特許異議申立
2024-700606
保持装置および半導体製造装置
- 審判番号
- 2024-700606
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-038603
- 登録番号
- 7413088
- 請求日
- 2024年06月25日
- 審決日
- 2025年02月26日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日本特殊陶業株式会社
- 【権利者代理人】田邊 淳也
- 【異議申立人】金澤 毅
- 審判長/審判官
- 審判長 恩田 春香
- 審判官 緑川 隆
- 審判官 大橋 達也
- 分類
- P1652.161-YAA(H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7413088号発明「保持装置および半導体製造装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7413088号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、6について訂正することを認める。
特許第7413088号の請求項4~6に係る特許を維持する。
特許第7413088号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7413088号の請求項1~6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和2年3月6日の出願であって、令和6年1月4日にその特許権の設定登録がされ、同年同月15日に特許掲載公報が発行された。
その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 6月25日 :特許異議申立人 金澤 毅(以下、「申立人」という。)による請求項1、4~6に係る特許に対する特許異議の申立て
同年 9月18日付け:取消理由通知
同年11月22日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出
なお、令和6年12月4日付けで申立人に対して訂正請求があった旨の通知をし、期間を指定して意見を提出する機会を与えたが、申立人から応答はなかった。
第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
令和6年11月22日にされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示すため当審が付与した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「請求項1の保持装置において、前記ベース部材は、前記断面にて、複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、前記第2の断熱層として、前記第2の方向に隣り合う前記冷媒流路の間に設けられる流路間断熱層を備えること、を特徴とする保持装置。」と記載されているのを独立形式に改め、
「第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、を備え、前記第1の面上にて対象物を保持するセラミックス部材と、
第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、を備えるベース部材と、を有し、
前記セラミックス部材の前記第2の面と、前記ベース部材の前記第3の面とが、熱的に接続されている保持装置において、
前記ベース部材は、冷媒を流すための冷媒流路を備え、
前記セラミックス部材と前記ベース部材とが配列される第1の方向に沿って前記ベース部材を切り取った少なくとも1つの断面にて、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向の前記第4の面側に設けられる第1の断熱層と、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向に直交する第2の方向側に設けられる第2の断熱層と、
を備え、
前記第2の断熱層は、前記第1の断熱層に接続しており、前記第1の断熱層から前記第1の方向の前記第3の面側に向かって設けられており、
前記ベース部材は、
前記断面にて、
複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、
前記第2の断熱層として、前記第2の方向に隣り合う前記冷媒流路の間に設けられる流路間断熱層を備えること、
を特徴とする保持装置。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3~5のそれぞれも同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1乃至3のいずれか1つの保持装置において、前記ベース部材は、前記断面にて、複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、前記第2の断熱層として、前記第2の方向の最も外側に設けられる前記冷媒流路に対して前記第2の方向の外側に設けられる外側断熱層を備えること、を特徴とする保持装置。」と記載されているのを、「請求項2または請求項3のいずれか1つの保持装置において、前記ベース部材は、前記断面にて、複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、前記第2の断熱層として、前記第2の方向の最も外側に設けられる前記冷媒流路に対して前記第2の方向の外側に設けられる外側断熱層を備えること、を特徴とする保持装置。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、を備え、前記第1の面上にて対象物を保持するセラミックス部材と、第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、を備えるベース部材と、を備え、前記セラミックス部材の前記第2の面と、前記ベース部材の前記第3の面とが、熱的に接続されている保持部材と、前記セラミックス部材に保持される前記対象物に対してプラズマ処理を行うためのプラズマを生成する電極部と、を有する半導体製造装置において、前記ベース部材は、冷媒を流すための冷媒流路を備え、前記セラミックス部材と前記ベース部材とが配列される第1の方向に沿って前記ベース部材を切り取った少なくとも1つの断面にて、前記冷媒流路に対して前記第1の方向の前記第4の面側に設けられる第1の断熱層と、前記冷媒流路に対して前記第1の方向に直交する第2の方向側に設けられる第2の断熱層と、を備え、前記第2の断熱層は、前記第1の断熱層に接続しており、前記第1の断熱層から前記第1の方向の前記第3の面側に向かって設けられること、を特徴とする半導体製造装置。」と記載されているのを、
「第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、を備え、前記第1の面上にて対象物を保持するセラミックス部材と、第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、を備えるベース部材と、を備え、前記セラミックス部材の前記第2の面と、前記ベース部材の前記第3の面とが、熱的に接続されている保持部材と、
前記セラミックス部材に保持される前記対象物に対してプラズマ処理を行うためのプラズマを生成する電極部と、
を有する半導体製造装置において、
前記ベース部材は、冷媒を流すための冷媒流路を備え、
前記セラミックス部材と前記ベース部材とが配列される第1の方向に沿って前記ベース部材を切り取った少なくとも1つの断面にて、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向の前記第4の面側に設けられる第1の断熱層と、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向に直交する第2の方向側に設けられる第2の断熱層と、
を備え、
前記第2の断熱層は、前記第1の断熱層に接続しており、前記第1の断熱層から前記第1の方向の前記第3の面側に向かって設けられており、
前記ベース部材は、
前記断面にて、
複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、
前記第2の断熱層として、前記第2の方向に隣り合う前記冷媒流路の間に設けられる流路間断熱層を備えること、
を特徴とする半導体製造装置。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件
(1)訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正前の請求項1については特許異議の申立てがされているので、訂正事項1による訂正には、独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消し、独立形式に改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項2による訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項4が請求項1~3の記載を引用する記載であったところ、訂正事項1で削除された請求項1を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正前の請求項4については特許異議の申立てがされているので、訂正事項3による訂正には、独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項6の「ベース部材」について、「前記断面にて、複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、前記第2の断熱層として、前記第2の方向に隣り合う前記冷媒流路の間に設けられる流路間断熱層を備える」との事項を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項4による訂正は、本件明細書等の【0057】、【0058】の「本実施形態では、ベース部材42は、図4や図5に示す断面にて、第2の断熱層65として、流路間断熱層91と外側断熱層92を備えている。」、「流路間断熱層91は、ベース部材42の径方向に隣り合う冷媒流路63の間に設けられている。このようにして、第2の断熱層65として、隣り合う冷媒流路63の間に設けられる流路間断熱層91が設けられている。」との記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項4による訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
さらに、訂正前の請求項6については特許異議の申立てがされているので、訂正事項4による訂正には、独立特許要件は課されない。
(5)一群の請求項
訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は、訂正の請求の対象である請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあるから、本件訂正後の請求項1~5は、一群の請求項である。
3 まとめ
本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、6について訂正を認める。
第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~6の特許に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明6」といい、まとめて、「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、を備え、前記第1の面上にて対象物を保持するセラミックス部材と、
第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、を備えるベース部材と、を有し、
前記セラミックス部材の前記第2の面と、前記ベース部材の前記第3の面とが、熱的に接続されている保持装置において、
前記ベース部材は、冷媒を流すための冷媒流路を備え、
前記セラミックス部材と前記ベース部材とが配列される第1の方向に沿って前記ベース部材を切り取った少なくとも1つの断面にて、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向の前記第4の面側に設けられる第1の断熱層と、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向に直交する第2の方向側に設けられる第2の断熱層と、
を備え、
前記第2の断熱層は、前記第1の断熱層に接続しており、前記第1の断熱層から前記第1の方向の前記第3の面側に向かって設けられており、
前記ベース部材は、
前記断面にて、
複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、
前記第2の断熱層として、前記第2の方向に隣り合う前記冷媒流路の間に設けられる流路間断熱層を備えること、
を特徴とする保持装置。
【請求項3】
請求項2の保持装置において、
前記流路間断熱層の少なくとも1つは、前記第1の方向について、前記冷媒流路の高さの1/3~2/3の位置まで設けられること、
を特徴とする保持装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3のいずれか1つの保持装置において、
前記ベース部材は、
前記断面にて、
複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、
前記第2の断熱層として、前記第2の方向の最も外側に設けられる前記冷媒流路に対して前記第2の方向の外側に設けられる外側断熱層を備えること、
を特徴とする保持装置。
【請求項5】
請求項4の保持装置において、
前記外側断熱層は、前記第1の方向について、前記冷媒流路の高さの1/2よりも高い位置まで設けられること、
を特徴とする保持装置。
【請求項6】
第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、を備え、前記第1の面上にて対象物を保持するセラミックス部材と、第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、を備えるベース部材と、を備え、前記セラミックス部材の前記第2の面と、前記ベース部材の前記第3の面とが、熱的に接続されている保持部材と、
前記セラミックス部材に保持される前記対象物に対してプラズマ処理を行うためのプラズマを生成する電極部と、
を有する半導体製造装置において、
前記ベース部材は、冷媒を流すための冷媒流路を備え、
前記セラミックス部材と前記ベース部材とが配列される第1の方向に沿って前記ベース部材を切り取った少なくとも1つの断面にて、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向の前記第4の面側に設けられる第1の断熱層と、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向に直交する第2の方向側に設けられる第2の断熱層と、
を備え、
前記第2の断熱層は、前記第1の断熱層に接続しており、前記第1の断熱層から前記第1の方向の前記第3の面側に向かって設けられており、
前記ベース部材は、
前記断面にて、
複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、
前記第2の断熱層として、前記第2の方向に隣り合う前記冷媒流路の間に設けられる流路間断熱層を備えること、
を特徴とする半導体製造装置。」
第4 申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証を提出し、以下の理由により、本件請求項1、4~6に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
申立理由1(拡大先願)
本件発明1、4~6は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開された特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、その発明に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
[証拠方法]
甲第1号証:特願2019-17387号(特開2020-126900号公報)
第5 取消理由の概要
当審において、令和6年9月18日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
取消理由1(拡大先願)
本件発明1、4~6は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開された特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、その発明に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
第6 申立理由1(拡大先願)、取消理由1(拡大先願)について
1 先願明細書等の記載、先願発明
(1)先願明細書等の記載
甲第1号証(特開2020-126900号公報)に係る特許出願である特願2019-17387号(以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には次の記載がある(下線は当審で付した。以下同じ。)。
ア 「【0010】
[基板処理装置]
図1は、一実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す断面図である。基板処理装置1は、RIE(Reactive Ion Etching)型の基板処理装置である。ただし、基板処理装置1は、プラズマエッチング装置、プラズマCVD装置等に適用され得る。
【0011】
基板処理装置1は、金属製、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼製の円筒型の処理容器10を有し、処理容器10の内部は、プラズマエッチングやプラズマCVD等のプラズマ処理が行われる処理室となっている。処理容器10は接地されている。
【0012】
処理容器10の内部には、ウエハWを載置する円板状の載置台100が設けられている。載置台100は、静電チャック25及び基台26を有する。静電チャック25は、基台26の上に配置される。基台26は、例えば、アルミニウム又はチタン合金からなり、絶縁性の筒状保持部材12を介して処理容器10の底から垂直上方に延びる筒状支持部13に支持されている。
【0013】
静電チャック25の中央部は、導電膜からなる吸着電極25cを誘電膜25aの間に挟み込むことによって構成される。吸着電極25cには直流電源29がスイッチ28を介して電気的に接続されている。静電チャック25は、直流電源29から吸着電極25cに印加された電圧により発生した静電吸着力により静電チャック25にウエハWを保持する。
・・・
【0019】
載置台100に対向する、処理容器10の天井部にはシャワーヘッド40が配設されている。これにより、第1の高周波電源21からの高周波電力が載置台100とシャワーヘッド40との間に印加される。
【0020】
かかる構成により載置台100は下部電極としても機能し、シャワーヘッド40は接地電位の上部電極としても機能する。なお、第1の高周波電源21は、整合器21aを介してシャワーヘッド40に接続されていてもよい。
・・・
【0022】
第1の流路101は、ウエハ載置面に対して円周方向に延在する渦巻状又は同心円状の流路である。第1の流路101は、静電チャック25のウエハ載置面に対して全体的に設けられ、その最外周の流路は、ウエハWの最外周よりも外側に形成されている。これにより、ウエハWの温度の制御性を高め、ウエハWの温度分布の面内均一性を図ることができる。
【0023】
第1の流路101の下部には、第1の断熱層111が配置される。第1の断熱層111の下部には、第2の流路102が配置される。第2の流路102の下部には、第2の断熱層112が配置される。第2の流路102は、ウエハ載置面に対して円周方向に延在する渦巻状又は同心円状の流路である。第2の流路102は、第1の流路101と同じ形状を有してもよいし、異なる形状を有してもよい。第2の流路102は、静電チャック25のウエハ載置面に対して全体的に設けられ、その最外周の流路は、ウエハWの最外周よりも外側に形成されている。これにより、基台26の第1の断熱層111よりも下部の基台26の温度の制御性を高めることができる。
・・・
【0026】
天井部のシャワーヘッド40は、下面の電極板45と、電極板45を着脱可能に支持する電極支持体41とを有する。電極板45は、多数のガス通気孔46を有する。電極支持体41の内部にはバッファ室44が設けられ、バッファ室44に繋がるガス導入口42はガス供給配管43と接続され、ガス供給配管43は処理ガス供給部47と接続される。
・・・
【0029】
処理容器10の周囲には、環状又は同心円状に延びる磁石48が配置され、基板処理装置1の処理容器10内では、磁石48によって一方向に向かう水平磁界が形成される。また、載置台100とシャワーヘッド40との間に印加された高周波電力によって鉛直方向のRF電界が形成される。これにより、処理容器10内において処理ガスを介したマグネトロン放電が行われ、載置台100の表面近傍において処理ガスから高密度のプラズマが生成される。
【0030】
基板処理装置1では、基板処理の際、先ずゲートバルブ20を開状態にして加工対象のウエハWを処理容器10内に搬入し、静電チャック25の上に載置する。チラーユニット200から供給される第1の温度及び第2の温度の熱媒体を第1の流路101及び第2の流路102にそれぞれ供給する。そして、処理ガス供給部47より処理ガスを所定の流量および流量比で処理容器10内に導入し、排気装置18等により処理容器10内の圧力を所定値にする。さらに、第1の高周波電源21及び第2の高周波電源22により高周波電力を載置台100に供給し、直流電源29より電圧を吸着電極25cに印加し、ウエハWを静電チャック25上に吸着する。また、伝熱ガスをウエハWの裏面に供給する。そして、シャワーヘッド40により吐出された処理ガスがプラズマ化し、プラズマ中のラジカルやイオンによってウエハWの表面に所定のプラズマ処理が行われる。
【0031】
[載置台]
次に、一実施形態に係る載置台100の構成の詳細について、図2を参照しながら説明する。図2は、図1の載置台100の主に基台26を拡大して示した断面模式図である。本図では、載置台100の構成のうち主に基台26の内部及び基台26の底面に配置されたOリング301、302を示し、静電チャック25、エッジリング27及びウエハWは省略している。なお、載置台100は、静電チャック25を有しなくてもよい。静電チャック25を有しない場合、基台26の上部がウエハWの載置面となる。
【0032】
基台26は、第1の温度の熱媒体を流す第1の流路101と、第1の流路101の下部に配置される第1の断熱層111とを有する。さらに、基台26は、第1の断熱層111の下部に配置され、第2の温度の熱媒体を流す第2の流路102と、第2の流路102の下部に配置される第2の断熱層112とを有する。基台26の底面であって第2の断熱層112の下部には、基台26の底面に接触する部材(筒状保持部材12、ガス供給ライン31のジョイント部32)との間にOリング301、302が配置される。
【0033】
第1の流路101は、第1の温度の熱媒体を循環させ、ウエハを冷却する。第1の流路101に流す熱媒体はフロリナート等の液体、液体窒素又は所定の気体であり得る。第1の温度は、-100°以下の温度(以下、「極低温」ともいう。)に制御される。これにより、載置台100のウエハ載置面を局所的に極低温領域の温度で冷却する。
【0034】
第1の流路101には、熱交換率を良くするために、熱媒体と接触する表面積が大きくなるフィン構造を有することが好ましい。図2の例では、第1の流路101に数本の柱を有するフィン構造101aが設けられている。フィン構造101aの複数本の柱は、第1の流路101の上から下向きに、柱の高さを段違いにして形成されている。これにより、熱交換率を良くして、第1の流路101の上部に載置されたウエハWを極低温に冷却することができる。
・・・
【0036】
第1の断熱層111は、第1の流路101の下部及び側部にて第1の流路101を囲むように形成された第1の中空空間111a、111bを有する。図1に示すように、第1の中空空間111a、111bは、金属配管130により排気装置18に接続され、排気装置18によって真空引きされ、真空状態に制御される。これにより、真空断熱効果によって第1の流路101を流れる熱媒体の熱を断熱し、第1の断熱層111の下部に伝えないようにすることができる。
【0037】
ただし、これに限られず、第1の中空空間111a、111bは、大気圧よりも低い圧力に制御してもよい。これによっても断熱効果を得ることができる。所定の断熱効果を得られる場合には、第1の断熱層111は、第1の中空空間111aを第1の流路101の下部に有し、第1の中空空間111bを側部に設けなくてもよい。
・・・
【0044】
第2の断熱層112は、第2の流路102の下部及び側部にて第2の流路102を囲むように形成された第2の中空空間112a、112bを有する。図1に示すように、第2の中空空間112a、112bは、金属配管131により排気装置18に接続され、排気装置18によって真空引きされ、真空状態に制御される。これにより、真空断熱効果によって第1の流路101を流れる熱媒体の熱を更に断熱し、第2の断熱層112の下部に伝えないようにすることができる。
・・・
【0049】
これに対して、かかる構成の載置台100では、第1の流路101に例えば-100℃以下の極低温である第1の温度の熱媒体を循環させることでウエハWの冷却効率を上げることができる。一方、第1の温度がOリング301、302のガラス転移温度よりも低くても、載置台100は、第1の流路101の下部に設けられた第1の断熱層111及び第2の流路102の下部に設けられた第2の断熱層112により真空断熱を行うことができる。加えて、載置台100は、第1の断熱層111の下部に設けられた第2の流路102に例えば常温等、ガラス転移点よりも高い第2の温度の熱媒体を流すことによって基台26の熱を吸熱することができる。」
イ 「【図1】
[図:0001423509000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001423509000002.jpg]
」
(2)先願発明
ア 先願の当初明細書等の図1から、静電チャック25は、ウエハWを戴置する側と反対側の下面で基台26と接して配置されていることが見て取れる。
また、同図1から、基台26は、Oリング301、302が配置される底面側と反対側の上面で静電チャック25と接して配置されていることが見て取れる。
イ 同図2について、同【0034】には、「図2の例では、第1の流路101に数本の柱を有するフィン構造101aが設けられている。フィン構造101aの複数本の柱は、第1の流路101の上から下向きに、柱の高さを段違いにして形成されている。これにより、熱交換率を良くして、第1の流路101の上部に載置されたウエハWを極低温に冷却することができる。」との記載がある。また、同図2では、フィン構造101aの柱の高さは図の左から図の右向きに段違いで形成されていることが見て取れる。
そうすると、同図2における図の左、図の右はそれぞれ、先願明細書において「上」、「下」に対応する。
ウ 同【0036】には、「第1の断熱層111は、第1の流路101の下部及び側部にて第1の流路101を囲むように形成された第1の中空空間111a、111bを有する」との記載がある。
また、同図2では、第1の流路101の図の右側に第1の中空空間111aが見て取れ、及び、第1の流路101の図の上部及び図の下部に第1の中空空間111bが形成されていることが見て取れることからすると、同図2における図の上部及び下部はそれぞれ、先願明細書に記載の「側部」に対応する。
エ 同【0036】、【0044】の記載、上記イ、ウを踏まえると、同図2から、第1の中間空間111aは第1の流路101の下部に形成され、第1の中空空間111bは第1の流路101の側部に形成され、第2の中間空間112aは第2の流路102の下部に形成され、第2の中空空間112bは第2の流路102の側部に形成されていることが見て取れる。
オ 同【0036】、【0044】の記載、上記イを踏まえると、同図2から、第1の中空空間111bは、第1の中空空間111aに接続されて第1の中空空間111aから上方向に延びること、第2の中空空間112bは、第2の中空空間112aに接続されて第2の中空空間112aから上方向に延びることが見て取れる。
カ 同【0022】、【0023】、【0036】、【0044】の記載を踏まえると、同図2から、最外周の第1の流路101より外周側の側部に第1の中空空間111bが設けられていること、最外周の第2の流路102のより外周側の側部に第2の中空空間112bが形成されていることが見て取れる。
キ 同【0036】、【0044】の記載、上記ウを踏まえると、同図2から、第1の流路101の側部の方向に、第1の流路101は間隔を空けて設けられていること、第2の流路102の側部の方向に、第2の流路102は間隔を空けて設けられていることが見て取れる。
ク 上記(1)及び上記ア~キより、先願の当初明細書等には次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているものと認められる(当審注:括弧内は根拠となる当初明細書等の段落番号等である。)。
「処理容器10の内部に設けられ、ウエハWを載置する円板状の載置台100であって、(【0012】)
処理容器10は基板処理装置1が有するものであり、処理容器10の内部は、プラズマエッチングやプラズマCVD等のプラズマ処理が行われる処理室となっており、(【0011】)
静電チャック25及び基台26を有し、静電チャック25は、基台26の上に配置され、ウエハWを戴置する側と反対側の下面で基台26と接し(【0012】、上記ア)
静電チャック25の中央部は、導電膜からなる吸着電極25cを誘電膜25aの間に挟み込むことによって構成され、静電チャック25は、吸着電極25cに印加された電圧により発生した静電吸着力により静電チャック25にウエハWを保持し、(【0013】)
載置台100に対向する、処理容器10の天井部にはシャワーヘッド40が配設されており、ここで、シャワーヘッド40は、下面の電極板45と、電極板45を着脱可能に支持する電極支持体41とを有しており、高周波電力が載置台100とシャワーヘッド40との間に印加され、(【0019】、【0026】)
かかる構成により載置台100は下部電極としても機能し、シャワーヘッド40は接地電位の上部電極としても機能し、(【0020】)
載置台100とシャワーヘッド40との間に印加された高周波電力によって鉛直方向のRF電界が形成されることにより、処理容器10内において処理ガスを介したマグネトロン放電が行われ、これによりプラズマが生成されて、ウエハWの表面に所定のプラズマ処理が行われ、(【0029】、【0030】)
基台26は、第1の温度の熱媒体を流す第1の流路101と、第1の流路101の下部に配置される第1の断熱層111と、第1の断熱層111の下部に配置され、第2の温度の熱媒体を流す第2の流路102と、第2の流路102の下部に配置される第2の断熱層112とを有し、(【0032】)
基台26の底面にOリング301、302が配置され、(【0032】) 基台26は、Oリング301、302が配置される底面側と反対側の上面で静電チャック25と接し、(上記ア)
第1の温度は-100°以下の温度に制御され、これにより、載置台100のウエハ載置面を局所的に極低温領域の温度で冷却し、(【0033】)
第2の流路102に例えば常温等、ガラス転移点よりも高い第2の温度の熱媒体を流すことによって基台26の熱を吸熱することができ、(【0049】)
第1の流路101は、静電チャック25のウエハ載置面に対して全体的に設けられ、(【0022】)
第1の断熱層111は、第1の流路101を囲むように形成された第1の中空空間111a、111bを有し、(【0036】)
第2の断熱層112は、第2の流路102を囲むように形成された第2の中空空間112a、112bを有し、(【0044】)
基台26の内部及び基台26の底面に配置されたOリング301、302を示し、静電チャック25、エッジリング27及びウエハWは省略した載置台100の基台26の断面において、(【0031】)
第1の中間空間111aは第1の流路101の下部に形成され、第1の中空空間111bは第1の流路101の側部に形成され、第2の中間空間112aは第2の流路102の下部に形成され、第2の中空空間112bは第2の流路102の側部に形成されており、(上記エ)
第1の中空空間111bは、第1の中空空間111aに接続されて第1の中空空間111aから上方向に延びており、第2の中空空間112bは、第2の中空空間112aに接続されて第2の中空空間112aから上方向に延びており、(上記オ)
最外周の第1の流路101のより外周側の側部に第1の中空空間111bが設けられており、最外周の第2の流路102のより外周側の側部に第2の中空空間112bが形成されており、(上記カ)
第1の流路101の側部の方向に、第1の流路101は間隔を空けて設けられており、第2の流路102の側部の方向に、第2の流路102は間隔を空けて設けられている、(上記キ)
載置台100。」
2 周知技術
(1)合議体が職権で提示する国際公開第2015/137270号公報(以下「周知文献1」という。)には、次の記載がある。
「[0004] この静電チャック装置は、ウエハが載置される略円板状の誘電体板と、この誘電体板の内部に埋設された静電吸着用電極とを備えたものである。この誘電体板と、この誘電体板上に載置されるウエハとの間に直流電圧を印加することで、クーロン力あるいは微少な漏れ電流による静電吸着力を発生させる。そしてこの静電吸着力によりウエハを誘電体板上に固定している。
この静電チャック装置に用いられる誘電体板としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び酸化イットリウム等のセラミックスが一般に用いられている。」
(2)周知文献1に記載された周知技術
周知文献1の上記[0004]の記載において、「静電チャック装置に用いられる誘電体板として」「セラミックスが一般に用いられている」ことは、静電チャックに用いられる誘電体としてセラミックス部材を用いることは周知であることといえる。
そうすると、周知文献1に記載されているように、「静電チャックに用いる誘電体の材料としてセラミックス部材を用いること」は本件特許出願前の周知技術である。
3 本件発明6について
(1)対比
本件発明6と先願発明とを対比する。
ア 本件発明6の「第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、を備え、前記第1の面にて対象物を保持するセラミックス部材」と先願発明における「静電チャック25」とを対比する。
先願発明において、「静電チャック25」は、「ウエハWを載置する側と反対側の下面で基台26と接し」、「吸着電極25cに印加された電圧により発生した静電吸着力により発生した静電吸着力により静電チャック25にウエハWを保持し」、「ウエハ載置面」を備えるものであるから、ウエハ載置面と、ウエハ載置面と反対側の下面と、を備え、ウエハ載置面にてウエハを保持する部材であるといえる。また、先願発明の「ウエハW」は、静電チャック25が保持する対象物といえる。
そうすると、先願発明の「静電チャック25」は本件発明6の「セラミックス部材」に対応し、先願発明における「ウエハ載置面」、「ウエハ載置面と反対側の下面」、「対象物」は、それぞれ本件発明6の「第1の面」、「前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面」、「対象物」に相当する。
また、先願発明の「静電チャック25」は、その「中央部」が「導電膜からなる吸着電極25cを誘電膜25aの間に挟み込むことによって構成され」ているから、静電チャック25は誘電膜の部材で構成されているといえる。
したがって、先願発明の「静電チャック25」と本件発明6の「セラミックス部材」とは、前者が「誘電膜」の部材で構成されているのに対し、後者は、「セラミックス」の部材で構成されている点で相違し、「第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、を備え、前記第1の面上にて対象物を保持する部材」である点で共通する。
イ 本件発明6の「第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、を備えるベース部材」と先願発明における「基台26」とを対比する。
先願発明において、「基台26」は、「Oリング301、302が配置される底面側と反対側の上面で静電チャック25と接」するものであるから、「基台26」は、静電チャック25が配置される側の面(上面)と、上面と反対側の面(下面)と、を備えるものであるといえる。
先願発明の「基台26」、「静電チャック25が配置される側の面(上面)」、「上面と反対側の面(下面)」は、それぞれ、本件発明6の「ベース部材」、「第3の面」、「前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面」に相当する。
したがって、本件発明6と先願発明とは、「第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、を備えるベース部材」を有する点で一致する。
ウ 先願発明では、「静電チャック25は、基台26の上に配置され、ウエハWを載置する側と反対側の下面で基台26と接し」、「基台26は、第1の温度の熱媒体を流す第1の流路101」を有し、「第1の温度は-100°以下の温度に制御され、これにより、載置台100のウエハ載置面を局所的に極低音領域の温度で冷却し」、「第1の流路101は、静電チャック25のウエハ載置面に対して全体的に設けられ」ているものであるから、「静電チャック25」の「ウエハWを載置する側と反対側の下面(「ウエハ載置面」と反対側の下面)」(第2の面)と、「基台26」の「静電チャック25が配置される側の面(上面)」(第3の面)とは、接しており、基台26に流れる熱媒体の温度制御を利用して、「載置台100のウエハ載置面」、すなわち「静電チャック25のウエハ載置面」を冷却しているといえる。
そうすると、先願発明では、「静電チャック25」の「ウエハWを載置する側と反対側の下面(「ウエハ載置面」と反対側の下面)」(第2の面)と、「基台26」の「静電チャック25が配置される側の面(上面)」(第3の面)とが、熱的に接続されているといえる。
したがって、本件発明6と先願発明とは、「前記セラミックス部材の前記第2の面と、前記ベース部材の前記第3の面とが、熱的に接続されている」点で一致する。
エ 先願発明の「載置台100」は、「静電チャック25及び基台26を有し」、ここで、「静電チャック25」は「ウエハWを保持」するものであるから、本件発明6の「保持部材」に相当する。
オ 先願発明の「シャワーヘッド40」は、「下面の電極板45と、電極板45を着脱可能に支持する電極支持体41とを有しており」、「載置台100とシャワーヘッド40との間に印加された高周波電力によって鉛直方向のRF電界が形成されることにより、処理容器10内において処理ガスを介したマグネトロン放電が行われ、これによりプラズマが生成されてウエハWの表面に所定のプラズマ処理が行われ」るものであるから、ウエハに対してプラズマ処理を行うためのプラズマを生成する電極部といえる。
さらに、上記ア~イの検討を踏まえると、先願発明の「ウエハW」は静電チャック25に保持されるものといえるから、先願発明の「シャワーヘッド40」は、本件発明6の「部材に保持される前記対象物に対してプラズマ処理を行うためのプラズマを生成する電極部」に相当する。
カ 先願発明の「載置台100」は、「プラズマエッチングやプラズマCVD等のプラズマ処理が行われる処理室」である「処理容器10の内部に設けられる」ものであり、また、「プラズマ処理」は「ウエハWの表面」に行われるものである。
さらに、先願発明では、「処理容器10は基板処理装置1が有するもの」であることからすると、基板処理装置1は半導体であるウエハをプラズマ処理する半導体製造装置といえる。
してみると、先願発明の「基板処理装置1」は、本件発明6の「半導体製造装置」に相当する。
キ 先願発明の「基台26」は、「第1の温度の熱媒体を流す第1の流路101」と「第2の温度の熱媒体を流す第2の流路102」と「を有」するものである。
ここで、「第1の温度」は、「-100°以下の温度に制御され、これにより、載置台100のウエハ載置面を局所的に極低温領域の温度で冷却」するものであるから、第1の流路101に流す第1の温度の熱媒体は冷媒といえる。
また、「第2の温度」は、「例えば常温等、ガラス転移点よりも高い」ものであって、「第2の流路102に」「第2の温度の熱媒体を流すことによって基台26の熱を吸熱することができ」るものであるから、第2の流路102に流す第2の温度の熱媒体は、吸熱すなわち冷却を行うものであり冷媒といえる。
そうすると、先願発明の「基台26」が備える「第1の流路101」及び「第2の流路102」は、本件発明6の「ベース部材」が備える「冷媒を流すための冷媒流路」に相当する。
ク 先願発明の「基台26の内部及び基台26の底面に配置されたOリング301、302を示し、静電チャック25、エッジリング27及びウエハWは省略した載置台100の基台26の断面」について、「基台26の内部」とは、上記イの検討を参酌すると、基台26の、静電チャック25が配置される側の面(上面)と、底面である、上面と反対側の面(下面)との間であるから、上記断面は、基台26の上面と下面の方向に沿って基台26を切り取った少なくとも1つの断面といえる。
ここで、先願発明の「静電チャック25」は、「基台26の上に配置され」るものであることからすると、静電チャック25と基台26とが配列される方向は、本件発明6の第1の方向に相当するといえるから、先願発明の上記断面は、上記アで示した相違する点を除き、本件発明6の「前記部材と前記ベース部材とが配列される第1の方向に沿って前記ベース部材を切り取った少なくとも1つの断面」と共通する。
ケ(ア)先願発明では、「第1の中空空間111a、111b」は、「第1の断熱層111」が「有し」ており、「第2の中空空間112a、112b」は、「第2の断熱層112」が「有し」ているから、第1の中空空間111a、第1の中空空間111b、第2の中空空間112a、第2の中空空間112bはそれぞれ断熱層といえる。
(イ)先願発明において、「第1の中間空間111aは第1の流路101の下部に形成され」、「第2の中間空間112aは第2の流路102の下部に形成され」ている。ここで、上記(ア)、イ、キ、クの検討を参酌すると、第1の中間空間111a及び第2の中間空間112aは、「前記冷媒流路に対して前記第1の方向の前記第4の面側に設けられる第1の断熱層」に相当する。
(ウ)先願発明において、「基台26」の「第1の中空空間111bは第1の流路101の側部に形成され」ているものであって、「最外周の第1の流路101のより外周側の側部に」「設けられて」いるものである。また、「基台26」の「第2の中空空間112bは第2の流路102の側部に形成され」ているものであって、「最外周の第2の流路102のより外周側の側部に」「設けられて」いるものである。ここで、「より外周側」の方向は、上記カの検討を参酌すると、静電チャック25と基台26とが配列される方向(第1の方向)と直交する方向といえる。
したがって、上記(ア)、キ、クを踏まえると、先願発明の「第1の中間空間111b」及び「第2の中間空間112b」は、本件発明6の「前記冷媒流路に対して前記第1の方向に直交する第2の方向側に設けられる第2の断熱層」に相当する。
(エ)先願発明の「第1の中空空間111b」は、「第1の中空空間111aに接続されて第1の中空空間111aから上方向に延びてい」るものであり、また、「第2の中空空間112b」は、「第2の中空空間112aに接続されて第2の中空空間112aから上方向に延びて」いるものであり、ここで、上記(ア)、クの検討を参酌すると、先願発明の「第1の中空空間111b」及び「第2の中空空間112b」と本件発明6の「第2の断熱層」とは、「前記第1の断熱層に接続しており、前記第1の断熱層から前記第1の方向の前記第3の面側に向かって設けられる」点で共通する。
コ 上記ア~ケの検討によれば、本件発明6と先願発明とは、以下の一致点、相違点1~2を有する。
[一致点]
「第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられる第2の面と、を備え、前記第1の面上にて対象物を保持する部材と、第3の面と、前記第3の面とは反対側に設けられる第4の面と、を備えるベース部材と、を備え、前記部材の前記第2の面と、前記ベース部材の前記第3の面とが、熱的に接続されている保持部材と、
前記部材に保持される前記対象物に対してプラズマ処理を行うためのプラズマを生成する電極部と、
を有する半導体製造装置において、
前記ベース部材は、冷媒を流すための冷媒流路を備え、
前記部材と前記ベース部材とが配列される第1の方向に沿って前記ベース部材を切り取った少なくとも1つの断面にて、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向の前記第4の面側に設けられる第1の断熱層と、
前記冷媒流路に対して前記第1の方向に直交する第2の方向側に設けられる第2の断熱層と、
を備え、
前記第2の断熱層は、前記第1の断熱層に接続しており、前記第1の断熱層から前記第1の方向の前記第3の面側に向かって設けられており、
を特徴とする半導体製造装置。」
[相違点1]
対象物を保持する部材について、本件発明6では、「セラミックス」部材であるのに対し、先願発明では、「ウエハWを保持」する「静電チャック25」は「誘電膜」によって構成されている点。
[相違点2]
本件発明6のベース部材は、「前記断面にて、複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、前記第2の断熱層として、前記第2の方向に隣り合う前記冷媒流路の間に設けられる流路間断熱層」の構成を備えるのに対し、先願発明の「基台26」はそのような構成を有しない点。
(2)相違点についての判断
ア 事案に鑑み、相違点2について先に検討する。
先願発明の「基台26」は、「前記断面にて、複数の前記冷媒流路が、前記第2の方向に間隔を空けて設けられており、前記第2の断熱層として、前記第2の方向に隣り合う前記冷媒流路の間に設けられる流路間断熱層」を有するものではないから、本件発明6は先願発明と同一ではない。
また、先願発明の「基台26」を、相違点2に係る本件発明6の構成とすることは、具体化手段における微差とはいえないから、本件発明6は先願発明と実質的に同一でもない。
イ 小括
以上から、相違点1について検討するまでもなく、本件発明6は先願発明と同一ではない。
4 本件発明4、5について
本件発明4、5は、上記相違点2に係る本件発明6の構成と同一の構成を有しているから、本件発明6と同様の理由により、先願発明と同一ではない。
5 まとめ
以上のとおりであるから、請求項4~6に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
したがって、取消理由1及び申立理由1は、いずれも理由がない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項4~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項4~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項1は、本件訂正により、削除されたため、本件特許の請求項1に対して申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700606