特許異議申立
2024-701125
情報処理装置
- 審判番号
- 2024-701125
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-022224
- 登録番号
- 7488590
- 請求日
- 2024年11月19日
- 審決日
- 2025年12月10日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社リアライズコーポレーション
- 【権利者代理人】岩池 満
- 【権利者代理人】菅沼 和弘
- 【異議申立人】杉村 隆司
- 審判長/審判官
- 審判長 相崎 裕恒
- 審判官 佐藤 智康
- 審判官 小池 堂夫
- 分類
- P1651.121-YAA(G06Q) / P1651.537-YAA(G06Q) / P1651.854-YAA(G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第29条、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7488590号発明「情報処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7488590号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを認める。
特許第7488590号の請求項1~3に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7488590号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成29年5月15日に出願した特願2017-96748号の一部を令和4年2月16日に新たな特許出願としたものであって、令和6年5月14日にその特許権の設定登録がされ、同月22日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許の請求項1~3に係る特許に対し、同年11月19日に特許異議申立人 杉村 隆司(以下「特許異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
その後の手続の経緯は、次のとおりである。
令和 7年 4月 4日付け:取消理由通知書
令和 7年 6月 2日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の
提出
同月16日付け:手続補正指令書
同年 7月18日 :訂正請求書に対する手続補正書Aの提出
同年 8月29日 :手続補正書Aに対する手続補正書Bの提
出
同年 9月12日付け:訂正請求があった旨の通知(特許法12
0条の5第5項)
同年10月16日 :特許異議申立人による意見書の提出
なお、以下では、令和7年4月4日付け取消理由通知書を、「取消理由通知書」という。また、手続補正書Bによる補正後の手続補正書Aによる補正後の令和7年6月2日提出の訂正請求書を、単に「訂正請求書」といい、当該訂正請求書による訂正請求を、「本件訂正請求」という。
第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「 使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得手段と、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで複数の加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成手段と、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値を判断するための第2用途で使用させる情報として抽出する情報抽出手段と、
を備える情報処理装置。」
と記載されているのを、
「 使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得手段と、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成手段と、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する情報抽出手段と、
を備える情報処理装置。」
に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「 情報処理装置が実行する情報処理方法において、
使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を、車両関連情報として取得する車両関連情報取得ステップと、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで複数の加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成ステップと、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値を判断するための第2用途で使用させる情報として抽出する情報抽出ステップと、
を含む情報処理方法。」
と記載されているのを、
「 情報処理装置が実行する情報処理方法において、
使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得ステップと、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成ステップと、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する情報抽出ステップと、
を含む情報処理方法。」
に訂正する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「 コンピュータに、
使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を、車両関連情報として取得する車両関連情報取得ステップと、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで複数の加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成ステップと、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値を判断するための第2用途で使用させる情報として抽出する情報抽出ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。」
と記載されているのを、
「 コンピュータに、
使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得ステップと、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成ステップと、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する情報抽出ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。」
に訂正する。
2 訂正の適否についての判断
(1) 訂正事項1について
以下では、必要に応じて、訂正事項1に係る訂正のうち、
「前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報」とする訂正を訂正事項1-1とし、
「複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、」とする訂正を訂正事項1-2とし、
「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報」とする訂正を訂正事項1-3として検討する。
ア 訂正の目的について
(ア) 訂正事項1-1について
訂正事項1-1に係る訂正は、取消理由通知書で不明確と指摘した訂正前の「加工情報」との記載を明確にするためのものと認められる。したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、少なくとも、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(イ) 訂正事項1-2について
訂正事項1-2に係る訂正は、訂正前の「複数の前記車両関連情報及び加工情報を含む、」との記載を、「複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、」と訂正することで、「加工情報」が「前記」のものである旨を限定する又は明確にするものである。したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に規定する特許請求の範囲の減縮又は明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(ウ) 訂正事項1-3について
訂正事項1-3に係る訂正は、取消理由通知書で、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、不明確と指摘した訂正前の「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値を判断するための第2用途で使用させる情報として抽出する情報抽出手段」との記載を、発明の詳細な説明に記載されたものに限定するともに、明確にするためのものと認められる。したがって、訂正事項1-3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に規定する特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(エ) 小括
上記(ア)~(ウ)によれば、訂正事項1に係る訂正は、全体でみれば特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に規定する特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
イ 新規事項の追加の有無について
本件特許の明細書の段落【0052】~【0056】、【0075】、【0082】、【0084】~【0103】、【図10】、【図11】を参照すれば、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について
(ア) 訂正事項1-1について
a 訂正事項1-1に係る訂正は、訂正前の「複数の加工情報」との記載について、文言上は、「複数の」との記載を削除するとともに、「前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される」との記載を追加するものとなっている。
このような訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か、検討する。
訂正後の「データベース生成手段」に関する記載の全体をみると、以下のとおりである。
「前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成手段」
当該記載において、「複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、」とあることから、「前記加工情報」は、複数であることが特定されている。さらに、技術常識からすると、データベースとは、多数の同種の情報が集積されるものであるから、「・・・前記加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成する」との記載から、当該データベースは、「前記加工情報」が多数集積されたものと解される。
そうすると、訂正後の「データベース生成手段」に関する上記記載には、「複数の加工情報」を生成することは明記されていないものの、実質上、複数の加工情報を生成するものとなっている。
したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもない。
b 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、令和7年10月16日提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)において、訂正事項1-1に係る訂正について以下のとおり意見を述べている。
「A.訂正要件違反
(1)請求項1-3において、「複数の加工情報」を「前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報」とする訂正について
訂正前は複数の加工情報が生成されることが記載されていたが、訂正後は、加工情報が「前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報」と「前記貨物運搬用車両についての時価情報」のいずれか一方から構成されてもよいことになり、単数の加工情報が生成されてもよいことになる。
したがって、上記訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に違反するものである。」(意見書1~2頁)
当該意見について検討すると、上記aですでに検討したとおり、訂正後の「加工情報」について、文言上「複数」との記載が無いものの、訂正後の「データベース生成手段」に関する記載全体をみれば、実質上複数の加工情報を生成するものとなっているから、訂正事項1-1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもない。
よって、特許異議申立人の意見は採用できない。
(イ) 訂正事項1-2について
訂正事項1-2に係る訂正は、訂正前の「複数の前記車両関連情報及び加工情報を含む、」との記載を、「複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、」との記載に訂正することで、「加工情報」が「前記」のものである旨を限定する又は明確にするものである。
したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもない。
(ウ) 訂正事項1-3について
a 訂正事項1-3に係る訂正は、訂正前の
「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値を判断するための第2用途で使用させる情報」との記載を、
「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報」と訂正するものである。
当該訂正は、訂正前の「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値を判断するための第2用途」との構成を「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途」に限定するとともに、訂正前の「第2用途で使用させる情報」との構成を、「第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報」に限定するものである。
したがって、訂正事項1-3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもない。
b 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、意見書において、訂正事項1-3に係る訂正について以下のとおり意見を述べている。
「(2)請求項1-3において、「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、」を削除する訂正について
「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、」という構成が限定されることなく単に削除されているため、上記訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に違反するものである。
なお、請求項1-3では、後段において「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、」との訂正がなされているが、金融会社が提供するどのような役務、すなわち金融会社が提供するどのようなサービスにおいてのものなのかは特定されていない。したがって、この後段の訂正を考慮しても、上記訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである。」(意見書2頁)
当該意見について検討する。
訂正後の「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断する」との記載について、当該「判断」は、金融会社の従業員等がその業務として行うものであり、「金融会社」が提供する役務の一部として行われるものと解される。
そうすると、上記aでも検討したとおり、訂正事項1-3に係る訂正は、訂正前の「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値を判断するための第2用途」との構成を「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途」に限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもない。
よって、特許異議申立人の意見は採用できない。
(エ) 小括
上記(ア)~(ウ)によれば、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、請求項2について、訂正事項1に係る訂正と同様の訂正を行うのに加えて、「・・・関連する情報を、車両関連情報として取得する車両関連情報取得ステップと、」との記載を、「・・・関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得ステップと、」と、読点を削除する訂正を行うものである。
そして、当該読点を削除する訂正は実質的なものではないから、訂正の適否についての判断に影響しない。
したがって、訂正事項1に係る訂正と同様に、訂正事項2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(3) 訂正事項3について
訂正事項3に係る訂正は、請求項3について、訂正事項2に係る訂正と同様の訂正を行うものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正と同様に、訂正事項3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
(4) 訂正の適否についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
また、本件訂正請求に係る請求項1~3の特許については、いずれも特許異議の申立てがなされているので、独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~3に係る発明(以下「本件特許発明1」などという。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得手段と、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成手段と、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する情報抽出手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得ステップと、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成ステップと、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する情報抽出ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項3】
コンピュータに、
使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得ステップと、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成ステップと、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する情報抽出ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。」
第4 取消理由通知書に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審において、訂正前の請求項1~3に係る特許に対して取消理由通知書で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
2 判断
(1) 特許法36条6項1号(サポート要件)について
ア 第2用途で使用させる情報として抽出されたものを出力しない態様について(取消理由通知書の9~10頁 理由1のウ(イ))
(ア) 特許請求の範囲の記載
請求項1には、「前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、・・・第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する情報抽出手段」を備える情報処理装置であることが記載されている。
(イ) 本件特許の明細書の記載
a 明細書の段落【0004】~【0005】から、本件特許発明の課題は、「貨物運搬用車両を対象とする市場における流通を活発化させ、運送会社、貨物運搬用車両販売会社、金融会社等の利益に資する技術を確立する」ことといえる。
b 明細書の段落【0027】には、第2用途で使用させる情報として抽出されたものをユーザに送信等することが、段落【0075】には、「車両関連情報抽出部207によって抽出された情報」をユーザ端末に送信し、ユーザ端末側の車両関連情報処理部208」が「第2用途で使用する処理を実行する」こと等が記載されている。
また、段落【0094】~【0103】には、運用会社Tの与信に関する情報が金融会社端末7に提供されることについて記載されており、「表示領域H1の与信状況に表示される参考与信額を算出するための根拠情報には、・・・取得情報加工部205によって加工された情報(加工情報)とを用いることができる。」(段落【0099】)こと等が記載されている。
(ウ) 特許請求の範囲と発明の詳細な説明の対比
上記(ア)の記載によれば、本件特許発明1の情報処理装置は、「前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部」を、「当該金融会社端末に送信する」及び「運送会社サマリー情報として表示させる」という目的に即した内容、構造等を備えるように抽出すること、及び、本件特許発明1の情報処理装置により抽出された当該情報は、当該目的に沿って利用されることが、特定されている。
そうすると、上記(ア)の記載と上記(イ)の記載を対比すれば、本件特許発明1は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである、または、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるといえる。
(エ) 本件特許発明2、3について
本件特許発明2、3には、本件特許発明1と同様の記載がある。したがって、本件特許発明2、3は、本件特許発明1と同様に、本件特許発明1は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである、または、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるといえる。
(オ) 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、意見書において、以下のとおり意見を述べている。
「B.取消理由について
(1)サポート要件について
令和7年4月4日起案の取消理由通知書の第10頁第5行~第10行では、「請求項1に係る発明の態様のうち、第2用途で使用させる情報として抽出されたものを出力しない態様は、「運送会社Tの与信審査におけるスコアリング」や「運送会社Tの資産の残価審査」等それ自体をSaaSとして実現する態様を含むものであり、この点において、明細書にその記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものとなっていない。」と記載されている。しかしながら、訂正後の請求項1-3では、第2用途で使用させる情報として抽出されたものを出力するものに限定されておらず、依然として、第2用途で使用させる情報として抽出されたものを出力しない態様も含むものとなっている。
なお、請求項1-3のさらに後段において、「当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」との訂正がなされている。しかしながら、「当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させる」ことを目的としていることが記載されているにすぎず、金融会社端末に情報が実際に送信されるものとはなっていない。したがって、訂正後の請求項1-3では、依然として、第2用途で使用させる情報として抽出されたものを出力しない態様も含むものとなっている。
よって、本件特許の請求項1-3の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
なお、第2用途で使用させる情報として抽出された「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部」を単に「出力」するものに限定されたとしても、本件特許の請求項1-3の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。車両関連情報と加工情報のうち少なくとも一部が金融会社に出力、すなわち金融会社に送信されなければ、与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断することができないからである。本件特許の【0035】においても、「ステップS15において、サービス提供サーバ1は、金融会社Fに第2用途で使用させるために、車両関連情報DB401に集積された車両関連情報を金融会社端末7に送信する(金融会社向けサービスの提供)。」と記載されており、金融会社に情報が送信される態様しか本件特許には記載されていない。
したがって、与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断することができるように、車両関連情報と加工情報のうち少なくとも一部が、金融会社に出力、すなわち金融会社に送信されるものに限定されなければ、請求項1-3に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載したものということができず、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすことはできない。」(意見書2~4頁)
当該意見について検討する。
上記(ウ)で検討したとおり、本件特許における上記(ア)の記載は、単なる人間の主観を意味するものではなく、「前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部」を、「当該金融会社端末に送信する」及び「運送会社サマリー情報として表示させる」という目的に即した内容、構造等を備えるように抽出すること、及び、本件特許の情報処理装置等により抽出された当該情報は、当該目的に沿って利用されることを、構成として特定するものと解される。
そのため、本件特許発明1~3は、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。
よって、特許異議申立人の意見は採用できない。
イ 「金融会社を含む物流周辺会社」及び「第2用途」が「貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値」を「判断」するためのものであることについて(取消理由通知書の10~11頁 理由1のウ(ウ))
本件訂正後の本件特許発明1~3は、「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断する」ものであって、明細書の段落【0094】~【0103】等の記載を参照すれば、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。
ウ 特許法36条6項1号(サポート要件)についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明1~3は、発明の詳細な説明に記載されたものであるから、本件特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たす。
(2) 特許法36条6項2号(明確性要件)について
ア 「複数の前記車両関連情報を加工することで複数の加工情報を生成し、」について(取消理由通知書の11~12頁 理由2のア)
本件訂正により請求項1~3の記載は、「複数の前記車両関連情報を加工することで前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報を生成し、」となった。
訂正後の記載によれば、「加工情報」の定義は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確とはいえない。
イ 「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務」について(取消理由通知書の12頁 理由2のイ)
(ア) 本件訂正により請求項1~3の記載は、「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断する」となった。
当該記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確とはいえない。
(イ) 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、意見書において、以下のとおり意見を述べている。
「(2)明確性について
訂正前の「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務」について
請求項1-3では、訂正において、「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務において、」が削除され、後段において「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、」との訂正がなされている。しかしながら、依然として、金融会社が提供するどのような役務、すなわち金融会社が提供するどのようなサービスにおいてのものなのかは明確になっていない。したがって、訂正後の請求項1-3に記載された発明は明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」(意見書4頁)
当該意見について検討すると、訂正後の請求項1~3には「役務」との記載が無いから、金融会社が提供するどのような役務においてのものなのか明確でないとの特許異議申立人の意見は失当である。
よって、特許異議申立人の意見は採用できない。
ウ 「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値を判断するための第2用途」について(取消理由通知書の12~13頁 理由2のウ)
本件訂正により請求項1~3の記載は、「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途」となった。
当該記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確とはいえない。
エ 特許法36条6項2号(明確性要件)についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明1~3は明確であるから、本件特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たす。
第5 取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由及び主張の概要
特許異議申立人が特許異議申立書で主張する申立ての理由は、下記(1)~(4)のとおりである。
以下では、下記(1)~(4)のうち、取消理由通知書において採用しなかったものについて検討する。
(1) 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性欠如;特許異議申立書19~39頁)
ア 本件特許発明1~3に係る発明は、下記甲第1号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に掲げる発明であるから、本件特許発明1~3についての特許は、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものである。
イ 本件特許発明1~3に係る発明は、下記甲第1号証及び甲第2号証、又は、下記甲第1号証~甲第3号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1~3についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
(2) 申立理由2(甲第4号証に基づく新規性・進歩性欠如;特許異議申立書40~50頁)
ア 本件特許発明1~3に係る発明は、下記甲第4号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に掲げる発明であるから、本件特許発明1~3についての特許は、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものである。
イ 本件特許発明1~3に係る発明は、下記甲第4号証及び甲第5号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1~3についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
(3) 申立理由3(サポート要件違反;特許異議申立書51~54頁)
本件特許は、下記ア~カの点で、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 「情報抽出手段」について、構成要件に抽出した情報の用途を限定する記載が含まれているが、その用途以外で本件発明が使用される可能性があるから、請求項1~3の記載は本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。(特許異議申立書52頁6行~21行)
イ 「車両運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬要所車両に関連する情報」について、当該情報に何が含まれるのか不明確であるから、請求項1~3の記載は本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。(特許異議申立書52頁22行~53頁4行)
ウ 「情報抽出手段」について、車両関連情報の少なくとも一部を抽出するとあり例えば車体番号の情報を抽出するだけのものを含むが、そのような構成では本件特許発明の課題を解決できないから、請求項1~3の記載は本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。(特許異議申立書53頁5行~15行)
エ 「加工情報」について定義がなく、どのように本件特許発明の課題を解決するのか明らかでないから、請求項1~3の記載は本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。(特許異議申立書53頁16行~30行)
オ 「第2用途」がどのような用途か不明確であり、どのように本件特許発明の課題を解決するのか明らかでないから、請求項1~3の記載は本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。(特許異議申立書53頁31行~54頁1行)
カ 「情報抽出手段」について、情報を抽出するだけでは本件特許発明の課題を解決することができないから、請求項1~3の記載は本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。(特許異議申立書54頁2行~11行)
上記ア~カのうち、カについては取消理由通知書において採用した。以下では、取消理由通知書において採用しなかったア~オについて検討する。
(4) 申立理由4(明確性要件違反;特許異議申立書55~56頁)
本件特許は、下記ア~エの点で、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
ア 「貨物運搬用車両に関連する情報」との記載が不明確である。(特許異議申立書55頁3行~18行)
イ 「加工情報」とはどのような情報か不明確である。(特許異議申立書55頁19行~34行)
ウ 「金融会社を含む物流周辺会社が提供する役務」との記載が不明確である。(特許異議申立書55頁35行~56頁8行)
エ 「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する団体についての所定価値を判断するための第2用途」との記載が不明確である。(特許異議申立書56頁9行~)
上記ア~エのうち、イ~エについては取消理由通知書において採用した。以下では、取消理由通知書において採用しなかったアについて検討する。
2 証拠方法
甲第1号証:特開2002-149998号公報
甲第2号証:特開2002-358472号公報
甲第3号証:特開2014-130643号公報
甲第4号証:特開2010-257029号公報
甲第5号証:特開2013-214138号公報
3 甲号証の記載
特許異議申立の証拠方法として提出された甲第1号証から甲第5号証(以下「甲1」などという。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。
(1) 甲1(特開2002-149998号公報)
ア 甲1の摘記
甲1には、次の記載がある。(下線は当審において付与した。下記(2)から(5)において同様。)
「【請求項1】
車両の所有者がアクセス可能なクライアントサーバコンピュータ環境において車両情報を管理する方法であって、
少なくとも車種及び車体年式を含む車両に関する情報を、その所有者の識別子と共に格納した車両情報データベースと、車種及び車体年式毎の中古車の取引き相場情報を格納した取引き相場データベースとを、1又は複数のサーバコンピュータ上に用意する工程と、
所有者の操作するクライアントコンピュータから車両情報の表示要求があったときに、該所有者の識別子に基づいて前記車両情報データベースから該所有者の車両に関する情報を取得する工程と、
前記取得した車両に関する情報に基づいて、前記取引き相場データベースから対象の車両についての相場価格又は相場価格帯を含む取引き相場情報を取得する工程と、
前記取得した取引き相場情報を、前記取得した車両に関する情報と共に、前記クライアントコンピュータ上で表示させる工程と、を備えた車両情報を管理する方法。」
「【請求項5】
前記車両情報データベースが、車種及び車体年式以外の車両に関する情報に基づいてその価値を数値化した車両点数を含み、
前記方法が、前記取得した相場価格又は相場価格帯、及び前記車両点数に基づいて、対象の車両の予想相場価格を算出する工程を含み、
前記取引き相場情報を前記クライアントコンピュータ上で表示させる工程が、前記予想相場価格を含む取引き相場情報を、前記取得した車両に関する情報と共に、前記クライアントコンピュータ上で表示させるものである請求項1~4の何れかに記載の車両情報を管理する方法。」
「【請求項11】
競売の対象となる車両についての情報を格納した競売情報データベースを用意する工程と、
車両の所有者の操作するクライアントコンピュータから、自己の車両を競売の対象とする要求があったときに、前記車両情報データベースに格納された対象の車両の情報を、前記競売情報データベースに格納する工程と、を更に備えた請求項1~10の何れかに記載の車両情報を管理する方法。」
「【請求項13】
車両の所有者がアクセス可能なクライアントサーバコンピュータ環境において車両情報を管理する装置であって、
少なくとも車種及び車体年式を含む車両に関する情報を、その所有者の識別子と共に格納した車両情報データベースと、
車種及び車体年式毎の中古車の取引き相場情報を格納した取引き相場データベースと、
所有者の操作するクライアントコンピュータから車両情報の表示要求があったときに、該所有者の識別子に基づいて前記車両情報データベースから該所有者の車両に関する情報を取得する手段と、
前記取得した車両に関する情報に基づいて、前記取引き相場データベースから対象の車両についての相場価格又は相場価格帯を含む取引き相場情報を取得する手段と、
前記取得した取引き相場情報を、前記取得した車両に関する情報と共に、前記クライアントコンピュータ上で表示させる手段と、を備えた車両情報を管理する装置。」
「【0022】
【発明の実施の形態】以下、図示した一実施形態に基いて本発明を詳細に説明する。以下の実施形態においては、インターネットオークションサイト内で実現された車両情報の管理システムに沿って本発明を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両情報管理システムを構成する車両情報管理サーバ及びそのユーザが使用するクライアントコンピュータを示したブロック図である。本発明に係る車両情報管理サーバ100は、インターネットのようなコンピュータネットワーク上のサーバシステムとして構成され、車両の所有者を含む本サイトの利用者である登録ユーザのクライアントコンピュータ150からアクセス可能にされる。」
「【0026】車両情報データベース116には、車両の所有者である登録ユーザによって提供された車両に関する情報が含まれる。車両に関する情報としては、例えば、登録ID、車名、車両のグレード(本明細書では、車名及びグレードを合わせて車種ということがある)、ボディカラー、車体年式、走行距離、車検日、事故暦、損傷情報、整備履歴情報、各種装備情報(ステレオ、カーナビゲーションシステム、エアコン、サンルーフ、エアバックなど)、車両の使用状況(通勤用かレジャー用か、ペットの有無、喫煙の有無、保管状態など)、ハンドルやミッションの形式、外観及び内観の画像データが含まれる。また、車両情報データベース116には、車両の所有者のユーザIDが含まれ、このIDをキーとしてシステムは、車両の所有者を識別する。また、後述するように、本システムにおいては他者の所有に係る車両の情報を参照し、その情報に基づいて該車両の購入希望を、その希望価格と共に、提示することができる。車両情報データベース116には、この購入希望が他者からなされた場合に、その情報(購入希望者の人数、各購入希望者のユーザID、購入希望価格など)が格納される。」
「【0028】取引き相場データベース118は、中古車市場における取引き相場の情報を格納したデータベースである。取引き相場の情報には、車種及び車体年式毎の中古車の取引き相場価格帯が含まれ、例えば、以下に示すようなレコードを含むことができる。」
「【0030】取引き相場データベース118には、業者間又は消費者市場における取引き価格を格納することができ、また、通常の売買市場又は競売市場(ネットワーク上におけるものを含む)における取引価格を格納することができる。本実施形態においては、業者間における競売市場における取引き相場価格帯が格納される。該取引き相場データベース118は、それが人による入力作業によって構築されるものであってもよいし、また売買をコンピュータによって自動化したシステムによって自動的に構築されるようなものであってもよい。また、取引き相場データベース118には、取引価格以外の他の情報、例えば、特定の市場における取引き数、取引き高、人気度などの指標を含んでもよい。」
「【0032】これらのデータベースに対するデータの操作、すなわちデータの読み出し、書き込み、条件抽出、並び替え、クライアントコンピュータへの転送等が、CPU102及びこの上で動作されるプログラムによって実行されることは、当業者であれば明らかであろう。また、前記1又は複数のデータベースが、複数のサーバに渡って構築されるものであってもよい。」
「【0035】図3は、登録ユーザが自己の車両を本サイトにおいて管理するための車両の登録手続を示すフローチャートである。本図に従って、以下、登録ユーザが車両を本システムに登録する場合の手続について説明する。図1における車両情報管理サーバ100上のウェブページ112には、登録ユーザが自己の車両についての情報を登録するためのページが含まれる。車両登録のためのページは、例えば、ユーザを特定するためのユーザID及びパスワード、車両の基本スペック(例えば、車名、ボディカラー、年式、走行距離、車検日、ハンドルやミッションの形式その他)、車両の装備に関する情報(例えば、エアコン、パワーウィンド、オーディオ、サンルーフ、アルミホイール、カーナビゲーションその他の有無)、損傷関連情報(例えば、事故暦、傷やへこみの状態、整備履歴情報その他)、車両の使用状況(通勤用かレジャー用か、ペットの有無、喫煙の有無、保管状態など)などを入力するテキストボックスやラジオボタン、及び登録送信ボタンを含むことができる。なお、車両の外観及び内観の画像データは、この送信データに添付して送信することもできるし、別途電子メールによって送信することもできる。
【0036】クライアントコンピュータ150において、車両の所有者であるユーザにより前記各種情報が入力され、登録送信ボタンの押下によりその送信が行われると、車両情報管理サーバ100はこれを受信する(工程302)。次に、受信したユーザ情報に必要事項が全て記載されているか否かが判断され(工程304)、記載が十分でない(例えば、車名の記載がない)場合、これを該ユーザに通知し、再度の登録を促す(工程306)。必要事項が全て記載されている場合、該車両に対し、サーバシステム上でこれを識別するための登録IDが生成される(工程308)。そして、車両に関する前記情報及び生成された登録IDは、車両情報データベース116に登録される(工程310)。以上により、競売の対象となる車両の登録が完了する。
【0037】次に、車両情報をその所有者のクライアントコンピュータ上に表示させるための車両情報管理サーバにおける制御について説明する。図4は、車両情報をその所有者のクライアントコンピュータ上に表示させるための手続を示したフローチャートである。制御は、対象の車両の所有者からの表示要求を受信することにより開始される(工程402)。この表示要求は、車両の所有者が本サイトにアクセスし、そのユーザID及びパスワードを用いて、対象のサービスへログインすることをもって実現することができる。システムは、前記ログインにより車両の所有者からユーザID及びパスワードを受信すると、車両情報データベース116にアクセスする。そして、そのユーザIDに基づいて、対象の車両の情報レコードを特定し、これを取得、すなわちRAM104上に読み出す(工程404)。次いで、取得した車両の情報の中から、対象の車両の車種及び車体年式を抽出する(工程406)。
【0038】次いで処理は、対象車両の取引き相場価格を取得し、これに基づいてその下取り価格を表示するグラフを生成する一連の工程508~514を開始する。すなわち、システムは、最初に、取引き相場データベース118にアクセスし、先の工程で抽出した車種情報に基づいて、対象の相場価格帯(最安値及び最高値)を取得する(工程408)。該車種について複数の車体年式がある場合は、各年式毎にこの相場価格帯を取得する。次いで、この取得した相場価格帯から車両の下取り価格帯を算出する(工程410)。この演算は、取得した各相場価格に、経験的又は統計的に見出された一定率を掛けることによって行うことができる。例えば、業者間の取引き相場価格が、経験的又は統計的に、中古車両の下取り価格の120%である場合には、以下により下取り価格を求める。」
「【0048】次の工程414において、前記算出された対象車両についての下取り価格帯に基づいて、売却年次毎の下取り価格帯グラフ(すなわち、横軸を売却年次とし、縦軸を下取り価格帯とする帯状グラフ)が生成される。本実施形態においては、これに加えて、各価格帯の中心値を結ぶ折れ線グラフを重ねて生成する。そして、先の工程404で取得した車両情報、及び前記生成した下取り価格帯グラフを含むウェブページ112を生成し(工程416)、これをその車両の所有者が操作するクライアントコンピュータ150へ送信し、そのディスプレイ上にこれを表示させる(工程418)。以上の工程を経て、要求された車両の情報及びその下取り価格を示すグラフを含むウェブページを表示させることができる。」
イ 甲1の記載事項
上記アで摘記した記載によると、甲1には、次の技術的事項が記載されているに等しいといえる。
(ア) 甲1の段落【0022】を参照すれば、甲1には、「インターネットオークションサイト内で実現された」「車両情報管理システムを構成する車両情報管理サーバ」が記載されている。
(イ) 甲1の段落【0035】~【0036】には、「登録ユーザが自己の車両を本サイトにおいて管理するための車両の登録手続」において、「車両情報管理サーバ100上のウェブページ112には、登録ユーザが自己の車両についての情報を登録するためのページが含まれ」、「車両登録のためのページは、例えば、・・・車両の基本スペック(例えば、車名、ボディカラー、年式、走行距離、車検日、ハンドルやミッションの形式その他)、車両の装備に関する情報(例えば、エアコン、パワーウィンド、オーディオ、サンルーフ、アルミホイール、カーナビゲーションその他の有無)、損傷関連情報(例えば、事故暦、傷やへこみの状態、整備履歴情報その他)、車両の使用状況(通勤用かレジャー用か、ペットの有無、喫煙の有無、保管状態など)などを入力するテキストボックスやラジオボタン、及び登録送信ボタンを含」み、「前記各種情報が入力され、登録送信ボタンの押下によりその送信が行われると、車両情報管理サーバ100はこれを受信する」ことが記載されている。ここで、「車両情報管理サーバ100はこれを受信する」との記載から、車両情報管理サーバ100が、車両についての情報を取得する手段を備えるといえる。
以上によれば、甲1には、車両情報管理サーバは、登録ユーザが自己の車両を本サイトにおいて管理するための車両の登録手続において入力された当該車両についての情報、例えば、車両の基本スペック(例えば、車名、ボディカラー、年式、走行距離、車検日、ハンドルやミッションの形式その他)、車両の装備に関する情報(例えば、エアコン、パワーウィンド、オーディオ、サンルーフ、アルミホイール、カーナビゲーションその他の有無)、損傷関連情報(例えば、事故暦、傷やへこみの状態、整備履歴情報その他)、車両の使用状況(通勤用かレジャー用か、ペットの有無、喫煙の有無、保管状態など)を取得する手段を備えることが記載されているといえる。
(ウ) 甲1の段落【0026】には、「車両情報データベース116には、車両の所有者である登録ユーザによって提供された車両に関する情報が含まれる」ことが、【請求項5】には、「前記車両情報データベースが、車種及び車体年式以外の車両に関する情報に基づいてその価値を数値化した車両点数を含」むことが、段落【0028】には、「取引き相場データベース118は、中古車市場における取引き相場の情報を格納したデータベースである」ことが記載されている。
また、段落【0030】には、「該取引き相場データベース118は、」「売買をコンピュータによって自動化したシステムによって自動的に構築されるようなものであってもよい。」ことが、段落【0032】には、「これらのデータベースに対するデータの操作、すなわちデータの読み出し、書き込み、条件抽出、並び替え、クライアントコンピュータへの転送等が、CPU102及びこの上で動作されるプログラムによって実行される」ことが記載されている。当該CPU及びプログラムのうち、データベースに対するデータの書き込み、条件抽出、並び替え等のデータ操作を行う機能、取引価格を格納する機能は、言い換えれば、データを取得及び加工のうえ集積したデータベースを生成する手段であるから、「データベース生成手段」と称し得るものである。
以上によれば、甲1には、車両の所有者である登録ユーザによって提供された車両に関する情報を取得し、中古車市場における取引き相場の情報を生成するとともに、車種及び車体年式以外の車両に関する情報に基づいてその価値を数値化した車両点数を生成し、これらの情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成手段を備えることが記載されているといえる。
(エ) 甲1の段落【0037】には、「車両情報データベース116にアクセス」して「対象の車両の情報レコードを特定し、これを取得」することが、段落【0038】には、「取引き相場データベース118にアクセスし、先の工程で抽出した車種情報に基づいて、対象の相場価格帯(最安値及び最高値)を取得する」ことが記載されている。これらの処理を実現する手段は、情報を抽出する手段といえるから、情報抽出手段と称し得るものである。
以上によれば、甲1には、車両情報データベースにアクセスして対象の車両の情報レコードを特定して抽出するとともに、取引き相場データベースにアクセスして、先の工程で抽出した車種情報に基づいて、対象の相場価格帯を抽出する情報抽出手段が記載されているといえる。
(オ) 甲1の段落【0048】には、「取得した車両情報、及び前記生成した下取り価格帯グラフを含むウェブページ112を生成し(工程416)、これをその車両の所有者が操作するクライアントコンピュータ150へ送信し、そのディスプレイ上にこれを表示させる」ことが記載されている。
以上によれば、甲1には、取得した車両情報、及び前記生成した下取り価格帯グラフを含むウェブページを生成し、これをその車両の所有者が操作するクライアントコンピュータへ送信し、そのディスプレイ上にこれを表示させる手段を備えることが記載されている。
ウ 甲1発明
前記イから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
<甲1発明>
インターネットオークションサイト内で実現された車両情報管理システムを構成する車両情報管理サーバであって、(上記イ(ア))
登録ユーザが自己の車両を本サイトにおいて管理するための車両の登録手続において入力された当該車両についての情報、例えば、車両の基本スペック(例えば、車名、ボディカラー、年式、走行距離、車検日、ハンドルやミッションの形式その他)、車両の装備に関する情報(例えば、エアコン、パワーウィンド、オーディオ、サンルーフ、アルミホイール、カーナビゲーションその他の有無)、損傷関連情報(例えば、事故暦、傷やへこみの状態、整備履歴情報その他)、車両の使用状況(通勤用かレジャー用か、ペットの有無、喫煙の有無、保管状態など)を取得する手段と、(上記イ(イ))
車両の所有者である登録ユーザによって提供された車両に関する情報を取得し、中古車市場における取引き相場の情報を生成するとともに、車種及び車体年式以外の車両に関する情報に基づいてその価値を数値化した車両点数を生成し、これらの情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成手段と、(上記イ(ウ))
車両情報データベースにアクセスして対象の車両の情報レコードを特定して抽出するとともに、取引き相場データベースにアクセスして、先の工程で抽出した車種情報に基づいて、対象の相場価格帯を抽出する情報抽出手段と、(上記イ(エ))
取得した車両情報、及び前記生成した下取り価格帯グラフを含むウェブページを生成し、これをその車両の所有者が操作するクライアントコンピュータへ送信し、そのディスプレイ上にこれを表示させる手段と、(上記イ(オ))
を備える車両情報管理サーバ
(2) 甲2(特開2002-358472号公報)
ア 甲2の記載事項
甲2には、次の記載がある。
「【請求項1】
メーカ名、車種名、車両用途、車両形状、車種グレード、認定型式、型式指定番号、類別区分番号、ミッション、駆動方式、排気量、ドア数、通称型式、定員と積載量、エンジン型式、エンジンの気筒数、エンジン機構、タイヤサイズ、過給器、ルーフ形状、排ガス規制、ボディーサイズ、自動車税区分、重量税、保険クラス、使用契約年、使用契約の満了年、使用契約期間、新車価格、使用契約満了後の売却額、再販時の走行距離、再販時の査定評価等の既再販車両に関するデータを用いて再販前の車両の売却額、残価額、又は残価率に関する情報を予測する車両再販価格分析システムであって、所定期間内に再販された既再販車両に関するデータを抽出する第1のステップと、前記第1のステップで抽出したデータを用いて、車両再販価格に影響を与えている要因を相関分析によって抽出する第2のステップと、抽出した前記要因と既売却額に関するデータとの相関関係から重回帰式を取得する第3のステップとを有し、前記第3のステップで取得した重回帰式を再販前の車両の予想売却額、予想残価額、又は予想残価率に関する情報予測に用いることを特徴とする車両再販価格分析システム。」
「【請求項11】
前記既再販車両を、乗用、商用、貨物、若しくはバス等の車両用途、又はセダンタイプ、ハッチバックタイプ、若しくはワンボックスタイプ等の車両形状によって区分し、区分した前記既再販車両に関するデータを用いたことを特徴とする請求項3から請求項8のいずれかに記載の車両再販価格分析システム。」
「【0071】
図1は、同実施例による車両再販価格分析システムを含む全体構成を示すブロック図である。再販支援システム10は、支援側車両再販システム11と入札支援システム12とを備えている。支援側車両再販システム11は、車種データベース13と、既再販車両データベース14と、予想売却額算出システム15とを備えている。ここで、車種データベース13は、メーカ名、車種名、車両用途、車両形状、車種グレード(車種名、グレード名)、認定型式、通称型式(型式指定番号、類別区分番号)、ミッション、駆動方式、排気量、ドア数、定員、積載量、エンジン型式(原動機型式)、エンジンの気筒数、エンジン機構、タイヤサイズ、過給器、ルーフ形状、排ガス規制、ボディーサイズ、ボディーカラー、自動車税区分、重量税、保険クラス、人気指数、車両用途、車両形状、発売始期、発売終期等のデータを有している。ここで人気指数とは、車種別に区分した分類中で残価率によってランク分けした指数である。例えばカローラとシビックとの残価率が同等で、サニーの残価率がカローラより2ランク低い場合には、カローラの人気指数が25、シビックの人気指数が25、サニーの人気指数が22と設定される。車両用途とは、用途による車両の分類であり、乗用車、バン、バス、トラック等に分類される。車両形状とは、ドア数や外形形状による分類であり、例えば、4ドア+トランクであればセダン(SD)、2ドア+テールゲイト(4ドア仕様なし)であればハッチバック(HB)、2ドア+トランクであればクーペ又はスポーツ(CP)、2~4ドア+テールゲイト又は4ドアベースのフルボンネットであればボンネットワゴン(BW)、3~4ドア+テールゲイト又はセミキャブオーバであればキャブワゴン(CW)となる。また既再販車両データベース14は、使用契約年、使用契約の満了年、使用契約期間、新車価格、使用契約満了後の売却額、再販時の走行距離、再販時の査定評価等の既再販車両に関するデータを有している。また予想売却額算出システム15は、車種データベース13及び既再販車両データベース14のデータから重回帰式、相関関係式、又は相関関係を対応づけたテーブルを取得し、再販前の予想売却額、予想残価額、又は予想残価率に関する情報を算出するシステムである。また入札システム12は、国内入札会、海外入札会、インターネットを利用したweb上での入札会、オークション、店舗等での小売を選択して出品するシステムである。例えば、入札システム12から入札会場の入札会場システム16に対して出品車両に関する出品データの送信を行う。」
(3) 甲3(特開2014-130643号公報)
ア 甲3の記載事項
甲3には、次の記載がある。
「【請求項1】
オークション事業者が行うオークションに車両を出品する出品者に対して、資金融通者が前記車両を購入することで前記車両に対応する落札前の資金を融通し、
前記出品者が前記車両を前記オークションでオークション参加者に落札させた後、前記資金融通者が落札代金を受け取って、当該受け取った落札代金から前記融通した資金を含む金額を差し引くことで、清算を行う資金融通システムで使用する資金融通サーバであって、
前記出品者が出品する車両の前記オークションにおける評価値を取得して記憶する評価値取得手段と、
前記記憶した評価値に基づいて前記出品者に融通する融通金額を決定して記憶する融通金額決定手段と、
前記出品者から前記車両を、前記融通金額決定手段が決定して記憶した融通金額で購入する購入手段と、
前記記憶した融通金額を出力する融通金額出力手段と、
前記購入手段で前記車両を購入した場合、所定の期間出品者に対し、前記車両を買い戻す権利であるコールオプションを付与するコールオプション付与手段と、
前記車両が前記オークションで流札となって再出品する回数を計数して記憶する回数計数手段と、
前記記憶した回数が所定値に達した場合に、再出品する意思の有無を確認する通知を前記出品者に対して送信する通知送信手段と、
を具備したことを特徴とする資金融通サーバ。」
「【0015】
(1)実施形態の概要
出品店3(図1)は、オークション会社2に車両を出品し、オークション会社2は、車両を評価して評価額を資金融通会社5に伝える。資金融通会社5は、評価額に基づいて融通金額を決定して出品店3に融通金を支払う。
その後、出品店3は、オークションで車両をできるだけ高い価格で参加店4に競り落とさせる。
資金融通会社5は、参加店4が支払った落札代金を受領して、融通金と落札代金の差額を出品店3との間で清算する。
以上の車両オークションシステム1において、オークションサーバ6は、車両の評価額を計算して管理サーバ7に通知し、管理サーバ7は、当該評価額に基づいて融通金額を決定して出力する。」
「【0067】
以上に説明した本実施の形態により、次の構成を得ることができる。
車両オークションシステム1は、オークションに車両を出品する出品者(出品店3)に対して資金融通者(資金融通会社5)が前記車両に対応する落札前の資金(融通金)を融通し、前記出品者が前記車両を前記オークションでオークション参加者(参加店4)に落札させた後、前記融通者が落札代金を受け取って、前記出品者に対して前記融通した資金と前記落札代金との清算を(特別加算金によって)行う資金融通システムとして機能している。
そして、管理サーバ7は、当該資金融通システムで使用する資金融通サーバであって、オークションサーバ6から出品店3の出品する車両の評価額を受信して融通管理DBに記憶し、当該記憶した評価額から融通金額を計算して融通管理DBに記憶するため、前記出品者(出品店3)が出品する車両の前記オークションにおける評価値(評価額)を取得して記憶する評価値取得手段と、前記記憶した評価値に基づいて前記出品者に融通する融通金額を決定して記憶する融通金額決定手段を備えている。
そして、管理サーバ7は、融通金額をディスプレイやプリンタに出力したり、振込指示ファイルとして出力するため、前記記憶したした融通金額を出力する融通金額出力手段を備えている。」
(4) 甲4(特開2010-257029号公報)
ア 甲4の摘記
甲4には、次の記載がある。
「【請求項1】
現在市場価値情報算出端末からリース車両の現在の市場における価値に関する情報を受信する第1のリース車両現在市場価値情報受信手段と、
現在市場価値情報算出端末からリース車両のリース期間中における価値に関する情報を受信する第2のリース車両現在市場価値情報受信手段と、
リース会社端末から第1のリース料見積情報を受信する第1のリース料見積情報受信手段と、
リース会社端末から残価情報を受信する残価情報受信手段と、
リースユーザに関する情報が記録されたリースユーザ情報記録手段と、
リース車両に関する情報が記録されたリース車両情報記録手段と、
前記リースユーザ情報記録手段に記録されたリースユーザの債務履行情報に基づいてリースユーザの信用情報を作成する信用情報作成手段と、
信用情報機関端末から照会リースユーザに関する信用情報を受信する照会信用情報受信手段と、
前記リース車両情報記録手段に記録されたリース車両情報に基づいて第2のリース料見積情報を算出する第2のリース料見積情報算出手段と、
前記第1のリース料見積情報受信手段によって受信した第1のリース料見積情報と、前記第2のリース料見積情報算出手段によって算出された第2のリース料見積情報とを比較する見積情報比較手段と、
前記第2のリース車両現在市場価値情報受信手段によって受信したリース車両のリース期間中における価値に関する情報と、前記第1のリース料見積情報受信手段によって受信した第1のリース料見積情報に基づいて計算した経年価値とを比較する経年価値情報比較手段と、
前記第1のリース車両現在市場価値情報受信手段によって受信したリース車両の現在の市場における価値に関する情報と、前記残価情報受信手段によって受信した残価情報とを比較する残価情報比較手段と、
前記信用情報作成手段によって作成された信用情報の見返りとして信用情報機関端末から受信した照会信用情報、前記見積情報比較手段の比較結果、前記経年価値情報比較手段の比較結果、及び前記残価情報比較手段の比較結果に基づいて、オートリースの与信判断またはオートリース保証の認否を決定するリース保証認否決定手段と、
該リース保証認否決定手段によって決定された保証認否結果を告知する保証認否結果告知手段とを有する支援サーバを備える
オートリースの実質年率計算によるリース料算出とオートリース与信とオートリース保証業務並びに残価保証業務支援システム。」
「【0027】
また、支援サーバ5は、リースユーザに関する情報が記録されたリースユーザ情報データベース(リースユーザ情報記録手段の一例である。)18と、リース車両に関する情報が記録されたリース車両情報データベース(リース車両情報記録手段の一例である。)19とを有する。
ここで、リースユーザ情報データベース18には、具体的には例えば、リースユーザの氏名(名称)、住所、電話番号及びファクシミリ番号、リースユーザの保証人の氏名(名称)、住所、電話番号及びファクシミリ番号、並びにリースユーザの債務履行情報(リース会社へのリース料支払いに関する情報、信用情報機関が利用する信用情報機関端末から支援サーバ4へ送信される情報等)が記録される。
また、リース車両情報データベース19には、具体的には例えば、車名や排気量等の車両仕様情報、車両価格、ディーラの見積であるリース料原価情報、車両メンテナンス情報、車両税金情報、並びに車両保険情報が記録される。
【0028】
また、支援サーバ5は、リースユーザ情報データベース18に記録されたリースユーザの債務履行情報に基づいてリースユーザの信用情報を作成する信用情報作成手段20と、リース車両情報データベース19に記録されたリース料原価情報などのリース車両情報に基づいて第2のリース料見積情報を算出する第2のリース料見積情報算出手段21と、第1のリース料見積情報送信手段15によって送信された第1のリース料見積情報と、第2のリース料見積情報算出手段21によって算出された第2のリース料見積情報とを比較する見積情報比較手段22と、第2のリース車両現在市場価値情報送信手段8によって送信されたリース車両のリース期間中における価値に関する情報と、第1のリース料見積情報送信手段15によって送信された第1のリース料見積情報に基づいて計算した経年価値とを比較する経年価値情報比較手段23と、第1のリース車両現在市場価値情報送信手段7によって送信されたリース車両の現在の市場における価値に関する情報と、残価情報送信手段17によって送信された残価情報とを比較する残価情報比較手段24と、信用情報作成手段20によって作成された信用情報の見返りとして信用情報機関端末3から受信した照会信用情報、見積情報比較手段22の比較結果、経年価値情報比較手段23の比較結果、及び残価情報比較手段24の比較結果に基づいて、オートリースの与信判断またはオートリース保証の認否を決定するリース保証認否決定手段25と、リース保証認否決定手段25によって決定された保証認否結果を告知する保証認否結果告知手段26とを有する。」
「【0030】
図2は、本発明のオートリースの実質年率計算によるリース料算出とオートリース与信とオートリース保証業務並びに残価保証業務支援システムにおける保証認否の流れの一例を説明する概略図である。
最初に、信用情報機関端末3の信用情報照会手段10によって、査定対象リースユーザの債務不履行の履歴がない事、多重債務者でない事等を査定する。そして、このような条件に合致しなければ保証拒否し、合致すれば次の査定に進む。
次に、支援サーバ5の見積情報比較手段22によって、リース会社の見積情報である第1のリース料見積情報と、リース料原価情報などのリース車両情報に基づいて算出された第2のリース料見積情報とを比較し、両者が著しく隔たっている場合は保証拒否し、両者がほぼ同じである場合は次の査定に進む。
次に、支援サーバ5の経年価値情報比較手段23によって、現在市場価値情報算出端末2の第2のリース車両現在市場価値情報送信手段8によって送信されたリース車両のリース期間中における価値に関する情報と、リース会社端末4の第1のリース料見積情報送信手段15によって送信された第1のリース料見積情報に基づいて計算した経年価値とを比較し、両者が著しく隔たっている場合は保証拒否し、両者がほぼ同じである場合は次の査定に進む。
そして、支援サーバ5の残価情報比較手段24によって、現在市場価値情報算出端末2の第1のリース車両現在市場価値情報送信手段7によって送信されたリース車両の現在の市場における価値に関する情報と、リース会社端末4の残価情報送信手段17によって送信された残価情報とを比較し、両者が著しく隔たっている場合は保証拒否し、両者がほぼ同じである場合は保証することを決定する。
なお、上記査定順位は変わることがある。」
イ 甲4の記載事項
上記アで摘記した記載によると、甲4には、次の技術的事項が記載されている。
(ア) 甲1の段落【0028】には、「リース車両情報データベース19に記録されたリース料原価情報などのリース車両情報に基づいて第2のリース料見積情報を算出する第2のリース料見積情報算出手段21」が記載されている。
(イ) 甲1の段落【0028】には、「第1のリース料見積情報送信手段15によって送信された第1のリース料見積情報と、第2のリース料見積情報算出手段21によって算出された第2のリース料見積情報とを比較する見積情報比較手段22」が記載されている。
(ウ) 甲1の段落【0028】には、「見積情報比較手段22の比較結果、」「に基づいて、オートリースの与信判断またはオートリース保証の認否を決定するリース保証認否決定手段25」が記載されている。
(エ) 甲1の段落【0030】には、「オートリースの実質年率計算によるリース料算出とオートリース与信とオートリース保証業務並びに残価保証業務支援システム」が記載されている。
ウ 甲4発明
前記イから、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
<甲4発明>
リース車両情報データベース19に記録されたリース料原価情報などのリース車両情報に基づいて第2のリース料見積情報を算出する第2のリース料見積情報算出手段21と、(上記イ(ア))
第1のリース料見積情報送信手段15によって送信された第1のリース料見積情報と、第2のリース料見積情報算出手段21によって算出された第2のリース料見積情報とを比較する見積情報比較手段22と、(上記イ(イ))
見積情報比較手段22の比較結果、に基づいて、オートリースの与信判断またはオートリース保証の認否を決定するリース保証認否決定手段25と、(上記イ(ウ))
を備えるオートリースの実質年率計算によるリース料算出とオートリース与信とオートリース保証業務並びに残価保証業務支援システム(上記イ(エ))
(5) 甲5(特開2013-214138号公報)
ア 甲5の記載事項
甲5には次の記載がある。
「【0033】
なお、この実施例1において、リース車両群15は、軽乗用車、軽貨物自動車、小型・普通乗用車、小型・普通貨物自動車及び特殊自動車の5車種のうちの1車種又は複数車種であり、制御手段40は、1又は複数のリース車両群のデータを受付可能とされている。
【0034】
車両データ・営業日データ受付機能42は、キーボード20Cから入力されるリース車両毎の、リース料、月額駐車場費用を含む経費月額のデータ、及び、初年度登録日データを含む車両データ、並びに、ユーザーの営業日及び休業日の情報を含む営業日データを受付可能とされ、これが、車両データ・営業日データ記憶手段22に記憶されるようになっている。」
4 判断
(1) 申立理由1(甲1に基づく新規性・進歩性欠如)について
ア 本件特許発明1について
(ア) 甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
a 「車両関連情報取得手段」について
甲1発明は、「インターネットオークションサイト内で実現された車両情報管理システム」に関するものであって、「登録ユーザが自己の車両を本サイトにおいて管理する」ものである。そうすると、甲1発明が管理対象とする「車両」は、使用、運転、又は譲渡の対象となるものといえるから、本件特許発明1の「使用、運転、又は譲渡の対象となる」「車両」に相当する。また、甲1発明のインターネットオークションサイト内における車両の管理は、本件特許発明1の「第1用途」に相当する。
甲1発明の「当該車両についての情報、例えば、車両の基本スペック(例えば、車名、ボディカラー、年式、走行距離、車検日、ハンドルやミッションの形式その他)、車両の装備に関する情報(例えば、エアコン、パワーウィンド、オーディオ、サンルーフ、アルミホイール、カーナビゲーションその他の有無)、損傷関連情報(例えば、事故暦、傷やへこみの状態、整備履歴情報その他)、車両の使用状況(通勤用かレジャー用か、ペットの有無、喫煙の有無、保管状態など)」は、本件特許発明1の「車両自体に関する情報」又は「車両に関連する情報」に相当するとともに、「車両関連情報」と称し得るものである。
以上によれば、甲1発明の「車両についての情報」「を取得する手段」と、本件特許発明1の「車両関連情報取得手段」は、「使用、運転、又は譲渡の対象となる車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該車両自体に関する情報又は当該車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得手段」である点で一致し、下記相違点1において相違する。
b 「データベース生成手段」について
甲1発明において、「中古車市場における取引き相場の情報」及び「価値を数値化した車両点数」は、車両に関連する情報を加工したものであるから、本件特許発明1の「加工情報」に相当する。
してみれば、甲1発明の「データベース生成手段」と、本件特許発明1の「データベース生成手段」は、「前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成手段」である点で一致し、下記相違点2において相違する。
c 「情報抽出手段」について
甲1発明において、「車両情報データベースにアクセスして対象の車両の情報レコードを特定して抽出するとともに、取引き相場データベースにアクセスして、先の工程で抽出した車種情報に基づいて、対象の相場価格帯を抽出する」ことは、本件特許発明1の「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、」「抽出する」ことに相当する。
また、甲1発明において、「情報抽出手段」により抽出した情報は、「クライアントコンピュータへ送信し、そのディスプレイ上にこれを表示させる」ためのものである。そうすると、甲1発明の「情報抽出手段」は、データベースに記憶された情報を「端末に送信」して「表示させるための情報として抽出する」手段といえる。
以上によれば、甲1発明の「情報抽出手段」と、本件特許発明1の「情報抽出手段」は、「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、端末に送信して表示させるための情報として抽出する情報抽出手段」である点で一致し、下記相違点3において相違する。
(イ) 一致点及び相違点
上記(ア)によれば、本件特許発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「 使用、運転、又は譲渡の対象となる車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された当該車両自体に関する情報又は当該車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得手段と、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び前記加工情報を含む、車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成手段と、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、端末に送信して表示させるための情報として抽出する情報抽出手段と、
を備える情報処理装置。」
<相違点1>
情報処理装置が管理の対象とする「車両」に関し、本件特許発明1では、用途が「貨物運搬用」に限定されているのに対し、甲1発明では、用途に特段の限定がされていない点。
<相違点2>
「加工情報」に関し、本件特許発明1では、「前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報」であるのに対し、甲1発明では、「中古車市場における取引き相場の情報」及び「価値を数値化した車両点数」である点。
<相違点3>
「情報抽出手段」に関し、本件特許発明1では、「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」のに対し、甲1発明では、「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、」「端末に送信して表示させるための情報として抽出する」ものではあるものの、「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく」抽出するものではなく、「当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」ものでもない点。
(ウ) 相違点に関する判断
事案に鑑み相違点3について検討する。
甲2及び甲3には、上記3(2)及び(3)のとおりの事項が記載されているものの、「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、」「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく」抽出する点、及び「当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」点については、甲2及び甲3のいずれにも記載されておらず、甲1発明並びに甲2及び甲3に記載の事項に基づいて当該相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
また、上記相違点3の構成とすることで、以下のような格別顕著な作用効果を奏するものである。
「即ち、金融会社Fにしてみれば、運送会社Tの中から融資先となる新規顧客を開拓することが容易となる。また、運送会社Tに対する、より正確な与信評価が可能となるため、デフォルト(決済不能)のリスクを低減化させることが可能となる。また、運送会社Tが業務上使用するリース車両についての正確な時価評価も行うことが可能となる。さらに、運送会社Tに対する融資後においても、担保物件としての貨物運搬用車両の状況(走行距離や修理状況等)を適切に把握することが可能となる。
また、運送会社Tにしてみれば、事前与信が可能となるため、貨物運搬用車両の購入を円滑に行うことができるようになる。さらに、複数の金融会社Fの夫々が提供する商品を並べて比較することが可能となるため、複数存在する金融会社Fの夫々の与信枠を見ながら資金調達を行うことができる。また、金融会社F間の競争原理も働くこととなるため、金利の低下を見込むこともできる。」(【0103】)
(エ) 特許異議申立人の主張について
a 特許発明の要旨認定について(意見書4~5頁及び特許異議申立書21~26頁)
特許異議申立人は、意見書において、新規性・進歩性について以下のとおり意見を述べている。
「しかしながら、依然として「第2用途で使用させるべく、」、「・・・させるための情報として」と、「用途」、「目的」で請求項を限定しているにすぎず、そのような用途・目的で情報を抽出する具体的な技術的構成が請求項1-3に何ら記載されていない。どのような「用途」、「目的」で情報を抽出するかは人間の主観によるものである。したがって、そのような「用途」、「目的」を実現するためにどのように情報を抽出するのか、その具体的な技術的構成が記載されていなければ、新規性・進歩性の判断においてこれらの「用途」、「目的」を考慮すべきではない。
したがって、訂正後の請求項1-3における「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する情報抽出手段と、」は、「用途」、「目的」を除外した「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を抽出する情報抽出手段と、」と解釈して新規性・進歩性を判断すべきである。」(意見書4~5頁)
また、特許異議申立書21~26頁においても、同様の観点から訂正前の本件特許発明1を以下のとおり認定すべき旨意見を述べている。
「入力された使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報として取得する車両関連情報取得手段と、
前記車両関連情報を複数取得し、複数の前記車両関連情報を加工することで複数の加工情報を生成し、複数の前記車両関連情報及び加工情報を含む、貨物運搬用車両に関する情報を集積したデータベースを生成するデータベース生成手段と、
前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を抽出する情報抽出手段と、
を備える情報処理装置。」
以上の意見について検討する。
まず、本件特許発明1の「車両関連情報取得手段」について検討すると、「使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された」との目的に関する記載により、「当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報」は、当該目的に則した内容、構造等を備える情報であると認められる。そして、本件特許発明1は、そのような情報を取得し、加工しデータベースに集積するものであるから、前記の目的に則した内容、構造等を備える情報に対応した取得、加工及び蓄積処理といった機能を有する。
そうすると、「使用、運転、又は譲渡の対象となる貨物運搬用車両の管理をするための第1用途で使用するために入力された」との記載は、本件特許発明1において、使用する人間の単なる主観的な目的を規定したものではなく、発明の内容、構造、機能等を限定するものといえる。
よって、当該記載を除いて発明の要旨を認定すべきとの特許異議申立人の主張は採用できない。
次に、本件特許発明1の「情報抽出手段」についても検討すると、「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」との記載は、そのような目的に即した内容、構造等を備える情報を抽出し、抽出した情報が当該目的に沿って利用される構成となっていることを意味すると解される。
そうすると、「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」との記載も、本件特許発明1において、使用する人間の単なる主観的な目的を規定したものではなく、発明の内容、構造、機能等を限定するものといえる。
よって、当該記載を除いて発明の要旨を認定すべきとの特許異議申立人の主張も採用できない。
b 新規性の判断について(特許異議申立書33~36頁)
特許異議申立人は、意見書において、車両に貨物運搬用車両が含まれることは文献を示すまでもなく自明であり、甲1に記載されているに等しい事項であると主張している。また、抽出した情報をどのような用途で使用するかは、その情報を持つ者が決めることであるから、車両関連情報、車両点数、取引き相場情報を、「金融機関が提供する融資サービスにおいて、中古車ディーラーなど車両を1台以上保有する団体が保有する車両の資産価値を判断するための第2用途で使用させる情報として抽出する」ことは甲1に記載されているに等しい事項であると主張している。
しかしながら、上記aで検討したとおり、少なくとも本件特許発明1の「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」点は、発明の内容、構造、機能等を限定するものといえ、上記(ウ)で検討したとおり、当該構成は、いずれの証拠にも開示されておらず、当業者が容易に想到し得るものでもない。
よって、特許異議申立人の主張は採用できない。
c 進歩性の判断について(特許異議申立書37~39頁)
特許異議申立人は、意見書において、甲1発明に甲2~甲3記載の事項を適用することで、本件特許発明の構成に容易に想到可能であることを主張しているが、上記(ウ)で検討したとおり、少なくとも相違点3についての構成は、当業者が容易に想到し得たものではない。
(オ) 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1に記載された発明ではない。また、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2~甲3に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件特許発明2~3について
本件特許発明2~3は、本件特許発明1と対応する構成を有するものである。これらの発明は、いずれも、上記ア(イ)に示した相違点に係る構成を有しているから、上記アに示した理由と同様の理由により、本件特許発明2~3は、甲1に記載された発明ではない。また、本件特許発明2~3は、甲1発明及び甲2~甲3に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立理由1についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明1~3は、甲1に記載された発明ではないから、本件特許発明1~3についての特許は、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものではない。
また、本件特許発明1~3は、甲1発明及び甲2~甲3に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件特許発明1~3についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。
(2) 申立理由2(甲4に基づく新規性・進歩性欠如)について
ア 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲4発明とを対比すると、少なくとも、上記(1)ア(イ)の相違点3において相違する。
そして、甲5には、上記3(5)のとおりの事項が記載されているものの、相違点3に関する構成、すなわち、「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、」「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく」抽出する点、及び「当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」点については、甲5には記載されておらず、甲4発明及び甲5に記載の事項に基づいて当該相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
また、上記相違点3の構成とすることで、上記(1)ア(ウ)で検討したとおり、格別顕著な作用効果を奏するものである。
イ 本件特許発明2~3について
本件特許発明2~3は、本件特許発明1と対応する構成を有するものである。これらの発明は、いずれも、上記アに示した相違点に係る構成を有しているから、上記アに示した理由と同様の理由により、本件特許発明2~3は、甲4に記載された発明ではない。また、本件特許発明2~3は、甲4発明及び甲5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立理由2についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明1~3は、甲4に記載された発明ではないから、本件特許発明1~3についての特許は、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものではない。
また、本件特許発明1~3は、甲4発明及び甲5に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件特許発明1~3についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。
(3) 申立理由3(サポート要件違反)について
ア 抽出した情報の用途を限定する記載について(特許異議申立書52頁6行~21行)
上記(1)ア(エ)aでも検討したとおり、「情報抽出手段」に関する「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」との記載は、本件特許発明1において、使用する人間の単なる主観的な目的や用途を規定したものではなく、発明の内容、構造、機能等を限定するものといえる。
そして、当該記載は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである、または、当業者が出願時の技術常識に照らし発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるといえる。
イ 「車両運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬要所車両に関連する情報」について(特許異議申立書52頁22行~53頁4行)
請求項1~3の「車両運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬要所車両に関連する情報」との用語の定義は、下記(4)アで検討するとおり、明確である。そして、当該用語の定義に基づけば、本件特許発明1は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。
ウ 「情報抽出手段」が、車両関連情報の少なくとも一部を抽出する点について(特許異議申立書53頁5行~15行)
訂正後の請求項1~3によれば、「前記データベースに記憶された前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部を、前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途で使用させるべく、当該金融会社端末に送信して運送会社サマリー情報として表示させるための情報として抽出する」と記載されている。
当該記載によれば、「前記車両関連情報と前記加工情報のうち少なくとも一部」の抽出は、「当該金融会社端末に送信する」及び「運送会社サマリー情報として表示させる」という目的に即した内容、構造等を備えるように行われることが、特定されている。
そうすると、本件特許発明1~3は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである、または、当業者が出願時の技術常識に照らし発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるといえる。
エ 「加工情報」(特許異議申立書53頁16行~30行)と「第2用途」(特許異議申立書53頁31行~54頁1行)について
「加工情報」については、訂正により「複数の前記車両関連情報を加工することで前記貨物運搬用車両についての走行距離あたりの価格情報と時価情報のうち少なくとも一方から構成される加工情報を生成し、」と記載が明確になった。また、「第2用途」については、訂正により「前記貨物運搬用車両を1台以上保有する運送会社についての与信額または資産価値を金融会社が金融会社端末を操作して判断するための第2用途」と記載が明確になった。
そして、訂正後の記載によれば、本件特許発明1~3は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである、または、当業者が出願時の技術常識に照らし発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるといえる。
オ 申立理由3についてのまとめ
以上によれば、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たす。
(4) 申立理由4(明確性要件違反)について
ア 「貨物運搬用車両に関連する情報」について
請求項1~3の「当該貨物運搬用車両自体に関する情報又は当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報」との記載に関連して、発明の詳細な説明には以下のとおり記載されている。
「【0029】
まず、図2の下側を参照して、第1用途で入力された車両関連情報の取得例(車両関連情報DB401の作成例)を説明する。
ステップS21において、運送会社端末2は、運送会社Tが業務上使用するために保有する1台以上の貨物運搬用車両に関する車両関連情報(車両基本情報及び追加情報)を管理している(第1用途)。この第1用途の目的で、車両基本情報及び追加情報は、運送会社端末2に入力され、運送会社端末2のCPU(図示なし)によって運送会社DB501に予め記憶され管理されている。
ステップS22及びS23の夫々において、運送会社端末2は、車両関連情報としての車両基本情報及び追加情報の夫々をサービス提供サーバ1に送信する。」
「【0039】
運送会社アプリを用いて運送会社DB501に入力される車両関連情報には、車両基本情報と追加情報が含まれる。
車両基本情報には、運送会社Tが自ら保有する1台以上の貨物運搬用車両を使用目的で管理するための情報であって、貨物運搬用車両を特定するために必要となる情報が含まれる。具体的には、例えば車体番号、車種、型式、車台番号、年式、車名、次回車検日、取得価格、取得日、走行距離、ファイナンス、金利等に関する情報を含めることができる。
また、追加情報には、車両基本情報を補完するために追加される情報が含まれる。具体的には、例えば燃料価格、使用燃料、修理コスト項目、運送会社TのIR情報等の会社情報等を含めることができる。」
段落【0029】の「車両関連情報(車両基本情報及び追加情報)」との記載から、「車両関連情報」は、「車両基本情報」と「追加情報」から成ると解される。
そして、段落【0039】には、「車両基本情報」の定義として「運送会社Tが自ら保有する1台以上の貨物運搬用車両を使用目的で管理するための情報」と記載されており、これに続けて当該情報に含まれ得る情報の具体的かつ詳細な例示もされている。これらの記載から、明細書における「車両基本情報」は、貨物運搬用車両自体に関する情報であり、請求項1~3でいう「当該貨物運搬用車両自体に関する情報」に対応するものと認められる。
また、段落【0039】には、「追加情報」の定義として「車両基本情報を補完するために追加される情報」と記載されており、続けて当該情報に含まれ得る情報の具体的かつ詳細な例示もされている。これらの記載から、明細書における「追加情報」は、貨物運搬用車両に関連する情報であり、請求項1~3でいう「当該貨物運搬用車両に関連する情報を車両関連情報」に対応するものと認められる。
以上によれば、請求項1~3の「貨物運搬用車両に関連する情報」との記載については、明細書にその定義が記載されており、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものとはいえない。
イ 申立理由4についてのまとめ
以上によれば、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たす。
第6 むすび
以上のとおりであるから、当審において取消理由として通知したものを含め、特許異議の申立ての理由及び特許異議申立人の提出した証拠によっては、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-701125