段」について、本件特許発明1では、「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」であるのに対して、甲1発明1では、「店舗が特定された場合に」、「利用可能なクーポン情報」を表示可能であるものの、表示タイミング及び表示内容に関して「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリスト」が表示可能であることは特定されない点。
(相違点2)
「クーポン利用宣言手段」における「クーポンについて」の「利用の宣言」が、本件特許発明1では、「前記クーポンリスト表示手段により表示されたクーポンリストにて提示されるクーポンについて」のものであるのに対して、甲1発明1では、「紙媒体によるクーポン券のクーポン情報」が示すクーポンについてのものである点。
エ そこで、まず相違点1について検討する。
上記第2の3(1)ウ(ウ)で検討したところを踏まえると、相違点1に係る発明特定事項である、本件特許発明1の「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」については、取消理由通知書にて引用された甲第1号証、甲第2号証、甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証及び引用文献6~8のいずれにも記載されておらず、本件特許の原出願日において周知技術であったとも認められない。
例えば、引用文献7には、上記3で述べたとおり「端末装置を用いて商品を選択し、端末装置の表示手段に、選択した商品に対応して利用可能なクーポンリストを表示し、表示されたクーポンリストにて提示されるクーポンについて利用の宣言を行うことを可能とすること」が記載されているものの、「特定された店舗の商品に対応して」「登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能」とすることについては記載されておらず、引用文献7に記載された事項を甲1発明1に適用しても、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項に至らない。
なお、取消理由通知書に記載した取消理由は、申立人が提出した甲第3号証~甲第5号証及び甲第7号証については引用しなかったものであるが、上記事項については、これらの各証拠にも記載されていない。
オ よって、本件特許発明1は、相違点2について検討するまでもなく、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証及び引用文献6~8のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
カ また、本件特許発明6は、本件特許発明1に対応するプログラムの発明であることから、本件特許発明1と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証及び引用文献6~8のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
(2)本件特許発明2~4について
本件特許発明2~4は、本件特許発明1を付加的に限定した発明であるから、本件特許発明1と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証及び引用文献6~8のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
(3)本件特許発明5について
本件特許発明5は、本件特許発明1と同様に、「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」との発明特定事項を含むことから、本件特許発明5と甲1発明2とを対比した場合、両者は、少なくとも上記(1)ウの相違点1において相違し、当該相違点については同エで検討したとおりである。
よって、本件特許発明5は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証、甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証及び引用文献6~8のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
(4)申立人の主張について
申立人は、令和8年1月15日提出の意見書において、前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示するとの事項は、引用文献7に記載されており、本件特許発明1~6は、取消理由通知書にて引用された各引用文献等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものである旨主張している。
しかしながら、上記(1)エで検討したように、引用文献7には、上記3で述べた事項については記載されているとしても、本件特許発明1の「前記特定手段にて特定された店舗の商品に対応して前記商品登録手段による登録操作を行ったときに利用可能なクーポンリストを表示可能なクーポンリスト表示手段」との発明特定事項が特定しているものと認められる、客が客端末装置で商品登録操作を行ったときに、当該商品登録操作を行った商品との間で所定の関係を有するクーポンを提示する商品関連クーポン画面等を表示し、さらに、客が当該画面に対する操作を行うと、店舗にて利用できるクーポンのリストを表示するとの事項について、記載されているとまではいえないから、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明及び引用文献7に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものではない。
以上の点は、本件特許発明2~6についても同様である。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
(5)小括
よって、請求項1~6に係る特許は、当審が通知した取消理由によっては、取り消すことができない。
第5 特許異議申立理由について
特許異議申立理由は、甲第1号証を主たる証拠とする進歩性欠如である点で取消理由通知書に記載した取消理由と共通である一方、取消理由通知書に記載した取消理由では引用しなかった甲第3号証~甲第5号証及び甲第7号証については、上記第4の4(1)エの末尾で述べたとおりであるから、請求項1~6に係る特許は、特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1~6に係る特許は、当審が通知した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立ての理由によっては、取り消すことができない。
また、他に、請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700762