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特許異議申立

2024-700567

薬剤払出し装置

審判番号
2024-700567
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-075843
登録番号
7397497
請求日
2024年06月13日
審決日
2025年07月17日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社湯山製作所
  • 【権利者代理人】藤田 隆
  • 【異議申立人】ジュネスプロパティーズ 株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 正章
  • 審判官 三森 雄介
  • 審判官 太田 良隆
分類
P1652.113-YAA(A61J) / P1652.121-YAA(A61J) / P1652.537-YAA(A61J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7397497号発明「薬剤払出し装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7397497号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2~4〕、〔6~7〕について訂正することを認める。 特許第7397497号の請求項2~4、6~7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許7397497号(以下「本件特許」という。)の請求項2~4、6~7に係る特許についての出願は、平成28年 8月 8日(優先権主張 平成27年 8月11日)を国際出願日とする出願である特願2016-557671号の一部を、平成28年11月 4日に新たな特許出願とした特願2016-216489号の一部を、令和 3年 4月 2日に新たな特許出願とした特願2021-63266号の一部を、令和3年 4月28日に新たな特許出願としたものであって、令和 5年12月 5日にその特許権の設定登録がされ、令和 5年12月13日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和 6年 6月13日に、本件特許の請求項2~4、6~7に係る特許に対し、特許異議申立人 ジュネスプロパティーズ株式会社(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 その後の本件特許異議申立事件の主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和 6年 8月 1日付け 取消理由通知 令和 6年10月 2日提出 訂正請求書及び意見書(特許権者) 令和 7年 3月27日付け 訂正請求があった旨の通知 令和 7年 4月30日提出 意見書(申立人) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和 6年10月 2日付けの訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)における訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2に「薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵され、当該薬剤を排出させる部材が外部から動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる構成であり、」と記載されているのを、「薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵され、当該薬剤を排出させる部材が前記容器移動手段から動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる構成であり、」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記容器移動手段は、前記容器保持手段を移動させて、前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から外された薬剤容器を所定の位置に移動させることが可能であり、」と記載されているのを、「前記容器移動手段は、前記容器保持手段を移動させて、前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から前記容器移動手段で外された薬剤容器を所定の位置に移動させることが可能であり、」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2に「前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して取り外し、」と記載されているのを、「前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して前記容器移動手段で取り外し、」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6に「薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵され、当該薬剤を排出させる部材が外部から動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる構成であり、」と記載されているのを、「薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵され、当該薬剤を排出させる部材が前記容器移動手段から動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる構成であり、」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して取り外し、」と記載されているのを、「前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して前記容器移動手段で取り外し、」に訂正する。 2 一群の請求項 本件訂正前の請求項2~4において、請求項3~4は、請求項2を直接又は間接的に引用するものであって、上記訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものであるから、本件訂正後の請求項2~4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 同様に、請求項7は、請求項6を直接引用するものであって、上記訂正事項4及び5によって記載が訂正される請求項6に連動して訂正されるものであるから、本件訂正後の請求項6~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び新規事項の有無 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項2の「外部から動力伝達を受けて」を、本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件明細書」という。)の段落【0063】の記載を根拠として、「前記容器移動手段から動力伝達を受けて」に限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえず、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2の「前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から外された薬剤容器」を、本件明細書の段落【0010】の記載を根拠として、「薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から前記容器移動手段で外された薬剤容器」に限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえず、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項2の「薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して取り外し」を、本件明細書の段落【0010】の記載を根拠として、「薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して前記容器移動手段で取り外し」に限定するものである。 したがって、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえず、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、本件訂正前の請求項6の「外部から動力伝達を受けて」を、本件明細書の段落【0063】の記載を根拠として、「前記容器移動手段から動力伝達を受けて」に限定するものである。 したがって、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえず、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、本件訂正前の請求項6の「薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して取り外し」を、本件明細書の段落【0010】の記載を根拠として、「薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して前記容器移動手段で取り外し」に限定するものである。 したがって、訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえず、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 4 独立特許要件について 訂正事項1~3に係る請求項2~4、及び、訂正事項4~5に係る請求項6~7は、いずれも本件特許異議の申立てがされているから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の適用はない。 5 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2~4〕、〔6~7〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項2~4、6~7に係る発明(以下、請求項順に「本件発明2」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2~4、6~7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 本件発明2「散薬を収容する薬剤容器と、複数の薬剤容器を保管する薬剤容器収容部と、薬剤容器を移動させる容器移動手段と、分配皿と、包装装置とを有し、 前記容器移動手段は、薬剤容器を保持する容器保持手段を有し、 薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵され、当該薬剤を排出させる部材が前記容器移動手段から動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる構成であり、 薬剤容器から排出した散薬を前記包装装置で包装する薬剤払出し装置であって、 前記容器移動手段は、前記容器保持手段を移動させて、前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から前記容器移動手段で外された薬剤容器を所定の位置に移動させることが可能であり、 前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して前記容器移動手段で取り外し、前記容器移動手段により前記選択されて取り外された1つの薬剤容器を所定の位置に移動し、前記移動した1つの薬剤容器を容器保持手段で保持した状態で、前記移動した1つの薬剤容器の薬剤を排出させる部材に動力伝達して当該薬剤容器から散薬を一服用単位毎または複数服用分の合計量を排出することが可能であり、 前記移動した1つの薬剤容器を容器保持手段で保持したままの状態で、前記移動した1つの薬剤容器から直接分配皿に散薬を排出することを特徴とする薬剤払出し装置。」 本件発明3「容器移動手段は、物品を平面移動させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤払出し装置。」 本件発明4「分配皿は、さらに薬剤投入溝を有し、 前記所定の位置は、薬剤投入溝の上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤払出し装置。」 本件発明6「散薬を収容する薬剤容器と、複数の薬剤容器を保管する薬剤容器収容部と、薬剤容器を移動させる容器移動手段と、分配皿と、包装装置とを有し、 薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵され、当該薬剤を排出させる部材が前記容器移動手段から動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる構成であり、 前記容器移動手段は、薬剤容器を保持する容器保持手段を有し、 排出した散薬を前記包装装置で包装する薬剤払出し装置の散薬排出方法であって、 (i)薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して前記容器移動手段で取り外し、 (ii)容器移動手段により前記選択されて取り外された1つの薬剤容器を所定の位置に移動し、 (iii)前記移動した1つの薬剤容器を容器保持手段で保持した状態で、前記移動した1つの薬剤容器から散薬を一服用単位毎または複数服用分の合計量を直接分配皿に排出することを特徴とする薬剤払出し装置の散薬排出方法。」 本件発明7「分配皿は、さらに薬剤投入溝を有し、 前記所定の位置は、薬剤投入溝の上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の薬剤払出し装置の散薬排出方法。」 第4 特許異議の申立ての理由及び取消理由の概要 1 特許異議の申立ての理由の概要 申立人が特許異議申立書において本件訂正前の請求項2~4、6~7に対して主張する申立理由の概要及び提出した証拠は以下のとおりである。 (1)申立人による申立理由の概要 ア 理由1:特許法第29条第1項第3号 本件特許の請求項2、3及び6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証又は甲第4号証に記載された発明である。 イ 理由2:特許法第29条第2項 (ア)本件特許の請求項2、3及び6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証又は甲第1号証、甲第3号証~甲第5号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件特許の請求項4及び7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証又は甲第1号証~甲第5号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (イ)本件特許の請求項2、3及び6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第4号証に記載の発明、又は、甲第4号証、甲第1号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件特許の請求項4及び7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第4号証及び甲第2号証に記載の発明、又は、甲第4号証、甲第1号証及び甲第2号証に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 理由3:特許法第36条第6項第2号 (ア)請求項2について 本件特許の請求項2に係る発明は「前記容器移動手段は、前記容器保持手段を移動させて、前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から外された薬剤容器を所定の位置に移動させることが可能であり」及び「前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して取り外し、」と記載されているが、上記記載において薬剤容器を薬剤容器収容部から取り外す主体が特定されておらず、不明確である。よって、本件特許の請求項2に係る発明は不明確である。 (イ)請求項6について 本件特許の請求項6に係る発明は「前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して取り外し、」と記載されているが、上記記載において薬剤容器を薬剤容器収容部から取り外す主体が不明である。よって、本件特許の請求項6に係る発明は不明確である。 エ 理由4:特許法第36条第6項第1号 本件特許の請求項2及び6に係る発明は、上記ウのとおり薬剤容器を薬剤容器収容部から取り外す主体が特定されていないから、発明の詳細な説明に記載されていない主体まで、薬剤容器を薬剤容器収容部から取り外す主体として含むと考えられる。 また、本件特許の請求項2及び6に係る発明は「薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵され、当該薬剤を排出させる部材が外部から動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる構成であり、」と記載されているが、本件特許公報には、容器移動手段から動力伝達を受けることしか記載されていないから、容器移動手段以外の、発明の詳細な説明に記載されていない「外部」の手段から、薬剤を排出させる部材が動力伝達を受けていることを含むと考えられる。 したがって、本件特許の請求項2及び6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていない。 (2)証拠 申立人が提出した証拠は、次のとおりである。(以下「甲第1号証」を「甲1」等という。) (ア)甲第1号証:特開平5-49676号公報 (イ)甲第2号証:特開平7-80043号公報 (ウ)甲第3号証:特開平5-285198号公報 (エ)甲第4号証:特開平5-285202号公報 (オ)甲第5号証:国際公開第2015/076267号 2 取消理由の概要 本件訂正前の請求項2~4、6~7に係る特許に対して当審が通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項2、6の「外部から動力伝達を受けて」との記載は、どこから動力伝達を受けるのかが明確でない。 また、請求項2の「前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から外された」及び請求項2、6の「薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して取り外し」は、薬剤容器収容部に保管された薬剤容器を何がどうすることを特定しているのかが明確でない。 請求項3~4は、請求項2を引用し、請求項7は、請求項6を引用するので、同様である。 よって、請求項2~4、6~7に係る発明は、明確でない。 第5 当審の判断 1 甲1の記載及び引用発明1 甲1には、以下の事項が記載されている(なお、「・・・」は省略を表す。また、下線は当審で付した。以下同様。)。 (ア)「【0007】 【実施例】図1はこの発明による散薬供給装置の一実施例をブロック図で示したものであり、この散薬供給装置は、各種類の散薬を収容して、必要量だけ排出させるようになった複数の散薬排出装置1、1、…と、供給口3と、排出された散薬を供給口3まで搬送する搬送装置4とを具え、散薬排出装置1、1、…を移動させて、それらの任意のものの排出口と搬送装置4とを選択的に対応させるように構成されている。搬送装置4を定位置に設置し、この搬送装置4に対して、散薬排出装置1、1、…を移動させることによって任意の散薬排出装置1を対応させる場合、散薬排出装置1、1、…の配置、移動の方法およびその軌跡等については、種々の設計が可能であるため、具体的な図示を省略してある。たとえば、一例を挙げると、散薬排出装置1、1、…を円形に配置し、これらを、適宜の移動機構20によって、その円の中心(移動機構20に連なる一点鎖線で示す)のまわりに回転移動させるように構成し、その回転軌跡の一箇所に対応した位置に、搬送装置4を設置することができる。・・・さらに、適宜に配置された散薬排出装置1、1、…のすべてをつねに移動させるのでなく、必要な一部(1個または数個)の散薬排出装置1だけを移動させることによっても、散薬排出装置1、1、…の任意のものと、搬送装置4とを選択的に対応させることが可能である。各散薬排出装置1は、散薬を適宜排出可能に収容した散薬収容器11と、散薬収容器11に排出動作を行わせ、それにともなう散薬の排出量が必要量に達したとき、散薬収容器11の排出動作を終了させる排出器12とを具えている。図2は散薬排出装置1の一実施例をブロック図で示したものであり、散薬収容器11は、任意の種類の散薬を充分大量にストックしておける内容積を有するストック部13と、ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部15と、排出部15から散薬を連続的に排出させるため、ストック部13から排出部15へ散薬を供給する供給部14とから構成されている。・・・排出部15の空所内には、適宜の排出部材21が設けられ、また、その空所の適宜箇所に形成した排出口には、適宜のシャッタ22が設けられている。排出部材21は、たとえば、支軸を中心としてその周囲に螺旋状のつばが張り出して形成されたスクリューによって構成することかでき、この場台、空所は円筒形に形成して、この円筒内にスクリュー状の排出部材21を配置することが好ましく、また、この円筒の先端に排出口を形成して、ここにシャッタ22を配置することが好ましい。そして、排出部材21には、排出部材21を回転させて、円筒形空所内の散薬を排出口に向かって移動させるようになった適宜のモータ23を接続し、また、シャッタ22には、シャッタ22を開閉させて、それにともなって円筒形空所の排出口を開閉させるようになった適宜の作動部材24を接続しておく。・・・」 (イ)「【0008】つぎに、上記のように構成された散薬供給装置の作用について説明する。・・・そして、散薬収容器11の排出部15から排出され、秤量器16で秤量され終わった必要量(たとえば1処方分)の散薬は、給送装置19によって搬送装置4に導入され、さらに、搬送装置4によって供給口3まで搬送されることとなるが、このとき、搬送装置4をたとえば適宜の分割装置として構成しておくことにより、搬送装置4に導入された1処方分の散薬は、1回服用分ずつに分割されて、供給口3から供給されることとなる。」 以上の記載から、甲1は以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 「各種類の散薬を収容する複数の散薬排出装置1、1、…と、排出された散薬を供給口3まで搬送する搬送装置4とを具える、散薬供給装置であって、 散薬排出装置1、1、…を円形に配置し、移動機構20によってその円の中心のまわりに回転移動させるように構成し、その回転軌跡の一箇所に対応した位置に搬送装置4を設置し、搬送装置4に導入された1処方分の散薬は、1回服用分ずつに分割されて、供給口3から供給され、 各散薬排出装置1は、散薬を排出可能に収容した散薬収容器11と、散薬収容器11に排出動作を行わせる排出器12とを具え、散薬収容器11は、ストック部13と、ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部15と、ストック部13から排出部15へ散薬を供給する供給部14とから構成され、排出部15の空所内にはスクリューによって構成する排出部材21が設けられ、排出部材21には、排出部材21を回転させて、散薬を排出口に向かって移動させるモータ23を接続し、 必要な一部(1個または数個)の散薬排出装置1だけを移動させることによって、散薬排出装置1、1、…の任意のものと、搬送装置4とを選択的に対応させる、散薬供給装置。」 2 甲2に記載された事項 甲2には、以下の事項が記載されている。 「【0007】 【実施例】図1~図3はこの発明による散薬供給装置を採用した散薬分包機の一実施例を示したものであり、この散薬分包機1は、手前に配置された分割包装機2と、その背後に配置された散薬収納庫20とから構成されている。 【0008】分割包装機2は、配分/分割装置3を左右に2台(3a、3b)具え、その下方に、両者に共通のホッパ4を有する包装装置5が設置されたものである。配分/分割装置3は、断面が円弧状に窪んだ環状の凹溝6を具えた回転体と、散薬の配分時に回転体を定速回転させ、また、散薬の分割時に分割数に応じた角度ずつ回転体を回動させるようになった駆動装置7とを具えている。また、配分/分割装置3は、回転体の内側から凹溝6上へ突き出して設けられた切出装置8を具え、切出装置8は、凹溝6の円弧状内側面に接触する円形の仕切板の側面に、所定幅の切出板が形成されたものであり、仕切板が凹溝6の円弧状内側面に沿って1回転すると、切出板がその幅相当分に集められた散薬を切り出して、凹溝6から包装装置5のホッパ4に導入するように構成されている。また、配分/分割装置3は、散薬の分割時に切出装置8を1回転ずつ繰り返し回転させるとともに、散薬の配分時には邪魔にならないよう切出装置8を上方へ退避させるようになった駆動装置9を具え、さらに、手撒き用の振動フィーダ10も具えている。」 3 甲3に記載された事項 甲3には、以下の事項が記載されている。 「【0007】 【実施例】図1はこの発明による散薬供給装置の一実施例を示したものであり、この散薬供給装置は、左右方向に沿って1列に並べて配置(左右配置すなわちX軸配置)された多数の散薬収容器1、1、…と、任意の散薬収容器1を個別に移動させて取出位置2にもたらす移動手段3と、取出位置2において散薬収容器1から散薬を必要量取り出す手段9と、取り出された散薬を一定量ずつに分割する手段11とを具えている。・・・移動手段3は、散薬収容器1、1、…の隣接位置においてそれらの間を移動して、それらの散薬収容器1、1、…のなかから、任意の散薬収容器1を個別に移動させるハンドリング装置7として構成され、ハンドリング装置7は、個別に移動させた散薬収容器1を取出位置2にもたらすようになっている。・・・散薬収容器1の個別移動に関連した各部の作動、すなわち、ハンドリング装置7の作動による個別移動させるべき散薬収容器1の指定およびその実行は、制御装置10によって制御されるようになっている。すなわち、ハンドリング装置7は、散薬収容器1、1、…のなかから、制御装置10で指定された散薬収容器1をハンドリングして、それを取出位置2まで個別移動させる一方、取出位置2にあって不要となった散薬収容器1をハンドリングして、それを元の位置に戻すように構成されている。このようなハンドリング装置7としては、適宜のものが使用可能であるから、その構成についての詳細な説明は省略することとする。・・・」 4 甲4の記載及び引用発明4 甲4には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0009】図2はこの発明による散薬供給装置の他の実施例を示したものであり、この散薬供給装置は、多数の散薬収容器1、1、…と、任意の散薬収容器1に収容された散薬を、所定の軸線のまわりにしかも個別に移動させて、取出位置2に必要量取り出す手段3、9(移動手段3および計量手段9)と、取り出された散薬を一定量ずつに分割する手段11とを具えている。すなわち、移動手段3は、任意の散薬収容器1を取出位置2にもたらすものであり、また、計量装置9は、取出位置2において散薬収容器1から散薬を必要量排出させるものである。各散薬収容器1は、散薬をストックするストック部4と、ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部5とから構成されている。排出部5は、適宜に構成することが可能であるが、たとえば、排出路中に設けたスクリューの回転、停止と、出口に設けたシャッタの開、閉とを組み合わせることによって、実現することができる。移動手段3は、以下に説明するように、ハンドリング装置7として構成されている。散薬収容器1、1、…は、所定の軸線のまわりに形成された円弧に沿って1列に並べて配置されている。散薬収容器1、1、…の隣接位置には、それらの間を移動して、それらの散薬収容器1、1、…のなかから、任意の散薬収容器1を個別に移動さぜるハンドリング装置7が設けられ、ハンドリング装置7は、個別に移動させた散薬収容器1を取出位置2にもたらすようになっている。取出位置2には、この位置にもたらされた散薬収容器1の排出部5を作動させる駆動装置8と、駆動装置8の作動により排出部5から排出される散薬を計量する計量装置9とが設けられ、計量装置9の計量値があらかじめ決められた必要量に達すると、駆動装置8が排出部5の作動を停止させるように構成されている。・・・」 (イ)「【0010】つぎに、上記のように構成された散薬供給装置の作用について説明する。・・・取出位置2において散薬収容器1から取り出されたあらかじめ決められた必要単の散薬は、分割装置11に導入され、分割装置11の作動によって、1回服用量ずつに分割されたうえ、包装装置12の作動によって、その1回服用量ずつそれぞれ1包に分包されることとなる。」 (ウ)「【図2】 [図:0001427941000001.jpg] 」 以上の記載から、甲4には以下の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されている。 「多数の散薬収容器1、1、…と、任意の散薬収容器1を取出位置2にもたらす移動手段3と、取出位置2において散薬収容器1から散薬を必要量排出させる計量装置9を具えた、散薬供給装置であって、取出位置2において散薬収容器1から取り出された散薬は、分割装置11に導入され1回服用量ずつに分割され、包装装置12によって1回服用量ずつそれぞれ1包に分包される、散薬供給装置であって、 散薬収容器1は、散薬をストックするストック部4と、ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部5とから構成され、排出部5は、排出路中に設けたスクリューの回転、停止によって実現し、 移動手段3は、ハンドリング装置7として構成され、散薬収容器1、1、…は、所定の軸線のまわりに形成された円弧に沿って1列に並べて配置され、散薬収容器1、1、…の隣接位置には、それらの間を移動して、それらの散薬収容器1、1、…のなかから、任意の散薬収容器1を個別に移動させるハンドリング装置7が設けられ、 取出位置2には、この位置にもたらされた散薬収容器1の排出部5を作動させる駆動装置8と、駆動装置8の作動により排出部5から排出される散薬を計量する計量装置9とが設けられる、散薬供給装置。」 5 甲5に記載された事項 甲5には、以下の事項が記載されている。 「[0050] 以下さらに本発明の実施形態の薬剤払出し装置1について説明する・・・。 本実施形態の薬剤払出し装置1は、筐体7によって囲まれており、その内部は、薬剤棚部領域100と、薬剤分割領域200と、薬剤包装領域300に分かれている。・・・ [0051] 薬剤棚部領域100には、薬剤容器2を設置する容器保管装置101が設けられている。本実施形態では、容器保管装置101は、略水平方向に回転する縦型のドラム部材102を有し、ドラム部材102の外周面に複数の容器設置部103が設けられたものである。・・・ [0052] ドラム部材102は、モータによって回転し、所望の薬剤容器2が、後記する容器移動手段700のロボット702に近接され、ロボット702によって着脱される。 [0053] 薬剤棚部領域100から薬剤分割領域200に至る領域に、容器移動手段700が設けられている。図43に示すように容器移動手段700は、垂直方向に設けられた昇降機構701に、ロボット702が設けられたものである。ロボット702は、2本のアーム部材705,706と、ハンド部707とを有するものである。ハンド部707には、電磁石が設けられており、薬剤容器2の鉄板を磁着して保持することができる。」 6 当審の判断 ア 取消理由及び申立理由の理由3(特許法第36条第6項第2号)について (ア)取消理由の概要 取消理由の概要は、上記第4の2のとおりである。 (イ)申立理由の概要及び申立人の主張 申立理由の概要及び申立人の主張は、上記第4の1(1)ウのとおりである。 (ウ)判断 上記第2で述べたとおり、本件発明2及び本件発明6は、本件訂正請求における訂正事項1~訂正事項5により、薬剤容器を薬剤容器収容部から取り外す主体、及び、動力伝達を受ける主体が容器移動手段であることが明確になった。 したがって、本件発明2及び本件発明6は明確であるから、取消理由及び申立理由の理由3によって取り消すことはできない。 イ 申立理由の理由1(特許法第29条第1項第3号)及び理由2(特許法第29条第2項)について (ア)引用発明1との対比 本件発明2と引用発明1とを対比すると、 (i)引用発明1の「各種類の散薬を収容する複数の散薬排出装置1、1、…」は、本件発明2の「複数の」「散薬を収容する薬剤容器」に相当する。 (ii)引用発明1の「散薬排出装置1、1、…を円形に配置し」た部は、本件発明2の「複数の薬剤容器を保管する薬剤容器収容部」に相当し、引用発明1の「移動機構20」は、本件発明2の「薬剤容器を移動させる容器移動手段」に相当する。 (iii)引用発明1の「導入された1処方分の散薬」を「1回服用分ずつに分割」する「搬送装置4」は、甲1の段落【0007】の第3欄33~43行を参照すると、本件発明2の「分配皿」に相当する。 (iv)引用発明1の「移動機構20」は、散薬排出装置1、1、…を回転移動させるために、散薬排出装置1、1、…を保持する何らかの手段を当然有するから、本件発明2の「薬剤容器を保持する容器保持手段」に相当する構成を有する。 (v)引用発明1の「排出部15の空所内に」設けられた「スクリューによって構成する排出部材21」は、本件発明2の「内蔵され」た「スクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材」に相当する。 (vi)引用発明1の「散薬排出装置1、1、…を円形に配置し、移動機構20によってその円の中心のまわりに回転移動させるように構成し、その回転軌跡の一箇所に対応した位置に搬送装置4を設置」することは、本件発明2の「前記容器保持手段を移動させて」「前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から」「薬剤容器を所定の位置に移動させること」に相当する。 (vii)引用発明1の「散薬排出装置1、1、…を」「回転移動させ」、「その回転軌跡の一箇所に対応した位置に搬送装置4を設置し、搬送装置4に導入された1処方分の散薬」を「1回服用分ずつに分割」して「供給口3から供給」することは、上記(iv)のとおり移動機構20が散薬排出装置1を保持する手段を有するから、本件発明2の「前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択し」、「前記容器移動手段により前記選択され」「た1つの薬剤容器を所定の位置に移動し、前記移動した1つの薬剤容器を容器保持手段で保持した状態で、前記移動した1つの薬剤容器の薬剤を排出させる部材に動力伝達して当該薬剤容器から散薬を一服用単位毎または複数服用分の合計量を排出することが可能であり、前記移動した1つの薬剤容器を容器保持手段で保持したままの状態で、前記移動した1つの薬剤容器から直接分配皿に散薬を排出する」ことに相当する。 したがって、両者は 「散薬を収容する薬剤容器と、複数の薬剤容器を保管する薬剤容器収容部と、薬剤容器を移動させる容器移動手段と、分配皿を有し、 前記容器移動手段は、薬剤容器を保持する容器保持手段を有し、 薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵される薬剤払出し装置であって、 前記容器移動手段は、前記容器保持手段を移動させて、前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から薬剤容器を所定の位置に移動させることが可能であり、 前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択し、前記容器移動手段により前記選択された1つの薬剤容器を所定の位置に移動し、前記移動した1つの薬剤容器を容器保持手段で保持した状態で、前記移動した1つの薬剤容器の薬剤を排出させる部材に動力伝達して当該薬剤容器から散薬を一服用単位毎または複数服用分の合計量を排出することが可能であり、 前記移動した1つの薬剤容器を容器保持手段で保持したままの状態で、前記移動した1つの薬剤容器から直接分配皿に散薬を排出する薬剤払出し装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明2は「包装装置」を有し、「薬剤容器から排出した散薬を前記包装装置で包装する」のに対し、引用発明1はそのように特定されていない点。 (相違点2)本件発明2は「当該薬剤を排出させる部材が前記容器移動手段から動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる」のに対し、引用発明1はモータ23によって排出部材21を回転させ散薬を排出口に向かって移動させる点。 (相違点3)本件発明2は、薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から「前記容器移動手段で外された」薬剤容器を所定の位置に移動させ、前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択し「て前記容器移動手段で取り外し」、前記容器移動手段により前記選択され「て取り外され」た1つの薬剤容器を所定の位置に移動するのに対し、引用発明1はそのように特定されていない点。 (イ)相違点についての判断 まず、相違点2について検討する。 甲1には、モータ23がどこに設けられているのか具体的に記載されていないから、相違点2は、実質的な相違点である。 また、相違点2に係る本件発明2の構成は、甲2~甲5のいずれの文献にも記載されておらず、周知の構成ともいえないから、引用発明1から当業者が容易になし得たものとはいえない。 したがって、相違点1、3について検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明1でなく、引用発明1から当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (ウ)引用発明4との対比 本件発明2と引用発明4とを対比すると、 (i)引用発明4の「多数の散薬収容器1、1、…」は、本件発明2の「複数の」「散薬を収容する薬剤容器」に相当する。 (ii)甲4の図2において、引用発明4の「所定の軸線のまわりに形成された円弧に沿って1列に並べて配置され」た「散薬収容器1、1、…」からなる部は、本件発明2の「複数の薬剤容器を保管する薬剤容器収容部」に相当し、引用発明4の「任意の散薬収容器1を取出位置2にもたらす移動手段3」は、本件発明2の「薬剤容器を移動させる容器移動手段」に相当する。 (iii)引用発明4の「取出位置2において散薬収容器1から取り出された散薬」を「1回服用量ずつに分割」する「分割装置11」は、甲4の図2及び段落【0007】の第2欄43~49行を参照すると、本件発明2の「分配皿」に相当し、引用発明4の「1回服用量ずつに分割され」た散薬を「1回服用量ずつそれぞれ1包に分包」する「分包装置12」は、本件発明2の「薬剤容器から排出した散薬を」「包装する」「包装装置」に相当する。 (iv)引用発明4の「散薬収容器1、1、…のなかから任意の散薬収容器1を個別に移動させるハンドリング装置7」は、本件発明2の「薬剤容器を保持する容器保持手段」に相当する。 (v)引用発明4の「排出路中に設けたスクリューの回転、停止によって」「ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部5」は、散薬収容器1内に構成されているから、本件発明2の「内蔵され」た「スクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材」に相当する。 (vi)引用発明4の「ハンドリング装置7」が「所定の軸線のまわりに形成された円弧に沿って1列に並べて配置された」「散薬収容器1、1、…のなかから、任意の散薬収容器1を個別に移動させる」ことは、本件発明2の「容器移動手段は、前記容器保持手段を移動させて、前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から前記容器移動手段で外された薬剤容器を所定の位置に移動させること」に相当する。 (vii)引用発明4の「ハンドリング装置7」が「散薬収容器1、1、…のなかから、任意の散薬収容器1を個別に移動させ」、「取出位置2において散薬収容器1から取り出された散薬」を「分割装置11に導入され1回服用量ずつに分割」することは、本件発明2の「前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して前記容器移動手段で取り外し、前記容器移動手段により前記選択されて取り外された1つの薬剤容器を所定の位置に移動し、」「前記移動した1つの薬剤容器の薬剤を排出させる部材に動力伝達して当該薬剤容器から散薬を一服用単位毎または複数服用分の合計量を排出することが可能であり、」「前記移動した1つの薬剤容器から直接分配皿に散薬を排出する」ことに相当する。 したがって、両者は 「散薬を収容する薬剤容器と、複数の薬剤容器を保管する薬剤容器収容部と、薬剤容器を移動させる容器移動手段と、分配皿と、包装装置とを有し、 前記容器移動手段は、薬剤容器を保持する容器保持手段を有し、 薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵され、当該薬剤を排出させる部材が動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる構成であり、 薬剤容器から排出した散薬を前記包装装置で包装する薬剤払出し装置であって、 前記容器移動手段は、前記容器保持手段を移動させて、前記薬剤容器収容部に保管されていて薬剤容器収容部から外された薬剤容器を所定の位置に移動させることが可能であり、 前記薬剤容器収容部に保管されている複数の薬剤容器の中から1つの薬剤容器を選択して前記容器移動手段で取り外し、前記容器移動手段により前記選択されて取り外された1つの薬剤容器を所定の位置に移動し、前記移動した1つの薬剤容器の薬剤を排出させる部材に動力伝達して当該薬剤容器から散薬を一服用単位毎または複数服用分の合計量を排出することが可能であり、 前記移動した1つの薬剤容器から直接分配皿に散薬を排出する薬剤払出し装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点4)本件発明2は薬剤を排出させる部材が「前記容器移動手段から」動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させるのに対し、引用発明4は取出位置2に設けられた駆動装置8が排出部5を作動させる点。 (相違点5)本件発明2は「前記移動した1つの薬剤容器を容器保持手段で保持した状態で、」前記移動した1つの薬剤容器の薬剤を排出させる部材に動力伝達し、「前記移動した1つの薬剤容器を容器保持手段で保持したままの状態で、」前記移動した1つの薬剤容器から直接分配皿に散薬を排出するのに対し、引用発明4はそのように特定されていない点。 (エ)相違点についての判断 まず、相違点4について検討する。 甲4には、駆動装置8が移動手段3やハンドリング装置7から動力伝達を受けることは記載されていないから、相違点4は、実質的な相違点である。 また、相違点4に係る本件発明2の構成は、甲1~甲3、甲5のいずれの文献にも記載されておらず、周知の構成ともいえないから、引用発明4から当業者が容易になし得たものとはいえない。 したがって、相違点5について検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明4でなく、引用発明4から当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (オ)本件発明6について 本件発明6は「薬剤容器はスクリューや羽根等の薬剤を排出させる部材が内蔵され、当該薬剤を排出させる部材が前記容器移動手段から動力伝達を受けて薬剤容器から薬剤を排出させる構成であり」との事項を有する。 したがって、本件発明6と引用発明1に係る方法の発明とを対比すると、少なくとも、上記(ア)の相違点2と同様の点で相違する。 そして、上記(イ)で述べたとおり、相違点2に係る本件発明2の構成は、甲1~甲5のいずれの文献にも記載されておらず、周知の構成ともいえないから、同様の構成を有する本件発明6は、引用発明1に係る方法の発明でなく、甲1の記載から当業者が容易に発明をすることができたものでない。 また、本件発明6と引用発明4に係る方法の発明とを対比すると、少なくとも、上記(ウ)の相違点4と同様の点で相違する。 そして、上記(エ)で述べたとおり、相違点4に係る本件発明2の構成は、甲1~甲5のいずれの文献にも記載されておらず、周知の構成ともいえないから、同様の構成を有する本件発明6は、引用発明4に係る方法の発明でなく、甲4の記載から当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (カ)本件発明3、4、7について 本件発明3、4は、本件発明2を直接又は間接的に引用するものであって、本件発明2の発明特定事項を全て含むものであるから、上記(ア)~(エ)と同様、引用発明1や引用発明4でなく、引用発明1及び引用発明4から当業者が容易に発明をすることができたものでない。 同様に、本件発明7は、本件発明6を直接引用するものであって、本件発明6の発明特定事項を全て含むものであるから、上記(オ)と同様、引用発明1に係る方法の発明や引用発明4に係る方法の発明でなく、甲1及び甲4の記載から当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (キ)小括 したがって、本件発明2、3、4、6及び7は、甲1又は4に記載された発明ではないから、申立理由の理由1によって取り消すことはできない。 また、本件発明2、3、4、6及び7は、引用発明1又は4に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立理由の理由2によって取り消すことはできない。 ウ 申立理由の理由4(特許法第36条第6項第1号)について (ア)申立理由の概要及び申立人の主張 申立理由の概要及び申立人の主張は、上記第4の1(1)エのとおりである。 (イ)判断 上記第2で述べたとおり、本件発明2及び本件発明6は、本件訂正請求における訂正事項1~訂正事項5により、薬剤容器を薬剤容器収容部から取り外す主体、及び、動力伝達を受ける主体が容器移動手段であることが明確となり、本件発明2及び本件発明6は、発明の詳細な説明に記載されたものであるから、申立理由の理由4によって取り消すことはできない。 第6 申立人の意見について 申立人は、令和7年4月30日提出の意見書において、概略次のとおり主張する。 「訂正発明2では、薬剤保持手段が薬剤容器を保持すると規定されるにもかかわらず、構成Aでは、あえて「容器移動手段」で外された薬剤容器と規定しているから、訂正発明2は明確でないばかりか、サポート要件違反である。」 しかしながら、本件明細書の段落【0010】には「薬剤容器収容部に保管されている薬剤容器を容器移動手段で取り出し」と記載されているから、薬剤容器を薬剤容器収容部から取り外す主体が「容器移動手段」であることは明確であり、また、発明の詳細な説明に記載されている事項である。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2~4及び6~7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項2~4、6~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700567

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