特許異議申立
2023-700717
情報処理装置、管理プログラム、管理方法、および、情報処理システム
- 審判番号
- 2023-700717
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-093833
- 登録番号
- 7207595
- 請求日
- 2023年07月12日
- 審決日
- 2025年02月28日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】オムロン株式会社
- 【権利者代理人】村上 尚
- 【異議申立人】伊藤 裕美
- 審判長/審判官
- 審判長 吉田 美彦
- 審判官 大塚 俊範
- 審判官 林 毅
- 分類
- P1651.121-YAA(G06F) / P1651.537-YAA(G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第7項、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7207595号発明「情報処理装置、管理プログラム、管理方法、および、情報処理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7207595号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11、21〕、〔12~19〕、20〕について訂正することを認める。
特許第7207595号の請求項2~11、13~21に係る特許を維持する。
特許第7207595号の請求項1及び12に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第7207595号(以下、「本件特許」という。)についての特許出願は、令和元年11月29日を出願日とする特願2019-216983号の一部を、令和4年1月20日に新たに特許出願した特願2022-7343号の一部を、令和4年6月9日に新たな特許出願(特願2022-93833号)としたものであって、令和5年1月10日にその特許権が設定登録され、令和5年1月18日にその特許公報が発行された。そして、特許異議申立人 伊藤裕美(以下、単に「申立人」という。)による特許異議の申立て(以下、「本件異議申立て」という。)に係る手続の経緯は、以下のとおりである。
令和5年 7月12日 :特許異議申立書の提出
令和5年 9月12日付け:取消理由通知書
令和5年11月20日 :訂正請求書、意見書の提出
令和5年12月12日付け:手続補正指令書(方式)
令和6年 1月15日 :手続補正書の提出
令和6年 2月 8日付け:訂正拒絶理由通知書
令和6年 3月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 3月28日付け:手続補正指令書(方式)
令和6年 5月 1日 :手続補正書の提出
令和6年 5月23日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和6年 7月30日 :訂正請求書の提出
令和6年 8月15日付け:通知書
令和6年10月22日付け:取消理由通知書
令和6年12月25日 :訂正請求書、意見書の提出
なお、特許法第120条の5第7項の規定により、令和5年11月20日及び令和6年7月30日に提出された訂正請求書に係る訂正の請求はいずれも、令和6年12月25日に提出された訂正請求書に係る訂正の請求(以下、この請求に係る訂正を「本件訂正」という。)により、取り下げられたものとみなす。
また、申立人は、令和6年8月15日付けの通知書に対し意見書を提出しなかった。
第2 特許異議の申立ての理由及び証拠
特許異議申立書の全趣旨からして、申立人が主張する特許異議の申立ての理由(以下、「申立理由」という。)及び証拠は、以下のとおりのものと認められる。
1 特許異議の申立ての理由の概要
(1)申立理由1(進歩性欠如)
本件特許の特許請求の範囲の請求項1、12、20及び21に係る発明は、甲第1号証に記載の発明と甲第3号証に記載の周知技術に基いて、同請求項2~4、10及び13~15に係る発明は、甲第1号証に記載の発明と甲第3号証及び甲第6号証に記載の周知技術に基いて、同請求項5及び16に係る発明は、甲第1号証に記載の発明と甲第2号証、甲第3号証及び甲第6号証に記載の周知技術に基いて、同請求項6~8及び17~19に係る発明は、甲第1号証に記載の発明、甲第5号証に記載の発明並びに、甲第2号証、甲第3号証及び甲第6号証に記載の周知技術に基いて、また、同請求項9及び11に係る発明は、甲第1号証に記載の発明と甲第3号証、甲第4号証及び甲第6号証に記載の発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、請求項1~21に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。
(2)申立理由2(サポート要件違反)
本件特許の特許請求の範囲の請求項7及び18に記載の「前記無停電電源装置のバッテリから前記情報処理装置に電力を供給させることなく、前記テストモードの開始の指示を受け付けた場合に、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」ことは、発明の詳細な説明に記載したものではなく、請求項7及び18に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第4号の規定により取り消すべきものである。
2 証拠
甲第1号証:特開2009-37271号公報
甲第2号証:特開2008-140029号公報
甲第3号証:ユーザーズガイド PowerChute Network Shutdown v4.1 VMWare
甲第4号証:白山貴之、加藤学、清水亮夫、桂島航、VMware自動化ガイド スクリプティングとワークフローによる管理テクニック
甲第5号証:特開2010-26706号公報
甲第6号証:米国特許出願公開第2004/0199599号明細書
なお、以下において、上記甲第1号証~甲第6号証を、単に「甲1」~「甲6」という場合がある。
第3 取消理由の概要
1 令和6年5月23日付けで当審が通知した取消理由(決定の予告)
令和6年5月23日付けで当審が通知した取消理由(決定の予告)は、先の訂正請求に係る訂正後の請求項20についての訂正を認めた上で、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び12に係る特許を取り消すというものであり、その取消理由は、概略、以下のとおりである。
(進歩性)本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第3号証に記載された公知技術その他の周知技術を参酌することにより、容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 令和6年10月22日付けで当審が通知した取消理由
令和6年10月22日付けで当審が通知した取消理由は、概略、以下のとおりである。
(明確性要件)本件特許の特許請求の範囲の請求項6~8、11、17~19に係る発明は、明確ではないから、請求項6~8、11、17~19に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものである。
第4 本件訂正について
1 本件訂正の請求の趣旨
本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~21について訂正することを求める、というものである。
2 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、次のとおりのものである(下線部は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記第1の管理部は、前記第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、請求項1に記載の情報処理装置。」と記載されているのを、「制御部を備えた情報処理装置であって、前記制御部は、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、を備え、前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、情報処理装置。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に「前記複数のゲストOSが稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部と、を備え、前記第1の管理部は、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する、請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置。」と記載されているのを、「制御部を備えた情報処理装置であって、前記制御部は、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、前記複数のゲストOSが稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部と、を備え、前記第1の管理部は、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、情報処理装置」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有する、請求項5の記載の情報処理装置。」と記載されているのを、「前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有する、請求項5の記載の情報処理装置。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項9に「前記制御部は、前記第1の管理部によって前記複数のゲストOSの全てがシャットダウンされた場合に、当該情報処理装置のシャットダウンを行う第2の管理部を備える、請求項1又は2に記載の情報処理装置。」と記載されているのを、「制御部を備えた情報処理装置であって、前記制御部は、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、前記第1の管理部によって前記複数のゲストOSの全てがシャットダウンされた場合に、当該情報処理装置のシャットダウンを行う第2の管理部と、を備え、前記第1の管理部は、理装置のシャットダウンを行う第2の管理部と、を備え、前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨のャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、情報処理装置。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10に「前記制御部は、前記複数のゲストOSのステータスを監視すると共に前記複数のゲストOSを制御する第3の管理部を備え、前記第1の管理部は、前記第3の管理部を介して、前記複数のゲストOSの各々のステータス情報を取得し、前記第3の管理部を介して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。」と記載されているのを、「制御部を備えた情報処理装置であって、前記制御部は、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、前記複数のゲストOSのステータスを監視すると共に前記複数のゲストOSを制御する第3の管理部と、を備え、前記第1の管理部は、前記第3の管理部を介して、前記複数のゲストOSの各々のステータス情報を取得し、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行する、情報処理装置。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11に「前記第3の管理部は、前記複数のゲストOSの各々が稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態を取得し、前記制御部は、前記第3の管理部を介して取得した前記情報と前記無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部を備え、前記第1の管理部は、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に、前記第3の管理部を介して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する、請求項10に記載の情報処理装置。」と記載されているのを、「前記第3の管理部は、前記複数のゲストOSの各々が稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態を取得し、前記制御部は、前記第3の管理部を介して取得した前記情報と前記無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部を備え、前記第1の管理部は、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行する、請求項10に記載の情報処理装置。」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項21に「請求項1に記載の情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、前記情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、情報処理システム。」と記載されているのを、「制御部を備えた情報処理装置であって、前記制御部は、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、を備え、前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、 前記情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、情報処理システム。」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項12を削除する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項13に「前記第1の管理ステップは、前記第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、請求項12に記載の管理プログラム。」と記載されているのを、「1又は複数の情報処理装置上で実行される管理プログラムであって、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理ステップと、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示ステップと、を実行し、前記第1の管理ステップでは、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、管理プログラム。」に訂正する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項16に「前記複数のゲストOSが稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定ステップと、を備え、前記第1の管理ステップは、前記判定ステップにより前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する、請求項12から15のいずれかに記載の管理プログラム。」と記載されているのを、「1又は複数の情報処理装置上で実行される管理プログラムであって、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理ステップと、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示ステップと、前記複数のゲストOSが稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定ステップと、を実行し、前記第1の管理ステップでは、前記判定ステップにより前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、管理プログラム。」に訂正する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項17に「前記判定ステップにより前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有する、請求項16の記載の管理プログラム。」と記載されているのを、「前記判定ステップにより前記停止条件を満たしたと判定された場合に、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有する、請求項16の記載の管理プログラム。」に訂正する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項20に「1又は複数の情報処理装置上で実行される管理方法であって、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理ステップと、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示ステップと、を含み、前記第1の管理ステップでは、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、管理方法。」と記載されているのを、「1又は複数の情報処理装置上で実行される管理方法であって、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理ステップと、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示ステップと、を含み、前記第1の管理ステップでは、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、管理方法。」に訂正する。
3 一群の請求項
(1)本件訂正前の請求項2~11及び21は、本件訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであるから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1~11及び21に対応する本件訂正後の請求項1~11及び21は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)本件訂正前の請求項13~19は、本件訂正前の請求項12を直接的又は間接的に引用しているものであるから、訂正事項9によって記載が訂正される請求項12に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項12~19に対応する本件訂正後の請求項12~19は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
第5 本件訂正についての適否についての判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらをまとめて「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的
訂正事項3のうち、本件訂正前の請求項5が請求項1から3のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項2、3を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項3のうち、本件訂正前の請求項5の「前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」を、「前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」へと限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項3のうち、訂正前の請求項5の「複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件」を、「複数のゲストOSのシャットダウンを実行する停止条件」とする訂正は、訂正前の特許請求の範囲の中に混在していた「シャットダウンを開始する」及び「シャットダウンを実行する」という記載を「シャットダウンを実行する」に統一するもので、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、設定登録時の請求項1の「前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」なる記載及び設定登録時の請求項5の「第1の管理部は、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」なる記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3のうち、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正は、実質的な内容の変更を伴うものではない。
また、本件訂正前の請求項5の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、訂正事項3のうち、「シャットダウンを開始する」を「シャットダウンを実行する」に統一する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
4 訂正事項4について
(1)訂正の目的
訂正事項4は、本件訂正前の請求項6の「前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモード」を、「前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行するモード」へと限定すると共に引用する本件訂正後の請求項5の記載と整合させるものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、設定登録時の請求項1の「前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実が完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」なる記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、訂正前の請求項6の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正であると共に、請求項6の記載を請求項5の記載と整合させる訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
5 訂正事項5について
(1)訂正の目的
訂正事項5は、本件訂正前の請求項9が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
6 訂正事項6について
(1)訂正の目的
訂正事項6のうち、本件訂正前の請求項10が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項6のうち、訂正前の請求項10の「前記第3の管理部を介して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」を、「前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行する」へと限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、設定登録時の請求項1の「前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」なる記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6のうち、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正は、実質的な内容の変更を伴うものではない。
また、訂正事項6のうち、訂正前の請求項10の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
7 訂正事項7について
(1)訂正の目的
訂正事項7のうち、本件訂正前の請求項11の「前記第3の管理部を介して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」を、「前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行する」へと限定すると共に引用する本件訂正後の請求項10の記載と整合させる訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項7のうち、訂正前の請求項11の「複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件」を、「複数のゲストOSのシャットダウンを実行する停止条件」とする訂正は、訂正前の特許請求の範囲の中に混在していた「シャットダウンを開始する」及び「シャットダウンを実行する」という記載を「シャットダウンを実行する」に統一するもので、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7は、設定登録時の請求項1の「前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」なる記載及び設定登録時の請求項5の「第1の管理部は、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」なる記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、本件訂正前の請求項11の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正であると共に、請求項11の記載を請求項10の記載と整合させる訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、「シャットダウンを開始する」を「シャットダウンを実行する」に統一する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
8 訂正事項8について
(1)訂正の目的
訂正事項8は、本件訂正前の請求項21が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されて請求項1を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項8は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
9 訂正事項9について
(1)訂正の目的
訂正事項9は、請求項12を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項9は、請求項12を削除するというものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項9は、請求項12を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
10 訂正事項10について
(1)訂正の目的
訂正事項10は、訂正前の請求項13が請求項12の記載を引用する記載であるところ、訂正事項7で請求項12が削除されて請求項12を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項10は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項10は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
11 訂正事項11について
(1)訂正の目的
訂正事項11のうち、本件訂正前の請求項16が請求項12~15のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項13~15を引用しないものとした上で、請求項12を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同第第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項11のうち、本件訂正前の請求項16の「前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」を、「前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」へと限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項11のうち、訂正前の請求項16の「複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件」を、「複数のゲストOSのシャットダウンを実行する停止条件」とする訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の中に混在していた「シャットダウンを開始する」及び「シャットダウンを実行する」という記載を「シャットダウンを実行する」に統一するもので、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項11は、設定登録時の請求項1の「前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」なる記載及び設定登録時の請求項5の「第1の管理部は、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」なる記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項11のうち、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正は、実質的な内容の変更を伴うものではない。
また、訂正事項11のうち、本件訂正前の請求項16の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、訂正事項11のうち、「シャットダウンを開始する」を「シャットダウンを実行する」に統一する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
12 訂正事項12について
(1)訂正の目的
訂正事項12は、本件訂正前の請求項17の「前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモード」を、「前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行するモード」へと限定するとともに、引用する本件訂正後の請求項16の記載と整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項12は、設定登録時の請求項1の「前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」なる記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項12は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項12は、本件訂正前の請求項17の発明特定事項を概念的により下位の内容とする訂正であると共に、請求項17の記載を請求項16の記載と整合させる訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項12は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
13 訂正事項13について
(1)訂正の目的
訂正事項13は、本件訂正前の請求項20の「当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」を、「当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項13は、設定登録時の請求項2の「前記第1の管理部は、前記第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、請求項1に記載の情報処理装置」なる記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項13は、本件明細書等に記載した事項の範囲内で特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
14 特許出願の際独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1~21について特許異議の申立てがなされているので、訂正前の請求項1~21に係る訂正事項1~13に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項(独立特許要件)は適用されない。
15 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、適法であるので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11、21〕、〔12~19〕、20について訂正することを認める。
第6 本件特許発明
前記第5のとおり、本件訂正は認められるので、特許請求の範囲の請求項1~21に係る発明(以下、「本件特許発明1」~「本件特許発明21」という。)は、次の事項により特定されるものである。
1 本件特許発明1
(削除)
2 本件特許発明2
制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、
を備え、
前記第1の管理部は、
前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
情報処理装置。
3 本件特許発明3
前記表示制御部は、前記タイムアウト時間をユーザが設定するための画面を表示する、
請求項2に記載の情報処理装置。
4 本件特許発明4
前記第1の管理部は、シャットダウンを実行した前記第1のゲストOSのシャットダウンが完了しておらず、前記タイムアウト時間を経過したと判定した場合に、当該第1のゲストOSを強制シャットダウンする、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
5 本件特許発明5
制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、
前記複数のゲストOSが稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記第1の管理部は、
前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に、前記停止優先度に従って前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
情報処理装置。
6 本件特許発明6
前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有する、
請求項5の記載の情報処理装置。
7 本件特許発明7
前記第1の管理部は、前記無停電電源装置のバッテリから前記情報処理装置に電力を供給させることなく、前記テストモードの開始の指示を受け付けた場合に、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する、
請求項6に記載の情報処理装置。
8 本件特許発明8
前記第1の管理部は、画面から前記テストモードの開始の指示を受け付けた場合に前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する、
請求項7に記載の情報処理装置。
9 本件特許発明9
制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、
前記第1の管理部によって前記複数のゲストOSの全てがシャットダウンされた場合に、当該情報処理装置のシャットダウンを行う第2の管理部と、
を備え、
前記第1の管理部は、
前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
情報処理装置。
10 本件特許発明10
制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、
前記複数のゲストOSのステータスを監視すると共に前記複数のゲストOSを制御する第3の管理部と、
を備え、
前記第1の管理部は、
前記第3の管理部を介して、前記複数のゲストOSの各々のステータス情報を取得し、
前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行する、
情報処理装置。
11 本件特許発明11
前記第3の管理部は、前記複数のゲストOSの各々が稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態を取得し、
前記制御部は、前記第3の管理部を介して取得した前記情報と前記無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部を備え、
前記第1の管理部は、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に、
前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行する、
請求項10に記載の情報処理装置。
12 本件特許発明12
(削除)
13 本件特許発明13
1又は複数の情報処理装置上で実行される管理プログラムであって、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理ステップと、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示ステップと、
を実行し、
前記第1の管理ステップでは、
前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
管理プログラム。
14 本件特許発明14
前記表示ステップは、前記タイムアウト時間をユーザが設定するための画面を表示する、
請求項13に記載の管理プログラム。
15 本件特許発明15
前記第1の管理ステップは、シャットダウンを実行した前記第1のゲストOSのシャットダウンが完了しておらず、前記タイムアウト時間を経過したと判定した場合に、当該第1のゲストOSを強制シャットダウンする、
請求項13又は14に記載の管理プログラム。
16 本件特許発明16
1又は複数の情報処理装置上で実行される管理プログラムであって、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理ステップと、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示ステップと、
前記複数のゲストOSが稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する停止条件を満たしたか否かを判定する判定ステップと、
を実行し、
前記第1の管理ステップでは、
前記判定ステップにより前記停止条件を満たしたと判定された場合に、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
管理プログラム。
17 本件特許発明17
前記判定ステップにより前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始するテストモードを有する、
請求項16の記載の管理プログラム。
18 本件特許発明18
前記第1の管理ステップは、前記無停電電源装置のバッテリから前記情報処理装置に電力を供給させることなく、前記テストモードの開始の指示を受け付けた場合に、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する、
請求項17に記載の管理プログラム。
19 本件特許発明19
前記第1の管理ステップは、画面から前記テストモードの開始の指示を受け付けた場合に前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する、
請求項18に記載の管理プログラム。
20 本件特許発明20
1又は複数の情報処理装置上で実行される管理方法であって、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理ステップと、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示ステップと、
を含み、
前記第1の管理ステップでは、
前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
管理方法。
21 本件特許発明21
制御部を備えた情報処理装置であって 、前記制御部は、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、を備え、前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、
前記情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、
前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、
情報処理システム。
第7 引用文献の記載事項、引用発明
1 甲第1号証について
(1)甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
「【0001】
一つの物理計算機を論理的に分割して複数の仮想計算機を稼動するシステムであって、前記仮想計算機間に、停止に一定の順序が要求されるシステムにおける各仮想計算機の停止方法および前記停止方法を実装する計算機装置に関するものである。」
「【0003】
一方、昨今は一台の物理計算機上に複数の仮想計算機を稼動させる仮想化システムが台頭しており、前述の分散システムを、一台の物理計算機上の複数仮想計算機で構築するケースが出現してきた。この場合においても、物理計算機上で稼動する複数の仮想計算機間に依存関係が存在する場合は、その停止時に適切な順序で各仮想計算機を停止する必要がある。特に物理計算機本体の電源切断時のように、物理計算機そのものを停止する場合には、物理計算機上で稼動する全ての仮想計算機を適切な順序で停止する必要がある。」
「【0008】
本発明は、依存関係を持った複数の仮想計算機システムにおいて、システム構築時に停止順位を決めておくことにより、のちにオペレータが任意の仮想計算機を停止するときに、当該仮想計算機をのみを指定するという単純な操作で、当該仮想計算機の停止の前提となる他の全ての計算機を予め決定した順序で停止し、複数仮想計算機の安全な停止を実現することを可能とするものである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、複数の仮想計算機を効率よく停止し、システム全体の停止時間を短縮することである。」
「【0013】
図1は、本発明の実施例を含む構成図である。(100)は物理計算機であって、仮想計算機制御部(200)、停止順位情報(300)、仮想計算機停止処理部(400)、仮想計算機状態監視部(500)を含む。(600)は物理計算機(100)上で稼動する仮想計算機群である。ここでは、各仮想計算機を(600)、(601)、…(60n)とする。仮想計算機制御部(200)は、外部入力インタフェース(700)を通じて、停止順位情報格納部(300)に情報を格納することができる。また、外部入力インタフェース(700)から、任意の仮想計算機の停止指示を受け取ると、停止順位情報格納部(300)内の登録情報を参照し、その内容に基づいて仮想計算機停止処理部(400)に対して仮想計算機群(600)のうちいずれかの仮想計算機の停止を指示する。と同時に、仮想計算機監視部(500)に対して、当該仮想計算機の監視指示を行う。仮想計算機停止処理部(400)は、仮想計算機制御部(200)からの指示に従い、仮想計算機群(600)のうちいずれかの仮想計算機の停止処理を実施する。仮想計算機状態監視部(500)は、停止処理が実施された仮想計算機の状態を監視し、停止状態を検出すると仮想計算機制御部(200)に報告を行う。当該仮想計算機の停止報告を受けた仮想計算機制御部(200)は、停止順位情報格納部(300)の登録情報に基づき、次に停止する仮想計算機を特定し、再び仮想計算機停止処理部(400)にする仮想計算機の停止と、仮想計算機監視部(500)に対する当該仮想計算機の監視指示を行う。これを外部から停止指示された仮想計算機を停止するための全ての仮想計算機が停止するまで繰り返す。以下、図2、図3、図4を用いて、さらに詳細に述べる。」
「【0015】
ここで図3は停止順位情報格納部に格納する情報の例である。この例における対象仮想計算機列は外部からの停止指示を行うときに指定するキーワードであって、このキーワードごとに停止する仮想計算機の順序を停止順列に登録する。このとき、順序は停止順位という単位で登録し、同じタイミングで停止することが可能な仮想計算機は、同じ停止順位列内に登録する。1から7までの数字はそれぞれ、仮想計算機1から仮想計算機7を示す識別子である。ALLは物理計算機上の全ての仮想計算機の集合を示す。システム1およびシステム2は任意の仮想計算機のグループを示している。この例では、図2の破線(1500)で示した集合(GR.1,仮想計算機1(800)から仮想計算機6(1300)の集合)と、同じく破線(1600)で示した集合(Gr.2,仮想計算機7(1400)のみ)を定義している。これら停止順位情報格納部の全ての内容は、図1の(700)で示される外部入力インタフェースと仮想計算機制御部を経由して任意に登録することが出来る。
【0016】
図4は、外部からの指示を受け付けた後の仮想計算機制御部の動作フローである。仮想計算機制御部は、仮想計算機を示す識別子かまたは集合名のキーワードとともに停止の指示を受け付けると、停止順位情報格納部の対象仮想装置列をサーチする(1900)。該当するエントリを発見したら、当該エントリの最初の集合(集合1)に登録されている全ての仮想計算機の情報を読み込む(2000)。次に、読み込んだ全ての仮想計算機の停止を仮想計算機停止処理部へ指示する(2100)。同時に、これら仮想計算機の状態監視を仮想計算機監視部へ指示し(2200)、仮想計算機停止処理部から全ての仮想計算機の停止報告がなされるまで待つ(2300),(2400)。読み込んだ全ての仮想計算機の停止報告がなされたら、再び停止順位情報格納部を参照し、現在読んでいる集合の次の集合に登録されている全ての仮想計算機の情報を読み込む(2500)。集合内に仮想計算機の情報が登録されていなくなるまで、(2100)からのステップを繰り返す(2600)。」
「【図1】
[図:0001423430000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001423430000002.jpg]
」
(2)甲1発明
上記(1)の【0013】を参酌すれば、甲1には、「物理計算機(100)」の発明が記載されているといえる。
よって、上記(1)の特に下線部に着目すれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「 物理計算機(100)であって、
仮想計算機制御部(200)、停止順位情報(300)、仮想計算機停止処理部(400)、仮想計算機状態監視部(500)を含み、
仮想計算機群(600)は物理計算機(100)上で稼動し、
仮想計算機制御部(200)は、外部入力インタフェース(700)を通じて、停止順位情報格納部(300)に情報を格納することができ、また、外部入力インタフェース(700)から、任意の仮想計算機の停止指示を受け取ると、停止順位情報格納部(300)内の登録情報を参照し、その内容に基づいて仮想計算機停止処理部(400)に対して仮想計算機群(600)のうちいずれかの仮想計算機の停止を指示すると同時に、仮想計算機監視部(500)に対して、当該仮想計算機の監視指示を行い、
仮想計算機停止処理部(400)は、仮想計算機制御部(200)からの指示に従い、仮想計算機群(600)のうちいずれかの仮想計算機の停止処理を実施し、
仮想計算機状態監視部(500)は、停止処理が実施された仮想計算機の状態を監視し、停止状態を検出すると仮想計算機制御部(200)に報告を行い、
当該仮想計算機の停止報告を受けた仮想計算機制御部(200)は、停止順位情報格納部(300)の登録情報に基づき、次に停止する仮想計算機を特定し、再び仮想計算機停止処理部(400)にする仮想計算機の停止と、仮想計算機監視部(500)に対する当該仮想計算機の監視指示を行い、これを外部から停止指示された仮想計算機を停止するための全ての仮想計算機が停止するまで繰り返す、
物理計算機(100)。」
2 甲第2号証について
(1)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、背景技術(従来技術)として、次の事項が記載されている。
ア 「【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータに代表される情報処理装置の普及が進んでおり、その重要性は年々増している。
【0003】
情報処理装置の駆動に使用される電力は、商用交流電源から直接供給されることが多いので、例えば、商用交流電源の瞬間的な電圧の低下(瞬断)や突然の停電等の異常が発生すると、その時点で情報処理装置によって処理されていた情報が破損したり、損失してしまったりする他、内蔵するハードディスク等が故障してしまう等の情報処理装置に不具合が発生することも起こり得る。
【0004】
そこで、このような不具合の発生を回避するため、商用交流電源と情報処理装置との間に無停電電源装置(以下、UPS(Uninterruptible Power Supply)とも称する)を設ける方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このUPSは、商用交流電源が正常である場合、商用交流電源からの電力を情報処理装置に供給し、商用交流電源に異常が発生した場合、商用交流電源からの電力に代えて、内蔵するバッテリからの電力を情報処理装置に供給するようになされている。」
「【0008】
一方の情報処理装置は、商用交流電源の異常発生に対応してUPSに内蔵されたバッテリから電力供給を受けた場合、UPSの給電可能時間以内に、これまで実行していた処理を停止させ、予め定められた手順に従って、自分自身の状態を稼動状態から電力供給が遮断されても不都合の生じない休止状態に遷移させる処理(以下、このような一連の処理を、シャットダウン処理と称する)を実行する必要がある。」
イ 「【0053】
さらに、UPS制御装置4-1は、UPS2-1にUPS停止処理を実行させることに先立ち、サーバ1に対してシャットダウン処理を実行するように指示するシャットダウン処理命令を生成し、上述した状態情報とともに、LAN3を介してサーバ1に通知する。」
「【0102】
ステップS5において、(i-n+1)台以上のUPS制御装置4からシャットダウン処理命令が通知されたと判定された場合、サーバ1に商用交流電流5に基づく給電を行うことができるUPS2サーバ1の数はn台を下回り、サーバ1は稼動状態を継続することができない。そこで処理はステップS6に進められる。ステップS6において、シャットダウン制御部32は、サーバ1自身のシャットダウン処理を実行する。」
(2)甲2記載技術
上記(1)アより、甲2には、本件特許出願時における周知技術として、以下の事項(以下、「甲2記載技術1」という。)は、認められる。
「 商用交流電源と情報処理装置との間に無停電電源装置(UPS(Uninterruptible Power Supply))を設ける方法において、
情報処理装置は、商用交流電源の異常発生に対応してUPSに内蔵されたバッテリから電力供給を受けた場合、UPSの給電可能時間以内に、これまで実行していた処理を停止させ、予め定められた手順に従って、自分自身の状態を稼動状態から電力供給が遮断されても不都合の生じない休止状態に遷移させる処理(シャットダウン処理)を実行する必要があること。」
上記(1)イより、甲2には、本件特許出願時における周知技術として、以下の事項(以下、「甲2記載技術1」という。)は、認められる。
「 UPS制御装置が、UPSにUPS停止処理を実行させ、サーバに対してシャットダウン処理を実行するように指示するシャットダウン処理命令を生成し、サーバに送信し、シャットダウン処理命令が通知されたサーバが自身のシャットダウン処理を実行すること。」
3 甲第3号証について
(1)甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、次の事項が記載されている。
(第4ページ)
「冗長UPS構成:各サーバは2台以上のUPSによって保護されます。各UPSは単体でサーバ負荷をサポートできる必要があります。すべてのUPS Network Manager Cardは、PoserChuteがインストールされた各サーバと通信します。
[図:0001423430000003.jpg]
」
(第35ページ)
「デフォルトでは、vAppで各仮想マシンをシャットダウンする前に、120秒の遅延時間があります。vAppの次の仮想マシンは、この遅延時間が経過するか、または現在の仮想マシンの電源がオフになるまでシャットダウンされません。この時間は、PowerChute vAppシャットダウン時間に含まれます。
例:vAppに3台の仮想マシンが含まれ、それぞれ遅延時間が180秒の場合、PowerChute vAppのシャットダウン所要時間は540秒に設定する必要があります。」
(第36ページ)
「
[図:0001423430000004.jpg]
PowerChuteのvApp Shutdownの[Duration(所要時間)]フィールドは、すべてのvAPPsを安全にシャットダウンできる時間です。ここで設定された時間が経過する前にvAppsがシャットダウンされる場合、PowerChuteはシーケンスの次のステップに進む前にこの時間が経過するまで待機します。」
(第37ページ)
「十分な時間を確保するために、[Enable Force vApp Shutdown (vAppの強制シャットダウンを有効にする)]チェックボックスは、デフォルトで有効になっています。vAPP内の仮想マシンが異なるホスト上にあり、一部のホストがUPS重大イベントの影響を受けない場合でも、それらは引き続き安全にシャットダウンされます。」
(第38ページ)
「仮想マシンの優先度付けを使うと、仮想マシンの移行、シャットダウン、電源オンの順番を指定できます。
仮想マシンは、3つの優先度グループ(高/中/低に分けることができます。VM優先度付けが有効なときは、データセンター、クラスター、仮想マシンのインベントリビューが左側に表示されます。右側には、高/中/低の優先度グループが一覧表示されます。」
(第39ページ)
「
[図:0001423430000005.jpg]
データセンターのインベントリビューと仮想マシンの優先度グループ
仮想マシンを優先度グループに分けるには、左側の仮想マシンをクリックし、右側の優先度グループまでドラッグします。複数の仮想マシンを選択するには、キーボードのCTRLキーを押しながら移動したい仮想マシンをクリックします。また、クラスターアイコンをクリックすると、クラスター内のすべての仮想マシンが選択され、データセンターアイコンをデータセンター内のすべてのクラスターが選択されます。
優先度グループの間で仮想マシンを移動するには、仮想マシンをグループ間でドラッグします。優先度グループから仮想マシンを削除するには、仮想マシンを選択して[削除]ボタンをクリックします。インベントリ内の仮想マシンのうち、優先度グループに割り当てられていないものは、優先度付け解除とみなされます。」
(第74~75ページ)
「オンバッテリなどの重大なUPSイベントが発生すると、以下のシーケンスが開始されます。
[図:0001423430000006.jpg]
1.PowerChuteによってUPSがオンバッテリモードであることが報告されます。
2.オンバッテリイベントに設定されたシャットダウン待機時間の経過後、PowerChuteはUPSの電源をオフにするコマンドを送信します。UPSの電源オフが開始します。
3.PowerChuteがVMwareホスト上でメンテナンスモードタスクを開始して、仮想マシンとvAPPのシャットダウンを開始します。
4.4分後(VMシャットダウン=120、vAPPシャットダウン=120)、すべての仮想マシンの電源がオフになると、VMwareホストはメンテナンスモードに入ります。仮想マシンの電源がオフになっていない場合、メンテナンスモードタスクはキャンセルされます。PowerChuteがVMwareホストをシャットダウンするコマンドを送信します。
5.70秒の待機後、PowerChuteが実行中の物理マシンでオペレーティングシステムはシャットダウンを開始します。
6.UPSは、次のどちらか長い方の指定時間のあいだ待機します。
バッテリ残量低下持続時間または最大必須遅延
これらの値は、NMCインターフェイスの[設定-シャットダウン]ページに表示されます。
7.この待機時間経過後、さらに2分間の設定不可待機時間がカウントダウンされます。
8.ユーザが設定可能なシャットダウン待機時間の経過後、UPSは電源がオフになります。
この値は、NMCユーザインターフェイスの[設定-シャットダウン]ページで設定できます。」
(2)甲3記載技術
甲3は、そのタイトルからして、サーバーの仮想化を実現するための仮想化ソフトウェアである「VMWare」の機能の1つである「PowerChute Network Shutdown」に関するユーザーズガイドである。
また、甲3の第4ページには、前提となるシステム構成として、各サーバが2台以上のUPSによって保護される「冗長UPS構成」を有すること、及び、すべてのUPS Network Manager Cardが、PowerChuteがインストールされた各サーバと通信することが記載されている。
また、甲3の第35ページには、次の仮想マシンは、設定された遅延時間が経過するか、または現在の仮想マシンの電源がオフになるまでシャットダウンされないことが記載されている。
また、甲3の第38ページには、「仮想マシンの優先度付けを使うと、仮想マシンの移行、シャットダウン、電源オンの順番を指定でき」ることが記載されているが、甲3の第39ページから、「仮想マシンの優先付け」は、「VMの優先度付け」の画面を介して実現することが看て取れる。
また、甲3の第74~75ページには、PowerChuteによってUPSがオンバッテリモードであることが報告されると、オンバッテリイベントに設定されたシャットダウン待機時間の経過後、PowerChuteはUPSの電源をオフにするコマンドを送信することにより、UPSの電源オフが開始することが記載されている。
よって、甲3には、本件特許出願時における公知技術として、次の技術(以下、「甲3記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「 「VMWare」の機能の1つである「PowerChute Network Shutdown」において、
各サーバが2台以上のUPSによって保護される冗長UPS構成を有し、すべてのUPS Network Manager Cardが、PowerChuteがインストールされた各サーバと通信すること、
次の仮想マシンは、設定された遅延時間が経過するか、または現在の仮想マシンの電源がオフになるまでシャットダウンされないこと、
「VMの優先度付け」の画面を介して、仮想マシンの優先度付けを使うと、仮想マシンの移行、シャットダウン、電源オンの順番を指定できること、
PowerChuteによってUPSがオンバッテリモードであることが報告されると、オンバッテリイベントに設定されたシャットダウン待機時間の経過後、PowerChuteはUPSの電源をオフにするコマンドを送信することにより、UPSの電源オフが開始すること。」
4 甲第4号証について
甲第4号証には、次の事項が記載されている。
(第10ページ)
「仮想アプライアンスベースのコマンド実行環境であるvSphere Management Assistant(vMA)も提供されています。」
(第53ページ)
「ゲストOSが正しく起動したかは、VMware Toolsの稼働状況で確認できます。VMware Toolsの稼働状況の確認には、「<vmパス> get tools last active」を使います。
戻り値の意味は、それぞれ以下のようになります。
・0 :仮想マシンが起動してから、まだVMware Toolsからハートビートが返ってない
・1 :VMware Toolsから正常にハートビートが返ってきている
・5 :VMware Toolsからのハートビートは返ってきているが、欠けたり遅延している
・100:VMware Toolsからのハートビートが途絶えている」
(第54頁)
「仮想マシンの停止には「<vmパス> stop soft」もしくは「<vmパス> stop hard」を使います。stop softは vSphere Clientでの「ゲストOSのシャットダウン」に相当し、VMware Toolsを使いOSにシャットダウンを掛けてから仮想マシンを停止します。」
(第142頁)
「メモ 動作上、このスクリプトは電力変動に敏感に対応はできません。スクリプト自体の実行は1時間に1回程度で、それ以上こまめに動かしてもあまり意味がありません。すなわち、電力が逼迫してから最悪65分は遅れがでます。とは言え、サーバ集約で稼働率が改善されたがゆえに消費電力も比較的大きい仮想化基盤を停止させることは、電力逼迫の解消の一助にはなるでしょう。
[図:0001423430000007.jpg]
」
5 甲第5号証について
甲第5号証には、次の事項が記載されている。
「【0014】
遠隔命令送信部(1014)は手動操作の結果から、操作が失敗したのであれば、テスト操作情報による以降の操作を配信するかどうかを判断し、操作が成功したのであれば、それ以降のテスト操作情報を配信する。
ホストエージェント(105)はホストマシン(102)ごとに1つ存在する。遠隔命令送信部(1014)の命令を元に、仮想マシン(103)の起動、シャットダウン、初期化処理を行う。」
「【図1】
[図:0001423430000008.jpg]
」
6 甲第6号証について
甲第6号証には、次の事項が記載されている。
「[0008]…(中略)…If all of the virtual machines shut down in an orderly manner before the time period determined for shutdown of the virtual machines lapses, before lapse of the time specified in the shutdown signal from the real computer, the common base portion shuts itself down. However, if all of the virtual machines do not shut down in an orderly manner before the time period determined for shutdown of the virtual machines lapses, upon lapse of said time period determined for shutdown of the virtual machines, the common base portion shuts itself down. The shutting down of the common base portion disrupts any of the virtual machines that did not shut down in an orderly manner.」
(当審訳)
「[0008]…(中略)…仮想マシンのシャットダウンのために決定された時間が経過する前に、すべての仮想マシンが整然とシャットダウンされた場合、実計算機からのシャットダウン信号で指定された時間が経過する前に、共通基盤部は自らをシャットダウンする。ただし、仮想マシンのシャットダウンのために決定された時間が経過する前に、すべての仮想マシンが整然とシャットダウンされない場合、仮想マシンのシャットダウンのために決定された前記時間が経過すると、共通基盤部は自らシャットダウンする。共通基盤部のシャットダウンにより、整然とシャットダウンされなかった仮想マシンのすべてが停止される。」
第8 取消理由についての判断
1 令和6年5月23日付けで通知した取消理由(決定の予告)の対象となる請求項1及び請求項12は、本件訂正により削除された。
したがって、当該取消理由は、解消した。
2 令和6年10月22日付けで当審が通知した取消理由は、本件訂正により取消理由の対象の請求項に係る発明が明確となったため、解消した。
第9 取消理由として採用しなかった申立理由について
1 申立理由1(進歩性欠如)について
(1)本件特許発明2について
ア 対比
以下、本件特許発明2と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「仮想計算機制御部(200)、停止順位情報(300)、仮想計算機停止処理部(400)、仮想計算機状態監視部(500)」(以下、これらを総称して「甲1制御部」という。)は、全体として「仮想計算機」を制御するものと認められるから、後述する相違点を除いて、本件特許発明2の「制御部」に相当する。
また、甲1発明の「物理計算機(100)」は、「仮想計算機制御部(200)、停止順位情報(300)、仮想計算機停止処理部(400)、仮想計算機状態監視部(500)」を含み、また、“情報処理装置”といい得るものであるから、本件特許発明2の「制御部を備えた情報処理装置」に相当する。
(イ)本件特許明細書の【0033】、【0078】、【0097】等の記載を参酌すれば、本件特許発明2の「ゲストOS」は、「仮想マシン」すなわち「仮想計算機」を含む概念である。
よって、甲1発明の「仮想計算機群(600)」と、本件特許発明2の「仮想OS上で動作する複数のゲストOS」とは、「複数のゲストOS」である点において共通する。
また、甲1発明において、「仮想計算機群(600)」に含まれる各「仮想計算機」は、後述する相違点を除いて、本件特許発明2の「ゲストOS」に相当する。
また、甲1発明において、「仮想計算機制御部(200)」は、「仮想計算機停止処理部(400)」を介して「仮想計算機」を「停止」(シャットダウン)する処理(管理)をする機能部と認められるから、後述する相違点を除いて、本件特許発明2の「複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部」に相当する。
(ウ)甲1発明において、「仮想計算機制御(200)」は「停止順位情報格納部(300)内の登録情報」に基づいて「次に停止する仮想計算機を特定」するものであるから、「停止順位情報格納部(300)内の登録情報」は、本件特許発明2の「前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度」に相当する。
また、甲1発明において、「仮想計算機制御部(200)」は、「外部入力インタフェース(700)を通じて、停止順位情報格納部(300)に情報を格納する」ものであるところ、「仮想計算機制御部(200)」は、ユーザに対して「外部入力インタフェース(700)」を提供する機能手段を備え、ユーザは、当該「外部入力インタフェース(700)」を介して、「停止順位情報格納部(300)」に登録したい「登録情報」を任意に設定及び変更するものと認められる。
そうすると、甲1発明の「外部入力インタフェース(700)」と本件特許発明2の「停止優先度設定画面」とは、「停止優先度設定インタフェース」である点で共通し、甲1発明において、「仮想計算機制御部(200)」が「外部入力インタフェース(700)」を提供する機能手段と、本件特許発明2の「前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部」とは、「前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定インタフェースを提供する提供制御部」である点において共通する。
(エ)上記(ア)~(ウ)より、甲1発明において、「甲1制御部」が、「仮想計算機制御部(200)」を備えることと、本件特許発明2の「前記制御部は、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、を備え」ることとは、「前記制御部は、複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定インタフェースを提供する提供制御部と、を備え」る点において共通する。
(オ)甲1発明において、「仮想計算機制御部(200)」は、「任意の仮想計算機の停止指示」を受け取ることにより、「停止順位情報格納部(300)内の登録情報を参照し、その内容に基づいて仮想計算機停止処理部(400)に対して仮想計算機群(600)のうちいずれかの仮想計算機の停止を指示する」ものであるところ、「停止順位情報格納部(300)内の登録情報」の内容に基づいて特定される「いずれかの仮想計算機」は、本件特許発明2の「前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOS」に相当する。
よって、甲1発明において、「仮想計算機制御部(200)」が、「任意の仮想計算機の停止指示」を受け取ることにより、「停止順位情報格納部(300)内の登録情報を参照し、その内容に基づいて仮想計算機停止処理部(400)に対して仮想計算機群(600)のうちいずれかの仮想計算機の停止を指示する」ことは、本件特許発明2の「前記第1の管理部は」「前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行」することに相当する。
また、甲1発明において、「当該仮想計算機の停止報告」すなわち「いずれかの仮想計算機」の「停止報告」を受けた「仮想計算機制御部(200)」は、「停止順位情報格納部(300)の登録情報に基づき、次に停止する仮想計算機を特定」するものであるところ、「停止順位情報格納部(300)の登録情報」に基づいて特定される、「いずれかの仮想計算機」の「次に停止する仮想計算機」は、本件特許発明2の「第2のゲストOS」に相当する。
また、甲1発明において、「仮想計算機制御部(200)」が「当該仮想計算機の停止報告を受けた」ことは、本件特許発明2における「当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合」に相当する。
よって、甲1発明において、「仮想計算機制御部(200)」が、「停止順位情報格納部(300)の登録情報に基づき、次に停止する仮想計算機を特定し、再び仮想計算機停止処理部(400)にする仮想計算機の停止」の「指示」を行うことと、本件特許発明2において、「前記第1の管理部は」「当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」こととは、「前記第1の管理部は」「当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」である点において共通する。
イ 一致点、相違点
以上から、本件特許発明2と甲1発明とは、以下の点において一致ないし相違する。
○一致点
「 制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定インタフェースを提供する提供制御部と、
を備え、
前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
情報処理装置。」
○相違点
(相違点1)
「複数のゲストOS」が、本件特許発明2においては、「仮想OS上で動作する」ものであるのに対し、甲1発明の「仮想計算機群(600)」は「物理計算機(100)上で稼動」するものである点。
(相違点2)
共通点である「提供制御部」が、本件特許発明2においては、「停止優先度設定画面を表示する表示制御部」であるのに対し、甲1発明の「外部入力インタフェース」がどのようなものであるのかが具体的ではなく、よって、甲1発明の「仮想計算機制御部(200)」は「外部入力インタフェース」をどのように提供するのか具体的ではない点。
(相違点3)
「第2のゲストOSのシャットダウンを実行する」条件が、本件特許発明2においては、「当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく」であるのに対し、甲1発明においては、当該条件を具体的に特定していない点。
ウ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
仮想計算機(又はゲストOS)をハイパーバイザのような管理ソフトウェア上で動作させて管理することは、本件特許出願時における周知技術である。
(必要であれば、特開2011-145956号公報(【0002】~【0004】)、特開2016-181185号公報(【0002】、【図3】)、特開2017-162165号公報(【0012】)を参照されたい。)
また、本件特許明細書の【0033】、【0078】、【0097】等の記載を参酌すれば、本件特許発明2に係る「ホストOS」は、「ハイパーバイザ」を含む概念である。
してみれば、甲1発明の「仮想計算機群(600)」を「仮想OS上で動作する」ものとすることは、当業者が上記周知技術に基づいて容易に想到し得たことである。
(イ)相違点2について
情報を入力、設定するための外部入力インタフェースとしてGUI等の画面を用いることは、特に文献を提示するまでもなく本件特許出願時における周知技術であり、また、実際、甲3に記載されているように、
「 「VMWare」の機能の1つである「PowerChute Network Shutdown」において、
「VMの優先度付け」の画面を介して、仮想マシンの優先度付けを使うと、仮想マシンの移行、シャットダウン、電源オンの順番を指定できること。」(甲3記載技術)も本件特許出願時における公知技術である。
したがって、甲1発明において、引用発明の「仮想計算機制御部(200)」を、「外部入力インタフェース」を画面として提供する「表示制御部」として機能するものとすることは、当業者が、周知技術及び甲3に記載された公知技術を参酌することにより容易に想到し得たことである。
(ウ)相違点3について
本件特許明細書の【0042】には、「第1管理部」に相当する「基本サービス部122」が「優先度制御部12211」とともに「タイムアウト制御部12213」を備えることが記載され、【0063】及び【0064】には、前記「基本サービス部122」を備える「仮想ソフト12」が、「タイムアウト時間」の経過に基づく強制シャットダウンを実行することが記載され、また、【0085】及び【図10】の記載からは、「タイムアウト時間の設定画面」が「優先度」の設定画面を兼ねていること、すなわち「タイムアウト時間」と「優先度」とが同じ画面で同時に設定されることが看て取れる。
これらの事項に鑑みれば、本件特許発明2において、「当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく」との条件は、「ゲストOS」を「(強制)シャットダウン」するための「タイムアウト時間」が予め設定されていることを前提としたものと認められる。
他方、甲第1号証には、「仮想計算機」を停止するための「タイムアウト時間」が予め設定されることは記載も示唆もなく、甲2~甲6のいずれにも、「優先度」に基づいて実行された「第1のゲストOS」の「シャットダウン」が完了した場合に、「当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく」第2のゲストOSのシャットダウンを実行することは、記載も示唆もなく、そのことが、本願出願時における技術常識であったともいえない。
加えて、甲1発明は、「オペレータが任意の仮想計算機を停止するときに、当該仮想計算機をのみを指定するという単純な操作で、当該仮想計算機の停止の前提となる他の全ての計算機を予め決定した順序で停止し、複数仮想計算機の安全な停止を実現することを可能とする」(甲1の【0008】)ものであるから、当業者といえども、必ずしも安全な停止とはいえない、タイムアウト時間の経過による強制的なシャットダウンを行い得るように「タイムアウト時間」を設定した上で、「当該第1のゲストOSをシャットダウンするためのタイムアウト時間の経過を待つことなく」第2のゲストOSのシャットダウンを実行するよう構成を変更することに動機付けを見いだすことはできない。
エ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明2は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件特許発明3及び4について
本件特許発明3及び4は、本件特許発明2の構成をすべて含む発明であるから、本件特許発明2と同様に、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件特許発明5について
ア 対比、一致点、相違点
上記1(1)アを参酌すれば、本件特許発明5と甲1発明とを対比すると、両者は以下の点において一致ないし相違するといえる。
○一致点
「 制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定インタフェースを提供する提供制御部と、
を備え、
前記第1の管理部は、
前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
情報処理装置。」
○相違点
(相違点5-1)
「複数のゲストOS」が、本件特許発明6においては、「仮想OS上で動作する」ものであるのに対し、甲1発明の「仮想計算機群(600)」は「物理計算機(100)上で稼動」するものである点。
(相違点5-2)
共通点である「提供制御部」が、本件特許発明5においては、「停止優先度設定画面を表示する表示制御部」であるのに対し、甲1発明の「外部入力インタフェース」がどのようなものであるのかが具体的ではなく、よって、甲1発明の「仮想計算機制御部(200)」は「外部入力インタフェース」をどのように提供するのか具体的ではない点。
(相違点5-3)
本件特許発明5は、「前記複数のゲストOSが稼動しているか否かを示す情報と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部」を備えるとともに、「前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に、」前記停止優先度に従って前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行するのに対し、甲1発明は、対応する構成について具体的に特定していない点。
イ 相違点についての判断
(ア)相違点5-1及び相違点5-2について
相違点5-1及び相違点5-2はそれぞれ、上記1(1)イの相違点1及び相違点2に対応したものであるところ、その判断についても、上記1(1)ウ(ア)及び(イ)で述べたとおりである。
(イ)相違点5-3について
「無停電電源装置の状態」に基づいて自動的に仮想計算機を停止することは、甲2及び甲3に記載されているように本件特許出願時における周知技術と認められる。しかしながら、「無停電電源装置の状態」のみならず「前記複数のゲストOSが稼動しているか否かを示す情報」をも「停止条件」とすることは、甲2~甲6のいずれにも記載されていない。
加えて、甲1発明において、「外部入力インタフェース(700)から、任意の仮想計算機の停止指示」に基づいて仮想計算機の停止を行う構成を、所定の停止条件に基づいて自動的に仮想計算機を停止するように敢えて変更するようにすべき理由を見いだすことができない。
ウ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明5は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件特許発明6~8について
本件特許発明6~8は、本件特許発明5の構成をすべて含む発明であるから、本件特許発明5と同様に、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件特許発明9について
ア 対比、一致点、相違点
上記1(1)アを参酌すれば、本件特許発明9と甲1発明とを対比すると、両者は以下の点において一致ないし相違するといえる。
○一致点
「 制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定インタフェースを提供する提供制御部と、
を備え、
前記第1の管理部は、
前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
情報処理装置。」
○相違点
(相違点9-1)
「複数のゲストOS」が、本件特許発明9においては、「仮想OS上で動作する」ものであるのに対し、甲1発明の「仮想計算機群(600)」は「物理計算機(100)上で稼動」するものである点。
(相違点9-2)
共通点である「提供制御部」が、本件特許発明9においては、「停止優先度設定画面を表示する表示制御部」であるのに対し、甲1発明の「外部入力インタフェース」がどのようなものであるのか具体的ではなく、よって、甲1発明の「仮想計算機制御部(200)」は「外部入力インタフェース」をどのように提供するのか具体的ではない点。
(相違点9-3)
本件特許発明9は、「前記第1の管理部によって前記複数のゲストOSの全てがシャットダウンされた場合に、当該情報処理装置のシャットダウンを行う第2の管理部」を備えるのに対し、甲1発明は、対応する構成について具体的に特定していない点。
イ 相違点についての判断
(ア)相違点9-1及び相違点9-2について
相違点9-1及び相違点9-2はそれぞれ、上記1(1)イの相違点1及び相違点2に対応したものであるところ、その判断についても、上記1(1)ウ(ア)及び(イ)で述べたとおりである。
(イ)相違点9-3について
甲1発明はあくまでも、「依存関係を持った複数の仮想計算機システムにおいて、システム構築時に停止順位を決めておくことにより、のちにオペレータが任意の仮想計算機を停止するときに、当該仮想計算機を(原文ママ)のみを指定するという単純な操作で、当該仮想計算機の停止の前提となる他の全ての計算機を予め決定した順序で停止し、複数仮想計算機の安全な停止を実現することを可能とするもの」(甲1の【0008】)を技術的な意義とするものであるところ、甲1発明において、「外部から停止指示された仮想計算機を停止するための全ての仮想計算機」を停止した後で自動的に「物理計算機(100)」をシャットダウンすることを想定していない。
甲1の【0003】には、「特に物理計算機本体の電源切断時のように、物理計算機そのものを停止する場合には、物理計算機上で稼動する全ての仮想計算機を適切な順序で停止する必要がある。」と記載されているが、当該記載は、甲1発明の技術的意義に鑑みれば、「物理計算機上で稼動する全ての仮想計算機を適切な順序で停止」した後で自動的に「物理計算機そのものを停止する」必要があることを特定するものではない。
よって、仮に、甲2~甲6に、相違点9-3に係る本件特許発明9の構成が記載されているとしても、甲1発明に当該構成を適用し得る動機付けがない以上、当業者といえども、甲2~甲6に記載の事項に基づいて相違点9-3に係る本件特許発明9の構成を容易に想到し得たとはいえない。
ウ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明9は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件特許発明10について
ア 対比、一致点、相違点
甲1発明の「仮想計算機状態監視部(500)」は、「停止処理が実施された仮想計算機の状態を監視」するものであるところ、本件特許発明10の「前記複数のゲストOSのステータスを監視すると共に前記複数のゲストOSを制御する第3の管理部」とは、「前記複数のゲストOSのステータスを監視する第3の管理部」である点において共通する。
また、甲1発明において、「仮想計算機制御部(200)」が「仮想計算機状態監視部(500)」から「仮想計算機の停止報告」を受けて、「仮想計算機停止処理部(400)」に「仮想計算機の停止」を指示することと、本件特許発明10の「前記第1の管理部は、」「当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを、前記第3の管理部を介して実行する」こととは、「前記第1の管理部は、」「当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを、所定の管理部を介して実行する」ことである点において共通する。
上記1(1)アを参酌すれば、本件特許発明10と甲1発明とを対比すると、両者は以下の点において一致ないし相違するといえる。
○一致点
「 制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定インタフェースを提供する提供制御部と、
前記複数のゲストOSのステータスを監視する第3の管理部と、
を備え、
前記第1の管理部は、
前記第3の管理部を介して、前記複数のゲストOSの各々のステータス情報を取得し、
前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、
当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを、所定の管理部を介して実行する、
情報処理装置。」
○相違点
(相違点10-1)
「複数のゲストOS」が、本件特許発明10においては、「仮想OS上で動作する」ものであるのに対し、甲1発明の「仮想計算機群(600)」は「物理計算機(100)上で稼動」するものである点。
(相違点10-2)
共通点である「提供制御部」が、本件特許発明10においては、「停止優先度設定画面を表示する表示制御部」であるのに対し、甲1発明の「外部入力インタフェース」がどのようなものであるのか具体的ではなく、よって、甲1発明の「仮想計算機制御部(200)」は「外部入力インタフェース」をどのように提供するのか具体的ではない点。
(相違点10-3)
本件特許発明10における「第3の管理部」は、「前記複数のゲストOSのステータスを監視する」機能のみならず「前記複数のゲストOSを制御する」機能を備え、「前記第1の管理部」は、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを「前記第3の管理部を介して」実行するものであるのに対し、甲1発明における「仮想計算機状態監視部(500)」は、仮想計算機を制御するものではなく、一方、甲1発明において、「仮想計算機状態監視部(500)」とは別に設けられた「仮想計算機停止処理部(400)」が、「仮想計算機制御部(200)からの指示に従い、仮想計算機群(600)のうちいずれかの仮想計算機の停止処理を実施する」点。
イ 相違点についての判断
(ア)相違点10-1及び相違点10-2について
相違点10-1及び相違点10-2はそれぞれ、上記1(1)イの相違点1及び相違点2に対応したものであるところ、その判断についても、上記1(1)ウ(ア)及び(イ)で述べたとおりである。
(イ)相違点10-3について
甲1発明における「仮想計算機状態監視部(500)」と「仮想計算機停止処理部(400)」とを同一の機能手段(「第3の管理部」)で実現することを示唆する記載は、甲2~甲6のいずれにもなく、そのように構成することが本件特許出願時における技術常識とも認められない。
よって、当業者といえども、甲1発明において、甲2~甲6に記載の事項に基づいて相違点10-3に係る本件特許発明10の構成を容易に想到し得たとはいえない。
ウ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明10は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件特許発明11について
本件特許発明11は、本件特許発明10の構成をすべて含む発明であるから、本件特許発明10と同様に、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(8)本件特許発明13について
本件特許発明13は、本件特許発明2をプログラムの発明として特定したものと認められる。
よって、本件特許発明2と同様に、本件特許発明13は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(9)本件特許発明14および15について
本件特許発明14及び15は、本件特許発明13の構成をすべて含む発明であるから、本件特許発明13と同様に、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(10)本件特許発明16について
本件特許発明16は、本件特許発明5をプログラムの発明として特定したものと認められる。
よって、本件特許発明5と同様に、本件特許発明16は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(17)本件特許発明17~19について
本件特許発明17~19は、本件特許発明16の構成をすべて含む発明であるから、本件特許発明16と同様に、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(18)本件特許発明20について
本件特許発明16は、本件特許発明1を実質的に方法の発明として特定したものと認められる。
よって、本件特許発明1と同様に、本件特許発明20は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(19) 本件特許発明21について
ア 対比、一致点、相違点
甲1発明の「物理計算機(100)」は、本件特許発明21の「1又は複数の情報処理装置」に含まれる。
よって、上記1(1)アを参酌すれば、本件特許発明9と甲1発明とを対比すると、両者は以下の点において一致ないし相違するといえる。
○一致点
「 制御部を備えた情報処理装置であって 、前記制御部は、複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが任意に設定及び変更するための停止優先度設定インタフェースを提供する提供制御部と、を備え、前記第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、
前記情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、
前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、
情報処理手段。」
○相違点
(相違点21-1)
「複数のゲストOS」が、本件特許発明21においては、「仮想OS上で動作する」ものであるのに対し、甲1発明の「仮想計算機群(600)」は「物理計算機(100)上で稼動」するものである点。
(相違点21-2)
共通点である「提供制御部」が、本件特許発明21においては、「停止優先度設定画面を表示する表示制御部」であるのに対し、甲1発明の「外部入力インタフェース」がどのようなものであるのかが具体的ではなく、よって、甲1発明の「仮想計算機制御部(200)」は「外部入力インタフェース」をどのように提供するのか具体的ではない点。
(相違点21-3)
本件特許発明21は、「前記情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置」と「前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置」とを備える「情報処理システム」であるのに対し、甲1発明は、これらの点を具体的に特定しない点。
イ 相違点についての判断
(ア)相違点21-1及び21-2について
相違点21-1及び相違点21-2はそれぞれ、上記1(1)イの相違点1及び相違点2に対応したものであるところ、その判断についても、上記1(1)ウ(ア)及び(イ)で述べたとおりである。
(イ) 相違点21-3について
甲2記載技術1を参酌すれば、無停電電源装置(UPS)を設け、当該UPSにより商用電源の異常発生に対応してUPSに内蔵されたバッテリから電力供給を受けることを前提にシャットダウン処理を実行することは、本件特許出願時における周知技術である。
また、甲2記載技術2を参酌すれば、UPSとサーバ(情報処理装置)とを制御するUPS制御装置は、本件特許出願時における周知技術である。
加えて、甲3記載技術にあるように、「VMの優先度付け」の画面を介して仮想マシンのシャットダウンの順番を指定できるよう構成されたシステムにおいて、各サーバが2台以上のUPSによって保護される冗長UPS構成を有することも、本件特許出願時における周知技術である。
しかしながら、甲第1発明に係る「物理計算機(100)」に関して、甲1には、具体的な電源の態様とその異常発生の可能性について、及び、他の計算機(無電源電源装置、制御装置)とネットワーク接続することによりシステムを構成し、かつ、「サーバ」として機能することについて、記載も示唆もない。
また、甲1発明のように複数の仮想計算機が動作する物理計算機を、無停電電源装置及び制御装置とネットワーク接続してサーバとして機能させることは、本願出願時における技術常識とはいえない。
すなわち、甲1発明は、甲2記載技術又は甲3記載技術を適用する動機付けとなり得る前提となる構成を含まず、また、そのことが本願出願時における技術常識から自明ともいえないから、当業者といえども、甲1発明に、甲第3号証に記載の周知技術等を適用することが想到し得たとはいえない。
ウ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明21は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
(20)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、甲1発明に甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を適用することができる具体的かつ合理的な理由について何ら説明していない。
(21)むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明2~11及び13~21は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて、甲第2号証~甲第6号証に記載された事項を参酌して、容易に発明をすることができたものではない。
2 申立理由2(サポート要件違反)について
本件特許明細書には、本件特許発明7及び18に係る「前記無停電電源装置のバッテリから前記情報処理装置に電力を供給させることなく、前記テストモードの開始の指示を受け付けた場合に、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」に関して、次の記載がある。(下線は、強調のため当審が付与した。)
「【0048】
電力供給部61は、商用電源4からの電力が正常である場合、商用電源4から電力の供給を受けて、サーバ1に電力を供給する。また、電力供給部61は、商用電源4からの電力が異常であり、または、供給されない場合、内部のバッテリ75からサーバ1に電力を供給する。電力供給部61は、制御部62からの指示に応じて、サーバ1への給電元になる電力源(商用電源4またはバッテリ75)を切り替える。」
「【0078】
サーバ1は、所定の順序に従って、複数の仮想マシン(ゲストOS)14のシャットダウンを行うテストモードを有することとしてもよい。この場合、ユーザの操作によりテストモード開始の指示を受け付けると、サーバ1の制御部10は、テストモードを実行する。
【0079】
テストモードにおいて、制御部10は、各ノードを停止するための順序を示す停止優先度を取得する停止優先度取得処理と、取得した停止優先度に従って各ノードを順次停止させるノード停止処理と、各ノードへの停止指示時刻から停止完了報告までの時間をシャットダウン時間として表示するシャットダウン時間表示処理とを実行する。」
上記【0045】の記載によれば、本件特許発明7及び18に係る「前記無停電電源装置のバッテリから前記情報処理装置に電力を供給させることなく」とは、「商用電源4からの電力が正常である」状態を指すものと認められる。
そして、上記【0078】及び【0079】の記載によれば、「ユーザの操作によりテストモード開始の指示を受け付ける」ことを契機として「各ノードを順次停止させるノード停止処理」を実行するものと認められる。
また、電源が正常に供給されているときに種々の操作が可能であることは本件特許出願時における技術常識であることに鑑みれば、本件特許明細書には、「ユーザの操作によりテストモード開始の指示を受け付ける」ことが、「商用電源4からの電力が正常である」状態において、すなわち、「前記無停電電源装置のバッテリから前記情報処理装置に電力を供給させることなく」なされることは、実質的に記載されているといえる。
よって、本件特許発明7及び18に係る「前記無停電電源装置のバッテリから前記情報処理装置に電力を供給させることなく、前記テストモードの開始の指示を受け付けた場合に、前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行する」ことは、本件特許明細書に記載されているから、本件特許発明7及び18は、発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。
第10 むすび
以上のとおりであるから、請求項2~11、13~21に係る発明は、各取消理由通知書に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由及びその証拠によって取り消すことはできない。さらに、他に請求項2~11、13~21に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1及び12は、本件訂正により削除されたため、申立人による特許異議の申立てにおける請求項1及び12に係る特許についての申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
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2023-700717