特許異議申立
2022-701092
木質積層ボード
- 審判番号
- 2022-701092
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-025316
- 登録番号
- 7064630
- 請求日
- 2022年11月10日
- 審決日
- 2023年02月15日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】大建工業株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人前田特許事務所
- 【異議申立人】脇谷 治義
- 審判長/審判官
- 審判長 前川 慎喜
- 審判官 佐藤 美紗子
- 審判官 土屋 真理子
- 分類
- P1651.113-Y (B27N) / P1651.121-Y (B27N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7064630号発明「木質積層ボード」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7064630号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7064630号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、令和3年2月19日に出願され、令和4年4月26日にその特許権の設定登録がされ、令和4年5月10日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1ないし6に係る特許に対し、令和4年11月10日に特許異議申立人脇谷治義(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下「本件特許発明1」などという。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
第1木質材層と該第1木質材層の両面に積層された第2木質材層とが一体化された木質積層ボードであって、
上記第1木質材層は、繊維方向に沿った表裏面を有する細長形状の多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、
上記第1木質小薄片は、上記表裏面間の厚さが0.05mm以上0.35mm以下、上記繊維方向に沿った長さが40mm以下、上記繊維方向と直交する方向に沿った幅が15mm以下であり、
上記第2木質材層は、繊維方向に沿った表裏面を有する細長形状の多数の第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、
上記第2木質小薄片は上記第1木質小薄片と同じ厚さ範囲で該第1木質小薄片よりも小さいことを特徴とする木質積層ボード。
【請求項2】
請求項1の木質積層ボードにおいて、
上記第1木質小薄片は、厚さが0.15~0.25mm、長さが20mm以下、幅が5mm以下の細長形状であることを特徴とする木質積層ボード。
【請求項3】
請求項1又は2の木質積層ボードにおいて、
上記第2木質小薄片は、長さ及び幅のうち少なくとも一つの寸法が上記第1木質小薄片よりも小さいことを特徴とする木質積層ボード。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの木質積層ボードにおいて、
上記第2木質小薄片は、厚さが0.15~0.25mm、長さが10mm以下、幅が2mm以下の細長形状であることを特徴とする木質積層ボード。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの木質積層ボードにおいて、
上記各第2木質材層の木質積層ボード全体に占める厚さの割合が5%以上40%以下であることを特徴とする木質積層ボード。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つの木質積層ボードにおいて、
上記第1木質材層及び上記各第2木質材層の密度が250~800kg/m3であることを特徴とする木質積層ボード。」
第3 特許異議申立理由の概要及び証拠
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、本件特許発明1ないし6に対して、証拠として甲第1号証を提出し、次の特許異議申立理由を申し立てている。
本件特許発明1ないし6は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、本件特許発明1ないし6は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
2 証拠
甲第1号証:特開2003-94411号公報
第4 甲第1号証の記載
1 記載事項
本件特許出願前に頒布された甲第1号証には、以下の事項が記載されている(下線は決定で付した。以下同様。)。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば建築材料として使用される木質板および該木質板の製造方法に関するものである。」
(2)「【0006】
【発明の実施の形態】本発明を以下に詳細に説明する。
〔芯層〕本発明の芯層は木片を熱可塑性樹脂によって結着したものである。上記木片は木材からフレーカーによる切削によって製造され、サイズとしては好ましくは厚さ0.1~5mm、長さ1~50mm、幅0.5~20mm、更に好ましくは厚さ0.5~1mm、長さ20~25mm、幅4~8mmのものである。上記木片の原料となる木材は、好ましくは建築物解体の際に発生する解体木材、木材切断の際に発生する端切れ等を使用する。このような再生品を使用することによって、木材廃棄物の高度利用を図ることが出来る。」
(3)「【0008】〔表裏層〕本発明の表裏層は木質分を熱硬化性樹脂によって結着したものである。上記木質分としては通常木粉および/または木片が使用され、該木粉は26メッシュ全通の粒径を有することが好ましく、また該木片は上記芯層に用いる木片よりも小サイズで、例えば厚さ0.1~2mm、長さ1~30mm、幅0.1~5mm、好ましくは厚さ0.2~0.5mm、長さ6~12mm、幅0.5~2.5mmのものが使用される。上記木質分もまた芯層用木片と同様に再生品を使用することが好ましい。上記木質分を結着する熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、レゾルシノール樹脂等が使用される。
【0009】〔木質板の製造〕本発明の木質板の製造においては、まず基板上に木質分と熱硬化性樹脂とを混合した表層用原料混合物を散布し表層マットをフォーミングし、該表層マット上に熱可塑性樹脂溶融物と木片との芯層用原料混合物を供給堆積して芯層マットをフォーミングする。この場合、表層用原料混合物における木質分と熱硬化性樹脂との混合重量比は通常95/5~80/20(木質分/熱硬化性樹脂)とし、芯層用原料混合物における木片と熱可塑性樹脂溶融物との混合重量比は、通常80/20~60/40(木片/熱可塑性樹脂)とする。そしてその上から表層用原料混合物と同様な裏層用原料混合物を散布して裏層マットをフォーミングし、プレス成形を行う。この際のプレス圧は通常3~10MPaである。」
(4)「【0011】次いで芯層マット(3A)上に表裏層用原料混合物M1を散布して裏層マット(4A)をフォーミングする。この原料混合物M1は原料輸送路(7)から原料供給コンベア(8B)によって散布装置(9B)に供給され、該散布装置(9B)から該芯層マット(3A)上に散布される。このようにしてフォーミングされた三層構造のマットをプレス装置によってホットプレスする。プレス温度は通常180℃~230℃の範囲に設定する。このようにして図2に示すように表裏層(2,4) が熱硬化性樹脂で木質分を結着したものからなり、芯層(3)が木片Fを熱可塑性樹脂溶融物Rで結着したものからなる三層構造の木質板(1) が製造される。本発明では芯層(3)と表層(2)または裏層(4)とからなる二層構造としてもよい。
【0012】〔実施例1~4〕以下に本発明の実施例1~4を示す。表裏層用の原料混合物として、木粉(26メッシュ全通)と、粉末フェノール樹脂とを表1に示す割合で混合し乾式攪拌した表裏層用原料混合物M1を用いた。芯層用原料の木片Fとして、解体木材を粉砕しフレーカー等で削片化し、平均厚さ0.5~1mm、長さ20~25mm、幅4~8mmの木片を用い、熱可塑性樹脂として、廃ポリプロピレンを使用しペレット化し粉砕物を用いた。」
(5)「【0015】〔実施例5~6〕表裏層用の原料として、木粉に代え木片(厚さ0.2~0.5mm、長さ6~12mm、幅0.5~2.5mm) を用いたこと以外は実施例1~4と同様に行った。」
(6)表1は次のものである。
【表1】
[図:0001395255000001.jpg]
2 甲第1号証に記載された発明
上記1からみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲1発明)
「木材からフレーカーによる切削によって製造され、サイズとしては好ましくは厚さ0.1~5mm、長さ1~50mm、幅0.5~20mm、更に好ましくは厚さ0.5~1mm、長さ20~25mm、幅4~8mmのものである木片を熱可塑性樹脂によって結着した芯層と、
上記芯層に用いる木片よりも小サイズで、例えば厚さ0.1~2mm、長さ1~30mm、幅0.1~5mm、好ましくは厚さ0.2~0.5mm、長さ6~12mm、幅0.5~2.5mmの木片が木質分として熱硬化性樹脂によって結着した表裏層を有し、
木質板の製造においては、まず基板上に木質分と熱硬化性樹脂とを混合した表層用原料混合物を散布し表層マットをフォーミングし、該表層マット上に熱可塑性樹脂溶融物と木片との芯層用原料混合物を供給堆積して芯層マットをフォーミングし、そしてその上から表層用原料混合物と同様な裏層用原料混合物を散布して裏層マットをフォーミングし、プレス成形を行うものであり、
表裏層が熱硬化性樹脂で木質分を結着したものからなり、芯層が木片を熱可塑性樹脂溶融物で結着したものからなる三層構造の木質板。」
第5 当審の判断
1 本件特許発明1
(1)対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「芯層」、「表裏層」は、本件特許発明1の「第1木質材層」、「第2木質材層」にそれぞれ相当する。
イ 甲1発明の「木質板」は、「まず基板上に木質分と熱硬化性樹脂とを混合した表層用原料混合物を散布し表層マットをフォーミングし、該表層マット上に熱可塑性樹脂溶融物と木片との芯層用原料混合物を供給堆積して芯層マットをフォーミングし、そしてその上から表層用原料混合物と同様な裏層用原料混合物を散布して裏層マットをフォーミングし、プレス成形を行う」ことによって製造され、「表裏層が熱硬化性樹脂で木質分を結着したものからなり、芯層が木片を熱可塑性樹脂溶融物で結着したものからなる三層構造」のものであるから、本件特許発明1の「第1木質材層と該第1木質材層の両面に積層された第2木質材層とが一体化された木質積層ボード」に相当する。
ウ 甲1発明の「芯材」に用いられる「木材からフレーカーによる切削によって製造され、サイズとしては好ましくは厚さ0.1~5mm、長さ1~50mm、幅0.5~20mm、更に好ましくは厚さ0.5~1mm、長さ20~25mm、幅4~8mmのものである木片」(以下、「木片A」という。)は、細長形状であるといえ、本件特許発明1の細長形状の「第1木質小薄片」に相当する。
エ 甲1発明の「芯層」は「熱可塑性樹脂溶融物と木片との芯層用原料混合物を供給堆積して」「フォーミング」された「芯層マット」から得られた「木片を熱可塑性樹脂溶融物で結着したものからなる」ものであるところ、「堆積」は「うずたかく積むこと。つみ重ねること。また、つみ重なること。累積。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味すること、実施例5~6の芯層の木片の厚さが0.2~0.5mmであって、芯層の厚みが8mmであることから、甲1発明の「熱可塑性樹脂溶融物と木片との芯層用原料混合物を供給堆積し」ている点は「木片」が集合状態で積層しているといえ、「熱可塑性樹脂溶融物で結着した」点は「接着一体化され」ているといえるから、甲1発明の「芯層」は多数の木片Aが集合状態で積層されて接着一体化されたものといえる。
したがって、甲1発明の「芯層」は本件特許発明1の「第1木質材層」において「多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されて」なる点を備えている。
オ 甲1発明の「表裏層」の「木質分」としての「例えば厚さ0.1~2mm、長さ1~30mm、幅0.1~5mm、好ましくは厚さ0.2~0.5mm、長さ6~12mm、幅0.5~2.5mmの木片」(以下、「木片B」という。)は、細長形状であるといえ、本件特許発明1の細長形状の「第2木質小薄片」に相当する。
カ 甲1発明の「表裏層」は「木質分と熱硬化性樹脂とを混合した表層用原料混合物を散布し」て「フォーミング」された「表層マット」及び「表層用原料混合物と同様な裏層用原料混合物を散布して」「フォーミングされた」「裏層マット」から得られた「熱硬化性樹脂で木質分を結着したものからな」るものであるところ、実施例5~6の表裏層の木片の厚さが0.2~0.5mmであって、表裏層各層の厚みが2mmであることから、技術常識を考慮すれば、甲1発明の「表裏層」において「木質分と熱硬化性樹脂とを混合した表層用原料混合物を散布し」ている点は、「表裏層」において多数の「木質分」が集合状態で積層しているといえ、「熱可塑性樹脂溶融物で」「結着した」点は「接着一体化され」ているといえるから、甲1発明の「表裏層」は多数の「木質分」が集合状態で積層されて接着一体化されたものといえる。そして、甲1発明では「表裏層」において「木片B」が木質分として熱硬化性樹脂によって結着しているから、甲1発明の「表裏層」は多数の木片Bが集合状態で積層されて接着一体化されたものといえる。
したがって、甲1発明の「表裏層」は本件特許発明1の「第2木質材層」において「多数の第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されて」なる点を備えている。
キ 本件特許発明1の「上記第2木質小薄片は上記第1木質小薄片と同じ厚さ範囲で該第1木質小薄片よりも小さい」点と甲1発明の木片Aは「サイズとしては好ましくは厚さ0.1~5mm、長さ1~50mm、幅0.5~20mm、更に好ましくは厚さ0.5~1mm、長さ20~25mm、幅4~8mmのものであ」り、木片Bは「上記芯層に用いる木片よりも小サイズで、例えば厚さ0.1~2mm、長さ1~30mm、幅0.1~5mm、好ましくは厚さ0.2~0.5mm、長さ6~12mm、幅0.5~2.5mm」である点は、「第2木質小薄片」が「第1木質小薄片」よりも小さい点で共通する。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「第1木質材層と該第1木質材層の両面に積層された第2木質材層とが一体化された木質積層ボードであって、
上記第1木質材層は、細長形状の多数の第1木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、
上記第2木質材層は、細長形状の多数の第2木質小薄片が集合状態で積層されて接着一体化されてなり、
第2木質小薄片は第1木質小薄片よりも小さい、
木質積層ボード。」
<相違点1>
「第1木質小薄片」(木片A)及び「第2木質小薄片」(木片B)について、本件特許発明1では「繊維方向に沿った表裏面を有する」のに対し、甲1発明ではそのように特定されていない点。
<相違点2>
本件特許発明1の「第1木質小薄片」は「上記繊維方向に沿った長さが40mm以下、上記繊維方向と直交する方向に沿った幅が15mm以下であ」るのに対し、甲1発明の木片Aは「サイズとしては好ましくは厚さ0.1~5mm、長さ1~50mm、幅0.5~20mm、更に好ましくは厚さ0.5~1mm、長さ20~25mm、幅4~8mm」であり、また、繊維方向が特定されていないため、繊維方向と長さ、幅との関係も不明である点。
<相違点3>
本件特許発明1の「第1木質小薄片」の表裏面間の厚さは「0.05 mm以上0.35mm 以下」であるのに対し、甲1発明の木片Aの厚さは好ましくは0.1~5mm、更に好ましくは0.5~1mmである点。
<相違点4>
本件特許発明1の「第2木質小薄片」は「第1木質小薄片と同じ厚さ範囲で」あるのに対し、甲1発明の木片Bは、例えば厚さ0.1~2mm、好ましくは厚さ0.2~0.5mmであり、厚さが好ましくは0.1~5mm、更に好ましくは0.5~1mmである木片Aよりも薄い厚さ範囲である点。
(2)判断
ア 進歩性について
事案に鑑みて、まず、上記相違点4について検討する。
甲第1号証には、相違点4に係る甲1発明の構成に関連して、第4の1(2)ないし(5)で摘記した事項が記載されている。
そして、甲第1号証の上記記載(4)、(5)によれば、「木片」を用いる実施例5~6では芯層の木片の厚さを0.5~1mmとしているのに対し、表裏層の木片の厚さを0.2~0.5mmと重複なく小さくしていることからは表裏層の木片の厚さを芯層の木片の厚さより薄くする技術思想が読み取れる。
そうすると、上記記載(2)、(3)によれば、芯層の木片の厚さと表裏層の木片の厚さは一部重複している部分があるものの、そのことのみをもって表裏層の木片の厚さが芯層の木片の厚さと同じ厚さ範囲であるとはいえない。
よって、甲1発明を、相違点4に係る本件特許発明1の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できたことではない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 新規性について
上記相違点4は実質的な相違点であるため、本件特許発明1は、甲1発明ではない。
(3)申立人の主張について
ア 申立人は、申立書において、以下の旨を主張する。
(ア)「相違点2(当審注:申立書の相違点2は上記相違点4に相当する。)について
本件特許発明1では、表層を構成する第2木質小薄片が芯層を構成する第1木質小薄片と同じ厚さ範囲であることを特定事項としており、第2木質小薄片が第1木質小薄片と同じ「0.05~0.35mm」の厚さ範囲を有することを特徴としているが、その効果としては、「ばらつきが小さくて均一な厚さに揃ったものとなる(本件特許公報:段落0018)という自明の効果が記載されているにすぎない。
また、甲第1号証において芯層に用いる木片(「第1木質小薄片」に相当)の厚さは0.1~5mmであり(段落0006)、表裏層に用いる木片(「第2木質小薄片」に相当)の厚さは例えば0.1~2mmである(段落0008)から、実質的に同程度の厚さを有するものであり、同じ厚さ範囲のものを用いてばらつきを小さくすることは、当業者には容易に想到し得たことである。
したがって、相違点2は新規有用な相違であるとは評価できず、当業者が容易に想到し得たものである。」(申立書第5頁8~20行)
(イ)「なお、本件特許発明1の「第1木質小薄片」および「第2木質小薄片」は、原木から切削した薄片をそのまま使用するのではなく、これを更に粉砕して小さくしたものであると記載され(本件特許公報:段落0015,0049~0055)、本件特許発明1の審査においては、面接記録などを参照すると、この点が一定程度評価されて特許査定に至ったようにも見受けられる。
しかしながら、本件特許発明1は物の発明であって、製造方法の発明ではないし、「木質小薄片」が原木からの切削(木質薄片製造工程P1)後にこれを粉砕(木質小薄片製造工程P2)して得られるものであることの限定もされていない。本件特許発明1においては、原料として用いる第1/第2木質小薄片の厚さ/長さ/幅の範囲を限定することによって所定の効果が得られることを一つの大きな特徴としていると認められるところ、そうであれば、該木質小薄片がどのような工程を経て得られるものであるかは本質的な要求事項ではなく、仮に原木からの切削工程のみでも本件特許発明1に規定する範囲内の厚さ/長さ/幅のものが得られる(甲第1号証の木片が該範囲と重複する範囲の厚さ/長さ/幅を有することは、その事実を示している)とするならば、それは本件特許発明1の「木質小薄片」に他ならず、何ら相違しないと言うべきである。」(申立書第5頁24行~第6頁5行)
イ 主張の検討
申立人の主張について検討する。
申立人が主張するとおり、本件特許明細書【0018】には「ばらつきが小さくて均一な厚さに揃ったものとなる」という記載がある。
一方、甲第1号証には「木片」のばらつきについての記載はなく、厚さを均一にするという技術思想は示されていない。それどころか、上記(2)アで指摘したように、実施例5~6では芯層の木片の厚さを0.5~1mmとしているのに対し、表裏層の木片の厚さを0.2~0.5mmと重複なく小さくしていることからは表裏層の木片の厚さを芯層の木片の厚さより薄くする技術思想が読み取れる。したがって、甲1発明を、表裏層の木片の厚さ範囲を芯層の木片の厚さ範囲と同じものとすることは示唆されていないといえ、相違点4に係る本件特許発明1の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できたことではない。
また、上記(イ)の主張について、本件特許発明1と甲1発明との相違点は、上記(1)において検討したとおり、物の発明である木質板の構成に関するものであり、製造工程を考慮したものではないから、申立人の上記主張は失当である。
したがって、申立人の主張(ア)及び主張(イ)は、いずれも採用することができない。
2 本件特許発明2~6
本件特許発明2~6は、本件特許発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに限定を加えた発明である。
そうすると、本件特許発明2~6は、上記1と同様の理由により、甲1発明ではない。
また、本件特許発明2~6は甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおり申立人が申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件特許発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701092