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特許異議申立

2024-700870

建具

審判番号
2024-700870
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-157538
登録番号
7448604
請求日
2024年09月11日
審決日
2025年11月06日
公報発行日
2026年02月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】YKK AP株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人樹之下知的財産事務所
  • 【異議申立人】伊澤 武登
審判長/審判官
  • 審判長 有家 秀郎
  • 審判官 西田 秀彦
  • 審判官 土屋 真理子
分類
P1651.113-YAA(E06B) / P1651.121-YAA(E06B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第44条、特許法第120条の5第7項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7448604号発明「建具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7448604号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。 特許第7448604号の請求項1~3に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 出願分割の経緯の概略 特許第7448604号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和4年9月30日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、令和元年6月21日に出願した特願2019-115261号の一部を新たな特許出願としたものである。 2 本件特許の手続の経緯の概略 (1)本件特許異議申立の前までの手続の経緯 本件特許異議申立の前までの手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和6年 3月 4日 :設定登録(請求項1~3) 同月12日 :特許掲載公報の発行 (2)本件特許異議申立の手続の経緯 本件特許異議申立は、特許異議申立人伊澤 武登(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~3に係る特許に対して、特許異議の申立てがされたものである。 本件特許異議申立における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和6年 9月11日 :特許異議申立書(以下「申立書」という。) の提出 同年10月18日付け:手続補正指令書(方式) 同月29日 :手続補正書(方式)の提出 同年12月13日付け:取消理由通知 令和7年 2月12日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 3月28日 :申立人による意見書の提出 同年 5月29日付け:取消理由通知(決定の予告) 同年 7月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 9月12日 :申立人による意見書の提出 なお、令和7年2月12日にされた訂正の請求は、同年7月22日に新たな訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。 第2 訂正の適否についての判断 1 請求項1について (1)訂正の内容 令和7年7月22日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、特許第7448604号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを求めるものである。請求項1について、その内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。以下同様)。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、」と記載されているのを、 「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、 前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、 前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、 前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され、」に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、「前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え、」と記載されているのを、「前記障子框は、樹脂製框材をそれぞれ有する上框、下框および左右の縦框を備え、」に訂正する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に、「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つは、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した突片部を有し、」と記載されているのを、 「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの前記樹脂製框材は、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有し、」に訂正する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に、「前記枠アタッチメントは、網戸枠で構成される」と記載されているのを、 「前記枠アタッチメントは、網戸枠で構成され、 前記突片部と前記網戸枠との間には、隙間が形成される」に訂正する。 (2)請求項1についての訂正の適否の判断 訂正事項1~4について、訂正の目的、新規事項の有無、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか、について検討する。 ア 訂正事項1 (ア)訂正の目的について 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1において「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、」と記載され、枠体の枠アタッチメントを設置するための枠体の構造や枠体と枠アタッチメントとの配置について特定されていなかったものを、枠体の構造について、「前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され」ていると特定して限定するとともに、枠体と枠アタッチメントとの配置について、「前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され」ることを特定して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無について 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面とあわせて「本件明細書等」という。)の段落【0009】には、「上枠20、下枠30および左右の縦枠40を枠組みしてなる窓枠2(枠体)」と記載され、段落【0014】には、「左右の縦枠40の樹脂製枠材42は、・・・見込み片部421と、見込み片部421に連続した見付け片部422,423と、見込み片部421から内周側に延出した一対の延出片部424,425と、・・・を有しており」、「見込み片部421および延出片部424によって枠アタッチメント設置部44が形成されており、この枠アタッチメント設置部44には網戸縦枠14が配置されている。」と記載され、段落【0034】には、「本発明の建具では、前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部のうちの少なくとも一方に対して間隔を隔てて枠アタッチメントが設置され、」と記載されている。 よって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものかについて 訂正事項1に係る訂正は、上記(ア)のとおり、訂正前の発明特定事項について限定を加えて特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 イ 訂正事項2 (ア)訂正の目的について 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項1において、「障子框」について、「上框、下框および左右の縦框を備え」ると特定されていたものを、その「上框、下框および左右の縦框」について、「樹脂製框材をそれぞれ有する」ものに特定して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無について 本件明細書の段落【0015】には、「上框50、下框60および左右の縦框70は、アルミ押出形材によって形成された金属製框材51,61,71と、樹脂押出形材によって形成された樹脂製框材52,62,72とが組み合わされた複合框材によってそれぞれ構成されている。」と記載されている。 よって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものかについて 訂正事項2に係る訂正は、上記(ア)のとおり、訂正前の発明特定事項について限定を加えて特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 ウ 訂正事項3 (ア)訂正の目的について 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項1において、「突片部」について、「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つ」が有すると特定されていたものを、「突片部」が「樹脂製」であることを特定して限定するとともに、「突片部」を有するのが、訂正事項2において限定した「上框、下框および左右の縦框」がそれぞれ有する「前記樹脂製框材」の少なくとも一つであるものに特定して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無について 本件明細書段落【0015】には、「上框50、下框60および左右の縦框70は、アルミ押出形材によって形成された金属製框材51,61,71と、樹脂押出形材によって形成された樹脂製框材52,62,72とが組み合わされた複合框材によってそれぞれ構成されている。」と記載されている。 また、「突片部」について、本件明細書段落【0018】には、「左右の縦框70の樹脂製框材72は、・・・見付け片部721と、・・・見付け片部721の内周側の端部から室内側に突出した・・・突片部724とを有している。」と記載され、段落【0026】には、「[変形例]・・・第1~第3、第5、第6実施形態では、見付け片部721から突出した突片部724,724Cは軟質樹脂によって形成されているが、見付け片部721と同様に硬質樹脂によって形成されていてもよい。・・・第1~第6実施形態では、左右の縦框70に突片部724,724B,724Cが形成され、上框50および下框60には形成されていないが、上記と概略同様に形成してもよく、また、十分な断熱性が得られる場合には、上框50、下框60および左右の縦框70のいずれか一つに突片部724,724B,724Cが形成されるだけであってもよい。」と記載されている。 よって、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものかについて 訂正事項3に係る訂正は、上記(ア)のとおり、訂正前の発明特定事項について限定を加えて特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 エ 訂正事項4 (ア)訂正の目的について 訂正事項4に係る訂正は、「枠アタッチメント」について、訂正前の請求項1においては、「突片部」との位置関係が特定されていなかったものを、「前記突片部と前記枠アタッチメントとの間には、隙間が形成される」ものに特定して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無について 本件明細書段落【0018】には、「突片部724は、障子3の閉鎖状態で網戸縦枠14の室外面に隙間Cを隔てて対向する。」と記載されている。 よって、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものかについて 訂正事項4に係る訂正は、上記(ア)のとおり、訂正前の発明特定事項について限定を加えて特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (3)小括 以上のとおり、請求項1に係る訂正事項1~4による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とし、同条9項により準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 2 請求項2について (1)訂正の内容 請求項2について、本件訂正の内容は、以下のとおりである。 ア 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項2に、「気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備え、」と記載されているのを、「気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備える建具であって、」に訂正する。 イ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項2に、「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、」と記載されているのを、 「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、 前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、 前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、 前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され、」に訂正する。 ウ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項2に、「前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え、」と記載されているのを、「前記障子框は、樹脂製框材をそれぞれ有する上框、下框および左右の縦框を備え、」に訂正する。 エ 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項2に、「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つは、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した突片部を有し、」と記載されているのを、 「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの樹脂製框材は、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有し、」に訂正する。 オ 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項2に、「前記突片部は、前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの見付け片部から突出すると共に、前記建具の見込み方向において前記枠アタッチメントと対向する」と記載されているのを、 「前記突片部は、前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの見付け片部から突出すると共に、前記建具の見込み方向において前記枠アタッチメントと対向し、 前記突片部と前記枠アタッチメントとの間には、隙間が形成される」に訂正する。 (2)請求項2についての訂正の適否の判断 訂正事項5~9について、訂正の目的、新規事項の有無、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものか、について検討する。 ア 訂正事項5 (ア)訂正の目的について 訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項2において、「前記突片部は、・・・前記建具の見込み方向において前記枠アタッチメントと対向する・・・」との記載以前に「建具」について記載がなく、「前記建具」が指示するものが不明瞭であったことから、この記載の前に「気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備え、」と記載されているのを、「気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備える建具であって、」として、「前記建具」が「気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備える建具」であることを明瞭にしたものであるから、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無について 本件明細書段落【0033】には、「本発明の建具は、気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される・・・障子とを備える・・・」と記載されている。 よって、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものかについて 訂正事項5に係る訂正は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明をするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 イ 訂正事項6~8 訂正事項6~8は、それぞれ、訂正事項2~4と概略同様の訂正であり、上記(1)イ~エで検討したように、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とし、同条9項により準用する同法第126条5項及び6項の規定に適合する。 ウ 訂正事項9 (ア)訂正の目的について 訂正事項9に係る訂正は、「枠アタッチメント」について、訂正前の請求項2においては、「突片部」との位置関係が特定されていなかったものを、「前記突片部と前記枠アタッチメントとの間には、隙間が形成される」ものに特定して限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (イ)新規事項の有無について 本件明細書段落【0018】には、「突片部724は、障子3の閉鎖状態で網戸縦枠14の室外面に隙間Cを隔てて対向する。」と記載されている。また、【0034】には、「なお、枠アタッチメントは、例えば枠体に開閉可能に障子が設置される場合には、枠体に取り付けられる網戸の網戸枠であってもよく、また、枠体に障子が固定して設置される場合には、アタッチメント設置部を塞ぐ部材であってもよい。」と記載されている。 よって、訂正事項9に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正である。 (ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更しないものかについて 訂正事項9に係る訂正は、上記(ア)のとおり、訂正前の発明特定事項について限定を加えて特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。 (3)小括 以上のとおり、請求項2に係る訂正事項5~9による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とし、同条9項により準用する同法第126条5項及び6項の規定に適合する。 6 訂正の適否についての判断のむすび 以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とし、同条9項により準用する同法第126条5項及び6項の規定に適合する。 よって、訂正後の請求項1、2について、訂正を認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1~3に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 【請求項1】 気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備え、 前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、 前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、 前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、 前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され、 前記障子は、見込み方向において前記枠アタッチメントに対向し且つ前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え、 前記障子框は、樹脂製框材をそれぞれ有する上框、下框および左右の縦框を備え、 前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの前記樹脂製框材は、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有し、 前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成し、 前記枠アタッチメントは、網戸枠で構成され、 前記突片部と前記網戸枠との間には、隙間が形成される ことを特徴とする建具。 【請求項2】 気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備える建具であって、 前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、 前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、 前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、 前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され、 前記障子は、見込み方向において前記枠アタッチメントに対向し且つ前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え、 前記障子框は、樹脂製框材をそれぞれ有する上框、下框および左右の縦框を備え、 前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの樹脂製框材は、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有し、 前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成し、 前記突片部は、前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの見付け片部から突出すると共に、前記建具の見込み方向において前記枠アタッチメントと対向し、 前記突片部と前記枠アタッチメントとの間には、隙間が形成される ことを特徴とする建具。 【請求項3】 気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備え、 前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、 前記障子は、見込み方向において前記枠アタッチメントに対向し且つ前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え、 前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え、 前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つは、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した突片部を有し、 前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成し、 前記突片部は、前記枠アタッチメントよりも内周側の位置から当該枠アタッチメント側に向かって斜めに突出する ことを特徴とする建具。 第4 特許異議申立理由及び先の取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要及び証拠 1 特許異議申立理由の概要 (1)甲第2号証を主たる証拠とした新規性欠如 本件特許の請求項1~3に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証に記載された発明と実質的な相違点のない発明であり、新規性を有さない。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである(申立書11頁下から3行~13頁下から5行)。 (2)甲第1号証を主たる証拠とした新規性欠如及び進歩性欠如 ア 本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件特許の請求項2に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲第1号証に記載された発明であり、新規性を有さない。 ウ 本件特許の請求項3に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条1項または同条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである(申立書13頁下から4行~15頁3行)。 (3)甲第3号証を主たる証拠とした進歩性欠如 本件特許の請求項1~3に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである(申立書15頁4行~16頁7行)。 (4)申立人により提出された証拠 申立人により提出された証拠は、以下のとおりである。 甲第1号証:特開2019-78164号公報 甲第2号証:特開2014-201876号公報 甲第3号証:特開2015-196972号公報 2 取消理由の概要 当審において令和7年5月29日付け取消理由通知書(決定の予告)により特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (進歩性)請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 第5 取消理由通知書(決定の予告)により通知した取消理由についての当審の判断 1 証拠について (1)甲第2号証 ア 記載事項 本件特許の原出願である特願2019-115261号(以下「原出願」という。)の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証には、次の記載がある(下線は当審において付与した。以下、同様)。 (ア)【0001】~【0011】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、結露防止構造に関し、特に、建築物の開口部に設けられて建築物の屋内と建築物の屋外との連通を遮断する障子における結露の防止に最適となる結露防止構造の改良に関する。 ・・・ 【0008】 すなわち、近年の障子にあっては、金属枠に嵌めるガラス板を外側のガラス板と内側のガラス板の複層にして間に空気層を設けることで、内側のガラス板における屋内を向く面への結露を防止することが多用され、したがって、上記した特許文献1に開示の提案に対しては、障子におけるガラス板を複層にすることが取って代わることになる。 【0009】 その結果、障子にあってガラス板を複層ガラスにする場合には、障子における結露は、金属枠部分に発生することになるが、このガラス板を複層ガラスにする障子の金属枠部分についての結露を防止する方策について、これまでに提案がないのが現状である。 【0010】 本発明は、上記した現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、ガラス板を複層ガラスにする障子の金属枠部分における結露を効果的に防止できる結露防止構造を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記した目的を達成するために、本発明による結露防止構造の構成を、建築物の屋内と建築物の屋外とを連通する開口を内側に形成する基枠を備え、この基枠が屋外側部に設けられて上記開口を閉鎖する障子と、屋内側部に設けられて上記障子に対向する枠部とを備え、上記障子が上記基枠に保持される金属枠と、この金属枠に保持される複層ガラスとを備え、上記枠部が上記金属枠における屋内を向く見付面に隙間を設けて対向し、上記枠部と上記障子との間にシール部材を備え、このシール部材が上記複層ガラスで仕切られる屋内の上記隙間への連通を阻止するとする。」 (イ)【0015】~【0018】 「【発明を実施するための形態】 【0015】 以下に、図示した実施形態に基づいて、本発明を説明するが、本発明による結露防止構造は、図1および図2に示すように、建築物(符示せず)における躯体たる壁部(符示せず)に設けられて図1中および図2中で右側となる建築物の屋内Iと、図1中および図2中で左側となる建築物の屋外Oとの連通を許容する開口部(符示せず)に具現化される。 【0016】 すなわち、図1および図2に示すように、建築物の屋内Iと屋外Oとの連通を許容する開口部は、内側を開口(符示せず)にして建築物の屋内Iと屋外Oとを連通させる基枠1を備え、この基枠1の内側に本発明による結露防止構造が具現化されるとしている。 【0017】 言い換えれば、本発明による結露防止構造は、基枠1と、この基枠1に設けられる障子2と、基枠1に設けられて枠部を構成する防虫網戸3とを備え、さらに、防虫網戸3と障子2との間に設けられるシール部材4を備える。 【0018】 順次説明すると、基枠1は、建築物の壁部に設けられる開口部を形成する観点からすると、任意に構成されて良いが、一般的には、図示しないが、建築物の開口部が立面視で矩形に形成されることから、これに相応するように形成される。 (ウ)【0019】~【0024】 「【0019】 すなわち、基枠1は、図示するところにあって、左右の立て枠11,12(図1参照)と、この左右の立て枠11,12の上下端を繋ぐ上枠13(図2参照)および下枠14(図2参照)とを備えて、立面視で矩形を呈するように形成される。」 【0020】 そして、基枠1は、内側に障子2を設けさせるように構成されるのはもちろんのこと、図示するところでは、枠部を構成する防虫網戸3を設けさせるように構成され、さらには、閉めた状態の障子2との間で密封性を保障するため、図1中および図2中に符号15で示すように、密封シールを備える。 【0021】 そしてまた、基枠1は、図示するところにあって、図1中および図2中で左側部となる屋外側部(符示せず)の内側に障子2を保持し、図1中および図2中で右側部となる屋内側部(符示せず)の内側に防虫網戸3を保持する。 ・・・ 【0023】 ちなみに、基枠1は、図示するところでは、障子2を保持する部位(符示せず)と、防虫網戸3を保持する部位(符示せず)とが別部材からなる、すなわち、防虫網戸3を保持する屋内側部位が障子2を保持する屋外側部位と異なるとし、たとえば、屋外側部が金属製とされるとき、屋内側部は硬質の合成樹脂製とされて、開口部に設けられる際に障子2を保持する屋外側部位と連結されて一体化されるとしている。 【0024】 基枠1において、防虫網戸3を設ける屋内側部位が合成樹脂製とされる場合には、この屋内側部位が断熱性に優れることになり、したがって、屋内Iの暖気が触れることで基枠1の屋内側部に招来されることがある結露を防止できる点で有利になる。」 (エ)【0026】~【0027】 「【0026】 障子2は、上記したように、基枠1における屋外側部に設けられるもので、基枠1に保持される金属枠21と、この金属枠21に保持される複層ガラス22とを備え、図示するところでは、金属枠21が基枠1に枢支されることで開放操作可能に形成される。 【0027】 ちなみに、基枠1に保持された障子2を開放操作可能にする構造としては、上記の金属枠21が基枠1に枢支されることで障子2が片開き窓構造にされたりする他、たとえば、障子2を押し出し窓構造にする場合などがあるが、本発明の具現化の上では、障子2の開閉構造が異なることは、障子2の開閉手段の構成が異なることを含めて、問題にならない。」 (オ)【0032】~【0033】 「【0032】 ちなみに、金属枠21を備える障子2にあっては、金属枠21に複層ガラス22の周部(符示せず)を嵌め込むのに際して、両者間にグレージングチャンネル23を設けるとしているが、このグレージングチャンネル23を両者間に設けることで、金属枠21の言わば冷えた温度が複層ガラス22に伝わることを効果的に阻止し得ることにもなる。 【0033】 また、図示するところにあって、障子2は、閉めた状態のとき、基枠1との間を密閉して、たとえば、雨水や外気がいわゆる内側に回りこむことを阻止し得るように、図1中および図2中に符号24で示す密封シールを備える。」 (カ)【0035】 「【0035】 本発明の具現化にあって、枠部は、防虫網戸3以外の構成からなるとしても良いことを前提にした上で説明すると、図示する防虫網戸3は、網戸枠31と、防虫網32とを備えてなる。」 (キ)【0038】 「【0038】 ところで、防虫網戸3は、本発明における枠部を構成するが、具体的には、網戸枠31が枠部を構成するもので、この観点からすれば、図3に示すように、金属枠21の屋内Iを向く見付面21aとの間に隙間Sを出現させ、また、後述するシール部材4の基端の保持を可能にし、あるいは、シール部材4の先端の当接を許容ように構成されれば足りる。」 (ク)【0049】~【0051】 「【0049】 以下には、このシール部材4について説明するが、先ず、シール部材4は、いわゆるシールとして機能するのに十分と言えるように構成されるとし、軟質合成樹脂材あるいは軟質ゴム材で長尺の中実棒状または細幅帯状あるいはチューブ状に形成されて枠部たる網戸枠31に無限帯状に設けられて、密閉性を保障する。 【0050】 図示するところでは、シール部材4は、柔軟性に富む軟質ゴム材で長尺の細幅帯状に形成されるが、シール部材4が密閉性に優れることで、また、これが枠部と障子2との間に設けられることで、上記した隙間Sと複層ガラス22で仕切られる屋内Iとの連通が阻止されることになる。 【0051】 そして、この無限帯状に設けられるシール部材4は、基本的には、基端が枠部に保持されて先端が複層ガラス22および見付面21aのいずれか一方または両方に当接し、あるいは、基端が金属枠21の見付面21aに、または、この見付面21aと複層ガラス22と境界部分に保持されて先端が枠部に当接するとする。図1および図2、すなわち、図3に示すところでは、シール部材4は、枠部たる防虫網戸3における網戸枠31に基端が保持され、先端が複層ガラス22の屋内Iを向く面に当接されるとしている。」 (ケ)【0055】 「【0055】 転じて、シール部材4が枠部と障子2との間に設けられるとする限りには、上記したところに代えて、図示しないが、グレージングチャンネル23における屋内Iに位置決めされる端部にシール部材4が一体に連設され、このシール部材4の先端が枠部に当接するとしても良いと言い得る。そして、この場合には、グレージングチャンネル23について設計変更が要請されるが、この結露防止構造を具現化する上では、部品点数を少なくできる利点があると言える。」 (コ)【0057】~【0061】 「【0057】 上記したところは、シール部材4の基端が枠部に設けられる場合であるが、前記したように、シール部材4の基端は、障子2側に設けられるとしても良く、この場合に、上記したように、シール部材4がグレージングチャンネル23と一体に形成されて設けられるとしても良いが、これに代えて、図示しないが、シール部材4の基端が障子2における金属枠21、すなわち、金属枠21のグレージングチャンネル23に接する内側縁部に接着材利用などで保持されるとしても良い。 【0058】 この場合には、障子2がシール部材4を備えることになるので、このシール部材4の先端が当接することになる枠部の構成については、シール部材4の基端が枠部に保持される場合に比較して、枠部の構成を簡素化できる点で有利になる。 【0059】 以上のように、シール部材4が枠部と障子2との間に設けられることにで、枠部と障子2における金属枠21の見付面21aとの間に出現する隙間Sと、複層ガラス22で仕切られる屋内Iとの連通が遮断される。 【0060】 したがって、複層ガラス22で仕切られる屋内Iの空気が隙間Sに流入して金属枠21の見付面21aに触れることが阻止されて、金属枠21の見付面21aにおける結露を防止できることになり、その結果、屋内Iの熱が金属枠21を伝わって屋外Oに放散される事態の招来を回避でき、屋内Iの保温効果を良くするのに最適となる。 【0061】 そして、枠部と金属枠21の見付面21aとの間の隙間Sが複層ガラス22で仕切られる屋内Iに連通しないから、屋外Oの冷気が複層ガラス22の屋内Iを向く面を冷やすことがなく、したがって、屋内Iの保温効果を良くするのに寄与する。」 (サ)【図1】~【図3】 【図1】 [図:0001432044000001.jpg] 【図2】 [図:0001432044000002.jpg] 【図3】 [図:0001432044000003.jpg] イ 認定事項 (ア)【0019】及び【0020】の記載を踏まえると、図3から、密封シール15は基枠1の備える立て枠11に装着されることが看取される。(以下「認定事項1」という。 (イ)【0016】の記載を踏まえると、図3中にOと示された左側が屋外側であり、Iと示された右側が屋内側であることが看て取れる。そして、段落【0026】、【0038】の記載を踏まえると、図3から、障子2の金属枠21の屋内Iを向く見付面21aは、見込み方向において網戸枠31と対向し、密封シール15と当接することが看取される。(以下「認定事項2」という。) (ウ)【0038】の記載を踏まえると、図1~3より、枠部を構成する網戸枠31は密封シール15よりも内周側に離れた位置に形成されることが看取される。(以下「認定事項3」という。) (エ)【0019】、【0020】の記載を踏まえると、図3より、基枠1の備える立て枠11は、密封シール15の内周側に位置する見込み片部と見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、網戸枠31が、見込み片部と延出片部とが形成する角部に、見込み片部と間隔を隔て、延出片部とは間隔を隔てずに配置されることが看取される。(以下「認定事項4」という。) ウ 甲2発明 以上を総合すると、甲第2号証には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。 なお、【0038】の「許容ように」という記載は、「許容するように」の明らかな誤記であると認められるので、誤記を正した上で認定した。 <甲2発明> 「建築物の屋内Iと屋外Oとを連通させる基枠1と、この基枠1に設けられる障子2と、基枠1に設けられて枠部を構成する防虫網戸3とを備え、さらに、防虫網戸3と障子2との間に設けられるシール部材4を備える開口部の構造であって(【0016】、【0017】)、 基枠1は、建築物の壁部に設けられる開口部を形成し(【0018】)、 左右の立て枠11,12と、この左右の立て枠11,12の上下端を繋ぐ上枠13および下枠14とを備えて形成され(【0019】)、 基枠1は、内側に障子2を設けさせるように構成され、枠部を構成する防虫網戸3を設けさせるように構成され、閉めた状態の障子2との間で密封性を保障するため、密封シール15を備え(【0020】)、 密封シール15は基枠1の備える立て枠11に装着され(認定事項1)、 基枠1は、屋外側部の内側に障子2を保持し、屋内側部の内側に防虫網戸3を保持し(【0021】)、 基枠1は、防虫網戸3を保持する屋内側部は合成樹脂製とされ、障子2を保持する屋外側部位が金属製とされて、開口部に設けられる際に連結されて一体化され(【0023】)、 基枠1において、防虫網戸3を設ける屋内側部位が合成樹脂製とされる場合には、この屋内側部位が断熱性に優れることになり、屋内Iの暖気が触れることで基枠1の屋内側部に招来されることがある結露を防止できる点で有利になり(【0024】)、 障子2は、基枠1における屋外側部に設けられるもので、基枠1に保持される金属枠21と、この金属枠21に保持される複層ガラス22とを備え、金属枠21が基枠1に枢支されることで開放操作可能に形成され(【0026】)、 障子2の金属枠21の屋内Iを向く見付面21aは、見込み方向において網戸枠31と対向し、密封シール15と当接し(認定事項2)、 基枠1に保持された障子2を開放操作可能にする構造としては、金属枠21が基枠1に枢支されることで障子2が片開き窓構造にされたりする他、たとえば、障子2を押し出し窓構造にする場合などがあり(【0027】)、 防虫網戸3は、網戸枠31と、防虫網32とを備え(【0035】)、 網戸枠31が枠部を構成し、金属枠21の屋内Iを向く見付面21aとの間に隙間Sを出現させ、シール部材4の基端の保持を可能にし、あるいは、シール部材4の先端の当接を許容するように構成され(【0038】)、 枠部を構成する網戸枠31は密封シール15よりも内周側に離れた位置に形成され(認定事項3)、 基枠1の備える立て枠11は、密封シール15の内周側に位置する見込み片部と見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、網戸枠31が、見込み片部と延出片部とが形成する角部に、見込み片部と間隔を隔て、延出片部とは間隔を隔てずに配置され(認定事項4)、 シール部材4は、軟質合成樹脂材で形成され(【0049】)、 シール部材4は、無限帯状に設けられ、基本的には、基端が枠部に保持されて先端が複層ガラス22および見付面21aのいずれか一方または両方に当接し、あるいは、基端が金属枠21の見付面21aに保持されて先端が枠部に当接するとし、(【0051】)、 シール部材4の基端は、障子2側に設けられるとしても良く、この場合、シール部材4の基端が障子2における金属枠21に接着材利用などで保持されるとしても良く(【0057】)、 屋内Iの空気が隙間Sに流入して金属枠21の見付面21aに触れることが阻止されて、金属枠21の見付面21aにおける結露を防止できることになり、その結果、屋内Iの熱が金属枠21を伝わって屋外Oに放散される事態の招来を回避でき、屋内Iの保温効果を良くするのに最適となり(【0060】)、 屋外Oの冷気が複層ガラス22の屋内Iを向く面を冷やすことがなく、屋内Iの保温効果を良くする(【0061】)、 開口部の構造。」 (2)甲第3号証 ア 記載事項 本件特許の原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証には、次の記載がある。 (ア)特許請求の範囲 「【請求項1】 屋外側に形成した金属枠と屋内側に形成した樹脂枠とを備えた開口枠体と、 前記開口枠体に納めて開閉可能であって屋外側に形成した金属框と屋内側に形成した樹脂框とを備えた障子とを備え、 前記樹脂框の屋内側を開口枠体の樹脂枠で覆った隠し框構造を有していて、前記樹脂框の見込み面にロック機構の操作部を設けたことを特徴とする複合建具のロック構造。 【請求項2】 前記開口枠体に前記障子を収納した閉鎖状態において、 前記障子の樹脂框と前記開口枠体の樹脂枠との間にパッキンを介して空間を仕切った空気層を設けた請求項1に記載された複合建具のロック構造。 【請求項3】 前記パッキンは前記障子の樹脂框と前記開口枠体の樹脂枠との間に配設した第一パッキンと第二パッキンである請求項2に記載された複合建具のロック構造。」 (イ)背景技術 「【背景技術】 【0002】 従来、アルミ合金等の金属と樹脂とを接合した枠体と障子を備えた複合建具として、例えば特許文献1に記載された複合型の横辷り出し窓が提案されている。この横辷り出し窓は、開口部をなす窓枠の室外側に金属枠が形成され、室内側に樹脂枠が形成されている。そして、窓枠に開閉可能に取り付けられる障子は、室外側に金属框が形成され室内側に樹脂框が形成されている。この障子は上下框と左右の縦框によって四角形に框組みした框体に複層ガラスを嵌め込んでいる。」 (ウ)【0012】~【0020】 「【0012】 以下、本発明の実施形態による複合建具の一例としての縦辷り出し窓を図1から図3に基づいて説明する。 図1及び図2に示す実施形態による縦辷り出し窓1は、建物の躯体に形成された建物開口部に取り付けられる枠体2内に納めた障子3を吊元側の縦框回りに回転させることで外側に開放可能としている。縦辷り出し窓1はアルミ合金等の金属と樹脂とからなる複合型であり、四角形枠状の複合型の枠体2と、枠体2に開閉可能に納められた複合型の障子3とが設置されている。 【0013】 枠体2は、屋外側に設けられたアルミ合金等からなる四角形枠状の金属枠4とその屋内側に設けられた合成樹脂製の樹脂枠5とで構成された開口枠体を形成している。金属枠4は、左右の金属縦枠6、7と金属上枠8及び金属下枠9とで形成されている。金属上枠8は外側金属上枠部8aと内側金属上枠部8bとが樹脂製のブリッジ材10を介して連結され、屋内外の熱移動を低減させている。金属下枠9は外側金属下枠部9aと内側金属下枠部9bとが樹脂製のブリッジ材15を介して連結され、同様に屋内外の熱移動を低減させている。 【0014】 樹脂枠5は左右の金属縦枠6,7の屋内側に形成した左右の樹脂縦枠11、12と、金属上枠8の屋内側に形成した樹脂上枠13と、金属下枠9の屋内側に形成した樹脂下枠14とで構成されている。 【0015】 なお、金属縦枠7と樹脂縦枠12に代えて方立を設けた連窓としてもよい。また、左右の樹脂縦枠11、12、そして樹脂上枠13、樹脂下枠14は断面視で複数の空気室39を縦横方向に備えた格子状部40をそれぞれ形成しており、複数の空気室39によって屋外側と屋内側との間の熱移動を低減させるようにしている。 【0016】 また、障子3は、屋外側に設けられたアルミ合金等の金属からなる金属框16とその屋内側に設けられた樹脂製の樹脂框17とで構成されている。金属框16は、左右の金属縦框18,19と金属上框20及び金属下框21とで形成されている。樹脂框17は左右の金属縦框18,19の屋内側に形成した左右の樹脂縦框23、24と、金属上框20の屋内側に形成した樹脂上框25と、金属下框21の屋内側に形成した樹脂下框26とで構成されている。そして、障子3の四角形に枠組みされた金属框16及び樹脂框17の内部には例えば複層ガラスからなるガラス体31が嵌め込まれている。 【0017】 縦辷り出し窓1の障子3は、枠体2の左右の樹脂縦枠11、12、樹脂上枠13、樹脂下枠14の戸当たり面に当接することで閉鎖状態に納められ、屋外側にのみ開放可能とされている 【0018】 また、図3に示す枠体2の戸当たり側の縦枠部分において、枠体2の樹脂縦枠11の屋外側端面11aには嵌合凹部30が形成され、この嵌合凹部30には第一パッキン32Aの一端が嵌合され他端が屋外側に突出している。第一パッキン32Aは例えば略U字形状を有しており、その先端側部分は樹脂縦框23の屋内側端面23aに当接されている。また、樹脂縦枠11の屋外側端面11aにおける第一パッキン32Aから離間した位置に第二パッキン33Aが突出して形成されており、図に示す例では第二パッキン33Aは断面略J字型に屈曲または湾曲した形状を有している。 なお、第一及び第二パッキン32A,33Aは例えばPVC(ポリ塩化ビニル)等の軟質材からなり、第二パッキン33Aは樹脂縦枠11と一体形成してもよく、その場合、第二パッキン33Aの部分を樹脂縦枠11より柔らかい樹脂で押し出し成形することになる。 【0019】 そして、障子3を枠体2に納めた閉鎖状態で、障子3における樹脂縦框23の屋内側端面23aに第一パッキン32Aの先端が当接しており、また第二パッキン33Aの先端部は端面26aに接触するか(図3参照)、わずかに離間した位置にある。この場合、第一パッキン32は樹脂縦框23の端面23aに強く押圧され、第二パッキン33Aは比較的軽く樹脂縦框23の端面23aに当接するか、あるいは微小間隔で離間するように設定して断熱空間を形成している。 【0020】 これによって、水平断面視で枠体2の樹脂縦枠11と樹脂縦框23と第一及び第二パッキン32A,33Aとによって断熱空間をなす空気層35Aを形成している。この空気層35Aは樹脂とパッキンとで形成されているため断熱性が高く、枠体2と障子3との間を断熱して屋外側と屋内側との間で熱の受け渡しを低減することができ、断熱性と防露性を向上させることができる。しかも、障子3を枠体2に閉鎖させた状態で、障子3の樹脂縦框23が第一及び第二パッキン32A、33Aに当接するから気密性を確保できると共に障子3の開閉作動に影響を与えない。」 (エ)【0023】 「【0023】 また、図では上述の各第一パッキン32A、32B、32Dは断面略U字状に形成されており、第二パッキン33A、33B、33Dは断面略への字状やJ字状に形成されているが、第一及び第二パッキンは任意の形状を採用することができる。枠体2に対する障子3の閉鎖状態で、第一パッキン32A、32B、32Dは強く樹脂框17に当接し、第二パッキン33A、33B、33Dは弱く樹脂框17に当接するか小さい間隔で離間していればよい。第一パッキン32A、32B、32D,第二パッキン33A、33B、33D、パッキン33Cは上述したように樹脂枠5や樹脂框17より軟質のPVC等の合成樹脂やゴム等の弾性部材からなっている。 (オ)【0026】~【0030】 「【0026】 また、図1に示すように、障子3の樹脂上框25と樹脂下框26は、屋内側において、枠体2の樹脂上枠13と樹脂下枠14に隠れた構成を有している。同様に、図2に示すように、障子3の戸先側の樹脂縦框23と吊元側の樹脂縦框24は、屋内側において、枠体2の戸先側の樹脂縦枠11と吊元側の樹脂縦枠12に隠れた構成を有している。したがって、本実施形態による縦辷り出し窓1は障子3の上下左右の框が枠体2によって屋内側で隠れる隠し框を構成する。そのため、障子3の上下左右の框は枠体2によって屋内外の熱の移動を低減できる。 【0027】 本実施形態による縦辷り出し窓1は上述の構成を備えており、次にその作用を説明する。図1及び図2に示す本実施形態による縦辷り出し窓1において、図4及び図5に示すように、枠体2に障子3を納めた閉鎖状態で、戸当たり側の樹脂縦框23の見込み面23bに設けたロック機構41の操作部44を操作してロックピン43を上下動させ、施錠位置で障子3を枠体2にロックする。 【0028】 この状態において、障子3の樹脂縦框23と枠体2の樹脂縦枠11との間では、樹脂縦框23の端面23aと樹脂縦枠11の端面11aとの間を第一及び第二パッキン32A,33Aで仕切る空気層35Aや他の空気層35B~35Dによって断熱され、屋外側と屋内側との間の熱移動が低減される。更に、障子3の樹脂框17を覆う枠体2の樹脂縦枠11、12、樹脂上枠13、樹脂下枠14に設けた複数の空気室39によっても熱移動が抑制される。 ・・・ 【0030】 上述のように本実施形態による隠し框構造の縦辷り出し窓1によれば、障子3の戸当たり側の樹脂縦框23の見込み面23bにロック機構41を設置したので、樹脂縦框23の端面23aや樹脂縦枠11にはロック機構41を装着するための加工をしない。そのため、障子3と枠体2との間の戸当たり面の水密・気密ラインに欠損を生じない。しかも、障子3の樹脂縦框23と枠体2の樹脂縦枠11との間に断熱性の高い空気層35Aを設けたから、樹脂縦框23と樹脂縦枠11との間の熱移動を低減させ、樹脂縦枠11の表面温度の低下を抑えて結露を防止できる。」 (カ)図1、図2 【図1】 [図:0001432044000004.jpg] 【図2】 [図:0001432044000005.jpg] イ 認定事項 (ア)【0013】、【0014】、【0016】の記載を踏まえると、図1及び図2から、障子3の樹脂枠17を構成する左右の樹脂縦框23、24、樹脂上框25及び樹脂下框26の屋内側端面23a、24a、25a、26aは、それぞれ、見込み方向において枠体2の左右の樹脂縦枠11、12、樹脂上枠13及び樹脂下枠14の屋外側端面11a、12a、13a、14aと対向することが看取される。(以下「認定事項A」という。) (イ)【0018】の記載を踏まえると、図2から、第一パッキン32Aから内周側に離間した位置に第二パッキン33Aが突出して形成されていることが看取される。(以下「認定事項B」という。) (ウ)【0018】の記載を踏まえると、図2から、第一パッキン及び第二パッキンの設置の態様は、樹脂縦枠12においても、樹脂縦枠11と同様であり、樹脂縦枠12の屋外側端面12aにおける第一パッキン32Bから内周側に離間した位置に第二パッキン33Bが突出して形成されていることが看取される。(以下「認定事項C」という。) ウ 甲3発明 以上を総合すると、甲第3号証には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。 <甲3発明> 「建物の躯体に形成された建物開口部に取り付けられる枠体2内に納めた障子3を吊元側の縦框回りに回転させることで外側に開放可能としており、アルミ合金等の金属と樹脂とからなる複合型であり、四角形枠状の複合型の枠体2と、枠体2に開閉可能に納められた複合型の障子3とが設置されている縦辷り出し窓1であって(【0012】)、 枠体2は、屋外側に設けられたアルミ合金等からなる四角形枠状の金属枠4とその屋内側に設けられた合成樹脂製の樹脂枠5とで構成された開口枠体を形成しており(【0013】)、 樹脂枠5は左右の金属縦枠6,7の屋内側に形成した左右の樹脂縦枠11、12と、金属上枠8の屋内側に形成した樹脂上枠13と、金属下枠9の屋内側に形成した樹脂下枠14とで構成され(【0014】)、 左右の樹脂縦枠11、12、樹脂上枠13、樹脂下枠14は断面視で複数の空気室39を縦横方向に備えた格子状部40をそれぞれ形成しており、複数の空気室39によって屋外側と屋内側との間の熱移動を低減させるようにしており(【0015】)、 障子3は、屋外側に設けられたアルミ合金等の金属からなる金属框16とその屋内側に設けられた樹脂製の樹脂框17とで構成され、樹脂框17は左右の金属縦框18,19の屋内側に形成した左右の樹脂縦框23、24と、金属上框20の屋内側に形成した樹脂上框25と、金属下框21の屋内側に形成した樹脂下框26とで構成され、障子3の四角形に枠組みされた金属框16及び樹脂框17の内部には例えば複層ガラスからなるガラス体31が嵌め込まれており(【0016】)、 障子3は、枠体2の左右の樹脂縦枠11、12、樹脂上枠13、樹脂下枠14の戸当たり面に当接することで閉鎖状態に納められ、屋外側にのみ開放可能とされており(【0017】)、 障子3の樹脂枠17を構成する左右の樹脂縦框23、24、樹脂上框25及び樹脂下框26の屋内側端面23a、24a、25a、26aは、それぞれ、見込み方向において枠体2の左右の樹脂縦枠11、12、樹脂上枠13及び樹脂下枠14の屋外側端面11a、12a、13a、14aと対向し(認定事項A)、 枠体2の樹脂縦枠11の屋外側端面11aには嵌合凹部30が形成され、この嵌合凹部30には第一パッキン32Aの一端が嵌合され他端が屋外側に突出しており、第一パッキン32Aの先端側部分は樹脂縦框23の屋内側端面23aに当接されており、樹脂縦枠11の屋外側端面11aにおける第一パッキン32Aから内周側に離間した位置に第二パッキン33Aが突出して形成されており(【0018】、認定事項B)、 樹脂縦枠12の屋外側端面12aにおける第一パッキン32Bから内周側に離間した位置に第二パッキン33Bが突出して形成されており(認定事項C)、 障子3を枠体2に納めた閉鎖状態で、障子3における樹脂縦框23の屋内側端面23aに第一パッキン32Aの先端が当接しており、また第二パッキン33Aの先端部は端面26aに接触するか、わずかに離間した位置にあり、この場合、第一パッキン32は樹脂縦框23の端面23aに強く押圧され、第二パッキン33Aは比較的軽く樹脂縦框23の端面23aに当接するか、あるいは微小間隔で離間するように設定して断熱空間を形成しており(【0019】)、 これによって、水平断面視で枠体2の樹脂縦枠11と樹脂縦框23と第一及び第二パッキン32A,33Aとによって断熱空間をなす空気層35Aを形成しており、この空気層35Aは樹脂とパッキンとで形成されているため断熱性が高く、枠体2と障子3との間を断熱して屋外側と屋内側との間で熱の受け渡しを低減することができ、断熱性と防露性を向上させることができ【0020】)、 第一及び第二パッキンは任意の形状を採用することができ、枠体2に対する障子3の閉鎖状態で、第一パッキン32Aは強く樹脂框17に当接し、第二パッキン33Aは弱く樹脂框17に当接するか小さい間隔で離間していればよく、第二パッキン33Aは合成樹脂やゴム等の弾性部材からなっており(【0023】)、 障子3の上下左右の框が枠体2によって屋内側で隠れる隠し框を構成する(【0026】)、 障子3の樹脂縦框23と枠体2の樹脂縦枠11との間では、樹脂縦框23の端面23aと樹脂縦枠11の端面11aとの間を第一及び第二パッキン32A,33Aで仕切る空気層35Aや他の空気層35B~35Dによって断熱され、屋外側と屋内側との間の熱移動が低減される(【0028】)、 隠し框構造の縦辷り出し窓1。」 2 甲2発明を主引用発明とした進歩性欠如 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明の「密封シール15」が「装着され」る「立て枠11」を備える「基枠1」は、本件発明1の「気密材が装着された枠体」に相当する。 (イ)甲2発明の「基枠1」の「内側に障子2を設けさせる」ことは、本件発明1の「障子」は「枠体内に配置される」ことに相当する。 (ウ)甲2発明の「基枠1」は、「枠部を構成する防虫網戸3を設けさせるように構成され」、「防虫網戸3」の「備え」る「網戸枠31」が「枠部を構成」することから、甲2発明の「枠部を構成する防虫網戸3」の「網戸枠31」は、本件発明1の「枠アタッチメント」に相当し、甲2発明は、本件発明1の「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され」ることに相当する構成を備える。 (エ)建具の技術分野において、枠体や障子の室内外に延びる奥行方向を「見込み」というのに対して、枠体や障子の上下ないし左右に延びる方向を「見付け」ということは技術常識であるから、甲2発明の「基枠1の備える立て枠11」において「密封シール15」を備えるのは、「見付け」方向にのびる部分であり、当該部分は「見付け片部」であるといえる。また、甲2発明において、網戸枠31は、見込み片部と延出片部とが形成する角部に配置されており、見込み片部と延出片部によって網戸枠31(枠アタッチメント)を設置する部分が構成されているといえる。 そうすると、本件発明1の「前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され」ることと、甲2発明の「基枠1の備える立て枠11は、密封シール15の内周側に位置する見込み片部と見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、網戸枠31が、見込み片部と延出片部とが形成する角部に、見込み片部と間隔を隔て、延出片部とは間隔を隔てずに配置され」ることとは、「前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され」る点で共通する。 (オ)甲2発明の「障子2」が「金属枠21」を備え、「金属枠21の屋内Iを向く見付面21aは、見込み方向において網戸枠31と対向し、密封シール15と当接」することは、本件発明1の「前記障子は、見込み方向において前記枠アタッチメントに対向し且つ前記気密材に当接する障子框」を備えることに相当する。 (カ)甲2発明の「障子2」が「金属枠21」を備え、「金属枠21に保持される複層ガラス22」を備えることは、本件発明1の「前記障子は、」「前記障子框内に配置された面材」を備えることに相当する。 (キ)甲2発明の「障子2」は「基枠1」に設けられるものであって、「障子2」の「金属枠21」が「基枠1」の「左右の立て枠11,12」及びその上下端を繋ぐ「上枠13および下枠14」に対応する「左右の縦框」と「上框」および「下框」とを備えて形成されることは技術常識である。 そうすると、本件発明1の「前記障子框は、樹脂製框材をそれぞれ有する上框、下框および左右の縦框を備え」ることと、甲2発明の「金属枠21」が「左右の縦框」、「上框」及び「下框」を有することとは、「前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え」る点で共通する。 (ク)甲2発明の「シール部材4」は、「軟質合成樹脂材」で形成され、「シール部材4の基端は、障子2側に設けられる場合」、「基端が障子2における金属枠21」に「保持され」、「先端」が「枠部」に「当接」するものであるから、「シール部材4」が「枠部」に向かって突出することは明らかであり、また、甲2発明の「枠部を構成する網戸枠31は密封シール15よりも内周側に離れた位置に形成され」るものであるから、障子2側に設けられる場合においても「シール部材4」は「気密材に当接する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成されている」ものであり、本件発明1の「前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部」に相当するといえる。 そうすると、本件発明1の「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの前記樹脂製框材は、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有」することと、甲2発明の「軟質合成樹脂材」で形成される「シール部材4」が「基端が障子2における金属枠21」に「保持され」、「先端」が「枠部」に「当接」するものであることとは、「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つは、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有」する点で共通する。 (ケ)甲2発明の「隙間S」のうち、「シール部材4」と「密封シール15」の間の部分は、「空気」の「流入」が「シール部材4」と「密封シール15」とによって抑制され、空気層が形成されているところ、空気層によって断熱がされることは技術常識であるから、本件発明1の「断熱空間」に相当し、甲2発明の「網戸枠31と障子2における金属枠21の見付面21aとの間に」「隙間S」を「出現」させ、また、「隙間S」の部分に「シール部材4」と「密封シール15」が備えられることは、本件発明1の「前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成」することに相当する。 (コ)甲2発明の「網戸枠31が枠部を構成」することは、本件発明1の「前記枠アタッチメントは、網戸枠で構成され」ることに相当する。 (サ)上記(ア)及び(イ)の対比を踏まえると、甲2発明の「開口部の構造」は、本件発明1の「建具」に相当する。 (シ)以上を総合すると、本件発明1と甲2発明は、次の一致点1で一致し、相違点1~3において相違する。 <一致点1> 「気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備え、 前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、 前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、 前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、 前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され、 前記障子は、見込み方向において前記枠アタッチメントに対向し且つ前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え、 前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え、 前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つは、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有し、 前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成し、 前記枠アタッチメントは、網戸枠で構成される 建具。」 <相違点1> 本件発明1は、前記枠アタッチメント設置部において、前記見込み片部とともに「延出片部」に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置されるのに対し、甲2発明は、「網戸枠31」は「延出片部」に対して間隔を隔てて配置されていない点。 <相違点2> 本件発明1は、「障子框」の「上框、下框および左右の縦框」は、「樹脂製框材をそれぞれ有する」と特定され、突片部をこの「樹脂製框材」が有するのに対し、甲2発明は、障子框は金属枠21であって、上框、下框および左右の縦框は、樹脂製框材をそれぞれ有するものではなく、「軟質合成樹脂材」で形成される「シール部材4」は「基端が障子2における金属枠21」に「保持され」る点。 <相違点3> 本件発明1は、「前記突片部と前記網戸枠との間には、隙間が形成される」ものであるのに対し、甲2発明は、そのように特定されていない点。 イ 判断 上記相違点1について検討する。 甲3発明は、「枠体2」の「樹脂枠5」の「左右の樹脂縦枠11、12、樹脂上枠13、樹脂下枠14」を「断面視で複数の空気室39を縦横方向に備えた格子状部40をそれぞれ形成し」、「複数の空気室39によって屋外側と屋内側との間の熱移動を低減させる」ものであるが、「複数の空気室39」は「樹脂縦枠11、12、樹脂上枠13、樹脂下枠14」内に形成されたものである。 また、甲第3号証の【図2】には、「金属縦枠6」と「樹脂縦枠11」との間について、空気室39と同様、空気の移動を抑制し得る空間が形成される様子が示されているが、「樹脂縦枠11」は「金属縦枠6」に対して見付け方向、及び見込み方向のいずれでも当接しているから、「枠アタッチメント設置部」の「見込み片部」及び「延出片部」のいずれに対しても「間隔を隔てて」「枠アタッチメント」を設置する本件発明1の構成に相当する構成が開示されているものではない。 そうすると、甲3発明は、上記相違点1に係る本件発明1の構成に相当する構成を有さない。また。【図2】を含めた甲3のその余の記載を考慮しても、甲3に、上記相違点1に係る本件発明1の構成に相当する構成が開示されているものではない。 そして、甲3発明の構成及び甲3の開示より、断熱のために空気の移動を抑制し得る空気室を設けることが知られていたとしても、甲3の開示においては、2つの部材は当接して空気室を形成しているから、たとえ甲3の開示を考慮したとしても、甲2発明において、「網戸枠31」の配置について、「立て枠11」が有する見込み片部と延出片部の角部であって網戸枠31(枠アタッチメント)が設置される部分で、「見込み片部」及び「延出片部」のいずれに対しても「間隔を隔て」たものとすることが、示唆されていたとはいえない。 また、甲1には、後記第6の1(1)イに認定する甲1発明が記載されているが、後記第6の3(1)アに対比するとおり、甲1発明は、上記相違点1に係る本件発明1の構成に相当する構成を有さない。 よって、甲2発明において、甲3発明の構成、及びその余の甲第3号証の開示や、甲1発明を考慮しても、「網戸枠31」は「延出片部」に対して間隔を隔てて配置するものとし、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人の主張 申立人は、令和7年9月12日提出の意見書において、以下の主張をしている。 訂正により請求項1の発明特定事項となった、「前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され」ることを含む本件発明1の構成について、断熱空間を設けて、断熱性を向上させることは甲第2号証に記載されている周知慣用の手段である。そして、甲第2号証(枠アタッチメントと枠の間に隙間を設けて断熱性向上)及び甲第3号証(空間を多数配置して断熱性向上)は、共に部材間に断熱空間を設けて断熱性向上を図る技術を開示している。 訂正事項の如く部材同士の間に断熱空間を設置することは自由になし得る設計事項に過ぎず、本件発明1は進歩性を有さない。(意見書5頁下から6行~6頁2行) (イ)主張の検討 上記イにおいて検討したように、申立人が主張する甲第3号証(空間を多数配置して断熱性向上)が、「複数の空気室39」についてのものであるとしても、上記イに示したように、「枠アタッチメント設置部」の「見込み片部」及び「延出片部」のいずれに対しても「間隔を隔てて」「枠アタッチメント」を設置する本件発明1の構成に相当する構成は甲第3号証に開示されていないのであるから、甲2発明において枠体に枠アタッチメント(網戸枠)を設置するにあたって、「枠体」の「見込み片部」及び「延出片部」のいずれに対して間隔を隔てて配置することは、甲第3号証の記載を考慮しても、当業者が容易に想到し得るといえるものではない。 よって、申立人の主張は、上記イの判断を左右するものではない。 エ 小括 以上のとおりであるから、相違点2及び相違点3について判断するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲3発明に基づいて、または甲2発明、甲3発明及び甲第1号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2について ア 対比 本件発明2と甲2発明とを対比する。 (ア)上記(1)ア(ア)~(ク)における本件発明1と甲2発明との対比は、本件発明2と甲2発明との対比においても同様である。 (イ)甲2発明の「金属枠21の見付面21a」は、本件発明2の「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの見付け片部」に相当する。 そして、甲2発明の「シール部材4」の「基端が金属枠21の見付面21aに保持され」ることは、本件発明2の「前記突片部は、前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの見付け片部から突出する」ことに相当する。 (ウ)甲2発明において、「シール部材4」は、「防虫網戸3と障子2との間に設けら」るものであり、上記(1)ア(ク)において示したように、「基端が金属枠21の見付面21aに保持されて先端が枠部に当接する」ものであって、「シール部材4」は、「先端」が「枠部」に対向しているといえ、また、網戸枠31(枠アタッチメント)は、「基枠1」に配置されているから、甲2発明は、本件発明2の「突片部」は、「建具の見込み方向において前記枠アタッチメントと対向」することに相当する構成を備えるといえる。 (エ)以上を総合すると、本件発明2と甲2発明は、次の一致点2で一致し、相違点1’~3’において相違する。 <一致点2> 「気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備える建具であって、 前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、 前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有し、 前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、 前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され、 前記障子は、見込み方向において前記枠アタッチメントに対向し且つ前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え、 前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え、 前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つは、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有し、 前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成し、 前記突片部は、前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの見付け片部から突出すると共に、前記建具の見込み方向において前記枠アタッチメントと対向する 建具。」 <相違点1’> 本件発明2は、前記枠アタッチメント設置部において、前記見込み片部とともに「延出片部」に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置されるのに対し、甲2発明は、「枠アタッチメント」は「延出片部」に対して間隔を隔てて配置されていない点。 <相違点2’> 本件発明2は、「障子框」の「上框、下框および左右の縦框」は、樹脂製框材をそれぞれ有する」と特定され、突片部をこの「樹脂製框材」が有するのに対し、甲2発明は、障子框は金属枠21であって、上框、下框および左右の縦框は、樹脂製框材をそれぞれ有するものではなく、「軟質合成樹脂材」で形成される「シール部材4」は「基端が障子2における金属枠21」に「保持され」る点。 <相違点3’> 本件発明2は、「前記突片部と前記枠アタッチメントとの間には、隙間が形成される」ものであるのに対し、甲2発明は、そのように特定されていない点。 イ 判断 上記相違点1’は、上記(1)ア(シ)の相違点1と同様の点であり、上記相違点1については、上記(1)イにおいて検討したのと同様であり、甲2発明において、甲3発明の構成、及びその余の甲第3号証の開示や、甲1発明を考慮しても、相違点1’に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、相違点2’及び相違点3’について判断するまでもなく、本件発明2は、甲2発明及び甲3発明に基づいて、または甲2発明、甲3発明及び甲第1号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 取消理由を通知しなかった特許異議申立理由についての当審の判断 1 証拠について (1)甲第1号証 ア 記載事項 甲第1号証は、本件特許の原出願である特願2019-115261号(以下「原出願」という。)の出願前に公開された特許公開公報である。 甲第1号証には、平成31年2月1日提出の手続補正書が掲載されており、以下の事項が記載されている。図面は、当初の図面である。 (ア)特許請求の範囲 「【請求項1】 枠と、障子とを備え、障子の室内側面と枠の室外側面との間の空間の内周側において、障子と枠の間に設けた軟質の突出片により間口を狭めて隙間を形成し、屋外の冷気を滞留させるための空間を形成してあることを特徴とする開口部建材。 【請求項2】 前記空間の外周側において枠と障子との間に当接状態で配置されるタイト材を有することを特徴とする請求項1記載の開口部建材。」 (イ)発明の効果 【発明の効果】 「【0007】 請求項1記載の発明による開口部建材は、障子の室内側面と枠の室外側面との間の空間の内周側において、障子と枠の間に設けた軟質の突出片により間口を狭めて隙間を形成し、屋外の冷気を滞留させるための空間を形成してあることで、屋外の冷気が居住空間まで伝わりにくくなり、断熱性能が向上する。 【0008】 請求項2記載の発明による開口部建材は、前記空間の外周側において枠と障子との間に当接状態で配置されるタイト材を有することで、前記空間の外周側がタイト材で塞がれるため、断熱性能がさらに向上する。」 (ウ)発明を実施するための形態 「【発明を実施するための形態】 【0010】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~4は、本発明の開口部建材の第1実施形態であって、住宅用のたてすべり出し窓を示している。本開口部建材は、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1に開閉自在に支持した障子2とを備えている。 【0011】 枠1は、図1,2に示すように、上枠3と下枠4と竪枠5,6とを枠組みして構成してある。上枠3と下枠4と竪枠5,6は、それぞれアルミニウム合金の押出形材よりなる金属枠部7,8,9,10と、金属枠部7,8,9,10の室内側の内周部に取付けた樹脂の押出形材よりなる室内側樹脂枠部11,12,13,14とで構成されている。 障子2は、アルミニウム合金の押出形材よりなる上框15と下框16と竪框17,17とを四周框組みし、各框の内周側に形成した溝18内に複層ガラス19をグレチャン20を介して嵌め込んである。障子2は、上枠3の金属枠部7と上框15の間と、下枠4の金属枠部8と下框16の間に配置されたフリクションステー21a,21bにより枠1と連結され、図4に示すように、戸先側にスライドしながら縦軸回りに90°回動して開くようになっている。障子2の開閉操作は、図3に示すように、下枠4の室内側樹脂枠部12の室内側面に設けたオペレータハンドル22を操作して行う。 【0012】 各金属枠部7,8,9,10は、図1,2に示すように、室内外方向の中間部に内周側に突出してタイト材ホルダー23が設けてあり、タイト材ホルダー23に室外側に向けてタイト材25が取付けてある。タイト材25は、障子2の框15,16,17の室内側面の外周縁部に当接している。 【0013】 各室内側樹脂枠部11,12,13,14は、金属枠部7,8,9,10のタイト材ホルダー23の室内側に内周側に突出して設けられ、枠1の室内側の見えがかりの部分を覆っている。各室内側樹脂枠部11,12,13,14は、矩形断面の中空部26と、中空部26の外周側の壁を室内側に延出して設けたアングル部27と、中空部26の内周側の壁を室外側に延出して設けた突出片28と、金属枠部7,8,9,10に係止する複数の係止爪29a,29b,29cとを有している。突出片28は、框15,16,17の室内側壁の内周縁30から5~10mm程度内周側に離間して位置し、突出片28の先端と障子2のガラス面31との間には3mm程度の隙間32が設けてある。突出片28の先端部28aは、軟質樹脂で形成してある。この軟質樹脂部分は、他の硬質樹脂部分と一体に押出成形(いわゆる二色成形)して設けている。 枠1の室内側の内周部にこのような室内側樹脂枠部11,12,13,14を設けることで、障子2の框15,16,17が室内側から見て見えないように隠されると共に、障子2の框15,16,17と室内側樹脂枠部11,12,13,14との間に、間口が狭く奥行が深い空間33を形成している。 【0014】 四周の室内側樹脂枠部11,12,13,14のうち下枠4の室内側樹脂枠部12は、図1に示すように、外周側部12aと内周側部12bとに分割して形成してある。このように下枠4の室内側樹脂枠部12を分割構造とすることで、オペレータハンドル22を取付けたり、オペレータハンドル22の動きをフリクションステー21bに伝える連動機構を設置したりするための加工が容易に行える。 ・・・ 【0016】 以上に述べたように本開口部建材は、枠1の室内側の内周部に室内側樹脂枠部11,12,13,14を設け、室内側樹脂枠部11,12,13,14は内周側面35に室外側に突出する突出片28を有し、突出片28は障子2の框15,16,17よりも内周側に位置していることで、障子2の框15,16,17が室内側樹脂枠部11,12,13,14で隠れるため、内観の見栄えが良い。さらに、突出片28の先端と障子2のガラス面31との間に隙間32が設けてあることで、図1に示すように、上框15やガラス面31等に生じた結露水37を、図中の矢印38a,38bで示すように、突出片28で堰き止めることなく流下させられ、下枠4上面(室内側樹脂枠部12の内周側面35)に結露水が滞留することがない。なお、流下した結露水は、下枠4と下框16とをシールしているタイト材25の上に滞留するが、障子2を開ければ室外に排水されるし、障子2を開けなくてもそのうちに蒸発してなくなる。 さらに本開口部建材は、室内側樹脂枠部11,12,13,14の突出片28により、障子2の框15,16,17と室内側樹脂枠部11,12,13,14との間に間口が狭く奥行の深い空間33を設けており、しかもその空間33の入り口部分33aがジグザグした形になっているため、アルミ製の框15,16,17を伝わる室外の冷気がこの空間33に滞留し、居住空間まで冷気が伝わりにくくなるため、断熱性能が向上する。また、暴風時にタイト材25を超えて噴出した雨水は、前記空間33を上昇するうちに運動エネルギーが低下して室内側に漏水しにくくなるので、水密性能も向上する。 また、室内側樹脂枠部11,12,13,14の突出片28の先端部28aを軟質樹脂で形成したことで、暴風時にガラス19が室内側に変形したり、障子2を乱暴に閉鎖したりしたときに、突出片28がガラス面31と接触したとしても、ガラス19の破損を防止することができ、前述の排水・断熱・水密性能をそのまま維持することができる。 突出片28は、框15,16,17の室内側壁の内周縁30から5~10mm程度内周側に離間しているため、図4中に二点鎖線で示すように、障子2が開き始める際に障子2が戸先側にスライドしても、突出片28が戸尻側の竪框17と干渉することがなく、障子2の開閉が妨げられない。 さらに本開口部建材は、内観視で障子2の框15,16,17が見えないばかりか、室内側樹脂枠部11,12,13,14とガラス19との間に質感や色の異なるシール材が無いため、内観意匠をより一層向上することができる。」 (エ)図1、図2 【図1】 [図:0001432044000006.jpg] 【図2】 [図:0001432044000007.jpg] イ 甲1発明 以上を総合すると、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 <甲1発明> 「躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1に開閉自在に支持した障子2とを備えたたてすべり出し窓であって(【0010】、 枠1は、上枠3と下枠4と竪枠5,6とを枠組みして構成してあり、上枠3と下枠4と竪枠5,6は、それぞれアルミニウム合金の押出形材よりなる金属枠部7,8,9,10と、金属枠部7,8,9,10の室内側の内周部に取付けた樹脂の押出形材よりなる室内側樹脂枠部11,12,13,14とで構成されており、 障子2は、アルミニウム合金の押出形材よりなる上框15と下框16と竪框17,17とを四周框組みし、各框の内周側に形成した溝18内に複層ガラス19を嵌め込んであり(【0011】)、 各金属枠部7,8,9,10は、タイト材ホルダー23が設けてあり、タイト材ホルダー23に室外側に向けてタイト材25が取付けてあり、タイト材25は、障子2の框15,16,17の室内側面の外周縁部に当接しており(【0012】)、 各室内側樹脂枠部11,12,13,14は、金属枠部7,8,9,10のタイト材ホルダー23の室内側に内周側に突出して設けられ、矩形断面の中空部26と、中空部26の内周側の壁を室外側に延出して設けた突出片28と、を有しており、突出片28の先端と障子2のガラス面31との間には3mm程度の隙間32が設けてあり(【0013】)、 四周の室内側樹脂枠部11,12,13,14のうち下枠4の室内側樹脂枠部12は、外周側部12aと内周側部12bとに分割して形成してあり、下枠4の室内側樹脂枠部12を分割構造とすることで、オペレータハンドル22を取付けたり、オペレータハンドル22の動きをフリクションステー21bに伝える連動機構を設置したりするための加工が容易に行え(【0014】)、 枠1の室内側の内周部に室内側樹脂枠部11,12,13,14を設け、室内側樹脂枠部11,12,13,14は内周側面35に室外側に突出する突出片28を有し、突出片28は障子2の框15,16,17よりも内周側に位置していることで、障子2の框15,16,17が室内側樹脂枠部11,12,13,14で隠れるため、内観の見栄えが良く、突出片28の先端と障子2のガラス面31との間に隙間32が設けてあることで、上框15やガラス面31等に生じた結露水37を、突出片28で堰き止めることなく流下させられ、下枠4上面に結露水が滞留することがなく、室内側樹脂枠部11,12,13,14の突出片28により、障子2の框15,16,17と室内側樹脂枠部11,12,13,14との間に間口が狭く奥行の深い空間33を設けており、アルミ製の框15,16,17を伝わる室外の冷気がこの空間33に滞留し、居住空間まで冷気が伝わりにくくなるため、断熱性能が向上する(【0016】)、 たてすべり出し窓。」 (2)甲第2号証及び甲第3号証 甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項及び発明は、上記第5の1(1)(2)に示したとおりである。 2 甲第2号証を主たる証拠とした新規性欠如 (1)本件発明1及び2について 上記第5の2で検討したとおり、本件発明1及び2と甲2発明とを対比すると、それぞれ、相違点1~3及び相違点1’~3’で相違し、これら相違点は実質的な相違点であるから、本件発明1及び2は甲2号証に記載された発明ではない。 (2)本件発明3について ア 対比 本件発明3と甲2発明とを対比する。 (ア)上記第5の2(1)ア(ア)~(ウ)、(オ)、(カ)、(ケ)及び(サ)における本件発明1と甲2発明との対比は、本件発明3と甲2発明との対比においても同様である。 (イ)甲2発明の「障子2」は「基枠1」に設けられるものであって、「障子2」の「金属枠21」が「基枠1」の「左右の立て枠11,12」及びその上下端を繋ぐ「上枠13および下枠14」に対応する「左右の縦框」と「上框」および「下框」とを備えて形成されることは技術常識である。 そうすると、甲2発明の「障子2」が「左右の立て枠11,12と、この左右の立て枠11,12の上下端を繋ぐ上枠13および下枠14とを備えて形成され」る「基枠1」に設けられるものであることは、本件発明3の「前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え」ることに相当するといえる。 (ウ)甲2発明の「枠部を構成する網戸枠31は密封シール15よりも内周側に離れた位置に形成され」、かつ、「シール部材4の基端は、障子2側に設けられる場合」、「基端が障子2における金属枠21」に「保持され」、「先端」が「枠部」に「当接」する「シール部材4」は、本件発明3の「前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した突片部」に相当するといえる。 そして、上記(イ)の対比を踏まえると、甲2発明の「障子2」は「上框、下框および左右の縦框を備え」るものであって、「シール部材4」が「障子2側に設けられる場合」に「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つ」に設けられることは明らかであるから、甲2発明は、本件発明3の「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つは、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した突片部を有し」に相当する構成を備える。 (エ)以上を総合すると、本件発明3と甲2発明は、次の一致点3で一致し、相違点4において相違する。 <一致点3> 「気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備え、 前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、 前記障子は、見込み方向において前記枠アタッチメントに対向し且つ前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え、 前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え、 前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つは、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した突片部を有し、 前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成する 建具」 <相違点4> 本件発明3は、「前記突片部は、前記枠アタッチメントよりも内周側の位置から当該枠アタッチメント側に向かって斜めに突出」するのに対し、甲2発明はそのように特定されていない点。 イ 判断 甲第2号証において、図3に示されるシール部材4は、網戸枠31がシール部材4の基端の保持し、先端が複層ガラス22の屋内Iを向く面に当接されるものであるため、斜めに突出しているものである。また、段落【0057】に「上記したところは、シール部材4の基端が枠部に設けられる場合であるが、前記したように、シール部材4の基端は、障子2側に設けられるとしても良く」と記載されており、甲第2号証の記載に基づいて、シール部材4の基端を、障子2側に設けることはできるといえる。 しかし、甲第2号証は、図3に示される具体的な例において障子2側にシール部材4の基端を設けることを示すものではなく、図3においてシール部材3の先端となっている部分は、網戸枠31の内周側であるものの「複層ガラス22」であってシール部材4の基端を取り付けられるものではないから、仮に図3に示されるシール部材4を障子2側に設けるとしても、網戸枠31よりも内周側の位置から当該網戸枠31側に向かって斜めに突出するようになることが明白であるとはいえない。 以上のとおりであり、上記相違点4は、実質的な相違点であるから、本件発明3は、甲第2号証に記載された発明ではない。 ウ 小括 本件発明3は、甲第2号証に記載された発明ではない。 3 甲第1号証を主たる証拠とした新規性欠如及び進歩性欠如 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「上枠3と下枠4と竪枠5,6とを枠組みして構成してあ」る「枠1」であって、「上枠3と下枠4と竪枠5,6」の「金属枠部7,8,9,10」に「設け」た「タイト材ホルダー23」に「タイト材25が取付けてある」「枠1」は、本件発明1の「気密材が装着された枠体」に相当する。 (イ)甲1発明の「枠1に開閉自在に支持した障子2」は、「障子2」が「枠1」内に配置されることは明らかであるから、本件発明1の「前記枠体内に配置される障子」に相当する。 (ウ)上記(ア)の対比を踏まえると、本件発明1の「前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有」することと、甲1発明の「枠1」の「金属枠部7,8,9,10」に「タイト材ホルダー23が設けてあり、タイト材ホルダー23に室外側に向けてタイト材25が取付けてある」こととは、「前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部」を有する点で共通する。 (エ)本件発明1の「前記障子は、見込み方向において前記枠アタッチメントに対向し且つ前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え」ることと、甲1発明の「障子2」は、「上框15と下框16と竪框17,17とを四周框組みし、各框の内周側に形成した溝18内に複層ガラス19を嵌め込んであり」、「タイト材25は、障子2の框15,16,17の室内側面の外周縁部に当接して」いることとは、「前記障子は、前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え」る点で共通する。 (オ)本件発明1の「前記障子框は、樹脂製框材をそれぞれ有する上框、下框および左右の縦框を備え」ることと、甲1発明の「障子2は、アルミニウム合金の押出形材よりなる上框15と下框16と竪框17,17とを四周框組みし」ていることとは、「前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え」る点で共通する。 (カ)本件発明1の「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの前記樹脂製框材は、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有」することと、甲1発明の「室内側樹脂枠部11,12,13,14」の「内周側面35」から「突出」する「突出片28」を有し、「突出片28は障子2の框15,16,17よりも内周側に位置している」こととは、「室内側樹脂枠部11,12,13,14」から突出する「突出片28」が樹脂製であることは明らかであり、また、「障子2の框15,16,17よりも内周側に位置」する「突出片28」が、「タイト材25」よりも内周側に位置することは明らかであるから、「前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され」る「樹脂製の突片部を有」する点で共通する。 (キ)甲1発明の「室内側樹脂枠部11,12,13,14の突出片28により、障子2の框15,16,17と室内側樹脂枠部11,12,13,14との間に間口が狭く奥行の深い空間33を設けており」、「断熱性能が向上する」ことは、「突出片28」が「各室内側樹脂枠部11,12,13,14」とともに「タイト材ホルダー23の室内側に内周側に突出して設けられ」ており、「タイト材ホルダー23」に取付けてある「タイト材25」との間に「空間33」を形成することが明らかであることを踏まえると、本件発明1の「前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成」することに相当する。 (ク)甲1発明の「たてすべり出し窓」は、本件発明1の「建具」に相当する。 (ケ)以上を総合すると、本件発明1と甲1発明は、次の一致点1Aで一致し、相違点1A~6Aにおいて相違する。 <一致点1A> 気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備え、 前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部を有し、 前記障子は、前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え、 前記障子框は、上框、下框および左右の縦框を備え、 前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成された樹脂製の突片部を有し、 前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成する、 建具。 <相違点1A> 本件発明1は、「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され」ているのに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。 <相違点2A> 枠体が、本件発明1は、前記気密材が装着された見付け片部とともに「前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部と」を有し、「前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され」ているのに対し、甲1発明は、枠体が「前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部と」を備えず、また、枠アタッチメントを設置するものではないことから、「前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され」るものではない点。 <相違点3A> 障子が備える障子框について、本件発明1は、「見込み方向において前記枠アタッチメントに対向」するものであるのに対し、甲1発明は、枠アタッチメントを設置するものではないことから、「見込み方向において前記枠アタッチメントに対向」するものではない点。 <相違点4A> 前記障子框の備える上框、下框および左右の縦框が、本件発明1は、「樹脂製框材をそれぞれ有する」のに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。 <相違点5A> 突片部について、本件発明1は、「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの前記樹脂製框材」が「有」する、「前記枠アタッチメント側に向かって突出した」ものであるのに対し、甲1発明は、「樹脂製框材」を備えるものではなく、また、「突出片28」は、「枠1」の「室内側樹脂枠部11,12,13,14」に形成されるものであって、框材が有するものではなく、そのため、「当接位置」も框材が有するものではなく、また、枠アタッチメントを設置するものではないことから、前記枠アタッチメント側に向かって突出したものでもない点。 <相違点6A> 本件発明1は、「前記枠アタッチメントは、網戸枠で構成され、前記突片部と前記網戸枠との間には、隙間が形成される」と特定されるのに対し、甲1発明は、枠アタッチメントを設置するものではないことから、そのような構成を備えない点。 イ 判断 (ア)相違点1Aについて a まず、上記相違点1Aを相違点としたことについて、確認する。 本件発明1は、「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され」るものである。 また、本件明細書等には、「枠アタッチメント」について、特段の定義はないが、本件明細書等における実施例においては、「枠アタッチメント」として「網戸枠」または網戸4が不要のため設置されないときに設置される「塞ぎ部材17」が例示される。 ここで、「アタッチメント」は、一般に「器具・機械の付属品」を意味する(広辞苑第3版)。また、「設置」は、一般に「もうけおくこと。ある目的のために機関・施設などをつくること。」を意味する(広辞苑第3版)。 そして、本件明細書等における「網戸枠」や「塞ぎ部材17」は、「枠体」とは別の部材であって「付属品」といえるものであり、「枠」にもうけおかれるものであるから、「アタッチメント」及び「設置」を上記一般的な意味ととらえて整合する。 そうすると、本件発明1の「アタッチメント」及び「設置」は、一般的な意味の「付属品」及び「もうけおくこと」を意味すると理解できる。 b そうすると、甲1発明は、「枠アタッチメント」に相当するといえる「枠1」に「設置」される部品を備えるものではない。 申立人は、異議申立書に添付した甲第1号証の【図1】及び手続補正書中の明細書の【0014】において「内周側部12b」に引き出し線で「枠アタッチメント相当」と記載しており、甲1発明の「室内側樹脂枠部12」の「内周側部12b」が本件発明1の「枠アタッチメント」に相当すると主張していると認められる。 しかし、「内周側部12b」は、「室内側樹脂枠部12」の「内周側部12b」であって、「アルミニウム合金の押出形材よりなる金属枠部7,8,9,10と、金属枠部7,8,9,10の室内側の内周部に取付けた樹脂の押出形材よりなる室内側樹脂枠部11,12,13,14とで構成されて」いる「枠1」の一部であるから、「枠1」に「設置」される「付属品」である「枠アタッチメント」といえるものではない。 よって、上記相違点1Aは、本件発明1と甲1発明との相違点である。 c また、仮に甲1発明の「室内側樹脂枠部12」の「内周側部12b」が本件発明1の「枠アタッチメント」に相当するという場合、甲1発明の「突出片28」は、「枠1」の「室内側樹脂枠部11,12,13,14」に形成されるものであって、「室内側樹脂枠部12」の「内周側部12b」を「枠アタッチメント」とした場合に、これをさらに「枠アタッチメント側に向かって突出したもの」とすることはできない。 (イ)相違点2Aについて 相違点2Aは、上記第5の2(1)アで対比した甲2発明との相違点1と同様の点であり、相違点1について、同イ及びウで説示したとおり、相違点2Aに相当する構成は甲2及び甲3に開示されておらず、甲2及び甲3を考慮しても想到容易でない。 (ウ)相違点5Aについて 甲1発明の「突出片28」は、「突出片28は障子2の框15,16,17よりも内周側に位置していることで、障子2の框15,16,17が室内側樹脂枠部11,12,13,14で隠れるため、内観の見栄えが良く、突出片28の先端と障子2のガラス面31との間に隙間32が設けてあることで、上框15やガラス面31等に生じた結露水37を、突出片28で堰き止めることなく流下させられ」るものであるから、「枠」に設けて「ガラス面31」へと突出させることに技術的意義を有するものである。そうすると、甲第2号証に「シール部材4の基端は、障子2側に設けられるとしても良」いとの記載があるとしても、甲1発明の「突出片28」を「室内側樹脂枠部12」ではなく「框材」が有するものとし、その上で「前記枠アタッチメント側に向かって突出した」ものとする動機付けはなく、むしろ阻害要因を有するものである。 この点については、甲1発明において、甲3発明を考慮した場合にも、同様である。 (エ)申立人は、甲1発明に甲2発明の網戸枠を枠アタッチメントとして付加することが当業者が容易になし得たことであるとしているが、上記(ウ)に示したのと同様、甲1発明は、「突出片28」を「枠」に設けて「ガラス面31」へと突出させることに技術的意義を有するのであるから、甲1発明において、甲2発明の網戸枠を枠アタッチメントとして付加した際に、「突出片28」を「防虫網戸3と障子2との間に設けられるシール部材4」として設けるにあたって「突出片28」を「框材」が有するものとし、「前記枠アタッチメント側に向かって突出した」ものとすることが、当業者が容易になし得たこととはいえない。 (オ)以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明から、または甲1発明、甲2発明及び甲3発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明に基づいて、または甲1発明、甲2発明及び甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1と同様の、 「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、」 「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの樹脂製框材は、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有し、」との発明特定事項を有するから、そして、本件発明1と甲1発明との相違点1A、相違点2A及び相違点5Aと同様の相違点を有する。 そして、相違点1A、相違点2A及び相違点5Aは実質的な相違点であるから、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明ではなく、上記(2)で検討したのと同様の理由により、本件発明2は、甲1発明及び甲2発明に基づいて、または甲1発明、甲2発明及び甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3について 本件発明3は、 「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され、」 「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つは、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した突片部を有し、」との発明特定事項を有する。 当該発明特定事項は、本件発明3において、框材及び突片部が「樹脂製」である特定がないこと以外、本件発明1の発明特定事項と同様である。 そうすると、(1)における、本件発明1と甲1発明との相違点1A及び5Aが、甲1発明及び甲2発明から当業者が容易になし得たことではないとしたのと同様の理由により、本件発明3も、甲1発明及び甲2発明から当業者が容易になし得たものではない。 この点については、甲1発明において、甲3発明を考慮した場合にも、同様である。 4 甲第3号証を主たる証拠とした進歩性欠如 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 (ア)甲3発明の「第一パッキン32A」が「嵌合され」る「嵌合凹部30」が「形成され」る「樹脂縦枠11」を備える「枠体2」は、第一パッキンが装着されたものとなることは明らかであるから、本件発明1の「気密材が装着された枠体」に相当する。 (イ)甲3発明の「枠体2に開閉可能に納められた」「障子3」は、本件発明1の「枠体内に配置される障子」に相当する。 (ウ)本件発明1の「前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部と、前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部とを有」することと、甲3発明の「枠体2」が、「第一パッキン32A」が「嵌合され」る「嵌合凹部30が形成され」る「樹脂縦枠11の屋外側端面11a」を有することとは、「前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部を有」する点で共通する。 (エ)本件発明1の「前記障子は、見込み方向において前記枠アタッチメントに対向し且つ前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え」ることと、甲3発明の「障子3」が、「金属框16」と「樹脂框17とで構成され」、「樹脂框17」は、「左右の樹脂縦框23、24」と、「樹脂上框25」と、「樹脂下框26とで構成され」、「第一パッキン32Aの先端側部分は樹脂縦框23の屋内側端面23aに当接されており、」「障子3の四角形に枠組みされた金属框16及び樹脂框17の内部には例えば複層ガラスからなるガラス体31が嵌め込まれて」いることとは、「前記障子は、前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え」る点で共通する。 (オ)甲3発明の「障子3の四角形に枠組みされた金属框16及び樹脂框17」が、「左右の金属縦框18,19の屋内側に形成した左右の樹脂縦框23、24と、金属上框20の屋内側に形成した樹脂上框25と、金属下框21の屋内側に形成した樹脂下框26とで構成され」ることは、本件発明3の「前記障子框は、樹脂製框材をそれぞれ有する上框、下框および左右の縦框を備え」ることに相当する。 (カ)本件発明1の「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの前記樹脂製框材は、前記気密材に対する当接位置よりも内周側に離れた位置に形成され且つ前記枠アタッチメント側に向かって突出した樹脂製の突片部を有」することと、甲3発明の「樹脂縦枠11の屋外側端面11aにおける第一パッキン32Aから内周側に離間した位置に第二パッキン33Aが突出して形成されて」おり、「第二パッキン33Aは合成樹脂やゴム等の弾性部材からなって」いることとは、「前記気密材よりも内周側に離れた位置に形成された樹脂製の突片部を有」する点で共通する。 (キ)甲3発明の「枠体2の樹脂縦枠11と樹脂縦框23と第一及び第二パッキン32A,33Aとによって断熱空間をなす空気層35Aを形成して」いることは、本件発明1の「前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成」していることに相当する。 (ク)甲3発明の「縦辷り出し窓1」は、本件発明1の「建具」に相当する。 (ケ)以上を総合すると、本件発明1と甲3発明は、次の一致点1Bで一致し、相違点1B~5Bにおいて相違する。 <一致点1B> 気密材が装着された枠体と、前記枠体内に配置される障子とを備え、 前記枠体は、前記気密材が装着された見付け片部を有し、 前記障子は、前記気密材に当接する障子框と、前記障子框内に配置された面材とを備え、 前記障子框は、樹脂製框材をそれぞれ有する上框、下框および左右の縦框を備え、 前記気密材よりも内周側に離れた位置に形成された樹脂製の突片部を有し、 前記突片部は、前記障子が前記枠体内に配置された状態で前記気密材との間に断熱空間を形成する 建具。 <相違点1B> 本件発明1は、「前記枠体には、枠アタッチメントが設置され」ているのに対し、甲3発明は、そのように特定されていない点。 <相違点2B> 枠体が、本件発明1は、前記気密材が装着された見付け片部とともに「前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部と」を有し、「前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され」ているのに対し、甲3発明は、枠体が「前記気密材よりも内周側に位置する見込み片部と、前記見込み片部から内周側に延出した延出片部と」を備えず、また、枠アタッチメントを設置するものではないことから、「前記見込み片部および前記延出片部によって枠アタッチメント設置部が構成され、前記枠アタッチメント設置部には、前記見込み片部および前記延出片部に対して間隔を隔てて前記枠アタッチメントが配置され」るものではない点。 <相違点3B> 障子が備える障子框について、本件発明1は「見込み方向において前記枠アタッチメントに対向」するものであるのに対し、甲3発明は、枠アタッチメントを設置するものではないことから、「見込み方向において前記枠アタッチメントに対向」するものではない点。 <相違点4B> 突片部について、本件発明1は、「前記上框、前記下框および前記左右の縦框のうちの少なくとも一つの前記樹脂製框材」が「有」する、気密材に対する「当接位置」よりも内周側で、「前記枠アタッチメント側に向かって突出した」ものであるのに対し、甲3発明の「第二パッキン33A」は、「枠体2の樹脂縦枠11」に形成されるものであって、樹脂製框材が有するものではなく、そのため、気密材に対する「樹脂製框材」の「当接位置」よりも内周側に「第二パッキン33A」が形成されるものではなく、また、枠アタッチメントを設置するものではないことから、「第二パッキン33A」は、前記枠アタッチメント側に向かって突出したものでもない点。 <相違点5B> 本件発明1は、「前記枠アタッチメントは、網戸枠で構成され、前記突片部と前記網戸枠との間には、隙間が形成される」と特定されるのに対し、甲3発明は、枠アタッチメントを設置するものではないことから、そのような構成を備えない点。 イ 判断 (ア)上記相違点1Bについて a 上記アにおいて対比したように、甲3発明は、枠体に、枠アタッチメントが設置されたものではない。 b 申立人は、「樹脂枠11(枠アタッチメント相当)」(申立書15頁6行)と記載しており、甲3発明の「樹脂枠11」が本件発明1の「枠アタッチメント」に相当すると主張していると認められる。 c しかし、甲3発明は、「枠体2は、・・・四角形枠状の金属枠4とその屋内側に設けられた合成樹脂製の樹脂枠5とで構成された開口枠体を形成しており・・・樹脂枠5は左右の金属縦枠6,7の屋内側に形成した左右の樹脂縦枠11、12と、金属上枠8の屋内側に形成した樹脂上枠13と、金属下枠9の屋内側に形成した樹脂下枠14とで構成され」たものとしている。そうすると、合成樹脂製の樹脂枠5の「樹脂縦枠11」は、「枠体2」の一部であるから、上記3(1)イ(ア)において確認した「アタッチメント」と「設置」の意味を考慮すると、「枠体」に設置される「枠アタッチメント」といえるものではない。 d また、仮に甲3発明の「樹脂縦枠11」が本件発明1の「枠アタッチメント」に相当するとした場合、甲3発明の「第一パッキン32A」は、「樹脂縦枠11」に設けられているから、甲3発明の「気密材が装着された枠体」を備える構成と対比すると、「気密材」を「枠体」ではなく、「枠アタッチメント」が備えるものとなり、この点が新たな相違点となるが、甲3発明において「第一パッキン32A」を「樹脂縦枠11」ではなく「金属枠4」の「金属縦枠6」が備えるものとすることは当業者が容易になし得たこととはいえない。 (イ)上記相違点2Bについて 上記第5の2(1)アで対比したとおり、甲2発明は、上記相違点2Bに係る構成のうち、「枠アタッチメント」が「枠体」の「枠アタッチメント設置部」を構成する「見込み片部」及び「延出片部」のいずれに対しても「間隔を隔てて」配置される構成を有さない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲3発明及び甲2発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2について 本件発明2と甲3発明とを対比すると、両者は、本件発明1と甲3発明との相違点1B及び2Bと同様の相違点において少なくとも相違する。 そして、相違点1B及び2Bについては、上記(1)イにおいて検討したとおり、甲3発明及び甲2発明から当業者が容易になし得たことではない。 したがって、本件発明2は、他の相違点について検討するまでもなく、甲3発明及び甲2発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3について ア 対比 上記(1)アにおける本件発明1と甲3発明との対比を踏まえて本件発明3と甲3発明とを対比すると、両者は、少なくとも以下の相違点6Bで相違する。 <相違点6B> 本件発明3は、「前記突片部は、前記枠アタッチメントよりも内周側の位置から当該枠アタッチメント側に向かって斜めに突出」するのに対し、甲3発明は、「第二パッキン33A」は「樹脂縦枠11」から「突出して形成され」ており、また、「枠体」に設置される「枠アタッチメント」を備えていないため、「前記突片部は、前記枠アタッチメントよりも内周側の位置から当該枠アタッチメント側に向かって斜めに突出」するものではない点。 イ 判断 上記相違点6Bについて検討する。 (ア)上記(1)イ(ア)において検討したように、甲3発明の「樹脂縦枠11」は、上記3(1)イ(ア)において確認した「アタッチメント」と「設置」の意味を考慮すると、本件発明3の「枠アタッチメント」に相当するものではなく、甲3発明は枠体に、枠アタッチメントが設置されたものではない。 (イ)また、甲3発明に「枠アタッチメント」として甲2発明の「網戸枠31」を採用するとしても、枠体にどのように配置するのか不明であるし、甲2発明も甲3発明も、「突片部」を有するべき「障子框」が「枠アタッチメント」よりも内周側に存在しないのであるから、適用の際に「突片部」を「枠アタッチメントよりも内周側の位置から当該枠アタッチメント側に向かって斜めに突出」することが適宜なし得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人の主張 申立人は、本件発明3について、申立書(15頁最下行~16頁7行)において以下の主張をする。 甲2の図3の斜めに突出したシール部材4を甲2【0057】「シール部材4の基端は、障子2側に設け」るように設置すれば必然的に「前記突片部は、前記枠アタッチメントよりも内周側の位置から当該枠アタッチメント側に向かって斜めに突出」する構成を充足する。なお、枠と框の内周側への突出寸法に差がある場合など必要があれば、框に設けた突片部を枠の内周側に向けて傾斜させることは設計的事項にすぎない。 (イ)主張の検討 甲2の図3のシール部材4は、網戸枠31に基端を設け、シール部材4の先端がガラスに当接するように配置されることから、防虫網32との干渉やガラスの位置を考慮した際に好適な配置となっていると認められる。 しかし、甲3発明に甲2発明の網戸枠を採用した場合に、網戸枠がどのような配置となるかは不明であるし、甲第2号証の図3においても、網戸枠よりも内周側に框が存在しないのであるから、「突片部」を「枠アタッチメントよりも内周側の位置から当該枠アタッチメント側に向かって斜めに突出」することが、甲第2号証の図3から必然的に導きだされるといえるものではない。 申立人は、枠と框の内周側への突出寸法に差がある場合など必要があれば、框に設けた突片部を枠の内周側に向けて傾斜させることは設計的事項にすぎない旨主張するが、上記したとおり、相違点6Bは、「前記突片部は、前記枠アタッチメントよりも内周側の位置から当該枠アタッチメント側に向かって斜めに突出」するものであるから、框に設けた突片部を枠の内周側に向けて傾斜させるのみで足りるものではない。 また、甲3発明は「障子3の上下左右の框が枠体2によって屋内側で隠れる隠し框」を構成するものであるから、仮に甲3発明において甲2発明のような「網戸枠」を追加するとしても、「隠し框構造」である甲3発明において、框を枠側の部材よりも内周側に延ばす動機はなく、框を内周側とした上で、さらに申立人が主張するような改変を加えて「網戸枠」に向かって斜めに突出する部材を設け、相違点6Bに係る本件発明3の「突片部」を「枠アタッチメントよりも内周側の位置から当該枠アタッチメント側に向かって斜めに突出」する構成に相当する構成とすることが設計事項であるとはいえない。 以上のとおりであるから、申立人の主張は、上記イの判断を左右するものではない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件発明3は、他の相違点について検討するまでもなく、甲3発明及び甲2発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1~3に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。 さらに他に本件発明1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700870

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