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特許異議申立

2024-700377

建具枠及び建具枠の施工方法

審判番号
2024-700377
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-055254
登録番号
7370410
請求日
2024年04月19日
審決日
2025年11月25日
公報発行日
2026年03月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】大建工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人前田特許事務所
  • 【異議申立人】脇谷 治義
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 三橋 健二
  • 審判官 太田 恒明
分類
P1652.121-YAA(E06B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7370410号発明「建具枠及び建具枠の施工方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7370410号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3、7~10〕について訂正することを認める。 特許第7370410号の請求項1~2、4に係る特許を維持する。 特許第7370410号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7370410号(以下「本件特許」という。)は、令和4年3月30日に特許出願され(特願2022-55254号)、令和5年10月19日にその特許権の設定登録がされ、令和5年10月27日に特許掲載公報が発行された。 本件特許の請求項1~4に係る特許について令和6年4月19日に特許異議申立人脇谷 治義(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は令和6年8月29日付けで取消理由を通知し、特許権者は令和6年11月1日付けで意見書の提出及び訂正の請求を行った。 その後、当審は令和7年2月5日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者はその指定期間内である令和7年4月9日付けで意見書の提出及び訂正の請求を行った。 なお、令和7年4月9日付けの訂正の請求について、当審は申立人に対して訂正の請求があった旨の通知をし、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、期間内に申立人からの応答はなかった。 また、令和6年11月1日付けの訂正の請求は、令和7年4月9日に新たな訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。 第2 訂正の請求について 1 訂正の内容 令和7年4月9日付けの訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (2)訂正事項2-1 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれか1つに記載の建具枠において、上記開口は、上記壁の一部を構成する控え壁によって左右方向の一方側の後側の領域が閉塞された上記建具として引戸が取り付けられる引戸用の開口であり、上記引戸の戸尻側に設置される上記縦枠材では、上記前側部材は、上記開口の上記控え壁の前側の領域の左右方向の上記一方側の端を区画する上記壁の端部に取り付けられ、上記後側部材は、上記控え壁の端部に取り付けられていることを特徴とする建具枠。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、「上下方向及び左右方向に延びる壁の開口に設置される建具の建具枠であって、上記開口の左端及び右端を区画する上記壁の端部に取り付けられる2つの縦枠材と、上記開口の上端を区画する上記壁の端部に取り付けられる横枠材とを備え、上記2つの縦枠材及び上記横枠材は、それぞれ前側部材と該前側部材の後側に設けられる後側部材とからなり、上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、上記前側部材は、上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う前枠部と、上記前枠部の前側に設けられ、上記前枠部の前側と上記前枠部が取り付けられる上記壁の端部の前面とを覆う第1見切部とを有し、上記後側部材は、上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う後枠部と、上記後枠部の後側に設けられ、上記後枠部の後側と上記後枠部が取り付けられる上記壁の端部の後面とを覆う第2見切部とを有し、上記2つの縦枠材の上記前枠部及び上記横枠材の上記前枠部は、上記2つの縦枠材の上記前枠部の上端部が上記横枠材の上記前枠部によって連結され、上記2つの縦枠材の上記後枠部及び上記横枠材の上記後枠部は、上記2つの縦枠材の上記後枠部の上端部が上記横枠材の上記後枠部によって連結され、上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、上記前側部材は、上記前枠部の内面が上記開口を閉鎖する位置にある上記建具と対応する位置に設けられ、上記後側部材は、上記建具が上記開口を閉鎖する位置にあるときに上記建具と上記建具枠との隙間を後側から覆う遮蔽部をさらに有し、上記遮蔽部は、上記後枠部と一体に形成され、上記開口は、上記壁の一部を構成する控え壁によって左右方向の一方側の後側の領域が閉塞された上記建具として引戸が取り付けられる引戸用の開口であり、上記引戸の戸尻側に設置される上記縦枠材では、上記前側部材は、上記開口の上記控え壁の前側の領域の左右方向の上記一方側の端を区画する上記壁の端部に取り付けられ、上記後側部材は、上記控え壁の端部に取り付けられていることを特徴とする建具枠。」と記載し、新たに請求項9とする。 (3)訂正事項2-2 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれか1つに記載の建具枠において、上記開口は、上記壁の一部を構成する控え壁によって左右方向の一方側の後側の領域が閉塞された上記建具として引戸が取り付けられる引戸用の開口であり、上記引戸の戸尻側に設置される上記縦枠材では、上記前側部材は、上記開口の上記控え壁の前側の領域の左右方向の上記一方側の端を区画する上記壁の端部に取り付けられ、上記後側部材は、上記控え壁の端部に取り付けられていることを特徴とする建具枠。」とあるうち、請求項3の記載を引用するものを削除して「請求項1,2,4~6のいずれか1つに記載の建具枠において、上記開口は、上記壁の一部を構成する控え壁によって左右方向の一方側の後側の領域が閉塞された上記建具として引戸が取り付けられる引戸用の開口であり、上記引戸の戸尻側に設置される上記縦枠材では、上記前側部材は、上記開口の上記控え壁の前側の領域の左右方向の上記一方側の端を区画する上記壁の端部に取り付けられ、上記後側部材は、上記控え壁の端部に取り付けられていることを特徴とする建具枠。」に訂正する。 (4)訂正事項3-1 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか1つに記載の建具枠の施工方法であって、上記2つの縦枠材の上記前枠部と上記横枠材の上記前枠部とを組み立てて門型の前枠を形成する前枠組立工程と、上記2つの縦枠材の上記後枠部と上記横枠材の上記後枠部とを組み立てて門型の後枠を形成する後枠組立工程と、上記前枠組立工程で組み立てられた上記前枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける前枠施工工程と、上記後枠組立工程で組み立てられた上記後枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける後枠施工工程とを備えていることを特徴とする建具枠の施工方法。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、「上下方向及び左右方向に延びる壁の開口に設置される建具の建具枠の施工方法であって、上記建具枠は、上記開口の左端及び右端を区画する上記壁の端部に取り付けられる2つの縦枠材と、上記開口の上端を区画する上記壁の端部に取り付けられる横枠材とを備え、上記2つの縦枠材及び上記横枠材は、それぞれ前側部材と該前側部材の後側に設けられる後側部材とからなり、上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、上記前側部材は、上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う前枠部と、上記前枠部の前側に設けられ、上記前枠部の前側と上記前枠部が取り付けられる上記壁の端部の前面とを覆う第1見切部とを有し、上記後側部材は、上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う後枠部と、上記後枠部の後側に設けられ、上記後枠部の後側と上記後枠部が取り付けられる上記壁の端部の後面とを覆う第2見切部とを有し、上記2つの縦枠材の上記前枠部及び上記横枠材の上記前枠部は、上記2つの縦枠材の上記前枠部の上端部が上記横枠材の上記前枠部によって連結され、上記2つの縦枠材の上記後枠部及び上記横枠材の上記後枠部は、上記2つの縦枠材の上記後枠部の上端部が上記横枠材の上記後枠部によって連結され、上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、上記前側部材は、上記前枠部の内面が上記開口を閉鎖する位置にある上記建具と対応する位置に設けられ、上記後側部材は、上記建具が上記開口を閉鎖する位置にあるときに上記建具と上記建具枠との隙間を後側から覆う遮蔽部をさらに有し、上記遮蔽部は、上記後枠部と一体に形成されるものであり、上記建具枠の施工方法は、上記2つの縦枠材の上記前枠部と上記横枠材の上記前枠部とを組み立てて門型の前枠を形成する前枠組立工程と、上記2つの縦枠材の上記後枠部と上記横枠材の上記後枠部とを組み立てて門型の後枠を形成する後枠組立工程と、上記前枠組立工程で組み立てられた上記前枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける前枠施工工程と、上記後枠組立工程で組み立てられた上記後枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける後枠施工工程とを備えていることを特徴とする建具枠の施工方法。」と記載し、新たに請求項10とする。 (5)訂正事項3-2 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか1つに記載の建具枠の施工方法であって、上記2つの縦枠材の上記前枠部と上記横枠材の上記前枠部とを組み立てて門型の前枠を形成する前枠組立工程と、上記2つの縦枠材の上記後枠部と上記横枠材の上記後枠部とを組み立てて門型の後枠を形成する後枠組立工程と、上記前枠組立工程で組み立てられた上記前枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける前枠施工工程と、上記後枠組立工程で組み立てられた上記後枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける後枠施工工程とを備えていることを特徴とする建具枠の施工方法。」とあるうち、請求項3の記載を引用するものを削除して「請求項1,2,4~7のいずれか1つに記載の建具枠の施工方法であって、上記2つの縦枠材の上記前枠部と上記横枠材の上記前枠部とを組み立てて門型の前枠を形成する前枠組立工程と、上記2つの縦枠材の上記後枠部と上記横枠材の上記後枠部とを組み立てて門型の後枠を形成する後枠組立工程と、上記前枠組立工程で組み立てられた上記前枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける前枠施工工程と、上記後枠組立工程で組み立てられた上記後枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける後枠施工工程とを備えていることを特徴とする建具枠の施工方法。」に訂正する。 2 訂正の適否の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の本件特許の特許請求の範囲の請求項3を削除する訂正であるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同法第120条の5第2項の規定に適合する。 イ 新規事項 訂正事項1は、請求項を削除する訂正であるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更 訂正事項1は、請求項を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2-1について ア 訂正の目的 訂正事項2-1は、訂正前の請求項7が請求項1~6のいずれか1つの記載を引用するものであるところ、請求項3の記載を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正である。 よって、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 また、訂正事項2-1は、訂正前の請求項7における「前側部材」について、「上記前枠部の内面が上記開口を閉鎖する位置にある上記建具と対応する位置に設けられ」ることを特定して限定するものである。 よって、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 以上のことから、訂正事項2-1は同法第120条の5第2項の規定に適合する。 イ 新規事項 訂正事項2-1は、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正である。 また、訂正事項2-1により限定される「上記前側部材は、上記前枠部の内面が上記開口を閉鎖する位置にある上記建具と対応する位置に設けられ」ることは、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)における【0051】、【図3】~【図6】等の記載に基づくものである。 以上のことから、訂正事項2-1は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更 訂正事項2-1は、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正であり、また、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項2-2について ア 訂正の目的 訂正事項2-2は、訂正前の請求項7が請求項1~6のいずれか1つの記載を引用するものであるところ、請求項3の記載を引用するものを削除し、引用する請求項の数を減少させる訂正である。 よって、訂正事項3-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同法第120条の5第2項の規定に適合する。 イ 新規事項 訂正事項2-2は、引用する請求項の数を減少させる訂正であるから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更 訂正事項2-2は、引用する請求項の数を減少させる訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項3-1について ア 訂正の目的 訂正事項3-1は、訂正前の請求項8が請求項1~7のいずれか1つの記載を引用するものであるところ、請求項3の記載を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正である。 よって、訂正事項3-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 また、訂正事項3-1は、訂正前の請求項7が引用する請求項3における「前側部材」について、「上記前枠部の内面が上記開口を閉鎖する位置にある上記建具と対応する位置に設けられ」ることを特定して限定するものである。 よって、訂正事項3-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 以上のことから、訂正事項3-1は同法第120条の5第2項の規定に適合する。 イ 新規事項 訂正事項3-1は、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正である。 また、訂正事項3-1により限定される「上記前側部材は、上記前枠部の内面が上記開口を閉鎖する位置にある上記建具と対応する位置に設けられ」ることは、本件特許明細書等における【0051】、【図3】~【図6】等の記載に基づくものである。 以上のことから、訂正事項3-1は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更 訂正事項3-1は、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改める訂正であり、また、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (5)訂正事項3-2について ア 訂正の目的 訂正事項3-2は、訂正前の請求項8が請求項1~7のいずれか1つの記載を引用するものであるところ、請求項3の記載を引用するものを削除し、引用する請求項の数を減少させる訂正である。 よって、訂正事項3-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同法第120条の5第2項の規定に適合する。 イ 新規事項 訂正事項3-2は、引用する請求項の数を減少させる訂正であるから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更 訂正事項3-2は、引用する請求項の数を減少させる訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 3 訂正の単位について 本件訂正請求における訂正事項1~3-2により訂正前の請求項3、7~8が訂正されるところ、訂正前の請求項7~8は訂正前の請求項3を引用するものであるから、訂正前の請求項3、7~8は一群の請求項に該当する。 よって、訂正前の請求項3、7~8について訂正する訂正事項1~3-2により訂正された、訂正後の請求項3、7~10は、一群の請求項である。 4 独立特許要件について 訂正事項2-1及び3-1によって、訂正前の請求項7~8は特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正がなされるところ、特許異議の申立てがされていない訂正前の請求項7~8に係る発明(訂正後の請求項7~10に係る発明)は、特許法第120条の5第9項の規定により読み替えて準用する同法第126条第7項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 そこで、訂正後の請求項7~10に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討したが、独立特許要件を欠くとする事由を見いだすことができない。 よって訂正事項2-1及び3-1は、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 5 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項~第7項の規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3、7~10〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおり、令和7年4月9日付けの本件訂正請求は認められるから、本件訂正請求による訂正後の請求項1~10に係る発明(以下「本件特許発明1」等という。)は、令和7年4月9日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。なお、符号A等は分説のため当審で付与した。分説された発明特定事項を、符号に基づき、以下「本件発明特定事項A」等という。 「 【請求項1】 A 上下方向及び左右方向に延びる壁の開口に設置される建具の建具枠であって、 B 上記開口の左端及び右端を区画する上記壁の端部に取り付けられる2つの縦枠材と、 C 上記開口の上端を区画する上記壁の端部に取り付けられる横枠材とを備え、 D 上記2つの縦枠材及び上記横枠材は、それぞれ前側部材と該前側部材の後側に設けられる後側部材とからなり、 E 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 E1 上記前側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う前枠部と、 上記前枠部の前側に設けられ、上記前枠部の前側と上記前枠部が取り付けられる上記壁の端部の前面とを覆う第1見切部とを有し、 E2 上記後側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う後枠部と、 上記後枠部の後側に設けられ、上記後枠部の後側と上記後枠部が取り付けられる上記壁の端部の後面とを覆う第2見切部とを有し、 F 上記2つの縦枠材の上記前枠部及び上記横枠材の上記前枠部は、上記2つの縦枠材の上記前枠部の上端部が上記横枠材の上記前枠部によって連結され、 G 上記2つの縦枠材の上記後枠部及び上記横枠材の上記後枠部は、上記2つの縦枠材の上記後枠部の上端部が上記横枠材の上記後枠部によって連結され、 E 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 E3 上記第1見切部は、上記前枠部と一体に形成され、 E4 上記第2見切部は、上記後枠部と別体に形成され、 E5 上記後枠部は、ビスによって上記前枠部又は上記壁の端部に取り付けられ、 E6 上記ビスは、頭部が上記第2見切部によって覆われる位置に打ち込まれている H ことを特徴とする建具枠。 【請求項2】 A2 請求項1に記載の建具枠において、 I 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、上記第2見切部は、上記第1見切部と長さ及び幅が等しく、前後方向において上記第1見切部と重なる位置に設けられている H ことを特徴とする建具枠。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 A3 請求項1又は2に記載の建具枠において、 E 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 E7 上記後側部材は、上記建具が上記開口を閉鎖する位置にあるときに上記建具と上記建具枠との隙間を後側から覆う遮蔽部をさらに有し、 E8 上記遮蔽部は、上記後枠部と一体に形成されている H ことを特徴とする建具枠。 【請求項5】 上下方向及び左右方向に延びる壁の開口に設置される建具の建具枠であって、 上記開口の左端及び右端を区画する上記壁の端部に取り付けられる2つの縦枠材と、 上記開口の上端を区画する上記壁の端部に取り付けられる横枠材とを備え、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材は、それぞれ前側部材と該前側部材の後側に設けられる後側部材とからなり、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 上記前側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う前枠部と、 上記前枠部の前側に設けられ、上記前枠部の前側と上記前枠部が取り付けられる上記壁の端部の前面とを覆う第1見切部とを有し、 上記後側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う後枠部と、 上記後枠部の後側に設けられ、上記後枠部の後側と上記後枠部が取り付けられる上記壁の端部の後面とを覆う第2見切部とを有し、 上記2つの縦枠材の上記前枠部及び上記横枠材の上記前枠部は、上記2つの縦枠材の上記前枠部の上端部が上記横枠材の上記前枠部によって連結され、 上記2つの縦枠材の上記後枠部及び上記横枠材の上記後枠部は、上記2つの縦枠材の上記後枠部の上端部が上記横枠材の上記後枠部によって連結され、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 上記後側部材は、 上記後枠部と別体に形成され、上記第2見切部と該第2見切部の内端部から前方に延びて上記後枠部と係合する係合部とが一体に形成されてなる見切部材と、 上記後枠部と別体に形成され、上記建具が上記開口を閉鎖する位置にあるときに上記建具と上記建具枠との隙間を後側から覆う遮蔽部材とをそれぞれ有し、 上記後枠部の後面と内面との角部には、上記係合部が嵌まる切り欠きが形成され、 上記遮蔽部材は、上記切り欠きを覆うように上記後枠部の内面に固定され、 上記見切部材は、上記係合部が上記後枠部と上記遮蔽部材との間に挟み込まれた状態で上記後枠部及び上記壁の端部に固定されている ことを特徴とする建具枠。 【請求項6】 請求項1又は2に記載の建具枠において、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 上記後側部材は、 上記後枠部と別体に形成され、上記第2見切部と該第2見切部の内端部から前方に延びて上記後枠部と係合する係合部とが一体に形成されてなる見切部材と、 上記後枠部と別体に形成され、上記建具が上記開口を閉鎖する位置にあるときに上記建具と上記建具枠との隙間を後側から覆う遮蔽部材とをそれぞれ有し、 上記後枠部の後面と内面との角部には、上記係合部が嵌まる切り欠きが形成され、 上記遮蔽部材は、上記切り欠きを覆うように上記後枠部の内面に固定され、 上記見切部材は、上記係合部が上記後枠部と上記遮蔽部材との間に挟み込まれた状態で上記後枠部及び上記壁の端部に固定されている ことを特徴とする建具枠。 【請求項7】 請求項1,2,4~6のいずれか1つに記載の建具枠において、 上記開口は、上記壁の一部を構成する控え壁によって左右方向の一方側の後側の領域が閉塞された上記建具として引戸が取り付けられる引戸用の開口であり、 上記引戸の戸尻側に設置される上記縦枠材では、 上記前側部材は、上記開口の上記控え壁の前側の領域の左右方向の上記一方側の端を区画する上記壁の端部に取り付けられ、 上記後側部材は、上記控え壁の端部に取り付けられている ことを特徴とする建具枠。 【請求項8】 請求項1,2,4~7のいずれか1つに記載の建具枠の施工方法であって、 上記2つの縦枠材の上記前枠部と上記横枠材の上記前枠部とを組み立てて門型の前枠を形成する前枠組立工程と、 上記2つの縦枠材の上記後枠部と上記横枠材の上記後枠部とを組み立てて門型の後枠を形成する後枠組立工程と、 上記前枠組立工程で組み立てられた上記前枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける前枠施工工程と、 上記後枠組立工程で組み立てられた上記後枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける後枠施工工程とを備えている ことを特徴とする建具枠の施工方法。 【請求項9】 上下方向及び左右方向に延びる壁の開口に設置される建具の建具枠であって、 上記開口の左端及び右端を区画する上記壁の端部に取り付けられる2つの縦枠材と、 上記開口の上端を区画する上記壁の端部に取り付けられる横枠材とを備え、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材は、それぞれ前側部材と該前側部材の後側に設けられる後側部材とからなり、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 上記前側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う前枠部と、 上記前枠部の前側に設けられ、上記前枠部の前側と上記前枠部が取り付けられる上記壁の端部の前面とを覆う第1見切部とを有し、 上記後側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う後枠部と、 上記後枠部の後側に設けられ、上記後枠部の後側と上記後枠部が取り付けられる上記壁の端部の後面とを覆う第2見切部とを有し、 上記2つの縦枠材の上記前枠部及び上記横枠材の上記前枠部は、上記2つの縦枠材の上記前枠部の上端部が上記横枠材の上記前枠部によって連結され、 上記2つの縦枠材の上記後枠部及び上記横枠材の上記後枠部は、上記2つの縦枠材の上記後枠部の上端部が上記横枠材の上記後枠部によって連結され、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 上記前側部材は、上記前枠部の内面が上記開口を閉鎖する位置にある上記建具と対応する位置に設けられ、 上記後側部材は、上記建具が上記開口を閉鎖する位置にあるときに上記建具と上記建具枠との隙間を後側から覆う遮蔽部をさらに有し、 上記遮蔽部は、上記後枠部と一体に形成され、 上記開口は、上記壁の一部を構成する控え壁によって左右方向の一方側の後側の領域が閉塞された上記建具として引戸が取り付けられる引戸用の開口であり、 上記引戸の戸尻側に設置される上記縦枠材では、 上記前側部材は、上記開口の上記控え壁の前側の領域の左右方向の上記一方側の端を区画する上記壁の端部に取り付けられ、 上記後側部材は、上記控え壁の端部に取り付けられている ことを特徴とする建具枠。 【請求項10】 上下方向及び左右方向に延びる壁の開口に設置される建具の建具枠の施工方法であって、 上記建具枠は、 上記開口の左端及び右端を区画する上記壁の端部に取り付けられる2つの縦枠材と、 上記開口の上端を区画する上記壁の端部に取り付けられる横枠材とを備え、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材は、それぞれ前側部材と該前側部材の後側に設けられる後側部材とからなり、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 上記前側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う前枠部と、 上記前枠部の前側に設けられ、上記前枠部の前側と上記前枠部が取り付けられる上記壁の端部の前面とを覆う第1見切部とを有し、 上記後側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う後枠部と、 上記後枠部の後側に設けられ、上記後枠部の後側と上記後枠部が取り付けられる上記壁の端部の後面とを覆う第2見切部とを有し、 上記2つの縦枠材の上記前枠部及び上記横枠材の上記前枠部は、上記2つの縦枠材の上記前枠部の上端部が上記横枠材の上記前枠部によって連結され、 上記2つの縦枠材の上記後枠部及び上記横枠材の上記後枠部は、上記2つの縦枠材の上記後枠部の上端部が上記横枠材の上記後枠部によって連結され、 上記2つの縦枠材及び上記横枠材のそれぞれにおいて、 上記前側部材は、上記前枠部の内面が上記開口を閉鎖する位置にある上記建具と対応する位置に設けられ、 上記後側部材は、上記建具が上記開口を閉鎖する位置にあるときに上記建具と上記建具枠との隙間を後側から覆う遮蔽部をさらに有し、 上記遮蔽部は、上記後枠部と一体に形成されるものであり、 上記建具枠の施工方法は、 上記2つの縦枠材の上記前枠部と上記横枠材の上記前枠部とを組み立てて門型の前枠を形成する前枠組立工程と、 上記2つの縦枠材の上記後枠部と上記横枠材の上記後枠部とを組み立てて門型の後枠を形成する後枠組立工程と、 上記前枠組立工程で組み立てられた上記前枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける前枠施工工程と、 上記後枠組立工程で組み立てられた上記後枠を、上記開口を区画する上記壁の端部に取り付ける後枠施工工程とを備えている ことを特徴とする建具枠の施工方法。」 第4 証拠方法、並びに異議申立理由、及び取消理由の概要 1 証拠方法 申立人が提示する証拠は、以下のとおりである。なお、以下では甲第1号証等を、「甲1」等という。 甲第1号証:特開2003-293655号公報 甲第2号証:特開平9-119266号公報 甲第3号証:特開平10-110575号公報 2 異議申立理由の概要 本件特許の請求項1~4に係る発明は、甲1~甲3に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 取消理由通知(決定の予告)の概要 令和6年11月1日付けの訂正の請求により訂正された請求項3に係る特許に対して、当審が令和7年2月4日付けで特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 請求項3に係る発明は、甲3に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 第5 証拠について 1 甲1 甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。 (1)「【0013】 【発明の実施の形態】図1~図3に示すこの発明の一実施例の枠材(10)は、図4~図6に示すように、住宅等の壁(12)に設けられた開口部(14)の内面(14a)に設けられるものであり、開口部(14)には、扉(16)が開閉自在に取り付けられる。 …… 【0015】枠材(10)は、図1~図3に示すように、枠本体(22),戸当たり部材(24)および固定部材(26)を含む。 【0016】枠本体(22)は、挽材,合板,木質繊維板(IB,MDF等),木削片板(パーティクルボード,ストランドボード,OSB等),集成材などの木質材料、プラスチック材料または金属材料等の単独材料、もしくは、これらの複合材料により形成された長尺部材であり、開口部(14)の内面(14a)を覆う本体部(28)を含む。 【0017】本体部(28)は、幅方向において第1分割片(30)と第2分割片(32)とに分割された構造を有し、第1分割片(30)と第2分割片(32)とが協働することにより、開口部(14)の内面(14a)を覆う機能を発揮する。 【0018】第1分割片(30)は、開口部(14)の内面(14a)の略半分を覆う長尺の板材であり、第1分割片(30)の幅方向一方端部、すなわち本体部(28)の幅方向一方端部には、第1分割片(30)の背面から垂直に延びて、壁(12)の一方面(第1壁板(18a))に係止される第1係止部(34a)が形成される。 【0019】一方、第2分割片(32)は、開口部(14)の内面(14a)の残りの半分を覆う長尺の板材であり、第2分割片(32)の幅方向一方端部、すなわち本体部(28)の幅方向他方端部には、第1分割片(30)の背面から垂直に延びて、壁(12)の他方面(第2壁板(18b))に係止される第2係止部(34b)が形成される。 …… 【0021】さらに、第2分割片(32)の幅方向他方端部には、表面側の肉を盗むことによって、溝(40)を構成する段部(42)が形成され、段部(42)によって構成された溝(40)の底面に戸当たり部材(24)が配置される。 【0022】戸当たり部材(24)は、開口部(14)に取り付けられた扉(16)を閉じた時に扉(16)が行き過ぎないようにするとともに、枠本体(22)と扉(16)との隙間を目隠しするものであり、ベース部材(44)とカバー部材(46)とを含む。 【0023】ベース部材(44)は、溝(40)に沿って延びる断面略コ字状の長尺部材であり、プラスチックや金属などのような硬質材料により形成される。ベース部材(44)の側壁部は、外側へ膨らんだ円弧状に形成され、この側壁部が弾性を有する係止部となる。そして、ベース部材(44)の底部には、固定部材(26)が挿通される複数の孔が形成される。 【0024】一方、カバー部材(46)は、ベース部材(44)の外面に脱着可能に取り付けられる断面略コ字状の長尺部材であり、プラスチックや金属などのような硬質材料により形成される。カバー部材(46)の側壁部は、外側へ膨らんだ円弧状に形成され、この側壁部が弾性を有する係止部となる。ベース部材(44)にカバー部材(46)を取り付けると、ベース部材(44)の側壁部にカバー部材(46)の側壁部が係止されるが、これらの側壁部は弾性を有するので、ベース部材(44)からカバー部材(46)を容易に取り外すことができる。 【0025】固定部材(26)は、枠本体(22)の薄肉部(36)および薄肉部(38)ならびに戸当たり部材(24)のベース部材(44)を貫いて、これらを開口部(14)の内面(14a)に固定するものであり、具体的には、ネジや釘等が固定部材(26)として用いられる。 【0026】枠材(10)を開口部(14)の内面(14a)に取り付ける際には、まず、図7に示すように、薄肉部(36)と薄肉部(38)との重なり合った部分の長さLを調整することによって、第1係止部(34a)と第2係止部(34b)との間隔を調整し、第1係止部(34a)を第1壁板(18a)に係止させるとともに、第2係止部(34b)を第2壁板(18b)に係止させる。続いて、戸当り部材(24)のベース部材(44)を溝(40)の底面に位置決めし、ベース部材(44),薄肉部(36)および薄肉部(38)に固定部材(26)としてのネジ(または釘等)を貫通させて、これを開口部(14)の内面(14a)に配置された柱(20)にねじ込む(または打ち込む)。そして、ベース部材(44)にカバー部材(46)を装着する。 …… 【0029】また、薄肉部(36)と薄肉部(38)との重なり合った部分に戸当たり部材(24)を配置するようにしているので、薄肉部(36),薄肉部(38)および戸当たり部材(24)を一本の固定部材(26)で貫いて開口部(14)の内面(14a)に固定することができる。したがって、第1係止部(34a)と第2係止部(34b)との間隔を固定する作業と、枠材(10)を開口部(14)の内面(14a)に固定する作業とを一工程で行うことができる。 …… 【0033】また、たとえば図12に示すように、第2係止部(34b)(または双方)を本体部(28)の幅方向へ延びる長さ調整片(56a)と壁(12)の壁面に係止される係止片(56b)とによって構成し、本体部(28)の幅方向端部には、溝(58)を形成し、長さ調整片(56a)を溝(58)に必要長さだけ挿入して接着するようにしてもよい。また、長さ調整片(56a)を必要長さに切断した後に溝(58)に接着するようにしてもよい。 【0034】この実施例によれば、長さ調整片(56a)によって、初回施工時の壁厚に合わせて第1係止部(34a)と第2係止部(34b)との間隔をさらに調整できる。」 (2)「【図1】 [図:0001433050000001.jpg] 」 (3)「【図4】 [図:0001433050000002.jpg] 」 (4)「【図12】 [図:0001433050000003.jpg] 」 (5)認定事項1-1 甲1の【図1】及び【図12】の記載から、以下の事項が示されているといえる。 「固定部材(26)としてのネジは、第2分割片(32)の端部を第1分割片(30)の端部に取り付け、第1分割片(30)の端部を柱(20)に取り付けること。」(以下「認定事項1-1」という。) (6)甲1発明 以上のことから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(引用箇所の段落番号等を併記し、また、本件発明特定事項A等に概ね対応させたa等を含む符号を付した。以下同様。)。 「a 住宅等の壁(12)に設けられた開口部(14)の内面(14a)に設けられるものであり、開口部(14)には、扉(16)が開閉自在に取り付けられる枠材(10)であって(【0013】)、 b,e1,e2,e5 枠材(10)は、枠本体(22),戸当たり部材(24)および固定部材(26)を含み(【0015】)、 枠本体(22)は、開口部(14)の内面(14a)を覆う本体部(28)を含み(【0016】)、 本体部(28)は、幅方向において第1分割片(30)と第2分割片(32)とに分割された構造を有し、第1分割片(30)と第2分割片(32)とが協働することにより、開口部(14)の内面(14a)を覆う機能を発揮し(【0017】)、 第1分割片(30)は、開口部(14)の内面(14a)の略半分を覆う長尺の板材であり、第1分割片(30)の幅方向一方端部、すなわち本体部(28)の幅方向一方端部には、第1分割片(30)の背面から垂直に延びて、壁(12)の一方面(第1壁板(18a))に係止される第1係止部(34a)が形成され(【0018】)、 一方、第2分割片(32)は、開口部(14)の内面(14a)の残りの半分を覆う長尺の板材であり、第2分割片(32)の幅方向一方端部、すなわち本体部(28)の幅方向他方端部には、第1分割片(30)の背面から垂直に延びて、壁(12)の他方面(第2壁板(18b))に係止される第2係止部(34b)が形成され(【0019】)、 第2分割片(32)の幅方向他方端部には、表面側の肉を盗むことによって、溝(40)を構成する段部(42)が形成され、段部(42)によって構成された溝(40)の底面に戸当たり部材(24)が配置され(【0021】)、 戸当たり部材(24)は、開口部(14)に取り付けられた扉(16)を閉じた時に扉(16)が行き過ぎないようにするとともに、枠本体(22)と扉(16)との隙間を目隠しするものであり、ベース部材(44)とカバー部材(46)とを含み(【0022】)、 ベース部材(44)の側壁部は、外側へ膨らんだ円弧状に形成され、この側壁部が弾性を有する係止部となり、そして、ベース部材(44)の底部には、固定部材(26)が挿通される複数の孔が形成され(【0023】)、 一方、カバー部材(46)は、ベース部材(44)の外面に脱着可能に取り付けられる断面略コ字状の長尺部材であり、カバー部材(46)の側壁部は、外側へ膨らんだ円弧状に形成され、この側壁部が弾性を有する係止部となり(【0024】)、 固定部材(26)は、枠本体(22)の薄肉部(36)および薄肉部(38)ならびに戸当たり部材(24)のベース部材(44)を貫いて、これらを開口部(14)の内面(14a)に固定するものであり、具体的には、ネジや釘等が固定部材(26)として用いられ(【0025】)、 枠材(10)を開口部(14)の内面(14a)に取り付ける際には、第1係止部(34a)を第1壁板(18a)に係止させるとともに、第2係止部(34b)を第2壁板(18b)に係止させ、続いて、戸当り部材(24)のベース部材(44)を溝(40)の底面に位置決めし、ベース部材(44),薄肉部(36)および薄肉部(38)に固定部材(26)としてのネジを貫通させて、これを開口部(14)の内面(14a)に配置された柱(20)にねじ込み、そして、ベース部材(44)にカバー部材(46)を装着し(【0026】)、 固定部材(26)としてのネジは、第2分割片(32)の端部を第1分割片(30)の端部に取り付け、第1分割片(30)の端部を柱(20)に取り付け(認定事項1-1)、 薄肉部(36)と薄肉部(38)との重なり合った部分に戸当たり部材(24)を配置するようにしているので、薄肉部(36),薄肉部(38)および戸当たり部材(24)を一本の固定部材(26)で貫いて開口部(14)の内面(14a)に固定することができ、したがって、第1係止部(34a)と第2係止部(34b)との間隔を固定する作業と、枠材(10)を開口部(14)の内面(14a)に固定する作業とを一工程で行うことができ(【0029】)、 e3,e4 第2係止部(34b)を本体部(28)の幅方向へ延びる長さ調整片(56a)と壁(12)の壁面に係止される係止片(56b)とによって構成し、本体部(28)の幅方向端部には、溝(58)を形成し、長さ調整片(56a)を溝(58)に必要長さだけ挿入して接着し(【0033】)、 長さ調整片(56a)によって、初回施工時の壁厚に合わせて第1係止部(34a)と第2係止部(34b)との間隔をさらに調整できる(【0034】)、 h 枠材(10)(【0013】)。」 2 甲2 甲2には、次の事項が記載されている。 (1)「【0002】 【従来の技術】従来は、間仕切り壁36の開口部38の開口面39に開口枠40を配置し(図5(a)、開口枠40の側面41の溝42からビス類(釘、木ねじ等)43で開口枠40を間仕切り壁16の開口面20に固定し、然る後、開口枠40の溝42と間仕切り壁36の表面との間に額縁44、44を固定していた(図5(b))。 (2)「【図5】 [図:0001433050000004.jpg] 」 (3)甲2記載技術事項 以上のことから、甲2には、次の技術事項(以下「甲2記載技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「間仕切り壁36の開口部38の開口面39に開口枠40を配置し、開口枠40の側面41の溝42からビス類(釘、木ねじ等)43で開口枠40を間仕切り壁16の開口面20に固定し、然る後、開口枠40の溝42と間仕切り壁36の表面との間に額縁44、44を固定すること(【0002】)。」 3 甲3 甲3には、次の事項が記載されている。 (1)「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、住宅等で引き戸用または開き戸用の開口部に使用される竪枠の枠材に関するものである。」 (2)「【0002】 【従来の技術】従来、住宅等に使用される枠材、特に引き戸用枠材において、図7および図8に示したように、引き戸(1)と引き戸用竪枠材(2)が完全に平行にならないことに起因して、隙間(3)ができる場合が多かった。また、このような構造の枠材は工法や現場ごとに微妙に異なる壁の厚みに引き戸用竪枠材の幅を合わせる必要があり、様々な幅の枠材を用意しなければならなかった。このため、枠材は必然的に種類が多くなる傾向があった。 【0003】以上のような欠点を改善するために、まず、隙間に関しては、図9に示したように、戸当たり(4)を取り付けて、隙間(3)から漏れる光を屈折または遮光させて、目立たなくするものが考えられた。しかし、この手段は、枠材に戸当たり(4)が突出するため、開口部の有効幅が狭められ、外観上見苦しく、部材点数が増える欠点を有していた。 【0004】また、図10に示したように、引き戸用竪枠材(2)に溝(5)を設置して、この中に引き戸(1)の端部(6)が入り込むようにした引き戸が考案された。こうすることで、隙間から漏れる光を屈折させて、目立たなくした。この手段は、戸当たりを設置しないため、開口部の有効幅が狭められることなく、部材が増えることもない。しかし、引き戸用竪枠材(2)に溝(5)を設置することで、引き戸用竪枠材(2)の有効厚さが薄くなり、強度の低下が心配されるという欠点を有していた。 【0005】次に、工法や現場ごとに微妙に異なる壁の厚みに引き戸用竪枠材の幅を合わせるためには、図11に示したように、2分割された枠材本体(7)を壁の厚みに合わせて取り付け、隙間部分(8)に覆い材(9)を使用するものが考案され、実用化されているが、枠材が2分割されていて、枠材としての強度が低下するという欠点を有していた。 【0006】そこで、図12に示したように、枠材本体(7)に溝(10)を設置して、幅調整材(11)をこの溝(10)に嵌め込んで、溝(10)の深さと幅調整材(11)の脚部分(12)の長さの許す限り壁の厚みに広く対応できるようにしたものが考案された。 【0007】また、図9に示したような戸当たり(4)と、図12に示したような幅調整材(11)を使用するものを組み合わせた図13に示すものも考案された。」 (3)「【0010】 【発明の実施の形態】本発明に係わる枠材は、開口部の壁の厚みに対応して、幅方向に互いに摺動可能に分離した主部材と幅調整部材の2部材からなり、主部材には、幅調整部材とは反対側の縁に、上記開口部の壁に係合するように裏面側に突条を形成し、この突条以外の主部材の裏面側は、上記開口部に適合する平面を形成し、幅調整部材寄りの表面側に、戸当たり用の凸部を形成し、幅調整部材側の縁に、幅調整部材が幅方向に摺動可能に出入りする凹部を形成する一方、幅調整部材には、主部材とは反対側の縁に、上記開口部の壁に係合するように裏面側に第2突条を形成し、主部材側の縁に、上記主部材の凹部に挿入して適合可能な挿入部材を形成し、幅調整部材の挿入部材を主部材の凹部に挿入して、幅方向に摺動させることにより、幅を調整し、壁の厚みに合った幅にしておいて、釘、接着剤等で固定して、取り付けるものである。」 (4)「【0012】 【実施例】以下この発明を例示図面を参照して詳細説明する。図1は、この発明の第1実施例の使用状態を示す断面図であり、(A)は開口部の壁、(50)は主部材、(60)は幅調整部材である。開口部の壁(A)の厚みに対応して、主部材(50)と幅調整部材(60)は幅方向に互いに摺動可能に分離している。(B)は戸の端部である。主部材(50)、幅調整部材(60)ともに、材質は合板、中比重繊維板〔MDF〕その他の木質材料からなる。 【0013】主部材(50)には、幅調整部材(60)とは反対側の縁に、開口部の壁(A)に係合するように裏面側に突条(51)を形成し、突条(51)以外の主部材(50)の裏面側は平面を形成し、幅調整部材(60)寄りの表面側に、戸当たり用の3~5mm程度の高さの凸部(52)を形成し、幅調整部材(60)側の縁に、幅調整部材(60)が幅方向に摺動可能に出入りする凹部として切り欠き(53)を形成する。 【0014】一方、幅調整部材(60)には、主部材(50)とは反対側の縁に、開口部の壁(A)に係合するように裏面側に第2突条(61)を形成し、主部材側の縁に、主部材の切り欠き(53)に挿入して適合可能な挿入部材(62)を形成する。挿入部材(62)の裏面側は開口部の壁(A)に沿って摺動可能に平面になっている。」 (5)「【図1】 [図:0001433050000005.jpg] 」 (6)「【図8】 [図:0001433050000006.jpg] 」 (7)認定事項3-1 甲3の【図8】の記載及び技術常識から、以下の事項が示されているといえる。 「枠が上下方向及び左右方向に延びる壁の開口部に設置されること。」(以下「認定事項3-1」という。) (8)認定事項3-2 甲3の【図8】の記載及び技術常識から、以下の事項が示されているといえる。 「枠は、 壁の開口部の左端及び右端を区画する壁の端部に取り付けられる2つの竪枠の枠材と、 壁の開口部の上端を区画する壁の端部に取り付けられる横枠の枠材とを備えること。」(以下「認定事項3-2」という。) (9)認定事項3-3、認定事項3-3の2 ア 認定事項3-3 甲3の【図1】において、幅調整部材(60)及び主部材(50)のそれぞれに対して、上下方向のハッチングと左右方向のハッチングを追加した図を示す。 [図:0001433050000007.jpg] 上記の図を踏まえると、甲3の【図1】の記載から、以下の事項が示されているといえる。なお、追加した上下方向のハッチングと左右方向のハッチングを併記した(以下同じ)。 「主部材(50)は、 壁(A)の開口部内に設けられて取り付けられる壁(A)の端部の端面を覆う第1の部分(上下方向のハッチング)と、 第1の部分(上下方向のハッチング)における幅調整部材(60)の反対側に設けられ、第1の部分(上下方向のハッチング)における幅調整部材(60)の反対側と第1の部分(上下方向のハッチング)が取り付けられる壁(A)の端部における主部材(50)側の面とを覆う第2の部分(左右方向のハッチング)とを有し、 幅調整部材(60)は、 壁(A)の開口部内に設けられて取り付けられる壁(A)の端部の端面を覆う第3の部分(上下方向のハッチング)と、 第3の部分(上下方向のハッチング)における主部材(50)の反対側に設けられ、第3の部分(上下方向のハッチング)における主部材(50)の反対側と第3の部分(上下方向のハッチング)が取り付けられる壁(A)の端部における幅調整部材(60)側の面とを覆う第4の部分(左右方向のハッチング)とを有すること。」(以下「認定事項3-3」という。) イ 認定事項3-3の2 上記の図を踏まえると、甲3の【図1】の記載から、以下の事項が示されているといえる。なお、追加した上下方向のハッチングと左右方向のハッチングを併記した。 「主部材(50)は、第1の部分(上下方向のハッチング)の内面が開き戸用の開口部を閉鎖する位置にある開き戸と対向する位置に設けられること。」(以下「認定事項3-3の2」という。) (10)認定事項3-4 甲3の【図8】の記載及び技術常識から、以下の事項が示されているといえる。 「2つの竪枠の枠材及び横枠の枠材は、2つの竪枠の枠材の上端部が横枠の枠材に連結されること。」(以下「認定事項3-4」という。) (11)認定事項3-5 甲3の【図1】の記載から、以下の事項が示されているといえる。 「凸部(52)は、主部材(50)の第1の部分(上下方向のハッチング)と一体に形成されていること。」(以下「認定事項3-5」という。) (12)甲3記載技術事項 以上のことから、甲3には、次の技術事項(以下「甲3記載技術事項」という。)が記載されていると認められる。なお、引用箇所の段落番号等を併記し、また、本件発明特定事項A等に概ね対応させたa等を含む符号を付した。 「a 上下方向及び左右方向に延びる壁の開口部に設置される、開き戸用の開口部に使用される枠であって(【0001】、認定事項3-1)、 b,c 壁の開口部の左端及び右端を区画する壁の端部に取り付けられる2つの竪枠の枠材と、 壁の開口部の上端を区画する壁の端部に取り付けられる横枠の枠材とを備え(認定事項3-2)、 d,e1ア,e2ア 枠材は、開口部の壁の厚みに対応して、幅方向に互いに摺動可能に分離した主部材と幅調整部材の2部材からなり(【0010】)、 e1イ,e2イ,e7 主部材(50)には、幅調整部材(60)とは反対側の縁に、開口部の壁(A)に係合するように裏面側に突条(51)を形成し、突条(51)以外の主部材(50)の裏面側は平面を形成し、幅調整部材(60)寄りの表面側に、戸当たり用の3~5mm程度の高さの凸部(52)を形成し、幅調整部材(60)側の縁に、幅調整部材(60)が幅方向に摺動可能に出入りする凹部として切り欠き(53)を形成し(【0013】)、 幅調整部材(60)には、主部材(50)とは反対側の縁に、開口部の壁(A)に係合するように裏面側に第2突条(61)を形成し、主部材側の縁に、主部材の切り欠き(53)に挿入して適合可能な挿入部材(62)を形成し、挿入部材(62)の裏面側は開口部の壁(A)に沿って摺動可能に平面になっており(【0014】)、 e1ウ,e2ウ 主部材(50)は、 壁(A)の開口部内に設けられて取り付けられる壁(A)の端部の端面を覆う第1の部分と、 第1の部分における幅調整部材(60)の反対側に設けられ、第1の部分における幅調整部材(60)の反対側と第1の部分が取り付けられる壁(A)の端部における主部材(50)側の面とを覆う第2の部分とを有し、 幅調整部材(60)は、 壁(A)の開口部内に設けられて取り付けられる壁(A)の端部の端面を覆う第3の部分と、 第3の部分における主部材(50)の反対側に設けられ、第3の部分における主部材(50)の反対側と第3の部分が取り付けられる壁(A)の端部における幅調整部材(60)側の面とを覆う第4の部分とを有し(認定事項3-3)、 e9 主部材(50)は、第1の部分の内面が開き戸用の開口部を閉鎖する位置にある開き戸と対向する位置に設けられ(認定事項3-3の2)、 f,g 2つの竪枠の枠材及び横枠の枠材は、2つの竪枠の枠材の上端部が横枠の枠材に連結され(認定事項3-4)、 e8 凸部(52)は、主部材(50)の第1の部分と一体に形成されている(認定事項3-5)、 h 開き戸用の開口部に使用される枠(【0001】)。」 第6 当審の判断 1 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 当審は、令和6年11月1日付けの訂正の請求により訂正された請求項3に係る特許に対して、取消理由(決定の予告)を通知した。 しかしながら、本件訂正請求により請求項3は削除され、当審が通知した取消理由は解消した。 2 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について (1)本件特許発明1 ア 対比 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 (ア) 本件発明特定事項Aについて 甲1発明の「住宅等の壁(12)」、「開口部(14)」、「扉(16)」、は、それぞれ、本件特許発明1の「上下方向及び左右方向に延びる壁」、「開口」、「建具」に相当する。 また、甲1発明では、「開口部(14)には、扉(16)が開閉自在に取り付けられる」ところ、「枠材(10)」は、「住宅等の壁(12)に設けられた開口部(14)の内面(14a)に設けられるものであ」るから、甲1発明の「枠材(10)」は、本件特許発明1の「上下方向及び左右方向に延びる壁の開口に設置される建具の建具枠」になるものである。 よって、甲1発明は、本件発明特定事項Aに相当する構成を含む。 (イ) 本件発明特定事項D、E1、E2について 甲1発明には、「壁(12)の一方面(第1壁板(18a))」と「壁(12)の他方面(第2壁板(18b))」とがあり、これらの面は前後の面であることは技術常識から明らかであるところ、「壁(12)の一方面(第1壁板(18a))」を前面と、「壁(12)の他方面(第2壁板(18b))」を後面とすれば、甲1発明の「第1分割片(30)」、「壁(12)の一方面(第1壁板(18a))に係止される第1係止部(34a)」は、それぞれ、本件特許発明1の「上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う前枠部」、「上記前枠部の前側に設けられ、上記前枠部の前側と上記前枠部が取り付けられる上記壁の端部の前面とを覆う第1見切部」に相当する。さらに、甲1発明の「第2分割片(32)」、「壁(12)の他方面(第2壁板(18b))に係止される第2係止部(34b)」は、それぞれ、本件特許発明1の「上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う後枠部」、「上記後枠部の後側に設けられ、上記後枠部の後側と上記後枠部が取り付けられる上記壁の端部の後面とを覆う第2見切部」に相当する。 また、甲1発明では、「第1分割片(30)の幅方向一方端部、すなわち本体部(28)の幅方向一方端部には、第1分割片(30)の背面から垂直に延びて、壁(12)の一方面(第1壁板(18a))に係止される第1係止部(34a)が形成され」るから、甲1発明の「第1分割片(30)」及び「第1係止部(34a)」は、本件特許発明1の「前側部材」に相当する。 また、甲1発明では、「第2分割片(32)の幅方向一方端部、すなわち本体部(28)の幅方向他方端部には、第1分割片(30)の背面から垂直に延びて、壁(12)の他方面(第2壁板(18b))に係止される第2係止部(34b)が形成され」るから、甲1発明の「第2分割片(32)」及び「第2係止部(34b)」は、本件特許発明1の「該前側部材の後側に設けられる後側部材」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明特定事項E1、E2に相当する構成を含む。 また、甲1発明では、「枠材(10)は、枠本体(22)……を含み、枠本体(22)は、開口部(14)の内面(14a)を覆う本体部(28)を含み、本体部(28)は、幅方向において第1分割片(30)と第2分割片(32)とに分割された構造を有」するから、甲1発明は、枠材が「前側部材と該前側部材の後側に設けられる後側部材とからな」る点で、本件特許発明1と共通する。 (ウ) 本件発明特定事項E3、E4について 甲1発明では、「第2係止部(34b)を本体部(28)の幅方向へ延びる長さ調整片(56a)と壁(12)の壁面に係止される係止片(56b)とによって構成し、本体部(28)の幅方向端部には、溝(58)を形成し、長さ調整片(56a)を溝(58)に必要長さだけ挿入して接着」するから、甲1発明の「第2係止部(34b)」は、「第2分割片(32)」と別体に形成されるといえる。 一方、甲1発明では、「第1係止部(34a)」は「第2係止部(34b)」のように構成されていないから、甲1発明の「第1係止部(34a)」は、「第1分割片(30)」と一体に形成されるといえる。 よって、甲1発明は、本件発明特定事項E3、E4に相当する構成を含む。 (エ) 本件発明特定事項E5について 甲1発明では、「固定部材(26)としてのネジは、第2分割片(32)の端部を第1分割片(30)の端部に取り付け、第1分割片(30)の端部を柱(20)に取り付け」る。 よって、甲1発明は、本件発明特定事項E5に相当する構成を含む。 (オ) 本件発明特定事項Hについて 上記(ア)を踏まえると、甲1発明の「枠材(10)」は、本件特許発明1の「建具枠」に相当する。 よって、甲1発明は、本件発明特定事項Hに相当する構成を含む。 (カ) 一致点・相違点 以上のことから、本件特許発明1と甲1発明とは、 「A 上下方向及び左右方向に延びる壁の開口に設置される建具の建具枠であって、 D’枠材は、前側部材と該前側部材の後側に設けられる後側部材とからなり、 E1 上記前側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う前枠部と、 上記前枠部の前側に設けられ、上記前枠部の前側と上記前枠部が取り付けられる上記壁の端部の前面とを覆う第1見切部とを有し、 E2 上記後側部材は、 上記開口内に設けられて取り付けられる上記壁の端部の端面を覆う後枠部と、 上記後枠部の後側に設けられ、上記後枠部の後側と上記後枠部が取り付けられる上記壁の端部の後面とを覆う第2見切部とを有し、 E3 上記第1見切部は、上記前枠部と一体に形成され、 E4 上記第2見切部は、上記後枠部と別体に形成され、 E5 上記後枠部は、ビスによって上記前枠部の端部に取り付けられる H 建具枠。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-1(本件発明特定事項B、C、D、E)> 本件特許発明1では、本件発明特定事項B、Cで、「上記開口の左端及び右端を区画する上記壁の端部に取り付けられる2つの縦枠材と、上記開口の上端を区画する上記壁の端部に取り付けられる横枠材とを備え」ることを特定し、本件発明特定事項Dで、「上記2つの縦枠材及び上記横枠材」の「それぞれ」について、枠材が前側部材と該前側部材の後側に設けられる後側部材とからなることを特定し、本件発明特定事項Eによって、「上記2つの縦枠材及び上記横枠材」の「それぞれ」について、本件発明特定事項E1、E2、E3、E4、E5、E6の構成を特定しているのに対して、 甲1発明はそれらのことが明らかでない点。 <相違点1-2(本件発明特定事項F、G)> 本件特許発明1では、「上記2つの縦枠材の上記前枠部及び上記横枠材の上記前枠部は、上記2つの縦枠材の上記前枠部の上端部が上記横枠材の上記前枠部によって連結され、上記2つの縦枠材の上記後枠部及び上記横枠材の上記後枠部は、上記2つの縦枠材の上記後枠部の上端部が上記横枠材の上記後枠部によって連結され」るのに対して、 甲1発明はそのように構成されていない点。 <相違点1-3(本件発明特定事項E6)> 本件特許発明1と甲1発明とは、「上記後枠部は、ビスによって上記前枠部又は上記壁の端部に取り付けられ」る点で共通するものの、 本件特許発明1では、「上記ビスは、頭部が上記第2見切部によって覆われる位置に打ち込まれている」のに対して、 甲1発明はそのように構成されていない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点1-3から検討する。 甲2記載技術事項の開口枠は、甲1発明のような別体型ではなく一体型であるから、甲1発明に適用する動機があるとはいえない。 よって、甲2に記載された事項に基づいて甲1発明における「第1分割片(30)」と「第2分割片(32)」をそれぞれ別の固定具で柱などに固定することが当業者が容易に想到できたということはできない。 また、甲1発明では、「固定部材(26)としてのネジは、第2分割片(32)の端部を第1分割片(30)の端部に取り付け、第1分割片(30)の端部を柱(20)に取り付け」るものであり、かつ、「薄肉部(36)と薄肉部(38)との重なり合った部分に戸当たり部材(24)を配置するようにしているので、薄肉部(36),薄肉部(38)および戸当たり部材(24)を一本の固定部材(26)で貫いて開口部(14)の内面(14a)に固定することができ、したがって、第1係止部(34a)と第2係止部(34b)との間隔を固定する作業と、枠材(10)を開口部(14)の内面(14a)に固定する作業とを一工程で行うことができ」るから、「第1分割片(30)」と「第2分割片(32)」をそれぞれ別の固定具で柱などに固定する動機付けがあるということもできない。 また、相違点1-3に関して甲3記載技術事項を検討しても、甲3記載技術事項は本件特許発明1の相違点1-3に係る構成を有しない。 よって、甲1発明に対して、甲2記載技術事項又は甲3記載技術事項を適用して、本件特許発明1の相違点1-3に係る構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 ウ 申立人の主張についての見解 申立人は、甲1の第2分割片32とは別体に第2係止部34bが設けられる構成において、第1分割片30と第2分割片32をそれぞれ別の固定具で柱14などに固定することも一つの取付形態として当業界において周知慣用されており、且つ、ネジや釘などの固定具の頭部を他の部材で隠すことによって美観を損ねないようにすることも当業界における冗長的ないし慣用的手段であることを考慮すれば、第2分割片32を固定する固定具の頭部を、これとは別体である第2係止部32で隠すようにすることも、当業者には容易に想到し得た事項であるとして、甲2を提出した。 しかしながら、上記イに示したことのほか、申立人が主張する周知慣用技術を認める証拠もない。 よって、申立人の主張は、上記イの判断を左右するものでなく、採用できない。 エ 小括 よって、相違点1-1及び1-2を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2記載技術事項、及び甲3記載技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2及び4 本件発明2及び4は、本件発明1を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、甲1発明、甲2記載技術事項、及び甲3記載技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項1~2、4に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件特許の請求項1~2、4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件特許の請求項3に係る特許に対する特許異議の申立ては、本件訂正請求により請求項3が削除されたことにより、特許異議の申立ての対象が存在しないものとなったため、却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700377

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    同じ当事者: 大建工業株式会社、脇谷 治義
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    同じ当事者: 大建工業株式会社、脇谷 治義
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    同じ当事者: 大建工業株式会社、脇谷 治義
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    同じ当事者: 大建工業株式会社
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