特許異議申立
2024-700416
導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法
- 審判番号
- 2024-700416
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-027262
- 登録番号
- 7372745
- 請求日
- 2024年05月01日
- 審決日
- 2025年07月28日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】積水化学工業株式会社
- 【権利者代理人】田口 昌浩
- 【異議申立人】前田 桂子
- 審判長/審判官
- 審判長 松永 稔
- 審判官 小川 将之
- 審判官 綿引 隆
- 分類
- P1651.537-YAA(H01B) / P1651.113-YAA(H01B) / P1651.121-YAA(H01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条、特許法第36条、特許法第29条、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7372745号発明「導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7372745号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。
特許第7372745号の請求項1、3-11に係る特許を維持する。
特許第7372745号の請求項2に係る特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7372745号の請求項1~11に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成31年2月19日(優先権主張 平成30年2月21日)に出願され、令和5年10月24日にその特許権の設定登録がされ、令和5年11月1日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、以下のとおりである。
令和6年5月1日:特許異議申立人前田桂子(以下「申立人」という。)による請求項1~11に係る特許に対する特許異議の申立て(以下「本件特許異議の申立て」という。)
令和6年8月9日付け :取消理由通知書
令和6年10月10日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年12月17日 :申立人による意見書の提出
令和7年3月26日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和7年5月29日 :特許権者による意見書の提出
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和6年10月10日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求は、特許第7372745号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであって、本件訂正の内容は、次のとおりである。(下線は合議体が付与した。以下同じ。)
(1)訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、
「熱硬化性成分と、複数のはんだ粒子とを含み、
前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の4倍以下であり、
導電材料100体積%中、前記はんだ粒子の含有量が、10体積%以上95体積%以下である、導電材料。」とあるのを、
「熱硬化性成分と、複数のはんだ粒子とを含み、
前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の4倍以下であり、
前記はんだ粒子の平均粒子径が、5μm以上40μm以下であり、
前記最大粒子径、前記最小粒子径及び前記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA-920」)を用いて測定され、
はんだ粒子の融点での導電材料の粘度(ηmp)が、50Pa・s以下であり、
25℃での導電材料の粘度(η25)が、0.1Pa・s以上、400Pa・s以下であり、
導電材料100体積%中、前記はんだ粒子の含有量が、10体積%以上95体積%以下である、導電材料。」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項6~11も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
訂正前の特許請求の範囲の請求項2を削除する。(請求項2の記載を引用する請求項6~11も同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
訂正前の特許請求の範囲の請求項3に、
「熱硬化性成分と、複数のはんだ粒子とを含み、
前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の20倍未満であり、
前記はんだ粒子の平均粒子径が、5μm以下であり、
導電材料100体積%中、前記はんだ粒子の含有量が、10体積%以上95体積%以下である、導電材料。」とあるのを、
「熱硬化性成分と、複数のはんだ粒子とを含み、
前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の20倍未満であり、
前記はんだ粒子の平均粒子径が、5μm以下であり、
前記最大粒子径、前記最小粒子径及び前記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA-920」)を用いて測定され、
はんだ粒子の融点での導電材料の粘度(ηmp)が、50Pa・s以下であり、
25℃での導電材料の粘度(η25)が、0.1Pa・s以上、400Pa・s以下であり、
導電材料100体積%中、前記はんだ粒子の含有量が、10体積%以上95体積%以下である、導電材料。」に訂正する。(請求項3の記載を引用する請求項4~11も同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
訂正前の特許請求の範囲の請求項6に、「請求項1~5のいずれか1項」とあるのを、「請求項1及び3~5のいずれか1項」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項7~11も同様に訂正する。)
(5)訂正事項5
訂正前の特許請求の範囲の請求項7に、「請求項1~6のいずれか1項」とあるのを、「請求項1及び3~6のいずれか1項」に訂正する。(請求項7の記載を引用する請求項8~11も同様に訂正する。)
(6)訂正事項6
訂正前の特許請求の範囲の請求項8に、「請求項1~7のいずれか1項」とあるのを、「請求項1及び3~7のいずれか1項」に訂正する。(請求項8の記載を引用する請求項9及び11も同様に訂正する。)
(7)訂正事項7
訂正前の特許請求の範囲の請求項10に、「請求項1~7のいずれか1項」とあるのを、「請求項1及び3~7のいずれか1項」に訂正する。(請求項10の記載を引用する請求項11も同様に訂正する。)
(8)一群の請求項について
訂正前の請求項1~11について、請求項2及び6~11は、それぞれ請求項1の記載を直接又は間接的に引用しているものであり、請求項4~11は、それぞれ独立項である請求項3の記載を直接又は間接的に引用しているものであって、上記訂正事項1によって記載が訂正される請求項1及び上記訂正事項3によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~11に対応する訂正後の請求項1~11は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「複数のはんだ粒子」について、「前記はんだ粒子の平均粒子径が、5μm以上40μm以下であり」との構成を付加して限定するとともに、「複数のはんだ粒子」の最大粒子径、最小粒子径及び平均粒子径について、「前記最大粒子径、前記最小粒子径及び前記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA-920」)を用いて測定され」と測定手段を特定することで構成を限定し、さらに、訂正前の請求項1に記載の「導電材料」について、「はんだ粒子の融点での導電材料の粘度(ηmp)が、50Pa・s以下であり」及び「25℃での導電材料の粘度(η25)が、0.1Pa・s以上、400Pa・s以下であり」との構成を付加して限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の有無
訂正前の特許請求の範囲の請求項2には、「前記はんだ粒子の平均粒子径が、5μm以上40μm以下である、請求項1に記載の導電材料。」と記載されている。
また、願書に添付した明細書の段落0165には、「上記はんだ粒子の最大粒子径及び上記はんだ粒子の最小粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA-920」)を用いた測定結果から、はんだ粒子の粒子径の最大値を上記はんだ粒子の最大粒子径とし、はんだ粒子の粒子径の最小値を上記はんだ粒子の最小粒子径とした。」と記載され、同段落0166には、「上記はんだ粒子の平均粒子径を、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA-920」)を用いて測定した。」と記載されている。
さらに、同段落0144には、「はんだ粒子の融点での導電材料の粘度(ηmp)は、好ましくは50Pa・s以下、・・・である。」と記載され、同段落0040には、「電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは0.1Pa・s以上・・・であり、好ましくは400Pa・s以下・・・である。」と記載されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する126条5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「複数のはんだ粒子 」や「導電材料」を限定するものであり、訂正前の請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する126条6項に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を削除する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の有無
訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を削除する訂正であるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する126条5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する126条6項に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項3に記載の「複数のはんだ粒子」の粒子径について、「前記最大粒子径、前記最小粒子径及び前記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA-920」)を用いて測定され」と測定手段を特定することで構成を限定し、さらに、訂正前の請求項3に記載の「導電材料」について、「はんだ粒子の融点での導電材料の粘度(ηmp)が、50Pa・s以下であり」及び「25℃での導電材料の粘度(η25)が、0.1Pa・s以上、400Pa・s以下であり」との構成を付加して限定するものである。
したがって、訂正事項3は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の有無
願書に添付した明細書の段落0165には、「上記はんだ粒子の最大粒子径及び上記はんだ粒子の最小粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA-920」)を用いた測定結果から、はんだ粒子の粒子径の最大値を上記はんだ粒子の最大粒子径とし、はんだ粒子の粒子径の最小値を上記はんだ粒子の最小粒子径とした。」と記載され、同段落0166には、「上記はんだ粒子の平均粒子径を、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA-920」)を用いて測定した。」と記載されている。
また、同段落0144には、「はんだ粒子の融点での導電材料の粘度(ηmp)は、好ましくは50Pa・s以下、・・・である。」と記載され、同段落0040には、「電極上にはんだをより一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは0.1Pa・s以上・・・であり、好ましくは400Pa・s以下・・・である。」と記載されている。
したがって、訂正事項3は、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する126条5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、訂正前の請求項3に記載の「複数のはんだ粒子」や「導電材料」を限定するものであり、訂正前の請求項3にかかる発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する126条6項に適合する。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項6が、訂正前の請求項1~5のいずれかを引用する記載であったものを、請求項1及び3~5のいずれかを引用する記載として、訂正事項2により削除する請求項2の記載を引用しないようにする訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の有無
訂正事項4は、請求項の削除に伴い引用する請求項を整合させる訂正であるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する126条5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、請求項の削除に伴い引用する請求項を整合させる訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する126条6項に適合する。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項7が、訂正前の請求項1~6のいずれかを引用する記載であったものを、請求項1及び3~6のいずれかを引用する記載として、訂正事項2により削除する請求項2の記載を引用しないようにする訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の有無
訂正事項5は、請求項の削除に伴い引用する請求項を整合させる訂正であるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する126条5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、請求項の削除に伴い引用する請求項を整合させる訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する126条6項に適合する。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項8が、訂正前の請求項1~7のいずれかを引用する記載であったものを、請求項1及び3~7のいずれかを引用する記載として、訂正事項2により削除する請求項2の記載を引用しないようにする訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 新規事項の有無
訂正事項6は、請求項の削除に伴い引用する請求項を整合させる訂正であるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する126条5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、請求項の削除に伴い引用する請求項を整合させる訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する126条6項に適合する。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項10が、訂正前の請求項1~7のいずれかを引用する記載であったものを、請求項1及び3~7のいずれかを引用する記載として、訂正事項2により削除する請求項2の記載を引用しないようにする訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項7は、請求項の削除に伴い引用する請求項を整合させる訂正であるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する126条5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7は、請求項の削除に伴い引用する請求項を整合させる訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する126条6項に適合する。
(8)独立特許要件について
本件特許異議の申立ては、本件特許の請求項1~11の全てに対しされたものであり、特許異議の申立てがされていない請求項は存在しないから、独立特許要件(特許法120条の5第9項で準用する同法126条7項)の検討は要しない。
(9)小括
以上のとおり、訂正事項1~3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、訂正事項4~7に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、訂正事項1~7に係る訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正後の請求項1~11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明11」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
熱硬化性成分と、複数のはんだ粒子とを含み、
前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の4倍以下であり、
前記はんだ粒子の平均粒子径が、5μm以上40μm以下であり、
前記最大粒子径、前記最小粒子径及び前記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA-920」)を用いて測定され、
はんだ粒子の融点での導電材料の粘度(ηmp)が、50Pa・s以下であり、
25℃での導電材料の粘度(η25)が、0.1Pa・s以上、400Pa・s以下であり、
導電材料100体積%中、前記はんだ粒子の含有量が、10体積%以上95体積%以下である、導電材料。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
熱硬化性成分と、複数のはんだ粒子とを含み、
前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の20倍未満であり、
前記はんだ粒子の平均粒子径が、5μm以下であり、
前記最大粒子径、前記最小粒子径及び前記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA-920」)を用いて測定され、
はんだ粒子の融点での導電材料の粘度(ηmp)が、50Pa・s以下であり、
25℃での導電材料の粘度(η25)が、0.1Pa・s以上、400Pa・s以下であり、
導電材料100体積%中、前記はんだ粒子の含有量が、10体積%以上95体積%以下である、導電材料。
【請求項4】
前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の10倍以下である、請求項3に記載の導電材料。
【請求項5】
前記はんだ粒子の平均粒子径が、0.01μm以上である、請求項3又は4に記載の導電材料。
【請求項6】
前記熱硬化性成分が、エポキシ化合物を含む、請求項1及び3~5のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項7】
導電ペーストである、請求項1及び3~6のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項8】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部の材料が、請求項1及び3~7のいずれか1項に記載の導電材料であり、
前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている、接続構造体。
【請求項9】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている、請求項8に記載の接続構造体。
【請求項10】
請求項1及び3~7のいずれか1項に記載の導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、
前記導電材料の前記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、前記第1の電極と前記第2の電極とが対向するように配置する工程と、
前記はんだ粒子の融点以上に前記導電材料を加熱することで、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、前記導電材料により形成し、かつ、前記第1の電極と前記第2の電極とを、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える、接続構造体の製造方法。
【請求項11】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている接続構造体を得る、請求項10に記載の接続構造体の製造方法。」
第4 取消理由通知(決定の予告)の概要
本件発明1~11に対して、当審が令和7年3月26日付けの取消理由通知書(決定の予告)により特許権者に通知した取消理由(以下、「取消理由」という。)の概要は、次のとおりである。
<取消理由>
本件の請求項1、3~11に係る特許は、以下の点で特許請求の範囲の記載が明確でないから、特許法36条6項2号に規定する要件を充足していない特許出願に対してされたものである。
ア 本件発明1においては、粒径分布を表すための基準が特定されていないので、「レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA-920」)を用いて測定され」る、「最大粒子径」、「最小粒子径」及び「平均粒子径」は、一義的に決まるといえないから、不明確である。
イ 一般に「平均粒子径」は、メディアン径(50%径)、モード径(最頻度径)、あるいは算術平均径などで表されるところ、これらはそれぞれ定義が異なり、通常は値も異なるから、本件発明1の「平均粒子径」は一義的に決まるといえず、不明確である。
ウ 上記ア、イと同様にして、本件発明3も不明確である。また、請求項4~11は、請求項1又は3を直接又は間接的に引用するものであるから、本件発明4~11は、本件発明1又は3と同様に不明確である。
第5 乙号証について
1 乙号証の一覧
特許権者による令和7年5月29日提出の意見書とともに提出された乙号証は、以下のとおりである。
・乙1号証:粒子径測定の基礎とレーザ回折・散乱法 原理の説明からマスターサイザー測定時の注意点まで、Malvern Panalytical a spectris company、2019年6月17日
・乙1の1号証:インターネット<URL:https://www.malvernpanalytical.com/jp/learn/knowledge-center/technical-notes/tnjp190617msguidebook>
・乙2号証:機能材料事業、三井金属鉱業株式会社、[2025年5月9日検索]、インターネット<URL:https://www.mitsui-kinzoku.com/seihin/engineered_materials/>
・乙3号証:草加勝司、清水孝純、洞田亮、中村清、大河内敬雄、遠心噴霧法によるはんだ粉末の製造に関する研究、電気製鋼、大同特殊鋼株式会社、1991年5月、第62巻、第2号、p.89-96
・乙3の1号証:インターネット<URL:https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I3721375#bib>
・乙4号証:特開2017-128778号公報
・乙5号証:特開2022-185963号公報
・乙6号証:国際公開第2018/025903号
・乙7号証:国際公開第2016/190244号
・乙8号証:特開2015-98588号公報
(乙3号証の「清」の「月」の部分は「円」が本来の表記だが、システム上の制約のため上記のように記載した。)
2 乙号証の記載
(1)乙1号証
乙1号証の9頁には、次の記載がある。
[図:0001427937000001.jpg]
・乙1号証の10頁には次の記載がある。
[図:0001427937000002.jpg]
(2)乙6号証
乙6号証には、次の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同様。)
「[0032]前記はんだ粉としては、特に限定されるものではなく、一般的なはんだ粉を用いることができる。例えば、鉛フリーはんだとして用いられているSn-Ag系はんだ、Sn-Ag-Cu系はんだ、Sn-Ag-Cu-Bi系はんだ、Sn-Ag-In-Bi系はんだ、Sn-Cu系はんだ、Sn-Zn系はんだ、Sn-Bi系はんだ、Sn-Sb系はんだ、Sn-Au系はんだ、Sn-In系はんだ等の鉛フリーはんだを構成する金属粉末を用いることができる。特に、はんだ粉として、Sn又はSn合金からなるSn系金属の粒子と、Cu又はCu合金からなるCu系金属の粒子とが混合されたもの(以下、SnCuはんだ粉とも記す)を用いることが好ましい。
[0033]前記Sn系金属の粒子としては、Sn100質量%からなるSn粒子、あるいは、Snと、In、Ag、Cu、Sb、Ni、Ge、Fe、Co、及び、Biからなる群から選ばれる一種以上の他の金属とからなるSn合金粒子等が挙げられる。Sn合金粒子としては、好ましくは、Sn-Ag、Sn-Cu、Sn-Sb、又は、Sn-Ag-Cuの組成を有するものが挙げられる。
[0034]Sn系金属の粒子は、例えば、平均粒径D50(メジアン径)が、1μm以上70μm以下であることが好ましく、5μm以上35μm以下であることがより好ましい。また、Sn系金属の粒子は、90%粒子径D90が、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。Sn系金属の粒子が前記範囲のような粒子径である場合には、60μm厚以下の薄い印刷が可能となるため、はんだ接合部の厚みを薄くすることができる。はんだ接合部の厚みが薄い方が放熱性を向上させることができる。
[0035]前記Cu系金属の粒子としては、Cu100質量%からなるCu粒子、あるいは、Cuと、In、Ag、Sn、及びBiからなる群から選ばれる一種以上の他の金属とからなるCu合金粒子等が挙げられる。Cu合金粒子としては、好ましくは、Cu-Ag-Sn-Bi-Inの組成を有するものが挙げられる。
[0036]Cu系金属の粒子は、例えば、平均粒径D50(メジアン径)が、1μm以上70μm以下であることが好ましく、5μm以上35μm以下であることがより好ましい。また、Cu系金属の粒子は、90%粒子径D90が、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。Cu系金属の粒子が前記範囲のような粒子径である場合には、60μm厚以下の薄い印刷が可能となるため、はんだ接合部の厚みを薄くすることができる。はんだ接合部の厚みが薄い方が放熱性を向上させることができる。
[0037]なお、上記の「平均粒径D50(メジアン径)」および「90%粒子径D90」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定される値をいう。」
(3)乙7号証
乙7号証には、次の記載がある。
「[0225]はんだ粒子A(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「ST-5」、平均粒径(メディアン径5μm))」
(4)乙8号証
乙8号証には、次の記載がある。
「【0028】
また、導電性粒子31の配合量は、接続信頼性及び絶縁信頼性の観点から、バインダー33に対して1~30vol%であることが好ましい。また、導電性粒子31の平均粒径(D50:粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数又は質量が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径で、本明細書ではメジアン径をいう)は、1~10μmであることが好ましく、より好ましくは2~6μmである。」
「【0031】
また、はんだ粒子32の平均粒径(D50)は、導電性粒子31の平均粒径の25~400%であることが好ましい。はんだ粒子32が導電性粒子31に対して小さすぎると、圧着時にはんだ粒子32が対向する端子間に捕捉されず、良好なはんだ接合が行われず、優れた放熱性を得ることができない。一方、はんだ粒子32が導電性粒子31に対して大きすぎると、電気的接続における異方性が損なわれ、接続信頼性を得ることができない。」
第6 当審の判断
1 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
(1)本件発明1の明確性について
特許権者は、令和7年5月29日に提出した意見書5頁18~19行において、取消理由について、「本件発明の測定では、粒径分布を表すための基準は「体積基準」であり、平均粒子径は「メディアン径」です。」と明確にした。
そして、乙1号証(上記第5、2(1))に記載されているように、レーザー回折式粒度分布測定装置においては、体積基準により元データが取得されることは当業者の技術常識であり、本件明細書には、元データを他の基準に換算することについて特段の記載は見当たらない。そうすると、上記技術常識に照らし、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された本件発明1の「最大粒子径」、「最小粒子径」及び「平均粒子径」は体積基準によるものであると理解できる。
また、乙6号証~乙8号証(上記第5、2(2)~(4))の記載から、はんだ粒子の分野においては、平均粒子径として「メディアン径(50%径)」が慣用されているといえるから、本件特許におけるはんだ粒子の平均粒子径もまた、「メディアン径(50%径)」を意味すると理解できる。
以上によれば、本件発明1において、「レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA-920」)を用いて測定され」る、「最大粒子径」、「最小粒子径」及び「平均粒子径」は「体積基準」により測定されたものであり、かつ、「前記平均粒子径」は「メディアン径(50%径)」のことであると、当業者であれば自然に理解し得るといえるから、本件特許の請求項1の記載は、本件発明1を明確に記載したものであるといえる。
(2)本件発明3~11の明確性について
本件発明1と同様に、本件発明3の「レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA-920」)を用いて測定され」る、「前記最大粒子径」、「前記最小粒子径」及び「前記平均粒子径」は「体積基準」により測定されたものであり、かつ、「前記平均粒子径」は「メディアン径(50%径)」のことであると理解できるから、本件特許の請求項3の記載は、本件発明3を明確に記載したものであるといえる。
そして、本件特許の請求項1又は3を直接又は間接的に引用する、本件特許の請求項4~11についても同様に、本件発明4~11を明確に記載したものであるといえる。
(3)小括
以上のとおり、本件特許の請求項1、3~11の記載は、本件発明1、3~11を明確に記載したものであり、特許法36条6項2号の規定に適合するから、本件の請求項1、3~11に係る特許は、特許法113条4号に該当するものではない。
2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許異議申立理由の概要
令和6年5月1日提出の特許異議申立書における特許異議申立理由の概要は、本件特許の請求項1~11に係る特許は、以下の申立理由のとおり、特許法113条2号及び4号に該当するというものである。
(申立理由1)
・本件発明1~11は、甲1号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができないものであるから、特許法113条2号に該当する。
(申立理由2)
・本件発明1~11は、甲1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法113条2号に該当する。
(申立理由3)
・本件発明1~6、8、10は、甲2号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができないものであるから、特許法113条2号に該当する。
(申立理由4)
・本件発明1~11は、甲2号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法113条2号に該当する。
(申立理由5)
・本件発明1~11は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号の規定に適合するものではないから、本件発明1~11に係る特許は、特許法113条4号に該当する。
(申立理由6)
・本件発明1~11は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号の規定に適合するものではないから、本件発明1~11に係る特許は、特許法113条4号に該当する。
(2)証拠方法
特許異議申立書とともに提出された甲号証は以下のとおりである。
・甲1号証:国際公開2016/133113号
・甲2号証:特開2013-45737号公報
令和6年12月17日提出の意見書とともに提出された参考資料は以下のとおりである。なお、これらの資料は、いずれも申立理由6に関するものである。
・参考資料1(「島津製作所のホームページのレーザ回折式粒度分布測定装置の[8]測定結果を決定づける要因」)https://www.an.shimadzu.co.jp/service-support/technical-support/analysis-basics/powder/lecture/practice/p01/lesson08/index.html
・参考資料2(「島津製作所のホームページのレーザ回折式粒度分布測定装置の[17]粒度分布における体積基準と個数基準について」)https://www.an.shimadzu.co.jp/service-support/technical-support/analysis-basics/powder/lecture/practice/p01/lesson17/index.html
・参考資料3(「島津製作所のホームページのレーザ回折式粒度分布測定装置の[21]任意%粒子径とメディアン径」)https://www.an.shimadzu.co.jp/service-support/technical-support/analysis-basics/powder/lecture/practice/p01/lesson21/index.html
(システム上の制限のため、上記において○に数字8を[8]等と記載した。)
(3)申立理由についての判断
上記申立理由のうち、申立理由6は明確性に関するものであり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由と同旨であるから、申立理由6についての当審の判断は上記1(1)~(3)に示したとおりである。
そして、他の申立理由についての当審の判断は以下のとおりである。
ア 申立理由1、2について
(ア)甲1号証には、使用するはんだ粒子の最大粒子径及び最小粒子径の具体的な測定値は記載されていないから、「前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の4倍以下であり」との事項は記載も示唆もされていない。そうすると、本件発明1は甲1号証に記載された発明ではなく、また、甲1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(イ)同様に、甲1号証には、「前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の20倍未満であり」との事項は記載も示唆もされていないから、本件発明3は甲1号証に記載された発明ではなく、また、甲1号証から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(ウ)申立人は、CV値が40%以下であるとの甲1号証の記載(段落0107~0109)をもとに、甲1号証においては最大粒子径を最小粒子径で除した値(以下「最大最小比」という)は3.5倍よりも必ず大きくなるから、少なくとも「3.5倍以下」という範囲で本件発明1の「4倍以下」と重複する旨主張する。しかしながら、上記申立人の見積もりでは、甲1号証においてCV値が40%以下であれば最大最小比が必ず「4倍以下」になることは示されていない。申立人の主張は、もともと任意に設定しえる最大最小比について、偶然「3.5倍以下」になることがあり得ることを単に述べているに過ぎないものであり、最大最小比が「4倍以下」のはんだ粒子が甲1号証に記載されていることを示すものではなく、最大最小比が4倍以下のはんだ粒子を選択することを示唆するものでもない。また、「20倍未満」との重複の主張についても同様であり、申立人の主張はいずれも採用できない。
(エ)したがって、本件発明1及び3は、甲1号証に記載された発明に対し新規性、進歩性を有するものである。また、本件発明1又は3を引用する本件発明4~11も、甲1号証に記載された発明に対し新規性、進歩性を有するものである。
よって、申立理由1、2は理由がない。
イ 申立理由3、4について
(ア)甲2号証には、使用する導電性粒子の最大粒子径及び最小粒子径の具体的な測定値は記載されていないから、「前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の4倍以下であり」との事項は記載も示唆もされていない。そうすると、本件発明1は甲2号証に記載された発明ではなく、また、甲2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(イ)また、甲2号証には、「前記はんだ粒子の最大粒子径が、前記はんだ粒子の最小粒子径の20倍未満であり」との事項は記載も示唆もされていないから、本件発明3は甲2号証に記載された発明ではなく、また、甲2号証から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(ウ)申立人は、甲2号証の段落0019の記載された平均粒子径及び標準偏差をもとに甲2号証に記載された発明は本件発明1の「4倍以下」と重複する旨主張するが、申立理由1、2の検討と同様にして、当該主張は採用し得ないものである。
(エ)したがって、本件発明1及び3は、甲2号証に記載された発明に対して新規性、進歩性を有するものである。また、本件発明1又は3を引用する本件発明4~11も、甲2号証に記載された発明に対し新規性、進歩性を有するものである。
よって、申立理由3、4には理由がない。
ウ 申立理由5について
(ア)本件特許の請求項1及び本件明細書の記載によれば、本件発明1は、熱硬化性成分と、複数のはんだ粒子とを含む導電材料について、前記はんだ粒子の最大粒子径と最小粒子径の比、平均粒子径の範囲、はんだ粒子の融点及び25℃での導電材料の粘度、及び、はんだ粒子の含有量を所定の範囲とすることにより、「電極上にはんだ粒子を効率的に配置することができる導電材料を提供する」(段落0012)との課題を解決するものであるといえる。
ここで、本件明細書の段落0059には、はんだ粒子の最大粒子径は、前記はんだ粒子の最小粒子径の「4倍以下」であることが好ましいことが記載され、段落0058には、はんだ粒子の平均粒子径は、好ましくは5μm以上であり、かつ、好ましくは40μm以下であることが記載され、段落0144には、はんだ粒子の融点での導電材料の粘度は、好ましくは50Pa・s以下であり、上記上限以下であれば電極上にはんだ粒子を効率的に凝集させることができることが記載され、段落0040には、電極上にはんだを効率的に配置する観点から、導電材料の25℃での粘度は、好ましくは0.1Pa・s以上、400Pa・s以下であることが記載され、段落0066からは、導電材料100体積%中、はんだ粒子の含有量は、好ましくは10体積%以上、95体積%以下であれば、電極上にはんだ粒子を一層効率的に配置することができる旨、記載されている。そして、これらの記載に対応する具体的な実施例として、本件明細書の実施例1~7、9~12、14~26、28~31、33~38が記載され、いずれの実施例においても、電極上のはんだの配置精度について良好な結果が得られている。
そうすると、本件特許の請求項1の記載は、本件特許の発明の詳細な説明に記載されたものであり、かつ、当業者が上記本件発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるといえる。
(イ)本件特許の請求項3の記載もまた、請求項1と同様にして、本件特許の発明の詳細な説明に記載されたものであり、かつ、当業者が上記本件発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものである。また、本件特許の請求項4~11に特定される事項は、いずれも本件特許の発明の詳細な説明に記載された事項であり、当該請求項4~11に係る発明は、請求項1又は3に係る発明をさらに減縮した発明であるから、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものである。
(ウ)したがって、本件特許の請求項1、3~11の記載は、特許法36条6項1号の規定に適合するから、申立理由5には理由がない。
第7 結び
したがって、本件特許の請求項1、3~11に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。さらに、他に本件特許の請求項1、3~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件特許の請求項2は訂正により削除されたため、同請求項に係る特許に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700416