審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2024-700931

プロピレン樹脂組成物、および、成形体

審判番号
2024-700931
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-181820
登録番号
7461556
請求日
2024年09月26日
審決日
2025年07月31日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】住友化学株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人藤本パートナーズ
  • 【異議申立人】伊藤 千代子
  • 【異議申立人】山川 隆久
審判長/審判官
  • 審判長 細井 龍史
  • 審判官 松本 直子
  • 審判官 北澤 健一
分類
P1651.113-YAA(C08L) / P1651.121-YAA(C08L) / P1651.537-YAA(C08L) / P1651.536-YAA(C08L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7461556号発明「プロピレン樹脂組成物、および、成形体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7461556号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第7461556号の請求項1~11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7461556号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許は、令和5年10月23日に出願(優先日 令和5年3月24日)された特願2023-181820号に係る特許であって、令和6年3月26日に特許権の設定登録(請求項数11)がされ、同年4月3日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、同年9月26日に特許異議申立人 伊藤 千代子(以下、「申立人1」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~11)がされ、当審による同年10月17日付けの手続補正指令書(方式)の通知に対し、申立人1から同年10月30日に手続補正書(方式)が提出され、また、同年10月3日に特許異議申立人 山川 隆久(以下、「申立人2」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~11)がされたものである。 その後の手続は以下のとおりである。 令和6年12月26日付け 取消理由通知 令和7年 3月 5日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年 同月27日付け 手続補正指令(特許権者宛) 同年 4月 8日 手続補正書(方式)の提出(特許権者) 同年 同月18日付け 訂正請求があった旨の通知 同年 5月20日 意見書の提出(申立人2) 同年 同月22日 意見書の提出(申立人1) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和7年3月5日に提出されるとともに同年4月8日に提出された手続補正書(方式)により補正された訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)~(6)のとおりである。 なお、当該手続補正書(方式)による補正は、令和7年3月27日付けの手続補正指令書(方式)に対してなされたもので、特許法120条の5第9項で準用する同法第131条の2第1項ただし書第3号に適合するものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「成分(A):プロピレン系重合体を含む市場から回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)と、 を含有し、 前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上である、プロピレン樹脂組成物。」と記載されているのを、 「成分(A):プロピレン系重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)と、 を含有し、 前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、 前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、 前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下であり、 前記成分(A)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する、プロピレン樹脂組成物。」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~11も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記成分(A)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。」と記載されているのを、「前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上35質量%以下であり、 前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上35質量%以下であり、 前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、30質量%以上70質量%以下である、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項11も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「プロピレン単独重合体を含む、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。」と記載されているのを、「前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)からなる群より選択される少なくとも一種は、プロピレン単独重合体を含む、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項11も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「ヘテロファジックプロピレン重合材料を含む、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。」と記載されているのを、「前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)からなる群より選択される少なくとも一種は、ヘテロファジックプロピレン重合材料を含む、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項11も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項10に「前記成分(A)および前記成分(B)と、前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)と、の質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)が、15以上70以下である、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。」と記載されているのを、「前記成分(A)および前記成分(B)と、前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)と、の質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)が、0.15以上0.70以下である、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。」に訂正する(請求項10の記載を引用する請求項11も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 明細書の段落【0023】に「工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物は、ポリプロピレンの成形体を製造する工程内で発生した、成形体を得るためのプロピレン材料、および、得られた成形体を原料とする。」と記載されているのを、「工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物は、ポリプロピレンの成形体を製造する工程内で発生した、加熱成形して得られた成形体を原料とする。」に訂正する。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項1~11について、請求項2~11は請求項1を直接又は間接的に引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~11に対応する訂正後の請求項1~11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 明細書の訂正と関係する請求項について 訂正事項6は、請求項1に記載された「成分(B)」に関係するものであり、請求項1及び同項を直接又は間接的に引用する請求項2~11の全てについて行うものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合するものである。 4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1による訂正について 訂正事項1による請求項1についての訂正は、下記の取消理由4を解消するために「成分(A)」及び「成分(B)」の回収された場所が「最終的な回収場所を意味する」ことを明らかにし、また、「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」の含有量をそれぞれ限定し、さらに、「成分(A)」を「少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する」ものに限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正は、本件明細書の【0021】、【0028】、【0031】及び訂正前の請求項2を根拠とするものであり、また、「(最終的な回収場所を意味する)」との訂正は、「市場」及び「工程内」が「成分(A)」及び「成分(B)」の「最終的な回収場所を意味する」ことを明らかにしたに過ぎないから新たな技術的事項を導入するものではないので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2による訂正について 訂正事項2による請求項2についての訂正は、「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」の含有量をそれぞれ限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正は、本件明細書の【0201】【表1】を根拠とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3による訂正について 訂正事項3による請求項4についての訂正は、下記の取消理由4を解消するために「プロピレン単独重合体」が「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」からなる群より選択される少なくとも一種として含まれることを明らかにするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、当該訂正は、本件明細書の【0035】を根拠とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4による訂正について 訂正事項4による請求項5についての訂正は、下記の取消理由4を解消するために「ヘテロファジックプロピレン重合材料」が「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」からなる群より選択される少なくとも一種として含まれることを明らかにするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、当該訂正は、本件明細書の【0036】を根拠とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5による訂正について 訂正事項5により請求項10についての訂正は、「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)」について、「15以上70以下」を「0.15以上0.70以下」に訂正するものである。 ここで、「成分(A)」の含有量、「成分(B)」の含有量、「成分(C)」の含有量は、含有量であるからいずれも正の数となり、負の数にはならない。したがって、「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)」において、分子の数<分母の数となるから、「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)が、15以上70以下」という関係になることはなく、誤記があることは明らかである。 一方、この質量比について、本件明細書の記載を参酌すると、「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)」の下限については、本件明細書の【0031】に「成分(C)の含有量は、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、好ましくは85質量%以下であり、」と記載されているところ、成分(A)~(C)のみからなるプロピレン樹脂組成物について、「成分(C)」の含有量が85質量%である場合、「成分(A)」及び「成分(B)」の合計含有量は15質量%(=100-85)と計算されるから、「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)」の値としては0.15となる。 さらに、「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)」の上限については、本件明細書の【0031】に「成分(C)の含有量は、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、・・・、より好ましくは30質量%以上である」と記載されているところ、成分(A)~(C)のみからなるプロピレン樹脂組成物について、「成分(C)」の含有量が30質量%である場合、「成分(A)」及び「成分(B)」の合計含有量は70質量%(=100-30)と計算されるから、「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)」の値としては0.70となる。 すなわち、本来下限を0.15、上限を0.70とすべきところを、「15質量%」の「15」、「70質量%」の「70」と誤記したものと解される。 これらのことを考慮すると、「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)」について、「15以上70以下」が「0.15以上0.70以下」を意味することは明らかであるといえるから、上記訂正は、当業者にとって明らかな誤記の訂正を目的とするものであるので、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 そして、当該訂正は、当業者にとって明らかに「0.15以上0.70以下」の誤記であることがわかる「15以上70以下」という記載を書き改めるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)訂正事項6による訂正について 訂正事項6は、下記の取消理由4を解消するために「成分(B)」の工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物が、加熱成形して得られた成形体を原料とするものであることを明らかにするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、当該訂正は、本件明細書の【0151】を根拠とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 5 申立人の主張について 申立人1は、意見書の第3頁~第4頁において、訂正事項1の「(最終的な回収場所を意味する)」という訂正について、本件明細書に「最終的な回収場所」に関する記載がないことや、申立人1が提出した甲第1号証にはリサイクル対象を「市場経年樹脂成形品(1)」、「廃車樹脂成形品(2)」、「バリおよび端材(3)」及び「成形不良品(4)」に分けて扱うことが示されていることを挙げて、「(最終的な回収場所を意味する)」との訂正は新規事項であると主張する。また、申立人1は、意見書の第5頁~第6頁において、訂正事項5の「0.15以上0.70以下」という訂正について、本件明細書の実施例における「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)」を計算すると0.3(実施例5)、0.5(実施例1~3、6、7)、0.7(実施例4)であることを挙げ、さらに、「請求項10の「15以上70以下」が書き誤りと解釈して本件明細書から正しい記載を探しても、ただ一つの正しい記載を把握することができません。」と述べ、「0.15以上0.70以下」との訂正は、誤記の訂正に当たらず、新規事項であると主張する。 また、申立人2は、意見書の第2頁において、「(最終的な回収場所を意味する)」という記載は本件明細書に明示されておらず、技術常識であるともいえないことを挙げ、新規事項であると主張する。 しかしながら、新規事項の追加の判断基準について、「「明細書又は図面に記載した事項」とは、技術的思想の高度の創作である発明について、特許権による独占を得る前提として、第三者に対して開示されるものであるから、ここでいう「事項」とは明細書又は図面によって開示された発明に関する技術的事項であることが前提となるところ、「明細書又は図面に記載した事項」とは、当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときは、当該補正は、「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができる。」(知財高判平20.5.30、平18(行ケ)第10563号)と示されているところ、「(最終的な回収場所を意味する)」との訂正が新たな技術的事項を導入するものではないことは上記4(1)において述べたとおりであり、物品が一旦回収されれば、そこが「最終的な回収場所」となることは当業者にとって自明であり、本訂正は、当該自明な事項を明らかにしたに過ぎない。 また、「0.15以上0.70以下」との訂正が当業者にとって明らかな誤記の訂正を目的とするものであり、新たな技術的事項を導入するものでもないことは上記4(5)において述べたとおりである。 したがって、申立人1、2の上記主張は首肯することができない。 6 独立特許要件 本件においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~11に対して特許異議の申立てがされているので、訂正後の請求項1~11について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 7 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2で示したとおり、本件訂正は認められたため、本件特許の請求項1~11に係る発明(以下、順に「本件発明1」のようにいい、本件発明1~11を総称して「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。 「【請求項1】 成分(A):プロピレン系重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)と、を含有し、 前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、 前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、 前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下であり、 前記成分(A)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する、プロピレン樹脂組成物。 【請求項2】 前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上35質量%以下であり、 前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上35質量%以下であり、 前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、30質量%以上70質量%以下である、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。 【請求項3】 前記成分(B)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。 【請求項4】 前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)からなる群より選択される少なくとも一種は、プロピレン単独重合体を含む、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。 【請求項5】 前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)からなる群より選択される少なくとも一種は、ヘテロファジックプロピレン重合材料を含む、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。 【請求項6】 各成分におけるプロピレン系重合体は、アイソタクチックペンタッド分率が0.961以上である、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。 【請求項7】 エチレン-α-オレフィン共重合体を含む、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。 【請求項8】 充填材を含む、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。 【請求項9】 前記充填材が、無機充填材である、請求項8に記載のプロピレン樹脂組成物。 【請求項10】 前記成分(A)および前記成分(B)と、前記成分(A)、前記成分(B)および前記成分(C)と、の質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)が、0.15以上0.70以下である、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物。 【請求項11】 請求項1~10のいずれか一つに記載のプロピレン樹脂組成物を含む、成形体。」 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要、証拠方法及び取消理由の概要 1 令和6年9月26日に申立人1が提出し、同年10月30日提出の手続補正書(方式)により補正された特許異議申立書(以下、「申立書1」という。)に記載した申立ての理由の概要 (1)申立理由1-1(明確性) 本件特許の請求項10~11に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (2)申立理由1-2(甲第1号証を主引用文献とする新規性・進歩性) 本件特許の請求項1~3、8~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気回線通信を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項4~7に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明及び下記の甲第2号証~甲第7号証、甲第9号証、甲第11号証~甲第15号証に記載された事項に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (3)証拠方法 甲第1号証 :特開平11-320561号公報 甲第2号証 :特開2000-309668号公報 甲第3号証 :特開平9-71713号公報 甲第4号証 :特開2005-264032号公報 甲第5号証 :再公表特許WO2019/208601号公報 甲第6号証 :特開2011-126940号公報 甲第7号証 :国際公開第2022/200587号 甲第8号証 :特表2024-512031号公報(甲第7号証の翻訳文) 甲第9号証 :国際公開第2022/248656号 甲第10号証:特表2024-519423号公報(甲第9号証の翻訳文) 甲第11号証:大川香織他、「再資源化プラスチックから発生する臭い成分の分析」、岐阜県産業技術センター研究報告、No.5(2011)、16頁~19頁、岐阜県産業技術センター 甲第12号証:三原利之、「リサイクルプラスチック原料の臭気物質除去に関する研究」、岐阜県産業技術センター研究報告、No.10(2016)、14頁~17頁、岐阜県産業技術センター 甲第13号証:「再生原料がバージン原料にかなわない8つの特徴とは?」、https://www.fareastnetwork.co.jp/theme553/theme390/、掲載2021.12.25、更新2023.02.10、出力2024.07.09、村井健児 甲第14号証:「使用済自動車由来PP部品の効率的な再生材生産プロセスの検証」、平成28年度環境省委託事業 平成28年度低炭素型3R技術・システム実証事業 報告書、目次,11頁~24頁、平成29.03.01、いその株式会社 甲第15号証:ネロ・パスクイーニ編著、横山裕他翻訳監修、「新版 ポリプロピレンハンドブック」、ISBN 978-4-526-06936-9、106,107,158,159,378頁~383頁、2012.09.28、日刊工業新聞社 以下、順に「甲1-1」~「甲1-15」という。 2 令和6年10月3日に申立人2が提出した特許異議申立書(以下、「申立書2」という。)に記載した申立ての理由の概要 (1)申立理由2-1(実施可能要件) 本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (2)申立理由2-2(サポート要件) 本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (3)申立理由2-3(明確性) 本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (4)申立理由2-4(甲第1号証を主引用文献とする新規性・進歩性) 本件特許の請求項1~5、8~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気回線通信を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1~6、8~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明及び下記の甲第3号証、甲第4号証に記載された事項に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (5)申立理由2-5(甲第2号証を主引用文献とする新規性・進歩性) 本件特許の請求項1、4、7~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気回線通信を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1、4、6~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明及び下記の甲第3号証、甲第4号証に記載された事項に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (6)証拠方法 甲第1号証 :国際公開第2022/084236号及びその抄訳 甲第2号証 :特表2018-532859号公報 甲第3号証 :特開2002-194154号公報 甲第4号証 :国際公開第2022/238520号及びその抄訳 甲第5号証 :特開2023-32779号公報 甲第6号証 :特表2019-529191号公報 甲第7号証 :特開2022-41263号公報 甲第8号証 :BOREALIS社のカタログ(STATEMENT ON CHEMICALS, REGULATIONS AND STANDARDS)、2022.06.15(作成日) 甲第9号証 :BOREALIS社のカタログ(PRODUCT DATA SHEET)、2023.01.25(作成日) 甲第10号証:特表2020-521026号公報 甲第11号証:特開平1-165645号公報 甲第12号証:特開2001-302809号公報 甲第13号証:特開平11-293032号公報 甲第14号証:特開2005-47943号公報 甲第15号証:特開2017-66320号公報 甲第16号証:特開2002-310964号公報 以下、順に「甲2-1」~「甲2-16」という。 3 取消理由の概要 当審において特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (1)取消理由1(甲1-1を主引用文献とする新規性・進歩性) 本件特許の請求項1~4、7~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気回線通信を通じて公衆に利用可能となった甲1-1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1-1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (2)取消理由2(甲2-1を主引用文献とする進歩性) 本件特許の請求項1~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2-1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (3)取消理由3(甲2-2を主引用文献とする進歩性) 本件特許の請求項1~11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2-2に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (4)取消理由4(明確性) 本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (5)取消理由5(サポート要件) 本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 第5 当審の判断 1 取消理由1(甲1-1を主引用文献とする新規性・進歩性)及び申立理由1-2(甲1-1を主引用文献とする新規性・進歩性) 取消理由1及び申立理由1-2は、いずれも甲1-1を主引用文献とするものであるから、併せて検討する。 (1)証拠方法に記載された事項等 ア 甲1-1に記載された事項 甲1-1には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。 「【0036】 【実施例】図1は本発明に係る樹脂材料の再利用システムにおいて採用されうる樹脂材料の再生処理方法の一実施例を示すものであって、本発明による樹脂材料の再生処理方法では、以下に説明する如く、種々の同族系樹脂材料毎に分類された樹脂材料を1つの集合体として再生処理を行うものであが、本発明は以下の実施例のみに限定されないことはいうまでもない。 【0037】まず、図1の(A)により再生処理方法を説明すると、市場経年樹脂成形品(1),廃車樹脂成形品(2)等の樹脂物品や、樹脂成形品の製造工程で発生するバリおよび端材(3),成形不良品(4)等の樹脂物品などからなる樹脂材料をそれぞれ工程(5)において回収し、これらを同族系樹脂材料から構成される集合体に工程(6)において分類する。 【0038】すなわち、工程(6)において分類される同族系樹脂材料としては、ポリオレフィン(PO)系樹脂材料集合体(7)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)系樹脂材料集合体(8)、ポリアミド(PA)系樹脂材料集合体(9)、ポリエチレンテレフタレート(PET:ポリエステル)系樹脂材料集合体(10)、ポリウレタン(PU)系樹脂材料集合体(11)の5種類が主なものである。 【0039】これらの同族系樹脂材料から構成される集合体に分類する場合、PO系樹脂としては、ポリプロピレン(PP)樹脂、PP樹脂とポリエチレン(PE)樹脂との共重合体またはエラストマー変性のPO樹脂、タルク,炭酸カルシウム,ガラス繊維等の補強材および/または無機質充填材を配合したPO樹脂、エラストマー変性のPO樹脂のうちの少なくとも1種であるものとすることができる。 ・・・ 【0044】前記樹脂において、タルク,炭酸カルシウム,ガラス繊維等の補強材および/または無機質充填材を配合する場合には、5~50重量%の範囲で補強効果および樹脂特性に影響を与えない配合量で添加されていることが多い。 【0045】工程(6)において上記の同族系樹脂材料集合体(7)~(11)に分類した後、再利用可能な再生材とするために工程(12)において加工・再生処理が施される。この場合の加工・再生処理は、回収した樹脂中に共存する金属屑や砂等の異物の分離除去、再生材とした場合に強度を向上させるためのタルク,炭酸カルシウム,ガラス繊維等の補強材の配合操作、耐衝撃性を改善するためのエラストマー成分等の添加による改質操作、などを含むものである。 【0046】具体的な加工・再生処理工程としては、図1の(B)に示すように、まず、上記の同族系樹脂材料集合体(7)~(10)からなる樹脂物品を、次工程の処理をやり易くそしてまた均一にさせるために、シュレッダー,ハンマー等により粉砕・すり潰しを行うことによって、数mm~10mm程度の大きさに工程(13)において切断・粉砕を行う。 【0047】そして、再生処理に当たっては、工程(14)において、樹脂材料に付着した汚れ等(ほこり、水垢,油等)を水洗浄やエチルアルコール等の溶剤洗浄などにより洗浄除去し、また、樹脂と共存する塗膜やめっき皮膜,ビス,ナット,モールディング類,テープ類,スパッタリング膜等の各種表面処理被膜等を分離除去する。さらにまた、必要に応じて、タルク,炭酸カルシウム,ガラス繊維等の配合成分,エラストマー成分等を新たに添加することによる改質は行わなくてもよい。 【0048】同族系樹脂材料集合体が熱可塑性樹脂から構成される場合には、不純物等を除去して樹脂粉砕品を混練押出機に投入し加熱および/または加圧溶融して工程(15)において再造粒を行い、ペレット状の再生材(16)として回収する。また、同様に、樹脂材料を軟化するまで加熱および/または加圧して板状の再生材(16)として回収してもよい。 【0049】熱可塑性樹脂から構成される同族系樹脂材料としては、前記樹脂のうち、PO系樹脂、ABS系樹脂、PA系樹脂およびPET系樹脂が挙げられ、これらの樹脂において混練押出機に投入して行う加熱および/または加圧溶融は前記樹脂軟化点、すなわち、120~250℃程度の範囲で再生処理が行われる。 【0050】ここで、同族系樹脂材料として回収されるPO系樹脂は、自動車のバンパー,インスツルメントパネル,エアクリーナ,内装トリム類,ダクト等に使用されており、また、ABS系樹脂は、自動車のラジエータグリル,ドアミラーハウジング,ホイールカバー,内装トリム類等に使用されている。 【0051】このようなPO系樹脂およびABS系樹脂の再生処理温度は約120~200℃であり、比較的低い温度で処理される。 ・・・ 【0053】本発明に従う熱可塑性樹脂の加工再生処理に際しては、さらに相溶化剤を用いて同族樹脂間の相溶性を高めるようになすこともできる。 【0054】再生処理により得られた再生材(16)は、新たな樹脂製品の製造原料として利用されるが、その樹脂製品としての機械的性質や表面外観品質を確保するため、また、再生材と新品材との使用量のバランスから、同材質の樹脂製品の製造原料としては最大50重量%程度の範囲で工程(17)において新品材に混合して用いるようになすことが必要に応じて望ましい。 【0055】一方、本発明による樹脂材料の再処理方法において、同族系樹脂材料に他の樹脂材料が混合された場合には、再造粒工程において気泡が生じたり、ストランド切れ(熱可塑性樹脂に適用され、押出し機からうどん状の成形材料[ストランド]を押出し、水冷した後に一定の長さに切断して、ペレット状にするが、このとき、押出し機からうどん状の成形材料とならずに、途中で切れてしまうこと)等の不具合を生じたり、また、再生材として使用した場合においても、樹脂の流動性が均一ではなく、ショートショット(樹脂の流動不良)等の成形不良が生じたりすることもある。さらに、成形品が得られたとしても、剛性や衝撃強度等の物性が極端に低くなるという問題を引き起こすこともある。 【0056】したがって、上記したように、樹脂材料の再利用に際しては、本発明の各5つの同族系樹脂材料から構成される集合体以外に、他の樹脂材料を混合することは好ましくないこともありうる。そして、本発明においては、上記した同族系樹脂材料から構成される集合体として再生処理を行った場合には、これらの不具合は発生しなかった。」 「 【図1】 [図:0001427963000001.jpg] 」 イ 甲1-1に記載された発明 甲1-1の【実施例】の、特に下線部分に着目すると、甲1-1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「市場経年樹脂成形品(1),廃車樹脂成形品(2)等の樹脂物品や、樹脂成形品の製造工程で発生するバリおよび端材(3),成形不良品(4)等の樹脂物品などからなる樹脂材料をそれぞれ回収し、これらを同族系樹脂材料から構成される集合体に分類し、分類した後、再生処理が施されてなる再生材を、同材質の樹脂製品の製造原料として最大50重量%程度の範囲で新品材に混合してなる物であって、分類される同族系樹脂材料として、ポリオレフィン(PO)系樹脂材料集合体があり、PO系樹脂としては、ポリプロピレン(PP)樹脂、PP樹脂とポリエチレン(PE)樹脂との共重合体、タルク,炭酸カルシウム,ガラス繊維等の補強材および/または無機質充填材を配合したPO樹脂であるものとすることができ、同族系樹脂材料として回収されるPO系樹脂は、自動車のバンパー,インスツルメントパネル,エアクリーナ,内装トリム類,ダクト等に使用されている、物。」(以下、「甲1-1発明A」という。) (2)対比・判断 ア 本件発明1 (ア)本件発明1と甲1-1発明Aとを対比する。 甲1-1発明Aの「市場経年樹脂成形品(1),廃車樹脂成形品(2)等の樹脂物品」から「回収」された物は、本件発明1の「成分(A):プロピレン系重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクルプロピレン組成物」と、重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクル組成物である限りにおいて一致する。 甲1-1発明Aの「樹脂成形品の製造工程で発生するバリおよび端材(3),成形不良品(4)等の樹脂物品」から「回収」された物は、本件発明1の「成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクルプロピレン組成物」と、重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクル組成物である限りにおいて一致する。 甲1-1発明Aの「新品材」は、「同材質の樹脂製品の製造原料として」再生材と「混合」されてなるものであり、甲1-1には、新品材がバイオ由来であることは記載されていないから、本件発明1の「成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)」と、バージン重合体(ただし、バイオ由来を除く)である限りにおいて一致する。 甲1-1発明Aの「市場経年樹脂成形品(1),廃車樹脂成形品(2)等の樹脂物品」から「回収」された物は、「廃車樹脂成形品(2)」から回収された物を含んでいるし、甲1-1発明Aにおいて、「同族系樹脂材料として回収されるPO系樹脂は、自動車のバンパー,インスツルメントパネル,エアクリーナ,内装トリム類,ダクト等に使用されている」ことからも、本件発明1の「前記成分(A)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する」ことに相当する。 甲1-1発明Aの「物」は、「市場経年樹脂成形品(1),廃車樹脂成形品(2)等の樹脂物品」から「回収」された物、「樹脂成形品の製造工程で発生するバリおよび端材(3),成形不良品(4)等の樹脂物品」から「回収」された物、及び、新品材を含み、これらは樹脂を含むから、樹脂組成物であるといえるので、本件発明1の「プロピレン樹脂組成物」と、樹脂組成物である限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲1-1発明Aとは、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 <一致点> 「成分(A):重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクル組成物と、 成分(B):重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクル組成物と、 成分(C):バージン重合体(ただし、バイオ由来を除く)と、 を含有し、 前記成分(A)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する、樹脂組成物。」 <相違点1-1-1> 重合体について、本件発明1は、「プロピレン系」であることを特定しているのに対し、甲1-1発明Aは、「分類される同族系樹脂材料として、ポリオレフィン(PO)系樹脂材料集合体があり、PO系樹脂としては、ポリプロピレン(PP)樹脂、PP樹脂とポリエチレン(PE)樹脂との共重合体」「とすることができ」るとされている点 <相違点1-1-2> 本件発明1は、「前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であ」るのに対し、甲1-1発明Aは、そのような特定がない点 <相違点1-1-3> 本件発明1は、「成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下であ」るのに対し、甲1-1発明Aは、「再生材を」「最大50重量%程度の範囲で新品材に混合」する点 (イ)相違点の検討 a 新規性について 事案に鑑み、上記<相違点1-1-2>について検討する。 甲1-1発明Aは、「市場経年樹脂成形品(1),廃車樹脂成形品(2)等の樹脂物品」から「回収」された物と「樹脂成形品の製造工程で発生するバリおよび端材(3),成形不良品(4)等の樹脂物品」から「回収」された物のそれぞれの含有量を特定していないため、上記<相違点1-1-2>は実質的な相違点である。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1-1に記載された発明ではない。 b 進歩性について 各成分の含有量について、甲1-1発明Aでは、「再生材を、同材質の樹脂製品の製造原料として最大50重量%程度の範囲で新品材に混合してなる」とされているにとどまり、甲1-1には、再生材における各成分の割合、すなわち、「市場経年樹脂成形品(1),廃車樹脂成形品(2)等の樹脂物品」から「回収」された物と「樹脂成形品の製造工程で発生するバリおよび端材(3),成形不良品(4)等の樹脂物品」から「回収」された物との割合は記載されていない。また、甲1-1には、課題として、「材料物性値が一定の範囲内にある再生材を低コストで得ることができ、ある程度の幅広い物性値を有する再生材を得ることができて再生材の適用用途も広いものとすることが可能である樹脂材料の再生処理方法を提供すること」(【0011】)が記載されており、臭気を低減させることは記載されていない。 そうすると、甲1-1に記載された事項を考慮しても、甲1-1発明Aにおいて、臭気を低減させるために上記(1)及び(2)から回収された物と、上記(3)及び(4)から回収された物の配合割合を調節する動機付けはない。また、甲1-2~甲1-7、甲1-9、甲1-11~甲1-15にも、臭気を低減させるために市場で回収されたリサイクルポリプロピレンと工程内で回収されたリサイクルポリプロピレンを併用することや、それらを所定の含有量で用いることは記載されていないし、そのような周知技術も確認できない。 そうすると、甲1-1発明Aにおいて、<相違点1-1-2>に係る事項とすることは当業者が容易に想到したものではない。 また、本件発明1の効果について検討する。 本件明細書の【0010】には、「本発明によれば、ポリプロピレンを再利用しつつも、臭気が比較的低減された成形体を得ることが可能なプロピレン樹脂組成物、および、該プロピレン樹脂組成物を含む成形体を提供することができる。」ことが記載されている。 また、本件明細書の【0151】には、「成分(A)は、市場から回収されたものであるから、紫外線、酸化等によって分子量が低下する等の劣化を受けている。また、成分(B)は、工程内で回収されたものであるから、一度加熱成形されている。そのため、成分(A)~(C)には、それぞれ異なる特有の臭気がある。本実施形態に係るプロピレン樹脂組成物は、リサイクルプロピレン組成物として成分(A)および成分(B)を併用し、さらに成分(C)を含有することにより、それぞれの臭気が打ち消し合ったり薄め合ったりして、臭気が比較的低減された成形体を得ることができる。」と記載されている。 そして、本件明細書の【実施例】を見ると、本件発明1の「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」を含む実施例は、それらのうちいずれか1成分又は2成分を含まない比較例よりも臭気点数が小さく、臭気が低減されていることが示されている。 一方、本件発明1のこのような効果は、甲1-1~甲1-7、甲1-9、甲1-11~甲1-15に記載されておらず、また、周知の事項であるともいえないから、当業者が予測し得るものではない。 (ウ)小括 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1-1に記載された発明ではなく、また、甲1-1に記載された発明及び甲1-1~甲1-7、甲1-9、甲1-11~甲1-15の記載又は周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~11 本件発明2~11は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであって、本件発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件発明1と同様の理由で、本件発明2~4、7~11は、甲1-1に記載された発明ではなく、また、本件発明2~11は、甲1-1に記載された発明及び甲1-1~甲1-7、甲1-9、甲1-11~甲1-15の記載又は周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立人の主張について 申立人1は、意見書において、「甲第1号証に記載された樹脂材料成分:「市場経年樹脂成形品(1)」,「廃車樹脂成形品(2)」,「バリおよび端材(3)」,「成形不良品(4)」の量比は任意です。すると、訂正請求項1に特定された特徴:「前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、」は甲第1号証に記載されているに等しい特徴です。」(第12頁第1行~第7行)、「なお、仮に、訂正請求項1の特徴:「前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下であり、」が甲第1号証に明記されていないとしても、この特徴は甲第1号証の記載から当業者が容易に相当し得たものです。」(第12頁下から18行~下から第12行)、「本件明細書の記載からは、上記特徴により甲第1号証の記載から予測不可能な優れた結果が得られることを確認することができません。」(第13頁下から第7行~下から第6行)と主張している。 また、申立人2も、意見書において、「甲1-1において、「再生材を」「最大50重量%程度の範囲で新品材に混合」するとされている(【0054】)。よって、当該甲1-1の記載から「成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下である」とすることは容易に想到し得る。」(第12頁下から第10行~下から第6行)と主張している。 しかしながら、上記(2)ア(イ)において説示したように、成分(A)と成分(B)の含有量に係る特定事項は実質的な相違点であり、臭気を低減させるために各成分の含有量を調節する動機付けはなく、また、効果も当業者が予測し得るものではない。 したがって、申立人1、2の上記主張は首肯することはできない。 (4)取消理由1(甲1-1を主引用文献とする新規性・進歩性)及び申立理由1-2(甲1-1を主引用文献とする新規性・進歩性)についてのまとめ したがって、本件発明1~4、7~11は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、本件発明1~11は、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえないから、本件特許の請求項1~11に係る特許は、取消理由1及び申立理由1-2によっては取り消すことはできない。 2 取消理由2(甲2-1を主引用文献とする進歩性)及び申立理由2-4(甲2-1を主引用文献とする新規性・進歩性) 取消理由2及び申立理由2-4は、いずれも甲2-1を主引用文献とするものであるから、併せて検討する。 (1)証拠方法に記載された事項等 ア 甲2-1に記載された事項 甲2-1には、次の事項が記載されている。なお、記載事項は、翻訳(甲2-1のパテントファミリーである特表2023-546176号公報(以下、「甲2-1A」という。)を参照。)のみを示す。 「本明細書および後の特許請求の範囲の目的において、「リサイクル(された)」という用語は、材料が、使用済み廃棄物および/または産業廃棄物から回収されることを示すために用いられる。すなわち、使用済み廃棄物とは、少なくとも第1の使用サイクル(またはライフサイクル)を完了した、すなわち、第1の目的を既に果たし、消費者の手を通った物を指し、一方、産業廃棄物とは、通常、消費者に届かない製造スクラップを指す。・・・」(第4頁第11行~第16行、甲2-1Aの【0018】) 「本ポリオレフィン組成物においてバージンポリマーとして使用されるポリプロピレンホモポリマーは、以下を含む群から選択される: -5~15g/10分の範囲、好ましくは5~10g/10分、より好ましくは8g/10分のメルトフローレートMFR2(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)を有する、少なくとも1つのポリプロピレンホモポリマー(PPH-1); ・・・」(第7頁第26行~第30行、甲2-1Aの【0035】) 「実験セクション 以下の実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の特定の態様および実施形態を実証するために含まれる。しかしながら、以下の説明は単に例示的なものであり、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではないことを当業者は理解されたい。 試験方法 以下の用語および決定方法の定義は、別段の定義がない限り、本発明の上記の一般的な説明、ならびに以下の実施例に適用される。 ・・・ h)引張弾性率、引張強度、引張破壊ひずみ、引張強度における引張ひずみ(Tensile Strain at Tensile Strength)、引張破壊応力 測定は、試験片の96時間のコンディショニング時間(23℃、相対湿度50%)後に行った。 引張弾性率は、ENISO 1873-2に記載されている射出成形された試験片(ドッグボーン形状、4mm厚)を用いて、ISO527-2(クロスヘッド速度=1mm/分、23℃)に従って測定した。 引張強度および引張破壊ひずみは、ENISO 1873-2に記載されている射出成形された試験片(ドッグボーン形状、4mm厚)を用いて、ISO527-2(クロスヘッド速度=50mm/分、23℃)に従って測定した。 引張強度における引張ひずみは、ENISO 1873-2に記載されている射出成形された試験片(ドッグボーン形状、4mm厚)を用いて、ISO527-2に従って、試験片が破断するまで50mm/分の伸び率で測定した。 引張破壊応力は、ISO527-2(クロスヘッド速度=50mm/分)に従って、4mmのサンプル厚さを有する打錠成形されたプラークから調製されたサンプルについて測定した。 i)衝撃強度は、ENISO 1873-2に従って調製された80×10×4mmの射出成形試験片について、ISO179-1/1eAに従って+23℃(ノッチ付き)で、またはISO179-1/1eU+23℃(ノッチなし)に従って、シャルピー衝撃強度として決定した。この標準によれば、サンプルは96時間後に試験される。 以下の表1~4に、いくつかの例(比較例-CE;発明例-IE)をまとめる。20および30重量%のGFグレードについて、剛性は、25重量%のREC材料の添加後にのみ低下し、それ以降は、バージン標準と比較して、依然として許容可能なレベルであることを要約することができる。 表1は、1つのプロピレンホモポリマー(PPH-1、MFR2:8g/10分、Tc=112.3℃)、リサイクル材料のブレンド(A)、ガラス繊維(GF1.2)、カップリング剤およびさらなる添加剤を含むポリオレフィン組成物について示す。 ・・・ ガラス繊維は、以下の供給元の1つから得ることができる:OC(OwensCorning)、PPG/NEG、JohnsManville、3B、Jushi、TaiwanGlass、Camelyaf、CPIC、Taishan、Glassfibers 1.2(平均長さ4mm、平均直径13μm)および4.1(平均長さ4.5mm、平均直径13μm)を使用してもよい。 以下の添加剤を使用した:酸化防止剤:AO1(Irganox1010FF)、AO2(ARENOXDS)、AO3(IRGAFOS168FF)、AO4;顔料:CB(PlasblakPE6121、Cabotから市販されている);カップリング剤:SCONATPPP 8112 GA(AP1.5接着促進剤:無水マレイン酸で高度に官能化されたポリプロピレン)。 [図:0001427963000002.jpg] 表1:それぞれガラス繊維GF1.2と混合された、1つのプロピレンホモポリマー(8g/10分のMFR2を有するPPH-1)またはリサイクル材料のブレンド(A)(Dipolen)を含むポリオレフィン組成物(比較例CE1~2)と、1つのプロピレンホモポリマー(8g/10分のMFR2を有するPPH-1)、リサイクル材料のブレンド(A)(Dipolen)およびガラス繊維GF1.2を含む本発明に係るポリオレフィン組成物(発明例IE1~2)との特性。 表1から分かるように、本発明の実施例IEに係るホモポリマー-リサイクル品組成物のメルトフローレートは、バージンホモポリマー(CE-1)のメルトフローレートよりも高いが、リサイクル品(CE-2)のメルトフローレートよりも低い。一方、本発明の実施例に係るホモポリマー-リサイクル品組成物の引張弾性率は、バージンホモポリマー(CE-1)の引張弾性率よりも低いが、リサイクル品(CE-2)の引張弾性率よりも高い。 したがって、本発明に係るホモポリマー-リサイクル品組成物の特性は、良好な加工を可能にするメルトフローレート、および安定な材料であることを示す引張弾性率によって特徴付けられる。 さらに、本発明に係るホモポリマー-リサイクル品組成物の特性は、バージンホモポリマーとリサイクル品との間の範囲にある。したがって、本発明に係るホモポリマー-リサイクル品組成物は、バージンホモポリマーと同様の特性を有するが、ある割合のリサイクル品を含み、したがって、より良好なCO2フットプリントを有する。」(第25頁第4行~第32頁第22行、甲2-1Aの【0119】~【0167】) イ 甲2-1に記載された発明 甲2-1の発明例IE1に着目して、第31頁第5行~第14行及び第32頁第2行~第6行における各成分の説明、及び、第7頁第26行~第30行におけるバージンポリマー及びMFR2の説明とあわせて整理すると、甲2-1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「バージンポリマーであるプロピレンホモポリマー(8g/10分のMFR2(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)を有するPPH-1)を33.4重量%、リサイクル材料のブレンド(A)であるDIPOLEN PP-70を32.9重量%、ガラス繊維GF1.2(平均長さ4mm、平均直径13μm)を30重量%、接着促進剤AP1.5(無水マレイン酸で高度に官能化されたポリプロピレン)を1重量%、顔料CB(PlasblakPE6121、Cabotから市販されている)を0.70重量%、酸化防止剤AO1(Irganox1010FF)を0.25重量%、酸化防止剤AO2(ARENOXDS)を0.40重量%、及び、AO3(IRGAFOS168FF)を0.10重量%含むポリオレフィン組成物。」(以下、「甲2-1発明A」という。) (2)対比・判断 ア 本件発明1 (ア)本件発明1と甲2-1発明Aとを対比する。 甲2-1発明Aの「リサイクル材料のブレンド(A)であるDIPOLEN PP-70」は、甲2-8によれば、Polypropyleneである使用済みリサイクル材料であり、また、甲2-1の第4頁第11行~第16行には、「使用済み廃棄物とは、少なくとも第1の使用サイクル(またはライフサイクル)を完了した、すなわち、第1の目的を既に果たし、消費者の手を通った物を指」すことが記載されているから、市場で使用されたものであるといえるので、本件発明1の「成分(A):プロピレン系重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクルプロピレン組成物」に相当する。 甲2-1発明Aの「バージンポリマーであるプロピレンホモポリマー(8g/10分のMFR2(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)を有するPPH-1)」は、甲2-1にバイオ由来であることが記載されていないから、本件発明1の「成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)」に相当する。 そして、甲2-1発明Aは、「バージンポリマーであるプロピレンホモポリマー(8g/10分のMFR2(230℃、2.16kg、ISO1133に従って測定)を有するPPH-1)を33.4重量%」含むから、本件発明1と同じく、「前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下であ」るといえる。 そうすると、本件発明1と甲2-1発明Aとは、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 <一致点> 「成分(A):プロピレン系重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)と、 を含有し、 前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下である、プロピレン樹脂組成物。」 <相違点2-1-1> 本件発明1は、「成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクルプロピレン組成物」を含有するのに対し、甲2-1発明Aには、そのような特定がない点 <相違点2-1-2> 本件発明1は、「前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であ」るのに対し、甲2-1発明Aは、そのような特定がない点 <相違点2-1-3> 本件発明1は、「成分(A)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する」のに対し、甲2-1発明Aは、そのような特定がない点 (イ)相違点の検討 a 新規性について そこで、上記<相違点2-1-1>について検討する。 甲2-1発明Aは、工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物を含まないから、上記<相違点2-1-1>は実質的な相違点である。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-1に記載された発明ではない。 b 進歩性について 事案に鑑み、上記<相違点2-1-1>及び上記<相違点2-1-2>を併せて検討する。 甲2-1には、リサイクル材料のブレンド(A)について、「使用済み廃棄物および/または産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収された」ものであること(請求項1等)、また、「産業廃棄物とは、通常、消費者に届かない製造スクラップを指す」こと(第4頁第11行~第16行)は記載されている。しかしながら、甲2-1には、リサイクル材料のブレンド(A)の含有量について、「15~40重量%(ポリマー組成物の総重量に基づく)」(請求項1等)との記載はあるものの、リサイクル材料のブレンド(A)における使用済み廃棄物と産業廃棄物の割合までは記載されていない。また、課題については、「廃プラスチック材料から回収されたポリオレフィン材料を含む、改善された剛性-衝撃強度バランスを有するポリオレフィン組成物を提供すること」(第3頁第4行~第6行)が記載されているにとどまり、臭気を低減させることは記載されていない。 そうすると、甲2-1に記載された事項を考慮しても、甲2-1発明Aにおいて、使用済みリサイクル材料であるDIPOLEN PP-70、及び、通常、消費者に届かない製造スクラップである産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収されたもの(本件発明1の「成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクルプロピレン組成物」に相当)を併用することの示唆はあるものの、臭気を低減させるために所定の配合割合に調節する動機付けはない。また、甲2-3、甲2-4にも、臭気を低減させるために市場で回収されたリサイクルポリプロピレンと工程内で回収されたリサイクルポリプロピレンを併用することや所定の配合割合に調節することは記載されていないし、そのような周知技術も確認できない。 そうすると、甲2-1発明Aにおいて、<相違点2-1-1>及び<相違点2-1-2>に係る事項とすることは当業者が容易に想到したものではない。 また、本件発明1の効果については、上記1(2)ア(イ)bのとおりである。 一方、本件発明1のこのような効果は、甲2-1、甲2-3及び甲2-4に記載されておらず、また、周知の事項であるともいえないから、当業者が予測し得るものではない。 (ウ)小括 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-1に記載された発明ではなく、また、甲2-1に記載された発明及び甲2-1、甲2-3、甲2-4の記載又は周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~11 本件発明2~11は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであって、本件発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件発明1と同様の理由で、本件発明2~5、8~11は、甲2-1に記載された発明ではなく、また、本件発明2~11は、甲2-1に記載された発明及び甲2-1、甲2-3、甲2-4の記載又は周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立人の主張について 申立人2は、意見書において、「甲2-1発明Aにおいて、使用済みリサイクル材料であるDIPOLEN PP-70、及び、通常、消費者に届かない製造スクラップである産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収されたもの(本件発明1の「成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物」に相当)を併用することは、当業者が容易になし得たことである。」(第8頁第15行~第19行)、「甲2-1の記載から、本件発明1において「プロピレン樹脂組成物中の成分(A)および成分(B)の含有量を5質量%以上50質量%以下と調整すること」は、当業者が適宜なし得た事項である。」(第9頁第8行~第10行)、「成分(A)および成分(B)の含有量を5質量%以上50質量%以下とし、成分(C)の含有量を15質量%以上70質量%以下とした本件発明1は、甲2-1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。また、それによって当業者が予測し得ない顕著な効果を奏したとはいえない。」(第9頁下から第16行~下から第13行)と主張している。 しかしながら、上記(2)ア(イ)において説示したように、臭気を低減させるために、使用済みリサイクル材料であるDIPOLEN PP-70、及び、通常、消費者に届かない製造スクラップである産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収されたものを併用し、所定の配合割合に調節する動機付けはなく、また、効果も当業者が予測し得るものではない。 したがって、申立人2の上記主張は首肯することはできない。 (4)取消理由2(甲2-1を主引用文献とする進歩性)及び申立理由2-4(甲2-1を主引用文献とする新規性・進歩性)についてのまとめ したがって、本件特許発明1~5、8~11は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、本件発明1~11は、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえないから、本件特許の請求項1~11に係る特許は、取消理由2及び申立理由2-1によっては取り消すことはできない。 3 取消理由3(甲2-2を主引用文献とする進歩性)及び申立理由2-5(甲2-2を主引用文献とする新規性・進歩性) 取消理由3及び申立理由2-5は、いずれも甲2-2を主引用文献とするものであるから、併せて検討する。 (1)証拠方法に記載された事項等 ア 甲2-2に記載された事項 甲2-2には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 a)30~70wt%のポリプロピレン(A1)と70~30wt%のポリエチレン(A2)とを含む10~50wt%のポリマーブレンド(A)と、 b)50g/10min以上のISO1133に従って測定したメルトフローレートMFR2(230℃)を有する47~90wt%のポリプロピレン(B)と、 c)ポリプロピレンである55~90wt%のマトリクス(C1)と、-25℃未満のISO 6721-7に従って測定したガラス転移温度Tgおよび少なくとも3.0dl/gの135℃にてDIN ISO 1628/1に従って測定した固有粘度を有する、エチレンとプロピレンまたはC4~C10アルファオレフィンとのコポリマーである45~10wt%のエラストマー(C2)とを含む異相ポリオレフィン組成物である3~25wt%の相溶剤(C)とを含むポリマー組成物であって、25g/10min超のISO1133に従って測定したメルトフローレートMFR2(230℃)を有する、ポリマー組成物。 ・・・ 【請求項4】 前記ポリマーブレンド(A)が、使用済み廃棄物および/または産業廃棄物から生じる廃プラスチック材料から回収されるリサイクル材料である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。」 「【0049】 「廃棄物」という用語は、バージンポリマーとは対照的に、製造物品への処理の少なくとも1回のサイクルから生じるポリマー材料を指定するために使用される。・・・」 「【実施例】 【0100】 1.測定方法 ・・・ 【0101】 シャルピーノッチ付き衝撃強度は、ENISO 1873-2に従って射出成形した80×10×4mm3の試験棒を使用して23℃にてISO 179 1eAに従って決定した。 【0102】 引張係数は、ENISO 1873-2に記載される射出成形試料(イヌの骨の形状、4mm厚)を使用してISO 527-2(クロスヘッド速度=50mm/min;23℃)に従って決定した。 【0103】 荷重たわみ温度(HDT)は、ENISO 1873-2に従って射出成形した80×10×4mm3の試験棒を使用して0.45MPaの荷重でISO 75Bに従って決定した。 ・・・ 【0110】 2.実施例 使用した材料 ポリマーブレンド(A) Dipolen Sは、mtm plasticsGmbH、Niedergebra、ドイツから得たポリエチレンおよびポリプロピレンを含むリサイクルポリマー混合物であり、DSC分析によって決定して40wt%のポリエチレン含有量を有する。DSCによって決定した融点は162℃(PP)および128℃(PE)であった。 【0111】 ポリプロピレン(B) PP1:ポリプロピレン(PP1)は、BorealisAGから市販されている異相ポリプロピレンコポリマーBJ998MOである。 PP2:ポリプロピレン(PP2)は、BorealisAGから市販されている異相ポリプロピレンコポリマーBJ400HPである。 PP3:ポリプロピレン(PP3)は、BorealisAGから市販されている異相ポリプロピレンコポリマーBJ368MOである。 PP1~PP3の特徴を表1にまとめる。 【0112】 【表1】 [図:0001427963000003.jpg] 【0113】 相溶剤(C) 異相コポリマーHECO-1: HECO-1は、半重合リアクタ、1つのスラリーループリアクタおよび1つの気相リアクタを備えるBorstarPPパイロットプラントにおいて生成した。 【0114】 HECO-1を調製するために使用した触媒は以下のように生成した:最初に、0.1molのMgCl2×3EtOHを、大気圧にてリアクタにおいて250mlのデカン中の不活性条件下で懸濁した。溶液を-15℃の温度に冷却し、温度を前記レベルに維持しながら300mlの冷TiCl4を加えた。次いで、スラリーの温度を20℃にゆっくり増加させた。この温度にて、0.02molのフタル酸ジオクチル(DOP)をスラリーに加えた。フタル酸塩の添加後、温度を90分の間135℃に上昇させ、スラリーを60分間静置させた。次いで、さらに300mlのTiCl4を加え、温度を135℃にて120分間維持した。この後、触媒を液体から濾過し、300mlのヘプタンで80℃にて6回洗浄した。次いで、固体触媒成分を濾過し、乾燥させた。(Ti含有量:1.9wt%およびMg含有量:22.0wt%)。触媒およびその調製概念は一般に例えば特許文献である欧州特許第491566号、欧州特許第591224号および欧州特許第586390号に記載されている。触媒は、外部ドナー(ED)としてジシクロペンチルジメトキシシラン[Si(OCH3)2(シクロペンチル)2]ならびに表2に示した割合で活性化剤および捕捉剤としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と組み合わせて使用した。触媒系の存在下でビニル化合物を重合することによって触媒を修飾した。それぞれのプロセスは欧州特許第1028984号および欧州特許第1183307号に記載されている。特定の反応パラメーターを表2に見ることができる。 【0115】 【表2】 [図:0001427963000004.jpg] 【0116】 ポリマーブレンド(A)、ポリプロピレン(B)および相溶剤(C)のポリマー組成物を、25のL/D比で混合スクリュー構造を備えたCoperionZSK 25共回転二軸押出機で調製した。200~220℃の融解温度を混合の間に使用し、水浴中で融解ストランドを凝固させ、続いてストランドをペレット化した。十分な比較の理由のために、ここでCE5は、非常に高い剛性、良好な流動性および良好な衝撃強度の認められている十分な組み合わせを有する、BorealisAGから市販されているBH345MOであることを示す。それは45g/10minのMFRおよび0.905g/cm3の密度を有する。本発明の実施例および比較例の異なる成分の量および機械的特性を表3に見ることができる。 【0117】 【表3】 [図:0001427963000005.jpg] 」 イ 甲2-2に記載された発明 甲2-2の実施例におけるIE1に着目して、【0110】のDipolen Sに関する記載、【0111】のPP1に関する記載、及び、【0113】のHECO-1に関する記載とあわせて整理すると、甲2-2には、以下の発明が記載されていると認められる。 「ポリマーブレンド(A)としてポリエチレンおよびポリプロピレンを含むリサイクルポリマー混合物であるDipolen Sを30wt%、ポリプロピレン(B)としてBorealisAGから市販されている異相ポリプロピレンコポリマーBJ998MOであるポリプロピレン(PP1)を65wt%、及び、相溶剤(C)である異相コポリマーHECO-1を5wt%含むポリマー組成物。」(以下、「甲2-2発明A」という。) (2)対比・判断 ア 本件発明1 (ア)本件発明1と甲2-2発明Aとを対比する。 甲2-2発明Aの「Dipolen S」は、甲2-9によれば、使用済みリサイクル材料であり、また、甲2-1の第4頁第11行~第16行によれば、「使用済み廃棄物とは、少なくとも第1の使用サイクル(またはライフサイクル)を完了した、すなわち、第1の目的を既に果たし、消費者の手を通った物を指」すことから、市場で使用されたものであるといえるので、本件発明1の「成分(A):プロピレン系重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクルプロピレン組成物」に相当する。 甲2-2発明Aの「ポリプロピレン(B)であるBorealisAGから市販されている異相ポリプロピレンコポリマーBJ998MOであるポリプロピレン(PP1)」について、甲2-2に「「廃棄物」という用語は、バージンポリマーとは対照的に、製造物品への処理の少なくとも1回のサイクルから生じるポリマー材料を指定するために使用される。」という記載があるところ(【0049】)、甲2-2に当該成分が「廃棄物」であることは記載されていないので、「バージンポリマー」であるといえ、また、バイオ由来であることも記載されていないから、本件発明1の「成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)」に相当する。 また、甲2-2発明Aの「相溶剤(C)である異相コポリマーHECO-1」について、「相溶剤(C)」は、請求項1によれば、ポリプロピレンである55~90wt%のマトリクス(C1)を含むから、プロピレン系重合体であるといえ、また、上記と同様、甲2-2に当該成分が「廃棄物」であることは記載されていないので、「バージンポリマー」であるといえ、さらに、バイオ由来であることも記載されていないから、本件発明1の「成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)」に相当する。 そして、甲2-2発明Aは、「ポリプロピレン(B)であるBorealisAGから市販されている異相ポリプロピレンコポリマーBJ998MOであるポリプロピレン(PP1)を65wt%、及び、相溶剤(C)である異相コポリマーHECO-1を5wt%」含むから、本件発明1と同じく、「前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下であ」るといえる。 そうすると、本件発明1と甲2-2発明Aとは、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 <一致点> 「成分(A):プロピレン系重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)と、 を含有し、 前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下である、プロピレン樹脂組成物。」 <相違点2-2-1> 本件発明1は、「成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクルプロピレン組成物」を含有するのに対し、甲2-2発明Aには、そのような特定がない点 <相違点2-2-2> 本件発明1は、「前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であ」るのに対し、甲2-2発明Aは、そのような特定がない点 <相違点2-2-3> 本件発明1は、「成分(A)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する」のに対し、甲2-2発明Aは、そのような特定がない点 (イ)相違点の検討 a 新規性について そこで、上記<相違点2-2-1>について検討する。 甲2-2発明Aは、工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物を含まないから、上記<相違点2-2-1>は実質的な相違点である。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-2に記載された発明ではない。 b 進歩性について 事案に鑑み、上記<相違点2-2-1>及び上記<相違点2-2-2>を併せて検討する。 甲2-2には、「ポリマーブレンド(A)が、使用済み廃棄物および/または産業廃棄物から生じる廃プラスチック材料から回収されるリサイクル材料である」ことは記載されており(請求項4等)、また、甲2-1によれば、「産業廃棄物とは、通常、消費者に届かない製造スクラップを指す」とされている(第4頁第11行~第16行)。しかしながら、甲2-2には、ポリマーブレンド(A)の含有量について、「10~50wt%」との記載はあるものの、ポリマーブレンド(A)における使用済み廃棄物と産業廃棄物の割合までは記載されていない。また、課題については、「良好な流動性および処理可能性を同時に示しながら、高い剛性ならびに高い衝撃強度および荷重たわみ温度を示すPP/PEブレンドを得ること」(【0012】)が記載されているにとどまり、臭気を低減させることは記載されていない。 そうすると、甲2-2に記載された事項を考慮しても、甲2-2発明Aにおいて、使用済みリサイクル材料であるDipolen S、及び、通常、消費者に届かない製造スクラップである産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収されたもの(本件発明1の「成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物」に相当)を併用することの示唆はあるものの、臭気を低減させるために所定の配合割合に調節する動機付けはない。また、甲2-3、甲2-4にも、臭気を低減させるために市場で回収されたリサイクルポリプロピレンと工程内で回収されたリサイクルポリプロピレンを併用することや所定の配合割合に調節することは記載されていないし、そのような周知技術も確認できない。 そうすると、甲2-2発明Aにおいて、<相違点2-2-1>及び<相違点2-2-2>に係る事項とすることは当業者が容易に想到したものではない。 また、本件発明1の効果については、上記1(2)ア(イ)bのとおりである。 一方、本件発明1のこのような効果は、甲2-2、甲2-3及び甲2-4に記載されておらず、また、周知の事項であるともいえないから、当業者が予測し得るものではない。 (ウ)小括 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-2に記載された発明ではなく、また、甲2-2に記載された発明及び甲2-2、甲2-3、甲2-4の記載又は周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~11 本件発明2~11は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであって、本件発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件発明1と同様の理由で、本件発明4、7~11は、甲2-2に記載された発明ではなく、また、本件発明2~11は、甲2-2に記載された発明及び甲2-2、甲2-3、甲2-4の記載又は周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立人の主張について 申立人2は、意見書において、「甲2-2発明Aにおいて、使用済みリサイクル材料であるDipolen S、及び、通常、消費者に届かない製造スクラップである産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収されたもの(本件発明1の「成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物」に相当)を併用することは、当業者が容易になし得たことである。また、リサイクル品が臭気を有することは周知であるから・・・、バージン品と混合することにより臭気が低減されることは当業者が予測し得るものであって、本件発明1の効果は、格別顕著なものとはいえない。」(第10頁第15行~第23行)、「甲2-2の請求項1などの記載から、甲2-2にはポリマーブレンド(A)を10~50wt%含むことも記載されているといえ、当業者であれば、使用済み廃棄物及び産業廃棄物を併用するにあたっても10~50wt%の範囲で調節することは、甲2-2の記載から容易に想到し得る。」(第11頁第22行~第25行)と主張している。 しかしながら、上記(2)ア(イ)において説示したように、臭気を低減させるために、使用済みリサイクル材料であるDipolen S、及び、通常、消費者に届かない製造スクラップである産業廃棄物に由来する廃プラスチック材料から回収されたものを併用し、所定の配合割合に調節する動機付けはなく、また、効果も当業者が予測し得るものではない。 したがって、申立人2の上記主張は首肯することはできない。 (4)取消理由3(甲2-2を主引用文献とする進歩性)及び申立理由2-5(甲2-2を主引用文献とする新規性・進歩性)についてのまとめ したがって、本件発明1、4、7~11は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、本件発明1~11は、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえないから、本件特許の請求項1~11に係る特許は、取消理由3及び申立理由2-5によっては取り消すことはできない。 4 取消理由4(明確性)、申立理由1-1(明確性)及び申立理由2-3(明確性) (1)取消理由4について ア 取消理由4は、概要、以下の点により、本件訂正前の請求項1~11に係る発明が明確でないというものである。 (ア)成分(A)を含む成形体を製造する工程内で発生したプロピレン系重合体を回収した場合、成分(A)を含むため市場から回収されたともいえるから成分(A)に該当するし、工程内で回収されているから成分(B)にも該当するから、成分(A)と成分(B)とは区別ができていない。 (イ)本件訂正前の明細書の【0023】と【0151】を参酌すると、成分(B)が、加熱成形された後の原料のみを原料とするものであるのか、それとも、加熱成形前の原料と加熱成形された後の原料とを原料とするものであるのかが不明である。 (ウ)本件訂正前の明細書の【0023】に記載された「ポリプロピレンの成形体を製造する工程内で発生した、成形体を得るためのプロピレン材料」が具体的にどのようなものであるのかを理解することができず、当該材料を原料とするとされる成分(B)が具体的にどのようなものであるのかも理解することができない。 (エ)請求項4には、「プロピレン単独重合体を含む」と記載され、請求項5には、「ヘテロファジックプロピレン重合材料を含む」と記載され、請求項7には、「エチレン-α-オレフィン共重合体を含む」と記載されているが、これらが、請求項1の「成分(A)」、「成分(B)」、「成分(C)」として含まれるのか、それとも、「成分(A)」、「成分(B)」、「成分(C)」とは別の成分であるのかが不明である。 (オ)成分(A)の含有量、成分(B)の含有量、成分(C)の含有量は、含有量であるからいずれも正の数となり、負の数にはならないから、請求項10の「成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量」という記載において、分子の数<分母の数となるので、「質量比(成分(A)および成分(B)の合計含有量/成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計含有量)が、15以上70以下」という関係になることはない。 この理由は、申立理由1-1と同様の理由である。 イ 判断 (ア)本件訂正により、「成分(A)」における「市場」や「成分(B)」における「工程内」が、「最終的な回収場所を意味する」ことが特定された。これにより、「成分(A)」と「成分(B)」は回収場所が異なることが明らかになり、両成分は回収場所によって区別されている。したがって、上記ア(ア)の、成分(A)と成分(B)とは区別ができていないという理由は解消した。 (イ)、(ウ)また、本件訂正により、明細書の【0023】において、「工程内で回収されたリサイクルプロピレン組成物は、ポリプロピレンの成形体を製造する工程内で発生した、加熱成形して得られた成形体を原料とする。」とされ、【0023】と【0151】の記載の不整合による明確性の理由は解消した。 (エ)さらに、本件訂正により、本件発明4の「プロピレン単独重合体」と本件発明5の「ヘテロファジックプロピレン重合材料」が「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」からなる群より選択される少なくとも一種として含まれることを明らかになった。また、本件発明7の「エチレン-α-オレフィン共重合体」については、本件明細書の【0103】、【0142】に、成分(A)および/または成分(B)に含まれていてもよいし、他の成分として含まれていてもよいことが記載されている。そうすると、上記ア(エ)の理由は解消した。 (オ)また、本件訂正により、「15以上70以下」が「0.15以上0.70以下」とされた。したがって、上記ア(オ)の理由は解消した。 (2)申立人の主張について ア 主張 (ア)申立人1は、意見書において、「「最終的な回収場所を意味する」との記載によって、成分(A)と成分(B)のどのような特徴が明瞭化されたのかも、理解することができません。」(第7頁第10行~第12行)と主張している。 また、申立人2は、意見書において、「本件発明1において最終的な回収場所であることを特定したとしても、「成分(A)を含む成形体を製造する工程内で発生したプロピレン系重合体を回収した場合、成分(A)を含むため市場から回収されたともいえるから成分(A)に該当するし、工程内で回収されているから成分(B)にも該当する」ということには変わりなく、成分(A)と成分(B)とは区別されていない。」(第3頁第6行~第10行)と主張している。 (イ)申立人2は、申立書2において、申立理由2-3として取消理由4以外の理由も挙げ、以下のように主張している。 a 「本件請求項1に記載の構成から「臭気を低減する」という効果が得られるメカニズムについて本願発明の詳細な説明には記載がなく、出願時の技術常識を考慮しても、当業者であっても本件発明の詳細な説明の実施例に記載された以外のあらゆる態様であっても上記「臭気を低減する」という効果が得られるかが理解できない。」(申立書2第21頁下から第6行~最終行) b 「本件発明には本件発明の効果が得られないものが含まれているから、本件発明の外延が確定できず、本件発明に包含される発明の範囲は不明確である。」(申立書2第29頁下から第14行~下から第12行) イ 検討 (ア)上記ア(ア)については、上記(1)イにおいて説示したとおり、本件訂正により「成分(A)」と「成分(B)」は回収場所が異なることが明らかになり、両成分は回収場所によって区別されている。 したがって、申立人1、2の上記主張は首肯することはできない。 (イ)上記ア(イ)について、明確性要件の判断基準は、「特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきものである。」というものであって、申立人が主張するような、本件発明の効果やそれが得られるメカニズムは、上記判断基準と何ら関係するものではない。 したがって、申立人2の上記主張は首肯できない。 (3)取消理由4(明確性)、申立理由1-1(明確性)及び申立理由2-3(明確性)についてのまとめ したがって、本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、取消理由4、申立理由1-1及び申立理由2-3によっては取り消すことはできない。 5 取消理由5(サポート要件)及び申立理由2-2(サポート要件) (1)サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(平成26年(行ケ)第10176号参照)。 そこで、本件発明が、サポート要件に適合するか、上記判断基準に沿って以下検討する。 (2)本件発明の課題 本件明細書の【0007】からみて、本件発明の課題は、「ポリプロピレンを再利用しつつも、臭気が比較的低減された成形体を得ることが可能なプロピレン樹脂組成物、および、該プロピレン樹脂組成物を含む成形体を提供すること」であると認められる。 (3)検討 本件発明1は、「成分(A):プロピレン系重合体を含む市場(最終的な回収場所を意味する)から回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(B):プロピレン系重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクルプロピレン組成物と、 成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)と、を含有し、 前記成分(A)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、 前記成分(B)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であり、 前記成分(C)の含有量が、プロピレン樹脂組成物の全質量100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下であり、 前記成分(A)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する、プロピレン樹脂組成物。」である。 一方、本件明細書の発明の詳細な説明の記載を見てみると、【0151】に「成分(A)は、市場から回収されたものであるから、紫外線、酸化等によって分子量が低下する等の劣化を受けている。また、成分(B)は、工程内で回収されたものであるから、一度加熱成形されている。そのため、成分(A)~(C)には、それぞれ異なる特有の臭気がある。本実施形態に係るプロピレン樹脂組成物は、リサイクルプロピレン組成物として成分(A)および成分(B)を併用し、さらに成分(C)を含有することにより、それぞれの臭気が打ち消し合ったり薄め合ったりして、臭気が比較的低減された成形体を得ることができる。」と記載されている。 次いで、本件明細書の発明の詳細な説明の【実施例】を見てみると、「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」を含む実施例1~7は、それらのうちいずれか1成分又は2成分を含まない点においてのみ異なる比較例1~5よりも臭気点数が小さく、臭気が低減され、本件発明の課題を解決していることが理解できる。 そうすると、本件明細書には、本件発明1が、「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」を含有することにより、上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。 (4)申立人の主張について ア 主張 (ア)申立人2は、意見書において、「臭気にかかる評価として、本件特許明細書において実施された官能試験は妥当性を有していない。」(第4頁第21行~第22行)、「当業者であっても、本件発明1に係る成分がどのようなものであっても臭気を低減することができると認識することはできない。」(第4頁下から第9行~下から第8行)等と主張している。 (イ)申立人2は、申立書2において、申立理由2-2として以下のように主張している。 a 「本件請求項1に含まれるすべての発明が「プロピレン樹脂組成物より得られた成形体の臭気が低減される」という、本件発明の課題を解決することができるとはいえない」(申立書2第20頁第12行~第14行) b 「本件請求項6に規定されている「各成分におけるプロピレン系重合体は、アイソタクチックペンタッド分率が0.961以上である」という要件をさらに満たすことによりプロピレン樹脂組成物より得られた成形体の「臭気が低減される」という本件発明の課題が解決されることは当業者であっても、到底認識することができない。」(申立書2第22頁最終行~第23頁第4行) c 「成分(B)は、加熱成形された後の原料のみであるのか、または、加熱成形前の原料であるのか、またはその両方を指しているのかが不明瞭である。よって、本件請求項1及び発明の詳細な説明に記載された用語が不統一であり、本件請求項1に係る発明は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている。」(申立書2第26頁第6行~第10行) d 所定の検定手法を示した上で、「本件請求項1の構成要件を全て充足する実施例1~実施例7に係る本件発明が、このような構成要件のうち少なくとも一部を充足しない比較例1~比較例5に対して有意に臭気が低減された成形体が得られているとはいえない。そうすると、本件発明には本件発明の効果である「臭気が低減された成形体が得られる」という効果を奏さないものが含まれているといえ、本件発明は本件特許明細書に記載の範囲を超えるものである。」(申立書2第27頁第2行~第29頁下から第15行) イ 検討 (ア)上記ア(ア)及びア(イ)aについて検討する。 本件明細書の【実施例】において、実施例1~7と比較例1~5とを比較すると、実施例1~7の臭気点数の平均は2.8~3.1であり、比較例1~5の臭気点数の平均である3.3~3.9よりも小さいことが示されているから、実施例は比較例よりも臭気が低減されていることが理解できる試験結果となっている。 また、本件発明1は、「前記成分(A)は、少なくとも一部が自動車用部品から回収された材料に由来する」ことも特定しているところ、「成分(A)」は、自動車用部品として市場で使用されたことによる特有の臭気を有するものと解される。さらに、本件発明1は、「成分(B)」について、「プロピレン系重合体を含む工程内(最終的な回収場所を意味する)で回収されたリサイクルプロピレン組成物」と特定しており、工程内で回収されたものであるから、自動車用部品として市場で使用されたものとは異なる臭気を有すると解される。また、本件発明1は、「成分(C):バージンプロピレン系重合体(ただし、バイオポリプロピレンを除く)」とも特定しているが、バージンプロピレン系重合体であるから、市場において劣化を受けている「成分(A)」とも、加熱成形されている「成分(B)」とも、異なる臭気を有するといえる。したがって、それらの異なる臭気が互いに打ち消し合ったり薄め合ったりすることは理解できるから、本件発明1の「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」であれば、臭気を低減することができると認識することができる。 また、申立人2は、本件発明1の「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」を用いた場合であっても、臭気を低減するという本願発明の課題を解決することができないことを具体的証拠を示して立証していない。 (イ)上記ア(イ)bについて、上記(3)のとおり、「成分(A)」、「成分(B)」及び「成分(C)」を含有することにより課題が解決され、さらなる特定は課題解決に必須ではない。また、申立人2は、「アイソタクチックペンタッド分率が0.961以上である」という要件を満たさないことで、課題解決できない具体的な根拠を示していない。 (ウ)また、上記ア(イ)cについては、本件訂正により、「成分(B)」が加熱成形して得られた成形体を原料とすることが明らかになった。 (エ)さらに、上記ア(イ)dについては、本件明細書の実施例1~7と比較例1~5において、臭気点数の大小関係、差が示されているのは明らかであるし、また、申立書2に記載された上記所定の検定手法により評価しなければならないものでもない。 したがって、申立人2の上記主張は首肯できない。 (5)取消理由5(サポート要件)及び申立理由2-2(サポート要件)についてのまとめ したがって、本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、取消理由5及び申立理由2-2によっては取り消すことはできない。 6 申立理由2-1(実施可能要件) (1)申立理由2-1の具体的理由及び判断 申立人2は、申立書2において、「本件発明の構成を採用することによって「臭気を低減する」という効果が得られるかは当業者であっても理解することができず、本件発明を実施することが可能であるとはいえない。」(申立書2第19頁第3行~第5行)、「特定のアイソタクチックペンタッド分率を満たすリサイクルプロピレンを含む組成物を選択するためには、当業者が期待し得る程度を超える試行錯誤が必要であるといえる。」(申立書2第23頁下から第7行~第4行)と主張している。 しかしながら、本件明細書の【実施例】において、本件発明1のプロピレン樹脂組成物が製造され、実施例は比較例よりも臭気が低減されていることが示されている。また、「アイソタクチックペンタッド分率」は、ポリプロピレンの指標としてはよく知られたものであり、本件明細書の【0040】にも記載されているとおり、所定の範囲に調整できるものであり、また、所望のアイソタクチックペンタッド分率を有するプロピレン系重合体を入手することも可能である。 したがって、申立人2が主張する理由を首肯することができない。 (2)申立理由2-1(実施可能要件)についてのまとめ したがって、本件特許の請求項1~11に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、申立理由2-1によっては取り消すことはできない。 第6 むすび 上記第5のとおり、本件特許の請求項1~11に係る特許は、当審において通知した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700931

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決495件(伊藤 千代子、住友化学株式会社、山川 隆久)
  • 2025-700048異議申立 / 2025-09-25 / 維持プロピレン樹脂組成物及び成形体
    同じ当事者: 伊藤 千代子、住友化学株式会社
  • 2025-700757異議申立 / 2026-05-22 / 訂正認容窒化アルミニウム粉末及びその改質方法並びに高分子成形体
    同じ当事者: 山川 隆久
  • 2024-701215異議申立 / 2026-03-10 / 請求成立(取消)組成物、重合体、硬化物、成形体及びポリメタクリル酸メチルの製造方法
    同じ当事者: 住友化学株式会社
  • 2024-700692異議申立 / 2026-01-30 / 訂正認容炭素繊維含有ポリプロピレン組成物
    同じ当事者: 住友化学株式会社
  • 2025-700453異議申立 / 2026-01-06 / 訂正認容組成物、重合体、硬化物、成形体及びポリメタクリル酸メチルの製造方法
    同じ当事者: 住友化学株式会社
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,534件(113・C08L、121・C08L、536・C08L ほか)
  • 2025-700469異議申立 / 2026-04-27 / 訂正認容樹脂組成物及び電子部品装置
    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、536・C08L、537・C08L
  • 2025-700738異議申立 / 2026-03-12 / 訂正認容ペースト状シリコーン組成物、その製造方法及び化粧料
    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、536・C08L、537・C08L
  • 2025-700135異議申立 / 2025-12-05 / 訂正認容新規樹脂組成物およびその製造方法
    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、536・C08L、537・C08L
  • 2025-700281異議申立 / 2025-12-01 / 訂正認容樹脂組成物
    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、536・C08L、537・C08L
  • 2025-700329異議申立 / 2025-11-21 / 維持熱伝導性樹脂組成物、放熱構造体及び熱伝導性樹脂組成物の製造方法
    共通の審決分類: 113・C08L、121・C08L、536・C08L、537・C08L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存