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特許異議申立

2024-700921

開閉装置用ガイドレールの固定構造

審判番号
2024-700921
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-139728
登録番号
7455703
請求日
2024年09月24日
審決日
2025年08月08日
公報発行日
2025年11月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三和シヤッター工業株式会社
  • 【権利者代理人】斉藤 達也
  • 【異議申立人】滝澤 榮夫
審判長/審判官
  • 審判長 有家 秀郎
  • 審判官 藤脇 沙絵
  • 審判官 土屋 真理子
分類
P1651.121-YAA(E06B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7455703号発明「開閉装置用ガイドレールの固定構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7455703号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第7455703号の請求項1~6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7455703号の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和2年8月21日に出願され、令和6年3月15日にその特許権の設定登録がされ、同月26日に特許掲載公報が発行された。 その後の経緯は、以下のとおりである。 令和6年 9月24日 特許異議申立人滝沢 榮夫(以下「申立人」 という。)による特許異議の申立て 同年11月 1日付け 手続補正指令書(方式) 同月14日 手続補正書(方式)の提出 令和7年 1月23日付け 取消理由通知 同年 3月28日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 6月26日 申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和7年3月28日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、特許第7455703号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものであって、その内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」との記載を追加すべく、特許請求の範囲の請求項1に、「・・・固定した、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。」と記載されていたのを、「・・・固定し、 前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分及び当該部分の近傍部分を覆うように設けられる前記第1燃え止まり部材と、 前記第1燃え止まり部材が外部に露出することを抑制するように設けられる第2燃え代部材と、を備える、 請求項1に記載の開閉装置用ガイドレールの固定構造。」と記載されているのを、請求項1を引用しない独立形式に改め、 「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレールであり、前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレールを、前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造であって、 前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分及び当該部分の近傍部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材と、 前記第1燃え止まり部材が外部に露出することを抑制するように設けられる第2燃え代部材と、を備え、 前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定した、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。」に訂正する。 (3)訂正の単位及び別の訂正単位とする求め ア 訂正の単位 訂正前の請求項1~6について、請求項2~6はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 イ 別の訂正単位とする求め 訂正後の請求項2と、訂正後の請求項2の記載を引用する訂正後の請求項3~6とについては、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。 2 訂正の適否の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1において、「開閉装置用ガイドレールの固定構造」が備える「第1燃え止まり部材」が、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる」と特定されていたところ、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた、」との記載を付加することにより、「第1燃え止まり部材」を「前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものに特定して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無について (ア)本件特許の願書に添付した図面(以下、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」といい、特許請求の範囲、図面とあわせて「本件明細書等」という。)のうち図2には、以下の図が示されている。 [図:0001429006000001.jpg] また、本件明細書段落【0033】には「ガイドレール20は、・・・ガイドレール本体21、接続部22、及び補強部23を備えている。」と記載され、段落【0027】には「図2のY方向を開閉装置の前後方向(+Y方向を開閉装置の前方向(部屋の室外側の方向)・・・と称する。)」と記載され、段落【0039】には「この第1燃え代部材6は、・・・支持部材5の外表面全体を略覆うように配置されており、」と記載され、段落【0054】、【0055】には「この第1燃え止まり部材51は、・・・第1燃え代部材6の外表面のうち少なくともガイドレール20に対応する部分を覆うように設けられている。具体的には、図2に示すように、第1燃え代部材6における部屋の室外側の面全体にわたって設けられており、固定具又は/及び接着剤等によって支持部材5又は第1燃え代部材6に対して固定されている。」と記載されている。 よって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。 (イ)申立人は、令和7年6月26日提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)において、訂正事項1の「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」とは、「第1燃え止まり部材の左右方向の幅が、第1燃え代部材の左右方向一端縁から他端縁までの左右幅に一致することなく、「第1燃え止まり部材」が、第1燃え代部材の左右方向一端縁から他端縁までにわたる面の部分を超えて第1燃え代部材を覆う態様も包含すると解されるが、そのような「第1燃え止まり部材」の配設態様は、本件明細書等には記載されていないため、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるということはできない旨主張する。 (3-3(1)ウ(イ)、(ウ)) しかし、訂正が、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとき、当該訂正は「本件明細書等に記載した事項の範囲内において」するものということができるものであり、訂正後の記載に形式上包含され得る仮想上の態様の一部が、本件明細書等に直接記載されていないからといって本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正ではないというものではない。 よって、申立人の主張を採用することはできない。 ウ 特許請求の範囲の拡張、変更について 訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおり、訂正前の発明特定事項について限定を加えて特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しない独立形式の請求項としたものであるから、特許法120条の5第2項ただし書4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲を拡張、変更について 上記アのとおり、訂正事項2に係る訂正は、請求項間の引用関係を解消したものであって、実質的な内容を変更するものではないから、訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (3)一群の請求項及び別の訂正単位とする求め ア 一群の請求項について 訂正前の請求項1、4~6について、請求項4~6は、直接または間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1、4~6に対応する訂正後の請求項1、4~6は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 訂正前の請求項2~6について、請求項3~6は、直接または間接的に請求項2を引用するものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項2~6に対応する訂正後の請求項2~6は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 そして、共通する請求項4~6を有するこれら「一群の請求項」は、組み合わされて、請求項1~6が1つの「一群の請求項」になる。 よって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、一群の請求項である。 イ 別の訂正単位とする求めについて 特許権者は、訂正後の請求項2と、請求項2を引用する請求項3~6について、訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めているが、上記のとおり、訂正後の請求項1~6は一群の請求項であるから、訂正後の請求項2と、請求項2を引用する請求項3~6を別の訂正単位とすることはできない。 (4)まとめ 以上のとおり、訂正事項に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び4号に掲げる事項を目的とし、同条9項により準用する同法第126条5項及び6項の規定に適合する。 よって、訂正後の請求項〔1-6〕について、本件訂正を認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1~6に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 【請求項1】 建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレールであり、前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレールを、前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造であって、 前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え、 前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定し、 前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。 【請求項2】 建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレールであり、前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレールを、前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造であって、 前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分及び当該部分の近傍部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材と、 前記第1燃え止まり部材が外部に露出することを抑制するように設けられる第2燃え代部材と、を備え、 前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定した、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。 【請求項3】 前記第1燃え代部材と前記第2燃え代部材とを、同一の材質で形成した、 請求項2に記載の開閉装置用ガイドレールの固定構造。 【請求項4】 少なくとも前記ガイドレールの外表面のうち前記第1燃え代部材に対応する部分以外の他の部分を覆うように設けられる第2燃え止まり部材又は第3燃え代部材の少なくともいずれか一方を備える、 請求項1から3のいずれか一項に記載の開閉装置用ガイドレールの固定構造。 【請求項5】 前記第2燃え止まり部材と、 前記第2燃え止まり部材が外部に露出することを抑制するように設けられる前記第3燃え代部材と、を備える、 請求項4に記載の開閉装置用ガイドレールの固定構造。 【請求項6】 前記第1燃え代部材と前記第3燃え代部材とを、同一の材質で形成した、 請求項5に記載の開閉装置用ガイドレールの固定構造。 第4 特許異議申立理由及び先の取消理由通知に記載した取消理由の概要及び証拠 1 特許異議申立理由の概要 申立人が、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~6に対して申し立てた特許異議申立理由の概要は以下のとおりである。 (1)甲第1号証を主たる証拠とした進歩性欠如 ア 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第5~8号証に示される周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件特許の請求項2、3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第5~8号証に示される周知技術及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 本件特許の請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第5~8号証に示される周知技術、甲第3号証に示される周知技術及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 本件特許の請求項5、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、甲第5~8号証に示される周知技術、甲第3号証に示される周知技術及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)甲第2号証を主たる証拠とした進歩性欠如 ア 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、甲第5~8号証に示される周知技術及び技術常識(甲第11号証、甲第12号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件特許の請求項2、3に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、甲第9号証に記載された技術事項、甲第5~8号証に示される周知技術及び技術常識(甲第11号証、甲第12号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 本件特許の請求項4に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、甲第5~8号証に示される周知技術、甲第3号証に示される周知技術及び技術常識(甲第11号証、甲第12号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 本件特許の請求項5、6に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、甲第5~8号証に示される周知技術、甲第3号証に示される周知技術、技術常識(甲第11号証、甲第12号証)及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)甲第3号証を主たる証拠とした進歩性欠如 ア 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、甲第5号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術に基づいて、あるいは、甲第3号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件特許の請求項2、3に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術事項、甲第5~8号証に示される周知技術及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 本件特許の請求項4に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、甲第5号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術に基づいて、あるいは、甲第3号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 本件特許の請求項5、6に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、甲第5号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて、あるいは、甲第3号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)甲第4号証を主たる証拠とした進歩性欠如 ア 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第4号証に記載された発明、甲第5号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術に基づいて、あるいは、甲第4号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件特許の請求項2、3に係る発明は、甲第4号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術事項、甲第5~8号証に示される周知技術及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 本件特許の請求項4に係る発明は、甲第4号証に記載された発明、甲第5号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術に基づいて、あるいは、甲第4号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術事項及び甲第5~8号証に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 本件特許の請求項5、6に係る発明は、甲第4号証に記載された発明、甲第3号証に記載された技術事項、甲第5号証に記載された技術事項、甲第5~8号証に示される周知技術及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて、あるいは、甲第4号証に記載された発明、甲第1号証に記載された技術事項、甲第3号証に記載された技術事項、甲第5~8号証に示される周知技術及び甲第9、10号証に示される慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)申立人により提出された証拠 甲第1号証:特開2009-2104号公報 甲第2号証:特開2013-68059号公報 甲第3号証:特開2013-53418号公報 甲第4号証:特開2001-271566号公報 甲第5号証:特開2012-225130号公報 甲第6号証:特開2018-12958号公報 甲第7号証:国土交通省大臣官房官庁営繕部、「官庁施設における木造耐火建築物の整備指針」、平成25年3月29日、30頁 URL https://www.mlit.go.jp/common/000993924.pdf 甲第8号証:大成建設株式会社、「集成材と鋼管柱を一体化したハイブリッド耐火柱「T-WOOD○RTAIKA」を開発」、2018年12月13日 (当審注 ○Rは登録商標マークを表す。以下同様。)URL https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2018/181213_4540.html 甲第9号証:一般社団法人 木のいえ一番振興協会、「建築物における木材の現わし使用の手引き ~年毎に味わい深まる建築物を目指して~」、平成28年3月、41~44頁 URL https://www.kinoie-1ban.or.jp/documents/pdf-action1_1.pdf 甲第10号証:「特集“木質耐火部材”を知る CLTを被覆に用いた2時間耐火構造部材を開発 -住友林業株式会社」、建材マンスリー 令和2年7月1日 No.657、6頁 甲第11号証:「建設省告示第千三百六十二号 ○木造建築物等の外壁の延焼のおそれのある部分の構造方法を定める件」、平成12年5月24日、URL https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201703/00006453.pdf 甲第12号証:財団法人 日本住宅・木材技術センター編、「これからの木造住宅6 防火計画の手引き」、平成10年11月30日、66~67頁 2 取消理由の概要 当審において令和7年1月23日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 理由1.(新規性)本件特許の請求項1に係る発明は、甲第5号証に記載された発明であるから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 理由2.(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、甲第5号証に記載された発明に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 本件特許の請求項1、4~6に係る発明は、甲第5号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第5 甲各号証の記載 1 甲第1号証(特開2009-2104号公報) (1)甲第1号証の記載 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 ア「【0015】 本実施の形態に係るシャッターユニット10は、図1乃至図3に示すように、例えば室内外を連通する開口部30に設けられ、引き違い障子21を有するサッシ窓20と、開口を開閉するために昇降される昇降可能なシャッターカーテン12と、シャッターカーテン12の端部をガイドするための左右一対のガイドレール14と、ガイドレール14の上部に設けられたシャッターケース54と、シャッターケース54内に設けられシャッターカーテン12を昇降させるための昇降装置50と、を有している。 ・・・ 【0017】 本実施形態に係るシャッターユニット10が設けられる開口部30は、見付け方向において間隔を隔てて設けられた一対の縦枠材31と、一対の縦枠材31間に架け渡された開口部30の上材32と、一対の縦枠材31にそれぞれ隣接させて設けられ上材32を支持するための一対の上材受け34と、一対の上材受け34間に架け渡された窓台33と、を有している。ここで、縦枠材31と上材受け34とが縦材に相当する。また、一対の上材受け34は、縦枠材31と同様に見付け方向において間隔を隔てて設けられており、本実施形態では、一対の上材受け34の互いに対向する面34aが、見付け方向における開口部30の縁に相当する。 【0018】 また、縦枠材31及び上材受け34の室外側にパネル材36及び外壁材37が設けられ、室内側に室内側壁面材としての内装壁材56が設けられて、内部に間隙を有する壁部55が形成されている。 【0019】 サッシ窓20は、開口部30に取り付けられたサッシ枠22と、サッシ枠22内を開閉可能に設けられた引き違い障子21とを有している。 【0020】 サッシ枠22は、開口部30に上下方向に沿って設けられ左右に位置する縦枠材としての縦枠23と上下に位置する横枠27とを有している。ガイドレール14とサッシ枠22の縦枠23とが接合されて枠部材28を構成している。 ・・・ 【0024】 ガイドレール14は、開口部30に取り付けられたサッシ枠22を構成する左右の縦枠23に、固定部材(不図示)を介して取り付けられている。本実施形態のガイドレール14は、見付け方向における先端が、開口部30の中央側の内側端面39aとほぼ同じ位置になるように構成されているので、室内側からの景観が損なわれない。 【0025】 縦枠23は、縦枠材31及び上材受け34にねじにて固定されている。縦枠23は、図4に示すように、上下端に開口を有し、断面が矩形状の中空部24を備えた押出成形部材である。中空部24の室外側にはガイドレール14を固定するためのレール固定部25と、室内側には縦枠23を開口部30に固定するための躯体固定部26とを有している。 【0026】 縦枠23には、中空部24を形成し、室内側に臨む面を有する室内側壁部24aと室外側に臨む面を有する室外側壁部24bとに電力供給ケーブル53を室内側へ導入するための導入部としての導入孔24cが設けられている。導入孔24cは、電力供給ケーブル53の先端に設けられたコネクタ53bも挿通できるようにケーブル本体53aの径より十分大きく形成されている。このため、室内側の気密を確保すべく、図5に示すように電力供給ケーブル53が挿通された後の導入孔24cにおける開孔部分を塞ぐための閉塞部材としての閉塞板29が設けられている。 【0027】 躯体固定部26は、見付け方向に沿った壁部でなる第1壁部26aと、第1壁部26aと直交する壁部でなる第2壁部26bとを有し、第1壁部26aと直交するねじが貫通されて縦枠材31に螺合され、第2壁部26bと直交するねじが上材受け34に螺合されることにより縦枠23が開口部30に固定されている。 【0028】 第1壁部26aは、中空部24の室内側壁部24aと同一平面を形成するように見付け方向に延出されている。また、第1壁部26aは、縦枠材31との間に石膏ボード等のパネル材36を介して固定され、ねじは外壁材37により覆われて外部には露出しないように構成されている。」 イ 図1、図4(a) [図:0001429006000002.jpg] [図:0001429006000003.jpg] (2)甲1発明 甲第1号証には、ガイドレール14の固定構造に着目すると、シャッターカーテン12の端部をガイドするための左右一対のガイドレール14を開口部30に取り付けられたサッシ枠22を構成する左右の縦枠23に取り付け、縦枠23を、開口部30の有する縦枠材31及び上材受け34にねじにて固定することが記載されているといえるから、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明) 室内外を連通する開口部30に設けられ、引き違い障子21を有するサッシ窓20と、開口を開閉するために昇降される昇降可能なシャッターカーテン12と、シャッターカーテン12の端部をガイドするための左右一対のガイドレール14と、ガイドレール14の上部に設けられたシャッターケース54と、シャッターケース54内に設けられシャッターカーテン12を昇降させるための昇降装置50と、を有しているシャッターユニット10(【0015】)の、ガイドレール14の固定構造であって、 シャッターユニット10が設けられる開口部30は、一対の縦枠材31と、一対の縦枠材31間に架け渡された開口部30の上材32と、一対の縦枠材31にそれぞれ隣接させて設けられ上材32を支持するための一対の上材受け34と、一対の上材受け34間に架け渡された窓台33と、を有しており、(【0017】) 縦枠材31及び上材受け34の室外側に石膏ボード等のパネル材36及び外壁材37が設けられ、室内側に室内側壁面材としての内装壁材56が設けられて、内部に間隙を有する壁部55が形成されており、(【0018】、【0028】) サッシ窓20は、開口部30に取り付けられたサッシ枠22と、サッシ枠22内を開閉可能に設けられた引き違い障子21とを有しており、(【0019】) ガイドレール14は、開口部30に取り付けられたサッシ枠22を構成する左右の縦枠23に、固定部材を介して取り付けられており、(【0024】) 縦枠23は、ガイドレール14を固定するためのレール固定部25と、縦枠23を開口部30に固定するための躯体固定部26とを有しており、縦枠材31及び上材受け34にねじにて固定されている、(【0025】) ガイドレール14の固定構造。 2 甲第2号証(特開2013-68059号公報) (1)甲第2号証の記載 甲第2号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、防火対応の開口部建材に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、防犯意識の高まりから、建築物の開口部(窓など)の屋外側に取り付けるシャッターが普及している。このようなシャッターは、一般に、シャッタースラットと、ガイドレールとを備えており、上下に延びるガイドレールが開口部の左右に設けてあって、シャッタースラットの左右の端部がガイドレールに上下動自在に係合している。このガイドレールとシャッタースラットとの係合部分の構造は、図6に示すようなものである。ガイドレール101は、アルミ製のものであって、シャッターの内周側に向けて開口する略コ字形の溝114を有しており、溝114内には屋内外の壁面から延びる係合片164を設けてある。一方、シャッタースラット104の左右の端部には、先端が略T字形の耐風フック141を取り付けてあり、耐風フック141がガイドレール101の係合片164に係合して、上下動自在になっている。そして、ガイドレール101を補強するために、鋼板からなる略L字形の補強材102を溝内に設けてあり、補強材の見付片121はガイドレール101の屋外側の壁面111に当接し、見込片122はガイドレール101の見込方向に延びる壁面113(溝の底面)に当接している。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、このような構造のシャッターは防火性能が十分とはいえなかった。すなわち、ガイドレールはアルミ製であるから、火災時において炎にさらされると溶解し、耐風フックがガイドレールから抜けて、シャッタースラットが脱落してしまうおそれがあった。その際、鋼板の補強材は溶解しないものの、ガイドレールの溝内に配置されているので、ガイドレールを炎熱から保護することはできず、ガイドレールが溶解すれば補強材も脱落してしまう。 【0004】 本発明は、上記事情を鑑みたものであり、炎熱にさらされてもシャッタースラットが脱落しない開口部建材を提供することを目的とする。 ・・・ 【0010】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下において左右とは、図2における左右を示す。この開口部建材の第一実施形態は、建築物の開口部の屋外側に取り付けるシャッターである。図2~図4に示すように、開口部9の周囲の躯体10に、上枠7a、下枠7b及び左右の竪枠7cをネジ止めしてあり、上枠7aには箱形のケース7dを取り付けてあって、ケース7dの中にシャッタースラット4の巻取装置8を収めてある。そして、竪枠7cの前側にはガイド枠1をネジ止めしてある。シャッタースラット4は、ガイド枠1によって上下動自在にガイドされており、巻取装置8によって巻き取ると上昇し、繰り出すと下降する。そしてシャッタースラット4を閉鎖すると、その下端は下枠7bに当接する。」 イ 図2、図3 [図:0001429006000004.jpg] [図:0001429006000005.jpg] (2)甲2発明 甲第2号証には、シャッタースラット4が上下動自在にガイドされるガイド枠1を、竪枠7cを介して開口部9の周囲の躯体10に取り付けることが記載されているから、ガイド枠1の固定構造が記載されているといえ、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲2発明) 建築物の開口部の屋外側に取り付ける防火対応のシャッターのシャッタースラット4は、ガイド枠1によって上下動自在にガイドされており、開口部9の周囲の躯体10に、左右の竪枠7cをネジ止めしてあり、竪枠7cの前側にはガイド枠1をネジ止めしてある、ガイド枠1の固定構造。 3 甲第3号証(特開2013-53418号公報) (1)甲第3号証の記載 甲第3号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、シャッター用ガイドレールの防火構造に関する。」 イ 「【0021】 以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。 図1は本発明に係るシャッター用ガイドレールの防火構造を備えたシャッター装置全体の斜視図である。 本実施形態に係るシャッター用ガイドレールの防火構造は、例えばシャッターカーテン11を用いて建物開口部13を開閉するシャッター装置15に好適に用いることができる。シャッター装置15は、住宅の外壁17に設けられたサッシ窓19の外側に取り付けられる。建物開口部13の上方にはシャッター装置15の収納部21が取り付けられている。シャッターカーテン11は、アルミ製やスチール製のスラット23を複数連結した一般的なシャッターカーテン11の他、パネル材や樹脂製シート状のシャッターカーテン11とすることもできる。 【0022】 なお、シャッターカーテン11は、他の樹脂にて構成されるシート材や、ゴムシート材、織布や、樹脂製ネットスクリーン、金属製ネットスクリーン、シリカクロス、ガラスクロスなどを素材とする構成や、これら素材を複合や積層させた素材などとしてもよく、このシャッターカーテン11を構成する素材を、耐火性,防火性,防炎性を有する素材とすることができる。 【0023】 図2は図1に示したシャッター装置15におけるガイドレール25及びその固定部分の平断面図である。 シャッター用ガイドレールの防火構造は、ガイドレール25と、耐火材27と、化粧部材29と、を主要な構成部材として備える。ガイドレール25は、アルミ押出成形材よりなる。ガイドレール25は、建物躯体31に固定手段としての固定ネジ33により支持固定され、シャッターカーテン11の操出巻取方向に沿う両側縁35のそれぞれを案内する。本実施形態では、シャッターカーテン11を構成するスラット23の端部に延設された抜け止め部材39が、ガイドレール25内のスリット37に抜け止め規制され案内される。抜け止め部材39は、断面T字状の樹脂材よりなりスリット37に係合して抜け止めが行われる。 【0024】 図3は図2に示したガイドレール25、耐火材27、化粧部材29の分解斜視図である。 耐火材27は、耐熱・耐火性を備え、ガイドレール25の屋外側のシャッターカーテン11と平行な外正面41の全部又は一部と、外正面41に直交する外側面43の全部又は一部、及び少なくとも出隅部45を含む一部分とを覆って固定される。耐火材27は、断面L字形の硬質な板状の成形部材からなる。例えば塗膜のような吹き付け耐熱材や耐炎繊維からなる織布等と異なり、剛性を有する素材で施工が容易に行える。また、取り付けることによって、耐熱・耐火性能の向上以外に、ガイドレール25の強度も向上させることができ、すなわちガイドレール25の補強材となる。また、耐火材27を取扱性のよい単独部材で製作でき、施工性を高めることができる。 【0025】 本実施形態において、耐火材27は、鋼板47からなる。これにより、耐火材27の材料費を安価にできる。耐火材27は、帯状の鋼板47を長手方向に沿う略中央部分の折り曲げ部で折曲形成することで、出隅部45を覆うL字形の耐火材27が容易に製作可能となる。鋼板47の板厚は0.8~2mm程度が好適となる。なお、鋼板47は、板厚を大きくすることで耐熱・耐火性能を向上させることが可能であるが、板厚の増加は重量が増すこととなり、取扱性、取付施工性等を鑑み設定するものである。耐火材27は、ガイドレール25に沿う方向が、全通して連続であってもよいし、断続で複数で構成されてもよい。ガイドレール25と略同等の長さとなる全通しの耐火材27とすれば、補強として、より効果的である。また、図3に示すように、ガイドレール25の長手方向に複数に分割して製作する構成とすれば、製作性が容易となり、また施工を容易にできる。 【0026】 化粧部材29は、耐火材27の外側を覆って耐火材27とともにガイドレール25に固定される。化粧部材29は、アルミ押出成形材よりなり、連続形成することにより意匠性を保てるようにする。つまり、化粧部材29は、耐火材27の表面を覆うカバーとなる。それぞれの働きを考慮すると、耐火材27は略短冊状の成形品とし、化粧部材29は連続の一体成形品とすることが現実的となる。つまり、シャッター用ガイドレールの防火構造は、耐火性を有する耐火材27と、意匠性及び防錆性を有する化粧部材29との2層構造となる。」 (2)甲3発明 甲第3号証には、シャッター用ガイドレールに関し、ガイドレール25は建物躯体31に固定手段としての固定ネジ33により支持固定されることが記載されているから、ガイドレール25の固定構造が記載されているといえ、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲3発明) シャッターカーテン11を用いて建物開口部13を開閉するシャッター装置15に用いるシャッター用ガイドレールに関し、(【0021】) シャッター装置15は、住宅の外壁17に設けられたサッシ窓19の外側に取り付けられ、(【0021】) ガイドレール25は、建物躯体31に固定手段としての固定ネジ33により支持固定され、シャッターカーテン11の操出巻取方向に沿う両側縁35のそれぞれを案内する、(【0023】) ガイドレール25の固定構造。 4 甲第4号証(特開2001-271566号公報) (1)甲第4号証の記載 甲第4号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0006】本発明は、フェノールFRPが加工性、重量、強度の点で優れているとともに、耐火性、遮断熱性の点でも優れていることに着目してなされたものである。 【0007】本発明の目的は、加工性、重量、強度の点で優れ、耐火性、遮熱性の点でも優れている開閉体装置を提供するところにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明に係る開閉体装置は、構成部材の少なくとも一部がフェノールFRP製となっていることを特徴とするものである。」 イ 「【0042】図5~図7は本発明を車庫用シャッター装置に適用した実施形態を示し、図5はその車庫用シャッター装置10の全体正面図で、図6は図5のS6-S6線断面図、図7は図5のS7-S7線断面図である。車庫用シャッター10は、自動車出入口11の上部に配置されたシャッターケース12と、このシャッターケース12の内部に左右のブラケット13で回転自在に支持されて収納された巻取軸14と、この巻取軸14に上端が連結され、巻取軸14の正回転、逆回転で巻取軸14から繰り出され、巻き取られるシャッターカーテン15と、自動車出入り口11の左右縁部に沿って取り付けられ、シャッターカーテン15の上下動(開閉動)を案内するためのガイドレール16と、シャッターケース12の内部に配置され、巻取軸14を正回転、逆回転させるためのモーターを有する開閉機17と、車庫の壁18に配置され、開閉機17のモーターを駆動させるためのスイッチが収納されたスイッチケース19とを含んで構成されている。」 ウ 「【0044】また、図7に示すように、金属で形成されているガイドレール16における車庫の壁18から露出している外面にもフェノールFRP製のカバー22が被せられている。さらに、図面では示されていないが、金属で形成されているシャッターケース12の外部に露出する上面部、下面部、側面部等の外面にもフェノールFRP製のカバーが被せられ、図5で示す金属製のスイッチケース19のうちの外部に露出している蓋19Aの外面にもフェノールFRP製のカバーが被せられている。このため、スラット20の場合と同じく、フェノールFRP製カバーを表面部品とした場合には、このフェノールFRP製カバーが被せられているガイドレール16等が内部部品となるようになっている。 【0045】この実施形態によると、車庫の外部で火災が発生した場合、その外部に面しているそれぞれのスラット20の表表面によるシャッターカーテン15の外面や、ガイドレール16の外面、シャッターケース12の外面等にフェノールFRPによるカバーが設けられているため、フェノールFRPの優れた耐火性、遮熱性によって車庫用シャッター装置の構成部材が熱で変形するなどを防止できる。また、それぞれのスラット20の裏表面にもフェノールFRP製のカバー21が被せられているため、車庫の内部で火災が発生したときは、この火災の熱でスラット20の裏表面があぶられてスラット20が変形するのを防止できる。」 (2)甲4発明 上記(1)より、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲4発明) 自動車出入口11の上部に配置されたシャッターケース12と、このシャッターケース12の内部に収納された巻取軸14と、この巻取軸14に巻き取られるシャッターカーテン15と、シャッターカーテン15の上下動(開閉動)を案内するためのガイドレール16を含んで構成されている車庫用シャッター10の、ガイドレール16が、自動車出入り口11の左右縁部に沿って取り付けられる、取り付け構造。 5 甲第5号証(特開2012-225130号公報) (1)甲第5号証の記載 甲第5号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、柱や梁に固定部材を固定する固定構造に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、木造の柱や梁として、燃え止まり機能を備えた耐火構造部材が提案されている。例えば、特許文献1には、木材からなる荷重支持層と、荷重支持層の外側に設けられる燃え止まり層と、燃え止まり層の外側に設けられる燃え代層とを有する複合木質構造材が開示されている。 【0003】 このような耐火構造部材の柱において、例えば、柱を構成する燃え代層の外周面にスタッド等の固定部材を固定し、建物の部屋空間を区画する壁ボードをこの固定部材で支持する場合、火災時においては、燃え代層が燃焼してこの固定が取れてしまい、壁ボードを支持する機能を果たせなくなってしまう。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2008-2189号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は係る事実を考慮し、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、構造部材に固定部材を固定した状態を維持できることを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 請求項1に記載の発明は、荷重を支持する木製の柱心材と、前記柱心材の外周を取り囲む燃え止まり層と、前記燃え止まり層の外周を取り囲む木製の燃え代層とを備えた柱と、前記燃え代層又は前記柱心材の外周面に固定された固定部材と、前記固定部材又は前記固定部材に接する前記燃え代層に設けられた燃え止まり部材と、を有する固定構造である。 【0007】 請求項1に記載の発明では、燃え止まり部材が熱を吸収することにより、固定部材が固定される固定部分(燃え止まり部材が設けられた固定部材が接する燃え代層の部分、固定部材が接する燃え代層の部分に設けられた燃え止まり部材、又は燃え止まり部材が設けられた固定部材が接する柱心材の部分)の温度上昇を抑制し、この固定部分が着火温度に達して燃焼することを防ぐ。これにより、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、所定時間(例えば、1時間耐火の場合には、1時間)の間、構造部材としての柱を構成する燃え代層又は柱心材の外周面に固定部材を固定した状態を維持できる。」 イ 「【発明を実施するための形態】 【0016】 図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の第1の実施形態に係る固定構造について説明する。 【0017】 図1の斜視図に示すように、固定構造10は、柱12と、床版(不図示)上に略鉛直に立設された固定部材としてのスタッド14と、燃え止まり部材16とを有している。 【0018】 スタッド14には、対向して配置された壁ボード18、20が、釘やネジ等により固定されている。これにより、壁ボード18、20は、床スラブ(不図示)上に略鉛直な面を形成するようにスタッド14によって支持され、建物の部屋空間を防火区画する仕切り壁を構成している。 【0019】 スタッド14は、軽鉄製のC形鋼であり、壁ボード18、20は、繊維混入けい酸カルシウム、モルタル、セラミックファイバー、軽量気泡コンクリート等により形成されたボード、石膏ボード、強化石膏ボード、又は化粧板等からなる耐火ボードである。 【0020】 図2の平面断面図に示すように、柱12は、荷重を支持する木製の柱心材22と、柱心材22の外周を取り囲む燃え止まり層24と、燃え止まり層24の外周を取り囲む木製の燃え代層26とを備えている。燃え止まり層24は、吸熱性を有している。 【0021】 スタッド14は、固定手段としての釘28により、燃え代層26の外周面に固定されている。これによって、スタッド14は燃え代層26の外周面に密着している。なお、スタッド14は燃え代層26の外周面に接触していればよい。 【0022】 また、釘28は、略鉛直方向に対して複数設けられており、各釘28の先端部は、柱心材22に達している。これによって、スタッド14に作用する荷重を、荷重を支持する柱心材22へ確実に伝達することができる。すなわち、スタッド14は、柱12に確実に固定されている。 【0023】 スタッド14の内側には、スタッド14の長手方向に沿って、スタッド14の内周面に接触するように燃え止まり部材16が設けられている。燃え止まり部材16は、吸熱性を有している。 ・・・ 【0025】 本発明の第1の実施形態の固定構造10では、図2に示すように、火災時において、火炎が燃え代層26に着火し、燃え代層26が燃焼する。そして、燃焼した燃え代層26は炭化する。よって、柱12の外部から柱心材22への熱伝達と酸素供給とを炭化した燃え代層26が遮断し、燃え止まり層24が吸熱するので、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後における柱心材22の温度上昇を抑制することができる。これにより、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、所定時間(例えば、1時間耐火の場合には、1時間)の間、柱心材22を着火温度未満に抑え、柱心材22を燃焼させずに燃え止まらせて、構造体として機能させることができる。 【0026】 また、固定構造10では、燃え止まり部材16が熱を吸収することにより、スタッド14が固定される燃え代層26の固定部分30(燃え止まり部材16が設けられたスタッド14が接する燃え代層26の部分)の温度上昇を抑制し、この固定部分30が着火温度に達して燃焼することを防ぐことができる。これにより、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、所定時間(例えば、1時間耐火の場合には、1時間)の間、構造部材としての柱12(燃え代層26の外周面)にスタッド14を固定した状態を維持できる。 【0027】 また、図3(a)の平面断面図に示すような、燃え止まり部材16が設けられていないスタッド14を柱12に固定している固定構造32においては、燃え代層26が燃焼することにより、図3(b)の平面断面図に示すように、壁ボード18、20の端部(スタッド14)と柱12との間に隙間Sができてしまう。これにより、矢印34のように、防火区画を超えて隣接する区画に火炎や熱が進行してしまうので、壁ボード18、20が防火区画として機能しなくなってしまう。また、燃え代層26が燃焼することにより、柱12からスタッド14が取れてしまい、壁ボード18、20が倒れてしまったり、壁ボード18、20の端部(スタッド14)と柱12との間に隙間ができてしまったりする。 【0028】 これに対して固定構造10では、先に説明したように、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、所定時間の間、構造部材としての柱12にスタッド14を固定した状態を維持できるので、建物の部屋空間を防火区画する仕切り壁として壁ボード18、20を機能させることができる。」 ウ 「【0058】 また、第1~第3の実施形態では、固定部材をスタッド14とした例を示したが、固定部材は、柱や梁に固定されるさまざまな部材とすることができる。例えば、固定部材を、防火扉や防火シャッターの枠部材、スイッチボックス等の設備が取り付けられる下地材等としてもよい。 【0059】 図12、13の平面断面図には、固定部材を防火扉70の枠部材68とした例が示されている。図12では、燃え止まり部材16が枠部材68に設けられて一体化されている。また、図13では、枠部材68に接する燃え代層26の部分に燃え止まり部材16が設けられている。 【0060】 また、第1~第3の実施形態では、釘28によって、固定部材としてのスタッド14を柱12の燃え代層26、柱心材22や、梁44の燃え代層50、梁心材46の外周面に固定した例を示したが、他の方法で固定してもよい。例えば、ネジ、接着剤により固定してもよいし、燃え代層に形成した凹部に固定部材を挿入して固定してもよい。 ・・・ 【0062】 また、燃え止まり層24、48、及び燃え止まり部材16は、熱の吸収が可能な層又は部材であればよい。例えば、燃え止まり層24、48、及び燃え止まり部材16は、一般木材よりも熱容量が大きな材料、一般木材よりも断熱性が高い材料、又は一般木材よりも熱慣性が高い材料によって形成してもよいし、これらの材料と一般木材とを組み合わせて形成してもよい。 【0063】 一般木材よりも熱容量が大きな材料としては、モルタル、石材、ガラス、繊維補強セメント等の無機質材料、各種の金属材料などが挙げられる。一般木材よりも断熱性が高い材料としては、珪酸カルシウム板、ロックウール、グラスウールなどが挙げられる。一般木材よりも熱慣性が高い材料としては、セランガンバツ、ジャラ、ボンゴシ等の木材が挙げられる。」 エ 図12 [図:0001429006000006.jpg] オ 上記ウの「第1~第3の実施形態では、固定部材をスタッド14とした例を示したが、固定部材は、柱や梁に固定されるさまざまな部材とすることができる。例えば、固定部材を、防火扉や防火シャッターの枠部材、スイッチボックス等の設備が取り付けられる下地材等としてもよい」(【0058】)、「図12、13の平面断面図には、固定部材を防火扉70の枠部材68とした例が示されている。」(【0059】)との記載に鑑みると、上記エの図12における図番号(12、16、22、24、26、28等)が表す部材は、上記イの第1の実施形態の図番号のものと同様である。また、固定部材を、防火シャッターの枠部材とする場合においても、図12の防火扉の枠部材68と同様に柱12に固定できると理解できる。 そうすると、上記イ及びウの記載を踏まえると、上記エの図12からは、 燃え止まり部材16は、燃え代層26の外表面のうち枠部材68に対応する部分を覆い、 防火シャッターの枠部材68は、枠部材68、燃え止まり部材16及び燃え代層26を貫通し柱心材22に挿入される固定手段としての釘28によって柱心材22に固定されることが看取される。 (2)甲5発明 上記(1)において、特に固定部材を、防火扉や防火シャッターの枠部材とした例(上記ウ)に着目すると、甲第5号証には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲5発明) 柱や梁に固定部材を固定する固定構造であって、(【0001】) 柱12は、荷重を支持する木製の柱心材22と、柱心材22の外周を取り囲む燃え止まり層24と、燃え止まり層24の外周を取り囲む木製の燃え代層26とを備えており、(【0020】) 固定部材を、防火シャッターの枠部材68とする場合において、燃え止まり部材16が枠部材68に設けられて一体化されており、燃え止まり部材16は、燃え代層26の外表面のうち枠部材68に対応する部分を覆い、(【0058】、【0059】、図12等) 防火シャッターの枠部材68は、枠部材68、燃え止まり部材16及び燃え代層26を貫通し柱心材22に挿入される固定手段としての釘28によって柱心材22に固定され、(図12等) 燃え止まり層24及び燃え止まり部材16は、一般木材よりも断熱性が高い材料、又は一般木材よりも熱慣性が高い材料によって形成してもよく、一般木材よりも熱慣性が高い材料としては、セランガンバ、ジャラ、ボンゴシ等の木材が挙げられる、(【0062】、【0063】) 固定構造。 6 甲第6号証(特開2018-12958号公報) 甲第6号証には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、耐火性を有する木質の構造部材に関する。」 イ 「【0037】 例えば、木質構造部材は、荷重支持部としての木製の柱心材12と、この柱心材12の周囲に設けられた木製の燃え代層とのみを有して構成される2層構造の構造部材であってもよい。燃え代層は、柱心材12と同様の木材によって形成されている。 【0038】 この場合、火災が発生したときに燃え代層の外側から柱心材12への火炎や熱の進入を抑えて柱心材12の温度上昇を抑えることができる燃え代層の厚さ(例えば、40mm程度)を確保できれば、柱心材12と燃え代層とは、異なる材料によって形成してもよいし、同じ材料によって形成してもよい。 【0039】 また、例えば、柱部材は、荷重支持部としての木製の柱心材12と、この柱心材12の周囲に設けられた石膏ボードとを有して構成される構造部材であってもよいし、荷重支持部としての木製の柱心材12と、この柱心材12の周囲に設けられた石膏ボードと、この石膏ボードの周囲に設けられた熱発泡性材を有して構成される構造部材であってもよい。熱発泡性材は、熱が加えられることにより体積が大きくなって燃え止まり効果を発揮する材料である。さらに、例えば、これらの柱部材の周囲に、化粧合板や化粧ボード等の仕上げ材を設けるようにしてもよい。 【0040】 また、図8の平面図に示すように、荷重を支持する荷重支持部としての木製の柱心材12と、柱心材12の周囲に設けられた耐火層48を有して構成された柱部材46としてもよい。 【0041】 耐火層48は、柱心材12の周囲に設けられた燃え止まり層14と、燃え止まり層14の周囲に設けられた木製の燃え代層50とを有して構成されている。燃え代層50は、柱心材12と同様の木材によって形成されている。 【0042】 また、燃え止まり層14は、柱心材12の外周面と、燃え代層50の内周面との間に、耐火性を有する充填材としてのモルタルを流し込んで充填することにより形成されている。すなわち、燃え止まり層14は、耐火性を有する充填材により形成されている。 【0043】 柱部材46では、火災が発生したときに火炎が燃え代層50に着火し、燃え代層50が燃焼する。そして、燃焼した燃え代層50は炭化する。よって、燃え代層50の外側から柱心材12への熱伝達が、炭化した燃え代層50によって抑えられる。また、燃え代層50の外側から柱心材12への火炎や熱の進入が、燃え止まり層14によって抑えられる。これらにより、火災時及び火災終了後における柱心材12の温度上昇を抑えることができ、柱心材12を燃焼させずに燃え止まらせることができる。」 7 甲第7号証(官庁施設における木造耐火建築物の整備指針) 甲第7号証には、以下の事項が記載されている。 「 [図:0001429006000007.jpg] 」 8 甲第8号証(集成材と鋼管柱を一体化したハイブリッド耐火柱「T-WOOD○RTAIKA」を開発) 甲第8号証には、以下の事項が記載されている。 (1)「木材による鋼管柱の補剛効果、耐火性、意匠性を備えた柱部材を公共建築物に初適用 2018年12月13日 大成建設株式会社 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、集成材と鋼管柱を一体化し、木材の働きによる鋼管柱の強度、変形に対する補剛効果、耐火性および意匠性を備えたハイブリッド耐火柱「T-WOOD○R TAIKA」を開発し、この度、公共建築物に初適用しました。(当審注:○Rは登録商標マークを表す) 近年、低炭素社会の実現および国内林業の活性化や健全な森林育成のため、国産木材の利用が促進されています。2010年には「公共建築物等木材利用促進法」が施行され、住宅だけでなく事務所や教育施設、商業施設等の中・大規模建築物の木造化による木材利用にも期待が寄せられています。 しかし、これらの建築物に適用される従来型の木質耐火柱部材は、建物の荷重を支持する木製の芯材部をモルタルや石膏などの耐火被覆材(燃え止まり層)で囲み、表層を集成材などの木材で覆う構造となるため、同等の支持力を持つ鉄筋コンクリ―ト構造や鉄骨造の柱と比べて断面寸法が大きくなり、室内で利用可能な床面積が減少するといった課題がありました。 そこで当社は、木材を使用しながら鋼管柱単独構造と同等の荷重支持力を持ち、耐火性を確保できるハイブリッド耐火柱「T-WOOD○RTAIKA」を開発しました。この柱部材は、鋼管柱の外周に耐火被覆用のけい酸カルシウム板を配置し、さらにその周囲を鋼管柱の補剛効果、耐火性および仕上げ材の機能を兼ねた集成材で覆い一体化した構造になっています。(図-1参照) 「T-WOOD○RTAIKA」の特長は以下のとおりです。 (1)ハイブリッド耐火柱で用いる集成材は、鋼管柱を補剛し、鋼管柱の軸力に対する強度を約40%向上させることが可能です。そのため、鋼管単独の柱と比べ本耐火柱では、同じ外形寸法の鋼管柱を使用した場合、鋼管柱の厚さを薄くできます。また、柱部材の断面寸法を25%程度小さくすることができ、室内で利用可能な床面積の増加が見込めます。 (2)集成材は火災時には燃え代層として、また鋼管柱周囲のけい酸カルシウム板は火災時の燃え止まり層として燃焼を止め、各々の効果で鋼管柱の温度上昇を抑制します。 (3)集成材はそのまま仕上げ材として利用可能で、地元産の木材利用などにより地域産業の活性化をはじめ、国内林業の活性化や健全な森林育成にも貢献できます。 なお、本ハイブリッド耐火柱は、構造実験および耐火実験を経て安全性を確認の上、1時間耐火の大臣認定および日本建築センターの構造評定を取得し、現在建設中のさいたま市大宮区役所新庁舎に適用しました。木材による鋼管柱の補剛効果、耐火性および意匠性を備えたハイブリッド耐火柱部材の公共建築物への適用は業界初となります。(図-2参照) 今後、当社では、様々な用途・規模の建築物に本技術を積極的に適用し、国産木材の利用促進に貢献するとともに、木材利用 に対する発注者のニーズにも的確に応えてまいります。」 (2)図-1 [図:0001429006000008.jpg] 9 甲第9号証(建築物における木材の現わし使用の手引き ~年毎に味わい深まる建築物を目指して~) 甲第9号証には、以下の事項が記載されている。 (1)「第3章 現わし使用の木材の設計関連情報 既述のように現わし木材の経年劣化は、建物の内装よりも外装において急速に進行するので、ここでは外装に木材を現わし使用する際の設計関連情報を掲げる。 3.1 木材の現わし使用と防火規制 (1)はじめに 木材は可燃材料であるため、火災時に容易に燃焼し、建物が崩壊すると思われがちであるが、木材の炭化速度は約0.8mm/分で、厚い木材が燃え進むには、相当の時間が必要であり、火災時に建物の利用者が安全に避難する時間を確保できる。そのため、建築基準法で定める準防火性能・防火性能、準耐火性能などは無垢材で認められている。 耐火構造は鎮火性能が求められるので、ムク材だけでは対応が難しく、せっこうボードで覆うこと等が必要である。 主に内装材に求められる難燃材料・準不燃材料・不燃材料とするためには、燃焼を抑制するための薬剤処理が必要である。」(42頁1~16行) (2)「(3)木材での対応 木材を仕上げ材に使う場合は、告示の例示仕様を利用するか、例示仕様の上に板を張るか、大臣認定を利用することになる。 例示仕様に木材を張る場合は、木材の遮熱性が加わり、壁全体の遮熱が向上すると認められている。 大臣認定は、建材メーカーや団体が取得している。 i)外壁の例示仕様 ○1準防火構造(20 分)平成12 年建告1362 号(当審注:○数字は丸数字を表す。以下、同様。) ・屋外側土塗り壁に下見板、屋内側グラスウール75mm以上に木材4mm以上 ・その他、屋外側に木毛セメント版・石綿スレートなど、屋内側にせっこうボード9.5mm以上 ○2防火構造(30 分)平成12 年建告1359 号 ・屋外側に下見板12mm以上、土塗壁30mm以上(伝統的構法) ・その他、屋外側にモルタル20mm以上(木ずり)、屋内側にグラスウール75mm・木材4mm、または、せっこうボード9.5mm以上 ○3準耐火構造(45 分・60 分)平成12 年建告1358 号 ・屋外側にせっこうボードや木毛セメント版等+モルタルや石綿スレート、屋内側にせっこうボード *例示仕様+板張り(準防火性能20 分)の例 [図:0001429006000009.jpg] *例示仕様+板張り(防火性能30 分)の例 [図:0001429006000010.jpg] 」(44頁) 10 甲第10号証(CLTを被覆に用いた2時間耐火構造部材を開発 -住友林業株式会社) 甲第10号証には、以下の事項が記載されている。 「 [図:0001429006000011.jpg] 」 11 甲第11号証(○木造建築物等の外壁の延焼のおそれのある部分の構造方法を定める件) 甲第11号証には、以下の事項が記載されている。 (1)「○木造建築物等の外壁の延焼のおそれのある部分の構造方法を定める件 (平成十二年五月二十四日) (建設省告示第千三百六十二号)」(1枚目1~3行) (2)「建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二十三条の規定に基づき、木造建築物等の外壁の延焼のおそれのある部分の構造方法を次のように定める。 木造建築物等の外壁の延焼のおそれのある部分の構造方法を定める件 第一 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号。以下「令」という。)第百九条の七に掲げる技術的基準に適合する耐力壁である外壁の構造方法は、次の各号のいずれかに該当するものとする。 一 防火構造(耐力壁である外壁に係るものに限る。)とすること。 二 土塗真壁造で塗厚さが三十ミリメートル以上のもので、かつ、土塗壁と間柱及び桁との取合いの部分を、当該取合いの部分にちりじゃくりを設ける等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造(前号に掲げる構造を除く。)とすること。 三 次に定める防火被覆が設けられた構造(第一号に掲げる構造を除く。)とすること。 ただし、真壁造とする場合の柱及びはりの部分については、この限りでない。 イ 屋内側にあっては、厚さ九・五ミリメートル以上のせっこうボードを張るか、又は厚さ七十五ミリメートル以上のグラスウール若しくはロックウールを充填てんした上に厚さ四ミリメートル以上の合板、構造用パネル、パーティクルボード若しくは木材を張ったもの ロ 屋外側にあっては、次のいずれかに該当するもの (1) 土塗壁(裏返塗りをしないもの及び下見板を張ったものを含む。) (2) 下地を準不燃材料で造り、表面に亜鉛鉄板を張ったもの (3) せっこうボード又は木毛セメント板(準不燃材料であるもので、表面を防水処理したものに限る。)を表面に張ったもの (4) アルミニウム板張りペーパーハニカム芯(パネルハブ)パネル」 (1枚目8~30行) 12 甲第12号証(これからの木造住宅6 防火計画の手引き) 甲第12号証には、以下の事項が記載されている。 (1)図4.23(c)(66頁右上) [図:0001429006000012.jpg] (2)図4.24(66頁) [図:0001429006000013.jpg] (3)「4-6-3 45分準耐火構造の梁 45分準耐火構造の床と同仕様で防火被覆する.・・・また,建築基準法施行令第46条第2項第1号イ~ニに規定する軸組に関する構造耐力上必要な措置を施し,昭和62年建設省告示第1902,1901号に基づき3.5cmの燃え代設計を行った場合は防火被覆の必要はない(図4.23(c)).」 (66頁左欄下から11行~下から3行) (4)「4-7 開口部 4-7-1 普通木造の開口部 ・・・図4-25は常時閉鎖式防火戸の設置例である。」 (66頁右欄下から13行~最下行) (5)図4.25(67頁左上、マーカーは申立人が付与した。) [図:0001429006000014.jpg] 13 甲第5号証~甲第8号証に示される周知技術 (1)甲第5号証には、「背景技術」として、「木材からなる荷重支持層と、荷重支持層の外側に設けられる燃え止まり層と、燃え止まり層の外側に設けられる燃え代層とを有する複合木質構造材」が従来技術として示されている(【0002】)。 (2)甲第6号証には、「耐火性を有する木質の構造部材」(【0001】)として、「荷重支持部としての木製の柱心材12と、この柱心材12の周囲に設けられた木製の燃え代層とのみを有して構成される2層構造の構造部材」(【0037】)が示されている。 (3)甲第7号証には、「燃え止まり型建築物」について、「燃え止まり型建築物とは、構造耐力上主要な部分である心材(木材)を難燃処理木材、モルタル等で被覆することで燃え止まり層を形成し、所定の耐火性能を確保する工法を用いた建築物であり、さらに燃えしろとして機能する化粧用木材で被覆する場合がある。」ことが記載され、その「建築計画」について「(7)柱及びはりは、可能な限り現しとする。・・・」と記載されている。 (4)甲第8号証には、「従来型の木質耐火柱部材」が、「建物の荷重を支持する木製の芯材部をモルタルや石膏などの耐火被覆材(燃え止まり層)で囲み、表層を集成材などの木材で覆う構造」となること、及び、このような構造は、同等の支持力を持つ鉄筋コンクリート構造や鉄骨造の柱と比べて断面寸法が大きくなり、室内で利用可能な床面積が減少するといった課題が生じることが記載されている。 (5)甲第5~8号証から、以下の事項が周知技術であるといえる。 (周知技術) 建物躯体を構成し、荷重を支持する部材において、耐火、防火の目的のために、外表面が木質の燃え代部材で覆われた木質の芯材を支持部材として用いること。 第6 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由について(甲5発明を主引用発明とした新規性欠如または進歩性欠如) (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲5発明とを対比する。 (ア)甲5発明の「柱」及び「梁」は、本件発明1の「建物の躯体」に相当する。 (イ)甲5発明の「防火シャッター」は、本件発明1の「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置」に相当する。 (ウ)甲5発明の「防火シャッターの枠部材68」は、上記(イ)の対比を踏まえると、本件発明1の開閉装置を構成する「ガイドレール」ないし「開閉装置用ガイドレール」に相当する。「防火シャッターの枠部材」が、シャッターのスラットを「開閉方向に沿って移動するように案内する」ことは技術常識であり、甲5発明は、本件発明1の「前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレール」に相当する構成を備える。 (エ)甲5発明の「荷重を支持する木製の柱心材22と、柱心材22の外周を取り囲む燃え止まり層24と、燃え止まり層24の外周を取り囲む木製の燃え代層26とを備え」る「柱12」であって「燃え止まり層24」を「セランガンバツ、ジャラ、ボンゴシ等の木材」としたものは、上記(ア)の対比を踏まえると、本件発明1の「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」に相当する。 (オ)甲5発明の「燃え代層26の外表面のうち枠部材68に対応する部分を覆」う「燃え止まり部材16」は、本件発明1の「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材」に相当する。 (カ)甲5発明の「防火シャッターの枠部材68は、枠部材68、燃え止まり部材16及び燃え代層26を貫通し柱心材22に挿入される固定手段としての釘28によって柱心材22に固定され」る、「固定構造」は、本件発明1の「前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定」した「開閉装置用ガイドレールの固定構造」に相当する。 (キ)上記(ア)~(カ)より、本件発明1と甲5発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレールであり、前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレールを、前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造であって、 前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え、 前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定した、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。」 (相違点1) 「前記第1燃え止まり部材」が「前記第1燃え代部材の外表面」のうちのどの部分を覆うように設けられるかについて、本件発明1は、「当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆う」ように設けたものであるのに対し、甲5発明は、そのように特定されていない点。 イ 判断 (ア)新規性について 上記相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲第5号証に記載された発明ではない。 (イ)進歩性について 上記相違点1について検討する。 a 甲5発明は、「燃え止まり部材16が枠部材68に設けられて一体化され」たものである。 そして、甲第5号証は、段落【0007】に記載されるように、「燃え止まり部材が熱を吸収することにより、固定部材が固定される固定部分(燃え止まり部材が設けられた固定部材が接する燃え代層の部分、固定部材が接する燃え代層の部分に設けられた燃え止まり部材、又は燃え止まり部材が設けられた固定部材が接する柱心材の部分)の温度上昇を抑制し、この固定部分が着火温度に達して燃焼することを防」ぎ、「これにより、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、所定時間(例えば、1時間耐火の場合には、1時間)の間、構造部材としての柱を構成する燃え代層又は柱心材の外周面に固定部材を固定した状態を維持できる」ようにしたものであって、「枠部材68」に「一体化」して設けた「燃え止まり部材16」によって「所定時間の間、・・・固定部材を固定した状態を維持できる」ようにしたものであるから、下記ウにおいて示すように、木材等の容易に燃焼する部材の表面に対し燃焼抑制のために石膏ボード等をさらに設けることが周知技術ないし技術常識であるとしても、甲5発明の「燃え代層26の外表面のうち枠部材68に対応する部分を覆う」、「枠部材68に設けられて一体化され」た「燃え止まり部材16」を「柱12」側に移し、さらに「第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものとする動機付けはない。 b 甲5発明の「枠部材68に設けられて一体化され」た「燃え止まり部材16」を「柱12」側に移し、さらに「第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものとすることについて、申立人が提出した他の証拠の何れにも記載ないし示唆されておらず、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 ウ 申立人の主張 以下、申立人の主張について検討する。 申立人は、本件発明1は、甲5発明に基づいて、あるいは、甲5発明及び技術常識に基づいて容易想到である旨主張する。(意見書3 3-2(3)(3-1)ア、同3-3(3)(3-1)ア) (ア)甲5発明に基づいて容易想到とする主張 甲5発明の「燃え止まり部材16」は、「柱12」を構成する「燃え代層26」の外周面に「固定部材(防火シャッターの枠部材68)」を固定した状態を維持できるように配置されるものであるから、その配置は、少なくとも、「枠部材68」に対応する部分を含む「燃え代層26」の外表面に配置されるものと理解することができる。 甲5には、「燃え止まり部材16の設置範囲を「固定部材(防火シャッターの枠部材68)に対応する部分のみに限定するような記載はなく、むしろ、「火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、構造部材に固定部材を固定した状態を維持できること」(甲第5号証の段落【0005】)との課題に照らせば、火災からの保護効果を最大化するために、「柱12」のより広い範囲を覆うことが防火設計上の好ましい選択肢となり得ることも当業者には明らかである。 したがって、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ことは、当業者が、防火設計上、第1燃え代部材(燃え代層26)への燃焼の抑制度合い等をも考慮して設定した設計事項にすぎない。 (イ)甲5発明及び技術常識に基づいて容易想到とする主張 a 甲第12号証の「図4.24真壁防耐火木造の実火炎による炭化深さ」の図に示される炭化した層(炭化層)は、火災時に木製の梁の外表面を覆うことで、梁内部を保護する「燃え代部材(燃え代層)をなすことは明らかであるから、本件発明1の「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代都材で覆われた木製の支持部材」は、図4.24に示されるような、木造建物に使用されるごく普通の木製の梁(化粧梁)と同様の部材といえる。 なお、上記「炭化層」が「燃え代部材(燃え代層)」をなすことは、甲第12号証(66頁「4-6-3」の項の「・・・昭和62年建設省告示第1902,1901号に基づき3.5cmの燃え代設計を行なった場合は防火被覆の必要はない」との記載や、甲第6号証(【0037】の「木質構造部材は、荷重支持部としての木製の柱心材12と、この柱心材12の周囲に設けられた木製の燃え代層とのみを有して構成される2層構造の構造部材であってもよい。燃え代層は、柱心材12と同様の木材によって形成されている。」等の記載から明らかである。 そして、日本の建築基準法では、木造建築物等の外壁の延焼のおそれがある部分の構造方法として、防火構造(耐火構造、準耐火構造等)に構成すべきことを定めているところ(甲第11号証)、そのような防火構造の例として、甲第12号証には、「45分準防火構造の梁の防火被覆の例(図4.23(c))として、木製梁を強化石膏ボード(燃え止まり部材)で覆う例が示されている。つまり、同図に示すとおり、木製梁(燃え代部分を有することは自明)を燃え止まり層(強化石膏ボード)により防火被覆することで木製梁の燃焼を極力防ぎ、その構造耐力を確保することは、木造建物を構成する際の技術常識であり、法規に基づいた標準的な設計手法である。 b 甲第12号証の「図4.25常時閉鎖式防火戸の設置例」には、「木材(梁)」における、「屋外側」、「屋内側」、及び「防火戸」に面する側の「面全体」に対応する部分を「石膏ボード」や「ケイ酸カルシウム板」で覆うことが図示されている。そして、この構造は、「準防火地域」の延焼の恐れのある部分にある開口部に設置する防火戸の例であるから(甲12の66頁「4-7-1」の項参照)、甲第11号証の建設省告示で定める防火構造の要件を満たすための典型的な防火被覆の配設構造(つまり、「第一 三」の「イ 屋内側にあっては、厚さ九・五ミリメートル以上のせっこうボードを張る」、及び、「ロ 屋外側にあっては、次のいずれかに該当するもの・・・(3)せっこうボード・・・を表面に張ったもの」)ということができる。 つまり、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ことは、甲12の図4.25に例示されるような、準防火地域における木造開口部に開閉体(防火戸)を設置する際の防火被覆の配設態様ということができるものである。 c 甲5発明の課題は、「火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、構造部材に固定部材を固定した状態を維持できること」(【0005】)であるから、技術常識をも考慮した固定構造として構成する動機付けは十分存在する。 したがって、甲5発明の固定構造(図12参照)において、「柱」と「枠部材68」との間に配設される「燃え止まり部材」を、「枠部材68」に対応する部分を覆うように構成することに代えて、「枠部材68」が固定されている側の「柱12」の「面全体」を覆うように構成することは、上記技術常識を有する当業者にとって、格別困難なことではない。 エ 主張の検討 (ア)甲5発明に基づいて容易想到とする主張について 申立人は、「甲5には、「燃え止まり部材16」の設置範囲を防火シャッターの枠部材68に対応する部分のみに限定するような記載はなく、むしろ、「火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後において、構造部材に固定部材を固定した状態を維持できること」(甲第5号証の段落【0005】)との課題に照らせば、火災からの保護効果を最大化するために、「柱12」のより広い範囲を覆うことが防火設計上の好ましい選択肢となり得ることも当業者には明らかであるから、甲5発明において相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、「第1燃え代部材(燃え代層26)への燃焼の抑制度合い等をも考慮して設定した設計事項にすぎない旨主張する。 しかし、上記イ(イ)において検討したように、甲5発明は、そもそも、「燃え止まり部材16」を「枠部材68」に「一体化」して設け、「固定部材が固定される固定部分の温度上昇を抑制し、この固定部分が着火温度に達して燃焼することを防」ぐことにより、所定時間の間、固定部材を固定した状態を維持できるようにしたものであるから、甲第5号証の課題に照らしたとしても、「枠部材68」に「一体化」して設けた「燃え止まり部材16」を「柱12」の側に設けるものとし、さらに、「柱12」のより広い範囲を覆うことが導き出されるものではなく、甲第5号証に基づいて「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものとすることが、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 (イ)甲5発明及び技術常識に基づいて容易想到とする主張について 先に検討したとおり、甲5発明は、そもそも、「燃え止まり部材16」を「枠部材68」に「一体化」して設けたものであって、「燃え止まり部材16」を「柱12」の側に設ける動機付けはない。そうすると、木製梁(燃え代部分を有することは自明)を燃え止まり層(強化石膏ボード)により防火被覆することで木製梁の燃焼を極力防ぎ、その構造耐力を確保することが、木造建物を構成する際の技術常識であるとしても、甲5発明の「前記第1燃え止まり部材」を、「前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものとする動機付けはない。 申立人は、木製梁(燃え代部分を有することは自明)を燃え止まり層(強化石膏ボード)により防火被覆することで木製梁の燃焼を極力防ぎ、その構造耐力を確保することは、木造建物を構成する際の技術常識であり、法規に基づいた標準的な設計手法であると主張するが、甲第12号証においても「・・・昭和62年建設省告示第1902,1901号に基づき3.5cmの燃え代設計を行なった場合は防火被覆の必要はない(図4.23(c))」と記載されるように、燃え代設計を行う場合には防火被覆を要しないのであって、燃え代設計を行った木製の支持部材に対して燃え代層を石膏ボード等によって防火被覆することは技術常識であるとも、法規に基づいた標準的な設計手法であるともいえない。甲第12号証の「図4.25」に示される常時閉鎖式防火戸の設置例も、木材が燃え代設計を行ったものであることが記載されているものではなく、燃え代部分を有することが自明ともいえず、甲5発明の、燃え代層を備える支持部材について、技術常識を示すものではない。 以上のとおりであるから、申立人が主張する甲第11号証、甲第12号証等をみても、甲5発明の、「枠部材68」に「一体化」して設けた「燃え止まり部材16」を、柱12側に移して設けるものとし、さらに「前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものとすることについて、何ら記載ないし示唆はなく、甲5発明及び技術常識に基づいて相違点1に係る本件発明1とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲5発明に基づいて、または、甲5発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2、3 本件発明2、3に対応する訂正前の請求項2、3に係る発明は、先の取消理由通知において甲5発明を主引用発明とした取消理由を通知したものではないが、本件発明4~6の進歩性を判断するのに先立ち、ここでその進歩性について検討する。 ア 対比 本件発明2と甲5発明とを対比する。 (ア)上記(1)ア(ア)~(カ)における本件発明1と甲5発明との対比は、本件発明2のうち本件発明1と共通する構成と甲5発明との対比においても同様である。 (イ)そうすると、本件発明2と甲5発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレールであり、前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレールを、前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造であって、 前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え、 前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定した、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。」 (相違点2) 本件発明2は、「第1燃え止まり部材」が、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分」に加え「当該部分の近傍部分を覆うように設けられ」るとともに、「前記第1燃え止まり部材が外部に露出することを抑制するように設けられる第2燃え代部材」を備えるのに対し、甲5発明は、そのように特定されていない点。 イ 判断 上記相違点2について検討する。 甲5発明の「燃え止まり部材16」は、「枠部材68」に設けられており、「柱12」の「燃え代層26」の表面のうち「枠部材68」が存在する範囲を超えて設けられるものではないから、甲5発明において、上記相違点2に係る構成のうち、ガイドレールに対応する部分に加えて「当該部分の近傍部分を覆うように設けられ」る構成とすることは、動機付けがない。また、申立人が提出した証拠の何れにも、上記相違点2に係る上記構成について記載ないし示唆されていない。したがって、上記相違点2に係る構成のうち、「第2燃え代部材」に関する構成について検討するまでもなく、甲5発明において相違点2に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 本件発明2を引用する本件発明3も、同様の理由により、進歩性を有する。 ウ 申立人の主張 申立人は、本件発明2及び3は、甲5発明、技術常識(甲11、甲12)及び慣用技術(甲9、甲10)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。(意見書3 3-3(3)(3-1)ウ) すなわち、「燃え止まり部材」による「防火被覆」は、建築基準法(建設省告示)の規定に基づいて施工される配設態様(技術常識)にすぎず(甲11、甲12)、また、そのような「防火被覆」の表面に、意匠性等をも考慮して木質系の部材(「燃え代部材」)を設けることは慣用技術(甲9の44頁、甲10の6頁参照)であるから、本件発明2の「前記第1燃え止まり部材が外部に露出することを抑制するように設けられる第2燃え代部材」を設けることは、当業者にとって格別困難なことではない旨主張する。 エ 主張の検討 しかし、上記(1)において本件発明1について検討したように、甲5発明は、そもそも、「燃え止まり部材16」を「枠部材68」に「一体化」して設け、「固定部材が固定される固定部分の温度上昇を抑制し、この固定部分が着火温度に達して燃焼することを防」ぐことにより、所定時間の間、固定部材を固定した状態を維持できるようにしたものであるから、甲第5号証の課題に照らしたとしても、「枠部材68」に「一体化」して設けた「燃え止まり部材16」を「柱12」の側に設けるものとし、さらに、「柱12」のより広い範囲を覆うことが導き出されるものではなく、甲第5号証に基づいて「当該部分」(前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分)の「近傍部分を覆うように設けられ」るものとすることが、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 また、「燃え止まり部材」による「防火被覆」が、建築基準法(建設省告 示)の規定に基づいて施工される配設態様(技術常識)にすぎないといえないことは、上記(1)エ(イ)において検討したとおりである。 そして、燃え止まり部材が外部に露出する場合について、その燃え止まり部材の表面に、意匠性等をも考慮して木質系の部材(「燃え代部材」)を設けることは、甲第9号証、甲第10号証に示される公知の技術であるとはいえるとしても、「燃え止まり部材」により覆う範囲を「外表面のうち枠部材68に対応する部分」の「近傍部分」までも含めることが容易になし得たことといえないのであるから、さらに「前記第1燃え止まり部材が外部に露出することを抑制するように設けられる第2燃え代部材」を設けることも、当業者が容易になし得たことではない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件発明2、3は、甲5発明、技術常識(甲11、甲12)及び慣用技術(甲9、甲10)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明4~6 本件発明4~6は、本件発明1または2を引用するものであり、本件発明1または2の構成を有し、さらに構成を付加したものである。 そして、上記(1)及び(2)に対比、判断したとおり、本件発明1及び2は、甲5発明に基づいて、または、甲5発明及び技術常識ないし慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえないから、本件発明4~6も、当業者が容易に発明できたものとはいえない。 2 取消理由通知で採用しなかった異議申立て理由について(甲1発明を主引用発明とした進歩性欠如) (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「室内外を連通する開口部30に設けられ」る「開口を開閉するために昇降される昇降可能なシャッターカーテン12」は、本件発明1の「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体」に相当する。 (イ)上記(ア)の対比を踏まえると、甲1発明の「シャッターカーテン12」と、「シャッターカーテン12の端部をガイドするための左右一対のガイドレール14と、ガイドレール14の上部に設けられたシャッターケース54と、シャッターケース54内に設けられシャッターカーテン12を昇降させるための昇降装置50」と、は、本件発明1の「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置」に相当し、そのうちの「シャッターカーテン12の端部をガイドするための左右一対のガイドレール14」は、本件発明1の「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレール」、「前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレール」及び「開閉装置用ガイドレール」に相当する。 (ウ)本件発明1の「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造」と、甲1発明の「ガイドレール14」を、「サッシ枠22を構成する左右の縦枠23」に「取り付け」、「縦枠23」は、「縦枠23を開口部30に固定するための躯体固定部26とを有しており、縦枠材31及び上材受け34にねじにて固定され」る「固定構造」とは、甲1発明の「躯体固定部26」によって取り付けられる「縦枠材31及び上材受け34」は「躯体を構成する部材」であるといえるから、「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材に対して固定するための固定構造」の点で共通する。 (エ)上記(ウ)の対比を踏まえると、本件発明1の「前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定」することと、甲1発明の「ガイドレール14」を、「縦枠23」を介して「縦枠材31及び上材受け34にねじにて固定」することとは、「前記躯体を構成する部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記躯体を構成する部材に対して固定」する点で共通する。 (オ)上記(ア)~(エ)より、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレールであり、前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレールを、前記躯体を構成する部材に対して固定するための固定構造であって、 前記躯体を構成する部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記躯体を構成する部材に対して固定した、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。 (相違点A1) 本件発明1は、ガイドレールを固定する部材が「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」であり、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」るのに対し、甲1発明は、「前記躯体を構成する部材」ではあるものの、当該部材は、具体的には「室外側に石膏ボード等のパネル材36及び外壁材37が設けられ」、「室内側に室内側壁面材としての内装壁材56が設けられ」る、「開口部30」の「縦枠材31及び上材受け34」であって、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」ではなく、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」ない点。 (相違点A2) 本件発明1は、固定具が「前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される」ものであり、この固定具によって「前記支持部材」に対して固定するのに対し、甲1発明は、ねじ(固定具)が、「縦枠23」の「躯体固定部26」において「縦枠材31及び上材受け34」に固定されるものである点。 (相違点A3) 本件発明1は、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」のに対し、甲1発明は、「第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」を備えないため、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものでもない点。 イ 判断 上記相違点A1について検討する。 甲1発明において、「前記躯体を構成する部材」である「開口部30」の「縦枠材31及び上材受け34」の素材は不明である。 また、建物躯体を構成する部材として、耐火、防火を目的として、外表面が木質の燃え代部材で覆われた木質の心材を支持部材として用いることが周知技術であるとしても、このような部材は、一般的には、甲第7号証にも示されるように燃え代部材として外表面を覆う部材は「化粧用木材」として機能することが期待されたものである。 そうすると、甲1発明における「前記躯体を構成する部材」である「開口部30」の「縦枠材31及び上材受け34」は、「木材」と特定されるものではなく、「耐火、防火」を目的とするかも不明であり、「室外側に石膏ボード等のパネル材36及び外壁材37が設けられ」、「室内側に室内側壁面材としての内装壁材56が設けられ」て壁内に配置されるものであるから、これを、周知技術の「外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」とし、さらに、その「第1燃え代部材の外表面」に「第1燃え止まり部材を備え」るものとする動機付けはない。 よって、相違点A1に係る本件発明1の構成は、周知技術を考慮しても、当業者が容易になし得たことではない。 ウ 申立人の主張 申立人は、意見書において、甲1発明の石膏ボードからなるパネル材36の配設態様は、建築基準法(建設省告示)の規定に基づいて施工される「燃え止まり部材」による「防火被覆」の配設態様ということができる旨主張する。 上記主張について検討する。 上記イにおいて検討したとおり、甲1発明において、「前記躯体を構成する部材」は、「開口部30」の「縦枠材31及び上材受け34」であって、「木材」と特定されるものではなく、「耐火、防火」を目的とするかも不明であるから、建築基準法(建設省告示)の規定に基づいて施工される「防火被覆」の配設態様と同視できるものではない。 よって、申立人の主張は、上記イの判断を左右するものではない。 エ 小括 以上のとおりであるから、相違点A2、A3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明を主たる引用発明として当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2、3 本件発明2は、本件発明1同様、「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」に対して固定するものであり、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分」「を覆うように設けられる第1燃え止まり部材」を備えるものである。 本件発明2と甲1発明とを対比すると、本件発明2と甲1発明とは、少なくとも、(1)ア(エ)の相違点A1と同様の相違点において相違する。 そして、上記(1)イで検討したのと同様に、相違点A1に係る本件発明2の構成は、周知技術を考慮しても、当業者が容易になし得たことではないから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明を主たる引用発明として当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件発明2を引用する本件発明3も同様である。 (3)本件発明4~6 本件発明4~6は、本件発明1または2を引用するものであり、本件発明1または2の構成を有し、さらに構成を付加したものである。 そして、上記(1)及び(2)に対比、判断したとおり、本件発明1及び2は、甲1発明を主たる引用発明として、当業者が容易に発明できたものとはいえないから、本件発明4~6も、当業者が容易に発明できたものとはいえない。 3 取消理由通知で採用しなかった異議申立て理由について(甲2発明を主引用発明とした進歩性欠如) (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明の「建築物の開口部」の「周囲の躯体10」に「取り付け」た「シャッターのシャッタースラット4」を「上下動自在にガイド」する「ガイド枠1」は、本件発明1の「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレール」、「前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレール」及び「開閉装置用ガイドレール」に相当する。 (イ)本件発明1の「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造」と、甲2発明の「ガイド枠1」を「竪枠7cの前側」に「ネジ止め」し、「左右の竪枠7c」を「開口部9の周囲の躯体10」に「ネジ止め」する「固定構造」とは、「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材に対して固定するための固定構造」の点で共通する。 (ウ)本件発明1の「前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定」することと、甲2発明において「開口部9の周囲の躯体10」に「ネジ止め」して「左右の竪枠7c」を固定することは、「ネジ」が「開口部9の周囲の躯体10」に挿入されることは明らかであり、また、上記(イ)の対比を踏まえると、「竪枠7cの前側」に「ネジ止め」した「ガイド枠1」も「開口部9の周囲の躯体10」に固定されることとなるから、「前記躯体を構成する部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記躯体を構成する部材に対して固定」する点で共通する。 (エ)上記(ア)~(ウ)より、本件発明1と甲2発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレールであり、前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレールを、前記躯体を構成する部材に対して固定するための固定構造であって、 前記躯体を構成する部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記躯体を構成する部材に対して固定した、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。 (相違点B1) 本件発明1は、ガイドレールを固定する部材が「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」であり、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」るのに対し、甲2発明は、ガイドレールを固定するのが「開口部9の周囲の躯体10」であって、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」と特定されず、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」ない点。 (相違点B2) 本件発明1は、固定具が「前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される」ものであり、この固定具によって、「前記支持部材」に対して固定するのに対し、甲2発明は、そのように特定されない点。 (相違点B3) 本件発明1は、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」のに対し、甲2発明は、「第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」を備えないため、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものでもない点。 イ 判断 上記相違点B1について検討する。 甲2発明において、「ガイド枠1」が「左右の竪枠7c」を介して「ネジ止め」される「開口部9の周囲の躯体10」の構造や素材は不明であって、「躯体10」が「支持部材」であることが明記されるものではなく、当然、それが「木材」であることが記載ないし示唆されるものでもない。また、甲2発明の「シャッター」が「防火対応」のものであるとしても、「開口部9の周囲の躯体10」を構成する部材について、「耐火、防火」を実現する構成が明示されるものでもない。 そして、建物躯体を構成する部材として、耐火、防火を目的として、外表面が燃え代部材で覆われた木製の支持部材を用いることが周知技術であるとしても、このような部材は、一般的には、甲第7号証にも示されるように「燃えしろ」として外表面を覆う部材は「化粧用木材」として機能することが期待されたものである。 そうすると、建物躯体を構成する部材として、耐火、防火を目的として、外表面が燃え代部材で覆われた木製の支持部材を用いることが周知技術であるとしても、甲2発明における「開口部9の周囲の躯体10」が「支持部材」について明記されず、「木材」とされるものではなく、「耐火、防火」を実現する構成が不明である「開口部9の周囲の躯体10」の部材において、周知技術を適用して「ガイドレールを固定する部材」を「外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」とし、さらに「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」るものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 ウ 申立人の主張 申立人は、意見書において、異議申立書において示した以下の図2を再掲し、甲2発明の2層の部材の配設態様を、建築基準法(建設省告示)の規定に基づいて施工される「燃え止まり部材」による「防火被覆」の配設態様とすることは、当業者にとって格別困難なことではない旨主張する。 [図:0001429006000015.jpg] しかし、甲第2号証には、「シャッター」が取り付けられる「開口部9の周囲の躯体10」については、特段の記載がなく、申立人が「引出線」によって「2層の部材」、「支持部材」と説明するものが「2層の部材」、「支持部材」であるとただちにいえるものではなく、ましてや「2層の部材」を「燃え止まり部材」とすることが当業者にとって格別困難なことではないといえるものでもない。 仮に、「支持部材」が「木材」であり、「2層の部材」が「2枚の石膏ボード」であると認める、あるいは、そのようにすることが容易であると判断したとしても、上記2(1)エにおいて検討したように、燃え代設計を行った木製の支持部材に対して燃え代層を石膏ボード等によって防火被覆することは技術常識であるとも、法規に基づいた標準的な設計手法であるともいえないから、その上でさらに「支持部材」を「第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」とすることが、当業者に容易になし得たこととは、到底いえない。 よって、申立人の主張を検討しても、本件発明1が甲2発明を主たる引用発明として、当業者が容易になし得たこととはいえない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、相違点B2、B3について検討するまでもなく、甲2発明を主たる引用発明として、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2、3 本件発明2は、本件発明1同様、「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」に対して固定するものであり、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分」「を覆うように設けられる第1燃え止まり部材」を備えるものである。 本件発明2と甲2発明とを対比すると、本件発明2と甲2発明とは、少なくとも、(1)ア(エ)の相違点B1と同様の相違点において相違する。 そして、上記(1)イで検討したのと同様に、相違点B1に係る本件発明2の構成は、当業者が容易になし得たことではないから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲2発明を主たる引用発明として当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件発明2を引用する本件発明3も同様である。 (3)本件発明4~6 本件発明4~6は、本件発明1または2を引用するものであり、本件発明1または2の構成を有し、さらに構成を付加したものである。 そして、上記(1)及び(2)において対比、判断したとおり、本件発明1及び2は、甲2発明を主たる引用発明として、当業者が容易に発明できたものとはいえないから、本件発明4~6も、同様に、当業者が容易に発明できたものとはいえない。 4 取消理由通知で採用しなかった異議申立て理由について(甲3発明を主引用発明とした進歩性欠如) (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 甲3発明の「シャッターカーテン11を用いて建物開口部13を開閉するシャッター装置15に用いるシャッター用ガイドレール」であって、「住宅の外壁17に設けられたサッシ窓19の外側」において、「建物躯体31に固定手段としての固定ネジ33により支持固定され」る、「ガイドレール25」は、本件発明1の「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレール」、「前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレール」及び「開閉装置用ガイドレール」に相当する。 (イ)本件発明1の「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造」と、甲3発明の「ガイドレール25」を「建物躯体31に固定手段としての固定ネジ33により支持固定され」ることとは、甲3発明の「建物躯体31」が「前記躯体を構成する部材」よりなっていることは自明であるから、「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材に対して固定するための固定構造」の点で共通する。 (ウ)本件発明1の「前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定」することと、甲3発明において「建物躯体31に固定手段としての固定ネジ33により支持固定」することは、「ネジ」が「建物躯体31」に挿入されることは明らかであり、また、上記(イ)の対比を踏まえると、「躯体を構成する部材」に固定されることとなるから、「前記躯体を構成する部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記躯体を構成する部材に対して固定」する点で共通する。 (エ)上記(ア)~(ウ)より、本件発明1と甲3発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレールであり、前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレールを、前記躯体を構成する部材に対して固定するための固定構造であって、 前記躯体を構成する部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記躯体を構成する部材に対して固定した、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。 (相違点C1) 本件発明1は、ガイドレールを固定する部材が「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」であり、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」るのに対し、甲3発明は、「建物躯体31」と特定されるのみであって、「建物躯体31」が「躯体を構成する部材」よりなることが自明であるとしても、ガイドレールを固定する部材が「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」ではなく、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」ない点。 (相違点C2) 本件発明1は、固定具は、「前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される」ものであり、固定具によって、「前記支持部材」に対して固定するのに対し、甲3発明は、そのように特定されない点。 (相違点C3) 本件発明1は、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」のに対し、甲3発明は、「第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」を備えないため、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものでもない点。 イ 判断 上記相違点C1について検討する。 甲3発明は、「建物躯体31」に関し、「前記躯体を構成する部材」を有するとしても、その素材及び構造が不明である。 また、建物躯体を構成する部材として、耐火、防火を目的として、外表面が木質の燃え代部材で覆われた木質の心材を支持部材として用いることが周知技術であるとしても、このような部材は、一般的には、甲第7号証にも示されるように燃え代部材として外表面を覆う部材は「化粧用木材」として機能することが期待されたものである。 そうすると、甲3発明における「建物躯体31」を構成する部材は、「木材」と特定されるものではなく、「耐火、防火」を目的とするかも不明であるから、これを、周知技術の「外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」とする動機付けはない。さらに、その「第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」るものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、相違点C1に係る本件発明1の構成は、周知技術を考慮しても、当業者が容易になし得たことではない。 ウ 申立人の主張 申立人は、申立書中において、甲3発明は、「シャッター用ガイドレールの防火構造」に関するものであるから(【0001】)、防火仕様に構成すべきことは明らかであり、建物躯体を構成する部材について、耐火、防火を目的として、外表面が燃え代部材で覆われた木製の支持部材を用いることは周知技術であるから、建物躯体31として外表面が燃え代部材で覆われた木製部材を含み構成することは当業者にとって格別困難なことではない旨主張するが、相違点C1に係る本件発明1の構成は、周知技術を考慮しても、当業者が容易になし得たことではないことは、上記イにおいて検討したとおりである。 また、申立人は、意見書においては甲3発明を主引用発明とする進歩性についてさらなる主張をしていない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、その他の相違点を検討するまでもなく、甲3発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2、3 本件発明2は、本件発明1同様、「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」に対して固定するものであり、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分」「を覆うように設けられる第1燃え止まり部材」を備えるものである。 本件発明2と甲3発明とを対比すると、本件発明2と甲3発明とは、少なくとも、(1)ア(エ)の相違点C1と同様の相違点において相違する。 そして、上記(1)イで検討したのと同様に、相違点C1に係る本件発明2の構成は、周知技術を考慮しても、当業者が容易になし得たことではないから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲3発明を主たる引用発明として当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件発明2を引用する本件発明3も同様である。 (3)本件発明4~6 本件発明4~6は、本件発明1または2を引用するものであり、本件発明1または2の構成を有し、さらに構成を付加したものである。 そして、上記(1)及び(2)に対比、判断したとおり、本件発明1及び2は、甲3発明を主たる引用発明として、当業者が容易に発明できたものとはいえないから、本件発明4~6も、当業者が容易に発明できたものとはいえない。 5 取消理由通知で採用しなかった異議申立て理由について(甲4発明を主引用発明とした進歩性欠如) (1)本件発明1 ア 対比 本件発明1と甲4発明とを対比する。 (ア)甲4発明の「自動車出入口11の上部に配置されたシャッターケース12と、このシャッターケース12の内部に収納された巻取軸14と、この巻取軸14に巻き取られるシャッターカーテン15」の「上下動(開閉動)を案内するためのガイドレール16」は、本件発明1の「建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレール」、「前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレール」及び「開閉装置用ガイドレール」に相当する。 (イ)本件発明1の「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造」と、甲4発明の「ガイドレール16」を「自動車出入り口11の左右縁部に沿って取り付け」る「取り付け構造」とは、「ガイドレール」を「固定するための固定構造」の点で共通する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)より、本件発明1と甲4発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 建物の躯体に設けられた開口部の開閉を行う開閉体を備えた開閉装置を構成するガイドレールであり、前記開閉体を開閉方向に沿って移動するように案内するガイドレールを、固定するための固定構造である、 開閉装置用ガイドレールの固定構造。 (相違点D1) 本件発明1は、ガイドレールを「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」に対して固定し、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」るのに対し、 甲4発明は、ガイドレールを「建物の躯体」に固定すると特定されるのみであって、「建物の躯体」が「躯体を構成する部材」よりなることが自明であるとしても、ガイドレールを固定する部材が「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」と特定されるものではなく、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」ない点。 (相違点D2) 本件発明1は、「前記第1燃え代部材及び前記第1燃え止まり部材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記ガイドレールを前記支持部材に対して固定」するのに対し、甲4発明は、そのように特定されない点。 (相違点D3) 本件発明1は、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」のに対し、甲4発明は、「第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」を備えないため、「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」ものでもない点。 イ 判断 上記相違点D1について検討する。 甲4発明は、建物の躯体について何ら特定しておらず、ガイドレールが固定される「自動車出入り口11の左右縁部」についても、その素材や構造が不明である。 そうすると、耐火、防火を目的として、外表面が燃え代部材で覆われた木製の支持部材を用いることが周知技術であるとしても、甲4発明において、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」にガイドレールを固定するものとし、さらに「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分を覆うように設けられる第1燃え止まり部材を備え」るものとすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、相違点D1に係る本件発明1の構成は、周知技術を考慮しても、当業者が容易になし得たことではない。 ウ 申立人の主張 申立人は、申立書中において、甲4発明は、「耐火性、遮熱性の点でも優れている開閉体装置」に関するものであるから(【0007】)、耐火仕様に構成すべきことは明らかであり、建物躯体を構成する部材について、耐火、防火を目的として、外表面が燃え代部材で覆われた木製の支持部材を用いることは周知技術であるから、車庫の壁18として外表面が燃え代部材で覆われた木製部材を含み構成することは当業者にとって格別困難なことではない旨主張するが、相違点D1に係る本件発明1の構成は、周知技術を考慮しても、当業者が容易になし得たことではないことは、上記イにおいて検討したとおりである。 また、申立人は、意見書においては甲4発明を主引用発明とする進歩性についてさらなる主張をしていない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、その他の相違点を検討するまでもなく、甲4発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2、3 本件発明2は、本件発明1同様、「ガイドレール」を、「前記躯体を構成する部材のうち外表面が第1燃え代部材で覆われた木製の支持部材」に対して固定するものであり、また、「前記第1燃え代部材の外表面のうち少なくとも前記ガイドレールに対応する部分」「を覆うように設けられる第1燃え止まり部材」を備えるものである。 本件発明2と甲4発明とを対比すると、本件発明2と甲4発明とは、少なくとも、上記(1)アの相違点D1と同様の相違点において相違する。 そして、上記(1)イで検討したのと同様に、相違点D1に係る本件発明2の構成は、周知技術を考慮しても、当業者が容易になし得たことではないから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲4発明を主たる引用発明として当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件発明2を引用する本件発明3も同様である。 (3)本件発明4~6 本件発明4~6は、本件発明1または2を引用するものであり、本件発明1または2の構成を有し、さらに構成を付加したものである。 そして、上記(1)及び(2)に対比、判断したとおり、本件発明1及び2は、甲4発明を主たる引用発明として、当業者が容易に発明できたものとはいえないから、本件発明4~6も、当業者が容易に発明できたものとはいえない。 6 その他(明確性要件について) 申立人は、意見書において、訂正後の請求項1、4~6に係る発明は、発明が明確でなく、これら発明に関する特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである旨主張するので、明確性要件について検討する。 (1)申立人の具体的主張 請求項1に記載された「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」との事項(以下「事項A」という。)は、以下の(ア)~(ウ)のような多義的な解釈が可能であり、いずれの解釈とすべきかについて、明確に特定することができないため、発明が不明確である。 (ア)「第1燃え止まり部材」が、第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代都材におけるガイドレールが固定されている側の面全体のみを覆う態様を意味する。つまり、「第1燃え止まり部材」の左右方向の幅は、第1燃え代部材の左右方向一端縁から他端縁までの左右幅に一致する。 (イ)「第1燃え止まり部材」が、第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材におけるガイドレールが固定されている側の面全体を覆う態様であれば足りることを意味する。つまり、「第1燃え止まり部材」の左右方向の幅は、第1燃え代部材の左右方向一端縁から他端縁までの左右幅に一致しなくてもよく、「第1燃え止まり部材」は、第1燃え代部材の左右方向一端縁から他端縁までにわたる面の部分を超えて第1燃え代部材を覆う態様も包含する。 (ウ)上記(ア)、(イ)とは異なることを意味する。 (2)主張の検討 請求項1に記載された「前記第1燃え止まり部材を、前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」との記載から、「第1燃え止まり部材」は「前記第1燃え代部材の外表面のうち、当該第1燃え代部材における前記ガイドレールが固定されている側の面全体に対応する部分を覆うように設けた」という観点から特定したものと理解でき、左右方向幅の観点から特定したものではない。 よって、請求項1は、(ア)~(ウ)のような多義的な解釈が可能となるものではなく、請求項1に係る発明及びこれを引用する請求項4~6に係る発明は、明確である。 第7 まとめ 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700921

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