審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2024-700624

電気セル用ポッティング化合物及び作製する方法

審判番号
2024-700624
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-060826
登録番号
7408866
請求日
2024年07月04日
審決日
2025年07月25日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】エイチ.ビー.フラー カンパニー
  • 【権利者代理人】村山 靖彦
  • 【権利者代理人】実広 信哉
  • 【権利者代理人】阿部 達彦
  • 【異議申立人】杉村 隆司
審判長/審判官
  • 審判長 高野 洋
  • 審判官 丸山 高政
  • 審判官 衣鳩 文彦
分類
P1651.113-YAA(H01M) / P1651.121-YAA(H01M) / P1651.537-YAA(H01M) / P1651.832-YAA(H01M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条、特許法第29条、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7408866号発明「電気セル用ポッティング化合物及び作製する方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7408866号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、〔9~17〕、〔18~20〕及び〔21、22〕について訂正することを認める。 特許第7408866号の請求項1~5及び8~22に係る特許を維持する。 特許第7408866号の請求項6及び7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7408866号(以下「本件特許」という。)の請求項1~22に係る特許についての出願は、2019年(平成31年)2月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年2月16日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願(特願2020-540393号)の一部を、令和5年4月4日に新たな特許出願としたものであって、令和5年12月22日にその特許権の設定登録がされ、令和6年1月5日に特許掲載公報が発行された。その後、その全請求項(請求項1~22)に係る特許に対し、令和6年7月4日に特許異議申立人 杉村 隆司(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 特許異議の申立て以後の手続の概略は、以下のとおりである。 令和 6年 7月 4日 特許異議申立書 9月18日付け 取消理由通知書 12月16日 訂正請求書 意見書(特許権者) 令和 7年 2月19日 意見書(申立人) 3月25日付け 取消理由通知書(決定の予告) 6月24日 訂正請求書 意見書(特許権者) 令和7年6月24日の訂正請求書(以下、単に「訂正請求書」という。)により訂正の請求がされたので、特許法120条の5第7項の規定により、令和6年12月16日の訂正請求書による訂正の請求は取り下げられたものとみなす。 本件訂正後の特許請求の範囲の内容は、実質的に、令和6年12月16日の訂正請求書により訂正されたものに含まれており、これについて申立人は意見書を既に提出しているので、本件訂正後のものについて申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる。よって、特許法120条の5第5項ただし書に規定する特別の事情があると認められるから、訂正請求書による訂正の請求後に申立人に意見書を提出する機会を与えていない。 以下では、特許異議申立書を単に「申立書」といい、令和7年2月19日の意見書を「申立人意見書」といい、同年3月25日付け取消理由通知書(決定の予告)を「決定の予告」といい、訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。 第2 本件訂正について 本件訂正前の特許請求の範囲(以下の1(5))の各請求項間の引用関係によれば、請求項1~8(以下、これらの請求項を「第1群」という。)は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項をなし、請求項9~17(以下「第2群」という。)は、別の一群の請求項をなし、請求項18~20(以下「第3群」という。)は、さらに別の一群の請求項をなし、請求項21及び22(以下「第4群」という。)は、また別の一群の請求項をなすと認められる。 そして、訂正請求書によれば、本件訂正は、第1群~第4群の請求項毎に訂正を請求しているから、特許法120条の5第4項に規定する要件を満たすと認められる。 他方、本件の特許異議の申立ては、全請求項についてされているから、本件訂正に対しては、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する要件は適用されない。 以上を前提として、本件訂正の適法性について検討する。 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求の趣旨は、「特許第7408866号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~22について訂正することを求める。」(訂正請求書2頁)というものである。 本件訂正の内容は、以下の(1)~(4)のとおりであり、本件訂正前の特許請求の範囲の記載は、以下の(5)のとおりであり、本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、以下の(6)のとおりである。 (1)第1群(請求項1~8)に対する訂正事項 第1群に対する本件訂正の訂正事項は、以下の1-1~1-3のとおりである。 なお、本件訂正後の記載における下線は、訂正箇所を示すためのものであり、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に示されるとおりのものである(以下同様)。 〈訂正事項1-1〉 本件訂正前の請求項1に記載の 「ポッティング化合物中にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 液体難燃剤成分、 イソシアネート反応性化合物及び水を有する第1の成分、及び、 イソシアネート化合物を有する第2の成分、 の架橋混合物を含み、 前記ポッティング化合物がフォームである、バッテリモジュール。」 を 「ポッティング化合物中にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 液体難燃剤成分、 ポリオール及び水を有する第1の成分、及び、 イソシアネート化合物を有する第2の成分、 の混合物を含むポッティング組成物の硬化物であり、 前記ポッティング組成物中に、前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量で存在し、 前記ポッティング化合物がフォームである、バッテリモジュール。」 に訂正する。 〈訂正事項1-2〉 請求項6を削除する。 〈訂正事項1-3〉 請求項7を削除する。 (2)第2群(請求項9~17)に対する訂正事項 第2群に対する本件訂正の訂正事項は、以下の2-1~2-3のとおりである。 〈訂正事項2-1〉 本件訂正前の請求項9に記載の 「ポッティング化合物内にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 イソシアネート反応性化合物を有する第1の成分、イソシアネート化合物を有する第2の成分、及び、発泡剤の反応生成物、並びに、 前記ポッティング化合物の合計重量に基づいて、15重量%~60重量%の量で存在する液体難燃剤成分、 を含む、バッテリモジュール。」 を 「ポッティング化合物内にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 ポリオールを有する第1の成分、イソシアネート化合物を有する第2の成分、及び、発泡剤の反応生成物、並びに、 液体難燃剤成分 を含み、 前記液体難燃剤成分が、ポッティング化合物を形成するポッティング組成物中に、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、30重量%~60重量%の量で存在する、バッテリモジュール。」 に訂正する。 (当審注:訂正請求書に記載された訂正事項2-1の本件訂正後の記載における改行は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のものと一部異なるが、本件訂正の請求の趣旨に鑑み、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のものに訂正する意図と解し、この解釈に立って訂正事項2-1を上記のとおり認定した。) 〈訂正事項2-2〉 本件訂正前の請求項12に記載の 「前記イソシアネート反応性化合物が、3以上のイソシアネート反応性官能価を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。」 を 「前記ポリオールが、3以上のイソシアネート反応性官能価を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。」 に訂正する。 〈訂正事項2-3〉 本件訂正前の請求項14に記載の 「前記ポッティング化合物が、架橋触媒、成核剤、界面活性剤又は難燃性エンハンサ、及び、これらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項9に記載のバッテリモジュール。」 を 「前記ポッティング組成物が、架橋触媒、成核剤、界面活性剤又は難燃性エンハンサ、及び、これらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項9に記載のバッテリモジュール。」 に訂正する。 (3)第3群(請求項18~20)に対する訂正事項 第3群に対する本件訂正の訂正事項は、以下の3-1及び3-2のとおりである。 〈訂正事項3-1〉 本件訂正前の請求項18に記載の 「ポリウレタンフォームポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満の密度を有し、 前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、バッテリモジュール。」 を 「ポリウレタンフォームポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物であり、 前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満の密度を有し、 前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、バッテリモジュール。」 に訂正する。 〈訂正事項3-2〉 本件訂正前の請求項20に記載の 「前記ポッティング化合物が、前記ポッティング化合物の合計重量に基づいて、少なくとも15重量%の量の液体難燃剤成分を含む、請求項18に記載のバッテリモジュール。」 を 「前記ポッティング組成物が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量の液体難燃剤成分を含む、請求項18に記載のバッテリモジュール。」 に訂正する。 (4)第4群(請求項21及び22)に対する訂正事項 第4群に対する本件訂正の訂正事項は、以下の4のとおりである。 〈訂正事項4〉 本件訂正前の請求項21に記載の 「ポリウレタンフォームポッティング化合物、及び、 前記ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル を含むバッテリモジュールであって、 前記ポリウレタンフォームポッティング化合物が、前記ポッティング化合物の合計重量に基づいて、少なくとも15重量%の量の液体難燃剤成分を含む、バッテリモジュール。」 を 「ポリウレタンフォームポッティング化合物、及び、 前記ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル を含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物であり、 前記ポッティング組成物が、ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量の液体難燃剤成分を含む、バッテリモジュール。」 に訂正する。 (5)本件訂正前の特許請求の範囲 本件訂正前の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。 【請求項1】 ポッティング化合物中にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 液体難燃剤成分、 イソシアネート反応性化合物及び水を有する第1の成分、及び、 イソシアネート化合物を有する第2の成分、 の架橋混合物を含み、 前記ポッティング化合物がフォームである、バッテリモジュール。 【請求項2】 前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項3】 25℃~35℃の温度で、前記第1の成分が、1超~100,000cp未満の粘度を有し、前記第2の成分が、1超~50,000cp未満の粘度を有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項4】 25℃~35℃の温度で、前記第1の成分が、1超~1500cp未満の粘度を有し、前記第2の成分が、1超~1000cp未満の粘度を有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項5】 前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満のフォーム密度を有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項6】 前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング化合物の合計重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項7】 前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング化合物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量で存在する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項8】 複数の電気セルを含み、 各電気セルが、底部、頂部、及び、それらの間の画定された長さを有しており、 前記ポッティング化合物が実質的な水平高さを有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項9】 ポッティング化合物内にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 イソシアネート反応性化合物を有する第1の成分、イソシアネート化合物を有する第2の成分、及び、発泡剤の反応生成物、並びに、 前記ポッティング化合物の合計重量に基づいて、15重量%~60重量%の量で存在する液体難燃剤成分、 を含む、バッテリモジュール。 【請求項10】 前記液体難燃剤が、リン酸エステルを含む、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項11】 25℃~35℃の温度で、前記第1の成分が、1超~100,000cp未満の粘度を有し、前記第2の成分が、1超~50,000cp未満の粘度を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項12】 前記イソシアネート反応性化合物が、3以上のイソシアネート反応性官能価を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項13】 前記イソシアネート化合物が、2以上のイソシアネート官能価を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項14】 前記ポッティング化合物が、架橋触媒、成核剤、界面活性剤又は難燃性エンハンサ、及び、これらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項15】 前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項16】 前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満の密度を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項17】 複数の電気セルを含み、 各電気セルが、底部、頂部、及び、それらの間の画定された長さを有しており、 前記ポッティング化合物が実質的な水平高さを有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項18】 ポリウレタンフォームポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満の密度を有し、 前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、バッテリモジュール。 【請求項19】 複数の電気セルを含み、 各電気セルが、底部、頂部、及び、それらの間の画定された長さを有しており、 前記ポッティング化合物が実質的な水平高さを有する、請求項18に記載のバッテリモジュール。 【請求項20】 前記ポッティング化合物が、前記ポッティング化合物の合計重量に基づいて、少なくとも15重量%の量の液体難燃剤成分を含む、請求項18に記載のバッテリモジュール。 【請求項21】 ポリウレタンフォームポッティング化合物、及び、 前記ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル を含むバッテリモジュールであって、 前記ポリウレタンフォームポッティング化合物が、前記ポッティング化合物の合計重量に基づいて、少なくとも15重量%の量の液体難燃剤成分を含む、バッテリモジュール。 【請求項22】 複数の電気セルを含み、 各電気セルが、底部、頂部、及び、それらの間の画定された長さを有しており、 前記ポッティング化合物が実質的な水平高さを有する、請求項21に記載のバッテリモジュール。 (6)本件訂正後の特許請求の範囲 本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。下線は訂正箇所を示すために特許権者が付したものである。 【請求項1】 ポッティング化合物中にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 液体難燃剤成分、 ポリオール及び水を有する第1の成分、及び、 イソシアネート化合物を有する第2の成分、 の混合物を含むポッティング組成物の硬化物であり、 前記ポッティング組成物中に、前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量で存在し、 前記ポッティング化合物がフォームである、バッテリモジュール。 【請求項2】 前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項3】 25℃~35℃の温度で、前記第1の成分が、1超~100,000cp未満の粘度を有し、前記第2の成分が、1超~50,000cp未満の粘度を有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項4】 25℃~35℃の温度で、前記第1の成分が、1超~1500cp未満の粘度を有し、前記第2の成分が、1超~1000cp未満の粘度を有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項5】 前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満のフォーム密度を有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項6】(削除) 【請求項7】(削除) 【請求項8】 複数の電気セルを含み、 各電気セルが、底部、頂部、及び、それらの間の画定された長さを有しており、 前記ポッティング化合物が実質的な水平高さを有する、請求項1に記載のバッテリモジュール。 【請求項9】 ポッティング化合物内にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 ポリオールを有する第1の成分、イソシアネート化合物を有する第2の成分、及び、発泡剤の反応生成物、並びに、 液体難燃剤成分 を含み、 前記液体難燃剤成分が、ポッティング化合物を形成するポッティング組成物中に、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、30重量%~60重量%の量で存在する、バッテリモジュール。 【請求項10】 前記液体難燃剤が、リン酸エステルを含む、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項11】 25℃~35℃の温度で、前記第1の成分が、1超~100,000cp未満の粘度を有し、前記第2の成分が、1超~50,000cp未満の粘度を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項12】 前記ポリオールが、3以上のイソシアネート反応性官能価を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項13】 前記イソシアネート化合物が、2以上のイソシアネート官能価を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項14】 前記ポッティング組成物が、架橋触媒、成核剤、界面活性剤又は難燃性エンハンサ、及び、これらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項15】 前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項16】 前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満の密度を有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項17】 複数の電気セルを含み、 各電気セルが、底部、頂部、及び、それらの間の画定された長さを有しており、 前記ポッティング化合物が実質的な水平高さを有する、請求項9に記載のバッテリモジュール。 【請求項18】 ポリウレタンフォームポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物であり、 前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満の密度を有し、 前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、バッテリモジュール。 【請求項19】 複数の電気セルを含み、 各電気セルが、底部、頂部、及び、それらの間の画定された長さを有しており、 前記ポッティング化合物が実質的な水平高さを有する、請求項18に記載のバッテリモジュール。 【請求項20】 前記ポッティング組成物が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量の液体難燃剤成分を含む、請求項18に記載のバッテリモジュール。 【請求項21】 ポリウレタンフォームポッティング化合物、及び、 前記ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル を含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物であり、 前記ポッティング組成物が、ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量の液体難燃剤成分を含む、バッテリモジュール。 【請求項22】 複数の電気セルを含み、 各電気セルが、底部、頂部、及び、それらの間の画定された長さを有しており、 前記ポッティング化合物が実質的な水平高さを有する、請求項21に記載のバッテリモジュール。 2 訂正事項1-1について 第1群のうち請求項1の記載に対する訂正事項1-1に係る訂正について、その目的及び特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項の規定の適否について判断する。 (1)訂正事項1-1に係る訂正の目的 訂正事項1-1に係る訂正は、要するに、以下の(i)~(iii)からなる。 (i) 本件訂正前の「イソシアネート反応性化合物」を「ポリオール」に訂正する。 (ii) 本件訂正前の液体難燃剤成分、第1の成分及び第2の成分の「架橋混合物」という発明特定事項を、液体難燃剤成分、第1の成分及び第2の成分の「混合物を含むポッティング組成物の硬化物」に訂正する。 (iii) 「前記ポッティング組成物中に、前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量で存在」するとの限定を付加する。 前記(i)は、請求項1に係る発明を特定する「イソシアネート反応性化合物」を、「ポリオール」に限定するものである。 前記(ii)に関し、本件訂正前の液体難燃剤成分、第1の成分及び第2の成分の「架橋混合物」は、「ポッティング化合物」に含まれる成分であるところ、本件訂正後では、液体難燃剤成分、第1の成分及び第の成分の「混合物を含むポッティング組成物の硬化物」とされている。ここで、第1の成分に含まれる「イソシアネート反応性化合物」である「ポリオール」は、第2の成分に含まれる「イソシアネート化合物」と架橋反応して硬化することが技術常識であるから、本件訂正前の「架橋混合物」と本件訂正後の「混合物を含むポッティング組成物の硬化物」とは、「イソシアネート反応性化合物」が「ポリオール」に限定された点(前記(i))を除くと、表現を変えたものに過ぎず、その意味を変えていない。 前記(iii)は、請求項1に係る発明に対して新たな限定を付加するものである。 以上によれば、訂正事項1-1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とすると認められる。 (2)訂正事項1-1に係る訂正における新規事項追加の有無 前記(1)で触れたように、前記(ii)は表現を変えたに過ぎないから、前記(i)及び(iii)について検討する。 前記(i)の事項は、本件明細書の「イソシアネート反応性化合物は、ポリオールであり得る。」(【0023】)に記載された事項である。 前記(iii)の事項は、本件明細書の「ポッティング組成物の難燃剤成分の合計量は、ポッティング組成物の総重量に基づいて、…約30パーセントから、…約60パーセントの重量パーセントであるか、又は任意の一対の上記の値の間の重量パーセントである。」(【0043】)等に記載された事項である。 したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に規定する要件を満たす。 (3)訂正事項1-1に係る訂正における拡張・変更の有無 訂正事項1-1に係る訂正は、「イソシアネート反応性化合物」を「ポリオール」に限定し(前記(i))、さらに、ポッティング組成物中に含まれる液体難燃剤成分の量について「前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在」するとのに限定を付加し(前記(iii))、その余の点については表現を変えるのみでその意味を変えていない(前記(ii))から、特許請求の範囲を拡張も変更もしていない。 したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に規定する要件を満たす。 (4)訂正事項1-1に係る訂正についての小括 以上によれば、訂正事項1-1に係る訂正は、適法なものである。 3 訂正事項1-2及び1-3について 訂正事項1-2及び1-3に係る訂正は、それぞれ、請求項6及び7を削除する訂正であるから、明らかに、特許法120条の5第2項ただし書き1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とすると認められ、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たすことが明らかである。 よって、訂正事項1-2及び1-3に係る訂正は、適法なものである。 4 訂正事項2-1について 本件訂正の前後において、請求項9に係る発明が、 (i) 「ポッティング化合物内にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであ」ること (ii) 「前記ポッティング化合物」が「第1の成分」、「イソシアネート化合物を有する第2の成分」及び「発泡剤」の「反応生成物」と、「液体難燃剤成分」とを含むこと については、変更がない。 訂正事項2-1に係る訂正により変化するのは、以下の(iii)及び(iv)のみである。 (iii) 第1成分に含まれる「イソシアネート反応性化合物」が「ポリオール」に限定され (iv) 「液体難燃剤成分」の量が、「ポッティング化合物の合計重量に基づいて、15重量%~60重量%の量で存在する」とされていたのを、「ポッティング化合物を形成するポッティング組成物中に、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、30重量%~60重量%の量で存在する」とする。 (1)訂正事項2-1に係る訂正の目的 前記(iii)は、前記2(1)に示した(i)と同様であり、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とすると認められる。 前記(iv)は、本件明細書中に、液体難燃剤成分の量をポッティング化合物の合計重量に基づいて記載した箇所が存在せず、液体難燃剤成分の量はポッティング組成物の合計重量に対する重量%で記載されていることに鑑みれば、誤記を訂正することを目的とすると認められる。すなわち、「ポッティング化合物」との記載は誤記であり、当該誤記を正しい記載である「ポッティング組成物」に訂正しており、換言すれば、前記(iv)は、特許法120条の5第2項ただし書2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とすると認められる。 加えて、訂正事項2-1に係る訂正(iv)により、「ポッティング組成物」との語が初出するため、「ポッティング組成物」と「ポッティング化合物」との関係に関する「ポッティング化合物を形成するポッティング組成物」という限定を加えて、「ポッティング組成物」という語が不明瞭となるのを防いでいる。すなわち、前記(iv)は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とすると認められる。 また、前記(iv)は、「液体難燃剤成分」の量の下限を、「15重量%」から「30重量%」に限定しているため、前記(iv)は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とすると認められる。 以上によれば、訂正事項2-1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1~3号に掲げる事項を目的とすると認められる。 (2)訂正事項2-1に係る訂正における新規事項の追加の有無 前記(iii)の事項は、本件明細書の【0023】等に記載された事項である。 前記(iv)の「ポッティング化合物を形成するポッティング組成物」については、本件明細書の「ポッティング組成物を流すことによって、ポッティング化合物56を形成することができる。」(【0064】)との記載等、本件明細書中各所に記載された事項である。 前記(iv)の「液体難燃剤成分」の量の下限を「30重量%」とすることについては、本件明細書の【0043】等に記載された事項である。 したがって、訂正事項2-1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に規定する要件を満たす。 (3)訂正事項2-1に係る訂正における拡張・変更の有無 訂正事項2-1に係る訂正は、「特許請求の範囲の減縮」、「誤記又は誤訳の訂正」及び「明瞭でない記載の釈明」をするものである。 「特許請求の範囲の減縮」は、明らかに、特許請求の範囲の拡張も変更もしない。 「誤記又は誤訳の訂正」によって特許請求の範囲の記載は、本来意味すべきものを明確に表すようになったに過ぎないから、特許請求の範囲の拡張も変更もしない。 前記(iv)における「明瞭でない記載の釈明」は、「ポッティング化合物を形成するポッティング組成物」という限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の拡張も変更もしない。 したがって、訂正事項2-1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に規定する要件を満たす。 (4)訂正事項2-1に係る訂正についての小括 以上によれば、訂正事項2-1に係る訂正は、適法なものである。 5 訂正事項2-2について 訂正事項2-2に係る訂正は、訂正事項2-1に係る訂正によって請求項9の「イソシアネート反応性化合物」が「ポリオール」に限定されたことに合わせて、請求項9を引用する請求項12の「イソシアネート反応性化合物」を「ポリオール」に限定したものである。すなわち、訂正事項2-2に係る訂正を行わないまま訂正事項2-1の訂正を行うと、請求項9で「ポリオール」としていたものを、請求項12で「前記イソシアネート反応性化合物」として指し示すこととなり、請求項12の記載が不明瞭な記載となるため、訂正事項2-2に係る訂正は、不明瞭な記載を明瞭化するものであり、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とすると認められる。 そして、訂正事項2-2に係る事項は、本件明細書の【0023】等に記載された事項であるから、訂正事項2-2に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に規定する要件を満たす。 また、訂正事項2-2に係る訂正は、不明瞭な記載を明瞭化するに過ぎないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に規定する要件を満たす。 以上によれば、訂正事項2-2に係る訂正は、適法なものである。 6 訂正事項2-3について 訂正事項2-3に係る訂正は、訂正事項2-1に係る訂正に伴い、本件訂正前の請求項14に記載の「ポッティング化合物」を「ポッティング組成物」に訂正して、本件訂正後の請求項9の記載との整合を図るものであるから、その目的は明瞭でない記載の釈明に該当し、新規事項の追加はなく、特許請求の範囲の拡張又は変更もない。 したがって、訂正事項2-3に係る訂正は、適法なものである。 7 訂正事項3-1について 訂正事項3-1に係る訂正は、本件訂正前の請求項18に係る発明を特定する「ポッティング化合物」について、「前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物であ」るとの限定を加えるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであると認められる。 訂正事項3-1に係る事項は、本件明細書等の「ポッティング化合物は、シリコーン、エポキシ、例えば1成分若しくは2成分エポキシ樹脂、又はポリウレタンを含む、硬化したときにフォームを形成する材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、ポッティング化合物は、ポリウレタンフォームを含む。」(【0016】)等の記載に示された事項であるから、訂正事項3-1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に規定する要件を満たす。 また、訂正事項3-1に係る訂正は、特許請求の範囲を減縮しているから、特許請求の範囲を拡張も変更もしていない。よって、訂正事項3-1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に規定する要件を満たす。 よって、訂正事項3-1に係る訂正は、適法なものである。 8 訂正事項3-2について 訂正事項3-2に係る訂正は、「ポッティング化合物」という誤記を「ポッティング組成物」に正すとともに、「液体難燃剤成分」の量が「少なくとも15重量%」であったところを、「少なくとも30重量%」に限定するものである。 よって、訂正事項3-2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「誤記又は誤訳の訂正」を目的とすると認められる。 また、訂正事項3-2に係る訂正には、新規事項の追加も特許請求の範囲の拡張も変更もないからから、同条9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たす。 9 訂正事項4について 訂正事項4に係る訂正は、訂正事項3-1に係る訂正及び訂正事項3-2に係る訂正と同様の訂正を、請求項21に対して行うものである。 そうすると、訂正事項4に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであり、同条9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たす。 10 本件訂正についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は適法なものと認められる。 したがって、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、〔9~17〕、〔18~20〕及び〔21、22〕について訂正することを認める。 第3 特許異議申立の一部却下 本件訂正が認められたため、請求項6及び7が削除された。 これにより、本件特許異議の申立てについて、請求項6及び7に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 第4 本件発明 本件の特許請求の範囲の請求項1~5及び8~22に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」及び「本件発明8」~「本件発明22」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、本件訂正により訂正された特許請求の範囲の記載のとおりのものと認める。 なお、後の参照の便宜のため、請求項1、9、18及び21を記号1A~21Dを付して以下のとおりに分説し、「発明特定事項1A」のようにして参照する。 【請求項1】 1A ポッティング化合物中にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 1B 前記ポッティング化合物が、 1B1 液体難燃剤成分、 1B2 ポリオール及び水を有する第1の成分、及び、 1B3 イソシアネート化合物を有する第2の成分、 1B′ の混合物を含むポッティング組成物の硬化物であり、 1C 前記ポッティング組成物中に、前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量で存在し、 1D 前記ポッティング化合物がフォームである、 1E バッテリモジュール。 【請求項9】 9A ポッティング化合物内にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 9B 前記ポッティング化合物が、 9B1 ポリオールを有する第1の成分、イソシアネート化合物を有する第2の成分、及び、発泡剤の反応生成物、並びに、 9B2 液体難燃剤成分 9B′ を含み、 9C 前記液体難燃剤成分が、ポッティング化合物を形成するポッティング組成物中に、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、30重量%~60重量%の量で存在する、 9D バッテリモジュール。 【請求項18】 18A ポリウレタンフォームポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セルを含むバッテリモジュールであって、 18B 前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物であり、 18C 前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満の密度を有し、 18D 前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、 18E バッテリモジュール。 【請求項21】 21A1 ポリウレタンフォームポッティング化合物、及び、 21A2 前記ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル 21A を含むバッテリモジュールであって、 21B 前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物であり、 21C 前記ポッティング組成物が、ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量の液体難燃剤成分を含む、 21D バッテリモジュール。 第5 証拠方法 申立人は、申立書に添付して甲第1号証~甲第4号証(以下「甲1」~「甲4」という。)を写しとして提出し、甲1には甲第1号証抄訳を添付した。 甲1 米国特許出願公開第2012/0003508号明細書 甲2 特開平7-48509号公報 甲3 特開2011-148903号公報 甲4 「ポリウレタン原料について 安全取扱いの手引き」ウレタン原料工業会、第7版、2014年4月 第6 申立理由 申立人が主張する理由は、概略、以下の申立理由1~3のとおりである。 〈申立理由1〉 本件発明1、5及び8は、特許法29条1項3号に掲げる発明に該当する甲1に記載された発明であるから、本件発明1、5及び8に係る特許は、同条1項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)(申立書20、53~54、58及び59~60頁) 〈申立理由2〉 本件発明1、5~10、14~17、21及び22は、当業者が甲1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、5~10、14~17、21及び22に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)(申立書20、53~54、58~60、65~66及び69~71頁) 本件発明2、15及び18~20は、当業者が甲1に記載された発明並びに甲2及び甲3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明2、15及び18~20係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)(申立書20、55、64~65及び66~69頁) 本件発明3、4及び11~14は、当業者が甲1に記載された発明並びに甲3及び甲4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明3、4及び11~14に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)(申立書20、55~57及び62~64頁) 本件発明5、6、9、16、17、21及び22は、当業者が甲1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5、6、9、16、17、21及び22に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)(申立書20、58~59、60~61、65~66及び69~71頁) 本件発明10及び11は、当業者が甲1に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明10及び11に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたされたものである。(同法113条2号)(申立書20及び62頁) 本件発明12及び13は、当業者が甲1に記載された発明及び甲4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明12及び13に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(同法113条2号)(申立書63~64頁) 〈申立理由3〉 3-1 本件発明1~17の課題は、「機械的安定性を電気セルに提供し、かつ難燃性である、バッテリモジュールで使用するためのポッティング化合物」の提供であると認められる(【0003】)。 本件の実施例を参照すると、実際に上記課題を解決し得ることが実証されているのは、ポッティング化合物がポリウレタンフォームである場合のみであり、他の物質でも同様に上記課題が解決できることは示されていない。 したがって、本件発明1~17の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、本件発明1~17に係る特許は、特許法特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(同法113条4号)(申立書20及び71~72頁) 3-2 液体難燃剤成分については、含有量の下限値が特定されていないため、本件発明1~8では、当該含有量が非常にわずかな量の態様も含まれるが、本件の実施例を参照しても、当該含有量が非常にわずかな量である場合においても上記課題が解決できること、特に、難燃性が得られることは示されていない。 したがって、本件発明1~8の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、本件発明1~8に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(同法113条4号)(申立書20及び71~72頁) 3-3 本件発明18及び19の課題は、前記3-1に示したものと認められる。 本件発明18及び19には、難燃性成分は特定されていない。 本件の実施例を参照すると、実際に上記課題を解決し得ることが実証されているのは少なくとも液体難燃剤成分が含まれる場合であるから、本件発明18及び19の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 よって、本件発明18及び19に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(同法113条4号)(申立書20及び72~73頁) 第7 決定の予告で通知した取消理由 当審で決定の予告により通知した取消理由は、概略、以下の取消理由1及び2のとおりである。 〈取消理由1〉 本件発明が解決すべき課題は、以下に示す課題1~3のとおりと認められ、特許権者は「訂正発明は課題1~課題3のいずれかを解決可能であり、また、課題1~3の全てをも解決可能です。」と主張するから、本件発明が課題1~3の全てを解決すべきものであることを前提として、以下、判断する。 課題1:バッテリモジュールに対して機械的安定性及び耐衝撃性を提供する、ポッティング化合物を提供すること。 課題2:バッテリモジュールを軽量化し、かつ、電気セルに機械的安定性を提供する、ポッティング化合物を提供すること。 課題3:電気セルに機械的安定性を提供し、かつ、難燃性である、バッテリモジュールで使用するポッティング化合物を提供すること。(決定の予告17~18頁) 本件発明1で特定されている液体難燃剤の量は、課題3を解決できると裏付けられている30~46.4重量%をはるかに下回るから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものであると認めることはできない。 本件発明2~5、8~17及び20~22についても同様である。 よって、本件発明1~5、8~17及び20~22に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきである。(決定の予告18~21頁) 〈取消理由2〉 本件発明18は、「前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する」ことを特定しているところ、前記特定は、難燃性を有することを言い換え、課題3の解決を願望的に記載したに過ぎず、課題3を解決するための具体的手段を欠いているから、課題3を解決できると認めることはできない。 本件発明19についても、本件発明18と同様である。 よって、本件発明18及び19に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきである。(決定の予告20頁) 第8 サポート要件違反についての判断 申立理由3、取消理由1及び取消理由2に鑑み、特許法36条6項1号に規定する要件の適否について検討する。 特許請求の範囲の記載が、サポート要件を定めた特許法36条6項1号に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。 1 本件発明が解決すべき課題 本件の発明の詳細な説明には、「電気セルをポッティングする際に使用するためのポッティング化合物は、例えば車両で使用することを意図したバッテリモジュールに対して、機械的安定性及び耐衝撃性を提供するように設計され得る。最小限の重量をバッテリモジュールに加えながら、機械的安定性を電気セルに提供する、ポッティング化合物が望まれている。また、機械的安定性を電気セルに提供し、かつ難燃性である、バッテリモジュールで使用するためのポッティング化合物も望まれている。」(【0003】)との記載がある。 上記記載は、3つの文からなり、それぞれの文を要約すると、以下のとおりと認められる。 第1文:ポッティング化合物は、バッテリモジュールに対して、機械的安定性及び耐衝撃性を提供するように設計され得る。 第2文:最小限の重量をバッテリモジュールに加えながら、機械的安定性を電気セルに提供する、ポッティング化合物が望まれている。 第3文:また、機械的安定性を電気セルに提供し、かつ難燃性である、バッテリモジュールで使用するためのポッティング化合物も望まれている。 第1文は、ポッティング化合物の設計が、バッテリモジュールに対する機械的安定性及び耐衝撃性を提供するように設計されることもあり、そのような設計は必須ではないことを説明していると解される。 第2文は、ポッティング化合物に望まれることとして、最小限の重量をバッテリモジュールに加えること、つまり、バッテリモジュールの軽量化とともに、電気セルに対して機械的安定性を提供することを挙げていると解される。 第2文では、バッテリモジュールの軽量化と、電気セルに対する機械的安定性とを望まれることとして挙げている一方、第3文では、電気セルに対する機械的安定性と、難燃性とを望まれることとして挙げており、両者は、電気セルに対する機械的安定性が望まれることを共通に説明するにも関わらず、第2文と第3文とを分けて説明している。そして、第3文は、「また、…も望まれている。」との文章構造から、第2文で説明されたポッティング化合物に望まれることとは別に、電気セルに対して機械的安定性を提供し、かつ、難燃性である、ポッティング化合物も望まれていることを説明していると解される。 仮に、第2文及び第3文で説明されることが、望まれることとしてどちらも欠くことのできないとするならば、第2文と第3文とが共に電気的セルに対する機械的安定性に言及する必要はないし、第2文で、バッテリモジュールの軽量化と、電気セルに対する機械的安定性とを組にして説明することも、第3文で、電気セルに対する機械的安定性と、難燃性とを組にして説明することも必要ない。バッテリモジュールの軽量化と、電気セルに対する機械的安定性と、難燃性とが、いずれも必須の課題であるならば、それぞれを1回ずつ挙げて説明するのが自然である。 そうすると、第2文及び第3文に説明されていることは、これら全てが同時に望まれていると解するのは不自然であり、バッテリモジュールの軽量化及び電気セルに対する機械的安定性か、又は、電気セルに対する機械的安定性及び難燃性かが望まれていると解するのが自然である。 また、第1文の説明されていることが必須ではないことは、前述のとおりである。 そうすると、本件発明が解決しようとする課題は、以下の課題1~3のいずれかであると解される。 課題1:ポッティング化合物が、バッテリモジュールに対する機械的安定性及び耐衝撃性を備えること 課題2:ポッティング化合物が、バッテリモジュールの軽量化及び電気セルに対する機械的安定性を備えること 課題3:ポッティング化合物が、電気セルに対する機械的安定性及び難燃性を備えること 2 難燃性の課題解決手段 本件の発明の詳細な説明では、課題3のうち、ポッティング化合物が難燃性を有する点について、比較実施例1及び2並びに試料1~14(以下、これらを「本件実施例等」と総称する。)に対する燃焼試験(【0090】、【0091】)の結果(【0102】~【0108】の【表1】~【表4】)により裏付けしていると解される。 本件の発明の詳細な説明の【表1】及び【表2】の「指示厚さでの燃焼結果(UL94垂直)」の項目によれば、試料1~4は、いずれも、難燃性を有しないと評価できる。 ここで、試料1~4の難燃剤の量は、【表1】及び【表2】の「最終配合物中の難燃剤パーセント」の項目から、いずれも、ポッティング組成物の合計重量の20重量%であると解される。 したがって、難燃剤の量がポッティング組成物の合計重量の20重量%である試料1~4は、いずれも、難燃性を有しないと解される。 他方、本件実施例等のうち、難燃性を有する(UL94規格での垂直燃焼試験の結果がV-2以上)と解されるものは、【表1】~【表4】によれば、試料5~14のみであり、それらの難燃剤の量は、ポッティング組成物の合計重量の30重量%(試料5)~46.4重量%(試料6)の範囲にある。 難燃剤の量が多い程、難燃性は高くなると解されるから、課題3のうちの難燃性を解決し、ポッティング化合物が難燃性を有するようにするためには、難燃剤の量をポッティング組成物の合計重量の30重量%以上とすることが必須であると解される。 3 本件発明1のサポート要件の適否 本件発明1は、「ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル」(発明特定事項1A)という発明特定事項を備えるから、電気セルがポッティング化合物中にポッティングされることによって、電気セルに所定量の機械的安定性が備わると評価できる。よって、課題3のうち、ポッティング化合物が、電気セルに対する機械的安定性を備えることについては、本件発明1が解決可能であると認識できる。 他方、本件発明1は、「前記ポッティング組成物中に、前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量で存在」する(発明特定事項1C)という発明特定事項を備えるから、前記2によれば、課題3のうち、ポッティング化合物が、電気セルに対する難燃性を備えることについても、本件発明1は解決可能であると認識できる。 本件発明1には、その他のサポート要件違反も認められない。 以上によれば、本件発明1は、少なくとも課題3を解決できると認識できる範囲のものであり、その余の課題について検討するまでもなく、サポート要件を満たすと認められる。 4 本件発明2~5及び8のサポート要件の適否 本件発明2~5及び8は、いずれも、本件発明1の発明特定事項1A及び1Cを備えるものであるから、前記3と同様に、サポート要件を満たすと認められる。 5 本件発明9~17のサポート要件の適否 本件発明9~17は、いずれも、発明特定事項1A及び1Cと同様の発明特定事項9A及び9Cを備えるものであるから、前記3と同様に、サポート要件を満たすと認められる。 6 本件発明20のサポート要件の適否 本件発明20は、発明特定事項1A及び1Cと同様の発明特定事項18A及び請求項20に記載された事項を備えるものであるから、前記3と同様に、サポート要件を満たすと認められる。 7 本件発明21及び22のサポート要件の適否 本件発明21及び22は、いずれも、発明特定事項1A及び1Cと同様の発明特定事項21A2及び21Cを備えるものであるから、前記3と同様に、サポート要件を満たすと認められる。 8 本件発明18及び19について 本件発明18は、「ポリウレタンフォームポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セル」(発明特定事項18A)という発明特定事項を備えるから、電気セルがポッティング化合物中にポッティングされることによって、電気セルに所定量の機械的安定性が備わると評価できる。よって、課題3のうち、ポッティング化合物が、電気セルに対する機械的安定性を備えることについては、本件発明18が解決可能であると認識できる。 他方、本件発明18は、「前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する」(発明特定事項18D)という発明特定事項を備えるから、本件発明18のポッティング化合物は、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」のV2レベル以上の難燃性を備えると解され、課題3のうち、ポッティング化合物が、難燃性を備えることについても、本件発明18が解決可能であると認識できる。 本件発明19も、発明特定事項18A及び18Dを備えるから、本件発明18と同様である。 本件発明18及び19には、その他のサポート要件違反も認められない。 よって、本件発明18及び19は、少なくとも課題3を解決できると認識できる範囲のものであり、その余の課題について検討するまでもなく、サポート要件を満たすと認められる。 9 申立人の主張について 申立人の主張について検討する。 (1)申立人は、本件の発明の詳細な説明には、ポッティング化合物がポリウレタンフォーム以外の物質でも課題を解決することが実証されていない旨、主張する。(申立理由3、3-1) しかしながら、本件発明1~5及び8は、ポッティング化合物が、ポリオールとイソシアネート化合物の混合物を含むイソシアネート組成物の硬化物であり(発明特定事項1B~1B′)、ポッティング化合物がフォームであること(発明特定事項1D)が特定されているため、ポッティング化合物はポリウレタンフォームに限定されている。 また、本件発明9~17は、ポッティング化合物が、ポリオールとイソシアネート化合物と発泡剤の反応生成物を含むこと(発明特定事項9B、9B1)が特定されているため、ポッティング化合物はポリウレタンフォームに限定されている。 そして、本件発明18~22は、「ポリウレタンフォームポッティング化合物」(発明特定事項18A、21A1)との発明特定事項を含むため、ポッティング化合物はポリウレタンフォームである。 そうすると、申立人の主張は前提において失当であるから、採用できない。 (2)申立人は、本件発明1~8では、液体難燃剤成分の含有量の下限値が特定されていない旨、主張する。(申立理由3、3-2) しかしながら、本件発明1~5及び8では、「前記ポッティング組成物中に、前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量で存在」する(発明特定事項1C)と特定されているから、申立人の主張は採用できない。 (3)申立人は、本件発明18及び19には、難燃性成分が特定されておらず、本件の実施例を参照すると、実際に上記課題を解決し得ることが実証されているのは少なくとも液体難燃剤成分が含まれる場合であるから、本件発明18及び19の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨、主張する。(申立理由3、3-2、申立人意見書2頁) しかしながら、本件発明18及び19は、「前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する」(発明特定事項18D)との発明特定事項を備える。 UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」(以下「UL94規格」という。)は米国で認証された燃焼試験規格であり、そのV2レベルは所定の耐燃性を示すものであるから、本件発明18及び19の「ポリウレタンフォームポッティング化合物」は、難燃性成分の如何によらず、難燃性を有すると認められる。 したがって、申立人の主張は採用できない。 10 サポート要件についての小括 前記1~9によれば、本件発明は、いずれも、少なくとも課題3を解決すると認識できるから、本件特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。 したがって、申立理由3、取消理由1及び取消理由2には理由がない。 第9 新規性及び進歩性についての判断 申立理由1及び2に鑑み、本件発明が甲1に記載された発明(以下「甲1発明」という。)に対して、新規性及び進歩性を有するか否かについて検討する。 1 甲1の記載 甲1には、以下の記載がある。 (1)「[0025] The subject of the invention is a battery 1 of lithium electrochemical generators comprising: [0026] a casing 2; [0027] a plurality of lithium electrochemical generators 3, 3', 3'' housed in the casing, each generator comprising a container 4; [0028] a rigid, flame-retardant foam 10 with closed porosity formed of an electrically insulating material filling the space between the inner wall of the casing 11 and the free surface of the side wall 12 of the container of each electrochemical generator, said foam covering the free surface of the side wall of each electrochemical generator over a length representing at least 25% of the height of the container.」 (当審訳: [0025] 本発明の主題は、リチウム電気化学発電体の電池1であり、以下を含む: [0026] ケーシング2; [0027] 複数のリチウム電気化学発電体3、3′、3″:複数の前記発電体は前記ケーシング内に収容され、各発電体は容器4を含む; [0028] 閉鎖多孔性の硬質難燃性フォーム10:前記フォームは、前記ケーシングの内壁11と各電気化学発電体の前記容器の側壁12の非接触面との間の空間を満たす電気絶縁材料で形成され、前記容器の高さの少なくとも25%に相当する長さにわたって各電気化学発電体の側壁の非接触面を覆う。) (2)「[0041] According to one embodiment, the foam consists of a material chosen from the group comprising polyurethane, epoxy, polyethylene, melamine, polyester, formophenol, polystyrene, silicone or a mixture thereof.」 (当審訳: [0041] 一実施形態によれば、前記フォームは、ポリウレタン、エポキシ、ポリエチレン、メラミン、ポリエステル、ホルモフェノール、ポリスチレン、シリコーン、またはそれらの混合物からなる群から選択される材料からなる。) (3)「[0043] According to one embodiment, the foam comprises a flame-retardant compound chosen from the group comprising trichloropropyl phosphate (TCPP), triethyl phosphate (TEP), diethyl ethyl phosphate (DEEP), a brominated polyether polyol, brominated phthalic anhydride, ammonium polyphosphate, encapsulated red phosphorus, or a mixture thereof.」 (当審訳: [0043] 一実施形態によれば、前記フォームは、以下のグループから選択される難燃性化合物を含み、前記グループは、トリクロロプロピルホスフェート(TCPP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジエチルエチルホスフェート(DEEP)、臭素化ポリエーテルポリオール、臭素化無水フタル酸、ポリリン酸アンモニウム、カプセル化赤リン、またはそれらの混合物からなる。) (4)「[0045] According to one embodiment, the density of the foam varies between 5 and 800 kg/m3.」 (当審訳: [0045] 一実施形態によれば、前記フォームの密度は、5~800kg/m3である。) (5)「[0065] According to the invention, the container of each generator comprises a side wall 12 whose free surface i.e. having no contact with the inner wall of the casing, is covered with rigid, flame-retardant plastic foam 10 with closed porosity. The foam covers the wall over a length representing at least 25% of the height of the container. In one preferred embodiment, the foam covers the free surface of the side wall of the container over a length representing at least 50% of the height of the container, more preferably at least 75% of the height of the container, further preferably at least 90% of the surface of the container. In a more preferred embodiment illustrated FIG. 1 the plastic foam covers the side wall of the container of each electrochemical generator over the entire height of the container. In this case, any short-circuiting through contact between two generators is avoided. This embodiment offers excellent thermal insulation and an improved barrier effect against the propagation of hot gases towards the adjacent generator(s). The flame-retardant plastic foam also fills the space between the inner wall of the casing 11 and the side wall 12 of the container 4 of each electrochemical generator.」 (当審訳: [0065] 本発明によれば、各発電体の前記容器は、側壁12を含み、側壁12の非接触面、すなわち、前記ケーシングの前記内壁と接触していない面が、閉鎖多孔性の硬質難燃性プラスチックフォーム10で覆われている。前記フォームは、前記容器の高さの少なくとも25%に相当する長さにわたって前記壁を覆っている。ある好ましい実施形態では、前記フォームは、前記容器の前記側壁の前記非接触面を、前記容器の高さの少なくとも50%、より好ましくは前記容器の高さの少なくとも75%、さらに好ましくは前記容器の前記面の少なくとも90%に相当する長さにわたって覆っている。図1に示すより好ましい実施形態では、前記プラスチックフォームは、前記容器の高さ全体にわたって、各電気化学発電体の前記容器の前記側壁を覆っている。この場合、2つの発電体の間の接触による短絡が回避される。この実施形態は、優れた断熱性と、隣接する発電体に向かう高温ガスの伝播に対する改善されたバリア効果を提供する。前記難燃性プラスチックフォームは、また、前記ケーシングの内壁11と各電気化学発電体の容器4の側壁12との間の空間を充填する。) (6)「[0072] To fill the free spaces with foam, it is possible: a) either to use a foam which, by expansion, comes to fill the free spaces, b) or to use a machined or previously moulded foam block that is inserted in the casing at the time of assembly.」 (当審訳: [0072] 自由空間をフォームで埋めるには、以下の方法がある: a)膨張によって自由空間を満たすようになるフォームを使用する、 b)あるいは、組み立て時にケーシングに挿入される、機械加工された、あるいは予め成形された発泡ブロックを使用する。) (7)「[0073] The use of expandable foam in the battery facilitates the filling thereof compared with a resin which flows solely under gravity, creating bubbles and causing filling problems. The use of expandable foam facilitates filling since the swell pressure pushes the foam into all the cavities and recesses of the geometry to be filled. Also, this method allows any geometry to be filled which is not possible using prefabricated blocks.」 (当審訳: [0073] 電池に膨張性発泡体を使用することにより、重力のみで流動し、気泡を発生させ、充填の問題を引き起こす樹脂と比較して、その充填が容易になる。膨張性発泡体を使用すると、膨張圧力によって発泡体が充填される形状のすべての空洞や凹部に押し込まれるため、充填が容易になる。また、この方法では、プレハブ・ブロックでは不可能なあらゆる形状の充填が可能である。) (8)「[0075] The forming of rigid plastic foam in polyurethane will now be described. A polyurethane is produced by reaction of a diisocyanate on a hydrogen-donor compound. As examples of hydrogen-donor compounds mention may be made of water, alcohols, amines and ureas. Reference can be made to pages 113-122 of the 2002 edition of the work <<The Polyurethanes Book>> published by John Wiley and Sons.」 (当審訳: [0075] 次に、ポリウレタンでの硬質プラスチックフォームの形成について説明する。ポリウレタンは、ジイソシアネートと水素供与体化合物との反応によって製造される。水素供与体化合物の例としては、水、アルコール、アミン及び尿素を挙げることができる。John Wiley and Sons社から出版されている2002年版の<<The Polyurethanes Book>>の113-122ページを参照されたい。) (9)「[0081] Rigid polyurethane foam can be prepared by mixing methylene diphenyl diisocyanate (MDI) or toluene diisocyanate (TDI) with a polyol,a foaming agent from among those cited above, a flame-retardant agent, optionally a catalyst and water. A cross-linking agent such as triethanolamine or glycerine can be used to improve the rigidity of the foam.」 (当審訳: [0081] 硬質ポリウレタンフォームは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)又はトルエンジイソシアネート(TDI)を、ポリオール、上記で引用したものの中から選択される発泡剤、難燃剤、任意に触媒及び水と混合することによって調製することができる。トリエタノールアミンやグリセリンなどの架橋剤を、前記フォームの剛性を向上させるために、使用することができる。) (10)「[0083] The flame-retardant agent incorporated in the foam is intended to reduce quantities of flames and combustion products. It has high latent heat of transformation. It can be chosen from the group comprising trichloropropyl phosphate (TCPP), triethyl phosphate (TEP), diethyl ethyl phosphate (DEEP), diethyl bis(2-hydroxyethyl) amino methyl phosphonate, brominated phthalic anhydride, dibromoneopentyl glycol, brominated polyether polyols, melamine, trihydrated aluminium, ammonium polyphosphate and encapsulated red phosphorus. One preferred flame-retardant agent is trichloropropyl phosphate (TCPP) since it contains a high amount of phosphorus and chlorine. It is in the form of a slightly viscous liquid. It is therefore easy to use. Brominated polyether polyol and brominated phthalic anhydride contain a large quantity of bromine. Triethyl phosphate (TEP) and diethyl ethyl phosphate (DEEP) are preferred when the use of halogens is prohibited. The flame-retardant agent generally represents 3 to 10 percent of the plastic foam.」 (当審訳: [0083] 発泡体に配合されている難燃剤は、炎や燃焼生成物の量を減らすことを目的としている。これは高い相変態潜熱を有する。トリクロロプロピルホスフェート(TCPP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジエチルエチルホスフェート(DEEP)、ジエチルビス(2-ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート、臭素化無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、臭素化ポリエーテルポリオール、メラミン、三水和アルミニウム、ポリリン酸アンモニウムおよびカプセル化赤リンからなる群から選択することができる。好ましい難燃剤の1つは、リンと塩素を多く含むという理由で、トリクロロプロピルホスフェート(TCPP)である。それはわずかに粘性のある液体である。したがって使いやすい。臭素化ポリエーテルポリオールと臭素化無水フタル酸は臭素を多量に含む。ハロゲンの使用が禁止されている場合は、リン酸トリエチル(TEP)やリン酸ジエチルエチル(DEEP)が好ましい。難燃剤は、一般的にプラスチックフォームの3~10%を占める。) (11)Figure 1 [図:0001427944000001.jpg] (12)Figure 2 [図:0001427944000002.jpg] 2 甲1発明の認定 甲1の「好ましい難燃剤の1つは、リンと塩素を多く含むという理由で、トリクロロプロピルホスフェート(TCPP)である。それはわずかに粘性のある液体である。」([0083])との記載中の「それ」は、文脈から「トリクロロプロピルホスフェート(TCPP)」を指していることが明らかである。すなわち、甲1には、「トリクロロプロピルホスフェート(TCPP)は、わずかに粘性のある液体である。」ということが記載されている。 甲1の「閉鎖多孔性の硬質難燃性フォーム10」([0028])と、「閉鎖多孔性の硬質難燃性プラスチックフォーム10」([0065])とは同じ物と解され、「ポリウレタンでの硬質プラスチックフォームの形成について説明する。」([0075])との記載を踏まえると、「硬質ポリウレタンフォーム」([0081])も「閉鎖多孔性の硬質難燃性フォーム10」ないし「閉鎖多孔性の硬質難燃性プラスチックフォーム10」と同じ物であると解されるから、以下では、[0081]の「硬質ポリウレタンフォーム」を、「硬質ポリウレタンフォーム10」と読み替える。なお、以下において、これらを「フォーム10」と略称する場合がある。 そうすると、前記1の記載によれば、甲1には以下の甲1発明が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、甲1発明に記号a~lを付して分説し、「構成a」のようにして参照する。 〈甲1発明〉 a リチウム電気化学発電体の電池1であって、([0025]) b ケーシング2、複数のリチウム電気化学発電体3、3′、3″及び閉鎖多孔性の硬質難燃性フォーム10を含み、([0025]~[0028]) c 複数の前記発電体は前記ケーシング内に収容され、各発電体は容器4を含み、([0027]) d 前記フォームは、前記ケーシングの内壁11と各電気化学発電体の前記容器の側壁12の非接触面との間の空間を満たす電気絶縁材料で形成され、前記容器の高さの少なくとも25%に相当する長さにわたって各電気化学発電体の側壁の非接触面を覆い、([0028]) e 前記フォームは、ポリウレタンからなり、([0041]) f 前記フォームは、難燃性化合物のトリクロロプロピルホスフェート(TCPP)を含み、([0043]) g トリクロロプロピルホスフェート(TCPP)は、わずかに粘性のある液体であり、(前記2冒頭) h 前記フォームの密度は、5~800kg/m3であり、([0045]) i 膨張によって自由空間を満たすようになるフォームを使用し([0072]) j 硬質ポリウレタンフォーム10は、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を、ポリオール、発泡剤、難燃剤、水と混合することによって調製し、([0081]) k 難燃剤は、プラスチックフォームの3~10%を占める、([0083]) l 電池1。 3 甲2の記載 甲2には、以下の記載がある。 (1)「【0001】 【技術分野】本発明は少なくとも1種類の難燃化剤ならびに必要に応じて他の慣用添加剤、助剤を含有している難燃性ないし自然消化性の熱可塑性ポリウレタンに関するものである。 【0002】 【従来技術】熱可塑性ポリウレタン(TPU)の製造方法は公知であって、多くの特許文献、技術文献に記載されている(例えばミュンヘンのカルル、ハンゼル、フェルラーク刊、「クレストシュトフ、ハントブーフ」VII巻「ポリウレタン」、R.フィーウェーク、A.ヘヒトレン編1966年第1版、G.エルテル編1983年第2版参照)。」 (2)「【0004】このTPU、熱可塑性ポリウレタンの欠点は易燃性であって、この欠点を軽減するために難燃化剤、例えばハロゲン含有化合物が添加される。しかしながらこの添加は、得られるTPU成形体の機械特性に種々の悪影響を及ぼす。またハロゲンを含有物質の腐食作用にかんがみて、ハロゲンを含有しない難燃性ないし自然消化性TPU成形体を得ようとする努力がなされている。」 (3)「【0006】さらにまた、他のハロゲンを含まない種々の化合物、例えば各種の燐化合物が、熱可塑性重合体、例えばポリスチレン、ポリオレフィンの難燃化のために提案されている。しかしながら、これらの従来のハロゲン不含有難燃化剤の使用は、TPUの処理性を困難にし、しかも耐熱性を悪化させ、また機械特性の著しい低下をもたらす。」 (4)「【0009】本発明による難燃化熱可塑性ポリウレタンの製造は、(a)有機の、もしくは変性有機のジイソシアネートと、(b)高分子量の、ことに2官能性のポリヒドロキシル化合物とを、また必要に応じてさらに(c)連鎖延長剤とを、(d)少なくとも1種類の難燃化剤および(e)少なくとも1種類の触媒の存在下に、(f)必要に応じてさらに他の助剤、添加剤の存在下に反応させることにより行われる。ただし、難燃化剤(d)としては、少なくとも1種類の有機ホスフェート化合物、有機ホスホネート化合物の一方もしくは両方、あるいはこれらとメラミン誘導体との混合物が使用される。」 (5)「【0054】 【対比例】平均分子量(重量平均)1000のポリオキシテトラメチレングリコール(PTHF)と、4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびブタンジオール-1,4とから、約180℃の温度で難燃化剤を添加することなく、ベルト法によりショア硬さA85のTPU成形体を製造し、その特性を測定した。 【0055】 【実施例1-7】TPUを対比例と同様にして、ただし下表に示されるように難燃化剤として、メラミンシアヌレート、燐酸1,3-フェニレンテトラキシレニルエステル(生成物1)、燐酸-1,3-フェニレンテトラフェニルエステル(生成物2)、燐酸-1,3-フェニレンテトラフェニルエステルオリゴマー(平均オリゴマー度n=3)(生成物3)を使用して製造した。表中に使用される重量%は混合物全量に対するものである。 【0056】 【表1】 [図:0001427944000003.jpg] 摩耗、DIN53516による ZF、引張り強さ(N/mm3 ) 燃焼性、UL94V試験法によるテスト V0 極めて良好 V1 良好 否 評価不能 i.O.* ハンド燃焼テストで試料を検査し、V0-V1に対応する反応を示した。」 4 甲3の記載 甲3には、以下の記載がある。 (1)「【技術分野】 【0001】 本発明は高難燃性ポリウレタンフォームに係り、特に、難燃剤として非ハロゲン系難燃剤を用いた非ハロゲン系高難燃性ポリウレタンフォームであって、特に、UL-94垂直燃焼試験において、V-0規格を満たす著しく優れた難燃性を示すと共に、圧縮反発性等のポリウレタンフォーム本来の物性も良好な高難燃性軟質ポリウレタンフォームに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、ポリウレタンフォームはOA機器やプラズマテレビ等の電化製品、その他、家庭用品等、幅広い分野で使用されており、これらの用途において、難燃性に優れることは、必須の要件とされている。 【0003】 また、プラズマテレビ用途等では、難燃性以外にも、導電性、更には、電子機器の隙間に圧縮して設置されることから、隙間の形状に追随する為の柔軟性及び高い圧縮反発力が必要とされる。このような要求特性に対して、ポリウレタンフォームは、他の材質と比較して柔軟性に優れ、特に圧縮反発力を発現できることから、電化製品の芯材等として好適に用いられている。 【0004】 こうした用途においては、ポリウレタンフォーム芯材又は製品加工後において、それぞれの用途に属した難燃規格を満たす必要がある。 近年では、プラズマテレビ等の弱電用途において、高い難燃性が強く要求されるようになってきており、特に、難燃性の指標としてUL-94垂直燃焼試験におけるV-0を達成することが必須となってきている。 【0005】 ポリウレタンフォームに難燃性を付与する方法としては、旧来、ハロゲン系難燃剤を用いることが一般的に行われてきた。ハロゲン系難燃剤の配合で極めて優れた難燃性を付与することができるが、ハロゲン系難燃剤は燃焼時に腐食性のハロゲンガスを発生する問題があり、また、近年の環境保護の観点から、ハロゲン系難燃剤ではなく、ハロゲンを含まない非ハロゲン系難燃剤を用いて難燃性を付与する技術が望まれている。 【0006】 従来、非ハロゲン系難燃剤の最も代表的なものとして、リン酸エステル系難燃剤があるが、このものはハロゲン系難燃剤と比較すると難燃性付与効果に劣り、その使用量を相当に多くする必要がある。しかも、液状であるために、これを多量に配合すると、圧縮反発性等の難燃性以外の要求特性が損われ、また、ウレタン反応時の発泡のバランスが崩れ、フォーム形成が困難になるという問題があった。また、液状難燃剤は、それ自体可塑性を有し、可塑剤として機能するために、その配合量が多いと、燃焼時の溶融物及びその着火性が増し、UL-94垂直燃焼試験におけるV-0規格を達成し得なくなる。 【0007】 このようなリン系液状難燃剤以外の非ハロゲン系難燃剤として、水酸化マグネシウムや熱膨張性黒鉛等も知られているが、これらはいずれも十分な難燃性を得るためには、その配合量を相当に多くする必要があり、上記リン酸エステル系難燃剤の場合と同様に、難燃剤の多量配合のために、圧縮反発性等の難燃性以外の要求特性が損われ、また、ウレタン反応時の発泡のバランスが崩れ、フォーム形成が困難になるという問題がある。」 (2)「【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリオールとしてポリエーテル系ポリオールを用い、難燃剤として、膨張黒鉛、リン系難燃剤及びメラミン難燃剤の3種類の難燃剤を併用すると共に、リン系難燃剤の配合量を所定の範囲とすることにより、好ましくは、フタル酸変性ポリエステルポリエーテルポリオールを含むポリエーテル系ポリオールを用いることにより、上記課題を解決することができることを見出した。」 (3)「【0040】 本発明において、リン系難燃剤の配合量は、ポリオール100重量部に対して25~45重量部、好ましくは25~35重量部程度とする。 【0041】 また、膨張黒鉛の配合量は、ポリオール100重量部に対して15~25重量部、特に15~20重量部とすることが好ましく、メラミン難燃剤、即ち、メラミン樹脂粉体の配合量は、ポリオール100重量部に対して25~40重量部、特に25~35重量部とすることが好ましい。」 (4)「【0056】 なお、本発明の高難燃性ポリウレタンフォームの密度は特に限定されず、用途に応じて適宜設計されるが、通常20~100kg/m3程度である。」 (5)「【0067】 【表1】 [図:0001427944000004.jpg] 【0068】 【表2】 [図:0001427944000005.jpg] 」 5 本件発明1と甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。 (1)発明特定事項1A及び1Eについて 発明特定事項1Aは「ポッティング化合物中にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、」というものであり、発明特定事項1Eは「バッテリモジュール。」というものである。 ア 甲1発明の「電池1」(構成a)は、「ケーシング2、複数のリチウム電気化学発電体3、3′、3″及び閉鎖多孔性の硬質難燃性フォーム10を含」むものであり(構成b)、Figure 1及びFigure 2を参照すると、複数のリチウム電気化学発電体3、3′、3″及び閉鎖多孔性の硬質難燃性フォーム10を、ケーシング2に収容することによって、1つの電池1としてまとめたものと解される。 よって、甲1発明の「電池1」は、本件発明1の「バッテリモジュール」に相当する。 イ 本件明細書の「電気セルは、バッテリを形成するために使用され得る。例えば、複数の電気セルを組み合わせて、単一の電気セルよりも高い電圧又はアンペアを有する単一のバッテリが形成され得る。」(【0056】)との記載によれば、「電気セル」は、それ単体で起電力を有するものであり、「電気セル」を複数組み合わせることによりバッテリが形成されるのだから、本件発明1の「電気セル」は、一般的なバッテリセルを含むと解される。 他方、甲1発明の「複数のリチウム電気化学発電体3、3′、3″」(構成b)は、「電池1」(構成a)を構成するから、各「リチウム電気化学発電体」は、バッテリセルであると解される。 よって、甲1発明の「リチウム電気化学発電体」は、本件発明1の「電気セル」に相当する。 ウ 甲1発明の「フォーム10」は、「ポリウレタンからなり」(構成e)、「難燃性化合物のトリクロロプロピルホスフェート(TCPP)を含」む(構成f)から、化合物である。 そして、甲1発明の「フォーム10」は、「前記容器の高さの少なくとも25%に相当する長さにわたって各電気化学発電体の側壁の非接触面を覆」う(構成d)ものであり、「膨張によって自由空間を満たすように」「使用」される(構成i)から、「電気化学発電体」は、「フォーム10」によりポッティングされているといえる。 よって、甲1発明の「フォーム10」は、本件発明1の「ポッティング化合物」に相当し、甲1発明の「電気化学発電体」は、本件発明1の「ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル」に相当する。 エ 前記ア~ウによれば、本件発明1と甲1発明とは、「ポッティング化合物中にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであ」る点で一致する。 (2)発明特定事項1B~1B′について 発明特定事項1B~1B′は「前記ポッティング化合物が、」「液体難燃剤成分、」「ポリオール及び水を有する第1の成分、及び、」「イソシアネート化合物を有する第2の成分、」「の混合物を含むポッティング組成物の硬化物であり、」というものである。 甲1発明の「フォーム10」は、「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を、ポリオール、発泡剤、難燃剤、水と混合することによって調製」するもの(構成j)であり、甲1発明の「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)」、「ポリオール」及び「水」は、それぞれ、本件発明1の「イソシアネート化合物」、「ポリオール」及び「水」に相当する。ここで、甲1発明の「ポリオール」及び「水」を「第1の成分」と称し、「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)」を「第2の成分」と称することは任意である。 甲1発明の「難燃剤」は、「難燃性化合物のトリクロロプロピルホスフェート(TCPP)」(構成f)であると解され、「トリクロロプロピルホスフェート(TCPP)は、わずかに粘性のある液体であ」る(構成g)から、甲1発明の「難燃剤」は、液体の難燃剤であり、本件発明1の「液体難燃剤成分」に相当する。 イソシアネート化合物とポリオールとを反応させることによりポリウレタンとして硬化することは技術常識であるから、甲1発明の「フォーム10」は、「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)」と「ポリオール」を反応させて硬化させて「ポリウレタン」としたものと解される。 以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、「前記ポッティング化合物が、」「液体難燃剤成分、」「ポリオール及び水を有する第1の成分、及び、」「イソシアネート化合物を有する第2の成分、」「の混合物を含むポッティング組成物の硬化物であ」る点で一致する。 (3)発明特定事項1Cについて 発明特定事項1Cは「前記ポッティング組成物中に、前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量で存在し、」というものである。 これに対し、甲1発明は、「難燃剤は、プラスチックフォームの3~10%を占める」(構成k)点で本件発明1と相違する。 (4)発明特定事項1Dについて 発明特定事項1Dは「前記ポッティング化合物がフォームである、」というものである。 甲1発明の「フォーム10」は、明らかに、本件発明1の「フォーム」に相当するから、本件発明1と甲1発明とは、「前記ポッティング化合物がフォームである」点で一致する。 (5)一致点及び相違点 前記(1)~(4)によれば、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 〈一致点〉 「ポッティング化合物中にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 液体難燃剤成分、 ポリオール及び水を有する第1の成分、及び、 イソシアネート化合物を有する第2の成分、 の混合物を含むポッティング組成物の硬化物であり、 前記ポッティング化合物がフォームである、バッテリモジュール。」である点。 〈相違点1〉 本件発明1は、「前記ポッティング組成物中に、前記液体難燃剤成分が、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量で存在」するのに対し、甲1発明の難燃剤は、プラスチックフォームの3~10%を占める点。(発明特定事項1C) 6 相違点1についての判断 以下の(1)に示すとおり、ポッティング組成物中に、液体難燃剤成分が、ポッティング組成物の合計重量の少なくとも30重量%の量で存在することを示す証拠はない。 また、以下の(2)に示すとおり、液体難燃剤成分の量を増やすことは、当業者が容易に想到し得たことではない。 (1)甲2の【表1】(【0056】)には、生成物1~3を難燃化剤として使用したTPU(【0002】によれば、熱可塑性ポリウレタン)であって「混合物全量に対する」難燃化剤の重量%(【0055】)が、4.00~10.00であるものが開示されている。しかしながら、難燃化剤が30重量%以上のものは開示されていない。 他方、甲3には、「高難燃性ポリウレタンフォーム」(【0001】)であって、「難燃剤として、膨張黒鉛、リン系難燃剤及びメラミン難燃剤の3種類の難燃剤を併用する」もの(【0013】)が開示される。3種類の難燃剤のうち、膨張黒鉛は明らかに固体であり、メラミン難燃剤は、「メラミン難燃剤、即ち、メラミン樹脂粉体」(【0041】)との記載によれば、固体であると解される。よって、甲3に開示される難燃剤のうち、リン系難燃剤のみが液体難燃剤であると解される。(この解釈は、「リン酸エステル系難燃剤等の液状難燃剤」(【0045】)との記載とも整合する。) そして、甲3の【表1】(【0067】)及び【表2】(【0068】)を参照すると、「ポリウレタンフォーム配合物配合割合(重量部)」の全部の合計に対する液体難燃剤すなわち「難燃剤1(リン系難燃剤)」の重量%は、最大のものが実施例6の18.2重量%である。すなわち、甲3には、液体難燃剤が30重量%以上のものは開示されていない。 また、甲4には、難燃剤の配合量についての記載はない。 以上のとおりであるから、甲各号証には、ポッティング組成物中に、液体難燃剤成分が、ポッティング組成物の合計重量の少なくとも30重量%の量で存在することを示す証拠はない。 (2)甲3には、「非ハロゲン系難燃剤の最も代表的なものとして、リン酸エステル系難燃剤があるが、…(略)…その使用量を相当に多くする必要がある。しかも、液状であるために、これを多量に配合すると、圧縮反発性等の難燃性以外の要求特性が損われ、また、ウレタン反応時の発泡のバランスが崩れ、フォーム形成が困難になるという問題があった。」(【0006】)との記載がある。 上記記載によれば、液体難燃剤を多量に配合すると、難燃性以外の要求特性が損なわれるのだから、液体難燃剤成分の量を増やすことは、当業者が容易に想到し得たことではない。 (3)申立人は、液体難燃剤成分の量が少なくとも30重量%であることについて、概略、以下のとおり主張する。 難燃剤の含有量を増やすことで耐熱性が向上することは、特段先行技術文献を示さなくとも技術常識である。してみれば、甲1発明に接した当業者にとって、難燃性を向上させることを目的として、難燃剤の含有量を適宜調整し耐熱性を向上させることが、当業者の通常の創作能力の発揮である。(申立書59頁9~19行、申立人意見書3頁9~16行) 甲3には、ポリウレタンフォーム配合物中にリン系難燃剤が18重量%以上の量で存在することが記載されている(実施例6、表2)。また、本件特許においては、リン酸エステルの含有量を増やすことでUL94垂直燃焼試験における燃焼結果が向上されることしか示されていない。(申立人意見書2頁24行~3頁8行) しかしながら、前記(2)に示したとおり、液体難燃剤成分の量を増やすことは、当業者が容易に想到し得たことではない。 本件発明が解決しようとする課題は、前記第8、1に示した課題1~課題3のいずれかであり、難燃性に関する課題は、課題3のみであるが、課題3は、難燃性に加えて「電気セルに対する機械的安定性」をも同時に備えることを課題とする。 この課題3に鑑みれば、液体難燃剤を多量に配合することにより、難燃性以外の要求特性が損なわれること(前記(2))は、課題3に反することとなり、阻害要因があると評価される。 また、甲3の実施例6は、18.2重量%の液体難燃剤を配合することを示しているに過ぎず、30重量%以上の配合量を開示するものではない(前記(1))。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (4)前記(1)~(3)によれば、相違点1に係る構成は、当業者といえども容易に想到し得たものではない。 7 本件発明1~5及び8の新規性及び進歩性についての小括 前記5のとおり、本件発明1と甲1発明との間には相違点1が存在し、前記6のとおり、相違点1に係る構成は、当業者が甲2~甲4を参照しても容易に想到し得ないのであるから、本件発明1は、甲1発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲1発明並びに甲2~甲4に示される技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 本件発明2~5及び8は、本件発明1の発明特定事項を全て包含し、さらに別の発明特定事項を備えるものであるから、本件発明2~5及び8と甲1発明との間には、少なくとも相違点1が存在する。よって、本件発明1と同様に、本件発明2~5及び8は、甲1発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲1発明並びに甲2~甲4に示される技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 8 本件発明9と甲1発明との対比 本件発明9と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。 (1)発明特定事項9A及び9Dについて 発明特定事項9Aは発明特定事項1Aと同じであり、発明特定事項9Dは発明特定事項1Eと同じであるから、発明特定事項9A及び9Dについての対比は、前記5(1)と同様である。 (2)発明特定事項9B~9B′について 発明特定事項9B~9B′は「前記ポッティング化合物が、」「ポリオールを有する第1の成分、イソシアネート化合物を有する第2の成分、及び、発泡剤の反応生成物、並びに、」「液体難燃剤成分」「を含み、」というものである。 前記5(2)と同様に、甲1発明の「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)」及び「ポリオール」は、それぞれ、本件発明9の「イソシアネート化合物」及び「ポリオール」に相当する。ここで、甲1発明の「ポリオール」を「第1の成分」と称し、「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)」を「第2の成分」と称することは任意である。 甲1発明の「発泡剤」(構成j)は、本件発明9の「発泡剤」に相当する。 メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリオール及び発泡剤を混合して反応させると、ポリウレタンフォームとなることは技術常識であるから、甲1発明の「硬質ポリウレタンフォーム10」(構成j)は、「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)」、「ポリオール」及び「発泡剤」の反応生成物を含むといえる。 また、甲1発明の「硬質ポリウレタンフォーム10」には、「難燃剤」が含まれ(構成j)、当該「難燃剤」が本件発明9の「液体難燃剤成分」に相当することは、前記5(2)で触れたとおりである。 そうすると、本件発明9と甲1発明とは、「前記ポッティング化合物が、」「ポリオールを有する第1の成分、イソシアネート化合物を有する第2の成分、及び、発泡剤の反応生成物、並びに、」「液体難燃剤成分」「を含」む点で一致する。 (3)発明特定事項9Cについて 発明特定事項9Cは「前記液体難燃剤成分が、ポッティング化合物を形成するポッティング組成物中に、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、30重量%~60重量%の量で存在する、」というものである。 これに対し、甲1発明は、「難燃剤は、プラスチックフォームの3~10%を占める」(構成k)点で本件発明9と相違する。 (4)一致点及び相違点 前記(1)~(3)によれば、本件発明9と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 〈一致点〉 「ポッティング化合物中にポッティングされている電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が、 ポリオールを有する第1の成分、イソシアネート化合物を有する第2の成分、及び、発泡剤の反応生成物、並びに、 液体難燃剤成分 を含む、バッテリモジュール。」である点。 〈相違点9〉 本件発明9は、「前記液体難燃剤成分が、ポッティング化合物を形成するポッティング組成物中に、前記ポッティング組成物の合計重量に基づいて、30重量%~60重量%の量で存在する」のに対し、甲1発明の難燃剤は、プラスチックフォームの3~10%を占める点。(発明特定事項9C) 9 相違点9についての判断 相違点9は、液体難燃剤成分の量の上限が60重量%に限定されていること以外は、相違点1と同様である。 したがって、前記6と同様に、相違点9に係る構成は、当業者といえども容易に想到し得たものではない。 10 本件発明9~17の新規性及び進歩性についての小括 前記8のとおり、本件発明9と甲1発明との間には相違点9が存在し、前記9のとおり、相違点9に係る構成は、当業者が甲2~甲4を参照しても容易に想到し得ないのであるから、本件発明9は、甲1発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲1発明並びに甲2~甲4に示される技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 本件発明10~17は、本件発明9の発明特定事項を全て包含し、さらに別の発明特定事項を備えるものであるから、本件発明10~17と甲1発明との間には、少なくとも相違点9が存在する。よって、本件発明9と同様に、本件発明10~17は、甲1発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲1発明並びに甲2~甲4に示される技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 11 本件発明18と甲1発明との対比 本件発明18と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。 (1)発明特定事項18A及び18Eについて 発明特定事項18Aは「ポリウレタンフォームポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セルを含むバッテリモジュールであって、」というものであり、発明特定事項18Eは「バッテリモジュール。」というものである。 前記5(1)アと同様に、甲1発明の「電池1」は本件発明18の「バッテリモジュール」に相当する。 前記5(1)イと同様に、甲1発明の「リチウム電気化学発電体」は、本件発明18の「第1の電気セル」に相当する。 甲1発明の「フォーム10」は、「ポリウレタンからな」る(構成e)から、ポリウレタンフォーム化合物である。 そして、甲1発明の「フォーム10」は、「前記容器の高さの少なくとも25%に相当する長さにわたって各電気化学発電体の側壁の非接触面を覆」う(構成d)から、「電気化学発電体」は、「フォーム10」によりポッティングされているといえる。 よって、甲1発明の「フォーム10」は、本件発明18の「ポリウレタンフォームポッティング化合物」に相当し、甲1発明の「電気化学発電体」は、本件発明18の「ポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セル」に相当する。 以上によれば、本件発明18と甲1発明とは、「ポリウレタンフォームポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セルを含むバッテリモジュールであ」る点で一致する。 (2)発明特定事項18Bについて 発明特定事項18Bは「前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物であり、」というものである。 甲1発明の「硬質ポリウレタンフォーム10」は、「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を、ポリオール、発泡剤、難燃剤、水と混合することによって調製」する(構成j)。 技術常識によれば、「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)」、「ポリオール」及び「発泡剤」は、反応してポリウレタンフォームを生成して硬化するから、甲1発明の「メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)」、「ポリオール」、「発泡剤」、「難燃剤」及び「水」の混合物は、本件発明18の「前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物」に相当し、甲1発明の「硬質ポリウレタンフォーム10」は、本件発明18の「ポッティング組成物の硬化物」に相当する。 以上によれば、本件発明18と甲1発明とは、「前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物であ」る点で一致する。 (3)発明特定事項18Cについて 発明特定事項18Cは「前記ポッティング化合物が、0.50g/cm3未満の密度を有し、」というものである。 これに対し、甲1発明の「フォーム10」の密度は、「5~800kg/m3であり」(構成h)、単位を換算すると、0.005~0.8g/cm3である点で、本件発明18と相違する。 (4)発明特定事項18Dについて 発明特定事項18Dは「前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する、」というものである。 これに対し、甲1発明の「フォーム10」は、「硬質難燃性フォーム10」(構成b)であり、難燃性ではあるものの、その程度が不明である点で、本件発明18と相違する。 (5)一致点及び相違点 前記(1)~(4)によれば、本件発明9と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 〈一致点〉 「ポリウレタンフォームポッティング化合物中にポッティングされている第1の電気セルを含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物である、バッテリモジュール。」である点。 〈相違点18-1〉 本件発明18のポッティング化合物は、「0.50g/cm3未満の密度を有」するのに対し、甲1発明の「フォーム10」の密度は、「0.005~0.8g/cm3である点。(発明特定事項18C) 〈相違点18-2〉 本件発明18は、「前記ポッティング化合物が、UL94「プラスチックス材料燃焼性試験」によって測定したときに、少なくともV2レベルの耐燃性を有する」のに対し、甲1発明の「フォーム10」は、難燃性ではあるものの、その程度が不明である点。(発明特定事項18D) 12 相違点18-2についての判断 事案に鑑み、相違点18-2について判断する。 (1)甲1発明の「リチウム電気化学発電体の電池1」(構成a)に含まれるフォーム10は、「硬質難燃性フォーム10」(構成b)であり、「電気化学発電体」をポッティングするためもの(前記5(1)ウ)であるが、その難燃性の程度については、甲1に記載がない。 (2)甲2には、「難燃化熱可塑性ポリウレタン」(【0009】)の難燃性として、UL94V試験法により、V0又はV1の難燃性を示すもの(【0056】【表1】)が示されているが、甲2に示される「難燃化熱可塑性ポリウレタン」の用途は示されていないため、甲1発明のような「リチウム電気化学発電体の電池1」のフォーム10の難燃性を示す指標として、UL94規格のV2レベル以上とすることが妥当であるか否かは、開示していない。 (3)甲3には、「OA機器やプラズマテレビ等の電化製品、その他、家庭用品等、幅広い分野で使用され」る「ポリウレタンフォーム」(【0002】)について、「電子機器の隙間に圧縮して設置されることから、隙間の形状に追随する為の柔軟性及び高い圧縮反発力が必要とされる」(【0003】)としているため、甲3に示される「ポリウレタンフォーム」は、ポッティングに用いるものではないと解される。 そうすると、甲3の「難燃性の指標としてUL-94垂直燃焼試験におけるV-0を達成することが必須となってきている。」(【0004】)との記載は、電子機器の隙間に圧縮して設置されるポリウレタンフォームについての要求性能を説明しているが、甲1発明の「電気化学発電体」をポッティングするためのフォーム10についての要求性能を説明していると解することはできない。 (4)甲4には、UL94規格についての開示はない。 (5)前記(1)~(4)によれば、甲1発明のフォーム10の難燃性に対し、UL94規格のV2レベル以上の難燃性を採用することは、動機付けがないため、当業者が容易に想到し得たとは認められない。 (6)申立人は、甲1発明のフォーム10の難燃性をUL94規格のV2レベル以上の難燃性を採用することについて、概略、以下のとおり主張する。 甲2には、有機ホスフェート化合物を難燃化剤として含有する熱可塑性ポリウレタンが、UL94V試験法でV1以上の耐熱性を示すことが開示されており、甲3においても、リン系難燃剤を含むポリウレタンフォームがUL94垂直燃焼試験でV0を満たすことが開示されている。また、本件特許は、単に難燃剤としてリン酸エステルを使用するか、リン酸エステルの含有量を増やすことで、UL94垂直燃焼試験における燃焼結果が向上されることしか示されていない。してみれば、甲1発明に接した当業者にとって、難燃性を向上させることを目的として、難燃剤をしてリン系難燃剤を使用するか、あるいは、難燃剤の含有量を増やし、UL94規格で優れた耐熱性を得ることは、当業者の通常の創作能力の発揮である。(申立書67頁12~25行、申立人意見書3頁26行~4頁11行) しかしながら、難燃剤の量を増やすことについては、前記6(3)と同様であり、採用できない。 そして、甲2及び甲3に示される難燃性ポリウレタンフォームが、リチウム電気化学発電体の電池の電気化学発電体のポッティングに用いる難燃性ポリウレタンフォームとして妥当であることは、甲各号証のいずれにも開示がないから、甲1発明のフォーム10として甲2及び甲3に示される難燃性ポリウレタンフォームを採用することで、甲1の難燃剤として甲2及び甲3に開示される難燃剤を採用し、UL94規格のV1以上の難燃性とすることには、動機付けがない。 以上によれば、申立人の主張は採用できない。 13 本件発明18~20の新規性及び進歩性についての小括 前記11のとおり、本件発明18と甲1発明との間には相違点18-2が存在し、前記12のとおり、相違点18-2に係る構成は、当業者が甲2~甲4を参照しても容易に想到し得ないのであるから、本件発明18は、甲1発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲1発明並びに甲2~甲4に示される技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 本件発明19及び20は、本件発明18の発明特定事項を全て包含し、さらに別の発明特定事項を備えるものであるから、本件発明19及び20と甲1発明との間には、少なくとも相違点18-2が存在する。よって、本件発明18と同様に、本件発明19及び20は、甲1発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲1発明並びに甲2~甲4に示される技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 14 本件発明21と甲1発明との対比 本件発明21と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。 (1)発明特定事項21A1について 発明特定事項21A1は「ポリウレタンフォームポッティング化合物、及び、」というものである。 前記11(1)と同様に、甲1発明の「フォーム10」は、本件発明21の「ポリウレタンフォームポッティング化合物」に相当する。 よって、本件発明21と甲1発明とは、「ポリウレタンフォームポッティング化合物」を含む点で一致する。 (2)発明特定事項21A2について 発明特定事項21A2は「前記ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル」というものである。 前記11(1)と同様に、甲1発明の「電気化学発電体」は、本件発明21の「ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル」に相当する。 よって、本件発明21と甲1発明とは、「前記ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル」を含む点で一致する。 (3)発明特定事項21A及び21Dについて 発明特定事項21Aは「を含むバッテリモジュールであって、」というものであり、発明特定事項21Dは「バッテリモジュール。」というものである。 前記5(1)アと同様に、甲1発明の「電池1」は本件発明21の「バッテリモジュール」に相当する。 甲1発明の「電池1」は、「複数のリチウム電気化学発電体3、3′、3″及び閉鎖多孔性の硬質難燃性フォーム10を含」む(構成b)ことに鑑みれば、本件発明21と甲1発明とは、ポリウレタンフォームポッティング化合物(甲1発明のフォーム10)及び電気セル(甲1発明の電気化学発電体)を含む「バッテリモジュールであ」る点で一致する。 (4)発明特定事項21Bについて 発明特定事項21Bは発明特定事項18Bと同じであるから、発明特定事項21Bについての対比は、前記11(2)と同様である。 (5)発明特定事項21Cについて 発明特定事項21Cは「前記ポッティング組成物が、ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量の液体難燃剤成分を含む、」というものである。 これに対し、甲1発明は、「難燃剤は、プラスチックフォームの3~10%を占める」(構成k)点で本件発明21と相違する。 (6)一致点及び相違点 前記(1)~(5)によれば、本件発明21と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 〈一致点〉 「ポリウレタンフォームポッティング化合物、及び、 前記ポッティング化合物中にポッティングされている電気セル を含むバッテリモジュールであって、 前記ポッティング化合物が前記ポリウレタンフォームを形成可能なポッティング組成物の硬化物である、バッテリモジュール。」である点。 〈相違点21〉 本件発明21は、「前記ポッティング組成物が、ポッティング組成物の合計重量に基づいて、少なくとも30重量%の量の液体難燃剤成分を含む」のに対し、甲1発明の難燃剤は、プラスチックフォームの3~10%を占める点。(発明特定事項21C) 15 相違点21についての判断 相違点21は、相違点1と同様である。 したがって、前記6と同様に、相違点21に係る構成は、当業者といえども容易に想到し得たものではない。 16 本件発明21及び22の新規性及び進歩性についての小括 前記14のとおり、本件発明21と甲1発明との間には相違点21が存在し、前記15のとおり、相違点21に係る構成は、当業者が甲2~甲4を参照しても容易に想到し得ないのであるから、本件発明21は、甲1発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲1発明並びに甲2~甲4に示される技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 本件発明22は、本件発明21の発明特定事項を全て包含し、さらに別の発明特定事項を備えるものであるから、本件発明22と甲1発明との間には、少なくとも相違点21が存在する。よって、本件発明21と同様に、本件発明22は、甲1発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲1発明並びに甲2~甲4に示される技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 第10 むすび 前記第2のとおり、本件訂正を認める。 前記第3のとおりであるから、本件特許の請求項6及び7についての特許異議の申立てを却下する。 前記第8及び前記第9(その内の特に7、10、13及び16)によれば、申立理由1~3並びに取消理由1及び2によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700624

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決10件(エイチ.ビー.フラー カンパニー、杉村 隆司)
  • 2025-700265異議申立 / 2026-01-28 / 請求成立(取消)エンコーダ
    同じ当事者: 杉村 隆司
  • 2024-701125異議申立 / 2025-12-10 / 訂正認容情報処理装置
    同じ当事者: 杉村 隆司
  • 2024-700519異議申立 / 2024-09-30 / 維持液体塗布型制振材用の2成分ポリウレタン系
    同じ当事者: エイチ.ビー.フラー カンパニー
  • 2023-701096異議申立 / 2024-03-26 / 維持オープンアーキテクチャ産業制御システム
    同じ当事者: 杉村 隆司
  • 2023-700293異議申立 / 2023-09-28 / 維持溶接異常診断装置
    同じ当事者: 杉村 隆司
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,892件(113・H01M、121・H01M、537・H01M ほか)
  • 2022-700229異議申立 / 2022-12-15 / 訂正認容非水電解質二次電池用正極活物質及びそれを用いた非水電解質二次電池
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M、832・H01M
  • 2026-700447異議申立 / 2026-08-26 / 維持窒素含有多孔質炭素及びその製造方法、並びに燃料電池用電極触媒
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M
  • 2025-701066異議申立 / 2026-07-16 / 維持二次電池バインダー、スラリー、電極、二次電池の製造方法、及び二次電池
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M
  • 2026-700111異議申立 / 2026-06-22 / 維持固体酸化物形電気化学セル及びその利用
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M
  • 2026-700141異議申立 / 2026-05-27 / 維持電気化学装置
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存