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特許異議申立

2024-700364

光干渉計測装置

審判番号
2024-700364
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-044217
登録番号
7363614
請求日
2024年04月18日
審決日
2025年08月29日
公報発行日
2025年12月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】オムロン株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
  • 【異議申立人】磐城 照治
  • 【異議申立人代理人】山川 茂樹
審判長/審判官
  • 審判長 濱野 隆
  • 審判官 南川 泰裕
  • 審判官 谷垣 圭二
分類
P1651.121-YAA(G01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第7項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7363614号発明「光干渉計測装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7363614号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲〔1~10〕のとおり訂正することを認める。 特許第7363614号の請求項1~10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 本件特許についての手続の経緯 特許第7363614号(請求項の数10。以下「本件特許」という。)の出願日、特許権の設定登録日及び特許掲載公報の発行日は、次のとおりである。 出願日 :令和2年 3月13日 特許権の設定登録日 :令和5年10月10日 特許掲載公報の発行日 : 同月18日 2 本件特許異議の申立てについての手続の経緯 その後、令和6年4月18日に、特許異議申立人磐城照治(以下「申立人」という。)により、全請求項1~10に係る特許に対する特許異議の申立てがされた。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年 4月18日 :特許異議申立書の提出 同年 7月11日付け:取消理由通知書 同年 9月17日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 令和7年 1月31日付け:取消理由通知書(決定の予告) 同年 4月 7日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者) 同年 5月27日 :意見書の提出(申立人) 以下、令和7年4月7日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。 なお、令和6年9月17日に提出された訂正請求書による訂正の請求(先にした訂正の請求)は、本件訂正請求書による訂正の請求がされたため、特許法120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正について 1 請求の趣旨 本件訂正に係る請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求めるものである。 2 本件訂正前の特許請求の範囲の記載 本件訂正前の本件特許の特許請求の範囲の請求項1~10の記載(特許権の設定登録時における特許請求の範囲の記載)は、次のとおりである。 「【請求項1】 赤外域の波長を有する計測光を出力する第1光源と、 可視域の波長を有するガイド光を出力する第2光源と、 少なくとも、前記計測光が入力される第1ポート、前記ガイド光が入力される第2ポート、及び、前記計測光と前記ガイド光が結合された結合光が出力される第3ポートを有するファイバカプラと、 前記結合光を計測対象に照射し、前記計測対象で反射した戻り光を受光する計測部と、 前記戻り光と参照光との干渉信号に基づいて、前記計測対象の距離、速度、又は、振動に関する情報を取得する処理部と、を有し、 前記ファイバカプラは、カットオフ波長が前記計測光の波長より短く且つ前記ガイド光の波長より長いシングルモードファイバで構成されている ことを特徴とする光干渉計測装置。 【請求項2】 前記ファイバカプラは、前記第1ポートから前記第3ポートへの経路のカップリング比が50%以上である ことを特徴とする請求項1に記載の光干渉計測装置。 【請求項3】 前記第1光源は、波長掃引光源である ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光干渉計測装置。 【請求項4】 前記ガイド光は、赤色光である ことを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。 【請求項5】 前記計測部は、色収差が補正された光学系を有する ことを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。 【請求項6】 前記参照光は、前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測部の間の光路に設けられた参照面にて、前記結合光の一部が反射した光である ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。 【請求項7】 前記参照面は、前記計測部に接続される光ファイバの端面である ことを特徴とする請求項6に記載の光干渉計測装置。 【請求項8】 前記参照光は、前記第1光源と前記ファイバカプラの前記第1ポートの間の光路に設けられた分岐器によって前記計測光の一部を分岐させた光である ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。 【請求項9】 前記参照光は、前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測部の間の光路に設けられた分岐器によって前記結合光の一部を分岐させた光である ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。 【請求項10】 前記ファイバカプラは、前記結合光が出力される第4ポートをさらに有し、 前記参照光は、前記第4ポートから出力される光である ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。」 3 本件訂正後の特許請求の範囲の記載 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~10の記載は、次のとおりである。下線は訂正箇所を示す。 「【請求項1】 赤外域の波長を有する計測光を出力する第1光源と、 可視域の波長を有するガイド光を出力する第2光源と、 少なくとも、前記計測光が入力される第1ポート、前記ガイド光が入力される第2ポート、及び、前記計測光と前記ガイド光が結合された結合光が出力される第3ポートを有するファイバカプラと、 前記結合光を導く光ファイバに接続される計測ヘッドであって、前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測ヘッドの先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射し、前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する計測ヘッドと、 前記戻り光と参照光との干渉信号に基づいて、前記計測対象の距離、速度、又は、振動に関する情報を取得する処理部と、を有する、ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置であって、 前記第1光源と前記第2光源と前記ファイバカプラと前記処理部とが設けられている装置本体と、前記計測ヘッドとが別体であり、前記装置本体と前記計測ヘッドが前記光ファイバで接続されており、 前記ファイバカプラは、カットオフ波長が前記計測光の波長より短く且つ前記ガイド光の波長より長いシングルモードファイバで構成されていることにより、前記ガイド光をマルチモードで伝播させる ことを特徴とする光干渉計測装置。 【請求項2】 前記ファイバカプラは、副干渉計に入力するための前記結合光を出力する第4ポートをさらに有し、前記第1ポートから入力される計測光のうち前記第3ポートへ分岐する計測光の割合が前記第4ポートへ分岐する計測光の割合よりも多くなるように、前記第1ポートから前記第3ポートへの経路のカップリング比が設定されることにより、前記副干渉計に入力される計測光のパワーに比べて前記計測ヘッドから投射される計測光のパワーを強くする ことを特徴とする請求項1に記載の光干渉計測装置。 【請求項3】 前記第1光源は、FMCWのためにコヒーレントな計測光の波長を時間的に掃引する波長掃引光源であり、 前記光干渉計測装置は、前記第1光源から出力される前記計測光の一部、又は、前記ファイバカプラで結合された前記結合光の一部が入力され、前記入力された光を所定の光路長差を有する2つのファイバに分岐させた後に合流させることで第2の干渉信号を生成する副干渉計を有し、 前記第2の干渉信号に基づいて、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の傾きに従った不等間隔のクロック信号を生成し、前記不等間隔のクロック信号を用いて前記干渉信号をサンプリングするか、あるいは、前記第2の干渉信号に基づいて、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性を推定し、等間隔時間でサンプリングされた前記干渉信号を内挿することによって等間隔位相の干渉信号を生成することによって、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性を補正する ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光干渉計測装置。 【請求項4】 前記ガイド光として赤色光を用い、かつ、前記計測光として、赤外域の中でも前記ガイド光の波長に近い近赤外光を用いることにより、前記計測ヘッドの光学系における色収差を抑えて、前記計測ヘッドの先端から投射された結合光が前記計測ヘッドの長さに比べて遠い位置にある前記計測対象の表面上に照射された場合に、前記計測対象の表面上の計測位置と前記ガイド光のスポットとのずれを小さくする ことを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。 【請求項5】 前記計測ヘッドは、色収差が補正された光学系を有することにより前記計測対象の表面上の計測位置と前記ガイド光のスポットとのずれを小さくし、 前記第1光源は、FMCWのためにコヒーレントな計測光の波長を時間的に掃引する波長掃引光源であり、前記第1光源の波長掃引用の制御信号に対し、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性と逆方向の歪みをあらかじめ与えることにより、前記計測光の波長掃引の線形性が担保されている ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光干渉計測装置。 【請求項6】 前記参照光は、前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測ヘッドの間の光路に設けられた参照面にて、前記結合光の10%以下が部分反射した光である ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。 【請求項7】 前記参照面は、前記計測ヘッドに接続される光ファイバの端面に部分反射ミラーを蒸着することにより反射率を10%以下にした面、又は、前記計測ヘッドに接続される光ファイバの端面における屈折率の界面で起きるフレネル反射を利用することにより反射率を10%以下にした面である ことを特徴とする請求項6に記載の光干渉計測装置。 【請求項8】 前記第1光源と前記ファイバカプラの前記第1ポートの間の光路に設けられた分岐器によって前記計測光の一部を分岐させた光を前記参照光とすることにより、前記分岐器から前記処理部までの前記参照光の光路を、前記ガイド光の前記計測ヘッドへの光路と別にした ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。 【請求項9】 前記参照光は、前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測ヘッドの間の光路に設けられた分岐器によって前記結合光の一部を分岐させた光であって、 前記参照光と、前記分岐器と前記計測ヘッドとの間で前記戻り光を分岐させた光との干渉信号が、前記処理部に入力される ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。 【請求項10】 前記ファイバカプラは、前記結合光が出力される第4ポートをさらに有し、 前記参照光は、前記第4ポートから出力される光であって、 前記参照光と、前記ファイバカプラと前記計測ヘッドとの間で前記戻り光を分岐させた光との干渉信号が前記処理部に入力されるか、又は、 前記参照光を参照面で反射させた光を前記第4ポートに入力するとともに前記戻り光を前記第3ポートに入力することにより、前記第1ポートから出力される前記参照光と前記戻り光との干渉信号が前記処理部に入力される ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。」 4 本件訂正の内容 本件訂正は、一群の請求項〔1~10〕について訂正するものであるところ、本件訂正の内容を訂正される記載のある請求項ごとに整理すると、以下の(1)から(10)に示す訂正事項1~10からなる。 (1) 訂正事項1(請求項1の記載に係る訂正) 訂正事項1は、以下のア~ウに示す訂正事項1-1から訂正事項1-3により構成される。 ア 訂正事項1-1 特許請求の範囲の請求項1について、本件訂正前の「前記結合光を計測対象に照射し、前記計測対象で反射した戻り光を受光する計測部」を 「前記結合光を導く光ファイバに接続される計測ヘッドであって、前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測ヘッドの先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射し、前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する計測ヘッド」 に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~10も同様に訂正する。)。 イ 訂正事項1-2 特許請求の範囲の請求項1について、本件訂正前の「光干渉計測装置」を 「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」 であることに訂正するとともに、前記訂正事項1-1に係る訂正を前提として、本件訂正前の「光干渉計測装置」の有する構成要素について、 「前記第1光源と前記第2光源と前記ファイバカプラと前記処理部とが設けられている装置本体と、前記計測ヘッドとが別体であり、前記装置本体と前記計測ヘッドが前記光ファイバで接続されて[いる]」 ことに訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~10も同様に訂正する。)。 ウ 訂正事項1-3 特許請求の範囲の請求項1について、次の(ア)の訂正前の記載を後記(イ)の訂正後の記載に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~10も同様に訂正する。)。 (ア) 訂正前の記載 「前記ファイバカプラは、カットオフ波長が前記計測光の波長より短く且つ前記ガイド光の波長より長いシングルモードファイバで構成されている」 (イ) 訂正後の記載 「前記ファイバカプラは、カットオフ波長が前記計測光の波長より短く且つ前記ガイド光の波長より長いシングルモードファイバで構成されていることにより、前記ガイド光をマルチモードで伝播させる」 (2) 訂正事項2(請求項2の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項2について、次のアの訂正前の記載を後記イの訂正後の記載に訂正する(請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3~10も同様に訂正する。)。 ア 訂正前の記載 「前記ファイバカプラは、前記第1ポートから前記第3ポートへの経路のカップリング比が50%以上である」 イ 訂正後の記載 「前記ファイバカプラは、副干渉計に入力するための前記結合光を出力する第4ポートをさらに有し、前記第1ポートから入力される計測光のうち前記第3ポートへ分岐する計測光の割合が前記第4ポートへ分岐する計測光の割合よりも多くなるように、前記第1ポートから前記第3ポートへの経路のカップリング比が設定されることにより、前記副干渉計に入力される計測光のパワーに比べて前記計測ヘッドから投射される計測光のパワーを強くする」 (3) 訂正事項3(請求項3の記載に係る訂正) 訂正事項3は、以下のア及びイに示す訂正事項3-1及び訂正事項3-2により構成される。 ア 訂正事項3-1 特許請求の範囲の請求項3について、次の(ア)の訂正前の記載を後記(イ)の訂正後の記載に訂正する(請求項3の記載を直接又は間接的に引用する請求項4、6~10も同様に訂正する。)。 (ア) 訂正前の記載 「前記第1光源は、波長掃引光源である」 (イ) 訂正後の記載 「前記第1光源は、FMCWのためにコヒーレントな計測光の波長を時間的に掃引する波長掃引光源であり、」 イ 訂正事項3-2 特許請求の範囲の請求項3について、本件訂正前の「光干渉計測装置」が 「前記光干渉計測装置は、前記第1光源から出力される前記計測光の一部、又は、前記ファイバカプラで結合された前記結合光の一部が入力され、前記入力された光を所定の光路長差を有する2つのファイバに分岐させた後に合流させることで第2の干渉信号を生成する副干渉計を有し、 前記第2の干渉信号に基づいて、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の傾きに従った不等間隔のクロック信号を生成し、前記不等間隔のクロック信号を用いて前記干渉信号をサンプリングするか、あるいは、前記第2の干渉信号に基づいて、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性を推定し、等間隔時間でサンプリングされた前記干渉信号を内挿することによって等間隔位相の干渉信号を生成することによって、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性を補正する」 ものであると訂正する(請求項3の記載を直接又は間接的に引用する請求項4、6~10も同様に訂正する。)。 (4) 訂正事項4(請求項4の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項4について、次のアの訂正前の記載を後記イの訂正後の記載に訂正する(請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項6~10も同様に訂正する。)。 ア 訂正前の記載 「前記ガイド光は、赤色光である」 イ 訂正後の記載 「前記ガイド光として赤色光を用い、かつ、前記計測光として、赤外域の中でも前記ガイド光の波長に近い近赤外光を用いることにより、前記計測ヘッドの光学系における色収差を抑えて、前記計測ヘッドの先端から投射された結合光が前記計測ヘッドの長さに比べて遠い位置にある前記計測対象の表面上に照射された場合に、前記計測対象の表面上の計測位置と前記ガイド光のスポットとのずれを小さくする」 (5) 訂正事項5(請求項5の記載に係る訂正) 訂正事項5は、以下のア及びイに示す訂正事項5-1及び訂正事項5-2により構成される。 ア 訂正事項5-1 特許請求の範囲の請求項5について、次の(ア)の訂正前の記載を後記(イ)の訂正後の記載に訂正する(請求項5の記載を直接又は間接的に引用する請求項6~10も同様に訂正する。)。 ア 訂正前の記載 「前記計測部は、色収差が補正された光学系を有する ことを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1項に記載の光干渉計測装置。」 イ 訂正後の記載 「計測ヘッドは、色収差が補正された光学系を有することにより前記計測対象の表面上の計測位置と前記ガイド光のスポットとのずれを小さくし、… ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光干渉計測装置。」 イ 訂正事項5-2 特許請求の範囲の請求項5について、本件訂正前の「第1光源」が 「前記第1光源は、FMCWのためにコヒーレントな計測光の波長を時間的に掃引する波長掃引光源であり、前記第1光源の波長掃引用の制御信号に対し、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性と逆方向の歪みをあらかじめ与えることにより、前記計測光の波長掃引の線形性が担保されている」 ものであると訂正する(請求項5の記載を直接又は間接的に引用する請求項6~10も同様に訂正する。)。 (6) 訂正事項6(請求項6の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項6について、次のアの訂正前の記載を後記イの訂正後の記載に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。)。 ア 訂正前の記載 「前記参照光は、前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測部の間の光路に設けられた参照面にて、前記結合光の一部が反射した光である」 イ 訂正後の記載 「前記参照光は、前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測ヘッドの間の光路に設けられた参照面にて、前記結合光の10%以下が部分反射した光である」 (7) 訂正事項7(請求項7の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項7について、次のアの訂正前の記載を後記イの訂正後の記載に訂正する。 ア 訂正前の記載 「前記参照面は、前記計測部に接続される光ファイバの端面である」 イ 訂正後の記載 「前記参照面は、前記計測ヘッドに接続される光ファイバの端面に部分反射ミラーを蒸着することにより反射率を10%以下にした面、又は、前記計測ヘッドに接続される光ファイバの端面における屈折率の界面で起きるフレネル反射を利用することにより反射率を10%以下にした面である」 (8) 訂正事項8(請求項8の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項8について、次のアの訂正前の記載を後記イの訂正後の記載に訂正する。 ア 訂正前の記載 「前記参照光は、前記第1光源と前記ファイバカプラの前記第1ポートの間の光路に設けられた分岐器によって前記計測光の一部を分岐させた光である」 イ 訂正後の記載 「前記第1光源と前記ファイバカプラの前記第1ポートの間の光路に設けられた分岐器によって前記計測光の一部を分岐させた光を前記参照光とすることにより、前記分岐器から前記処理部までの前記参照光の光路を、前記ガイド光の前記計測ヘッドへの光路と別にした」 (9) 訂正事項9(請求項9の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項9について、次のアの訂正前の記載を後記イの訂正後の記載に訂正する。 ア 訂正前の記載 「前記参照光は、前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測部の間の光路に設けられた分岐器によって前記結合光の一部を分岐させた光である」 イ 訂正後の記載 「前記参照光は、前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測ヘッドの間の光路に設けられた分岐器によって前記結合光の一部を分岐させた光であって、 前記参照光と、前記分岐器と前記計測ヘッドとの間で前記戻り光を分岐させた光との干渉信号が、前記処理部に入力される」 (10) 訂正事項10(請求項10の記載に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項10について、次のアの訂正前の記載を後記イの訂正後の記載に訂正する。 ア 訂正前の記載 「前記参照光は、前記第4ポートから出力される光である」 イ 訂正後の記載 「前記参照光は、前記第4ポートから出力される光であって、 前記参照光と、前記ファイバカプラと前記計測ヘッドとの間で前記戻り光を分岐させた光との干渉信号が前記処理部に入力されるか、または、 前記参照光を参照面で反射させた光を前記第4ポートに入力するとともに前記戻り光を前記第3ポートに入力することにより、前記第1ポートから出力される前記参照光と前記戻り光との干渉信号が前記処理部に入力される」 第3 本件訂正の適否についての当合議体の判断 1 訂正の目的 (1) 訂正事項1 ア 訂正事項1-1 訂正事項1-1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「計測部」について、「前記結合光を導く光ファイバに接続される計測ヘッドであって、前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測ヘッドの先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射し、前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する計測ヘッド」であると限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項1-2 訂正事項1-2に係る訂正は、本件訂正前の「光干渉計測装置」について、「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」であると限定するとともに、前記訂正事項1-1に係る訂正を前提として、本件訂正前の「光干渉計測装置」の有する構成要素について、「前記第1光源と前記第2光源と前記ファイバカプラと前記処理部とが設けられている装置本体と、前記計測ヘッドとが別体であり、前記装置本体と前記計測ヘッドが前記光ファイバで接続されて」いることを限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 ウ 訂正事項1-3 訂正事項1-3に係る訂正は、訂正前の請求項1の「ファイバカプラ」について、「ガイド光をマルチモードで伝播させる」点を限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (2) 訂正事項2 ア 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項2の「ファイバカプラ」について、「副干渉計に入力するための前記結合光を出力する第4ポート」を有することを限定し、さらに「前記第1ポートから前記第3ポートへの経路のカップリング比が50%以上である」という特定を「前記第1ポートから入力される計測光のうち前記第3ポートへ分岐する計測光の割合が前記第4ポートへ分岐する計測光の割合よりも多くなるように」との特定にするものである。 イ ここで、訂正後の「前記第1ポートから入力される計測光のうち前記第3ポートへ分岐する計測光の割合が前記第4ポートへ分岐する計測光の割合よりも多くなるように」という特定は、第1ポートからの経路が第3ポートと第4ポートである場合には、第1ポートから第3ポートへの経路のカップリング比が50%を超えることと同値である(このとき、第4ポートへのカップリング比は50%未満である。)。 ウ そうすると、訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項2の「ファイバカプラ」について、「副干渉計に入力するための前記結合光を出力する第4ポート」を有することを限定し、さらに第1ポートから第3ポートへの経路のカップリング比が「50%以上」であると特定していたものを、第1ポートから第3ポートへの経路のカップリング比が50%を超えるものに数値範囲を限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (3) 訂正事項3 ア 訂正事項3-1 訂正事項3-1に係る訂正は、訂正前の請求項3の「波長掃引光源」について、「FMCWのためにコヒーレントな計測光の波長を時間的に掃引する」ものであることを限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項3-2 訂正事項3-2に係る訂正は、「光干渉計測装置」について、「前記第1光源から出力される前記計測光の一部、又は、前記ファイバカプラで結合された前記結合光の一部が入力され、前記入力された光を所定の光路長差を有する2つのファイバに分岐させた後に合流させることで第2の干渉信号を生成する副干渉計を有し、前記第2の干渉信号に基づいて、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の傾きに従った不等間隔のクロック信号を生成し、前記不等間隔のクロック信号を用いて前記干渉信号をサンプリングするか、あるいは、前記第2の干渉信号に基づいて、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性を推定し、等間隔時間でサンプリングされた前記干渉信号を内挿することによって等間隔位相の干渉信号を生成することによって、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性を補正する」ことを限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (4) 訂正事項4 訂正事項4に係る訂正は、本件訂正前の請求項1の「計測光」について、前記訂正事項1-1に係る訂正を前提として、「赤外域の中でも前記ガイド光の波長に近い近赤外光を用いることにより、前記計測ヘッドの光学系における色収差を抑えて、前記計測ヘッドの先端から投射された結合光が前記計測ヘッドの長さに比べて遠い位置にある前記計測対象の表面上に照射された場合に、前記計測対象の表面上の計測位置と前記ガイド光のスポットとのずれを小さくする」ことを限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (5) 訂正事項5 ア 訂正事項5-1 訂正事項5-1に係る訂正は、訂正前の請求項5の「色収差が補正された光学系」について、「前記計測対象の表面上の前記計測光と前記ガイド光の投射位置のずれを小さくする」ものであることを限定し、さらに引用する請求項を「請求項1~5のいずれか一項」から、「請求項1又は2」に限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項5-2 訂正事項5-2に係る訂正は、本件訂正前の請求項1の「第1光源」について、「FMCWのためにコヒーレントな計測光の波長を時間的に掃引する波長掃引光源であり、前記第1光源の波長掃引用の制御信号に対し、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性と逆方向の歪みをあらかじめ与えることにより、前記計測光の波長掃引の線形性が担保されている」ことを限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (6) 訂正事項6 訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項6の「前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測部の間の光路に設けられた参照面にて、前記結合光の一部が反射」するとの特定事項について、前記訂正事項1-1に係る訂正を前提として、当該参照面での結合光の「一部」の「反射」について、「10%以下」の「部分反射」に限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (7) 訂正事項7 訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項7の「前記計測部に接続される光ファイバの端面」である「参照面」について、前記訂正事項1-1に係る訂正を前提として、「前記計測ヘッドに接続される光ファイバの端面に部分反射ミラーを蒸着することにより反射率を10%以下にした面」又は「前記計測ヘッドに接続される光ファイバの端面における屈折率の界面で起きるフレネル反射を利用することにより反射率を10%以下にした面」であることを限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (8) 訂正事項8 訂正事項8に係る訂正は、訂正前の請求項8の「前記第1光源と前記ファイバカプラの前記第1ポートの間の光路に設けられた分岐器によって前記計測光の一部を分岐させた光」を「参照光とすることにより」、「前記分岐器から前記処理部までの前記参照光の光路を、前記ガイド光の前記計測ヘッドへの光路と別にした」ことを特定するものであるから、前記訂正事項1-1に係る訂正を前提として、「前記参照光」の光路を限定する訂正である。 したがって、訂正事項8に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (9) 訂正事項9 訂正事項9に係る訂正は、訂正前の請求項9の「光干渉計測装置」が有する「処理部」における「前記戻り光と参照光との干渉信号」について、前記訂正事項1-1に係る訂正を前提として、「前記処理部に入力される」「干渉信号」が「前記参照光と、前記分岐器と前記計測ヘッドとの間で前記戻り光を分岐させた光との干渉信号」であることを限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (10) 訂正事項10 訂正事項10に係る訂正は、訂正前の請求項10の「光干渉計測装置」が有する「処理部」における「前記戻り光と参照光との干渉信号」について、「前記処理部に入力される」「干渉信号」が、「前記参照光と、前記ファイバカプラと前記計測ヘッドとの間で前記戻り光を分岐させた光との干渉信号」であること、又は、「前記参照光を参照面で反射させた光を前記第4ポートに入力するとともに前記戻り光を前記第3ポートに入力することにより、前記第1ポートから出力される前記参照光と前記戻り光との干渉信号」であることを限定する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 2 新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更 訂正事項1~10の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当しないから、これらの訂正における新規事項の追加の有無を判断する際の基準となる明細書等は、特許権の設定の登録がされた時点での願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面である。 (1) 訂正事項1 ア 訂正事項1-1 訂正事項1-1において、「計測部」について、「前記結合光を導く光ファイバに接続される計測ヘッドであって、前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測ヘッドの先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射し、前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する計測ヘッド」と訂正することは、次に摘記する本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の段落【0021】~【0022】の記載(下線は合議体が付した。以下、同様。)に基づくものである。 「【0021】 計測光L1が光ファイバF1を介してファイバカプラ13に入力されると共に、ガイド光L2が光ファイバF2を介してファイバカプラ13に入力されると、計測光L1とガイド光L2の結合光L3がファイバカプラ13から出力される。この結合光L3は、光ファイバF3、サーキュレータ14、及び、光ファイバF4を介して計測ヘッド10へと導かれ、計測ヘッド10から計測対象Oに投射される。この構成により、計測光L1とガイド光L2が同じ位置に照射されるため、計測対象Oの表面に現れるスポット(光点)Opによって、計測位置(計測光L1が当たっている位置)を目視で確認することができるようになる。 【0022】 計測対象Oで反射し計測ヘッド10で受光された光は、戻り光L4として光ファイバF4に導かれる。一方、結合光L3の一部が、参照面RPで反射し、参照光L5として光ファイバF4に導かれる。そして、戻り光L4と参照光L5の干渉信号(ビート信号)L6が、サーキュレータ14を介してディテクタ15に導かれ、光電変換された後、AD変換器17を介して処理部16へと入力される。この干渉信号L6は、戻り光L4と参照光L5のあいだの光路長差、すなわち計測対象Oの距離に応じた周波数成分を含む。したがって、処理部16において干渉信号L6を周波数解析することによって、計測対象Oの距離、速度、振動などの情報を得ることができる。」 イ 訂正事項1-2 訂正事項1-2において、「光干渉計測装置」について、「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」であることに訂正するとともに、前記訂正事項1-1を前提として、本件訂正前の「光干渉計測装置」の有する構成要素について、「前記第1光源と前記第2光源と前記ファイバカプラと前記処理部とが設けられている装置本体と、前記計測ヘッドとが別体であり、前記装置本体と前記計測ヘッドが前記光ファイバで接続されており」と訂正することは、次に摘記する本件特許明細書等の段落【0004】、【0021】、【0026】の記載に基づくものである。 「【0004】 FA(ファクトリーオートメーション)用のセンサにおいては、計測位置、すなわち、計測光が計測対象のどこに照射されているか、を目視により確認したいというニーズが強い。それゆえ、本発明者らは、光干渉計測装置をFA用途に展開するにあたり、計測光とは別に、計測位置を視覚的に示すガイド光を照射する機能を付加することを検討している。」 「【0021】 計測光L1が光ファイバF1を介してファイバカプラ13に入力されると共に、ガイド光L2が光ファイバF2を介してファイバカプラ13に入力されると、計測光L1とガイド光L2の結合光L3がファイバカプラ13から出力される。この結合光L3は、光ファイバF3、サーキュレータ14、及び、光ファイバF4を介して計測ヘッド10へと導かれ、計測ヘッド10から計測対象Oに投射される。この構成により、計測光L1とガイド光L2が同じ位置に照射されるため、計測対象Oの表面に現れるスポット(光点)Opによって、計測位置(計測光L1が当たっている位置)を目視で確認することができるようになる。」 「【0026】 本実施形態の光干渉計測装置1は、コヒーレントFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)によって計測対象Oの測距を行う装置である。光干渉計測装置1は、概略、コントローラ(装置本体)20と計測ヘッド10を有しており、計測ヘッド10の先端にて計測光の照射及び反射光の受光を行う。コントローラ20は、主な構成として、計測光L1を出力する計測光源11、ガイド光L2を出力するガイド光源12、ファイバカプラ13、サーキュレータ14、ディテクタ15、AD変換器17、処理部16、ファイバカプラ31、ファイバカプラ32、差分ディテクタ33、クロック発生器34、光ファイバF1~F10を有している。」 ウ 訂正事項1-3 訂正事項1-3において、「ファイバカプラ」について、「ガイド光をマルチモードで伝播させる」と訂正することは、次に摘記する本件特許明細書等の段落【0023】の記載に基づくものである。 「【0023】 ここで、ファイバカプラ13としては、カットオフ波長が計測光L1の波長より短く且つガイド光L2の波長より長いシングルモードファイバで構成された、シングルモードファイバカプラを用いることが好適である。これにより、計測光L1とガイド光L2の合成手段を低コストに実現できるからである。なお、ガイド光L2はマルチモードで伝播されることとなるが、距離等の計測には影響がないため、特に問題とならない。」 エ (1)の検討のまとめ したがって、訂正事項1-1から訂正事項1-3に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項1-1から訂正事項1-3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 (2) 訂正事項2 ア 訂正事項2において、「ファイバカプラ」について、「副干渉計に入力するための前記結合光を出力する第4ポートをさらに有し」と訂正することは、次に摘記する本件特許明細書等の段落【0030】の記載に基づくものである。 「【0030】 ファイバカプラ13は、2入力×2出力のファイバカプラである。第1ポートには、光ファイバF1を介して計測光L1が入力され、第2ポートには、光ファイバF2を介してガイド光L2が入力される。そして、計測光L1とガイド光L2の結合光L3が第3ポート及び第4ポートから出力される。第3ポートは主干渉計MI側の光ファイバF3に接続され、第4ポートは副干渉計SI側の光ファイバF6に接続されている。」 イ また、前記1(2)を踏まえると、訂正事項2に係る「前記第1ポートから前記第3ポートへの経路のカップリング比」についての訂正は、訂正前の「50%以上」から「50%」を除外するものである。 ウ したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 エ そして、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 (3) 訂正事項3 ア 訂正事項3-1 訂正事項3-1において、「波長掃引光源」について、「FMCWのためにコヒーレントな計測光の波長を時間的に掃引する波長掃引光源」であると訂正することは、次に摘記する本件特許明細書等の段落【0028】の記載に基づくものである。 「【0028】 計測光源11は、コヒーレントな計測光L1を出力可能な光源であり、FMCWのために計測光L1の波長を時間的に掃引可能な波長掃引光源が用いられる。波長掃引光源には、例えば、電流変調方式のVCSEL、MEMS駆動方式のVCSEL、SSG-DBRなどがあり、いずれの方式の光源を用いてもよい。本実施形態では、低コストという利点から、電流変調方式のVCSELを用いる。計測光L1としては、例えば、波長1310nm~1550nm程度の近赤外線レーザーが用いられる。また本実施形態では、三角波による波長掃引を行うが、正弦波、のこぎり波、その他の波形により波長掃引を行ってもよい。」 イ 訂正事項3-2 訂正事項3-2において、「光干渉計測装置」について、「前記第1光源から出力される前記計測光の一部、又は、前記ファイバカプラで結合された前記結合光の一部が入力され、前記入力された光を所定の光路長差を有する2つのファイバに分岐させた後に合流させることで第2の干渉信号を生成する副干渉計を有し、 前記第2の干渉信号に基づいて、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の傾きに従った不等間隔のクロック信号を生成し、前記不等間隔のクロック信号を用いて前記干渉信号をサンプリングするか、あるいは、前記第2の干渉信号に基づいて、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性を推定し、等間隔時間でサンプリングされた前記干渉信号を内挿することによって等間隔位相の干渉信号を生成することによって、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性を補正する」と訂正することは、次に摘記する本件特許明細書等の段落【0040】~【0041】の記載に基づくものである。 「【0040】 計測光源11で計測光の波長を掃引する際に、時間的な波長の変化(傾き)を線形にすることが理想である。波長掃引が線形でないと、干渉信号のビート周波数が一定でなくなり、測距精度の低下につながるからである。しかし実際は、波長を線形に掃引することは難しい。また、線形からの乖離度合いは、計測光源の個体の特性に依存するため、事前に補正をかけることも難しい。 【0041】 そこで、本実施形態では、計測光源11の波長掃引の非線形性を補正するために、上記のように、副干渉計SIを用いてAD変換器17のサンプリングクロックを生成する。このサンプリングクロックは、計測光源11から実際に出力された計測光から生成されているため、計測光の波長掃引の傾きに従った不等間隔のクロック信号となる。このサンプリングクロックを用いて主干渉計MIの干渉信号を不等間隔時間でサンプリングすることによって、等間隔位相でサンプリングしたのと等価な結果を得ることができる。これにより、周波数解析の信頼性の向上、並びに、測距精度の向上を図ることができる。」 ウ (3)の検討のまとめ したがって、訂正事項3-1及び訂正事項3-2に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 また、訂正事項3-1及び訂正事項3-2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 (4) 訂正事項4 ア 訂正事項4において、「ガイド光」及び「計測光」について、「前記ガイド光として赤色光を用い、かつ、前記計測光として、赤外域の中でも前記ガイド光の波長に近い近赤外光を用いることにより、前記計測ヘッドの光学系における色収差を抑えて、前記計測ヘッドの先端から投射された結合光が前記計測ヘッドの長さに比べて遠い位置にある前記計測対象の表面上に照射された場合に、前記計測対象の表面上の計測位置と前記ガイド光のスポットとのずれを小さくする」と訂正することは、本件特許明細書等の段落【0028】~【0029】の記載に基づくものである。なお、「前記計測ヘッドの先端から投射された結合光が前記計測ヘッドの長さに比べて遠い位置にある前記計測対象の表面上に照射された場合に、前記計測対象の表面上の計測位置と前記ガイド光のスポットとのずれを小さくする」という効果について明示的な記載はないものの、技術常識を参酌すれば「色収差を抑える」構成による自明な効果にすぎず、新たな技術上の意義が追加されるものではない。 「【0028】 計測光源11は、コヒーレントな計測光L1を出力可能な光源であり、FMCWのために計測光L1の波長を時間的に掃引可能な波長掃引光源が用いられる。波長掃引光源には、例えば、電流変調方式のVCSEL、MEMS駆動方式のVCSEL、SSG-DBRなどがあり、いずれの方式の光源を用いてもよい。本実施形態では、低コストという利点から、電流変調方式のVCSELを用いる。計測光L1としては、例えば、波長1310nm~1550nm程度の近赤外線レーザーが用いられる。また本実施形態では、三角波による波長掃引を行うが、正弦波、のこぎり波、その他の波形により波長掃引を行ってもよい。 【0029】 ガイド光源12は、ガイド光L2を出力する光源である。可視光であればどのような波長の光を用いてもよいが、本実施形態では赤色レーザーを用いる。計測光L1とガイド光L2の波長が近い方が、計測ヘッド10の光学系における色収差の影響が小さいからである。また、他の色に比べて、赤色レーザー光源の方が低コストであるという利点もある。」 イ したがって、訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 ウ また、訂正事項4に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 (5) 訂正事項5 ア 訂正事項5-1において、「光学系」について「前記計測光と前記ガイド光の投射位置のずれを小さくする」と訂正し、さらに、訂正事項5-2において、「第1光源」について「FMCWのためにコヒーレントな計測光の波長を時間的に掃引する波長掃引光源であり、前記第1光源の波長掃引用の制御信号に対し、前記第1光源による前記計測光の波長掃引の非線形性と逆方向の歪みをあらかじめ与えることにより、前記計測光の波長掃引の線形性が担保されている」と訂正することは、次に摘記する本件特許明細書等の段落【0033】、【0042】の記載に基づくものである。 「【0033】 計測ヘッド10は、結合光L3の計測対象Oへの投射、及び、計測対象Oで反射した光の受光を行うユニットである。計測ヘッド10は、例えば、直径約1.5cm、長さ約3cmの円筒形又は角型の鏡筒内に光学系10aが設けられた構造を有する。光学系10aは、平行ビームを投射するためのコリメートレンズでもよいし、計測対象O上の計測位置にビームを収束させるための集光レンズでもよい。光学系10aとしては、色収差が補正されたレンズ(アクロマティックレンズ、色消しレンズとも呼ぶ)を用いるとよい。計測光L1とガイド光L2は波長が異なるため、色収差が大きいレンズを用いると、2つの光線にずれが生じ、ガイド光L2のスポットが計測位置を正確に指し示せないおそれがある。これに対し、色収差が補正されたレンズを用いることにより、2つの光線のずれを可及的に小さくでき、ガイド光L2の投射位置の正確性を担保することができる。」 「【0042】 なお、波長掃引の非線形性の補正は他の手法を用いてもよい。例えば、処理部16が、副干渉計SIの干渉信号に基づいて波長掃引の傾き(非線形性)を推定し、AD変換器17で等間隔時間でサンプリングされた主干渉計MIの干渉信号を内挿して、等間隔位相の干渉信号を生成してもよい。あるいは、計測光源11の波長掃引用の制御信号にあらかじめ逆方向の歪みを与え、光源特性と相殺させることで、計測光源11から出力される計測光の線形性を担保してもよい。」 イ したがって、訂正事項5-1及び訂正事項5-2に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 ウ また、訂正事項5-1及び訂正事項5-2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 (6) 訂正事項6 ア 訂正事項6において、「前記ファイバカプラの前記第3ポートと前記計測ヘッドの間の光路に設けられた参照面」で「部分反射」する結合光の割合を「10%以下」と訂正することは、次に摘記する本件特許明細書等の段落【0035】の記載に基づくものである。 「【0035】 参照光L5の光量が大きいと、ショットノイズなどのシグナル量と共に増加するノイズが原因により、SNが悪くなる。それゆえ、参照面RPの反射率は50%よりも小さい方が好ましく、10%以下であることがより好ましい。参照面RPの形成方法は特に限定されない。例えば、光ファイバF4の端面に部分反射ミラーを蒸着することによって参照面RPを形成してもよい。あるいは光ファイバF4の端面を光軸に垂直なフラット面とし、光ファイバF4と計測ヘッド10のあいだに空気層あるいは屈折率整合材を充填した領域を形成し、屈折率の界面で起きるフレネル反射を利用してもよい。あるいは、計測ヘッド10の光学系10aにおけるレンズ表面での反射を利用してもよい。」 イ したがって、訂正事項6に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 ウ また、訂正事項6に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 (7) 訂正事項7 ア 訂正事項7において、「参照面」について、「前記計測ヘッドに接続される光ファイバの端面に部分反射ミラーを蒸着することにより反射率を10%以下にした面」又は「前記計測ヘッドに接続される光ファイバの端面における屈折率の界面で起きるフレネル反射を利用することにより反射率を10%以下にした面」であると訂正することは、前記(6)アに摘記した本件特許明細書等の段落【0035】の記載に基づくものである。 イ したがって、訂正事項7に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 ウ また、訂正事項7に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 (8) 訂正事項8 ア 訂正事項8において、「前記参照光」について、「前記分岐器から前記処理部までの前記参照光の光路を、前記ガイド光の光路と別にした」と訂正することは、次に摘記する本件特許明細書等の段落【0022】、【0051】、【0056】、【図6】及び【図9】の記載に基づくものである。 「【0022】 計測対象Oで反射し計測ヘッド10で受光された光は、戻り光L4として光ファイバF4に導かれる。一方、結合光L3の一部が、参照面RPで反射し、参照光L5として光ファイバF4に導かれる。そして、戻り光L4と参照光L5の干渉信号(ビート信号)L6が、サーキュレータ14を介してディテクタ15に導かれ、光電変換された後、AD変換器17を介して処理部16へと入力される。この干渉信号L6は、戻り光L4と参照光L5のあいだの光路長差、すなわち計測対象Oの距離に応じた周波数成分を含む。したがって、処理部16において干渉信号L6を周波数解析することによって、計測対象Oの距離、速度、振動などの情報を得ることができる。」 「【0051】 図6及び図7は、第3実施形態の変形例である。図6の構成では、マイケルソン型の主干渉計MIにおいて、計測光源11とファイバカプラ13の間の光路に設けたファイバカプラ52(分岐器)によって計測光L1の一部を分岐させ、参照光L5として利用している。また、図7の構成では、ファイバカプラ13で結合された結合光L3が第3ポートと第4ポートから出力され、第3ポート側の結合光L3は計測用に利用され、第4ポート側の結合光は参照光L5として利用される。」 「【0056】 図9は、第4実施形態の変形例である。図9の構成では、マッハツェンダー型の主干渉計MIにおいて、計測光源11とファイバカプラ13の間の光路に設けたファイバカプラ63(分岐器)によって計測光L1の一部を分岐させ、参照光L5として利用している。ガイド光源12はファイバカプラ64に接続されており、ガイド光L2はファイバカプラ64及び光ファイバF62を介してファイバカプラ13に入力され、計測光L1と結合する。」 「【図6】 [図:0001429978000001.jpg] 」 「【図9】 [図:0001429978000002.jpg] 」 イ したがって、訂正事項8に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 ウ また、訂正事項8に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 (9) 訂正事項9 ア 訂正事項9において、「前記処理部に入力される」「干渉信号」が「前記参照光と、前記分岐器と前記計測部との間で前記戻り光を分岐させた光との干渉信号」であると訂正することは、前記(8)アに摘記した本件特許明細書等の段落【0022】、次に摘記する【0053】~【0055】、【図8】の記載に基づくものである。 「【0053】 <第4実施形態> 図8に第4実施形態の光干渉計測装置の要部を示す。第4実施形態では主干渉計MIにマッハツェンダー型の干渉計を用いている点が、前述の構成例とは異なる。 【0054】 主干渉計MIは、ファイバカプラ60、61、62、及び、光ファイバF60~F63を有している。また、前述の構成例におけるディテクタ15の代わりに差分ディテクタ63が設けられている。 【0055】 光ファイバF3を介して入力された結合光L3は、ファイバカプラ60(分岐器)で分岐され、光ファイバF60とF63にそれぞれ導かれる。光ファイバF60側に分岐した結合光L3は、ファイバカプラ62及び光ファイバF61を介して計測ヘッド10へと導かれ、計測対象Oに投射される。計測対象Oで反射された戻り光L4は、計測ヘッド10から光ファイバF61、ファイバカプラ62、及び光ファイバF62を介して、ファイバカプラ61に入力される。他方、光ファイバF63側に分岐した結合光は、参照光L5として、ファイバカプラ61に入力される。そして、戻り光L4と参照光L5がファイバカプラ61内で干渉し、ファイバカプラ61の2つの出力ポートから、三角波に互いに逆位相の干渉信号が重畳された信号が出力される。差分ディテクタ63では、主干渉計MIから出力された信号をそれぞれ電気信号に変換し、2つの信号の差分を出力する。この操作により、SNの良い干渉信号を得ることができる。」 「【図8】 [図:0001429978000003.jpg] 」 イ したがって、訂正事項9に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 ウ また、訂正事項9に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 (10) 訂正事項10 ア 訂正事項10において、「前記処理部に入力される」「干渉信号」が「前記参照光と、前記ファイバカプラと前記計測部との間で前記戻り光を分岐させた光との干渉信号」であると訂正することは、前記(8)アに摘記した本件特許明細書等の段落【0022】、次に摘記する【0057】、【図10】の記載に基づくものである。 「【0057】 また、図10も第4実施形態の変形例である。図10の構成では、ファイバカプラ13で結合された結合光L3が第3ポートと第4ポートから出力され、第3ポート側の結合光L3は計測用に利用され、第4ポート側の結合光は参照光L5として利用される。」 「【図10】 [図:0001429978000004.jpg] 」 イ また、訂正事項10において、「前記処理部に入力される」「干渉信号」が「前記参照光を参照面で反射させた光を前記第4ポートに入力するとともに前記戻り光を前記第3ポートに入力することにより、前記第1ポートから出力される前記参照光と前記戻り光との干渉信号」であると訂正することは、前記(8)アに摘記した本件特許明細書等の段落【0022】、【0051】及び次に摘記する【図7】の記載に基づくものである。 「【図7】 [図:0001429978000005.jpg] 」 ウ したがって、訂正事項10に係る訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。 エ また、訂正事項10に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126第6項の規定に適合する。 3 独立特許要件 この特許異議の申立てにおいては、全請求項である請求項1~10について特許異議の申立てがされているから、本件訂正後における請求項1~10に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。 4 小括 前記1~3において検討したとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するから、本件訂正は適法なものである。 よって、前記結論のとおり、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要 本件特許について、令和7年1月31日付け取消理由通知書(決定の予告)によって特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 取消理由1(進歩性の欠如) 本件訂正前の請求項1~10に係る発明は、下記に示すとおり、甲1号証に記載された発明、甲4号証、甲5号証、甲7号証、引用文献4及び引用文献5に記載された技術事項、並びに、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 記 <主たる引用文献> 甲1号証 :米国特許出願公開第2014/0171807号明細書 <副引用文献> 甲4号証 :国際公開第99/57507号 甲5号証 :欧州特許出願公開第3401634号明細書 甲7号証 :特開2016-95261号公報 引用文献4 :特開2012-2598号公報 引用文献5 :特開2012-183390号公報 <周知技術等を示す文献> 引用文献1 :Michael Barnes、「The Use of Long-Period Gratings to Detect Sulphur Hexafluoride.」、Environmental Science, Engineering、2009年2月2日、1~84頁 引用文献2 :特表2004-504618号公報 引用文献3 :特開2007-193030号公報 なお、甲1号証、甲4号証~甲5号証及び甲7号証は、特許異議申立人が提出した文献であり、引用文献1~5は、職権調査により発見した文献である。 第5 当合議体の判断 1 訂正後の本件発明 前記第3のとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1~10に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件訂正発明1」などという。)は、それぞれ、前記第2の3に示した本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 甲1号証の記載事項及び甲1発明の認定 (1) 甲1号証の記載事項 甲1号証(米国特許出願公開第2014/0171807号明細書)には、次の事項が記載されている。 摘記の後の括弧内に合議体が作成した日本語訳を示す。下線は合議体が付した。 ア [0024]~[0026] 「[0024] According to embodiments of the disclosure, assessment of neural activity may be achieved by noninvasive optical assessment of neural surface displacement. Embodiments of the disclosure may characterize functionality of nerves by measurement of surface displacement associated with neural activation. Systems, devices, and methods of the present disclosure may use a fiber-optic phase-sensitive optical Low coherence reflectometer (PS-OLCR) and may be operable to detect a variety of neurological slates. According to some embodiments, methods, systems, and/or devices of the disclosure may use a PS-OLCR system capable of measuring ultra-small changes in optical path length using backreflected light from a neurological sample. In addition, double passage of light through the sample may be used in some embodiments to increase the detected phase delays by a factor of two. [0025] The fiber-optic PS-OLCR system used in some embodiments of the present disclosure may be configured to incorporate a fiber probe for endoscopic and microfluidic bio-sensing applications. In addition, according to some embodiments, systems may be compact, portable and/or easy to align. [0026] Embodiments of the present disclosure may include a depth-resolved interferometric technique useful to measure transient surface displacement (swelling or shrinkage) as a direct indication of neural activity, i.e., action potential propagation. An optical system may include a PS-OLCR, a fiber-based differential phase interferometer capable of measuring ultra-small (0.1 nm) changes in optical path length with microsecond or shorter temporal resolution. Sub-wavelength changes in optical path length in the nerve as a result of stimulation may be measured by extracting the phase difference between interferometric fringes measured by the PS-OLCR system in two channels corresponding to orthogonal polarization modes. Environmental phase noise in PS-OLCR systems may be eliminated by common mode detection. Comparing with single channel results, certain systems of the present disclosure improve the phase sensitivity by approximately 3-orders of magnitude (~60 dB). In one instrument that may be used in the present disclosure, phase sensitivity is one milliradian, which approximately corresponds to optical path length change of 1 angstrom when the source wavelength is centered at 1.31 μm. 」 ([0024] 本開示の実施形態によれば、神経活動の評価は、神経表面変位の非侵襲的光学的評価によって達成され得る。本開示の実施形態は、神経の活性化に関連する表面変位の測定によって神経の機能性を特徴付けることができる。本開示のシステム、デバイス及び方法は、光ファイバ位相感応型光学低コヒーレンス反射率計(PS-OLCR)を使用することができ、様々な神経スレートを検出するように動作可能である。いくつかの実施形態によれば、本開示の方法、システム及び/又は装置は、神経学的サンプルから後方反射された光を用いて光路長の極めて小さい変化を測定することができるPS-OLCRシステムを使用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、光が試料を二回通過することを利用して、検出される位相遅延を2倍に増加させることができる。 [0025] 本開示のいくつかの実施形態で使用される光ファイバPS-OLCRシステムは、内視鏡及びマイクロ流体バイオセンシング用途のためのファイバプローブを組み込むように構成されてもよい。加えて、いくつかの実施形態によれば、システムは、コンパクトであり、持ち運び可能であり、かつ/又は位置合わせが容易であり得る。 [0026] 本開示の実施形態は、神経活動、すなわち活動電位伝播の直接的な指標として過渡的な表面移動(膨張又は収縮)を測定するのに有用な深さ分解干渉技術を含むことができる。光学システムは、マイクロ秒以下の時間分解能で光路長の超微小(0.1nm)変化を測定することができるファイバベースの差動位相干渉計であるPS-OLCRを含むことができる。刺激の結果としての神経における光路長のサブ波長変化は、直交偏光モードに対応する二つのチャネルにおいてPS-OLCRシステムによって測定される干渉縞間の位相差を抽出することによって測定することができる。PS-OLCRシステムにおける環境位相雑音は、コモンモード検出によって除去することができる。単一チャネルの結果と比較すると、本開示の特定のシステムは、位相感度を約3桁(約60dB)改善する。本開示で使用することができる一つの機器では、位相感度は1ミリラジアンであり、これは、光源波長が1.31μmを中心とするときの1オングストロームの光路長変化にほぼ対応する。) イ [0032] 「[0032] In the embodiment shown in FIGS. 1 and 2, an interferometer may comprise a beam combiner optically connected to a 1.31 μm broadband source and optically connected to a 633 nm source (aiming band). A beam combiner may be optically connected to a separator. As shown in FIG. 1, the separator may be 2×2 PM coupler, which, in the illustrated embodiment, serves as both the separator and recombiner. A reference path may be optically connected to the separator and comprise a 45°splice, a LiNbO3 phase modulator, and a rapid scanning delay line. As shown, a rapid scanning optical delay line may comprise a collimator (C), a diffraction grating (G), a lens (L), mirror (M,) and a mirror on a galvanometer. The sample path may comprise any suitable optics for illuminating a sample. The sample path and the reference path may each be optically connected to a recombiner. As noted, the separator shown in FIG. 1 also serves as the recombiner. Alternatively, the recombiner may be distinct from the separator as shown in FIG. 2. The recombiner may be optically connected to a spectral domain detector (FIG. 1) or an optical spectrum analyzer (FIG. 2). An optical spectrum analyzer may detect backscattered radiation received by the interferometer to analyze modulated interference spectral densities produced by the interferometer.」 ([0032] 図1及び図2に示す実施形態では、干渉計は、1.31μmの広帯域光源と633nm光源(照準帯域)に光学的に接続されたビームコンバイナーから構成される。ビームコンバイナーは、分離器に光学的に接続されていてもよい。図1に示すように、分離器は、図示の実施形態では、分離器と再結合器の両方の役割を果たす2×2PMカプラーであってもよい。参照光路は、分離器に光学的に接続され、45°スプライス、LiNbO3位相変調器及び高速走査遅延線から構成されてもよい。図示のように、高速走査光遅延線は、コリメータ(C)、回折格子(G)、レンズ(L)、ミラー(M)及びガルバノメータ上のミラーから構成されてもよい。サンプル光路は、サンプルを照明するための任意の適切な光学部品を備えてもよい。参照光路とサンプル光路は、それぞれ再結合器に光学的に接続されていてもよい。前述のように、図1に示す分離器は再結合器としても機能する。あるいは、図2に示すように、再結合器は分離器とは別のものであってもよい。再結合器は、スペクトル領域検出器(図1)又は光スペクトルアナライザー(図2)に光学的に接続されていてもよい。光スペクトルアナライザーは、干渉計によって生成された変調された干渉スペクトル密度を分析するために、干渉計によって受信された後方散乱放射を検出してもよい。) ウ [0045]~[0046] 「[0045] A fiber-based dual channel PS-OLCR is illustrated in FIG. 1. The system is constructed with polarization maintaining (PM) Fujikura Panda fiber, whose polarization channels correspond to PS-OLCR channels. Fiber segments were spliced with a commercial system (Vytran FS 2000) that allows precise alignment of fiber cores and stress taxes. Small rectangles in FIG. 1 represent fiber splices and the values above show the splice angle in degrees between corresponding axes (slow and fast) of the two PM fiber segments. [0046] A single mode, partially polarized light emitted by an optical semiconductor amplifier [λo=1.31μm and Δλ(FWHM)~60nm] was combined with a 633 nm source (aiming beam) and delivered to the system, which provided approximately 15 μm axial resolution in tissue. The input PM fiber segment created two decorrelated linearly polarized modes that propagated along the birefringent axes of the fiber. Because an off-the-shelf 2×2 PM coupler is supplied with 1 meter fiber leads, length of input, reference and sample paths of the coupler were extended by splicing additional segments of PM fiber with axes at the same orientation (0°splice).」 ([0045] ファイバーベースのデュアルチャンネルPS-OLCRを図1に示す。このシステムは、偏波チャンネルがPS-OLCRチャンネルに対応する偏波保持(PM)フジクラPandaファイバーで構成されている。ファイバーセグメントは、ファイバーコアの正確な位置合わせと負荷を課すことを可能にする市販のシステム(Vytran FS 2000)を用いて接続した。図1の小さな長方形はファイバー接続を表し、上の値は2つのPMファイバーセグメントの対応する軸(遅軸及び速軸)間の接続角度を度単位で示す。 [0046] 光半導体増幅器によって放射されたシングルモードの部分偏光光[λo=1.31μm、Δλ(FWHM)~60nm]は、633nmの光源(照準ビーム)と結合され、組織の約15μmの軸方向分解能を提供するシステムに送られた。入力されたPMファイバーセグメントは、ファイバーの複屈折軸に沿って伝播する2つの相関除去された直線偏光モードを生成した。市販の2×2PMカプラーには1mのファイバーリードが付属しているため、軸が同じ向きの追加のPMファイバーセグメントを接続(0°スプライス)することで、カプラーの入力、参照光路、サンプル光路の長さを延長した。) エ [0048] 「[0048] Longitudinally displaced orthogonal polarization channels FIG. 2 allowed measurement of optical path length change between two longitudinal points. Interference of light back reflected from reference and sample paths was formed in the 2×2 PM coupler.(後略)」 ([0048] 長手方向にずれた直交偏光チャンネル(図2)により、長手方向の2点間の光路長変化を測定することができた。参照光路とサンプル光路から後方に反射した光は、2×2PMカプラーにおいて干渉を形成している。(後略)) オ [請求項1] 「What is clamed is: 1. A device for detecting neural activity beam comprising: a. a beam combiner configured to combine light; b. a broadband source optically linked to the beam combiner; c. an aiming beam source optically linked to the beam combiner; d. a separator optically linked to the beam combiner and configured to separate light into a reference beam and a sample beam; reference optics operably linked separator; sample optics operably linked to the separator; e. a recombiner optically linked to the reference optics and sample optics configured to combine light; f. an optical spectrometer optically connected to the recombines and configured to detect a plurality of spectral interference densities from the recombiner; and g. a processor configured to process detected spectral interference densities to produce sample surface displacement information.」 ([請求項1] 以下を備える神経活動ビームを検出するための装置。 a.光を結合するように構成されたビームコンバイナー; b.ビームコンバイナーに光学的に連結された広帯域光源; c.ビームコンバイナーに光学的に連結された照準ビーム光源; d.ビームコンバイナーに光学的に連結され、光を参照ビームとサンプルビームに分離するように構成された分離器;分離器に作動可能に連結された参照光学系;分離器に作動可能に連結されたサンプル光学系; e.参照光学系とサンプル光学系に光学的に連結され、光を結合するように構成された再結合器; f.再結合器に光学的に連結され、再結合器から複数のスペクトル干渉密度を検出するように構成された光学分光計;及び g.検出されたスペクトル干渉密度を処理してサンプル表面の変位情報を生成するように構成されたプロセッサ。) カ 第1図 「 [図:0001429978000006.jpg] 」 キ 第2図 「 [図:0001429978000007.jpg] 」 (2) 甲1号証から読み取れる事項の認定 ア 認定事項A 甲1号証の段落[0032]、[0046]の記載を踏まえつつ第1図及び第2図を参照すると、次のこと(以下「認定事項A」という。)が読み取れる。 [認定事項A] 「1.31μm広帯域光源の光が入力されるポート、633nm光源(照準帯域)の光が入力されるポート、及び、これらの光が結合された光を2×2PMカプラーに出力するポートを備えたビームコンバイナー。」 イ 認定事項B 甲1号証の段落[0032]の記載を踏まえつつ第1図を参照すると、次のこと(以下「認定事項B」という。)が読み取れる。 [認定事項B] 「サンプル光路は、2×2PMカプラーに光学的に接続された光ファイバの先端側に配置されたコリメータ(C)と、サンプルを照明するための任意の適切な光学部品を備え、参照光路とサンプル光路は再結合器として機能する2×2PMカプラーに光学的に接続されること」 (3) 甲1発明の認定 前記(1)に摘記した事項及び前記(2)において認定した認定事項A及びBを総合すると、甲1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 [甲1発明] 「1.31μm広帯域光源と、([0032]) 633nm光源(照準帯域)と、([0032]) 1.31μm広帯域光源の光が入力されるポート、633nm光源(照準帯域)の光が入力されるポート、及び、これらの光が結合された光を2×2PMカプラーに出力するポートを備えたビームコンバイナーと、(認定事項A) 2×2PMカプラーであって、([0032]) ビームコンバイナーに光学的に接続され、光を参照ビームとサンプルビームに分離するように構成された分離器と、([請求項1]のd.) 参照光路とサンプル光路に光学的に接続され、光を結合するように構成された再結合器と、([請求項1]のe.、[0032]) の両方として機能する2×2PMカプラーと、([0032]) 再結合器に光学的に接続され、再結合器から複数のスペクトル干渉密度を検出するように構成された光学分光計と、([請求項1]のf.) 検出されたスペクトル干渉密度を処理してサンプル表面の変位情報を生成するように構成されたプロセッサと、([請求項1]のg.) を備え、 サンプル光路は、2×2PMカプラーに光学的に接続された光ファイバの先端側に配置されたコリメータ(C)と、サンプルを照明するための任意の適切な光学部品を備え、参照光路とサンプル光路は再結合器として機能する2×2PMカプラーに光学的に接続され、(認定事項B) 参照光路とサンプル光路からの反射光は、2×2PMカプラーにおいて干渉を形成しており、([0048]) サンプルにおいて後方反射された光を用いて光路長の極めて小さい変化を測定する、([0024]) 内視鏡及びマイクロ流体バイオセンシング用途のためのファイバプローブを組み込むように構成されてもよく、([0025]) マイクロ秒以下の時間分解能で光路長の超微小(0.1nm)変化を測定することができるファイバーベースのデュアルチャネルPS-OLCR装置(位相感応型光学低コヒーレンス反射率計)([0024]、[0026]、[0045])」 3 本件訂正発明1について (1) 対比 本件訂正発明1と甲1発明を対比する。 ア 「第1光源」について (ア) 甲1発明の「1.31μm広帯域光源」は、赤外光領域に発光波長を有するものであり、「633nm光源(照準帯域)」は、可視光領域に発光波長を有するものであることは明らかである。 (イ) ここで、「633nm光源」は、「照準帯域」とあることからみて、照準用に用いられるものであることは明らかである。 (ウ) そうすると、甲1発明の「1.31μm広帯域光源」は、計測用に用いられるものとなるから、甲1発明の「1.31μm広帯域光源の光」は、本件訂正発明1の「赤外域の波長を有する計測光」に相当する。 (エ) したがって、甲1発明の「1.31μm広帯域光源」は、本件訂正発明1の「赤外域の波長を有する計測光を出力する第1光源」に相当する。 (オ) 以上より、本件訂正発明1と甲1発明は、「赤外域の波長を有する計測光を出力する第1光源」を有する点において一致する。 イ 「第2光源」について (ア) 前記アを踏まえると、甲1発明の「633nm光源(照準帯域)の光」は、本件訂正発明1の「可視域の波長を有するガイド光」に相当する。 (イ) したがって、甲1発明の「633nm光源(照準帯域)」は、本件訂正発明1の「可視域の波長を有するガイド光を出力する第2光源」に相当する。 (ウ) 以上より、本件訂正発明1と甲1発明は、「可視域の波長を有するガイド光を出力する第2光源」を有する点において一致する。 ウ 「ファイバカプラ」について (ア) 甲1発明の「ビームコンバイナー」は、本件訂正発明1の「ファイバカプラ」とは、いずれも光を結合する「光結合手段」である点で共通する。 (イ) さらに、甲1発明の「ビームコンバイナー」が有する「1.31μm広帯域光源の光が入力されるポート」、「633nm光源(照準帯域)の光が入力されるポート」及び「これらの光が結合された光を2×2PMカプラーに出力するポート」は、それぞれ本件訂正発明1の「ファイバカプラ」が有する「前記計測光が入力される第1ポート」、「前記ガイド光が入力される第2ポート」及び「前記計測光と前記ガイド光が結合された結合光が出力される第3ポート」に相当する。 (ウ) したがって、本件訂正発明1と甲1発明は、「少なくとも、前記計測光が入力される第1ポート、前記ガイド光が入力される第2ポート、及び、前記計測光と前記ガイド光が結合された結合光が出力される第3ポートを有する光結合手段」を備える点で共通する。 (エ) 一方で、本件訂正発明1の光結合手段は「カットオフ波長が前記計測光の波長より短く且つ前記ガイド光の波長より長いシングルモードファイバで構成されていることにより、前記ガイド光をマルチモードで伝播させる」「ファイバカプラ」であるのに対し、甲1発明の光結合手段は「ビームコンバイナー」であるという点で、両者は相違する。 エ 「計測ヘッド」について (ア) 甲1発明の「ビームコンバイナー」から出力される、「1.31μm広帯域光源の光」と「633nm光源(照準帯域)の光」が「結合された光」は、本件訂正発明1の「前記計測光と前記ガイド光が結合された」「前記結合光」に相当する。 (イ) そして、甲1発明の「結合された光」は、「2×2PMカプラー」の「分離器」としての機能により「参照ビームとサンプルビームに分離」され、「2×2PMカプラーに光学的に接続された光ファイバの先端側に配置されたコリメータ(C)と、サンプルを照明するための任意の適切な光学部品」を備えた「サンプル光路」に送られて、サンプルを照明している。そうすると、甲1発明の「サンプル光路」は、「計測ヘッド」とはいえないことは措くとしても、本件訂正発明1の「前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測ヘッドの先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射」に相当する機能を有する。 (ウ) また、甲1発明の「2×2PMカプラー」には「サンプル光路からの反射光」が入力され、「参照光路とサンプル光路は再結合器として機能する2×2PMカプラーに光学的に接続され」るから、甲1発明の「サンプル光路」は、本件訂正発明1の「前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する」に相当する機能を有する計測部と認められる。 (エ) 一方で、甲1発明は、「内視鏡及びマイクロ流体バイオセンシング用途のためのファイバプローブを組み込むように構成されても良[い]」ものの、本件訂正発明1のように「計測ヘッド」を設けたものではなく、「前記第1光源と前記第2光源と前記ファイバカプラと前記処理部とが設けられている装置本体と、前記計測ヘッドとが別体であり、前記装置本体と前記計測ヘッドが前記光ファイバで接続されて[いる]」ものではない。 (オ) 以上より、本件訂正発明1と甲1発明は、「前記結合光を導く光ファイバに接続される計測部であって、前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測部の先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射し、前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する計測部」を備えている点で共通する。 (カ) そして、本件訂正発明1と甲1発明は次のa、bの2点で相違する。 a 本件訂正発明1の計測部は「計測ヘッド」であるのに対し、甲1発明の計測部は「光ファイバの先端側に配置されたコリメータ(C)と、サンプルを照明するための任意の適切な光学部品」を備えた「サンプル光路」である点。 b 本件訂正発明1は「前記第1光源と前記第2光源と前記ファイバカプラと前記処理部とが設けられている装置本体と、前記計測ヘッドとが別体であり、前記装置本体と前記計測ヘッドが前記光ファイバで接続」される構成を有するのに対し、甲1発明はそのような構成を有していないという点。 オ 「処理部」について (ア) 甲1発明は、「検出されたスペクトル干渉密度を処理してサンプル表面の変位情報を生成するように構成されたプロセッサ」を備える。 (イ) 甲1発明においては、「参照光路とサンプル光路からの反射光は、2×2PMカプラーにおいて干渉を形成して」いるところ、「参照光路からの反射光」は、本件訂正発明1の「参照光」に相当し、「サンプル光路からの反射光」は、本件訂正発明1の「戻り光」に相当する。これを踏まえると、甲1発明の「再結合器」として機能する「2×2PMカプラー」において、戻り光と参照光から干渉光が形成されているといえる。 (ウ) 甲1発明においては、「再結合器に光学的に接続され」た「光学分光計」が「再結合器から複数のスペクトル干渉密度を検出するように構成され」ているから、「光学分光計」において検出された「複数のスペクトル干渉密度」は、前記(イ)の干渉光に由来するものであり、本件訂正発明1の「前記戻り光と参照光との干渉信号」に相当する。 (エ) また、甲1発明は、「サンプルにおいて後方反射された光を用いて光路長の極めて小さい変化を測定する」ものであるから、甲1発明の「サンプル表面の変位情報」は、本件訂正発明1の「前記計測対象の距離、速度、又は、振動に関する情報」に相当する。 (オ) 前記(ア)~(エ)を踏まえると、甲1発明の「検出されたスペクトル干渉密度を処理してサンプル表面の変位情報を生成するように構成されたプロセッサ」は、戻り光と参照光から形成された干渉光に由来する「複数の干渉スペクトル密度」に基づいて、「サンプル表面の変位情報を生成する」手段であるといえるから、本件訂正発明1の「前記戻り光と参照光との干渉信号に基づいて、前記計測対象の距離、速度、又は、振動に関する情報を取得する処理部」に相当する。 (カ) したがって、本件訂正発明1と甲1発明は、「前記戻り光と参照光との干渉信号に基づいて、前記計測対象の距離、速度、又は、振動に関する情報を取得する処理部」を備える点で一致する。 カ 「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」について (ア) 前記ア~オを踏まえると、甲1発明の「ファイバーベースのデュアルチャネルPS-OLCR装置(位相感応型光学低コヒーレンス反射率計)」は、「光干渉計測装置」としての機能を有するから、本件訂正発明1と甲1発明は「光干渉計測装置」の発明である点において一致する。 (イ) 一方で、甲1発明は「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」ではなく、「ファイバーベースのデュアルチャネルPS-OLCR装置(位相感応型光学低コヒーレンス反射率計)」であるという点で相違する。 (2) 一致点及び相違点 本件訂正発明1と甲1発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違すると認められる。 ア 一致点 「赤外域の波長を有する計測光を出力する第1光源と、 可視域の波長を有するガイド光を出力する第2光源と、 少なくとも、前記計測光が入力される第1ポート、前記ガイド光が入力される第2ポート、及び、前記計測光と前記ガイド光が結合された結合光が出力される第3ポートを有する光結合手段と、 前記結合光を導く光ファイバに接続される計測部であって、前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測部の先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射し、前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する計測部を備え 前記戻り光と参照光との干渉信号に基づいて、前記計測対象の距離、速度、又は、振動に関する情報を取得する処理部と、を有する、光干渉計測装置」である点。 イ 相違点 (ア) 相違点1 本件訂正発明1は、 光干渉計測装置が「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」であって、 計測部が「計測ヘッド」であって、 「前記第1光源と前記第2光源と前記ファイバカプラと前記処理部とが設けられている装置本体と、前記計測ヘッドとが別体であり、前記装置本体と前記計測ヘッドが前記光ファイバで接続されて[いる]」のに対し、 甲1発明は、 光干渉計測装置が「マイクロ秒以下の時間分解能で光路長の超微小(0.1nm)変化を測定することができるファイバーベースのデュアルチャネルPS-OLCR装置」であって、 計測部が「光ファイバの先端側に配置されたコリメータ(C)と、サンプルを照明するための任意の適切な光学部品」を備えた「サンプル光路」であって、 「内視鏡及びマイクロ流体バイオセンシング用途のためのファイバプローブを組み込むように構成されても良[い]」ものの、「前記第1光源と前記第2光源と前記ファイバカプラと前記処理部とが設けられている装置本体と、前記計測ヘッドとが別体装置本体と計測ヘッドとを別体」として光ファイバで接続するものではない点。 (イ) 相違点2 本件訂正発明1は、 計測光とガイド光を結合する光結合手段が、「カットオフ波長が前記計測光の波長より短く且つ前記ガイド光の波長より長いシングルモードファイバで構成されていることにより、前記ガイド光をマルチモードで伝播させる」「ファイバカプラ」であるのに対して、 甲1発明においては、 1.31μm広帯域光源と633nm光源(照準帯域)を結合するのが「ファイバカプラ」ではなく「ビームコンバイナー」であり、「カットオフ波長が前記計測光の波長より短く且つ前記ガイド光の波長より長いシングルモードファイバで構成されていることにより、前記ガイド光をマルチモードで伝播させる」かどうかは不明であるという点。 (3) 判断 ア 相違点1について 甲1発明は、光路長の超微小(0.1nm)変化を測定することができるファイバーベースのデュアルチャネルPS-OLCR装置であるため、本件訂正発明1のファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置とは用途が異なり、その求める精度や測定距離範囲などの要求性能・仕様も異なるものと認められる。 そして、「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」が有する「計測ヘッド」は、FA機器の制御のための計測光を照射するのに適した光学系を有するものであるところ、甲4号証や甲5号証には「計測ヘッド」を有する装置についての開示があるものの、甲1発明を「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」に転用するとともに、その用途に適合するように、「前記結合光を導く光ファイバに接続される計測ヘッドであって、前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測ヘッドの先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射し、前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する計測ヘッド」として構成するためには、甲1発明において、相応の動機付けが必要である。 しかしながら、甲1発明において、かかる動機となる事項を見出すことはできず、取消理由通知書で引用した甲4~5、7号証、引用文献1~5、特許異議申立人が提出した他の甲2~3、6、8~9号証を参照しても、甲1発明を「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」に転用し、「ファクトリーオートメーション用」の「計測ヘッド」を設ける動機を見出すことはできない。 したがって、前記相違点1に係る構成は、甲1~9号証、引用文献1~5に記載された発明から容易に想到できたものではない。 イ 申立人の主張について 申立人は、令和7年5月27日に提出された意見書において、前記相違点1に係る構成は、いずれも本件異議申立の審理の過程において挙げられた先行技術文献、又は当該先行技術文献と周知技術から、容易に想到できたものであると主張するとともに、参考資料1として米国特許出願公開第2012/0320380号明細書を提示している。 しかしながら、参考資料1に開示されるのは、評価ユニットと測定ヘッド7とが別体に設けられ、両者が光ファイバコネクタ33で接続されている、ウェハ形状試料間の接合層を試験する試験装置にすぎず、参考資料1の開示内容を踏まえても、甲1発明を「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」に転用し、「ファクトリーオートメーション用」の「計測ヘッド」を設ける動機を見出すことはできない。 また、前記相違点1に係る構成が、本件異議申立の審理の過程において挙げられた先行技術文献、又は当該先行技術文献と周知技術から容易に想到できたものではないことは、前記アで検討したとおりである。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (4) 小括 前記(3)ア、イにおいて検討したとおり、前記相違点1に係る構成は、本件異議申立の審理の過程において挙げられた先行技術文献、又は当該先行技術文献と周知技術から容易に想到できたものではない。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者が甲1~7号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 よって、本件訂正発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 4 本件訂正発明2~10について 本件訂正発明1の構成を全て有する本件訂正発明2~10は、前記相違点1に係る本件訂正発明1の構成を備えるものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、当業者が甲1~7号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 請求項1に係る特許異議申立理由について 申立人は、特許異議申立書において、本件特許の請求項1に係る発明は、次の三つの申立理由1~3から進歩性が欠如している旨主張している。 <申立理由1> 甲1号証に記載された発明及び甲3号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 <申立理由2> 甲1号証に記載された発明及び甲8~9号証に開示された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 <申立理由3> 甲2号証に記載された発明及び甲8~9号証に開示された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 申立理由の検討 (1) 申立理由1、2の検討 前記申立理由1、2については、前記第5の3において説示した内容を踏まえると、以下に示すとおり、採用することはできない。 ア 甲3号証に記載された事項 甲3号証(「偏波保持(PANDA)ファイバ」についての技術説明資料)には、株式会社フジクラ製のPANDAファイバがシングルモードのファイバであること、1.3μmを使用波長としたPANDAファイバの遮断波長(カットオフ波長)が1.00~1.29μmの範囲内となることが開示されている。 イ 甲8号証、甲9号証に記載された事項 甲8号証(米国特許第5293440号明細書)には、1つ以上の光ファイバに光パワーを分岐(または結合)する目的で作成された光ファイバカプラが広く使用されてきたこと、所望の動作またはカップリング機能(すなわち、カップリング比、対象波長帯域、送信モード及びカップリングモードの偏波)に応じて、広帯域カプラ、波長独立カプラ、シングルモードカプラ、偏波保持(PM)カプラ、PMハイブリッドカプラ、及び他のカプラが使用されてきたこと、光システムに組み込まれる場合、カプラは様々な温度や応力で動作することが多いことが開示されている(第1欄第11行~第21行を参照)。 甲9号証(特開2001-154058号公報)には、可視光などのマルチモード領域と、赤外光などのシングルモード領域の両方の波長の光信号を安定した分岐比で伝送できるシングル・マルチモード光ファイバカプラについて開示されている(段落【0001】、【0018】、【0033】を参照)。 ウ 甲8号証、甲9号証から認定される周知技術 前記甲8~9号証の記載から、次の(ア)~(ウ)が周知技術として認められる。 (ア) ファイバカプラ(光を合波するコンバイナも用語が違うだけで当然含まれる)として、シングルモードカプラがあること。 (イ) 使用するシングルモードファイバのカットオフ波長の両側、すなわちカットオフ波長以上の波長の光信号を伝送するシングルモード領域と、カットオフ波長未満の波長の光信号を伝送するマルチモード領域の双方において所定の分岐比を有するシングル・マルチモード光ファイバカプラがあり、カットオフ波長を境界としてシングルモードとマルチモードとが存在すること。 (ウ) 光ファイバカプラは、分岐と同時に合波も行え、マルチモードの可視光などとシングルモードの赤外光などを光ファイバカプラで合波できること。 エ 当合議体の判断 前記第5の3(2)で示したとおり、本件訂正発明1と、甲1号証に記載される甲1発明は、前記相違点1、前記相違点2において相違する。 そして、前記第5の3(3)において示したとおり、甲3号証、甲8号証、甲9号証からは、甲1発明を「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」に転用し、「ファクトリーオートメーション用」の「計測ヘッド」を設ける動機を見出すことはできない。 したがって、甲1号証及び甲3号証に記載された発明、又は、甲1号証及び甲8~9号証に開示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるという申立人の主張は採用できない。 (2) 申立理由3の検討 前記申立理由3については、以下に示すとおり、採用することはできない。 ア 甲2号証の記載事項 甲2号証(特表2018-526161号)には、次の事項が記載されている。下線は合議体が付した。 (ア) 段落【0004】~【0007】 「【技術分野】 【0004】 本開示の様々な実施形態は、概して光干渉断層法(OCT)イメージングシステムに関し、特に広視野OCTイメージングシステムに関する。 …(中略)… 【0007】 OCTイメージングシステムは、眼の疾患の早期診断に役立つ眼の構造情報を提供することができる。一般的に、OCTイメージングシステムでは、眼の横断面図、たとえば、ヒトの網膜の横断面図を得るために近赤外光が典型的に使用される。」 (イ) 【0062】~【0064】 「【0062】 図1は、広視野を有するOCTイメージングシステム100の側面図である。OCTイメージングシステム100は、手持ち式イメージングプローブ140およびコンソール130を備えることができる。一般的に、イメージングプローブ140は、第一のイメージングプローブ120、たとえば光カラーイメージングモジュールまたは全視野イメージングモジュール、およびOCTイメージングモジュール110を備えることができる。一般的に、コンソール130は、OCTエンジン131および走査ミラーコントローラ134を備えることができる。OCTエンジン131は、OCT干渉計、OCT光源(たとえば、800nmから1100nmまでの波長を有する広帯域光源)、光検出器、データ収集システム、電源、プロセッサ、およびディスプレイを備えることができる。OCTエンジン131は、時間領域OCTエンジン(TD-OCT)、フーリエ領域OCTエンジン(FD-OCT)、または掃引光源フーリエ領域OCTエンジン(SS-FD-OCT)であり得る。 【0063】 手持ち式イメージングプローブ140は、コンパクトであり、軽量でありかつポータブルであることができる。イメージングプローブ140は、第一のイメージングモジュール(たとえば、カラーイメージングモジュール)120およびOCTイメージングモジュール110を備えることができる。一般的に、イメージングプローブ140は、OCTイメージングモジュールを収容するのみならず、他のイメージングモダリティ、たとえば、カラーイメージング、蛍光眼底血管造影イメージング、自動蛍光イメージング等を伴う。イメージングプローブ140は、他のイメージングモダリティ、たとえば光カラーイメージングと同時にリアルタイムでのOCTイメージングを実行できる。いくつかの実施形態では、光カラーイメージングモジュールは、以下で詳細に論じるOCT断面図のためのイメージング位置の位置決めを提供するように構成できる。 【0064】 図1に示すように、光ファイバ103は、OCTエンジン131のOCT光源からの光をイメージングプローブ140へ伝送するように構成することができる。OCTエンジン131は、光ファイバによってイメージングプローブ140のOCTイメージングモジュール110に光学的にリンクでき、この光ファイバは、OCT光源からの光をOCTイメージングモジュール110に供給すると同時に、さらなる解析のためにOCTイメージングモジュール110から眼の反射光を受光する。OCTイメージングモジュール110は、手持ち式イメージングプローブ140の内側に配置された、一次元的にまたは二次元的に回転する走査ミラーによってOCT光源からの光ビームを眼の異なる部分(後部イメージングモードで後眼部、および前部イメージングモードで前眼部)へ走査し、眼から反射された、すなわち散乱された光を受光する。たとえば、走査ミラーは、いくつかの実施形態では、走査MEMSミラーであってもよい。」 (ウ) 【図1】 「 [図:0001429978000008.jpg] 」 (エ) 【0089】 「【0089】 図1および図2Aに戻って参照すると、OCTイメージングシステム100は、OCTイメージングをカラーイメージングと同時に行うことができるOCTイメージングモジュール110(一体的なOCTイメージングモジュールまたは取り外し可能なOCTイメージングモジュール)を備えることができる。いくつかの実施形態では、OCTイメージングモジュール110は、第一のイメージングモジュール120と恒久的に一体化してもよい。コンソール130に配置されたOCTエンジン131にある広帯域光源250からの第二の光ビームは、光ファイバ103を介してOCTイメージングモジュール110に運ばれてOCT干渉計(図示せず)のためのサンプルアームを形成することができる。光ファイバ103は、通常のファイバまたは偏光保持ファイバの形状のシングルモードファイバであることができる。偏光保持ファイバは、ファイバ103が操作中に曲げられているまたはねじられているときに、放射光に関する偏光状態の変化の影響を減少できる。偏光保持ファイバの詳細は以下で論じられる。機械的なまたは電気的な焦点調整機構に設けられた光結合レンズ104は、コリメート光ビームを形成するために使用できる。」 (オ) 【0094】 「【0094】 いくつかの実施形態では、OCTイメージングシステム100は、照準光である第三の光源253をさらに備えることができる。第三の光源は、コンソール130に配置されている。ビームコンバイナ252もまたコンソール130に配置され、かつビームコンバイナ252は、光ファイバ103を介して第二の光源250と第三の光源253の両方を手持ち式イメージングプローブ140に結合するように構成される。光ファイバ103からの光は、OCTイメージングのための広帯域光源250からの第二の光ビームを含むのみならず、狭帯域波長範囲を有する照準光として第三の光ビームを含む。いくつかの実施形態では、第三の光源253の波長は、カラーイメージングのために、第二の光源250と第一の光源221の間であることができる。たとえば、照準光源は、680nm、700nmまたは740nmの波長を有することができる。第三の光源は、第三の照明路と第三のイメージング路を有することができ、第三の照明路は、OCTイメージングモジュールの第二の照明路と同じであり、かつ第三のイメージング路は、第一のイメージングモジュールの第一のイメージング路と同じである。ビーム分割ダイクロイックミラー102は、第三の光ビームを部分的に反射し、かつ部分的に透過するように構成できる。照準光ビームは、OCTイメージングモジュール110と同じ光学系で後眼部201に中継されて全く同じスポットに焦点が合わされる一方、反射された照準光ビームは、ビームスプリッタ102を介して部分的に伝送され、次に、第一のイメージング路における光学系と同じ光学系によって画像センサ210に最終的に投射される。」 (カ) 【0097】~【0100】 「【0097】 いくつかの実施形態では、OCTイメージングモジュール110の第二のイメージング路の光学レンズは、眼からファイバ103の前端部まで、光学分散に関してOCT光源250の波長範囲内の光ビームに対して色消しできる。光学窓202を含む第二のイメージング路の先端部から光結合レンズ104である光ファイバ103の前端部までOCTイメージングモジュール110を形成するレンズは、OCTイメージングモジュールで使用される波長を有する光に対して色消しできる。第二のイメージング路の光学レンズは、眼自体からの残留色収差を補償する必要をさらに考慮してさらに構成される。ここで、色消しとは、一波長だけでなく作動波長範囲内の多数の光波長に関する光学収差、並びにOCTイメージングモジュール110の全視野に関する光学収差を最小にするための設計を意味する。たとえば、第二のイメージング路の光学レンズは、980nmから1100nmの作動光波長範囲に関する1000nmと1080nmの波長での光学収差、並びに0度(光軸上)から130度までの撮影視野に関する光学収差を最小にするように構成される。 …(中略)… 【0100】 図3は、他の一実施形態において後眼部201がイメージングされる、広視野を有するOCTイメージングシステム300の他の例示的な光学設計の概略図である。コンソール130に配置された広帯域光源250からの第二の光ビームは、光ファイバ103を介してOCTイメージングモジュール310に運ばれてOCT干渉計(図示せず)に対するサンプルアームを形成する。光ファイバ103は、通常のファイバまたは偏光保持ファイバの形態のシングルモードファイバであることができる。機械的または電気的な焦点調整機構に取り付けられた光結合レンズ104は、コリメート光ビームを形成するために使用できる。」 (キ) 【0109】~【0114】 「【0109】 図4は、図1に示された広視野OCTイメージングシステム100の一例のOCT干渉計280の概略図である。OCTイメージングシステム100は、手持ち式イメージングプローブ140とコンソール130を備えることができる。コンソール130は、OCTエンジン131と走査ミラーコントローラ(図示せず)を備えることができる。OCTエンジン131は、OCT干渉計280、OCT光源250、光検出器266、データ収集モジュール267、プロセッサ268、およびディスプレイを備えることができる。たとえば、OCT干渉計280は、光ファイバ干渉計であってもよい。OCT光源250は、いくつかの実施形態では、掃引光源を備えることができる。OCT干渉計280は、OCTエンジン131のコアであり得る。OCT干渉計280は、異なるOCTイメージングモジュールを有する異なる手持ち式イメージングプローブと連動することができる。たとえば、OCT干渉計280は、図2AのOCTイメージングモジュール110、図3のOCTイメージングモジュール310、および他の様々なOCTイメージングモジュールと連動することができる。 【0110】 いくつかの実施形態では、直線偏光される掃引光源250からの光ビームは、光ファイバ251を介して光ファイバコンバイナ252に案内される。照準光源253からの光ビームもまたコンバイナ252に案内される。掃引光源250からの光ビームは、コンバイナ252で照準光源253からの光ビームと結合される。コンバイナ252からの出力光ビームは、ファイバ288によって案内される。たとえば、ファイバ288は、偏光保持(PM)ファイバ288であり得る。ファイバ288は、コンバイナ252からの出力光ビームをその光ビームの偏光がファイバ288の偏光軸のうちの一つ、たとえば遅軸と位置合わせされた状態でPM光ファイバカプラー255のポートへ案内することができ、次に様々な強度比率(たとえば、10:90、または20:80、または30:70の比率または他の比率)を有する二つの光ビームに分割することができ、これらの光ビームは、次に二つのPM光ファイバ256と257を介して外に案内される。光ファイバカプラー255の出力ビームの第一の部分は、PMファイバ256に案内されてOCT干渉計280のサンプルアームを形成することができ、光ファイバカプラー255の出力ビームの第一の部分は、PMファイバ257に案内されてOCT干渉計280の参照アームを形成することができる。たとえば、PMファイバ256の一部分は、図4Aで参照番号254として示されるように、小さな半径を有する複数の小さな円(巻き)にできる。このような処置は、PMファイバ256の軸の一つ、たとえば速軸における残留光を除去するために使用でき、唯一つの直線偏光によって、PMファイバ256に伝わる光を作ることになる。 【0111】 図1、図2A、図3、および図4を参照すると、PMファイバ256の光は、いくつかの実施形態では、次に、OCTイメージングモジュール110にさらに案内されて光ファイバ干渉計280のサンプルアームを形成することができる。いくつかの実施形態では、サンプルアームの詳細は、図2Aに示されている。いくつかの他の実施形態では、PMファイバ256の光ビームは、OCTイメージングモジュール310にさらに案内されて光ファイバ干渉計280のサンプルアームを形成することができ、サンプルアームは、図3に示されるように、OCTイメージングモジュール310を備える。いくつかの代替の実施形態では、PMファイバ256の光ビームは、他のOCTイメージングモジュールにさらに案内されて光ファイバ干渉計280のサンプルアームを形成することができる。PMファイバ256は、手持ち式イメージングプローブ140に接続でき、図1、図2Aおよび図3に示される光ファイバ103の一部になる。いくつかの実施形態では、ファイバ288とファイバ256は、ファイバ103を形成することができる。ファイバ103は、第一の部分288と第二の部分256を備えることができる。いくつかの他の実施形態では、ファイバ251、ファイバ288およびファイバ256は、ファイバ103を形成することができる。このファイバ103は、第一の部分251、第二の部分288、および第三の部分256を備えることができる。 【0112】 PMファイバ257の光ビームは、OCT干渉計280の参照アームを形成するために使用でき、光学分散補償モジュール258に案内される。PMファイバ257からの光ビームは、コリメータレンズ259によって平行にされ、次に、同様の光学レンズ260によって他のPM光ファイバ265に結合される。二つの光学レンズ259と260の間の距離は、参照アームの全体の光路長を調整するために変えられる。光学分散コンポーネント261は、サンプルアームに光学系を作るために使用される光学材料の光学分散特性と整合する様々な光学材料を備えることができる。光学分散コンポーネント261は、照準光源253からの光ビームを吸収するまたは反射する光学フィルタを含むことができ、照準光ビームが分散補償モジュール258を通過することを防止することができる。 【0113】 図2Aと図4を参照すると、後眼部、すなわち網膜から散乱される光ビームは、OCTイメージングモジュール110に受光され、光ファイバ256を通って送り返すことができる。次に、光ビームは、PM光ファイバ256を介して光ファイバ干渉計280に戻される。戻された光ビームは、掃引光源250と照準光源253を起源とする光ビームを含むが、OCTイメージングモジュール110内のビーム分割ダイクロイックミラー102が照準光源253の光ビームの大部分を画像センサ201に伝送するという事実のために、照準光の強度は、もっと減衰される。 【0114】 PMファイバ256からの光ビームの一部は、光ファイバカプラー255によって再び分割でき、次に他のPMファイバ262に結合される。偏光調整コンポーネント263は、ファイバ262から他の50:50光ファイバカプラー264に伝達する光の偏光方向を調整するため、および参照アームのファイバ265からの光ビームの偏光方向と一致させるために使用できる。サンプルアームファイバ262と参照アームファイバ265からの光ビームは、ファイバカプラー254で混合でき、結果として、光位相差において常に180度のずれを有する二つの干渉光ビームを生じ、次にこれらの干渉光ビームは、二つの光ファイバに結合される。バランス光検出器266は、二つのファイバからの光信号を検出するために使用でき、それらの光信号を遅延検波方式で電気信号に変換する。デジタル収集モジュール267は、アナログ信号をデジタル化するために使用でき、信号は次に、更なる処理のために、および医師が医療診断を行うためのOCT画像を生成するために、プロセッサ268に送られる。プロセッサ268は、干渉計からのデータを処理するために、およびOCTイメージングモジュールから眼のOCT画像を生成するように構成される。照準光源253からの光ビームの大部分がバランス検出器266に達する前に除去されるので、それが、検出された信号に大きな影響を及ぼすことはない。いくつかの他の実施形態では、バランス検出器266は、検出器266が照準光源253の光波長範囲に対して敏感ではないように構成できる。」 (ク) 【図4】 [図:0001429978000009.jpg] イ 甲2号証から読み取れる事項の認定 (ア) 認定事項a 甲2号証の段落【0109】~【0110】の記載を踏まえつつ図4を参照すると、次のこと(以下「認定事項a」という。)が読み取れる。 [認定事項a] 「コンソール130は、OCT光源250からの光ビームが光ファイバ251を介して案内されるポートと、照準光源253からの光ビームが案内されるポートと、出力光ビームが案内されるファイバ288が接続されるポートを有する光ファイバコンバイナ252を備えること」 (イ) 認定事項b 甲2号証の段落【0089】、【0094】の記載を踏まえつつ図4を参照すると、次のこと(以下「認定事項b」という。)が読み取れる。 [認定事項b] 「OCT光源250と照準光源253と光ファイバコンバイナ252とプロセッサ268が設けられているコンソール130と、手持ち式イメージングプローブ140とが別体であり、両者が光ファイバ103で接続されること」 ウ 甲2発明の認定 前記アに摘記した事項及び前記イにおいて認定した認定事項a及びbを総合すると、甲2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 [甲2発明] 手持ち式イメージングプローブ140およびコンソール130を備えたOCTイメージングシステム100であって、(【0062】) コンソール130は、 800nmから1100nmまでの波長を有する広帯域光を出力するOCT光源250と、(【0062】、【0109】、図1及び図4) 680nm、700nmまたは740nmの波長を有する照準光を出力する照準光源253と、(【0094】、【0110】、図4) OCT光源250からの光ビームが光ファイバ251を介して案内されるポートと、照準光源253から光ビームが案内されるポートと、出力光ビームが案内されるファイバ288が接続されるポートを有する光ファイバコンバイナ252と、(認定事項a) プロセッサ268を備えたOCTエンジンを有し、(【0109】) プロセッサ268は、干渉計からのデータを処理するために、およびOCTイメージングモジュールから眼のOCT画像を生成するように構成され、(【0114】 手持ち式イメージングプローブ140はOCTイメージングモジュール110を備え、OCTイメージングモジュール110はOCT光源からの光ビームを眼の異なる部分へ走査し、眼から反射された光を受光し、(【0063】~【0064】】 OCT光源250と照準光源253と光ファイバコンバイナ252とプロセッサ268が設けられているコンソール130と、手持ち式イメージングプローブ140とが別体であり、両者が光ファイバ103で接続され、(認定事項b) 光ファイバ103は、通常のファイバまたは偏光保持ファイバの形態のシングルモードファイバであることができる、(【0100】) 眼の構造情報を提供する、(【0007】) OCTイメージングシステム100。 エ 当合議体の判断 (ア) 対比 本件訂正発明1と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する(第5の3(2)イ(ア)で認定した相違点1との類似性から「相違点1’」とする。)。 <相違点1’> 本件訂正発明1は、 「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」であって、 「前記結合光を導く光ファイバに接続される計測ヘッドであって、前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測ヘッドの先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射し、前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する計測ヘッド」を備えるのに対し、 甲2発明は、 「眼の構造情報を提供する、OCTイメージングシステム」であるから、眼の横断面で反射した戻り光を得るためのOCTイメージングに適した形状のイメージングプローブを備えるものであるという点。 (イ) 相違点1’について a 甲2発明は眼の構造情報を提供するOCTイメージングシステムの発明であるから、そのイメージングプローブの形状は、眼の構造情報(横断面図)を得るためのOCTイメージングに適した形状となっている。参考図として、甲2号証の図2B(広視野OCTイメージングシステムの手持ち式イメージングプローブの先端部の側面図)を示す。(図中140が手持ち式(OCT)イメージングプローブ、201が後眼部の網膜、203が前眼部の角膜である。) 【図2B】 [図:0001429978000010.jpg] b そして、眼の構造情報を得るためのOCTイメージングシステムの発明である甲2発明を「ファクトリーオートメーション用の光干渉計測装置」に転用するとともに、その用途に適合するように、「前記結合光を導く光ファイバに接続される計測ヘッドであって、前記光ファイバで導かれた前記結合光を前記計測ヘッドの先端から投射して計測対象の表面に前記計測光及び前記ガイド光を照射し、前記計測対象の表面で反射した戻り光を受光する計測ヘッド」として構成する動機を見出すことができないのは、前記第5の3(3)アにおける検討と同様である。 (ウ) 小括 したがって、本件訂正発明1は、甲2発明を主引用発明としたとしても、容易に発明をすることができたものではない。 3 請求項2~10に係る特許異議申立理由について 本件訂正発明2~10は、本件訂正発明1の構成を全て有するものであるから、前記2(1)及び(2)を踏まえると、本件訂正発明2~10に係る特許異議申立理由も採用できないことは明らかである。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)において通知した取消理由及び特許異議申立書で申し立てられた特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700364

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