特許異議申立
2024-701045
粘着剤及び粘着テープ
- 審判番号
- 2024-701045
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-094670
- 登録番号
- 7474118
- 請求日
- 2024年10月23日
- 審決日
- 2025年11月18日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】積水化学工業株式会社
- 【権利者代理人】田口 昌浩
- 【権利者代理人】弁理士法人WisePlus
- 【異議申立人】西郷 新
- 審判長/審判官
- 審判長 里村 利光
- 審判官 川村 大輔
- 審判官 宮澤 浩
- 分類
- P1652.113-YAA(C09J) / P1652.121-YAA(C09J) / P1652.536-YAA(C09J) / P1652.537-YAA(C09J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条、特許法第29条の2、特許法第36条、特許法第120条の5第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7474118号発明「粘着剤及び粘着テープ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7474118号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔6~8、10~22〕について訂正することを認める。
特許第7474118号の請求項6~8、11~14、17~22に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7474118号の請求項6~8、11~14、17~22に係る特許についての出願は、令和2年5月29日(先の出願に基づく優先権主張 令和元年5月30日)に出願され、令和6年4月16日にその特許権の設定登録がされ、同月24日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年10月23日に特許異議申立人(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年10月23日 特許異議の申立て
令和7年 1月28日付け 取消理由通知
令和7年 4月 1日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和7年 6月16日付け 取消理由通知<決定の予告>
令和7年 8月13日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
(この訂正請求書による訂正の請求を以下
「本件訂正請求」という。)
なお、令和7年4月1日に提出された訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。また、申立人に対し、令和7年4月7日付け及び令和7年9月12日付けで、訂正請求があった旨の通知をしたが、指定した期間に申立人からの意見書の提出はなかった。
第2 本件訂正請求
1 訂正の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第7474118号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項6~8及び10~22について訂正することを求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正請求により特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項6に
「前記(メタ)アクリル共重合体は、前記アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が30重量%以上である、粘着剤。」
とあるのを、
「前記(メタ)アクリル共重合体は、前記アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が30重量%以上であり、前記(メタ)アクリル共重合体は、重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)である、粘着剤。」
に訂正する。請求項6の記載を引用する請求項10~22も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7に
「前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有する、粘着剤。」
とあるのを、
「前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有し、前記(メタ)アクリル共重合体は、重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)である、粘着剤。」
に訂正する。請求項7の記載を引用する請求項10~22も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8に
「SP値が10.18以上」
とあるのを、
「SP値が10.45以上」
に訂正する。請求項8の記載を引用する請求項10~22も同様に訂正する。
(4)一群の請求項であること
訂正前の請求項6~8及び10~22について、請求項10~22は、それぞれ請求項6、7及び8を直接又は間接的に引用しているものであって、上記訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項6~8に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正請求による訂正は、一群の請求項6~8及び10~22に対して請求されたものである。
3 訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の請求項6における「(メタ)アクリル共重合体」について、その重量平均分子量の範囲を特定するものである。訂正事項1による訂正により、「(メタ)アクリル共重合体」の範囲が減縮されることとなるから、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
請求項6の記載を引用する請求項10~22についても同様である。
イ 新規事項の有無
本件特許の明細書の段落【0025】の「上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は25万である。・・・上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は200万、より好ましい上限は150万である。」との記載や、特許請求の範囲の請求項19の記載に基づけば、「重量平均分子量が25万以上」とする訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえる。また、「ただし、90万以上を除く。」とする訂正は、先行技術との重なりを除くものであって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
前記アに記載したとおり、訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
請求項6の記載を引用する請求項10~22についても同様である。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2による訂正は、特許請求の範囲の請求項7における「(メタ)アクリル共重合体」について、その重量平均分子量の範囲を特定するものである。訂正事項2による訂正により、「(メタ)アクリル共重合体」の範囲が減縮されることとなるから、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
請求項7の記載を引用する請求項10~22についても同様である。
イ 新規事項の有無
本件特許の明細書の段落【0025】の「上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は25万である。・・・上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量の上限は特に限定されないが、好ましい上限は200万、より好ましい上限は150万である。」との記載や、特許請求の範囲の請求項19の記載に基づけば、「重量平均分子量が25万以上」とする訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえる。また、「ただし、90万以上を除く。」とする訂正は、先行技術との重なりを除くものであって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
前記アに記載したとおり、訂正事項2による訂正は、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項2による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
請求項7の記載を引用する請求項10~22についても同様である。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3による訂正は、特許請求の範囲の請求項8において特定されたSP値の範囲を、「10.18以上」から「10.45以上」に変更するものである。訂正事項3による訂正により、SP値の範囲が減縮されることとなるから、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
請求項8の記載を引用する請求項10~22についても同様である。
イ 新規事項の有無
本件特許の明細書の段落【0024】には、「上記(メタ)アクリル共重合体は、Fedors法によって計算されたSP値が10.18以上であることが好ましい。上記SP値が10.18以上であることにより、皮脂が(メタ)アクリル共重合体の分子鎖内に侵入するのを抑制して、得られる粘着テープに高い耐皮脂性を付与することができる。上記SP値は、10.23以上であることがより好ましく、10.25以上であることが更に好ましい。」と記載されている。また、本件特許の明細書の段落【0057】の【表2】には、実施例10及び実施例14として、SP値が「10.47」を示す(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤層を貼着させて得た片面粘着テープが記載されている。そうすると、「SP値が10.45以上」とする訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
請求項8の記載を引用する請求項10~22についても同様である。
ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
前記アに記載したとおり、訂正事項3による訂正は、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項3による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
請求項8の記載を引用する請求項10~22についても同様である。
(4)まとめ
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論に記載のとおり、特許第7322135号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔6~8、10~22〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められたので、本件特許の請求項1~22に係る発明(以下、請求項に付された番号に従い「本件特許発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項によって特定されるとおりの、以下のものである。
「【請求項1】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を45重量%以上、炭素数1~4のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を30重量%以上含有し、
前記(メタ)アクリル共重合体は、炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有する、粘着剤。
【請求項2】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を45重量%以上、炭素数1~4のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を30重量%以上含有し、
前記(メタ)アクリル共重合体は、SP値が10.18以上である、粘着剤。
【請求項3】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を45重量%以上、炭素数1~4のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を30重量%以上含有し、
前記芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、ベンジルアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートを含む、粘着剤。
【請求項4】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を45重量%以上、炭素数1~4のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を30重量%以上含有し、
前記粘着剤は、更に、シランカップリング剤を含有する、粘着剤。
【請求項5】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及びアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有し、
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が45重量%以上である、粘着剤。
【請求項6】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及びアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有し、
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が30重量%以上であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)である、粘着剤。
【請求項7】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有し、前記(メタ)アクリル共重合体は、重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)である、粘着剤。
【請求項8】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及びアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有し、
前記(メタ)アクリル共重合体は、SP値が10.45以上である、粘着剤。
【請求項9】
(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下であり、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及びアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有し、
前記芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、ベンジルアクリレートを含み、
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記ベンジルアクリレートに由来する構成単位を45重量%以上含有する、粘着剤。
【請求項10】
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が45重量%以上である、請求項6、7又は8に記載の粘着剤。
【請求項11】
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が30重量%以上である、請求項5、7、8、9又は10に記載の粘着剤。
【請求項12】
前記(メタ)アクリル共重合体は、更に、炭素数1~4のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有し、前記炭素数1~4のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及び前記アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量の合計が30重量%以上である、請求項5~11のいずれかに記載の粘着剤。
【請求項13】
前記(メタ)アクリル共重合体は、炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有する、請求項5、6、8、9、10、11又は12に記載の粘着剤。
【請求項14】
前記芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、ベンジルアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートの少なくとも一方である、請求項1、2、4、5、6、7、8、10、11、12又は13に記載の粘着剤。
【請求項15】
前記(メタ)アクリル共重合体は、ベンジルアクリレートに由来する構成単位を45重量%以上含有する、請求項1、2、4、5、6、7、8、10、11、12、13又は14に記載の粘着剤。
【請求項16】
前記(メタ)アクリル共重合体は、フェノキシエチルアクリレートに由来する構成単位を45重量%以上含有する、請求項1、2、4、5、6、7、8、9、11、12、13又は14のいずれかに記載の粘着剤。
【請求項17】
前記(メタ)アクリル共重合体は、前記芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が60重量%未満である、請求項1~16のいずれかに記載の粘着剤。
【請求項18】
前記(メタ)アクリル共重合体は、SP値が10.18以上である、請求項1、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16又は17に記載の粘着剤。
【請求項19】
前記(メタ)アクリル共重合体は、重量平均分子量が25万以上である、請求項1~18のいずれかに記載の粘着剤。
【請求項20】
更に、シランカップリング剤を含有する、請求項1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19に記載の粘着剤。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載の粘着剤からなる粘着剤層を有する、粘着テープ。
【請求項22】
電子機器の部品を固定するために用いられる、請求項21に記載の粘着テープ。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7、11~14、17~22に対して、令和7年6月16日付けで特許権者に通知した取消しの理由、及び、引用文献は、次のとおりである。
理由2(進歩性)
本件特許の請求項7、11~14、17~22に係る発明は、本件特許の優先基礎出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の優先基礎出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7、11~14、17~22に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
理由3(拡大先願)
本件特許の請求項7、11~14、17~22に係る発明は、本件特許の優先基礎出願の日前の特許出願又は実用新案登録出願であって、本件特許の優先基礎出願後に特許掲載公報の発行若しくは出願公開又は実用新案掲載公報の発行がされた下記の特許出願又は実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に記載された発明又は考案と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許の優先基礎出願前の特許出願又は実用新案登録出願に係る上記の発明又は考案をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願又は実用新案登録出願の出願人と同一でもないから、本件特許の請求項7、11~14、17~22に係る特許は、特許法29条の2の規定に違反してされたものである。
<引用文献等一覧>
甲第1号証:特開2017-134135号公報
甲第2号証:特願2020-562021号
(国際公開第2020/136762号)
甲第3号証:国際公開第2017/221661号
なお、甲第1号証は、理由1及び理由2における主引用発明が記載された文献として引用され、甲第2号証は、理由3における主引用発明が記載された文献として引用されたものである。また、甲第3号証は、Fedors法によるSP値計算式が開示された文献として引用されたものである。
第5 当審の判断
1 理由2(進歩性)について
(1)甲第1号証に記載された発明
本件特許の優先基礎出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2017-134135号公報(以下「甲第1号証」という。)の段落【0157】~【0159】、【0162】~【0166】、【0176】、【0177】の記載に基づけば、甲第1号証には、実施例9に係る粘着剤の発明として、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、発明の認定に用いた記載箇所を括弧内に示した。
「 アクリル酸n-ブチル42質量部、アクリル酸2-メトキシエチル30質量部、アクリル酸イソボルニル5質量部、アクリル酸2-フェニルエチル20質量部およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル3質量部を共重合させて、重量平均分子量(Mw)160万である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製し(段落【0157】、【0162】、【0176】)、
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部と、イソシアネート系架橋剤(B)として、トリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート(三井化学社製,商品名「タケネートD110N」)0.2質量部と、帯電防止剤(C)として、N-オクチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート(室温で固体のイオン性化合物)3.0質量部と、エポキシ基含有シランカップリング剤(D1)として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製,商品名「KBM403」)0.2質量部と、メルカプト基含有シランカップリング剤(D2)として、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランとメチルトリエトキシシランとの共縮合物(信越化学工業社製,商品名「X-41-1810」,メルカプト当量:450g/モル)0.2質量部とを混合し、十分に撹拌して、酢酸エチルで希釈することにより得た(段落【0158】、【0162】、【0176】)、
ゲル分率79%の粘着剤(段落【0164】~【0166】、【0177】)。」
(2)本件特許発明7について
ア 対比
本件特許発明7と甲1発明とを対比する。
便宜上、本件特許発明7の各発明特定事項を、次のように、「構成要件●」と略記する。
構成要件A:
「(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって」
構成要件E:
「前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有し」
(ア)構成要件A
甲1発明の「粘着剤」は、「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」を「混合し、十分に撹拌して、酢酸エチルで希釈することにより得た」ものである。そうすると、甲1発明の「粘着剤」は、本件特許発明7の「粘着剤」に相当し、「(メタ)アクリル共重合体を含有する」との要件を満たしている。
(イ)構成要件E
甲1発明の「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」は、「アクリル酸n-ブチル」、「アクリル酸2-メトキシエチル」、「アクリル酸イソボルニル」、「アクリル酸2-フェニルエチル」及び「アクリル酸2-ヒドロキシエチル」を共重合させて得られたものである。ここで、甲1発明の「アクリル酸2-フェニルエチル」は、本件特許発明7の「芳香族環含有(メタ)アクリル/酸エステル」に相当し、甲1発明の「アクリル酸2-メトキシエチル」は、本件特許発明7の「アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル」に相当する。さらに、本件特許発明7の「炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル」と甲1発明の「アクリル酸n-ブチル」とは、「アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル」である点で共通する。
そうすると、本件特許発明7と甲1発明とは、「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」が、「前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有」する点で共通する。
(ウ)一致点及び相違点
以上より、本件特許発明7と甲1発明とは、
「(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有する、粘着剤。」
である点で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。
[相違点1-B]
本件特許発明7は、「60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下」であるのに対し、甲1発明は、当該膨潤率が明らかでない点。
[相違点1-E]
本件特許発明7は、(メタ)アクリル共重合体が「炭素数1~2」のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有するのに対し、甲1発明は、「アクリル酸n-ブチル」(炭素数4)に由来する構成単位を含有するものの炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有しない点。
[相違点1-K]
本件特許発明7は、(メタ)アクリル共重合体が「重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)」であるのに対し、甲1発明は、「重量平均分子量(Mw)160万」である点。
イ 判断
事案に鑑みて、[相違点1-K]について検討する。
甲第1号証には、段落【0009】に、発明が解決しようとする課題に係る記載として、「本発明は・・・中略・・・偏光板が薄膜であっても、耐久性に優れ、ディスプレイパネルが反り難く、かつ熱ムラが生じ難く、さらには帯電防止性にも優れる粘着剤層付き偏光板を提供することを目的とする。」との記載、段落【0010】に、課題を解決するための手段に係る記載として、「上記目的を 達成するために、本発明は、偏光子と、前記偏光子の一方の面側に積層された第1の保護層と、前記偏光子の他方の面側に積層された第2の保護層と、前記第2の保護層における前記偏光子側の面とは反対の面側に積層された粘着剤層とを備えた粘着剤層付き偏光板であって、前記粘着剤層が、重合体を構成するモノマー単位として、脂環式構造含有モノマー(a1)、芳香環含有モノマー(a2)、オキシアルキレン基含有モノマー(a3)、および水酸基含有モノマー(a4)を含有し、水酸基価が5mgKOH/g以上、20mgKOH/g以下であり、酸価が5mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が130万以上、300万以下である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、イソシアネート系架橋剤(B)とを含有する粘着性組成物から得られた、ゲル分率が60%以上、89%以下である粘着剤から構成され、前記第2の保護層が、シクロオレフィン系樹脂またはトリアセチルセルロースからなり、前記偏光子の厚さが、1μm以上、20μm以下であり、前記第2の保護層の厚さが、5μm以上、30μm以下であり、前記偏光子の厚さに対する前記第2の保護層の厚さの比が、1.0以上、5.0以下であることを特徴とする粘着剤層付き偏光板を提供する(発明1)。」との記載がある。また、甲第1号証の特許請求の範囲に記載された発明は、いずれも、「重量平均分子量が130万以上、300万以下」である「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」を必須の要件としている。
また、甲第1号証の段落【0032】には、「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量が130万未満であると、本実施形態における粘着剤層1の耐久性が悪化する。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量が300万を超えると、本実施形態における粘着剤層1の応力緩和性が低下し、高温条件下でディスプレイパネルに反りが生じたり、熱ムラが発生したりする。」と記載されている。
これらの記載に基づけば、甲1発明における「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」が、「重量平均分子量が130万以上、300万以下」の範囲内であることは、甲1発明が課題を解決するための必須の要件であると理解できる。そうすると、甲1発明の「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」の重量平均分子量を、90万未満とすることには、阻害要因があるといえる。
したがって、甲1発明における「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」を、「重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)」範囲のものとすることは、当業者であっても容易になし得たということができない。
ウ まとめ
以上のとおり、[相違点1-K]は、当業者であっても容易になし得たとはいえないものであるから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明7は、甲1発明及び甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(3)本件特許発明11~14、17~22について
本件特許発明7の記載を直接的又は間接的に引用する本件特許発明11~14、17~22と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも前記(2)ア(ウ)に記載した[相違点1-K]において相違する。
そして、前記(2)イにおいて検討したとおり、前記[相違点1-K]は、当業者であっても容易になし得たということができないものである。
したがって、本件特許発明11~14、17~22も、甲1発明及び甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件特許発明7、11~14、17~22は、甲1発明及び甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項7、11~14、17~22に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。
2 理由3(拡大先願)について
(1)甲第2号証に記載された発明
甲第2号証は、本件特許の優先権主張に係る先の出願の日である令和元年5月30日の前の、2018年(平成30年)12月26日の日本語国際出願であって、本件特許出願後に出願公開された発明が記載されており、その発明者及び出願人が本件特許の発明者及び出願人と同一でないところ、甲第2号証の段落[0107]、[0108]、[0110]、[0115]、[0120]の記載に基づけば、甲第2号証には、実施例8に係るアクリル系粘着剤組成物の発明として、次の発明(以下「甲2先願発明」という。)が記載されていると認められる。なお、発明の認定に用いた記載箇所を括弧内に示した。
「 撹持羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、2-メトキシエチルアクリレート60部、ブチルアクリレート20部、4-ヒドロキシブチルアクリレート1部、フェノキシエチルアクリレート16部、N-ビニル-ピロリドン3部を含有するモノマー混合物を仕込み、前記モノマー混合物(固形分)100部に対して、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル85部、トルエン15部と共に仕込み、緩やかに撹枠しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って6時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)171万、多分散度(Mw/Mn)3.5の(メタ)アクリル系ポリマー(A6)の溶液を調製し(段落[0107]、[0110]、[0120])、
得られた前記(メタ)アクリル系ポリマー(A6)の溶液の固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤(三井化学社製のタケネートD-160N、トリメチロールプロパンヘキサメチレンジイソシアネート)0.1部、及び、過酸化物系架橋剤(日本油脂社製のナイパーBMT、ベンゾイルパーオキサイド)0.3部、シランカップリング剤(信越化学社製のX-41-1810、チオール基含有シリケートオリゴマー)0.1部を配合して溶液を調製した、アクリル系粘着剤組成物(段落[0108]、[0115]、[0120])。」
(2)本件特許発明7について
ア 対比
本件特許発明7と甲2先願発明とを対比する。
(ア)構成要件A
甲2先願発明の「アクリル系粘着剤組成物」は、「(メタ)アクリル系ポリマー(A6)」に「イソシアネート系架橋剤(三井化学社製のタケネートD-160N、トリメチロールプロパンヘキサメチレンジイソシアネート)」、「過酸化物系架橋剤(日本油脂社製のナイパーBMT、ベンゾイルパーオキサイド)」、「シランカップリング剤(信越化学社製のX-41-1810、チオール基含有シリケートオリゴマー)」を配合して調製したものである。そうすると、甲2先願発明の「アクリル系粘着剤組成物」は、本件特許発明7の「粘着剤」に相当し、「(メタ)アクリル共重合体を含有する」との要件を満たしている。
(イ)構成要件E
甲2先願発明の「(メタ)アクリル系ポリマー(A6)」は、「2-メトキシエチルアクリレート」、「ブチルアクリレート」、「4-ヒドロキシブチルアクリレート」、「フェノキシエチルアクリレート」、「N-ビニル-ピロリドン」を含有するモノマー混合物を重合反応させて得られたものである。ここで、甲2先願発明の「フェノキシエチルアクリレート」は、本件特許発明7の「芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステル」に相当し、甲2先願発明の「2-メトキシエチルアクリレート」は、本件特許発明7の「アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル」に相当する。さらに、本件特許発明7の「炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル」と甲2先願発明の「ブチルアクリレート」とは、「アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル」である点で共通する。そうすると、本件特許発明7と甲2先願発明とは、「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」が、「前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有」する点で共通する。
(ウ)一致点及び相違点
以上より、本件特許発明7と甲2先願発明とは、
「(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤であって、
前記(メタ)アクリル共重合体は、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、アルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び、アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有する、粘着剤。」
である点で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。
[相違点2-B]
本件特許発明7は、「60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下」であるのに対し、甲2先願発明は、当該膨潤率が明らかでない点。
[相違点2-E]
本件特許発明7は、(メタ)アクリル共重合体が「炭素数1~2」のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有するのに対し、甲2先願発明は、「ブチルアクリレート」(炭素数4)に由来する構成単位を含有するものの炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有しない点。
[相違点2-K]
本件特許発明7は、(メタ)アクリル共重合体が「重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)」であるのに対し、甲2先願発明は、「重量平均分子量(Mw)171万」である点。
イ 判断
事案に鑑みて、[相違点2-K]について検討する。
甲第2号証には、段落[0046]に、「前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、90万~300万であることが好ましく、耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は100万~280万がより好ましく、120万~260万が更に好ましく、140万~240万が特に好ましい。重量平均分子量(Mw)が90万よりも小さいと、低分子量のポリマー成分が多くなり、ゲル(粘着剤層)の架橋密度が高くなり、これに伴い、粘着剤層が硬くなり、応力緩和性が損なわれ、好ましくない。また、重量平均分子量が300万よりも大きくなると、粘度の上昇やポリマーの重合中にゲル化が生じ、好ましくない。」と記載されている。当該記載に基づけば、甲2先願発明の「(メタ)アクリル系ポリマー(A6)」の「重量平均分子量(Mw)171万」を、90万よりも小さいものとした場合、粘着剤層が硬くなり、応力緩和性が損なわれ、好ましくないものとなり、重量平均分子量(Mw)が90万~300万である場合とは異なる効果を奏すると理解できる。
そうすると、甲2先願発明における「(メタ)アクリル系ポリマー(A6)」の重量平均分子量について、「重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)」範囲のものとすることは、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。
ウ まとめ
以上のとおり、[相違点2-K]は、課題解決のための具体化手段における微差ではないから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明7と甲2先願発明とは、実質同一とはいえない。
(3)本件特許発明11~14、17~22について
本件特許発明7の記載を直接的又は間接的に引用する本件特許発明11~14、17~22と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも前記(2)ア(ウ)に記載した[相違点2-K]において相違する。
そして、前記(2)イにおいて検討したとおり、前記[相違点2-K]は、課題解決のための具体化手段における微差ではない。
したがって、本件特許発明11~14、17~22も、甲2先願発明と実質同一ではない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件特許発明7、11~14、17~22と、甲2先願発明とは、実質同一ではないから、請求項7、11~14、17~22に係る特許は、特許法29条の2の規定に違反してされたものではない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について
(1)申立人の主張
申立人は、特許異議申立書の19頁下から8行~21頁13行、23頁28行~24頁3行、24頁25~29行、24頁35~39行、25頁3~10行、25頁15~19行、25頁25~29行、25頁35行~26頁3行、26頁15~19行、26頁26~30行、26頁37~40行、27頁5~8行において、本件特許発明6、8、11~14、17~22は、甲1に基づき新規性を有しない、又は、甲1に基づき進歩性を有しない、と主張している。
(2)当審の判断
ア 甲1発明
甲第1号証には、前記第5の1(1)に記載したとおり、甲1発明が記載されていると認められる。
イ 本件特許発明6について
(ア)対比
本件特許発明6と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違又は一応相違し、その余の点で一致している。
[相違点1-B]
本件特許発明6は、「60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下」であるのに対し、甲1発明は、当該膨潤率が明らかでない点。
[相違点1-K]
本件特許発明6は、(メタ)アクリル共重合体が「重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)」であるのに対し、甲1発明は、「重量平均分子量(Mw)160万」である点。
(イ)判断
事案に鑑みて[相違点1-K]について検討する。
前記第5の1(2)イにおいて既に検討したとおり、甲1発明における「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」を、「重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)」範囲のものとすることは、当業者であっても容易になし得たということができない。
(ウ)まとめ
以上のとおり、[相違点1-K]は、当業者であっても容易になし得たとはいえないものであるから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明6は、甲1発明及び甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
ウ 本件特許発明8について
(ア)対比
本件特許発明8と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違又は一応相違し、その余の点で一致している。
[相違点1-B]
本件特許発明8は、「60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下」であるのに対し、甲1発明は、当該膨潤率が明らかでない点。
[相違点1-F]
本件特許発明8は、(メタ)アクリル共重合体のSP値が「10.45以上」であるのに対し、甲1発明は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)のSP値が明らかでない点。
(イ)判断
事案に鑑みて[相違点1-F]について検討する。
本件特許の段落【0024】には、SP値について、「なお、SP値は溶解性パラメータ(Solubility Parameter)と呼ばれ、溶解のしやすさを表すことのできる指標である。本明細書においてSP値の算出にはFedors法(R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974))が用いられる。」と記載されている。
そして、甲1発明のSP値は、申立人の計算によれば、10.26である。そうすると、[相違点1-F]は実質的な相違点である。
上記相違点について検討すると、甲第1号証には、SP値についての記載がなく、甲1発明の「(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」のSP値を特定の範囲とすることが示唆されているとはいえない。また、粘着剤において、(メタ)アクリル酸エステル共重合体のSP値を10.45以上とすることが、技術常識であったということもできない。そうすると、当業者であったとしても、甲1発明の(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)について、SP値を10.45以上に変更することが容易になし得たということはできない。
(ウ)まとめ
以上のとおり、[相違点1-F]は、当業者であったとしても容易になし得たとはいえないものであるから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲1発明及び甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
エ 本件特許発明11~14、17~22について
本件特許発明6又は本件特許発明8の記載を直接的又は間接的に引用する本件特許発明11~14、17~22と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも前記イ(ア)に記載した[相違点1-K]又は前記ウ(ア)に記載した[相違点1-F]において相違する。
そして、[相違点1-K]及び[相違点1-F]は、前記イ(イ)及びウ(イ)に記載したとおり、いずれも、当業者であっても容易になし得たとはいえないものである。
したがって、本件特許発明11~14、17~22も、甲1発明及び甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
オ まとめ
以上のとおり、本件特許発明6、8、11~14、17~22は、甲1発明及び甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項6、8、11~14、17~22に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立人の上記主張は、いずれも採用できない。
2 理由3(拡大先願)について(1)申立人の主張
申立人は、特許異議申立書の21頁14行~22頁34行、24頁4~23行、24頁30~33行、24頁40行~25頁1行、25頁11~13行、25頁20~23行、25頁30~33行、26頁4~13行、26頁20~24行、26頁31~35行、26頁41行~27頁3行、27頁9~12行において、本件特許発明6、8、11~14、17~22は、甲2に基づく拡大先願違反の取消理由を有すると主張している。
(2)当審の判断
ア 甲2先願発明
甲第2号証には、前記痔5の2(1)に記載したとおり、甲2先願発明が記載されていると認められる。
イ 本件特許発明6について
(ア)対比
本件特許発明6と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違又は一応相違し、その余の点で一致している。
[相違点2-B]
本件特許発明6は、「60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下」であるのに対し、甲2先願発明は、当該膨潤率が明らかでない点。
[相違点2-K]
本件特許発明6は、(メタ)アクリル共重合体が「重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)」であるのに対し、甲2先願発明は、「重量平均分子量(Mw)171万」である点。
(イ)判断
事案に鑑みて、[相違点2-K]について検討する。
前記第5の2(2)イにおいて既に検討したとおり、甲2先願発明における「(メタ)アクリル系ポリマー(A6)」の重量平均分子量について、「重量平均分子量が25万以上(ただし、90万以上を除く。)」範囲のものとすることは、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。
(ウ)まとめ
以上のとおり、[相違点2-K]は、課題解決のための具体化手段における微差ではないから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明6と甲2先願発明とは、実質同一とはいえない。
ウ 本件特許発明8について
(ア)対比
本件特許発明8と甲2先願発明とを対比すると、以下の点で相違又は一応相違し、その余の点で一致している。
[相違点2-B]
本件特許発明8は、「60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下」であるのに対し、甲2先願発明は、当該膨潤率が明らかでない点。
[相違点2-F]
本件特許発明8は、(メタ)アクリル共重合体のSP値が「10.45以上」であるのに対し、甲2先願発明は、(メタ)アクリル系ポリマー(A6)のSP値が明らかでない点。
(イ)判断
事案に鑑みて[相違点2-F]について検討する。
本件特許の段落【0024】には、SP値について、「なお、SP値は溶解性パラメータ(Solubility Parameter)と呼ばれ、溶解のしやすさを表すことのできる指標である。本明細書においてSP値の算出にはFedors法(R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974))が用いられる。」と記載されている。
そして、甲2発明のSP値は、申立人の計算によれば、10.40である。そうすると、[相違点2-F]は実質的な相違点である。
甲第2号証には、SP値についての記載がなく、甲2先願発明の「(メタ)アクリル系ポリマー(A6)」のSP値を、課題解決のために特定の範囲に調整することが示唆されているとはいえない。そうすると、甲2先願発明の「(メタ)アクリル系ポリマー(A6)」について、SP値を10.45以上に変更することは、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。
(ウ)まとめ
以上のとおり、[相違点2-F]は、課題解決のための具体化手段における微差ではないから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明8と甲2先願発明とは、実質同一とはいえない。
エ 本件特許発明11~14、17~22について
本件特許発明6又は本件特許発明8の記載を直接的又は間接的に引用する本件特許発明11~14、17~22と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも前記イ(ア)に記載した[相違点2-K]又は前記ウ(ア)に記載した[相違点2-F]において相違する。
そして、[相違点2-K]及び[相違点2-F]は、前記イ(イ)及びウ(イ)に記載したとおり、いずれも、課題解決のための具体化手段における微差ではない。
したがって、本件特許発明11~14、17~22と甲2先願発明とは、実質同一とはいえない。
オ まとめ
以上のとおり、本件特許発明6、8、11~14、17~22と、甲2先願発明とは実質同一ではないから、請求項6、8、11~14、17~22に係る特許は、特許法29条の2の規定に違反してされたものではない。
したがって、申立人の上記主張は、いずれも採用できない。
3 理由4(サポート要件)について
(1)申立人の主張
ア 芳香族環含有構成単位の含有量について
申立人は、特許異議申立書の27頁下から5行~最終行において、「本件特許発明において本件特許発明の効果を得るためには、(メタ)アクリル共重合体が、芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を45重量%以上、60重量%以下有することが必須と考えられ、・・・発明の範囲を拡張ないし一般化できるとはいえない。」と主張している。
イ シランカップリング剤について
申立人は、特許異議申立書の28頁19~22行において、「本件特許発明において本件特許発明の効果を得るためには、粘着剤がシランカップリング剤を、特定の量含有することが必須と考えられ、例えば、粘着剤がシランカップリング剤を実施例程度含まない場合にまで、発明の範囲を拡張ないし一般化できるとはいえない。」と主張している。
ウ アルコキシアルキル基含有構成単位の含有量について
申立人は、特許異議申立書の28頁下から5行~下から3行において、「アルコシキアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量が30重量%以上であるすべての場合において、発明の範囲を拡張ないし一般化できるとは到底理解できない。」と主張している。
(2)当審の判断
本件特許の段落【0005】における「本発明は、皮脂への耐性に優れ、人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持することができる粘着剤、及び、該粘着剤から形成された粘着剤層を有する粘着テープを提供することを目的とする。」との記載に基づけば、本件特許発明6~8、11~14、17~22が解決しようとする課題は、「人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持することができる粘着剤」を提供することにあるといえる。
そして、本件特許発明6~8、11~14、17~22は、いずれも、「前記粘着剤は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下」であることを必須の要件とするものである。
本件特許の段落【0039】には、「本発明の粘着剤からなる粘着剤層は、60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率(「オレイン酸膨潤率」ともいう)が100重量%以上、180重量%以下であることが好ましい。オレイン酸は人の皮脂の主成分であり、上記オレイン酸膨潤率を上記範囲に調整することにより、粘着テープの耐皮脂性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に粘着テープを用いても粘着力を維持することができる。」と記載されている。当該記載に基づけば、「60℃、湿度90%の条件でオレイン酸に24時間浸漬した後の膨潤率が100重量%以上180重量%以下」であるとの要件を満たす本件特許発明6~8、11~14、17~22は、いずれも、「粘着テープの耐皮脂性を高め、人の手が頻繁に触れる部分に粘着テープを用いても粘着力を維持することができる」という効果を奏すると理解できる。
したがって、本件特許発明6~8、11~14、17~22は、いずれも、「人の手が頻繁に触れる部分に用いても粘着力を維持することができる粘着剤」を提供するという課題を解決できるものであるといえるから、本件特許発明6~8、11~14、17~22に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえない。
以上より、当該申立人の上記主張は、いずれも採用することができない。
4 理由5(実施可能要件)について
(1)申立人の主張
申立人は、特許異議申立書の29頁12~15行において、「芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を45重量%以上、60重量%以下有する(メタ)アクリル共重合体以外の(メタ)アクリル共重合体を用いた場合に、(メタ)アクリル共重合体に含まれる構成単位の組成比をどのように調整すればオレイン酸膨潤率を100重量%以上180重量%以下に調節することができるのかが理解できない。」と主張している。
(2)当審の判断
本件特許の段落【0007】には、「上記(メタ)アクリル共重合体が芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有することにより、本発明の粘着剤は、優れた耐皮脂性を発揮することができる。これは、(メタ)アクリル共重合体が芳香族環を含むことにより、溶解度パラメータ(SP値)が比較的高くなることに加え、π相互作用による分子間力も強くなることから、皮脂による膨潤が起こりにくくなるためと考えられる。一方、上記芳香族環含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合させる成分として炭素数1~4のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル又はアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを選択することにより、SP値を更に高くしながら、高い粘着力を付与することができると考えられる。」との記載がある。また、本件特許の段落【0014】にも、「上記(メタ)アクリル共重合体は、炭素数1~2のアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含有することが好ましい。これにより、上記(メタ)アクリル共重合体のSP値をより高め、粘着剤の耐皮脂性をより向上させることができる。」と記載されており、段落【0039】にも、「オレイン酸への粘着剤成分の溶出がある場合、オレイン酸膨潤率は100重量%を下回る。」及び「なお、上記オレイン酸膨潤率は、上記(メタ)アクリル共重合体の組成、SP値及び重量平均分子量、上記粘着剤層のゲル分率等を調整することにより調節できる。」と記載されている。これらの記載に基づけば、オレイン酸への粘着剤成分の溶出を防ぐことにより、オレイン酸膨潤率は100重量%以上となること、及び、π相互作用による分子間力を利用すると共に、(メタ)アクリル共重合体のSP値を高めるように調整すること等によっても、皮脂による膨潤が起こりにくくなり、オレイン酸膨潤率を下げることができると理解できる。
そして、本件特許の段落【0024】には、「また、(メタ)アクリル共重合体のSP値は、共重合体中のそれぞれの繰り返し単位単独でのSP値をもとに、その配合比(モル比)を用いて算出できる。」と記載されている。当該記載に基づけば、(メタ)アクリル共重合体のSP値は、(メタ)アクリル共重合体中の繰り返し単位を変更することにより適宜設定できるものである。
以上の記載に基づけば、当業者は、(メタ)アクリル共重合体中の繰り返し単位を変更することにより、オレイン酸への粘着剤成分の溶出を防ぐと共に、(メタ)アクリル共重合体のSP値を高めてオレイン酸膨潤率を下げることができるといえる。したがって、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、本件特許発明6~8、11~14、17~22を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、本件特許発明6~8、11~14、17~22に係る特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえない。
以上より、当該申立人の上記主張は、採用することができない。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許発明6~8、11~14、17~22に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件特許発明6~8、11~14、17~22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-701045