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特許異議申立

2022-701213

静電チャック

審判番号
2022-701213
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-568208
登録番号
7083923
請求日
2022年12月06日
審決日
2023年08月02日
公報発行日
2023年11月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】京セラ株式会社
  • 【権利者代理人】西教 圭一郎
  • 【異議申立人】関 豊美子
審判長/審判官
  • 審判長 恩田 春香
  • 審判官 河本 充雄
  • 審判官 中野 浩昌
分類
P1651.113-YAA(H01L) / P1651.121-YAA(H01L) / P1651.161-YAA(H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条の2、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7083923号発明「静電チャック」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7083923号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 特許第7083923号の請求項1、2、4、5に係る特許を維持する。 特許第7083923号の請求項3、6に係る特許についての特許異議の申立を却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7083923号の請求項1~6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2020年(令和2年)1月23日(優先権主張 平成31年1月24日(以下、「本件特許出願の優先日」という。))を国際出願日とする出願であって、令和4年6月3日にその特許権の設定登録がされ、同年同月13日に特許掲載公報が発行された。 その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年12月 6日:特許異議申立人 関 豊美子(以下、「申立人」という。)による請求項1~6に係る特許に対する特許異議の申立て 令和5年 3月 1日付け:取消理由通知 同年 5月 1日:特許権者による意見書、訂正請求書の提出 同年 6月12日:申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年5月1日に提出された訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示すため当審が付与した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記試料保持面に平行な方向にずれて位置していることを特徴とする静電チャック。」と記載されているのを、「前記試料保持面に平行な方向にずれて位置しており、前記基体は、前記他方の主面に凹部を有し、前記多孔質部材は、前記凹部に固定されており、前記凹部は壁面を有し、該壁面に耐プラズマ性部材が位置していることを特徴とする静電チャック。」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「請求項3に記載の」と記載されているのを、「請求項1または2に記載の」と訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「請求項3または4に記載の」と記載されているのを、「請求項1、2、4のいずれか1項に記載の」と訂正する。 なお、本件訂正は、一群の請求項〔1~6〕に対して請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1の「基体」について、「前記基体は、前記他方の主面に凹部を有し、前記多孔質部材は、前記凹部に固定されており」との事項(訂正前の請求項3に特定された事項)を限定し、さらに、前記「凹部」について、「前記凹部は壁面を有し、該壁面に耐プラズマ性部材が位置している」との事項(訂正前の請求項6に特定された事項)を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2、3について 訂正事項2、3による訂正は、請求項3、6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項4 訂正事項4による訂正は、訂正事項1による訂正により訂正前の請求項1に、訂正前の請求項3、6に特定された事項を限定するとともに、訂正事項2による訂正により、請求項3を削除したことに伴い、請求項4の引用請求項を請求項3から、請求項1または2にする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮又は同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項5 訂正事項4による訂正は、訂正事項1による訂正により訂正前の請求項1に、訂正前の請求項3、6に特定された事項を限定するとともに、訂正事項2による訂正により、請求項3を削除したことに伴い、請求項5の引用請求項を請求項3または4から、請求項1、2、4のいずれか1項にする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮又は同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は同第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2で検討したとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 一方の主面が試料保持面である板状の基体と、 該基体の内部に位置する静電吸着用の電極と、 前記基体の他方の主面に位置する接合材と、 該接合材により前記基体の他方の主面に接合された支持体と、 前記試料保持面から前記他方の主面まで前記基体を貫通する第1貫通孔と、 該第1貫通孔に連続し、前記他方の主面側から前記支持体を貫通する第2貫通孔と、 該第2貫通孔の内部に位置し、前記他方の主面に固定された多孔質部材と、を備えており、 前記第2貫通孔のうち前記基体に臨む開口の開口径は、前記第1貫通孔の径よりも大きく、 前記第2貫通孔の前記開口と前記電極とは、前記試料保持面に平行な方向にずれて位置しており、 前記基体は、前記他方の主面に凹部を有し、前記多孔質部材は、前記凹部に固定されており、 前記凹部は壁面を有し、該壁面に耐プラズマ性部材が位置していることを特徴とする静電チャック。 【請求項2】 前記第2貫通孔の内部に位置し、前記多孔質部材を囲む筒状部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック。 【請求項3】(削除) 【請求項4】 前記多孔質部材は、前記基体よりも熱伝導率が高い接着材によって、前記凹部に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック。 【請求項5】 前記凹部と前記電極とは、前記試料保持面に平行な方向にずれて位置していることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の静電チャック。 【請求項6】(削除)」 第4 取消理由通知に記載した取消理由 訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和5年3月1日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。なお、申立人が提出した甲第1号証~甲第7号証を、以下、「甲1」~「甲7」という。 1 取消理由1(進歩性) 本件請求項1~5に係る発明は、甲2に記載された発明、甲4、甲6に記載された事項、周知技術(甲4、甲5)及び慣用技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 取消理由2(拡大先願) 本件請求項1、3、5に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行がされた甲3の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、本件請求項1、3、5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。 甲2:韓国公開特許第10-2010-0044662号公報 甲3:特許第6489277号公報 甲4:国際公開第2017/213714号 甲5:国際公開第2018/156556号 甲6:特開2005-33181号公報 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由 取消理由通知において採用しなかった、申立人が主張する特許異議申立理由は、以下のとおりである。 1 甲1を主引用例とした申立理由 (1)申立理由1-1(新規性) 本件請求項1~3、5に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1~3、5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由1-2(進歩性) 本件請求項1~6に係る発明は、甲1に記載された発明、甲4及び甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 甲1:特開2009-158917号公報 2 甲2を主引用例とした申立理由 (1)申立理由2-1(新規性) 本件請求項1~3、5に係る発明は、甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1~3、5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由2-2(進歩性) 本件請求項6に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 なお、本件訂正により請求項3、6は削除されたから、以下では、本件発明3、6については判断しない。 第6 甲2を主引用例とした申立理由2-1(新規性)、取消理由1(進歩性)について 1 甲号証の記載及び甲号証に記載された発明 (1)甲2(韓国公開特許第10-2010-0044662号公報) ア 甲2には、以下の記載がある。なお、甲2の記載は、当審の訳文で示す(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。 「[0003] 従来サセプタは、基板を支持する静電チャックと、静電チャックの下部に設けられる導電性ボディと、導電性ボディをプラズマ処理チャンバと相互絶縁する絶縁層の3層で備えられている。そしてサセプタアセンブリは3層を貫通してHeガス供給のための複数のポートが貫通形成される。 ・・・ [0006] このように流入した高周波とプラズマはサセプタを貫通して形成されたポートとその周辺でアーキング(異常放電)を起こす余地があった。 [0007] 特に、被処理基板のサイズが大面積化され、プラズマ処理密度の向上のためにプラズマ処理チャンバに印加される高周波値が高くなるにつれて、複数の層間界面とポート周辺でアークが発生する確率はさらに高くなる。 [0008] アーキングが発生するとプラズマに影響を与え、プラズマ処理工程に影響を及ぼし、アーキングが発生したポートを損傷させ、静電チャックに被処理基板が安定的に吸着できないなどの多くの問題を発生させる。 [0009] また、アーキングが発生するとサセプタを構成する絶縁層に損傷が発生し、絶縁層全体を交換しなければならなかった。 [0010] 本発明の目的は、サセプタをなす複数の層の界面等に高周波が流入し、Heガス供給部領域でアーキングが発生する余地を最小化できるサセプタアセンブリを提供することである。」 「[0023] 図1は、本発明によるサセプタアセンブリ(10)の構成を概略的に示す概略図である。 [0024] 図示のように、本発明によるサセプタアセンブリ(10)は、静電チャック(110)、ボディ(130)、絶縁層(150)の3層から構成されるサセプタ(100)と、サセプタ(100)上に設けられ、被処理基板の支持のためにサセプタ上を昇降するリフトピン(図示せず)を収容するリフトピン部(200)と、直流電極(図示せず)を収容する直流電極部(300)と、基板を冷却するHeガスを静電チャック(110)に供給するHeガス供給部(400)とを含む。 [0025] サセプタ(100)は、プラズマ処理プロセス中に基板を安定して支持する。静電チャック(110)はサセプタ(100)の上部に設けられ、基板を吸着して固定するための静電気力を発生させる。静電チャック(110)はセラミックプレートとして設けることができ、静電チャック(110)の上部領域は誘電体として機能する。静電チャック(110)には、ガスシャワーヘッドで構成される上部電極(図示せず)と対をなしてプラズマを生成する下部電極(111)が設けられている。上部電極と下部電極は高周波源(図示せず)に電気的に接続され、プラズマ発生のための起電力をプラズマ処理室内に供給してプラズマを発生させる。プラズマが発生すると、基板はプラズマによって自己バイアスされ、静電チャック(110)は直流電極(320)によってバイアスされる。したがって、静電チャック(110)と被処理基板との間の電位差によって反対に極性化された電荷が被処理基板の裏面に蓄積され、蓄積された電荷は被処理基板が静電チャックに密着するようにする吸着力を提供する。 [0026] 静電チャック(110)には、処理後基板を冷却するためのHeガス流路(113)は、後述するHeガス供給部(400)から供給されたHeガスが流動して基板を冷却させることができるように静電チャック(110)全領域にわたって均等に設けられる。Heガス流路(113)は、静電チャック(110)の中心領域と周辺領域とに分けて配置することができる。また、静電チャック(110)には基板を加熱するためのヒータを設けることができる。 [0027] ボディ(130)は静電チャック(110)の下部に設けられ、静電チャック(110)を支持する。ボディ(130)は導電性材料で設けられ、通常アルミニウム材料で設けられてもよい。ボディ(130)には、基板を冷却するための冷却水が流れる冷却流路(図示せず)が形成される。 [0028] ここで、ボディ(130)と静電チャック(110)とはボンディングによって相互結合することができる。 ・・・ [0032] 本発明に係るHeガス供給部(400)は、Heガスが流動するHeガス供給ポート(410)と、Heガス供給ポート(410)の排出口側に設けられ、Heガス流路(113)にHeガスを供給するHeガス供給バッフル(420)と、Heガス供給ポート(410)の境界領域に設けられ、ボディ(130)とHeガス供給ポート(410)とを相互絶縁する絶縁体(430)とを含む。Heガス供給ポート(410)はサセプタ(100)を貫通して形成され、静電チャック(110)のHeガス供給ポート(410)と接続される。ここで、Heガス供給部(400)は、Heガスを供給するHeガス供給ポートとHeガスを排出するHeガス排出ポートとを備えている。 [0033] Heガス供給バッフル(420)は、Heガス供給ポート(410)の排出口側に設けられ、Heガス流路(113)にHeガスを供給する。Heガス供給バッフル(420)は、Heガスが流れる複数のガス供給孔(423)が形成された多孔質構造で設けられる。Heガス供給バッフル(420)は、ガス供給孔(423)の個数や直径等を介してHeガスをプラズマ処理室(図示せず)に供給する圧力を調整することができる。また、ガス供給孔(423)の直径を調整してプラズマ処理室(図示せず)内に発生したプラズマがHeガス供給ポート(410)に逆行することを防止し、プラズマが流入してもHeガス供給ポート(410)内にアーキングが発生できない量が流入するように調整する。 [0034] ここで、Heガス供給バッフル(420)は、ガス供給孔(423)が互いに平行に配置された直線状に設けられてもよく、相互ジグザグ状に設けられてもよい。また、Heガス供給バッフル(420)は、1つを用いてもよいし、複数個を互いに積層して設けてもよい。複数の相互に積層された場合、複数のHeガス供給バッフル(420)のガス供給孔(423)が直線上に設けられてもよいし、互いにずれて設けられてもよい。 [0035] また、複数のHeガス供給バッフル(420)の間に離間空間が存在してもよい。 [0036] 絶縁体(430)は、図2に示すように導電性材料からなるボディ(130)と、導電性を有するHeガスとを相互絶縁させる。絶縁体(430)は、図示のように下部境界面(a)から絶縁層(150)に所定長さ(l)延長形成される。したがって、下部境界面aに流入した高周波がHeガス供給ポート(410)に移動する経路が延びるので、高周波がHeガス供給ポート(410)に流入する量を最小化することができる。したがって、Heガス供給ポート(410)の周辺でのアーキング発生を最小限に抑えることができる。 ・・・ [0050] また、Heガス排出口側に多孔性ガス供給バッフルを備え、プラズマ処理チャンバ内部のプラズマがHeガス供給ポートに逆行することを防止することができる。」 「図1 [図:0001403666000001.jpg] 図2 [図:0001403666000002.jpg] 」 イ 甲2に記載された発明 (ア)上記アの[0024]には、サセプタ(100)は、静電チャック(110)、ボディ(130)、絶縁層(150)の3層から構成されることが記載されている。 (イ)同[0025]には、静電チャック(110)はセラミックプレートとして設けることができること、及び、静電チャック(110)は、直流電極(320)によってバイアスされることにより、静電チャック(110)と被処理基板との間の電位差によって反対に極性化された電荷が被処理基板の裏面に蓄積され、蓄積された電荷は被処理基板が静電チャックに密着するようにする吸着力を提供することが記載されている。 (ウ)同[0026]には、静電チャック(110)には、処理後基板を冷却するためのHeガス流路(113)は、Heガス供給部(400)から供給されたHeガスが流動して基板を冷却させることができるように静電チャック(110)全領域にわたって均等に設けられることが記載されている。 (エ)同[0028]には、ボディ(130)と静電チャック(110)とはボンディングによって相互結合することができることが記載されている。 (オ)同[0032]には、Heガス供給部(400)は、Heガスが流動するHeガス供給ポート(410)と、Heガス供給ポート(410)の排出口側に設けられ、Heガス流路(113)にHeガスを供給するHeガス供給バッフル(420)と、Heガス供給ポート(410)の境界領域に設けられ、ボディ(130)とHeガス供給ポート(410)とを相互絶縁する絶縁体(430)とを含み、Heガス供給ポート(410)はサセプタ(100)を貫通して形成され、静電チャック(110)のHeガス供給ポート(410)と接続されることが記載されている。 ここで、上記アの図1及び図2から、Heガス供給ポート(410)は、サセプタ(100)のうち、ボディ(130)及び絶縁層(150)を貫通していること、及び、Heガス供給ポート(410)は、静電チャック(110)のHeガス供給路(113)に接続されることが見て取れるから、上記「Heガス供給ポート(410)はサセプタ(100)を貫通して形成され」は、「Heガス供給ポート(410)はボディ(130)及び絶縁層(150)を貫通して形成され」の誤記であり、上記「静電チャック(110)のHeガス供給ポート(410)と接続される」は、「静電チャック(110)のHeガス供給路(113)と接続される」といえる。 (カ)同[0033]には、Heガス供給バッフル(420)は、Heガスが流れる複数のガス供給孔(423)が形成された多孔質構造で設けられることが記載されている。 (キ)上記アの図2から、直流電極(320)は、静電チャック(110)の内部に設けられること、Heガス供給ポート(410)のうち静電チャック(110)に臨む開口の幅は、Heガス流路(113)の幅よりも大きいこと、Heガス供給ポート(410)の開口と直流電極(320)とは、静電チャック(110)の一方の主面に平行な方向にずれて位置していること、静電チャック(110)の他方の主面は凹部を有すること、当該凹部にHeガス供給バッフル(420)がはめ込まれていること、及び、静電チャック(110)の凹部と直流電極(320)とは、静電チャック(110)の一方の主面に平行な方向にずれて位置していることが見て取れる。 (ク)上記(ア)~(キ)によれば、甲2には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「静電チャック(110)、ボディ(130)、絶縁層(150)の3層から構成されるサセプタ(100)であって、 静電チャック(110)はセラミックプレートとして設けることができ、 静電チャック(110)は、直流電極(320)によってバイアスされることにより、静電チャック(110)と被処理基板との間の電位差によって反対に極性化された電荷が被処理基板の裏面に蓄積され、蓄積された電荷は被処理基板が静電チャックに密着するようにする吸着力を提供し、 静電チャック(110)には、処理後基板を冷却するためのHeガス流路(113)は、Heガス供給部(400)から供給されたHeガスが流動して基板を冷却させることができるように静電チャック(110)全領域にわたって均等に設けられ、 ボディ(130)と静電チャック(110)とはボンディングによって相互結合することができ、 Heガス供給部(400)は、Heガスが流動するHeガス供給ポート(410)と、Heガス供給ポート(410)の排出口側に設けられ、Heガス流路(113)にHeガスを供給するHeガス供給バッフル(420)と、Heガス供給ポート(410)の境界領域に設けられ、ボディ(130)とHeガス供給ポート(410)とを相互絶縁する絶縁体(430)とを含み、 Heガス供給ポート(410)はボディ(130)及び絶縁層(150)を貫通して形成され、静電チャック(110)のHeガス供給路(113)と接続され、 Heガス供給バッフル(420)は、Heガスが流れる複数のガス供給孔(423)が形成された多孔質構造で設けられ、 直流電極(320)は、静電チャック(110)の内部に設けられ、 Heガス供給ポート(410)のうち静電チャック(110)に臨む開口の幅は、Heガス流路(113)の幅よりも大きく、 Heガス供給ポート(410)の開口と直流電極(320)とは、静電チャック(110)の一方の主面に平行な方向にずれて位置しており、 静電チャック(110)の他方の主面は第1の凹部を有し、第1の凹部にHeガス供給バッフル(420)がはめ込まれ、 静電チャック(110)の第1の凹部と直流電極(320)とは、静電チャック(110)の一方の主面に平行な方向にずれて位置しており、 絶縁体(430)の上面は第2の凹部を有し、第2の凹部にHeガス供給バッフル(420)がはめ込まれている、サセプタ(100)。」 (2)甲4(国際公開第2017/213714号) 甲4には、以下の記載がある。なお、甲4の記載は、当審の訳文で示す。 「発明の属する技術分野 [0002] 本明細書は、半導体およびマイクロメカニカルプロセス用のワークを搬送する静電チャックに関し、特にチャックに設けられた内部多孔質貫通孔に関するものである。」 「背景 ・・・ [0006] HAR(高アスペクト比)プラズマエッチングは、曲げのないプロファイルを達成するために著しく高いバイアス電力を使用する。誘電体エッチングのためのHARをサポートするために、電力は、20KWに増加させることができる。これは、ESC(静電チャック)に大きな影響を与える。・・・」 「詳細な説明 ・・・ [0021] 図3は、図2のトッププレート208及びパック206を示すESCの部分断面側面図である。トッププレートは、シリコンウェハ等のワークピース202を搭載するように構成されている。ワークピースは、この例では、トッププレートに設けられた電極210によって発生する静電気力によって保持される。トッププレートは、例えば窒化アルミニウムなどのセラミックのような誘電体材料で形成され、例えば接着剤を用いてベースプレート220に取り付けられる。ベース又は冷却プレートは、トッププレートを支持するために、アルミニウムなどの任意の適切な材料で形成されてもよい。ベースプレートは、パック及びパックに取り付けられて運ばれるウェーハ202を支持するための冷却チャネル230、配線層、パイプ、チューブ、及び他の構造(図示せず)を含んでもよい。 ・・・ [0023] ガス孔213は、トッププレート208、ベースプレート220、断熱板222、グラウンドプレート224及び支持板226を貫通して延び、ガスを加圧供給するガスライン232に接続される。ガスは、タンク及びポンプなどの調整された冷却ガス源236又は他の種類の源によってガスラインに供給される。上述したように、冷却ガスは、ヘリウム、窒素、または高い熱伝導率を有する他の任意の適切な不活性ガスであってよい。ガス穴は、中央であれ周辺であれ、いずれも同じまたは類似の外観を有してよく、図示された穴はいずれかのタイプを表している。 [0024] 図4は、ベースプレート222または冷却プレートとトッププレート208のガス孔213を示す拡大部分断面側面図である。誘電体パック208は、接着剤252を用いて導電性冷却プレート220に接着されている。ベースプレートは、接着剤との間の上面に誘電体コーティングを有する。これにより、ベースプレートとトッププレートとの間のあらゆるアーク放電を低減することができる。パックは、プラズマ処理および他のプロセスの間、ウェーハのようなワークピース(図示せず)を支持する。いくつかの実施形態において、冷却プレートは、パックと冷却プレートとの間の電位を低下させるために直流電圧が印加されている。冷却プレートの中央部には、冷却プレートの下方から冷却ガスが冷却プレート内のガスチャネル240に供給される孔233を通って延びるガスライン232用の継手が設けられている。ガスチャネルは、チャネルを覆って取り付けられる固体カバー260によって覆われている。カバーは、所定の位置に電子ビーム溶接される冷却プレートと同様にアルミニウムであってもよい。チャネルは、冷却チャネル内の第1の多孔質プラグ242にガスを供給するカバー260を貫通する孔258に開口している。冷却チャネル内の多孔質プラグは、ガスをパック内の第2の多孔質プラグ246に導きます。バック内の多孔質プラグは、加圧されたガスを、パックの上部を貫通してウェーハ裏面に向かって中央孔250に結合させる。より多くの冷却ガス孔がある場合、チャネルは、対応する多孔質プラグにガスを通すために、カバーの対応する孔を有するそれらの孔に延びることができる。 ・・・ [0029] トッププレートの多孔質プラグは、ガスをガス孔213に導くためのテーパー形状を有している。トッププレートプラグ246の基部248は、冷却プレートのプラグ242の上部と比較して幅が狭いか、ほぼ同じ大きさである。トッププレートプラグの上部244は基部より狭く、ガスをガス孔213につながるトッププレートの上部を通る上部中央孔250に案内する。ガス孔は、ワークピースとトッププレートとの間の熱伝導を促進するために、ワークピースの背面側に近接して配置される。プラグ246は、段差の後により狭い直径を有する段差形状を有するものとして示されているが、プラグは、複数の段差、狭まる円錐形の直径、または組み合わせもしくは異なるテーパー効果を有することができる。 [0030] 図示のように、冷却プレート開口部減少プラグ242は、より大きなチャネル240の中に配置される。これらは共に円筒形として示されているが、所望のガス流及びガス流の方向と伝播に応じて、任意の所望の形状をとることができる。プラグは、チャネルの直径の約半分であり、トッププレートに最も近いチャネルの上面に対して配置される。プラグは、適切な接着剤でチャネルの壁に取り付けてもよい。プラグ242の上のチャネル240には、ガスが冷却プレートプラグからトッププレートプラグ246に流れることを可能にするための開口部254がある。この開口部は、図示のようにトッププレートプラグと同じ大きさであってもよいし、より小さくてもよい。 ・・・ [0032] 図5は、冷却プレート内の代替的な流れ及び空間制限開口部減少プラグを有するベースプレート222及びトッププレート208のガス孔213の拡大部分断面側面図である。冷却プレートの図4の底部多孔質プラグ242は、アルミナ、AlNまたはプラスチックなどの任意の誘電体インサートで置き換えることができる。プラグは、その中に少なくとも1つのチューブを有し、または冷却ガスは細孔を通って流れる。プラグはガス耐圧を低下させるが、ガス流の伝導を改善し、ガス安定化時間およびガス捨て時間を短くすることができる。 [0033] しかし、図5の例では、多孔質プラグ242は、アルミナまたは他の誘電体固体開ロ部減少プラグ262に置き換えられている。様々なセラミックを含む他の任意の誘電体非晶質、ポリマー、又は他の非多孔質材料が使用されてもよい。プラグは、冷却ガスの流れを可能にするための中央管264を有する。また、より高い総流量を可能にするために、中央管の側方に追加の垂直管266を有することもできる。管の大きさは、温度やプラズマ電圧の条件、およびガスの流量の違いに応じて選択することができる。高い電圧では、ガス絶縁破壊電圧を効果的に低減するために、より小さなチューブが必要となる場合がある。」 「図3 [図:0001403666000003.jpg] 図4 [図:0001403666000004.jpg] 」 (3)甲5(国際公開第2018/156556号) 甲5には、以下の記載がある。なお、甲5の記載は当審の訳文で示す。 「分野 [0002] 本開示は、基板処理システムにおける基板支持体のセラミック層に関する。」 「背景説明 ・・・ [0004] 基板処理システムは、半導体ウェハのような基板を処理するために使用され得る。基板上で実行され得る例示的なプロセスには、化学気相成長(CVD)、原子層堆積(ALD)、導体エッチング、誘電体エッチング、及び/又は他のエッチング、堆積、又は洗浄プロセスが含まれるが、これらに限定されるものではない。基板は、基板処理システムの処理室内の台座、静電チャック(ESC)等の基板支持体上に配置されてもよい。エッチング中、1つ以上の前駆体を含むガス混合物が処理チャンバに導入されてもよく、プラズマが化学反応を開始させるために使用されてもよい。」 「[0016] 図1は、ベースプレート14及びセラミック層18を含む例示的な基板支持体10の一部を示している。ボンド層22は、ベースプレート14とセラミック層18との間に形成されてもよい。セラミック層18とベースプレート14との間のボンド層22の周囲には、保護シール26が設けられていてもよい。セラミック層18上には、基板30が配置されている。 [0017] 1つ以上のチャネル34は、ヘリウムなどの熱伝達ガスをベースプレート14及びセラミック層18を通して基板30の裏側38に供給する。チャネル34は、ベースプレート14とセラミック層18との間に画定されたチャンバ42を含んでもよい。例えば、チャネル34の直径を最小にすることが望ましい場合があるが、製造公差及び制限により、チャネル34がチャンバ42を含むことになる場合がある。従って、チャンバ42内の空容積をさらに減少させるために、チャンバ42内にプラグ46が設けられてもよい。例えば、プラグ46は、多孔質セラミックから構成されてもよい。プラグ46は、上部部分50と、下部部分54と、上部部分50と下部部分54との間の隙間58とを含んでもよい。プラグ46は、二重多孔質プラグと呼ばれることがある。セラミック層18の底面60は、設置後に研磨されてもよい。セラミック層18の底面60は、セラミック層18内にプラグの上部分50を設置するのに続いて研削され、隙間58の幅を増大させることができる。例えば、ギャップ58は、約300pm(例えば、290と310pmの間)の幅を有していてもよい。プラグ46を提供することは、チャンバ42内及びベースプレート14とセラミック層18との間のアーク放電を低減させることができる。それにもかかわらず、電界が依然としてギャップ58内に存在し、アーク放電がギャップ58内で発生する可能性がある。 ・・・ [0019] ここで図2を参照すると、例示的な基板処理システム100が示されている。 例としてのみ、基板処理システム100は、RFプラズマ及び/又は他の適切な基板処理を用いたエッチングを実行するために使用されてもよい。基板処理システム100は、基板処理システム100の他の構成要素を包囲し、RFプラズマを含む処理チャンバ102を含む。基板処理チャンバ102は、上部電極104と、静電チャック(ESC)のような基板支持体106とを含む。動作中、基板108は、基板支持体106上に配置される。特定の基板処理システム100及びチャンバ102が例として示されているが、本開示の原理は、in-situでプラズマを生成する基板処理システム、遠隔プラズマ生成及び送達(例えば、プラズマ管、マイクロ波管を使用)を実施する基板処理システム等、他のタイプの基板処理システム及びチャンバに適用されてもよい。 ・・・ [0028] ここで図3を参照すると、本開示の原理による例示的な基板支持体200は、ベースプレート204及びセラミック層208を含む。ボンド層212は、ベースプレート204とセラミック層208の間に形成されてもよい。保護シール216は、セラミック層208とベースプレート204との間のボンド層212の周囲に設けられていてもよい。セラミック層208上に基板220が配置される。 [0029] 1つ以上のチャネル224は、ヘリウムなどの熱伝達ガスをベースプレート204及びセラミック層208を通して基板220の裏側228に供給する。 チャネル224は、ベースプレート204とセラミック層208との間に画定されたチャンバ232を含んでもよい。プラグ236は、チャンバ232内の空間を占有するために(すなわち、チャンバ232内の空の容積を減少させるために)提供される。例えば、プラグ236は、多孔質セラミックのような誘電体材料から構成されてもよい。例えばのみ、プラグ236は、約5.3の実効誘電率εΓ(例えば、4.6と6.0との間のεΓ)を有する多孔質材料から構成されてもよい。プラグ236は、チャンバ232の形状に相補的な形状を有していてもよい。例えば、プラグ236は、円筒形であってもよい。 [0030] プラグ236は、上部部分240、下部部分244、及び上部部分240と下部部分244との間のギャップ248を含む二重多孔性プラグに相当してもよい。上部分240は、セラミック層208から下方に延びてベースプレート204の中に入り、セラミック層208とベースプレート204の間の隙間252を横断する。例えば、プラグ236の下側部分244は、上側部分240を受け入れるように構成されたポケット256を含む。下部部分244の側壁260は、上部部分240の底端264を取り囲む。側壁260は、ベースプレート204の上面268の上方で隙間252の中に延びていてもよい。」 「図1 [図:0001403666000005.jpg] 」 「図3 [図:0001403666000006.jpg] 図4 [図:0001403666000007.jpg] 」 (4)甲6(特開2005-33181号公報) 甲6には、以下の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば基板を静電チャックに吸着保持させて、前記基板に対して真空処理を行う装置に関する。」 「【背景技術】 ・・・ 【0003】 ところで前記載置台91は支持部93の上面に静電チャック層94と、この静電チャック層94の側方を囲むように設けられる導電性のリング体95とを設ける構成とされている。前記静電チャック層94は、例えばタングステンからなるシート状のチャック電極94aの表裏を誘電体例えばアルミナからなる絶縁層94bにて挟んだ構成とされており、図示しない直流電源からチャック電極94aに直流電圧(チャック電圧)を印加し、これにより生じるクーロン力によってウエハWを吸着保持できるようになっている。なお、図17中96は処理容器9内の雰囲気を外部に排出するための排気路である。 ・・・ 【0006】 このようなことから、静電チャック層として焼結板を用いることが検討されており、特許文献1には具体的な構造が記載されている。ここで焼結タイプの静電チャック層を用いた載置台では、例えば図18に示すように、例えばタングステンよりなる電極97aを絶縁層97bにより被覆した構成の焼結板97よりなる静電チャック層97を、例えばアルミニウム等により構成された支持部93にシリコン系の接着性樹脂よりなる接合層98にて接合するように構成されている。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0011】 本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、静電チャック層と支持部とを接着する接合層の熱伝導率を高めることにより、基板が所定温度に安定するまでの時間を短縮することができる技術を提供することにある。また本発明の他の目的は、プラズマにより生じた活性種による前記接合層の劣化を抑えることのできる技術を提供することにある。」 「【図17】 [図:0001403666000008.jpg] 【図18】 [図:0001403666000009.jpg] 」 2 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 ア 甲2発明の「静電チャック(110)」は、「セラミックプレートとして設けることができ」るものであるから、板状の基体であるといえる。 また、甲2発明の「静電チャック(110)」は、「直流電極(320)によってバイアスされることにより、静電チャック(110)と被処理基板との間の電位差によって反対に極性化された電荷が被処理基板の裏面に蓄積され、蓄積された電荷は被処理基板が静電チャックに密着するようにする吸着力を提供」するものであるから、「静電チャック(110)」の一方の主面は、被処理基板を保持する面であるといえる。 以上によれば、甲2発明の「被処理基板」は、本件発明1の「試料」に相当し、甲2発明の「静電チャック(110)」は、本件発明1の「一方の主面が試料保持面である板状の基体」に相当する。 イ 甲2発明の「直流電極(320)」は、「静電チャック(110)の内部に設けられ」、「静電チャック(110)」は、「直流電極(320)によってバイアスされることにより、静電チャック(110)と被処理基板との間の電位差によって反対に極性化された電荷が被処理基板の裏面に蓄積され、蓄積された電荷は被処理基板が静電チャックに密着するようにする吸着力を提供」するものであるから、「直流電極(320)」は、「静電チャック(110)」の内部に位置する吸着用の電極であるといえる。 そうすると、上記アの検討を参酌すれば、甲2発明の「直流電極(320)」は、本件発明1の「該基体の内部に位置する静電吸着用の電極」に相当する。 ウ 甲2発明において、「ボディ(130)と静電チャック(110)とはボンディングによって相互結合することができ」るものであるから、「静電チャック(110)」の他方の主面には、「ボディ(130)」がボンディング、すなわち、接合されているといえる。 そうすると、上記アの検討を参酌すれば、甲2発明の「ボディ(130)」が接合されている「静電チャック(110)」の他方の主面は、本件発明1の「基体の他方の主面」に相当し、甲2発明の「ボディ(130)」は、本件発明1の「前記基体の他方の主面に接合された支持体」に相当する。 エ 甲2発明において、「静電チャック(110)」には、「処理後基板を冷却するためのHeガス流路(113)は、Heガス供給部(400)から供給されたHeガスが流動して基板を冷却させることができるように静電チャック(110)全領域にわたって均等に設けられ」ており、ここで、甲2の図2を参酌すると、「Heガス供給部(400)」は、「静電チャック(110)」の他方の主面側にあるから、「Heガス流路(113)」は、一方の主面から、他方の主面まで、静電チャック(110)を貫通しているといえる。 そうすると、上記アの検討を参酌すれば、甲2発明の「Heガス流路(113)」は、本件発明1の「前記試料保持面から前記他方の主面まで前記基体を貫通する第1貫通孔」に相当する。 オ 甲2発明の「Heガス供給ポート(410)」は、「ボディ(130)及び絶縁層(150)を貫通して形成され、静電チャック(110)のHeガス供給路(113)と接続され」るものであるから、「Heガス供給ポート(410)」は、貫通孔であり、「Heガス供給路(113)」に連続しているといえる。 また、甲2発明の「Heガス供給ポート(410)」は、「Heガス供給部(400)」に含まれるものであり、上記エで検討したとおり、「Heガス供給部(400)」は、「静電チャック(110)」の他方の主面側にあるから、「Heガス供給ポート(410)」も「静電チャック(110)」の他方の主面側にあるといえる。 以上から、甲2発明の「Heガス供給ポート(410)」は、「Heガス供給ポート(410)」に連続し、「静電チャック(110)」の他方の主面側から「ボディ(130)」を貫通しているといえる。 そうすると、上記ア及びエの検討を参酌すれば、甲2発明の「Heガス供給ポート(410)」は、本件発明1の「該第1貫通孔に連続し、前記他方の主面側から前記支持体を貫通する第2貫通孔」に相当する。 カ 甲2発明の「Heガス供給バッフル(420)」は、「Heガス供給ポート(410)の排出口側に設けられ、Heガス流路(113)にHeガスを供給する」ものであるから、「Heガス供給ポート(410)」の内部に位置しているといえる。 また、甲2発明の「Heガス供給バッフル(420)」は、「ボディ(130)及び絶縁層(150)を貫通して形成され、静電チャック(110)のHeガス供給路(113)と接続され」るものであり、「ボディ(130)と、・・・相互結合することができる」ものであるから、上記ウの検討を参酌すれば、「Heガス供給バッフル(420)」が設けられている「Heガス供給ポート(410)の排出口側」は、「静電チャック(110)」の他方の主面側であるといえ、また、「Heガス供給バッフル(420)」は、「静電チャック(110)」の他方の主面側に固定されているといえる。 さらに、甲2発明の「Heガス供給バッフル(420)」は、「Heガスが流れる複数のガス供給孔(423)が形成された多孔質構造で設けられ」るものであるから、多孔質部材であるといえる。 以上によれば、甲2発明の「Heガス供給バッフル(420)」は、「Heガス供給ポート(410)」の内部に位置し、「静電チャック(110)」の他方の主面側に固定された多孔質部材である。 そうすると、上記ウ及びオの検討を参酌すれば、甲2発明の「Heガス供給バッフル(420)」は、「Heガス供給ポート(410)」の内部に位置し、「静電チャック(110)」の他方の主面に固定された多孔質部材であるといえるから、本件発明1の「該第2貫通孔の内部に位置し、前記他方の主面に固定された多孔質部材」に相当する。 キ 甲2発明の「静電チャック(110)の一方の主面」は、上記アの検討を参酌すれば、被処理基板を保持する面であるといえるから、甲2発明の「Heガス供給ポート(410)の開口と直流電極(320)とは、静電チャック(110)の一方の主面に平行な方向にずれて位置している」ことは、本件発明1の「前記第2貫通孔の前記開口と前記電極とは、前記試料保持面に平行な方向にずれて位置している」ことに相当する。 ク 甲2発明において、「Heガス供給バッフル(420)」は、「多孔質構造」であるところ、「静電チャック(110)の他方の主面は凹部を有し、凹部にHeガス供給バッフル(420)がはめ込まれ」ているから、本件発明1と甲2発明とは、「前記基体は、前記他方の主面に凹部を有し、前記多孔質部材は、前記凹部に固定されている」点で一致する。 また、甲2発明の上記「凹部」が壁面を有していることは明らかであるから、本件発明1と甲2発明とは、「前記凹部は壁面を有し」ている点で一致する。 ケ 甲2発明の「静電チャック(110)、ボディ(130)、絶縁層(150)の3層から構成されるサセプタ(100)」は、全体として静電チャックとして機能するものであるから、本件発明1の「静電チャック」に相当する。 コ 以上によれば、本件発明1と甲2発明との一致点と相違点は以下のとおりとなる。 <一致点> 「一方の主面が試料保持面である板状の基体と、 該基体の内部に位置する静電吸着用の電極と、 前記基体の他方の主面に接合された支持体と、 前記試料保持面から前記他方の主面まで前記基体を貫通する第1貫通孔と、 該第1貫通孔に連続し、前記他方の主面側から前記支持体を貫通する第2貫通孔と、 該第2貫通孔の内部に位置し、前記他方の主面に固定された多孔質部材と、を備えており、 前記第2貫通孔の前記開口と前記電極とは、前記試料保持面に平行な方向にずれて位置しており、 前記基体は、前記他方の主面に凹部を有し、前記多孔質部材は、前記凹部に固定されており、 前記凹部は壁面を有している静電チャック。」 <相違点> 相違点1-1:本件発明1は、「接合材」が、「前記基体の他方の主面に位置」し、「該接合材により前記基体の他方の主面」に「支持体」が「接合され」ているのに対し、甲2発明は、「ボディ(130)と静電チャック(110)とはボンディングによって相互結合」しているものの、「接合材」により接合されているかどうか不明である点。 相違点1-2:本件発明1は、「前記第2貫通孔のうち前記基体に臨む開口の開口径は、前記第1貫通孔の径よりも大きく」なっているのに対し、甲2発明は、「Heガス供給ポート(410)のうち静電チャック(110)に臨む開口の幅は、Heガス流路(113)の幅よりも大きく」なっている点。 相違点1-3:本件発明1は、「凹部」が「有し」ている「壁面に耐プラズマ性部材が位置している」のに対し、甲2発明は、そのような構成を備えていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、相違点1-3から検討する。 ア 甲2には、相違点1-3に係る本件発明1の構成、すなわち、「凹部」が「有し」ている「壁面に耐プラズマ性部材が位置している」ことについて、何ら記載も示唆もされていない。 また、甲2発明が、相違点1-3に係る本件発明1の構成を備えていることは、本件特許出願の優先日において技術常識であるともいえない。 したがって、相違点1-3は実質的な相違点であるから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明であるとはいえない。 イ 甲4~甲6のいずれにも、相違点1-3に係る本件発明1の構成は、記載も示唆もされていない。また、当該構成が、本件特許出願の優先日において周知技術又は慣用技術であるともいえない。 したがって、甲1発明において、相違点1-3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たこととはいえない。 したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明、甲4、甲6に記載された事項、周知技術(甲4、甲5)及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本件発明2、4、5について 本件発明2、4、5は、本件発明1を減縮した発明であり、いずれも相違点1-3に係る本件発明1の構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲2発明ではないし、また、甲2発明、甲4、甲6に記載された事項、周知技術(甲4、甲5)及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 小括 以上のとおり、本件発明1、2、4、5は、甲2発明ではないし、また、甲2発明、甲4、甲6に記載された事項、周知技術(甲4、甲5)及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件請求項1、2、4、5に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものとはいえない。 したがって、申立理由2-1、取消理由1には理由がない。 第7 取消理由2(拡大先願)について 1 甲号証の記載及び甲号証の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明 (1)甲3:特願2018-203734号(特許第6489277号公報、優先権主張:平成30年3月14日、出願日:平成30年10月30日、特許公報発行日:平成31年3月27日) ア 甲3の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の記載がある。 「【背景技術】 ・・・ 【0005】 ここで、装置内で基板を処理する際、装置内のプラズマから金属製のベースプレートに向かう放電(アーク放電)が発生することがある。ベースプレートのガス導入路やセラミック誘電体基板の貫通孔は、放電の経路となりやすいことがある。・・・」 「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、多孔質部が設けられた静電チャックにおいて、アーク放電に対する耐性と流れるガスの流量とを確保しつつ、多孔質部の機械的な強度(剛性)を向上させることができる静電チャックを提供することを目的とする。」 「【発明を実施するための形態】 【0034】 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。 【0035】 図1は、本実施形態に係る静電チャックを例示する模式的断面図である。 図1に表したように、本実施形態に係る静電チャック110は、セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50と、第1多孔質部90と、を備える。 【0036】 セラミック誘電体基板11は、例えば焼結セラミックによる平板状の基材である。例えば、セラミック誘電体基板11は、酸化アルミニウム(Al2O3)を含む。例えば、セラミック誘電体基板11は、高純度の酸化アルミニウムで形成される。セラミック誘電体基板11における酸化アルミニウムの濃度は、例えば、99原子パーセント(atоmic%)以上100atоmic%以下である。高純度の酸化アルミニウムを用いることで、セラミック誘電体基板11の耐プラズマ性を向上させることができる。セラミック誘電体基板11は、吸着の対象物Wが載置される第1主面11aと、第1主面11aとは反対側の第2主面11bと、を有する。吸着の対象物Wは、例えばシリコンウェーハなどの半導体基板である。 【0037】 セラミック誘電体基板11には、電極12が設けられる。電極12は、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、第2主面11bと、の間に設けられる。電極12は、セラミック誘電体基板11の中に挿入されるように形成されている。静電チャック110は、電極12に吸着保持用電圧80を印加することによって、電極12の第1主面11a側に電荷を発生させ、静電力によって対象物Wを吸着保持する。 ・・・ 【0041】 ベースプレート50は、セラミック誘電体基板11を支持する部材である。セラミック誘電体基板11は、図2(a)に表した接着部60によってベースプレート50の上に固定される。接着部60は、例えば、シリコーン接着剤が硬化したものとすることができる。 ・・・ 【0045】 セラミック誘電体基板11は、溝14と接続された貫通孔15を有する。貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aにかけて設けられる。すなわち、貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aまでZ方向に延び、セラミック誘電体基板11を貫通する。 ・・・ 【0047】 ベースプレート50には、ガス導入路53が設けられる。ガス導入路53は、ベースプレート50を例えば貫通するように設けられる。ガス導入路53は、ベースプレート50を貫通せず、他のガス導入路53の途中から分岐してセラミック誘電体基板11側まで設けられていてもよい。また、ガス導入路53は、ベースプレート50の複数箇所に設けられてもよい。 【0048】 ガス導入路53は、貫通孔15と連通する。すなわち、ガス導入路53に流入したガス(ヘリウム(He)等)は、ガス導入路53を通過した後に、貫通孔15に流入する。 ・・・ 【0050】 第1多孔質部90は、例えば、Z方向においてベースプレート50と、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、の間であって、ガス導入路53と対向する位置に設けることができる。例えば、第1多孔質部90は、セラミック誘電体基板11の貫通孔15に設けられる。例えば、第1多孔質部90は、貫通孔15に挿入されている。 【0051】 図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る静電チャックを例示する模式図である。図2(a)は、第1多孔質部90の周辺を例示する。図2(a)は、図1に示す領域Aの拡大図に相当する。図2(b)は、第1多孔質部90を例示する平面図である。 また、図2(c)、(d)は、他の実施形態に係る孔部15cを例示するための模式断面図である。 なお、煩雑となるのを避けるために、図2(a)、(c)、(d)においてはドット13(例えば、図1を参照)を省いて描いている。 【0052】 この例では、貫通孔15は、孔部15aと、孔部15b(第1孔部の一例に相当する)と、を有する。孔部15aの一端は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bに位置する。 【0053】 また、セラミック誘電体基板11は、Z方向において第1主面11aと第1多孔質部90との間に位置する孔部15bを有することができる。孔部15bは、孔部15aと連通し、セラミック誘電体基板11の第1主面11aまで延びる。 すなわち、孔部15bの一端は、第1主面11a(溝14)に位置する。孔部15bは、第1多孔質部90と溝14とを連結する連結孔である。孔部15bの径(X方向に沿った長さ)は、孔部15aの径(X方向に沿った長さ)よりも小さい。径の小さい孔部15bを設けることにより、セラミック誘電体基板11と対象物Wとの間に形成される空間(例えば溝14を含む第1主面11a)のデザインの自由度を高めることができる。例えば、図2(a)のように、溝14の幅(X方向に沿った長さ)を第1多孔質部90の幅(X方向に沿った長さ)よりも短くすることができる。これにより、例えば、セラミック誘電体基板11と対象物Wとの間に形成される空間における放電を抑制することができる。 ・・・ 【0064】 より具体的には、第1多孔質部90とセラミック誘電体基板11とが一体化している状態においては、第1多孔質部90の側面(緻密領域93の側面93s)が、貫通孔15の内壁15wと接しており、第1多孔質部90は、第1多孔質部90が接する内壁15wにより支持され、セラミック誘電体基板11に対して固定されている。 ・・・ 【0069】 なお、実施形態において、第1多孔質部90は、セラミック誘電体基板11と必ずしも一体化していなくてもよい。例えば、図12に示すように、接着剤を用いて、第1多孔質部90をセラミック誘電体基板に取り付けてもよい。 ・・・ 【0141】 図2(a)を再び参照して、静電チャック110の構造について説明を続ける。静電チャック110は、第2多孔質部70をさらに有していてもよい。第2多孔質部70は、Z方向において第1多孔質部90とガス導入路53との間に設けることができる。例えば、第2多孔質部70は、ベースプレート50の、セラミック誘電体基板11側に嵌め込まれる。図2(a)に表したように、例えば、ベースプレート50のセラミック誘電体基板11側には、座ぐり部53aが設けられる。座ぐり部53aは、筒状に設けられる。座ぐり部53aの内径を適切に設計することで、第2多孔質部70は、座ぐり部53aに嵌合される。 【0142】 第2多孔質部70の上面70Uは、ベースプレート50の上面50Uに露出している。第2多孔質部70の上面70Uは、第1多孔質部90の下面90Lと対向している。この例では、第2多孔質部70の上面70Uと第1多孔質部90の下面90Lとの間は、空間SPとなっている。空間SPは、第2多孔質部70及び第1多孔質部90の少なくともいずれかによって埋められていてもよい。すなわち、第2多孔質部70と第1多孔質部90とは接していてもよい。」 「【図1】 [図:0001403666000010.jpg] 【図2】 [図:0001403666000011.jpg] 」 「【図12】 [図:0001403666000012.jpg] 」 イ 甲3の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明 (ア)上記アの【0035】には、静電チャック110は、セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50と、第1多孔質部90と、を備えることが記載されている。 (イ)同【0037】には、セラミック誘電体基板11には、電極12が設けられること、電極12は、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、第2主面11bと、の間に設けられ、セラミック誘電体基板11の中に挿入されるように形成されること、及び、静電チャック110は、電極12に吸着保持用電圧80を印加することによって、電極12の第1主面11a側に電荷を発生させ、静電力によって対象物Wを吸着保持することが記載されている。 (ウ)同【0041】には、ベースプレート50は、セラミック誘電体基板11を支持する部材であること、セラミック誘電体基板11は、接着部60によってベースプレート50の上に固定されること、及び、接着部60は、例えば、シリコーン接着剤が硬化したものであることが記載されている。 (エ)同【0045】には、セラミック誘電体基板11は、溝14と接続された貫通孔15を有すること、及び、貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aにかけて設けられる、すなわち、貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aまでZ方向に延び、セラミック誘電体基板11を貫通することが記載されている。 (オ)同【0047】には、ベースプレート50には、ガス導入路53が設けられること、及び、ガス導入路53は、ベースプレート50を貫通するように設けられることが記載されている。 (カ)同【0048】には、ガス導入路53は、貫通孔15と連通することが記載されている。 (キ)同【0050】には、第1多孔質部90は、Z方向においてベースプレート50と、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、の間であって、ガス導入路53と対向する位置に設けることが記載されている。 (ク)同【0052】には、貫通孔15は、孔部15aと、孔部15bと、を有すること、及び、孔部15aの一端は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bに位置することが記載されている。 (ケ)同【0053】には、セラミック誘電体基板11は、Z方向において第1主面11aと第1多孔質部90との間に位置する孔部15bを有することができ、孔部15bは、孔部15aと連通し、セラミック誘電体基板11の第1主面11aまで延び、すなわち、孔部15bの一端は、第1主面11a(溝14)に位置すること、及び、孔部15bは、第1多孔質部90と溝14とを連結する連結孔であり、孔部15bの径(X方向に沿った長さ)は、孔部15aの径(X方向に沿った長さ)よりも小さいことが記載されている。 (コ)同【0069】には、接着剤を用いて、第1多孔質部90をセラミック誘電体基板に取り付けてもよいことが記載されている。 (サ)同【0141】には、静電チャック110は、第2多孔質部70をさらに有していてもよい。第2多孔質部70は、Z方向において第1多孔質部90とガス導入路53との間に設けることができること、及び、ベースプレート50のセラミック誘電体基板11側には、座ぐり部53aが設けられ、座ぐり部53aは、筒状に設けられ、座ぐり部53aの内径を適切に設計することで、第2多孔質部70は、座ぐり部53aに嵌合されることが記載されている。 (シ)同【0142】には、第2多孔質部70と第1多孔質部90とは接していてもよいことが記載されている。 (ス)上記アの【図2】から、座ぐり部53aのセラミック誘電体基板11に臨む開口と電極12とは、セラミック誘電体基板11の第1主面11aに平行にずれて位置していること、及び、孔部15aと電極12とは、セラミック誘電体基板11の第1主面11aに平行にずれて位置していることが見て取れる。 (セ)上記アの【図2】から、座ぐり部53aの幅は、貫通孔15の幅よりも大きいことが見て取れる。 そして、上記(ケ)における、「孔部15bは、第1多孔質部90と溝14とを連結する連結孔であり、孔部15bの径(X方向に沿った長さ)は、孔部15aの径(X方向に沿った長さ)よりも小さい」との記載、及び、上記(サ)における、「座ぐり部53aは、筒状に設けられ、座ぐり部53aの内径を適切に設計する」との記載を参酌すれば、貫通孔15及び座ぐり部53aの水平方向の断面は、いずれも円形であるといえるから、座ぐり部53aの径は、貫通孔15の径よりも大きいといえる。 (ソ)上記(ア)~(セ)によれば、甲3の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の発明(以下、「先願甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 「セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50と、第1多孔質部90と、を備える静電チャック110であって、 セラミック誘電体基板11には、電極12が設けられ、電極12は、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、第2主面11bと、の間に設けられ、セラミック誘電体基板11の中に挿入されるように形成され、 静電チャック110は、電極12に吸着保持用電圧80を印加することによって、電極12の第1主面11a側に電荷を発生させ、静電力によって対象物Wを吸着保持し、 ベースプレート50は、セラミック誘電体基板11を支持する部材であり、セラミック誘電体基板11は、接着部60によってベースプレート50の上に固定され、接着部60は、例えば、シリコーン接着剤が硬化したものであり、 セラミック誘電体基板11は、溝14と接続された貫通孔15を有し、貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aにかけて設けられ、すなわち、貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aまでZ方向に延び、セラミック誘電体基板11を貫通し、 ベースプレート50には、ガス導入路53が設けられ、ガス導入路53は、ベースプレート50を貫通するように設けられ、 ガス導入路53は、貫通孔15と連通し、 第1多孔質部90は、Z方向においてベースプレート50と、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、の間であって、ガス導入路53と対向する位置に設けられ、 貫通孔15は、孔部15aと、孔部15bと、を有し、孔部15aの一端は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bに位置し、 セラミック誘電体基板11は、Z方向において第1主面11aと第1多孔質部90との間に位置する孔部15bを有することができ、孔部15bは、孔部15aと連通し、セラミック誘電体基板11の第1主面11aまで延び、すなわち、孔部15bの一端は、第1主面11a(溝14)に位置し、孔部15bは、第1多孔質部90と溝14とを連結する連結孔であり、孔部15bの径(X方向に沿った長さ)は、孔部15aの径(X方向に沿った長さ)よりも小さく、 接着剤を用いて、第1多孔質部90をセラミック誘電体基板に取り付けてもよく、 静電チャック110は、第2多孔質部70をさらに有していてもよく、第2多孔質部70は、Z方向において第1多孔質部90とガス導入路53との間に設けられ、ベースプレート50のセラミック誘電体基板11側には、座ぐり部53aが設けられ、座ぐり部53aは、筒状に設けられ、座ぐり部53aの内径を適切に設計することで、第2多孔質部70は、座ぐり部53aに嵌合され、 第2多孔質部70と第1多孔質部90とは接していてもよく、 座ぐり部53aのセラミック誘電体基板11に臨む開口と電極12とは、セラミック誘電体基板11の第1主面11aに平行にずれて位置し、 孔部15aと電極12とは、セラミック誘電体基板11の第1主面11aに平行にずれて位置し、 座ぐり部53aの径は、貫通孔15の径よりも大きい、静電チャック110。」 2 本件発明1について (1)対比 本件発明1と先願甲3発明とを対比する。 ア 先願甲3発明において、「セラミック誘電体基板11には、電極12が設けられ、電極12は、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、第2主面11bと、の間に設けられ、セラミック誘電体基板11の中に挿入されるように形成され、静電チャック110は、電極12に吸着保持用電圧80を印加することによって、電極12の第1主面11a側に電荷を発生させ、静電力によって対象物Wを吸着保持」するものであるから、「セラミック誘電体基板11」は、板状であり、「セラミック誘電体基板11」の「第1主面11a」は、「対象物W」を保持する面であるといえ、また、「電極12」は、「セラミック誘電体基板11」の内部に位置する静電吸着用の電極であるといえる。 したがって、先願甲3発明の「第1主面11a」、「対象物W」は、それぞれ、本件発明1の「一方の主面」、「試料」に相当し、先願甲3発明の「セラミック誘電体基板11」は、本件発明1の「一方の主面が試料保持面である板状の基体」に相当する。 また、先願甲3発明の「電極12」は、本件発明1の「該基体の内部に位置する静電吸着用の電極」に相当する。 イ 先願甲3発明の「ベースプレート50」は、「セラミック誘電体基板11を支持する部材」であり、「セラミック誘電体基板11」は、「接着部60によってベースプレート50の上に固定され、接着部60は、例えば、シリコーン接着剤が硬化したもの」である。 ここで、先願甲3発明の「セラミック誘電体基板11」は、「第1主面11aと、第2主面11b」とを有するものであり、また、上記アで検討したとおり、「セラミック誘電体基板11」の「第1主面11a」は、「対象物W」を保持する面であるから、「接着部60」は、「セラミック誘電体基板11」の「第2主面11b」に位置し、「シリコーン接着剤が硬化した」「接着部60」により「セラミック誘電体基板11」の「第2主面11b」に「ベースプレート50」に接合されるといえる。 そうすると、上記アの検討を参酌すれば、先願甲3発明の「セラミック誘電体基板11」の「第2主面11b」は、本件発明1の「基体の他方の主面」に相当し、先願甲3発明の「シリコーン接着剤が硬化した」「接着部60」は、本件発明1の「前記基体の他方の主面に位置する接合材」に相当し、先願甲3発明の「ベースプレート50」は、本件発明1の「該接合材により前記基体の他方の主面に接合された支持体」に相当する。 ウ 先願甲3発明の「セラミック誘電体基板11」は、「溝14と接続された貫通孔15を有し」、「貫通孔15」は、「第2主面11bから第1主面11aにかけて設けられ、すなわち、貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aまでZ方向に延び、セラミック誘電体基板11を貫通」するものであるから、「貫通孔15」は、「第1主面11a」から「第2主面11b」まで「セラミック誘電体基板11」を貫通するものである。 そうすると、上記ア及びイの検討を参酌すれば、先願甲3発明の「貫通孔15」は、本件発明1の「前記試料保持面から前記他方の主面まで前記基体を貫通する第1貫通孔」に相当する。 エ 先願甲3発明の「ベースプレート50」には、「ガス導入路53が設けられ」、「ガス導入路53」は、「ベースプレート50を貫通するように設けられ」、「貫通孔15と連通」するものであるから、「ガス導入路53」は、「貫通孔15」に連続し、「セラミック誘電体基板11」の「第2主面11b」側から「ベースプレート50」を貫通するものである。 そうすると、上記イ及びウの検討を参酌すれば、先願甲3発明の「ガス導入路53」は、本件発明1の「該第1貫通孔に連続し、前記他方の主面側から前記支持体を貫通する第2貫通孔」に相当する。 オ 先願甲3発明において、「第1多孔質部90」は、「Z方向においてベースプレート50と、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、の間であって、ガス導入路53と対向する位置に設けられ」、「静電チャック110」は、「第2多孔質部70をさらに有していてもよく」、「第2多孔質部70」は、「Z方向において第1多孔質部90とガス導入路53との間に設けられ、ベースプレート50のセラミック誘電体基板11側には、座ぐり部53aが設けられ」、「座ぐり部53a」は、「筒状に設けられ、座ぐり部53aの内径を適切に設計することで、第2多孔質部70は、座ぐり部53aに嵌合され」、「第2多孔質部70と第1多孔質部90とは接していてもよ」いものであるから、「ベースプレート50のセラミック誘電体基板11側」に設けられている、「座ぐり部53a」は、「ガス導入路53」の一部であるといえ、「接してい」る「第2多孔質部70と第1多孔質部90」とは、「ガス導入路53」の内部に位置し、「セラミック誘電体基板11」の「第2主面11b」に固定されているといえる。 そうすると、上記イ及びエの検討を参酌すれば、先願甲3発明の「第1多孔質部90」及び「第2多孔質部70」は、本件発明1の「該第2貫通孔の内部に位置し、前記他方の主面に固定された多孔質部材」に相当する。 カ 先願甲3発明において、「ベースプレート50のセラミック誘電体基板11側には、座ぐり部53aが設けられ」ており、「座ぐり部53aの径は、貫通孔15の径よりも大きい」ものであるところ、上記オで検討したとおり、「座ぐり部53a」は、「ガス導入路53」の一部であるといえるから、「座ぐり部53a」を含む「ガス導入路53」の「セラミック誘電体基板11」に臨む開口の径は、「貫通孔15の径よりも大きい」といえる。 そうすると、上記ア、ウ及びエの検討を参酌すれば、先願甲3発明の「ベースプレート50のセラミック誘電体基板11側」に「設けられ」ている「座ぐり部53aの径は、貫通孔15の径よりも大きい」ことは、本件発明1の「前記第2貫通孔のうち前記基体に臨む開口の開口径は、前記第1貫通孔の径よりも大き」いことに相当する。 キ 上記ア、エ及びオの検討を参酌すると、先願甲3発明の「座ぐり部53aのセラミック誘電体基板11に臨む開口と電極12とは、セラミック誘電体基板11の第1主面11aに平行にずれて位置」することは、本件発明1の「前記第2貫通孔の前記開口と前記電極とは、前記試料保持面に平行な方向にずれて位置している」に相当する。 ク 先願甲3発明において、「貫通孔15」は、「孔部15aと、孔部15bと、を有し、孔部15aの一端は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bに位置し」、 「セラミック誘電体基板11」は、「Z方向において第1主面11aと第1多孔質部90との間に位置する孔部15bを有することができ」、「孔部15b」は、「孔部15aと連通し、セラミック誘電体基板11の第1主面11aまで延び、すなわち、孔部15bの一端は、第1主面11a(溝14)に位置し」、「孔部15b」は、「第1多孔質部90と溝14とを連結する連結孔であり、孔部15bの径(X方向に沿った長さ)は、孔部15aの径(X方向に沿った長さ)よりも小さく」、「接着剤を用いて、第1多孔質部90をセラミック誘電体基板に取り付けてもよ」いものであるから、「セラミック誘電体基板11」が「第1主面11a」に有している「孔部15b」は、凹部であるといえ、また、「第1多孔質部90」は、「セラミック誘電体基板11」が有する「孔部15b」に「接着剤」により固定されているといえる。 そうすると、上記ア、イ及びオの検討を参酌すれば、本件発明1と先願甲3発明とは、「前記基体は、前記他方の主面に凹部を有し、前記多孔質部材は、前記凹部に固定されている」点で一致する。 また、先願甲3発明の上記「孔部15b」が壁面を有していることは明らかであるから、本件発明1と先願甲3発明とは、「前記凹部は壁面を有し」ている点で一致する。 ケ 以上によれば、本件発明1と先願甲3発明との一致点と相違点は以下のとおりとなる。 <一致点> 「一方の主面が試料保持面である板状の基体と、 該基体の内部に位置する静電吸着用の電極と、 前記基体の他方の主面に位置する接合材と、 該接合材により前記基体の他方の主面に接合された支持体と、 前記試料保持面から前記他方の主面まで前記基体を貫通する第1貫通孔と、 該第1貫通孔に連続し、前記他方の主面側から前記支持体を貫通する第2貫通孔と、 該第2貫通孔の内部に位置し、前記他方の主面に固定された多孔質部材と、を備えており、 前記第2貫通孔のうち前記基体に臨む開口の開口径は、前記第1貫通孔の径よりも大きく、 前記第2貫通孔の前記開口と前記電極とは、前記試料保持面に平行な方向にずれて位置しており、 前記基体は、前記他方の主面に凹部を有し、前記多孔質部材は、前記凹部に固定されており、 前記凹部は壁面を有している静電チャック。」 <相違点> 相違点2:本件発明1は、「凹部」が「有し」ている「壁面に耐プラズマ性部材が位置している」のに対し、先願甲3発明は、そのような構成を備えていない点。 (2)相違点についての判断 甲3には、相違点2に係る本件発明1の構成、すなわち、「凹部」が「有し」ている「壁面に耐プラズマ性部材が位置している」点について、何ら記載も示唆もされていない。 また、先願甲3発明が、相違点2に係る本件発明1の構成を備えていることは、本件特許出願の優先日において技術常識であるともいえない。 したがって、相違点2は実質的な相違点であるから、本件発明1は、先願甲3発明と同一であるとはいえない。 3 本件発明5について 本件発明5は、本件発明1を減縮した発明であり、相違点2に係る本件発明1の構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明5は、先願甲3発明と同一ではない。 4 小括 以上のとおり、本件発明1、5は、先願甲3発明と同一ではないから、本件請求項1、5に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものとはいえない。 したがって、取消理由2には理由がない。 第8 甲1を主引用例とした申立理由1-1(新規性)、申立理由1-2(進歩性)について 1 甲号証の記載、甲号証に記載された発明 (1)甲1(特開2009-158917号公報) ア 甲1には、以下の記載がある。 「【0008】 従来の静電チャックに伴う第1の問題は、基板とチャックとの間の領域に熱伝達ガスを導入する必要があることから、必然的に何らかの断絶がチャック表面に生じることである。例えば、図1に示されるように、典型的には静電チャック10の表面を貫通して静電チャック10の表面の裏側のガス流路まで延びる、何らかのタイプの管路(conduit)5が形成される。しかしながら、このような管路を導入する1つの欠点は、基板裏面から金属製の冷却台25にかけてプラズマアークが形成される可能性があることである。このようなプラズマアークは、基板及び静電チャックを損傷させる恐れがあるので望ましくない。 ・・・ 【0010】 上述のプラズマアークの発生に関する第1の問題を解決するために、プラズマアークが発生する可能性を低下させる従来の方法は、管路の直径を小さくすること、又は誘電部材の厚さを増加させることを含む。また、プラズマアークの発生は、管路の中心から大きく離れた位置に電極を移動させることによって減少させることもできる。一方、管路が2つの金属表面を接続している場合には、それらの金属表面から放出される自由電子により、そのような構成ではプラズマアークが発生する可能性が事実上高くなる。これにより、基板に供給され得るRF電力量が制限される。このような電力制限は、エッチングレートを制限し、したがってツールのスループットを制限することになる。 ・・・ 【0024】 したがって、これらの製造上の制約を考えると、プラズマアークが発生する可能性及び裏面熱伝達ガスがイオン化される可能性を最小限に抑える基板保持用静電チャックが必要とされている。具体的には、電子が管路の壁と衝突する可能性を高め、それによって電子のエネルギー利得を最小限に抑える静電チャックが必要とされている。また、電界方向において電子が受ける実際の電圧降下を最小限に抑える静電チャックも必要とされている。」 ・・・ 【0039】 静電チャック装置110を作動させるために、所望の電圧が電極115に印加され、それによって基板130が受面120に静電保持される。一般には、図6に示されるように、電極115から得られる電界軸147は、受面120とほぼ垂直となる。というのも、電極115は、基板130が受面120に静電保持される方向に働く静電力を生成するからである。 ・・・ 【0045】 誘電部材217をレーザードリル形成することにより、他の技法で形成される通路よりも直径が小さい傾斜したレーザードリル形成通路250が作成される。・・・ ・・・ 【0048】 本発明に係る静電チャック310の別の例示的な実施形態によれば、図9A及び図9Bに示されるように、静電チャック310は、基板330を受ける受面320と、誘電部材317内に配置された電極315と、冷却台325とを備える。更に、図9A及び図9Bに示されるように、レーザードリル形成通路350に接続された管路360にプラグ303を挿入することができる。レーザードリル形成通路350は、図9Aの実施形態では電界軸347から外れた軸に沿って傾斜しているが、図9Bの実施形態では電界軸347と並行である。 【0049】 図9A及び図9Bに示されるように、プラグ303は、プラグ303の外面に沿って延びる複数の外部溝(exterior channel)307を備える。図9A及び図9Bに示されるように、外部溝307は、プラグ303の上面308からプラグ303の底面309まで延びている。更に、外部溝307はそれぞれ、各溝307の上部と各溝307の底部が整列しないように配置されている。換言すれば、各外部溝307は、電界軸347から外れた軸に沿って傾斜している。外部溝307は、当技術分野で知られる様々な方法を用いてプラグ303の表面内に形成することができることが当業者には理解されるであろう。 【0050】 図9A及び図9Bに示されるように、プラグ303は、ほぼ円筒形であるが、本発明は、この具体的な実施形態に限定されるものではなく、プラグ303は、これ以外の様々な形状を含むことができる。プラグ303の形状は、管路360の形状とほぼ同一とすることも、プラグ303の外面372が管路360の表面に当接するように管路360の形状に対応させることもできる。 ・・・ 【0053】 したがって、図8~図10に示される例示的なプラグ303によれば、熱伝達ガスは、冷却台325から底部溝314に供給され、底部溝314内を通過して外部溝307へと移動する。その後、熱伝達ガスは、外部溝307内を通過して上部溝313へと移動する。熱伝達ガスは、上部溝313内を通過して中心390へと移動し、その後レーザードリル形成通路350内を通過して受面320と基板330との間の境界面へと移動する。 ・・・ 【0061】 図15A及び図15Bは、本発明の別の例示的な実施形態に係る静電チャック装置510を示している。図15A及び図15Bに示されるように、静電チャック510は、基板530を受ける受面520と、誘電部材517内に配置された電極515と、冷却台525とを備える。更に、図15Aに示されるように、傾斜したレーザードリル形成通路550は、電界軸547から外れた軸に沿って傾斜している。 【0062】 図15Aに示されるように、セラミックスリーブ565に複数の偏心プラグ500が挿入されている。最上部の偏心プラグ501は、裏面ガスを流すための環状通路を提供するように中心に配置されている。更に、この通路を最小化することにより、電子が非電子放出面と衝突する可能性を高めることができる。最上部の偏心プラグ501の上部には、流体が流体通路550に流入するのを可能にするスペーサ503を設けることができる。図15A及び図15Bに示される例示的な静電チャック装置510の設計は、偏心プラグによって自由電子の移動距離を最小限に抑え、それによって裏面ガスの途絶リスクを低減させることにより、裏面ガスを冷却台525から基板530の裏側に途切れなく流すことが可能となる。」 「【図9A】 [図:0001403666000013.jpg] 【図9B】 [図:0001403666000014.jpg] 」 「【図15A】 [図:0001403666000015.jpg] 」 イ 甲1に記載された発明 (ア)上記アの【図9B】から、レーザードリル形成通路350は、誘電部材317を貫通していること、レーザードリル形成通路350に接続された管路360は、冷却台325を貫通していること、誘電部材317には、管路360の一部により凹部が形成されていること、管路360のうち、誘電部材317に臨む開口の幅は、レーザードリル形成通路350の幅よりも大きいこと、プラグ303は、誘電部材317の下面及び管路360の内面に固定されていること、管路360の開口と電極315とは、誘電部材317の一方の主面に平行な方向にずれて位置していることが見て取れる。 (イ)上記アの【0048】~【0050】の記載、及び、上記(ア)によれば、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「基板330を受ける受面320と、誘電部材317内に配置された電極315と、冷却台325とを備える、静電チャック310であって、 レーザードリル形成通路350は、誘電部材317を貫通しており、 レーザードリル形成通路350に接続された管路360は、冷却台325を貫通しており、 誘電部材317には、管路360の一部により凹部が形成されており、 管路360のうち、誘電部材317に臨む開口の幅は、レーザードリル形成通路350の幅よりも大きく、 管路360にプラグ303を挿入することができ、レーザードリル形成通路350は、電界軸347と並行であり、 プラグ303は、プラグ303の外面に沿って延びる複数の外部溝307を備え、外部溝307は、プラグ303の上面308からプラグ303の底面309まで延びており、更に、各外部溝307は、電界軸347から外れた軸に沿って傾斜しており、 プラグ303は、ほぼ円筒形であり、誘電部材317の下面及び管路360の内面に固定されており、 管路360の開口と電極315とは、誘電部材317の一方の主面に平行な方向にずれて位置している、静電チャック310。」 2 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「誘電部材317」の一方の主面は、「基板330を受ける受面320」であり、当該「受面320」は、基板を保持する面であるといえる。 したがって、甲1発明の「基板330」は、本件発明1の「試料」に相当し、甲1発明の「誘電部材317」は、本件発明1の「一方の主面が試料保持面である板状の基体」に相当する。 イ 甲1発明の「誘電部材317内に配置された電極315」は、「誘電部材317」の内部に位置するといえ、また、「静電チャック」の電極であるから、静電吸着用の電極であるといえる。 したがって、甲1発明の「誘電部材317内に配置された電極315」は、本件発明1の「該基体の内部に位置する静電吸着用の電極」に相当する。 ウ 甲1の【図9B】(上記1(1)ア)を参照すると、甲1発明の「誘電部材317」と「冷却台325」とは別部材であるところ、「冷却台325」は、「誘電部材317」の他方の主面に、何らかの手段で接合されているといえる。 したがって、甲1発明の「冷却台325」は、本件発明1の「前記基体の他方の主面に接合された支持体」に相当する。 エ 甲1発明において、「レーザードリル形成通路350」は、「誘電部材317を貫通して」いるから、「誘電部材317」の「基板330を受ける受面320」から他方の主面まで貫通するように形成されているといえる。 したがって、甲1発明の「レーザードリル形成通路350」は、本件発明1の「前記試料保持面から前記他方の主面まで前記基体を貫通する第1貫通孔」に相当する。 オ 甲1発明の「管路360」は、「冷却台325を貫通して」いるから、「誘電部材317」の他方の主面側から「冷却台325」を貫通しているといえる。 そして、「冷却台325を貫通して」いる「管路360」は、「レーザードリル形成通路350に接続され」ているから、「レーザードリル形成通路350」と連続しているといえる。 したがって、甲1発明の「冷却台325を貫通して」おり、「レーザードリル形成通路350に接続された管路360」は、本件発明1の「該第1貫通孔に連続し、前記他方の主面側から前記支持体を貫通する第2貫通孔」に相当する。 カ 甲1発明において、「プラグ303」は、「管路360」に「挿入することができ」、また、「誘電部材317の下面」に「固定されている」から、「管路360」の内部に位置し、「誘電部材317」の他方の主面に「固定されている」部材であるといえる。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「該第2貫通孔の内部に位置し、前記他方の主面に固定された」「部材」である点で共通する。 キ 甲1の【0045】(上記1(1)ア)には、「誘電部材217をレーザードリル形成することにより、他の技法で形成される通路よりも直径が小さい傾斜したレーザードリル形成通路250が作成される」と記載されているから、甲1発明の「レーザードリル形成通路350」は、円筒形であるといえる。 また、甲1発明の「プラグ303」は、「ほぼ円筒形であり」、「管路360の内面に固定されている」から、「管路360」も、円筒形であるといえる。 そして、甲1発明において、「管路360のうち、誘電部材317に臨む開口の幅は、レーザードリル形成通路350の幅よりも大きく」なっているから、「管路360のうち、誘電部材317に臨む開口」の開口径は、「レーザードリル形成通路350」の径よりも「大きく」なっているといえる。 したがって、甲1発明の「管路360のうち、誘電部材317に臨む開口の幅は、レーザードリル形成通路350の幅よりも大きく」は、本件発明1の「前記第2貫通孔のうち前記基体に臨む開口の開口径は、前記第1貫通孔の径よりも大きく」に相当する。 ク 上記ア、イ及びオの検討を参酌すると、甲1発明の「管路360の開口と電極315とは、誘電部材317の一方の主面に平行な方向にずれて位置している」ことは、本件発明1の「前記第2貫通孔の前記開口と前記電極とは、前記試料保持面に平行な方向にずれて位置している」ことに相当する。 ケ 甲1発明は、「誘電部材317には、管路360の一部により凹部が形成されて」いるから、「誘電部材317」は、他方の主面に「凹部」を有しているといえる。 また、甲1発明は、「管路360にプラグ303を挿入することができ」るものであるから、「プラグ303」は、「誘電部材317」に形成された「凹部」に固定されているといえる。 そして、上記カの検討を参酌すると、本件発明1と甲1発明とは、「前記基体は、前記他方の主面に凹部を有し」、前記「部材は、前記凹部に固定されて」いる点で共通する。 また、甲1発明の上記「凹部」が壁面を有していることは明らかであるから、本件発明1と甲1発明とは、「前記凹部は壁面を有し」ている点で一致する。 コ 以上によれば、本件発明1と甲1発明との一致点と相違点は以下のとおりとなる。 <一致点> 「一方の主面が試料保持面である板状の基体と、 該基体の内部に位置する静電吸着用の電極と、 前記基体の他方の主面に接合された支持体と、 前記試料保持面から前記他方の主面まで前記基体を貫通する第1貫通孔と、 該第1貫通孔に連続し、前記他方の主面側から前記支持体を貫通する第2貫通孔と、 該第2貫通孔の内部に位置し、前記他方の主面に固定された部材と、を備えており、 前記第2貫通孔のうち前記基体に臨む開口の開口径は、前記第1貫通孔の径よりも大きく、 前記第2貫通孔の前記開口と前記電極とは、前記試料保持面に平行な方向にずれて位置しており、 前記基体は、前記他方の主面に凹部を有し、前記部材は、前記凹部に固定されており、 前記凹部は壁面を有している静電チャック。」 <相違点> 相違点3-1:本件発明1は、「接合材」が、「基体の他方の主面に位置」し、「該接合材により前記基体の他方の主面」に「支持体」が「接合され」ているのに対し、甲1発明は、「誘電部材317」と「冷却台325」とは、「接合材」により接合されているかどうか不明である点。 相違点3-2:「該第2貫通孔の内部に位置し、前記他方の主面に固定された」「部材」について、本件発明1は、「多孔質」であるのに対し、甲1発明は、「多孔質」かどうか不明である点。 相違点3-3:本件発明1は、「前記凹部は壁面を有し、該壁面に耐プラズマ性部材が位置している」のに対し、甲1発明は、そのような構成を備えていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み相違点3-3から検討する。 ア 甲1には、相違点3-3に係る本件発明1の構成、すなわち、「凹部」が「有し」ている「壁面に耐プラズマ性部材が位置している」点について、何ら記載も示唆もされていない。 また、甲1発明が、相違点3-3に係る本件発明1の構成を備えていることは、本件特許出願の優先日において技術常識であるともいえない。 したがって、相違点3-3は実質的な相違点であるから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。 イ 甲4、甲6のいずれにも、相違点3-3に係る本件発明1の構成は、記載も示唆もされていない。また、当該構成が、本件特許出願の優先日において周知技術又は慣用技術であるともいえない。 したがって、甲1発明において、相違点3-3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たこととはいえない。 したがって、本件発明1は、甲1発明、甲4及び甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本件発明2、4、5について 本件発明2、4、5は、本件発明1を減縮した発明であり、いずれも相違点3-3に係る本件発明1の構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2、4、5は、甲1発明ではなく、また、甲1発明、甲4及び甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 小括 以上のとおり、本件発明1、2、4、5は、甲1発明ではなく、また、甲1発明、甲4及び甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件請求項1、2、4、5に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものとはいえない。 したがって、申立理由1-1、申立理由1-2には理由がない。 第9 申立人の主張 (1)申立人は、意見書1ページ下から2行~3ページ13行において、「前記凹部は壁面を有し、該壁面に耐プラズマ性部材が位置している」ことは公知であり、一例として、甲第7号証(以下、「甲7」という。)の図7には、基体(静電チャック部20)が、その裏面側に凹部(静電チャック部凹部23)を有していること、そして、その凹部(静電チャック部凹部23)の壁面に耐プラズマ性部材(耐プラズマ性接着剤層90)が位置していることが明確に表されているから、本件発明1は、公知発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、取消理由通知に記載された取消理由は、依然として解消していない旨主張している。 (2)甲7(再公表特許WO2016/132909号)の記載 ア 甲7には、以下の記載がある。 「【0044】 静電チャック装置1によれば、貫通孔30内、特にチャック部貫通孔32から入ったプラズマの侵入を阻止するように、絶縁碍子内側端面72と静電チャック部内側周囲面26とが接触し、又は、絶縁碍子内側端面72と静電チャック部内側周囲面26との間の隙間に接着層80が形成され、また、耐プラズマ性接着剤層90は、静電チャック部外側周囲面28と絶縁碍子外側端面74との間に形成されている。このため、貫通孔30から侵入したプラズマは、先ず、絶縁碍子内側端面72と静電チャック部内側周囲面26との間の狭い隙間で侵入を阻止され、次いで、静電チャック部外側周囲面28と絶縁碍子外側端面74との間に形成されている耐プラズマ性接着剤層90で阻止される。よって、プラズマによる接着層50の劣化を抑制することができるので、接着層50の絶縁破壊を阻止することができかつ静電チャック部20と冷却ベース部60との間の熱伝達率をより均一に制御することができると共に、プラズマと冷却ベース部とが短絡することによる絶縁破壊を阻止することができる。」 「【0047】 図7を参照して、本発明に係る第5実施形態の静電チャック装置3を説明する。 静電チャック装置3は、静電チャック部20には、冷却ベース部60側に静電チャック部凹部23が形成され、静電チャック部内側周囲面26及び静電チャック部外側周囲面28は、静電チャック部凹部23の底面とされていること以外は、静電チャック装置1と同じである。静電チャック部凹部23の底面、静電チャック部内側周囲面26及び静電チャック部外側周囲面28は、いずれも、静電チャック部20の冷却ベース部60側にある。」 「【図7】 [図:0001403666000016.jpg] 」 イ 上記アによれば、甲7には、静電チャック装置3において、静電チャック部20の冷却ベース部60側に静電チャック部凹部23が形成され、静電チャック部凹部23の壁面に耐プラズマ性接着剤層90が位置していること、及び、耐プラズマ性接着剤層90は、貫通孔30から侵入したプラズマを阻止するものであることが記載されているといえる。 (3)検討 ア 甲1を主引用例とした場合について 甲1の【0024】(上記第8 1(1)ア)の記載によれば、甲1発明は、「プラグ303の外面に沿って延びる複数の外部溝307」を、「電界軸347から外れた軸に沿って傾斜」させることにより、電子が外部溝(管路)の壁と衝突する可能性を高めることによって、プラズマアークが発生する可能性及び裏面熱伝達ガスがイオン化される可能性を最小限に抑えるものである。 そうすると、甲1発明は、「プラグ303の外面に沿って延びる複数の外部溝307」を、「電界軸347から外れた軸に沿って傾斜」させることにより、「レーザードリル形成通路350」から侵入したプラズマを阻止しているといえる。 一方、上記(2)イによれば、甲7の静電チャック装置3は、静電チャック部20の冷却ベース部60側に静電チャック部凹部23が形成され、静電チャック部凹部23の壁面に耐プラズマ性接着剤層90が位置しており、耐プラズマ性接着剤層90は、貫通孔30から侵入したプラズマを阻止するものである。 以上によれば、甲1発明の「プラグ303の外面に沿って延びる複数の外部溝307」を、「電界軸347から外れた軸に沿って傾斜」させることと、甲7の耐プラズマ性接着剤層90とは、いずれも「レーザードリル形成通路350」及び貫通孔30から侵入したプラズマを阻止するという同じ機能を有するものであるといえる。 そうすると、「レーザードリル形成通路350」から侵入したプラズマを阻止する機能を有する甲1発明において、さらに、同じ機能を有する甲7の耐プラズマ性接着剤層90を適用する動機付けはない。 したがって、甲1発明において、「凹部」が「有し」ている「壁面に耐プラズマ性部材が位置している」との構成、すなわち、上記相違点3-3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たこととはいえない。 イ 甲2を主引用例とした場合について 甲2の[0050](上記第6 1(1)ア)の記載によれば、甲2発明は、Heガス排出口側に多孔性ガス供給バッフルを備えることにより、プラズマ処理チャンバ内部のプラズマがHeガス供給ポートに逆行することを防止するものである。 そうすると、甲2発明は、「Heガス供給ポート(410)の排出口側に設けられ」た、「Heガスが流れる複数のガス供給孔(423)が形成された多孔質構造」の「Heガス供給バッフル(420)」により、「Heガス供給路(113)」から侵入したプラズマを阻止しているといえる。 一方、上記(2)イによれば、甲7の静電チャック装置3は、静電チャック部20の冷却ベース部60側に静電チャック部凹部23が形成され、静電チャック部凹部23の壁面に耐プラズマ性接着剤層90が位置しており、耐プラズマ性接着剤層90は、貫通孔30から侵入したプラズマを阻止するものである。 以上によれば、甲2発明の「Heガス供給バッフル(420)」と、甲7の耐プラズマ性接着剤層90は、いずれも「Heガス供給路(113)」及び貫通孔30から侵入したプラズマを阻止するという同じ機能を有するものであるといえる。 そうすると、「Heガス供給路(113)」から侵入したプラズマを阻止する機能を有する甲2発明において、さらに、同じ機能を有する甲7の耐プラズマ性接着剤層90を適用する動機付けはない。 したがって、甲2発明において、「凹部」が「有し」ている「壁面に耐プラズマ性部材が位置している」との構成、すなわち、上記相違点1-3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、申立人の上記主張は採用できない。 第10 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項3、6は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項3、6に対して、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701213

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