審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2025-700051

ウエハ載置台

審判番号
2025-700051
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-523102
登録番号
7515017
請求日
2025年01月08日
審決日
2025年11月10日
公報発行日
2026年03月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日本碍子株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人アイテック国際特許事務所
  • 【異議申立人】小澤 一三
  • 【異議申立人】大隅 庸平
審判長/審判官
  • 審判長 松永 稔
  • 審判官 棚田 一也
  • 審判官 中野 浩昌
分類
P1651.113-YAA(H01L) / P1651.121-YAA(H01L) / P1651.161-YAA(H01L) / P1651.537-YAA(H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条の2、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7515017号発明「ウエハ載置台」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7515017号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2-7〕について訂正することを認める。 特許第7515017号の請求項2~7に係る特許を維持する。 特許第7515017号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7515017号の請求項1~6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和4年10月14日に出願され、令和6年7月3日にその特許権の設定登録がされ、同年同月11日に特許掲載公報が発行された。 その後、請求項1~6に係る特許について、令和7年1月8日に特許異議申立人小澤一三(以下、「申立人1」という。)により特許異議の申立てがされ、請求項1、3、6に係る特許について、同年1月10日に特許異議申立人大隅庸平(以下、「申立人2」という。)により特許異議の申立てがされ、同年3月7日に申立人2により特許異議申立書を対象とする手続補正書(方式)が提出され、同年5月30日付けで当審により取消理由が通知され、同年7月31日に特許権者から意見書及び訂正請求書が提出され、さらに、同年9月5日に申立人1から意見書が提出された。 なお、令和7年7月31日の訂正の請求について、期間を指定して申立人2に意見書を提出する機会を与えたが、申立人2からの応答はなかった。 第2 訂正の適否について 令和7年7月31日提出の訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)について検討する。 1 訂正の趣旨 本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求める、というものである。 2 訂正の内容 本件訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示すために当審で付した。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 訂正前の請求項2に「前記ガス分配経路は、ガス分岐部を介して前記ガス共通経路に接続されている、請求項1に記載のウエハ載置台。」と記載されているのを、独立形式の記載に改め、「上面に少なくともウエハ載置部を有するセラミックプレートと、前記セラミックプレートの下面に接合され、冷媒流路を有する冷却プレートと、を備えたウエハ載置台であって、前記ウエハ載置台の内部のうち前記冷媒流路よりも上方に設けられたガス共通経路と、前記冷却プレートの下面から前記ガス共通経路に至るガス導入経路と、1つの前記ガス共通経路に対して複数設けられ、前記ガス共通経路から前記セラミックプレートの上面に至るガス分配経路と、を備え、前記ガス分配経路のうち前記セラミックプレートの最外周に配置されている最外周ガス分配経路は、平面視で前記冷媒流路と重ならない位置に設けられ、前記ガス共通経路は、同心円となるように複数設けられ、前記最外周ガス分配経路は、複数の前記ガス共通経路のうち最外周に位置する前記ガス共通経路と接続され、前記ガス分配経路は、ガス分岐部を介して前記ガス共通経路に接続され、前記ガス分岐部のうち前記最外周ガス分配経路に接続されたガス分岐部は、平面上に延び出ている、ウエハ載置台。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3~6も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 訂正前の請求項3に「前記ガス分配経路のうち少なくとも前記ガス共通経路と接続している部分は、前記ガス共通経路よりも幅が広い、請求項1又は2に記載のウエハ載置台。」と記載されているのを、「前記ガス分配経路のうち少なくとも前記ガス分岐部と接続している部分は、前記ガス共通経路よりも幅が広い、請求項2に記載のウエハ載置台。」に訂正する。 (4)訂正事項4 訂正前の請求項4に「前記冷却プレートは、金属とセラミックとの複合材料で形成されている、請求項1又は2に記載のウエハ載置台。」と記載されているのを、「前記冷却プレートは、金属とセラミックとの複合材料で形成されている、請求項2に記載のウエハ載置台。」に訂正する。 (5)訂正事項5 [訂正事項5-1] 訂正前の請求項5に「前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部と、前記ウエハ載置部を取り囲む環状のフォーカスリング載置部とが設けられ、前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記フォーカスリング載置部に至る経路である、請求項1又は2に記載のウエハ載置台。」とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、「前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部と、前記ウエハ載置部を取り囲む環状のフォーカスリング載置部とが設けられ、前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記フォーカスリング載置部に至る経路である、請求項2に記載のウエハ載置台。」に訂正する。 [訂正事項5-2] 訂正前の請求項5に「前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部と、前記ウエハ載置部を取り囲む環状のフォーカスリング載置部とが設けられ、前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記フォーカスリング載置部に至る経路である、請求項1又は2に記載のウエハ載置台。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式の記載に改め、「上面に少なくともウエハ載置部を有するセラミックプレートと、前記セラミックプレートの下面に接合され、冷媒流路を有する冷却プレートと、を備えたウエハ載置台であって、前記ウエハ載置台の内部のうち前記冷媒流路よりも上方に設けられたガス共通経路と、前記冷却プレートの下面から前記ガス共通経路に至るガス導入経路と、1つの前記ガス共通経路に対して複数設けられ、前記ガス共通経路から前記セラミックプレートの上面に至るガス分配経路と、を備え、前記ガス分配経路のうち前記セラミックプレートの最外周に配置されている最外周ガス分配経路は、平面視で前記冷媒流路と重ならない位置に設けられ、前記ガス共通経路は、同心円となるように複数設けられ、前記最外周ガス分配経路は、複数の前記ガス共通経路のうち最外周に位置する前記ガス共通経路と接続され、前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部と、前記ウエハ載置部を取り囲む環状のフォーカスリング載置部とが設けられ、前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記フォーカスリング載置部に至る経路であり、前記ガス共通経路は、前記フォーカスリング載置部のフォーカスリング支持面よりも低い位置にある、ウエハ載置台。」と記載し、新たに請求項7とする。 (6)訂正事項6 訂正前の請求項6に「前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部が設けられ、前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記ウエハ載置部に至る経路である、請求項1又は2に記載のウエハ載置台。」と記載されているのを、「前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部が設けられ、前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記ウエハ載置部に至る経路である、請求項2に記載のウエハ載置台。」に訂正する。 (7)一群の請求項について 訂正前の請求項1~6について、請求項2~6は、請求項1を直接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 そして、訂正後の請求項2~7に係る訂正について、特許権者は、当該訂正が認められるときに請求項1とは別の訂正単位として扱われることを求めている。 3 訂正の適否 以下、訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について判断する。 なお、特許異議の申立ては、上記第1のとおり、訂正前の全請求項(請求項1~6)に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「本件明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的の適否 訂正事項2は、訂正事項1で訂正前の請求項1が削除されて請求項1の記載を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消して独立形式の記載へ改めると共に、訂正前の請求項2に記載された「ガス分岐部」について、「前記ガス分岐部のうち前記最外周ガス分配経路に接続されたガス分岐部は、平面上に延び出ている」ことを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」及び同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであると共に、同項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項2のうち、請求項間の引用関係を解消して独立形式の記載へ改める訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 また、本件明細書等の段落0026には、「最外周のガス共通経路53bは、半径外方向に延び出した複数のガス分岐部53cを有する。」と記載され、図1及び図3~6から、ガス分岐部のうち最外周ガス分配経路に接続されたガス分岐部53cが平面上に伸び出ている構成が見て取れる。したがって、訂正前の請求項2に記載された「ガス分配経路」について、「前記ガス分岐部のうち前記最外周ガス分配経路に接続されたガス分岐部は、平面上に延び出ている」ことを特定する訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、請求項間の引用関係を解消して独立形式の記載へ改めると共に、特許請求の範囲を減縮する訂正であるから、実質的な内容の変更を伴うものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的の適否 訂正事項3は、訂正事項1で訂正前の請求項1が削除されて請求項1の記載を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消すると共に、引用する請求項の数を減少させ、さらに、令和7年5月30日付け取消理由通知書で明確でないとされた記載を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」、同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び同項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア)訂正事項3のうち、請求項間の引用関係を解消すると共に、引用する請求項の数を減少させる訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 本件明細書等の段落0026には、「ガス分岐部53cとガス分配経路53eとの接続部分は」「ガス中継溝53dとなっている。ガス中継溝53dの」「幅」「は」「ガス共通経路53bの幅よりも大きく、例えばそれらの1.5~2.5倍である。」と記載されている。また、図1及び図4から、ガス中継溝53d及びガス分配経路53eは互いに接することが見て取れる。したがって、本件明細書等には、「ガス分岐部とガス分配経路との接続部分であるガス中継溝の幅は、ガス共通経路の幅よりも大きく、ガス中継溝及びガス分配経路は互いに接すること」(以下、「構成A」という。)が記載されている。 ここで、構成Aにおいて、「ガス中継溝及びガス分配経路は互いに接する」から、ガス中継溝をガス分配経路の一部として、「ガス分岐部とガス分配経路との接続部分であるガス中継溝は、ガス共通経路の幅よりも大き」いことを、「ガス分配経路のうち少なくともガス分岐部と接続している部分は、ガス共通線路よりも幅が広いこと」とすることは、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、訂正事項3は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (イ)申立人1は、令和7年9月5日提出の意見書の第5頁末行~第6頁第8行において、本件明細書等の段落0026及び図4によれば、ガス共通経路53bの幅よりも大きいとされている「ガス中継溝53d」は、「ガス分岐部53c」でもなく、「ガス分配経路53e」でもないから、訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない旨主張している。 しかし、上記(ア)のとおりであるから、申立人1の主張を採用することはできない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3は、請求項間の引用関係を解消して独立形式の記載へ改めると共に、令和7年5月30日付け取消理由通知書で明確でないとされた記載を明確にする訂正であるから、実質的な内容の変更を伴うものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (4)訂正事項4及び6について ア 訂正の目的の適否 訂正事項4及び6は、訂正事項1で訂正前の請求項1が削除されて請求項1の記載を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消すると共に、引用する請求項の数を減少させる訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」、同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び同項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項4及び6は、請求項間の引用関係を解消すると共に、引用する請求項の数を減少させる訂正であるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4及び6は、請求項間の引用関係を解消すると共に、引用する請求項の数を減少させる訂正であるから、実質的な内容の変更を伴うものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的の適否 (ア)訂正事項5-1は、訂正事項1で訂正前の請求項1が削除されて請求項1の記載を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」及び同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 (イ)訂正事項5-2は、訂正事項1で訂正前の請求項1が削除されて請求項1の記載を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消して独立形式の記載へ改めると共に、訂正前の請求項5に記載された「ガス共通経路」について、「前記ガス共通経路は、前記フォーカスリング載置部のフォーカスリング支持面よりも低い位置にある」ことを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」、同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」、及び同項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 (ア)訂正事項5-1は、訂正事項1で訂正前の請求項1が削除されて請求項1の記載を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消する訂正であるから、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (イ)訂正事項5-2のうち、請求項間の引用関係を解消して独立形式の記載へ改める訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 また、本件明細書等の図1から、ガス共通経路53bは、フォーカスリング載置部24のフォーカスリング支持面24bよりも低い位置にあることが見て取れる。したがって、訂正事項5-2のうち、「ガス共通経路」について、「前記ガス共通経路は、前記フォーカスリング載置部のフォーカスリング支持面よりも低い位置にある」ことを特定する訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項5-1は、訂正事項1で訂正前の請求項1が削除されて請求項1の記載を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消する訂正であり、訂正事項5-2は、請求項間の引用関係を解消して独立形式の記載へ改めると共に、特許請求の範囲を減縮する訂正であるから、訂正事項5は、実質的な内容の変更を伴うものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 4 訂正の適否についての小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。そして、本件訂正は、上記2(7)のとおり、訂正後の請求項2~7について、請求項1とは別の訂正単位とする求めがなされている。 よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2~7〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正の請求は認められるから、本件特許の請求項1~7に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明7」という。)は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】 上面に少なくともウエハ載置部を有するセラミックプレートと、 前記セラミックプレートの下面に接合され、冷媒流路を有する冷却プレートと、 を備えたウエハ載置台であって、 前記ウエハ載置台の内部のうち前記冷媒流路よりも上方に設けられたガス共通経路と、 前記冷却プレートの下面から前記ガス共通経路に至るガス導入経路と、 1つの前記ガス共通経路に対して複数設けられ、前記ガス共通経路から前記セラミックプレートの上面に至るガス分配経路と、 を備え、 前記ガス分配経路のうち前記セラミックプレートの最外周に配置されている最外周ガス分配経路は、平面視で前記冷媒流路と重ならない位置に設けられ、 前記ガス共通経路は、同心円となるように複数設けられ、 前記最外周ガス分配経路は、複数の前記ガス共通経路のうち最外周に位置する前記ガス共通経路と接続され、 前記ガス分配経路は、ガス分岐部を介して前記ガス共通経路に接続され、 前記ガス分岐部のうち前記最外周ガス分配経路に接続されたガス分岐部は、平面上に延び出ている、 ウエハ載置台。 【請求項3】 前記ガス分配経路のうち少なくとも前記ガス分岐部と接続している部分は、前記ガス共通経路よりも幅が広い、 請求項2に記載のウエハ載置台。 【請求項4】 前記冷却プレートは、金属とセラミックとの複合材料で形成されている、 請求項2に記載のウエハ載置台。 【請求項5】 前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部と、前記ウエハ載置部を取り囲む環状のフォーカスリング載置部とが設けられ、 前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記フォーカスリング載置部に至る経路である、 請求項2に記載のウエハ載置台。 【請求項6】 前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部が設けられ、 前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記ウエハ載置部に至る経路である、 請求項2に記載のウエハ載置台。 【請求項7】 上面に少なくともウエハ載置部を有するセラミックプレートと、 前記セラミックプレートの下面に接合され、冷媒流路を有する冷却プレートと、 を備えたウエハ載置台であって、 前記ウエハ載置台の内部のうち前記冷媒流路よりも上方に設けられたガス共通経路と、 前記冷却プレートの下面から前記ガス共通経路に至るガス導入経路と、 1つの前記ガス共通経路に対して複数設けられ、前記ガス共通経路から前記セラミックプレートの上面に至るガス分配経路と、 を備え、 前記ガス分配経路のうち前記セラミックプレートの最外周に配置されている最外周ガス分配経路は、平面視で前記冷媒流路と重ならない位置に設けられ、 前記ガス共通経路は、同心円となるように複数設けられ、 前記最外周ガス分配経路は、複数の前記ガス共通経路のうち最外周に位置する前記ガス共通経路と接続され、 前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部と、前記ウエハ載置部を取り囲む環状のフォーカスリング載置部とが設けられ、 前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記フォーカスリング載置部に至る経路であり、 前記ガス共通経路は、前記フォーカスリング載置部のフォーカスリング支持面よりも低い位置にある、 ウエハ載置台。」 第4 取消理由通知書に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 令和7年5月30日付け取消理由通知書に記載した取消理由の概要は次のとおりである。 なお、以下、申立人1が提出した甲第1号証~甲第8号証を「甲1-1」~「甲1-8」といい、申立人2が提出した甲第1号証~甲第3号証を「甲2-1」~「甲2-3」という。 (1)取消理由1(拡大先願) 請求項1、2、4及び5に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた甲1-8に係る特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、請求項1、2、4及び5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。 (2)取消理由2(新規性) 請求項1及び6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲2-1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1及び6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (3)取消理由3(進歩性) 請求項1、3、4及び6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲2-1に記載された発明と、甲2-3に記載された技術事項とに基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、3、4及び6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (4)取消理由4(明確性要件) 請求項3が請求項2を引用する場合、「ガス分配経路」が「ガス分岐部」又は「ガス共通経路」のいずれに接続するのか不明であり、特許請求の範囲の記載が不備のため、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 取消理由についての当審の判断 (1)取消理由1(拡大先願)について ア 甲1-8(特開2023-170942号公報)の記載、先願発明について (ア)甲1-8は、本件特許の出願日より前に出願された特願2022-83061号(以下、「先願甲1-8」という。)の公開特許公報であり、先願甲1-8の出願人及び発明者は、本件特許に係る出願の出願人及び発明者と同一ではない。 (イ)甲1-8には、以下の記載がある。 「【0028】 ・・・(中略)・・・図1に示すように、静電チャック1は、板状部材10と、ベース部材20と、板状部材10とベース部材20とを接合する接合層30とを有する。 ・・・(中略)・・・ 【0030】 板状部材10は、図1に示すように、円板状の部材であり、上面であって半導体ウエハWを保持する保持面11と、板状部材10の厚み方向(Z軸方向)について保持面11とは反対側に設けられる下面12とを備えている。この板状部材10は、中心部分に形成された載置部110と、その載置部110から径方向外側へ張り出す鍔部120とを有している。そして、載置部110の上面が保持面11になっており、載置部110に半導体ウエハWが固定されるようになっている。また、鍔部120の上面121には、環状リング(フォーカスリング)が配置されるようになっている。このような板状部材10の直径は、例えば50~500mm程度(通常は200mm~350mm程度)であり、板状部材10の厚さは、例えば1~10mm程度である。なお、保持面11は本開示の「第1の面」の一例であり、下面12は本開示の「第2の面」の一例である。 【0031】 板状部材10は、セラミックスにより形成されている。・・・(中略)・・・ 【0034】 ここで、保持面11に保持している半導体ウエハWの表面温度を均一にするために、半導体ウエハWと保持面11との微小隙間、及び鍔部120の上面に保持される環状リングと鍔部120の上面121との微小隙間に不活性ガス(例えばヘリウムガス等)を供給するためのガス通路40が板状部材10の内部に形成されている。ガス通路40は、鍔部120の上面121に不活性ガスを供給する鍔部用ガス通路40aと、保持面11に不活性ガスを供給する載置部用ガス通路40bとを備えている。 【0035】 鍔部用ガス通路40aは、図2、図3に示すように、複数の鍔部ガス穴41と、下トンネル42と、縦穴43と、第1上トンネル44と、ガス導入路45とを有する。鍔部ガス穴41は、Z軸方向に延びて鍔部120の上面121に開口しており、本実施形態では、上面121においてほぼ等間隔に8個形成されている。下トンネル42は、板状部材10の下面12側に配置され、XY面方向に延びて鍔部ガス穴41と縦穴43を連通する複数(本実施形態では8個)の通路で構成されている。縦穴43は、板状部材10を貫通することなくZ軸方向に延びて下トンネル42と第1上トンネル44を連通させている。第1上トンネル44は、板状部材10の保持面11側に配置され、XY面方向に延びて縦穴43とガス導入路45を連通する通路であり、円環路44aと、円環路44aと縦穴43とを連通する連通路44bと、円環路44aとガス導入路45とを連通する連通路44cとを備えている。なお、下トンネル42及び第1上トンネル44(連通路44b)は、本開示の「第1の横穴」および「第2の横穴」の一例である。 ・・・(中略)・・・ 【0037】 載置部用ガス通路40bは、図2、図3に示すように、複数の載置部ガス穴51と、第2上トンネル54と、ガス導入路55とを有する。載置部ガス穴51は、Z軸方向に延びて保持面11に開口しており、本実施形態では、保持面11においてほぼ等間隔に8個形成されている。第2上トンネル54は、板状部材10の保持面11側(第1上トンネル44と同一面)に配置され、XY面方向に延びて載置部ガス穴51とガス導入路55を連通する通路であり、円環路54aと、円環路54aと載置部ガス穴51とを連通する連通路54bと、円環路54aとガス導入路55とを連通する連通路54cとを備えている。 ・・・(中略)・・・ 【0040】 ベース部材20は、図1、図3に示すように、上面21と、ベース部材20の厚さ方向(すなわち、Z軸方向)について上面21とは反対側に設けられる下面22とを備え、円柱状に形成されている。・・・(中略)・・・ベース部材20の直径は、例えば220mm~550mm程度(通常は220mm~350mm程度)であり、ベース部材20の厚さ(Z軸方向の寸法)は、例えば20mm~40mm程度である。 【0041】 そして、ベース部材20には、図3に示すように、冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)を流すための冷媒流路23が形成されており、この冷媒流路23内に冷媒を流すことにより、ベース部材20が冷却され、これにより、接合層30を介して板状部材10が冷却されるようになっている。 【0042】 また、ベース部材20には、Z軸方向に延びてベース部材20を貫通し、上面21及び下面22に開口する貫通穴26a,26bが形成されている。Z軸方向視で、貫通穴26aは、ガス導入路45と重なる(中心軸が一致する)位置に配置され、貫通穴26bは、ガス導入路55と重なる(中心軸が一致する)位置に配置されている。 【0043】 接合層30は、図1、図3に示すように、板状部材10の下面12とベース部材20の上面21との間に配置され、板状部材10とベース部材20とを接合している。・・・(中略)・・・ 【0044】 接合層30には、ガス導入路45と貫通穴26aを連通させる連通穴36aが形成されている。・・・(中略)・・・ 【0045】 また、接合層30には、ガス導入路55と貫通穴26bを連通させる連通穴36bが形成されている。・・・(中略)・・・ 【0049】そこで、本実施形態の静電チャック1では、接合層30において、Z軸方向視で各縦穴43と重なる位置に貫通穴31を設けることにより、第1領域R1(貫通穴31及び連通穴36a,36bを除いた部分)と第1領域R1より熱伝導率が小さい第2領域R2(貫通穴31の部分)とを形成している。これにより、貫通穴31が存在する第2領域R2では、第1領域R1と比べて、板状部材10とベース部材20との間の熱移動(板状部材10からベース部材20への熱引き)が抑制される。そして、接合層30における第2領域R2である貫通穴31は、Z軸方向視で縦穴43と重なる位置に配置されているため、保持面11において縦穴43の上方部分11aでは、ベース部材20への熱引きが制限されるので、他の領域との温度差が小さくなる。従って、保持面11において、縦穴43の上方部分11aに温度特異点が形成されることを防ぐことができるため、保持面11における均熱性を向上させることができる。」 「【図2】 [図:0001433077000001.jpg] 【図3】 [図:0001433077000002.jpg] 」 (ウ)上記(イ)によれば、以下のことがいえる。 a 図2から、保持面11は円形であり、鍔部120は環状であり、円環路44a及び円環路54aは、円環路44aが円環路54aよりも外周側となるように、同心円状に設けられることが見て取れる。 b 図3から、鍔部ガス穴41は、Z方向で冷媒流路23と重ならない位置に設けられると共に、円環路44aと接続されること、及び、第1上トンネル44は、板状部材10の鍔部120の上面121よりも保持面11側に配置されていることが見て取れる。 c 上記(イ)及び上記a及びbによれば、先願甲1-8の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「先願甲1-8当初明細書等」という。)には、次の発明(以下「先願甲1-8発明」という。)が記載されており、先願甲1-8発明は甲1-8により本件特許出願後に出願公開されている。なお、先願甲1-8発明中、括弧内は関連する甲1-8の段落番号等を示す。 <先願甲1-8発明> 「板状部材10と、ベース部材20と、板状部材10とベース部材20とを接合する接合層30とを有する静電チャック1であって、(段落0028) 板状部材10は、円板状の部材であり、上面であって半導体ウエハWを保持する円形の保持面11と、板状部材10の厚み方向(Z軸方向)について保持面11とは反対側に設けられる下面12とを備え、中心部分に形成された載置部110と、その載置部110から径方向外側へ張り出す環状の鍔部120とを有し、載置部110の上面が保持面11になって、載置部110に半導体ウエハWが固定されるようになっており、また、鍔部120の上面121には、環状リング(フォーカスリング)が配置されるようになっており、(上記a、段落0030) 板状部材10は、セラミックスにより形成されており、(段落0031) 保持面11に保持している半導体ウエハWの表面温度を均一にするために、半導体ウエハWと保持面11との微小隙間、及び鍔部120の上面に保持される環状リングと鍔部120の上面121との微小隙間に不活性ガスを供給するためのガス通路40が板状部材10の内部に形成され、 ガス通路40は、鍔部120の上面121に不活性ガスを供給する鍔部用ガス通路40aと、保持面11に不活性ガスを供給する載置部用ガス通路40bとを備え、(段落0034) 鍔部用ガス通路40aは、複数の鍔部ガス穴41と、下トンネル42と、縦穴43と、第1上トンネル44と、ガス導入路45とを有し、 鍔部ガス穴41は、Z軸方向に延びて鍔部120の上面121に開口しており、 下トンネル42は、板状部材10の下面12側に配置され、XY面方向に延びて鍔部ガス穴41と縦穴43を連通する複数の通路で構成されており、 縦穴43は、板状部材10を貫通することなくZ軸方向に延びて下トンネル42と第1上トンネル44を連通させ、 第1上トンネル44は、鍔部120の上面121よりも板状部材10の保持面11側に配置され、XY面方向に延びて縦穴43とガス導入路45を連通する通路であり、円環路44aと、円環路44aと縦穴43とを連通する連通路44bと、円環路44aとガス導入路45とを連通する連通路44cとを備えており、(段落0035、上記b) 載置部用ガス通路40bは、複数の載置部ガス穴51と、第2上トンネル54と、ガス導入路55とを有し、 載置部ガス穴51は、Z軸方向に延びて保持面11に開口しており、 第2上トンネル54は、板状部材10の保持面11側(第1上トンネル44と同一面)に配置され、XY面方向に延びて載置部ガス穴51とガス導入路55を連通する通路であり、円環路54aと、円環路54aと載置部ガス穴51とを連通する連通路54bと、円環路54aとガス導入路55とを連通する連通路54cとを備え、(段落0037) ベース部材20は、上面21と、ベース部材20の厚さ方向(すなわち、Z軸方向)について上面21とは反対側に設けられる下面22とを備えて円柱状に形成され、直径は220mm~550mm程度であり、厚さ(Z軸方向の寸法)は20mm~40mm程度であり、(段落0040) ベース部材20には冷媒を流すための冷媒流路23が形成されており、この冷媒流路23内に冷媒を流すことにより、ベース部材20が冷却され、これにより、接合層30を介して板状部材10が冷却されるようになっており、(段落0041) ベース部材20には、Z軸方向に延びてベース部材20を貫通し、上面21及び下面22に開口する貫通穴26a,26bが形成され、Z軸方向視で、貫通穴26aは、ガス導入路45と重なる位置に配置され、貫通穴26bは、ガス導入路55と重なる位置に配置されており、(段落0042) 接合層30は、板状部材10の下面12とベース部材20の上面21との間に配置され、板状部材10とベース部材20とを接合し、(段落0043) 接合層30には、ガス導入路45と貫通穴26aを連通させる連通穴36aが形成されると共に、ガス導入路55と貫通穴26bを連通させる連通穴36bが形成され、Z軸方向視で各縦穴43と重なる位置に貫通穴31が設けられており、(段落0044、0045、0049) 円環路44a及び円環路54aは、円環路44aが円環路54aよりも外周側となるように、同心円状に設けられ、(上記a) 鍔部ガス穴41は、Z方向で冷媒流路23と重ならない位置に設けられると共に、円環路44aと接続される、(上記b) 静電チャック1。」 イ 本件発明2について (ア)対比 本件発明2と先願甲1-8発明とを対比する。 a 先願甲1-8発明の「板状部材10」は、「円板状の部材であり、上面であって半導体ウエハWを保持する円形の保持面11」を備え、「セラミックスにより形成され」るものであり、上面に半導体ウエハWを保持する保持面11を有するセラミックからなる板状部材であるから、本件発明2の「上面に少なくともウエハ載置部を有するセラミックプレート」に相当する。 b(a)先願甲1-8発明の「ベース部材20」は、「上面21と、ベース部材20の厚さ方向(すなわち、Z軸方向)について上面21とは反対側に設けられる下面22とを備えて円柱状に形成され、直径は220mm~550mm程度であり、厚さ(Z軸方向の寸法)は20mm~40mm程度であ」り、直径が厚さの10倍程度の円柱状であるから、プレート状の部材であるといえる。 (b)また、先願甲1-8発明は、「接合層30は、板状部材10の下面12とベース部材20の上面21との間に配置され、板状部材10とベース部材20とを接合」するものであるから、「ベース部材20」は、「板状部材10」の下面に接合されるものであるといえる。 (c)さらに、先願甲1-8発明は、「ベース部材20には冷媒を流すための冷媒流路23が形成されており、この冷媒流路23内に冷媒を流すことにより、ベース部材20が冷却され、これにより、接合層30を介して板状部材10が冷却される」から、「ベース部材20」は、「冷媒流路23」を有する冷却部材であるといえる。 (d)上記(a)~(c)によれば、先願甲1-8発明の「ベース部材20」は、「板状部材10」の下面に接合され、「冷媒流路23」を有するプレート状の冷却部材であるといえるから、上記aを踏まえると、本件発明2の「前記セラミックプレートの下面に接合され、冷媒流路を有する冷却プレート」に相当する。 c(a)先願甲1-8発明において、「第1上トンネル44は、鍔部120の上面121よりも板状部材10の保持面11側に配置され」、「円環路44aと、円環路44aと縦穴43とを連通する連通路44bと」を備えるから、「円環路44a」は「板状部材10」に配置され、「縦穴43」に連通するといえる。 (b)先願甲1-8発明は、「複数の鍔部ガス穴41」を有し、「下トンネル42は」「鍔部ガス穴41と縦穴43を連通する複数の通路で構成され」るから、「複数の鍔部ガス穴41」が「縦穴43」に連通するといえる。 (c)上記(a)及び(b)によれば、「円環路44a」は、「板状部材10」に配置され、「縦穴43」を介して「複数の鍔部ガス穴41」に連通するといえる。 (d)先願甲1-8発明において、「複数の載置部ガス穴51」を有し、「第2上トンネル54は、板状部材10の保持面11側(第1上トンネル44と同一面)に配置され」、「円環路54aと、円環路54aと載置部ガス穴51とを連通する連通路54bと」を備えるから、「円環路54a」は、「板状部材10」に配置され、「複数の載置部ガス穴51」に連通するといえる。 (e)上記b(b)及び上記b(c)によれば、「板状部材10」は、「冷媒流路23」を有する「ベース部材20」の上方に設けられたものであるといえる。 (f)上記(c)によれば、「円環路44a」は、「複数の鍔部ガス穴41」に共通する経路であるといえる。また、上記(d)によれば、「円環路54a」は、「複数の載置部ガス穴51」に共通する経路であるといえる。 (g)上記a及びbを踏まえると、先願甲1-8発明の「静電チャック1」は、「板状部材10と、ベース部材20と」を有するものであるから、「セラミックプレートと」「冷却プレートと」「を備え」る点で、本件発明2の「ウエハ載置台」と一致する。 (h)また、上記(e)~(g)によれば、先願甲1-8発明の「円環路44a」及び「円環路54a」は、「静電チャック1」のうち、「冷媒流路23」を有する「ベース部材20」の上方の「板状部材10」に配置された、「複数の載置部ガス穴51」に共通する経路であるから、本件発明2の「前記ウエハ載置台の内部のうち前記冷媒流路よりも上方に設けられたガス共通経路」に相当する。 d(a)先願甲1-8発明において、「ベース部材20には」「下面22に開口する貫通穴26a,26bが形成され」るから、「ベース部材20」の「下面22に」「貫通穴26a,26b」が開口するといえる。 (b)先願甲1-8発明において、「第1上トンネル44は」「円環路44aとガス導入路45とを連通する連通路44c」「を備え」、「接合層30には、ガス導入路45と貫通穴26aを連通させる連通穴36aが形成される」から、「貫通穴26a」は、「連通穴36a」により「ガス導入路45と」連通され、「ガス導入路45」は「連通路44c」により「円環路44aと」連通されるといえる。 (c)先願甲1-8発明において、「第1上トンネル44は」「円環路54aとガス導入路55とを連通する連通路54c」「を備え」、「接合層30には」、「ガス導入路55と貫通穴26bを連通させる連通穴36bが形成され」るから、「貫通穴26b」は、「連通穴36b」により「ガス導入路55と」連通され、「ガス導入路55」は「連通路54c」により「円環路54aと」連通するといえる。 (d)上記(a)及び(b)によれば、「ベース部材20」の「下面22」から、「貫通穴26a」、「連通穴36a」、「ガス導入路45」が連通して、「円環路44a」に至るといえる。 (e)上記(a)及び(c)によれば、「ベース部材20」の「下面22」から、「貫通穴26b」、「連通穴36b」、「ガス導入路55」が連通して、「円環路54a」に至るといえる。 (f)上記(d)及び(e)によれば、「貫通穴26a」、「連通穴36a」及び「ガス導入路45」、並びに、「貫通穴26b」、「連通穴36b」及び「ガス導入路55」は、連通して「ベース部材20」の「下面22」から「円環路44a」及び「円環路54a」に至るものであるから、本件発明2の「前記冷却プレートの下面から前記ガス共通経路に至るガス導入経路」に相当する。 e(a)先願甲1-8発明において、「板状部材10は」、「載置部110と」「鍔部120とを有」するものである。 (b)また、先願甲1-8発明において、「載置部110の上面が保持面11になって」おり、「鍔部ガス穴41は、Z軸方向に延びて鍔部120の上面121に開口」し、「載置部ガス穴51は、Z軸方向に延びて保持面11に開口」するものであるから、先願甲1-8発明の「鍔部ガス穴41」は「鍔部120の上面121に開口」するものであり、「載置部ガス穴51」は「載置部110の上面」である「保持面11」に開口するものである。したがって、上記(a)を参酌すると、「鍔部ガス穴41」及び「載置部ガス穴51」は、「板状部材10」の上面に開口するものであるといえる。 (c)先願甲1-8発明において、「鍔部用ガス通路40aは、複数の鍔部ガス穴41」「を有し」、「下トンネル42は」「鍔部ガス穴41と縦穴43を連通する複数の通路で構成されており」、「第1上トンネル44は」「円環路44aと縦穴43とを連通する連通路44bと」「を備え」るから、「複数の鍔部ガス穴41」は「円環路44aと」連通されるものである。 (d)また、先願甲1-8発明において、「載置部用ガス通路40bは、複数の載置部ガス穴51」「を有し」、「第2上トンネル54は」「円環路54aと載置部ガス穴51とを連通する連通路54bと」「を備え」るから、「複数の載置部ガス穴51」は、「円環路54a」と連通されるものである。 (e)上記(b)~(d)によれば、「鍔部ガス穴41」及び「載置部ガス穴51」は、「円環路44a」及び「円環路54a」に対して複数設けられ、「円環路44a」及び「円環路54a」から「板状部材10」の上面に至るものであるといえるから、本件発明2の「1つの前記ガス共通経路に対して複数設けられ、前記ガス共通経路から前記セラミックプレートの上面に至るガス分配経路」に相当する。 f(a)先願甲1-8発明において、「板状部材10は」「中心部分に形成された載置部110と、その載置部110から径方向外側へ張り出す環状の鍔部120とを有」するものであるから、「鍔部120」は「載置部110」よりも板状部材10の径方向外側に形成されるといえる。 (b)また、先願甲1-8発明において、「載置部ガス穴51は、Z軸方向に延びて保持面11に開口し」、「鍔部ガス穴41は、Z軸方向に延びて鍔部120の上面121に開口」するから、上記(a)を踏まえると、「鍔部ガス穴41」は「載置部ガス穴51」よりも「板状部材10」の径方向外側に形成されるといえ、「載置部ガス穴51」及び「鍔部ガス穴41」のうち「板状部材10」の最外周には「鍔部ガス穴41」が配置されるといえる。 (c)さらに、先願甲1-8発明において、「鍔部ガス穴41は、Z方向で冷媒流路23と重ならない位置に設けられる」ことは、上記(b)を踏まえると、「載置部ガス穴51」及び「鍔部ガス穴41」のうち「板状部材10」の最外周に配置される「鍔部ガス穴41」は、「Z方向で冷媒流路23と重ならない位置に設けられる」ことであるから、本件発明2の「前記ガス分配経路のうち前記セラミックプレートの最外周に配置されている最外周ガス分配経路は、平面視で前記冷媒流路と重ならない位置に設けられ」ることに相当する。 g 先願甲1-8発明において、「円環路44a及び円環路54aは」「同心円となるように設けられ」ることは、本件発明2の「前記ガス共通経路は、同心円となるように複数設けられ」ることに相当する。 h(a)先願甲1-8発明において、「円環路44a及び円環路54aは、円環路44aが円環路54aよりも外周側となるように」「設けられ」るから、「円環路44a」は、「円環路44a及び円環路54a」のうち、最外周側に形成されるといえる。 (b)上記(a)、上記e(c)及び上記f(b)によれば、先願甲1-8発明において、「円環路44a」は、「円環路44a及び円環路54a」のうち最外周側に形成され、「鍔部ガス穴41」は「円環路44aと」連通され、「載置部ガス穴51」及び「鍔部ガス穴41」のうち「板状部材10」の最外周には「鍔部ガス穴41」が配置されることは、本件発明2の「前記最外周ガス分配経路は、複数の前記ガス共通経路のうち最外周に位置する前記ガス共通経路と接続されている」ことに相当する。 i(a)先願甲1-8発明において、「第2上トンネル54は」「円環路54aと載置部ガス穴51とを連通する連通路54b」「を備え」るから、「載置部ガス穴51」は、「連通路54b」を介して「円環路54a」に接続されているといえる。 (b)また、先願甲1-8発明において、「下トンネル42は」「鍔部ガス穴41と縦穴43を連通する複数の通路で構成されており」、「第1上トンネル44は」「円環路44aと縦穴43とを連通する連通路44bと」「を備え」るから、「鍔部ガス穴41」は、「下トンネル42」、「縦穴43」及び「連通路44b」を介して「円環路44a」に接続されているといえる。 (c)上記(a)及び(b)によれば、先願甲1-8発明の「連通路54b」、並びに、「下トンネル42」、「縦穴43」及び「連通路44b」は、本件発明2の「ガス分岐部」に相当する。 そして、先願甲1-8発明の「載置部ガス穴51」は「連通路54b」を介して「円環路54a」に接続され、「鍔部ガス穴41」は「下トンネル42」、「縦穴43」及び「連通路44b」を介して「円環路44a」に接続されることは、本件発明2の「前記ガス分配経路は、ガス分岐部を介して前記ガス共通経路に接続されている」ことに相当する。 j 上記a~iによれば、本件発明2と先願甲1-8発明とは、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「上面に少なくともウエハ載置部を有するセラミックプレートと、 前記セラミックプレートの下面に接合され、冷媒流路を有する冷却プレートと、 を備えたウエハ載置台であって、 前記ウエハ載置台の内部のうち前記冷媒流路よりも上方に設けられたガス共通経路と、 前記冷却プレートの下面から前記ガス共通経路に至るガス導入経路と、 1つの前記ガス共通経路に対して複数設けられ、前記ガス共通経路から前記セラミックプレートの上面に至るガス分配経路と、 を備え、 前記ガス分配経路のうち前記セラミックプレートの最外周に配置されている最外周ガス分配経路は、平面視で前記冷媒流路と重ならない位置に設けられ、 前記ガス共通経路は、同心円となるように複数設けられ、 前記最外周ガス分配経路は、複数の前記ガス共通経路のうち最外周に位置する前記ガス共通経路と接続され、 前記ガス分配経路は、ガス分岐部を介して前記ガス共通経路に接続されている、 ウエハ載置台。」 <相違点1> 本件発明2は、「前記ガス分岐部のうち前記最外周ガス分配経路に接続されたガス分岐部は、平面上に延び出ている」のに対し、先願甲1-8発明は、「下トンネル42は」「鍔部ガス穴41と縦穴43を連通する複数の通路で構成されており」、「第1上トンネル44は」「円環路44aと縦穴43とを連通する連通路44bと」「を備え」るものであり、「下トンネル42」、「縦穴43」及び「連通路44b」が平面上に延び出ているものではない点。 (イ)相違点についての判断 相違点1について検討する。 先願甲1-8発明は、「Z軸方向視で各縦穴43と重なる位置に貫通穴31」を設けることにより、本件明細書の段落0049に記載された「保持面11において縦穴43の上方部分11aでは、ベース部材20への熱引きが制限されるので、他の領域との温度差が小さくなる。従って、保持面11において、縦穴43の上方部分11aに温度特異点が形成されることを防ぐことができるため、保持面11における均熱性を向上させることができる」との効果を得る発明である。 そうすると、先願甲1-8発明において、各縦穴43を無くし、円環路44aと鍔部ガス穴41と平面上に延び出ている連通路で接続し、相違点1に係る本件発明2の構成とすることは、先願甲1-8発明の課題となる前提の構成を変えるものであるから、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)とはいえない。 (ウ)申立人1の主張について a 申立人1は、令和7年9月5日提出の意見書の第3頁下から13行~末行において、先願甲1-8発明の「連通路44b」を本件発明2の「ガス分岐部」に相当すると考えると、本件発明2と先願甲1-8発明とに相違点はない旨主張している。 b 上記主張について検討する。本件明細書等の段落0009には「ガス共通経路からガス分岐部が」「冷媒流路と重ならない位置に至るようにすれば、ガス分配経路を」「冷媒流路と重ならない位置に設けることができる。」と記載されており、ガス分岐部は、ガス共通経路からガス分配経路に至るものであるといえる。そして、上記(ア)i(b)によれば、「下トンネル42」、「縦穴43」及び「連通路44b」が、「円環路44a」から「鍔部ガス穴41」に至るものであるから、先願甲1-8発明の「連通路44b」のみを本件発明2の「ガス分岐部」に相当すると考えることはできない。 c したがって、申立人1の主張を採用することはできない。 (エ)小括 以上のとおりであるから、本件発明2は、先願甲1-8発明と同一でない。 ウ 本件発明4及び5について 請求項4及び5の記載は、請求項2の記載を引用するところ、本件発明4及び5は、少なくとも本件発明2の構成を全て備えるものである。したがって、本件発明4及び5は、相違点1と同様の点で、先願甲1-8発明と相違するものである。 よって、本件発明4及び5は、先願甲1-8発明と同一ではない。 エ 本件発明7について (ア) 対比 本件発明7と先願甲1-8発明とを対比する。 a 先願甲1-8発明の「板状部材10は」、「上面であって半導体ウエハWを保持する円形の保持面11」「を備え、中心部分に形成された載置部110と、その載置部110から径方向外側へ張り出す環状の鍔部120とを有し」、「鍔部120の上面121には、環状リング(フォーカスリング)が配置され」ることは、本件発明7の「前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部と、前記ウエハ載置部を取り囲む環状のフォーカスリング載置部とが設けられ」ることに相当する。 b 上記イ(ア)c(c)によれば、先願甲1-8発明において「鍔部ガス穴41は、Z軸方向に延びて鍔部120の上面121に開口」することは、本件発明7の「前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記フォーカスリング載置部に至る経路であ」ることに相当する。 c 上記a及びbと、上記イ(ア)a~hにおける検討と同様の理由により、本件発明7及び先願甲1-8発明とは、次の点で一致し、相違する。 <一致点> 「上面に少なくともウエハ載置部を有するセラミックプレートと、 前記セラミックプレートの下面に接合され、冷媒流路を有する冷却プレートと、 を備えたウエハ載置台であって、 前記ウエハ載置台の内部のうち前記冷媒流路よりも上方に設けられたガス共通経路と、 前記冷却プレートの下面から前記ガス共通経路に至るガス導入経路と、 1つの前記ガス共通経路に対して複数設けられ、前記ガス共通経路から前記セラミックプレートの上面に至るガス分配経路と、 を備え、 前記ガス分配経路のうち前記セラミックプレートの最外周に配置されている最外周ガス分配経路は、平面視で前記冷媒流路と重ならない位置に設けられ、 前記ガス共通経路は、同心円となるように複数設けられ、 前記最外周ガス分配経路は、複数の前記ガス共通経路のうち最外周に位置する前記ガス共通経路と接続され、 前記セラミックプレートの上面には、円形のウエハ載置部と、前記ウエハ載置部を取り囲む環状のフォーカスリング載置部とが設けられ、 前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記フォーカスリング載置部に至る経路である、 ウェハ載台。」 <相違点2> 本件発明7は、「前記ガス共通経路は、前記フォーカスリング載置部のフォーカスリング支持面よりも低い位置にある」のに対し、先願甲1-8発明は、「第1上トンネル44は、鍔部120の上面121よりも板状部材10の保持面11側に配置され」、第1上トンネル44が有する円環路44aが、鍔部120の上面よりも高い位置にある点。 (イ)相違点についての判断 相違点2について検討する。 先願甲1-8発明は、「第2上トンネル54」が「第1上トンネル44と同一面」「に配置され」、第1上トンネル44と第2上トンネル54とが同一面に配置されるものであるから、先願甲1-8発明において、第1上トンネル44のみの配置位置を鍔部120の上面よりも低い位置とすることは、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)とはいえない。 (ウ)申立人1の主張について a 申立人1は、令和7年9月5日提出の意見書の第7頁第13行~第8頁第19行において、甲1-2の図11に申立人1が符号を追記した下記参考図を参照して、甲1-2に、水平流路222aがフォーカスリング載置面116よりも低い位置にあることが記載されているように、静電チャック装置において、ガス共通経路がフォーカスリング載置部のフォーカスリング支持面よりも低い位置にあることは周知技術であり、先願甲1-8発明を相違点2に係る本件発明7の構成を有するものとするは、当該周知技術の付加にすぎない旨を主張している。 「[参考図] [図:0001433077000003.jpg] 」 b しかしながら、上記(イ)のとおり、第1上トンネル44と第2上トンネル54とが同一面に配置される先願甲1-8発明において、第1上トンネル44のみの配置位置を鍔部120の上面よりも低い位置とすることは、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)とはいえないから、申立人1の主張を採用することはできない。 (エ)小括 以上のとおりであるから、本件発明7は、先願甲1-8発明と同一でない。 (2)取消理由2(新規性)及び取消理由3(進歩性)について ・本件発明3、4及び6について 取消理由2、3は、本件訂正前の請求項1、3、4、6を対象としたものである。 そして、本件訂正によって、請求項1が削除され、本件発明3、4、6が、取消理由2、3の対象でない本件訂正前の請求項2に記載された構成を含むものになったことで、取消理由2、3は解消した。 (3)取消理由4(明確性要件) 本件訂正により、請求項3に記載された「ガス分配経路」は、「ガス分岐部」に接続するものであることが明確となった。 よって、本件発明3は明確である。 第5 取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由について 1 本件訂正前の請求項1~6に係る特許に対する特許異議申立理由のうち、取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由の概要は、申立人1が主張する以下の申立理由1-1~1-4(以下、申立理由1-1~1-4をまとめて「申立理由1」ともいう。)のとおりである。 (1)申立理由1-1(進歩性) 請求項1~6に係る発明は、甲1-1に記載された発明と甲1-2~甲1-7に記載された技術事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲1-2に記載された発明と甲1-1、甲1-3~甲1-7に記載された技術事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由1-2(拡大先願) 請求項3に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた甲1-8に係る特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、請求項3に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。 (3)申立理由1-3(サポート要件) 請求項3に記載された「ガス分配経路のうち少なくともガス共通経路と接続している部分」に対応する構成は、本件明細書等に記載されておらず、請求項3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、請求項3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (4)申立理由1-4(明確性要件) 請求項2の記載は請求項1の記載を引用するものであるところ、請求項1には「ガス分配経路」について、「1つの前記ガス共通経路に対して複数設けられ、前記ガス共通経路から前記セラミックプレートの上面に至る」ことが記載されているのに対し、請求項2には「ガス分配経路」について、「ガス分岐部を介して前記ガス共通経路に接続されている」ことが記載されており、請求項2に係る発明は「ガス分岐部」と「ガス共通経路」の関係が明確でなく、また、「ガス分岐部」が如何なる構成か明確でない。 請求項3の記載は請求項2の記載を選択的に引用するものであるところ、請求項2には「前記ガス分配経路は、ガス分岐部を介して前記ガス共通経路に接続されている」と記載されているのに対し、請求項3には「前記ガス分配経路のうち少なくとも前記ガス共通経路と接続している部分は、前記ガス共通経路よりも幅が広」いことが記載されており、請求項3に係る発明は、「ガス分配経路」の接続先が、「ガス分岐部」又は「ガス共通経路」のいずれなのか明確でなく、また、「幅」が「ガス分配経路」及び「ガス共通経路」のそれぞれのどの部分の長さを示しているか明確でない。 したがって、請求項2及び3に係る発明と、請求項2を引用する請求項3~6に係る発明は明確でないから、請求項2~6に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (5)申立人1が提出した甲号証 甲1-1:特開2021-048243号公報 甲1-2:特開2012-134375号公報 甲1-3:特許第4021864号公報 甲1-4:特許第4929150号公報 甲1-5:特開2020-115536号公報 甲1-6:国際公開第2018/216797号 甲1-7:特開2002-184851号公報 甲1-8:特開2023-170942号公報 2 申立理由1についての当審の判断 (1)甲号証について ア 甲1-1について (ア)申立人1が提出した甲1-1には、以下の記載がある。 「【0012】 図1は、本実施形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する断面図であり、図1(a)は全体図、図1(b)は図1(a)のA部の部分拡大図である。図1を参照すると、基板固定装置1は、主要な構成要素として、ベースプレート10と、接着層20と、静電チャック30とを有している。 【0013】 ベースプレート10は、静電チャック30を搭載するための部材である。ベースプレート10の厚さは、例えば、20~40mm程度である。ベースプレート10は、例えば、アルミニウムから形成され、プラズマを制御するための電極等として利用できる。ベースプレート10に所定の高周波電力を給電することで、発生したプラズマ状態にあるイオン等を静電チャック30上に吸着されたウェハに衝突させるためのエネルギーを制御し、エッチング処理を効果的に行うことができる。 【0014】 ベースプレート10の内部には、静電チャック30に吸着保持されるウェハを冷却するガスを供給するガス供給部11が設けられている。ガス供給部11は、ガス流路111と、ガス注入部112と、ガス排出部113とを備えている。 【0015】 ガス流路111は、例えば、ベースプレート10の内部に環状に形成された孔である。ガス注入部112は、一端がガス流路111に連通し、他端がベースプレート10の下面10bから外部に露出する孔であり、基板固定装置1の外部からガス流路111に不活性ガス(例えば、HeやAr等)を導入する。ガス排出部113は、一端がガス流路111に連通し、他端がベースプレート10の上面10aから外部に露出して接着層20を貫通する孔であり、ガス流路111に導入された不活性ガスを排出する。ガス排出部113は、平面視において、ベースプレート10の上面10aに点在している。ガス排出部113の個数は、必要に応じて適宜決定できるが、例えば、数10個~数100個程度である。 ・・・(中略)・・・ 【0017】 ベースプレート10の内部には、冷却機構15が設けられている。冷却機構15は冷媒流路151と、冷媒導入部152と、冷媒排出部153とを備えている。冷媒流路151は、例えば、ベースプレート10の内部に環状に形成された孔である。冷媒導入部152は、一端が冷媒流路151に連通し、他端がベースプレート10の下面10bから外部に露出する孔であり、基板固定装置1の外部から冷媒流路151に冷媒(例えば、冷却水やガルデン等)を導入する。冷媒排出部153は、一端が冷媒流路151に連通し、他端がベースプレート10の下面10bから外部に露出する孔であり、冷媒流路151に導入された冷媒を排出する。 ・・・(中略)・・・ 【0019】 静電チャック30は、吸着対象物であるウェハを吸着保持する部分である。静電チャック30の平面形状は、例えば、円形である。静電チャック30の吸着対象物であるウェハの直径は、例えば、8、12、又は18インチである。 【0020】 静電チャック30は、接着層20を介して、ベースプレート10の上面10aに設けられている。接着層20は、例えば、シリコーン系接着剤である。接着層20の厚さは、例えば、0.1~1.0mm程度である。接着層20は、ベースプレート10と静電チャック30を接着すると共に、セラミックス製の静電チャック30とアルミニウム製のベースプレート10との熱膨張率の差から生じるストレスを低減させる効果を有する。 【0021】 静電チャック30は、基体31と、静電電極32とを有している。基体31の上面は、吸着対象物の載置面31aである。静電チャック30は、例えば、ジョンセン・ラーベック型静電チャックである。但し、静電チャック30は、クーロン力型静電チャックであってもよい。 【0022】 基体31は誘電体であり、基体31としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)や窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスを用いる。基体31は、助剤として、例えば、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、及びイットリウム(Y)から選択される2種以上の元素の酸化物を含んでもよい。基体31の厚さは、例えば、5~10mm程度、基体31の比誘電率(1kHz)は、例えば、9~10程度である。 ・・・(中略)・・・ 【0025】 基体31の各ガス排出部113に対応する位置には、基体31を貫通してガス排出部113の他端を露出するガス孔33が設けられている。ガス孔33を介して、ガス供給部11から載置面31aにガスが供給される。」 「【図1】 [図:0001433077000004.jpg] 」 (イ)上記(ア)によれば、以下のことがいえる。 a 図1(a)から、ガス排出部113及びガス孔33は、冷却機構15と重ならない位置に設けられることが見て取れる。 b 上記(ア)及び上記aによれば、甲1-1には、以下の発明(以下、「甲1-1」発明という。)が記載されている。 <甲1-1発明> 「ベースプレート10と、接着層20と、静電チャック30とを有している基板固定装置1であって、(段落0012) ベースプレート10は、静電チャック30を搭載するための部材であり、(段落0013) ベースプレート10の内部には、静電チャック30に吸着保持されるウェハを冷却するガスを供給するガス供給部11が設けられ、ガス供給部11は、ガス流路111と、ガス注入部112と、ガス排出部113とを備え、(段落0014) ガス流路111は、ベースプレート10の内部に環状に形成された孔であり、ガス注入部112は、一端がガス流路111に連通し、他端がベースプレート10の下面10bから外部に露出する孔であり、ガス排出部113は、一端がガス流路111に連通し、他端がベースプレート10の上面10aから外部に露出して接着層20を貫通する孔であり、(段落0015) ベースプレート10の内部には、冷却機構15が設けられ、冷却機構15は冷媒流路151と、冷媒導入部152と、冷媒排出部153とを備え、冷媒流路151は、ベースプレート10の内部に環状に形成された孔であり、冷媒導入部152は、一端が冷媒流路151に連通し、他端がベースプレート10の下面10bから外部に露出する孔であり、基板固定装置1の外部から冷媒流路151に冷媒を導入し、冷媒排出部153は、一端が冷媒流路151に連通し、他端がベースプレート10の下面10bから外部に露出する孔であり、冷媒流路151に導入された冷媒を排出し、(段落0017) 静電チャック30は、吸着対象物であるウェハを吸着保持する部分であり、静電チャック30の平面形状は円形であり、(段落0019) 静電チャック30は、接着層20を介して、ベースプレート10の上面10aに設けられ、(段落0020) 静電チャック30は、基体31と、静電電極32とを有し、(段落0021) 基体31としてはセラミックスを用い、(段落0022) 基体31の各ガス排出部113に対応する位置には、基体31を貫通してガス排出部113の他端を露出するガス孔33が設けられ、(段落0025) ガス排出部113及びガス孔33は、冷却機構15と重ならない位置に設けられた、(上記a) 基板固定装置1。」 イ 甲1-2について (ア)申立人1が提出した甲1-2には、以下の記載がある。 「【0027】 基板処理装置100は,例えば表面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムから成る円筒形状に成形された処理容器を有する処理室102を備える。処理室102は接地されている。処理室102内の底部にはウエハWを載置するための略円柱状の載置台110が設けられている。載置台110はセラミックなどで構成された板状の絶縁体112と,絶縁体112上に設けられた下部電極を構成するサセプタ114とを備える。 【0028】 載置台110はサセプタ114を所定の温度に調整可能なサセプタ温調部117を備える。サセプタ温調部117は,例えばサセプタ114の内部に周方向に沿って設けられた環状の温度調節媒体室118に温度調節媒体を循環するように構成されている。 【0029】 サセプタ114の上部には,ウエハWとそれを囲むように配置されるフォーカスリング124の両方を吸着可能な基板保持部としての静電チャック120が設けられている。静電チャック120の上側中央部に凸状の基板載置部が形成されており,この基板載置部の上面はウエハWを載置する基板載置面115を構成し,その周囲の低い部分の上面はフォーカスリング124を載置するフォーカスリング載置面116を構成する。 【0030】 静電チャック120は,絶縁材の間に電極122が介在された構成となっている。本実施形態における静電チャック120では,ウエハWとフォーカスリング124の両方を吸着できるように,電極122が基板載置面115の下側のみならず,フォーカスリング載置面116の下側まで延出して設けられている。 ・・・(中略)・・・ 【0032】 本実施形態における載置台110には,ウエハWの裏面とフォーカスリング124の裏面に別々に伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給機構200が設けられている。このような伝熱ガスとしては,プラズマ入熱を受けるウエハWやフォーカスリング124をサセプタ114の冷却温度を静電チャック120を介して効率よく伝熱して冷却できるHeガスの他,Arガス,H2ガスも適用可能である。」 「【0055】 図2に示すように,伝熱ガス供給機構200は,独立した別系統で設けられた第1伝熱ガス供給部210と第2伝熱ガス供給部220を備える。第1伝熱ガス供給部210は,静電チャック120の基板載置面115とウエハ裏面との間に,第1ガス流路212を介して第1伝熱ガスを所定の圧力で供給するようになっている。具体的には上記第1ガス流路212は,絶縁体112,サセプタ114を貫通し,基板載置面115に設けられた多数のガス孔218に連通している。ここでのガス孔218は,基板載置面115のセンタ部(中央部)からエッジ部(周縁部)にわたってほぼ全面に形成されている。 ・・・(中略)・・・ 【0057】 第2伝熱ガス供給部220は,静電チャック120の基板載置面115とフォーカスリング124の裏面との間に,第2ガス流路222を介して第2伝熱ガスを所定の圧力で供給するようになっている。具体的には上記第2ガス流路222は,絶縁体112,サセプタ114を貫通し,フォーカスリング載置面116に設けられた多数のガス孔228に連通している。ここでのガス孔218は,フォーカスリング載置面116のほぼ全面に形成されている。 ・・・(中略)・・・ 【0060】 図3A,図3Bに示す構成例は,静電チャック120の内部にフォーカスリング124の周方向に沿った環状の空間からなる第1環状拡散部229を設けた場合である。そして,この第1環状拡散部229の上部に各ガス孔228の下端を連通させるとともに,第1環状拡散部229の下部に第2ガス流路222を連通させる。これによれば,この第2ガス流路222を介して第1環状拡散部229に第2伝熱ガスを供給することによって,第2伝熱ガスを第1環状拡散部229の周方向に沿って全体に拡散させながら各ガス孔228から噴出させることができるので,フォーカスリング裏面全体に満遍なく流通させることができる。」 「【0102】 具体的には例えば図11に示すように,第2ガス流路222を分岐させて,その分岐流路223をウエハWのエッジ部の裏面に向けて設けるようにしてもよい。この場合,基板載置面115のガス孔218はセンタ部領域のガス孔218aとその周りのエッジ部領域のガス孔218bとに分けて設け,センタ部領域のガス孔218aには第1ガス流路212を連通させるとともに,エッジ部領域のガス孔218bには第2ガス流路222からの分岐流路223を連通させる。これにより,センタ部領域のガス孔218aには第1伝熱ガスが供給されるとともに,エッジ部領域のガス孔218bには第2伝熱ガスが供給される。」 「【図2】 [図:0001433077000005.jpg] 」 「【図11】 [図:0001433077000006.jpg] 」 (イ)上記(ア)によれば、以下のことがいえる。 a 図11から、ガス孔228は、温度調節媒体室118と重ならない位置に設けられることが見て取れる。 b 上記(ア)及び上記aによれば、甲1-2には次の発明(以下、「甲1-2発明」という。)が記載されている。 <甲1-2発明> 「セラミックで構成された板状の絶縁体112と、絶縁体112上に設けられた下部電極を構成するサセプタ114と、を備える載置台110であって、(段落0027) サセプタ114の内部に、周方向に沿って設けられた環状の温度調節媒体室118に温度調節媒体を循環するように構成された温調部117を備え、(段落0028) サセプタ114の上部に、ウエハWとそれを囲むように配置されるフォーカスリング124の両方を吸着可能な基板保持部としての静電チャック120が設けられ、静電チャック120の上側中央部に凸状の基板載置部が形成されており、この基板載置部の上面はウエハWを載置する基板載置面115を構成し、その周囲の低い部分の上面はフォーカスリング124を載置するフォーカスリング載置面116を構成し、(段落0029) 静電チャック120は、絶縁材の間に電極122が介在された構成となっており、ウエハWとフォーカスリング124の両方を吸着できるように、電極122が基板載置面115の下側のみならず、フォーカスリング載置面116の下側まで延出して設けられており、(段落0030) 載置台110には、ウエハWの裏面とフォーカスリング124の裏面に別々に伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給機構200が設けられており、(段落0032) 伝熱ガス供給機構200は、独立した別系統で設けられた第1伝熱ガス供給部210と第2伝熱ガス供給部220を備え、 第1伝熱ガス供給部210は、静電チャック120の基板載置面115とウエハ裏面との間に、第1ガス流路212を介して第1伝熱ガスを所定の圧力で供給するようになっており、第1ガス流路212は、絶縁体112、サセプタ114を貫通し、基板載置面115に設けられた多数のガス孔218に連通しており、(段落0055) 第2伝熱ガス供給部220は、静電チャック120の基板載置面115とフォーカスリング124の裏面との間に、第2ガス流路222を介して第2伝熱ガスを所定の圧力で供給するようになっており、第2ガス流路222は、絶縁体112、サセプタ114を貫通し、フォーカスリング載置面116に設けられた多数のガス孔228に連通し、ガス孔218は、フォーカスリング載置面116のほぼ全面に形成されており、(段落0057) 静電チャック120の内部に、フォーカスリング124の周方向に沿った環状の空間からなる第1環状拡散部229が設けられ、この第1環状拡散部229の上部に各ガス孔228の下端が連通されるとともに、第1環状拡散部229の下部に第2ガス流路222が連通され、(段落0060) 第2ガス流路222を分岐させて、その分岐流路223をウエハWのエッジ部の裏面に向けて設け、基板載置面115のガス孔218はセンタ部領域のガス孔218aとその周りのエッジ部領域のガス孔218bとに分けて設けられ、センタ部領域のガス孔218aには第1ガス流路212を連通させるとともに、エッジ部領域のガス孔218bには第2ガス流路222からの分岐流路223が連通され、(段落0102) ガス孔228は、温度調節媒体室118と重ならない位置に設けられた、(上記a) 載置台110。」 ウ 甲1-3について 申立人1が提出した甲1-3には、以下の記載がある。 「【0020】 図面に示されているように、本発明によるウエハー用静電チャックは、ウエハー10が装着されるベース20と、ベース20の上部面の端部に備えられる環型の第1シーリング部材30と、第1シーリング部材30の内側に離隔してベース20の上部面に備えられ、ウエハー10装着時にウエハー10をエッジ部12及びセンター部14に区分する環型の第2シーリング部材40と、ベース20の内部に分岐形成され、ウエハー10のエッジ部12にヘリウムガスを排出する第1ヘリウム供給流路50と、第1ヘリウム供給流路50と高さ差を有するようにベース20の内部に分岐形成され、ウエハー10のセンター部14にヘリウムガスを排出する第2ヘリウム供給流路60とを含んで構成される。 ・・・(中略)・・・ 【0023】 第1ヘリウム供給流路50は、ベース20の中央下部に形成され、外部からヘリウムガスが流入される第1ヘリウム流入口52と、ウエハー10のエッジ部12と対応するようにベース20の外側上部に形成され、ウエハー10のエッジ部12にヘリウムガスを排出する複数の第1ヘリウム排出口54と、第1ヘリウム流入口52から分岐形成され、第1ヘリウム排出口54と連通する第1内部流路56とを含む。 ・・・(中略)・・・ 【0025】 第1ヘリウム排出口54は、装着されたウエハー10のエッジ部12と対応してヘリウムガスを排出することができるように、ベース20の外側周囲に沿って一定の間隔で複数形成される。 【0026】 第1内部流路56は、第1ヘリウム流入口52と連通する複数の第1分岐流路55aと、第1分岐流路55a及び第1ヘリウム排出口54と連通する第1循環流路55bとを含むのが好ましい。そして、第1ヘリウム供給流路50の構造が複雑になる短所があるが、第1分岐流路55aの数を第1ヘリウム排出口54の数と同一に形成することによって、第1循環流路55bを除去して第1内部流路56を形成することができる。 ・・・(中略)・・・ 【0028】 第2ヘリウム供給流路60は、ベース20の中央下部に形成された第2ヘリウム流入口62と、ウエハー10のセンター部14と対応するようにベース10の上部に形成された複数の第2ヘリウム排出口64と、第1内部流路56と高さ差を有するように第2ヘリウム流入口62から分岐形成され、第2ヘリウム排出口64と連通する第2内部流路66とを含む。 ・・・(中略)・・・ 【0032】 第2内部流路66は、第2ヘリウム流入口62と連通する複数の第2分岐流路65aと、第2分岐流路65a及び第2ヘリウム排出口64と連通する第2循環流路65bとを含むのが好ましい。そして、第2ヘリウム供給流路60の構造が複雑になる短所があるが、第2分岐流路65aの数を第2ヘリウム排出口64の数と同一に形成することによって、第2循環流路65bを除去して第2内部流路66を形成することができる。」 「【図4】 [図:0001433077000007.jpg] 【図5】 [図:0001433077000008.jpg] 」 エ 甲1-4について 甲1-4には、以下の記載がある。 「【0003】 図1は、従来の基板温調固定装置100を簡略化して例示する断面図である。図1を参照するに、基板温調固定装置100は、静電チャック101と、接着層105と、ベースプレート106とを有する。107は、静電チャック101に吸着保持される基板である。静電チャック101は、基体102と、静電電極103とを有する。基体102は、ベースプレート106上に接着層105を介して固定されている。基体102は、セラミックスにより構成されている。 ・・・(中略)・・・ 【0005】 静電電極103は、薄膜静電電極であり、基体102に内蔵されている。静電電極103は、基板温調固定装置100の外部に設けられた直流電源(図示せず)に接続され、所定の電圧が印加されると、基板107を外周シールリング102b及び複数の突起部102cの上面に吸着保持する。吸着保持力は、静電電極103に印加される電圧が高いほど強くなる。 【0006】 ベースプレート106は、静電チャック101を支持するためのものである。ベースプレート106は、水路104、発熱体(図示せず)、環状のガス路108及び環状のガス路108に不活性ガスを導入するガス導入部108aを内蔵しており、基体102を介して基板107の温度制御を行う。水路104は、ベースプレート106の下部に形成された冷却水導入部104aと、冷却水排出部104bとを有する。冷却水導入部104a及び冷却水排出部104bは、基板温調固定装置100の外部に設けられた冷却水制御装置(図示せず)に接続されている。 ・・・(中略)・・・ 【0008】 ガス導入部108aの一端は環状のガス路108に接続され、他端はベースプレート106の下面106bの開口部108a1で終端する。又、基体102,接着層105,ベースプレート106には、基体102及び接着層105を貫通し、環状のガス路108に導入された不活性ガスを排出するガス排出部108bが形成されている。ガス排出部108bの一端はベースプレート106に内蔵された環状のガス路108に接続され、他端は基体102の上面102aの開口部108b1で終端する。 ・・・(中略)・・・ 【0011】 ベースプレート106に内蔵されている環状のガス路108について、図2を参照しながら更に詳しく説明する。図2は、環状のガス路108の概略の経路を例示する平面模式図である。同図中、図1と同一部品については、同一符号を付し、その説明は省略する。なお、図1は従来の基板温調固定装置100を簡略化して例示しているため、図1と図2とは一致しない部分がある。図2において、環状のガス路108は、ベースプレート106に内蔵されており、大中小3種類の同心円状の平面視円環状部を複数箇所で連結した構造である。環状のガス路108は、ベースプレート106の下面106bと略平行に形成されている。」 「【図1】 [図:0001433077000009.jpg] 【図2】 [図:0001433077000010.jpg] 」 オ 甲1-5について 甲1-5には、以下の記載がある。 「【0013】 以下、本開示の第1および第2の実施形態について、図面を用いて説明する。 なお、図面では、互いに直交する3軸として、基体11の円周方向である〔C方向〕、基体11の中心点Oを通る径(直径)方向である〔D方向〕、試料保持面(基体上面11a)に垂直でかつ基体11の厚みを示す方向(図では鉛直方向)を〔V方向」として表示している。 ・・・(中略)・・・ 【0015】 また、以下の実施形態においては、本開示の試料保持具のガス流路(符号G)における第1部分を円環状流路部1と、第2部分を縦孔部2と、「ガス溜まり(バッファ)」を兼用する第3部分に相当する領域を縦孔接続部3と、第4部分を径方向流路部4と、表記している。さらに、本開示の第5,第6部分に相当するガス流路Gの分岐部は、第1実施形態においては第1の分岐部5(第5部分)として、第2実施形態においては第2の分岐部6(第6部分)として記載している。 ・・・(中略)・・・ 【0017】 試料保持具10は、図1の上面図および図2の一部断面に示すように、鉛直方向上側(図中ではV方向マイナス側)に配置された、セラミックスからなる円板状の基体11と、その下側(V方向プラス側)に配設された、金属製の円板状支持体12とを、接着剤等の接合材(図示省略)により接合して構成されている。円板状支持体12は、ベースプレートとも呼ばれる。 ・・・(中略)・・・ 【0020】 試料保持具10の基体11は、全体形状が円板状で、一方の主面である基体上面11aが、試料保持面となっている。また、基体11は、他方の主面である基体下面11bから基体上面11aまで貫通するガス流路Gを有している。 【0021】 ガス流路Gは、図1の隠れ線(点線)および図2の破断(断面)部に示すように、基体上面11aに開口する複数のガス噴出口2aに繋がるそれぞれの縦孔部2(第2部分)の根元に位置する下端部2bと、先に述べた、基体下面11b側のガス流入部7の上端部とを接続して、支持体12側から供給されるガスを、これら各縦孔部2に均等に分配するよう構成されている。 ・・・(中略)・・・ 【0027】 具体的には、試料保持具10の縦孔接続部3は、図3(b)に示すように、円周方向〔C方向〕ではない径方向〔D方向〕に向かって延設された径方向拡張部3a,3aと、反鉛直上向き方向である鉛直下向き〔V方向プラス側〕に延設された下方凹部3bと、を備える。」 「【図1】 [図:0001433077000011.jpg] 【図2】 [図:0001433077000012.jpg] 」 カ 甲1-6について 甲1-6には、以下の記載がある。 「[0015] 静電チャック10は、プレート12と、冷却板20と、複数の貫通孔24と、各貫通孔24に挿入・固定された絶縁管30(図2、図3参照)とを備え、プレート12の上面がウエハWの載置面となっている。 ・・・(中略)・・・ [0017] 冷却板20は、プレート12の下面にシリコーン樹脂からなる接着層18を介して取り付けられている。接着層18をロウ材からなる接合層に代えてもよい。この冷却板20は、導電性材料(例えばアルミニウムやアルミ合金、金属とセラミックスとの複合材料)で作製された導電性部材であり、冷媒(例えば水)が通過可能な冷媒通路22を内蔵している。この冷媒通路22は、プレート12の全面にわたって冷媒が通過するように形成されている。なお、冷媒通路22には、冷媒の供給口と排出口(いずれも図示せず)が設けられている。」 キ 甲1-7について (ア)甲1-7には、以下の記載がある。 「【0015】静電チャックステージ」図1は、本発明の一実施形態の静電チャックステージを示す断面図であり、内部に静電吸着用の内部電極2が配設された静電チャック用セラミックス焼結体プレート1と、内部に温度調整機能である冷媒流路(図示略)が形成されたアルミニウム-セラミックス複合材プレート(Al複合材プレート)5と、絶縁材料6に囲繞されて、Al複合材プレート5を貫通して内部電極2に接する電圧印加用端子3とを有している。そして、セラミックス焼結体プレート1とAl複合材プレート5とは接合材層4を介して接合一体化され、セラミックス焼結体プレート1とAl複合材プレート5との接合率が95%以上、例えば100%となっている。」 (2)申立理由1-1について ア 甲1-1を主引用文献とする進歩性について (ア)本件発明2について a 対比 本件発明2と甲1-1発明とを対比すると、両者は、少なくとも次の点で相違する。 <相違点3> 本件発明2が「前記ガス分配経路は、ガス分岐部を介して前記ガス共通経路に接続され、前記ガス分岐部のうち前記最外周ガス分配経路に接続されたガス分岐部は、平面上に延び出ている」のに対し、甲1-1発明は「ガス排出部113は、一端がガス流路111に連通し、他端がベースプレート10の上面10aから外部に露出して接着層20を貫通する孔であり」、「基体31の各ガス排出部113に対応する位置には、基体31を貫通してガス排出部113の他端を露出するガス孔33が設けられ」、ガス排出部113及びガス孔33と、ガス流路111との間にガス分岐部を有さない点。 b 相違点についての判断 相違点3について検討する。 甲1-2~甲1-7のいずれにも、相違点3に係る本件発明2の構成は記載も示唆もされていない。 よって、甲1-2~甲1-7を参照しても、甲1-1発明を、相違点3に係る本件発明2の構成を備えたものとすることはできない。 c 申立人1の主張について 申立人1は、特許異議申立書の第49頁第6行~第13行において、甲1-2の段落0102には、ウエハの裏面に供給されるガスを分岐する分岐流路223が記載されている旨主張している。 しかし、甲1-2の段落0102には、「第2ガス流路222を分岐させて,その分岐流路223をウエハWのエッジ部の裏面に向けて設けるようにしてもよい。」と記載され、分岐流路223は、ウエハWのエッジ部に向けて設けられるものであり、最外周のガス排出部113及びガス孔33に向けて設けられるものではないから、本件発明2の「最外周ガス分配経路に接続されたガス分岐部は、平面上に延び出ている」構成に相当するものではない。 よって、甲1-1発明に甲1-2に記載された技術事項を適用しても、相違点3に係る本件発明2の構成とすることはできず、上記主張を採用することはできない。 d 小括 以上のとおりであるから、本件発明2は、甲1-2~甲1-7を参照しても、甲1-1発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)本件発明3~6について 請求項3~6の記載は請求項2の記載を引用するものであるところ、本件発明3~6は、本件発明2の構成を全て備えるものであるから、本件発明3~6と甲1-1発明とは、少なくとも相違点3と同様の点で相違する。 したがって、上記(ア)b~dにおける検討と同様の理由により、本件発明3~6は、甲1-2~甲1-7を参照しても、甲1-1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (ウ)本件発明7について a 本件発明7と甲1-1発明とを対比すると、両者は、少なくとも次の点で相違する。 <相違点4> 本件発明7は、「前記セラミックプレートの上面には」「前記ウエハ載置部を取り囲む環状のフォーカスリング載置部とが設けられ、前記最外周ガス分配経路は、前記ガス共通経路から前記フォーカスリング載置部に至る経路であり、前記ガス共通経路は、前記フォーカスリング載置部のフォーカスリング支持面よりも低い位置にある」のに対し、甲1-1発明は、フォーカスリング載置部を有さない点。 b 相違点についての判断 相違点4について検討する。 甲1-2の段落0029には「静電チャック120の」「その周囲の低い部分の上面はフォーカスリング124を載置するフォーカスリング載置面116を構成する」と記載され、フォーカスリング載置面116を有する載置台が記載されている。 しかし、甲1-1発明は、フォーカスリング載置部を有さない基板固定装置1であり、甲1-1発明のガス供給部11の構成は、甲1-2に記載された伝熱ガス供給機構200の構成と異なるから、甲1-2に記載されたフォーカスリング載置部の構成を、甲1-1発明に適用する動機はない。 また、甲1-3~甲1-7には、相違点4に係る本件発明7の構成に関する記載も示唆もない。 したがって、甲1-2~甲1-7の記載を参照しても、甲1-1発明を、相違点4に係る本件発明7の構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 (エ)小括 以上のとおりであるから、本件発明7は、甲1-2~甲1-7を参照しても、甲1-1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 甲1-2を主引用文献とする進歩性について (ア)本件発明2について a 対比 本件発明2と甲1-2発明とを対比すると、両者は、少なくとも次の点で相違する。 <相違点5> 本件発明2において「前記ガス共通経路は、同心円となるように複数設けられ」るのに対し、甲1-2発明においては「静電チャック120の内部に、フォーカスリング124の周方向に沿った環状の空間からなる第1環状拡散部229が設けられ,この第1環状拡散部229の上部に各ガス孔228の下端が連通され」るものの、環状拡散部が同心円となるように複数設けられるものではない点。 b 相違点についての判断 相違点5について検討する。 甲1-3の段落0026には「第1ヘリウム排出口54と連通する第1循環流路55bとを含む」と記載され、段落0032には「第2ヘリウム排出口64と連通する第2循環流路65bとを含む」と記載されており、甲1-4の段落0011には「環状のガス路108は、ベースプレート106に内蔵されており、大中小3種類の同心円状の平面視円環状部を複数箇所で連結した構造である。」と記載されており、甲1-3及び甲1-4には、環状のガス経路が記載されているといえる。 しかし、甲1-3及び甲1-4に記載された環状のガス経路は、フォーカスリング載置部に至る経路を含むものではないから、「フォーカスリング載置面116に設けられた多数のガス孔228」を有する甲1-2発明に、甲1-3及び甲1-4に記載された上記技術事項を適用する動機はない。 また、甲1-1、甲1-5~甲1-7のいずれにも、相違点5に係る本件発明2の構成は記載されていない。 したがって、甲1-1、甲1-3~甲1-7を参照しても、甲1-2発明を、相違点5に係る本件発明2の構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 c 小括 以上のとおりであるから、本件発明2は、甲1-1、甲1-3~甲1-7を参照しても、甲1-2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)本件発明3~6について 請求項3~6の記載は請求項2の記載を引用するものであるところ、本件発明3~6は、本件発明2の構成を全て備えるものであるから、本件発明3~6と甲1-2発明とは、少なくとも相違点5と同様の点で相違する。 したがって、上記(ア)における検討と同様に、本件発明3~6は、甲1-1、甲1-3~甲1-7の記載を参照しても、甲1-2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ウ)本件発明7について 本件発明7と甲1-2発明とを対比すると、少なくとも相違点5と同様の点で相違する。 そして、上記(ア)b、cと同様の理由により、甲1-1、甲1-3~甲1-7の記載を参照しても、甲1-2発明を、相違点5に係る本件発明2の構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、本件発明2は、甲1-1、甲1-3~甲1-7の記載を参照しても、甲1-2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立理由1-2(拡大先願)について 請求項3の記載は請求項2の記載を引用するものであるところ、本件発明3は、本件発明2の構成を全て備えるものであるから、本件発明3と先願甲1-8発明とは、少なくとも相違点1と同様の点で相違する。 したがって、上記第4の2(1)イ(イ)~(エ)における検討と同様に、本件発明3は、先願甲1-8発明と同一ではない。 (4)申立理由1-3(サポート要件)について ア 本件明細書等の段落0026には、「ガス分岐部53cとガス分配経路53eとの接続部分は」「ガス中継溝53dとなっている。ガス中継溝53dの」「幅」「は」「ガス共通経路53bの幅よりも大きく、例えばそれらの1.5~2.5倍である。」と記載されている。また、図1から、ガス中継溝53d及びガス分配経路53eは互いに接することが見て取れる。したがって、本件明細書等には、ガス分岐部とガス分配経路との接続部分であるガス中継溝について、ガス中継溝及びガス分配経路は互いに接すること(以下、「構成B」という。)が記載されている。 ここで、構成Bにおいて、「ガス中継溝及びガス分配経路は互いに接する」から、ガス分配経路と接するガス中継溝を、ガス分配経路の一部として、「ガス分岐部とガス分配経路との接続部分であるガス中継溝」を、ガス分配経路のうち少なくともガス分岐部と接続している部分とすることは、表現上の差違にすぎない。したがって、請求項3に記載された「前記ガス分配経路のうち少なくとも前記ガス分岐部と接続している部分」は、発明の詳細な説明に記載したものである。 よって、本件発明3は、発明の詳細な説明に記載したものである。 (5)申立理由1-4(明確性要件)について a 本件訂正により、請求項2において「ガス分配経路は、ガス分岐部を介して前記ガス共通経路に接続され」ることが特定され、「ガス分配経路」及び「ガス共通経路」はガス分岐部を介して接続されること、「ガス分岐部」は「ガス分配経路」及び「ガス共通経路」を接続するものであることが明確となった。 よって、本件発明2は明確である。 b 本件訂正により、請求項3において「ガス分配経路のうち少なくとも前記ガス分岐部と接続している部分」が特定され、「ガス分配経路」の接続先は「ガス分岐部」であることが明確となった。 また、本件明細書等の段落0026には「ガス中継溝53dの直径(幅)は、ガス分配経路53eの幅やガス共通経路53bの幅よりも大きく」と記載され、「幅」は、「ガス中継溝53d」、「ガス分配経路53e」及び「ガス共通経路53b」の直径であるといえる。したがって、発明の詳細な説明の記載を参酌すれば、請求項3に記載された「幅」が、「ガス分配経路」及び「ガス共通経路」の直径であることは明確である。 よって、本件発明3は明確である。 c 申立人1は、令和7年9月5日提出の意見書第1頁下から15行~11行において、本件発明2において、「平面」がどの部材のどの面を指すのか明確でない旨主張している。 上記主張について検討する。 請求項2には、「前記セラミックプレートの下面に接合され、冷媒流路を有する冷却プレート」及び「前記セラミックプレートの最外周に配置されている最外周ガス分配経路は、平面視で前記冷媒流路と重ならない」と記載され、セラミックプレートに配置される最外周ガス分配は、平面視で、セラミックプレートの下面に接合された冷却プレートが有する冷媒流路と重ならないことが特定されている。したがって、「平面視で」「重ならない」は、セラミックプレートに対して垂直な方向から見て重ならないことであるといえる。そうすると、請求項2に記載された「平面」は、セラミックプレートと平行な面であるといえる。 また、請求項2には「前記最外周ガス分配経路に接続されたガス分岐部」と記載され、「ガス分岐部」は、「最外周ガス分配経路に接続され」ているのであるから、最外周ガス分配経路を通る平面上にあるといえる。 したがって、請求項2に記載された「平面」は、最外周ガス分配経路を通る、セラミックプレートと平行な面であり、明確である。 よって、上記申立人1の主張を採用することはできない。 第6 まとめ 以上のとおりであるから、申立人らの主張する特許異議の申立ての理由及び申立人らが提出した証拠、並びに、取消理由通知書に記載した取消理由によっては、請求項2~7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に、請求項2~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項1は、本件訂正により削除され、当該請求項に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-700051

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決199件(大隅 庸平、小澤 一三、日本碍子株式会社)
  • 2024-701060異議申立 / 2025-08-06 / 訂正認容ウエハ載置台
    同じ当事者: 小澤 一三、日本碍子株式会社
  • 2025-700259異議申立 / 2025-06-04 / 維持ウエハ載置台
    同じ当事者: 小澤 一三、日本碍子株式会社
  • 2025-701162異議申立 / 2026-09-04
    同じ当事者: 日本碍子株式会社
  • 2025-701131異議申立 / 2026-05-22 / 維持半導体製造装置用部材
    同じ当事者: 日本碍子株式会社
  • 2026-700049異議申立 / 2026-04-08 / 維持セラミックサセプタ
    同じ当事者: 日本碍子株式会社
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,674件(113・H01L、121・H01L、161・H01L ほか)
  • 2022-700072異議申立 / 2024-01-05 / 請求成立(取消)静電チャック
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、161・H01L、537・H01L
  • 2022-700073異議申立 / 2024-01-05 / 請求成立(取消)静電チャック
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、161・H01L、537・H01L
  • 2022-700274異議申立 / 2023-08-09 / 訂正認容樹脂組成物、半導体用配線層積層体及び半導体装置
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、161・H01L、537・H01L
  • 2022-700909異議申立 / 2023-08-04 / 訂正認容光照射ユニット及び光照射装置
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、161・H01L、537・H01L
  • 2022-700574異議申立 / 2023-03-29 / 訂正認容熱伝導性シート及び熱伝導性シートの製造方法
    共通の審決分類: 113・H01L、121・H01L、161・H01L、537・H01L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存