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特許異議申立

2023-700666

散薬秤量システム

審判番号
2023-700666
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-020037
登録番号
7195531
請求日
2023年06月26日
審決日
2024年11月19日
公報発行日
2025年02月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社トーショー
  • 【権利者代理人】工藤 修一
  • 【異議申立人】野田 三佳
審判長/審判官
  • 審判長 平瀬 知明
  • 審判官 土田 嘉一
  • 審判官 村上 哲
分類
P1651.121-YAA(A61J) / P1651.537-YAA(A61J) / P1651.55 -YAA(A61J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7195531号発明「散薬秤量システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7195531号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 特許第7195531号の請求項1~4に係る特許を維持する。 特許第7195531号の請求項5についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7195531号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成31年2月6日の出願であって、令和4年12月16日にその特許権の設定登録がされ、同月26日に特許掲載公報が発行された。 その後、請求項1~5に係る特許に対し、令和5年6月26日に特許異議申立人野田 三佳(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされたところ、それ以降の経緯は以下のとおりである。 令和 5年11月22日付け:取消理由通知 令和 6年 1月23日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 令和 6月 4月10日付け:訂正請求があった旨の通知 (特許法第120条の5第5項) 令和 6年 5月14日 :意見書の提出(申立人) 令和 6年 6月25日付け:取消理由通知(決定の予告) 令和 6年 8月 5日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 令和 6年11月 5日 :手続補正書(方式)の提出(特許権者) なお、令和6年1月23日提出の訂正請求書による訂正請求(以下「先の訂正」という。)は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 また、令和6年8月5日にされた訂正請求は、既に申立人に意見書の提出の機会が与えられている場合であって、訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、事件において提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても、特許を維持すべきとの結論になると合議体が判断したため、特許法第120条の5第5項ただし書に規定された「特別の事情があるとき」に該当し、申立人に対して改めて意見書を提出する機会を与えないこととした。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年8月5日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示すために当審で付した。) (1)訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、 「第1散薬収容器に付された第1散薬識別情報を読み取るのに用いられる第1情報読取器と、前記第1散薬収容器から取り出された散薬を秤量するのに用いられる秤量装置と、秤量を含む調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器と、調剤対象になりうる各種の散薬について前記第1散薬識別情報に対応した第1散薬に係る調剤用情報を保持している情報処理装置とを備えており、前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第1散薬が調剤対象にされると前記第1散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システムにおいて、 第2散薬識別情報を付された第2散薬収容器を着脱しうる容器保持部と、前記容器保持部に前記第2散薬収容器が置かれるとそれに付されている前記第2散薬識別情報を読み取る第2情報読取器と、前記容器保持部に置かれた前記第2散薬収容器から第2散薬を排出させて計量する計量部とを具備した計量装置が設けられ、 前記情報処理装置が、前記第2散薬識別情報に対応した前記第2散薬に係る調剤用情報も保持しており、処方データに基づいて前記第2散薬が調剤対象にされると前記第2散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示し、前記第2情報読取器にて前記第2散薬識別情報が読み取られると前記計量装置に前記計量部の動作指示を出すようになっており、 前記情報処理装置が、前記画面表示器に表示している前記調剤指示情報のうち前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での計量から前記秤量装置での秤量への切替指示を受付可能なものであって前記切替指示を受け付けると前記第1散薬に係る処理と同様の処理を行うようにもなっており、 前記計量装置が、いずれも、それへの前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行えるものであることを特徴とする散薬秤量システム。」とあるのを、 「手動で秤量する際に用いられ人手秤量必須の散薬である第1散薬または自動計量可能な散薬である第2散薬が収容された第1散薬収容器に付された第1散薬識別情報を読み取るのに用いられる第1情報読取器と、前記第1散薬収容器から取り出された前記第1散薬または前記第2散薬を手動で秤量するのに用いられる秤量装置と、前記秤量装置の秤量値を含む調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器と、調剤対象になりうる各種の散薬について前記第1散薬識別情報に対応した前記第1散薬に係る第1調剤用情報及び前記第2散薬に係る第2調剤用情報を保持している情報処理装置とを備えており、前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第1散薬が調剤対象にされると前記第1調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システムにおいて、 第2散薬識別情報を付された、自動計量する際に用いられる前記第2散薬が収容された第2散薬収容器を手動で着脱しうる容器保持部と、前記容器保持部に前記第2散薬収容器が置かれるとそれに付されている前記第2散薬識別情報を読み取る第2情報読取器と、前記容器保持部に置かれた前記第2散薬収容器から前記第2散薬を排出させて自動計量する計量部とを具備した計量装置が設けられ、 前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第2散薬が調剤対象にされると前記第2調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示し、前記第2情報読取器にて前記第2散薬識別情報が読み取られると前記計量装置に前記計量部の動作指示を出すようになっており、 前記第2散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記計量装置によって自動計量され、前記第1散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記秤量装置によって手動で秤量され、 前記情報処理装置が、前記画面表示器に表示している前記対応調剤指示情報のうち前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での前記自動計量から前記秤量装置を用いた手動での秤量への切替指示を受付可能なものであって前記切替指示を受け付けると前記第1散薬に係る処理と同様の処理を行うようにもなっており、 前記第2散薬収容器に前記第2散薬識別情報に加えて前記第1散薬識別情報も付されている場合には、前記第1情報読取器によって該第1散薬識別情報が読み取られた際に前記情報処理装置が前記切替指示を受け付け、 前記計量装置への前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行うものであることを特徴とする散薬秤量システム。」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~4も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 訂正前の特許請求の範囲の請求項2の「前記第2散薬に係る調剤指示情報」を「前記第2散薬に係る前記対応調剤指示情報」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項3~4も同様に訂正する。) (3)訂正事項3 訂正前の特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (4)訂正事項4 訂正前の明細書の段落【0012】に、 「本発明の散薬秤量システムは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、 第1散薬収容器に付された第1散薬識別情報を読み取るのに用いられる第1情報読取器と、前記第1散薬収容器から取り出された散薬を秤量するのに用いられる秤量装置と、秤量を含む調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器と、調剤対象になりうる各種の散薬について前記第1散薬識別情報に対応した第1散薬に係る調剤用情報を保持している情報処理装置とを備えており、前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第1散薬が調剤対象にされると前記第1散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システムにおいて、 第2散薬識別情報を付された第2散薬収容器を着脱しうる容器保持部と、前記容器保持部に前記第2散薬収容器が置かれるとそれに付されている前記第2散薬識別情報を読み取る第2情報読取器と、前記容器保持部に置かれた前記第2散薬収容器から第2散薬を排出させて計量する計量部とを具備した計量装置が設けられ、 前記情報処理装置が、前記第2散薬識別情報に対応した前記第2散薬に係る調剤用情報も保持しており、処方データに基づいて前記第2散薬が調剤対象にされると前記第2散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示し、前記第2情報読取器にて前記第2散薬識別情報が読み取られると前記計量装置に前記計量部の動作指示を出すようになっている、ことを特徴とする。」とあるのを、 「本発明の散薬秤量システムは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、手動で秤量する際に用いられ人手秤量必須の散薬である第1散薬または自動計量可能な散薬である第2散薬が収容された第1散薬収容器に付された第1散薬識別情報を読み取るのに用いられる第1情報読取器と、前記第1散薬収容器から取り出された前記第1散薬または前記第2散薬を手動で秤量するのに用いられる秤量装置と、前記秤量装置の秤量値を含む調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器と、調剤対象になりうる各種の散薬について前記第1散薬識別情報に対応した前記第1散薬に係る第1調剤用情報及び前記第2散薬に係る第2調剤用情報を保持している情報処理装置とを備えており、前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第1散薬が調剤対象にされると前記第1調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システムにおいて、第2散薬識別情報を付された、自動計量する際に用いられる前記第2散薬が収容された第2散薬収容器を手動で着脱しうる容器保持部と、前記容器保持部に前記第2散薬収容器が置かれるとそれに付されている前記第2散薬識別情報を読み取る第2情報読取器と、前記容器保持部に置かれた前記第2散薬収容器から前記第2散薬を排出させて自動計量する計量部とを具備した計量装置が設けられ、前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第2散薬が調剤対象にされると前記第2調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示し、前記第2情報読取器にて前記第2散薬識別情報が読み取られると前記計量装置に前記計量部の動作指示を出すようになっており、前記第2散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記計量装置によって自動計量され、前記第1散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記秤量装置によって手動で秤量され、前記情報処理装置が、前記画面表示器に表示している前記対応調剤指示情報のうち前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での前記自動計量から前記秤量装置を用いた手動での秤量への切替指示を受付可能なものであって前記切替指示を受け付けると前記第1散薬に係る処理と同様の処理を行うようにもなっており、前記第2散薬収容器に前記第2散薬識別情報に加えて前記第1散薬識別情報も付されている場合には、前記第1情報読取器によって該第1散薬識別情報が読み取られた際に前記情報処理装置が前記切替指示を受け付け、前記計量装置への前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行うものであることを特徴とする。」 に訂正する。 (5)訂正事項5 訂正前の明細書の段落【0013】に、 「また、本発明の散薬秤量システムは(解決手段2)、上記解決手段1の散薬秤量システムであって、 前記情報処理装置が、前記第2散薬に係る調剤指示情報を前記画面表示器に表示するときに、前記第2散薬収容器を目視で特定することができる情報も前記画面表示器に表示するようになっていることを特徴とする。」とあるのを、 「また、本発明の散薬秤量システムは(解決手段2)、上記解決手段1の散薬秤量システムであって、前記情報処理装置が、前記第2散薬に係る前記対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示するときに、前記第2散薬収容器を目視で特定することができる情報も前記画面表示器に表示するようになっていることを特徴とする。」に訂正する。 2 訂正の目的、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、特許請求の範囲の拡張又は変更でないこと (1)訂正事項1 訂正事項1について、以下のとおり訂正事項1-1~訂正事項1-13に分けて検討する。 (1-1)訂正事項1-1 訂正前の「第1散薬収容器」を「手動で秤量する際に用いられ人手秤量必須の散薬である第1散薬または自動計量可能な散薬である第2散薬が収容された第1散薬収容器」とする訂正(以下「訂正事項1-1」という。)は、「第1散薬収容器」に「手動で秤量する際に用いられ人手秤量必須の散薬である第1散薬または自動計量可能な散薬である第2散薬」が収容されることを限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1-1は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の「人手秤量必須の散薬である第1散薬」(段落【0033】)、「自動計量可能な散薬である第2散薬」(段落【0034】)、「調剤対象の第1散薬を収容した第1散薬収容器50」(段落【0044】)、「さらに、第2散薬については、第2散薬収容器60に収容されているだけでなく第1散薬収容器50にも収容されている場合は」(段落【0047】)の記載に基づくものである。 (1-2)訂正事項1-2 訂正前の「前記第1散薬収容器から取り出された散薬を秤量するのに用いられる秤量装置」を「前記第1散薬収容器から取り出された前記第1散薬または前記第2散薬を手動で秤量するのに用いられる秤量装置」とする訂正(以下「訂正事項1-2」という。)は、訂正事項1-1に伴い、秤量する散薬が「前記第1散薬または前記第2散薬」であることを明確にするとともに、「秤量」が「手動」であることを明確にする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-2は、本件明細書の「秤量装置37を用いて人手秤量される散薬」(段落【0032】)、「人手秤量必須の散薬である第1散薬」(段落【0033】)、「第2散薬については、第2散薬収容器60に収容されているだけでなく第1散薬収容器50にも収容されている場合は第1散薬収容器50の方を使用することにより、ほとんどのものが第1散薬と同様に秤量装置37で秤量することも可能」(段落【0047】)の記載に基づくものである。 (1-3)訂正事項1-3 訂正前の「秤量を含む調剤情報」を「前記秤量装置の秤量値を含む調剤情報」とする訂正(以下「訂正事項1-3」という。)は、「秤量」自体は調剤情報ではないから「秤量を含む調剤情報」という記載は意味が不明であったものを、「前記秤量装置の秤量値を含む調剤情報」と明確にする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-3は、本件明細書の「画面表示器33は、液晶パネル等の画面を具備していて、秤量装置37の秤量値を含む各種の調剤情報を表示する」(段落【0037】)の記載に基づくものである。 (1-4)訂正事項1-4 訂正前の「前記第1散薬識別情報に対応した第1散薬に係る調剤用情報を保持している情報処理装置」及び「前記情報処理装置が、前記第2散薬識別情報に対応した前記第2散薬に係る調剤用情報も保持しており」を「前記第1散薬識別情報に対応した前記第1散薬に係る第1調剤用情報及び前記第2散薬に係る第2調剤用情報を保持している情報処理装置」及び「前記情報処理装置が、」とする訂正(以下「訂正事項1-4」という。)は、「調剤用情報」が2つあり、対応関係が明瞭でなかったものを、「前記第1散薬に係る第1調剤用情報」と「前記第2散薬に係る第2調剤用情報」に整理するとともに、これらを保持している「情報処理装置」についての記載を整理する訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-4は、本件明細書の「第1調剤用情報23は、人手秤量必須の散薬である第1散薬に係る情報」(段落【0033】)、「第2調剤用情報24は(図1参照)、自動計量可能な散薬である第2散薬に係る情報」(段落【0034】)、「これらの情報22,23,24は、調剤管理ユニット20の通常稼働外のときなどに予め情報処理装置21のデータベースに設定されるようになっている。」(段落【0035】)の記載に基づくものである。 (1-5)訂正事項1-5 訂正前の「前記第1散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示する」を「前記第1調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示する」とする訂正(以下「訂正事項1-5」という。)は、「前記第1散薬に係る前記調剤用情報」を訂正事項1-4の「前記第1調剤用情報」と整合させるとともに、「調剤指示情報」を本件明細書の「対応調剤指示情報34」(段落【0043】)と整合させる訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-5は、本件明細書の「その第1散薬に係る第1調剤用情報23等の複製等にて対応する対応調剤指示情報34を作成し、その内容を画面表示器33に表示する」(段落【0043】)の記載に基づくものである。 (1-6)訂正事項1-6 訂正前の「第2散薬識別情報を付された第2散薬収容器」を「第2散薬識別情報を付された、自動計量する際に用いられる前記第2散薬が収容された第2散薬収容器」とする訂正、及び訂正前の「前記第2散薬収容器から第2散薬を排出させて計量する計量部」を「前記第2散薬収容器から前記第2散薬を排出させて自動計量する計量部」とする訂正(これらをまとめて以下「訂正事項1-6」という。)は、「第2散薬収容器」が「自動計量する際に用いられる前記第2散薬」を収納していることを明確にしつつ、「第2散薬」に「前記」を付して文言の対応関係を明確にするとともに、「計量」が「自動」であることを明確にする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-6は、本件明細書の「第2散薬収容器60に収容されていて計量装置40を用いて自動計量しうる散薬」(段落【0032】)、「また、それらの第2散薬識別情報は、自動計量作業のため棚の左側部分等の所定箇所に置かれる第2散薬収容器60のうち該当するものに(図2(a),(c)参照)、無線利用のRFIDリーダ等を用いて非接触で機械読取できるRFIDタグ等で具現化された第2散薬識別情報61として付記されるとともに、目視で読み取れる数字や他の文字からなる目視特定用情報62としても記されている。」(段落【0034】)、「このような計量部44,45を具備した計量装置40は、容器保持部42に置かれた第2散薬収容器60から第2散薬を排出させて自動計量する」(段落【0042】)の記載に基づくものである。 (1-7)訂正事項1-7 訂正前の「第2散薬収容器を着脱しうる容器保持部」を「第2散薬収容器を手動で着脱しうる容器保持部」とする訂正、及び訂正前の「前記計量装置が、いずれも、それへの前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行えるもの」を「前記計量装置への前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行うもの」とする訂正(これらをまとめて以下「訂正事項1-7」という。)は、「容器保持部」について、第2散薬収容器を「手動で」着脱しうることを明確にし、訂正前の「前記計量装置が、いずれも、それへの前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行えるもの」という記載が日本語として不自然であったところ、当該記載の不自然さを正す訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-7は、本件明細書の「容器保持部42は、第2散薬収容器60を手に持って容易に着脱できるように上板の中央部分を凹ませて形成されている。」(段落【0040】)、「第2散薬収容器60を手作業にて計量装置40の容器保持部42へ適正な姿勢で載置すれば良い。」(段落【0056】)の記載に基づくものである。 (1-8)訂正事項1-8 訂正前の「前記第2散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示し」を「前記第2調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示し」とする訂正(以下「訂正事項1-8」という。)は、「前記第2散薬に係る前記調剤用情報」及び「調剤指示情報」を、訂正事項1-4の「前記第2散薬に係る第2調剤用情報」及び訂正事項1-5の「対応調剤指示情報」と整合させる訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-8は、本件明細書の「その第2散薬に係る第2調剤用情報24等の複製等にて対応する対応調剤指示情報34を作成し、その内容を画面表示器33に表示する」(段落【0045】)の記載に基づくものである。 (1-9)訂正事項1-9 「前記第2散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記計量装置によって自動計量され、」を追加する訂正、及び「前記第1散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記秤量装置によって手動で秤量され、」を追加する訂正(これらをまとめて以下「訂正事項1-9」という。)は、訂正事項1-6に伴い、第2散薬収容器に収容された第2散薬は計量装置によって自動で計量されることを明確にし、訂正事項1-1及び1-2に伴い、第1散薬収容器に収容された第2散薬は秤量装置によって手動で秤量されることを明確にする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-9は、本件明細書の「このような計量部44,45を具備した計量装置40は、容器保持部42に置かれた第2散薬収容器60から第2散薬を排出させて自動計量する」(段落【0042】)、「さらに、第2散薬については、第2散薬収容器60に収容されているだけでなく第1散薬収容器50にも収容されている場合は第1散薬収容器50の方を使用することにより、ほとんどのものが第1散薬と同様に秤量装置37で秤量することも可能なので、それらのうち自動計量に拘らないで人手秤量でも良いとするものには、計量装置40での自動計量から秤量装置37での人手秤量への切替指示を受付可能なものであることを例えば第2調剤用情報24のフラグ設定等にて指定できる」(段落【0047】)の記載に基づくものである。 (1-10)訂正事項1-10 訂正前の「前記画面表示器に表示している前記調剤指示情報」を「前記画面表示器に表示している前記対応調剤指示情報」とする訂正(以下「訂正事項1-10」という。)は、「調剤指示情報」を、訂正事項1-5の「対応調剤指示情報」と整合させる訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-10は、本件明細書の「その第2散薬に係る第2調剤用情報24等の複製等にて対応する対応調剤指示情報34を作成し、その内容を画面表示器33に表示する」(段落【0045】)の記載に基づくものである。 (1-11)訂正事項1-11 訂正前の「前記計量装置での計量」を「前記計量装置での前記自動計量」とする訂正(以下「訂正事項1-11」という。)は、訂正事項1-9の「自動計量」との対応関係を明確にする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-11は、本件明細書の「このような計量部44,45を具備した計量装置40は、容器保持部42に置かれた第2散薬収容器60から第2散薬を排出させて自動計量する」(段落【0042】)の記載に基づくものである。 (1-12)訂正事項1-12 訂正前の「前記秤量装置での秤量」を「前記秤量装置を用いた手動での秤量」とする訂正(以下「訂正事項1-12」という。)は、「秤量装置での秤量」が「手動」であることを明確にする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-12は、本件明細書の「秤量装置37を用いて人手秤量される」(段落【0032】)の記載に基づくものである。 (1-13)訂正事項1-13 「前記第2散薬収容器に前記第2散薬識別情報に加えて前記第1散薬識別情報も付されている場合には、前記第1情報読取器によって該第1散薬識別情報が読み取られた際に前記情報処理装置が前記切替指示を受け付け、」を追加する訂正(以下「訂正事項1-13」という。)は、訂正前の「前記調剤指示情報のうち前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での計量から前記秤量装置での秤量への切替指示」に関して、情報処理装置が「前記第2散薬収容器に前記第2散薬識別情報に加えて前記第1散薬識別情報も付されている場合には、前記第1情報読取器によって該第1散薬識別情報が読み取られた際に」「前記切替指示を受け付け」ることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1-13は、本件明細書の「第2散薬収容器60やその中の散薬が計量装置40での散薬自動排出に加えて手作業での散薬取出も許容しているものであって更に第2散薬識別情報61だけでなく第1散薬識別情報51も付されているような場合も、その第1散薬識別情報51を第1情報読取器36で読み取る操作にて、情報処理装置31に上記の切替指示を出すことができる。」(段落【0049】)の記載に基づくものである。 したがって、訂正事項1―1~訂正事項1-13からなる訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-1~訂正事項1-13は、いずれも、本件明細書の記載に基づくものであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の「前記第2散薬に係る調剤指示情報」を訂正事項1-9の「前記第2調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報」と整合させる訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項2は、本件明細書の「その第2散薬に係る第2調剤用情報24等の複製等にて対応する対応調剤指示情報34を作成し、その内容を画面表示器33に表示する」(段落【0045】)の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項5を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 また、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4 訂正事項4は、本件明細書の段落【0012】の記載を、本件訂正後の請求項1の記載に整合させる訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項4は、訂正事項1について上記「(1)訂正事項1」で検討したのと同様に、本件明細書の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 また、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5 訂正事項5は、本件明細書の段落【0013】の記載を、本件訂正後の請求項2の記載に整合させる訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項5は、訂正事項2について上記「(2)訂正事項2」で検討したのと同様に、本件明細書の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 また、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 一群の請求項及び明細書の訂正に係る請求項について 訂正前の請求項2~5は、請求項1を直接的又は間接的に引用するものであり、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~5は特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、訂正事項4及び5による明細書の訂正に係る請求項は、請求項1~5であるから、本件訂正は一群の請求項の全てについて訂正をするものである。 4 独立特許要件について 本件の特許異議の申立ては、本件訂正前の請求項1~5に対してされているので、本件訂正に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。 5 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」~「本件発明4」という。)は、令和6年8月5日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された次のとおりのものである。(本件訂正請求により、請求項5は削除された。) 【請求項1】 手動で秤量する際に用いられ人手秤量必須の散薬である第1散薬または自動計量可能な散薬である第2散薬が収容された第1散薬収容器に付された第1散薬識別情報を読み取るのに用いられる第1情報読取器と、前記第1散薬収容器から取り出された前記第1散薬または前記第2散薬を手動で秤量するのに用いられる秤量装置と、前記秤量装置の秤量値を含む調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器と、調剤対象になりうる各種の散薬について前記第1散薬識別情報に対応した前記第1散薬に係る第1調剤用情報及び前記第2散薬に係る第2調剤用情報を保持している情報処理装置とを備えており、前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第1散薬が調剤対象にされると前記第1調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システムにおいて、 第2散薬識別情報を付された、自動計量する際に用いられる前記第2散薬が収容された第2散薬収容器を手動で着脱しうる容器保持部と、前記容器保持部に前記第2散薬収容器が置かれるとそれに付されている前記第2散薬識別情報を読み取る第2情報読取器と、前記容器保持部に置かれた前記第2散薬収容器から前記第2散薬を排出させて自動計量する計量部とを具備した計量装置が設けられ、 前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第2散薬が調剤対象にされると前記第2調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示し、前記第2情報読取器にて前記第2散薬識別情報が読み取られると前記計量装置に前記計量部の動作指示を出すようになっており、 前記第2散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記計量装置によって自動計量され、前記第1散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記秤量装置によって手動で秤量され、 前記情報処理装置が、前記画面表示器に表示している前記対応調剤指示情報のうち前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での前記自動計量から前記秤量装置を用いた手動での秤量への切替指示を受付可能なものであって前記切替指示を受け付けると前記第1散薬に係る処理と同様の処理を行うようにもなっており、 前記第2散薬収容器に前記第2散薬識別情報に加えて前記第1散薬識別情報も付されている場合には、前記第1情報読取器によって該第1散薬識別情報が読み取られた際に前記情報処理装置が前記切替指示を受け付け、 前記計量装置への前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行うものであることを特徴とする散薬秤量システム。 【請求項2】 前記情報処理装置が、前記第2散薬に係る前記対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示するときに、前記第2散薬収容器を目視で特定することができる情報も前記画面表示器に表示するようになっていることを特徴とする請求項1記載の散薬秤量システム。 【請求項3】 前記情報処理装置が、前記第2散薬識別情報の読み取り後に前記計量部の動作指示を出すに先だって前記画面表示器に確認を求める表示を行うようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された散薬秤量システム。 【請求項4】 前記情報処理装置が、前記計量装置に前記計量部の動作指示を出した後に前記計量装置から計量値を取得して前記画面表示器に表示するようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載された散薬秤量システム。 第4 取消理由通知の概要と当審の判断 1 取消理由通知の概要 令和6年6月25日付け取消理由通知(決定の予告)(以下「取消理由通知(決定の予告)」という。)に記載した取消理由の概要をまとめると、以下のとおりである。 先の訂正により訂正された請求項1~5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記(1)~(4)の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (1)請求項1の「前記計量装置が、いずれも、それへの前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行えるものである」との記載における「手動でのみ行えるもの」なる記載は、具体的にどのような構成を意味するのか不明確であるから、請求項1~5に係る発明は明確でない。 (2)請求項1の「前記第1散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記秤量装置によって手動で秤量され」という記載と、「前記第1散薬収容器から取り出された前記第1散薬を手動で秤量するのに用いられる秤量装置」という記載は、互いに整合しておらず、「秤量装置」がどのようなものであるのか不明であるから、請求項1~5に係る発明は明確でない。 (3)請求項1の「前記第2散薬収容容器に前記第2散薬識別情報に加えて前記第1散薬識別情報も付されている場合」という記載における「前記第2散薬収容容器」とは何を指すのか不明であるから、請求項1~5に係る発明は明確でない。 (4)請求項5の「前記情報処理装置が、前記第1情報読取器にて前記第1散薬識別情報が読み取られると前記秤量装置の秤量値を取得して前記第1散薬の調剤済みデータに含める」ことは、第2散薬が手動で秤量された場合に、第2散薬の秤量値を「第1散薬の調剤済みデータ」に含めることとなり、技術的にみて意味が不明であるから、請求項5に係る発明は明確でない。 2 当審の判断 上記1についての当審の判断は以下のとおりである。 <上記(1)について> 本件訂正の訂正事項1-7により、「手動でのみ行えるもの」なる記載は「手動でのみ行うもの」と訂正され、明確な記載となった。 <上記(2)について> 本件訂正の訂正事項1-2により、「秤量装置」が「前記第1散薬収容器から取り出された前記第1散薬または前記第2散薬を手動で秤量するのに用いられる」ことは明確となった。 <上記(3)について> 本件訂正の訂正事項1-13により、「前記第2散薬収容器に前記第2散薬識別情報に加えて前記第1散薬識別情報も付されている場合」の「前記第2散薬収容器」が「第2散薬収容器」を指すことは明確となった。 <上記(4)について> 本件訂正の訂正事項3により、請求項5は削除された。 3 小括 よって、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由によって、本件発明1~4に係る特許を取り消すことはできない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由と当審の判断 1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由 上記第4の取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由のほか、申立人は、特許異議申立書において、以下の理由を申し立てている。 (1)第29条第2項(甲1を主引例とする進歩性) 本件訂正前の請求項1~5に係る発明は、甲第1号証~甲第6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(特許異議申立書6~34ページ) 甲第1号証 特開2016-130972号公報 甲第2号証 特開2007-137446号公報 甲第3号証 特開2016-87328号公報 甲第4号証 国際公開第2015/141660号 甲第5号証 国際公開第2013/154202号 甲第6号証 国際公開第2016/047449号 なお、甲第1号証~甲第6号証を以下それぞれ「甲1」~「甲6」という。 (2)第36条第6項第2号(明確性) 本件訂正前の請求項1~5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記(2-1)~(2-5)の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(同34~37ページ) (2-1)請求項1の「前記計量装置が、いずれも、それへの前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行えるものである」との記載における「いずれ」という用語が指し示す内容が不明であるため、特許を受けようとする発明が明確でない。(同34ページの「(ア)明確性要件1」) (2-2)請求項1の「秤量を含む調剤情報」、「前記第1散薬識別情報に対応した第1散薬に係る調剤用情報」、「前記第1散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報」の各情報、請求項1の「秤量を含む調剤情報」、「前記第2散薬識別情報に対応した前記第2散薬に係る調剤用情報」、「前記第2散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報」の各情報は、同一の情報であるのか異なる情報であるのか不明であるため、特許を受けようとする発明が明確でない。(同35~36ページの「(ウ)明確性要件3」) (2-3)請求項2について、情報処理装置がどのような処理を行って「前記第2散薬収容器を目視で特定することができる情報」を取得するかが特許請求の範囲において特定されておらず、特許を受けようとする発明が明確でない。また、画面表示器に第2散薬識別情報を表示するのに対応して、第2散薬収容器に表示する情報が何ら特定されていないため、第2散薬識別情報に基づき、第2散薬収容器をどのように特定するのか不明であり、特許を受けようとする発明が明確でない。(同36ページの「(エ)明確性要件4」) (2-4)請求項3について、「確認を求める表示」が、何に関する確認を求めるかが記載されていないため、特許を受けようとする発明が明確でない。(同「(オ)明確性要件5」) (2-5)請求項5について、調剤済みデータについて具体的に記載されていないので、「秤量値」を「調剤済みデータ」に含めることの技術的意義が不明であり、特許を受けようとする発明が明確でない。(同37ページの「(カ)明確性要件6」) (3)第17条の2第3項(新規事項の追加) 令和4年8月26日付け提出の手続補正書による補正により、請求項1において、計量装置への第2散薬収容器の着脱を「手動でのみ」行うことが特定されたところ、本件特許の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、第2散薬収容器60の取付けを手動で行うことが記載されているにとどまり、手動でのみ行うことは記載されていないから、当該補正は、新たな技術的事項を導入するものであり、新規事項の追加に該当する。(同37~38ページの「(キ)補正要件、サポート要件」) (4)第36条第6項第1号(サポート要件) 請求項1における計量装置への第2散薬収容器の着脱を「手動でのみ」行うという事項は、上記(3)と同様の理由により、発明の詳細な説明に記載したものではない。(同「(キ)補正要件、サポート要件」) 2 当審の判断 上記1(1)~(4)についての当審の判断は以下のとおりである。 (1)第29条第2項(甲1を主引例とする進歩性)について ア 甲1~甲6の記載事項及び引用発明 (ア)甲1の記載事項及び引用発明 a 甲1には、以下の記載がある。なお、「・・・」は省略を示し、下線部は当審で付した(以下同様)。 (a)「【0029】 本実施形態の散薬調剤業務支援システム1は、図1で示されるように、制御装置2(調剤機器用制御装置)と、薬剤秤量装置3と、薬剤分包機4と、完全自動散薬分包機5(自動散薬分包装置)とを備えており、制御装置2と他の調剤機器(薬剤秤量装置3、薬剤分包機4、完全自動散薬分包機5)とが構内通信網(LAN)等の通信網を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態に接続されている。」 (b)「【0035】 薬剤秤量装置3は、図3で示されるように、制御部15、秤量部16、操作表示部17(表示装置)、記憶部18、音声出力部19、USBポート20を備えた装置本体25と、この装置本体25に接続された印刷装置26及び情報読込装置27を備えた構成となっている。」 (c)「【0045】 情報読込装置27は、RFIDリーダライタやバーコードリーダであり、いずれも読み取った情報を信号化し、装置本体25に発信可能な装置となっている。本実施形態では、RFIDリーダライタ、バーコードリーダの双方を設ける構成としている。 【0046】 RFIDリーダライタは、RFIDの無線通信技術を利用してRFIDタグ又はRFIDラベルからの情報の読み込みと、RFIDタグ又はRFIDラベルへの情報の書き込みが可能な機器である。すなわち、RFIDリーダライタは、情報書込装置としても機能する機器となっている。このことにより、薬剤容器、薬瓶、処方箋等に設けられたRFIDタグ等に対し、情報の読み取りと書き込みが可能となる。 バーコードリーダは、薬剤容器、薬瓶、処方箋等のラベルに付されたバーコードから情報の読み取りが可能な機器である。」 (d)「【0049】 完全自動散薬分包機5は、図5で示されるように、自動式薬剤容器46(図5では図示しない、図6等参照)を内蔵する装置本体45と手動式薬剤容器47を備えた構造となっている。 この完全自動散薬分包機5は、制御装置2から信号を受信することで、自動式薬剤容器46(詳しくは後述する)に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する動作が可能となっている。また、使用者が装置本体45に一体に取り付けられた操作表示部48を操作することでも、薬剤容器(自動式薬剤容器46又は手動式薬剤容器47)に収納された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する動作が可能となっている。」 (e)「【0065】 容器保持台69は、振動台部と、重量測定手段とを備えた構造となっている。」 (f)「【0067】 重力測定手段は、薬剤容器の重量を直接又は間接的に測定するものである。 【0068】 このことから、容器保持台69に薬剤容器を載置することで、薬剤容器を振動させ、薬剤容器に収容された散薬を分配ユニット68に排出することが可能となる。そして、この散薬の排出に伴う薬剤容器の重量変化を重力測定手段によって検知可能となっている。」 (g)「【0071】 自動式薬剤容器46は、図8で示されるように、外形が略直方体状の容器であり、内部に収容した散薬又は粉末状の薬剤を外部に排出するための薬剤排出部46aが設けられている。・・・ 加えて、この自動式薬剤容器46にはRFIDタグが設けられており、収納された薬剤に関する情報を記憶可能となっている。すなわち、このRFIDタグが容器側情報記憶手段として機能する。」 (h)「【0079】 すなわち、完全自動散薬分包機5は、ドラム部材58を回転させ、取り出し対象となる自動式薬剤容器46と容器移動ユニット60を近接させる。そして、容器移動ユニット60の一部であるアーム部61に自動式薬剤容器46を保持させる。換言すると、アーム部61の先端側に設けられた磁石によって、自動式薬剤容器46に一体に取り付けられた鉄板を吸着させる。 そして、アーム部61が容器保管部57から自動式薬剤容器46を取り出し、自動式薬剤容器46を容器保持台69まで移動させ、自動式薬剤容器46を容器保持台69に載置する。 【0080】 本実施形態では、容器保持台69の近傍に情報読取手段が設けられており、容器保持台69に載置させた自動式薬剤容器46のRFIDタグから記憶されている情報を読み取る情報読取動作が可能となっている。 この情報読取動作により、自動式薬剤容器46に収容されている薬剤(散薬)の種類が確認される。すなわち、使用する薬剤が収容された自動式薬剤容器46が正しく選択され、運搬されたかを確認する確認動作が実施される。 【0081】 確認動作の結果、使用する薬剤が収容された自動式薬剤容器46が容器保持台69に載置されていることが確認されると、容器保持台69の振動台部が振動動作を開始し、自動式薬剤容器46が振動し、自動式薬剤容器46に収容された散薬がゆっくりと分配ユニット68に落下する。すなわち、自動式薬剤容器46の内部から分配ユニット68に散薬が供給(排出)されていく。 【0082】 また、自動式薬剤容器46から分配ユニット68への散薬の供給動作(排出動作)に伴って、分配ユニット68を回転させるフィーダ回転動作を実施する。 【0083】 ここで、振動台部による振動動作の開始前及び実施中には、容器保持台69の重量測定手段が検知した値に基づいて、載置された自動式薬剤容器46の重量を測定する重量測定動作が実施されている。」 (i)「【0107】 本実施形態の散薬調剤業務支援システム1では、医師が外部PC6で処方に関するデータを入力すると、外部PC6から制御装置2に信号が送信され、制御装置2で完全自動散薬分包機5に送信するための処方に関するデータ(以下、単に処方データと称する)が作成される。そして、制御装置2は、完全自動散薬分包機5に対して作成した処方データを送信する(STEP1)。」 (j)「【0113】 次に、上記した条件2に関する判別動作について付言する。 ここで、分配ユニット68に供給する散薬の種類によっては、供給量が少なすぎる場合、容器保持台69の振動動作による規定量の供給が困難となるものがある。例えば、散薬には、その粒の形状が薬剤容器から排出され難い形状のものがある。また、散薬には、粒同士が塊になり易いものがある。そして、前者の場合、振動動作を実施しても分配ユニット68に規定量の散薬が排出されない可能性がある。また、後者の場合、振動動作を実施することで分配ユニット68に塊状の散薬が供給されてしまい、規定量よりも多量に供給されてしまう可能性がある。つまり、散薬には、その性質により、極めて少量の排出が困難となってしまうものがある。 【0114】 そこで、本実施形態では、総量が所定量を下回る薬剤については自動式薬剤容器46から分配ユニット68への供給を実行しない構成としている。 言い換えると、容器保持台69の振動動作によって確実に分配ユニット68への規定量の供給が可能であることを条件として、完全自動分包動作、又は準自動分包動作を実施する構成としている。より詳細には、1つ1つの薬剤の総量が規定量(3g)より多量であるか否か、換言すると、規定量(3g)以下でないか否かを判別する動作を実施している。そして、所定の処方で分包する全ての薬剤それぞれの総量がいずれも規定量(3g)より多量である場合、条件2が満たされたものと判別する。」 (k)「【0122】 具体的に説明すると、完全自動散薬分包機5だけで自動的に処理できない処方には、処方で提供される薬剤に自動式薬剤容器46に現在収容されている薬剤と、自動式薬剤容器46に現在収容されていない薬剤が混在する場合(以下、単に混在状態とも称す)と、処方で提供される全ての薬剤が自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤である場合(以下、単に未収容状態とも称す)がある。 そこで、完全自動散薬分包機5では、処方で提供される1以上の薬剤が自動式薬剤容器46に現在収容されている薬剤であるか否かの判別を実施することにより、対象となる処方が混在状態であるのか、又は、未収容状態であるのかを判別可能となっている。」 (l)「【0130】 そして、制御装置2が再送データを受信すると、制御装置2は、秤量準備動作を実施する(STEP8)。 この秤量準備動作は、制御装置2が再送データに基づいて薬剤秤量装置3での秤量動作に使用するデータ(以下、秤量用データとも称す)を作成し、この秤量用データを薬剤秤量装置3に送信する動作となっている。この秤量準備動作が実施されることにより、薬剤秤量装置3を使用した秤量の実施が可能な状態となる。 【0131】 ここで、上記したように、完全自動散薬分包機5が実施する判別動作(STEP2)では、完全自動散薬分包機5だけでは処理できない処方が混在状態であるのか、又は、未収容状態であるのかを判別可能となっている。 また、完全自動散薬分包機5が制御装置2にデータ(再送データ)を送信し、制御装置2が薬剤秤量装置3にデータ(秤量用データ)を送信することから、制御装置2と薬剤秤量装置3では、自動式薬剤容器46に現在収容されている薬剤とそうでない薬剤を識別可能となっている。 【0132】 このことにより、薬剤秤量装置3は、対象となる処方が混在状態である場合と未収用状態である場合とで異なる表示動作を実施することが可能となる。 【0133】 まず、対象となる処方が混在状態である場合(STEP9でYes)、操作表示部17に表示される選択画面では、自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤だけが選択可能な状態で表示され、自動式薬剤容器46に収容された薬剤は、グレイアウトで表示されて、使用者が選択できない状態で表示される(STEP10)。 すなわち、処方で提供される薬剤を全て表示し、自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤と、収容されている薬剤とを異なる表示形態で表示する。このことにより、自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤と、収容されている薬剤とを識別可能な状態とする。 【0134】 このとき、自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤は、秤量の必要な薬剤として、使用者が選択可能な状態となっている。 対して、自動式薬剤容器46に収容された薬剤は、グレイアウトで表示されて、使用者が選択できない状態となっている。言い換えると、容器保管部57の自動式薬剤容器46に収容されている薬剤は、容器保管部57の自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤とは異なる色で表示され、且つ、使用者が選択できない状態となっている。 なお、このグレイアウトで表示される薬剤は、完全自動散薬分包機5のどちらの分配ユニット68を使用して分包を実施するのかを示す情報と共に表示された状態となっている。 【0135】 なお、薬剤秤量装置3では、対象となる処方が混在状態である場合であっても、グレイアウトで表示された薬剤を選択可能な状態で表示するように変更する選択変更操作を実施可能となっている。すなわち、使用者が選択変更操作を実施することで、所定の処方で提供される薬剤を全て選択可能な状態とし、所定の処方で提供される全ての薬剤を薬剤秤量装置3で秤量するように変更することが可能な構成となっている。 【0136】 ここで、選択変更操作を実施しなかった場合(STEP11でYes)、薬剤秤量装置3で表示されている選択可能な薬剤を選択し、薬剤秤量装置3の情報読込装置27で薬瓶や薬剤容器の情報を読み取って照合動作を実施した後、秤量部16を使用して秤量を実施する(STEP12)。このとき、秤量の終わった薬剤を上記した手動式薬剤容器47に導入する。 【0137】 秤量が完了すると、実施した秤量結果に関するデータが薬剤秤量装置3から制御装置2へと送信される(STEP13)。そして、制御装置2は、受信した秤量結果に関するデータに基づいて、完全自動散薬分包機5での分包で使用する送信するデータを作成し、完全自動散薬分包機5に送信する(STEP14)。」 (m)図1 [図:0001419314000001.jpg] (n)図3 [図:0001419314000002.jpg] (o)図6 [図:0001419314000003.jpg] (q)図10 [図:0001419314000004.jpg] b 上記aから、甲1には以下の事項が記載されている。 (a)段落【0122】(上記a(k))から、完全自動散薬分包機5だけで自動的に処理できない処方には、処方で提供される薬剤に自動式薬剤容器46に現在収容されている薬剤と、自動式薬剤容器46に現在収容されていない薬剤が混在する場合がある。そして、段落【0134】(上記a(l))から、自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤は、秤量の必要な薬剤として、使用者が選択可能な状態となっているから、薬剤容器、薬瓶等に収容されていることは明らかである。また、段落【0114】(上記a(j))から、総量が所定量を下回る薬剤は、自動式薬剤容器46から分配ユニット68への供給が実行されないから、薬剤容器、薬瓶等に収容されていることは明らかである。そうすると、薬剤容器、薬瓶等には、自動式薬剤容器46に現在収容されていない薬剤や総量が所定量を下回る薬剤が収容されている。 (b)段落【0136】(上記a(l))から、薬剤秤量装置3の情報読込装置27で薬瓶や薬剤容器の情報を読み取って照合動作を実施した後、薬剤秤量装置3の秤量部16を使用して秤量を実施し、秤量の終わった薬剤を上記した手動式薬剤容器47に導入するから、薬瓶や薬剤容器から取り出された散薬は、薬剤秤量装置3で手動で秤量される。 c 上記a及びbを総合すると、甲1には、次の発明が記載されている(以下「引用発明」という。) 「制御装置2、薬剤秤量装置3、完全自動散薬分包機5を備え、 薬剤秤量装置3は、操作表示部17と情報読込装置27を備え、 情報読込装置27は、RFIDリーダライタやバーコードリーダであり、RFIDリーダライタは、薬剤容器、薬瓶等に設けられたRFIDタグ又はRFIDラベルに対し、情報の読み込みが可能であり、バーコードリーダは、薬剤容器、薬瓶等のラベルに付されたバーコードから情報の読み取りが可能であり、薬剤容器、薬瓶等には、自動式薬剤容器46に現在収容されていない薬剤や所定量を下回る薬剤が収容されており、薬瓶や薬剤容器から取り出された散薬は、薬剤秤量装置3で手動で秤量され、 操作表示部17に表示される選択画面では、自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤だけが選択可能な状態で表示され、 制御装置2は、再送データに基づいて薬剤秤量装置3での秤量動作に使用するデータ(秤量用データ)を作成し、この秤量用データを薬剤秤量装置3に送信し、受信した秤量結果に関するデータに基づいて、完全自動散薬分包機5での分包で使用する送信するデータを作成し、完全自動散薬分包機5に送信する、 散薬調剤支援システム1において、 自動式薬剤容器46にはRFIDタグが設けられており、収納された薬剤に関する情報を記憶可能となっており、自動式薬剤容器46をアーム部61が載置する容器保持台69と、容器保持台69に載置させた自動式薬剤容器46のRFIDタグから記憶されている情報を読み取る情報読取動作が可能となっている情報読取手段と、自動式薬剤容器46に収容された散薬を自動的に取り出して計量する完全自動散薬分包機5を備え、 容器保持台69に載置させた自動式薬剤容器46のRFIDタグから記憶されている情報を読み取る情報読取動作により、自動式薬剤容器46に収容されている薬剤(散薬)の種類が確認され、使用する薬剤が収容された自動式薬剤容器46が容器保持台69に載置されていることが確認されると、容器保持台69の振動台部が振動動作を開始し、振動台部による振動動作の開始前及び実施中には、容器保持台69の重量測定手段が検知した値に基づいて、載置された自動式薬剤容器46の重量を測定する重量測定動作が実施され、 完全自動散薬分包機5は、自動式薬剤容器46に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、薬剤容器、薬瓶等から取り出された散薬は薬剤秤量装置3によって手動で秤量され、 薬剤秤量装置3では、対象となる処方が混在状態である場合であっても、グレイアウトで表示された薬剤を選択可能な状態で表示するように変更する選択変更操作を実施可能となっており、使用者が選択変更操作を実施することで、所定の処方で提供される全ての薬剤を薬剤秤量装置3で秤量するように変更することが可能な構成となっており、 アーム部61が、自動式薬剤容器46を容器保持台69まで移動させ、自動式薬剤容器46を容器保持台69に載置する散薬調剤業務支援システム1。」 (イ)甲2の記載事項 a 甲2には、以下の記載がある。 (a)「【0020】 図1に示すように、この実施形態の分包機1は、分包機本体1aと、分包機本体1aに組み込まれ、各々に任意の種類の散薬Aが収容された3つの散薬カセット2とを備えている。分包機本体1aは、散薬カセット2を設置する設置部3と、散薬カセット2に駆動力を伝達する駆動部4と、散薬カセット2に振動を与える起振手段5とを備えている。さらに、分包機1は、散薬カセット2から排出された散薬Aを1包単位毎に計量して、排出する計量手段6と、計量手段6によって排出された1包単位の散薬Aを1箇所に集合させる集合ホッパ7と、集合ホッパ7の下部に位置し、集合ホッパ7で集合された1包単位の散薬Aを包装する包装手段8とを備えている。」 (ウ)甲3の記載事項 a 甲3には、以下の記載がある。 (a)「【0039】 ・・・ホッパ保持部60のロードセルで計測した重量値の変化から散薬送出量を算出すようになっている(重量計測手段)。」 (b)「【0041】 散薬供給装置10を作動させるに先立ち、手動で、調剤対象の散薬99を収容している散薬カセット90を、蓋95で口92を閉めた状態のまま、カセット保持機構20に保持させる・・・。」 (c)「【0049】 本発明の散薬供給装置は、単独で使用しても良いが、散薬分包機に組み込まれることが多く・・・。」 (エ)甲4の記載事項 a 甲4には、以下の記載がある。 (a)「[0101] ・・・秤量結果には、秤量対象の薬剤名、秤量目標値、実際の秤量値、処方薬剤名と収容薬剤名との照合結果などが含まれる。」 (b)「[0103] ・・・これにより、薬剤秤量装置3から本体装置2に通信ネットワークを介して固定情報に対応する処方等情報及び秤量結果が送信される。本体装置2は、送信された情報を図示しない制御装置で受信し、記憶する。」 (c)「[0118] 以上説明した実施形態では、本体装置2は、収容形薬剤容器4を設置する容器保管装置103 (図2)を有している。また本体装置2は、ロボット110を備えている。しかしながら、容器保管装置103やロボット110は必須ではなく、図24に示す本体装置170の様にこれらを持たないものであってもよい。」 (d)「[0124] ・・・ そして容器保管装置103のドラム部材105を回転し、所望の収容形薬剤容器4をロボット110に近づける。そしてロボット110で、収容形薬剤容器4を保持し、アーム等を動作させて当該収容形薬剤容器4を容器振動台11に設置する。」 (e)「[0125] ・・・振動開始と前後して、収容形薬剤容器4の重量が測定される。その間、収容形薬剤容器4の重量が、監視され、散薬の総落下量が所望の重量となったところで、容器振動台11の振動を停止する。」 (f)「[0126] ・・・ 即ち容器振動台11が具備する重量測定手段56、容器保管装置103、ロボット110等は、本発明に必須ではない。」 (オ)甲5の記載事項 a 甲5には、以下の記載がある。 (a)「[0017] 前記薬品秤量装置10は、制御部11、天秤ユニット12、タッチパネル13、RFIDリーダライタ14、データ記憶部15、USBポート16、バーコードリーダー17、プリンター18などを備えている。」 (b)「[0027] ここに、JANコード(RSS)は、製薬メーカーから供給される薬瓶(薬品容器の一例)に記録された収容薬品名(収容薬品識別情報の一例)に対応する情報であり、前記薬瓶には前記JANコードがバーコードにより記録(記載)されている。」 (c)「[0054] <ステップS2> ステップS2において、前記制御部11は、前記ステップS1で読み取られた処方箋情報に基づいて処方画面40を前記タッチパネル13に表示させる。ここに、図6(A)及び図6(B)はそれぞれ前記処方画面40の一例を示している。 [0055] 図6(A)に示す前記処方画面40では、調剤者名、患者名、年齢、体重、処方日数、分数、薬品名、剤形(散/錠)、処方量などが表示されている。具体的に、図6(A)に示す処方画面40では、薬品表示部401に薬品A、薬品B、薬品Cが処方薬品名として表示されている。」 (カ)甲6の記載事項 a 甲6には、以下の記載がある。 (a)「[0058] 薬剤容器2は、密閉型の容器であり、図2,3の様に容器本体5と、運搬用鉄板部7と、固定用鉄板部6と、蓋部材8によって構成されている。 容器本体5は樹脂で作られた縦長の容器であり、長手方向の一端が開口している。 薬剤容器2には、RFID等の情報記録部材90と、電子ペーパー91が取り付けられている。ここで電子ペーパー91とは、視覚性を有する表示媒体であり、紙の様に薄く、表示内容を電気的に書き換えることができるものである。 本実施形態では、情報記録部材90に薬剤の種類が記憶される。また必要に応じて薬剤容器2に薬剤を充填した日や、充填量を記憶させてもよい。さらに残薬量、払い出し量、使用期限等を情報記録部材90に記憶させてもよい。 また電子ペーパー91には、情報記録部材90に充填された薬剤の種類、薬剤を充填した日や、充填量、残薬量、払い出し量、使用期限等を表示することが望ましい。」 イ 対比 本件発明1と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「自動式薬剤容器46に現在収容されていない薬剤」は、手動で秤量することが必須といえるから、本件発明1の「人手秤量必須の散薬である第1散薬」に相当する。また、引用発明の「総量が所定量を下回る薬剤」は、自動式薬剤容器46にも収容されており、重量測定動作によって重量を測定することができる薬剤であるから、本件発明1の「自動計量可能な散薬である第2散薬」に相当する。また、引用発明の「薬剤容器、薬瓶等」は、本件発明1の「第1散薬収容器」に、引用発明の「RFIDタグ又はRFIDラベル」及び「バーコード」は、本件発明1の「第1散薬識別情報」に、それぞれ相当する。そして、引用発明は、「薬瓶や薬剤容器から取り出された散薬は、薬剤秤量装置3で手動で秤量され」るから、引用発明の「RFIDリーダライタやバーコードリーダであり、RFIDリーダライタは、薬剤容器、薬瓶等に設けられたRFIDタグ又はRFIDラベルに対し、情報の読み込みが可能であり、バーコードリーダは、薬剤容器、薬瓶等のラベルに付されたバーコードから情報の読み取りが可能であ」る「情報読込装置27」は、本件発明1の「手動で秤量する際に用いられ人手秤量必須の散薬である第1散薬または自動計量可能な散薬である第2散薬が収容された第1散薬収容器に付された第1散薬識別情報を読み取るのに用いられる第1情報読取器」に相当する。 (イ)引用発明は、「薬瓶や薬剤容器から取り出された散薬は、薬剤秤量装置3で手動で秤量され」るから、引用発明の「薬剤秤量装置3」は、本件発明1の「前記第1散薬収容器から取り出された前記第1散薬または前記第2散薬を手動で秤量するのに用いられる秤量装置」に相当する。 (ウ)引用発明の「自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤だけが選択可能な状態で表示され」ることは、調剤情報を表示することといえるから、引用発明の「操作表示部17」と、本件発明1の「前記秤量装置の秤量値を含む調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器」とは、「調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器」の限りで一致する。 (エ)引用発明の「薬剤秤量装置3での秤量動作に使用するデータ(秤量用データ)」及び「完全自動散薬分包機5での分包で使用する送信するデータ」は、調剤対象になりうる各種の散薬について情報であって、それぞれ、本件発明1の「前記第1散薬識別情報に対応した前記第1散薬に係る第1調剤用情報」及び「前記第2散薬に係る第2調剤用情報」に相当するから、引用発明の「再送データに基づいて薬剤秤量装置3での秤量動作に使用するデータ(秤量用データ)を作成し、この秤量用データを薬剤秤量装置3に送信し、受信した秤量結果に関するデータに基づいて、完全自動散薬分包機5での分包で使用する送信するデータを作成し、完全自動散薬分包機5に送信」する「制御装置2」は、本件発明1の「調剤対象になりうる各種の散薬について前記第1散薬識別情報に対応した前記第1散薬に係る第1調剤用情報及び前記第2散薬に係る第2調剤用情報を保持している情報処理装置」に相当する。 (オ)引用発明の「操作表示部17に表示される選択画面では、自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤だけが選択可能な状態で表示され」る「散薬調剤業務支援システム1」と、本件発明1の「前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第1散薬が調剤対象にされると前記第1調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システム」とは、情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システムの限りで一致する。 (カ)引用発明の「自動式薬剤容器46」は、「RFIDタグが設けられており、収納された薬剤に関する情報を記憶可能となって」いるから、本件発明1の「第2散薬識別情報を付された、自動計量する際に用いられる前記第2散薬が収容された第2散薬収容器」に相当する。また、引用発明の「自動式薬剤容器46をアーム部61が載置する容器保持台69」と、本件発明1の「第2散薬収容器を手動で着脱しうる容器保持部」とは、第2散薬収容器を着脱しうる容器保持部の限りで一致する。 (キ)引用発明の「容器保持台69に載置させた自動式薬剤容器46のRFIDタグから記憶されている情報を読み取る情報読取動作が可能となっている情報読取手段」は、本件発明1の「前記容器保持部に前記第2散薬収容器が置かれるとそれに付されている前記第2散薬識別情報を読み取る第2情報読取器」に相当する。 (ク)引用発明の「自動式薬剤容器46に収容された散薬を自動的に取り出して計量する完全自動散薬分包機5」は、本件発明1の「前記容器保持部に置かれた前記第2散薬収容器から前記第2散薬を排出させて自動計量する計量部とを具備した計量装置」に相当する。 (ケ)引用発明の「完全自動散薬分包機5は、自動式薬剤容器46に収容された散薬を自動的に取り出して計量」することは、本件発明1の「前記第2散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記計量装置によって自動計量され」ることに相当する。 (コ)引用発明の「薬剤容器、薬瓶等から取り出された散薬は薬剤秤量装置3によって手動で秤量され」ることは、本件発明1の「前記第1散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記秤量装置によって手動で秤量され」ることに相当する。 (サ)引用発明の「薬剤秤量装置3では、対象となる処方が混在状態である場合であっても、グレイアウトで表示された薬剤を選択可能な状態で表示するように変更する選択変更操作を実施可能となっており、使用者が選択変更操作を実施することで、所定の処方で提供される全ての薬剤を薬剤秤量装置3で秤量するように変更することが可能な構成となって」いることと、本件発明1の「前記情報処理装置が、前記画面表示器に表示している前記対応調剤指示情報のうち前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での前記自動計量から前記秤量装置を用いた手動での秤量への切替指示を受付可能なものであって前記切替指示を受け付けると前記第1散薬に係る処理と同様の処理を行うようにもなっており、前記第2散薬収容器に前記第2散薬識別情報に加えて前記第1散薬識別情報も付されている場合には、前記第1情報読取器によって該第1散薬識別情報が読み取られた際に前記情報処理装置が前記切替指示を受け付け」ることとは、前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での前記自動計量から前記秤量装置を用いた手動での秤量への切替指示を受付可能なものであって前記切替指示を受け付けると前記第1散薬に係る処理と同様の処理を行うようにもなっていることの限りで一致する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。 <一致点> 「手動で秤量する際に用いられ人手秤量必須の散薬である第1散薬または自動計量可能な散薬である第2散薬が収容された第1散薬収容器に付された第1散薬識別情報を読み取るのに用いられる第1情報読取器と、前記第1散薬収容器から取り出された前記第1散薬または前記第2散薬を手動で秤量するのに用いられる秤量装置と、調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器と、調剤対象になりうる各種の散薬について前記第1散薬識別情報に対応した前記第1散薬に係る第1調剤用情報及び前記第2散薬に係る第2調剤用情報を保持している情報処理装置とを備えており、情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システムにおいて、 第2散薬識別情報を付された、自動計量する際に用いられる前記第2散薬が収容された第2散薬収容器を着脱しうる容器保持部と、前記容器保持部に前記第2散薬収容器が置かれるとそれに付されている前記第2散薬識別情報を読み取る第2情報読取器と、前記容器保持部に置かれた前記第2散薬収容器から前記第2散薬を排出させて自動計量する計量部とを具備した計量装置が設けられ、 前記第2散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記計量装置によって自動計量され、前記第1散薬収容器に収容された前記第2散薬は前記秤量装置によって手動で秤量され、 前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での前記自動計量から前記秤量装置を用いた手動での秤量への切替指示を受付可能なものであって前記切替指示を受け付けると前記第1散薬に係る処理と同様の処理を行うようにもなっている散薬秤量システム。」 <相違点1> 「画面表示器」に関し、本件発明1は、「前記秤量装置の秤量値を含む調剤情報を表示するのに用いられる」ものであって、「前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第1散薬が調剤対象にされると前記第1調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示するようになって」おり、「前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第2散薬が調剤対象にされると前記第2調剤用情報に基づいて対応する対応調剤指示情報を前記画面表示器に表示」するのに対して、引用発明は、自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤だけが選択可能な状態で表示されるものであって、調剤情報を表示するのに用いられるにすぎない点。 <相違点2> 本件発明1は、「前記情報処理装置が、」「前記第2情報読取器にて前記第2散薬識別情報が読み取られると前記計量装置に前記計量部の動作指示を出すようになって」いるのに対して、引用発明は、自動式薬剤容器46のRFIDタグから記憶されている情報を読み取る情報読取動作により、自動式薬剤容器46に収容されている薬剤(散薬)の種類が確認されると、当該容器の重量を測定する重量測定動作が実施されるものであって、重量測定動作の動作指示については特定がない点。 <相違点3> 「前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での前記自動計量から前記秤量装置を用いた手動での秤量への切替指示」に関し、本件発明1は、「前記情報処理装置が」、「前記画面表示器に表示している前記対応調剤指示情報のうち前記第2散薬に係るものについて」、「前記第2散薬収容器に前記第2散薬識別情報に加えて前記第1散薬識別情報も付されている場合には、前記第1情報読取器によって該第1散薬識別情報が読み取られた際に前記情報処理装置が前記切替指示を受け付け」るのに対して、引用発明は、薬剤秤量装置3では、対象となる処方が混在状態である場合であっても、グレイアウトで表示された薬剤を選択可能な状態で表示するように変更する選択変更操作を実施可能となっており、使用者が選択変更操作を実施することで、所定の処方で提供される全ての薬剤を薬剤秤量装置3で秤量するように変更することが可能な構成となっている点。 <相違点4> 本件発明1は、容器保持部が第2散薬収容器を「手動で」着脱しうるものであって、「前記計量装置への前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行うものである」のに対して、引用発明は、容器保持台69が、自動式薬剤容器46をアーム部61が載置するものであって、アーム部61が、自動式薬剤容器46を容器保持台69まで移動させ、自動式薬剤容器46を容器保持台69に載置する点。 ウ 判断 事案に鑑み、まず、上記相違点3について検討する。 甲1には、本件発明1の情報処理装置に相当する制御装置2に関して、第1情報読取器によって第1散薬識別情報が読み取られた際に切替指示を受け付けることに対応した事項は記載されていないから、上記相違点3は実質的な相違点である。 そして、引用発明は、使用者の選択変更操作により、薬剤秤量装置3での秤量に変更するものであって、制御装置2により、所定の条件で自動的にかかる変更を行うものではない。このように、甲1には、引用発明において上記相違点3に係る事項とすることを動機付ける記載はないし、甲2~甲6のいずれにも、上記相違点3に係る事項は記載されていない。 したがって、上記相違点1、2及び4について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明及び甲2~甲6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明2~4は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、更に限定を付したものであるから、同様の理由により、引用発明及び甲2~6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)第36条第6項第2号(明確性)について <上記(2-1)について> 本件訂正の訂正事項1-7により、「いずれ」という記載は削除され、明確な記載となった。 <上記(2-2)について> 本件訂正の訂正事項1-3により、訂正前の「秤量を含む調剤情報」は「前記秤量装置の秤量値を含む調剤情報」と訂正され、同じく訂正事項1-4により、訂正前の「第1散薬に係る調剤用情報」及び「第2散薬に係る調剤用情報」はそれぞれ「第1散薬に係る第1調剤用情報」及び「第2散薬に係る第2調剤用情報」と訂正され、同じく訂正事項1-5により、訂正前の「調剤指示情報」は「対応調剤指示情報」と訂正されたから、各情報の異同は明確となった。 <上記(2-3)について> 本件明細書には、第2散薬収容器を目視で特定することができる情報を画面表示器に表示することに関して、「第2散薬収容器60に収容されていて計量装置40を用いて自動計量しうる散薬については、該当する第2散薬識別情報61や目視特定用情報62のデータが薬品マスタ22に保持される」(段落【0032】)、「それらの第2散薬識別情報は、自動計量作業のため棚の左側部分等の所定箇所に置かれる第2散薬収容器60のうち該当するものに(図2(a),(c)参照)、無線利用のRFIDリーダ等を用いて非接触で機械読取できるRFIDタグ等で具現化された第2散薬識別情報61として付記されるとともに、目視で読み取れる数字や他の文字からなる目視特定用情報62としても記されている。」(段落【0034】)、「その第2散薬を含む調剤指示情報25を薬品マスタ22や第2調剤用情報24に基づいて作成するとともに、その調剤指示情報25が散薬調剤ユニット30の調剤対象に選出されると、その第2散薬に係る第2調剤用情報24等の複製等にて対応する対応調剤指示情報34を作成し、その内容を画面表示器33に表示するようになっている。その際、第2散薬収容器60を目視で特定することができる情報として、目視特定用情報62と同じ情報か(図2(c)では薬品名やコード「0098」)、代用可能な情報である例えば第2散薬収容器60載置先の棚番号か、あるいは両方を、画面表示器33に表示するようにもなっている。」(段落【0045】)ことが記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) これら記載によれば、目視特定用情報62は、目視で読み取れる数字や他の文字からなる情報であり、そのデータは薬品マスタ22に保持されており、対応調剤指示情報34を作成し、その内容を画面表示器33に表示する際、第2散薬収容器60を目視で特定することができる情報として、目視特定用情報62を画面表示器33に表示するようにもなっている。 そして、本件明細書の記載を参酌すれば、請求項2の「前記第2散薬収容器を目視で特定することができる情報」や、当該情報を画面表示器に表示する際の処理は明確である。 したがって、請求項2に係る発明は明確である。 <上記(2-4)について> 請求項3には、「前記情報処理装置が、前記第2散薬識別情報の読み取り後に前記計量部の動作指示を出すに先だって前記画面表示器に確認を求める表示を行うようになっている」と記載されているところ、「確認を求める表示」は、「計量部の動作指示を出すに先だっ」て行われるから、「計量部の動作指示」を出すかどうかの確認を求める表示であることが理解できる。 したがって、請求項3に係る発明は明確である。 <上記(2-5)について> 本件訂正の訂正事項3により、請求項5は削除された。 (3)第17条の2第3項(新規事項の追加)について 本件特許の当初明細書等には、「容器保持部42は、第2散薬収容器60を手に持って容易に着脱できるように上板の中央部分を凹ませて形成されている。」(段落【0040】)、「第2散薬収容器60を手作業にて計量装置40の容器保持部42へ適正な姿勢で載置すれば良い。」(段落【0056】)ことが記載されている。したがって、計量装置への第2散薬収容器の着脱に関して、本件特許の当初明細書等に記載されているのは、手動で行うことのみである。 よって、計量装置への第2散薬収容器の着脱を「手動でのみ」行うことを特定する補正は、当初明細書、特許請求の範囲又は図面との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。 (4)第36条第6項第1号(サポート要件)について 本件明細書には、「容器保持部42は、第2散薬収容器60を手に持って容易に着脱できるように上板の中央部分を凹ませて形成されている。」(段落【0040】)、「第2散薬収容器60を手作業にて計量装置40の容器保持部42へ適正な姿勢で載置すれば良い。」(段落【0056】)ことが記載されている。したがって、計量装置への第2散薬収容器の着脱に関して、本件明細書に記載されているのは、手動で行うことのみである。 よって、計量装置への第2散薬収容器の着脱を「手動でのみ」行うことは、発明の詳細な説明に記載したものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1~4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件特許の請求項5は、本件訂正により削除され、この特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700666

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