特許異議申立
2026-700075
廃石膏の破砕方法
- 審判番号
- 2026-700075
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-127415
- 登録番号
- 7713292
- 請求日
- 2026年01月26日
- 審決日
- 2026年04月08日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社トクヤマ
- 【権利者代理人】塩入 明
- 【権利者代理人】塩入 みか
- 【異議申立人】金澤 毅
- 審判長/審判官
- 審判長 深草 祐一
- 審判官 金 公彦
- 審判官 河本 充雄
- 分類
- P1651.113-Y (B02C) / P1651.121-Y (B02C) / P1651.537-Y (B02C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7713292号発明「廃石膏の破砕方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7713292号の請求項1~2に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7713292号の請求項1~2に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和2年7月28日の出願であって、令和7年7月16日にその特許権の設定登録がされ、同年同月25日に特許掲載公報が発行され、その後、令和8年1月26日に、請求項1~2に係る特許について、特許異議申立人 金澤 毅(以下、「申立人」という。)により、甲第1~9号証を証拠方法として特許異議の申立てがなされ、同年2月20日に、申立人より甲第3号証を添付して特許異議申立書の手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~2に係る発明は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1~2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下、請求項1~2に係る発明を、それぞれ「本件発明1」~「本件発明2」といい、まとめて「本件発明」ということがある。)。
「【請求項1】
1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する方法であって、
当該ミルはいずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間に、メッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させることにより、廃石膏を破砕するミルであり、
いずれのミルでも、メッシュは金属板でかつ複数の孔から成る開口を備え、
1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、
2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さくし、
1段目のミルの投入口から廃石膏を投入し、
1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、
1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、
2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得ることを特徴とする、廃石膏の破砕方法。
【請求項2】
1段目のミルでは前記メッシュの開口を14mm以上20mm以下とし、
2段目のミルでは前記メッシュの開口を5mm以上10mm以下とする、ことを特徴とする、請求項1の廃石膏の破砕方法。」
第3 特許異議申立理由の概要
1 特許法第29条第1項、第2項所定の規定違反(新規性、進歩性欠如)について
(1) 甲第1号証を主引用例とした場合について
本件発明1~2は、甲第1号証に記載された発明及び本件特許の出願時における周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項所定の規定により特許を受けることができないものである。
(2) 甲第4号証を主引用例とした場合について
本件発明1~2は、甲第4号証に開示された発明であるか、甲第4号証に開示された発明及び本件特許の出願時における周知技術(甲第5~9号証を引用)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項所定の規定に該当し、又は同法同条第2項所定の規定により、特許を受けることができないものである。
2 特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(サポート要件違反)について
本件特許明細書の段落【0006】(下記第4の2(2)ア)には、本件発明の課題について、「この発明の課題は、廃石膏を破砕する際に、紙片と石膏を効果的に分離すること、及び、破砕に用いるミルのメッシュの損傷を抑制することにある。」と記載されている。
一方、本件発明1においては、2台のハンマーミルを直列に接続し、ハンマーミルが有するメッシュのサイズを所定の範囲内にすることが特定されているのみである。
そして、本件特許明細書には、実施例の効果として、段落【0023】(下記第4の2(2)ウ)の記載があるにすぎず、実施例とはされているものの、具体的な実験条件や、紙片等からの石膏の分離の程度、メッシュの損傷の判定条件すらも記載されていないから、具体的な実験例を開示したものとはいえない。
更に、そのほかに、1段目、2段目のミルのメッシュの開口を、それぞれ特許請求の範囲に特定された範囲内とした場合に、紙片と石膏とを効果的に分離できることや、メッシュの損傷を抑制できた具体的な実施例の記載はなされていない。
そうすると、本件特許明細書には、本件発明の課題を解決できる具体的な実施例は開示されておらず、達成できる紙片等からの石膏の分離の程度、メッシュの損傷の判定条件すらも記載されていないから、どのような場合に本件発明の課題を解決できるのかも明らかでない。
したがって、本件発明1は、本件発明の課題を解決できることを当業者が認識できる範囲を超えているから、サポート要件を満たさない。
更に、本件発明2について検討しても事情は同じであるから、本件特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第1号所定の規定を満たさない。
3 証拠方法
甲第1号証:特開2003-71319号公報
甲第2号証:特開平3-296450号公報
甲第3号証:特表昭55-500421号公報
甲第4号証:「【廃石膏ボード】ターボセパレーター(分離機)//Turbo Separator by リョーシン//Ryosin」のYoutubeのウエブページ,2020年4月23日,令和8年1月7日検索,インターネット<URL:https://youtube.com/watch?v=DgnQ95ttpn4>
甲第5号証:「【石膏ボード//Gypsum Board】ターボセパレーター(分離機)//Turbo Separator by リョーシン//Ryosin(2)」のYouTubeのウエブページ,2020年3月13日,令和8年1月7日検索,インターネット<URL:https://youtube.com/watch?v=hTKB4H1-E6c>
甲第6号証:「yumeclean」のインスタグラムのウエブページ,2020年2月15日,令和8年1月7日検索,インターネット<URL:https://instagram.com/p/B81JW3MnvMx/?img_index=1>
甲第7号証:特表2014-501608号公報
甲第8号証:特開2012-135703号公報
甲第9号証:特開2012-35239号公報
なお、甲第3号証について、特許異議申立書においては特表昭55-500421号公報の1ページ目しか添付されていなかったので、令和8年2月20日に提出された手続補正書において新たに全ページが添付された特表昭55-500421号公報を採用する。
第4 特許異議申立理由についての当審の判断
1 特許法第29条第1項、第2項所定の規定違反(新規性、進歩性欠如)について
(1) 甲各号証に記載された事項等
ア 甲第1号証の記載事項及び甲第1号証に記載された発明
(ア) 甲第1号証には、以下のa~dの記載がある(当審注:下線は当審が付与した。また、「・・・」は記載の省略を表す。以下、同様である。)。
a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 廃棄物をある程度の大きさを有する破片に粗破砕する粗破砕工程と、
前記粗破砕工程で得られた粗破砕物を、主たる成分と、他の成分とが異なる大きさとなる様に破砕する破砕・分離工程と、
該破砕・分離工程によって破砕・分離された破砕物を、前記主たる成分と他の成分とに選別する一次選別工程と、
該一次選別工程で選別された前記主たる成分の破砕物を、さらに小さく細破砕する細破砕工程と、
該細破砕工程で細破砕された廃棄物を、寸法に応じて選別する二次選別工程とからなる廃棄物処理方法。」
b 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃石膏ボード、廃ガラス瓶、廃塩ビ管、廃FRP、廃木、廃竹、ベニヤ、草、廃農業ビニール、廃漁網、廃繊維類、紙屑、段ボール、瓦、スレート、サイディングボード等の各種の廃棄物を処理するための廃棄物処理方法及び廃棄物処理システムと、こうした廃棄物処理システムに適する廃棄物粗破砕装置、廃棄物破砕装置及び廃棄物細破砕装置に関するものである。
・・・
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のシステムで回収される石膏成分には、粉砕の過程で表面の紙板から発生する微細な紙片や紙粉が混入した状態となっており、高純度の石膏成分を回収することができないという問題があった。
・・・
【0019】ところが、従来の装置は、いずれも石膏ボード用としてだけしか使用することができず、特に、廃農業ビニールや廃繊維類等の様に柔らかい廃棄物を適切な大きさに粉砕することはできないという問題がある。
【0020】そこで、本発明は、廃棄物から、リサイクル原料成分を、高い回収率で、しかもリサイクルに適した大きさで回収できる様にすることを第1の目的とする。
【0021】また、廃棄物からリサイクル原料を回収するための処理時間を短くし、大量の廃棄物の処理にも適用可能にすることを第2の目的とする。
【0022】さらに、故障や破損が発生し難く、メンテナンスの容易な装置を提供することを第3の目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するためになされた本発明の廃棄物処理方法は、廃棄物をある程度の大きさを有する破片に粗破砕する粗破砕工程と、前記粗破砕工程で得られた粗破砕物を、主たる成分と、他の成分とが異なる大きさとなる様に破砕する破砕・分離工程と、該破砕・分離工程によって破砕・分離された破砕物を、前記主たる成分と他の成分とに選別する一次選別工程と、該一次選別工程で選別された前記主たる成分の破砕物を、さらに小さく細破砕する細破砕工程と、該細破砕工程で細破砕された廃棄物を、寸法に応じて選別する二次選別工程とからなる。
【0024】本発明の廃棄物処理方法によれば、「粗破砕」→「破砕・分離」→「一次選別」→「細破砕」→「二次選別」と順番に処理することで、従来よりも工程数は増えるものの、廃棄物を、主たる成分と他の成分とに一旦分離し、その後、主たる成分だけになった廃棄物を所望のサイズに細破砕することとなり、高純度でリサイクル原料として適した寸法にした廃棄物を高い回収率で回収することができる。即ち、「細破砕」の前に、「破砕・分離」及び「一次選別」の工程を入れることで、廃棄物を成分別に分類することが容易となり、リサイクル原料の高純度化と高い回収率とを両立させることができるのである。」
c 「【0063】一実施の形態としての廃石膏ボードリサイクルシステムの全体構成を図1に示す。図示の様に、この廃石膏ボードリサイクルシステム1は、粗破砕機10と、剥離機30と、一次選別スクリーン50と、細破砕機70と、二次選別スクリーン90とを備えると共に、さらに、剥離機30と一次選別スクリーン50との間に配置されるスクリューコンベア110と、細破砕機70と二次選別スクリーン90との間に配置されるスクリューコンベア120とを備えている。
【0064】粗破砕機10は、原料投入口11と、粗破砕機ホッパー12と、粗破砕機固定刃受け台13と、粗破砕機固定刃14と、粗破砕機回転刃シャフト15と、粗破砕機回転円盤16と、粗破砕機回転刃17と、粗破砕機回転円盤支持軸18と、粗破砕物排出口19とを備えている。
【0065】剥離機30は、粗破砕物投入口31と、剥離機固定刃受け台32と、剥離機固定垂直刃33aと、剥離機固定リング刃33bと、剥離機固定外周網刃34と、剥離機回転刃受け台35と、剥離機回転垂直刃36aと、剥離機回転リング刃36bと、剥離機回転補助刃37と、剥離機回転刃シャフト38と、剥離機本体ケース39と、剥離物排出口40とを備えている。
【0066】一次選別スクリーン50は、剥離物投入口51と、分離機本体52と、細破砕物選別スクリーン53と、粗破砕物選別スクリーン54と、攪拌・掻き上げ突起刃55と、製品排出口56と、粗破砕物排出口57と、紙・異物排出口58とを備えている。
【0067】細破砕機70は、粗破砕物投入口71と、細破砕機本体ケース72と、細破砕機固定刃受け台73と、細破砕機固定外周網刃74と、細破砕機固定垂直刃75aと、細破砕機固定リング刃75bと、細破砕機回転刃受け台76と、細破砕機回転垂直刃77aと、細破砕機回転リング刃77bと、細破砕機回転円筒刃78と、細破砕機回転補助刃79と、細破砕機回転刃シャフト80と、細破砕物排出口81とを備えている。
【0068】二次選別スクリーン90は、細破砕物投入口91と、分離機本体92と、細破砕物選別スクリーン93と、攪拌・掻き上げ突起板94と、粗破砕物排出口95と、製品排出口96とを備えている。
・・・
【0076】次に、本実施の形態の廃石膏ボードリサイクルシステム1の作用について説明する。
【0077】この廃石膏ボードリサイクルシステム1では、まず最初に、粗破砕機10の原料投入口11から廃石膏ボードを投入する。投入された廃石膏ボードは、ホッパー12内に溜まり、順次、回転刃17によって固定刃14に押し付けられながら、曲げ荷重を受けて押し割られる様にして割られていく。・・・
・・・
【0080】この粗破砕物は、続いて、粗破砕物投入口31から剥離機30内へと投入される。・・・
【0081】この剥離機30内に投入された粗破砕物は、高速回転する回転刃受け台35に当たると、中心から外側へと高速ではね飛ばされる。ここで、剥離機30は、回転刃受け台35を水平に配置しているので、粗破砕物は、360度いずれの方向へもはね飛ばされる。そして、はね飛ばされた粗破砕物は、剥離機30内に多数立設されている回転垂直刃36a、固定垂直刃33a及び回転補助刃37や、回転リング刃36b及び固定リング刃33bに対して高速で激突し、今度は衝撃によって砕かれることになる。
【0082】このとき、回転垂直刃36a、固定垂直刃33a及び回転補助刃37として丸棒を用いることにより、粗破砕物の表面及び裏面に貼り付いている紙板を切ることなく、心材の石膏板だけを砕く様にして破砕が進む。この結果、紙板と石膏とが分離されながら、紙板は比較的大きな破片のままで残る一方、石膏は比較的細かな破片となって破砕が進む。
【0083】こうして、紙板と石膏がきれいに分離されることになる。なお、最外周まではね飛ばされた粗破砕物は、固定外周網刃34に高速で衝突し、ここでも破砕される。そして、この外周網刃34の網の目を通過した破砕物が、剥離物排出口40から順次排出されていく。逆に、外周網刃34の網の目を通過できなかった破砕物は、機械の中心方向へとはね飛ばされ、再び、固定垂直刃33aや回転垂直刃36a等に衝突し、そのときの衝撃によってさらに破砕される。このときも、固定垂直刃33aや回転垂直刃36aが丸棒なので、紙板は切り刻まれることがなく、石膏だけが細かく破砕される。
【0084】こうして剥離機30から排出された破砕物は、スクリューコンベア110により、一次選別スクリーン50へと投入される。一次選別スクリーン50では、破砕物がその大きさにより、3種類に選別される。2mmアンダーの石膏粉末は、粗破砕物選別スクリーン54及び細破砕物選別スクリーン53を通過して、製品排出口56から排出される。また、粒径が2mmよりも大きい2mmオーバーの石膏片は、粗破砕物選別スクリーン54を通過するものの細破砕物選別スクリーン53を通過することができず、粗破砕物排出口57から排出される。そして、大きな破片のままで残っている紙板は、異物(釘等の金属や木屑等)と共に、紙・異物排出口58から排出される。
【0085】上述の様に、剥離機30では、紙板を切り刻むことなく、効率よく石膏だけを破砕し、紙板と石膏とを分離するので、製品排出口56から排出された2mmアンダーの石膏粉末は、そのままリサイクル原料として製品化することができる。また、紙・異物排出口58から排出された紙片は、回転刃受け台35の高速回転によってはね飛ばされる結果、固定垂直刃33a、回転垂直刃36a、補助刃37、固定リング刃33b、回転リング刃36b等に高速で衝突することにより、付着している石膏成分をきれいに剥離させ、石膏成分がほとんど付着していない状態になっている。従って、紙・異物排出口58から排出された紙片を回収することにより、これもまたサーマル燃料といった用途のためのリサイクル原料となる。そして、粗破砕物排出口57から排出された2mmオーバーの石膏片は、次工程へと回される。
【0086】こうして一次選別スクリーン50で選別・回収された2mmオーバーの石膏片は、粗破砕物投入口71から細破砕機70内へと投入される。・・・
【0087】この細破砕機70内に投入された2mmオーバーの石膏片は、高速回転する回転刃受け台76に当たると、中心から外側へと高速ではね飛ばされる。そして、はね飛ばされた石膏片は、細破砕機70内に無数に立設されている回転垂直刃77a、固定垂直刃75a及び回転補助刃79や、回転リング刃77b及び固定リング刃75bや、さらに、回転円筒刃78に対して高速で激突し、衝撃によって細かく砕かれることになる。
【0088】この細破砕機70では、回転垂直刃77a、固定垂直刃75a及び回転補助刃79として比較的鋭利な角を有すると共に、平面部分も有する四角棒を用いることにより、石膏片を短時間で効率よく粉砕することができる。また、回転円筒刃78を備えることにより、剥離機30のときよりも、より多くの衝突の機会が生まれる。加えて、この回転円筒刃78があることで、大きめの石膏片は、この回転円筒刃78を乗り越えることが困難となり、細かく粉砕されて粉末状になった石膏片だけが、徐々に外周部分へと移動しつつ粉砕が進んでいく。
【0089】またここでも、最外周まではね飛ばされた石膏片は、固定外周網刃74に高速で衝突し、さらに細かく粉砕される。そして、この外周網刃74の網の目を通過した粉末状の石膏片が、細破砕物排出口81から順次排出されていく。逆に、外周網刃74の網の目を通過できなかった石膏片は、機械の中心方向へとはね飛ばされ、再び、固定垂直刃75aや回転垂直刃77a等に衝突し、そのときの衝撃によって細かく粉砕される。このときも、固定垂直刃75aや回転垂直刃77aが四角棒なので、2mmオーバーの石膏片は短時間で効率よく粉砕される。
【0090】こうして細破砕機70から排出された石膏粉末は、スクリューコンベア120により、二次選別スクリーン90へと投入される。二次選別スクリーン90では、2mmアンダーの石膏粉末は、細破砕物選別スクリーン93を通過して、製品排出口96から排出される。また、2mmオーバーの石膏片は、細破砕物選別スクリーン93を通過することができず、粗破砕物排出口95から排出される。
【0091】こうして製品排出口96から排出された2mmアンダーの石膏粉末は、そのままリサイクル原料として製品化することができる。また、粗破砕物排出口95から排出された2mmオーバーの石膏粉末は、これを回収し、再び細破砕機70へと投入して再度粉砕を実行することにより、最終的には、本システムに投入された廃石膏ボードを構成するほぼ全ての石膏成分が2mmアンダーの石膏粉末となり、リサイクル原料として製品化することができる。」
d 「【図1】
[図:0001435216000001.jpg]
」
(イ) 前記(ア)aの記載によれば、甲第1号証には、廃棄物をある程度の大きさを有する破片に粗破砕する粗破砕工程と、前記粗破砕工程で得られた粗破砕物を、主たる成分と、他の成分とが異なる大きさとなる様に破砕する破砕・分離工程と、該破砕・分離工程によって破砕・分離された破砕物を、前記主たる成分と他の成分とに選別する一次選別工程と、該一次選別工程で選別された前記主たる成分の破砕物を、更に小さく細破砕する細破砕工程と、該細破砕工程で細破砕された廃棄物を、寸法に応じて選別する二次選別工程とからなる廃棄物処理方法が記載されている。
そして、前記(ア)bの記載によれば、前記廃棄物処理方法は、廃石膏ボード、廃ガラス瓶等の各種の廃棄物を処理するための廃棄物処理方法に関するものであって(段落【0001】)、従来のシステムで回収される石膏成分には、粉砕の過程で表面の紙板から発生する微細な紙片や紙粉が混入した状態となっており、高純度の石膏成分を回収することができない(段落【0005】)、という課題や、従来の装置は、いずれも石膏ボード用としてだけしか使用することができず、特に、廃農業ビニールや廃繊維類等の様に柔らかい廃棄物を適切な大きさに粉砕することはできない(段落【0019】)、という課題を解決するものであり、前記廃棄物処理方法によれば、「粗破砕」→「破砕・分離」→「一次選別」→「細破砕」→「二次選別」と順番に処理することで、従来よりも工程数は増えるものの、廃棄物を、主たる成分と他の成分とに一旦分離し、その後、主たる成分だけになった廃棄物を所望のサイズに細破砕することとなり、高純度でリサイクル原料として適した寸法にした廃棄物を高い回収率で回収することができるものである(段落【0024】)。
具体的には、前記(ア)c~dの記載によれば、前記廃棄物処理方法は、粗破砕機10と、剥離機30と、一次選別スクリーン50と、細破砕機70と、二次選別スクリーン90とを備えると共に、更に、剥離機30と一次選別スクリーン50との間に配置されるスクリューコンベア110と、細破砕機70と二次選別スクリーン90との間に配置されるスクリューコンベア120とを備えているものであり、粗破砕機10は、原料投入口11と、粗破砕機ホッパー12と、粗破砕機固定刃受け台13と、粗破砕機固定刃14と、粗破砕機回転刃シャフト15と、粗破砕機回転円盤16と、粗破砕機回転刃17と、粗破砕機回転円盤支持軸18と、粗破砕物排出口19とを備えているものであり、剥離機30は、粗破砕物投入口31と、剥離機固定刃受け台32と、剥離機固定垂直刃33aと、剥離機固定リング刃33bと、剥離機固定外周網刃34と、剥離機回転刃受け台35と、剥離機回転垂直刃36aと、剥離機回転リング刃36bと、剥離機回転補助刃37と、剥離機回転刃シャフト38と、剥離機本体ケース39と、剥離物排出口40とを備えているものであり、一次選別スクリーン50は、剥離物投入口51と、分離機本体52と、細破砕物選別スクリーン53と、粗破砕物選別スクリーン54と、攪拌・掻き上げ突起刃55と、製品排出口56と、粗破砕物排出口57と、紙・異物排出口58とを備えているものであり、細破砕機70は、粗破砕物投入口71と、細破砕機本体ケース72と、細破砕機固定刃受け台73と、細破砕機固定外周網刃74と、細破砕機固定垂直刃75aと、細破砕機固定リング刃75bと、細破砕機回転刃受け台76と、細破砕機回転垂直刃77aと、細破砕機回転リング刃77bと、細破砕機回転円筒刃78と、細破砕機回転補助刃79と、細破砕機回転刃シャフト80と、細破砕物排出口81とを備えているものであり、二次選別スクリーン90は、細破砕物投入口91と、分離機本体92と、細破砕物選別スクリーン93と、攪拌・掻き上げ突起板94と、粗破砕物排出口95と、製品排出口96とを備えているものである(段落【0063】~【0068】)。
そして、まず最初に、粗破砕機10の原料投入口11から廃石膏ボードを投入すると、投入された廃石膏ボードは、ホッパー12内に溜まり、順次、回転刃17によって固定刃14に押し付けられながら、曲げ荷重を受けて押し割られる様にして割られていくものであり(段落【0077】)、粗破砕物は、続いて、粗破砕物投入口31から剥離機30内へと投入され、剥離機30内に投入された粗破砕物は、高速回転する回転刃受け台35に当たると、中心から外側へと高速ではね飛ばされ、はね飛ばされた粗破砕物は、剥離機30内に多数立設されている回転垂直刃36a、固定垂直刃33a及び回転補助刃37や、回転リング刃36b及び固定リング刃33bに対して高速で激突し、今度は衝撃によって砕かれることになるものであり、このとき、回転垂直刃36a、固定垂直刃33a及び回転補助刃37として丸棒を用いることにより、粗破砕物の表面及び裏面に貼り付いている紙板を切ることなく、心材の石膏板だけを砕く様にして破砕が進む結果、紙板と石膏とが分離されながら、紙板は比較的大きな破片のままで残る一方、石膏は比較的細かな破片となって破砕が進むものであり、こうして、紙板と石膏がきれいに分離されることになるものであり、最外周まではね飛ばされた粗破砕物は、固定外周網刃34に高速で衝突し、ここでも破砕され、この外周網刃34の網の目を通過した破砕物が、剥離物排出口40から順次排出されていくものであり、逆に、外周網刃34の網の目を通過できなかった破砕物は、機械の中心方向へとはね飛ばされ、再び、固定垂直刃33aや回転垂直刃36a等に衝突し、そのときの衝撃によって更に破砕されるものである(段落【0080】~【0083】)。
次に、剥離機30から排出された破砕物は、スクリューコンベア110により、一次選別スクリーン50へと投入されるものであり、一次選別スクリーン50では、破砕物がその大きさにより、3種類に選別されるものであり、2mmアンダーの石膏粉末は、粗破砕物選別スクリーン54及び細破砕物選別スクリーン53を通過して、製品排出口56から排出され、粒径が2mmよりも大きい2mmオーバーの石膏片は、粗破砕物選別スクリーン54を通過するものの細破砕物選別スクリーン53を通過することができず、粗破砕物排出口57から排出され、大きな破片のままで残っている紙板は、異物(釘等の金属や木屑等)と共に、紙・異物排出口58から排出されるものであり、剥離機30では、紙板を切り刻むことなく、効率よく石膏だけを破砕し、紙板と石膏とを分離するので、製品排出口56から排出された2mmアンダーの石膏粉末は、そのままリサイクル原料として製品化することができるものであり、紙・異物排出口58から排出された紙片は、回転刃受け台35の高速回転によってはね飛ばされる結果、固定垂直刃33a、回転垂直刃36a、補助刃37、固定リング刃33b、回転リング刃36b等に高速で衝突することにより、付着している石膏成分をきれいに剥離させ、石膏成分がほとんど付着していない状態になっているから、紙・異物排出口58から排出された紙片を回収することにより、これもまたサーマル燃料といった用途のためのリサイクル原料となるものであり、粗破砕物排出口57から排出された2mmオーバーの石膏片は、次工程へと回されるものである(段落【0084】~【0085】)。
更に、一次選別スクリーン50で選別・回収された2mmオーバーの石膏片は、粗破砕物投入口71から細破砕機70内へと投入されるものであり、細破砕機70内に投入された2mmオーバーの石膏片は、高速回転する回転刃受け台76に当たると、中心から外側へと高速ではね飛ばされ、はね飛ばされた石膏片は、細破砕機70内に無数に立設されている回転垂直刃77a、固定垂直刃75a及び回転補助刃79や、回転リング刃77b及び固定リング刃75bや、回転円筒刃78に対して高速で激突し、衝撃によって細かく砕かれることになるものであり、細破砕機70では、回転垂直刃77a、固定垂直刃75a及び回転補助刃79として比較的鋭利な角を有すると共に、平面部分も有する四角棒を用いることにより、石膏片を短時間で効率よく粉砕することができ、また、回転円筒刃78を備えることにより、剥離機30のときよりも、より多くの衝突の機会が生まれ、加えて、この回転円筒刃78があることで、大きめの石膏片は、この回転円筒刃78を乗り越えることが困難となり、細かく粉砕されて粉末状になった石膏片だけが、徐々に外周部分へと移動しつつ粉砕が進んでいくものであり、最外周まではね飛ばされた石膏片は、固定外周網刃74に高速で衝突し、更に細かく粉砕され、この外周網刃74の網の目を通過した粉末状の石膏片が、細破砕物排出口81から順次排出されていくものであり、逆に、外周網刃74の網の目を通過できなかった石膏片は、機械の中心方向へとはね飛ばされ、再び、固定垂直刃75aや回転垂直刃77a等に衝突し、そのときの衝撃によって細かく粉砕されるものである(段落【0086】~【0089】)。
最後に、細破砕機70から排出された石膏粉末は、スクリューコンベア120により、二次選別スクリーン90へと投入され、二次選別スクリーン90では、2mmアンダーの石膏粉末は、細破砕物選別スクリーン93を通過して、製品排出口96から排出され、2mmオーバーの石膏片は、細破砕物選別スクリーン93を通過することができず、粗破砕物排出口95から排出されるものであり、製品排出口96から排出された2mmアンダーの石膏粉末は、そのままリサイクル原料として製品化することができ、粗破砕物排出口95から排出された2mmオーバーの石膏粉末は、これを回収し、再び細破砕機70へと投入して再度粉砕を実行することにより、最終的には、本システムに投入された廃石膏ボードを構成するほぼ全ての石膏成分が2mmアンダーの石膏粉末となり、リサイクル原料として製品化することができるものである(段落【0090】~【0091】)。
(ウ) 前記(イ)によれば、甲第1号証には、以下の発明が記載されているといえる。
「廃棄物をある程度の大きさを有する破片に粗破砕する粗破砕工程と、前記粗破砕工程で得られた粗破砕物を、主たる成分と、他の成分とが異なる大きさとなる様に破砕する破砕・分離工程と、該破砕・分離工程によって破砕・分離された破砕物を、前記主たる成分と他の成分とに選別する一次選別工程と、該一次選別工程で選別された前記主たる成分の破砕物を、更に小さく細破砕する細破砕工程と、該細破砕工程で細破砕された廃棄物を、寸法に応じて選別する二次選別工程とからなる廃棄物処理方法であって、
前記廃棄物処理方法は、廃石膏ボード、廃ガラス瓶等の各種の廃棄物を処理するための廃棄物処理方法に関するものであり、従来のシステムで回収される石膏成分には、粉砕の過程で表面の紙板から発生する微細な紙片や紙粉が混入した状態となっており、高純度の石膏成分を回収することができない、という課題や、従来の装置は、いずれも石膏ボード用としてだけしか使用することができず、特に、廃農業ビニールや廃繊維類等の様に柔らかい廃棄物を適切な大きさに粉砕することはできない、という課題を解決するものであり、
前記廃棄物処理方法によれば、「粗破砕」→「破砕・分離」→「一次選別」→「細破砕」→「二次選別」と順番に処理することで、従来よりも工程数は増えるものの、廃棄物を、主たる成分と他の成分とに一旦分離し、その後、主たる成分だけになった廃棄物を所望のサイズに細破砕することとなり、高純度でリサイクル原料として適した寸法にした廃棄物を高い回収率で回収することができるものであり、
前記廃棄物処理方法は、粗破砕機と、剥離機と、一次選別スクリーンと、細破砕機と、二次選別スクリーンとを備えると共に、更に、剥離機と一次選別スクリーンとの間に配置されるスクリューコンベアと、細破砕機と二次選別スクリーンとの間に配置されるスクリューコンベアとを備えているものであり、
粗破砕機は、原料投入口と、粗破砕機ホッパーと、粗破砕機固定刃受け台と、粗破砕機固定刃と、粗破砕機回転刃シャフトと、粗破砕機回転円盤と、粗破砕機回転刃と、粗破砕機回転円盤支持軸と、粗破砕物排出口とを備えているものであり、
剥離機は、粗破砕物投入口と、剥離機固定刃受け台と、剥離機固定垂直刃と、剥離機固定リング刃と、剥離機固定外周網刃と、剥離機回転刃受け台と、剥離機回転垂直刃と、剥離機回転リング刃と、剥離機回転補助刃と、剥離機回転刃シャフトと、剥離機本体ケースと、剥離物排出口とを備えているものであり、
一次選別スクリーンは、剥離物投入口と、分離機本体と、細破砕物選別スクリーンと、粗破砕物選別スクリーンと、攪拌・掻き上げ突起刃と、製品排出口と、粗破砕物排出口と、紙・異物排出口とを備えているものであり、
細破砕機は、粗破砕物投入口と、細破砕機本体ケースと、細破砕機固定刃受け台と、細破砕機固定外周網刃と、細破砕機固定垂直刃と、細破砕機固定リング刃と、細破砕機回転刃受け台と、細破砕機回転垂直刃と、細破砕機回転リング刃と、細破砕機回転円筒刃と、細破砕機回転補助刃と、細破砕機回転刃シャフトと、細破砕物排出口とを備えているものであり、
二次選別スクリーンは、細破砕物投入口と、分離機本体と、細破砕物選別スクリーンと、攪拌・掻き上げ突起板と、粗破砕物排出口と、製品排出口とを備えているものであり、
まず最初に、粗破砕機の原料投入口から廃石膏ボードを投入すると、投入された廃石膏ボードは、ホッパー内に溜まり、順次、回転刃によって固定刃に押し付けられながら、曲げ荷重を受けて押し割られる様にして割られていくものであり、
粗破砕物は、続いて、粗破砕物投入口から剥離機内へと投入され、剥離機内に投入された粗破砕物は、高速回転する回転刃受け台に当たると、中心から外側へと高速ではね飛ばされ、はね飛ばされた粗破砕物は、剥離機内に多数立設されている回転垂直刃、固定垂直刃及び回転補助刃や、回転リング刃及び固定リング刃に対して高速で激突し、今度は衝撃によって砕かれることになるものであり、このとき、回転垂直刃、固定垂直刃及び回転補助刃として丸棒を用いることにより、粗破砕物の表面及び裏面に貼り付いている紙板を切ることなく、心材の石膏板だけを砕く様にして破砕が進む結果、紙板と石膏とが分離されながら、紙板は比較的大きな破片のままで残る一方、石膏は比較的細かな破片となって破砕が進むものであり、こうして、紙板と石膏がきれいに分離されることになるものであり、最外周まではね飛ばされた粗破砕物は、固定外周網刃に高速で衝突し、ここでも破砕され、この外周網刃の網の目を通過した破砕物が、剥離物排出口から順次排出されていくものであり、逆に、外周網刃の網の目を通過できなかった破砕物は、機械の中心方向へとはね飛ばされ、再び、固定垂直刃や回転垂直刃等に衝突し、そのときの衝撃によって更に破砕されるものであり、
剥離機から排出された破砕物は、スクリューコンベアにより、一次選別スクリーンへと投入されるものであり、一次選別スクリーンでは、破砕物がその大きさにより、3種類に選別されるものであり、2mmアンダーの石膏粉末は、粗破砕物選別スクリーン及び細破砕物選別スクリーンを通過して、製品排出口から排出され、粒径が2mmよりも大きい2mmオーバーの石膏片は、粗破砕物選別スクリーンを通過するものの細破砕物選別スクリーンを通過することができず、粗破砕物排出口から排出され、大きな破片のままで残っている紙板は、異物(釘等の金属や木屑等)と共に、紙・異物排出口から排出されるものであり、剥離機では、紙板を切り刻むことなく、効率よく石膏だけを破砕し、紙板と石膏とを分離するので、製品排出口から排出された2mmアンダーの石膏粉末は、そのままリサイクル原料として製品化することができるものであり、紙・異物排出口から排出された紙片は、回転刃受け台の高速回転によってはね飛ばされる結果、固定垂直刃、回転垂直刃、補助刃、固定リング刃、回転リング刃等に高速で衝突することにより、付着している石膏成分をきれいに剥離させ、石膏成分がほとんど付着していない状態になっているから、紙・異物排出口から排出された紙片を回収することにより、これもまたサーマル燃料といった用途のためのリサイクル原料となるものであり、粗破砕物排出口から排出された2mmオーバーの石膏片は、次工程へと回されるものであり、
一次選別スクリーンで選別・回収された2mmオーバーの石膏片は、粗破砕物投入口から細破砕機内へと投入されるものであり、細破砕機内に投入された2mmオーバーの石膏片は、高速回転する回転刃受け台に当たると、中心から外側へと高速ではね飛ばされ、はね飛ばされた石膏片は、細破砕機内に無数に立設されている回転垂直刃、固定垂直刃及び回転補助刃や、回転リング刃及び固定リング刃や、回転円筒刃に対して高速で激突し、衝撃によって細かく砕かれることになるものであり、細破砕機では、回転垂直刃、固定垂直刃及び回転補助刃として比較的鋭利な角を有すると共に、平面部分も有する四角棒を用いることにより、石膏片を短時間で効率よく粉砕することができ、また、回転円筒刃を備えることにより、剥離機のときよりも、より多くの衝突の機会が生まれ、加えて、この回転円筒刃があることで、大きめの石膏片は、この回転円筒刃を乗り越えることが困難となり、細かく粉砕されて粉末状になった石膏片だけが、徐々に外周部分へと移動しつつ粉砕が進んでいくものであり、最外周まではね飛ばされた石膏片は、固定外周網刃に高速で衝突し、更に細かく粉砕され、この外周網刃の網の目を通過した粉末状の石膏片が、細破砕物排出口から順次排出されていくものであり、逆に、外周網刃の網の目を通過できなかった石膏片は、機械の中心方向へとはね飛ばされ、再び、固定垂直刃や回転垂直刃等に衝突し、そのときの衝撃によって細かく粉砕されるものであり、
細破砕機から排出された石膏粉末は、スクリューコンベアにより、二次選別スクリーンへと投入され、二次選別スクリーンでは、2mmアンダーの石膏粉末は、細破砕物選別スクリーンを通過して、製品排出口から排出され、2mmオーバーの石膏片は、細破砕物選別スクリーンを通過することができず、粗破砕物排出口から排出されるものであり、製品排出口から排出された2mmアンダーの石膏粉末は、そのままリサイクル原料として製品化することができ、粗破砕物排出口から排出された2mmオーバーの石膏粉末は、これを回収し、再び細破砕機へと投入して再度粉砕を実行することにより、最終的には、本システムに投入された廃石膏ボードを構成するほぼ全ての石膏成分が2mmアンダーの石膏粉末となり、リサイクル原料として製品化することができるものである、廃棄物処理方法。」(以下、「甲1発明」という。)
イ 甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、以下の記載がある。
「本発明において、樹脂組成物の原料粗粒子またはトナー粗砕物は、通常、塊を粗粉砕したのちに微粉砕工程に供する。例えば、ハンマーミルで粗粉砕を行い、その際にハンマーミルにメッシュを取りつけて粒度を揃える。このように粗粉砕機に取りつけるメッシュの大きさは、通常、0.1~10mmのものを用いる。10mmを越える場合には微粉砕装置内で詰まりを発生させる可能性があり、0.1mmより小さい場合は粗粉砕装置に負荷がかかりすぎ能力が出ない、さらにはメッシュ詰まりが発生し易い。」(8ページ左上欄1行~11行)
ウ 甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、以下の記載がある。
「これらのチツプは次にハンマーミルに供給し通過させて粉末とされる。しかし、インゴツトがカツター・ホイールに供給されるとき、通常残端(buttend)といわれるインゴツトの最後の部分が、カツター・ホイールの切削歯の動作で飛びはねたり振動したりする傾向があることが知られている。インゴツトの残端がこのような振動をすると、時として切削歯に当らずに通過し、その結果粉砕機からはずれ、他のチツプと共に放出されることがある。結果的に、このチツプをハンマーミルに供給通過させる際は、最初の粉砕機からはずれた残端がハンマーミルのスクリーンを破損しないように、大きなメツシユサイズのスクリーンを用いなければならない。このメツシユサイズは、ハンマーミルで製造されるマグネシウムまたはマグネシウム合金の粉末の相対粉末度に直接関係するので、これら先行技術の方法は、比較的に大きさの粗い粉末を製造できるにすぎないものであった。
従つてマグネシウムを比較的に細かい粉末形態にしたい場合は、ハンマーミル中のスクリーンとして比較的小メツシユのスクリーンを用いうるように、マグネシウムの小チツプだけをハンマーミルに供給することが望ましい。」(2ページ左下欄16行~右下欄12行)
エ 甲第4号証の開示事項及び甲第4号証に開示された発明
(ア) 甲第4号証には、以下のa~gの開示がある。
a 「
[図:0001435216000002.jpg]
」(1ページ目)
(当審訳:石膏ボードターボセパレーター)
b 「
[図:0001435216000003.jpg]
」(2ページ目)
(当審訳:6インチ以下のピースが最適)
c 「
[図:0001435216000004.jpg]
」(3ページ目)
(当審訳:投入ホッパーへの投入)
d 「
[図:0001435216000005.jpg]
」(4ページ目)
(当審訳:T30ターボセパレーター)
e 「
[図:0001435216000006.jpg]
」(5ページ目)
(当審訳:回収された石膏粉末)
f 「
[図:0001435216000007.jpg]
」(6ページ目)
(当審訳:ダストカバー付きの輸送コンベアが利用可能)
g 「
[図:0001435216000008.jpg]
」(7ページ目)
(当審訳:回収された裏紙)
(イ) 前記(ア)aによれば、甲第4号証には、廃石膏ボードターボセパレーター(分離機)が開示され、前記(ア)b及びcによれば、廃石膏ボードターボセパレーター(分離機)の投入ホッパーには、6インチ以下のピースが投入されることが看取されるものであり、前記(ア)dによれば、前記廃石膏ボードターボセパレーター(分離機)は、T30ターボセパレーターを備えるものであり、前記(ア)e及びgによれば、廃石膏ボードターボセパレーター(分離機)により、石膏粉末及び裏紙が回収されるものであり、前記(ア)fによれば、廃石膏ボードターボセパレーター(分離機)には、ダストカバー付きの輸送コンベアが利用可能であるものである。
(ウ) 前記(イ)の甲第4号証に開示された事項を、石膏粉末及び裏紙を回収する方法に注目して整理すると、甲第4号証には、以下の発明が開示されているといえる。
「廃石膏ボードターボセパレーター(分離機)により、石膏粉末及び裏紙を回収する方法であって、
前記廃石膏ボードターボセパレーター(分離機)の投入ホッパーには、6インチ以下のピースが投入されるものであり、
前記廃石膏ボードターボセパレーター(分離機)は、T30ターボセパレーターを備えるものであり、
石膏粉末及び裏紙が回収され、ダストカバー付きの輸送コンベアが利用可能である、方法。」(以下、「甲4発明」という。)
オ 甲第5号証の開示事項
甲第5号証には、以下の(ア)~(キ)の開示がある。
(ア) 「
[図:0001435216000009.jpg]
」(1ページ目)
(当審訳:石膏ボードターボセパレーター)
(イ) 「
[図:0001435216000010.jpg]
」(2ページ目)
(ウ) 「
[図:0001435216000011.jpg]
」(3ページ目)
(当審訳:スコット・イクイップメントのT30ターボセパレータ)
(エ) 「
[図:0001435216000012.jpg]
」(4ページ目)
(当審訳:微粉末にした分離された石膏)
(オ) 「
[図:0001435216000013.jpg]
」(5ページ目)
(当審訳:減量して浄化した壁板の裏紙)
(カ) 「
[図:0001435216000014.jpg]
」(6ページ目)
(当審訳:機械内部には紙や粉末はほとんど入っていない)
(キ) 「
[図:0001435216000015.jpg]
」(7ページ目)
カ 甲第6号証の開示事項
甲第6号証には、以下の開示がある。
「
[図:0001435216000016.jpg]
」(1ページ目)
キ 甲第7号証の記載事項
甲第7号証には、以下の記載がある。
「【0048】
第3の比重選別ユニット238からの重量分別物244は、第4の比重選別ユニット246に搬送される。・・・第4の比重選別機に使用されうる他のデバイスは、ハンマーミル選別機(例えば、Scott社のターボセパレータ)、ディスクスクリーン、振動スクリーン、またはこれらの組み合わせを含む。・・・」
ク 甲第8号証の記載事項
甲第8号証には、以下の(ア)~(イ)の記載がある。
(ア) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏ボード廃材を荒破砕処理し、ボード原紙を除去した後に得られる紙質を含有する石膏粉体から、該紙質を除去して高純度の石膏粉体を回収する方法であって、該紙質を含有する石膏粉体を、乾式で、衝撃式粉砕機またはジェット式粉砕機で微粉砕した後、該微粉砕後の粉体をふるい処理にかけることを特徴とする、前記回収方法。」
(イ) 「【0017】
本発明においては、このような石膏ボード廃材を荒破砕処理し、ボード原紙が除去されたものから、さらに紙質を除去して高純度の石膏を回収する。当該粉砕及び除去方法としては、公知の方法が特に制限されることなく適用できる。なおここで、荒破砕とは、石膏ボード廃材中の石膏が、目開き20mm程度のふるい下に分離できる大きさになるまでの粉砕をいう。荒粉砕及び後述する微粉砕の効率を考慮すると、ふるい分け法による平均粒径D50が1~10mmの範囲にあることが好ましく、3~8mmの範囲にあることがより好ましい。
・・・
【0029】
本発明においては、このようにして微粉砕処理を行った石膏粉体をふるい処理する。これによって、微粉化された石膏粉末と、紙質(通常は、元の石膏粉末に大きめのボード原紙が混入していても、前記微粉砕により紙繊維まで粉砕されているため、以下では「紙繊維」と称す)とが分離できる。この際のふるいの目開きは、紙繊維と石膏を効率よく分離できる大きさであれば良く、特に制限されないが、50~500μm、更に好ましくは100~300μmである。」
ケ 甲第9号証の記載事項
甲第9号証には、以下の(ア)~(イ)の記載がある。
(ア) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙が付着している大塊状の解体石膏廃材(A0)を所定大きさの塊状に粗分割する破砕機(1)と、該破砕機(1)で粗分割された塊状石膏廃材(A1)を再生原料となる規格粒径以下まで圧砕し得る第1圧砕機(3)と、該第1圧砕機(3)で圧砕した第1次圧砕石膏(A2)を次工程側に搬送する搬送装置(4)と、該搬送装置(4)で搬送された第1次圧砕石膏(A2)から紙片(P1)を分離させる紙片分離機(5)と、該紙片分離機(5)で紙片(P1)を分離させた残りの圧砕石膏(A3)を再生原料となる規格粒径以下の細粒石膏(A)とそれより大粒の粗粒石膏(A4)とに分別する粒径分別機(6)と、該粒径分別機(6)で分別された粗粒石膏(A4)を再度小さく圧砕する第2圧砕機(7)と、該第2圧砕機(7)で圧砕された第2次圧砕石膏(A5)を前記搬送装置(4)に戻すリターン通路(9)とを備えているとともに、前記粒径分別機(6)において再生原料として分別された細粒石膏(A)のみを順次再生原料容器(67)に回収するようにしていることを特徴とする石膏廃材再生原料化装置。」
(イ) 「【0023】
紙片分離機は、紙片混じりの第1次圧砕石膏中の紙片を石膏成分(圧砕石膏)から分離させるものである。この紙片分離機としては、第1圧砕機で圧砕された圧砕石膏の通過を許容する一方で紙片の通過を阻止するようなメッシュ(例えば10mm程度のパンチング穴や網目)のフイルターを使用したものを採用できる。そして、この紙片分離機に投入された紙片混じりの第1次圧砕石膏は、該フイルター上を通過中にメッシュ(10mm)より小さい粒径のもの(主として圧砕石膏)だけがフイルターを通って落下し、紙片はフイルター上に残ることによって該紙片を圧砕石膏から分離させることができる。フイルター上に残った紙片は、順次紙片分離機から排除される。尚、微小に分断された紙片は、フイルター部分を移動時にそのメッシュを通過して圧砕粒石膏に混入することが考えられるが、その量は微々たるものである。
【0024】
紙片分離機で紙片を除去した残りの第1次圧砕石膏は、次工程の粒径分別機に投入される。この粒径分別機は、先の第1圧砕機において規格粒径(3mm)以下まで圧砕できなかった粗粒石膏を再生原料となる細粒石膏から分離するものであり、この粒径分別機としては例えば振動ふるい機を使用することができる。この粒径分別機(振動ふるい機)のふるい網のメッシュは、規格粒径(3mm)以下の細粒石膏だけ通過させ得るものであり、分別された細粒石膏と粗粒石膏とは別の出口から排出される。
・・・
【0029】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の石膏廃材再生原料化装置において、第2圧砕機とリターン通路との間に、第2圧砕機で圧砕した第2次圧砕石膏中に残っている屑紙を分離させる振動ふるい機を設けて、振動ふるい機で屑紙を除去した細粒石膏のみをリターン通路に戻すようにしている。
・・・
【0032】
振動ふるい機のふるい網としては、メッシュが5mm程度のものが適当である。そして、この請求項2では、該振動ふるい機によって残りの屑紙を除去した第2次圧砕石膏のみをリターン通路側に通すことができる。」
(2) 特許法第29条第1項、第2項所定の規定違反(新規性、進歩性欠如)の判断
ア 甲第1号証を主引用例とした場合について
(ア) 本件発明1~2について
a 本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「剥離機」は、「剥離機内に投入された粗破砕物」が「高速回転する回転刃受け台に当たると、中心から外側へと高速ではね飛ばされ、はね飛ばされた粗破砕物は、剥離機内に多数立設されている回転垂直刃、固定垂直刃及び回転補助刃や、回転リング刃及び固定リング刃に対して高速で激突し、今度は衝撃によって砕かれる」ものであるから、本件発明1における「1段目」の「ミル」に相当し、甲1発明における「細破砕機」は、「剥離機から排出された破砕物」が「スクリューコンベアにより、一次選別スクリーンへと投入され」、「一次選別スクリーンで選別・回収された2mmオーバーの石膏片」が、「粗破砕物投入口から細破砕機内へと投入され」、「細破砕機内に投入された2mmオーバーの石膏片」が「高速回転する回転刃受け台に当たると、中心から外側へと高速ではね飛ばされ、はね飛ばされた石膏片は、細破砕機内に無数に立設されている回転垂直刃、固定垂直刃及び回転補助刃や、回転リング刃及び固定リング刃や、回転円筒刃に対して高速で激突し、衝撃によって細かく砕かれる」ものであるから、本件発明1における「2段目」の「ミル」に相当し、甲1発明における「廃棄物処理方法」は、「廃石膏ボード、廃ガラス瓶等の各種の廃棄物を処理するための廃棄物処理方法に関する」ものであって、前記「剥離機」及び「細破砕機」を用いるものといえるから、本件発明1における「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する」「廃石膏の破砕方法」に相当する。
また、甲1発明の「剥離機」における「粗破砕物投入口」及び「剥離物排出口」は、それぞれ、本件発明1における「1段目」の「ミル」の「投入口」及び「排出口」に相当し、甲1発明の「細破砕機」における「粗破砕物投入口」及び「細破砕物排出口」は、それぞれ、本件発明1における「2段目」の「ミル」の「投入口」及び「排出口」に相当するから、甲1発明と本件発明1とは、「当該ミルはいずれも」「投入口」と「排出口を備え」る点で共通し、甲1発明の前記「剥離機」及び「細破砕機」は、いずれも「廃石膏を粉砕する」ものといえるから、甲1発明と本件発明1とは、「当該ミルはいずれも」「廃石膏を粉砕するミルであ」る点で共通する。
更に、甲1発明において「粗破砕物」を「粗破砕物投入口から剥離機内へと投入」することは、本件発明1において「1段目のミルの投入口から廃石膏を投入」することに相当する。
b ここで、甲第1号証の【図1】の記載(前記(1)ア(ア)d)によれば、甲1発明の「剥離機」における「粗破砕物投入口」及び「剥離物排出口」は、前記「剥離機」の「一端部」及び「他端部」に備えられたものとはいえないし、甲1発明の「細破砕機」における「粗破砕物投入口」及び「細破砕物排出口」についてみても事情は同じである。
また、甲1発明における「剥離機」及び「細破砕機」は、それぞれ「固定外周網刃」を有するものであり、網はメッシュと言い換えられるから、これら「固定外周網刃」が本件発明1における「1段目のミル」及び「2段目のミル」の「メッシュ」に相当するか否かについて検討すると、本件特許明細書の段落【0015】~【0016】(下記2(2)ウ)、【図2】(下記2(2)オ)の記載によれば、本件発明1における前記「メッシュ」は、いずれも、「メッシュ」の開口を通過するサイズまで破砕された石膏塊と、そのようなサイズまで破砕されなかった紙片及び重量異物とを分離するものである。
これに対して、甲1発明における「剥離機」の「固定外周網刃」は、「最外周まではね飛ばされた粗破砕物」が「固定外周網刃に高速で衝突」して「破砕」され、「外周網刃の網の目を通過した破砕物が、剥離物排出口から順次排出されていく」ものであり、逆に、「外周網刃の網の目を通過できなかった破砕物は、機械の中心方向へとはね飛ばされ」、「更に破砕」されるものであり、「細破砕機」の「固定外周網刃」は、「最外周まではね飛ばされた石膏片」が、「固定外周網刃に高速で衝突」して「更に細かく粉砕」され、「外周網刃の網の目を通過した粉末状の石膏片が、細破砕物排出口から順次排出されていく」ものであり、逆に、「外周網刃の網の目を通過できなかった石膏片は、機械の中心方向へとはね飛ばされ」、「細かく粉砕される」ものであるから、いずれも、「メッシュ」の開口を通過するサイズまで破砕された石膏塊と、そのようなサイズまで破砕されなかった紙片及び重量異物とを分離するものとはいえない。
そうすると、甲1発明における「剥離機」の「固定外周網刃」及び「細破砕機」の「固定外周網刃」は、いずれも、本件発明1における「1段目のミル」及び「2段目のミル」の「メッシュ」とは機能が異なるから、甲1発明における前記「固定外周網刃」は、ともに、本件発明1における前記「メッシュ」に相当するものではない。
また、甲1発明における「剥離機」は、「粗破砕物」を「剥離機内に多数立設されている回転垂直刃、固定垂直刃及び回転補助刃や、回転リング刃及び固定リング刃」により破砕するものであり、「細破砕機」は、「2mmオーバーの石膏片」を「細破砕機内に無数に立設されている回転垂直刃、固定垂直刃及び回転補助刃や、回転リング刃及び固定リング刃や、回転円筒刃」により破砕するものであり、いずれも、「ハンマーを備えた回転軸を回転させる」ものとはいえない。
これらのことからみれば、甲1発明は、本件発明1の、「当該ミルはいずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間に、メッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させる」、との発明特定事項を有しているとはいえない。
更に、このため、甲1発明は、本件発明1の「いずれのミルでも、メッシュは金属板でかつ複数の孔から成る開口を備え、1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さくし」、「1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得る」、との発明特定事項を有しているともいえない。
c 前記a~bによれば、本件発明1と甲1発明とは、
「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する方法であって、
当該ミルはいずれも、投入口、排出口を備え、廃石膏を破砕するミルであり、
1段目のミルの投入口から廃石膏を投入する、廃石膏の破砕方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
・相違点1:本件発明1は、「廃石膏の破砕方法」において、「ミル」が、「いずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間に、メッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させる」ものであり、「いずれのミルでも、メッシュは金属板でかつ複数の孔から成る開口を備え、1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さくし」、「1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得る」、との発明特定事項を有するのに対して、甲1発明は前記発明特定事項を有しない点。
なお、下記2(3)エによれば、本件発明1においては、「2台のミル」を、「いずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間に、メッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させることにより、廃石膏を破砕するミルであり、いずれのミルでも、メッシュは金属板でかつ複数の孔から成る開口を備え、1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」するとともに、「1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得る」ことにより、紙片と石膏を充分に分離でき、かつミルのメッシュの損傷を抑制できるものといえるから、これらの発明特定事項はすべて密接に関連した一体不可分のものといえるので、本件発明1と甲1発明との間の相違点を前記相違点1のとおりに認定した。
d 以下、前記cの相違点1の容易想到性について検討すると、甲1発明に係る「廃棄物処理方法」は、「「粗破砕」→「破砕・分離」→「一次選別」→「細破砕」→「二次選別」と順番に処理することで、従来よりも工程数は増えるものの、廃棄物を、主たる成分と他の成分とに一旦分離し、その後、主たる成分だけになった廃棄物を所望のサイズに細破砕することとなり、高純度でリサイクル原料として適した寸法にした廃棄物を高い回収率で回収することができる」ものである。
そして、甲1発明は、そのために、「剥離機」とは別に「一次選別スクリーン」を備え、更に、「細破砕機」とは別に「二次選別スクリーン」を備えるものとして、「剥離機から排出された破砕物」を「一次選別スクリーンへと投入」して、「2mmアンダーの石膏粉末」、「2mmオーバーの石膏片」、「大きな破片のままで残っている紙板」及び「異物(釘等の金属や木屑等)」の「3種類に選別」した後、「一次選別スクリーンで選別・回収された2mmオーバーの石膏片」を「細破砕機内へと投入」し、「細破砕機から排出された石膏粉末」を「二次選別スクリーンへと投入」して、「二次選別スクリーン」から「排出」した「2mmアンダーの石膏粉末」を「そのままリサイクル原料として製品化」するとともに、「2mmオーバーの石膏片」を「回収し、再び細破砕機へと投入して再度粉砕を実行する」ことにより、「投入された廃石膏ボードを構成するほぼ全ての石膏成分」を「2mmアンダーの石膏粉末」として、「リサイクル原料として製品化する」ものである。
してみれば、甲1発明は、「廃棄物処理方法」において、「「粗破砕」→「破砕・分離」→「一次選別」→「細破砕」→「二次選別」と順番に処理すること」を前提として、「剥離機」とは別に「一次選別スクリーン」を備え、更に「細破砕機」とは別に「二次選別スクリーン」を備えるものとすることで、「高純度でリサイクル原料として適した寸法にした廃棄物を高い回収率で回収する」、という特長を発揮するものといえる。
これに対して、本件発明1における「ミル」は、「いずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間に、メッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させることにより、廃石膏を破砕するミル」である。
そして、本件発明1における前記「メッシュ」は、いずれも、「メッシュ」の開口を通過するサイズまで破砕された石膏塊と、そのようなサイズまで破砕されなかった紙片及び重量異物とを分離するものであることは、前記bに記載したとおりである。
そうすると、本件発明における「ミル」は、その内部で、「ハンマー」による破砕、分離と「メッシュ」による選別とをまとめて行うものといえる。
そして、「「粗破砕」→「破砕・分離」→「一次選別」→「細破砕」→「二次選別」と順番に処理すること」を前提として、「高純度でリサイクル原料として適した寸法にした廃棄物を高い回収率で回収する」、という特長を発揮する甲1発明を、「ミル」の内部で「ハンマー」による破砕、分離と「メッシュ」による選別とをまとめて行うものとして、前記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることは、前記前提を破却して、甲1発明の前記特長を損なうこととなるから、本件特許の出願日当時の周知技術やそのほかの甲号証に記載された事項にかかわらず、当業者が容易になし得ることではない。
e してみれば、本件発明1は、甲1発明及び本件特許の出願時における周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
更に、本件発明1の発明特定事項を全て有する本件発明2について検討しても事情は同じである。
(イ) 申立人の主張について
a 申立人の主張の概要
甲第1号証を主引用例とした場合の、前記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項についての申立人の主張は、概略、以下のとおりである。
甲第1号証においては、破砕・分離装置(剥離機)において、廃石膏ボードの粗粉砕物を粉砕することが開示されており、破砕・分離装置(剥離機)の後には一次選別スクリーンへと投入し、2mmアンダーの石膏粉末と、2mmオーバーの石膏粉末と、紙板、異物と分離することが開示されている。
また、一次選別スクリーンで選別された2mmオーバーの石膏粉末は、細破砕機へと投入して粉砕した後、二次選別スクリーンへと投入し、2mmアンダーの石膏粉末を回収することが開示されている。
甲第1号証に記載された発明において、破砕・分離装置(剥離機)や、細破砕機として、一次選別スクリーン、二次選別スクリーンに代えて、本件特許の出願日当時に周知である、甲第2~3号証に記載されたメッシュサイズにより粉砕物の粒度を調整できるハンマーミルを用いることは、当業者が容易になし得ることである。
また、ハンマーミルにおけるメッシュが金属製であることは、証拠を挙げるまでもなく周知技術である。
更に、例えば甲第3号証に開示されているように、被粉砕物のサイズ等によっては、メッシュを備えたスクリーンが破損することも知られているから、スクリーンを破損させず、かつ目的とする2mmアンダーの石膏粉末を製造するために、各ハンマーミルのメッシュサイズを選択することは、技術の具体的適用に伴う設計的事項にすぎない。
そして、甲第1号証に記載された発明において、破砕・分離装置(剥離機)や細破砕機として甲第2~3号証に記載されたメッシュサイズにより粉砕物の粒度を調整できるハンマーミルを用いたとき、破砕・分離装置(剥離機)や細破砕機は一次選別スクリーン、二次選別スクリーンの機能も果たすこととなるから、破砕・分離装置(剥離機)や細破砕機の排出口から紙片と異物を得ることとなるので、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び本件特許の出願時における周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである(特許異議申立書27ページ8行~29ページ18行)。
b 申立人の主張についての判断
以下、前記aの主張について検討すると、「「粗破砕」→「破砕・分離」→「一次選別」→「細破砕」→「二次選別」と順番に処理すること」を前提として、「高純度でリサイクル原料として適した寸法にした廃棄物を高い回収率で回収する」、という特長を発揮する甲1発明を、「ミル」の内部で「ハンマー」による破砕、分離と「メッシュ」による選別とをまとめて行うものとして、前記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることは、前記前提を破却して、甲1発明の前記特長を損なうこととなるから、本件特許の出願日当時の周知技術やそのほかの甲号証に記載された事項にかかわらず、当業者が容易になし得ることではないことは、前記(ア)eに記載したとおりである。
そして、メッシュサイズにより粉砕物の粒度を調整できるハンマーミルは甲第2~3号証に記載されており、本件特許の出願日当時に周知であるとしても、また、甲第3号証の記載事項から、被粉砕物のサイズ等によっては、メッシュを備えたスクリーンが破損することが知られているとしても、甲第1号証に記載された発明において、メッシュサイズにより粉砕物の粒度を調整できるハンマーミルを用いることは、「ミル」の内部で「ハンマー」による破砕、分離と「メッシュ」による選別とをまとめて行うことにほかならず、甲1発明の前記特長を損なうこととなることに変わりはないし、甲第2~3号証には、「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」する、といった前記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項が記載されるものでもないから、甲1発明を前記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることは、本件特許の出願時における周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて当業者が容易になし得ることではないので、申立人の前記aの主張は採用できない。
(ウ) 小括
したがって、本件発明1~2は、甲第1号証に記載された発明及び本件特許の出願時における周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、前記第3の1(1)の特許異議申立理由は理由がない。
イ 甲第4号証を主引用例とした場合について
(ア) 本件発明1~2について
a 本件発明1と甲4発明とを対比すると、甲4発明における「廃石膏ボードターボセパレーター(分離機)」における「T30ターボセパレーター」は、「6インチ以下のピースが投入され」て、「石膏粉末及び裏紙が回収され」るものであって、廃石膏ボードを破砕するものといえるから、本件発明1における「廃石膏を破砕する」「ミル」に相当し、甲4発明における「石膏粉末及び裏紙を回収する方法」は、本件発明1における「ミルを用いて廃石膏を破砕する方法」に相当する。
また、甲4発明は、「T30ターボセパレーター」に「6インチ以下のピースが投入され」て、その後、「石膏粉末及び裏紙が回収され」るものであるから、前記「T30ターボセパレーター」は「投入口」、「排出口を備える」ものといえるので、本件発明1と甲4発明とは、「ミル」が「投入口」、「排出口を備える」点で共通するし、「ミルの投入口から廃石膏を投入」する点で共通する。
ここで、甲第4号証からは、甲4発明における「T30ターボセパレーター」の構成が明らかでないが、前記(1)オ(ウ)によれば、甲第5号証にはスコット・イクイップメントの「T30ターボセパレータ」が開示されており、同(カ)、(キ)によれば、前記「T30ターボセパレータ」は、「メッシュを有するケーシング」及び「ケーシング内」に「ハンマーを備えた回転軸」を備えることが看取される。
そして、技術常識からみて、「ハンマーを備えた回転軸」を備える前記「T30ターボセパレータ」は、回転軸を回転させることにより、石膏を破砕するものと推認できるから、甲第5号証の「T30ターボセパレータ」は、メッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させることにより、石膏を破砕するミルであるといえる。
そうすると、甲第5号証の「T30ターボセパレータ」と名称が合致する甲4発明における「T30ターボセパレーター」もまた、メッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させることにより、石膏を破砕するミルであるといえるから、本件発明1と甲4発明とは、「当該ミルは」、「メッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させることにより、廃石膏を破砕するミルで」ある点で共通する。
更に、前記(1)オ(キ)によれば、「T30ターボセパレータ」の「メッシュ」は、「複数の孔から成る開口を備える」ことが看取されるし、技術常識からみて「金属板」であることが推認できるから、本件発明1と甲4発明とは、「メッシュは金属板でかつ複数の孔から成る開口を備え」る点で共通する。
b ここで、甲第4~5号証からは、甲4発明が、「1段目と2段目の2台」の「T30ターボセパレーター」を備えることは看取することができない。
また、甲第4~5号証からは、「T30ターボセパレーター」の「投入口」、「排出口」及び「メッシュ」の位置関係も看取することができないから、甲4発明の「T30ターボセパレーター」が、「一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間に、メッシュを有するケーシングを備」えることも看取することができないし、「メッシュ」の「開口」の大きさも看取することができない。
このため、甲4発明は、「1段目の」「T30ターボセパレーター」「のメッシュを通過した廃石膏を2段目の」「T30ターボセパレーター」「の投入口から投入」するものとはいえないし、「1段目の」「T30ターボセパレーター」「と2段目の」「T30ターボセパレーター」「の排出口から紙片と異物を得」るものともいえないし、「2段目の」「T30ターボセパレーター」「のメッシュから廃石膏粒体を得る」ものともいえない。
そうすると、甲4発明は、本件発明1の、「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する」、との発明特定事項、「当該ミルはいずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間に、メッシュを有するケーシングを備え」る、との発明特定事項、「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」する、との発明特定事項、及び、「1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得る」、との発明特定事項を有しているとはいえない。
更に、甲第7号証のScott社のターボセパレータに関する記載(前記(1)キ)について検討しても事情は同じである。
c 前記a~bによれば、本件発明1と甲4発明とは、
「ミルを用いて廃石膏を破砕する方法であって、
当該ミルは、投入口、排出口を備え、かつメッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させることにより、廃石膏を破砕するミルであり、
ミルでは、メッシュは金属板でかつ複数の孔から成る開口を備え、
ミルの投入口から廃石膏を投入する、廃石膏の破砕方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
・相違点2:「廃石膏の破砕方法」が、本件発明1は、「1段目と2段目の2台のミルを用い」るものであって、「当該ミルはいずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間に、メッシュを有するケーシングを備」え、「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」し、「1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得る」、との発明特定事項を有するのに対して、甲4発明は、前記発明特定事項を有しない点。
なお、前記ア(ア)bに記載したのと同様の理由により、本件発明1と甲4発明との相違点を、密接に関連した一体不可分のものとして、前記相違点2のとおりに認定した。
d 前記cによれば、前記相違点2は実質的な相違点であるから、本件発明1と甲4発明との間には実質的な相違点が存在するので、本件発明1は甲4発明であるとはいえない。
更に、本件発明1の発明特定事項を全て有する本件発明2について検討しても事情は同じである。
e 次に、前記相違点2の容易想到性について検討すると、そもそも、「1段目と2段目の2台のミルを用い」るものとはいえない甲4発明においても、「T30ターボセパレーター」に「6インチ以下のピースが投入され」ることで、既に「石膏粉末及び裏紙が回収」できているのであるから、甲4発明を、あえて、「1段目と2段目の2台のミルを用い」るものとすることは想定されない。
そうすると、甲4発明を、「1段目と2段目の2台のミルを用い」るものとすることは、当業者が容易になし得ることではない。
更に、「廃石膏の破砕方法」において、「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」することは、甲第5~9号証のいずれにも記載も示唆もされていないから、仮に、甲4発明が、「1段目と2段目の2台のミルを用い」るものであるとしても、あるいは、そうすることが容易想到であるとしても、そこから進んで、甲4発明を、「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」するものとするには至らない。
f してみれば、甲4発明を、前記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることは、当業者が容易になし得ることではないから、本件発明1は、甲4発明及び本件特許の出願日当時の周知技術(甲第5~9号証を引用)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ) 申立人の主張について
a 申立人の主張の概要
甲第4号証を主引用例とした場合の、本件発明1の「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する方法」、との発明特定事項、及び、「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」する、との発明特定事項についての申立人の主張は、概略、以下のとおりである。
(a) 本件発明1の「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する方法」、との発明特定事項について検討すると、甲第4号証には、2台のハンマーミル選別機を用いて廃石膏ボードを粉砕する方法が開示されている。
すなわち、前記(1)エ(ア)cの甲第4号証の画像中に下記の番号を付与したように、甲第4号証に開示された発明においては、第1ハンマーミル選別機12と、第2ハンマーミル選別機13とが配置されていることを理解でき、廃石膏の供給口11から、第1搬送装置14により、第1ハンマーミル選別機12に廃石膏ボードが供給、破砕された後、第2搬送装置15により第1ハンマーミル選別機12から第2ハンマーミル選別機13へ廃石膏ボードの破砕物が供給されることも把握できる。
[図:0001435216000017.jpg]
仮に、前記開示から2台のハンマーミル選別機を用いることが理解できないとしても、石膏ボードのリサイクルを目的として廃石膏ボードを破砕する場合に、2台の破砕機を直列に接続した装置を用いることは、例えば甲第6号証(前記(1)カ)に開示されているように本件特許の出願日当時の周知技術であるから、甲第4号証に開示された発明において、2台のハンマーミル選別機を直列に接続して、前記発明特定事項を満たすものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
なお、甲第6号証における装置の構成は、甲第6号証の画像中に下記の番号を付与したように、ハンマーミル選別機が搬送装置によって直列に接続されたものであることは明らかである。
11:廃石膏の供給口
12:第1ハンマーミル選別機
13:第2ハンマーミル選別機
14:第1搬送装置
15:第2搬送装置
[図:0001435216000018.jpg]
また、甲第4号証に開示されたターボセパレーターがハンマーミル選別機であることは、甲第5号証(前記(1)オ(ウ)、(カ)、(キ))、甲第7号証(前記(1)キ)から明らかである(特許異議申立書31ページ下から5行~34ページ1行)。
(b) 本件発明1の「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」、との発明特定事項について検討すると、甲第4号証には、前記発明特定事項は開示されていない。
しかしながら、前記(a)に記載したとおり、甲第4号証に開示されたターボセパレーターはハンマーミル選別機であり、ハンマーを備えた回転軸を回転させることにより廃石膏ボードを破砕する装置であり、メッシュを有するケーシングを備えるものであり、メッシュにより粉砕物を選別するものである。
そして、甲第4号証に開示された発明は、廃石膏ボードを破砕し、紙片と石膏とを分離するものであるから、そのメッシュの開口サイズは、本件発明1との相違点とはならない。
仮に、そうでないとしても、甲第8号証(前記(1)ク)及び甲第9号証(前記(1)ケ)に開示されているように、廃石膏ボードの破砕物をふるい分けすることにより紙片と石膏とを分離できることは、本件特許の出願日当時の周知技術であり、要求される紙片と石膏との分離の程度等に応じて、メッシュの開口サイズを選択することは設計的事項にすぎないから、廃石膏ボードを破砕し、紙片と石膏とを分離する甲第4号証に開示された発明において、「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」することは、当業者が適宜なし得ることである(36ページ10行~37ページ5行)。
b 申立人の主張についての判断
(a) 始めに、前記a(a)の主張について検討すると、甲第4号証からは、前記(1)エ(ア)cの画像において11~15の番号を付与された装置の内部構造は明らかでないし、甲第4号証には、「T30ターボセパレーター」を2台使用することが開示されているわけでもないから、甲第4号証に、2台のハンマーミル選別機を用いて廃石膏ボードを粉砕する方法が開示されているということはできない。
更に、甲第6号証(前記(1)カ)について検討しても事情は同じであるから、石膏ボードのリサイクルを目的として廃石膏ボードを破砕する場合に、2台の破砕機を直列に接続した装置を用いることが、本件特許の出願日当時の周知技術であるということはできないので、甲第4号証に開示された発明において、2台のハンマーミル選別機を用いて廃石膏ボードを粉砕することが、甲第6号証に基づいて当業者が容易になし得ることであるということもできない。
そうすると、甲第4号証の「T30ターボセパレーター」がハンマーミル選別機であることが、甲第5号証(前記(1)オ(ウ)、(カ)、(キ))等から理解できるとしても、甲第4号証に開示された発明が、本件発明1の「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する方法」、との発明特定事項を有するとはいえないし、そうすることが容易想到であるともいえないから、前記a(a)の主張は採用できない。
(b) 次に、前記a(b)の主張について検討すると、前記a(b)の主張は、甲第4号証に開示された発明が、本件発明1の「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する方法」、との発明特定事項を有するか、そうすることが容易想到であることを前提として、甲第4号証に開示された発明のメッシュの開口サイズは本件発明1の発明特定事項を有するか、そうすることは、甲第8号証(前記(1)ク)及び甲第9号証(前記(1)ケ)に記載された事項に基づいて容易想到であることをいうものといえる。
ところが、甲第4号証に開示された発明が、本件発明1の「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する方法」、との発明特定事項を有するとはいえないし、そうすることが容易想到であるともいえないことは、前記(a)に記載したとおりであるから、前記a(b)の主張は前提において誤っている。
また、仮に、甲第4号証に開示された発明が、本件発明1の「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する方法」、との発明特定事項を有するか、そうすることが容易想到であるとしても、また、甲第4号証に開示された発明が、ハンマーミル選別機により廃石膏ボードを破砕し、紙片と石膏とを分離するものである点で、本件発明1と共通するとしても、甲第4号証には、メッシュの開口サイズについて何らの開示もないのであるから、そのメッシュの開口サイズが本件発明1の発明特定事項を有するということはできないし、このことを裏付ける証拠もない。
更に、甲第8号証(前記(1)ク)及び甲第9号証(前記(1)ケ)の記載をみても、甲第8~9号証に、「廃石膏の破砕方法」において、「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、 2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」することが記載されているとはいえないし、甲第8~9号証のそのほかの記載をみても事情は同じである。
そして、そのほかの甲号証に記載された事項をみても、本件発明1の「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、 2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」する、との発明特定事項は記載も示唆もされていないから、仮に、甲第4号証に開示された発明が、本件発明1の「1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する方法」、との発明特定事項を有するか、そうすることが容易想到であるとしても、当業者は、そこから進んで、本件発明1の前記発明特定事項を有するものとするには至らない。
してみれば、甲第4号証に開示された発明において、「1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、 2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」することは、当業者が容易になし得ることではないから、申立人の前記a(b)の主張も採用できない。
(c) したがって、申立人の前記aの主張はいずれも採用できないから、そのほかの発明特定事項について検討するまでもなく、甲4発明を、前記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることは、当業者が容易になし得ることではないことに変わりはないので、本件発明1は、甲4発明及び本件特許の出願日当時の周知技術(甲第5~9号証を引用)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ) 小括
よって、本件発明1~2は、甲第4号証に開示された発明ではないし、甲第4号証に開示された発明及び本件特許の出願日当時の周知技術(甲第5~9号証を引用)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、前記第3の1(2)の特許異議申立理由も理由がない。
2 特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(サポート要件違反)について
(1) サポート要件の判断手法
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明であって、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも、当業者が本件特許の出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。以下、この観点により検討する。
(2) 本件特許明細書の発明の詳細な説明(以下、単に「発明の詳細な説明」という。)の記載事項
発明の詳細な説明には、以下のア~キの記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
この発明は廃石膏の破砕方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者は、廃石膏ボードからの石膏の回収を検討している。特許文献1(特開2020-65975)は石膏の回収方法の例を示している。・・・なお廃石膏ボードから得られるものの内で価値があるのは、二水石膏と紙片である。またこの明細書では、金属異物と硬質異物をまとめて重量異物と呼ぶ。
・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃石膏の破砕の過程で紙片と石膏を分離できると好ましい。発明者は、ハンマーを備えた回転軸をケーシング内で回転させる打撃式のミルが、この目的に適していることを確認した。即ち、廃石膏ボードをケーシングの一端付近から投入し、回転するハンマーにより破砕し、破砕された石膏塊をケーシングのメッシュから排出する。紙片は破砕されにくいのでメッシュを通らず、ケーシングの他端付近までハンマーにより送られて排出される。
【0005】
廃石膏ボードには、石膏とボード紙の他に、金具などの金属片、モルタル、コンクリート等の重量異物が含まれている。紙片と石膏を分離するためには、メッシュの開口を小さくすることが好ましいが、このようなメッシュは肉薄で機械的強度が制限されるため、重量異物により損傷しやすい。なおメッシュの開口は打ち抜き等により設けるため、メッシュの開口径(直径)はメッシュの肉厚以上になり、開口を小さくすると、メッシュの肉厚も小さくなる。
【0006】
この発明の課題は、廃石膏を破砕する際に、紙片と石膏を効果的に分離すること、及び、破砕に用いるミルのメッシュの損傷を抑制することにある。」
イ 「【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明では、1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕する。ミルはいずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間にメッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させるミルである。1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さくし、
1段目のミルの投入口から廃石膏を投入し、
1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、
1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、
2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得る。これらの開口のサイズは、メッシュの損傷を減らしながら、石膏と紙片を分離するために、発明者が経験的に求めた値である。なおメッシュの肉厚は、メッシュの開口径とほぼ同じである。
【0008】
好ましくは、1段目のミルのメッシュの開口を14mm以上20mm以下とし、2段目のミルのメッシュの開口を5mm以上10mm以下とする。これらの開口サイズは、石膏と紙片を分離し、かつメッシュの損傷を少なくするための、経験的な最適範囲である。
【0009】
この発明では、ハンマーで廃石膏を破砕し、紙片と石膏粒体とに分離する。投入口から排出口まで移動する間に、廃石膏はハンマーにより繰り返し打撃を受け、紙片から石膏が脱落する。1段目のミルはメッシュの開口が12mm以上30mm以下と大きいので、破砕された石膏塊はメッシュから素早く排出される。またメッシュを肉厚にできるので、重量異物によるメッシュの損傷を抑制できる。紙片及び重量異物は1段目のミルの排出口から排出され、紙片に付着している石膏分は少ない。2段目のミルにも重量異物が混入するが、1段目のミルのメッシュを通過した小さな異物なので、メッシュを損傷させることは少ない。石膏塊は2段目のミルでさらに破砕されて石膏粒体となり、紙片及び重量異物と石膏粒体に分離される。
【0010】
この発明では、回転打撃式のハンマーを備えた2段のミルにより、廃石膏を紙片と石膏に分離する。ここで1段目のミルではメッシュの開口を12mm以上30mm以下、2段目のミルではメッシュの開口を3mm以上12mm以下とすることにより、紙片と石膏を充分に分離でき、かつメッシュの損傷も抑制できる。」
ウ 「【実施例】
【0013】
図1~図6に、実施例の廃石膏ボードの破砕方法を示す。図1は廃石膏ボードから二水石膏の回収までの工程を示し、廃石膏ボードを1段目のミル2に投入し破砕する。なお必要であれば、1段目のミル2の前段で、廃石膏ボードをチェーン式破砕機等で粗く破砕し、ミル2に投入できるサイズにする。1段目のミル2で廃石膏ボードを粗く破砕し、紙片と重量異物の混合物と、石膏塊とに分離する。1段目のミル2のメッシュを通過した石膏塊を2段目のミル3に投入し、石膏塊をさらに破砕することにより、紙片と重量異物を分離する。ミル2,3から得た紙片と重量異物を、サイクロン、振動篩等の比重選別装置4によりさらに分離し、石膏、紙片及び重量異物に分離する。
【0014】
2段目のミル3のメッシュから排出された石膏粒体は、必要であれば粉砕装置5により粉砕し、あるいは比重分離装置、磁選機等により、紙片と重量異物を石膏からさらに分離する。石膏をサイロ6に一端貯蔵し、か焼機7によりか焼することにより、半水及び/又は無水III型石膏とする。次いで、晶析装置8で水性媒体と混合することにより、石膏スラリーとし、二水石膏粒子を析出させる。石膏スラリーをフィルタープレス等の固液分離装置9により固液分離し、二水石膏粒子とろ液とに分離し、ろ液は例えば晶析装置8へ還流させる。この発明は廃石膏を2段直列のミル2,3により破砕することにあり、他の点は適宜に変更できる。
【0015】
図2に1段目のミル2の構造を示し、メッシュの開口サイズが小さいこと等の他は、2段目のミル3も同様である。回転軸10にハンマー12が複数列が設けられ、ハンマー12の打撃面は回転軸10の軸方向から傾斜し、廃石膏を図2の右から左へ送る。回転軸10はモータ14により回転し、15,15は回転軸10を支持する軸受である。回転軸10とハンマー12は例えば鋼製のケーシング16内に収容され、ケーシング16の一端側に投入口18があり、図示しない廃石膏ボードを投入する。廃石膏ボードが投入口18を通り難い場合、図示しないチェーン破砕機などにより廃石膏ボードを予め破砕しておく。ケーシング16の他端側に排出口19があり、ハンマー12によりメッシュ22の開口を通過するサイズまで破砕されなかった紙片と重量異物を排出する。
【0016】
ケーシング16の例えば下方に、多数の開口を備えるメッシュ22が設けられ、ハンマー12により破砕され、開口を通るサイズまで破砕された石膏塊をカバー20底部の出口21から排出する。なおメッシュ22は、ケーシング16の下方のみでなく全周に設けても良い。
【0017】
図3,図4に、メッシュ22の開口25を示す。24は鋼などの金属板で、打ち抜き等により例えば円形の開口25を設ける。金属板24の厚さtは、開口25の開口径D(直径)とほぼ同じで有る。メッシュ22の開口率(メッシュ22を上方から見て、開口25の合計面積を、開口25を含むメッシュ22の面積で割ったもの)は例えば20%以上50%以下とし、好ましくは30%以上40%以下とする。開口率が高いほど破砕の効率が増すが、、メッシュ22の強度が低下する。
【0018】
1段目のミル2では、開口径Dを12mm以上30mm以下、好ましくは14mm以上20mm以下とする。メッシュ22の厚さtを12mm以上、好ましくは14mm以上とすると、廃石膏ボード中の金属異物、モルタル、コンクリート等の硬質異物により損傷することはほとんどない。また石膏ボードの規格上、廃石膏ボードの厚さは12.5mmまたは9mmのものが多いので、開口径Dを12mm以上、好ましくは14mm以上とすると、破砕された石膏塊は開口25を簡単に通過できる。回転打撃式のハンマー12は廃石膏を破砕し、紙片と石膏塊に分離する。廃石膏をケーシング16内で移動させる間に、紙片に付着した石膏は繰り返し打撃を受けて紙片から脱落し、メッシュ22から排出されるので、紙片に付着して排出される石膏分は少ない。経験的には、開口径Dを12mm以上とすると、石膏成分の90%以上を開口25から取り出すことができる。開口径Dを30mm以下、好ましくは20mm以下とすると、2段目のミル3へ入る紙片と重量異物を減らすことができ、また大きなサイズの重量異物が2段目のミル3に混入し、メッシュを損傷させることを防止できる。なお仮にミル2のメッシュの開口を12mm未満にすると、メッシュが損傷するだけでなく、紙片と共に排出口19から排出される石膏分が増す。
【0019】
紙片はコシがあるため小さなサイズに破砕されにくく、大部分は排出口19から排出される。金具、モルタル、コンクリートなどの重量異物の多くも、排出口19から排出される。しかし紙片と重量異物の一部は、石膏塊と共に出口21から2段目のミル3に投入される。
【0020】
2段目のミル3には大きなサイズの重量異物は投入されないので、メッシュは1段目のミル2のメッシュよりも薄くても良い。2段目のミル3で、投入口18から排出口19へ移動する間にハンマー12による打撃を繰り返し受けて、石膏塊から紙片と石膏とがさらに分離し、また重量異物も石膏から分離する。そして石膏塊は破砕されて石膏粒体となる。そして発明者の経験では、2段目のミル3のメッシュ22の開口径Dを3mm以上で12mm以下、好ましくは5mm以上で10mm以下とすると、紙片及び重量異物を石膏から充分に分離でき、かつメッシュの損傷も防止できる。なお2段目のミル3では、メッシュの開口を1段目のミル2のメッシュよりも小さくする。
・・・
【0023】
実施例では以下の効果が得られる。
・ ミル2,3の投入口18から排出口19へ移動する間に、回転するハンマー12により廃石膏に繰り返し打撃を加える。打撃により紙片から石膏が脱落し、石膏と紙片を効果的に分離できる。
・ 1段目のミル2のメッシュの開口を12mm以上30mm以下、好ましくは14mm以上20mm以下とすることにより、破砕した石膏塊をメッシュを通じて素早く排出でき、かつメッシュを肉厚にできるのでメッシュの損傷も防止できる。
・ 2段目のミル3のメッシュの開口を3mm以上12mm以下、好ましくは5mm以上10mm以下とし、かつ1段目のミルのメッシュの開口よりも小さくすることにより、紙片及び重量異物を石膏から充分に分離できる。大きな重量異物は1段目のミル2で分離済みであるため、メッシュの開口を小さくしても、2段目のミル3のメッシュは損傷し難い。」
エ 「【図1】
[図:0001435216000019.jpg]
」
オ 「【図2】
[図:0001435216000020.jpg]
」
カ 「【図3】
[図:0001435216000021.jpg]
」
キ 「【図4】
[図:0001435216000022.jpg]
」
(3) サポート要件の判断
ア 前記(2)アの記載によれば、本件発明は、廃石膏の破砕方法に関するものであって(段落【0001】)、廃石膏の破砕方法においては、廃石膏の破砕の過程で紙片と石膏を分離できると好ましいところ、ハンマーを備えた回転軸をケーシング内で回転させる打撃式のミルが、この目的に適しているのであるが、廃石膏ボードには、石膏とボード紙の他に、金具などの金属片、モルタル、コンクリート等の重量異物が含まれており、紙片と石膏を分離するためには、メッシュの開口を小さくすることが好ましいが、このようなメッシュは肉薄で機械的強度が制限されるため、重量異物により損傷しやすいものであり、ここで、メッシュの開口は打ち抜き等により設けるため、メッシュの開口径(直径)はメッシュの肉厚以上になり、開口を小さくすると、メッシュの肉厚も小さくなるものである(段落【0004】~【0005】)。
そこで、本件発明は、廃石膏を破砕する際に、紙片と石膏を効果的に分離すること、及び、破砕に用いるミルのメッシュの損傷を抑制することを課題とするものである(段落【0006】)(以下、「本件課題」という。)。
イ そして、前記(2)イの記載によれば、本件発明に係る廃石膏の破砕方法においては、1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕するものであり、ミルはいずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間にメッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させるミルであり、1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さくし、1段目のミルの投入口から廃石膏を投入し、1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得るものであり、これらの開口サイズは、石膏と紙片を分離し、かつメッシュの損傷を少なくするための、経験的な最適範囲であるものである(段落【0007】~【0008】)。
すなわち、本件発明においては、ハンマーで廃石膏を破砕し、紙片と石膏粒体とに分離するものであり、投入口から排出口まで移動する間に、廃石膏はハンマーにより繰り返し打撃を受け、紙片から石膏が脱落するものであり、1段目のミルはメッシュの開口が12mm以上30mm以下と大きいので、破砕された石膏塊はメッシュから素早く排出され、またメッシュを肉厚にできるので、重量異物によるメッシュの損傷を抑制できるものであり、紙片及び重量異物は1段目のミルの排出口から排出され、紙片に付着している石膏分は少ないものであり、2段目のミルにも重量異物が混入するが、1段目のミルのメッシュを通過した小さな異物なので、メッシュを損傷させることは少ないものであり、石膏塊は2段目のミルでさらに破砕されて石膏粒体となり、紙片及び重量異物と石膏粒体に分離されるものであり、本件発明では、回転打撃式のハンマーを備えた2段のミルにより、廃石膏を紙片と石膏に分離するものであり、ここで1段目のミルではメッシュの開口を12mm以上30mm以下、2段目のミルではメッシュの開口を3mm以上12mm以下とすることにより、紙片と石膏を充分に分離でき、かつメッシュの損傷も抑制できるものである(段落【0009】~【0010】)。
ウ 更に、前記(2)ウ~キの記載によれば、本件発明に係る廃石膏ボードの破砕方法の実施例では、1段目のミル2で廃石膏ボードを粗く破砕し、紙片と重量異物の混合物と、石膏塊とに分離するものであり、1段目のミル2のメッシュを通過した石膏塊を2段目のミル3に投入し、石膏塊をさらに破砕することにより、紙片と重量異物を分離するものであり、2段目のミル3のメッシュから排出された石膏粒体は、必要であれば粉砕装置5により粉砕し、あるいは比重分離装置、磁選機等により、紙片と重量異物を石膏からさらに分離するものであるが(段落【0013】~【0014】)、前記1段目のミル2及び2段目のミル3に設けられる、多数の開口を備えるメッシュ22は、ハンマー12により破砕され、開口を通るサイズまで破砕された石膏塊をカバー20底部の出口21から排出するものであって(段落【0016】)、鋼などの金属板24に、打ち抜き等により例えば円形の開口25を設けたものであり、金属板24の厚さtは、開口25の開口径D(直径)とほぼ同じであり(段落【0017】)、1段目のミル2では、開口径Dを12mm以上30mm以下とし、メッシュ22の厚さtを12mm以上とすると、廃石膏ボード中の金属異物、モルタル、コンクリート等の硬質異物により損傷することはほとんどなく、また石膏ボードの規格上、廃石膏ボードの厚さは12.5mmまたは9mmのものが多いので、開口径Dを12mm以上とすると、破砕された石膏塊は開口25を簡単に通過できるものであり、回転打撃式のハンマー12は廃石膏を破砕し、紙片と石膏塊に分離するものであり、廃石膏をケーシング16内で移動させる間に、紙片に付着した石膏は繰り返し打撃を受けて紙片から脱落し、メッシュ22から排出されるので、紙片に付着して排出される石膏分は少ないものであり、一方、開口径Dを30mm以下とすると、2段目のミル3へ入る紙片と重量異物を減らすことができ、また大きなサイズの重量異物が2段目のミル3に混入し、メッシュを損傷させることを防止できるものである(段落【0018】)。
また、2段目のミル3には大きなサイズの重量異物は投入されないので、メッシュは1段目のミル2のメッシュよりも薄くてもよいものであり、2段目のミル3で、投入口18から排出口19へ移動する間にハンマー12による打撃を繰り返し受けて、石膏塊から紙片と石膏とがさらに分離し、また重量異物も石膏から分離する。そして石膏塊は破砕されて石膏粒体となるのであるが、2段目のミル3のメッシュ22の開口径Dを3mm以上で12mm以下とすると、紙片及び重量異物を石膏から充分に分離でき、かつメッシュの損傷も防止できるものである(段落【0020】)。
そして、前記実施例においては、ミル2、3の投入口18から排出口19へ移動する間に、回転するハンマー12により廃石膏に繰り返し打撃を加えるものであり、打撃により紙片から石膏が脱落し、石膏と紙片を効果的に分離できる、という効果、1段目のミル2のメッシュの開口を12mm以上30mm以下、好ましくは14mm以上20mm以下とすることにより、破砕した石膏塊をメッシュを通じて素早く排出でき、かつメッシュを肉厚にできるのでメッシュの損傷も防止できる、という効果、2段目のミル3のメッシュの開口を3mm以上12mm以下、好ましくは5mm以上10mm以下とし、かつ1段目のミルのメッシュの開口よりも小さくすることにより、紙片及び重量異物を石膏から充分に分離できる、という効果、大きな重量異物は1段目のミル2で分離済みであるため、メッシュの開口を小さくしても、2段目のミル3のメッシュは損傷し難い、という効果を奏するものである(段落【0023】)。
エ 前記イ~ウによれば、発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、本件発明は、廃石膏の破砕方法を、1段目と2段目の2台のミルを用いて廃石膏を破砕するものであって、ミルはいずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間にメッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させるミルであり、多数の開口を備えるメッシュは、ハンマーにより破砕され、開口を通るサイズまで破砕された石膏塊をカバー底部の出口から排出するものであって、鋼などの金属板に、打ち抜き等により例えば円形の開口を設けたものであり、1段目のミルでは前記メッシュの開口を12mm以上30mm以下とし、2段目のミルでは前記メッシュの開口を3mm以上12mm以下とし、かつ2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さくし、1段目のミルの投入口から廃石膏を投入し、1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得るものとすることで、1段目のミルはメッシュの厚さを前記開口の開口径とほぼ同じ12mm以上と肉厚にできるから、重量異物によるメッシュの損傷を抑制でき、紙片に付着している石膏分を少なくできるとともに、2段目のミルにも重量異物が混入するが、1段目のミルのメッシュを通過した小さな異物なので、メッシュを損傷させることは少ないものとなり、2段目のミルでは、メッシュの開口を、3mm以上12mm以下であって、かつ1段目のミルのメッシュの開口よりも小さくすることにより、紙片と石膏を充分に分離でき、かつメッシュの損傷も抑制できることを理解することができる。
オ そして、本件発明1の発明特定事項は、前記エのとおり理解することができる廃石膏の破砕方法を満たすから、発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、本件発明1の発明特定事項により、紙片と石膏を充分に分離でき、かつメッシュの損傷も抑制できるものとなって、本件課題を解決できることも理解することができるのであり、このことを前記(1)の判断手法に当てはめれば、本件特許請求の範囲の記載はサポート要件を満たすというべきである。
更に、本件発明1の発明特定事項を全て有する本件発明2について検討しても事情は同じである。
(4) 申立人の主張について
前記第3の2の申立人の主張は、本件発明1においては、2台のハンマーミルを直列に接続し、ハンマーミルが有するメッシュのサイズを所定の範囲内にすることが特定されているのみである一方、発明の詳細な説明には、本件発明に係る「廃石膏の破砕方法」の具体的な実験例や実施例は記載されていないから、本件発明1は、本件発明の課題を解決できることを当業者が認識できる範囲を超えているので、サポート要件を満たさないことをいうものといえる。
ところが、本件発明1は、2台のハンマーミルを直列に接続し、ハンマーミルが有するメッシュのサイズを所定の範囲内にすること以外にも、「当該ミルはいずれも、一端部に投入口を他端部に排出口を備え、かつ投入口と排出口の間に、メッシュを有するケーシングを備え、ケーシング内でハンマーを備えた回転軸を回転させることにより、廃石膏を破砕するミル」あることや、「2段目のミルのメッシュの開口を1段目のミルのメッシュの開口よりも小さく」することや、「1段目のミルの投入口から廃石膏を投入し、1段目のミルのメッシュを通過した廃石膏を2段目のミルの投入口から投入し、1段目のミルと2段目のミルの排出口から紙片と異物を得、2段目のミルのメッシュから廃石膏粒体を得ること」も特定されているから、2台のハンマーミルを直列に接続し、ハンマーミルが有するメッシュのサイズを所定の範囲内にすることが特定されているのみであるとはいえない。
そして、発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、本件発明1の発明特定事項により、紙片と石膏を充分に分離でき、かつメッシュの損傷も抑制できるものとなって、本件課題を解決できることを理解することができることは、前記(3)オに記載したとおりであるから、発明の詳細な説明に、本件発明に係る「廃石膏の破砕方法」の具体的な実験例や実施例が記載されていないとしても、本件発明1が、本件発明の課題を解決できることを当業者が認識できる範囲を超えているとはいえないので、サポート要件を満たさないということはできない。
更に、請求項1を引用する本件発明2について検討しても事情は同じであるから、前記第3の2の申立人の主張は採用できない。
(5) 小括
よって、本件特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第1号所定の規定に適合するから、前記第3の3の特許異議申立理由は理由がない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、申立人の特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1~2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2026-700075