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特許異議申立

2023-700775

散薬調剤業務支援システム

審判番号
2023-700775
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-001854
登録番号
7212851
請求日
2023年07月26日
審決日
2023年11月02日
公報発行日
2023年12月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社湯山製作所
  • 【権利者代理人】藤田 隆
  • 【異議申立人】松本 保
審判長/審判官
  • 審判長 渡邊 聡
  • 審判官 佐藤 智康
  • 審判官 松尾 俊介
分類
P1651.121-Y (G16H) / P1651.537-Y (G16H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第44条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7212851号発明「散薬調剤業務支援システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7212851号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7212851号の請求項1~7に係る特許についての出願(以下「本願」という。)は、令和3年1月8日に出願され、令和5年1月18日にその特許権の設定登録がされ、同年1月26日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年7月26日に特許異議申立人 松本保 は、特許異議の申立てを行った。 なお、本願は、特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、平成27年1月14日に出願した特願2015-5370号を最先の出願とする、いわゆる第3世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は以下のとおりである。なお、括弧内は当該出願の出願日を示す。 最先の出願 :特願2015-5370号(平成27年1月14日) 第1世代分割:特願2019-82015号(平成31年4月23日) 第2世代分割:特願2020-139625号(令和2年8月20日) 本願 :特願2021-1854号(令和3年1月8日) 第2 本件発明 特許第7212851号の請求項1~7に係る発明(以下「本件特許発明1」などという。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 【請求項1】 薬剤秤量装置と、薬剤分包機と、完全自動散薬分包機とを有する調剤機器と、処方に関するデータであって患者に提供されるべき散薬の情報を含む処方データに基づいて調剤機器を制御する制御装置と、散薬を収容する薬剤容器とを備え、 完全自動散薬分包機は、薬剤容器から排出された散薬を配分する分配ユニットと、薬剤包装装置とが内部に設けられており、 完全自動散薬分包機を用いて、処方データに基づき、薬剤容器から分配ユニットに散薬を排出する動作と、分配ユニットに排出された散薬を所定の数に分割する動作と、薬剤包装装置によって分割した散薬を個別に包装する動作とを含む完全自動分包動作が可能であって、 制御装置と完全自動散薬分包機の少なくともいずれかが処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを、調剤機器において完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であることを特徴とする散薬調剤業務支援システム。 【請求項2】 制御装置は、調剤機器である薬剤秤量装置、薬剤分包機、完全自動散薬分包機の各々と、通信網を介してデータを送受信可能な状態に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の散薬調剤業務支援システム。 【請求項3】 前記判別動作の結果、完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能であると判別した場合、処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを、完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包する動作を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の散薬調剤業務支援システム。 【請求項4】 前記判別動作の結果、完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能でないと判別した場合、処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを、薬剤秤量装置で秤量し、秤量した散薬を薬剤分包機で分包する動作を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の散薬調剤業務支援システム。 【請求項5】 完全自動分包動作は、薬剤容器から分配ユニットに排出する散薬を計量する動作を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。 【請求項6】 さらに散薬に関する情報を表示する表示装置を有し、 患者に提供されるべき散薬の中に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合、表示装置に両者を区別する表示がなされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。 【請求項7】 薬剤秤量装置は、散薬を選択するための選択画面を表示可能な表示装置を有し、選択画面に表示された散薬を選択し、選択された散薬の秤量が実施可能であって、 前記判別動作の結果、対象となる処方で提供される散薬に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬が混在している場合、完全自動分包動作だけで分包できない散薬に関するデータを薬剤秤量装置に送信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。 第3 申立理由の概要 特許異議申立人 松本保 が、請求項1~7に係る特許に対して申し立てた「申立理由及び主張の概要」及び「証拠方法(甲号証)」は以下のとおりである。 1 申立理由及び主張の概要 申立理由1(特許法第29条第2項(同法第113条第2号)) ア 請求項1、3、4、5に係る発明は、甲第1号証記載の発明により容易である、または、甲第1号証記載の発明に周知技術(甲第2号証~甲第5号証)を組み合わせることにより容易である。(異議申立書第7頁) イ 請求項2に係る発明は、甲第1号証記載の発明に周知技術(甲第2号証~甲第5号証)を組み合わせることにより容易である。(異議申立書第7頁) ウ 請求項6に係る発明は、甲第1号証記載の発明に周知技術(甲第2号証~甲第8号証)を組み合わせることにより容易である、または、甲第1号証記載の発明に周知技術(甲第2号証~甲第5号証)、及び、甲第9号証記載事項を組み合わせることにより容易である。(異議申立書第7頁) エ 請求項7に係る発明は、甲第1号証記載の発明に周知技術(甲第2号証~甲第5号証)、及び、甲第10号証記載事項を組み合わせることにより容易である。(異議申立書第7頁) (2)申立理由2(特許法第36条第6項第1号(同法第113条第4号)) ア 本件発明1(請求項1に記載の発明)は、「薬剤容器」が自動式薬剤容器46も手動式薬剤容器47も薬剤分包機4で使用する容器も含む概念であり、「排出する動作」「分割する動作」「包装する動作」を含む動作が完全自動分包動作だけでなく、準自動分包動作、手動分包動作、半自動分包動作、薬剤分包機4を用いた分包動作も含む概念が記載された請求項1、3の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、41頁) イ 散薬を排出する動作の前及び後に計量する動作を行う態様が含まれることが記載された請求項5の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、42、43頁) ウ 本件発明6(請求項6に記載の発明)では、表示装置に表示するための条件が一切特定されていないから、例えば、請求項1に従属する請求項6において、判別動作の判別結果がいかなる結果であっても表示装置へ表示する形態まで含むものとなっており、また、請求項4に従属する請求項6において、完全自動分包動作だけで分包可能でなく、患者に提供されるべき散薬の全てを、薬剤秤量装置で秤量し、秤量した散薬を薬剤分包機で分包する動作を行う場合であっても表示装置へ表示する形態まで含むものとなっている。 よって、請求項6の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、43頁) エ 請求項6では、「完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合」に表示装置に区別して表示すると特定されているが、発明の詳細な説明では、「自動式薬剤容器46に収容されている薬剤と自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤とが混在している場合」に区別して表示される点が記載されている(【0122】【0133】)。 発明の詳細な説明に記載の事項はすなわち、自動式薬剤容器46に薬剤が収容されている場合には完全自動動作か準自動動作が可能であり、自動式薬剤容器46に薬剤が収容されていない場合には手動動作が可能ということであるから、表示装置に区別して表示する際の条件が、請求項6の特定と発明の詳細な説明との間で異なっている。 よって、請求項6の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、44頁) オ 請求項7では「完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合」にデータ送信すると特定されているが、発明の詳細な説明では、「自動式薬剤容器46に収容されている薬剤と自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤とが混在している場合」にデータ送信する点が記載されている(【0161】~【0164】)。 よって、本件発明7(請求項7に記載の発明)は、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない発明であるから、請求項7の記載は「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、44、45頁) カ 発明の詳細な説明において、秤量準備動作をすることが課題とされ、これに対する解決手段として、完全自動散薬分包機5で自動的に処理できない場合、かつ、混在状態である場合に、薬剤秤量装置3に収容されていない薬剤のデータを、送信する(【0161】~【0164】)。 これに対し、本件発明7(請求項7に記載の発明)では、データを送信する条件が一切特定されていない、例えば、請求項1に従属する請求項7では、判別動作の結果がいかなる場合にもデータを送信する形態も含まれているし、また、請求項4に従属する請求項7では、判別動作の結果、完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能でないと判別した場合、処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを、薬剤秤量装置で秤量し、秤量した散薬を薬剤分包機で分包する動作を行う場合であってもデータを送信する形態も含まれている。 よって、請求項7の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第9、45頁) (3)申立理由3(特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号)) ア 「薬剤分包機」と「完全自動散薬分包機」とが同一の装置か否か不明確であるので、本件発明1、3は、発明として不明確である。(異議申立書第9、45頁) イ 本件発明1の「完全自動分包動作」は「薬剤容器から分配ユニットに散薬を排出する動作と、分配ユニットに排出された散薬を所定の数に分割する動作と、薬剤包装装置によって分割した散薬を個別に包装する軌作とを含む」動作と特定されている。一方、薬剤分包機4で可能な動作は「公知の分包動作」(【0047】【0143】)であるから、上記完全自動分包動作と同じ動作を含むものである。 そうすると、判別動作で分包可能であると判別しても分包可能でないと判別しても、同じ動作をするだけであり、判別結果に違いが生じないから、本件発明4は、技術的に欠陥のある発明であり不明確である。(異議申立書第9、46頁) ウ 「散薬を計量する動作」には人の動作が含まれるため、本件発明5は、発明として不明確である。(異議申立書第9、46頁) エ 請求項1に従属する請求項6においては、請求項1の判別動作が「調剤機器において完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能か否か」を判別するのに対し、請求項6では、「患者に提供されるべき散薬の中に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合」が判別されており、両者の関係が不明確であり、本件発明6は、発明として不明確である。(異議申立書第9、46頁) オ 請求項1に従属する請求項7においては、請求項1の判別動作が「調剤機器において完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能か否か」を判別するのに対し、請求項7では、その判別動作の結果、「完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合」が判別されており、判別動作の内容と結果とが辻悽が合わないものとなっている。 よって、本件発明7は、技術的に欠陥のある発明であり不明確である。(異議申立書第9~10、47頁) カ 請求項7では、データを薬剤秤量装置に送信する旨記載されているが、送信の主体がわからないから、本件発明7は、発明として不明確である。(異議申立書第10、47頁) キ 請求項6に従属する請求項7において、請求項6の「散薬に関する情報を表示する表示装置」と、請求項7の「散薬を選択するための選択画面を表示可能な表示装置」とが同一の装置か否か不明確であり、本件発明7は、発明として不明確である。 また、前記両者が同一の装置を意味するとしても、前者は分包可能な散薬と分包できない散薬を表示し、後者は分包できない散薬のみを表示するものであり、それぞれが表示する情報が整合しておらず、本件発明7は、発明として不明確である。(異議申立書第10、47頁) 2 証拠方法(甲号証) 甲第1号証 :特開平11-226087号公報 甲第2号証 :国際公開第2013/154202号 甲第3号証 :特開2014-237017号公報 甲第4号証 :特開平6-312010号公報 甲第5号証 :特開昭60-242853号公報 甲第6号証 :特公平6-9602号公報 甲第7号証 :特公平2-57939号公報 甲第8号証 :特開平6-40401号公報 甲第9号証 :特開2000-354620号公報 甲第10号証:特開2006-280916号公報 第4 甲号証の記載 特許異議申立の証拠方法として提出された甲第1号証から甲第10号証には、それぞれ以下の事項が記載されている。(なお、下線は合議体が付与した。) 1 甲第1号証(特開平11-226087号公報) 甲第1号証の記載事項 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、このような従来の分割装置では、分包すべき散薬を保管容器から処方量だけ取り出して、それを配分のため一般に使用される振動フィーダのホッパに投入する作業を、薬剤師が、散薬の種類ごとに総て行わなければならず、そのため、薬剤師の負担が大きく、自動機としては十分なものと言えない。また、従来の散薬自動分包機では、多数の散薬噴出装置や移動可能な包装装置などの特殊な機構等を要するため、複雑で高価になりがちであるという問題点があった。 【0006】そこで、これらの利点を兼備した散薬分包機を開発して提供することが重要なこととなる。すなわち、散薬噴出装置を必要としない新たな散薬供給装置を導入するととともに、このような散薬供給装置を従来の分割装置等への組み合わせも可能とすることで、ストックしている多くの散薬から適宜の散薬を分割装置等へ適量供給することにより、安価にその分割装置を高度な自動機に転換させるのである。 【0008】そこで、散薬の取り出しを自動化するとともに、それに加えて人手介入を前提とし、人手の介在によっても処理効率の低下し難い柔軟なシステムを構築可能なようにすることが重要な課題となる。この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、人手が介在しても各種の散薬を自動で効率良く取り出せる装置を実現することを目的とする。 【0012】このような構成の散薬取出装置にあっては、各種の散薬は、多数の散薬カセットに分けて収容され、処方情報等に応じて適宜そこから取り出されるため、散薬供給が自動で散薬容器ごとに分けて行われる。そして、その散薬容器を単位として計量装置や分割装置さらには分包機などの後続装置への散薬供給が自動で又は人手を介して適宜遂行される。しかも、散薬カセットから散薬容器に対する散薬取り出し位置までは散薬カセットに収容されたままで運ばれるので、この間は未だ閉じ込められている。そして、該当散薬カセットが散薬の取出位置まで移動してから必要な散薬が散薬容器へ取り出され、この散薬容器が移動することで、各種の散薬が集められるとともに後続装置への散薬供給等も行われる。 【0027】この散薬取出装置は、図中、左から右に、カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB(収納庫)、カセット収納ユニットC(収納庫)、そしてカップ搬送ユニットDが順に配置連結されたものである(図2参照)。なお、このカップ搬送ユニットDは、カセット収納ユニットCとの間の連結用ボルト等を緩めると簡単に散薬取出装置から切り離せる散薬容器搬送装置となっている。 【0028】カップ供給ユニットAには、調剤のためにカセット30から取り出した散薬を入れて搬送したり計量したりするためのカップ1(散薬容器)を供給するカップ供給機構14が設けられている(図2参照)。そして、カップ供給機構14の上等にゴミ除け等のため逆さ状態で積み重ねられた多数のカップ1を、順に一つずつ、図示しないアーム等にて反転させながら、カセット収納ユニットBの搬送機構10へ供給するようになっている。なお、カップ供給ユニットA上部の空いているところには、電源部2や散薬取出装置のコントローラ80も格納されている。 【0029】カセット収納ユニットBには、下方に横たわる搬送機構10(散薬容器供給用搬送装置)と、縦に長いループ状のチェイン等からなるカセット循環機構20(カセット移動機構)と、カセット循環機構20に対しほぼ等間隔で取着された複数個のカセット30(散薬カセット)と、電子秤50(計量装置)とが設けられている。さらに、駆動部40(散薬取り出しの駆動機構)や、リーダライタ52(データアクセス装置)、リーダライタ54(データ読取装置)、リーダ56(データ読取装置)なども設けられている(図2参照)。 【0030】カセット収納ユニットCは、カセット収納ユニットBと同じ構造のユニットである。これらは、散薬の種類そして散薬カセットの必要数に対応して、必要なユニット数が左右に連結されるようになっている(図2参照)。これにより、多数の散薬カセット30が複数の収納庫B,Cに分離して収納されるようになっている。 【0031】カップ搬送ユニットDには、カセット収納ユニットCの搬送機構10によって搬送されて来たカップ1を更にカップ昇降機構115のところまで運ぶ同様の搬送機構10と、そのカップ1を乗せて上下移動するカップ昇降機構115と、カップ昇降機構115の上昇した高さのところで行きつ戻りつして(図1,図2では一往復半、図6,図7では二往復半)折り畳まれた搬送経路を形成する搬送機構110及びターンテーブル114と、搬送機構110等の上方に配置されたコントローラ180等と、搬送機構110等の下方に配置されたバーコードプリンタ130とが設けられている(図1,図2参照)。 【0036】カセット30は、散薬を取り出し可能にストックするために、散薬ストック部33と、その下方の排出部とから構成されている(図4参照)。散薬ストック部33は、縦向きの円筒形に構成され、その底部に攪拌羽根32が配置されている。攪拌羽根32は、円錐形部分を中心としてそれから2枚が互いに180゜隔てて半径方向外方へ延び、しかも、外方へ行くにしたがって回転方向に対して後退する方向に湾曲して形成されている。カセット30の排出部には、散薬ストック部33の下方正面においてその半径方向に沿って横向きに小径円筒の排出路35が形成されており、この排出路35と散薬ストック部33とは、散薬ストック部33の底面外周付近に形成された連通路34によって互いに通じている。 【0037】排出路35の反対側には、散薬ストック部33の下方背面にまで延びた従動シャフト31が回転可能に設けられている(図4参照)。この従動シャフト31は、前方の排出路35内から、散薬ストック部33の中心に位置する攪拌羽根32の回転軸の真下を通って、後方へ延びている。従動シャフト31の前端は排出路35内の図示しない散薬排出用スクリューに連結され、従動シャフト31の中間部分は攪拌羽根32の回転支軸にギヤ結合させられ、従動シャフト31の後端には駆動シャフト41の挿抜可能なように穿孔が行われ、その穿孔内面には駆動シャフト41の挿入時に駆動シャフト41の外歯と噛合する内歯が形成されている。これにより、散薬カセット30は、散薬取り出しの従動機構の組み込まれたものとなっている。そして、従動シャフト31が回転させられると、攪拌羽根32及び排出路35内のスクリューも連動して回転させられて、散薬ストック部33内の散薬が連通路34及び排出路35を経て円滑に排出されるようになっている。 【0042】電子秤50は、散薬取り出し位置に来たカセット30の少し下のところで、搬送機構10の上下のベルト11の間に設置されている(図3参照)。電子秤50には、単独で或いは本体と共に昇降しうる支承片51が設けられていて、上昇したときだけ、ベルト11でカセット30の排出路35の出口直下へ搬送されて来たカップ1を、ベルト11の切れ目から支承して、その重さを秤量する(図4参照)。そして、カセット30からそこのカップ1へ散薬が取り出されると、その散薬の分だけ秤量値も増加する。これにより、電子秤50(計量装置)は、散薬カセット30から取り出した散薬を計量するものとなっている。 【0046】コントローラ80は(図5参照)、制御用のコンピュータシステムであり、上述した各モータやリーダライタ等とインターフェイス(I/F)を介して接続されるとともに、各種の処理を担うルーチンやデータも保持している。すなわち、散薬取出装置のうちユニットA,B,C部分を直接制御するために、カセット装着ルーチン81や、処方入力ルーチン82、容器供給ルーチン83、カセット移動ルーチン84、散薬取出ルーチン85、計量ルーチン86、容器移動ルーチン87などがインストールされているのに加えて、散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットDを間接制御するためにそのコントローラ180と交信する搬送装置制御ルーチンなどもインストールされているが、その具体的な処理については後述の動作説明にて例示する。なお、散薬データ91には各カセット30毎に区分してそれぞれの薬剤情報が記憶される。処方データ92には処方対象の薬剤情報が記憶される。容器データ93は、管理の容易のため、使用中のカップ1ごとに割り付けられ、一処方で複数のカップを用いて散薬を取り出す場合には複数生成されるようになっている。 【0054】この実施例の散薬取出装置および散薬容器搬送装置について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図10(a)は、各装置の設置状況を示す配置図である。この配置例では、一台の散薬補給機4の両側にそれぞれ上述の散薬取出装置が設置され、さらにその脇に何れの散薬取出装置のカセット30にも収容されない散薬等も含めて各種の散薬を格納した薬品棚5も並べられるとともに、通路を挟んでそれらと対向するところに複数の例えば5台の散薬分包機70が設置されている。 【0055】散薬分包機70は、その本体部71内に、断面が円弧状に窪んだ環状凹溝72を具えた回転体と、散薬の配分時に回転体を定速回転させるとともに散薬の分割時に分割数に応じた角度ずつ回転体を回動させる図示しない駆動装置とを具えている(図10(b)参照)。また、散薬分包機70は、回転体の内側から環状凹溝上へ突き出して設けられた切出装置73も具えており、この切出装置73は、環状凹溝72の円弧状内側面に接触する円形の仕切板の側面に、所定幅の切出板が形成されたものであり、仕切板が環状凹溝72の円弧状内側面に治って1回転すると、切出板がその幅相当分に集められた散薬を環状凹溝72から切り出して包装装置のホッパ74に導入するようになっている。さらに、散薬分包機70の上方には、カップ1へ取り出されて運ばれて来た散薬を環状凹溝72へ均等に送り込むため、振動フィーダ60も付設されている。 【0056】このような状況下で自動調剤を行うには、先ず、調剤に用いられる各種の散薬が各カセット30に収容されていなければならないので、散薬が足りないようなときには、散薬補給機4を用いて所要の散薬を適宜のカセット30へ補給する。その際、そのカセット30のデータキャリア36には、散薬補給機4のリーダライタによって、該当する薬剤情報が書き込まれる。そして、このカセット30を散薬取出装置の何れかのカセット収納ユニットB,Cのカセット循環機構20へ装着すると、その薬剤情報が、その装着したユニットのリーダ56によって読み出され、カセット装着ルーチン81によって散薬データ91に格納される。 【0057】こうして、調剤の準備が調ったところで、処方箋に基づいて調剤対象の薬剤情報が図示しないホストコンピュータやキーボード(KBD)等から何れかのコントローラ80に入力されると、処方入力ルーチン82によってその薬剤情報が処方データ92にセットされる。そして、この散薬取出装置による散薬の自動取出は次のようにして行われる。 【0058】処方データ92に薬剤情報がセットされると、その処方データ92に基づき、容器供給ルーチン83によって、容器データ93の設定がなされるとともに、カップ供給機構14の制御も行われる。具体的に、カップ1が2個用いられ、第1のカップ1にはカセット収納ユニットCの第1のカセット30の散薬と第2のカセット30の散薬とを取り出し、第2のカップ1にはカセット収納ユニットBの第3のカセット30の散薬を取り出すような設定がなされたものとする。 【0059】すると、第1のカップ1がカップ供給機構14からカセット収納ユニットBの搬送機構10上へ供給される。この第1のカップ1は、容器移動ルーチン87の制御に従って作動する搬送機構10によって、カセット収納ユニットB内を搬送されてカセット収納ユニットCに至り、そこの搬送機構10によってそのユニットCにおける散薬取り出し位置まで運ばれて来る。 【0060】そして、第1のカップ1がカセット収納ユニットBからカセット収納ユニットCへ移動すると、それ以降のユニットC,D等の搬送動作と並行して、第2のカップ1がカップ供給機構14からカセット収納ユニットBの搬送機構10上へ供給される。この第2のカップ1は、容器移動ルーチン87の制御に従って作動する搬送機構10によって、カセット収納ユニットB内を搬送されて、そのユニットBにおける散薬取り出し位置まで運ばれて来る。 【0061】また、これらのカップ搬送と並行して、カセット移動ルーチン84の制御によって、カセット収納ユニットB,Cのカセット循環機構20が作動し、それぞれ第3のカセット30及び第1のカセット30が該当する散薬取り出し位置へ移動させられる。それから、計量ルーチン86の制御に従い、該当する電子秤50によって、未だ空のうちに第1,第3のカップ1の計量が行われる。そして、個々のカップそれ自体の重量がそれぞれのデータキャリア3に書き込まれる。こうして、散薬投入前の散薬容器を計量すること及びその計測値を計量の直後にデータアクセス装置にて該当散薬容器のデータ記憶体へ書き込むことも行われて、散薬をカセット30からカップ1へ取り出す用意が速やかに調う。 【0062】そうすると、カセット収納ユニットB,Cのリーダライタ54によって第3,第1のカセット30のデータキャリア36から薬剤情報が読み出される。そして、散薬取出ルーチン85によってその薬剤情報と散薬データ91や処方データ92とのつき合わせチェックが行われ、不一致のときにはエラー処理に移行する。こうして、散薬取り出し位置のカセット30が適切なものか否かの確認がなされる。例えば、コントローラ80のダウン中など管理不能な状態でカセット30の不適切な入れ替え等が行われていたような場合、エラーとなる。 【0063】散薬取り出し位置のカセット30に誤りが見つからなければ、散薬取出ルーチン85の制御によって、該当する駆動部40が散薬取り出し位置のカセット30に結合してそれを駆動する。こうして、カセット収納ユニットBでは、第3のカセット30から第2のカップ1へ散薬が取り出され、カセット収納ユニットCでは、第1のカセット30から第1のカップ1へ散薬が取り出される。 【0064】このとき同時に、計量ルーチン86の制御に従い、該当する電子秤50によって、第1,第3のカップ1の計量も行われる。そして、散薬の取り出し量が所要量に達すると、計量ルーチン86及び散薬取出ルーチン85の協動によって散薬の取り出しが止められる。さらに、計量ルーチン86の処理によって、その取り出した散薬の量が各カップ1のデータキャリア3に書き込まれる。散薬データ91等に保持されている他の関連情報、例えば、その散薬をフィーダ60で送給するのに適したフィーダ60の振動周波数などの情報も、併せて書き込まれる。 【0065】こうして、所要の散薬を収容した第2のカップ1は、カセット収納ユニットBの搬送機構10によってカセット収納ユニットCへ向けて搬送される。一方、カセット収納ユニットCでは、そこのカセット循環機構20によって散薬取り出し位置へ第2のカセット30が移動させられ、散薬取出ルーチン85や計量ルーチン86の処理によって、第2のカセット30の散薬が第1のカップ1へ取り出されて追加される。 【0066】そして、やはり所要の散薬を収容し終えた第1のカップ1は、容器移動ルーチン87の制御に従って作動する搬送機構10によりカセット収納ユニットC内を搬送されてカップ搬送ユニットDに至り、その後は容器搬送ルーチン182の制御に従って、カップ搬送ユニットDの搬送機構10によってカップ昇降機構115のところへ運ばれ、さらにカップ昇降機構115によって規制板117の搬入窓119から搬送窓118へ送り込まれ、それから搬送機構110及びターンテーブル114によってUターンを繰り返しながら奥から手前へと運ばれる(図7の点線矢印を参照)。続けて、第2のカップ1も、同様にして搬送機構110のところへ運ばれ、順に手前へ詰められる。こうして、処方箋に基づき、第1~第3のカセット30の散薬が、所定量だけ取り出されて、カバー147の下に収集される。 【0067】また、この搬送に際し、第1,第2のカップ1に収容された散薬についての薬剤情報がコントローラ80からコントローラ180に送信されてくるのでデータ受信ルーチン181によってその薬剤情報が受信されて保持されるとともに、第1,第2のカップ1のそれぞれのデータキャリア3から収容散薬についての薬剤情報がリーダライタ152によって読み出され、案内ルーチン183によって、それらの散薬情報が一致しているか否か等の確認処理が行われる。そして、不一致のときにはエラー処理に移行する。こうして、散薬を運んできたカップ1が適切なものか否かの確認がなされる。 【0068】例えば、カップ1の有無を検出するセンサの無いところでカップ1が搬送機構10から落下して適切なカップ1が搬送機構110に届かなかったような場合、エラーとして検知される。作業者がエラーの状態等を把握して適切な対処を施し正常状態に戻った場合には、キーボード121を操作してその旨の指示をコントローラ180に入力すると、案内ルーチン183によって復帰処理が行われて、自動処理が継続される。 【0069】搬送機構110に到達したカップ1に誤りが見つからなければ、案内ルーチン183の処理によって、収集した各散薬についての薬剤情報に基づいて、バーコードプリンタ130から該当する調剤指示箋が出力されるとともに、取り出し可能となったカップ1についての案内がディスプレイ120に表示される。これらの印刷内容や表示内容を修正する場合や、再発行を行わせるような場合にも、キーボード121を操作してその旨の指示をコントローラ180に入力する。こうして、一台の散薬取出装置において一の処方箋に基づいて第1,第2の二つのカップ1に収容された散薬が取り出し可能な状態となる。 【0070】同様にして、同じ散薬取出装置において他の処方箋に基づいて他のカップに収容された散薬も、順次、搬送機構110及びターンテーブル114上に運ばれて、折り畳まれた搬送路に貯め込まれる。他方の散薬取出装置についても同様である。こうして、散薬を自動収集した各カップ1が揃うと、作業者は、散薬取出装置の散薬容器搬送装置のカバー147を開けて先頭のカップ1から順に取り出し、調剤指示箋を参照しながら適宜の散薬分包機70のところへ持っていき、その散薬を該当するフィーダ60に投入する。なお、カップ1は5個まで纏めて取り出せるので、カバー147は速やかに閉じられる。 【0071】このような手作業でフィーダ60に投入された散薬は、該当する散薬分包機70によって自動的に分割分包される。すなわち、その散薬はフィーダ60によって散薬分包機70の環状凹溝72の全周にわたってほぼ均等に配分され、それから、散薬分包機70では、環状凹溝72を所定の包数に相当する分割数に応じた角度ずつ回転させながら、切出装置73の切出板を1回転ずつ繰り返し回転させ、それにより、環状凹溝72内の散薬を1包相当分ずつ切り出して、包装装置のホッパ74に順次投入する。これを受けて、散薬分包機70内の包装装置は、その散薬を1包分ずつ分包するのである。 【0072】こうして、各散薬取出装置によって自動収集された散薬は、人手を介した後、再び各散薬分包機によって自動分包される。これにより、各カセット30に収納されている所定の散薬が、所定の量だけ処方されるとともに、所定の包数に分包されるのである。そして、その際に、各散薬取出装置の処理量に変動があると、例えば図10(a)に示す如く、左方の散薬取出装置で2カップが取り出し可能になる一方、右方の散薬取出装置では4カップが取り出し可能になったような場合でも、それぞれが何れか適宜の散薬分包機70に割り振られるので、散薬取出装置および散薬分包機の双方とも無駄無く処理を継続することができる。 【0073】また、左右の散薬取出装置のカセット30に収容された別の散薬を混合させる必要がある場合、それぞれの調剤指示に従って両方からカップが同一の散薬分包機70(図10(a)では左から2番目)に持ち込まれるのを待って、分包処理が行われる。さらに、何れの散薬取出装置にも収容されていない散薬を混合させる必要がある場合、散薬取出装置から持ち込まれたカップに加えて、作業者によって薬品棚5の保管瓶等から取り出され秤量された散薬を収容したカップも同一の散薬分包機70(図10(a)では右端)に持ち込まれるのを待って、分包処理が行われる。 【0074】このような場合、人手の介在や各装置の処理タイミングのばらつき等によって、該当する散薬分包機70の処理開始が遅れたりしても、他の調剤は空いた別の散薬分包機70を利用して待たされることなく進められる。また、散薬取出装置からのカップ取り出しに作業者の手が回らないようなときでも、散薬取出装置の散薬容器搬送装置における折り畳まれた搬送路に多数のカップが貯められて、散薬取出装置における散薬の収集は滅多に止まること無く継続される。 【0075】こうして、一部に人手を介在させた散薬の自動調剤が効率良く行われる。なお、上述した各装置の配置や散薬分包機は一例であり、その柔軟性に基づいて、各装置を何台組み込むのか或いはどのような散薬分包機を組み合わせるのかといったことは任意に決められる。 【図1】 [図:0001404832000001.jpg] 【図2】 [図:0001404832000002.jpg] 【図4】 [図:0001404832000003.jpg] 【図5】 [図:0001404832000004.jpg] 【図6】 [図:0001404832000005.jpg] 【図10】 [図:0001404832000006.jpg] (2)甲第1号証に記載されているに等しい事項 上記(1)の【0046】、【0056】~【0069】、【図2】、【図5】の記載事項を踏まえると、甲第1号証には、以下の事項が記載されているに等しいといえる。 「コントローラ80の制御により、容器供給ルーチン83、カセット移動ルーチン84、散薬取出ルーチン85、計量ルーチン86、容器移動ルーチン87、搬送装置制御ルーチンが、それぞれ対応するユニット(カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB(収納庫)、カセット収納ユニットC(収納庫)、散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD)において実行されることで散薬の自動収集(自動取出)がなされる。」 (3)甲第1号証に記載されている発明 上記(1)及び(2)によると甲第1号証には、以下の発明が記載されていると認められる。 「散薬の取り出しを自動化するとともに、それに加えて人手介入を前提とし、人手の介在によっても処理効率の低下し難い柔軟なシステムであって(【0008】)、 上記システムは、一台の散薬補給機4の両側にそれぞれ散薬取出装置が設置され、さらにその脇に何れの散薬取出装置のカセット30にも収容されない散薬等も含めて各種の散薬を格納した薬品棚5も並べられるとともに、通路を挟んでそれらと対向するところに複数の散薬分包機70が設置されており(【0054】、【図10】(a))、 上記散薬取出装置は、カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB(収納庫)、カセット収納ユニットC(収納庫)と、散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD、を備えるものであり(【0027】、【図2】)、 カップ供給ユニットAには、調剤のためにカセット30から取り出した散薬を入れて搬送したり計量したりするためのカップ1(散薬容器)を供給するカップ供給機構14が設けられており、カップ供給ユニットA上部の空いているところには、電源部2や散薬取出装置のコントローラ80も格納されており(【0028】)、 カセット収納ユニットBには、下方に横たわる搬送機構10(散薬容器供給用搬送装置)と、縦に長いループ状のチェイン等からなるカセット循環機構20(カセット移動機構)と、カセット循環機構20に対しほぼ等間隔で取着された複数個のカセット30(散薬カセット)と、電子秤50(計量装置)とが設けられており(【0029】)、 カセット収納ユニットCは、カセット収納ユニットBと同じ構造のユニットであって、これらは、散薬の種類そして散薬カセットの必要数に対応して、必要なユニット数が左右に連結されるようになっており(【0030】)、 カップ搬送ユニットDには、カセット収納ユニットCの搬送機構10によって搬送されて来たカップ1を更にカップ昇降機構115のところまで運ぶ同様の搬送機構10と、そのカップ1を乗せて上下移動するカップ昇降機構115と、カップ昇降機構115の上昇した高さのところで行きつ戻りつして折り畳まれた搬送経路を形成する搬送機構110及びターンテーブル114と、搬送機構110等の上方に配置されたコントローラ180等と、搬送機構110等の下方に配置されたバーコードプリンタ130とが設けられており(【0031】)、 カセット30は、散薬を取り出し可能にストックするために、散薬ストック部33と、その下方の排出部とから構成されており(【0036】)、 コントローラ80は、制御用のコンピュータシステムであり、各モータやリーダライタ等とインターフェイス(I/F)を介して接続されるとともに、各種の処理を担うルーチンやデータも保持しており、すなわち、散薬取出装置のうちユニットA,B,C部分を直接制御するために、カセット装着ルーチン81や、処方入力ルーチン82、容器供給ルーチン83、カセット移動ルーチン84、散薬取出ルーチン85、計量ルーチン86、容器移動ルーチン87などがインストールされているのに加えて、散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットDを間接制御するためにそのコントローラ180と交信する搬送装置制御ルーチンなどもインストールされており(【0046】)、 散薬分包機70は、その本体部71内に、断面が円弧状に窪んだ環状凹溝72を具えた回転体と、散薬の配分時に回転体を定速回転させるとともに散薬の分割時に分割数に応じた角度ずつ回転体を回動させる駆動装置と、回転体の内側から環状凹溝上へ突き出して設けられた切出装置73を具えており、この切出装置73は、環状凹溝72の円弧状内側面に接触する円形の仕切板の側面に、所定幅の切出板が形成されたものであり、仕切板が環状凹溝72の円弧状内側面に治って1回転すると、切出板がその幅相当分に集められた散薬を環状凹溝72から切り出して包装装置のホッパ74に導入するようになっているものであり、さらに、散薬分包機70の上方には、カップ1へ取り出されて運ばれて来た散薬を環状凹溝72へ均等に送り込むため、振動フィーダ60も付設されており(【0055】)、 自動調剤を行うに際しては、 処方箋に基づいて調剤対象の薬剤情報がホストコンピュータやキーボード(KBD)等から何れかのコントローラ80に入力されると、処方入力ルーチン82によってその薬剤情報が処方データ92にセットされ(【0057】)、 コントローラ80の制御により、容器供給ルーチン83、カセット移動ルーチン84、散薬取出ルーチン85、計量ルーチン86、容器移動ルーチン87、搬送装置制御ルーチンが、それぞれ対応するユニット(カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB(収納庫)、カセット収納ユニットC(収納庫)、散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD)において実行されることで散薬の自動収集(自動取出)がなされ、(上記(2)) 散薬を自動収集した各カップ1が揃うと、作業者は、散薬取出装置の散薬容器搬送装置のカバー147を開けて先頭のカップ1から順に取り出し、調剤指示箋を参照しながら適宜の散薬分包機70のところへ持っていき、その散薬を該当するフィーダ60に投入し(【0070】)、 このような手作業でフィーダ60に投入された散薬は、該当する散薬分包機70によって自動的に分割分包される(【0071】)、 システム。」(以下「甲1発明」という。) 2 甲第2号証(国際公開第2013/154202号) [0168]図17に示すように、前記薬品秤量システム2は、一又は複数の前記薬品秤量装置10と、一又は複数の前記薬品包装装置20と、前記薬品秤量装置10各々に接続された上位システム70とを備える。前記薬品秤量システム2において、前記薬品秤量装置10、前記薬品包装装置20、及び前記上位システム70各々は、LAN又はインターネットなどのネットワークNを介して通信可能に接続されている。 3 甲第3号証(特開2014-237017号公報) 【0017】 [調剤システム100] まず、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る調剤システム100の概略構成について説明する。図1に示すように、前記調剤システム100は、主に外来患者に処方する医薬品を詞剤する外来調剤室101と、主に入院患者に処方する医薬品を調剤する入院調剤室102とを有する病院などの医療機関に設けられる。そして、前記調剤システム100は、前記外来調剤室101に配置された調剤機器群1と、前記入院調剤室102に配置された調剤機器群2と、サーバー4及び複数のクライアント端末5を有する調剤管理システム3とを備えている。前記外来調剤室101及び前記入院調剤室102は、例えば前記医療機関における別のフロア又は別の病棟に設けられた調剤室である。 【0018】 [調剤機器群1及び調剤機器群2] 前記調剤機器群1及び前記調剤機器群2各々は、処方データに基づいて医薬品を調剤する際に使用される複数の調剤機器を含む。具体的に、前記調剤機器群1は、処方データに 含まれた医薬品を調剤する錠剤分包機11、12、散薬分包機13、水剤分注機14、及びシート払出装置15と、処方データに関する情報を薬袋に印刷する薬袋プリンタ16~18とを含む。同じく、前記調剤機器群2は、処方データに含まれた医薬品を調剤する錠 剤分包機21、散薬分包機22、23、水剤分注機24、及びシート払出装置25と、処方データに関する情報を薬袋に印刷する薬袋プリンタ26、27とを含む。以下、前記調剤機器群1及び前記調剤機器群2に含まれる不特定の調剤機器を調剤機器10と称する。また、前記調剤機器10のうち調剤動作を実行する調剤機器のみを示す場合は調剤機器10A、印刷動作を実行する調剤機器のみを示す場合は調剤機器10Bと称する。前記調剤機器10各々は、LAN又はインターネット等の通信網N1を介して前記サーバー4に通信可能に接続されており、前記サーバー4から前記調剤データ又は前記印刷データを取得することが可能である。具体的に、前記調剤機器10A各々は、前記サーバー4から前記調剤データを能動的に読み出す制御装置を備え、前記調剤機器10B各々は、前記サーバー4から送信された前記印刷データを受信する制御装置を備えている。もちろん、前記調 剤機器10A各々が前記サーバー4から送信された前記調剤データを取得すること、及び 前記調剤機器10B各々が前記サーバー4から前記印刷データを能動的に読み出すことも考えられる。 【0019】 前記錠剤分包機11、12、21は、複数種類の錠剤が収容された複数の薬剤カセットを有し、前記サーバー4から取得した調剤データに従って前記薬剤カセットから錠剤を払い出して1服用分ごとに分包紙で包装する分包動作を実行する。前記散薬分包機13、22、23は、投入された散薬を前記サーバー4から取得した調剤データに従って1服用分ごとに分包紙で包装する分包動作を実行する。前記水剤分注機14、24は、複数種類の水剤が収容された複数の薬瓶を有しており、前記サーバー4から取得した調剤データに従って前記薬瓶から必要量の水剤を払い出す。前記シート払出装置15、25は、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットを有する。そして、前記シート払出装置15、25は、前記サーバー4から取得した調剤データに従って前記シートカセットから必要量の前記PTPシート又は前記ヒートシールを払い出す。前記薬袋プリンタ16~18、26、27は、前記サーバー4から取得した印刷データに基づいて、処方データに関する情報を、医薬品を入れる薬袋に印刷する。なお、前記 調剤システム100に設けられる前記調剤機器10の機種はこれらに限らない。例えば、薬剤秤量装置、調剤監査装置、及びピッキング補助装置なども前記調剤機器10の一例として考えられる。前記薬剤秤量装置は、前記散薬分包機13、22、23に投入する散薬を事前に秤量する際に用いられる。前記調剤監査装置は、錠剤監査装置、散薬監査装置、又は水剤監査装置などであり、調剤後の医薬品を撮像した画像又は調剤後の医薬品の重量などに基づいて、調剤された医薬品と処方データに含まれる医薬品との照合を行うものである。前記ピッキング補助装置は、薬剤師が手動で調剤する際に用いられ、薬品棚又は薬瓶などに付された識別情報(バーコードなど)から医薬品名を読み取って、その読み取られた医薬品名と処方データに含まれる医薬品名との照合を行うものである。 【0020】 [調剤管理システム3] 前記調剤管理システム3は、前記通信網N1を介して通信可能に接続された前記サーバー4及び複数の前記クライアント端末5を備えている。本実施形態では、前記サーバー4が調剤管理装置の一例であり、前記クライアント端末5が通信端末の一例である。なお、前記クライアント端末5を前記サーバー4の構成要素として捉えてもよい。もちろん、前記クライアント端末5が1台であること、又は前記サーバー4がスタンドアローンの形態で用いられることも他の実施形態として考えられる。前記サーバー4は、前記調剤機器10各々の動作を制御するために用いられるパーソナルコンピュータであり、前記医療機関に設けられたサーバールーム、前記外来調剤室101、又は前記入院調剤室102などの任意の場所に配置される。なお、前記サーバー4が、前記医療機関の外部に設けられており、前記サーバー4と前記クライアント端末5及び前記調剤機器10各々とがインターネット等の通信網を介して通信可能に接続される構成も他の実施形態として考えられる。また、前記サーバー4が前記クライアント端末5と通信可能であり、前記クライアント端末5を介して前記調剤機器10各々を制御することも考えられる。前記クライアント端末5は、前記外来調剤室101及び前記入院調剤室102各々に配置されたパーソナルコンピ ュータである。なお、前記クライアント端末5は、ラップトップパソコン、携帯電話、スマートフォン、PDA、又はタブレット端末などの携帯用端末であってもよい。 4 甲第4号証(特開平6-312010号公報) 【0057】また本発明によれば、分包する薬品を最も多く有している自動錠剤分包機へ指示するため、手作業による自動錠剤分包機への薬品の追加投入の発生を少なくするとともに、たとえ追加投入の必要があっても最小限の作業で済むため自動錠剤分包機での調剤時間の短縮を図ることができる。 【0103】図3は、この自動錠剤分包機制御手段を機能実現手段で表現したブロックである。同図において薬品記憶手段27は、各自動錠剤分包機6Eにどのような薬品が装着されているかを記憶する手段であり、薬品対照手段28は、分包する各薬品を薬品記憶手段27に記 録された薬品と対照する手段である。自動錠剤分包機決定手段29は、薬品記憶手段27での対照結果に基づきいずれの自動錠剤分包機6Eに指示するかを決定する手段である。自動錠剤分包機管理手段30は、各自動錠剤分包機6Eの稼働状況を管理する手段であり、具体的には稼働可能状態にあるか否か、現在調剤中であるか否か、また各自動錠剤分包機6Eの調剤待ち件数がどれくらいあるかを管理する手段である。 【0105】次に自動錠剤分包機制御手段の制御方法について説明する。まず、自動錠剤分包機管理手段30により各自動錠剤分包機6Eが稼働可能状態にあるか否かをチエックする。そして稼働可能状態にある自動錠剤分包機6Eについて、分包に必要な薬品を有しているか否か薬品対照手段28にて対照する。そして自動錠剤分包機決定手段29にてこの分包に必要な薬品を全て含む自動錠剤分包機6Eの有無を判断し、無い場合には必要な薬品を最も多く有している自動錠剤分包機6Eを決定する。そして、手作業による自動錠剤分包機6Eへの追加投入指示を出し、追加投入完了指示の後に自動錠剤分包機6Eに調剤指示を与える。一方、分包に必要な薬品を全て含む自動錠剤分包機6Eがある場合には、何台あるかを判断する。1台だけの時はその自動錠剤分包機6Eに調剤指示を与える。複数存在する場合にはまずそれらの自動錠剤分包機6Eが現在調剤中であるか否かを判断し、調剤中でない自動錠剤分包機6Eがあるときにはその自動錠剤分包機6Eに調剤指示を与える。また、調剤中の自動錠剤分包機6Eしかない場合には調剤待ちの少ない自動錠剤分包機6Eに調剤指示をあたえる。 5 甲第5号証(特開昭60-242853号公報) ・・・分包すべき種類の錠剤がいずれか1台の錠剤分包111にのみ収容されている場合はその錠剤分包機1の制御手段16に対し分包すべき錠剤の種類および錠数を指示して分包動作を行わせ、・・・(第3頁右上欄第1行~第4行) ・・・上記各実施例では錠剤分包装置に適用したが、たとえば各散剤分包機が秤、電磁フィーダおよび環状分割ますを具えた散剤分包装置に適用して、分包すべき散剤の種類、分包数(すなわち環状分割ますで分割する数)およびその総量(すなわち秤ではかる量)からなる分包情報を取扱うこともでき、・・・(第5頁左上欄第9行~第15行) 6 甲第6号証(特公平6-9602号公報) ・・・たとえば、錠剤A,Bは錠剤フィーダに収容されているが、錠剤Cは、軟らかすぎて錠剤フィーダの収容に適さないため、錠剤フィーダに収容されていないような場合、案内手段5aは、「薬剤を1回分ずつ収容する多数の区画室を具えた手撒き装置に、錠剤Cを2錠ずつ、日数分だけ手撒きする。」という必要な手作業の内容を、表示装置15に表示するようになっている。(第4頁第7欄第2行~第9行) 7 甲第7号証(特公平2-57939号公報) ・・・また操作装置7は、第3図に示すように、制御装置4から分包データを受取ると、その分包データを表示装置8に表示させるとともに、・・・(第3頁第5欄第3行~第5行) 8 甲第8号証(特開平6-40401号公報) 【0008】・・・また、その処方が手撒き処方である場合は、処理装置11が、まず手撒き装置8を自動的に引き出すとともに、明示装置13がその薬品の内容(薬品名、総量、分割数、1回量、等)を明示する。・・・ 9 甲第9号証(特開2000-354620号公報) 【0055】前記ステップS1に続いて、処方データ内の各薬剤データから手撒きデータを作成する(ステップS2)。形態が「分包」であって服用時期毎の1回量に小数部がある場合、1回量を整数部と小数部に分け、小 数部のみの薬剤データを作成する。また、薬剤データの形態を図10に示すように「手撒き」にする。図8の例の場合、「錠剤A」の1回量が「1.5」なので、図10のように形態が「分包」の薬剤データの1回量は 「1」に変更する。そして、手撒き薬剤データの1回量を「0.5」とする。 【図10】 [図:0001404832000007.jpg] 10 甲第10号証(特開2006-280916号公報) 【0056】 監査業務画面では、上部に種々のボタンを表示し、各ボタンがタッチ操作されることにより、対応する画面に切り替えて該当する項目を入力することを可能とする。ここでは、調剤者入力、処方番号入力、日付入力、日数入力、分数入力、年齢入力、体重入力、メンテナンスの各処理を行うことが可能となっている。また、秤量の対象薬品について、その薬品名と目標値(又は実測値)の一覧表(薬品一覧表)として表示される。さらに、秤単 体ボタンを操作することにより、任意の薬品の秤量を行わせることが可能である。 【0058】 処方番号ボタンがタッチ操作されると、処理データ選択画面が表示される。ここで、「 順次」ボタンがタッチ操作されると、処方データの入力があったもののうち、最も古いものが抽出される。また、「患者ID」ボタンをタッチ操作すると、患者毎に付与された識別番号(ID番号)の昇順(又は降順)で処方データを抽出することができる。「引換券番号」ボタンをタッチ操作すると、各患者に手渡された薬品引換券に付与された番号(引換券番号)に基づいて処方データを抽出することができる。「処方箋番号」ボタンをタッチ操作すると、処方箋に対して自動的に振られた番号に基づいて処方データを抽出することができる。「未処理一覧」ボタンをタッチ操作すると、監査の終了していない処方の一覧表が表示される。なお、処方番号は、処方番号ボタンを使用しなくても、直接(画面に表示される)テンキーを操作して入力することも可能である。 【0073】 続いて、薬品一覧表にこれから秤量しようとする薬品名及び用量(目標値)を入力する 。薬品名及び用量は、画面に疑似キーボードを表示させて入力すればよい。但し、前記処方箋番号の入力によりサーバから処方データを読み込み、自動的に薬品一覧表に表示させるようにしてもよい。 第5 当審の判断 <申立理由1(進歩性)について> 1 本件特許発明1について (1)対比 本件特許発明1と甲1発明を対比する。 ア 「薬剤秤量装置と、薬剤分包機と、完全自動散薬分包機とを有する調剤機器と、処方に関するデータであって患者に提供されるべき散薬の情報を含む処方データに基づいて調剤機器を制御する制御装置と、散薬を収容する薬剤容器とを備え、」について (ア)甲1発明の「散薬分包機70」及び「カセット30」は、それぞれ本件特許発明1の「薬剤分包機」及び「散薬を収容する薬剤容器」に相当する。 (イ)甲1発明の「散薬取出装置」は、「カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB(収納庫)、カセット収納ユニットC(収納庫)と、散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD、を備えるものであり」、「散薬の自動収集(自動取出)」を行うものであり、「散薬分包機70」とともに調剤を行うために使用される装置であるから、「散薬分包機70」と「散薬取出装置」を総称して「調剤機器」といえるものである。そうすると、本件特許発明1と甲1発明は、「散薬分包機と調剤を行うために使用される装置とを有する調剤機器」を備えているという点で共通している。 ここで、甲1発明の「散薬取出装置」は、散薬の自動収集(自動取出)を行うものであって、自動収集(自動取出)された散薬の分割分包に関する動作は、「散薬分包機70」で行われるのであるから、「薬剤容器から分配ユニットに散薬を排出する動作と、分配ユニットに排出された散薬を所定の数に分割する動作と、薬剤包装装置によって分割した散薬を個別に包装する動作とを含む完全自動分包動作が可能である」本件特許発明1の「完全自動散薬分包機」に対応するものとはいえない。 (ウ)甲1発明においては、「処方箋に基づいて調剤対象の薬剤情報がホストコンピュータやキーボード(KBD)等から何れかのコントローラ80に入力されると、処方入力ルーチン82によってその薬剤情報が処方データ92にセットされ、」「コントローラ80の制御により、容器供給ルーチン83、カセット移動ルーチン84、散薬取出ルーチン85、計量ルーチン86、容器移動ルーチン87、搬送装置制御ルーチンが、それぞれ対応するユニット(カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB(収納庫)、カセット収納ユニットC(収納庫)、散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD)において実行されることで散薬の自動収集(自動取出)がなされ」るのであるから、上記「処方箋に基づいて調剤対象の薬剤情報」は、本件特許発明1の「処方に関するデータであって患者に提供されるべき散薬の情報を含む処方データ」に相当する。そして、甲1発明の「コントローラ80」は、「散薬取出装置(カップ供給ユニットA、カセット収納ユニットB(収納庫)、カセット収納ユニットC(収納庫)、散薬容器搬送装置であるカップ搬送ユニットD)」を「制御」するから、本件特許発明1の「制御装置」に対応するものといえる。そうすると、本件特許発明1と甲1発明は、「処方に関するデータであって患者に提供されるべき散薬の情報を含む処方データに基づいて一部の調剤機器を制御する制御装置」を備えているという点で共通している。 (エ)したがって、本件特許発明1と甲1発明は、「散薬分包機と調剤を行うために使用される装置とを有する調剤機器と、処方に関するデータであって患者に提供されるべき散薬の情報を含む処方データに基づいて一部の調剤機器を制御する制御装置と、散薬を収容する薬剤容器とを備え、」で一致しているものの、本件特許発明1の「調剤機器」が有する「薬剤秤量装置」と「完全自動散薬分包機」を甲1発明は有していない点で相違している。 イ 「完全自動散薬分包機は、薬剤容器から排出された散薬を配分する分配ユニットと、薬剤包装装置とが内部に設けられており、」について 上記「ア(エ)」で言及したように、甲1発明は本件特許発明1の「完全自動散薬分包機」を有していないから、本件特許発明1と甲1発明は、本件特許発明1の「完全自動散薬分包機は、薬剤容器から排出された散薬を配分する分配ユニットと、薬剤包装装置とが内部に設けられており、」との構成を甲1発明は備えていない点で相違している。 ウ 「完全自動散薬分包機を用いて、処方データに基づき、薬剤容器から分配ユニットに散薬を排出する動作と、分配ユニットに排出された散薬を所定の数に分割する動作と、薬剤包装装置によって分割した散薬を個別に包装する動作とを含む完全自動分包動作が可能であって、」について 上記「ア(エ)」で言及したように、甲1発明は本件特許発明1の「完全自動散薬分包機」を有していないから、本件特許発明1と甲1発明は、本件特許発明1の「完全自動散薬分包機を用いて、処方データに基づき、薬剤容器から分配ユニットに散薬を排出する動作と、分配ユニットに排出された散薬を所定の数に分割する動作と、薬剤包装装置によって分割した散薬を個別に包装する動作とを含む完全自動分包動作が可能であって、」との構成を甲1発明は備えていない点で相違している。 エ 「制御装置と完全自動散薬分包機の少なくともいずれかが処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを、調剤機器において 完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であること」について 上記「ア(エ)」で言及したように、甲1発明は本件特許発明1の「完全自動散薬分包機」を有していないから、本件特許発明1と甲1発明は、本件特許発明1の「制御装置と完全自動散薬分包機の少なくともいずれかが処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを、調剤機器において完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であること」との構成を甲1発明は備えていない点で相違している。 オ 「散薬調剤業務支援システム」について 甲1発明に係る「システム」は、「一台の散薬補給機4の両側にそれぞれ散薬取出装置が設置され、さらにその脇に何れの散薬取出装置のカセット30にも収容されない散薬等も含めて各種の散薬を格納した薬品棚5も並べられるとともに、通路を挟んでそれらと対向するところに複数の散薬分包機70が設置された」ものであって、散薬の取り出しを自動化するとともに、それに加えて人手介入を前提とし、人手の介在によっても処理効率の低下し難い柔軟なシステムであるから、本件特許発明1と同様に散薬調剤業務を支援するシステムといえるものである。 してみると、甲1発明の「システム」は本件特許発明1の「散薬調剤業務支援システム」に相当する。 (2)一致点及び相違点 上記「(1)対比」の「ア」~「オ」で対比した事項を踏まえると、本件特許発明1と甲1発明は、 「散薬分包機と調剤を行うために使用される装置とを有する調剤機器と、処方に関するデータであって患者に提供されるべき散薬の情報を含む処方データに基づいて一部の調剤機器を制御する制御装置と、散薬を収容する薬剤容器とを備えた、 散薬調剤業務支援システム。」 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 本件特許発明1の「調剤機器」が有する「薬剤秤量装置」と「完全自動散薬分包機」を甲1発明は有していない点。 (相違点2) 本件特許発明1の「完全自動散薬分包機は、薬剤容器から排出された散薬を配分する分配ユニットと、薬剤包装装置とが内部に設けられており、」との構成を甲1発明は備えていない点。 (相違点3) 本件特許発明1の「完全自動散薬分包機を用いて、処方データに基づき、薬剤容器から分配ユニットに散薬を排出する動作と、分配ユニットに排出された散薬を所定の数に分割する動作と、薬剤包装装置によって分割した散薬を個別に包装する動作とを含む完全自動分包動作が可能であって、」との構成を甲1発明は備えていない点。 (相違点4) 本件特許発明1の「制御装置と完全自動散薬分包機の少なくともいずれかが処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを、調剤機器において完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であること」との構成を甲1発明は備えていない点。 (3)判断 相違点1~4は、いずれも「完全自動散薬分包機」に関係するものであるからまとめて検討する。 上記「(1)対比」の「ア(イ)、(エ)」で言及したように、甲1発明は、本件特許発明1における必須の構成である「完全自動散薬分包機」を備えていない。 そして、上記「完全自動散薬分包機」は、甲第2号証~甲第5号証のいずにも記載されていない。また、異議申立人の提出した甲第6号証~甲第10号証にも記載されていない。 さらに、上記「完全自動散薬分包機」は、本願の分割元である最先の出願(特願2015-5370号)の出願前において、当業者にとって周知のものであるとの合理的な証拠もない。 してみると、甲1発明に本件特許発明1で特定されている「完全自動散薬分包機」を備えるようにすることは当業者といえども容易になし得るものではない。 そして、相違点2~4で特定した「完全自動散薬分包機」に関係する構成を、「完全自動散薬分包機」に対応する構成を有しない甲1発明に適用することは当業者といえども容易になし得るものではない。 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて、または、甲1発明及び甲第2~5号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)小括 上記「(1)対比」~「(3)判断」で検討したように、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて、または、甲1発明及び甲第2~5号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、同発明に対する申立理由1の「ア」は理由がない。 2 本件特許発明2~7について 本件特許発明2~7は、本件特許発明1を直接的または間接的に引用する発明であるから、上記「1 本件特許発明1について」で検討したのと同様の理由により、甲1発明及び甲第2~10号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 したがって、同発明に対する申立理由1の「ア」~「エ」は理由がない。 3 まとめ 上記「<申立理由1(進歩性)について>」の「1 本件特許発明について」及び「2 本件特許発明2~7について」で検討したとおりであるから、異議申立人の申立理由1は理由がない。 <申立理由2(サポート要件)について> 1 申立理由2のアについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(2)申立理由2 ア」で言及したように、異議申立人は、「本件発明1(請求項1に記載の発明)は、「薬剤容器」が自動式薬剤容器46も手動式薬剤容器47も薬剤分包機4で使用する容器も含む概念であり、「排出する動作」「分割する動作」「包装する動作」を含む動作が完全自動分包動作だけでなく、準自動分包動作、手動分包動作、半自動分包動作、薬剤分包機4を用いた分包動作も含む概念が記載された請求項1、3の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、41頁)」旨主張しているが、本件特許発明1は、「完全自動散薬分包機を用いて、処方データに基づき、薬剤容器から分配ユニットに散薬を排出する動作と、分配ユニットに排出された散薬を所定の数に分割する動作と、薬剤包装装置によって分割した散薬を個別に包装する動作とを含む完全自動分包動作が可能であって、」という記載のとおり、「完全自動散薬分包機」を用いた「完全自動分包動作」に係る事項を特定したものであり、当該「完全自動分包動作」については、発明の詳細な説明の段落【0078】~【0088】に記載されているから、異議申立人の上記主張は採用できない。 2 申立理由2のイについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(2)申立理由2 イ」で言及したように、異議申立人は、「散薬を排出する動作の前及び後に計量する動作を行う態様が含まれることが記載された請求項5の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、42、43頁)」旨主張しているが、本件特許発明5は、「完全自動分包動作は、薬剤容器から分配ユニットに排出する散薬を計量する動作を含む」という記載のとおり、「完全自動分包動作には薬剤容器から分配ユニットに排出する散薬を計量する動作が含まれる」との事項を特定したものであり、当該事項については、発明の詳細な説明の段落【0083】~【0084】に記載されているから、異議申立人の上記主張は採用できない。 3 申立理由2のウについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(2)申立理由2 ウ」で言及したように、異議申立人は、「本件発明6(請求項6に記載の発明)では、表示装置に表示するための条件が一切特定されていないから、例えば、請求項1に従属する請求項6において、判別動作の判別結果がいかなる結果であっても表示装置へ表示する形態まで含むものとなっており、また、請求項4に従属する請求項6において、完全自動分包動作だけで分包可能でなく、患者に提供されるべき散薬の全てを、薬剤秤量装置で秤量し、秤量した散薬を薬剤分包機で分包する動作を行う場合であっても表示装置へ表示する形態まで含むものとなっている。 よって、請求項6の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、43頁)」旨主張しているが、本件特許発明6の「表示装置」は、散薬調剤業務支援システムの一つの構成である「薬剤秤量装置」が備えるものであって、「患者に提供されるべき散薬の中に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合、表示装置に両者を区別する表示がなされること」という事項については、発明の詳細な説明の段落【0017】~【0020】、【0132】~【0134】に記載されているから、異議申立人の上記主張は採用できない。 4 申立理由2のエについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(2)申立理由2 エ」で言及したように、異議申立人は、「請求項6では、「完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合」に表示装置に区別して表示すると特定されているが、発明の詳細な説明では、「自動式薬剤容器46に収容されている薬剤と自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤とが混在している場合」に区別して表示される点が記載されている(【0122】【0133】)。 発明の詳細な説明に記載の事項はすなわち、自動式薬剤容器46に薬剤が収容されている場合には完全自動動作か準自動動作が可能であり、自動式薬剤容器46に薬剤が収容されていない場合には手動動作が可能ということであるから、表示装置に区別して表示する際の条件が、請求項6の特定と発明の詳細な説明との間で異なっている。 よって、請求項6の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、44頁)」旨主張しているが、本件特許発明6の「患者に提供されるべき散薬の中に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合」とは、段落【0122】の「具体的に説明すると、完全自動散薬分包機5だけで自動的に処理できない処方には、処方で提供される薬剤に自動式薬剤容器46に現在収容されている薬剤と、自動式薬剤容器46に現在収容されていない薬剤が混在する場合(以下、単に混在状態とも称す)と、処方で提供される全ての薬剤が自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤である場合(以下、単に未収容状態とも称す)がある。」との記載を踏まえると、「処方で提供される薬剤に自動式薬剤容器46に現在収容されている薬剤と、自動式薬剤容器46に現在収容されていない薬剤が混在する場合」という内容を意味するものと解される。 してみると、異議申立人の上記主張は採用できない。 5 申立理由2のオについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(2)申立理由2 オ」で言及したように、異議申立人は、「請求項7では「完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合」にデータ送信すると特定されているが、発明の詳細な説明では、「自動式薬剤容器46に収容されている薬剤と自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤とが混在している場合」にデータ送信する点が記載されている(【0161】~【0164】)。 よって、本件発明7(請求項7に記載の発明)は、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない発明であるから、請求項7の記載は「サポート要件」に違反している。(異議申立書第8、44、45頁)」旨主張しているが、上記「4 申立理由2のエについて」で指摘したのと同様に、本件特許発明7の「対象となる処方で提供される散薬に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬が混在している場合」とは、「処方で提供される薬剤に自動式薬剤容器46に現在収容されている薬剤と、自動式薬剤容器46に現在収容されていない薬剤が混在する場合」という内容を意味するものと解される。 してみると、異議申立人の上記主張は採用できない。 6 申立理由2のカについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(2)申立理由2 カ」で言及したように、異議申立人は、「発明の詳細な説明において、秤量準備動作をすることが課題とされ、これに対する解決手段として、完全自動散薬分包機5で自動的に処理できない場合、かつ、混在状態である場合に、薬剤秤量装置3に収容されていない薬剤のデータを、送信する(【0161】~【0164】)。 これに対し、本件発明7(請求項7に記載の発明)では、データを送信する条件が一切特定されていない、例えば、請求項1に従属する請求項7では、判別動作の結果がいかなる場合にもデータを送信する形態も含まれているし、また、請求項4に従属する請求項7では、判別動作の結果、完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能でないと判別した場合、処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを、薬剤秤量装置で秤量し、秤量した散薬を薬剤分包機で分包する動作を行う場合であってもデータを送信する形態も含まれている。 よって、請求項7の記載は、「サポート要件」に違反している。(異議申立書第9、45頁)」旨主張しているが、本件特許発明7には「前記判別動作の結果、対象となる処方で提供される散薬に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬が混在している場合、」という条件が特定されており、当該条件は段落【0022】や【0161】に記載されている。そして、請求項4と請求項4に従属する請求項7は、それぞれ、「完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能でないと判別した場合」、「対象となる処方で提供される散薬に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬が混在している場合」という条件が特定されている。 してみると、異議申立人の上記主張は採用できない。 7 まとめ 上記「<申立理由2(サポート要件)について>」の「1 申立理由2のアについて」~「6 申立理由2のカについて」で検討したとおりであるから、異議申立人の申立理由2は理由がない。 <申立理由3(明確性)について> 1 申立理由3のアについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(3)申立理由3 ア」で言及したように、異議申立人は、「「薬剤分包機」と「完全自動散薬分包機」とが同一の装置か否か不明確であるので、本件発明1、3は、発明として不明確である。(異議申立書第9、45頁)」旨主張しているが、本件特許発明1には、「薬剤秤量装置と、薬剤分包機と、完全自動散薬分包機とを有する調剤機器と、処方に関するデータであって患者に提供されるべき散薬の情報を含む処方データに基づいて調剤機器を制御する制御装置と、散薬を収容する薬剤容器とを備え、」と記載されており、「薬剤分包機」と「完全自動散薬分包機」とが同一の装置でないことは明確に記載されている。そして、請求項1を直接的または間接的に引用する請求項3に記載されている本件特許発明3についても同様である。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 2 申立理由3のイについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(3)申立理由3 イ」で言及したように、異議申立人は、「本件発明1の「完全自動分包動作」は「薬剤容器から分配ユニットに散薬を排出する動作と、分配ユニットに排出された散薬を所定の数に分割する動作と、薬剤包装装置によって分割した散薬を個別に包装する軌作とを含む」動作と特定されている。一方、薬剤分包機4で可能な動作は「公知の分包動作」(【0047】【0143】)であるから、上記完全自動分包動作と同じ動作を含むものである。 そうすると、判別動作で分包可能であると判別しても分包可能でないと判別しても、同じ動作をするだけであり、判別結果に違いが生じないから、本件発明4は、技術的に欠陥のある発明であり不明確である。(異議申立書第9、46頁)」旨主張しているが、上記「1 申立理由3のアについて」で言及したように、「薬剤分包機」と「完全自動散薬分包機」とは同一の装置ではないのであるから、判別動作の結果に応じて、完全自動散薬分包機とは同一の装置でない「薬剤秤量装置」と「薬剤分包機」の動作を特定した本件特許発明4の記載は明確である。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 3 申立理由3のウについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(3)申立理由3 ウ」で言及したように、異議申立人は、「「散薬を計量する動作」には人の動作が含まれるため、本件発明5は、発明として不明確である。(異議申立書第9、46頁)」旨主張しているが、本件特許発明5の記載は「完全自動分包動作」に含まれる「計量に関する動作」を特定するものであり、人の動作が含まれないと解釈することは明らかである。そして、このことは、発明の詳細な説明の段落【0083】~【0084】にも記載されており、上記解釈とも矛盾しない。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 4 申立理由3のエについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(3)申立理由3 エ」で言及したように、異議申立人は、「請求項1に従属する請求項6においては、請求項1の判別動作が「調剤機器において完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能か否か」を判別するのに対し、請求項6では、「患者に提供されるべき散薬の中に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合」が判別されており、両者の関係が不明確であり、本件発明6は、発明として不明確である。(異議申立書第9、46頁)」旨主張しているが、上記「請求項1の判別動作」は、本件特許発明1の「制御装置」または「完全自動散薬分包機」のいずれかで実行される処理であり、一方、本件特許発明6の「患者に提供されるべき散薬の中に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合、表示装置に両者を区別する表示がなされる」は、「(薬剤秤量装置が備える)表示装置」において実行される処理であるから、両者の処理の関係は明確である。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 5 申立理由3のオについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(3)申立理由3 オ」で言及したように、異議申立人は、「請求項1に従属する請求項7においては、請求項1の判別動作が「調剤機器において完全自動散薬分包機による完全自動分包動作だけで分包可能か否か」を判別するのに対し、請求項7では、その判別動作の結果、「完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合」が判別されており、判別動作の内容と結果とが辻悽が合わないものとなっている。 よって、本件発明7は、技術的に欠陥のある発明であり不明確である。(異議申立書第9~10、47頁)」旨主張しているが、本件特許発明7は、「制御装置」または「完全自動散薬分包機」のいずれかで実行された「判別動作の結果のうちの一態様に対応する事項」を特定するものである。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 6 申立理由3のカについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(3)申立理由3 カ」で言及したように、異議申立人は、「請求項7では、データを薬剤秤量装置に送信する旨記載されているが、送信の主体がわからないから、本件発明7は、発明として不明確である。(異議申立書第10、47頁)」旨主張しているが、本件特許発明7が引用する本件特許発明2には、「制御装置は、調剤機器である薬剤秤量装置、薬剤分包機、完全自動散薬分包機の各々と、通信網を介してデータを送受信可能な状態に接続されている」と特定されていることを踏まえると、上記「データを薬剤秤量装置に送信する主体」は「制御装置」であると解釈できることは明らかである。そして、このことは、発明の詳細な説明の段落【0130】にも記載されており、上記解釈とも矛盾しない。 したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 7 申立理由3のキについて 上記「第3 申立理由の概要」の「1 申立理由及び主張の概要」「(3)申立理由3 キ」で言及したように、異議申立人は、「請求項6に従属する請求項7において、請求項6の「散薬に関する情報を表示する表示装置」と、請求項7の「散薬を選択するための選択画面を表示可能な表示装置」とが同一の装置か否か不明確であり、本件発明7は、発明として不明確である。 また、前記両者が同一の装置を意味するとしても、前者は分包可能な散薬と分包できない散薬を表示し、後者は分包できない散薬のみを表示するものであり、それぞれが表示する情報が整合しておらず、本件発明7は、発明として不明確である。(異議申立書第10、47頁)」旨主張しているが、上記「4 申立理由3のエについて」で言及したように、本件特許発明6の「患者に提供されるべき散薬の中に、完全自動分包動作だけで分包可能な散薬と、完全自動分包動作だけで分包できない散薬とが混在している場合、表示装置に両者を区別する表示がなされる」は、「(薬剤秤量装置が備える)表示装置」において実行される処理であるから、本件特許発明6と本件特許発明7の「表示装置」は同一の装置であることは明確である。 また、異議申立人の主張する「後者は分包できない散薬のみを表示するものであり」との主張は、本件特許発明7を特定する請求項7の記載に基づかない主張である。(なお、上記主張は、発明の詳細な説明の段落【0130】~【0135】の記載とも整合しない。) したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。 8 まとめ 上記「<申立理由3(明確性)について>」の「1 申立理由3のアについて」~「7 申立理由3のキについて」で検討したとおりであるから、異議申立人の申立理由3は理由がない。 第6 むすび したがって、特許異議申立の理由1~3及び証拠によっては、請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700775

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