特許訂正審判
2025-390056
インバータの放電装置
- 審判番号
- 2025-390056
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2008-304918
- 登録番号
- 5375052
- 請求日
- 2025年04月24日
- 審決日
- 2025年07月15日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日産自動車株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人とこしえ特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 吉田 美彦
- 審判官 脇岡 剛
- 分類
- P141 .841-Y (H02M) / P141 .851-Y (H02M) / P141 .853-Y (H02M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第5375052号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5375052号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1.手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5375052号(以下、「本件特許」という。)は、平成20年11月28日の出願(特願2008-304918号)であって、平成25年10月4日に特許権が設定登録され、令和7年4月24日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2.請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5375052号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3.訂正の内容
1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「直流電源の出力を平滑化する蓄電手段と、
前記蓄電手段の両端子にそれぞれ接続された複数対のスイッチング素子と、
前記各スイッチング素子に並列に接続された整流素子と、
前記スイッチング素子のON/OFFを制御して前記直流電源の直流電力を交流電力に変換する制御手段と、を備えたインバータの放電装置において、
前記制御手段は、前記蓄電手段に蓄電された電荷が前記スイッチング素子及び前記整流素子に変位電流として流れるように、前記複数対のスイッチング素子のうち、一方側の複数のスイッチング素子をONとし、他方側の複数のスイッチング素子をOFFとすることを交互に動作させることを特徴とするインバータの放電装置。」と記載されているのを、
「直流電源の出力を平滑化する蓄電手段と、
前記蓄電手段の両端子にそれぞれ接続された複数対のスイッチング素子と、
前記各スイッチング素子に並列に接続された整流素子と、
前記スイッチング素子のON/OFFを制御して前記直流電源の直流電力を交流電力に変換する制御手段と、を備えたインバータの放電装置において、
前記制御手段は、前記蓄電手段に蓄電された電荷が前記スイッチング素子及び前記整流素子に変位電流として流れるように、前記複数対のスイッチング素子のうち、一方側の複数のスイッチング素子をONとし、他方側の複数のスイッチング素子をOFFとすることを交互に動作させ、複数対のスイッチング素子でONされた複数のスイッチング素子と前記整流素子に前記変位電流が流れ、前記変位電流のみで前記電荷を放電させることを特徴とするインバータの放電装置。」に訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし14も同様に訂正する。(下線は当審で付した。以下、同様である。)
2.訂正事項2
明細書の段落0006に
「【0006】 本発明は、インバータの蓄電手段に蓄電された電荷を、当該インバータのスイッチング素子回路に変位電流として流すことによって、具体的には複数対のスイッチング素子のうち、一方側の複数のスイッチング素子をONとし、他方側の複数のスイッチング素子をOFFとすることを交互に動作させることによって、上記課題を解決する。」と記載されているのを、
「【0006】 本発明は、インバータの蓄電手段に蓄電された電荷を、当該インバータのスイッチング素子回路に変位電流として流すことによって、具体的には複数対のスイッチング素子のうち、一方側の複数のスイッチング素子をONとし、他方側の複数のスイッチング素子をOFFとすることを交互に動作させ、複数対のスイッチング素子でONされた複数のスイッチング素子と前記整流素子に前記変位電流が流れ、前記変位電流のみで前記電荷を放電させることによって、上記課題を解決する。」に訂正する。
第4.当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「前記制御手段は、前記蓄電手段に蓄電された電荷が前記スイッチング素子及び前記整流素子に変位電流として流れるように、前記複数対のスイッチング素子のうち、一方側の複数のスイッチング素子をONとし、他方側の複数のスイッチング素子をOFFとすることを交互に動作させる」との事項について、「複数対のスイッチング素子でONされた複数のスイッチング素子と前記整流素子に前記変位電流が流れ、前記変位電流のみで前記電荷を放電させる」との特定事項を追加し、「前記蓄電手段に蓄電された電荷」を「前記変位電流のみ」で放電させるものに減縮するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件設定登録時の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)における段落0005、0007、0031ないし0033、0050、0051の記載によると、明細書等には、「前記蓄電手段に蓄電された電荷が前記スイッチング素子及び前記整流素子に変位電流として流れるように、前記複数対のスイッチング素子のうち、一方側の複数のスイッチング素子をONとし、他方側の複数のスイッチング素子をOFFとすることを交互に動作させ、複数対のスイッチング素子でONされた複数のスイッチング素子と前記整流素子に前記変位電流が流れ」ることで、「モータの有無に拘らず平滑用蓄電手段の電荷を放電する」ことが記載されているといえる。
また、明細書等には、上記スイッチング素子に流れる「前記変位電流」以外に、「モータの有無に拘らず平滑用蓄電手段の電荷を放電する」ことに係る構成が記載されていないことからすると、明細書等には、「前記蓄電手段に蓄電された電荷」を「前記変位電流のみ」で放電させることが記載されていると認められる。
よって、訂正事項1は、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであって、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第126条第5項の規定に適合するものある。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項1は、上記(1)で検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことが明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
2.訂正事項2について
(1)訂正の目的
訂正事項2は、訂正事項1に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、訂正事項1に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、訂正事項1と同様に、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項2は、訂正事項1に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3.独立特許要件について
上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を含むものであるところ、訂正後の請求項1ないし14に係る発明には、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである理由は見いだせない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第5.むすび
以上のとおり、訂正事項1、2は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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