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特許異議申立

2025-700182

情報通信ユニット

審判番号
2025-700182
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-105028
登録番号
7538087
請求日
2025年02月12日
審決日
2025年05月09日
公報発行日
2025年06月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】因幡電機産業株式会社
  • 【権利者代理人】宮地 正浩
  • 【異議申立人】南 ヒメ子
審判長/審判官
  • 審判長 伊藤 隆夫
  • 審判官 山澤 宏
  • 審判官 村松 貴士
分類
P1651.113-Y (H05K) / P1651.121-Y (H05K) / P1651.537-Y (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第44条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7538087号発明「情報通信ユニット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7538087号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯等 1 出願分割の経緯 特許第7538087号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願(以下、「本件出願」という。)は、令和3年6月24日にされた特許法第44条1項の規定による特許出願であって、平成30年2月21日(優先権主張 平成29年2月23日)に出願された特願2018-28596号を最先の出願とする、いわゆる第4世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯の概略は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。 最先の出願:特願2018- 28596号(平成30年 2月21日) 第1世代 :特願2018-188354号(平成30年10月 3日) 第2世代 :特願2019- 48094号(平成31年 3月15日) 第3世代 :特願2020-174594号(令和 2年10月16日) 本件出願 :特願2021-105028号(令和 3年 6月24日) 2 手続の経緯 本件出願は、令和6年8月13日にその特許権の設定登録がされ、令和6年8月21日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和7年2月12日に特許異議申立人南ヒメ子(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 複数の基板と、それら複数の基板を収容するケーシングと、そのケーシングの外方に露出する露出部とが備えられ、 前記露出部は、前記ケーシングの外面部にて構成され、 前記ケーシングとは別に備えられて、前記ケーシングの外方に露出しない状態で前記ケーシングの内部に配設された伝熱部が備えられ、 前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて、その集めた複数の基板の熱を基板の面方向に沿って伝熱させた後、基板の表裏方向へも伝熱させて前記露出部に伝熱させて放熱させる放熱構造を備えた情報通信ユニットにおいて、 アンテナ素子、情報通信のための部品、及び、電源部品が備えられ、 前記ケーシングは、少なくとも後方側の一部が設置対象部位の内部に埋設される埋設状態にて設置対象部位に設置され、 前記露出部は、設置対象部位の前方側に配置される化粧カバーよりも設置対象部位の後方側に配設されている情報通信ユニット。」 第3 申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において、以下の理由1~3により、本件特許発明についての特許を、取り消すべきである旨主張している。 1 理由1(新規性欠如:特許法第29条第1項第3号) 申立人は、以下の甲第1号証を提出し、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである旨主張している(申立書11頁14行~21頁15行)。 2 理由2(進歩性欠如:特許法第29条第2項) 申立人は、主たる証拠である甲第1号証に加えて、従たる証拠として以下の甲第2~7号証を提出し、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2~7号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである旨主張している(申立書21頁16行~55頁4行)。 3 理由3(明確性要件違反:特許法第36条第6項第2号) 申立人は、概略、以下のように述べて、本件特許発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである旨主張している(申立書7頁11行~11頁12行)。 本件特許発明の「複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて」という記載に関し、潜熱蓄熱材、熱交換器、ヒートポンプ等を用いず、単に温度の高いところから低いところへ、熱を伝導、対流、放射させているのみで自動詞的に集まっているはずであるから、「熱を集める」という他動詞の意味が不明確である。 また、本件特許発明の「複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて」という記載に関し、本件特許の明細書及び図面を参酌しても、温度差により温度勾配が生じて熱の伝導が生じていることのみが記載され、積極的に熱を集めることは記載されていないから、「熱を集める」ことについて当業者が理解できるようには記載されておらず、不明確である。 さらに、本件特許発明の「前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて、その集めた複数の基板の熱を基板の面方向に沿って伝熱させた後、基板の表裏方向へも伝熱させて前記露出部に伝熱させて放熱させる放熱構造」という記載に関し、本件特許の図4のT6の熱の流れが大きいから、T1及びT2の熱の流れが生じるか疑問であり、加えて、板状体接触部55の温度よりも第1前後延接部53bの温度が高くなる可能性は低いから、T3の熱の流れが生じるかも疑問である結果、「放熱構造」について当業者が理解できるように記載されておらず、不明確である。 <証拠方法> 甲第1号証:特開2014-72561号公報 甲第2号証:国際公開第2013/080441号 甲第3号証:特開2017-123700号公報 甲第4号証:特開2005-245149号公報 甲第5号証:特開2003-110263号公報 甲第6号証:特開平9-27690号公報 甲第7号証:特開2000-261171号公報 第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明 1 甲第1号証 (1)甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。 「【0001】 本発明は、各種電気機器・家電機器の電源プラグを接続するためのコンセントやタップ等のスマートタップを備えた家電遠隔監視システムに関する。」 「【0004】 家屋内や工場内の電源コンセントに接続される電気機器の消費電力などを監視する電気量監視装置であって、家屋内や工場内の電源コンセントに複数の電気機器の電源プラグを接続できる複数の電源コンセント差込口を設けたテーブルタップと、前記テーブルタップに内蔵され、前記電源コンセント差込口を介して前記電源コンセントに接続された各電気機器に流れる電流を個々に検出する変流器、および電圧を共通に検出する電圧変成器と、前記テーブルタップに内蔵され、前記検出された電流、電圧およびこれらを基に演算された消費電力量等の電気量を監視し、これら監視情報をLAN接続で上位系のサーバ装置や汎用パソコンにWeb伝送制御できるマイクロコンピュータを備えたことを特徴とする電気量監視装置は特許文献2に記載されているように公知である。 【0005】 省エネコントロールされる負荷側と、この負荷側の省エネ状態をコントロールする省エネコントロール側とを有し、負荷側では、負荷に接続されるプラグと、このプラグが差し込まれる複数のプラグ差込口を有する電源タップと、を備え、上記プラグは、負荷データが書き込まれるICタグを内蔵し、上記電源タップは、上記各プラグ差込口に対応して、ICタグと通信して負荷データを得るICタグリーダーと、プラグ差込口に差し込まれたプラグへ供給する電流を検出する電流検出手段とを具備すると共に、上記ICタグとICタグリーダーとの通信データと、上記電流検出手段からの電流検出データと、を処理して上記省エネコントロール側へ送信するプログラマブルコントローラ部、を備え、上記省エネコントロール側は、上記プログラマブルコントローラ部との通信により得る上記データに基づいて省エネコントロールすることが可能な省エネコントロールシステムは、特許文献3に記載されているように公知である。 【0006】 負荷機器が接続されるとともにこの負荷機器に電力を供給する子器となる複数個の給電接続手段と、これら給電接続手段と信号線を通じて接続されるとともに前記給電接続手段から送信される信号を受信することにより前記給電接続手段の電力使用状態を表示する表示器を有する親器となる表示装置とを備える給電システムにおいて、前記給電接続手段の各々には、固有のアドレスが割り振られ、前記給電接続手段には、自己のアドレスを前記表示装置に登録するアドレス設定部と、前記給電接続手段に供給される電流を検知する電流検知部と、この電流検知部にて検知された電流値と前記自己のアドレスとを信号線を通じて前記表示装置へと送信する送信部とが設けられ、前記表示装置には、前記給電接続手段からの信号を受信する受信部と、前記電流検知部にて検知された電流値に基づいて前記給電接続手段の電力使用状態を演算する演算部が設けられ、前記電力積算量が予め設定された判定値を超えたときや、前記給電接続手段の検知する電流値が判定値を超えて使用したときに前記給電接続手段の電力供給を遮断する給電システムは特許文献4に記載されるように公知である。 【0007】 1又は複数の電源プラグ接続手段を有する電源タップの電源供給制御装置において、上記1又は複数の電源プラグ接続手段に供給する供給電力値が待機電力値に相当するものであるかを検出する待機電力検出手段と、上記待機電力検出手段により待機電力値相当の検出後、所定時間経過後に、上記各電源プラグ接続手段に対する電源供給を停止する電源供給停止手段とを備えた電源供給制御装置は特許文献5に記載されているように公知である。」 「【0023】 そのようなEoDシステムは、コンセントやタップに接続された家電機器に供給する電力の電圧波形や電流波形や電圧値、電流量から、家電機器毎に必要とする(家電機器が要求する)リアルタイムでの電力量、つまり要求電力量を、コンセントやタップ内部にて計測することを基本とする。しかもその計測は下記に示す極めて高いサンプリングレートによって行う。その計測結果をコンセントやタップ内の演算装置において演算し、電圧波形及び電流波形のパターンとして認識・解析する。 各家電機器に供給する電力の電圧波形及び電流波形は、家電機器毎に異なるパターンを有することが多い。つまり、現在において、家電機器は内部にスイッチング電源やインバータ等の制御装置を備えるので、1交流周期内の電流波形には家電機器毎に特徴的な波形が表れる。このため、たとえ消費電力が同じであっても電圧・電流波形が異なることが多く、このような電圧・電流波形のパターンをサーバ等にデータベース化しておくことによって、コンセントやタップに接続された家電機器が何であるかを識別したり、それぞれの家電機器の運転状況や、劣化、故障や漏電などの異常の発生等を検知することが可能である。」 「【0035】 ここで、スマートタップ部品の寿命の点からマイクロコンピュータの周辺温度は80℃以下が良く、かつ通信手段の寿命の点から好ましくは、MOSFETの発熱量は8W以下である。 さらに、通信阻害を起こさないコンセント差し込み口側の正面の樹脂等の非金属製材料からなるパネルの裏面側に通信手段を設置した場合、MOSFETの発熱部を絶縁性の放熱材料、放熱シート、放熱接着シートを介して、コンセント正面の反対側の裏面に金属筺体(Al等)または金属性のヒートシンク等に放熱できる構造となる。一方通信阻害を起こす金属部材からなるコンセント前面部材を採用する場合は、通信手段をスマートタップに内蔵するため、特に通信性の低下を抑制するために、樹脂等の非金属製の筺体が選択される。それゆえMOSFETの発熱量は上記金属筺体より放熱性が悪くなるため、MOSFETの発熱量は1W以下が好ましい。 すなわち、スマートタップの製品寿命や安全性の観点から電力制御デバイスの発熱を80℃以下とするように、1個あたりのMOSFETへの投入電流を低減させる並列接続構造や、投入電力を低減させない直列接続構造(つまりコンセント1個口あたり電力制御デバイスを2個)を採用できる。 さらに通信手段に影響を与えない放熱板をスマートタップ筺体自体ではなく、デバイス実装の内部に構成でき、あるいは、下記のようにスマートタップの筐体を金属製としたことによる放熱性を考慮して電力制御デバイスを絶縁性放熱シートを介して筐体に接続することもできる。 【0036】 特に、上記のように、通信手段をスマートタップの樹脂などの電波を通すことが可能な材料からなる前面のパネルの内側に配置する場合には、通信手段が該パネルを通過する電波によって通信を行うことができるので、スマートタップの筐体を電波を透過しない金属製とすることができる。 このときには、該金属製の筐体が放熱板としての作用を兼ねるので、FET等の制御手段を絶縁性放熱シート(例えば0.5~20W/mK)等の公知の放熱用材料を介して該筐体に接続できる。その結果、該制御手段が発生する熱を該絶縁性放熱シートを通じて筐体から周囲に放熱させることが可能となる。この場合、筐体の外部に放熱用のフィン等を設けることもできる。なお、金属筺体の代わりに絶縁性のあるBNやALNなどの高熱伝導樹脂複合材からなる樹脂を筺体として使用することもできる。 このため、1つの制御手段の発熱量がたとえ8W程度であるとしても、筐体からスマートタップ外部に放熱されることにより、該通信手段の温度上昇を防止することが可能となる。 【0037】 このため、電力の計測や電流・電圧波形の送信を行う通信手段を、スマートタップのコンセント差し込み口側の正面の樹脂材料からなるパネルの裏面に構成する。この場合、通信デバイスの受信部の周辺は非金属材料のため、通信性は低下することがない。一方電力制御デバイス部の発熱部は、通信デバイスのさらに奥側に設置され、金属筺体や金属性ヒートシンクへ絶縁性等の放熱材(シート、接着シート)を介して、放熱することで、スマートタップ内部ならびに筺体の温度を80℃以下にできる。すなわち、タップにおける通信性を損なわずに、発熱を抑制でき、タップの各デバイスの寿命を低減することなく、オン抵抗の小さな電力制御デバイスを使用せずに安価なデバイスを使用することができる。 さらに、スマートタップの構造として、通信手段を上記の通信手段の通信性を低下させない非金属樹脂の裏面に構成しかつ、その奥側に電力制御デバイスを設置する場合、高熱伝導で且つ絶縁性のある高熱伝導樹脂複合材料の筺体を利用し、発熱部とこの絶縁性高熱伝導樹脂筺体の間を絶縁性のある放熱材を介して設置することもできる。 これにより、通信性を損なわず、発熱を低減可能とし、安価な制御デバイスを使用することができる。 このように、通信デバイスをスマートタップの内部特に金属などの通信阻害の低い部分に設置することができ、例えば側面に構成する構造では、通信阻害の低い樹脂筺体を使用する構造となる。故に電力制御デバイスとしては、発熱量の小さいすなわちオン抵抗値の小さいデバイスを選択することで、発熱量を80℃以下にすることができる。」 「【0076】 スマートタップとしては、第1の形式として、例えば図6に示すような内部構造のものを使用することができる。なお以下の図においては制御装置としてMOSFETを採用した。 図6は2個口コンセントのスマートタップの内部配置を模式的に示した図であり、制御手段として1個口当たり4つのMOSFET1、1つの電流測定手段2を設け、さらに図示はしないが1個口当たり1つの電圧測定手段を設けている。そして2個口で1つの演算装置と通信手段を共有するように設けている。図から明らかなように、演算装置電源用回路基板を設け、MOSFET1から発生する熱を電源プラグの外へ放熱することを容易にするために、4つの隅にMOSFET1を設け、そのMOSFET1からなるべく離れた箇所に演算装置3と通信手段4を設置している。なお、MOSFET1は最低2個で、4~8個までを設けることが可能である。 このような配置とすることにより、可能な限り演算装置3と通信手段4が加熱されないようにすることが必要である。 MOSFET等の発熱量が少ないすなわちオン抵抗値の小さい電力制御デバイスである制御手段を採用することによって、発熱量が低くなるため、電波透過性がない金属材料を用いる必要性がない。そして筐体の少なくとも一部を放熱効果が小さい樹脂製とすることができるので、サーバとの間で通信を行うために必要な電波の透過性を担保することができる。 この場合、電力制御デバイスとしては、このような発熱量の小さいすなわちオン抵抗値の小さいデバイスを選択することで、発熱量を80℃以下にすることができる。 【0077】 第2の形式としては、上記図6に示すスマートタップの構造とは異なり、制御手段であるMOSFET1をスマートタップの樹脂製等の電波を透過し得る前面の直下またはその奥の基板に、コンセント1個口当たり2個となるように設けた例を図7及び8に示す。図7及び8は本発明のスマートタップの一例の構成図であり、図8は図7の構成を一部組み立てた状態を別方向から見た図である。 図7及び8においては、スマートタップの樹脂等の非金属樹脂材料である電波を透過し得る材料からなる該前面6の例えば中央部の裏面に通信手段4及びその基板を設置する。このために該通信手段4が通信する信号はスマートタップの該前面6を通過して、例えばサーバと通信することができる。さらに、図示はしないが、該基板中央部にスマートタップの運転状況を示すLED及びその基板ならびに無線モジュールならびにマイコンのファームウエアを書き換える基板を設けることができる。無線モジュールとマイコンのファームウエアの書き換えは、埋め込み型の場合、USB端子による書き換え更新や無線での書き換えのいずれも使用することができる。 【0078】 さらに、スマートタップの該前面6の内部に位置する基板7の長辺の中央部付近にMOSFET1を設け、さらにスマートタップの運転により、MOSFET1が発熱した場合には、図示していないが、該MOSFET1と筐体8の両方に接するように絶縁性放熱シートを設けている。 このため、該MOSFET1から発生した熱は放熱材としての絶縁性放熱シートを伝熱し、さらに金属の筐体8や金属製ヒートシンクに伝えられる。筐体8はスマートタップが設置されている壁内にて、放熱することにより、MOSFET1からの熱を円滑に放熱させることになり、スマートタップ内部ならびに筺体の温度を80℃以下にできる。 このため、オン抵抗の小さな電力制御デバイスを使用せずに安価なデバイスを使用することができる。 【0079】 MOSFET1を設けた基板7のさらに内部には、図示はしないが電圧波形計測手段、電流波形計測手段、CPU等の演算装置を設けた基板9を設置する。これらの手段や装置には直接MOSFET1から発生する熱が伝わることがなく、熱の接触的な筐体8への伝導もあり過度に加熱されることがない。 さらにその内部にも、基板10を設置することができる。この基板10の背面には、接続する家電機器が高負荷であるときに備えて、高負荷対応のMOSFET等の制御装置11を設けることができる。 スマートタップ自体を低背化優先とした場合には、基板7に電力制御ならびにスイッチング機能を有するMOSFTE等の半導体デバイス構成とし、スマートタップの設置において、奥行きに自由度がある場合は、基板10にMOSFETを設置することができる。故に発熱部となる電力制御デバイスは、いずれかの構成で使用できる。 また、上述したようにMOSFETは、高電流家電機器や、電気機器の場合は、なるべくマイコンや無線モジュールから離れた部位に構成したほうが良い。このように各基板を配置して、本発明のスマートタップとすることができるが、各基板の配置、及び各基板にどのような素子を設けるかは、本発明の効果を損なわない範囲において適宜変更することができる。 【0080】 接続する家電機器毎のスマートタップの使用 本発明のスマートタップは、上記のように接続された家電機器を識別し、電源がONとされたときに、サーバとの通信によって、他の家電機器の制御とともに該接続された家電機器の運転を制御するものであるが、さらにこのスマートタップを各種の家電機器に対してより適切に使用するために、スマートタップに赤外線送信機能または、ホームオートメーション(HA)等のリモコン機能を設けることができる。 このようなスマートタップを使用して家電機器を運転するにあたって、家電機器の種類に応じてスマートタップの使用態様が3つに分けられる。 一つ目としては、TV、寝室や居間の照明やエアコン等の一部のように、いわゆるリモコン機能を有する家電であって、家電機器自体が消費電力の制御機能を備える場合であり、このときには、スマートタップが接続されたときに発揮できる手段としては、電圧波形計測手段、電流波形計測手段、電流計測手段、電圧計測手段、消費電力演算手段、通信手段、検知手段、リモコン制御手段を備えるスマートタップとなる。すなわち、家電自体がリモコン機能と制御機能を有するが、これをスマートタップのリモコンブリッジ機能で連動させることで電力を制御ならびにスイッチング機能により、On/Offが可能となり、どの家電がどのぐらいの消費電力が必要であるかを検出し、要求メッセージをサーバへ通知し、これによりサーバで他の家電の電力状況を判断された電力供給メッセージを受信後、家電への電力供給や停止、一次停止、電力調整を行う。 二つ目としては、電子レンジ、洗濯機、加湿器、温風器、炊飯器等の一部のように、リモコン機能が無く、電力制御が複雑な家電機器であり、このような家電をスマートタップに接続した場合には、どの家電がどれだけ消費電力を必要とするか計測・演算を行い、これをサーバへ要求メッセージとして通知し、その他家電の電力状況をサーバで判断した結果の供給メッセージを受信する。これによって、家電機器への電力供給又は停止行う。但しこの場合、家電の電力制御はできず、スイッチングON/OFFの機能となる。 このような家電は、将来リモコン機能を有するネットワーク家電になる可能性があるため、その際タップは、リモコン家電と同様な制御が可能となる。 三つ目としては、玄関、台所、洗面所、トイレ、風呂等の照明、IH機器、冷蔵庫、ポットや温水便座等の家電機器である。これらの家電機器をスマートタップに接続した場合には、演算装置を含むスマートタップが備えるすべての手段を活用してこれらの家電機器を制御することになる。」 「【図6】 [図:0001423541000001.jpg] 」 「【図7】 [図:0001423541000002.jpg] 」 「【図8】 [図:0001423541000003.jpg] 」 (2)上記(1)から、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「制御手段であるMOSFET1をコンセント1個口当たり2個となるように設けたスマートタップであって、 スマートタップの樹脂等の非金属樹脂材料である電波を透過し得る材料からなる前面6の中央部の裏面に通信手段4及びその基板を設置し、このために該通信手段4が通信する信号はスマートタップの該前面6を通過して、サーバと通信することができ、さらに、該基板中央部に無線モジュールを設け、 スマートタップの該前面6の内部に位置する基板7の長辺の中央部付近にMOSFET1を設け、さらにスマートタップの運転により、MOSFET1が発熱した場合には、該MOSFET1と筐体8の両方に接するように絶縁性放熱シートを設けているため、該MOSFET1から発生した熱は放熱材としての絶縁性放熱シートを伝熱し、さらに金属の筐体8や金属製ヒートシンクに伝えられ、筐体8はスマートタップが設置されている壁内にて、放熱し、 MOSFET1を設けた基板7のさらに内部には、電圧波形計測手段、電流波形計測手段、CPU等の演算装置を設けた基板9を設置し、 さらにその内部にも、基板10を設置し、この基板10の背面には、接続する家電機器が高負荷であるときに備えて、高負荷対応のMOSFET等の制御装置11を設けた、 スマートタップ。」 2 甲第2号証 甲第2号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 「[0001] 本発明は、電力変換用の半導体スイッチング素子を内蔵した半導体パワーモジュール上に、半導体スイッチング素子を駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板を支持する電力変換装置に関する。」 「[0004] ところで、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、制御回路基板で発生する熱を、制御回路基板→放熱部材→金属ベース板→筐体→水冷ジャケットという経路で放熱するようにしている。このため、筐体が伝熱経路の一部として利用されることにより、筐体にも良好な伝熱性が要求されることになり、筐体形成材料が熱伝導率の高い金属に限定され、小型軽量化の要求される電力変換装置おいて、樹脂等の軽量な材料の選択が不可能となり軽量化が困難となるという未解決の課題がある。 [0005] また、筐体には、防水・防塵が要求されることが多いため、金属ベース板と筐体との間、筐体と水冷ジャケットとの間には液状シール剤の塗布やゴム製パッキンの挟み込みなどが一般的に行われている。液状シール剤やゴム製パッキンは熱伝導率が一般的に低く、これらが熱冷却経路に介在することで熱抵抗が増え冷却効率が低下するという未解決の課題もある。この未解決の課題を解決するためには、基板や実装部品の除去しきれない発熱を筐体や筐体蓋からの自然対流による放熱も必要となり、筐体や筐体蓋の表面積を大きくするために、筐体や筐体蓋の外形が大きくなり電力変換装置が大型化することになる。 [0006] そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、基板に実装された発熱回路部品の熱を効率よく冷却体に放熱することができ、小型化が可能な電力変換装置を提供することを目的としている。 課題を解決するための手段 [0007] 上記目的を達成するために、本発明に係る電力変換装置の第1の態様は、一面を冷却体に接合する半導体パワーモジュールと、前記半導体パワーモジュールを駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板と、前記実装基板の熱を前記冷却体に伝熱させる熱伝導路とを備えている。そして、前記実装基板は、表裏両面に伝熱部材が配置されている。 この構成によると、実装基板に実装されている発熱回路部品の熱を表裏両面の伝熱部材を介して冷却体に放熱することができる。 [0008] また、本発明に係る電力変換装置の第2の態様は、電力変換用の半導体スイッチング素子をケース体に内蔵する半導体パワーモジュールと、該半導体パワーモジュールの一方の面に配置された冷却体と、該半導体パワーモジュールの他方の面上に支持される前記半導体スイッチング素子を駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した複数の実装基板とを備えている。そして、前記複数の実装基板のうち少なくとも1枚の実装基板は、表裏両面に個別に伝熱部材が配置され、前記発熱回路部品の発熱を、両伝熱部材を介し、さらに前記半導体パワーモジュール及び前記各実装基板を囲む筐体とは独立した複数の熱伝導路を通って前記冷却体に放熱するようにしている。 [0009] この構成によると、実装基板に実装されている発熱回路部品の熱を表裏両面の伝熱部材を介して冷却体に放熱することができる。この場合、実装基板と冷却体との間の複数の熱伝導路が半導体パワーモジュール及び各実装基板を囲む筐体とは独立して形成されているので、筐体の熱伝導率を考慮することなく筐体を形成することができ、設計の自由度を向上できる。 [0010] また、本発明に係る電力変換装置の第3の態様は、前記表裏両面に伝熱部材を配置した実装基板と、当該実装基板の少なくとも一方の面に対向する実装基板との間に、前記伝熱部材が中実状態で配置されている。 この構成によると、2枚の実装基板間に伝熱部材が中実状態で介在されているので、両実装基板間に空気層が形成されることないので、放熱効果を向上させることができる。 [0011] また、本発明に係る電力変換装置の第4の態様は、前記熱伝導路が、前記表裏両面に伝熱部材を配置した実装基板における前記両伝熱部材の前記実装基板とは反対側の面にそれぞれ固定された一対の伝熱支持部材を備え、該一対の伝熱支持部材が前記冷却体に連結されている。 この構成によると、両面に伝熱部材を配置した実装基板が伝熱支持部材でサンドイッチ構造となるので、これら伝熱支持部材を通じての冷却体への放熱を効率よく行うことができる。 [0012] また、本発明に係る電力変換装置の第5の態様は、前記伝熱支持部材が、熱伝導率の高い金属材料で構成されている。 この構成によると、実装基板を熱伝導率の高いアルミニウム、アルミニウム合金、銅等で構成するので、冷却体への放熱をより効率よく行うことができる。 また、本発明に係る電力変換装置の第6の態様は、前記伝熱部材が、熱伝導性を有する絶縁体で構成されている。 この第5の態様によると、伝熱部材が絶縁体で構成されているので、対向する実装基板同士の間隔を狭く設定することができ、電力変換装置を小型化することができる。 [0013] また、本発明に係る電力変換装置の第7の態様は、前記伝熱部材が、熱伝導性を有し且つ伸縮性を有する弾性体で構成されている。 この構成によると、伝熱部材が伸縮性を有するので、実装基板に実装された発熱部品等の周囲に接触させることができ、接触面積を増加させて、放熱効果を向上させることができる。 [0014] また、本発明に係る電力変換装置の第8の態様は、前記伝熱部材が、前記弾性体を所定圧縮率で圧縮した状態で固定されている。 この構成によると、弾性体を圧縮した状態で固定するので、実装基板に実装された発熱部品との接触をより良好に行うことができ、放熱効果を向上させることができる。 また、本発明に係る電力変換装置の第9の態様は、前記伝熱部材には、前記弾性体の圧縮率を決定する間隔調整部材が設けられている。 この構成によると、弾性体の圧縮率を間隔調整部材によって決定することができ、弾性体の圧縮率を一定値に容易に調整することができる。 発明の効果 [0015] 本発明によれば、発熱回路部品を含む回路部品を実装した実装基板の表裏両面に伝熱部材を配置し、これら両伝熱部材が熱伝導路を通って冷却体に連結されるようにしたので、実装基板の表裏の発熱を効率よく冷却体に放熱することができる。このため、筐体や筐体蓋からの放熱作用との併用を減少させることができ、筐体や筐体蓋の大きさを抑えて小型化された安価な電力変換装置を提供することができる。」 「[0025] ここで、駆動回路基板21には、冷却体3による冷却を必要としない発熱量が小さい回路部品が実装されており、制御回路基板22には、冷却体による冷却を必要とする発熱回路部品を含む回路部品26が表裏両面に実装されている。 そして、制御回路基板22は、表裏に伝熱部材27及び28が配置されている。これら伝熱部材27及び28は、伸縮性を有する弾性体で制御回路基板22と同じ外形寸法に構成されている。 [0026] これら伝熱部材27及び28としては、例えば弾性体としてのシリコンゴムの内部に金属フィラーを介在させることにより絶縁性能を発揮しながら伝熱性を高めたものが適用されている。これら伝熱部材27及び28は、例えば厚み方向に5~30%程度に圧縮することにより、熱抵抗が減り効率良い伝熱効果を発揮することができる。 このため、各伝熱部材27及び28の制御回路基板22とは反対側には、板状の伝熱支持板29及び30が配置されている。これら伝熱支持板29及び30は熱伝導率が高く(例えば100W・m-1・K-1以上)剛性があるアルミニウム、アルミニウム合金、銅等の金属材料で形成されている。 [0027] そして、伝熱支持板29及び30は伝熱支持板29の上面側から伝熱部材27、制御回路基板22、伝熱部材28を通じて伝熱支持板30に形成された雌ねじ30aに螺合する固定ねじ31によって固定されている。この伝熱支持板29及び30を固定する際に、伝熱部材27及び28に固定ねじ31を挿通する間座32及び33を設けている。 これら間座32及び33は、伝熱部材27及び28の厚みTより低い伝熱部材管理高さHを有する間隔調整部材とされ、これら間座32及び33の高さが伝熱部材27及び28を厚み方向に5~30%程度圧縮する高さに設定されている。 [0028] したがって、伝熱支持板29及び30を固定ねじ31で固定したときに、伝熱部材27及び28が厚み方向に5~30%程度に正確に圧縮されて固定され、伝熱部材27及び28の熱抵抗が減って効率の良い伝熱効果を発揮することができる。このとき、伝熱部材27及び28の圧縮率は間座32及び33の高さHによって管理されるので、締め付け不足や締め付け過剰が生じることなく、適切な締め付けが行われる。 [0029] このようにして、制御回路基板22の表裏に伝熱支持板29及び30が伝熱部材27及び28を介在させた中実状態で積層される。このため、伝熱部材27及び28が制御回路基板22に実装された発熱回路部品を含む回路部品に密着することになり、回路部品の発熱を伝熱部材27及び28を介して伝熱支持板29及び30に放熱する。」 「[0032] そして、伝熱支持板29の連結部29aに上部筐体2Bとは独立した熱伝導路を形成する伝熱支持側板35が固定ねじ36で固定されて連結されている。この固定ねじ36は伝熱支持板29の上方から連結孔29bを通じて伝熱支持側板35に形成された雌ねじ(図示せず)に螺合されている。 また、伝熱支持板30の連結部30bに上部筐体2Bとは独立した熱伝導路を形成する伝熱支持側板37が固定ねじ38で固定されて連結されている。この固定ねじ38も伝熱支持板30の上方から連結孔30cを通じて伝熱支持側板37に形成された雌ねじ(図示せず)に螺合されている。 [0033] ここで、伝熱支持側板35は、垂直板部35aと、この垂直板部35aの上端から左方に延長する連結板部35bとで逆L字状に形成されている。そして、伝熱支持側板35は、垂直板部35aと連結板部35bとの連結部が円筒面の一部となる湾曲面(R面取り)35cとされている。同様に、伝熱支持側板37も、垂直板部37aと、この垂直板部37aの状態から右方に延長する連結板部37bとで逆L字状に形成されている。そして、伝熱支持側板37は、垂直板部37aと連結板部37bとの連結部が円筒面の一部となる湾曲面37c(R面取り)とされている。 [0034] これら伝熱支持側板35及び37は、それらの垂直板部35a及び37aの下端側が共通の底板39で連結されて一体化されている。この底板39は、中央部に冷却体3の突出台部3eを挿通する方形孔39aが形成されて、冷却体3の周溝3fに収納される角枠状に形成されている。 そして、伝熱支持側板35及び37の垂直板部35a及び37aの下端と底板39との連結が円筒面の一部となる湾曲面(R面取り)35d及び37dとされている。 [0035] このように伝熱支持側板35及び37の垂直板部35a及び37aの上下端部を円筒状の湾曲面35c,35d及び37c,37dとされている。このため、電力変換装置1に上下振動や横揺れが伝達されたときに、垂直板部35a及び37aと連結板部35b及び37b及び底板39との連結部に生じる応力集中を緩和することができる。したがって、伝熱支持側板35及び37で、制御回路基板22を支持する場合の上下振動や横揺れ等に対する耐振動性を向上することができる。 [0036] さらに、垂直板部35a及び37aと底板39との連結部と、垂直板部35a及び37aと連結板部35c及び37cとの連結部とを円筒状の湾曲面とすることにより、垂直板部35a及び37aと底板部34との連結部及び垂直板部35a及び37aと連結板部35b及び37bとの連結部を直角のL字形状とする場合に比較して熱伝導経路を短くすることができる。このため、伝熱支持板29及び30から冷却体3までの熱伝導経路を短くして、効率的な熱冷却が可能となる。 [0037] なお、伝熱支持板30の駆動回路基板21と対向する下面には、絶縁距離を短くするために絶縁シート40が貼着されている。 また、伝熱支持側板35及び37と底板39とは黒色の表面を有する。これら伝熱支持側板35及び37と底板39との表面を黒色化にするには、表面に黒色樹脂をコーティングしたり、黒色塗料で塗装したりすればよい。 [0038] このように、伝熱支持側板35及び37と底板39との表面を黒色とすることにより、金属の素材色と比較し熱放射率が大きくなり、放射伝熱量を増やすことができる。このため、伝熱支持側板35及び37と底板39との周囲への放熱が活発化され、制御回路基板22の熱冷却を効率良く行うことができる。なお、底板39を除いて伝熱支持側板35及び37のみの表面を黒色にするようにしてもよい。」 「[0046] 一方、制御回路基板22に実装されている制御回路及び電源回路等の回路部品26には発熱回路部品が含まれており、これら発熱回路部品で発熱を生じる。このとき、発熱回路部品は制御回路基板22の上面及び下面側に実装されている。 そして、制御回路基板22の上面及び下面側には熱伝導率が高く弾性を有する伝熱部材27及び28を介して伝熱支持板29及び30が設けられている。 [0047] ここで、伝熱部材27及び28は、前述したように固定ねじ31によって、5~30%程度の圧縮率で圧縮されているので、熱抵抗が減り効率の良い伝熱効果を発揮することができるとともに、発熱回路部品と伝熱部材27及び28との接触面積が大きくなる。したがって、発熱回路部品の発熱が伝熱部材27及び28に効率よく伝熱される。このため、図4に示すように、伝熱部材27及び28に伝熱された熱が効率良く伝熱支持板29及び30に伝達される。 [0048] そして、伝熱支持板29及び30には、伝熱支持側板35及び37が連結されているので、伝熱支持板29及び30に伝達された熱は、伝熱支持側板35及び37を通って共通の底板39に伝達される。この底板39は、冷却体3の周溝3f内に直接接触されているので、伝達された熱は冷却体3に放熱される。 さらに、底板39に伝達された熱は、その上面側から半導体パワーモジュール11の冷却部材13に伝達され、この冷却部材13を介して冷却体3の突出台部3eに伝達されて放熱される。 [0049] このように、上記第1の実施形態によると、制御回路基板22の表裏両面に伝熱部材27及び28が配置され、これら伝熱部材27及び28の制御回路基板22とは反対側に伝熱支持板29及び30が配置されているので、制御回路基板22に搭載された発熱回路部品で発生される発熱がそれぞれ熱抵抗の大きな制御回路基板22介することなく直接伝熱部材27及び28を介して伝熱支持板29及び30に伝熱されるので、効率の良い放熱を行うことができる。 [0050] そして、伝熱部材27及び28に伝達された熱は伝熱支持板29及び30に伝熱され、さらに伝熱支持側板35及び37に伝達される。このとき、伝熱支持側板35及び37が半導体パワーモジュール11の長辺に沿って設けられている。 このため、伝熱面積を広くとることができ、広い放熱経路を確保することができる。しかも、伝熱支持側板35及び37は折れ曲がり部が円筒状の湾曲部35c,35d及び37c,37dとされているので、折れ曲がり部をL字状にする場合に比較して冷却体3までの伝熱距離を短くすることができる。このため、放熱効率をより向上させることができる。ここで、熱輸送量Qは、下記(1)式で表すことができる。 Q=λ×(A/L)×T …………(1) [0051] ただし、λは熱伝導率[W/m℃]、Tは温度差[℃]基板温度T1-冷却体温度T2、Aは伝熱最小断面積[m2]、Lは伝熱長さ[m]である。 この(1)式から明らかなように、伝熱長さLが短くなると、熱輸送量Qは増加することになり、良好な冷却効果を発揮することができる。 [0052] また、伝熱支持側板35及び37が共通の底板39で一体化されているので、伝熱支持側板35及び37と底板39との間に部品同士の継ぎ目がなく、熱抵抗を抑制することができる。 さらに、発熱回路部品が実装された制御回路基板22から冷却体3までの放熱経路に筐体2が含まれていないので、筐体2を高熱伝導率のアルミニウム等の金属を使用する必要がなく、合成樹脂材で構成することができるので、軽量化を図ることができる。 さらに、放熱経路が筐体2に依存することなく、電力変換装置1単独で放熱経路を形成することができるので、半導体パワーモジュール11と、駆動回路基板21、制御回路基板22とで構成される電力変換装置1を種々の異なる形態の筐体2や冷却体3に適用することができる。 [0053] また、制御回路基板22に圧縮された伝熱部材27及び28を介して伝熱支持板29及び30が固定されているので、制御回路基板22の剛性を高めることができる。このため、電力変換装置1を車両の走行用モータを駆動するモータ駆動回路として適用する場合のように、電力変換装置1に図5に示す上下振動や横揺れが作用する場合でも、伝熱部材27及び28と、伝熱支持板29及び30と、伝熱支持側板35及び37とが一体化されているので、剛性を高めることができる。したがって、上下振動や横揺れ等の影響が少ない電力変換装置1を提供することができる。 [0054] さらに、伝熱部材27及び28を伝熱性を有する絶縁体で構成することにより、制御回路基板22と伝熱支持板29及び30との間の絶縁を行うことができるので、両者間の距離を短くすることができ、全体を小型化することができる。 なお、上記第1の実施形態においては、制御回路基板22と伝熱部材27及び28とを同じ外形とした場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、伝熱部材27及び28を発熱回路部品が存在する箇所にのみ設けるようにしてもよい。 さらには、制御回路基板22において、発熱回路部品を伝熱支持側板35及び37に近い部分に配置することにより、冷却体3迄の放熱経路の距離を短くするようにしてもよい。この場合には、発熱回路部品の冷却体3までの放熱経路の距離が短くなるので、効率良い放熱を行うことができる。」 「[図1] [図:0001423541000004.jpg] 」 「[図2] [図:0001423541000005.jpg] 」 「[図3] [図:0001423541000006.jpg] 」 「[図4] [図:0001423541000007.jpg] 」 「[図5] [図:0001423541000008.jpg] 」 3 甲第3号証 甲第3号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、電力変換装置及び空気調和装置に関する。」 「【0027】 図2に示すように、電力変換装置40は、自己に伝えられた熱を放出する放熱器としてのヒートシンク41と、ヒートシンク41が取り付けられ、ヒートシンク41と共に、内部空間としての電気室R2を画定する筐体42と、ヒートシンク41の電気室R2に面する内面部411aに取り付けられた第1の発熱素子としてのパワー半導体31a及び31b並びにパワー半導体モジュール32aと、電気室R2内の内面部411aと対向する位置に配置された被取付部材43と、被取付部材43に取り付けられた第2の発熱素子としてのパワー半導体33a及び33b並びにパワー半導体モジュール33cと、筐体42に固定され、筐体42と共に被取付部材43の熱をヒートシンク41に伝える熱伝導経路を構成すると共に、被取付部材43を支持する支持部材44と、を備える。」 「【0039】 被取付部材43は、ヒートシンク41の内面部411aと平行な板状をなす。内面部411aと被取付部材43との対向方向に関し、支持部材44の一端部は、被取付部材43の端縁に繋がれている。支持部材44の他端部は、第1の仕切板13に固定されている。 【0040】 第1の仕切板13への支持部材44の固定には、螺子やボルト及びナット等の螺着手段の他、ろう付けその他の溶接を用いることができる。 【0041】 支持部材44は、内面部411aとプリント基板31及び32とを取り囲んでいる。具体的には、被取付部材43と支持部材44は、上面が被取付部材43で構成され、側面が支持部材44で構成された箱状体を構成している。 【0042】 また、被取付部材43と支持部材44は、一体に形成されている。被取付部材43と支持部材44は、ヒートシンク41と同様、熱伝導率の良好な金属、具体的には、銅で形成されている。」 「【0048】 (1)支持部材44が第1の仕切板13に固定されるので、支持部材44がヒートシンク41の内面部411aに固定されていた従来技術に比べて、内面部411aにおける発熱素子を取り付け可能な領域が、支持部材44によって狭められることを回避できる。このため、内面部411aの全域を発熱素子の配置に利用でき、パワー半導体31a及び31b並びにパワー半導体モジュール32aの配置位置の自由度が高められる。 【0049】 また、支持部材44が第1の仕切板13に固定され、第1の仕切板13を通じて被取付部材43の熱がヒートシンク41に伝えられるので、支持部材44がヒートシンク41に固定されていた従来技術に比べると、被取付部材43の配置位置が、ヒートシンク41の配置位置によって制約を受けにくい。つまり、ヒートシンク41の配置位置が決められていても、被取付部材43からヒートシンク41に至る熱伝導経路を確保したままで、支持部材44及び被取付部材43の配置位置を、第1の仕切板13上で柔軟に設計変更できる。このため、被取付部材43に取り付けられるパワー半導体33a及び33b並びにパワー半導体モジュール33cの配置位置の自由度が高められる。 【0050】 なお、支持部材44を筐体42に固定する構成は、ヒートシンク41のサイズ及び配置位置に制約があり、電気室R2を画定する内壁の一部のみをヒートシンク41が構成する場合、具体的には、上述したように、第1の仕切板13に開口が形成され、その開口にヒートシンク41が嵌められ、第1の仕切板13とヒートシンク41とで、1つの内壁を構成する場合に、特に意義が大きい。 【0051】 即ち、ヒートシンク41のサイズ及び配置位置に制約がない場合は、そもそも第1の仕切板13を用いることなく、ヒートシンク41それ自体で1つの内壁全体を構成できる。この場合は、支持部材44をヒートシンク41のみに固定しても、ヒートシンク41上で支持部材44の配置位置を変更できる。」 「【0057】 〔実施形態2〕 上記実施形態では、ヒートシンク41の内面部411aと被取付部材43との対向方向に関し、支持部材44の一端部が、被取付部材43に繋がれ、他端部が、筐体42に固定されていた。筐体42を通じた放熱を促進するためには、支持部材44が、筐体42におけるヒートシンク41の周囲以外の部分にも固定された構成を採ってもよい。以下、その具体例について説明する。 【0058】 図3に示すように、本実施形態に係る電力変換装置50では、支持部材51が、ヒートシンク41が取り付けられる第1の側板としての第1の仕切板13と、第1の側板に対面する第2の側板としての第2の仕切板14との双方に固定されている。」 「【0061】 〔実施形態3〕 上記各実施形態では、第1の仕切板13がヒートシンク41の側面部411bに接触していた。支持部材44の熱をヒートシンク41に伝達でき、電気室R2の水密構造を維持できるならば、ヒートシンク41における第1の仕切板13との接触位置は特に限定されない。以下、第1の仕切板13が、ヒートシンク41の内面部411aに接触した具体例について説明する。」 「【図2】 [図:0001423541000009.jpg] 」 「【図3】 [図:0001423541000010.jpg] 」 「【図4】 [図:0001423541000011.jpg] 」 4 甲第4号証 甲第4号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、電力変換装置であり、特に電力変換装置に搭載された平滑用コンデンサの冷却構造に関する。」 「【0006】 本発明の目的は、平滑コンデンサに高放熱構造を提供し平滑コンデンサを小型化すること、また、この際、電力変換装置内部への放熱を避けることで内部の温度上昇を防ぎ、他の電子部品を高密度化し、電力変換装置自体を小型化することにある。」 「【0017】 次に、図2を用いてコンデンサ1で発生する熱の流れについて説明する。電流が流れることによりコンデンサ1の内部素子部で発生した熱は、まずコンデンサケースからコンデンサケースを被うスリーブへと流れ、さらにスリーブから高熱伝導シート3、もしくは電力変換装置内の空気へと流れることになる。ここで、コンデンサスリーブ~空気への熱抵抗はコンデンサスリーブ~高熱伝導シート間の熱抵抗と比較して数十倍~数100倍大きいので、熱量のほとんどが高熱伝導シート3へと流れることになる。 【0018】 次に、高熱伝導シート3へと伝わった熱は、シート3下面のベース2とベース2下面のヒートパイプ6に流れ、ベース2の薄手方向を伝わり電力変換装置のケース8へと伝わるパスと、ヒートパイプ6の吸熱部15から放熱部16へと伝わり、さらにベース2の端部からケース8へと伝わる2つのパスで伝熱される。 【0019】 次に前記2つのパスを通りケース8へと流れた熱量は、ケース側面の縦方向を伝わって、冷却水9へと放熱されることになる。 【0020】 以上、コンデンサ1の熱パスについて説明したが、本実施例ではコンデンサ1~冷却水9までのパスの中で、特にコンデンサ1とベース2の間に高熱伝導シート3を用意することでコンデンサからベース間の熱抵抗を低減し、コンデンサから電力変換装置内部空気への放熱を大幅に低減することを可能としている。このことにより、電力変換装置内部の温度上昇させることがないので、電力変換装置内部部品の高密度化を計ることができる。 【0021】 さらに、ベース2中央部からケース8に固定する部分にかけて、ベース2の側面に金属の数10倍の熱伝導率を持つヒートパイプ6を用意することで、コンデンサ1からケース8までの熱抵抗を大幅に低減することを可能としている。このことにより、コンデンサ1に低熱抵抗、つまり高放熱構造を提供することができるので、コンデンサを小型化することが可能となる。」 「【0026】 次に、図5を用いて、本発明の第4の実施形態による電力変換装置の構成について説明する。図5において、1は平滑用コンデンサである。組み立て時一旦ブラケット5上に搭載し、ベース2をコンデンサ1上に配置後、ブラケット5によりベース2に固定する。ベース2は電力変換装置8のケースにネジ7により固定されている。また、図示しないバスバにより半導体モジュール10と接続されている。 【0027】 3は高熱伝導シートであり、コンデンサ1とベース2の間に搭載され、コンデンサで発生した熱をベースに効率よく伝達する役割と、コンデンサ1を固定する際のクッションの役割を持っている。 【0028】 6はヒートパイプで、ベース2のコンデンサを搭載する側とは反対の面に固定され、ベース2中央部の熱を効率よく端部へ逃がすように、ベース2の中央部から端部にかけて搭載されている。 【0029】 コンデンサ1で発生した熱は、高熱伝導放熱シート3、ベース2、ヒートパイプ6、ケース8、冷却水9へと効率よく流れる。また、制御基板12上の発熱部品13で発生した熱も、同様に基板、高熱伝導シート3、ヒートパイプ6、ケース8、冷却水9へと効率よく流れることになる。 【0030】 本構造では、ベース2を中心として、その対面にコンデンサ1と制御基板12を搭載することにより、コンデンサ用ベースと制御基板用のベースを共通化することができるので、電力変換装置を小型化することが可能となる。また、共有ベースに対する熱量の増大分はヒートパイプ6により、効率よく、ケース8から冷却水9へと放熱することができるので、制御基板12とコンデンサ1に高放熱構造を提供することができ、制御基板12の高密度化、コンデンサ1の小型化を計ることが可能となる。」 「【図2】 [図:0001423541000012.jpg] 」 「【図5】 [図:0001423541000013.jpg] 」 5 甲第5号証 甲第5号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、放熱構造、パッケージ組立体、及び、放熱用シートに関し、特に、発熱する電子部品を密封し且つ放熱性が優れている放熱構造、パッケージ組立体、及び、放熱用シートに関する。 」 「【0018】ベース2は、図2に示されるように、パッケージ取付基板12に取り付けられる。パッケージ13は、パッケージ取付基板12に実装されている。ベース2の下面側に、凹部14(図1参照)が形成されている。パッケージ13の両側面と上面とで形成される凸面に寸法的に概ね一致する凹面が形成されている係合治具15が用いられる。係合治具15をパッケージ13に嵌め込む際に、パッケージ13の凸面と係合治具15の下側面との間に、可撓性シート4の放熱側部分6が挟み込まれる。このような挟み込みにより、可撓性シート4はパッケージ13に機械的に、且つ、熱的に結合する。ベース2は、パッケージ13に着脱自在に結合している。図1に示される状態で放熱テストを実行することは有意義であるが、後述されるように、実製品のテストにも有効に用いられる。 【0019】図3は、パッケージ取付基板12が放熱構造1と可撓性シート4とともに実製品の筐体内に組み付けられた組付状態を示している。その筐体は、上側筐体16と下側筐体17とから構成されている。上側筐体16と下側筐体17とは、それらの鍔部でボルト18により互いに結合されている。上側筐体16の天井部は、フィン群に形成されている。そのフィン群の一部の複数のフィン要素19には、図4に示されるように、先細り凹面21がそれらの下側面に形成されている。上側筐体16の裏面側には、先細り凹面21に連続してベース2の上面とベース2の周面とが入り込む嵌め込み面22が形成されている。 【0020】放熱構造1が、図2に示されるように、パッケージ取付基板12に嵌め込まれる。図2に示される取り付け状態で、検査が行われる。パッケージ13が発熱して生じる熱は、可撓性シート4に伝導し可撓性シート4を介して、パッケージ13から離隔した位置のフィン群3に伝達される。パッケージ13の熱の一部は、係合治具15とベース2とを介してフィン群3に伝導する。パッケージ13の熱を放熱させる放熱構造の放熱性は、実運転時の放熱性に近い。 【0021】フィン要素19の先鋭状凹面又はフィン群3の凸面に高熱伝導性素材が塗られ、次に、ベース2に一体的であるフィン群3がフィン要素19の先鋭状凹面に差し込まれる。高熱伝導性素材としては、ゴム系樹脂に配合されてマグネシウム粉末が好適に使用される。フィン群3は、そのようなゴム系樹脂を介してフィン要素19に機械的に弾力的に圧着し、且つ、熱的に結合する。ベース2に結合している可撓性シート4がベース2と共にフィン要素19に差し込まれ、他の基板23が、図3に示されるように、支柱24を介して上側筐体16に組み付けられる。他の基板23には、既に、他のパッケージ25が取り付けられている。他のパッケージ25は、上側筐体16の天井面に熱的に接合している。次に、仮運転を終えたパッケージ取付基板12にシート4の自由端部側を取り付けて、パッケージ取付基板12を支柱24に取り付ける。最後に、下側筐体17を上側筐体16にねじ止めして結合する。 【0022】このような全体的組立の後に、実運転検査が行われる。パッケージ13の熱は、可撓性シート4を伝導して、ベース2とベース2のフィン群3とに伝達される。フィン群3の熱は、フィン要素19に伝達し、フィン要素19の表面で大気との間で熱交換する。筐体16の全体に拡散する熱は、上側筐体16に形成されている他のフィン群26から放散する。 【0023】可撓性シート4は、厚さは薄いが幅が広く、フィン要素19に広い面積で熱的に接合し、パッケージ13の熱を多量にフィン要素19に伝達することができる。可撓性シート4は、可撓性に富み、筐体の中で自由に配置され得るから、組立ての邪魔になり難い。図2に示されるパッケージ13とパッケージ取付基板12とフィン群3との組立構造は、そのままに、図3に示されるように筐体の中に組み込まれるので、パッケージ13とフィン群3とを仮検査の度に着脱する必要がなく、フィン群3は検査用と最終品とで兼用され、検査と組立の工数が削減される。検査用フィンは、最終品のフィンの中に嵌まり込み、最終製品はコンパクトにまとまっている。可撓性シート4は可撓性があり、パッケージ取付基板12の組立の自由性を阻害せず、パッケージ13の熱を自由に設定される部位に伝達させることができる。」 「【図2】 [図:0001423541000014.jpg] 」 「【図3】 [図:0001423541000015.jpg] 」 「【図4】 [図:0001423541000016.jpg] 」 6 甲第6号証 甲第6号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、基板放熱方法及び該方法を用いた情報処理装置に係り、特にプリント基板に実装された発熱素子の温度上昇を抑制するための放熱構造を有する情報処理装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年になり、情報処理装置の高機能、高速化に伴い、CPUに代表される発熱を伴う各種電子回路素子の発熱量が増大する傾向にある。特に、高速化による電子回路素子の消費電力が増大するに伴い、電子回路素子の温度上昇を益々助長することから、温度上昇に対する何等かの対策を施す必要がある。 【0003】このような熱対策を実施しないと、電子回路素子の熱暴走を招く結果となり、電子回路素子を設けた情報処理装置の動作が不安定となる虞がある。したがって従来より熱対策のために、何等かの発熱構造が採用されているが、図を参照して熱対策について述べると、図6(a)は、従来の情報処理装置の本体内部における放熱構造の事例を示した要部破断図である。本図において、プリント基板15に実装された電子回路素子である発熱素子16上にシリコン系熱伝導ゴム26を密着させてから、さらに、その上部に放熱性に優れるアルミ金属板から形成されたヒートシンク17を密着させる構造として、発熱素子16から発生する熱をシリコン系の熱伝導ゴム26を介してヒートシンク17に矢印H方向に放熱するようにしている。 【0004】また、近年になり放熱手段として、ヒートパイプが使用されるようになっている。このヒートパイプは、熱伝導性が良好な金属をパイプ状に加工し、そのパイプ内部を減圧した密閉空間として構成し、密閉空間内において作動液として純水等を封印しておき、熱輸送性を向上するものである。 【0005】そこで、図6(b)のヒートパイプを使用した従来の情報処理装置の放熱構造の事例を示した要部破断図において、プリント基板19上に実装された電子回路素子の発熱素子20上に、シリコン系熱伝導ゴム28を密着させておき、さらにその上部に、不図示の放熱フィンに接続されたヒートパイプ22が取り付けられたヒートシンク21を密着させておく。また、発熱素子20の実装面の裏面のプリント基板19にもシリコン系熱伝導ゴム29を介してヒートシンク23を密着する構造としてある。 【0006】以上の構成により、発熱素子20の表面の熱を矢印H方向にヒートシンク21に伝導してヒートパイプ22に接続された放熱フィンから装置外部に放熱する一方て、プリント基板19を介した裏面側からの熱を矢印H方向にヒートシンク23へ放熱するようにしている。 【0007】また、上記の各事例において電子回路素子である発熱素子16、20の動作を確実に保証するために、図中の基板15、19上において基準温度を感知するためのサーミスタ25、30を発熱素子近傍に実装するとともに、基準温度を設定しておき、この基準温度を発熱素子が超えた場合に、その電子回路素子の動作速度を半分に設定して温度を下げる等の制御を行うことで、温度上昇を制御するパワーマネージメント制御も知られている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従来構成によれば、いずれも熱伝導用のゴムシートを使用するので、比較的に熱導電性の良好なシリコン系のゴムを使用したとしても、ゴムは金属材料に比べてその熱抵抗が大きいことから、大きな温度勾配を生じ、放熱効果が阻害されることがあった。 【0009】また、図6(b)に示した構成によれば、2枚分のヒートシンクを使用するために、情報処理装置の重量が増え、さらにまた、装置全体を小型化する際に、ヒートシンクの2枚分を収容することは不利になる。また、放熱効果に優れるヒートパイプを設けたヒートシンクとの間に熱伝導用のゴムシートを用いる構成であることから、このゴムシートにより熱伝導が阻害されて折角のヒートパイプの冷却機能を十分に発揮できない問題点があった。 【0010】したがって、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、情報処理装置の小型、軽量化を実現可能にでき、かつ十分な放熱効果を得ることを可能にすることにある。 【0011】また、上記目的に加えて、パワーマネージメント制御を行う際に、電子回路素子である発熱素子自体の温度とサーミスタの感知温度との間に大きな温度差を生じないようにして、より有効なパワーマネージメント制御を可能にすることにある。」 「【0027】以上のように構成される情報処理装置の放熱動作を図3の本体内にヒートシンクユニットが取り付けられた状態における主要部の断面図において述べると、まず、第1の放熱経路として、プリント基板6に実装された発熱素子5で発熱した熱を、プリント基板6を介した発熱部6bから吸熱のためのヒートシンク27により熱伝導して、熱輸送性の高いヒートパイプ8により放熱のためのヒートシンク7へ熱輸送した後に矢印H2方向の経路で放熱を行う。 【0028】また、第2の放熱経路として、発熱部6bの熱の吸熱のために設けられたヒートシンク27とシリコン系の熱伝導ゴム34を介して、放熱のためのヒートシンク7へ熱伝導して矢印H2方向にヒートシンク7に熱伝導してから放熱を行う。そして、第3の放熱経路として、発熱素子5の表面に密着している熱伝導性良好な板金14から、矢印H3方向にヒートパイプ8へ熱伝導して、ヒートパイプ8から放熱のためのヒートシンク7へ熱輸送して放熱する。 【0029】さらに、ヒートパイプ8と放熱のためのヒートシンク7内に伝達された熱は、本体3内に拡散、放熱しつつコネクタシャーシ50、51まで伝達されて最後に外気へと放熱される。 【0030】一方、基準温度を感知するためのサーミスタ31は発熱素子5の近傍に実装されており、予め設定された基準温度をサーミスタ31の検出温度が超えた場合に電子回路素子である発熱素子5の動作速度を半分に設定して温度を下げるようにしたパワーマネージメント制御が可能になるように構成されている。即ち、サーミスタ31は図3に示されるように配設されており、電子回路素子である発熱素子自体の温度とサーミスタの感知温度との間に大きな温度差を生じないようにして、より有効なパワーマネージメント制御が可能となる。 【0031】以上説明したように本発明によれば、発熱部へ吸熱用のヒートシンクを密着させ、それに取り付けられているヒートパイプにより発熱素子で発生した熱を熱輸送した後に、放熱用のヒートシンク7から放熱する。 【0032】さらに、吸熱用ヒートシンクと放熱用ヒートシンクは、重なるような部分を設けるように配置され、その間に弾性のあるシリコン系熱伝導ゴムが挟み込まれており、ゴムの弾性により吸熱用のヒートシンク27は、高温部に密着して放熱効果を上げる。また、この部分からも発熱部で発生した熱を放熱用のヒートシンクへ伝導し放熱することができる。つまり、2つの閉路より熱輸送が可能となり、放熱効果の向上が図られるようになる。 【0033】さらに、熱伝導性良好な板金14において、第1の曲げ部14aを設けることにより、ヒートパイプと接触させるとともに、第2、第3の曲げ部によりコの字の形状を設ける。このことにより、コの字の形状の部分がバネ性を有するクリップと同様の効果が得られ、他の取り付け手段を用いずヒートパイプ、ヒートシンクへの確実な接触が可能となるので放熱効果が向上する。さらに、ヒートパイプ、ヒートシンク用の取り付け手段が不要にできることから、部品点数を減少することができ、コストダウンを図ることができる。 【0034】また、熱伝導性良好な板金がサーミスタと発熱部の両方へ密着していることから、部品点数を増やさずに、より有効なパワーマネージメント制御を実現することができる。また、発熱部で発生した熱を高速で放熱用のヒートシンクへ熱輸送できる。 【0035】また、吸熱のためのヒートシンクと放熱のためのヒートシンクは強く密着した状態に保持でき、かつまた吸熱のためのヒートシンクは発熱部へ強く押し付けられるので、放熱効果が向上する。 【0036】そして、高温部と熱伝導性良好な板金の間に、電気絶縁性のシートを挟み込むことで、ショートにより誤動作を防止し金属製のヒートシンクを広く接触させることができる。 【0037】また、図5は、その他の実施形態を示した要部破断図であって、本図において上記の実施形態との相違する構成は基本的にはプリント基板6上の実装面が反対になったものである。したがって、発熱素子5とサーミスタ31は吸熱のためのヒートシンク27に対して図示のように密着し、図3で説明したと同様の熱伝導経路を辿り、上記の構成と略同じ放熱効果を得ることができる。 【0038】また、図5において、プリント基板6上の発熱素子5、サーミスタ他が同一面に実装されていない場合であっても、互いに隣接しており、かつ吸熱のためのヒートシンク27と熱伝導性が良好な板金14が発熱部、サーミスタ31に密着していさせすれば、同様の放熱効果を得ることができる。」 「【図3】 [図:0001423541000017.jpg] 」 「【図4】 [図:0001423541000018.jpg] 」 「【図5】 [図:0001423541000019.jpg] 」 「【図6】 [図:0001423541000020.jpg] 」 7 甲第7号証 甲第7号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルカメラ等の電子機器の放熱構造に関する。」 「【0007】図3は、図2をA-A線で破断した断面図である。キャビネット(2)内には、2枚の回路基板(3)(4)が長手方向を左右に向けて設けられ、両回路基板(3)(4)間に前記メモリカード(55)が挿入される箱体(56)が設けられる。箱体(56)は合成樹脂製であり、熱を伝える効果は薄い。キャビネット(2)内にて、両回路基板(3)(4)の右方には、乾電池が収納される空間(26)が形成されている。レンズ(20)側に位置する第1回路基板(3)の表裏両面には、ICである発熱体(85)(86)が取り付けられ、各発熱体(85)(86)にシールドプレート(9)が被さる。シールドプレート(9)は、発熱体(85)(86)が発生する高周波ノイズをアースに流すものであり、両シールドプレート(9)(9)の上面に跨って、シリコンゴムから形成された絶縁性の熱伝導性シート(6)が取り付けられている。熱伝導性シート(6)と、キャビネット(2)内面の間には、熱を伝達可能な絶縁体であるゴム片(7)が位置する。両発熱体(85)(86)から放射された熱は、シールドプレート(9)(9)、熱伝導性シート(6)及びゴム片(7)を伝ってキャビネット(2)に伝わる。キャビネット(2)は金属製であるから、熱はキャビネット(2)の全面に伝わり、キャビネット(2)から放射される。 【0008】箱体(56)よりも液晶パネル(21)側に位置する第2回路基板(4)の表裏両面には、ICである発熱体(8)(80)が取り付けられている。この発熱体(8)(80)は、レンズ(20)からの画素データに対し、A/D変換や時間圧縮化処理を行い、高速処理が求められる。第2回路基板(4)よりも液晶パネル(21)側の発熱体(8)上にはシールドプレート(9)が被さり、該シールドプレート(9)と発熱体(8)間には、熱を伝達可能な絶縁体であるゴム片(7)が位置する。シールドプレート(9)の上面と、第2回路基板(4)よりも箱体(56)側に位置する発熱体(80)に跨って、シリコンゴムから形成される熱伝導性シート(6)の一端部が取り付けられている。熱伝導性シート(6)は絶縁性であり、他端部が前記箱体(56)に接している。 【0009】熱伝導性シート(6)の端部は、前記液晶パネル(21)に接近しており、該熱伝導性シート(6)の他端部に、金属箔(5)の一端部が取り付けられる。金属箔(5)は熱伝導性シート(6)よりも熱を効率よく伝導する。該金属箔(5)の他端部は、熱伝導性である絶縁片(1)を介してキャビネット(2)の内側にて空間(26)内に取り付けられている。絶縁片(1)はシリコンゴムから形成されて、電気を通さない。 【0010】第2回路基板(4)上に位置する発熱体(8)(80)のうち、箱体(56)側の発熱体(80)からの熱は、直接熱伝導性シート(6)に伝わる。一方、液晶パネル(21)側の発熱体(8)からの熱は、ゴム片(7)及びシールドプレート(9)を通って、熱伝導性シート(6)に伝わる。熱伝導性シート(6)が受けた熱は、金属箔(5)及び絶縁片(1)を伝って、キャビネット(2)に伝わる。熱伝導性シート(6)の近傍には、液晶パネル(21)が位置しており、仮に金属箔(5)がないと、熱伝導性シート(6)から液晶パネル(21)に熱が伝わり、液晶パネル(21)の故障の原因となる虞れがある。また、金属箔(5)をキャビネット(2)上にて液晶パネル(21)の近傍に取り付けても、同様の問題が起こる。即ち、本例にあっては、図4に示す従来のキャビネット(2)内の間隔Hに液晶パネル(21)を設けているから、該間隔Hに直接熱を逃がすことができない。 【0011】本例に係わるキャビネット(2)はデジタルスチルカメラに係わるものであるから、使用者が手で保持することが多い。仮に金属箔(5)をキャビネット(2)に直接取り付けると、使用者の人体から発する静電気がキャビネット(2)から金属箔(5)を伝ってICである発熱体(8)(80)の近傍に飛来することがある。この静電気が発熱体(8)(80)の誤動作を招来する虞れがあるので、図3のように、金属箔(5)を、絶縁片(1)を介してキャビネット(2)に取り付け、静電気が金属箔(5)に伝わらないようにしている。 【0012】発熱体(8)(80)からの熱は、金属箔(5)を伝って、絶縁片(1)からキャビネット(2)に流れて、効率よく放熱される。一方、キャビネット(2)外部の電気ノイズ(静電気)は、キャビネット(2)を伝わるが、絶縁片(1)により金属箔(5)には流れない。即ち、発熱体(8)(80)の熱を効率よく放熱し、且つキャビネット(2)外部からの電気ノイズが発熱体(8)(80)に飛来することを防ぎ、発熱体(8)(80)を安定して動作させることができる。また、図3では金属箔(5)を熱伝導性シート(6)上に取り付けているが、シールドプレート(9)上に取り付けてもよい。但し、発熱体(8)(80)はIC故に、動作時に一定のクロック周波数を発生するものがある。金属箔(5)をシールドプレート(9)上に直接取り付けると、金属箔(5)がアンテナの役割を果たし、発熱体(8)(80)の周波数ノイズが金属箔(5)から輻射することが考えられる。従って、金属箔(5)の周囲に、周波数ノイズを受けて誤動作する虞れがある回路部品が配備されていれば、金属箔(5)を熱伝導性シート(6)上に取り付けるのがよい。 【0013】近年、斯種カメラにあっては、画像データに高解像度が求められており、表示すべき画素が増加している。然るに大量の画素をデジタル化処理する必要があるから、一層の高速処理が求められており、処理演算を繰り返す発熱体(8)(80)の発熱量も増加する。本例の放熱構造は、このような発熱体(8)(80)にとって有効である。」 「【図3】 [図:0001423541000021.jpg] 」 第5 当審の判断 1 理由1(新規性欠如)及び理由2(進歩性欠如)について (1) 対比 ア 甲第1号証の図7、図8から見て取れる配置を考慮すると、甲1発明の「筐体8」は、「基板7」、「基板9」及び「基板10」すなわち複数の基板を収容するためのものであることは明らかであり、本件特許発明の「ケーシング」に相当する。 また、甲1発明の「筐体8」は、「スマートタップが設置されている壁内にて、放熱」するから、「放熱」先の「壁内」の空間に対して、「筐体8」の外方に露出し、「筐体8」の外面部にて構成された部分を含むといえるものであり、当該部分は本件特許発明の「前記ケーシングの外面部にて構成され」た「露出部」に相当する。 イ 甲1発明は、「MOSFET1が発熱した場合には、該MOSFET1と筐体8の両方に接するように絶縁性放熱シートを設けているため、該MOSFET1から発生した熱は放熱材としての絶縁性放熱シートを伝熱し、さらに金属の筐体8や金属製ヒートシンクに伝えられ、筐体8はスマートタップが設置されている壁内にて、放熱」するものであるから、甲1発明の「絶縁性放熱シート」は、「筐体8」とは別に備えられており、「MOSFET1」の熱を自己に伝熱させて、その熱を上記アの「筐体8」の外方に露出している部分に伝熱させて放熱させるといえる。 また、甲第1号証の図7、図8から見て取れる配置を考慮すると、甲1発明の「該MOSFET1と筐体8の両方に接するように」「設け」られた「絶縁性放熱シート」は、「筐体8」の内部に位置する「MOSFET1」と接しているから「筐体8」の内面に接することは明らかであり、「筐体8」の外方に露出しない状態で「筐体8」の内部に配設されているといえる。 そして、甲1発明の「MOSFET1」と、本件特許発明の「前記複数の基板」とは、「発熱体」である点で共通する。 以上の点について、上記アでさらに検討した点も踏まえると、甲1発明において、「MOSFET1」の熱を自己に伝熱させて、その熱を「筐体8」の外方に露出している部分に伝熱させて放熱させる「絶縁性放熱シート」が「筐体8」とは別に備えられ、「筐体8」の外方に露出しない状態で「筐体8」の内部に配設されていることと、本件特許発明の「前記ケーシングとは別に備えられて、前記ケーシングの外方に露出しない状態で前記ケーシングの内部に配設された伝熱部が備えられ」、「前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて、その集めた複数の基板の熱を基板の面方向に沿って伝熱させた後、基板の表裏方向へも伝熱させて前記露出部に伝熱させて放熱させる」こととは、「前記ケーシングとは別に備えられて、前記ケーシングの外方に露出しない状態で前記ケーシングの内部に配設された伝熱部が備えられ」、「前記伝熱部は、発熱体の熱を自己に伝熱させて、その熱を前記露出部に伝熱させて放熱させる」ことである点で共通する。 ウ 甲1発明の「スマートタップ」は、「通信手段4」の「基板を設置し」、「このために該通信手段4が通信する信号はスマートタップの該前面6を通過して、サーバと通信することができ」るものであるから、情報通信を行うユニットであるといえるものであって、後述する相違点を除き、本件特許発明の「情報通信ユニット」に相当する。 また、甲1発明の「スマートタップ」は、「筐体8」及び上記アの「筐体8」の外方に露出している部分が備えられており、かつ上記イの「絶縁性放熱シート」が放熱させる、放熱構造を備えるといえる。 エ 上記ア~ウから、甲1発明における、「筐体8」が「基板7」、「基板9」及び「基板10」を収容し、「MOSFET1が発熱した場合には、該MOSFET1と筐体8の両方に接するように絶縁性放熱シートを設けているため、該MOSFET1から発生した熱は放熱材としての絶縁性放熱シートを伝熱し、さらに金属の筐体8や金属製ヒートシンクに伝えられ、筐体8はスマートタップが設置されている壁内にて、放熱」する「スマートタップ」と、本件特許発明における 「複数の基板と、それら複数の基板を収容するケーシングと、そのケーシングの外方に露出する露出部とが備えられ、 前記露出部は、前記ケーシングの外面部にて構成され、 前記ケーシングとは別に備えられて、前記ケーシングの外方に露出しない状態で前記ケーシングの内部に配設された伝熱部が備えられ、 前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて、その集めた複数の基板の熱を基板の面方向に沿って伝熱させた後、基板の表裏方向へも伝熱させて前記露出部に伝熱させて放熱させる放熱構造を備えた情報通信ユニット」 とは、 「複数の基板と、それら複数の基板を収容するケーシングと、そのケーシングの外方に露出する露出部とが備えられ、 前記露出部は、前記ケーシングの外面部にて構成され、 前記ケーシングとは別に備えられて、前記ケーシングの外方に露出しない状態で前記ケーシングの内部に配設された伝熱部が備えられ、 前記伝熱部は、発熱体の熱を自己に伝熱させて、その熱を前記露出部に伝熱させて放熱させる放熱構造を備えた情報通信ユニット」 である点で共通する。 オ 甲1発明の「スマートタップ」は、「該基板中央部に無線モジュールを設け」たものであるから、これにアンテナ素子が備えられていることは明らかであり、上記ウの「通信手段4」として、情報通信のための部品が備えられたものであることも明らかである。 また、甲第1号証の「スイッチング電源やインバータ等の制御装置」との記載(段落【0023】)及び「制御装置としてMOSFETを採用した」との記載(段落【0076】)によれば、甲1発明の「制御手段であるMOSFET1」は、電源部品であることが理解できるから、甲1発明の「スマートタップ」は、当該電源部品が備えられたものであるといえる。 カ 甲1発明の「スマートタップ」は、「壁内にて」「設置され」、かつその「筐体8」が「壁内にて、放熱」するものであるから、甲1発明における「筐体8」は、少なくとも「壁」の面よりも後方側の一部が「壁」の内部に「壁」に埋設される埋設状態にて「壁」に設置されるといえる。 そして、甲1発明の「壁」は、本件特許発明の「設置対象部位」に相当する。 キ 甲1発明は、その「筐体8」が「基板7」等を収容し(上記ア)、かつ「壁内にて、放熱」するものであり、また、「スマートタップの該前面6の内部に位置する基板7の長辺の中央部付近にMOSFET1を設け」たものであるから、甲1発明における上記アの「筐体8」の外方に露出している部分は、「壁」の前方側に配置される「前面6」よりも「壁」の後方側に配設されているといえる。 そして、甲1発明の「前面6」は、本件特許発明の「化粧カバー」に相当する。 ク 上記オ~キから、甲1発明は、本件特許発明における 「アンテナ素子、情報通信のための部品、及び、電源部品が備えられ、 前記ケーシングは、少なくとも後方側の一部が設置対象部位の内部に埋設される埋設状態にて設置対象部位に設置され、 前記露出部は、設置対象部位の前方側に配置される化粧カバーよりも設置対象部位の後方側に配設されている」 ことに相当する構成を有するものである。 (2)上記(1)から、本件特許発明と甲1発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「複数の基板と、それら複数の基板を収容するケーシングと、そのケーシングの外方に露出する露出部とが備えられ、 前記露出部は、前記ケーシングの外面部にて構成され、 前記ケーシングとは別に備えられて、前記ケーシングの外方に露出しない状態で前記ケーシングの内部に配設された伝熱部が備えられ、 前記伝熱部は、発熱体の熱を自己に伝熱させて、その熱を前記露出部に伝熱させて放熱させる放熱構造を備えた情報通信ユニットにおいて、 アンテナ素子、情報通信のための部品、及び、電源部品が備えられ、 前記ケーシングは、少なくとも後方側の一部が設置対象部位の内部に埋設される埋設状態にて設置対象部位に設置され、 前記露出部は、設置対象部位の前方側に配置される化粧カバーよりも設置対象部位の後方側に配設されている情報通信ユニット。」 (相違点) (相違点1) 本件特許発明では、発熱体が「複数の基板」であり、「前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集め」ているのに対して、甲1発明では、「発熱」するのは「MOSFET1」であって、「基板7」、「基板9」及び「基板10」が発熱するかは不明であり、さらに、「絶縁性放熱シート」は、「MOSFET1から発生した熱」を伝熱するものであって、「基板7」、「基板9」及び「基板10」の熱を集めることについて特定されていない点。 (相違点2) 本件特許発明は、熱を「基板の面方向に沿って伝熱させた後、基板の表裏方向へも伝熱させ」るものであるに対して、甲1発明は、熱を「筐体8」に伝熱させる経路について特定されるものではない点。 (3)判断 まず、上記相違点1について検討する。 上記相違点1に係る、発熱体が「複数の基板」であり、「前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集め」る構成は、甲第2~7号証のいずれにも記載も示唆もない。 また、上記相違点1に係る構成は、本願の優先日前における周知技術であったともいえない。 よって、少なくとも上記相違点1は、実質的な相違点であるから、本件特許発明は甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。 また、相違点2について検討するまでもなく、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~7号証のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)申立人の主張について 申立人は「また、対象発明1にも甲1発明1にも、熱を集める部材または装置は、開示されておらず、技術的に相違はない。」旨主張している(申立書21頁10~11行)。 しかし、「前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集め」る構成は、本件特許発明を特定する事項であり、また、当該構成は、後記する2(3)で述べるとおり、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確な記載であるとはいえないから、申立人の上記主張は採用できない。 (5)小括 したがって、理由1により、本件特許を取り消すことはできず、また、理由2により、本件特許を取り消すことはできない。 2 理由3(明確性要件違反)について (1)明確性要件違反の判断の枠組み 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (2)明確性要件違反とされた特許請求の範囲の記載 本件特許発明は、申立人が不明確であると主張した、「前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて、その集めた複数の基板の熱を基板の面方向に沿って伝熱させた後、基板の表裏方向へも伝熱させて前記露出部に伝熱させて放熱させる放熱構造」という構成を含むものである。 (3)判断 上記(1)の判断枠組みに基づいて検討する。 当業者であれば、上記(2)で示した構成により、「伝熱部」という1つの部材が、「複数の基板の熱」を受け止めて、「複数の基板の熱を基板の面方向に沿って伝熱させた後、基板の表裏方向へも伝熱させて前記露出部に伝熱させて放熱させる放熱構造」が特定されていることを理解するから、特許請求の範囲の記載が第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 (4)申立人の主張について ア 申立人は、本件特許発明の「複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて」という記載に関し、潜熱蓄熱材、熱交換器、ヒートポンプ等を用いず、単に温度の高いところから低いところへ、熱を伝導、対流、放射させているのみで自動詞的に集まっているはずであるから、「熱を集める」という他動詞の意味が不明確である旨主張する(申立書7頁15~26行)。 しかし、当業者であれば、「複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて」という記載は、1つの部材が「複数の基板の熱」を自己に伝熱させて受け止めることであると理解するから、申立人の上記主張は採用できない。 イ 申立人は、本件特許発明の「複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて」という記載に関し、本件特許の明細書及び図面を参酌しても、温度差により温度勾配が生じて熱の伝導が生じていることのみが記載され、積極的に熱を集めることは記載されていないから、「熱を集める」ことについて当業者が理解できるようには記載されておらず、不明確である旨主張する(申立書7頁27行~10頁7行)。 (ア)本件特許の明細書及び図面の記載 本件特許の明細書及び図面には以下の記載がある(下線は当審による。)。 「【0055】 電源部品36から発生する熱は、まず、図中T1の矢印にて示すように、第2熱伝導体52によって、第3基板39の後方側から前方側に伝熱される。次に、図中T2の矢印にて示すように、第2熱伝導体52と第2基板38との接触により、第2熱伝導体52から第2基板38に伝熱され、更に、第1熱伝導体51によって、第2基板38の後方側から前方側に伝熱される。このように、電源部品36から発生する熱は、第3基板39だけでなく、第2基板38も、後方側から前方側に伝熱されることになり、その熱の移動距離を大きく取ることができる。よって、熱の移動過程では、その移動に伴って放熱されるだけでなく、例えば、熱エネルギーが運動エネルギーに変換されることから、熱の移動距離を大きく取ることで、電源部品36から発生する熱を効果的に放熱させることができる。 【0056】 そして、第1熱伝導体51及び第2熱伝導体52にて第2基板38の前方側に伝熱された熱は、図中T3の矢印にて示すように、第1板状体53によって、左右方向の両端側に伝熱された後、第2基板38の前方側から、第2基板38及び第3基板39の周囲を通して第3基板39の後方側まで伝熱され、金属製の後方側ケーシング27に伝熱させて放熱させている。このように、電源部品36から発生する熱は、第3基板39の後方側から第2基板38の前方側に移動されるだけでなく、更に、第2基板38の前方側から第3基板39の後方側に移動されるので、その熱の移動距離を極力大きく取ることができ、電源部品36から発生する熱をより効果的に放熱させることができる。しかも、後方側ケーシング27は、金属製であり、更に、後方側ケーシング27の後面部33及び周側面部34に複数の溝を形成することで、表面積が拡大されているので、伝熱された熱を後方側ケーシング27の外部に効率よく放熱させることができる。」 「【図4】 [図:0001423541000022.jpg] 」 (イ)上記(ア)より、本件特許の明細書及び図面には、「第3基板39の後方側から前方側」「第2熱伝導体52から第2基板38」「第2基板38の後方側から前方側」「第1熱伝導体51」「第1板状体53」(「後方側ケーシング27」)の順に伝熱することが記載されており、当業者であれば、「第1板状体53」が機能的に「第3基板39」及び「第2基板38」の熱を受け止めることが、本件特許発明の「複数の基板の熱を自己に伝熱させて集め」ることに対応すると理解するから、申立人の上記主張は採用できない。 ウ 申立人は、本件特許発明の「前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて、その集めた複数の基板の熱を基板の面方向に沿って伝熱させた後、基板の表裏方向へも伝熱させて前記露出部に伝熱させて放熱させる放熱構造」という記載に関し、本件特許の図4のT6の熱の流れが大きいから、T1及びT2の熱の流れが生じるか疑問であり、加えて、板状体接触部55の温度よりも第1前後延接部53bの温度が高くなる可能性は低いから、T3の熱の流れが生じるかも疑問である結果、「放熱構造」について当業者が理解できるように記載されておらず、不明確である旨主張する(申立書10頁8行~11頁12行)。 しかし、当業者であれば、上記イ(イ)で示したとおり、少なくとも、「第3基板39の後方側から前方側」「第2熱伝導体52から第2基板38」「第2基板38の後方側から前方側」「第1熱伝導体51」「第1板状体53」「後方側ケーシング27」の順に伝熱が生じるものと理解するから、申立人の上記主張は採用できない。 (5)小括 したがって、理由3により、本件特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700182

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