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特許異議申立

2025-700279

電気装置

審判番号
2025-700279
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-091926
登録番号
7550366
請求日
2025年03月07日
審決日
2025年06月16日
公報発行日
2025年07月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
  • 【異議申立人】南 ヒメ子
審判長/審判官
  • 審判長 山澤 宏
  • 審判官 村松 貴士
  • 審判官 野崎 大進
分類
P1651.537-Y (H05K) / P1651.113-Y (H05K) / P1651.121-Y (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7550366号発明「電気装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7550366号の請求項1~18に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7550366号の請求項1ないし18に係る特許についての出願は、令和3年5月31日の出願であって、令和6年9月5日に特許権の設定登録がされ、令和6年9月13日に特許掲載公報が発行された。その後、令和7年3月7日に特許異議申立人 南 ヒメ子(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされた。 第2 本件特許発明 特許第7550366号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし18の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明18」という。)は、それぞれ、特許請求の範囲に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。(説明の便宜のため、当審で<A>~<G>と分説した。) 「【請求項1】 <A> 吸熱体と、 <B> 前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される通信基板と、 <C> 少なくとも一部が金属製の筐体と、 <D> 前記筐体内に配置される電源基板と、 <E> 前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部と、 <F> 前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材と、を備える、 <G> 電気装置。 【請求項2】 前記露出部は、前記筐体を取付対象に取り付けるための取付枠の一部を構成する、 請求項1に記載の電気装置。 【請求項3】 前記取付枠は、大角形連用配線器具の取付枠である、 請求項2に記載の電気装置。 【請求項4】 前記吸熱体と前記露出部とは、同一部材として一体となって形成されている、 請求項1~3のいずれか1項に記載の電気装置。 【請求項5】 前記通信基板は、 前記吸熱体の前面に配置される第1通信基板と、 前記吸熱体の後面に配置される第2通信基板と、を含む、 請求項1~4のいずれか1項に記載の電気装置。 【請求項6】 前記吸熱体と前記第1通信基板との間に配置される第1放熱材を更に備える、 請求項5に記載の電気装置。 【請求項7】 前記吸熱体と前記第2通信基板との間に配置される第2放熱材を更に備える、 請求項5又は6に記載の電気装置。 【請求項8】 前記電源基板と前記筐体の前記金属製部分との間に配置される第3放熱材を更に備える、 請求項5~7いずれか1項に記載の電気装置。 【請求項9】 前記第1通信基板及び前記第2通信基板の一方は、無線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板である、 請求項5~8のいずれか1項に記載の電気装置。 【請求項10】 前記第1通信基板及び前記第2通信基板の他方は、有線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板である、 請求項9に記載の電気装置。 【請求項11】 前記第1通信基板は、無線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板であり、 前記第2通信基板は、有線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板であり、 前記第2通信基板と前記電源基板との間には、空気層が存在する、 請求項5~10のいずれか1項に記載の電気装置。 【請求項12】 前記吸熱体と、前記筐体の前記金属製部分と、を固定するためのネジを更に備える、 請求項5~11のいずれか1項に記載の電気装置。 【請求項13】 前記ネジは、電気絶縁性を有する材料で構成される、 請求項12に記載の電気装置。 【請求項14】 前記筐体の前記金属製部分は、前面が開放された箱状の筐体本体であり、 前記断熱部材は、前記吸熱体と、前記筐体本体の開放された前記前面の周縁に沿う周縁端面と、の間に挟み込まれた枠状の断熱部材である、 請求項5~13のいずれか1項に記載の電気装置。 【請求項15】 前記筐体本体の開放された前記前面に、前記吸熱体及び前記断熱部材を介して取り付けられる正面カバーを更に備える、 請求項14に記載の電気装置。 【請求項16】 前記筐体本体は、一の角部が更に開放され、 負荷のプラグが接続されるコンセントブロックと、 前記筐体本体の開放された前記一の角部に取り付けられ、前記コンセントブロックへの配線が差し込まれる差込孔を有する樹脂製の筐体ブロックと、を更に備える、 請求項15に記載の電気装置。 【請求項17】 前記第2通信基板と前記電源基板との間の空気層に配置され、前記差込孔を差し込まれた前記配線が接続される端子台と、 前記第2通信基板と前記端子台との間に設けられる絶縁板と、を更に備える、 請求項16に記載の電気装置。 【請求項18】 前記露出部に固定され、前記コンセントブロックと前記正面カバーとが貫通する開口部を有する固定プレートと、 前記固定プレートの前面を覆うように前記固定プレートに取り付けられ、前記コンセントブロックと前記正面カバーとが貫通する窓孔を有するカバープレートと、を更に備える、 請求項17に記載の電気装置。」 第3 申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において、以下の理由1ないし3により、本件特許発明1ないし18についての特許を、取り消すべきである旨主張している。 1 理由1(明確性:特許法第36条第6項第2号) 申立人は、請求項1および請求項4の「吸熱体」という記載は不明確であるから、本件特許発明1ないし18係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 2 理由2(新規性:特許法第29条第1項第3号) 申立人は、主たる証拠として下記甲第1号証を提出し、本件特許発明1および4は、甲第1号証に記載された発明であるから、本件特許発明1および4に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 さらに、主たる証拠として下記甲第2号証を提出し、本件特許発明1ないし11および14ないし18は、甲第2号証に記載された発明であり、本件特許発明1ないし11および14ないし18に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 記 甲第1号証:特開2003-087934号公報 甲第2号証:特開2018-137444号公報 3 理由3(進歩性:特許法第29条第2項) 申立人は、主たる証拠として下記甲第1号証を提出し、本件特許発明1および4は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1および4係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 また、主たる証拠として下記甲第1号証を提出し、従たる証拠として、下記甲第3号証ないし甲第6号証を提出し、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明および従たる証拠に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 さらに、主たる証拠として下記甲第2号証を提出し、本件特許発明1ないし11および14ないし18は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1ないし11および14ないし18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 また、主たる証拠として下記甲第3号証を提出し、従たる証拠として、下記甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第8号証を提出し、本件特許発明2ないし4および12は、甲第3号証に記載された発明および従たる証拠に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明2ないし4および12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 さらに、主たる証拠として下記甲第4号証を提出し、従たる証拠として、下記甲第1号証ないし甲第3号証、甲第5号証ないし甲第8号証を提出し、本件特許発明9は、甲第4号証に記載された発明および従たる証拠に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 また、主たる証拠として下記甲第7号証を提出し、従たる証拠として、下記甲第1号証ないし甲第6号証を提出し、本件特許発明11は、甲第7号証に記載された発明および従たる証拠に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 さらに、主たる証拠として下記甲第8号証を提出し、従たる証拠として、下記甲第1号証ないし甲第7号証を提出し、本件特許発明13は、甲第8号証に記載された発明および従たる証拠に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。 記 甲第1号証:特開2003-087934号公報 甲第2号証:特開2018-137444号公報 甲第3号証:特開平3-055705号公報 甲第4号証:特開2011-066039号公報 甲第5号証:特開2014-138102号公報 甲第6号証:特開平3-046387号公報 甲第7号証:特開2015-154279号公報 甲第8号証:実願昭54-093589号(実開昭56-012399号)のマイクロフィルム 第4 甲号証 1 甲第1号証 (1)甲第1号証の記載 申立人が主たる証拠として提示した甲第1号証には、図面とともに、以下の記載がある(下線は当審付与。以下同様。)。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電気接続箱に関し、詳しくは、電気接続箱の内部で生じる熱に対する放熱性の向上を図るものである。」 イ 図1 [図:0001424620000001.jpg] ウ 図2 [図:0001424620000002.jpg] エ 「【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の電気接続箱を図面を参照して説明する。図1、2は、本発明の実施形態にかかる電気接続箱10であり、アッパーケース11及びロアケース12で形成される空間内に、内部回路としてリレーRやヒューズF等の電気部品を実装する大電流、中電流が流れる電流分配用回路板13と、小電流が流れる制御用回路板であるプリント基板14とを、絶縁板16を介在させて上下に積層した状態で収容している。 【0016】電流分配用回路板13は、所要の回路形状に打ち抜いて形成したバスバー15を絶縁基板13aへ載置固定したものであり、実装面となる一面13bにはリレーRやヒューズF等の電気部品をバスバー15へ直接実装しており、また、外部から取り付けるプラグインタイプのリレー、ヒューズ、外部回路のコネクタ接続用のタブ15aも一面13bより多数突設している。また、実装する各種電気部品は導通接続用のリード端子を突設しており、一面13bから電気部品を実装することで他面13cにはリード端子が突出している。 【0017】また、バスバー15が形成する回路は電流を分配する機能を備え、回路に電流が流れることでリレーR等の作動して多量の熱が発生している。なお、電流分配用回路板13の一辺13dの近辺には、プリント基板14との接続部13eを多数並列配置している。」 オ 図3 [図:0001424620000003.jpg] カ 「【0018】一方、図3にも示すように、プリント基板14には各種制御用の回路が形成され、熱の影響を受けやすいFETやマイコン等の多数の電子部品20を一面14aに実装している。なお、プリント基板14の一辺14b附近には、電流分配用回路板13との接続部14cが形成されており、この接続部14cにジャンパー線21の一方の端部21aを半田付け等で接合すると共に、他方の端部21bを電流分配用回路板13の接続部13eに半田付け等で接合し、ジャンパー線21を介して、電流分配用回路板13の所要回路とプリント基板14の所要回路を接続して内部回路を形成している。 【0019】このようにジャンパー線19を接続してから、プリント基板14を図中の白矢印方向となる電流分配用回路板13の下面となる他面13c側へ折り返し、電流分配用回路板13とプリント基板14との間に絶縁板16を介在させて電流分配用回路板13とプリント基板14との各回路が不用意に導通しないよう確実に絶縁している。 【0020】絶縁板16は、放熱板17の上面17aに一側辺17cから電流分配用回路板13の面積と同等の領域に樹脂でコーティングして第一絶縁層18を形成しており、下面17bの一側辺17cからプリント基板14の面積と同等の領域に樹脂コーティングして第二絶縁層19を形成している。 【0021】絶縁板16の放熱板17は、金属板材として熱伝達率に優れたアルミニウム板より形成されており、幅寸法Wは、電流分配用回路板13及びプリント基板14の幅寸法と略同等に設定しているが、一側辺17cからの寸法を電流分配用回路板13及びプリント基板14の長手寸法よりも延出するように設定し、この延出した箇所を放熱部17dとしている。この放熱部17dは、アッパーケース11及びロアケース12の内部の空間に絶縁板16を収めたとき、ケース外に突出するようにしている。 【0022】一方、上面17aに形成された第一絶縁層18は絶縁用の樹脂からなり、第一絶縁層18の樹脂の特性は、第二絶縁層19を形成する樹脂より、熱伝達率が高いものを用いている。即ち、第一絶縁層18は熱を非常に伝達しやすい樹脂から形成している。また、第一絶縁層18には、電流分配用回路板13の一辺13dと放熱板17の一側辺17cおよび幅を揃えて積層した状態で、電流分配用回路板13の一面13bのリレーR等の電気部品の実装箇所と対応する箇所に開口部18aを凹設して、開口部18a内で放熱板17の上面17aを露出している。本実施形態では、リレーR等の電気部品を三列で電流分配用回路板13に実装しているので、開口部18aも三列で形成している。 【0023】一方、図4に示すように、放熱板17の下面17bの第二絶縁層19も、プリント基板14の外形と略同等の大きさで形成されており、第二絶縁層19を形成する絶縁用の樹脂は、熱伝達率が非常に低い特性を有し、結果として第二絶縁層19は断熱層として機能している。なお、第二絶縁層19は、第一絶縁層18のような開口部18aを設けておらず、積層時にプリント基板14と当接する箇所を全域被っている。 【0024】なお、アッパーケース11は電流分配用回路板13やプリント基板14の外形より一回りほど大きい縦横寸法で内部に空間を有するように樹脂成形されており、上面11aにはプラグインタイプのリレーの取付部11b、各種ヒューズの収容部11c、外部回路との接続用のコネクタ収容部11dを設けている。また、一方の端辺11eには絶縁板16の放熱部17dの突出用の切欠11fを形成していると共に、内部空間には内部回路保持用のリブ11eも設けている。 【0025】一方、ロアケース12もアッパーケース11と略同等の縦横寸法で内部に空間を有する樹脂成形品であり、一方の端辺12aには、放熱部17dを突出用の切欠12bを形成し、内部空間には内部回路保持用のリブ12cを設けている。アッパーケース11とロアケース12は相互にロック結合されるが、この結合状態では、内部回路を構成する電流分配用回路板13等を積層状態で収容するため、図6の従来の電気接続箱1より高さ寸法は低く小型化されている。 【0026】電気接続箱10の組立は、図1、2に示すようにジャンパー線21で繋がれた電流分配用回路板13とプリント基板14との間に絶縁板16を介在させ、プリント基板14の上に第二絶縁層19を下方にした状態で絶縁板16を載置し、絶縁板16の第一絶縁層18の上に電流分配用回路板13を載置して積層させている。この際、絶縁板16の他側辺17cはプリント基板14の一辺14b及び電流分配用回路板13の一辺13dに合わせた状態にして、放熱部17dを突出した状態にしている。 【0027】これら電流分配用回路板13、絶縁板16、プリント基板14をロアケース12の内部に収めると共に、上方からアッパーケース11を被せてロアケース12と嵌合させている。この際、突出する放熱部17dをアッパーケース11及びロアケース12のそれぞれの切欠11f、12bより外方へ突出させて電気接続箱10の組立を完了している。」 (2)甲第1号証記載発明 上記(1)の記載から、特に下線部および枠線内の記載に着目すると、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「電気接続箱に関し、 アッパーケース11及びロアケース12で形成される空間内に、内部回路としてリレーRやヒューズF等の電気部品を実装する大電流、中電流が流れる電流分配用回路板13と、小電流が流れる制御用回路板であるプリント基板14とを、絶縁板16を介在させて上下に積層した状態で収容しており、 電流分配用回路板13は、所要の回路形状に打ち抜いて形成したバスバー15を絶縁基板13aへ載置固定したものであり、実装面となる一面13bにはリレーRやヒューズF等の電気部品をバスバー15へ直接実装しており、バスバー15が形成する回路は電流を分配する機能を備え、回路に電流が流れることでリレーR等の作動して多量の熱が発生しており、 プリント基板14には各種制御用の回路が形成され、熱の影響を受けやすいFETやマイコン等の多数の電子部品20を一面14aに実装しており、 電流分配用回路板13とプリント基板14との間に絶縁板16を介在させて電流分配用回路板13とプリント基板14との各回路が不用意に導通しないよう確実に絶縁しており、絶縁板16は、放熱板17の上面17aに一側辺17cから電流分配用回路板13の面積と同等の領域に樹脂でコーティングして第一絶縁層18を形成しており、下面17bの一側辺17cからプリント基板14の面積と同等の領域に樹脂コーティングして第二絶縁層19を形成しており、 絶縁板16の放熱板17は、金属板材として熱伝達率に優れたアルミニウム板より形成されており、電流分配用回路板13及びプリント基板14の長手寸法よりも延出するように設定し、この延出した箇所を放熱部17dとしており、この放熱部17dは、アッパーケース11及びロアケース12の内部の空間に絶縁板16を収めたとき、ケース外に突出するようにしており、 第一絶縁層18は熱を非常に伝達しやすい樹脂から形成しており、 第二絶縁層19を形成する絶縁用の樹脂は、熱伝達率が非常に低い特性を有し、結果として第二絶縁層19は断熱層として機能しており、 アッパーケース11は電流分配用回路板13やプリント基板14の外形より一回りほど大きい縦横寸法で内部に空間を有するように樹脂成形されており、 ロアケース12も樹脂成形品である 電気接続箱。」 2 甲第2号証 (1)甲第2号証の記載 申立人が主たる証拠として提示した甲第2号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア 図1 [図:0001424620000004.jpg] イ 「【0026】 本発明に係る放熱構造を適用した情報通信ユニットの実施形態を図面に基づいて説明する。 〔第1実施形態〕 この情報通信ユニット2は、図1及び図2に示すように、例えば、壁W等の設置対象部位に設置された情報コンセント1に備えられている。情報通信ユニット2は、その大部分が壁Wに埋設された埋設状態で、且つ、その前方側部位の一部だけが壁Wよりも前方側に膨出する状態で設置されている。以下、壁Wに対して直交する表裏方向の表側を前後方向の前方側として、表裏方向の裏側を前後方向の後方側として説明する。 【0027】 情報コンセント1は、壁Wに貫通形成された矩形状の設置用孔10(図2参照)の後面側に配置されたコンセントボックス11と、壁Wの前面側に配置された化粧カバー12とを、それらの間において壁Wの前面に当接する取り付けフレーム13を介して固定されている。」 ウ 図2 [図:0001424620000005.jpg] エ 図3 [図:0001424620000006.jpg] オ 図4 [図:0001424620000007.jpg] カ 「【0032】 (情報通信ユニット) 情報通信ユニット2は、図2~図4に示すように、アンテナ素子25(図3参照)が内蔵されたアンテナユニット23と、アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容された本体ユニット20とを備えており、アンテナユニット23が本体ユニット20の前方側部位に着脱自在に構成されている。 【0033】 アンテナユニット23は、本体ユニット20の前方側部位の外周を囲む矩形リング状に形成され、複数のアンテナ素子25が内蔵されている。アンテナユニット23の底面部には、情報通信ユニット2の電源をON状態とOFF状態とに切り替え自在な電源スイッチ24(図2参照)が備えられている。アンテナユニット23は、本体ユニット20の前方側部位に装着されることで、本体ユニット20と電気的に接続自在に構成されている。 【0034】 本体ユニット20は、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とに分割自在に構成されている。前方側ケーシング26は、例えば、合成樹脂製に構成されているのに対して、後方側ケーシング27は、例えば、アルミや亜鉛鋼等の金属製に構成されており、良好な熱導電性を有するように構成されている。前方側ケーシング26と後方側ケーシング27との着脱については、図示は省略するが、例えば、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27との一方側に係合爪を形成し、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27との他方側に係合爪が係合する係合孔を形成し、係合爪と係合孔との係合又は係合解除により、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とを着脱自在に構成することができる。そして、例えば、後方側ケーシング27に形成された貫通孔を通して、前方側ケーシング26に形成されたビス孔にビスを止めることで、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とが係合した状態で固定可能に構成されている。 【0035】 前方側ケーシング26は、前方側に面する前面部28と、その前面部28の外周縁部から後方側に延出する周側面部29とを有する後方側が開放された箱状に形成されている。前方側ケーシング26には、周側面部29の後端部位から側方側に延出するフランジ部30が備えられ、このフランジ部30が取り付けフレーム13に固定自在に構成されている。 【0036】 前方側ケーシング26の前面部28の上方側部位には、電話回線用モジュラープラグが着脱自在に接続させる電話回線用モジュラーアダプタの接続口22が配置されている。そして、前面部28の上方側部位には、図1に示すように、接続口22に加えて、情報通信ユニット2の電源の投入状態を示す電源インジケータ、ルーティング機能(有線LANや無線LANを利用した情報通信機能)の利用可能状態を示すLANインジケータ、及び、ネットワークのアクセス状態を示すアクセスインジケータ等の表示ランプ部31、及び、リセット操作するためのリセットボタン部32が配置されている。前方側ケーシング26の前面部28の下方側部位には、LAN用モジュラープラグが着脱自在に接続させるLAN用モジュラーアダプタの接続口21が配置されている。 【0037】 図2~図4に戻り、後方側ケーシング27は、後方側に面する後面部33と、その後面部33の外周縁部から前方側に延出する周側面部34とを有する前方側が開放された箱状に形成されている。図示は省略するが、後方側ケーシング27の後面部33及び周側面部34には、電源ケーブル14、電話ケーブル(図示省略)、及び、WAN側の通信ケーブル15等の各ケーブルの接続口が備えられている。 【0038】 前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とを組み付けることで、前後、左右及び上下が閉塞された収容空間35が形成され、その収容空間35に、アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容されている。各部品として、例えば、コンバータ等の電源部品36、その他の電子部品、電源部品36やその他の電子部品を設置する第1~第3基板37~39、基板37~39同士を接続するコネクタ部40等が備えられている。図3及び図4では、電源部品36、第1~第3基板37~39、コネクタ部40等だけを図示し、その他の電子部品等は図示を省略している。ちなみに、前方側ケーシング26、及び、後方側ケーシング27について、前後方向、左右方向、及び、上下方向の夫々における大きさは、基板37~39の大きさ等に応じて、適宜変更が可能である。 【0039】 図3及び図4に示すように、基板37~39は、前後方向の前方側から、第1基板37、第2基板38、第3基板39の順に間隔を隔てて積層させた積層構造にて配置されている。左右方向における長さは、第2基板38と第3基板39が同一の長さとなっており、第1基板37が第2基板38及び第3基板39よりも小さい長さとなっている。第1基板37の前面部には、電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口22、及び、LAN用モジュラーアダプタ用の接続口21が設置され、第3基板39の後面部には、電源部品36が設置されている。コネクタ部40は、第1基板37の後面部、第2基板38の前面部と後面部の両面部、及び、第3基板39の前面部の夫々に配置されており、コネクタ部40によって、第1基板37と第2基板38とが電気的に接続されているとともに、第2基板38と第3基板39とが電気的に接続されている。 【0040】 (放熱構造) 情報通信ユニット2の電源をON状態に切り替えると、電源部品36やその他の電子部品が作動状態となって、情報通信等の各種の機能が作動される。このとき、電源部品36から多くの熱が発生するとともに、その他の電子部品からも熱が発生する。この実施形態では、電源部品36から発生する熱を主とし、他の電子部品から発生する熱も含めて放熱する放熱構造を採用しており、以下、この放熱構造について説明する。 【0041】 この放熱構造では、第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱を主として、他の電子部品から発生する熱も含めて、金属製の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱して放熱するように構成されている。 【0042】 放熱構造では、第2基板38の前面部の中央部に第1熱伝導体51が配置され、第3基板39の前面部の中央部に第2熱伝導体52が配置されている。第1熱伝導体51は、例えば、第2基板38の前面部に設置された各種の電子部品やそれら電子部品に備えられた熱伝導性シート等を含めたものであり、第2基板38の後面側の熱を前面側に伝熱できるものであればよい。第2熱伝導体52は、例えば、熱伝導性シート等の熱導電性を有するものであり、第3基板39の後面側の熱を前面側に伝熱できるものであればよい。これにより、第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱(その他の電子部品から発生する熱も含む)を、第2熱伝導体52に伝熱させて、第3基板39の前方側に伝熱可能としている。そして、第2熱伝導体52は、第2基板38の後面部に接触されているので、第2熱伝導体52により、第3基板39の前方側に伝熱された熱を第2基板38に伝熱させている。また、第2基板38に伝熱された熱を、第1熱伝導体51に伝熱させて、第2基板38の前方側に伝熱可能としている。第1熱伝導体51及び第2熱伝導体52は、電源部品36から発生する熱(その他の電子部品から発生する熱も含む)を、第3基板39(基板に相当する)の後方側(一方側)から前方側(他方側)に伝熱する第1伝熱部として構成されている。」 キ 図5 [図:0001424620000008.jpg] ク 「【0043】 また、放熱構造では、図3~図5に示すように、第1基板37と第2基板38との間において左右方向に延びて、その左右方向の両端部から後方側に延びる第1板状体53が備えられている。第1板状体53は、第1熱伝導体51、第2基板38及び第2熱伝導体52によって、第2基板38及び第3基板39の前方側に伝熱された熱を、第2基板38及び第3基板39の周囲を通して第2基板38及び第3基板39の後方側(一方側)の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱させて放熱する第2伝熱部として構成されている。」 (2)甲第2号証記載発明 上記(1)の記載から、特に下線部および枠線内の記載に着目すると、甲第2号証には以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「放熱構造を適用した情報通信ユニットであって、 情報通信ユニット2は、壁W等の設置対象部位に設置された情報コンセント1に備えられており、情報コンセント1は、壁Wに貫通形成された矩形状の設置用孔10の後面側に配置されたコンセントボックス11と、壁Wの前面側に配置された化粧カバー12とを、それらの間において壁Wの前面に当接する取り付けフレーム13を介して固定されており、 情報通信ユニット2は、アンテナ素子25が内蔵されたアンテナユニット23と、アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容された本体ユニット20とを備えており、 本体ユニット20は、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とに分割自在に構成されており、前方側ケーシング26は、例えば、合成樹脂製に構成されているのに対して、後方側ケーシング27は、例えば、アルミや亜鉛鋼等の金属製に構成されており、 前方側ケーシング26には、周側面部29の後端部位から側方側に延出するフランジ部30が備えられ、このフランジ部30が取り付けフレーム13に固定自在に構成されており、 前方側ケーシング26の前面部28の上方側部位には、電話回線用モジュラープラグが着脱自在に接続させる電話回線用モジュラーアダプタの接続口22、情報通信ユニット2の電源の投入状態を示す電源インジケータ、ルーティング機能(有線LANや無線LANを利用した情報通信機能)の利用可能状態を示すLANインジケータ、及び、ネットワークのアクセス状態を示すアクセスインジケータ等の表示ランプ部31、及び、リセット操作するためのリセットボタン部32が配置され、前方側ケーシング26の前面部28の下方側部位には、LAN用モジュラープラグが着脱自在に接続させるLAN用モジュラーアダプタの接続口21が配置されており、 後方側ケーシング27は、後方側に面する後面部33と、その後面部33の外周縁部から前方側に延出する周側面部34とを有する前方側が開放された箱状に形成されており、 前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とを組み付けることで、前後、左右及び上下が閉塞された収容空間35が形成され、その収容空間35に、アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容されており、各部品として、例えば、コンバータ等の電源部品36、その他の電子部品、電源部品36やその他の電子部品を設置する第1~第3基板37~39、基板37~39同士を接続するコネクタ部40等が備えられており、 基板37~39は、前後方向の前方側から、第1基板37、第2基板38、第3基板39の順に間隔を隔てて積層させた積層構造にて配置されており、 第1基板37の前面部には、電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口22、及び、LAN用モジュラーアダプタ用の接続口21が設置され、第3基板39の後面部には、電源部品36が設置されており、 情報通信ユニット2の電源をON状態に切り替えると、電源部品36やその他の電子部品が作動状態となって、情報通信等の各種の機能が作動され、このとき、電源部品36から多くの熱が発生するとともに、その他の電子部品からも熱が発生するものであり、電源部品36から発生する熱を主とし、他の電子部品から発生する熱も含めて放熱する放熱構造を採用しており、 放熱構造では、第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱を主として、他の電子部品から発生する熱も含めて、金属製の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱して放熱するように構成されており、 放熱構造では、第2基板38の前面部の中央部に第1熱伝導体51が配置され、第3基板39の前面部の中央部に第2熱伝導体52が配置され、 第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱(その他の電子部品から発生する熱も含む)を、第2熱伝導体52に伝熱させて、第3基板39の前方側に伝熱可能とし、 第2基板38に伝熱された熱を、第1熱伝導体51に伝熱させて、第2基板38の前方側に伝熱可能とし、 第1基板37と第2基板38との間において左右方向に延びて、その左右方向の両端部から後方側に延びる第1板状体53が備えられており、第1板状体53は、第1熱伝導体51、第2基板38及び第2熱伝導体52によって、第2基板38及び第3基板39の前方側に伝熱された熱を、第2基板38及び第3基板39の周囲を通して第2基板38及び第3基板39の後方側(一方側)の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱させて放熱する第2伝熱部として構成されている 情報通信ユニット2。」 3 甲第3号証ないし甲第8号証 (1)甲第3号証の記載 申立人が主たる証拠あるいは従たる証拠として提示した甲第3号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア (第1頁右下欄1~4行) 「[産業上の利用分野] 本発明は、壁等の造営面に埋め込んで取り付ける調光スイッチ等の放熱を要する発熱機器の取付構造に関するものである。」 イ (第2頁右下欄7行~第3頁左下欄下から3行) 「[実施例1] 第1図及び第2図に本発明の一実施例を示す。本実施例では取付板2を3重構造としてあり、従来例で説明したと同一形状の2枚の取付板21,23の間に枠状の取付板22を挾んだ構造となっている。そして、取付板21,23の表面プレート5の内面に対応する両端部に夫々2個の透孔2bを穿孔してある。なお、第1図においては以下の説明を分かりやすくするために、透孔2b及びスライド孔9だけを図示してあるが、勿論ボディ1、表カバー3の取付孔、及び壁10への取付孔2a等も穿孔してある。また、積層した取付板21~23は表面プレート5内に収まる厚みに形成してある。 本実施例では、取付板21~23が積層構造となっているが、取付は従来例と同様にして行う。ここで、ボディ1や表カバー3等は基本的には取付枠21を主体として第8図の場合と同様に取り付けてある。このようにして、取付板21~23を積層すると、第2図に示すように取付板21,23との開に取付板22によって空隙14が形或され、また表面プレート5と取付板23との間の隙間に連通ずる透孔2bを形成してあるので、例えば第2図の矢印で示すように空気が空隙14から透孔2b、そして表面プレート5の表カバー3やプレート枠4との間にある小さい閤隙を通して流れる。従って、従来例と同様に取付板21で半導体の発する熱を効率的に放熱することができる。しかも、本実施例の場合には取付板23が表カバー3や表面プレート4に直接に熱が加わることを防止するように働く(つまり空隙14が断熱層として働く)ため、表面カバー3や表面プレート4の温度が上昇することを極力抑えることができる。なお、取付板21は従未例の取付板2と同様にボディ1の開口に略密閉状態で被着されるものであるので、外部からの防塵効果に関しては従来例と殆ど同程度の良好な効果が得られる。さらに、取付板2に形戊された透孔2bを通して埋込穴11内にも空気を流すようにすれば、さらに良好な放熱効果が期待できる。 [実施例2] 第3図乃至第5図に本発明の他の実施例を示す。本実施例では、取付板22,23を一体に形成したと同様の取付板24と取付板23との2重構造にしたものである。本実施例の取付板24は展開すると第4図(b)に示す形状になり、両側に形或された耳片2cを180゜内側に折り曲げると共に、両端部を下面が折曲された耳片2cの下面と一致するように下方に折り曲げ、両端の折曲部に透孔2bを形或してある。従って、この取付板24を取付板23に積層すると、取付板23との間に第1の実施例の取付板22を介装した場合と略同様の空隙14が形成されることになる。従って、本実施例でも第1の実施例と同様の効果が得られる。 本実施例と従来品との放熱効果を比較したところ、ボディ1の内部温度においては5deg前後改善され、最も外側の表カバー3においては0.5~1.5deg前後の改善が得られた。なお、取付板2lとしては表面積が約50cm2のものを用いて試験を行った。 [実施例3] 第6図に本発明のさらに他の実施例を示す。本実施例では、表カバー3を取付板23のみにねじ16でねじ止めすると共に、ボディ1及び発熱部品は取付板21のみにねじ15でねじ止めしてある。これは表カバー3と発熱部品とが最も間接的にしか接触しないようにして、発熱部分からの熱が表カバー3等に極力及ばないようにしてある。従って、表カバー3の温度上昇をさらに少なくすることができる。なお、このように表カバー3を取付板23にのみ固定するようにすれば、ボディ1を取付板21,24を貫いてねじ止めするようにしてもほぼ同程度の効果が期待できる。」 (2)甲第4号証の記載 申立人が主たる証拠あるいは従たる証拠として提示した甲第4号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、無線通信装置に関し、詳細には無線通信装置の放熱及びシールド対策に関する。」 イ 図2 [図:0001424620000009.jpg] ウ 「【0024】 図2は、本実施形態のVoIPゲートウェイが備えるメイン基板と無線基板との関係を示す概略斜視図である。VoIPゲートウェイ1の筐体10内部には、図2に示すようなメイン基板20と、メイン基板20の上に配置される無線基板30とが備えられている。メイン基板20には、上述の電源端子21や各種ジャック22が搭載される他、VoIPゲートウェイとしての機能を果たすために必要なICチップ、トランジスタ、コンデンサ等の電子部品群24が搭載される。 【0025】 また、メイン基板20の上には、アンテナ11と電気的に接続され、無線通信用の信号処理を行う電子回路が形成されるWiFi基板30(無線基板の実施形態)が搭載されている。このWiFi基板30は、メイン基板20の中央寄りに配置され、メイン基板20の上に固定配置されるコネクタ部25に接続されることによってメイン基板20と電気的に接続される。 【0026】 なお、VoIPゲートウェイ1の筐体10の対向する2つの側面のそれぞれには、筐体10外部の空気を吸い込む、或いは、筐体10内部の空気を排出する等の目的で複数のスリット10a(図1参照)が形成されている。このように筐体10の側面に孔(スリット10a)が形成される場合、その近傍に不要輻射源となるWiFi基板30を配置すると、筐体10の外部に電磁波が漏れ易く、好ましくない。このような点を考慮して、VoIPゲートウェイ1では、WiFi基板30をメイン基板20の中央寄りに配置するようにしている。」 エ 図3 [図:0001424620000010.jpg] オ 「【0027】 図3は、図2のA-A位置における概略断面図である。図3に示すように、WiFi基板30の下には、WiFi基板30との間に隙間を有する状態で、例えばフィリップチップ方式等でメイン基板20に実装されるICチップ23が配置されている。このICチップ23は、VoIPゲートウェイ1における制御を統括するものである。具体的には、このICチップ23により、アナログ音声データをデジタルデータに変換し、IPパケットに分割してIPネットワーク上に送信することが可能となる。また、このICチップ23によって、IPネットワーク側から受け取ったIPパケットをアナログ音声に復元して電話網に送り出すことが可能となる。 【0028】 なお、このICチップ23は不要輻射源となるためにWiFi基板30の場合と同様の理由でメイン基板20の中央寄りに配置することとしている。このため、VoIPゲートウェイ1では、WiFi基板30が、メイン基板20の上面に搭載されるICチップ23の上に、ICチップ23との間に隙間を有する状態で配置される構造を採用している。 【0029】 図3に示すように、VoIPゲートウェイ1においては、ICチップ23とサーマルインターフェース材27を介して熱伝導可能に接続されると共に、WiFi基板30の上面に搭載される電子部品群(図示せず)を覆うシールド兼用放熱板金40が設けられている。このシールド兼用放熱板金40の材質については、放熱及びシールド機能を発揮する材質を選択すればよく、特に限定されるものではない。ただし、後述のようにシールド兼用放熱板金40は基板に半田を用いて接着する構成であるので、半田の載りがよい材質が好ましい。 【0030】 なお、シールド兼用放熱板金40とICチップとの間に介在するサーマルインターフェース材27は、シールド兼用放熱板金40がICチップ23に対して熱伝導可能な状態で確実に接続しやすいように用いている。このため、場合によっては、サーマルインターフェース材27を用いずに、シールド兼用放熱板金40とICチップ23とが直接接触する構成としても構わない。サーマルインターフェース材27としては、例えば熱伝導性のゴム、グリース、接着剤等を用いればよい。」 (3)甲第5号証の記載 申立人が従たる証拠として提示した甲第5号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア 「【0001】 この発明は、ゼーベック効果を利用して発電する熱電発電モジュールを含んだ熱電発電ユニットに関する。」 イ 図1 [図:0001424620000011.jpg] ウ 「【0012】 以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。 (A:第1実施形態) 図1(A)は、本発明の一実施形態の熱電発電ユニット1Aの外観を示す斜視図であり、図1(B)は、図1(A)におけるy軸に垂直な平面による熱電発電ユニット1Aの断面を示す断面図である。図1(A)および図1(B)に示すように、本実施形態の熱電発電ユニット1Aは、薄い板状の底板12および側壁14からなるケース内に、スペーサ部材30、熱電発電モジュール40および回路基板50を設置し、当該ケースの開口を熱交換部材20により塞いだ構成となっている。つまり、底板12、側壁14および熱交換部材20は熱電発電ユニット1Aの筐体の役割を果たす。 【0013】 底板12および側壁14よりなるケースは、底板12および側壁14が一体を為すように熱伝導体により成形されている。本実施形態では、底板12は80mm×80mmの矩形の板状に成形されており、側壁14はスペーサ部材30の厚みに熱電発電モジュール40の厚みを加えた高さ(例えば20~30mm)となるように成形されている。熱交換部材20は多数のフィン(本実施形態では、64本の角柱状のフィン)を有するヒートシンクであり、底板12等と同様に熱伝導体により形成されている。本実施形態では、熱交換部材20の底面(フィンの設けられていない側の面)は底板12と同じ寸法の矩形上に形成されている。そして、熱交換部材20の底面と側壁14は、埃や水分などが熱電発電ユニット1Aの筐体内に侵入しないよう、溶接または接着により接合されている。本実施形態において、熱電発電ユニット1Aの筐体の大きさを上記にようにしたのは、回路基板50の実装を可能にするための容積を確保すること、上記大きさの熱電発電モジュール40に対して充分な冷却能力を確保する(換言すれば、回路基板50に実装されている各回路の駆動に十分な発電能力を確保する)こと、および熱電発電ユニット1Aの小型化の3つの要求を同時に満たすという観点から好適と考えられるからである。なお、熱電発電ユニット1Aを取り付ける物体によっては外気のほうが温度が高い場合もあるが、その場合は、熱交換部材20を吸熱用フィンとして用いることができる。 【0014】 図1(C)は、熱交換部材20を取り除いた状態の熱電発電ユニット1Aをz軸方向から見た図である。図1(C)に示すように、スペーサ部材30は底板12の中央から4つの側面のうちの1つに至るように設置されたブロック状部材であり、熱電発電ユニット1Aの筐体と同様に熱伝導体により構成されている。このスペーサ部材30の上には、薄い板状の熱電発電モジュール40が熱電発電ユニット1Aの筐体の中央に位置するように設置されている。本実施形態では、熱電発電モジュール40として、厚みが数mmで14mm×14mmの寸法のものが用いられている。図1(B)に示すように、スペーサ部材30と熱電発電モジュール40は、底板12と熱交換部材20とによって挟み込まれるように設置されている。熱電発電モジュール40を熱電発電ユニット1Aの筐体の中央に設置したのは、高温側の熱源から底板12に伝わる熱がスペーサ部材30を介して均等に熱電発電モジュール40に伝わり、かつ熱電発電モジュール40の放射する熱が熱交換部材20に均等に伝わるようにするためである。なお、本実施形態では、スペーサ部材30の上に熱電発電モジュール40が1つだけ設置されているが、必要となる電力の大きさに応じて複数の熱電発電モジュールをスペーサ部材30の上に並べても良い。 【0015】 本実施形態においてスペーサ部材30を設けた理由は以下の通りである。一般に熱電発電モジュール40は厚みが増すほど高価になり、熱電発電モジュール40の厚みのみで底板12と熱交換部材20との間に回路の実装に十分な高さを確保するとしたならば熱電発電ユニット1Aは非常に高価なものとなってしまう。スペーサ部材30は、底板12から熱電発電モジュール40への熱伝導を妨げることなく、かつ熱電発電ユニット1Aの価格の上昇を抑えつつ、回路の実装に十分な高さを確保するために設けられている。なお、熱電発電モジュール40の厚みのみで回路の実装に十分な高さを確保することができ、かつ熱電発電ユニット1Aの価格を低く抑えることができるのであれば、スペーサ部材30を設けず、底板12と熱交換部材20とにより挟むようにして熱電発電モジュール40を設置すれば良い。 【0016】 図1(C)に示すように回路基板50は底板12と略同じ寸法(より正確には、底板12よりも一回り小さい寸法)の矩形状に形成されており、回路基板50にはスペーサ部材30(スペーサ部材30を省略した構成であれば熱電発電モジュール40)を避けるようにコの字状に切欠きが設けられている。回路基板50を上記寸法とし、コの字状に切欠きを設けたのは、回路基板50が大きい程多くの回路を実装することができるため、熱電発電ユニット1Aの筐体に収まり、かつ熱電発電モジュール40を中央に設置することを妨げない範囲で可能な限り回路基板50を大きくすることが好ましいからである。なお、1つの熱電発電モジュール40で十分な電力を得られる場合にはスペーサ部材30として立方体状のものを用い、当該スペーサ部材30を避けるように中央に矩形状の切欠きを有する回路基板50を用いるようにしても良い。その場合、底板12から熱交換部材20にかけてバランスよく熱を移動させることができ、回路基板50を配設するスペースを広げることもできる。また、回路基板50に多数の回路を搭載する必要がない場合には回路基板50の寸法をより小さくしても勿論良く、筐体の中央に置かれるスペーサ部材30と干渉しない大きさおよび形状であれば、回路基板50に切欠きを設ける必要はない。要は、熱電発電ユニット1Aの筐体に収まり、かつ熱電発電モジュール40を当該筐体の中央に設置する際(或いは熱電発電モジュール40を載せたスペーサ部材30を設置する際)の妨げとならない大きさおよび形状であれば、回路基板50の大きさおよび形状はどのようなものであっても良い。 【0017】 回路基板50には、図1(C)に示すように、温度センサと、当該温度センサの出力信号を無線送信するための無線通信部と、無線通信部の作動制御を行う制御部と、熱電発電モジュール40の出力電圧を昇圧して無線通信部および制御部に与える昇圧回路とが設けられている。また、図1(B)に示すように、回路基板50の裏面には、ゴムなどの絶縁体で形成された脚52が複数設けられている。これら脚52は、回路基板50の裏面と底板12とを離間させ、回路基板50を底板12から絶縁するために設けられている。なお、脚52を設ける位置および個数については、回路基板50を底板12から安定的かつ確実に絶縁するという目的が達せられる範囲で適宜定めるようにすれば良い。また、脚52は、底板12と回路基板とが直に熱交換しないようにする役割も担う。底板12が回路基板50に影響をおよぼしかねないほど高温になる場合には、回路基板50を熱交換部材20の底面に固定しても良い。 以上が本実施形態の熱電発電ユニット1Aの構成である。」 (4)甲第6号証の記載 申立人が従たる証拠として提示した甲第6号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア (第2頁左上欄1~3行) 「 産業上の利用分野 本発明は電子部品をプリント基板に実装して構成される電子回路装置に関するものである。」 イ 図1 [図:0001424620000012.jpg] ウ 図2 [図:0001424620000013.jpg] エ (第3頁左上欄6行~右下欄下から7行) 「 第1図,第2図に本発明の第1の実施例における電子回路装置を示しており、図において帯状のフレキシブル基板1は、可撓性を有する薄い樹脂フィルム上に銅箔等により所定のパターンで配線部を形成することにより構成され、その中央領域1aには、出力回路部が形成されており、この中央領域1aの表面には発熱する部品、例えばパワートランジスタ等の発熱部品2を実装している。またその中央領域1aの裏面部には放熱板と補強板と外ケースを兼ねたアルミニウム板3が接着されている。またフレキシブル基板1の先端側は角にアールを付けて直角に立ち上がる様に折り曲げ、この立ち上げ領域1bにコネクタ4の端子5を半田付けし、そしてフレキシブル基板1のコネクタ4よりさらに先端部は角にアールを付けて、上記中央領域1aにほぼ平行となる様に直角に折り曲げ、この端部領域1cに電源部を形成している。ここには熱を好まない部品6が実装され、またこの端部領域1cの裏面部には補強板と外ケースを兼ねたアルミニウム板7が接着されている。なお、部品6は下方の部品11上の空間を利用して配置されているので、設置スペースが小さくなる。 また、その先端側の反対側のフレキシブル基板1の後端側も先端側と同様、角にアールをもたせて2度直角に折り曲げることにより、立ち上げ領域1d,上部領域1eが設けられ、そして上部領域1eには演算処理部を形成している。ここにはIC,LSI,マイクロコンピュータ等の特に熱に弱く、熱を好まない部品、代表としてマイクロコンピュータ10が実装され、またこの上部領域1eの裏面部には補強板と外ケースを兼ねたアルミニウム板9が接着されている。さらに後端側は、上部領域1eから角にアールをもたせて2度直角に折り曲げることにより、中央領域1aと上部領域1eの中程に端部領域1fが設けられ、遮熱板8が接着されており、中央領域1aと上部領域1eを遮へいするようになっている。 次に上記各部についてさらに詳述する。 パワートランジスタを中心に発熱する発熱部品2が多く実装される出力回路部は、フレキシブル基板1の中央領域1aに実装され、ここには放熱板と補強板とケースを兼ねたアルミニウム板3に接着されているため、発熱部品2から発生する熱は、第3図に示すように、フレキシブル基板1、接着剤12、アルミニウム板3を通って放熱される。この発熱部品2であるパワートランジスタ等は発熱部であるコレクタ部を、フレキシブル基板1に半田付けすることにより面実装されるが、この発熱部品2を実装する中央領域1aにスルーホールを設け、さらにフレキシブル基板1の裏面に放熱用銅箔を設けることにより、接着されているアルミニウム板3に熱を放熱しやすくできる。またフレキシブル基板1とアルミニウム板3間の接着剤12の厚みを薄くしたり熱伝導性の良いものを使用することによって、放熱効果がより高くなり、発熱部品2の熱を効率よく放熱できる。 さらにこのアルミニウム板3はこの機器の外ケースとしても使用されるため、通常、機器が取り付けられる相手側の固定部からも放熱が可能で、固定部を金属にすることでさらに放熱を良くすることができる。 マイクロコンピュータ10等の熱に最も弱い部品は、上部領域1eに実装され、前記出力回路部を形成し熱が発生する中央領域1aから離して配置されているが、さらに中央領域1aと上部領域1eの間にある遮熱板8により輻射熱を遮断すると共に、各領域の部品実装空間が分離されているので、気体の対流による伝熱を防止している。」 オ 図4 [図:0001424620000014.jpg] カ (第3頁右下欄下から6行~第4頁右上欄11行) 「 本実施例では遮熱板8として、アルミニウム板を使用し、端部領域1fのフレキシブル基板1には電子部品を実装していないが、他の実施例として第4図a,bに示す様に、端部領域1fを広げ、面実装型の部品13を実装したり、遮熱板8としてフェノール板を使用し、ディスクリート部品14を実装でき、機器の部品の実装密度を高めることができる。 この各種の電子部品が実装され、所定の回路を構成したフレキシブル基板1は、アルミニウム板3,7,9の表面が外部に露出するように、絶縁性のケース部材により覆われる。ケース部材は、第5図の様に、樹脂からなる一対の第1,第2の枠体31,32を組み合わせることにより構成され、また第1,第2の枠体の外側面には、L字形状のブラケット33の一片を嵌め込むことによりブラケット33が取り付けられる嵌合片34が設けられている。さらに第1,第2の枠体31,32には、アルミニウム板23,24の端面が相対向するギャップ37に両側から嵌り込み、かつそのギャップ37を介して相対向するアルミニウム板7,9の端縁を保持する梁31a,32aが設けられている。さらに遮熱板8の端縁を保持する溝38が設けられている。また、この第1,第2の枠体31,32、内側に設けた結合柱31b,32b及び31c,32cをビス35によって締め付けて結合することにより結合され、上記フレキシブル基板1のコネクタ取付部分を除く全ての側面及びアルミニウム板3,7,9の全ての端縁部が覆われる。すなわち、ケース部材30によりフレキシブル基板1を覆うのであるが、この時アルミニウム板3,7,9の一部をケースの一部として利用し、外部に表面が露出するように構成しており、これによりアルミニウム板3,7,9を通しての放熱効果がより一層高められることとなり、電子回路を構成する電子部品の特性の安定化が図れる。」 (5)甲第7号証の記載 申立人が主たる証拠あるいは従たる証拠として提示した甲第7号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明の実施形態は、機器間の通信を制御する通信装置に関する。」 イ 図3 [図:0001424620000015.jpg] ウ 「【0013】 そして、図3に示すように、通信装置10は、機器間の通信を制御する制御基板16、機器との通信を行う通信モジュール17、これら制御基板16および通信モジュール17を収容するケース18、ケース18の前部を取り付けるサポート19を備えている。 【0014】 制御基板16は、横長の長方形に形成され、基板面が前後方向に向くようにケース18内に配置される。制御基板16の背面下部側には電源回路部22が設けられている。図2に示すように、電源回路部22には、電力を供給する電源線を接続する電源端子部23、供給された電力を所定の制御電源に変換する電源変換部等が含まれている。また、制御基板16の一端側には電源回路部22の側方に例えばHA端子等を構成する配線用端子台25が設けられている。本実施形態の通信装置10は家電機器と有線で接続されて通信することができるように構成されている。例えば、電源端子部23から商用電源である交流電源が入力されて通信装置10に必要な電力が供給され、配線用端子台25と家電機器とを接続する電線に制御信号が伝送される。また、通信装置10は給湯器等と接続される場合には、配線用端子台25を使用せず、電源端子部23と給湯器とを接続する電線に電源と制御信号とが重畳される。この場合には電源端子部23には給湯器から通信装置10に必要な電力が例えば直流で供給されるとともに、通信装置10と給湯器とが電源端子部23を介して制御信号が双方向に送受信される。このように、制御基板16は、配線用端子台25および電源端子部23のいずれでも家電機器と通信可能に構成される。また、電源端子部23に交流あるいは信号が重畳された直流のいずれによっても電源を供給することができるように構成される。制御基板16の背面の上部側には制御回路部26が設けられている。制御回路部26には、制御基板16の一端側に配置された設定を行うためのディップスイッチ27および外部接続用のコネクタ28等が含まれている。また、図3に示すように、制御基板16の前面の周辺部には、通信装置10の電源入切を切り換える電源スイッチ29、設定を行う設定スイッチ30、および通信状態等を表示するモニタランプ31等が実装されている。 【0015】 また、通信モジュール17は、通信基板33、および通信ケーブル接続部34を備えている。 【0016】 通信基板33は、横長の長方形で、制御基板16に比べて、基板面の幅方向の寸法および上下方向の寸法がそれぞれ小さく、基板面の面積も小さく形成されている。通信基板33は、基板面が前後方向に向くようにケース18内に配置される。図2に示すように、通信基板33の背面側には、コネクタ35や通信回路を構成する電子部品が実装されている。通信基板33の一端に通信ケーブル接続部34が接続配置されている。 【0017】 通信ケーブル接続部34は、通信ケーブル13のプラグ13aを接続可能とする例えばLANモジュラージャック等が用いられている。図3に示すように、通信ケーブル接続部34は、通信ケーブル13を差込み接続する接続口36を有している。接続口36は通信基板33の一端側に沿った側方に向けられ、したがって通信ケーブル13の接続方向は横方向(水平方向)からとなっている。 【0018】 また、ケース18は、前面が開口された箱状に形成されている。ケース18内には、ケース18内の奥側(後部側)でかつ上部側に通信基板33を配置する通信基板取付部38が設けられている。通信基板取付部38は通信基板33をねじ止め固定する複数のボス39によって構成されている。また、ケース18内には、ケース18内の前側に制御基板16を配置する制御基板取付部40が設けられている。制御基板取付部40は、制御基板16をねじ止め固定するための複数のボス41によって構成されている。 【0019】 ケース18内に配置された制御基板16および通信基板33は、所定の間隔をあけて前後方向に重ねて配置されている。制御基板16の他端側および通信基板33の他端側が前後方向に略同じ位置に配置され、制御基板16の一端側が通信基板33の一端側よりも突出するように配置されている。制御基板16の上端側および通信基板33の上端側が前後方向に略同じ位置に配置され、制御基板16の下端側が通信基板33の下端側よりも突出するように配置されている。そのため、通信基板33は、制御基板16の電源回路部22とは前後方向に重ならず、制御回路部26と前後方向に重なるように配置されている。さらに、通信ケーブル接続部34は、通信ケーブル13が接続される接続方向を、通信ケーブル13が電源回路部22と重ならない方向となる。また、制御基板16と通信基板33とは電気的に接続され、制御基板16から通信基板33に電源供給するとともに、制御基板16と通信基板33との間での信号の送受が可能となっている。」 (6)甲第8号証の記載 申立人が主たる証拠あるいは従たる証拠として提示した甲第8号証には、図面とともに、以下の記載がある。 ア (第1頁8行~第2頁下から4行) 「3. 考案の詳細な説明 本考案は無線通信装置の高周波回路部に使用するシールドケースに係る。 従来のシールドケースは第1図に示すようにシールドケース本体1の内底面隅角部にR2が形成されている。そのため、プリント基板3及び発熱部品が取付けられ、その発生する熱を、シールドケース本体1に伝達し放散させる伝導板4の底面四周の隅角部には.面取り5を施して伝導板4の底面が、シールドケース本体1の底面と密着できるようにしなければならない。このような面取りを施すことは工数を増し好ましくない。なお第1図において、6はプリント基板3及び伝導板4に装着した発熱性の半導体素子、7はシールドケース蓋を示している。 本考案は上記の事情に基づきなされたもので、伝導板の底面隅角部の面取りを必要としないシールドケースを得ることを目的とする。 本考案においては、シールドケース本体内底面隅角に凹溝を設けて前記目的を達成している。 以下図面につき本考案の詳細を説明する。第1図と同一部分には同一符号を附した第2図は本考案一実施例の横断面図を示し、この図において、シールドケース本体1の内底面四周の隅角部には、凹溝8が形成されている。この凹溝8が逃げとなるので、伝導板4の底面四周隅角部は何ら加工を施す必要がなく、そのままで絶縁シート9を介してシールドケース本体1の内底面と密着させることができる。なお、伝導板4は絶縁ねじ19によつてシールドケース本体1に固定されている。」 イ 図1 [図:0001424620000016.jpg] ウ 図2 [図:0001424620000017.jpg] 第5 当審の判断 1 明確性 申立人は、理由1において、請求項1および請求項4の「吸熱体」という記載は不明確であるから、本件特許発明1ないし18に係る特許の明確性要件違反である旨主張している(申立書第17頁下から6行~第18頁23行)ので、以下検討する。 (1)明確性要件の判断枠組み 「特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。」 以下、この観点に立って、判断する。 (2)明細書の記載 請求項1および請求項4の「吸熱体」という記載に関して、本件明細書には、以下の記載がある。 「【0037】 また、この電気装置1では、吸熱体A1と露出部B1とは、同一部材として一体となって形成されている。つまり、吸熱体A1として機能する部分と、露出部B1として機能する部分とを有する取付枠2が、アルミ等の金属材料で一体形成される。 【0038】 これにより、吸熱体A1と露出部B1の間で、熱伝導率が同一となり、介在物による熱伝導の阻害もないので、放熱の効率を向上させることができる。」 (3)技術常識 ここで、アルミ等の熱伝導率の高い金属は、高温の部材に接した部分から熱を吸収し、低温の部分で熱を放出することは当業者により技術常識であるといえる。 (4)小括 上記(2)の本件明細書の記載を上記(3)の技術常識を踏まえて解釈すれば、「アルミ等の金属材料で一体形成され」た「取付枠2」は、「吸熱体A1として機能する部分」では吸熱効果を奏しており、「露出部B1として機能する部分」では、吸収した熱を放熱する「放熱効果の機能」を有していることを当業者が理解できる。 したがって、請求項1および請求項4の「吸熱体」という記載は、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 (5)申立人の主張 請求項1および請求項4の「吸熱体」という記載について、申立人は以下のように主張している。 「一般に、吸熱とは、化学変化で使用される語彙であり、吸熱反応を意図している。ちなみに、吸熱反応を起こすとまわりから熱を奪い、周囲の温度が下がることを意味しております。 しかしながら、本願の明細書の段落0037および段落0038の記載を確認すると、「この電気装置1では、吸熱体A1と露出部B1とは、同一部材として一体となって形成されている。つまり、吸熱体A1として機能する部分と、露出部B1として機能する部分とを有する取付枠2が、アルミ等の金属材料で一体形成される。これにより、吸熱体A1と露出部B1の間で、熱伝導率が同一となり、介在物による熱伝導の阻害もないので、放熱の効率を向上させることができる。」と記載されており、吸熱体A1も露出部B1も、アルミ等の金属材料で一体形成されているのに作用が異なるという主張となります。また、吸熱体A1という別体が存在しておらず、吸熱部のような部分的に別個の機能を有すると主張されているため、理解できるように記載されていない。 以上のように、同素材で形成されているのに、作用が異なる点に、理解が及ばず、いずれも同じ作用を有するのか、別部材であるのか、吸熱体が、吸熱効果を奏するものではなく、放熱効果の機能と同じ機能であるのか、当業者が理解できるように記載されていない。」 しかし、上記(4)で述べたように、請求項1および請求項4の「吸熱体」という記載は、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから、申立人の上記主張は採用できない。 (6)明確性のまとめ 以上から、請求項1および請求項4の「吸熱体」についての記載は、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから、申立人の理由1(明確性要件違反)によって、本特許発明1ないし18を取り消すことはできない。 2 新規性・進歩性 (1)本件特許発明1について ア 甲第1号証に基づく新規性・進歩性 申立人は、理由2において、甲第1号証を主たる証拠とする新規性欠如を、また、理由3において、甲第1号証を主たる証拠とし、甲第3号証ないし甲第6号証を従たる証拠とする進歩性欠如を主張しているので、以下検討する。 (ア) 対比 以下では、本件特許発明1と甲1発明を対比する。 a <A> 甲1発明において、「電流分配用回路板13は、所要の回路形状に打ち抜いて形成したバスバー15を絶縁基板13aへ載置固定したものであり、実装面となる一面13bにはリレーRやヒューズF等の電気部品をバスバー15へ直接実装しており、バスバー15が形成する回路は電流を分配する機能を備え、回路に電流が流れることでリレーR等の作動して多量の熱が発生しており、」「電流分配用回路板13とプリント基板14との間に絶縁板16を介在させて電流分配用回路板13とプリント基板14との各回路が不用意に導通しないよう確実に絶縁しており、絶縁板16は、放熱板17の上面17aに一側辺17cから電流分配用回路板13の面積と同等の領域に樹脂でコーティングして第一絶縁層18を形成しており、」「絶縁板16の放熱板17は、金属板材として熱伝達率に優れたアルミニウム板より形成されており、電流分配用回路板13及びプリント基板14の長手寸法よりも延出するように設定し、この延出した箇所を放熱部17dとしており、この放熱部17dは、アッパーケース11及びロアケース12の内部の空間に絶縁板16を収めたとき、ケース外に突出するようにしており、第一絶縁層18は熱を非常に伝達しやすい樹脂から形成して」いるとされている。 ここで、甲1発明の「電流分配用回路板13」は、「多量の熱が発生して」いるから、熱源であるといえる。 また、熱を伝達しやすい部材は、熱源に接した部分から吸熱し、放熱部から当該吸熱した熱を放熱する機能を有することは、当業者により技術常識であるといえる。 そして、甲1発明の「電流分配用回路板13」は、「電流分配用回路板13とプリント基板14との間に絶縁板16を介在させて」おり、「絶縁板16は、放熱板17の上面17aに」「第一絶縁層18を形成しており、」「第一絶縁層18は熱を非常に伝達しやすい樹脂から形成」されており、「絶縁板16の放熱板17は、金属板材として熱伝達率に優れたアルミニウム板より形成されており、電流分配用回路板13及びプリント基板14の長手寸法よりも延出するように設定し、この延出した箇所を放熱部17dとしており、この放熱部17dは、アッパーケース11及びロアケース12の内部の空間に絶縁板16を収めたとき、ケース外に突出する」とされているから、上述した技術常識を踏まえて解釈すれば、甲1発明の「第一絶縁層18」は、本件特許発明1の「吸熱体」に相当するといえる。 b <B> 甲1発明において、「第一絶縁層18」の上に「積層」される「電流分配用回路板13」と、本件特許発明1の「前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される通信基板」とは、「前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される」「基板」である点で共通するといえる。 c <C> 甲1発明において、「アッパーケース11は電流分配用回路板13やプリント基板14の外形より一回りほど大きい縦横寸法で内部に空間を有するように樹脂成形されており、ロアケース12も樹脂成形品である」とされている。 ここで、甲1発明の「アッパーケース11」および「ロアケース12」と、本件特許発明1の「少なくとも一部が金属製の筐体」とは、「筐体」である点で共通するといえる。 d <D> 甲1発明において、「アッパーケース11及びロアケース12で形成される空間内に、内部回路としてリレーRやヒューズF等の電気部品を実装する大電流、中電流が流れる電流分配用回路板13と、小電流が流れる制御用回路板であるプリント基板14とを、絶縁板16を介在させて上下に積層した状態で収容しており、」「プリント基板14には各種制御用の回路が形成され、熱の影響を受けやすいFETやマイコン等の多数の電子部品20を一面14aに実装して」いるとされる。 ここで、甲1発明の「プリント基板14」と、本件特許発明1の「前記筐体内に配置される電源基板」とは、「前記筐体内に配置される」「基板」である点で共通するといえる。 e <E> 甲1発明において、「絶縁板16の放熱板17は、金属板材として熱伝達率に優れたアルミニウム板より形成されており、電流分配用回路板13及びプリント基板14の長手寸法よりも延出するように設定し、この延出した箇所を放熱部17dとしており、この放熱部17dは、アッパーケース11及びロアケース12の内部の空間に絶縁板16を収めたとき、ケース外に突出するようにして」いるとされている。 ここで、甲1発明の「絶縁板16」と「放熱部17d」とは、吸熱体に相当する「第一絶縁層18」が吸熱した熱を伝導しているから、「第一絶縁層18」と熱的に結合しているといえる。 したがって、甲1発明の「放熱部17d」は、本件特許発明1の「前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部」に相当するといえる。 f <F> 甲1発明において、「第二絶縁層19を形成する絶縁用の樹脂は、熱伝達率が非常に低い特性を有し、結果として第二絶縁層19は断熱層として機能して」いるとされている。 ここで、上記第4の1(1)ウの図2を参照すると、甲1発明の「第二絶縁層19」は、「第一絶縁層18」(吸熱体)と「ロアケース12」(筐体)との間にあるといえる。 よって、甲1発明の「断熱層として機能」する「第二絶縁層19」は、本件特許発明1の「前記吸熱体と、前記筐体」「との間に」ある「断熱部材」に対応するといえる。 したがって、本件特許発明1の「前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材」と、甲1発明の「第二絶縁層19」とは、「前記吸熱体と、前記筐体」「との間に」ある「断熱部材」である点で共通するといえる。 g <G> 甲1発明は、「アッパーケース11及びロアケース12で形成される空間内に、内部回路としてリレーRやヒューズF等の電気部品を実装する大電流、中電流が流れる電流分配用回路板13と、小電流が流れる制御用回路板であるプリント基板14とを、絶縁板16を介在させて上下に積層した状態で収容」しているから、本件特許発明1と同様に、「電気装置」(<G>)であるといえる。 (イ) 一致点・相違点 上記(ア)より、本件特許発明1と甲1発明とは、以下aの点で一致し、また、以下bの点で相違しているといえる。 a 一致点 「<A> 吸熱体と、 <B’> 前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される基板と、 <C’> 筐体と、 <D’> 前記筐体内に配置される基板と、 <E> 前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部と、 <F’> 前記吸熱体と、前記筐体との間にある断熱部材と、を備える、 <G> 電気装置。」 b 相違点 (a) <相違点1-1> 本件特許発明1では、前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される基板が、通信基板であるのに対し、甲1発明では、電流分配用回路板13である点。 (b) <相違点1-2> 本件特許発明1では、筐体の、少なくとも一部が金属製であるのに対し、甲1発明では、筐体が樹脂成形品である点。 (c) <相違点1-3> 本件特許発明1では、前記筐体内に配置される基板が、電源基板であるのに対し、甲1発明では、筐体内に配置される基板が、FETやマイコン等の多数の電子部品20を一面14aに実装したプリント基板14である点。 (d) <相違点1-4> 本件特許発明1では、断熱部材を、吸熱体と筐体との間に挟み込んでいるのに対し、甲1発明では、断熱部材を、吸熱体と筐体との間に挟み込んでいない点。 (ウ) 相違点の判断 a 新規性 上記<相違点1-1>ないし<相違点1-4>は、いずれも、実質的なものであるから、本件特許発明1は、甲1発明と同一であるとはいえない。 b <相違点1-1>について 甲1発明は「電気接続箱」であり、甲第3号証ないし甲第6号証の記載を参照しても、前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される基板を、通信基板とする動機付けがないから、甲1発明において、<相違点1-1>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 c <相違点1-3>について 甲1発明は「電気接続箱」であり、甲第3号証ないし甲第6号証の記載を参照しても、上記<相違点1-3>について、筐体内に配置される基板を、電源基板とする動機付けがないから、甲1発明において、<相違点1-3>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 d <相違点1-4>について 甲1発明において、断熱部材を、吸熱体と筐体との間に挟み込んだものとする動機づけがないから、甲1発明において、<相違点1-4>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 e 作用効果 上記<相違点1-1>、<相違点1-3>および<相違点1-4>に係る構成を採用することにより、本件特許発明1は、「通信基板及び電源基板の各々で発生した熱の外部への放熱効率を高めつつ、通信基板から電源基板への熱伝導に起因する電源基板の温度上昇を抑制できるという効果」(本件明細書の段落0008)を奏しているといえる。 (エ) 小括 したがって、その他の<相違点2>について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明および甲第3号証ないし甲第6号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。 (オ) 申立人の主張について a <B> 申立人は、申立書において、甲1発明の「第一絶縁層18に重ねて配置される」プリント「基板14」が、本件特許発明1の「前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される通信基板」(<B>)に相当する構成である旨主張している。(申立書第27頁12行) しかし、甲1発明の「プリント基板14」は、「第一絶縁層18」(吸熱体)ではなく、「第二絶縁層19」(断熱部材)に接しているから、「前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される」基板であるとはいえない。 また、「FETやマイコン等の多数の電子部品20を一面14aに実装」した「プリント基板14」は、「通信」基板であるともいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 b <C> 申立人は、申立書において、甲1発明の「ロアケース12」が、本件特許発明1の「少なくとも一部が金属製の筐体」(<C>)に相当する構成である旨主張している。(申立書第27頁13行) しかし、甲1発明の「ロアケース12」は、「樹脂成形品」であるから、「少なくとも一部が金属製」であるとはいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 c <D> 申立人は、申立書において、甲1発明の「電流分配用回路板13」が、本件特許発明1の「前記筐体内に配置される電源基板」(<D>)に相当する構成である旨主張している。(申立書第27頁14行) しかし、甲1発明の「電流分配用回路板13」は、「電流分配用回路板13は、所要の回路形状に打ち抜いて形成したバスバー15を絶縁基板13aへ載置固定したものであり、実装面となる一面13bにはリレーRやヒューズF等の電気部品をバスバー15へ直接実装し」たものであるから、「電源」基板であるとはいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 イ 甲第2号証に基づく新規性・進歩性 申立人は、理由2において、甲第2号証を主たる証拠とする新規性欠如を、また、理由3において、甲第2号証を主たる証拠とし、甲第3号証ないし甲第6号証を従たる証拠とする進歩性欠如を主張しているので、以下検討する。 (ア) 対比 以下では、本件特許発明1と甲2発明を対比する。 a <A> 甲2発明において、「電源部品36から多くの熱が発生するとともに、その他の電子部品からも熱が発生するものであり、電源部品36から発生する熱を主とし、他の電子部品から発生する熱も含めて放熱する放熱構造を採用しており、放熱構造では、第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱を主として、他の電子部品から発生する熱も含めて、金属製の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱して放熱するように構成されており、放熱構造では、第2基板38の前面部の中央部に第1熱伝導体51が配置され、第3基板39の前面部の中央部に第2熱伝導体52が配置され、第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱(その他の電子部品から発生する熱も含む)を、第2熱伝導体52に伝熱させて、第3基板39の前方側に伝熱可能とし、第2基板38に伝熱された熱を、第1熱伝導体51に伝熱させて、第2基板38の前方側に伝熱可能とし、第1基板37と第2基板38との間において左右方向に延びて、その左右方向の両端部から後方側に延びる第1板状体53が備えられており、第1板状体53は、第1熱伝導体51、第2基板38及び第2熱伝導体52によって、第2基板38及び第3基板39の前方側に伝熱された熱を、第2基板38及び第3基板39の周囲を通して第2基板38及び第3基板39の後方側(一方側)の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱させて放熱する第2伝熱部として構成されている」とされている。 ここで、熱源に接した熱伝導体は、熱源から吸熱していることは技術常識であるから、甲2発明の「第1熱伝導体51」および「第2熱伝導体52」は、本件特許発明1の「吸熱体」に相当するといえる。 b <B> 甲2発明において、「情報通信ユニット2は、アンテナ素子25が内蔵されたアンテナユニット23と、アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容された本体ユニット20とを備えており、」「本体ユニット20は、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とに分割自在に構成されており、」「前方側ケーシング26の前面部28の上方側部位には、・・・ルーティング機能(有線LANや無線LANを利用した情報通信機能)の利用可能状態を示すLANインジケータ、及び、ネットワークのアクセス状態を示すアクセスインジケータ等の表示ランプ部31・・・が配置されており、」「前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とを組み付けることで、前後、左右及び上下が閉塞された収容空間35が形成され、その収容空間35に、アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容されており、」「第1基板37の前面部には、電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口22、及び、LAN用モジュラーアダプタ用の接続口21が設置され、第3基板39の後面部には、電源部品36が設置されて」いるとされている。 ここで、「第1基板37の前面部には、電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口22、及び、LAN用モジュラーアダプタ用の接続口21が設置され、第3基板39の後面部には、電源部品36が設置されて」いることから、「無線LANを利用した情報通信機能」「のための各部品」は、「第1基板37」の後面、「第2基板38」の前面あるいは後面、あるいは、「第3基板39」の前面のいずれかの面に設置されているといえる。 「第1熱伝導体51」(吸熱体)は、「第1基板37」と「第2基板38」の間に設置され、「第2熱伝導体52」(吸熱体)は、「第2基板38」と「第3基板39」の間に設置されているから、「無線LANを利用した情報通信機能」「のための各部品」が設置された基板は、本件特許発明1の「前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される通信基板」に相当するといえる。 したがって、本件特許発明1と甲2発明とは、「前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される通信基板」を備える点で共通するといえる。 c <C> 甲2発明において、「後方側ケーシング27は、例えば、アルミや亜鉛鋼等の金属製に構成されて」いるとされている。 したがって、本件特許発明1と甲2発明とは、「少なくとも一部が金属製の筐体」を備える点で共通するといえる。 d <D> 甲2発明において、「前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とを組み付けることで、前後、左右及び上下が閉塞された収容空間35が形成され、その収容空間35に、アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容されており、各部品として、例えば、コンバータ等の電源部品36、その他の電子部品、電源部品36やその他の電子部品を設置する第1~第3基板37~39、基板37~39同士を接続するコネクタ部40等が備えられており、」「第3基板39の後面部には、電源部品36が設置されて」いるとされている。 ここで、甲2発明の「電源部品36が設置され」た「第3基板39」は、本件特許発明1の「電源基板」に相当するといえる。 したがって、本件特許発明1と甲2発明とは、「前記筐体内に配置される電源基板」を備える点で共通するといえる。 e <G> 甲2発明において、「情報通信ユニット2は、・・・アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容された本体ユニット20とを備えて」いるとされているから、本件特許発明1と同様に、「電気装置」であるといえる。 (イ) 一致点・相違点 上記(ア)より、本件特許発明1と甲2発明とは、以下aの点で一致し、また、以下bの点で相違しているといえる。 a 一致点 「<A> 吸熱体と、 <B> 前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される通信基板と、 <C> 少なくとも一部が金属製の筐体と、 <D> 前記筐体内に配置される電源基板と、 を備える、 <G> 電気装置。」 b 相違点 (a) <相違点2-1> 本件特許発明1は「前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部」(<E>)を備えているのに対し、甲2発明は、そのような構成を備えていない点。 (b) <相違点2-2> 本件特許発明1は、「前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材」(<F>)を備えているのに対し、甲2発明は、そのような構成を備えていない点。 (ウ) 相違点の判断 a 新規性 上記<相違点2-1>および<相違点2-2>は、いずれも、実質的なものであるから、本件特許発明1は、甲2発明と同一であるとはいえない。 b <相違点2-1>について 甲2発明において、「第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱を主として、他の電子部品から発生する熱も含めて、金属製の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱して放熱するように構成されて」おり、甲第3号証ないし甲第6号証の記載を参照しても、前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部を備える構成とする動機付けがないから、甲2発明において、<相違点2-1>に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 c <相違点2-2>について 甲2発明において、「第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱を主として、他の電子部品から発生する熱も含めて、金属製の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱して放熱するように構成されて」おり、「第3基板39」、「第2基板38」および「第1基板37」において発生した熱を「金属製の後方側ケーシング27」に伝熱させているから、甲第3号証ないし甲第6号証の記載を参照しても、甲2発明において、「前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材」を備える<相違点2-2>に係る構成とする動機付けはない。 むしろ、そのような「断熱部材」が存在することにより、「第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱を主として、他の電子部品から発生する熱も含めて、金属製の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱」できなくなるから、甲2発明において、「前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材」を備える<相違点2-2>に係る構成とする阻害事由があるといえる。 d 作用効果 上記<相違点2-1>および<相違点2-2>に係る構成を採用することにより、本件特許発明1は、「通信基板及び電源基板の各々で発生した熱の外部への放熱効率を高めつつ、通信基板から電源基板への熱伝導に起因する電源基板の温度上昇を抑制できるという効果」(本件明細書の段落0008)を奏しているといえる。 一方、甲2発明においては、第1基板37あるいは第2基板38(通信基板)と第3基板39(電源基板)との間の熱伝導を第1熱伝導体51および第2熱伝導体52により積極的に行っているから、本件特許発明1の「通信基板から電源基板への熱伝導に起因する電源基板の温度上昇を抑制できるという効果」は奏しないものとなる。 (エ) 小括 したがって、本件特許発明1は、甲2発明および甲第3号証ないし甲第6号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。 (オ) 申立人の主張について a <E> 申立人は、申立書において、甲2発明の「第1板状体53、後方側ケーシング27およびフレーム13」が、本件特許発明1の「前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部」(<E>)に相当する構成である旨主張している。(申立書第50頁20行) しかし、甲2発明の「フレーム13」は、「第1板状体53」(吸熱体)と熱的に結合されたものではない。 また、「第1板状体53」は、後方側ケーシング27(筐体)に内接しているから、筐体の外部にも露出しているとはいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 b <F> 申立人は、申立書において、甲2発明の「フランジ部30」が、本件特許発明1の「前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材」(<F>)に相当する構成である旨主張している。(申立書第50頁21行) しかし、甲2発明の「フランジ部30」は、「前方側ケーシング26には、周側面部29の後端部位から側方側に延出するフランジ部30が備えられ、このフランジ部30が取り付けフレーム13に固定自在に構成されている。」(本件明細書の段落0035)とされるから、第1伝熱体51や第2伝熱体52(吸熱体)と後方側ケーシング27(筐体)との間に挟み込まれたとはいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 (2)本件特許発明2ないし18について ア 新規性 本件特許の請求項2ないし18は、いずれも、請求項1の記載を直接あるいは間接的に引用する形式で記載されたものであって、本件特許発明2ないし18は、本件特許発明1の全発明特定事項を具備し、これにさらに限定を加えたものに該当するところ、上記(1)で述べた本件特許発明1と同様に、本件特許発明2ないし18も、甲第1号証あるいは甲第2号証に記載された発明ではない。 イ 甲1発明あるいは甲2発明に基づく進歩性 また、本件特許の請求項2ないし18は、いずれも、請求項1の記載を直接あるいは間接的に引用する形式で記載されたものであって、本件特許発明2ないし18は、本件特許発明1の全発明特定事項を具備し、これにさらに限定を加えたものに該当するところ、上記(1)で述べた本件特許発明1と同様の理由で、本件特許発明2ないし18も、甲第1号証あるいは甲第2号証に記載された発明および甲第3号証ないし甲第6号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。 ウ 甲第3号証に基づく進歩性 申立人は、さらに、本件特許発明2ないし4および12について、甲第3号証および周知技術(甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第8号証)に基づく進歩性欠如を主張している(申立書第92頁13行~第93頁7行、申立書第94頁10行~第95頁6行、申立書第97頁1行~下から5行、申立書第112頁19行~第113頁13行)。 しかし、甲第3号証は、「調光スイッチ等の放熱を要する発熱機器の取付構造に関するもの」であり、甲第3号証には、少なくとも、「<B> 前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される通信基板」、「<D> 前記筐体内に配置される電源基板」等の構成の記載も示唆もなく、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第8号証の記載を参照しても、甲第3号証および甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第8号証に記載の技術的事項に基づいて、本件特許発明2ないし4および12は、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 エ 甲第4号証に基づく進歩性 申立人は、本件特許発明9について、甲第4号証および周知技術(甲第1号証ないし甲第3号証、甲第5号証ないし甲第8号証)に基づく進歩性欠如を主張している(申立書第103頁8行~第104頁14行)。 しかし、甲第4号証では、請求項9に対応する構成しか記載がなく、少なくとも、請求項9が間接的に引用している請求項1の「<E> 前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部」および「<F> 前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材」に相当する構成が記載も示唆もなく、甲第1号証ないし甲第3号証、甲第5号証ないし甲第8号証を参照しても、甲第4号証および甲第1号証ないし甲第3号証、甲第5号証ないし甲第8号証記載の技術的事項に基づいて、本件特許発明9は、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 オ 甲第7号証に基づく進歩性 申立人は、本件特許発明11について、甲第7号証および周知技術(甲第1号証ないし甲第6号証、甲第8号証)に基づく進歩性欠如を主張している(申立書第107頁10行~第112頁18行)。 しかし、甲第7号証では、請求項11に対応する構成しか記載がなく、少なくとも、請求項11が間接的に引用している請求項1の「<E> 前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部」および「<F> 前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材」に相当する構成が記載も示唆もなく、甲第1号証ないし甲第6号証および甲第8号証を参照しても、甲第7号証および甲第1号証ないし甲第6号証および甲第8号証記載の技術的事項に基づいて、本件特許発明11は、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 カ 甲第8号証に基づく進歩性 申立人は、本件特許発明13について、甲第8号証および周知技術(甲第1号証ないし甲第7号証)に基づく進歩性欠如を主張している(申立書第113頁14行~第114頁下から5行)。 しかし、甲第8号証には、「伝導板4は絶縁ねじ19によつてシールドケース本体1に固定されている」といった請求項13の「前記ネジは、電気絶縁性を有する材料で構成される」という構成に対応する記載しかなく、少なくとも、請求項13が間接的に引用している請求項1の「<E> 前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部」および「<F> 前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材」に相当する構成が記載も示唆もなく、甲第1号証ないし甲第7号証を参照しても、甲第8号証および甲第1号証ないし甲第7号証記載の技術的事項に基づいて、本件特許発明13は、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 (3)新規性・進歩性のまとめ ア 新規性 以上から、本件特許発明1ないし11、14ないし18は、いずれも、甲第1号証あるいは甲第2号証に記載された発明ではないから、申立人申立ての理由2(新規性欠如)によって、本件特許発明1ないし11、14ないし18についての特許を取り消すことはできない。 イ 進歩性 また、本件特許発明1ないし18は、いずれも、甲第1号証ないし甲第8号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではないから、申立人申立ての理由3(進歩性欠如)によって、本件特許発明1ないし18についての特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由1ないし理由3によっては、特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された本件特許発明1ないし18に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700279

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