特許異議申立
2024-700490
薬品払出装置
- 審判番号
- 2024-700490
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-180929
- 登録番号
- 7386418
- 請求日
- 2024年05月24日
- 審決日
- 2025年03月25日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社湯山製作所
- 【権利者代理人】藤田 隆
- 【異議申立人】松本 保
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 正章
- 審判官 栗山 卓也
- 審判官 井上 哲男
- 分類
- P1651.537-YAA(A61J) / P1651.121-YAA(A61J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7386418号発明「薬品払出装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7386418号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
特許第7386418号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7386418号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成27年 9月16日(優先権主張 平成26年 9月24日、平成27年 2月10日、平成27年 4月20日)を国際出願日とする出願である特願2016-502548号の一部を、平成28年 2月 9日に新たな特許出願とした特願2016-22939号の一部を、令和 2年 2月14日に新たな特許出願とした特願2020-23318号の一部を、令和 3年11月 5日に新たな特許出願としたものであって、令和 5年11月16日にその特許権の設定登録がされ、同年11月27日に掲載公報が発行されたところ、令和 6年 5月24日に特許異議申立人松本保(以下「申立人」という。)より請求項1~5に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。
その後の手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 6年 7月 2日付け 取消理由通知
令和 6年 8月30日提出 意見書(特許権者)及び訂正請求書
令和 6年10月15日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知)
令和 6年11月15日提出 意見書(申立人)
第2 訂正の適否
1 本件訂正の内容
令和 6年 8月30日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示す)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「薬品容器配置領域の外側壁面には、扉部が設けられ、」とあるのを、「薬品容器配置領域の外側壁面には、扉部が設けられ、容器仮置部及び正面ドアが設けられ、」と訂正する。
また、請求項1を引用する請求項2~5についても同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置とが設けられ、」とあるのを、「当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置と、容器保持台とが設けられ、」と訂正する。
また、請求項1を引用する請求項2~5についても同様に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「自動で散薬収容容器を容器保管装置から取り出して所定の位置に載置して散薬収容容器に収容された散薬を分包する第1分包動作と、」とあるのを、「自動で散薬収容容器を容器保管装置から取り出して容器保持台に載置して散薬収容容器に収容された散薬を分包する第1分包動作と、」と訂正する。
また、請求項1を引用する請求項2~5についても同様に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「外部の管理棚に保管されており、使用者により選択された薬品が収容された散薬収容容器を薬品払出装置内の所定の位置に手動で載置し、」とあるのを、「外部の管理棚に保管されており、使用者により選択された薬品が収容された散薬収容容器を薬品払出装置内の容器仮置部に手動で載置し、」と訂正する。
また、請求項1を引用する請求項2~5についても同様に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に「薬品払出装置は使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、」とあるのを、「使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、」と訂正する。
また、請求項1を引用する請求項2~5についても同様に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1に「手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が扉部から薬品払出装置内の所定の位置に載置し、収容された散薬を分包する第3分包動作とを実行し、」とあるのを、「手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が正面ドアから薬品払出装置内の容器保持台に載置し、収容された散薬を分包する第3分包動作とを実行し、」と訂正する。
また、請求項1を引用する請求項2~5についても同様に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項2に「薬品分割領域には、容器保持台をさらに有し、第1分包動作及び第2分包動作に使用される」とあるのを、「第1分包動作及び第2分包動作に使用される」と訂正する。
また、請求項2を引用する請求項3~5についても同様に訂正する。
2 本件訂正の適否
(1)一群の請求項について
訂正事項1~7によって訂正される訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は、訂正事項1~7によって訂正される請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項1~5に対して請求されたものである。
(2)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の薬品払出装置について、「容器仮置部及び正面ドアが設けられ」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
そして、薬品払出装置1に容器仮置部18を設けることは、願書に添付した明細書の段落【0055】~【0057】及び図1~3に記載され、また、薬品払出装置1に正面ドア34を設けることは、願書に添付した明細書の段落【0055】、【0056】、【0067】及び図1~4に記載されているから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の薬品分割領域に「容器保持台とが設けられ」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
そして、薬品分割領域13に容器保持台36を設けることは、願書に添付した明細書の段落【0067】及び図1、2、4の記載にされているから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の第1分包動作で、自動で散薬収容容器を容器保管装置から取り出して載置する「所定の位置」が、具体的に明瞭でなかったのを「容器保持台」と明確にしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、第1分包動作で、自動で自動式薬品容器(散薬収容容器)4を容器保管部(容器保管装置)23から取り出して容器保持台36に載置することは、願書に添付した明細書の段落【0151】、【0152】及び図2、4の記載にされているから、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(5)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の第2分包動作で、使用者により選択された薬品が収容された散薬収容容器を手動で載置する薬品払出装置内の「所定の位置」が、具体的に明瞭でなかったのを「容器仮置部」と明確にしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、第2分包動作で、使用者により選択された薬品が収容された自動式薬品容器(散薬収容容器)4を薬品払出装置1内の容器仮置部18に手動で載置することは、願書に添付した明細書の段落【0169】~【0171】及び図2、4の記載にされているから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(6)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の第3分包動作で、処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填するのが「使用者」であることを明確にするため「薬品払出装置は」の記載を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、第3分包動作で、使用者が処方された散薬を手動式薬品容器5に予め充填することは、願書に添付した明細書の段落【0174】~【0175】及び図2、4の記載にされているから、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(7)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正事項1~3に合わせて、訂正前の第3分包動作で、手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が薬品払出装置内に載置するにあたっての「扉部」が「正面ドア」であること及び「所定の位置」が「容器保持台」であることを明確にしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、第3分包動作で、手動式薬品容器5に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器5を使用者が正面ドア34から薬品払出装置1内の容器保持台36に載置し、収容された散薬を分包することは、願書に添付した明細書の段落【0174】~【0177】及び図2、4の記載にされているから、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(8)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正事項2により請求項1において、薬品分割領域に容器保持台が設けられていることが特定されたことに伴い、重複記載を避けるため請求項1の従属項である請求項2の「薬品分割領域には、容器保持台をさらに有し、」の記載を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、訂正事項7は上記訂正事項2に係る訂正による重複記載を避けるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(9)小括
上記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、特許請求の範囲の記載を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記のとおり、本件訂正は認められたので、請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」といい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された次のとおりのものである。
「 【請求項1】
散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、散薬を所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、
散薬収容容器は、散薬を収容するものであり、収容した散薬を排出するための排出口となる排出口部を有し、
内部に薬品容器配置領域、薬品分割領域、薬品包装領域が設けられ、
薬品容器配置領域には、複数の散薬収容容器を保管するための容器保管装置が設けられ、
薬品容器配置領域の外側壁面には、扉部が設けられ、
容器仮置部及び正面ドアが設けられ、
薬品分割領域には、散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置と、容器保持台とが設けられ、
薬品包装領域には、薬品包装装置が設けられ、
掻出装置によって分配皿の散薬を掻き出して薬品包装領域側に落下させ、薬品包装装置によって散薬を包装する分包動作が可能であり、
散薬収容容器は容器保管装置に保管されており、自動で散薬収容容器を容器保管装置から取り出して容器保持台に載置して散薬収容容器に収容された散薬を分包する第1分包動作と、外部の管理棚に保管されており、使用者により選択された薬品が収容された散薬収容容器を薬品払出装置内の容器仮置部に手動で載置し、散薬収容容器に収容され、処方に基づく量の散薬を分包する第2分包動作と、使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が正面ドアから薬品払出装置内の容器保持台に載置し、収容された散薬を分包する第3分包動作とを実行し、
各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、
第1分包動作又は第2分包動作を実行するのか、又は、第3分包動作を実行するのかのいずれか一方を選択するボタンを表示装置に表示することを特徴とする薬品払出装置。
【請求項2】
第1分包動作及び第2分包動作に使用される散薬収容容器は容器保持台に載置され、容器保持台に載置された散薬収容容器は、散薬収容容器からの排出量が所定量となったことを条件に分配皿への散薬の排出が停止されることを特徴とする請求項1に記載の薬品払出装置。
【請求項3】
各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、
第3分包動作では、表示装置に、手撒きカセットを置くことを求めるメッセージが表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬品払出装置。
【請求項4】
手動式薬品容器は、前記排出口部と、当該排出口部とは別位置に薬品投入部とが設けていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薬品払出装置。
【請求項5】
各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、
ボタンにより、第1分包動作又は第2分包動作使用を実行することが選択された後、第1分包動作で使用される散薬のリストの表示と、第2分包動作で使用される散薬のリストとの表示とを切り替える表示切替手段を表示装置に表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の薬品払出装置。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由
1 取消理由の概要
当審が令和 6年 7月 2日付けで通知した取消理由通知に記載した取消理由は、次のとおりである。
理由1:(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、請求項1~5に係る発明についての特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
理由2:(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1~5に係る発明についての特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
記
●理由1について
(1)請求項1に「散薬収容容器は容器保管装置に保管されており、自動で散薬収容容器を容器保管装置から取り出して所定の位置に載置して散薬収容容器に収容された散薬を分包する第1分包動作と、外部の管理棚に保管されており、使用者により選択された薬品が収容された散薬収容容器を薬品払出装置内の所定の位置に手動で載置し、散薬収容容器に収容され、処方に基づく量の散薬を分包する第2分包動作と、薬品払出装置は使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が扉部から薬品払出装置内の所定の位置に載置し、収容された散薬を分包する第3分包動作とを実行し、」と記載されているが、上記記載中のそれぞれの「所定の位置」がどこなのか、また同じものなのか否か不明確である。
(2)請求項1に「薬品払出装置は使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、」と記載されているが、「薬品払出装置は」が何に係るのか不明確である。
よって、請求項1を引用する請求項を含めて、請求項1~5に係る発明は明確でない。
●理由2について
請求項1に「薬品払出装置は使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が扉部から薬品払出装置内の所定の位置に載置し、収容された散薬を分包する第3分包動作とを実行し、」と記載されている。
しかし、発明の詳細な説明の段落【0174】~【0175】の記載からすれば、第3分包動作において、使用者が手動式薬品容器を薬品払出装置内の所定の位置に載置するために開放するのは正面ドア34であって、扉部16ではないから、請求項1の上記記載に係る構成は、発明の詳細な説明に記載されたものでない。
よって、請求項1を引用する請求項を含めて、請求項1~5に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものでない。
第5 取消理由についての判断
1 理由1(1)について
請求項1の「所定の位置」の記載は、上記訂正事項3、4、6により「容器保持台」又は「容器仮置部」に訂正され、それぞれどこを指すのかが、上記第2の2(4)、(5)、(7)記載のとおり願書に添付した明細書及び図面の記載に照らして明確になったので、取消理由通知の理由1(1)は解消した。
2 理由1(2)について
請求項1の「容器払出装置は」の記載は、上記第2の2(6)記載のとおり削除されたので、取消理由通知の理由1(2)は解消した。
3 理由2について
請求項1の第3分包動作において、使用者が手動式薬品容器を薬品払出装置内に載置するための部分は、上記第2の2(7)記載のとおり「扉部」が「正面ドア」に改められ、当該「正面ドア」は、願書に添付した明細書及び図面記載の正面ドア34を指すことが文言上明確になり、本件発明は願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の記載の範囲内のものであるので、取消理由通知の理由2は解消した。
4 小括
以上のとおり、取消理由通知の理由1(1)、(2)及び理由2は理由がなく、本件特許の請求項1~5の記載が特許法第36条第6項第2号又は同項第1号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。
よって、本件発明は、取消理由通知に記載した取消理由によっては取り消すことができない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 明確性についての主張
(1)申立人は、請求項1の「掻出装置によって分配皿の散薬を掻き出して薬品包装領域側に落下させ、薬品包装装置によって散薬を包装する分包動作」(以下「分包動作」という。)と第1分包動作又は第2分包動作の関係が不明確である旨主張している(異議申立書12頁11~21行)。
しかし、本件特許明細書の段落【0151】~【0168】の記載からすれば、「分包動作」とは、掻出装置によって分配皿の散薬を掻き出して薬品包装領域側に落下させ、薬品包装装置によって散薬を包装する動作であり、「第1の分包動作」とは、当該分包動作を行う前に分配皿へ散薬を供給する動作と理解でき、また、段落【0169】の記載からすれば、「第2の分包動作」は、上記第1の分包動作と同様の動作と理解できるから、本件特許明細書の記載に照らして、分包動作と第1の分包動作又は第2の分包動作の関係は明確である。
よって、本件発明が不明確であるとはいえない。
(2)申立人は、請求項1の第3の分包動作がどのように分包するのか理解できない旨主張している(異議申立書12頁下から3行~13頁4行)。
しかし、本件特許明細書の段落【0174】~【0177】の記載からすれば、「第3の分包動作」とは、散薬を分配皿へ供給するために、使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が正面ドアから薬品払出装置内の容器保持台に載置し、収容された散薬を分配皿に供給する動作と理解できるし、段落【0175】の「手動式薬品容器5から分配皿35に薬品が供給され、一服用分ずつ薬品包装装置へ供給していく。」の記載からすれば、分配皿に供給された散薬がその後分包動作で分包されることも理解できる。
よって、本件発明が不明確であるとはいえない。
(3)申立人は、請求項1の第2の分包動作と第3の分包動作との構成上の相違が不明確である旨主張している(異議申立書13頁9~17行)。
しかし、上記第2の2(5)~(7)記載のとおり、本件訂正で第2の分包動作は「外部の管理棚に保管されており、使用者により選択された薬品が収容された散薬収容容器を薬品払出装置内の容器仮置部に手動で載置し、散薬収容容器に収容され、処方に基づく量の散薬を分包する」動作であり、また、第3の分包動作は、「使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が正面ドアから薬品払出装置内の容器保持台に載置し、収容された散薬を分包する」動作であるから、両者の構成上の相違は明らかである。
よって、本件発明が不明確であるとはいえない。
2 進歩性についての主張
申立人は、本件発明は、甲第1号証~甲第3号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲3」という。)から容易に発明できたと主張している(異議申立書14頁8行~33頁3行)ので、以下検討する。
(1)本件発明1について
ア 甲号証の記載
(ア)甲1の記載及び甲1発明
甲1には次の事項が記載されている。
A「[0001]本発明は、薬剤を所定量計量して取り出す薬剤フィーダに関するものである。本発明の薬剤フィーダは、散薬を分配する散薬分配装置に対して散薬を供給する装置として好適に使用される。また本発明の薬剤フィーダは、散薬を前記散薬分配装置で分配し、さらにこれを個別に包装する機能を備えた散薬分包装置に内蔵される装置として好適である。
また本発明は、薬剤フィーダを内蔵した薬剤払出し装置に関するものである。」
B「[0002]近年、大病院や、大規模の薬局では、散薬分包装置や散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置が導入されている。ここで散薬分包装置とは、散薬等を一服用分ずつ個別に包装する装置である。散薬分包装置を使用すれば、散薬等を一服用分ずつ包装する作業の大半を自動化することができる。
特許文献1に開示された散薬分包装置200は、散薬を一服用分ずつ個別に包装する装置であり、図49の様に、内部に薬剤供給装置201と、散薬分配装置202と、薬剤包装装置203とを有している。
特許文献1に開示された薬剤供給装置201は、図49、図50の様に、投入ホッパ205と、粉体フィーダ206とによって構成されている。
粉体フィーダ206は、図50に示す様に、トラフ210の下に2枚の圧電素子207,208が設けられており、トラフ210を振動させるものである。
[0003]散薬分配装置202は、図49の様に、分配皿212と、掻出装置215によって構成されている。分配皿212は、断面が円弧状であって、平面視が環状の溝216を有している。分配皿212は、モータ219によって一定の速度で回転される。
掻出装置215は、昇降及び回転するディスク217を有し、当該ディスク217に掻き板218が設けられたものである。
[0004]薬剤包装装置203は、図49の様に包装用ホッパ220と、包装装置221によって構成されている。」
C「[0091]次に、薬剤容器2の変形例について説明する。以下に説明する各変形例の説明において、先に説明した薬剤容器2Aと共通する部材や共通する機能を発揮する部位には、同一の番号にB,C,D,E,Fを付記することにより、詳細な説明を省略する。
第2形態の薬剤容器2Bについて図9、図10を参照しつつ説明する。薬剤容器2Bは、図10に示す様に、2面開放型であり、薬剤排出部8の蓋が無く且つ水平姿勢とした際に、天面に相当する部位が大きく開放されたタイプである。即ち薬剤容器2Bは、前記した第1形態の薬剤容器2Aの上部側を除去したものと言える。より簡単に説明すると、薬剤容器2Bには、周壁上面51(図6)に相当する部分が欠落している。
薬剤容器2Bは、前記した第1形態の薬剤容器2Aと同様、容器本体5Bと、鉄板部6Bと、整流部材7Bによって構成されている。
容器本体5Bは樹脂で作られた縦長で樋状の容器であり、長手方向の一端が薬剤排出部8Bとなっている。
本実施形態では、容器本体5Bの周壁面11Bは、周壁下面12Bを含めて5面存在する。
より具体的に説明すると、図10の様に容器本体5Bを水平に載置した状態を基準として、容器本体5Bの断面形状は左右対称である。そして図9、図10の様に容器本体5Bを水平に載置した状態を基準として、周壁下面12Bに対向する側が開放されている。
本実施形態においても、容器本体5Bの外周面側に突起16Bが設けられている。突起16Bの位置等は先の実施形態と同一であり、容器本体5Bを水平姿勢にした場合に、下側に向かって突出する。」
D「[0094]次に、第3形態の薬剤容器2Cについて図12を参照しつつ説明する。薬剤容器2Cは、密閉型であり、容器本体5Cに蓋部材120が設けられている。
即ち薬剤容器2Cは、容器本体5Cと、鉄板部6Cと、蓋部材120によって構成されている。また薬剤容器2Cでは、蓋部材120の後端側に整流部7C(図13)が一体的に設けられている。なお整流部7Cは、前記した整流部材7A,7Bと同様の働きをするものであるが、後記する様に蓋部材120の一部であるから、整流部7Cと表記する。
また薬剤容器2Cは、運搬用鉄板部157を備えている。
容器本体5Cは樹脂で作られた縦長の容器であり、長手方向の一端が薬剤排出部8Cとなっている。本実施形態では、容器本体5Cの断面形状が図11,12,13の様に6角形である。即ち容器本体5Cの周壁面11Cは、周壁下面12Cを含めて6面存在する。
より具体的に説明すると、図11の様に容器本体5Cを水平に載置した状態を基準として、容器本体5Cの断面形状は左右対称である。そして図13の様に容器本体5Cを水平に載置した状態を基準として、周壁下面12Cに対向する周壁上面51Cがある。
また周壁上面51Cと周壁下面12Cとを繋ぐ面として、左右の垂直周壁52aC,52bC、及び左右の傾斜周壁53aC,53bCがある。」
E「[0157]次に、薬剤フィーダ50の周辺機器について説明する。
本実施形態の薬剤フィーダ50は、散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置100の一部を構成するものである。
薬剤払出し装置100の全体構造は、例えば図30に示す様なものである。薬剤払出し装置100は、機能上、上下方向に薬剤棚部領域103と、薬剤分割領域105と、薬剤包装領域106とに分けられる。
最上部の薬剤棚部領域103は、周囲に薬剤容器収納棚101が並べられており、その内部に薬剤容器移動装置102が設けられている。
薬剤棚部領域103は、図示しない除湿装置で除湿されている。また薬剤棚部領域103の内部には図示しない集塵装置が設けられており、薬剤棚部領域103内の塵が除去される。例えば薬剤棚部領域103に、送風ファンを設け、送風ファンによって薬剤棚部領域103内の空気を循環させる。そして送風ファンの吸気側等、一定の通気経路にフィルターを設け、薬剤棚部領域103を浮遊する塵等を除去する。
[0158]薬剤容器移動装置102は、上下昇降軸110と、水平移動アーム180と、薬剤容器2Cを保持するハンド部112とを有している。水平移動アーム180は、図30の様に2箇所に関節168,169を有している。ハンド部112は、薬剤容器2Cの姿勢を変更することができる。なお薬剤容器移動装置102では、電磁石170のハンド部112を採用している。即ち図30、図31に示すように、水平移動アーム180の先端に電磁石170が設けられている。
[0159]薬剤分割領域105には、散薬分配装置202が設けられている。本実施形態では、散薬分配装置202は、分配皿212を2枚、有している。散薬分配装置202には、本実施形態の薬剤フィーダ50が複数台設置されている。本実施形態では、各分配皿212に薬剤フィーダ50が複数設置されている。より具体的に説明すると、各分配皿212に薬剤フィーダ50が3台ずつ設置されている。各薬剤フィーダ50は、各分配皿212に対して接線方向に取り付けられている。なお、薬剤フィーダ50の各分配皿212に対する取付け角度は、接線方向に限定されるものではないが、薬剤フィーダ50を、各分配皿212に対して接線方向に取り付けることにより、薬剤の分配精度が高まる効果がある。また薬剤容器移動装置102で薬剤容器2Cを保持し、薬剤容器2Cを振動台20に固定する際や、振動台20から薬剤容器2Cを取り外す際に、薬剤容器移動装置102の無駄な動作が少なくなるという効果が期待できる。
薬剤包装領域106には、薬剤包装装置203が内蔵されている。
また薬剤払出し装置100には、処方箋を読み取る処方箋読み取り手段46と、各機器の動作を制御する制御装置47とを備えている。
[0160]また薬剤包装領域106の外壁側には、図29の様な、薬剤容器投入口151が設けられている。薬剤容器投入口151の内部には、ロードセル等の重量測定手段152と、読み取り装置(図示せず)が設けられている。読み取り装置には、バーコードリーダやRFID(Radio Frequency IDentification)リーダ等が採用可能である。
薬剤容器投入口151に薬剤容器2Cをセットすると、内部で薬剤容器2Cの総重量が測定され、制御装置47のメモリーに記憶される。またバーコードリーダ等によって薬剤容器2Cに設けられた図示しないバーコード等を読み取り、薬剤容器移動装置102によって薬剤棚部領域103の所定の位置に薬剤容器2Cを搬送し、保管する。
ここで本実施形態では、薬剤容器移動装置102が電磁石170のハンド部112を有している。本実施形態では、図31の様に電磁石170を薬剤容器2Cの運搬用鉄板部157に近接させ、その後に電磁石170に通電して運搬用鉄板部157を吸着し、薬剤容器2Cを保持して移動させる。
[0161]なお第2形態の薬剤容器2B(図9)の様な、2面開放型の容器であって蓋が無く且つ水平姿勢とした際に、天面に相当する部位が大きく開放されたタイプの薬剤容器2Bを使用する場合には、別途調剤台等で計量した、あるいは未計量の薬剤を、薬剤容器2Bの開放された上部側(水平姿勢にした場合の上部側)から投入した後に、薬剤容器投入口151にセットする。第2形態の薬剤容器2Bがセットされた場合には、薬剤容器2Bの総重量を測定し、制御装置47のメモリーに記憶した後、薬剤容器移動装置102によっていずれかの薬剤フィーダ50に直接搬送され、処方情報に基づいた量の薬剤が散薬分配装置202に払い出される。」
F「[0163]本実施形態では、図32に示すように、処方箋読み取り手段46で処方箋の内容が読み込まれることによって全ての動作が開始される。
即ちステップ1で、処方箋の内容が入力されると、ステップ2に移行し、直ちに薬剤容器2Cの搬出作業が開始される。より具体的には、薬剤容器移動装置102が駆動され、薬剤棚部領域103に配置された多数の薬剤容器2の中から、処方箋に合致する薬剤が収容された薬剤容器2を選定し、薬剤フィーダ50の本体装置3に設置する。なおこの際に、図示しない押圧片によって、可動蓋部134の摘まみ部147が押圧されて可動蓋部134が開かれ、開状態維持用の磁石156の吸着力によって可動蓋部134が開かれた状態が維持される。」
G「図13
[図:0001423499000001.jpg]
」
H「図17
[図:0001423499000002.jpg]
」
I「図29
[図:0001423499000003.jpg]
」
J「図30
[図:0001423499000004.jpg]
」
K「図49
[図:0001423499000005.jpg]
」
上記A、C~Fの特に下線部の記載及び上記G~Kの図面の記載からすれば、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「薬剤容器2、2Cの薬剤を散薬分配装置202で分配し、さらにこれを個別に包装する機能を備えた薬剤払出し装置100であって、
薬剤容器2、2Cは、薬剤排出部8Cを有し、
薬剤棚部領域103、薬剤分割領域105、薬剤包装領域106に分けられ、
薬剤棚部領域103には薬剤容器収容棚101が設けられ、
薬剤包装領域106の外壁側には、薬剤容器投入口151が設けられ、
重量測定手段152が設けられ、
薬剤分割領域105には、分配皿212と、薬剤フィーダ50が設置され、
薬剤包装領域106には、薬剤包装装置203が内蔵され、
薬剤容器2は薬剤容器収容棚101に並べられており、薬剤容器移動装置102で薬剤容器2を選定し薬剤フィーダ50に載置する動作と、薬剤容器2Cを薬剤容器投入口151の内部の重量測定手段152に載置し、薬剤容器2Cに収容された薬剤を分包する動作を実行する薬剤払出し装置100。」
(イ)甲2の記載
甲2には次の事項が記載されている。
A「【0034】
包装モニタ画面で、入力キーを操作すると、図7に示す処方入力画面が表示される。処方入力画面は、フォーマット欄、患者ID欄、患者名欄、診療科欄、病棟名欄、用法欄、包数欄、カセット選択キー、手撒き入力キー、連続キー、発行キー、割込キー、取消キー、イメージキー、行挿入キー、行削除キー、一括登録キー、戻るキーで構成されている。処方入力画面の空欄には、処方箋の記載事項に基づいて、患者データ、薬品データ、用法データ等の処方データを入力する。
【0035】
フォーマット欄の選択キー「▼」を操作すると、予め、後述する図14に示すマスターメンテナンス画面で登録した印字設定内容を選択することができる。
【0036】
患者ID欄の選択キー「▼」を操作すると、予め登録した患者ID、患者名(漢字、カナ)が一覧表示されるので、簡単に所望の患者を選択することができる。患者IDは、「誕(birth day)」キーを操作して生年月日を入力したり、空欄に患者名を入力することによっても選択することができる。また患者名を入力すれば、入力途中で自動的に文字検索され、該当する氏名が全てリストとしてポップアップ表示されるので、そのリスト中から選択することができる。患者IDが入力されると、自動的に患者名欄に漢字及びカナで患者名が表示される。また診療科欄、病棟名欄、用法欄の各選択キー「▼」を操作すれば、対応するリストがポップアップ表示されるので、その中から簡単に選択することができる。用法を選択すれば、該当するキー(「朝」、「昼」、「夕」)が反転表示され、記憶させたデータが変更される。キーの表示は、操作により「漢字用法」と「かな用法」に切り替わるキーの操作によって表記を漢字とかなとに切り替えることができる。但し、表記方法の変更は他のキーについて行えるようにしてもよい。
【0037】
薬品欄は、薬品コード、薬品名、用量、単位、服用時期の各列で構成されている。薬品コードの空欄には、コード番号を直接入力でき、又この空欄を操作して欄内右側に表示させた選択キー「▼」を操作し、登録した薬品リストをポップアップ表示させ、この表示内容から選択することも可能である。新規に薬品(薬剤)を登録する場合には、薬品コードの空欄にコード番号を直接入力すると、薬品登録画面がポップアップ表示されるので、表示内容(薬品名、単位コード、剤形等)に従って諸情報を入力することが可能である。
【0038】
また、カセット選択キーを操作することによっても用法データを入力することができる。すなわち、カセット選択キーを操作すると、前記処方入力画面から、図8に示すカセット選択画面に切り替わる。
【0039】
カセット選択画面は、配列画面、決定キー、臨時変更キー、臨時初期化キー、戻るキーで構成されている。
【0040】
前記図8に示す配列画面は、錠剤収納棚1の各錠剤カートリッジ11に対応するように表示した薬剤容器の配列図と、配列図の各薬剤容器に対応する領域に表示した薬剤名称と、服用データ欄(図8の薬剤名「アスパラ」では1110となっている。)とで構成されている。薬剤名称は、各錠剤カートリッジ11の薬剤識別部(錠剤識別部16)を読取装置40で読み取ることにより、実際の薬剤容器に対応する領域に、実施に収容されている薬剤の薬剤名称が表示される。薬剤名称が表示される領域を操作すると、図9に示すように、その領域が反転表示されると共に、薬剤数入力画面がポップアップ表示される。また、薬剤容器を取り外せば、該当領域の薬剤名称は消去される。
【0041】
なお、配列画面は、前記錠剤収納棚1の収納場所に対応した複数の領域(セル)からなり、最下段は、他の薬剤に交換可能な自由領域に対応している。前記図8に示す配列画面で、臨時変更キーを操作すると、図10に示すように、変更可能な薬剤名称がポップアップ表示される。表示された薬剤名称をクリックすると、図11に示すように、薬剤名称が一覧表示されるので、変更を希望する薬剤名称を簡単に選択することができる。
【0042】
また、配列画面には、図1に示すように、錠剤収納棚1の各棚に錠剤カートリッジ11を固定するタイプのものについて表示するようにしているが、収納棚が円筒形で回転式のタイプであれば、正面に見える部分のみを配列画面に表示することもできる。この場合、収納棚が回転することにより、配列画面での表示を順次変化させればよい。
【0043】
前記図9に示す薬剤数入力画面は、服用時期(朝、昼、夕、眠)、薬剤数を入力するための空欄、UPキー(▲)、DAWNキー(▼)、確定キー、Clearキー、取り消しキーで構成されている。各空欄には、UPキー(▲)、DAWNキー(▼)又は図示しないテンキーによって薬剤数を入力する。Clearキーにより空欄を全て0にリセットでき、取り消しキーにより薬剤数入力画面を消去することができる。薬剤数の入力が完了すれば、確定キーを操作することにより用法データを確定することができる。
【0044】
図8に示す配列画面で、決定キーを操作すると、薬剤数入力画面で入力した用法データを前記薬品欄に反映することができる。臨時変更キーを操作すると、収納棚1から交換可能な薬剤の一覧表がポップアップ表示される。臨時初期化キーを操作すると、配列画面の最下段の表示が初期表示に切り替わる。戻るキーを操作すると、処方入力画面に切り替わる。
【0045】
前記図7に示す処方入力画面で、手撒き入力キーを操作すると、図12に示すように、散薬と錠剤の手撒きパターン表がポップアップ表示されるので、手撒きを希望する服用時期を選択すればよい。」
B「【0072】処方データが未登録であれば、入力キーを操作して処方入力画面(図7)に切り替える。処方入力画面(図7)では、まず、患者ID欄で、前記マスターメンテナンス画面(図14~23)で登録した患者データから該当するものを選択し、診療科、病棟名、用法を順次入力する。そして、薬品欄で薬品コード及び薬品名を選択し、服用量及び服用時期を入力する。このとき、用法を選択することにより服用時期が決定されているので、他の服用時期には入力ができなくなっている。したがって、誤入力を確実に回避することが可能である。
【0073】また、薬品欄で、直接、服用量及び服用時期を入力する代わりに、カセット選択キーを操作して配列画面(図8)に切り替えれば、どの薬剤がどの位置に配置した錠剤カートリッジ11に収容されているのかを把握しながら服用データの入力を行うことが可能となる。したがって、実際に包装処理の開始後に該当する薬剤がセットされていないといった不具合の発生を未然に防止することができる。この場合も、前記薬品欄と同様に、選択された用法によって薬剤数入力画面(図9)で入力可能な服用時期が制限される。」
C「【0076】
以上のようにして処方データの入力を行うと、前記配列画面(図8)では、供給処理の対象となる薬剤が収容された薬剤容器に対応する領域が強調表示される。したがって、誤って包装処理前のものを取り外してしまうといった不具合を防止できる。
【0077】
また、使用期限の近付いたあるいは過ぎた薬剤については、処方入力画面において、図31に示すように、使用期限切れもしくは使用期限間近である旨の警告表示を行う。これにより、使用期限が切れたか切れそうな薬剤を処方してしまうといった不具合を防止することができる。
【0078】
なお、前記実施形態では、錠剤収納棚1に未装着の薬剤については触れなかったが、錠剤収納棚1に隣接して保管棚101を設けるようにしてもよい。
【0079】
保管棚101の各保管場所には、読取装置17が埋設されると共に、表示ランプ18が正面から視認可能に取り付けられている。前記読取装置17は、発光素子17aと受光素子17bを一体にした複数のユニットからなる。そして、錠剤カートリッジ11が保管場所に装着されたとき、発光素子17aから放射した光を錠剤カートリッジ11の薬剤識別部16の反射板で反射させて受光素子17bで受光することにより錠剤データを読み取る。
【0080】
このような保管棚を設けた場合、表示装置4に表示した配列画面(図8)では、全ての処方データに含まれる薬剤を供給する薬剤容器に対応する領域を強調表示し、他の領域のうち、前記保管棚に近いものから順に交換可能である旨を表示すると、交換作業を効率的に行うことが可能となる点で好ましい。」
D「【図7】 処方入力画面を示す図である。
【図8】 配列画面を示す図である。」
E「【図7】
[図:0001423499000006.jpg]
」
F「【図8】
[図:0001423499000007.jpg]
」
(ウ)甲3の記載
甲3には次の事項が記載されている。
A「
[図:0001423499000008.jpg]
」
B「
[図:0001423499000009.jpg]
」
してみれば、甲3には、「入力画面に「カセット選択」ボタンと「手撒き入力」ボタンが表示されること」が記載されている。
イ 対比
(ア)甲1発明の「薬剤」は散薬であり、甲1発明の「薬剤容器2、2C」は、機能及び構造上、本件発明1の「散薬収容容器」に相当するので、甲1発明の「薬剤容器2、2Cの薬剤を散薬分配装置202で分配し、さらにこれを個別に包装する機能を備えた薬剤払出し装置100」は、本件発明1の「散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、散薬を所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置」に相当する。
(イ)甲1発明の「薬剤排出部8C」は、薬剤容器2、2Cに収容した散薬を排出する排出口であるから、甲1発明の「薬剤容器2、2Cは、薬剤排出部8Cを有」する点は、本件発明1の「散薬収容容器は、散薬を収容するものであり、収容した散薬を排出するための排出口となる排出口部を有」する点に相当する。
(ウ)甲1発明の「薬剤棚部領域103」、「薬剤分割領域105」、「薬剤包装領域106」は、機能及び構造上、それぞれ本件発明1の「薬品容器配置領域」、「薬品分割領域」、「薬品包装領域」に相当するから、甲1発明の薬剤払出し装置100が「薬剤棚部領域103、薬剤分割領域105、薬剤包装領域106に分けられ」る点は、本件発明1の薬品払出装置が「内部に薬品容器配置領域、薬品分割領域、薬品包装領域が設けられ」る点に相当する。
(エ)甲1発明の「薬剤容器収容棚101」は薬剤容器2、2Cを保管するものであり、機能及び構造上、本件発明1の「容器保管装置」に相当するから、甲1発明の「薬剤棚部領域103には薬剤容器収容棚101が設けられ」る点は、本件発明1の「薬品容器配置領域には、複数の散薬収容容器を保管するための容器保管装置が設けられ」る点に相当する。
(オ)甲1発明の「外壁側」及び「薬剤容器投入口151」は、機能及び構造上、本件発明1の「外側壁面」及び「扉部」に相当するから、甲1発明の「薬剤包装領域106の外壁側には、薬剤容器投入口151が設けられ」る点と、本件発明1の「薬品容器配置領域の外側壁面には、扉部が設けられ」る点は、「外側壁面には、扉部が設けられ」る点である限りで一致する。
(カ)甲1発明の「重量測定手段152」は、薬剤容器2、2Cを一時的に設置するものであり、本件発明1の「容器仮置部」に相当する。
(キ)甲1発明が「掻出装置215」を有することは、「分配皿212」を用いていること及び従来例についての上記ア(ア)Bの記載から明らかである。
そして、甲1発明の「分配皿212」は薬剤を配分するものであり、上記「掻出装置215」は薬剤を掻き出すものであるから、甲1発明の「分配皿212」、「掻出装置215」、「薬剤フィーダ50」は、機能及び構造上、それぞれ本件発明1の「分配皿」、「掻出装置」、「容器保持台」に相当し、甲1発明の「薬剤分割領域105には、分配皿212と、掻出装置215と、薬剤フィーダ50が設置され」る点は、本件発明1の「薬品分割領域には、散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置と、容器保持台とが設けられ」る点に相当する。
(ク)甲1発明の「薬剤包装装置203」は、機能及び構造上、本件発明1の「薬品包装装置」に相当するから、甲1発明の「薬剤包装領域106には、薬剤包装装置203が内蔵され」る点は、本件発明1の「薬品包装領域には、薬品包装装置が設けられ」る点に相当する。
(ケ)上記(キ)のとおり、甲1発明が、掻出装置215によって分配皿212の薬剤を掻き出して薬剤包装領域106側に落下させ、薬剤包装装置203によって薬剤を包装する分包動作が可能であ」ることは明らかであるから、甲1発明は、本件発明1の「掻出装置によって分配皿の散薬を掻き出して薬品包装領域側に落下させ、薬品包装装置によって散薬を包装する分包動作が可能であ」る点を備えている。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
散薬収容容器から所定量の散薬を取り出し、散薬を所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬品払出装置であって、
散薬収容容器は、散薬を収容するものであり、収容した散薬を排出するための排出口となる排出口部を有し、
内部に薬品容器配置領域、薬品分割領域、薬品包装領域が設けられ、
薬品容器配置領域には、複数の散薬収容容器を保管するための容器保管装置が設けられ、
外側壁面には、扉部が設けられ、
容器仮置部が設けられ、
薬品分割領域には、散薬収容容器から排出された散薬を配分する分配皿と、当該分配皿に投入された散薬を掻き出すための掻出装置と、容器保持台とが設けられ、
薬品包装領域には、薬品包装装置が設けられ、
掻出装置によって分配皿の散薬を掻き出して薬品包装領域側に落下させ、薬品包装装置によって散薬を包装する分包動作が可能である薬品払出装置。
【相違点】
1 扉部が、本件発明1では薬品容器配置領域に設けられているのに対し、甲1発明では薬剤包装領域106に設けられている点。
2 本件発明1は正面ドアが設けられているのに対し、甲1発明には設けられていない点。
3 本件発明1は、「散薬収容容器は容器保管装置に保管されており、自動で散薬収容容器を容器保管装置から取り出して容器保持台に載置して散薬収容容器に収容された散薬を分包する第1分包動作と、外部の管理棚に保管されており、使用者により選択された薬品が収容された散薬収容容器を薬品払出装置内の容器仮置部に手動で載置し、散薬収容容器に収容され、処方に基づく量の散薬を分包する第2分包動作と、使用者が処方された散薬を手動式薬品容器に予め充填し、手動式薬品容器に充填された全ての量の散薬を排出するために手動式薬品容器を使用者が正面ドアから薬品払出装置内の容器保持台に載置し、収容された散薬を分包する第3分包動作とを実行し、各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、第1分包動作又は第2分包動作を実行するのか、又は、第3分包動作を実行するのかのいずれか一方を選択するボタンを表示装置に表示する」のに対し、甲1発明は、薬剤容器2は薬剤容器収容棚103に並べられており、薬剤容器移動装置102で薬剤容器2を選定し薬剤フィーダ50に載置する動作と、薬剤容器2Cを薬剤容器投入口151の内部の重量測定手段152に載置し、薬剤容器2Cに収容された散薬を分包する動作を実行する点。
ウ 判断
事案に鑑み、まず相違点3について検討する。
甲1発明の「薬剤容器2は薬剤容器収容棚103に並べられており、薬剤容器移動装置102で薬剤容器2を選定し薬剤フィーダ50に載置する動作」は、上記イのとおり、甲1発明の「薬剤容器2」、「薬剤容器収容棚101」、「薬剤フィーダ50」が、それぞれ本件発明1の「散薬収容容器」、「容器保管装置」、「容器保持台」に相当し、薬剤容器移動装置102は自動で薬剤容器2を薬剤容器収容棚101から取り出して薬剤フィーダ50に載置しているから、本件発明1の第1分包動作に相当する。
しかし、甲1発明の「薬剤容器2Cを薬剤容器投入口151の内部の重量測定手段152に載置し、薬剤容器2Cに収容された散薬を分包する動作」について、甲1発明の「薬剤容器2C」及び「重量測定手段152」が、それぞれ本件発明1の「散薬収容容器」及び「容器仮置部」に相当し、当該動作が本件発明1の第2分包動作に相当するとすれば、甲1発明は第3分包動作に係る構成を有しないことになるし、仮に甲1発明の「薬剤容器2C」、「薬剤容器投入口151」及び「重量測定手段152」が、それぞれ本件発明1の「散薬収容容器」、「正面ドア」及び「容器保持台」に相当し、当該動作が本件発明1の第3分包動作に相当するとすれば、甲1発明は第2分包動作に係る構成を有しないことになる。
そして、本件発明1は「各種情報を表示するための表示装置をさらに有し、第1分包動作又は第2分包動作を実行するのか、又は、第3分包動作を実行するのかのいずれか一方を選択するボタンを表示装置に表示する」という構成を備えており、第2分包動作と第3分包動作は同じ分包動作ではないから、相違点3は実質的な相違点である。
また、上記相違点3に係る第1分包動作~第3分包動作を備える構成については、異議申立書で主張されている甲2及び3の上記ア(イ)、(ウ)の記載事項に照らしても、甲2及び甲3に記載されているということはできないから、上記相違点3に係る構成を甲1発明並びに甲2及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に想到できたとはいえない。
よって、相違点1及び2については検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明並びに甲2及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~5について
上記(1)のとおり、本件発明1は、甲1発明並びに甲2及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2~5も、同様の理由により、甲1発明並びに甲2及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
以上のとおり、本件発明1~5は、甲1発明並びに甲2及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 まとめ
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700490